(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062446
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170274
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA06
2B101CA08
2B101GB01
2B101GB06
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】上部空間から下部空間への尿の円滑な移動を妨げることなく、下部空間から上部空間への臭気の漏れを抑制するのに適した動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ1は、本体部10、及び仕切部20を備えている。本体部10は、排泄された尿を受ける。仕切部20は、本体部10の内部空間を上部空間S1と下部空間S2とに区画している。仕切部20は、尿を通過させる複数の貫通孔22を有している。複数の貫通孔22は、貫通孔22a、及び貫通孔22bを含んでいる。貫通孔22bは、貫通孔22aと同じ高さでかつ貫通孔22aよりも外側に位置している。貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄された尿を受ける本体部と、
前記尿を通過させる複数の貫通孔を有し、前記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、を備え、
前記複数の貫通孔は、第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と同じ高さでかつ当該第1の貫通孔よりも外側に位置する第2の貫通孔とを含んでおり、
前記第2の貫通孔の開口面積は、前記第1の貫通孔の開口面積よりも小さいことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の貫通孔の前記開口面積は、前記第1の貫通孔の前記開口面積の1/2以下である動物用トイレ。
【請求項3】
請求項2に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の貫通孔の前記開口面積は、前記第1の貫通孔の前記開口面積の1/4以下である動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
平面視で、前記第2の貫通孔の形状は、前記第1の貫通孔の形状と相似である動物用トイレ。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、平板状をしている動物用トイレ。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の貫通孔は、前記仕切部の中央部に設けられており、
前記第2の貫通孔は、前記仕切部の周辺部に設けられている動物用トイレ。
【請求項7】
請求項6に記載の動物用トイレにおいて、
平面視で前記仕切部に占める前記中央部の面積割合は、20%以上60%以下である動物用トイレ。
【請求項8】
請求項7に記載の動物用トイレにおいて、
前記中央部の前記面積割合は、30%以上50%以下である動物用トイレ。
【請求項9】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、複数の前記第1の貫通孔と、複数の前記第2の貫通孔とを有する動物用トイレ。
【請求項10】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の30%以上70%以下である動物用トイレ。
【請求項11】
請求項10に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の40%以上60%以下である動物用トイレ。
【請求項12】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記複数の貫通孔は、前記第1及び第2の貫通孔と同じ高さでかつ当該第2の貫通孔よりも外側に位置する第3の貫通孔を含んでおり、
前記第3の貫通孔の開口面積は、前記第2の貫通孔の前記開口面積よりも小さい動物用トイレ。
【請求項13】
請求項12に記載の動物用トイレにおいて、
平面視で、前記第3の貫通孔の形状は、前記第1及び第2の貫通孔の形状と相似である動物用トイレ。
【請求項14】
請求項12に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、複数の前記第3の貫通孔を有する動物用トイレ。
【請求項15】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記上部空間に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項16】
請求項15に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。
【請求項17】
請求項16に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。
【請求項18】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、1つの容器からなる動物用トイレ。
【請求項19】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記本体部に固定されていない動物用トイレ。
【請求項20】
請求項19に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、当該本体部の側面部から当該本体部の内側に突出する支持部を有し、
前記仕切部は、前記支持部上に載置される動物用トイレ。
【請求項21】
請求項20に記載の動物用トイレにおいて、
前記支持部は、平面視で、前記側面部の内周の全体に設けられている動物用トイレ。
【請求項22】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、当該仕切部の外周の全体が前記本体部の側面部から離間した状態で、当該本体部内に配設することが可能である動物用トイレ。
【請求項23】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記下部空間に配設され、前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。
【請求項24】
