(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062371
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ナノ粒子の調製
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240430BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20240430BHJP
B01J 2/10 20060101ALI20240430BHJP
B01F 33/301 20220101ALI20240430BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20240430BHJP
B01F 33/81 20220101ALI20240430BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20240430BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20240430BHJP
B01F 35/81 20220101ALI20240430BHJP
C12N 15/88 20060101ALN20240430BHJP
【FI】
C12M1/00 A
B01J2/00 A
B01J2/10 A
B01F33/301
B01F23/45
B01F33/81
B01F35/90
B01F35/221
B01F35/81
C12N15/88 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093022
(22)【出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】202211303843.X
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】17/973,656
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523159568
【氏名又は名称】ベイジン ジータイ ファーマシューティカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523159579
【氏名又は名称】ハンチョウ ジータイ ファーマシューティカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】リウ, アンドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジァン, ティエン
(72)【発明者】
【氏名】ライ, ツァイダー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウェンショウ
【テーマコード(参考)】
4B029
4G004
4G035
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4B029FA15
4G004AA01
4G004GA00
4G035AB37
4G035AE02
4G035AE13
4G035AE15
4G036AC70
4G037BA01
4G037BD05
4G037BE05
4G037CA18
4G037EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ナノ粒子の調製方法をスクリーニングするための、高フラックスのナノ粒子調製システム及び方法を提供する。
【解決手段】ナノ粒子調製システム、システム制御方法、電子機器、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体、及び調製方法を提供する。前記システムは、混合素子と、第1の液体吸引装置5と、第2の液体吸引装置6とを含む。混合素子は、互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネル101を有する。第1の液体吸引装置は、第1の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引管51を有する。第2の液体吸引装置は、第2の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引管61を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する混合素子と、
第1の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引管を有する第1の液体吸引装置と、
第2の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引管を有する第2の液体吸引装置と、を含む、ナノ粒子調製システム。
【請求項2】
第1の液体吸引装置は、前記複数の第1の液体吸引管にそれぞれ接続され、且つ対応する第1の液体吸引管を介して対応する混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引ポンプをさらに含み、
第2の液体吸引装置は、前記複数の第2の液体吸引管にそれぞれ接続され、且つ対応する第2の液体吸引管を介して対応する混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引ポンプをさらに含む、請求項1に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項3】
第1の調製溶液を貯蔵するために、第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する、第1の調製溶液リザーバと、
第2の調製溶液を貯蔵するために、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する、第2の調製溶液リザーバと、をさらに含み、
前記複数の第1の液体吸引管は、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力するように、第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動可能であり、
前記複数の第2の液体吸引管は、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力するように、第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動可能である、請求項1または2に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項4】
前記第1の方向は前記第2の方向と同じであり、前記第3の方向は前記第4の方向と同じであり、
前記複数の第1の液体吸引管と前記複数の第2の液体吸引管とは、第3の方向と第4の方向とに同期移動するように構成されている、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項5】
前記複数の第1の液体吸引管の数と、前記第1の方向における第1の溶液収容孔の数とは、前記複数の混合チャネルの数と同じであり、且つ、
前記複数の第2の液体吸引管の数と、前記第2の方向における第2の溶液収容孔の数とは、前記複数の混合チャネルの数と同じである、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項6】
第5の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を前記混合チャネルの外へ導くように構成される複数の液体排出管を有する、液体排出装置をさらに含む、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項7】
第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する製品リザーバをさらに含み、
前記液体排出装置は、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔へ順次に導くように、製品リザーバに対して第6の方向に移動可能である、請求項6に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項8】
洗浄液を貯蔵するための第1の洗浄液リザーバと、
洗浄液を貯蔵するための第2の洗浄液リザーバと、をさらに含み、
前記第1の洗浄液リザーバは、前記複数の第1の液体吸引管が第3の方向に移動して第1の洗浄液リザーバと連通することができるように、第3の方向に沿って前記第1の調製溶液リザーバの一側に設けられ、よって、第1の入口を介して複数の混合チャネルにそれぞれ洗浄液を入力し、
前記第2の洗浄液リザーバは、前記複数の第2の液体吸引管が第4の方向に移動して第2の洗浄液リザーバと連通することができるように、第4の方向に沿って前記第2の調製溶液リザーバの一側に設けられ、よって、第2の入口を介して複数の混合チャネルにそれぞれ洗浄液を入力する、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項9】
前記複数の第1の液体吸引管は、第1の調製溶液リザーバに対して垂直方向に移動可能であり、
前記複数の第2の液体吸引管は、第2の調製溶液リザーバに対して垂直方向に移動可能であり、
前記垂直方向は、第1の方向~第4の方向に垂直となる、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項10】
前記混合素子は、少なくとも1つのマイクロ流体チップを含み、前記複数の混合チャネルは、前記少なくとも1つのマイクロ流体チップ内に設けられる、請求項1に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項11】
第1の調製溶液リザーバは、第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更するように構成された第1の温度制御デバイスをさらに含み、且つ、
第2の調製溶液リザーバは、第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更するように構成された第2の温度制御デバイスをさらに含む、請求項3に記載のナノ粒子調製システム。
【請求項12】
ナノ粒子調製システムの制御方法であって、
前記ナノ粒子調製システムは、
互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する混合素子と、
第1の方向に並んで配置された複数の第1の液体吸引管を有する第1の液体吸引装置と、
第2の方向に並んで配置された複数の第2の液体吸引管を有する第2の液体吸引装置と、を含み、
前記制御方法は、
制御条件を取得することと、
制御条件によって入力操作を実行することと、を含み、制御条件によって入力操作を実行することは、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力することと、を含む、ナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項13】
前記ナノ粒子調製システムは、
第1の調製溶液を貯蔵するために、第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する、第1の調製溶液リザーバと、
第2の調製溶液を貯蔵するために、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する、第2の調製溶液リザーバと、をさらに含み、
前記入力操作は、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御して第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動し、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御して第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動し、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、を含む、請求項12に記載のナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子調製システムは、
第5の方向に並んで配置された複数の液体排出管を有する液体排出装置と、
第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する製品リザーバと、をさらに含み、
前記制御方法は、出力操作を実行することをさらに含み、前記出力操作は、
液体排出装置の複数の液体排出管を制御して製品リザーバに対して第6の方向に移動し、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔内へ順次に導くことを含む、請求項13に記載のナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項15】
前記ナノ粒子調製システムは、
洗浄液を貯蔵するための第1の洗浄液リザーバであって、第3の方向に沿って前記第1の調製溶液リザーバの一側に設けられる第1の洗浄液リザーバと、
洗浄液を貯蔵するための第2の洗浄液リザーバであって、第4の方向に沿って前記第2の調製溶液リザーバの一側に設けられる第2の洗浄液リザーバと、をさらに含み、
前記制御方法は、洗浄操作を実行することをさらに含み、前記洗浄操作は、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御して第3の方向に第1の洗浄液リザーバまで移動し、第1の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御して第4の方向に第2の洗浄液リザーバまで移動し、第2の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、を含み、
前記洗浄操作は、各入力操作の後に行われる、請求項13または14に記載のナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項16】
前記制御条件は、第1の調製溶液と第2の調製溶液の混合速度と混合比を含み、
前記制御方法は、
前記混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量とを決定することを含み、
