(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062397
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】メモリ回路、ダイナミックランダムアクセスメモリ及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240430BHJP
G11C 11/401 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B12/00 611
G11C11/401
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178860
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】63/380,745
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112134946
(32)【優先日】2023-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504007741
【氏名又は名称】國立中央大學
【住所又は居所原語表記】NO.300, Jhongda Road, Jhongli District, Taoyuan City, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】謝易叡
【テーマコード(参考)】
5F083
5M024
【Fターム(参考)】
5F083AD01
5F083AD12
5F083AD69
5F083AD70
5F083GA05
5F083GA09
5F083GA28
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083ZA11
5M024BB02
5M024CC02
5M024CC20
5M024PP03
5M024PP05
(57)【要約】
【課題】ダイナミックランダムアクセスメモリを提供する。
【解決手段】本発明は、蓄積ダイオード及び制御電界効果トランジスタを含むダイナミックランダムアクセスメモリを提供する。蓄積ダイオードは、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタの2つのソース/ドレインはそれぞれ蓄積ダイオードのカソードとアノードとされる。制御電界効果トランジスタは、蓄積ダイオードのカソード又はアノードに電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、前記ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタの2つのソース/ドレインはそれぞれカソードとアノードとされる蓄積ダイオードと、
前記蓄積ダイオードの前記カソード又は前記アノードに電気的に接続される制御電界効果トランジスタとを備えるダイナミックランダムアクセスメモリ。
【請求項2】
前記制御電界効果トランジスタは、
第1ゲートと、
それぞれ前記第1ゲートの対向する両側に位置する第1ソース/ドレイン領域及び第2ソース/ドレイン領域と、
前記第1ソース/ドレイン領域と前記第2ソース/ドレイン領域との間に位置する第1チャネル領域と、
前記第1ゲートと前記第1チャネル領域との間に位置する第1誘電体層領域とを含む請求項1に記載のダイナミックランダムアクセスメモリ。
【請求項3】
前記制御電界効果トランジスタ及び前記蓄積ダイオードは、前記第2ソース/ドレイン領域を共有し、前記蓄積ダイオードは、
第2ゲートと、
それぞれ前記第2ゲートの対向する両側に位置する第2ソース/ドレイン領域及び第3ソース/ドレイン領域と、
前記第2ソース/ドレイン領域と前記第3ソース/ドレイン領域との間に位置する第2チャネル領域と、
前記第2ゲートと前記第2チャネル領域との間に位置する第2誘電体層領域とを含む請求項2に記載のダイナミックランダムアクセスメモリ。
【請求項4】
前記第3ソース/ドレイン領域は選択線に電気的に接続され、前記第2ゲートはフローティングである請求項3に記載のダイナミックランダムアクセスメモリ。
【請求項5】
前記第1ソース/ドレイン領域はビット線に電気的に接続され、前記第1ゲートはワード線に電気的に接続される請求項2、3又は4に記載のダイナミックランダムアクセスメモリ。
【請求項6】
アレイ状に配列され、それぞれダイナミックランダムアクセスメモリを含む複数のメモリユニットを備え、
前記ダイナミックランダムアクセスメモリは、
ゲートがワード線に電気的に接続される制御電界効果トランジスタと、
ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、対向する両端がそれぞれ選択線と前記制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、前記制御電界効果トランジスタの他端がビット線に電気的に接続される蓄積ダイオードとを含むメモリ回路。
