(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062443
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】動物用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20240501BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20240501BHJP
A01N 25/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A01M7/00 S
A01P17/00
A01N25/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170264
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】得野 克成
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CB07
2B121CB61
2B121CB65
2B121CB69
2B121CC02
2B121FA02
4H011AC06
4H011DA21
(57)【要約】
【課題】
犬や猫などの動物の身体に噴射しようとするときに、エアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させるため、噴射音によって動物を驚かせて逃げないようにすることができる動物用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【解決手段】
外装容器1と、前記外装容器1に収容される液状組成物2と、前記外装容器1に前記液状組成物2とともに充填される不燃性圧縮気体Gを備え、前記外装容器1に設けられたアクチュエータ7の噴射口71から5cmの距離において、前記液状組成物2を噴射したときの噴射音の音量が0~70dBであることを特徴とする動物用エアゾール製品である。により解決することができた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装容器と、
前記外装容器に収容される液状組成物と、
前記外装容器に前記液状組成物とともに充填される不燃性圧縮気体を備え、
前記外装容器に設けられたアクチュエータの噴射口から5cmの距離において、前記液状組成物を噴射したときの噴射音の音量が0~70dBであることを特徴とする動物用エアゾール製品。
【請求項2】
前記不燃性圧縮気体が、窒素であることを特徴とする請求項1に記載の動物用エアゾール製品。
【請求項3】
前記不燃性圧縮気体が、25℃において0.5~1.0MPaの圧力で封入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物用エアゾール製品。
【請求項4】
前記噴射口の口径が、0.1~0.5mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、犬や猫などの動物の身体に噴射するときに、収容されてる液状組成物を付着させやすくするエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、犬や猫などの動物に対して害虫を寄せ付けないようにするなどのために、各種液状の組成物を動物の身体に付着させるエアゾール製品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、害虫忌避剤を担持した無水珪酸多孔質微粒子、合成樹脂微粒子および溶媒とからなる忌避剤組成物と、噴射剤を、エアゾール用耐圧容器に充填し密閉した、動物用などの忌避剤のエアゾール製品が開示されている。また、特許文献2及び特許文献3には、動物用ではないが、ヒト用に消毒剤と噴射剤を備える手指消毒剤用エアゾール製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-63201号公報
【特許文献2】特開2022-81874号公報
【特許文献3】特開2022-128964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のエアゾール製品においては、実施例において噴射剤として、炭酸ガスや液化石油ガス(LPG)を使用しているところ、実際に、犬や猫などの動物の身体に噴射しようとするとその噴射音の音量が大きく動物が驚いて逃げてしまい十分にエアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させることが難しいという懸念があった。また、特許文献2及び特許文献3のエアゾール製品においては、ヒトに対する用途であるために、犬や猫などの動物の身体に噴射するときにそれら動物が驚いて逃げてしまうことをそもそも想定されていなかった。
【0006】