前記入力操作においては、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して第1の流量で前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力し、且つ、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して第2の流量で前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力する、請求項12~14のいずれか一項に記載のナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項17】
前記制御条件は調製温度をさらに含み、
前記制御方法は、
調製温度によって、前記第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを制御して第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更することと、
調製温度によって、前記第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを制御して第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することと、を含む、請求項13または14に記載のナノ粒子調製システムの制御方法。
【請求項18】
プロセッサと、
命令を記憶するメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるときに、請求項12~14のいずれか一項に記載のナノ粒子調製システムの制御方法を前記プロセッサに実行させるメモリと、を含む電子機器。
【請求項19】
1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記コンピューティングデバイスは前記命令を実行し、請求項12~14のいずれか一項に記載の粒子調製システムの制御方法を前記コンピューティングデバイスに実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項20】
ナノ粒子調製システムを用いてナノ粒子を調製する方法であって、
互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する混合素子を提供するステップと、
第1の方向に並んで配置された複数の第1の液体吸引管を有する第1の液体吸引装置を提供するステップと、
第2の方向に並んで配置された複数の第2の液体吸引管を有する第2の液体吸引装置を提供するステップと、
制御条件によって入力操作を実行するステップと、を含み、前記入力操作は、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力することと、を含む、方法。
【請求項21】
第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する第1の調製溶液リザーバを提供することと、
第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する第2の調製溶液リザーバを提供することと、をさらに含み、
前記入力操作は、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いて第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動し、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いて第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動し、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記制御条件は、第1の調製溶液と第2の調製溶液の混合速度と混合比を含み、
前記方法は、
前記混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量と、を決定することを含み、
前記入力操作においては、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して第1の流量で前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力し、且つ、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して第2の流量で前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記制御条件は調製温度をさらに含み、
前記方法は、
前記第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを用いて第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更することと、
第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを用いて第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第5の方向に並んで配置された複数の液体排出管を有する液体排出装置を提供することと、
第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する製品リザーバを提供することと、
出力操作を実行することと、をさらに含み、前記出力操作は、
液体排出装置の複数の液体排出管を用いて製品リザーバに対して第6の方向に移動し、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔内へ順次に導くことを含む、請求項21または23に記載の方法。
【請求項25】
第1の洗浄液リザーバを第1の方向に沿って前記第1の調製溶液リザーバの一側に提供し、前記第1の洗浄液リザーバが洗浄液を貯蔵することと、
第2の洗浄液リザーバを第1の方向に沿って前記第2の調製溶液リザーバの一側に提供し、前記第2の洗浄液リザーバが洗浄液を貯蔵することと、
洗浄操作を実行することと、をさらに含み、前記洗浄操作は、
第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を、第1の調製溶液リザーバと第1の洗浄液リザーバに対して第3の方向に第1の洗浄液リザーバまで移動させ、第1の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、
第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を、第2の調製溶液リザーバと第2の洗浄液リザーバに対して第4の方向に第2の洗浄液リザーバまで移動させ、第2の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、を含み、
前記洗浄操作は、各入力操作の後に行われる、請求項21または23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、ナノ粒子調製システム、ナノ粒子調製システムの制御方法、電子機器、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体、及びナノ粒子調製システムを用いてナノ粒子を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間は遺伝子分野に対する研究が次第に深くなり、核酸薬物(DNA、RNA、遺伝子編集ツールなどを含む)が急速に発展した。現在、化学材料を担体として核酸薬物を封入してナノ粒子を形成することは、薬物研究開発および薬物臨床において非常に幅広く応用される。
【0003】
如何にしてサイズが制御可能で、大きさが均一で、形態が規則的で、薬量が高く、安定で、かつ異なるバッチ間の差異が小さいナノ粒子を生産するかは、調製するプロセスパラメーターに大きく依存する。ナノ粒子は、多くの場合、多種の成分によって構成され、ナノ材料自体の多様な種類に加えて、多種の補助的な成分の種類および添加比率によって、ナノ粒子の組み合わせが非常に多くの可能性を有する。4種類の成分を含むナノ製剤を例にすると、成分濃度を調整して1mol%を増量(increment)とすると、4種類の脂質分子(A、B、C、D)の成分が変わらず、A%、B%、C%、D%はすべて整数で、A mol%+B mol%+C mol%+D mol%=100%であると仮定した場合、合計7153種類の組み合わせがある。その中のいずれか1種類の成分(Aであると仮定した場合、100種類の候補分子がある)を同時にスクリーニングすれば、105種類の組み合わせがある。その他にも、例えば窒素・リン比、化学材料の濃度、薬物の濃度、使用する緩衝液の酸塩基性及びイオン強度などの変化は、いずれもナノ粒子の有効性及び標的性に直接影響を与えているので、スクリーニングも必要である。このようなスクリーニングの数は非常に多く、明らかに高フラックス法によるスクリーニングが必要である。
【0004】
したがって、ナノ粒子の調合方法をスクリーニングするための要件を満たすためには、高フラックスのナノ粒子調製システムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施例は、混合素子と、第1の液体吸引装置と、第2の液体吸引装置とを含むナノ粒子調製システムを提供する。混合素子は、互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する。第1の液体吸引装置は、第1の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引管を有する。第2の液体吸引装置は、第2の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引管を有する。
【0006】
例えば、いくつかの実施例において、第1の液体吸引装置は、複数の第1の液体吸引管にそれぞれ接続され、且つ対応する第1の液体吸引管を介して対応する混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引ポンプをさらに含む。第2の液体吸引装置は、複数の第2の液体吸引管にそれぞれ接続され、且つ対応する第2の液体吸引管を介して対応する混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引ポンプをさらに含む。
【0007】
例えば、いくつかの実施例において、ナノ粒子調製システムは、第1の調製溶液リザーバと第2の調製溶液リザーバとを更に含む。第1の調製溶液リザーバは、第1の調製溶液を貯蔵するために、第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する。第2の調製溶液リザーバは、第2の調製溶液を貯蔵するために、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する。複数の第1の液体吸引管は、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力するように、第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動可能である。複数の第2の液体吸引管は、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力するように、第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動可能である。
【0008】
例えば、いくつかの実施例において、第1の方向は第2の方向と同じであり、第3の方向は第4の方向と同じである。複数の第1の液体吸引管と複数の第2の液体吸引管とは、第3の方向と第4の方向とに同期移動するように構成されている。
【0009】
例えば、いくつかの実施例において、複数の第1の液体吸引管の数と、第1の方向における第1の溶液収容孔の数とは、複数の混合チャネルの数と同じであり、且つ、複数の第2の液体吸引管の数と、第2の方向における第2の溶液収容孔の数とは、複数の混合チャネルの数と同じである。
【0010】
例えば、いくつかの実施例において、このナノ粒子調製システムは、複数の液体排出管を有する液体排出装置をさらに含む。複数の液体排出管は、第5の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を混合チャネルの外へ導くように構成される。
【0011】
例えば、いくつかの実施例において、このナノ粒子調製システムは、第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する製品リザーバをさらに含む。液体排出装置は、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔へ順次に導くように、製品リザーバに対して第6の方向に移動可能である。
【0012】
例えば、いくつかの実施例において、このナノ粒子調製システムは、洗浄液を貯蔵するための第1の洗浄液リザーバと、洗浄液を貯蔵するための第2の洗浄液リザーバとをさらに含む。第1の洗浄液リザーバは、複数の第1の液体吸引管が第3の方向に移動して第1の洗浄液リザーバと連通することができるように、第3の方向に沿って第1の調製溶液リザーバの一側に設けられ、よって、第1の入口を介して複数の混合チャネルにそれぞれ洗浄液を入力する。第2の洗浄液リザーバは、複数の第2の液体吸引管が第4の方向に移動して第2の洗浄液リザーバと連通することができるように、第4の方向に沿って第2の調製溶液リザーバの一側に設けられ、よって、第2の入口を介して複数の混合チャネルにそれぞれ洗浄液を入力する。
【0013】
例えば、いくつかの実施例において、複数の第1の液体吸引管は、第1の調製溶液リザーバに対して垂直方向に移動可能である。複数の第2の液体吸引管は、第2の調製溶液リザーバに対して垂直方向に移動可能である。垂直方向は、第1の方向~第4の方向に垂直となる。
【0014】
例えば、いくつかの実施例において、混合素子は、少なくとも1つのマイクロ流体チップを含み、複数の混合チャネルは、少なくとも1つのマイクロ流体チップ内に設けられる。
【0015】
例えば、いくつかの実施例において、第1の調製溶液リザーバは、第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更するように構成された第1の温度制御デバイスをさらに含む。第2の調製溶液リザーバは、第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更するように構成された第2の温度制御デバイスをさらに含む。
【0016】
本開示の少なくとも1つの実施例は、混合素子と、第1の液体吸引装置と、第2の液体吸引装置とを含むナノ粒子調製システムの制御方法を提供する。混合素子は、互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する。第1の液体吸引装置は、第1の方向に並んで配置された複数の第1の液体吸引管を有する。第2の液体吸引装置は、第2の方向に並んで配置された複数の第2の液体吸引管を有する。制御方法は、制御条件を取得することと、制御条件によって入力操作を実行することとを含む。入力操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して混合チャネルに第1の調製溶液を入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して混合チャネルに第2の調製溶液を入力することとを含む。