【請求項7】
各前記メモリユニットは、別のダイナミックランダムアクセスメモリを含み、前記別のダイナミックランダムアクセスメモリは、
ゲートが別のワード線に電気的に接続される別の制御電界効果トランジスタと、
別のゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、対向する両端がそれぞれ別の選択線と前記別の制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、前記別の制御電界効果トランジスタの他端が前記ビット線に電気的に接続される別の蓄積ダイオードとを含む請求項6に記載のメモリ回路。
【請求項8】
ダイナミックランダムアクセスメモリの動作方法であって、
前記ダイナミックランダムアクセスメモリは、互いに直列接続された蓄積ダイオード及び制御電界効果トランジスタを含み、前記蓄積ダイオードは、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、前記動作方法は、
前記ダイナミックランダムアクセスメモリに書き込む際に、ワード線に制御電圧を印加し、ビット線に書き込み電圧を印加し、選択線にゼロ電圧を印加するステップを含み、前記制御電界効果トランジスタのゲートは前記ワード線に電気的に接続され、前記蓄積ダイオードの対向する両端はそれぞれ、前記選択線と前記制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、前記制御電界効果トランジスタの他端は前記ビット線に電気的に接続されるダイナミックランダムアクセスメモリの動作方法。
【請求項9】
前記制御電圧は、前記制御電界効果トランジスタをオンにし、前記書き込み電圧により、前記蓄積ダイオードにツェナートンネリング効果を発生させ、前記蓄積ダイオードに電気を蓄積させる請求項8に記載の動作方法。
【請求項10】
前記ダイナミックランダムアクセスメモリをリフレッシュする際に、前記ワード線に前記制御電圧を印加し、前記ビット線に前記書き込み電圧を印加し、前記選択線に前記ゼロ電圧を印加するステップを更に含む請求項8に記載の動作方法。
【請求項11】
前記ダイナミックランダムアクセスメモリを読み出す際に、前記ワード線に前記制御電圧を印加し、前記選択線に読み出し電圧を印加し、前記ビット線を介して読み出し電流を検出する請求項8に記載の動作方法。
【請求項12】
前記読み出し電圧の極性は、前記書き込み電圧の極性と逆である請求項11に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶回路及びその動作方法に関し、特にメモリ回路、ダイナミックランダムアクセスメモリ及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ムーアの法則の進展により、様々な組み込みメモリがファウンドリで量産されるようになった。半導体メモリは多くの応用分野で、様々な電子製品に広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バックエンド(BEOL)でより多くのフォトマスクを使用する高アスペクト比スタックト・キャパシタ技術のコストと難易度の増加により、1つのトランジスタと1つのキャパシタ(1T1C)を組み込んだダイナミックランダムアクセスメモリ(eDRAM)は、より高度なプロセスの開発を停止した。したがって、上記の理由に基づいて、ますます微細化される製造プロセスに適応するために、新しいダイナミックランダムアクセスメモリが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来技術の問題を改善するメモリ回路、ダイナミックランダムアクセスメモリ及びその動作方法を提供する。
【0005】
本発明の一実施例において、本発明に係るダイナミックランダムアクセスメモリは、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタの2つのソース/ドレインはそれぞれカソードとアノードとされる蓄積ダイオードと、蓄積ダイオードのカソード又はアノードに電気的に接続される制御電界効果トランジスタと、を備える。
【0006】
本発明の一実施例において、制御電界効果トランジスタは、第1ゲート、第1ソース/ドレイン領域、第2ソース/ドレイン領域、第1チャネル領域、及び第1誘電体層領域を含む。第1ソース/ドレイン領域と第2ソース/ドレイン領域はそれぞれ第1ゲートの対向する両側に位置し、第1チャネル領域は第1ソース/ドレイン領域と第2ソース/ドレイン領域の間に位置し、第1誘電体層領域は第1ゲートと第1チャネル領域の間に位置する。
【0007】
本発明の一実施例において、制御電界効果トランジスタと蓄積ダイオードは第2ソース/ドレイン領域を共有し、蓄積ダイオードは第2ゲート、第2ソース/ドレイン領域、第3ソース/ドレイン領域、第2チャネル領域、及び第2誘電体層領域を含む。第2ソース/ドレイン領域と第3ソース/ドレイン領域はそれぞれ第2ゲートの対向する両側に位置する。第2チャネル領域は、第2ソース/ドレイン領域と第3ソース/ドレイン領域との間に位置し、第2誘電体層領域は、第2ゲートと第2チャネル領域との間に位置する。