そこで、本件発明では、犬や猫などの動物の身体に噴射しようとするときに、エアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させるため、噴射音によって動物を驚かせて逃げないようにすることができる動物用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕すなわち、本発明は、外装容器と、前記外装容器に収容される液状組成物と、前記外装容器に前記液状組成物とともに充填される不燃性圧縮気体を備え、前記外装容器に設けられたアクチュエータの噴射口から5cmの距離において、前記液状組成物を噴射したときの噴射音の音量が0~70dBであることを特徴とする動物用エアゾール製品である。
【0008】
〔2〕そして、前記不燃性圧縮気体が、前記不燃性圧縮気体が、窒素であることを特徴とする前記〔1〕に記載の動物用エアゾール製品である。
【0009】
〔3〕そして、前記不燃性圧縮気体が、25℃において0.5~1.0MPaの圧力で封入されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の動物用エアゾール製品である。
【0010】
〔4〕そして、前記噴射口の口径が、0.1~0.5mmであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の動物用エアゾール製品である。
【発明の効果】
【0011】
本件発明によれば、犬や猫などの動物の身体に噴射しようとするときに、エアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させるため、噴射音によって動物を驚かせて逃げないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態の動物用エアゾール製品における中央断面図である。
【
図2】本発明の第二実施形態の動物用エアゾール製品における中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明の動物用エアゾール製品に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記「~」のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0014】
外装容器1は、本発明の動物用エアゾール製品において、外観視することができる最も外側に位置し、内部に液状組成物2を収容する部材である。外装容器1の内部に不燃性圧縮気体Gを充填することから、アルミ合金などの金属、所定厚みを有する合成樹脂など所定の圧力以下では破断しないように耐圧性を有している。本実施形態において、外装容器1は、上部に開口を有する中空の有底円筒状である。その上部の開口は、
図1に示すように、マウンティングカップ3によって封止される。
【0015】
液状組成物2は、外装容器1に収容される液状の組成物であり、より具体的には20~30℃の常温で液状であり、複数の化合物を混合して得られる混合物である。液状組成物2に含有される化合物としては、用途により種々の化合物から選ばれるところ、例えば、害虫忌避成分、薬効成分、保湿成分、湿潤成分、界面活性剤、溶剤などが好ましい。
【0016】
害虫忌避成分としては、DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、イカリジン、3-[N-アセチル-N-ブチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、精油から選ばれる少なくとも1種が好ましい。当該害虫忌避成分が含有されることにより、液状組成物2が噴射されて動物の身体や対象物などの被着体に付着したときに、蚊、虻、シラミなどの害虫が寄り付きにくくなり、それら害虫を忌避することができる。精油は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから水蒸気蒸留法、熱水蒸留法などの方法により抽出される揮発性の油性化合物である。本件発明における精油としては、カナンガ油、ペパーミント油、ヒバ油、ハッカ油、レモングラス油、ケイヒ油、ベチバー油、スペアミント油、フェンネル油、イランイラン油、ゼラニウム油、スターアニス油、月桃葉油、シトロネラ油、ナツメグ油、カルダモン油、ジンジャー油、セターウッド油、クローブ油、ヒノキ油、アニス油、ティートリー油、ラベンダー油、コリアンダー油、クラリセージ油、ジュニパーベリー油、ブラックペッパー油、パチョリ油、ローズマリー油、ユーカリ油などが好ましい。これらの害虫忌避成分は、単体で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】
害虫忌避成分の液状組成物2における含有割合としては、0.01~30w/v%であることが好ましく、そして0.05~25w/v%であることがより好ましく、0.1~20w/v%が最も好ましい。害虫忌避成分の含有割合がこの範囲であると、動物の身体や対象物などの被着体に付着したときに、蚊、虻、シラミなどの害虫を十分に忌避することができる。なお、w/v%の表記は、組成物100mLあたりのグラム数(g)を百分率で示したものであり、他の段落における同表記も同様である。
【0018】
薬効成分としては、抗炎症作用を有するアラントイン、ヘパリン類似物質や、消毒作用を有するクロルヘキシジングルコン酸、ベンザルコニウム塩化物などが好ましい。これらの薬効成分は、単体で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