【0017】
例えば、いくつかの実施例において、ナノ粒子調製システムは、第1の調製溶液リザーバと第2の調製溶液リザーバとをさらに含む。第1の調製溶液リザーバは、第1の調製溶液を貯蔵するために、第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する。第2の調製溶液リザーバは、第2の調製溶液を貯蔵するために、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する。入力操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御して第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動し、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御して第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動し、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、を含む。
【0018】
例えば、いくつかの実施例において、ナノ粒子調製システムは、液体排出装置と製品リザーバとをさらに含む。液体排出装置は、第5の方向に並んで配置された複数の液体排出管を有する。製品リザーバは、第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する。制御方法は、出力操作を実行することをさらに含む。出力操作は、液体排出装置の複数の液体排出管を制御して製品リザーバに対して第6の方向に移動し、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔内へ順次に導くことを含む。
【0019】
例えば、いくつかの実施例において、ナノ粒子調製システムは、洗浄液を貯蔵するための第1の洗浄液リザーバと、洗浄液を貯蔵するための第2の洗浄液リザーバとをさらに含む。第1の洗浄液リザーバは、第3の方向に沿って第1の調製溶液リザーバの一側に設けられる。第2の洗浄液リザーバは、第4の方向に沿って第2の調製溶液リザーバの一側に設けられる。制御方法は、洗浄操作を実行することをさらに含む。洗浄操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御して第3の方向に第1の洗浄液リザーバまで移動し、第1の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御して第4の方向に第2の洗浄液リザーバまで移動し、第2の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することとを含む。洗浄操作は、各入力操作の後に行われる。
【0020】
例えば、いくつかの実施例において、制御条件は、第1の調製溶液と第2の調製溶液の混合速度と混合比を含む。制御方法は、混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量とを決定することを含む。入力操作においては、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して第1の流量で混合チャネルに第1の調製溶液を入力し、且つ、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を制御してそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して第2の流量で混合チャネルに第2の調製溶液を入力する。
【0021】
例えば、いくつかの実施例において、制御条件は調製温度をさらに含む。制御方法は、調製温度によって、第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを制御して第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更することと、調製温度によって、第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを制御して第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することとを含む。
【0022】
本開示の少なくとも1つの実施例は、プロセッサと、命令を記憶するメモリとを含む電子機器を提供し、命令は、プロセッサによって実行されるときに、上述したナノ粒子調製システムの制御方法をプロセッサに実行させる。
【0023】
本開示の少なくとも1つの実施例は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を提供し、コンピューティングデバイスは命令を実行し、上記のナノ粒子調製システムの制御方法をコンピューティングデバイスに実行させる。
【0024】
本開示の少なくとも1つの実施例は、互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する混合素子を提供するステップと、第1の方向に並んで配置された複数の第1の液体吸引管を有する第1の液体吸引装置を提供するステップと、第2の方向に並んで配置された複数の第2の液体吸引管を有する第2の液体吸引装置を提供するステップと、制御条件によって入力操作を行うステップとを含む、ナノ粒子調製システムを用いてナノ粒子を調製する方法を提供する。入力操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して混合チャネルに第1の調製溶液を入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して混合チャネルに第2の調製溶液を入力することとを含む。
【0025】
例えば、いくつかの実施例において、この方法は、第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔を有する第1の調製溶液リザーバを提供することと、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔を有する第2の調製溶液リザーバを提供することとをさらに含む。入力操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いて第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動し、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いて第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動し、第2の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネルに順次に入力することとを含む。
【0026】
例えば、いくつかの実施例において、制御条件は、第1の調製溶液と第2の調製溶液の混合速度と混合比を含む。この方法は、混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量とを決定することを含む。入力操作においては、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して第1の流量で混合チャネルに第1の調製溶液を入力し、且つ、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を用いてそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して第2の流量で混合チャネルに第2の調製溶液を入力する。
【0027】
例えば、いくつかの実施例において、制御条件は調製温度をさらに含む。この方法は、第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを用いて第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更することと、第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを用いて第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することとを含む。
【0028】
例えば、いくつかの実施例において、この方法は、第5の方向に並んで配置された複数の液体排出管を有する液体排出装置を提供することと、第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔を有する製品リザーバを提供することと、出力操作を実行することとをさらに含む。出力操作は、液体排出装置の複数の液体排出管を用いて製品リザーバに対して第6の方向に移動し、複数の混合チャネルの出口にあるナノ粒子製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔内へ順次に導くことを含む。
【0029】
例えば、いくつかの実施例において、この方法は、第1の洗浄液リザーバを第1の方向に沿って第1の調製溶液リザーバの一側に提供し、第1の洗浄液リザーバが洗浄液を貯蔵することと、第2の洗浄液リザーバを第1の方向に沿って第2の調製溶液リザーバの一側に提供し、第2の洗浄液リザーバが洗浄液を貯蔵することと、洗浄操作を実行することとをさらに含む。洗浄操作は、第1の液体吸引装置の複数の第1の液体吸引管を、第1の調製溶液リザーバと第1の洗浄液リザーバに対して第3の方向に第1の洗浄液リザーバまで移動させ、第1の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することと、第2の液体吸引装置の複数の第2の液体吸引管を、第2の調製溶液リザーバと第2の洗浄液リザーバに対して第4の方向に第2の洗浄液リザーバまで移動させ、第2の洗浄液リザーバにおける洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネルに入力することとを含む。洗浄操作は、各入力操作の後に行われる。
【0030】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例で必要となる図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の図面は本開示のいくつかの実施例のみを示すものので、範囲を限定するものと見なされるべきではなく、当業者にとっては、進歩性のある労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの平面模式図である。
【
図2】
図2は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおけるマイクロ流体チップと液体吸引装置および液体排出装置との接続を示す模式図である。
【
図3A】
図3Aは本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける混合チャネルの模式図である。
【
図3B】
図3Bは本開示の別の実施例に係るナノ粒子調製システムにおける混合チャネルの模式図である。
【
図4】
図4は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの側面模式図である。
【
図5】
図5は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける第1の液体吸引装置の局部拡大平面図である。
【
図6】
図6は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける第2の液体吸引装置の局部拡大平面図である。
【
図7】
図7は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける液体排出装置の局部拡大平面図である。
【
図8】
図8は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムのプラットホームの斜視図である。
【
図9】
図9は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの制御方法のフロー図である。
【
図10】
図10は本開示の1つの実施例に係る電子機器のハードウェア構成の模式図である。
【
図11】
図11は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子を調製する方法のフロー図である。
【
図12】
図12は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製されたサンプルのダエダラス体積収集精度(Volume Accuracy of Daedalus)の模式図である。
【
図13】
図13は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、siRNA(小干渉RNA)を封入するナノ粒子の粒径の大きさとポリマー分散指数の模式図である。
【
図14】
図14は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、siRNA(小干渉RNA)を封入するナノ粒子の封入効率の模式図である。
【
図15】
図15は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の粒径の大きさとポリマー分散指数の模式図である。
【
図16】
図16は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の封入効率の模式図である。
【
図17】
図17は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の生体内送達効率の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本開示の実施例に係るナノ粒子調製システム、ナノ粒子調製システムの制御方法、電子機器、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体、及びナノ粒子調製システムを用いてナノ粒子を調製する方法を詳しく説明する。本開示の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例における図面を結合し、本開示の実施例における技術案を明確で、完全に説明し、明らかに、説明する実施例は本開示の一部の実施例に過ぎなく、全ての実施例ではない。