【0008】
本発明の一実施例において、第3ソース/ドレイン領域は選択線に電気的に接続され、第2ゲートはフローティングである。
【0009】
本発明の一実施例において、第1ソース/ドレイン領域はビット線に電気的に接続され、第1ゲートはワード線に電気的に接続される。
【0010】
本発明の一実施例において、本発明に係るメモリ回路は、アレイ状に配列され、それぞれダイナミックランダムアクセスメモリを含み、ダイナミックランダムアクセスメモリは制御電界効果トランジスタ及び蓄積ダイオードを含む複数のメモリユニットを備える。制御電界効果トランジスタのゲートはワード線に電気的に接続され、蓄積ダイオードはゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、蓄積ダイオードの対向する両端はそれぞれ選択線と制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、制御電界効果トランジスタの他端はビット線に電気的に接続される。
【0011】
本発明の一実施例において、各メモリユニットは、別の制御電界効果トランジスタ及び別の蓄積ダイオードを含む別のダイナミックランダムアクセスメモリを備える。前記別の制御電界効果トランジスタのゲートは別のワード線に電気的に接続され、前記別の蓄積ダイオードは別のゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、前記別の蓄積ダイオードの対向する両端はそれぞれ別の選択線と前記別の制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、前記別の制御電界効果トランジスタの他端はビット線に電気的に接続され、ビット線は前記選択線と前記別の選択線との間に位置する。
【0012】
本発明の一実施例において、本発明に係るダイナミックランダムアクセスメモリの動作方法について、ダイナミックランダムアクセスメモリは、互いに直列接続された蓄積ダイオード及び制御電界効果トランジスタを含み、蓄積ダイオードは、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、動作方法は、ダイナミックランダムアクセスメモリを書き込む際に、ワード線に制御電圧を印加し、ビット線に書き込み電圧を印加し、選択線にゼロ電圧を印加するステップを含み、制御電界効果トランジスタのゲートは、ワード線に電気的に接続され、蓄積ダイオードの対向する両端はそれぞれ、選択線と制御電界効果トランジスタの一端に電気的に接続され、制御電界効果トランジスタの他端は、ビット線に電気的に接続される。
【0013】
本発明の一実施例において、制御電圧は制御電界効果トランジスタをオンにし、書き込み電圧により蓄積ダイオードにツェナートンネリング効果を発生させ、蓄積ダイオードに電気を蓄積させる。
【0014】
本発明の一実施例において、動作方法は、ダイナミックランダムアクセスメモリをリフレッシュする際に、ワード線に制御電圧を印加し、ビット線に書き込み電圧を印加し、選択線にゼロ電圧を印加するステップを更に含む。
【0015】
本発明の一実施例において、動作方法は、ダイナミックランダムアクセスメモリを読み出す際に、ワード線に制御電圧を印加し、選択線に読み出し電圧を印加し、ビット線を介して読み出し電流を検出するステップを更に含む。
【0016】
本発明の一実施例において、読み出し電圧の極性は、書き込み電圧の極性と逆である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の技術的解決手段は、従来技術に比べて明らかな利点と有益な効果を有する。本発明のダイナミックランダムアクセスメモリは、キャパシタのない、1つのトランジスタと1つのダイオード(1T1D)を組み込んだダイナミックランダムアクセスメモリである。それは、前段階のプロセスで純粋なウェハファウンドリ電界効果トランジスタ技術を完全に使用して製造できるため、後段階のプロセスで追加のフォトマスクを必要とせず、追加の材料やキャパシタのレイアウトも必要とぜず、それにより、コストと設計の複雑さが大幅に低減される。
【0018】
以下、実施形態を用いて上記の説明を詳細に説明し、本発明の技術的解決手段を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明確且つ理解しやすくするために、添付図面を以下に説明する。
【
図1】本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリの回路図である。
【
図2】本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリの斜視構造図である。
【