薬効成分の含有割合は、液状組成物2のうち、0.01~3.0w/v%が好ましく、0.03~1.0w/v%がさらに好ましい。薬効成分の含有割合がこの範囲にあると、動物の身体に付着したときに種々の薬用効果を付与することができる。
【0020】
保湿成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールやヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなどの多糖類などが好ましい。湿潤成分としては、エチレングリコールのユニットを300~600有するポリエチレングリコールなどのグリコールが好ましい。これらの保湿成分や湿潤成分は単独して使用することができるが、二種以上組み合わせて使用されてもよい。保湿成分及び湿潤成分により、液状組成物2を動物の身体に付着したときに、動物の身体の水分が飛散して皮膚がカサカサになることを防ぎ、その水分を動物の身体に留めておくための成分である。
【0021】
保湿成分や湿潤成分の含有割合は、液状組成物2のうち、それぞれ0.01~3.0w/v%が好ましく、0.03~1.0w/v%がさらに好ましい。保湿成分や湿潤成分の含有割合がこの範囲にあると、動物の身体の水分が飛散することを防止することができ、さらに、ベタつきを抑えることができる。
【0022】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤などが好ましい。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテルやポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加多価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミドなどが好ましく、具体的には、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)ジエタノールアミドなどが好ましい。アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ラウロイルサルコシンナトリウム、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ミリスチリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)サルコンシンナトリウムなどが好ましく、スルホン酸型のアニオン界面活性剤として、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、1-ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどが好ましく、硫酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、セチル硫酸ナトリウム、ココグリセリル硫酸ナトリウム(硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミンなどが好ましく、リン酸エステル型のアニオン界面活性剤として、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウム)、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸カリウムなどが好ましい。カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型として、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが好ましく、アルキルアミン塩型として、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩などが好ましい。
【0023】
界面活性剤の含有割合は、液状組成物2のうち、0.1~3.0w/v%が好ましく、0.3~2.0w/v%がさらに好ましい。界面活性剤の含有割合がこの範囲にあると、長い時間保存しておいても、害虫忌避成分や薬効成分が溶剤と分離せず均一に混合することができる。
【0024】
溶剤としては、炭素数1~3の低級アルコールや水であることが好ましい。具体的に、炭素数1~3の低級アルコールとしては、エタノール、プロパノールなどが好ましい。そして、液状組成物2における炭素数1~3の低級アルコールの配合割合は、30~60w/v%であることが好ましく、35~55w/v%であることが好ましい。そして、具体的に、水としては、日本薬局方規格の水が好ましく、例えば、水道水、井戸水などである常水、そして、蒸留、イオン交換膜によるイオン交換処理、限外ろ過膜による限外ろ過処理のいずれか、またはそれらの組み合わせにより常水を処理した精製水、そして、加熱等により精製水を滅菌処理した滅菌精製水などが好ましい。そして、液状組成物2における水の配合割合は、30~65w/v%であることが好ましく、35~60w/v%であることが好ましい。
【0025】
液状組成物2には、上記した成分の他に、香料、着色剤、pH調整剤、防腐剤などを配合することもできる。
【0026】