【0033】
従って、図面を結合して提供される本開示の実施例の以下の詳細な説明は、保護を請求する本開示の範囲を制限することを意図したものではなく、本開示の選択された実施例のみを示すものである。本開示における実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労力を払わずに得られた他の全ての実施例は、本開示の保護範囲に属する。
【0034】
文脈によって他に定義されていない限り、単数形は複数形を含む。明細書全体において、「含む」、「有する」などの用語は、前記特徴、数、ステップ、操作、素子、部品またはその組み合わせの存在を特定するために使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、操作、素子、部品またはその組み合わせの存在または追加を除外するものではない。
【0035】
また、「第1」や「第2」のような順序的な用語を使って様々な部品を説明しても、これらの部品はこれらの用語によって制限されることはなく、これらの用語は1つの素子と他の素子を区別するためにのみ使用される。
【0036】
ナノ粒子調製システム
【0037】
本開示の少なくとも1つの実施例は、互いに独立し、且つ第1の入口と第2の入口と出口とをそれぞれ有する複数の混合チャネルを有する混合素子と、第1の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第1の入口を介して前記混合チャネルに第1の調製溶液を入力するように構成された複数の第1の液体吸引管を有する第1の液体吸引装置と、第2の方向に並んで配置され、且つそれぞれ各混合チャネルの第2の入口を介して前記混合チャネルに第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引管を有する第2の液体吸引装置と、を含む、ナノ粒子調製システムを提供する。
【0038】
化学担体を介して遺伝子を輸送する粒子のうち、外来核酸断片を内包する化学担体は、送達材料の単体分子からなる構造で、薬物を内包して保護し、10~1000ナノメートルの粒子に組み立てる。化学担体のサイズから分類すると、ナノレベルの粒子径の薬物システムはナノ薬物と呼ばれ、その種類には脂質ナノ粒子、リポソーム、高分子ナノ粒子、乳化剤、有機または無機ナノ粒子などがある。ナノ粒子を作る材料は、脂質、ポリマー、多糖類、無機粒子、界面活性剤など、多くの種類がある。
【0039】
ナノキャリアの効果を影響する要因は多いため、高フラックススクリーニングを行う必要がある。
【0040】
本開示の実施形態に係るナノ粒子調製システムは、ナノ粒子調製の高フラックススクリーニング及びナノ粒子調製に適用することができる。このナノ粒子調製システムは、高フラックスを有し、複数の混合チャネルを使用してナノ粒子を同時に調製することができる。また、このナノ粒子調製システムは、調製条件の精確な制御を図るために、各調製溶液の混合比と混合速度を精確に制御することができる。また、このナノ粒子調製システムは、ナノ粒子の安定した粒径と封入効率を提供することができる。
【0041】
図1は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの平面模式図であり、
図2は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおけるマイクロ流体チップと液体吸引装置および液体排出装置との接続を示す模式図であり、
図3Aと
図3Bは本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける混合チャネルの模式図であり、
図4は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの側面模式図である。
【0042】
図1~
図4に示すように、ナノ粒子調製システムは、混合素子であるマイクロ流体チップ1と、第1の液体吸引装置5と、第2の液体吸引装置6と、液体排出装置7と、第1の調製溶液リザーバである第1の入力ウェルプレート2と、第2の調製溶液リザーバである第2の入力ウェルプレート3と、製品リザーバである出力ウェルプレート4とを含む。
【0043】
図2~
図3Bに示すように、マイクロ流体チップ1は、互いに独立し、且つ2つの入口1011、1012と出口1013とをそれぞれ有する複数の混合チャネル101を有する。ここで、複数の混合チャネル101が互いに独立することは、複数の混合チャネル101間で流体連通がないことを指す。本例示において、複数の混合チャネル101が一体型のマイクロ流体チップ1に組み合わされている。ただし、他の例示において、複数の混合チャネル101は、同一のマイクロ流体チップに含まれなくてもよい。例えば、複数の混合チャネル101は、それぞれ別個のマイクロ流体チップに含もれてもよい。または、複数の混合チャネル101のうちのいくつかは、1つのマイクロ流体チップに含まれるが、他の混合チャネル101は、他の1つまたは複数の他のマイクロ流体チップに含まれる。本開示はこれに限定されるものではない。また、混合素子は、マイクロ流体チップに限定されず、混合チャネル101を含む他の形態の素子であってもよい。ここで、マイクロ流体チップは、ミクロンまたはナノメートルスケールのチャネルを含む素子を指す。
【0044】
各混合チャネル101の構造は、既存の単フラックス混合チャネル101を用いて実現することができる。
図3Aと
図3Bは本開示の異なる実施例に係る混合チャネル101の模式図を示す。
図3Aと
図3Bに示すように、各混合チャネル101は、2つの入口1011、1012と1つの出口1913とを含み、第1の入力ウェルプレート2に貯蔵された第1の調製溶液と、第2の入力ウェルプレート3に貯蔵された第2の調製溶液とは、それぞれ2つの入口1011、1012を介して混合チャネル101に入力可能である。第1の調製溶液と第2の調製溶液とを混合チャネル101内で混合することにより、ナノ粒子または他の製品を生成することができる。本例示において、混合チャネル101は、2つの入口1011、1012を有する。しかし、他の例示において、混合チャネル101は2つ以上の入口を有してもよいので、ナノ粒子または他の製品を調製するためにより多くの調製溶液を混合チャネル101に入力する。また、混合チャネル101は、1つ以上の出口1013を含んでもよい。本開示は、調製溶液を混合してナノ粒子又は他の製品を生成することができる限り、混合チャネル101の形状、配置等に限定されない。
【0045】
図5は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける第1の液体吸引装置5の局部拡大平面図であり、
図6は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける第2の液体吸引装置6の局部拡大平面図であり、
図7は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムにおける液体排出装置7の局部拡大平面図である。
【0046】
図2と
図4~
図7に示すように、第1の液体吸引装置5は、並んで配置された複数の第1の液体吸引管51を含み、第2の液体吸引装置6は、並んで配置された複数の第2の液体吸引管61を含み、液体排出装置7は、並んで配置された複数の液体排出管71を含む。複数の第1の液体吸引管51は、それぞれ各混合チャネル101の第1の入口1011を介して前記混合チャネル101に第1の調製溶液を入力する。複数の第2の液体吸引管61は、それぞれ各混合チャネル101の第2の入口1012を介して前記混合チャネル101に第2の調製溶液を入力する。複数の液体排出管71は、それぞれ各混合チャネル101の出口1013を介して、ナノ粒子製品を導いて混合チャネル101から流出する。また、第1の液体吸引装置5は、複数の第1の液体吸引管51にそれぞれ接続され、且つ対応する第1の液体吸引管51を介して対応する混合チャネル101に第1の調製溶液を入力する複数の第1の液体吸引ポンプ53をさらに含む。第2の液体吸引装置6は、複数の第2の液体吸引管61にそれぞれ接続され、且つ対応する第2の液体吸引管61を介して対応する混合チャネル101に第2の調製溶液を入力するように構成された複数の第2の液体吸引ポンプ63をさらに含む。
【0047】
第1の入力ウェルプレート2と第2の入力ウェルプレート3は、それぞれ96ウェルプレートまたは384ウェルプレートとしてもよい。標準的な96ウェルプレートまたは384ウェルプレートを採用することにより、調製システムの汎用性を向上させ、調製システムのコストを削減することができる。それに応じて、出力ウェルプレート4も96ウェルプレートまたは384ウェルプレートとしてもよい。
【0048】
複数の第1の液体吸引管51は、第1の方向に配置されていてもよい。第1の入力ウェルプレート2は、複数の第1の液体吸引管51の下方に配置されてもよく、且つ、第1の調製溶液を貯蔵するために、第1の方向及び第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔21を有するように配置されてもよい。第1の方向に配置された複数の第1の液体吸引管51の数は、第1の方向に配置された複数の第1の溶液収容孔21の数と同じであってもよく、また、混合チャネル101の数と同じであってもよい。従って、複数の液体吸引管51は、第1の方向に並んで配置された複数の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液を同時に吸引し、これらの第1の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力することができる。
図2に示すように、第1の入力管54は、第1の液体吸引管51と第1の液体吸引ポンプ53との間に接続され、第1の出力管55は、第1の液体吸引ポンプ53と混合チャネル101の第1の入口1011との間に接続されている。第1の液体吸引ポンプ53を起動して、第1の液体吸引管51と、第1の入力管54と、第1の液体吸引ポンプ53と、第1の出力管55とを介して、第1の溶液収容孔21から第1の調製溶液を所定の流量で混合チャネル101に入力する。
【0049】
複数の第2の液体吸引管61は、第2の方向に配置されていてもよい。第2の入力ウェルプレート3は、複数の第2の液体吸引管61の下方に配置されてもよく、且つ、第2の調製溶液を貯蔵するために、第2の方向及び第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔31を有するように配置されてもよい。第2の方向に配置された複数の第2の液体吸引管61の数は、第2の方向に配置された複数の第2の溶液収容孔31の数と同じであってもよく、また、混合チャネル101の数と同じであってもよい。従って、複数の液体吸引管61は、第2の方向に並んで配置された複数の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液を同時に吸引し、第2の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力することができる。
図2に示すように、第2の入力管64は、第2の液体吸引管61と第2の液体吸引ポンプ63との間に接続され、第2の出力管65は、第2の液体吸引ポンプ63と混合チャネル101の第2の入口1012との間に接続されている。第2の液体吸引ポンプ63を起動して、第2の液体吸引管61と、第2の入力管64と、第2の液体吸引ポンプ63と、第2の出力管65とを介して、第2の溶液収容孔31から第2の調製溶液を所定の流量で混合チャネル101に入力する。
【0050】
複数の液体排出管71は、第5の方向に配置されていてもよい。出力ウェルプレート4は、複数の液体排出管71の下方に配置されてもよく、且つ、製品を貯蔵するために、第5の方向及び第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔41を有するように配置されてもよい。第5の方向に配置された複数の液体排出管71の数は、第5の方向に配置された複数の製品収容孔41の数と同じであってもよく、また、混合チャネル101の数と同じであってもよい。従って、複数の液体排出管71は、各混合チャネル101の出口1013から流出した製品を、第5方向に並んで配置された複数の製品収容孔41に同時に導くことができる。
図2に示すように、出力管73は、液体排出管71と混合チャネル101の出口1013との間に接続されている。ナノ粒子製品は、出力管73及び液体排出管71を介して製品収容孔41に入力される。
【0051】
本実施例において、混合チャネル101の数、第1の液体吸引管51の数、第2の液体吸引管61の数、及び液体排出管71の数は、いずれも8本であるが、本開示は、混合チャネル101の数、第1の液体吸引管51の数、第2の液体吸引管61の数、及び液体排出管71の数を限定するものではない。混合チャネル101、第1の液体吸引管51、第2の液体吸引管61、液体排出管71は、それぞれ2本、6本、16本などの他の数としてもよい。
【0052】
本実施例において、第1の溶液収容孔21の数、第2の溶液収容孔31の数、および製品収容孔41の数は、8(それぞれ第1の方向、第2の方向、および第5の方向に)*12(それぞれ第2の方向、第4の方向、および第6の方向に)であるが、本開示は、第1の溶液収容孔21の数、第2の溶液収容孔31の数、および製品収容孔41の数を制限するものではない。例えば、第1の溶液収容孔21の数、第2の溶液収容孔31の数、及び製品収容孔41の数は、それぞれ、2*8、6*12、16*24個などであってもよい。
【0053】
複数の第1の液体吸引管51は、第1の方向に並んで配置された複数列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネル101に順次入力するように、第1の入力ウェルプレート2に対して第3の方向に移動可能である。複数の第2の液体吸引管61は、第3の方向に並んで配置された複数列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネル101に順次入力するように、第2の入力ウェルプレート3に対して第4の方向に移動可能である。複数の液体排出管71は、複数の混合チャネル101の出口1013にある製品を、第5の方向に並んで配置された複数列の製品収容孔41へ順次に移送ように、出力ウェルプレートに対して第6の方向に移動可能である。
【0054】