図3】本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリの動作方法のエネルギーレベルの概略図である。
【
図4】本発明の一実施例によるメモリ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の説明をより詳細且つ完備にするために、添付の図面及び以下の様々な実施例を参照してよく、図面における同じ番号は、同じ又は類似の構成要素を表す。一方、周知の構成要素及びステップは、本発明に不必要な制限を避けるために、実施例に記載されない。
【0021】
図1を参照されたい。本発明の技術的態様は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)100であり、組み込みダイナミックランダムアクセスメモリ(eDRAM)に適用されてもよく、又は関連技術の工程に広く適用されてもよい。本技術的態様のダイナミックランダムアクセスメモリ100は、相当な技術的進歩を達成することができ、広範な産業上の利用価値を有する。以下、
図1を参照しながらダイナミックランダムアクセスメモリ100の具体的な実施形態を説明する。
【0022】
ダイナミックランダムアクセスメモリ100の様々な実施形態が
図1を参照して説明されることを理解されたい。以下の説明では、説明の便宜上、1つ又は複数の実施形態の包括的な説明を提供するために、多くの特定の詳細を更に設定する。しかしながら、本技術は、これらの具体的な細部がなくても実施できる。他の例において、これらの実施形態を効果的に説明するために、既知の構造及び装置はブロック図で表示される。ここで使用される「例えば」の用語は、「例、実例又は例示として」を意味する。本明細書において「例えば」として説明される任意の実施例は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい、又は優れていると解釈されるべきではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリ100のブロック図である。
図1に示すように、ダイナミックランダムアクセスメモリ100は、互いに直列接続された蓄積ダイオード110及び制御電界効果トランジスタ120を含む。構造的には、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成される。これにより、ダイナミックランダムアクセスメモリ100は、キャパシタのない、1つのトランジスタと1つのダイオード(1T1D)のeDRAMであり、それは、前段階のプロセスで純粋なウェハファウンドリ電界効果トランジスタ技術を完全に使用して製造できるため、BEOLで追加のフォトマスクを必要とせず、追加の材料やキャパシタのレイアウトも必要とぜず、それにより、コストと設計の複雑さが大幅に低減される。
【0024】
応用において、本発明の上記eDRAM技術は、メモリウォール(memory-wall)を減少させ、且つコストとパフォーマンスのバランスをとるために、オンチップスタティックランダムアクセスメモリ(on-chip SRAM)/レジスタとオンチップダイナミックランダムアクセスメモリ(on-DIMM DRAM)との間の遅延を短縮し、それにより幅広い応用を可能にする。
【0025】
実際には、例えば、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタは、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタ又はゲートでフローティングされたP型電界効果トランジスタであってよく、制御電界効果トランジスタ120は、N型制御電界効果トランジスタ又はP型制御電界効果トランジスタであってよい。以下、説明を簡単にするために、N型電界効果トランジスタを例とする。当業者であれば、N型電界効果トランジスタとP型制御電界効果トランジスタの性質及び電気特性の差異を知っているため、ここでは説明を省略する。
【0026】
図1において、制御電界効果トランジスタ120の第1ゲート121はワード線WLに電気的に接続され、蓄積ダイオード110の対向する両端はそれぞれ選択線SLと制御電界効果トランジスタ120の一端に電気的に接続され、制御電界効果トランジスタ120の他端はビット線BLに電気的に接続される。
【0027】
また、実施形態及び特許請求の範囲において、「電気的に接続される」という記載は一般的に、ある構成要素が他の構成要素を介して別の構成要素に間接的に電気的に結合されるか、又はある構成要素が他の構成要素を介さずに別の構成要素に直接的に電気的に結合されることを指すことを理解されたい。
【0028】
