(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062327
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】医療用シャフトと医療用シャフトの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240430BHJP
A61L 29/12 20060101ALI20240430BHJP
A61L 29/08 20060101ALI20240430BHJP
A61L 29/18 20060101ALI20240430BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20240430BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20240430BHJP
A61L 31/18 20060101ALI20240430BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20240430BHJP
A61L 31/02 20060101ALI20240430BHJP
A61L 29/02 20060101ALI20240430BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61M25/00 610
A61M25/00 502
A61L29/12
A61L29/08 100
A61L29/18
A61L31/12
A61L31/10
A61L31/18
A61L31/04 110
A61L31/02
A61L29/02
A61L29/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016631
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2022170131
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 浩二
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081AC08
4C081BB02
4C081BB03
4C081BB08
4C081CA132
4C081CG01
4C081CG05
4C081CG07
4C081CG08
4C081DA03
4C081DC03
4C081DC06
4C081EA02
4C081EA04
4C081EA06
4C267AA02
4C267AA05
4C267BB13
4C267BB38
4C267FF01
4C267GG01
4C267GG21
4C267GG50
4C267HH02
(57)【要約】
【課題】シャフト本体における小径部分から大径部分に至る領域を被覆する樹脂チューブを、大径化による問題の発生を抑えながら位置固定に装着することができる、新規な構造の医療用シャフトを提供する。
【解決手段】医療用シャフト10であって、シャフト本体12は小径部分34と大径部分36との間に外径寸法が変化する変化部37が設けられている一方、シャフト本体12における小径部分34から変化部37を経て大径部分36に至る領域が長さ方向で連続して樹脂チューブ14で被覆されていると共に、樹脂チューブ14が小径部分34を覆う小径側熱収縮チューブ48と大径部分36を覆う大径側熱収縮チューブ50との接合構造体とされており、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50との何れかよりも厚さ寸法が大きい接合部46が、シャフト本体12の大径部分36の端部よりも変化部37が位置する小径部分34側に位置せしめられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトであって、
シャフト本体は、長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有しており、該小径部分と該大径部分との間には外径寸法が変化する変化部が設けられている一方、
該シャフト本体は、該小径部分から該変化部を経て該大径部分に至る領域が長さ方向で連続して樹脂チューブで被覆されていると共に、
該樹脂チューブが、該小径部分を覆う小径側熱収縮チューブと該大径部分を覆う大径側熱収縮チューブとが接合された接合構造体とされており、
該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとにおける厚さ寸法の小さい方の熱収縮チューブの配設領域に設けられて且つ該厚さ寸法の小さい方の熱収縮チューブよりも厚さ寸法が大きくされた接合部が、該シャフト本体の該大径部分の端部よりも該変化部が位置する該小径部分側に位置せしめられている医療用シャフト。
【請求項2】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向で変化するテーパ状部分を有しており、
前記樹脂チューブにおける前記接合部が、該テーパ状部分を覆う部位に位置せしめられている請求項1に記載の医療用シャフト。
【請求項3】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、
前記樹脂チューブにおける前記接合部が、該シャフト本体における前記小径部分の該段差状部分側の端部を覆う部位に位置せしめられている請求項1に記載の医療用シャフト。
【請求項4】
動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトであって、
シャフト本体は、長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有しており、該小径部分と該大径部分との間には外径寸法が変化する変化部が設けられている一方、
該シャフト本体は、該小径部分から該変化部を経て該大径部分に至る領域が長さ方向で連続して樹脂チューブで被覆されていると共に、
該樹脂チューブが、該小径部分を覆う小径側熱収縮チューブと該大径部分を覆う大径側熱収縮チューブとが接合された接合構造体とされており、
該シャフト本体の該大径部分の端部よりも該変化部が位置する該小径部分側に位置して、該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとが相互に重ね合わされて接合されている医療用シャフト。
【請求項5】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向に変化するテーパ状部分を有しており、
前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが、該シャフト本体の該テーパ状部分を覆う部位において相互に重ね合わされて接合されている請求項4に記載の医療用シャフト。
【請求項6】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、
前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが、該シャフト本体における該小径部分の該段差状部分側の端部を覆う部位において相互に重ね合わされて接合されている請求項4に記載の医療用シャフト。
【請求項7】
前記シャフト本体における前記大径部分の前記段差状部分側の端部の外周角部が、面取り形状とされている請求項3又は6に記載の医療用シャフト。
【請求項8】
前記シャフト本体における前記小径部分の前記段差状部分側の端部には、前記大径部分よりも外径寸法の小さい中間リングが外挿状態で取り付けられており、該中間リングを含めて該シャフト本体が前記樹脂チューブで被覆されている請求項3又は6に記載の医療用シャフト。
【請求項9】
前記樹脂チューブは、前記シャフト本体に対して、接着剤を用いないで重ね合わせ状態で固定されている請求項1~6の何れか1項に記載の医療用シャフト。
【請求項10】
前記シャフト本体が金属製とされている請求項1~6の何れか1項に記載の医療用シャフト。
【請求項11】
前記シャフト本体の表面に粗面化加工が施されている請求項10に記載の医療用シャフト。
【請求項12】
前記樹脂チューブの厚さ寸法が、前記シャフト本体における前記小径部分及び前記大径部分を覆う部位において0.03~0.50mmの範囲内であり、且つ、前記テーパ状部分を覆う接合部における最大の厚さ寸法が1.00mm以下とされている請求項2又は5に記載の医療用シャフト。
【請求項13】
前記シャフト本体における前記小径部分と前記大径部分との半径寸法の差が0.1~0.8mmの範囲内とされている請求項1~6の何れか1項に記載の医療用シャフト。
【請求項14】
前記樹脂チューブにおいて、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが互いに融合して一体化された状態で接合されている請求項1~6の何れか1項に記載の医療用シャフト。
【請求項15】
前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが同一の材質とされている請求項1~6の何れか1項に記載の医療用シャフト。
【請求項16】
動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトの製造方法であって、
長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有していると共に、該小径部分と該大径部分との間に外径寸法が変化する変化部を有しているシャフト本体を準備する工程と、
小径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該小径部分に外挿し、且つ、大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分に外挿すると共に、該大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分から前記変化部側に延び出させて該シャフト本体の該大径部分よりも該変化部側において該小径側熱収縮チューブにオーバーラップさせて配置する工程と、
該シャフト本体に外挿された該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとのオーバーラップ部分の外周を成形用熱収縮チューブで覆う工程と、
該成形用熱収縮チューブを加熱処理によって熱収縮させて該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブの該オーバーラップ部分の外周面に当接させることで該オーバーラップ部分の形状を保持させながら、該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとを該加熱処理によって熱収縮させて該シャフト本体に密着させる工程と、
該加熱処理の終了後に該成形用熱収縮チューブを取り除く工程と
を、含む医療用シャフトの製造方法。
【請求項17】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向で変化するテーパ状部分を有しており、
前記加熱処理に際して、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとを該シャフト本体の該テーパ状部分で相互にオーバーラップさせて配置する請求項16に記載の医療用シャフトの製造方法。
【請求項18】
前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、
前記加熱処理に際して、前記大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分から該段差状部分を越えて延び出させて該小径部分において前記小径側熱収縮チューブにオーバーラップさせて配置する請求項16に記載の医療用シャフトの製造方法。
【請求項19】
前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブが前記加熱処理によって相互に溶融する材質とされており、
前記成形用熱収縮チューブは該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブに対して前記加熱処理によって溶融しない材質とされている請求項16~18の何れか1項に記載の医療用シャフトの製造方法。
【請求項20】
前記シャフト本体の前記テーパ状部分の傾斜角度が3~60度の範囲内とされている請求項17に記載の医療用シャフトの製造方法。
【請求項21】
前記成形用熱収縮チューブは、前記シャフト本体の長さ方向において該シャフト本体の前記変化部から前記小径部分と前記大径部分とにそれぞれ延び出している請求項16~18の何れか1項に記載の医療用シャフトの製造方法。
【請求項22】
前記小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブは、前記シャフト本体の外周面に対して全長にわたって接着又は溶着されることなく重ね合わせ状態で固定されている請求項16~18の何れか1項に記載の医療用シャフトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体外から操作して体内での処置を施す際に用いられる医療用シャフトと医療用シャフトの製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、患者の体外から操作して患者の体内での処置を施すために各種の長手状の医療用シャフトが用いられている。例えば、国際公開第2013/179103号(特許文献1)に開示されている体内の特定組織へ電気エネルギーを与えるチューブ状の医療機器(穿刺ロッド)や、治療用カテーテルなどが知られている。