例えば、複数の第1の液体吸引管51と複数の第2の液体吸引管61と複数の第1の液体排出管71とは、同期移動するようにしてもよい。例えば、複数の第1の液体吸引管51は、第1列の第1の溶液収容孔21の直上に位置するように第3の方向に移動し、第1列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。このとき、複数の第2の液体吸引管61は、第1列の第2の溶液収容孔31の直上に位置するように第4の方向に移動し、第1列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。またこのとき、複数の液体排出管71は、第1列の製品収容孔41の直上に位置するように第6の方向に移動し、各混合チャネル101における製品を第1列の製品収容孔41にそれぞれ移送する。そして、複数の第1の液体吸引管51は、第2列の第1の溶液収容孔の直上に位置するように第3の方向に移動し、第2列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。このとき、複数の第2の液体吸引管61は、第2列の第2の溶液収容孔31の直上に位置するように第4の方向に移動し、第2列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。またこのとき、複数の液体排出管71は、第2列の製品収容孔41の直上に位置するように第6の方向に移動し、各混合チャネル101における製品を第2列の製品収容孔41にそれぞれ移送する。そして、複数の第1の液体吸引管51は、順次に他の列の第1の溶液収容孔21の直上に位置するように、最後列の第1の溶液収容孔21の直上に移動するまで、第3の方向に移動し、最後の列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。同時に、複数の第2の液体吸引管61は、順次に他の列の第2の溶液収容孔31の直上に位置するように、最後列の第2の溶液収容孔31の直上に移動するまで、第4の方向に移動し、最後の列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ各混合チャネル101に入力する。またこのとき、複数の液体排出管71は、順次に他の列の製品収容孔41の直上に位置するように、最後列の製品収容孔41の直上に移動するまで、第6の方向に移動し、各混合チャネル101における製品を最後列の製品収容孔41にそれぞれ移送する。従って、特定の製品収容孔41における製品は、アドレス可能な第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液と、アドレス可能な第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液とを用いて、特定の混合チャネル101を介して調製される。第1及び第2の調製溶液の成分及び流量、混合チャネル101の内部構造、温度等のパラメータを変更することにより、ナノ粒子の調製条件を高フラックススクリーニングしたり、安定した高フラックスでナノ粒子を調製したりすることができる。
【0055】
本実施例において、第1の方向と第2の方向とが同一であり、第3の方向と第4の方向とが同一であり、第1の入力ウェルプレート2と第2の入力ウェルプレート3とが互いに位置合わせされ、複数の第1の溶液収容孔21と第2の溶液収容孔31とが同数で、且つ同一の方式で並んでいる。また、複数の第1の液体吸引管51と複数の第2の液体吸引管61とは、互いに位置合わせして同期移動することができる。これにより、1つのモータとガイドレールを用いて複数の第1の液体吸引管51と複数の第2の液体吸引管61とを同時に駆動して同一方向に移動させることができるので、システムの省スペース化及びシステムの低コスト化を図ることができる。
図4~6に示すように、複数の第1の液体吸引管51は第1の液体吸引ブラケット52に固定され、複数の第2の液体吸引管61は第2の液体吸引ブラケット62に固定されている。第1の液体吸引ブラケット52と第2の液体吸引ブラケット62は、液体吸引トータルブラケット11に固定されており、液体吸引トータルブラケット11は、液体吸引水平駆動装置によって駆動され、プラットホーム14に固定された液体吸引水平ガイドレール12に沿って往復移動することにより、第1の液体吸引ブラケット52が第1の方向に移動し、第2の液体吸引ブラケット62が第1の方向と同じ第2の方向に移動する。
【0056】
本実施例において、第5の方向は、第1の方向および第2の方向に垂直であり、第6の方向は、第3の方向および第4の方向と同じである。
図4と
図7に示すように、複数の液体排出管71は、液体排出ブラケット72に固定されている。液体排出ブラケット72は、液体排出トータルブラケット15に固定されており、液体排出トータルブラケット15は、液体排出水平駆動装置によって駆動され、プラットホーム14に固定された液体排出水平ガイドレール16に沿って往復移動することにより、液体排出ブラケット72が第6の方向に移動する。
【0057】
液体吸引水平駆動装置と液体排出水平駆動装置は、シリンダ又はモータによる駆動のような既存の水平駆動方式によって実現することができる。シリンダを採用する場合には、2つのシリンダを設けることができ、液体吸引水平駆動装置として一方のシリンダをプラットホーム14に固定した後、ピストンロッドが前後に移動することによって液体吸引水平ガイドレール12に沿って液体吸引トータルブラケット11を押圧して往復移動させる。他方のシリンダは、液体排出水平駆動装置としてプラットホーム14に固定した後、ピストンロッドが前後に移動することによって液体排出水平ガイドレール16に沿って液体排出トータルブラケット15を押圧して往復移動させる。2つのモータを設けてモータで駆動することもできる。一方のモータは、液体吸引水平駆動装置として液体吸引トータルブラケット11に固定されている。プラットホーム14には、ラックが設けられている。モータには、ラックに噛み合うギアが設けられ、モータの回転により、液体吸引トータルブラケット11を液体吸引水平ガイドレール12に沿って往復移動させるように駆動する。他方のモータは、液体排出水平駆動装置として液体排出トータルブラケット15に固定され、プラットホーム14にはラックが設けられている。モータには、ラックに噛み合うギアが設けられている。モータの回転により、液体排出トータルブラケット15を液体排出水平ガイドレール16に沿って往復移動させるように駆動する。
【0058】
なお、本開示は、第1の液体吸引管51、第2の液体吸引管61及び液体排出管71の移動に限定されない。第1の液体吸引装置5の第1の液体吸引管51と第1の入力ウェルプレート2との相対移動、第2の液体吸引装置6の第2の液体吸引管61と第2の入力ウェルプレート3との相対移動、及び液体排出装置7の液体排出管71と出力ウェルプレート4との相対移動を実現するために、第1の入力ウェルプレート2、第2の入力ウェルプレート3、及び出力ウェルプレート4を移動してもよい。
【0059】
また、複数の第1の液体吸引管51は、第1の入力ウェルプレート2に対して垂直方向に移動して第1の溶液収容孔21を出し入れ可能であり、複数の第2の液体吸引管61は、第2の入力ウェルプレート3に対して垂直方向に移動して第2の溶液収容孔31を出し入れ可能であり、複数の液体排出管71は、出力ウェルプレート4に対して垂直方向に移動して製品収容孔41を出し入れ可能である。この垂直方向は、水平面上に延びる第1の方向~第6の方向に垂直となる。
【0060】
例えば、第1の液体吸引ブラケット52は、第1の垂直駆動装置に接続され、第1の垂直駆動装置によって駆動され、液体吸引トータルブラケット11に固定された第1の液体吸引垂直ガイドレール13に沿って垂直方向に上下移動することによって、第1の入力ウェルプレート2が位置する面に近接する方向に移動するか、または第1の入力ウェルプレート2が位置する面から離れる方向に移動する。液体吸引トータルブラケット11に固定された第1の液体吸引垂直ブラケットを設けてもよく、第1の液体吸引垂直ガイドレール13は第1の液体吸引垂直ブラケットに固定される。第2の液体吸引ブラケット62は、第2の垂直駆動装置に接続され、第2の垂直駆動装置によって駆動され、液体吸引トータルブラケット11に固定された第2の液体吸引垂直ガイドレール(図示せず)に沿って垂直方向に上下移動することによって、第2の入力ウェルプレート3が位置する面に近接する方向に移動するか、または第2の入力ウェルプレート3が位置する面から離れる方向に移動する。液体吸引トータルブラケット11に固定された第2の液体吸引垂直ブラケットを設けてもよく、第2の液体吸引垂直ガイドレールは第2の液体吸引垂直ブラケットに固定される。液体排出ブラケット72は、垂直駆動装置に接続され、垂直駆動装置によって駆動され、液体排出垂直ガイドレール17に沿って上下移動することによって、出力ウェルプレート4が位置する面に近接する方向に移動するか、または出力ウェルプレート4が位置する面から離れる方向に移動する。液体排出トータルブラケット15に固定された液体排出垂直ブラケット171を設けてもよく、液体排出垂直ガイドレール17は液体排出垂直ブラケット171に固定される。液体排出トータルブラケット15と液体排出垂直ガイドレール17は、全体として液体排出水平ガイドレール16に沿って往復運動する。
【0061】
また、
図1、
図4~7に示すように、ナノ粒子調製システムは、第1の洗浄液リザーバ8と、第2の洗浄液リザーバ9と、廃液リザーバ10とをさらに含む。第1の洗浄液リザーバ8と第2の洗浄液リザーバ9は、洗浄液を貯蔵するためのものである。
【0062】
1つの調製サイクルは、第1の液体吸引管51と第2の液体吸引管61が、第1の溶液収容孔21と第2の溶液収容孔31から第1の調製溶液と第2の調製溶液をそれぞれ吸引して混合チャネル101に入力することと、液体排出管71が、混合チャネル101における製品を製品収容孔41に移送することと、を含む。洗浄操作は、2つの調製サイクルの間に行うことができる。洗浄操作において、複数の第1の液体吸引管51が第1の洗浄液リザーバ8から洗浄液を吸引し、第1の入口1011を介して混合チャネル101に洗浄液を入力し、複数の第2の液体吸引管61は、第2の洗浄液リザーバ9から洗浄液を吸引し、第2の入口1012を介して混合チャネル101に洗浄液を入力し、混合チャネル101を洗浄する。第1の液体吸引ポンプ53と第2の液体吸引ポンプ63は、第1の液体吸引管51の吸引と第2の液体吸引管61の吸引に対してそれぞれ吸引力を提供する。また、洗浄操作において、複数の液体排出管71は、混合チャネル101の出口1013から流出した洗浄液を廃液リザーバ10に移送する。
【0063】
第1の洗浄液リザーバ8は、複数の第1の液体吸引管51が第3の方向に移動して第1の洗浄液リザーバ8と連通することができるように、第3の方向に沿って第1の調製溶液リザーバの一側に設けられてもよく、よって、第1の入口1011を介して複数の混合チャネル101にそれぞれ洗浄液を入力する。第2の洗浄液リザーバ9は、複数の第2の液体吸引管61が第4の方向に移動して第1の洗浄液リザーバ8と連通することができるように、第4の方向に沿って前記第2の調製溶液リザーバの一側に設けられて、第2の入口1012を介して複数の混合チャネルにそれぞれ洗浄液を入力する。廃液リザーバ10は、複数の液体排出管71が第6の方向に移動して廃液リザーバ10と連通することができるように、第6の方向に沿って製品リザーバの一側に設けられてもよく、よって、混合チャネル101の出口1013から流出した洗浄液を廃液リザーバ10に移送する。
【0064】
他の実施例において、第3の方向に沿って2つの第1の洗浄液リザーバ8を第1の調製溶液リザーバの両側に設けてもよく、または、第4の方向に沿って2つの第2の洗浄液リザーバ9を第2の調製溶液リザーバの両側に設けてもよく、または、第6の方向に沿って2つの廃液リザーバ10を製品リザーバの両側に設けてもよく、本開示はそれに限定されない。
【0065】
例えば、デフォルトの初期位置において、複数の第1の液体吸引管51を第1の洗浄液リザーバ8の直上に位置決めしてもよく、複数の第2の液体吸引管61を第2の洗浄液リザーバ9の直上に位置決めしてもよく、複数の液体排出管71を廃液リザーバ10の直上に位置決めしてもよい。
【0066】
ナノ粒子調製システムは、第1の入力ウェルプレート2に設けられるとともに、第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更するように構成された第1の温度制御デバイス(図示せず)をさらに含んでもよい。第2の調製溶液リザーバは、第2の入力ウェルプレート3に設けられるとともに、第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更するように構成された第2の温度制御デバイス(図示せず)をさらに含んでもよい。例えば、第1の温度制御デバイスを第1の入力ウェルプレート2の底部に設けてもよく、第2の温度制御デバイスを第2の入力ウェルプレート3の底部に設けてもよい。また、第1の洗浄液リザーバ8、第2の洗浄液リザーバ9、出力ウェルプレート4及び廃液リザーバ10に温度制御デバイス(図示せず)を設けてもよく、本開示はこれに限定されない。混合チャネル101の反応温度は、第1の温度制御デバイスと第2の温度制御デバイスによって調整可能である。例えば、第1の調製温度と第2の調製温度は同じであってもよい。温度制御デバイスは、加熱素子と、冷却素子と、温度制御回路とを含んでもよい。発熱素子は、抵抗体を含んでもよい。発熱素子と冷却素子と、同一の半導体発熱素子であってもよい。温度制御回路は、温度の閉ループ制御を実現するために、コンパレータ、増幅器、温度センサなどを含んでもよい。
【0067】
ナノ粒子調製システムは、ナノ粒子調製システムの動作を制御するように、第1の液体吸引装置5、第2の液体吸引装置6、液体排出装置7、温度制御デバイス等と通信可能に接続されたコントローラをさらに含んでもよい。
【0068】
図8は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムのプラットホーム14の斜視図である。第1の液体吸引装置5、第2の液体吸引装置6、液体排出装置7、第1の調製溶液リザーバ、第2の調製溶液リザーバ、製品リザーバ、第1の洗浄液リザーバ8、第2の洗浄液リザーバ9及び廃液リザーバ10の全てをプラットホーム14内に設けて、一体化されたナノ粒子調製システムを形成してもよい。プラットホーム14は、キャビンドアなどの部品を含む。
【0069】
本開示の実施例によれば、第1の調製溶液リザーバと第2の調製溶液リザーバにおける複数列の溶液収容孔内の調製溶液の高フラックスマイクロ流体混合は、液体吸引管の列全体の前後及び上下移動及びポンプの制御によって実現される。高フラックスのナノ粒子の調製と製造が実現され、調製されたナノ粒子の品質はバッチ間で安定している。洗浄液リザーバ8、9と廃液リザーバ10を連続的に異なるナノ粒子を生産できるように設けることで自動洗浄を実現し、生産効率と生産柔軟性を向上させる。
【0070】
ナノ粒子調製システムの制御方法
【0071】
図9は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムの制御方法のフロー図である。
図9に示すように、ナノ粒子調製システムの制御方法は、
【0072】
起動要求に応じて制御条件を取得するステップS901と、
【0073】
制御条件によって入力操作を実行するステップS902と、
【0074】
出力操作を実行するステップS903と、
【0075】
洗浄操作を実行するステップS904と、
【0076】
入力操作を継続するか否かを判断するステップS905と、を含んでもよい。