蓄積ダイオード110の構造について、本発明の幾つかの実施例において、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、ゲートでフローティングされた電界効果トランジスタの第2ソース/ドレイン領域202及び第3ソース/ドレイン領域203はそれぞれ、蓄積ダイオード110のアノードとカソードとして機能し、制御電界効果トランジスタ120は、蓄積ダイオード110のカソード又はアノードに電気的に接続され、第2チャネル領域222は、第2ソース/ドレイン領域202と第3ソース/ドレイン領域203との間に位置し、第2誘電体層領域112は、第2ゲート111と第2チャネル領域222との間に位置する。実際には、例えば、蓄積ダイオード110を構成するゲートでフローティングされた電界効果トランジスタは、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタであってよく、その場合、第2ソース/ドレイン領域202は、蓄積ダイオード110のアノードとして機能し、第3ソース/ドレイン領域203は、蓄積ダイオード110のカソードとして機能する。
【0029】
制御電界効果トランジスタ120の構造について、本発明の幾つかの実施例において、制御電界効果トランジスタ120は、蓄積ダイオード110と第2ソース/ドレイン領域202を共有する。制御電界効果トランジスタ120の第1ソース/ドレイン領域201はビット線BLに電気的に接続され、制御電界効果トランジスタ120の第2ソース/ドレイン領域202は蓄積ダイオード110に電気的に接続され、第1チャネル領域221は第1ソース/ドレイン領域201と第2ソース/ドレイン領域202との間に位置し、第1誘電体層領域122は第1ゲート121と第1チャネル領域221との間に位置する。実際には、例えば、制御電界効果トランジスタ120はN型制御電界効果トランジスタであってよく、N型制御電界効果トランジスタの第1ソース/ドレイン領域201はドレインであり、N型制御電界効果トランジスタの第2ソース/ドレイン領域202はソースである。
【0030】
上記ダイナミックランダムアクセスメモリ100の全体構造を更に説明するために、
図1と
図2を同時に参照されたい。
図2は本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリ100の斜視構造図である。
図2に示すように、第1ソース/ドレイン領域201と第2ソース/ドレイン領域202はそれぞれ第1ゲート121の対向する両側に位置し、第2ソース/ドレイン領域202と第3ソース/ドレイン領域203はそれぞれ第2ゲート111の対向する両側に位置する。制御電界効果トランジスタ120は、蓄積ダイオード110と第2ソース/ドレイン領域202を共有する。
図2に示すように、実際には、例えば、制御電界効果トランジスタ120は、制御フィン電界効果トランジスタであってよく、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされたフィン電界効果トランジスタで構成されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
説明すべきなのは、ここでは、用語「第1」、「第2」等を用いて様々な構成要素を説明してよいが、これらの構成要素はこれらの用語に限定されるべきではないことである。これらの用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ使用される。例えば、実施例の範囲から逸脱することなく、第1構成要素を第2構成要素と称してよく、第2構成要素を第1構成要素と称してよい。
【0032】
制御電界効果トランジスタ120の構造について、本発明の幾つかの実施例において、制御電界効果トランジスタ120は、第1ゲート121、第1ソース/ドレイン領域201、第2ソース/ドレイン領域202、ギャップ壁211、及び第1チャネル領域221(例えば、三次元フィンチャネル)を含む。構造的には、ギャップ壁211はそれぞれ第1ゲート121の対向する両側に位置し、第1チャネル領域221は、第1ソース/ドレイン領域201と第2ソース/ドレイン領域202とを物理的に接続する。
【0033】
蓄積ダイオード110の構造について、本発明の幾つかの実施例において、蓄積ダイオード110は、第2ゲート111、第2ソース/ドレイン領域202、第3ソース/ドレイン領域203、ギャップ壁212、及び第2チャネル領域222(例えば、三次元フィンチャネル)を含む。構造的には、ギャップ壁212はそれぞれ第2ゲート111の対向する両側に位置し、第2チャネル領域222は、第2ソース/ドレイン領域202と第3ソース/ドレイン領域203とを物理的に接続する。
【0034】
本発明の幾つかの実施例において、第3ソース/ドレイン領域203は選択線SLに電気的に接続され、第2ゲート111はフローティングであり、第1ソース/ドレイン領域201はビット線BLに電気的に接続され、第1ゲート121はワード線WLに電気的に接続される。
【0035】
ダイナミックランダムアクセスメモリ100の動作方法について、
図1~
図3を同時に参照されたい。
図3は、本発明の一実施例によるダイナミックランダムアクセスメモリ100の動作方法のエネルギーレベルの概略図である。
【0036】