【0003】
ところで、このような医療用シャフトでは、生体組織の保護、エネルギーロスの防止、耐久性の確保等の何らかの目的をもって、シャフト本体の外周面を覆う樹脂層を設ける場合がある。
【0004】
また、医療用シャフトは、ダイレータやシース、カテーテルなどを通じて体内の所定部位に差し入れられることがあり、ダイレータ等に摺接しても樹脂層による被覆がシャフト本体に対して剥がれたり位置ずれしたりせずに安定して保持されることが要求される。
【0005】
このような事情から、シャフト本体の外周面を覆う樹脂層を実現するに際して、例えばシャフト本体の外周面に樹脂材を塗布して樹脂層を形成することも考えられるが、それでは一定で且つ充分な厚さの樹脂層を形成することが難しい。一方、一定厚さで別途に形成した樹脂チューブをシャフト本体に外挿して接着剤で固着することも考えられるが、接着作業が面倒であることに加えて、接着剤の生体組織への悪影響なども懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者は、シャフト本体の外周面に熱収縮チューブを嵌着することで、樹脂層をシャフト本体に対して位置固定に設けることを検討した。
【0008】
ところが、シャフト本体の先端部分が小径とされている場合など、シャフト本体の外径寸法が長さ方向で異なる場合には、熱収縮チューブをシャフト本体に対して全長に亘って嵌着状態で安定して固着することが難しいという、新たな課題が存在することが分かった。即ち、シャフト本体の大径部分に外挿可能な熱収縮チューブを採用すると、シャフト本体の小径部分では熱収縮チューブが充分に収縮されずに隙間が発生して固着力が発揮され難い。一方、シャフト本体の小径部分でも嵌着されるような熱収縮チューブでは、熱収縮率の大きい大径の熱収縮チューブを採用することとなり、熱収縮チューブの材質選択の自由度が大幅に制限されるだけでなく、熱収縮後の樹脂層の厚さ寸法が大きくなって医療用シャフトの大径化による挿通性能の阻害等を避け難いという問題が発生する。
【0009】
本発明の解決課題は、長さ方向で外径寸法が異なるシャフト本体を備えた医療用シャフトを対象とするものであって、シャフト本体における小径部分から大径部分に至る領域を被覆する樹脂チューブを、大径化による問題の発生を抑えながら、シャフト本体に対して全長にわたって位置固定に装着することができる、新規な構造の医療用シャフトを提供することにある。
【0010】
また、本発明は、長さ方向で外径寸法が異なるシャフト本体を備えた医療用シャフトを対象として、シャフト本体における小径部分から大径部分に至る領域を被覆する樹脂チューブを、大径化による問題の発生を抑えながら、シャフト本体に対して全長にわたって位置固定に装着することができる、新規な医療用シャフトの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0012】
第1の態様は、動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトであって、シャフト本体は、長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有しており、該小径部分と該大径部分との間には外径寸法が変化する変化部が設けられている一方、該シャフト本体は、該小径部分から該変化部を経て該大径部分に至る領域が長さ方向で連続して樹脂チューブで被覆されていると共に、該樹脂チューブが、該小径部分を覆う小径側熱収縮チューブと該大径部分を覆う大径側熱収縮チューブとが接合された接合構造体とされており、該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとにおける厚さ寸法の小さい方の熱収縮チューブの配設領域に設けられて且つ該厚さ寸法の小さい方の熱収縮チューブよりも厚さ寸法が大きくされた接合部が、該シャフト本体の該大径部分の端部よりも該変化部が位置する該小径部分側に位置せしめられているものである。
【0013】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、小径部分と大径部分とを有するシャフト本体を被覆する樹脂チューブが、シャフト本体の小径部分を覆う小径側熱収縮チューブとシャフト本体の大径部分を覆う大径側熱収縮チューブとによって構成されている。これにより、例えば、小径側熱収縮チューブの熱収縮前の直径を大径側熱収縮チューブの熱収縮前の直径よりも小さくすることで、小径側熱収縮チューブをシャフト本体の小径部分に嵌着させつつ、大径側熱収縮チューブをシャフト本体の大径部分に嵌着させることができて、樹脂チューブがシャフト本体に対して全長にわたって位置合わせされた状態で装着される。
【0014】
また、樹脂チューブは、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブの接合構造体とされていることにより、それら小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブの接合部が、少なくとも厚さ寸法が小さい方の熱収縮チューブよりも厚肉となるが、当該厚肉とされた接合部がシャフト本体の大径部分の端部よりも変化部が位置する小径部分側の位置に配されている。このように、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとの接合構造を採用することで厚肉となる接合部が、シャフト本体において大径部分よりも小径とされた小径部分側に位置していることにより、接合部の厚肉化に起因する医療用シャフトの大径化が問題になり難い。
【0015】
第2の態様は、第1の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向で変化するテーパ状部分を有しており、前記樹脂チューブにおける前記接合部が、該テーパ状部分を覆う部位に位置せしめられているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、小径部分と大径部分との間にテーパ状部分が設けられていることから、小径部分と大径部分の外径寸法の変化が比較的緩やかであり、シャフト本体が樹脂チューブで被覆された際にも、樹脂チューブにおいてテーパ状部分を覆う部位の外径寸法の変化が比較的緩やかとされると共に、樹脂チューブにおける局所的な薄肉化等も回避しやすい。特に、小径側熱収縮チューブや大径側熱収縮チューブよりも厚さ寸法が大きい接合部が大径部分よりも小径なテーパ状部分に設けられることで、接合部の形成位置における過度な大径化が抑制されて、例えば本態様に係る医療用シャフトがダイレータ等に挿通された場合にも、医療用シャフトがダイレータ等に引っ掛かるおそれが低減され得る。
【0017】
第3の態様は、第1の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、前記樹脂チューブにおける前記接合部が、該シャフト本体における前記小径部分の該段差状部分側の端部を覆う部位に位置せしめられているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、小径部分と大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する場合にも、樹脂チューブにおける接合部が小径部分の段差状部分側の端部を覆う部位に設けられることで、かかる部位における樹脂チューブの肉厚が大きくなり、かかる厚肉とされた樹脂チューブによって外径寸法の段差状の変化が軽減乃至は解消され得る。その結果、樹脂チューブにおいてシャフト本体の小径部分を覆う部分(小径側熱収縮チューブ)とシャフト本体の大径部分を覆う部分(大径側熱収縮チューブ)との外径寸法の急激な変化が抑えられて、樹脂チューブの外周面において小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとが比較的緩やかな湾曲面形状をもって接続され得る。これにより、シャフト本体の外径寸法が段差状に変化する場合でも、医療用シャフトの外周面における角状の突出が容易に回避されて、例えば本態様に係る医療用シャフトがダイレータ等に挿通された場合にも、医療用シャフトがダイレータ等に引っ掛かるおそれが低減され得る。
【0019】
第4の態様は、動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトであって、シャフト本体は、長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有しており、該小径部分と該大径部分との間には外径寸法が変化する変化部が設けられている一方、該シャフト本体は、該小径部分から該変化部を経て該大径部分に至る領域が長さ方向で連続して樹脂チューブで被覆されていると共に、該樹脂チューブが、該小径部分を覆う小径側熱収縮チューブと該大径部分を覆う大径側熱収縮チューブとが接合された接合構造体とされており、該シャフト本体の該大径部分の端部よりも該変化部が位置する該小径部分側に位置して、該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとが相互に重ね合わされて接合されているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、第1の態様と同様に、小径側熱収縮チューブをシャフト本体の小径部分に嵌着させつつ、大径側熱収縮チューブをシャフト本体の大径部分に嵌着させることができて、樹脂チューブがシャフト本体に対して全長にわたって位置合わせされた状態で装着される。
【0021】
また、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとの重ね合わせ状態での接合によって厚肉となる接合部が、シャフト本体の大径部分の端部よりも変化部が位置する小径部分側に位置していることにより、接合部の厚肉化に起因する医療用シャフトの大径化が問題になり難い。
【0022】
第5の態様は、第4の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向に変化するテーパ状部分を有しており、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが、該シャフト本体の該テーパ状部分を覆う部位において相互に重ね合わされて接合されているものである。
【0023】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、第2の態様と同様に、樹脂チューブにおいてテーパ状部分を覆う部位の外径寸法の変化が比較的緩やかとされると共に、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとの接合位置(接合部の形成位置)における過度な大径化が抑制され得る。
【0024】
第6の態様は、第4の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが、該シャフト本体における該小径部分の該段差状部分側の端部を覆う部位において相互に重ね合わされて接合されているものである。
【0025】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、第3の態様と同様に、樹脂チューブの外周面において小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとが長さ方向で比較的緩やかにつながった湾曲形状をもって接続され得て、シャフト本体の段差状部分における急な外径変化が解消され得る。
【0026】
第7の態様は、第3又は第6の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記大径部分の前記段差状部分側の端部の外周角部が、面取り形状とされているものである。
【0027】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、大径部分における段差状部分側の端部の外周角部が面取り形状とされることで、樹脂チューブにおける当該外周角部を覆う部分の厚さ寸法を容易に且つ安定して確保することができて、樹脂チューブの外装加工なども容易とされ得る。
【0028】
第8の態様は、第3又は第6の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記小径部分の前記段差状部分側の端部には、前記大径部分よりも外径寸法の小さい中間リングが外挿状態で取り付けられており、該中間リングを含めて該シャフト本体が前記樹脂チューブで被覆されているものである。