【0077】
ステップS905における判断結果がNOであれば、ステップS906に進み、制御を終了する。ステップS905における判断結果がYESであれば、ステップS902に戻る。
【0078】
例えば、上記のナノ粒子調製システムに対して制御方法を行うことができる。
【0079】
ステップS901において、制御条件は、混合速度、混合比及び調製温度を含んでもよい。例えば、制御方法は、混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量とを決定することを含んでもよい。例えば、第1の流量は、混合速度に第1の調製溶液の混合比を乗じたものであり、第2の流量は、混合速度に第2の調製溶液の混合比を乗じたものである。例えば、入力操作を行う前に、制御方法は、調製温度によって、第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを制御して第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更すること、および/または、調製温度によって、第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを制御して第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することを含んでもよい。
【0080】
ステップS902において、入力操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を制御して第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に特定の列の第1の溶液収容孔21の上方まで移動した後、複数の第1の液体吸引管51をこの列の第1の溶液収容孔21に挿入させるように下に移動して、この列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液を複数の混合チャネル101に入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を制御して第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に特定の列の第2の溶液収容孔31の上方まで移動した後、複数の第2の液体吸引管61をこの列の第2の溶液収容孔31に挿入させるように下に移動して、この列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネル101に入力することと、を含む。例えば、第1の調製溶液は、決定された第1の流量で複数の混合チャネル101にそれぞれ入力され、第2の調製溶液は、決定された第2の流量で複数の混合チャネル101にそれぞれ入力されてもよい。ここで、この複数の第1の流量は異なって、複数の第1の液体吸引ポンプ53で個別に制御されてもよい。同様に、この複数の第2の流量は異なって、複数の第2の液体吸引ポンプ63で個別に制御されてもよい。
【0081】
ステップS903において、出力操作は、液体排出装置7の複数の液体排出管71を制御して製品リザーバに対して第6の方向に特定の列の製品収容孔41の上方まで移動した後、複数の液体排出管71をこの列の製品収容孔41に挿入させるように下に移動して、複数の混合チャネル101の出口1013にある製品をこの列の製品収容孔41に導くことを含んでもよい。
【0082】
ステップS904において、洗浄操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を制御して第3の方向に第1の洗浄液リザーバ8まで移動し、第1の洗浄液リザーバ8における洗浄液を第1の入口1011を介してそれぞれ複数の混合チャネル101に入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を制御して第4の方向に第2の洗浄液リザーバ9まで移動し、第2の洗浄液リザーバ9における洗浄液を第2の入口1012を介してそれぞれ複数の混合チャネル101に入力することとを含んでもよい。また、洗浄操作は、液体排出装置7の複数の液体排出管71を制御して、混合チャネル101から流出した洗浄液を廃液リザーバ10に移送することをさらに含む。
【0083】
ステップS905において、入力操作を継続するか否かを判断する。例えば、入力操作が所定回数実行された場合には、入力操作が実行されなくなったと判断してもよい。あるいは、他の制御条件に応じて入力操作を実行するか否かを判断してもよい。
【0084】
入力操作を継続する必要があると判断された場合は、ステップS902に戻り、入力操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を制御して第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に次の特定の列の第1の溶液収容孔21の上方まで移動し、この列の第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液を複数の混合チャネル101に入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を制御して第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に次の特定の列の第2の溶液収容孔31の上方まで移動し、この列の第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液を複数の混合チャネル101に入力することと、を含んでもよい。
【0085】
次に、ステップS903において、出力操作は、液体排出装置7の複数の液体排出管71を制御して製品リザーバに対して第6の方向に次の特定の列の製品収容孔41の上方まで移動し、複数の混合チャネル101の出口1013にある製品をこの列の製品収容孔41に導くことを含んでもよい。
【0086】
各入力操作と出力操作の後に洗浄操作を実行するので、複数の調製サイクルの間で相互に影響を与えることなく、複数の調製サイクルを連続して行うことができる。
【0087】
入力操作が実行されなくなったと判断された場合は、制御を終了する。例えば、第1の液体吸引装置5、第2の液体吸引装置6及び液体排出装置7をデフォルトの初期位置に戻してもよい。
【0088】
上記の制御方法は、コントローラによって実行してもい。また、ナノ粒子調製システムは、ユーザと対話するための表示装置及び入力装置をさらに含んでもよい。表示装置は、ディスプレイを含んでもよい。入力装置は、ボタン、キーボード、またはタッチパネル(このタッチパネルは表示装置に設けられてもよい)であってもよい。ユーザは、入力装置を介して制御条件を入力することができる。制御装置は、入力装置から制御条件を得ることができる。
【0089】
電子機器
【0090】
図10は本開示の1つの実施例に係る電子機器のハードウェア構成の模式図である。
図10に示すように、この電子機器は、少なくとも1つのプロセッサ1001と、この少なくとも1つのプロセッサ1001と通信可能に接続されたメモリ1002とを含む。メモリ1002は、少なくとも1つのプロセッサ1001によって実行可能な命令を格納し、上述のナノ粒子調製システムの制御方法を少なくとも1つのプロセッサ1001によって実行可能であるように、この命令は少なくとも1つのプロセッサ1001によって実行される。
【0091】
電子機器は、上述のナノ粒子調製システムのコントローラであってもよい。電子機器は、入力装置1003と表示装置1004とをさらに含んでもよい。
【0092】
プロセッサ1001、メモリ1002、入力装置1003および表示装置1004は、バスまたは他の手段によって接続可能である。
図10においては、バスによる接続を例にしている。
【0093】
不揮発性のコンピュータ読取可能な記憶媒体としてのメモリ1002は、不揮発性のソフトウェアプログラム、不揮発性のコンピュータ実行可能プログラム、および本開示の実施例におけるナノ粒子調製システムの制御方法に対応するプログラム命令/モジュールのようなモジュール、例えば
図9に示す方法のフローを記憶するために使用することができる。プロセッサ1001は、メモリ1002に格納された不揮発性のソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、様々な機能的アプリケーション及びデータ処理を実行する、すなわち、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムの制御方法を実現する。
【0094】
メモリ1002は、ストレージプログラムパーティションとストレージデータパーティションとを含んでもよく、ストレージプログラムパーティションは、オペレーティングシステムと、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムとを格納することができ、ストレージデータパーティションは、ナノ粒子調製システムの制御方法の使用に応じて作成されたデータなどを格納することができる。また、メモリ1002は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つのディスクメモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性の固体メモリデバイスのような不揮発性のメモリをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、メモリ1002は、オプションとして、プロセッサ1001に対して遠隔に設けられるメモリを含んでもよく、これらの遠隔メモリは、ナノ粒子調製システムの制御方法を実行する装置にネットワークを介して接続されることができる。上記ネットワークの例には、インターネット、イントラネット、ローカル地域ネットワーク、移動体通信ネットワーク、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
入力装置1003は、入力されたユーザクリックを受信し、ナノ粒子調製システムの制御方法のユーザ設定及び機能制御に関する信号入力を生成することができる。表示装置1004は、ディスプレイ等を含んでもよい。
【0096】
1つ以上のモジュールが前記メモリ1002に格納され、1つ以上のプロセッサ1001によって実行される場合、上記のいずれかの方法実施例におけるナノ粒子調製システムの制御方法が実行される。
【0097】
記憶媒体
【0098】
本開示の少なくとも1つの実施例は、コンピューティングデバイスによって実行される命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能な可読媒体を提供し、コンピューティングデバイスは命令を実行し、上記のナノ粒子調製システムの制御方法をコンピューティングデバイスに実行させる。
【0099】
ナノ粒子を調製する方法
【0100】
図11は本開示の1つの実施例に係るナノ粒子を調製する方法のフロー図であり、例えば、上記のナノ粒子調製システムを用いて実施することができる。
図11に示すように、この方法は、
【0101】
第1の方向に並んで配置された複数の第1の液体吸引管51を有する第1の液体吸引装置5と、第2の方向に並んで配置された複数の第2の液体吸引管61を有する第2の液体吸引装置6と、第5の方向に並んで配置された複数の液体排出管71を有する液体排出装置7とを提供するステップS1101と、
【0102】
第1の方向および第1の方向に垂直な第3の方向にアレイ状に配置された第1の溶液収容孔21を有する第1の調製溶液リザーバと、第2の方向および第2の方向に垂直な第4の方向にアレイ状に配置された第2の溶液収容孔31を有する第2の調製溶液リザーバと、第5の方向および第5の方向に垂直な第6の方向にアレイ状に配置された製品収容孔41を有する製品リザーバとを提供するステップS1102と、
【0103】
第1の方向に沿って第1の調製溶液リザーバの一側に位置して、洗浄液を貯留する第1の洗浄液リザーバ8と、第1の方向に沿って第2の調製溶液リザーバの一側に位置して、洗浄液を貯留する第2の洗浄液リザーバ9とを提供するステップS1103と、
【0104】
制御条件によって入力操作を実行するステップS1104と、
【0105】
出力操作を実行するステップS1105と、
【0106】
洗浄操作を実行するステップS1106と、
【0107】
入力操作を継続するか否かを判断するステップS1107と、を含む。
【0108】
ステップS1107における判断結果がNOであれば、ステップS1108に進み、制御を終了する。ステップS1107における判断結果がYESであれば、ステップS1104に戻る。
【0109】
例えば、ステップS1102において、第1の調製溶液リザーバの第1の溶液収容孔21に、化学材料を含有する特定組成のキャリア溶液を添加してもよい。さらに、第2の調製溶液リザーバの第2の溶液収容孔31に、標的薬物を含有する薬物担持溶液を添加してもよい。
【0110】
例えば、第1の調製溶液リザーバとしての第1の入力ウェルプレート2の異なる第1の溶液収容孔21に異なるキャリア溶液を添加し、および/または、第2の調製溶液リザーバとしての第2の入力ウェルプレート3の異なる第2の溶液収容孔31に異なる被担持体溶液を添加する。例えば、キャリア溶液に添加される化学材料は異なる。あるいは、キャリア溶液に添加される化学材料の成分および/または含有量は異なる。例えば、被担持体溶液に添加された標的薬物は異なる。あるいは、被担持体溶液に添加される標的薬物の成分および/または含有量は異なる。
【0111】
例えば、化学材料はナノ材料である。例えば、化学材料は、有機ナノ材料および/または無機ナノ材料である。化学材料は、薬物(例えば、核酸薬物、化学薬物、タンパク質薬物など)を内包するのに適している限り、本開示によって特に制限されない。いくつかの実施例において、化学材料は、有機ナノ粒子(例えば、脂質ナノ粒子、リポソーム、ポリマーナノ粒子、乳化剤など)、無機ナノ粒子、またはそれらの複合体から選択される。いくつかの実施例において、化学材料は、DLin-MC3-DMA/コレステロール/DSPC/DMG-PEG2000の複合体であってもよく、三者の割合は、実際の要件に従って調整することができる。
【0112】
例えば、キャリア溶液は、有機溶媒を含有する。すなわち、有機溶媒を用いて前記化学材料を分散させる。例えば、有機溶媒は、エタノール、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン、ジメチルアミド、DMSO、ジメチルポリシロキサン等を含むが、これらに限定されない。
【0113】
例えば、被担持体溶液は、緩衝液をさらに含有する。緩衝液を添加することにより、前記標的薬物が安定したpH状態にあることを保証することができ、化学材料とより良好に混合することができる。例えば、緩衝液は、クエン酸ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム溶液、リン酸緩衝液、トリメチロールアミノメタン緩衝液などの水性緩衝液である。さらに、前記水性緩衝液には、塩酸、酢酸、クエン酸、アルカリ、グリセリン、尿素、ツイン20、ツイン80、ポリエチレングリコール等が含有されてもよい。