このようにして各種化合物が混合された液状組成物2について、外装容器1の開口部に設けられたマウンティングカップ3と、マウンティングカップ3に設けられたステム4を介して、外装容器1に間接的に設けられたアクチュエータ7の噴射口71から噴射されたとき、噴射口71から5cmの距離において、液状組成物2を噴射したときの噴射音の音量が0~70dBであることが好ましく、30~68dBであることがより好ましく、50~65dBであることがもっとも好ましい。上述した噴射音の音量が上記の範囲であれば、犬や猫などの動物が驚いてその場を逃げないようにすることができ、ひいてはエアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させることができる。なお、噴射音の音量は、種々の計測機器を用いて測定することができ、例えば、20~30℃の常温において、トラスコ中山社製の簡易ミニ騒音計(型式:TSN-MN)を用いて測定することができる。
【0027】
本発明の不燃性圧縮気体Gは、液状組成物2とともに外装容器1の内部に充填され、外装容器1内にて大気圧より高い圧力の状態の気体である。不燃性圧縮気体Gが充填されることにより、温度による圧力差が小さいことから、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において、害虫忌避成分や薬効成分を含有する液状組成物2を噴射された動物の身体に付着することができる。そして、さらに、不燃性圧縮気体Gであれば、液状組成物2とともに噴射されても、火気により引火及び燃焼が起きず、安全性に優れている。後述するアクチュエータ7が押されることにより、不燃性圧縮気体Gが液状組成物2を直接的に又は間接的に押圧して外部へ排出することとなる。不燃性圧縮気体としては、例えば、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴンであることが好ましい。
【0028】
また、液状組成物2とともに外装容器1に充填されている不燃性圧縮気体Gの圧力としては、25℃において0.5~1.0MPaであることが好ましく、0.7~0.9MPaであることがより好ましい。不燃性圧縮気体Gの圧力がこの範囲であると、不燃性圧縮気体Gとともに液状組成物2が円滑に排出される。
【0029】
本件エアゾール製品は、第一実施形態として、
図1に示すように、外装容器1、その外装容器1に収容される液状組成物2、外装容器1の開口部を覆設するマウンティングカップ3、マウンティングカップ3の略中央に挿通され液状組成物2を外装容器1の外部へ吐出可能な吐出穴と当該吐出穴と連通し外装容器1の内部とも連通するステム孔41を有するステム4、ステム4を上部に付勢する弾性バネ5、マウンティングカップ3の下部にて嵌挿され液状組成物2をステム4に導出するチューブ6、ステム4の吐出穴と連通する噴射口71を有しステム4の上部に設けられたアクチュエータ7などから構成されている。外装容器1に収容されている液状組成物2と不燃性圧縮気体Gは、外装容器1の外部より圧力が高くなっている。このため、アクチュエータ7が押下されると、弾性バネ5が付勢力に抗ってステム4も押下されることにより、ステム孔41が外装容器1の内部と連通し、不燃性圧縮気体Gに押圧された液状組成物2が、チューブ6、ステム4を通じてアクチュエータ7の噴射口71から外部に排出される。
【0030】
また、噴射口71の口径が、0.1~0.5mmあることが好ましく、0.2~0.4mmであることが好ましい。噴射口71の口径がこの範囲であると、不燃性圧縮気体Gとともに液状組成物2が円滑に排出され、動物の身体に液状組成物2を均等に付着させることができる。
【0031】
また、本件エアゾール製品は、第二実施形態として、
図2に示すように、第一実施形態と同様に、外装容器1、液状組成物2、マウンティングカップ3、ステム4、弾性バネ5、チューブ6、アクチュエータ7などから構成されているが、外装容器1に袋体Bが収容され、その袋体Bの内部に液状組成物2が収容されている点において第一実施形態とは異なっている。外装容器1に収容されている樹脂などからなる可撓性を有する袋体Bは、外装容器1と袋体Bの間の空間Sに充填されている不燃性圧縮気体Gに常に押圧されている。このため、アクチュエータ7が押下されると、弾性バネ5が付勢力に抗ってステム4も押下されることにより、ステム孔41が袋体Bの内部と連通し、袋体Bを介して不燃性圧縮気体Gに押圧されている液状組成物2が、チューブ6、ステム4を通じてアクチュエータ7の噴射口71から外部に排出される。このように、液状組成物2を袋体Bに収容し、その袋体Bを不燃性圧縮気体Gにて押圧可能とすることによって、袋体Bに内包されている液状組成物2が直接外装容器1に当接しないために、液状組成物2において、酸性・アルカリ性の程度を示す25℃におけるpHが3.0~6.0の弱酸性となるような場合やpHが8.0~10.0の弱アルカリ性であっても外装容器1の腐食を防止することができる。
【実施例0032】
以下、本件発明における液状組成物2について具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
<処方1>
25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに、害虫忌避成分としてDEETを5.5g、保湿剤としてグリセリンを0.05g、湿潤剤としてPEG400を0.55g、香料としてピーチを0.1g、炭素数1~3の低級アルコールとしてエタノールを58.2g、そして、精製水を45.4g加え、攪拌し、合計100mLの液状組成物2を得た。