【0029】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、中間リングを設けることで、小径部分における外径寸法と大径部分における外径寸法との変化を段階的なものとすることができて、段差の大きさを分散させて実質的に小さくすることが可能になる。それ故、小径部分と大径部分との間を覆う樹脂チューブにおいても、外径寸法が一度に大きく変化することが回避される。従って、例えば小径部分と大径部分との外径寸法差が比較的大きい場合にも、長さ方向において中間リングを挟んで小径部分と大径部分との間にまたがって樹脂チューブが設けられることで、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとを比較的緩やかに傾斜した外周面をもって接続することができる。
【0030】
第9の態様は、第1~第8の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記樹脂チューブは、前記シャフト本体に対して、接着剤を用いないで重ね合わせ状態で固定されているものである。
【0031】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、樹脂チューブがシャフト本体に対して接着剤を用いないで嵌着固定されていることにより、生体組織に悪影響を及ぼし得る接着剤の使用を回避しながら、樹脂チューブをシャフト本体に対して有効に位置決めすることができる。
【0032】
第10の態様は、第1~第9の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体が金属製とされているものである。
【0033】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、シャフト本体が樹脂チューブによって被覆されることにより、硬い金属製とされたシャフト本体の生体組織やダイレータ等への直接的な接触を柔軟な樹脂チューブによって防ぐことができる。また、シャフト本体が金属製とされていることによって、シャフト本体の基端側から先端側へ電気や熱を伝達させ易く、その場合には、例えば、樹脂チューブによってシャフト本体の表面に電気や熱の絶縁層を構成することもできる。
【0034】
第11の態様は、第10の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体の表面に粗面化加工が施されているものである。
【0035】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、金属製のシャフト本体の表面が粗面化されることにより、樹脂チューブがシャフト本体に対して軸方向で位置決めされ易くなって、樹脂チューブのずれが防止される。
【0036】
第12の態様は、第2又は第5の態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記樹脂チューブの厚さ寸法が、前記シャフト本体における前記小径部分及び前記大径部分を覆う部位において0.03~0.50mmの範囲内であり、且つ、前記テーパ状部分を覆う接合部における最大の厚さ寸法が1.00mm以下とされているものである。
【0037】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、過度な大径化を防ぎながら、シャフト本体を樹脂チューブで被覆することによって発揮される緩衝性、絶縁性、耐久性等の目的とする各種性能を有効に得ることができる。
【0038】
第13の態様は、第1~第12の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記シャフト本体における前記小径部分と前記大径部分との半径寸法の差が0.1~0.8mmの範囲内とされているものである。
【0039】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、シャフト本体において、1つのチューブでは被覆が難しい程度に小径部分と大径部分の半径寸法の差が大きく、且つ、接合部が過度に厚肉になったり、接合部の形状が歪になったりするのを防ぎ得る程度に小径部分と大径部分の半径寸法の差が抑えられている。それゆえ、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとの接合構造体とされた樹脂チューブを採用することで、シャフト本体を樹脂チューブによって有効に被覆することができる。
【0040】
第14の態様は、第1~第13の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記樹脂チューブの前記接合部において、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが互いに融合して一体化されているものである。
【0041】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブが接合部で融合して一体化されていることによって、接合部に集中的な応力が生じても小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブの分離が生じ難い。例えば、大径側熱収縮チューブがダイレータ等に対して摺接しながら先端側へ挿入される場合には、変化部を被覆する接合部に対して引張応力が集中的に生じ易いが、このような引張応力の集中的な作用時にも、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブが分離するのを防ぐことができる。
【0042】
第15の態様は、第1~第14の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトにおいて、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとが同一の材質とされているものである。
【0043】
本態様に従う構造とされた医療用シャフトによれば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブを接合部において融合一体化させ易く、接合部における接合強度を大きく得易くなる。また、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとが異なる材質とされている場合に比して、樹脂チューブの全長にわたって目的とする性能を実現し易くなる。
【0044】
第16の態様は、動物への施術に際して体内に差し入れられる医療用シャフトの製造方法であって、長さ方向で外径寸法が異ならされて小径部分と大径部分とを有していると共に、該小径部分と該大径部分との間に外径寸法が変化する変化部を有しているシャフト本体を準備する工程と、小径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該小径部分に外挿し、且つ、大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分に外挿すると共に、該大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分から前記変化部側に延び出させて該シャフト本体の該大径部分よりも該変化部側において該小径側熱収縮チューブにオーバーラップさせて配置する工程と、該シャフト本体に外挿された該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとのオーバーラップ部分の外周を成形用熱収縮チューブで覆う工程と、該成形用熱収縮チューブを加熱処理によって熱収縮させて該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブの該オーバーラップ部分の外周面に当接させることで該オーバーラップ部分の形状を保持させながら、該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブとを加熱処理によって熱収縮させて該シャフト本体に密着させる工程と、該加熱処理の終了後に該成形用熱収縮チューブを取り除く工程とを、含むものである。
【0045】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、小径部分と大径部分が変化部で連結されて長さ方向で外径寸法が変化しているシャフト本体を、樹脂チューブで被覆する際に、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとを、大径部分よりも変化部側でオーバーラップさせた状態でシャフト本体に外挿配置し、加熱処理によって熱収縮させる。これにより、シャフト本体の小径部分と大径部分の両方が、樹脂チューブによって隙間なく且つ過度に厚肉となることなく被覆される。
【0046】
また、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブのオーバーラップ部分は、成形用熱収縮チューブで覆われた状態で、成形用熱収縮チューブと共に加熱処理されて、収縮した成形用熱収縮チューブが小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブのオーバーラップ部分に密着する。これにより、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブのオーバーラップ部分の外周面が成形用熱収縮チューブによって成形されて歪な形状になり難い。
【0047】
第17の態様は、第16の態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が長さ方向で変化するテーパ状部分を有しており、前記加熱処理に際して、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブとを該シャフト本体の該テーパ状部分で相互にオーバーラップさせて配置するものである。
【0048】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとをテーパ状部分で相互にオーバーラップさせて配置することから、成形用熱収縮チューブを加熱処理によって熱収縮させることで、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとのオーバーラップ部分をシャフト本体におけるテーパ状部分に対して安定して密着させることができる。
【0049】
第18の態様は、第16の態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記シャフト本体における前記変化部が、前記小径部分と前記大径部分との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分を有しており、前記加熱処理に際して、前記大径側熱収縮チューブを該シャフト本体の該大径部分から該段差状部分を越えて延び出させて該小径部分において前記小径側熱収縮チューブにオーバーラップさせて配置するものである。
【0050】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、大径側熱収縮チューブを大径部分から段差状部分を越えて延び出させて小径部分において小径側熱収縮チューブにオーバーラップさせて配置することから、成形用熱収縮チューブを加熱処理によって熱収縮させることで、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブのオーバーラップ部分をシャフト本体における小径部分の段差状部分側の端部に対して安定して密着させることができる。
【0051】
第19の態様は、第16~第18の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記小径側熱収縮チューブと前記大径側熱収縮チューブが前記加熱処理によって相互に溶融する材質とされており、前記成形用熱収縮チューブは該小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブに対して前記加熱処理によって溶融しない材質とされているものである。
【0052】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、加熱処理された小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブが相互に溶融して樹脂チューブを一体的に構成することから、シャフト本体が樹脂チューブによって滑らかに被覆される。また、成形用熱収縮チューブが小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとに対して溶融しないことによって、加熱処理の終了後に成形用熱収縮チューブを容易に取り除くことができる。
【0053】
第20の態様は、第17の態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記シャフト本体の前記テーパ状部分の傾斜角度が3~60度の範囲内とされているものである。
【0054】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、テーパ状部分の傾斜角度が3度以上に大きい場合であっても、成形用熱収縮チューブを用いたことによって、テーパ状部分を被覆する小径側及び大径側の熱収縮チューブが加熱処理によって歪な形状となるのを防ぐことができる。テーパ状部分の傾斜角度が60度以下とされていることによって、テーパ状部分を含むシャフト本体の全体を小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとを用いて被覆することができる。