初期段階301において、ダイナミックランダムアクセスメモリ100は選択されておらず、ワード線WL、ビット線BL及び選択線SLにゼロ電圧を印加する。この時、伝導帯EC、フェルミエネルギーレベルEF、及び価電子帯EVはいずれも安定しており、制御電界効果トランジスタ120をオフ状態に維持することにより、リーク電流が効果的に防止される。
【0037】
書き込み段階302、即ち、ダイナミックランダムアクセスメモリ100への書き込みにおいて、ワード線WLに制御電圧を印加し、ビット線BLに書き込み電圧を印加し、選択線SLにゼロ電圧を印加する。制御電圧は制御電界効果トランジスタ120をオンにし、書き込み電圧により蓄積ダイオード110にツェナートンネリング効果を発生させ、蓄積ダイオード110に電気を蓄積させる。
【0038】
本発明の幾つかの実施例において、制御電界効果トランジスタ120は、N型電界効果トランジスタであってよく、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタで構成されてよく、第2ソース/ドレイン領域202は、N++ドープ領域(高濃度ドープ領域)であり、第2チャネル領域222は、P-ドープ領域(低濃度ドープ領域)であり、第3ソース/ドレイン領域203は、N++ドープ領域であり、それによりツェナートンネリング効果が発生しやすくなる。書き込み段階302において、制御電圧(例えば、約+0.8V)は制御電界効果トランジスタ120をオンにし、蓄積ダイオード110にツェナートンネリング効果が発生すると、電子e-が制御電圧(例えば、約+0.8V)によって引き出され、それによって第2チャネル領域222(例えば、三次元フィンチャネル)に記憶される過剰電荷(即ち、正孔h+)を生成する。
【0039】
本明細書で使用される「約」、「ほぼ」又は「おおよそ」という用語は、わずかに変化し得る量を修正するために使用されるが、そのようなわずかな変化はその本質を変えるものではないことを理解されたい。実施形態において特に説明がない限り、「約」、「ほぼ」又は「おおよそ」で修飾される数値の許容される誤差範囲は、一般に20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。
【0040】
保持段階303において、電気(例えば、正孔h+)は、第2チャネル領域222(例えば、三次元フィンチャネル)に一時的に蓄積される。本発明の幾つかの実施例において、ダイナミックランダムアクセスメモリ100を定期的にリフレッシュしてよく、リフレッシュは、書き込みの所定の電圧と同じであり、ワード線WLに上記制御電圧を印加し、ビット線BLに書き込み電圧を印加し、選択線SLにゼロ電圧を印加する。リフレッシュ動作は、ダイナミックランダムアクセスメモリ100内において、記憶された情報が時間の経過とともに、所定の時間内に、情報をダイナミックランダムアクセスメモリ100内に定期的に改めて書き戻して元の記憶情報の電気特性を維持することにより、ダイナミックランダムアクセスメモリ100に記憶された情報が失われないように防止することを意味することを理解されたい。
【0041】
読み出し段階304、即ち、ダイナミックランダムアクセスメモリ100の読み出しにおいて、ワード線WLに制御電圧を印加し、選択線SLに読み出し電圧を印加し、ビット線BLを介して読み出し電流Ireadを検出する。
【0042】
本発明の幾つかの実施例において、制御電界効果トランジスタ120は、N型電界効果トランジスタであってよく、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタで構成されてよく、第2ソース/ドレイン領域202は、N++ドープ領域(高濃度ドープ領域)であり、第2チャネル領域222は、P-ドープ領域(低濃度ドープ領域)であり、第3ソース/ドレイン領域203は、N++ドープ領域であり、言い換えれば、第2、第3ソース/ドレイン領域202、203のドープ濃度は、第2チャネル領域222のドープ濃度よりはるかに大きい。読み出し段階304において、制御電圧(例えば、約+0.8V)は制御電界効果トランジスタ120をオンにし、読み出し電圧(例えば、約-0.2V)は、読み出し電流Ireadを形成するように正孔h+を吸引する。
【0043】
本発明の幾つかの実施例において、読み出し段階304の読み出し電圧の極性は、書き込み段階302の書き込み電圧の極性と逆であり、それによりダイナミックランダムアクセスメモリ100の書き込み/読み出しが安定して動作する。実際には、例えば、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタで構成され、読み出し電圧は約-0.2Vであり、書き込み電圧は約+0.8Vである。
【0044】
ダイナミックランダムアクセスメモリ100によって形成されるアレイを更に説明するために、
図1~
図4を参照されたい。
図4は、本発明の一実施例によるメモリ回路400の回路図である。