【0034】
<処方2>
25℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに、薬効成分としてアラントインを0.02g、クロルヘキシジングルコン酸塩液を0.1g、炭素数1~3の低級アルコールとしてエタノールを30.0g、界面活性剤を1g、pH調整剤を0.003g、そして、精製水を63.5g加え、攪拌し、合計100mLの液状組成物2を得た。
【0035】
〔実施例1〕
このようにして得られた処方例1の液状組成物2を外装容器1に入れて、マウンティングカップ3、ステム4、アクチュエータ7などを取り付けて、ステム4より窒素を外装容器1内の圧力が25℃においておおよそ0.8MPaとなるまで充填して、
図1に示すエアゾール製品を作製した。なお、ステム4の吐出穴の口径が0.4mmであり、噴射口71の口径が0.3mmあった。
【0036】
〔実施例2〕
液状組成物2として処方例2を用いた以外は、実施例1と同様に、エアゾール製品を作製した。なお、ステム4の吐出穴の口径が0.4mmであり、噴射口71の口径が0.3mmあった。
【0037】
〔比較例1〕
窒素に替えて液化石油ガス(LPG)を用いた以外は、実施例1と同様に、エアゾール製品を作製した。なお、ステム4の吐出穴の口径が0.4mmであり、噴射口71の口径が0.4mmあった。
【0038】
〔比較例2〕
液状組成物2として処方例2を用い、さらに、窒素に替えて液化石油ガス(LPG)を用いた以外は、実施例1と同様に、エアゾール製品を作製した。なお、ステム4の吐出穴の口径が0.4mmであり、噴射口71の口径が0.4mmあった。
【0039】
〔比較例3〕
処方例1の液状組成物2を、所定の容器に収容し、使用者の指の力でトリガーをひいて内容物を吐出するトリガースプレーを当該容器に接続してスプレー製品を作製した。すなわち、比較例2では、窒素などの圧縮気体を内包しないために、トリガースプレーを接続した容器の内部は通常加圧されておらず、使用時にトリガーをひくと内部に収容されている液状組成物2が噴出口より噴出されるものである。なお、トリガースプレーとしては、キャニヨン社製のトリガーT014(0.93cc噴霧)を用いた。
【0040】
〔比較例4〕
処方例2の液状組成物2を用いた以外は、比較例3と同様に、スプレー製品を作製した。
【0041】
各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品を用いて、液状組成物2を噴出したときの噴出音の測定を行った。
【0042】
〔噴射音測定〕
各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、噴射口71から5cmの距離において、液状組成物2を噴射したときの噴射音の音量を測定した。具体には、25℃の恒温室にて作製後一晩静置したエアゾール製品やスプレー製品を用いて、25℃の雰囲気下で、噴射された液状組成物2を噴射口71から5cmの距離において、簡易ミニ騒音計(トラスコ中山社製、型式:TSN-MN)を用いて噴射音の音量を測定した。このとき、噴射音の音量に関する試験を表1に示す。
【0043】
【0044】
〔動物試験〕
各実施例及び各比較例のエアゾール製品やスプレー製品について、液状組成物2を噴射したときの動物の反応を確認した。具体的には、まず、平穏な状態でいる雑種、コーギー、チワワの3種類の犬に対して、噴射口71から30cm離れた距離で、液状組成物2を1回噴射し、各犬の反応を観察した。このとき、全く反応がない状態を++(3点)、その場から動かないが軽度の反応を示す状態を+(2点)、その場から動かないが大きな反応を示す状態を±(1点)、その場から逃走した状態を-(0点)とし、3種類の犬の合計点を算出した。この合計点が5点以上である場合を、エアゾール製品等中の液状組成物を犬の身体に十分に付着させることができるとして良好であると評価し、5点未満である場合を不良と評価した。この犬に対する試験結果を表2に示す。
【0045】
そして、平穏な状態でいる雑種、スコティッシュフォールド、雑種の3種類の猫に対して、犬のときと同様に、噴射口71から30cm離れた距離で、液状組成物2を1回噴射し、各猫の反応を観察した。そして、評価点数及び評価基準を、上記の犬のときと同じとして評価した。この猫に対する試験結果を表3に示す。
【0046】
【0047】
【0048】
表2及び表3に示すように、処方1及び処方2の液状組成物2と、不燃性圧縮気体として窒素を用いたのエアゾール製品は、液化石油ガス(LPG)を用いたエアゾール製品や圧縮気体を用いなかったスプレー製品よりも、液状組成物2の噴射音に対する犬や猫の反応が鈍く、エアゾール製品中の液状の組成物を動物の身体に付着させるために、噴射音によって動物を驚かせて逃げないようにすることができることが分かった。そして、表1より、上述したように噴射音によって動物を驚かせて逃げないようにするために、外装容器1に設けられたアクチュエータ7の噴射口71から5cmの距離において、液状組成物2を噴射したときの噴射音の音量が70dB以下、もっとも好ましくは65dB以下であればよいことが分かった。