【0055】
第21の態様は、第16~第20の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記成形用熱収縮チューブは、前記シャフト本体の長さ方向において該シャフト本体の前記変化部から前記小径部分と前記大径部分とにそれぞれ延び出しているものである。
【0056】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブのオーバーラップ部分の全体を成形用熱収縮チューブで覆うことも可能であり、オーバーラップ部分の全体にわたって形状の安定化を図ることもできる。
【0057】
第22の態様は、第16~第21の何れか1つの態様に記載された医療用シャフトの製造方法において、前記小径側熱収縮チューブと該大径側熱収縮チューブは、前記シャフト本体の外周面に対して全長にわたって接着又は溶着されることなく重ね合わせ状態で固定されているものである。
【0058】
本態様に従う医療用シャフトの製造方法によれば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとが、何れもシャフト本体の外周面に対して、接着等されることなく嵌合によって固定されている。これにより、接着剤の使用による人体への悪影響が回避されると共に、溶着によるシャフト本体への悪影響等も回避できる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、医療用シャフトにおいて、シャフト本体における小径部分から変化部を経て大径部分に至る領域を、シャフト本体に対して位置固定に設けられた樹脂チューブによって、大径化による問題の発生を抑えながら被覆することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の第1実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【
図2A】
図1に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理前の状態を示す図
【
図2B】
図1に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理の完了後で2次加熱処理前の状態を示す図
【
図2C】
図1に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、2次加熱処理の完了状態を示す図
【
図3】本発明の第2実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【
図4A】
図3に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理前の状態を示す図
【
図4B】
図3に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理完了後で2次加熱処理前の状態を示す図
【
図4C】
図3に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、2次加熱処理の完了状態を示す図
【
図5】本発明の第3実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【
図6A】
図5に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理前の状態を示す図
【
図6B】
図5に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、1次加熱処理完了後で2次加熱処理前の状態を示す図
【
図6C】
図5に示す医療用シャフトの製造工程を示す図であって、2次加熱処理の完了状態を示す図
【
図7】本発明の第4実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【
図8】本発明の第5実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【
図9】本発明の第6実施形態としての医療用シャフトを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図1には、本発明に係る医療用シャフトの第1実施形態として、高周波ニードル10が示されている。高周波ニードル10は、患者への施術に際して体内に差し入れられる医療用器具であって、例えば、心房中隔の卵円窩の穿孔に用いられる。高周波ニードル10は、シャフト本体12の外周面が樹脂チューブ14で覆われた構造を有している。以下の説明では、使用状態で施術者側となる近位端(
図1中の左側)を高周波ニードル10の基端とし、患者側となる遠位端(
図1中の右側)を高周波ニードル10の先端とする。
【0063】
シャフト本体12は、ステンレス鋼等の金属で形成された中空長手状の部材とされており、軸方向に延びるルーメン16を備えている。シャフト本体12は、ある程度の可撓性を有していることが望ましく、好適には、例えば施術者が手で力を加える等して湾曲形状に塑性変形させることが可能とされている。シャフト本体12は、小径パイプ18と大径パイプ20とを含んで構成されている。
【0064】
小径パイプ18は、略一定の断面形状で延びており、長さ方向の全長にわたって略一定の内径寸法及び外径寸法を有している。小径パイプ18の軸方向に貫通する内腔が、シャフト本体12のルーメン16を構成している。小径パイプ18の先端部分には、先端から所定の距離だけ離れた位置で周壁の一部を貫通するサイドホール22が形成されており、サイドホール22がルーメン16に連通されている。
【0065】
小径パイプ18の先端には、先端チップ24が設けられている。本実施形態の先端チップ24は、穿孔用頭部26を備えている。穿孔用頭部26は、小径パイプ18の遠位端から突出して外部に露出した外周面を有している。そして、穿孔用頭部26は、外部からのエネルギー供給によって体組織に開存孔を形成する機能を有しており、例えば、供給される高周波エネルギーによって体組織を焼灼して、体組織に開存孔を形成し得る。なお、穿孔用頭部26を加熱するための電力は、小径パイプ18を導電体とすることで小径パイプ18によって供給されるようにしてもよいし、小径パイプ18の内腔に挿通された電気配線によって供給されるようにしてもよい。また、例えば小径パイプ18が大径パイプ20の基端まで達しない場合には、小径パイプ18と大径パイプ20とを何れも導電体とすることによって、それら小径パイプ18と大径パイプ20とによって穿孔用頭部26に電力を供給することもできる。
【0066】
穿孔用頭部26は、シャフト本体12よりもX線が透過し難い(X線不透過性が高い)ことが望ましい。本実施形態の穿孔用頭部26は、X線透視下での視認性に優れた金、プラチナ、プラチナイリジウム、タングステン、ステンレス等の金属材料によって形成されており、先端マーカーとしての機能も有している。穿孔用頭部26の表面にX線不透過性材料によるコーティングを形成して、X線透視下での視認性の確保や向上を図ることもできる。
【0067】
穿孔用頭部26の外周面は、先端へ向けて次第に小径となっている。穿孔用頭部26の形状は、特に限定されるものではないが、管腔内を移動する際に引っ掛かりが生じ難くなるように、遠位側の表面が角を持たない湾曲面とされていることが望ましく、例えば遠位に向けて凸となる略半楕円回転体状とされており、全体として略ラウンドノーズ(円頭弾)の弾頭形状とされている。
【0068】
穿孔用頭部26には、基端側から軸方向に延びる円筒状の接続部分28が設けられており、接続部分28が小径パイプ18の先端に挿入固着されることで、穿孔用頭部26が小径パイプ18の先端に固定的に設けられている。即ち、本実施形態では、先端チップ24が穿孔用頭部26と接続部分28を一体的に備えている。
【0069】
先端チップ24は、穿孔用頭部26と接続部分28との間に亘って中心軸上に連続して延びる貫通孔30が設けられることで、全体として略円筒形状とされている。貫通孔30の内径寸法が小径パイプ18の内径寸法よりも小さくされていると共に、接続部分28の外径寸法が穿孔用頭部26の基端の外径寸法よりも小さくされて、シャフト本体12の内径寸法と略同じとされている。接続部分28の軸方向長さは、穿孔用頭部26の軸方向長さよりも長いことが望ましく、それによって、穿孔用頭部26の小径パイプ18に対する固定強度の向上が図られて、穿孔用頭部26から施術者の手に伝わる感触の伝達効率も向上し得る。
【0070】
大径パイプ20は、外径寸法が小径パイプ18の外径寸法よりも大きく、且つ内径寸法が小径パイプ18の外径寸法と略同じか僅かに大きくされている。大径パイプ20は、先端部分が先端へ向けて外径寸法が徐々に小さくなる先細部32とされている。大径パイプ20の内径寸法は全長に亘って略一定とされており、先細部32が先端へ向けて薄肉となっている。
【0071】
先端チップ24が取り付けられた小径パイプ18が大径パイプ20に挿入されて、それら小径パイプ18と大径パイプ20が相互に固定されることによって、シャフト本体12が構成されている。シャフト本体12における小径パイプ18と大径パイプ20は、小径パイプ18が大径パイプ20の内腔に挿入されて接着剤で接着されていてもよいし、レーザー溶接されていてもよい。例えば、大径パイプ20の内腔に小径パイプ18が挿入されて、大径パイプ20の先端部分が小径パイプ18にレーザー溶接されることによって、小径パイプ18と大径パイプ20とが相互に固定されている。また、小径パイプ18と大径パイプ20のレーザー溶接によって、大径パイプ20の先端部分に先細部32が形成されている。
【0072】
シャフト本体12は、近位端から遠位端まで貫通するルーメン16を備えている。シャフト本体12において、小径パイプ18の基端は、大径パイプ20の基端までは達していない。それゆえ、シャフト本体12のルーメン16は、小径パイプ18の内腔と大径パイプ20の内腔とによって構成されている。このように、小径パイプ18が大径パイプ20の基端まで達することなく先端側に配されていることにより、シャフト本体12が過度に硬くなって湾曲追従性が低下したり、シャフト本体12におけるルーメン16の内径が全長に亘って小さくなってしまうのを防ぐことができる。
【0073】
シャフト本体12において、小径パイプ18が大径パイプ20よりも先端側へ突出している。換言すれば、大径パイプ20の先端は、小径パイプ18の先端よりも基端側に位置している。そして、小径パイプ18で構成されたシャフト本体12の先端部分が小径部分34とされており、大径パイプ20を含んで構成されたシャフト本体12の基端部分が大径部分36とされている。
【0074】
これら小径部分34と大径部分36との間には外径寸法が変化する変化部37が設けられている。本実施形態では、シャフト本体12における大径パイプ20の先細部32が位置する軸方向の中間部分が先端へ向けて外径寸法が次第に小さくなるテーパ状部分38とされており、変化部37がテーパ状部分38を有している。特に、本実施形態では、小径部分34と大径部分36との間の軸方向の全長にわたってテーパ状部分38が設けられており、変化部37の全体がテーパ状部分38により構成されている。従って、シャフト本体12は、小径パイプ18で構成された小径部分34が、大径パイプ20で構成された大径部分36よりも外径寸法が小さくされており、それら小径部分34と大径部分36とをつなぐようにテーパ状部分38が間に設けられている。テーパ状部分38が設けられていることにより、シャフト本体12の外径寸法は、小径部分34から大径部分36へ向けて連続的に大きくなっている。なお、小径パイプ18のサイドホール22は、大径パイプ20よりも先端側に位置しており、大径パイプ20によって覆われていない。
【0075】
シャフト本体12における小径部分34と大径部分36との半径寸法の差Δrは、好適には0.1~0.8mmの範囲内とされ、より好適には0.2~0.3mmの範囲内とされる。なお、本実施形態において、小径部分34と大径部分36との半径寸法の差Δrは、大径パイプ20の径方向の厚さ寸法によって設定される。
【0076】
シャフト本体12におけるテーパ状部分38の長さ方向(
図1の左右方向)に対する傾斜角度θは、3°≦θ≦60°とされていることが望ましい。テーパ状部分38の傾斜角度は、本実施形態では長さ方向の全体にわたって略一定とされている。尤も、テーパ状部分38の傾斜角度は長さ方向で変化していてもよく、その場合には、傾斜角度の最小値が上記範囲の最小値以上であり、且つ傾斜角度の最大値が上記範囲の最大値以下であることが望ましい。
【0077】
シャフト本体12の外周面は、樹脂チューブ14によって被覆されている。樹脂チューブ14は、シャフト本体12の外周面に嵌合固定されることで、シャフト本体12に対して位置固定に設けられている。樹脂チューブ14は、シャフト本体12の小径部分34からテーパ状部分38を経て大径部分36に至る領域に設けられており、本実施形態では、小径部分34の先端から大径部分36の基端に至るシャフト本体12の略全長にわたって連続して設けられている。先端チップ24の穿孔用頭部26は、樹脂チューブ14で覆われることなく、樹脂チューブ14よりも先端側へ露出している。
【0078】
樹脂チューブ14は、加熱処理によって収縮する熱収縮性を有する樹脂材料で形成される。樹脂チューブ14の具体的な形成材料は、特に限定されないが、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂によって形成される。
【0079】
樹脂チューブ14は、小径部分34を覆う第1部位40と、大径部分36を覆う第2部位42とが、略同じ厚さとされている。樹脂チューブ14は、テーパ状部分38を覆う第3部位44が、第1部位40及び/又は第2部位42に比して厚肉の接合部46を有している。本実施形態では、第3部位44の全体が接合部46とされている。換言すれば、接合部46は、シャフト本体12において大径部分36の端部よりも変化部37が位置する小径部分34側に位置している。第1部位40及び第2部位42の厚さ寸法tは、電気絶縁性等を考慮して、好適には0.03~0.50mmの範囲内とされ、より好適には0.04~0.08mmの範囲内とされる。また、第3部位44の最大厚さ寸法Tは、好適には1.00mm以下とされ、より好適には0.15mm以下とされる。なお、樹脂チューブ14は、小径部分34を覆う第1部位40と、大径部分36を覆う第2部位42とが、互いに異なる厚さとされていてもよく、その場合に何れが厚肉であってもよい。
【0080】
樹脂チューブ14は、第1部位40,第2部位42,第3部位44の何れも、シャフト本体12の外周面に対して、接着剤を用いることなく、重ね合わせ状態で固定されている。本実施形態の樹脂チューブ14は、シャフト本体12の外周面に対して、密着状態で嵌着固定されている。樹脂チューブ14は、後述するように、熱収縮によってシャフト本体12の外周面に嵌着されている。
【0081】
シャフト本体12の外周面において樹脂チューブ14が嵌着固定される部分は、粗面化されていることが望ましい。シャフト本体12の表面の粗面化は、例えば、サンドブラストやショットブラスト等の粗面化加工によって、好適に実現され得る。このような粗面化加工が施されることにより、シャフト本体12と樹脂チューブ14との嵌着面の抵抗が大きくなって、樹脂チューブ14がシャフト本体12に対して長さ方向でより強固に位置決めされる。
【0082】
ところで、シャフト本体12の表面が樹脂チューブ14によって被覆された高周波ニードル10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
【0083】
先ず、小径部分34と大径部分36とテーパ状部分38とを備えたシャフト本体12を準備する工程を実施する。本実施形態では、引抜加工やプレス加工等によって小径パイプ18と大径パイプ20を準備して、小径パイプ18を大径パイプ20に嵌め入れることでシャフト本体12を形成する。大径パイプ20の先細部32は、上述したように、例えば、小径パイプ18へのレーザー溶接時に形成され得る。
【0084】
次に、準備したシャフト本体12に小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とを外挿する工程を実施する。小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、何れも加熱によって収縮する熱収縮性を備えた樹脂製のチューブとされており、互いに独立している。本実施形態の小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、相互に同一の材質とされている。小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、後述する2次加熱処理によって溶融して相互に融合一体化し得る材質とされていることが望ましい。小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50を形成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂によって形成される。
【0085】
小径側熱収縮チューブ48の内径寸法は、シャフト本体12の大径部分36の外径寸法よりも小さく、且つシャフト本体12の小径部分34の外径寸法よりも大きくされており、小径部分34に対して外挿可能とされている。大径側熱収縮チューブ50の内径寸法は、シャフト本体12の大径部分36の外径寸法よりも大きくされており、大径部分36に対して外挿可能とされている。このように、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、加熱収縮前の直径が相互に異なっており、小径側熱収縮チューブ48が大径側熱収縮チューブ50よりも小径とされている。なお、本実施形態の小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、加熱収縮前の初期形状において略同じ厚さ寸法とされている。
【0086】
小径側熱収縮チューブ48の厚さ寸法t1は、好適には0.03~0.50mmの範囲内とされる。また、大径側熱収縮チューブ50の厚さ寸法t2は、好適には0.03~0.50mmの範囲内とされる。本実施形態において、小径側熱収縮チューブ48の厚さ寸法t1と大径側熱収縮チューブ50の厚さ寸法t2は、略同じとされているが、相互に異なっていてもよく、その場合には何れが厚肉であってもよい。
【0087】
そして、小径側熱収縮チューブ48をシャフト本体12の小径部分34に外挿し、且つ大径側熱収縮チューブ50をシャフト本体12の大径部分36に外挿する。この大径側熱収縮チューブ50は、シャフト本体12の大径部分36から変化部37(テーパ状部分38)側に延び出させて、シャフト本体12の大径部分36よりも変化部37側において小径側熱収縮チューブ48にオーバーラップさせて配置する。具体的には、小径側熱収縮チューブ48をシャフト本体12における小径部分34からテーパ状部分38の途中に至るまで外挿すると共に、大径側熱収縮チューブ50をシャフト本体12における大径部分36からテーパ状部分38の途中に至るまで外挿する。
【0088】
図2Aに示すように、シャフト本体12に外挿された小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、テーパ状部分38の外周において径方向の投影で重なり合うオーバーラップ状態とされる。即ち、小径側熱収縮チューブ48の基端が大径側熱収縮チューブ50の先端よりも基端側に位置しており、小径側熱収縮チューブ48におけるテーパ状部分38に外挿された基端部が、大径側熱収縮チューブ50におけるテーパ状部分38に外挿された先端部の内周へ差し入れられて、オーバーラップ部分52が設けられている。本実施形態において、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分52は、テーパ状部分38の略全体にわたって連続的に設定されている。
【0089】
次に、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50を加熱によって収縮させる1次加熱処理を行う工程を実施する。例えば、シャフト本体12に外挿された小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50の外周側に加熱装置54が配されており、加熱装置54から小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50に向けて加熱された空気が吹き付けられる。加熱装置54は、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50に向けて加熱空気を吹き付けながら、シャフト本体12に対して軸方向に相対移動可能とされており、それによって、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50の全体が加熱されて熱収縮する。
【0090】
そして、加熱空気によって温められた小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、熱収縮して小径となることにより、
図2Bに示すように、シャフト本体12の表面にそれぞれ接近する。例えば、1次加熱処理によって、小径側熱収縮チューブ48がシャフト本体12の小径部分34に密着すると共に、大径側熱収縮チューブ50が大径部分36に密着して、それら小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50がシャフト本体12に対して位置決めされる。小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、相互に融合することなく独立しており、テーパ状部分38には密着していなくてもよい。
【0091】
1次加熱処理の完了後に、
図2Bに示すように、シャフト本体12を覆う小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50に対して、成形用熱収縮チューブ56を外挿状態で配置する工程を実施する。
【0092】
成形用熱収縮チューブ56は、樹脂製のチューブであって、加熱によって収縮する熱収縮性を備えている。成形用熱収縮チューブ56は、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50とは異なる材質とされていることが望ましい。また、成形用熱収縮チューブ56は、好適には、後述する2次加熱処理の加熱温度で溶融しない材質とされる。これらにより、成形用熱収縮チューブ56は、後述する2次加熱処理において小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50と融合一体化しない。成形用熱収縮チューブ56は、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とに比して、加熱による収縮率が大きい材質が望ましい。成形用熱収縮チューブ56の形成材料としては、例えば、ポリオレフィンが採用される。成形用熱収縮チューブ56は、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50よりも厚肉とされており、熱収縮時の形状安定性が高められている。小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50に外挿された成形用熱収縮チューブ56は、加熱装置54によって加熱可能な位置に配置されている。
【0093】
成形用熱収縮チューブ56は、シャフト本体12のテーパ状部分38よりも長さ方向において長くされている。そして、成形用熱収縮チューブ56は、シャフト本体12のテーパ状部分38に外挿されていると共に、変化部37(テーパ状部分38)よりも先端側(小径部分34側)と基端側(大径部分36側)の両側へそれぞれ延び出しており、小径部分34の基端部と大径部分36の先端部にも外挿されている。従って、テーパ状部分38に外挿されたオーバーラップ部分52の外周の全体が、成形用熱収縮チューブ56によって覆われている。
【0094】
次に、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50と成形用熱収縮チューブ56を加熱装置54によって1次加熱処理よりも更に高温まで加熱する2次加熱処理を行う工程を実施する。2次加熱処理によって、
図2Cに示すように、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分52が溶融して融合一体化することにより接合部46が形成されると共に、接合部46がシャフト本体12のテーパ状部分38の表面に密着する。これにより、シャフト本体12の表面を被覆する樹脂チューブ14が、一体化した小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とによって構成される。要するに、樹脂チューブ14は、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とが接合部46において融合一体化して接合された接合構造体とされている。なお、2次加熱処理後の小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、明確な境界を有することなく一体的に樹脂チューブ14を構成することが望ましいが、例えば、溶融部分の境界が表れていてもよい。
【0095】
熱収縮前の直径が相互に異なる小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50を用いて樹脂チューブ14を形成することにより、シャフト本体12の小径部分34と大径部分36との外径寸法の差に対応して、樹脂チューブ14を全長にわたってシャフト本体12の外周面に密着させることができる。従って、樹脂チューブ14は、全長にわたってシャフト本体12に嵌着されて、シャフト本体12の表面を位置固定に被覆する。本実施形態では、シャフト本体12の表面が粗面化されていることから、樹脂チューブ14がシャフト本体12に対して密着することでより強固に位置決めされる。
【0096】
樹脂チューブ14(2次加熱処理後の小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50)は、シャフト本体12の表面に対して、接着されていないだけでなく溶着もされておらず、嵌合固定されていることが望ましい。これにより、接着剤の使用による患者への悪影響が回避されると共に、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50を内周面まで溶融するほどに加熱することなく、シャフト本体12に固定することができる。