【0114】
例えば、標的薬物には、核酸薬物、化学薬物および/またはタンパク質薬物が含まれる。例えば、核酸薬物には、DNA薬物および/またはRNA薬物が含まれる。DNA薬物には、環状二本鎖DNAプラスミド(plasmid)、直鎖一本鎖または二本鎖DNA、短い一本鎖アンチセンスDNA(ASO)などが含まれるが、これらに限定されない。RNA薬物には、長鎖一本鎖mRNA、二本鎖mRNA、自己増幅型(self-amplifying)RNA、環状mRNA(circle RNA)、siRNA、マイクロRNA(microRNA)、長鎖非コードRNA(Long non-coding RNA、IncRNA)などが含まれるが、これらに限定されない。化学薬物は、当分野の任意の低分子化学薬物であってもよく、パクリタキセル、アムホテリシン、シタラビン、ダウノマイシンなどを含むが、これに限定されない。タンパク質薬物には、インスリン、血管内皮増殖因子等が含まれるが、これらに限定されない。本開示のナノ粒子調製システムによってナノ粒子を調製することができる限り、標的薬物のサイズおよび供給源については、本開示において特に限定されない。
【0115】
例えば、被担持体溶液には、水および/または有機溶媒が含まれる。すなわち、水および/または有機溶媒を用いて前記標的薬物を分散させる。例えば、被担持体溶液における溶媒は水である。
【0116】
ステップS1104において、例えば、制御条件は、第1の調製溶液と第2の調製溶液の混合速度と混合比を含む。この方法は、混合速度と混合比によって、第1の調製溶液の第1の流量と、第2の調製溶液の第2の流量とを決定することをさらに含む。例えば、制御条件は調製温度を含む。例えば、この方法は、第1の調製溶液リザーバの第1の温度制御デバイスを用いて第1の調製溶液の温度を第1の調製温度に変更することと、第2の調製溶液リザーバの第2の温度制御デバイスを用いて第2の調製溶液の温度を第2の調製温度に変更することとをさらに含む。あるいは、この方法は、製品リザーバの第3の温度制御デバイスを用いて、製品溶液の温度を製品貯蔵温度に変更することをさらに含む。
【0117】
入力操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を用いてそれぞれ各混合チャネル101の第1の入口1011を介して混合チャネル101に第1の調製溶液を入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を用いてそれぞれ各混合チャネル101の第2の入口1012を介して前記混合チャネル101に第2の調製溶液を入力することとを含む。例えば、入力操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を用いて第1の調製溶液リザーバに対して第3の方向に移動し、並んで配置された第1の溶液収容孔21における第1の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネル101に順次に入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を用いて第2の調製溶液リザーバに対して第4の方向に移動し、並んで配置された第2の溶液収容孔31における第2の調製溶液をそれぞれ複数の混合チャネル101に順次に入力することと、を含む。例えば、第1の調製溶液は、第1の流量で混合チャネル101に入力され、第2の調製溶液は、第2の流量で混合チャネル101に入力される。
【0118】
ステップS1105において、出力操作は、液体排出装置7の複数の液体排出管71を用いて製品リザーバに対して第6の方向に移動し、複数の混合チャネル101の出口1013にあるナノ粒子製品を、並んで配置された複数の製品収容孔41まで順次に導くことを含む。
【0119】
ステップS1106において、洗浄操作は、第1の液体吸引装置5の複数の第1の液体吸引管51を、第1の調製溶液リザーバと第1の洗浄液リザーバ8に対して第3の方向に第1の洗浄液リザーバ8まで移動させ、第1の洗浄液リザーバ8における洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネル101に入力することと、第2の液体吸引装置6の複数の第2の液体吸引管61を、第2の調製溶液リザーバと第2の洗浄液リザーバ9に対して第4の方向に第2の洗浄液リザーバ9まで移動させ、第2の洗浄液リザーバ9における洗浄液をそれぞれ複数の混合チャネル101に入力することとを含む。
【0120】
ステップS1107において、入力操作を継続するか否かを判断する。例えば、入力操作が所定回数実行された場合には、入力操作が実行されなくなったと判断してもよい。
【0121】
ステップS1108において、方法を終了する。実際の要件に応じて、乾燥されたナノ粒子を得るように、当業者に知られている手段を結合してナノ粒子を含有するこの製品溶液を処理し、洗浄、乾燥などのステップを含むが、これに限定されない。
【0122】
例示
【0123】
例示として、ナノ粒子調製システムの操作方法は、
【0124】
機器を始動させ、キャビンドアを開き、マイクロ流体チップ1をプラットホーム14のチップ載置位置に取り付け、作業が完了した後に、キャビンドアを閉じるステップ(1)と、
【0125】
2つの別個の96ウェルプレートの中で液体Aと液体Bを用意し、液体Aはアルコール相に溶解したナノ粒子であるステップ(2)と、
【0126】
キャビンドアを開き、液体A、Bが充填された96ウェルプレートをそれぞれ温度制御可能な第1の入力ウェルプレート載置位置と第2の入力ウェルプレート載置位置に入れ、溝A、Bをそれぞれ第1の洗浄液リザーバ載置位置と第2の洗浄液リザーバ載置位置に入れ、得られた製品を回収するために第3枚の96ウェルプレートを出力ウェルプレート載置位置に入れ、溝Cを廃液リザーバ載置位置に載置するステップ(3)と、
【0127】
第1の入力ウェルプレート載置位置と第2の入力ウェルプレート載置位置の温度を操作インターフェース上に設定し、液体A、Bの混合速度を操作インターフェース上で設定するステップ(4)と、
【0128】
キャビンドアを閉じ、「スタート」ボタンを押すと、機器は液体A、Bを混合し始め、すべてのサンプルが収集された後、キャビンドアを開き、出力ウェルプレートの載置位置における96ウェルプレートを取り出すれば、調製されたサンプルを得られるステップ(5)と、
【0129】
溝Cにおける廃液を捨て、溝Aと溝Bに適切な体積の洗浄液を添加するステップ(6)と、
【0130】
次の96ウェルプレートのサンプルの収集を用意するステップ(7)であって、2つの新しい別個の96ウェルプレートの中で液体Aと液体Bを用意し、液体Aは、アルコール相に溶解されたナノ粒子であるステップ(7)と、
【0131】
すべてのサンプルが収集されるまで、(4)~(7)の操作を繰り返すステップ(8)と、
【0132】
適切な体積の洗浄液を溝Aと溝Bに添加した後、キャビンドアを閉め、操作インターフェースで「手動洗浄」を選択し、機械洗浄を完了し、電源をオフにするステップ(9)と、を含む。
【0133】
例えば、ステップ(3)において、溝Aの中の洗浄液は無菌で酵素を含まない超純水であり、溝Bの中の洗浄液は、シグマの200プルーフの純粋なエタノールである。
【0134】
例えば、ステップ(4)において、第1と第2の入力ウェルプレート3の載置位置の温度を25℃とし、出力ウェルプレートの載置位置の温度を4℃とする。
【0135】
例えば、ステップ(4)において、液体Aの流量を0~120μL/sに設定し、液体Bの流量を0~60μL/sに設定してもよい。ナノ粒子について、例えば、液体Aの流量は10~20μL/sであり、液体Bの流量は30~60μL/sであってもよい。
【0136】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、高フラックスのナノ粒子を調製することができ、一度の操作で96の異なるサンプルを製造することができ、同一のサンプル量を調製するための時間は、単フラックス装置よりもはるかに短いため、ナノ粒子の合成の効率を大幅に向上させることができる。ナノ粒子を最適化するプロセスにおいては多くの因子を調整する必要があるため、マルチフラックスシステムは多くの因子を効率的に調整することができる。また、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、調製量に対する単一フラックス装置の制限を突破し、調製量を減少させ、調製材料の浪費を回避することができる。
【0137】
本開示の実施形態に係るナノ粒子調製システムは、マイクロ流体システムを採用しているため、混合過程における体積、速度、割合等のパラメータを精確に制御することができる。従って、ナノ粒子のサイズ、均一性及び遺伝子封入効果を効果的に制御することができ、その後の体外細胞及び動物体内への送達効果を向上させることができる。さらに、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムの調製体積を1mL以内の任意の体積に精確に制御することができ、同時に、体外細胞実験と十分な動物体内実験の要件を満たすことができ、正確で安定した試験評価結果を得ることができる。さらに、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、幅広いシナリオに応用し、例えば有機ナノ粒子(脂質ナノ粒子、リポソーム、高分子ナノ粒子、乳化剤等を含むが、これらに限定されない)、無機ナノ粒子等は全てこのシステムによって調製することができる。
【0138】
例示として、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムを単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと比較する。
【0139】
1.高速で効率性
【0140】
準備材料:
【0141】
リポソーム材料(DLin-MC3-DMA/コレステロール/DSPC/DMG-PEG2000=58.5/38.5/10/1,5mol/mol)とエタノールをキャリア溶液として用意し、ナンセンスsiRNA断片と25mmNaOAC緩衝液(pH=4)を被担持体溶液として用意し、さらに96ウェルプレートと複数のEP管を用意する。DLin-MC3-DMAは、イオン化可能なカチオン性リポソームであり、DSPCは、1,2-ジステアリール-sn-グリセロール-3-コリンリン酸(ジステアリルホスファチジルコリン)、DMG-PEG2000は、ジミリストイルグリセロール‐ポリエチレングリコール2000(1,2-ジミリストイル-RAC-グリコセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000)である。ナンセンスsiRNA断片のシーケンスは(5’から3’)であり:
【0142】
センスストランド(Sense strand):UUCUCCGAACGUGUCACGUTT
【0143】
アンチセンス・ストランド(Antisense strand):ACGUGACACGUUCGGAGAATT
【0144】
スキームと方法:
【0145】
1)同時に且つ同じ条件で、3:1の体積比で、リポソームのエタノール溶液(キャリア溶液))とsiRNAの酸性水溶液(被担持体溶液)を用意し、各サンプルの最終的な総体積が200μLになるようにする。用意された材料の合計量は192部である。
【0146】
2)被担持体溶液とキャリア溶液の合計量をそれぞれ192部にランダムに分け、それぞれを単フラックスシステム及び本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムにおけるナノ粒子調製に使用される。
【0147】
3)2つのシステムが調製稼働を開始するタイミングから、それぞれ計時を開始する。有機溶媒を除去した最終的な96個のサンプルが得られるまで、その計時を完了する。単フラックスシステムと本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムによって同じ体積(600μL)と数(96)のサンプルを調製するのに費やされた時間を比較する。
【0148】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムによって同じ体積と数のサンプルを調製するのに費やされた時間は、単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムより遥かに短い。
【0149】
2.サンプルの品質と精度
【0150】
1)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択する。得られた液体の体積をピペットで正確に測定し、最終的な体積の取得率を計算し、同種の装置で調製されたサンプル間の水平比較と、異なる装置で調製されたサンプル間の垂直比較を行う。
【0151】
2)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択する。調製されたサンプル中のナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率および表現型に対して、同種の装置で調製されたサンプル間の水平比較と、異なる装置で調製されたサンプル間の垂直比較を行う。
【0152】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、最終体積の取得率、調製されたナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率及び表現型について、単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムよりも優れており、且つ各パラメータの一致性が高い。
【0153】
3.バッチ間の安定性
【0154】
1)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択し、得られた液体の体積をピペットで正確に測定し、最終的な体積の取得率を計算し、異なるバッチ間で比較を行う。
【0155】
2)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択し、調製されたナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率及び表現型に対して、異なるバッチ間で比較を行う。
【0156】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、バッチ間の安定性において、単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムよりも優れている。
【0157】
4.異なる操作員による操作の安定性
【0158】