図4に示すように、メモリ回路400は、アレイ状に配列された複数のメモリユニット410を含み、各メモリユニット410の構造は同じである。コーナーのメモリユニット410を例として、それはダイナミックランダムアクセスメモリ100とダイナミックランダムアクセスメモリ100’を含んでよい。実際には、例えば、
図1のダイナミックランダムアクセスメモリ100と
図4のダイナミックランダムアクセスメモリ100とは実質的に同じであり、ダイナミックランダムアクセスメモリ100とダイナミックランダムアクセスメモリ100’とは互いに対称である。
【0045】
図4において、ダイナミックランダムアクセスメモリ100は、制御電界効果トランジスタ120及び蓄積ダイオード110を含む。制御電界効果トランジスタ120のゲートはワード線WL
0に電気的に接続され、蓄積ダイオード110はゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、蓄積ダイオード110の対向する両端はそれぞれ選択線SL
32と制御電界効果トランジスタ120の一端に電気的に接続され、制御電界効果トランジスタ120の他端はビット線BL
31に電気的に接続される。
【0046】
同様に、
図4において、ダイナミックランダムアクセスメモリ100’は、制御電界効果トランジスタ120’及び蓄積ダイオード110’を含む。制御電界効果トランジスタ120’のゲートはワード線WL
1に電気的に接続され、蓄積ダイオード110’はゲートでフローティングされた電界効果トランジスタで構成され、蓄積ダイオード110’の対向する両端はそれぞれ選択線SL
31と制御電界効果トランジスタ120’の一端に電気的に接続され、制御電界効果トランジスタ120’の他端はビット線BL
31に電気的に接続され、ビット線BL
31は選択線SL
32と選択線SL
31との間に位置する。
【0047】
図4において、選択線SL
0~SL
32は回路401に電気的に接続され、ワード線WL
0~WL
63は回路402に電気的に接続され、ビット線BL
0~BL
31は回路403に電気的に接続される。本発明の幾つかの実施例において、回路401は、選択線デコーダ、選択線ドライバ、及びコントローラを含んでよく、回路402は、ワード線デコーダ及びコントローラを含んでよく、回路403は、ビット線デコーダ、コントローラ、及びセンスアンプを含んでよい。実際には、例えば、回路403におけるセンスアンプは、ビット線BL
31を介して読み出し電流を検出することができる。また、例えば、蓄積ダイオード110は、ゲートでフローティングされたN型電界効果トランジスタで構成され、回路401の選択線ドライバは、負電圧選択線ドライバであり、読み出し電圧(例えば、約-0.2V)を提供する。
【0048】
一実験例において、メモリ回路400は、標準的なフィントランジスタで設計され、0.0242μm2の超小型サイズを有する。ダイナミックランダムアクセスメモリ100は、書き込み電圧が0.8Vの時に7nsより短い書き込みが実現され、シングルコア動作電圧は、約400MHzのクロックで、読み出し電圧が-0.2Vの時に7nsより短い読み出しが実現される。保持段階303において、25℃での保持時間は116μsであり、75℃での保持時間は101μsである。書き込み電力は約0.4μW/MHzであり、読み出し電力は約36.5nW/MHzである。
【0049】
以上のように、本発明の技術的解決手段は、従来技術に比べて明らかな利点と有益な効果を有する。本発明のダイナミックランダムアクセスメモリ100、100’はキャパシタのない、1つのトランジスタと1つのダイオード(1T1D)の記憶構造であり、それは、前段階のプロセスで純粋なウェハファウンドリ電界効果トランジスタ技術を完全に使用して製造できるため、後段階のプロセスで追加のフォトマスクを必要とせず、追加の材料やキャパシタのレイアウトも必要とぜず、それにより、コストと設計の複雑さが大幅に低減される。
【0050】
本発明は、実施形態に基づいて以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0051】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明確且つ理解しやすくするために、符号を以下に説明する。
100、100’ ダイナミックランダムアクセスメモリ
110、110’ 蓄積ダイオード
111 第2ゲート
112 第2誘電体層領域
120、120’ 制御電界効果トランジスタ
121 第1ゲート
122 第1誘電体層領域
201 第1ソース/ドレイン領域
202 第2ソース/ドレイン領域
203 第3ソース/ドレイン領域
221 第1チャネル領域
222 第2チャネル領域
301 初期段階
302 書き込み段階
303 保持段階
304 読み出し段階
400 メモリ回路
401、402、403 回路
410 メモリユニット
BL、BL0~BL31 ビット線
e- 電子
EC 伝導帯
EF フェルミエネルギーレベル
EV 価電子帯
h+ 正孔
Iread 読み出し電流
SL、SL0-SL32 選択線
WL、WL0-WL63 ワード線