【0097】
樹脂チューブ14の第3部位44は、オーバーラップして配された小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50が融合一体化して形成されることにより、小径側熱収縮チューブ48単体で構成された第1部位40及び/又は大径側熱収縮チューブ50単体で構成された第2部位42に比して厚肉とされており、第3部位44の全体が接合部46とされている。接合部46は、加熱処理前の小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50の何れかよりも厚さ寸法が大きくされており、本実施形態では、接合部46の厚さ寸法は、互いに略同じ厚さ寸法とされた小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50の何れの厚さ寸法よりも大きくされている。厚肉とされた接合部46は、シャフト本体12のテーパ状部分38の外周面上に位置しており、テーパ状部分38の表面の全体が接合部46で覆われている。
【0098】
樹脂チューブ14の第1部位40の厚さ寸法は、熱収縮前の小径側熱収縮チューブ48の厚さ寸法以下とされている。また、樹脂チューブ14の第2部位42の厚さ寸法は、熱収縮前の大径側熱収縮チューブ50の厚さ寸法以下とされている。更に、樹脂チューブ14の第3部位44の厚さ寸法は、熱収縮前の小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50の厚さ寸法の合計よりも小さくされている。
【0099】
また、2次加熱処理によって熱収縮した成形用熱収縮チューブ56は、
図2Cに示すように、テーパ状部分38の表面に密着した小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分52に対して、外周側から押し当てられる。成形用熱収縮チューブ56は、変化部37(テーパ状部分38)よりも先端側及び基端側まで延び出していることから、テーパ状部分38に連接された小径部分34の基端部及び大径部分36の先端部まで覆うように、テーパ状部分38の両端を含む領域に密着している。従って、テーパ状部分38に重ね合わされた小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分52の全体が、成形用熱収縮チューブ56の当接によって形状を保持されながら融合一体化して、所定の形状に成形される。このように、2次加熱処理において樹脂チューブ14の第3部位44の外周面に押し当てられる成形用熱収縮チューブ56を採用することで、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップによって局所的な凸等の歪な形状となり易い樹脂チューブ14の第3部位44を、滑らかな表面形状とすることができる。
【0100】
2次加熱処理の完了後に、成形用熱収縮チューブ56を樹脂チューブ14の表面から取り除く工程を実施する。これにより、シャフト本体12の表面が樹脂チューブ14で被覆された高周波ニードル10を得ることができる。成形用熱収縮チューブ56は、樹脂チューブ14を構成する小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50とは異なる材質とされていることにより、2次加熱処理において樹脂チューブ14と溶融一体化することなく、2次加熱処理後に樹脂チューブ14から容易に取り外すことができる。成形用熱収縮チューブ56は、好適には、小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50とは融点が異なる樹脂材料によって形成される。また、成形用熱収縮チューブ56を樹脂チューブ14から取り外す工程は、樹脂チューブ14と成形用熱収縮チューブ56とを必要に応じて冷却した後に実施することが望ましい。
【0101】
成形用熱収縮チューブ56は、樹脂チューブ14の成形後に取り除かれることから、厚さや材質の選択自由度が小径側熱収縮チューブ48及び大径側熱収縮チューブ50よりも大きく、例えば加熱収縮時の形状安定性に優れた材質とすることもできる。それゆえ、成形用熱収縮チューブ56を用いることにより、2次加熱処理において樹脂チューブ14の第3部位44の外周面形状を滑らかな所定形状に安定して成形することができる。
【0102】
このようにして得られた高周波ニードル10は、例えば、心房中隔の卵円窩の穿孔に用いられる。即ち、右心房に挿入された高周波ニードル10の穿孔用頭部26が、右心房と左心房を仕切る心房中隔における卵円孔の閉塞部分(卵円窩)に押し当てられて、高周波電力の供給による穿孔用頭部26の発熱によって、卵円窩を焼灼して所定の開存孔を形成する。
【0103】
本実施形態では、シャフト本体12が導電性の金属で形成されており、シャフト本体12を介して穿孔用頭部26に通電される。シャフト本体12の外周面は、穿孔用頭部26よりも基端側が略全長にわたって電気絶縁性の樹脂チューブ14で覆われており、電力エネルギーのロスや感電の危険性が防止されている。
【0104】
また、高周波ニードル10は、右心房へ挿入された図示しないダイレータに挿入されることで、右心房まで案内される。高周波ニードル10は、樹脂チューブ14が厚肉となる接合部46が、シャフト本体12のテーパ状部分38に位置していることから、樹脂チューブ14の部分的な厚肉化が高周波ニードル10のダイレータへの挿入に際して問題になり難い。蓋し、接合部46がテーパ状部分38に位置していることで、接合部46が厚肉とされていても高周波ニードル10の最大外径の大型化につながり難く、また、厚肉の接合部46が挿入性に影響し易い先端部分を構成しないからである。
【0105】
しかも、厚肉となる接合部46は、成形用熱収縮チューブ56によって局所的な凹凸が抑えられた滑らかな形状に成形されることから、ダイレータへの挿入時の引っ掛かり等も問題となり難い。
【0106】
なお、シャフト本体12の近位端には、図示しない操作ハンドルが取り付けられていてもよい。操作ハンドルは、施術者が把持して操作するものであって、シャフト本体12の挿抜、周方向の向き、湾曲変形の程度等を操作することができる。また、操作ハンドルは、シャフト本体12のルーメン16を近位へ開放するハブとしての機能を有していてもよい。
【0107】
図3には、本発明に係る医療用シャフトの第2実施形態として、高周波ニードル60が示されている。高周波ニードル60は、シャフト本体12の外周面が樹脂チューブ62で覆われた構造を有している。以下の説明において、第1実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0108】
樹脂チューブ62は、シャフト本体12の変化部37(テーパ状部分38)を覆う第3部位44の厚さ寸法が、長さ方向(
図3中の左右方向)において変化しており、第3部位44におけるテーパ状部分38の先端側を覆う部分が、テーパ状部分38の基端側を覆う部分よりも厚肉の接合部64とされている。要するに、本実施形態では、樹脂チューブ62の第3部位44が接合部64を長さ方向で部分的に備えている。また、接合部64の長さ方向の位置が、第3部位44の先端側に設定されている。接合部64の長さ寸法は、好適には、第3部位44の長さ寸法の半分以下とされ、且つ第3部位44の長さ寸法の1/4以上とされている。
【0109】
本実施形態の高周波ニードル60は、例えば、
図4A~Cに示す工程を経て製造することができる。すなわち、本実施形態においても、先ず、小径側熱収縮チューブ48をシャフト本体12の小径部分34に外挿し、且つ大径側熱収縮チューブ50をシャフト本体12の大径部分36に外挿する。そして、大径側熱収縮チューブ50を、シャフト本体12の大径部分36から変化部37(テーパ状部分38)側に延び出させて、シャフト本体12の大径部分36よりも変化部37側において小径側熱収縮チューブ48にオーバーラップさせて配置する。具体的には、
図4Aに示すように、予め準備したシャフト本体12に対して、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とを外挿する。小径側熱収縮チューブ48の基端部は、大径側熱収縮チューブ50の先端部の内周へ挿入されている。内外挿状態で配された小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分66は、シャフト本体12におけるテーパ状部分38の先端部分の外周側に配されており、テーパ状部分38の基端部分の外周側には小径側熱収縮チューブ48が配されていない。
【0110】
次に、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50を加熱によって収縮させる1次加熱処理を行う工程を実施する。加熱された小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50は、熱収縮して小径となることにより、
図4Bに示すように、シャフト本体12の表面にそれぞれ接近する。1次加熱処理によって、小径側熱収縮チューブ48がシャフト本体12の小径部分34に密着すると共に、大径側熱収縮チューブ50が大径部分36に密着して、それら小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50がシャフト本体12に対して位置決めされる。また、本実施形態の1次加熱処理において、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分66は、相互に融合することなく独立した状態で密着している。
【0111】
1次加熱処理の完了後に、
図4Bに示すように、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50で覆われたシャフト本体12に対して、成形用熱収縮チューブ56を外挿状態で配置し、2次加熱処理を行う工程を実施する。なお、成形用熱収縮チューブ56は、シャフト本体12のテーパ状部分38に外挿されていると共に、変化部37(テーパ状部分38)よりも先端側と基端側の両側へ突出しており、小径部分34の基端部と大径部分36の先端部にも外挿されている。従って、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分66は、成形用熱収縮チューブ56の内周側に位置している。
【0112】
小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分66は、2次加熱処理によって、
図4Cに示すように、シャフト本体12のテーパ状部分38の表面に密着すると共に、溶融して融合一体化することにより厚肉の接合部64を形成する。これにより、シャフト本体12の表面を被覆する樹脂チューブ62が、一体化した小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とによって構成される。
【0113】
本実施形態では、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50が、シャフト本体12のテーパ状部分38の先端部においてのみオーバーラップしていることから、樹脂チューブ62の接合部64がテーパ状部分38の先端部を覆う部位にのみ形成される。
【0114】
本実施形態において示したように、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50のオーバーラップ部分は、必ずしもシャフト本体12のテーパ状部分38の全体にわたって設定されている必要はなく、長さ方向で部分的に設定されていてもよい。本実施形態によれば、樹脂チューブ62の第3部位44における接合部64の範囲を先端側に限定することができて、テーパ状部分38を覆う樹脂チューブ62の第3部位44を、大径となる基端側において薄肉とすることができる。
【0115】
なお、第3部位44における接合部64の長さ方向での割合は、特に限定されず、例えば、接合部64の長さ寸法は、第3部位44の長さ寸法の半分より大きくされていてもよいし、第3部位44の長さ寸法の1/4より小さくされていてもよい。
【0116】
次に、
図5には、本発明に係る医療用シャフトの第3実施形態として、高周波ニードル70が示されている。本実施形態においても、高周波ニードル70は、シャフト本体72の外周面が樹脂チューブ74で覆われた構造を有している。
【0117】
本実施形態のシャフト本体72は、ステンレス鋼等の金属で形成された中空又は中実のロッド状の部材とされており、小径部分76を構成する小径ロッド部78と大径部分80を構成する大径ロッド部82とを含んで構成されている。図示は省略するが、小径ロッド部78の先端(
図5中の右端)には先端チップ24が固定されるようになっており、シャフト本体72(小径ロッド部78及び大径ロッド部82)が導電体とされて先端チップ24(穿孔用頭部26)に電力が供給されることにより、体組織の焼灼が可能とされている。なお、シャフト本体72は、例えば小径ロッド部78及び/又は大径ロッド部82の外径寸法がある程度小さく設定されること等により、ある程度の可撓性を有していることが好ましい。また、以下の説明で示される図面では、シャフト本体72を外形で示す。
【0118】