1)異なる操作員によって操作を行い、上記の実施案を繰り返し、2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択し、得られた液体の体積をピペットで正確に測定し、最終的な体積の取得率を計算し、異なる操作員によって得られたサンプル間で比較を行う。
【0159】
2)異なる操作員によって操作を行い、上記の実施案を繰り返し、2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択し、調製されたナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率及び表現型に対して、異なる操作員によって得られたサンプル間で比較を行う。
【0160】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、異なる操作員による操作の安定性において、単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムよりも優れている。
【0161】
図12は本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製されたサンプルのダエダラス体積収集精度(Volume Accuracy of Daedalus)の模式図である。
図12において、縦軸(Y軸)は体積であり、単位がμLであり、横軸は出力ウェルプレートとする96ウェルプレートにおける24ウェルの番号を表し、アルファベットは縦の列のシリアル番号を表し、数字は横の列のシリアル番号を表しています。このナノ粒子調製システムにおいて、A成分としてエタノールを、B成分として水を用いて混合して収集し、目標収集総体積は1mLである。収集が完了した後、出力ウェルプレートとする96ウェルプレートからランダムに24個のウェルを選択して体積測定を行う。
図12に示すように、各ウェルのサンプル収集体積に大きな差はほとんど見られない。
【0162】
図13は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、siRNA(小干渉RNA)を封入するナノ粒子の粒径の大きさとポリマー分散指数の模式図である。2つのシステムにおいて、同じ脂質材料と小干渉RNAをそれぞれ成分A、成分Bとし、混合して収集する。収集後、本開示のナノ粒子調製システムにおける出力ウェルプレートとする96ウェルプレートからランダムに12個のウェルを選択して粒径の大きさとポリマー分散指数を検出する。同時に、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られた製品の粒径の大きさとポリマー分散指数を検出する。
【0163】
図13に示すように、本開示のナノ粒子調製システムにおいて、各ウェルから得られるナノ粒子製品は、粒径の大きさとポリマー分散指数に有意な差がなく、均一性が良好である。本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子は、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られたナノ粒子と比較して、より小さい粒径と同程度のポリマー分散指数を有する。
【0164】
図13において、横軸(X軸)は異なるウェル内のサンプル番号を表し、C1からF6は本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子を表し、NASCは非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって調製されたナノ粒子を表す。左の縦軸(Y軸)は粒径、右の縦軸(Y軸)はポリマー分散指数、柱形は粒径の値、ドットはポリマー分散指数の値を表す。
【0165】
図14は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、siRNA(小干渉RNA)を封入するナノ粒子の封入効率の模式図である。
【0166】
2つのシステムにおいて、同じ脂質材料と小干渉RNAをそれぞれ成分A、成分Bとし、混合して収集する。収集後、本開示のナノ粒子調製システムにおける出力ウェルプレートとする96ウェルプレートからランダムに12個のウェルを選択して薬物封入効率を検出し、同時に、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られた製品の薬物封入効率を検出する。
【0167】
図14に示すように、本開示のナノ粒子調製システムにおいて、各ウェルから得られるナノ粒子製品は、薬物封入効率に有意な差がなく、封入の均一性が良好である。本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子は、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られたナノ粒子と比較して、より高い薬物封入効率を有する。
【0168】
図14において、横軸(X軸)は異なるウェル内のサンプル番号を表し、C1からF6は本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子を表し、NASCは非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって調製されたナノ粒子を表す。縦軸(Y軸)は封入効率のパーセンテージを表す。
【0169】
図15は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の粒径の大きさとポリマー分散指数の模式図である。
【0170】
2つのシステムにおいて、同じ脂質材料とメッセンジャーRNAをそれぞれ成分A、成分Bとし、混合して収集する。収集が完了した後、本開示のナノ粒子調製システムにおける出力ウェルプレートとする96ウェルプレートからランダムに8個のウェルを選択して粒径の大きさとポリマー分散指数を検出し、同時に、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られた製品の大きさとポリマー分散指数を検出する。
【0171】
図15に示すように、本開示のナノ粒子調製システムにおいて、各ウェルから得られるナノ粒子製品は、粒径の大きさとポリマー分散指数に有意な差がなく、均一性が良好である。本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子は、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られたナノ粒子と比較して、より小さい粒径とより小さい(即ちより均一な)ポリマー分散指数を有する。
【0172】
図15において、横軸(X軸)は異なるウェル内のサンプル番号を表し、A1からH8は本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子を表し、NASCは非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって調製されたナノ粒子を表す。左の縦軸(Y軸)は粒径、右の縦軸(Y軸)はポリマー分散指数、柱形は粒径の値、ドットはポリマー分散指数の値を表す。
【0173】
図16は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の封入効率の模式図である。
【0174】
2つのシステムにおいて、同じ脂質材料とメッセンジャーRNAをそれぞれ成分A、成分Bとし、混合して収集する。収集が完了した後、本開示のナノ粒子調製システムにおける出力ウェルプレートとする96ウェルプレートからランダムに8個のウェルを選択して薬物封入効率を検出し、同時に、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られた製品の薬物封入効率を検出する。
【0175】
図16に示すように、本開示のナノ粒子調製システムにおいて、各ウェルから得られる製品ナノ粒子は、薬物封入効率に有意な差がなく、封入の均一性が良好である。本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子は、非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって得られたナノ粒子と比較して、より高い薬物封入効率を有する。
【0176】
図16において、横軸(X軸)は異なるウェル内のサンプル番号を表し、A1からH8は本開示のナノ粒子調製システムによって調製されたナノ粒子を表し、NASCは非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムによって調製されたナノ粒子を表す。縦軸(Y軸)は封入効率のパーセンテージを表す。
【0177】
図17は非自動化単フラックスマイクロ流体ハイブリッドシステムと本開示の1つの実施例に係るナノ粒子調製システムによって調製された、mRNA(メッセンジャーRNA)を封入するナノ粒子の生体内送達効率の模式図である。
【0178】
2つのシステムにおいて、同じDLin-MC3-DMA(脂質材料)とホタルルシフェラーゼmRNA(メッセンジャーRNA)をそれぞれ成分A、成分Bとし、混合して収集する。収集して得たナノ粒子を0.5mg/kgの用量で静脈注射によりマウスに注射し、6時間後に同時に定量的な発光検出を行う。
【0179】
図17に示すように、2つの異なるシステムによって得られたナノ粒子の生体内送達効率に有意な差はない。2つの方式は生体内送達効率が極めて高いことを示した。
【0180】
図17において、各ドットはマウスの体内の蛍光値を表し、ヒストグラムは各ドット群に対応する平均値となっている。横軸(X軸)におけるDLin-MC3-DMAは、各マウスに同じ用量と体積のmRNA内包脂質ナノ粒子が注射されたことを表し、生理食塩水(Saline)はマイナスのコントロールで、各マウスには同じ体積の生理食塩水しか注射されない。縦軸(Y軸)は発光効率の値を表し、単位がp/s(光子数/秒、proton/s)である。
【0181】
例示として、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムを高フラックスエタノール注射ハイブリッドシステムと比較する。高フラックスエタノール注射ハイブリッドシステムにおいて、ロボットアームを使用して高フラックスエタノールを注射し、ナノ粒子を調製する。
【0182】
1.サンプルの均一性
【0183】
準備材料:
【0184】
リポソーム材料(DLin-MC3-DMA/コレステロール/DSPC/DSPE-PEG2000=58.5/38.5/10/1,5mol/mol)とエタノールをキャリア溶液として用意し、ホタルルシフェラーゼ(Firefly Luciferase)mRNA断片と25mmNaOAC緩衝液(pH=4)を被担持体溶液として用意し、さらに96ウェルプレートと複数のEP管を用意する。mRNA断片のヌクレオチド数は1929個である。
【0185】
スキームと方法:
【0186】
1)同時に且つ同じ条件で、3:1の体積比で、リポソームのエタノール溶液(キャリア溶液))とmRNAの酸性水溶液(被担持体溶液)を用意し、用意した材料の合計量は192部であり、2つのシステムの各サンプルの最終収集体積を、その最大収集量まで設定し、エタノール注射ハイブリッドシステムは200μLであり、本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは1mLである。
【0187】
2)キャリア溶液と被担持体溶液の合計量をそれぞれ192部にランダムに分け、それぞれをエタノール注射ハイブリッドシステム及び本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムにおけるナノ粒子調製に使用される。
【0188】
3)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択する。調製されたサンプル中のナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率および表現型に対して、異なる装置で調製されたサンプル間の垂直比較を行う。
【0189】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、最終体積の取得率、調製されたナノ粒子のサイズ、分散係数、電気特性、封入効率及び表現型について、高エタノール注射ハイブリッドシステムとほぼ同じであり、且つ各パラメータの一致性が高い。
【0190】
2.送達効果
【0191】
1)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに20個のサンプルを選択し、PBSで10倍に希釈し、次に限外濾過でその中の有機溶媒を除去する。
【0192】
2)上記の限外濾過が完了したサンプルにおいて、各サンプルから20μLのナノ粒子溶液を採取し、同じ条件で体外細胞の送達試験を行う。送達後24時間後に、ルシフェラーゼアッセイキット(luciferase assay kit)によって細胞の蛍光発現強度を測定し、2つのシステムによって調製されたアンプルの送達効果を比較する。
【0193】
3)2つのシステムで調製されたサンプルから、それぞれランダムに5個のサンプルを選択する。各マウスに50μLの静脈注射を行い、調製された各サンプルに何匹のマウスを注射できるかを記録する。注射から6時間後、マウスにフルオレセインを注射し、生体蛍光画像生成システムに入れて画像を撮影する。マウスの肝臓部位の蛍光値を統計し、蛍光強度を分析することで、2つのシステムで調製したサンプルの送達効果を比較する。
【0194】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、送達効果において、高フラックスエタノール注射ハイブリッドシステムよりも優れている。
【0195】
3.汎用性
【0196】
異なる種類の化学ナノ材料であるリポソーム分子DOPE、ポリマーPEI、乳化剤ツイン80を用意し、エタノール注射ハイブリッドシステムと本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムを用いて、同じ設定パラメータでこれらをナノ粒子に調製する。調製されたサンプル中のナノ粒子のサイズ、分散係数、封入効率および表現型に対して、異なる装置で調製されたサンプル間の垂直比較を行う。
【0197】
本開示の実施例に係るナノ粒子調製システムは、高フラックスエタノール注射ハイブリッドシステムよりも、異なる化学的ナノ材料に対して高い一致性を有する。
【0198】
以上説明した実施例は、本開示のいくつかの実施形態を示すに過ぎず、より具体的かつ詳細に記載されているが、そのために本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、本開示の概念から逸脱することなく、本開示の保護の範囲内である幾つかの変形及び改良を行うことができることに留意されたい。したがって、本開示の特許の保護範囲は、添付の請求の範囲に準じるものとする。