大径ロッド部82及び小径ロッド部78は、それぞれ例えば円環形断面又は円形断面を有しており、略全長にわたって略一定の外径寸法を有している。大径ロッド部82の外径寸法は、小径ロッド部78の外径寸法よりも大きくされている。かかるシャフト本体72は、例えば大径ロッド部82の端部に対して小径ロッド部78を、レーザー溶接等により固定することで形成され得る。なお、例えばシャフト本体が前記実施形態のようにルーメン(内腔)を有するパイプ状である場合、略一定の外径寸法及び内径寸法を有する金属製の素管における軸方向一方の側の部分に対して径方向でかしめ加工(縮径加工)を施すことにより、大径部分(大径パイプ)と小径部分(小径パイプ)とが相互に連結された状態で形成されるようになっていてもよい。
【0119】
これら小径部分76と大径部分80との間には、外径寸法が変化する変化部84が設けられている。本実施形態では、大径ロッド部82の端面に小径ロッド部78が直接的に接続されており、大径ロッド部82の端面において小径ロッド部78の周囲には軸方向に対して直交する方向に広がる環状の段差状面86が形成されている。それ故、かかる段差状面86を含んで、小径部分76と大径部分80との間において外径寸法が段差状に変化する段差状部分88が構成されており、変化部84が段差状部分88を有している。
【0120】
シャフト本体72の外周面を覆う樹脂チューブ74は、前記第1及び第2実施形態と同様に、小径部分76を覆う第1部位90と、大径部分80を覆う第2部位92とが、略同じ厚さとされている。また、樹脂チューブ74は、変化部84である段差状部分88を覆う第3部位94が、第1部位90及び/又は第2部位92に比して厚肉とされた接合部96を有している。即ち、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100との何れかよりも厚さ寸法が大きい接合部96が、シャフト本体72の大径部分80の端部よりも変化部84が位置する小径部分76側に位置している。本実施形態では、第3部位94(接合部96)の厚さ寸法が互いに略同じ厚さ寸法とされた小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100の何れの厚さ寸法よりも大きくされていると共に、接合部96がシャフト本体72における小径部分76の段差状部分88側の端部を覆う位置に設けられている。
【0121】
シャフト本体72の表面が樹脂チューブ74によって被覆された高周波ニードル70は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
【0122】
先ず、小径部分76と大径部分80と変化部84(段差状部分88)とを備えたシャフト本体72を準備する工程を実施する。なお、シャフト本体72の形成方法は限定されるものではない。
【0123】
次に、準備したシャフト本体72に小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100とを外挿する工程を実施する。即ち、小径側熱収縮チューブ98をシャフト本体72の小径部分76に外挿し、且つ大径側熱収縮チューブ100をシャフト本体72の大径部分80に外挿する。また、大径側熱収縮チューブ100を、シャフト本体72の大径部分80から変化部84側に延び出させて、シャフト本体72の大径部分80よりも変化部84側において小径側熱収縮チューブ98にオーバーラップさせて配置する。要するに、大径側熱収縮チューブ100をシャフト本体72の大径部分80から段差状部分88を越えて延び出させて、小径部分76において小径側熱収縮チューブ98にオーバーラップさせて配置する。なお、例えば小径側熱収縮チューブ98の内径寸法は、シャフト本体72における大径部分80の外径寸法よりも小さくされており、小径側熱収縮チューブ98は、端部がシャフト本体72における段差状面86に突き当たるようにして、小径部分76に外挿され得る。
【0124】
具体的には、
図6Aに示すように、シャフト本体72に外挿された小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100は、シャフト本体72の大径部分80の端部よりも変化部84が位置する小径部分76側の外周において径方向の投影で重なり合うオーバーラップ状態とされる。即ち、小径側熱収縮チューブ98の基端が大径側熱収縮チューブ100の先端よりも基端側に位置しており、小径側熱収縮チューブ98の基端部が大径側熱収縮チューブ100の先端部の内周へ差し入れられて、オーバーラップ部分102が設けられている。本実施形態では、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100のオーバーラップ部分102が、変化部84(段差状部分88)から先端方向に向かってある程度の軸方向寸法をもって連続的に設定されている。
【0125】
次に、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100を加熱によって収縮させる1次加熱処理を行う工程を実施する。なお、これら小径側熱収縮チューブ98及び大径側熱収縮チューブ100は、前記第1及び第2実施形態と同様に、加熱装置54によって加熱され得る。そして、加熱装置54によって温められた小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100は、熱収縮して小径となることにより、
図6Bに示すように、シャフト本体72の表面にそれぞれ接近する。例えば、1次加熱処理によって、小径側熱収縮チューブ98がシャフト本体72の小径部分76に密着すると共に、大径側熱収縮チューブ100がシャフト本体72の大径部分80に密着して、それら小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100がシャフト本体72に対して位置決めされる。小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100とは、オーバーラップ部分102において径方向で相互に離隔している。
【0126】
1次加熱処理の完了後に、
図6Bに示すように、シャフト本体72を覆う小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100に対して、成形用熱収縮チューブ104を外挿状態で配置する工程を実施する。この成形用熱収縮チューブ104は、シャフト本体72の変化部84(段差状部分88)に外挿されていると共に、変化部84(段差状部分88)よりも先端側と基端側の両側へそれぞれ延び出しており、小径部分76の基端部と大径部分80の先端部にも外挿されている。本実施形態では、成形用熱収縮チューブ104が、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100とのオーバーラップ部分102よりも大きい軸方向寸法を有しており、オーバーラップ部分102の全体が、成形用熱収縮チューブ104によって覆われている。
【0127】
次に、小径側熱収縮チューブ98及び大径側熱収縮チューブ100と成形用熱収縮チューブ104を加熱装置54によって1次加熱処理よりも更に高温まで加熱する2次加熱処理を行う工程を実施する。2次加熱処理によって、
図6Cに示すように、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100のオーバーラップ部分102が溶融して融合一体化することにより接合部96が形成されると共に、接合部96がシャフト本体72における小径部分76の段差状部分88側の端部の表面を覆って密着する。これにより、シャフト本体72の表面を被覆する樹脂チューブ74が、一体化した小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100とによって構成される。
【0128】
また、2次加熱処理によって熱収縮した成形用熱収縮チューブ104は、
図6Cに示すように、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100のオーバーラップ部分102に対して、外周側から押し当てられる。成形用熱収縮チューブ104は、変化部84(段差状部分88)よりも先端側及び基端側まで延び出していることから、小径部分76の基端部及び大径部分80の先端部まで覆うように、シャフト本体72に密着している。本実施形態では、成形用熱収縮チューブ104が、オーバーラップ部分102の全体を覆うように設けられていることから、オーバーラップ部分102の全体が、成形用熱収縮チューブ104の当接によって形状を保持されながら融合一体化して、所定の形状に成形される。
【0129】
2次加熱処理の完了後に、成形用熱収縮チューブ104を樹脂チューブ74の表面から取り除く工程を実施する。これにより、シャフト本体72の表面が樹脂チューブ74で被覆された高周波ニードル70を得ることができる。
【0130】
以上の如き構造とされた本実施形態の高周波ニードル70においても、小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100を重ね合わせて接合することにより形成される接合部96が、シャフト本体72の大径部分80の端部よりも変化部84が位置する小径部分76側に設けられることから、接合部96が形成されることによる大径化が抑制されて、前記第1及び第2実施形態と同様の効果が発揮され得る。特に、本実施形態のように、小径部分76と大径部分80との間に段差状の変化部84(段差状部分88)が設けられる場合にも、樹脂チューブ74の外周面において小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100が滑らかに接続される。これにより、高周波ニードル70がダイレータ等に挿通された場合にも、高周波ニードル70が引っ掛かるおそれが低減され得る。
【0131】
次に、
図7には、本発明に係る医療用シャフトの第4実施形態として、高周波ニードル110が示されている。また、
図8には、本発明に係る医療用シャフトの第5実施形態として、高周波ニードル112が示されている。これらは何れも、第3実施形態の医療用シャフト(高周波ニードル70)において、シャフト本体72における大径部分80の段差状部分88側の端部の外周角部が面取り形状とされているものであり、
図7に示される高周波ニードル110では外周角部がC面状に面取りされていると共に、
図8に示される高周波ニードル112では外周角部がR面状に面取りされている。
【0132】
それ故、第4実施形態における高周波ニードル110では、大径部分80の段差状部分113側の端部の外周端において、先端側(小径部分76側)に向かって次第に小径となる環状のテーパ面114が設けられており、段差状面86の外周端部からテーパ面114が基端側に連続して設けられている。この場合、段差状面86に加えてテーパ面114を含んで変化部116(段差状部分113)が構成されており、テーパ面114の基端部(テーパ面114の外周端部であって、
図7中の点P1)をシャフト本体72における大径部分80の端部と把握することができる。そして、かかる変化部116(テーパ面114及び段差状面86)を覆うように小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100との何れよりも厚さ寸法が大きい接合部118が設けられており、当該接合部118が、シャフト本体72の大径部分80の端部(P1)よりも変化部116が位置する小径部分76側に位置している。
【0133】
同様に、第5実施形態における高周波ニードル112では、大径部分80の段差状部分119側の端部の外周端において、先端側(小径部分76側)に向かって次第に小径となる環状の湾曲面120が設けられており、段差状面86の外周端部から湾曲面120が基端側に連続して設けられている。この場合、段差状面86に加えて湾曲面120を含んで変化部122(段差状部分119)が構成されており、湾曲面120の基端部(湾曲面120の外周端部であって、
図8中の点P2)をシャフト本体72における大径部分80の端部と把握することができる。そして、かかる変化部122(湾曲面120及び段差状面86)を覆うように小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100との何れよりも厚さ寸法が大きい接合部124が設けられており、当該接合部124が、シャフト本体72の大径部分80の端部(P2)よりも変化部122が位置する小径部分76側に位置している。
【0134】
以上の如き構造とされた第4実施形態における高周波ニードル110及び第5実施形態における高周波ニードル112は、第3実施形態における高周波ニードル70において、単に大径部分80における段差状部分88側の端部の外周角部を面取り形状としたものであることから、第3実施形態における高周波ニードル70と同様の効果が発揮され得る。特に、大径部分80における段差状部分88側の端部の外周角部を面取り形状とすることで、当該外周角部における角張りをなくすことができると共に、接合部118,124をより肉厚とできて、例えば当該外周角部の角張りがダイレータ等に挿通された際に引っ掛かったり、高周波ニードル110,112を曲げた際に当該外周角部が樹脂チューブ74を突き破って突出する等のおそれが低減され得る。なお、第4実施形態における高周波ニードル110及び第5実施形態における高周波ニードル112は、第3実施形態における高周波ニードル70と同様の製造方法によって製造され得る。
【0135】
次に、
図9には、本発明に係る医療用シャフトの第6実施形態として、高周波ニードル130が示されている。この高周波ニードル130には、第3実施形態の医療用シャフト(高周波ニードル70)において、シャフト本体72における小径部分76の段差状部分88側の端部に、大径部分80よりも外径寸法の小さい中間リング132が外挿状態で取り付けられている。即ち、本実施形態では、小径部分76と大径部分80との間において外径寸法が変化する変化部134が、段差状面86に加えて中間リング132を含んで構成されており、小径部分76と大径部分80との間において外径寸法が複数の段差状に変化する段差状部分136を有している。特に、本実施形態では、中間リング132の基端側端面が段差状面86に当接しており、大径部分80と中間リング132との軸方向間に隙間が設けられないようになっている。
【0136】
そして、かかる変化部134(段差状部分136)を覆うように小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100との何れかよりも厚さ寸法が大きい接合部138が設けられており、本実施形態では、接合部138の厚さ寸法が、互いに略同じ厚さ寸法とされた小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100の何れの厚さ寸法よりも大きくされている。また、当該接合部138が、シャフト本体72の大径部分80の端部よりも変化部134が位置する小径部分76側に位置している。これにより、中間リング132を含めてシャフト本体72が樹脂チューブ74により被覆されている。
【0137】
それ故、本実施形態における高周波ニードル130においても、前記第3実施形態に記載の高周波ニードル70と同様の効果が発揮され得る。特に、小径部分76の外径寸法と大径部分80の外径寸法の差が比較的大きい場合にも、本実施形態のように小径部分76と大径部分80との中間の大きさの外径寸法を有する中間リング132を設けることで、変化部134として、外径寸法が複数段階で変化する段差状部分136を構成することができる。これにより、樹脂チューブ74の外径寸法が、小径部分76と大径部分80との間で急激に変化することが回避されて、樹脂チューブ74の外周面において小径側熱収縮チューブ98と大径側熱収縮チューブ100とを比較的緩やかに接続することができたり、樹脂チューブ74の厚さ寸法が局所的に小さくなることが防止される。この結果、高周波ニードル130がダイレータ等に挿通された際にも、段差状部分136を備えることによる高周波ニードル130のダイレータ等への引っ掛かりが回避され得る。
【0138】
なお、本実施形態の高周波ニードル130も基本的には、第3実施形態の高周波ニードル70と同様の製造方法によって製造され得るが、例えば小径側熱収縮チューブ98を小径部分76に外挿する際に、小径側熱収縮チューブ98は、小径部分76に加えて中間リング132にも外挿されてもよい。或いは、小径側熱収縮チューブ98は、小径部分76における中間リング132よりも先端側に外挿されて、小径側熱収縮チューブ98の基端側端面が中間リング132の先端側端面に当接するようになっていてもよい。何れの場合においても、大径側熱収縮チューブ100は、大径部分80に外挿される際に、大径部分80から変化部134側に延び出させられて、大径部分80よりも変化部134側において(例えば中間リング132の外周面や中間リング132よりも先端側に位置して外挿された)小径側熱収縮チューブ98の基端側部分にオーバーラップされた状態で配置される。
【0139】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、医療用シャフトの例として高周波ニードルを示し、通電時の絶縁被覆層として樹脂チューブを設ける態様について説明したが、樹脂チューブは、必ずしも絶縁被覆層を構成するものに限定されない。樹脂チューブは、例えば、シャフト本体の表面を保護する保護層として採用することもできる。また、医療用シャフトは、人体の施術に用いられるものに限定されず、例えば人間以外の動物の施術に用いられるものであってもよい。
【0140】
シャフト本体は、前記第1及び第2実施形態に示したシャフト本体12のような小径パイプ18と大径パイプ20とを組み合わせた構造に限定されず、例えば全体が1つの部材で構成されていてもよい。シャフト本体は、中実ロッド状であってもよいし、材質も限定されない。シャフト本体は、先端チップ24を備えた構造にも限定されない。
【0141】
前記第1及び第2実施形態では、シャフト本体12のテーパ状部分38が大径パイプ20の先端部分が小径パイプ18にレーザー溶接される際に溶融して形成される例を示したが、シャフト本体12のテーパ状部分38は、例えば、小径パイプ18と大径パイプ20の先端側とが蝋付けによって固定される場合に、大径パイプ20とは別の蝋材によって形成することもできる。
【0142】
前記第1実施形態において、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50とのオーバーラップ部分52によって形成される樹脂チューブ14の接合部46は、シャフト本体12のテーパ状部分38における長さ方向の両端を含んで、テーパ状部分38の全体を覆っていてもよいし、テーパ状部分38における長さ方向の何れか一端を含んで、テーパ状部分38を部分的に覆っていてもよい。また、かかるオーバーラップ部分52は、テーパ状部分38における長さ方向の両端から離れた中間部分に外挿状態で位置決めされて、テーパ状部分38の中間部分を覆うように樹脂チューブ14の接合部46を設けることもできる。樹脂チューブ14の接合部46を、シャフト本体12のテーパ状部分38の大径側端部から離れて設けることで、大径部分36の先端付近における大径化を回避できる。また、樹脂チューブ14の接合部46を、シャフト本体12のテーパ状部分38の小径側端部から離れて設けることで、小径部分34の基端付近における大径化を回避できる。
【0143】
前記実施形態では、1次加熱処理と2次加熱処理とによって、シャフト本体12,72を被覆する樹脂チューブ14,74が形成される製造方法について説明したが、例えば、シャフト本体12,72に小径側熱収縮チューブ48,98と大径側熱収縮チューブ50,100と成形用熱収縮チューブ56,104とを外挿状態でそれぞれ配して、一回の加熱処理によって樹脂チューブ14,74を形成してもよい。また、三回以上の加熱処理によって樹脂チューブ14,74を形成することもできる。
【0144】
前記実施形態では、小径側熱収縮チューブ48,98と大径側熱収縮チューブ50,100とがシャフト本体12,72の外周面に対して接着又は溶着されることなく嵌合固定されている例を示したが、小径側熱収縮チューブ48,98と大径側熱収縮チューブ50,100との少なくとも一方が、シャフト本体12,72の外周面に対して接着又は溶着されていてもよい。例えば、第1実施形態において、シャフト本体12の先端部分が湾曲形状とされる場合に、小径部分34及び/又はテーパ状部分38とその近傍において、小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50の少なくとも一方がシャフト本体12に接着又は溶着される。これによれば、シャフト本体12の先端部分を湾曲させる際に、熱収縮チューブ48(50)がシャフト本体12に対してずれるのをより有利に防ぐことができる。
【0145】
また、前記第1実施形態において、成形用熱収縮チューブ56は、テーパ状部分38を被覆する特に熱収縮チューブ48,50のオーバーラップ部分52の形状をコントロールするものであることから、シャフト本体12の小径部分34や大径部分36への外挿部位では成形用熱収縮チューブ56を充分に熱収縮させる必要はない。また、熱収縮チューブ48,50の材質や加熱条件、シャフト本体12のテーパ状部分38の傾斜角度などによっては、成形用熱収縮チューブ56を用いることなく、接合部46を加熱収縮成形することも可能である。或いは、接合部46の加熱収縮成形に際して、成形用熱収縮チューブに代えて、縮径可能な絞り成形型などを用いることも可能である。これは、前記第2~第6実施形態においても同様である。
【0146】
また、シャフト本体の変化部の具体的な形状は前述の各実施形態によって限定的に解釈されるものではない。例えば、前記第4及び第5実施形態では、シャフト本体72の段差状面86の外周側(大径側)の凸角部が面取り形状(テーパ面114又は湾曲面120)とされていたが、それに加えて又は代えて、段差状面86の内周側(小径側)の凹角部を面取り形状としてもよい。即ち、小径部分における基端において、基端側(段差状面86側)になるにつれて外周側に広がるテーパ面又は湾曲面を設けることも可能である。更に、第4及び第5実施形態における面取り形状(テーパ面114又は湾曲面120)に加えて、第6実施形態の中間リング132を採用することも可能であり、また、複数段階で外径寸法が変化する中間リングや外径寸法がテーパ状に変化する単一又は複数の中間リングなども採用することができる。なお、前記第6実施形態において、中間リング132は、小径部分76の段差状部分88側の端部に外挿状態で取り付けられていたが、中間リングは大径部分に対して軸方向で僅かに離隔した位置に設けられてもよく、中間リングの基端側端面と段差状面とは当接していなくてもよい。
【0147】
さらに、例えば前記第1実施形態では、1次加熱処理前において小径側熱収縮チューブ48が小径部分34からテーパ状部分38にかけて外挿されて設けられると共に、大径側熱収縮チューブ50が大径部分36からテーパ状部分38にかけて外挿されて設けられており、これら小径側熱収縮チューブ48と大径側熱収縮チューブ50がテーパ状部分38で重ね合わされていたが、この態様に限定されるものではない。例えば1次加熱処理前において、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブとの中間の径寸法を有する中間チューブを採用して、かかる中間チューブを含めて小径側熱収縮チューブ又は大径側熱収縮チューブを構成してもよい。かかる中間チューブは、テーパ状部分38に配設し、軸方向一方の端部において大径側熱収縮チューブと重なり合って一体的に熱溶着されると共に、軸方向他方の端部において小径側熱収縮チューブと重なり合って一体的に熱溶着されることとなり、このような態様によれば、例えばテーパ状部分38における径寸法変化量が大きかったり軸方向長さが長かった場合にも有利に対処することが可能になる。
【0148】
すなわち、本発明に係る小径側熱収縮チューブ及び/又は大径側熱収縮チューブはそれぞれ単一のチューブである必要はなく、それぞれ小径部分又は大径部分を覆うチューブと変化部を覆うチューブとの2つ或いはそれ以上の径寸法の異なるチューブを含んで構成されてもよい。
【0149】
更にまた、前記実施形態では、接合部46,64,96,118,124,138の厚さ寸法が、小径側熱収縮チューブ48,98及び大径側熱収縮チューブ50,100のそれぞれの厚さ寸法より大きくされていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、小径側熱収縮チューブと大径側熱収縮チューブは互いに厚さ寸法が異なっていてもよい。特に、
図6Aのように変化部が段差状部分により構成された場合であって、大径側熱収縮チューブ(例えば
図6A中の大径側熱収縮チューブ100)が小径側熱収縮チューブ(例えば
図6A中の小径側熱収縮チューブ98)よりも厚さ寸法が大きい場合には、段差状部分の段差高さにもよるが、接合部(例えば
図6C中の接合部96)の厚さ寸法は、小径側熱収縮チューブの厚さ寸法より大きくされるが、大径側熱収縮チューブの溶け流れ等に伴って、当該大径側熱収縮チューブの厚さ寸法より小さくなることも想定される。
【符号の説明】
【0150】
10 高周波ニードル(医療用シャフト 第1実施形態)
12 シャフト本体
14 樹脂チューブ
16 ルーメン
18 小径パイプ
20 大径パイプ
22 サイドホール
24 先端チップ
26 穿孔用頭部
28 接続部分
30 貫通孔
32 先細部
34 小径部分
36 大径部分
37 変化部
38 テーパ状部分
40 第1部位
42 第2部位
44 第3部位
46 接合部
48 小径側熱収縮チューブ
50 大径側熱収縮チューブ
52 オーバーラップ部分
54 加熱装置
56 成形用熱収縮チューブ
60 高周波ニードル(医療用シャフト 第2実施形態)
62 樹脂チューブ
64 接合部
66 オーバーラップ部分
70 高周波ニードル(医療用シャフト 第3実施形態)
72 シャフト本体
74 樹脂チューブ
76 小径部分
78 小径ロッド部
80 大径部分
82 大径ロッド部
84 変化部
86 段差状面
88 段差状部分
90 第1部位
92 第2部位
94 第3部位
96 接合部
98 小径側熱収縮チューブ
100 大径側熱収縮チューブ
102 オーバーラップ部分
104 成形用熱収縮チューブ
110 高周波ニードル(医療用シャフト 第4実施形態)
112 高周波ニードル(医療用シャフト 第5実施形態)
113 段差状部分
114 テーパ面
116 変化部
118 接合部
119 段差状部分
120 湾曲面
122 変化部
124 接合部
130 高周波ニードル(医療用シャフト 第6実施形態)
132 中間リング
134 変化部
136 段差状部分
138 接合部