請求項23に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部(トレー)、及び本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部(簀子)を備えている。仕切部は、尿を通過させる複数の貫通孔を有している。上部空間(仕切部上)には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。下部空間には、尿を吸収する吸水性シートが配設されている。本体部に排泄された尿は、粒状体どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部の貫通孔を通じて上部空間から下部空間へと移動する。下部空間に移動した尿は、吸水性シートに吸収された状態で下部空間に溜まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の動物用トイレにおいては、下部空間に溜まった尿から発生した臭気が、貫通孔を通じて上部空間に漏れることがある。このことは、動物用トイレの周囲に悪臭が漂う原因となる。かかる臭気の漏れを抑制するために、各貫通孔の開口面積を小さくすることが考えられる。しかしながら、各貫通孔の開口面積を小さくすると、上部空間から下部空間への尿の円滑な移動が妨げられてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上部空間から下部空間への尿の円滑な移動を妨げることなく、下部空間から上部空間への臭気の漏れを抑制するのに適した動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部と、上記尿を通過させる複数の貫通孔を有し、上記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、を備え、上記複数の貫通孔は、第1の貫通孔と、上記第1の貫通孔と同じ高さでかつ当該第1の貫通孔よりも外側に位置する第2の貫通孔とを含んでおり、上記第2の貫通孔の開口面積は、上記第1の貫通孔の開口面積よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、仕切部に第1及び第2の貫通孔が設けられている。第2の貫通孔は、第1の貫通孔よりも外側に位置している。そして、第2の貫通孔の開口面積は、第1の貫通孔の開口面積よりも小さい。このように比較的外側に位置する第2の貫通孔の開口面積を小さくすることにより、下部空間に溜まった尿から発生した臭気が上部空間に漏れにくくなる。一方、第1の貫通孔の開口面積を大きくすることにより、尿が上部空間から下部空間へ円滑に移動しやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上部空間から下部空間への尿の円滑な移動を妨げることなく、下部空間から上部空間への臭気の漏れを抑制するのに適した動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。
【
図7】変形例に係る仕切部20を示す平面図である。
【
図8】本体部10の変形例を説明するための端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。動物用トイレ1は、本体部10、仕切部20、複数の粒状体30、吸水性シート40、及び引出部50を備えている。動物用トイレ1は、例えば猫用トイレである。本体部10は、1つの箱状の容器からなり、底面部10a及び側面部10bを有している。本体部10は、排泄された尿を受ける。本体部10の外形は、略直方体である。本体部10の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンが挙げられる。
【0012】
図2及び
図3は、それぞれ、本体部10を示す端面図及び正面図である。本体部10の側面部10bには、引出部50を抜き挿しするための開口12が形成されている。開口12は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口12の横方向(
図3の左右方向)の長さは、本体部10の横幅(内寸)に略等しく、例えば20cm以上40cm以下である。開口12の縦方向(
図3の上下方向)の長さは、例えば2cm以上5cm以下である。
【0013】
図4は、本体部10を示す平面図である。本体部10は、支持部14を有している。支持部14は、側面部10bから本体部10の内側に突出している。支持部14は、仕切部20を下から支持する。支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の全体に設けられている。すなわち、支持部14は、側面部10bの内周に沿って環状に設けられた突条からなる。側面部10bの内周は、平面視で、略矩形状をしている。ここで、略矩形とは、矩形に限らず、角丸四角形のように矩形に近い形状も含む趣旨である。支持部14の突出長さ(当該支持部14が設けられた側面部10bの内面に垂直な方向の長さ)は、例えば5mm以上15mm以下である。支持部14は、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。
【0014】
図5は、仕切部20を示す平面図である。仕切部20は、支持部14上に載置されている。仕切部20は、本体部10に固定されていない。仕切部20は、本体部10に対して着脱可能である。仕切部20は、その外周全体が側面部10bから離間した状態で本体部10内に配設することが可能である。仕切部20は、板状の部材からなり、平板状をしている。それゆえ、仕切部20の上面の全体が同一平面内にあるとともに、仕切部20の下面の全体も同一平面内にある。仕切部20は、平面視で、略矩形状をしている。仕切部20は、底面部10aと平行に配置されている。また、仕切部20は、本体部10(側面部10b)の上端及び吸水性シート40の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部20は、本体部10の内部空間を上部空間S1と下部空間S2とに区画している。上部空間S1は、仕切部20の上方に存在し、複数の粒状体30が敷設される空間である。下部空間S2は、仕切部20の下方に存在し、尿が溜まる空間である。仕切部20の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。
【0015】
仕切部20は、尿を通過させる複数の貫通孔22を有している。以下の記述において「複数の貫通孔22」は、別段の断りがない限り、仕切部20に設けられた全ての貫通孔22を指すものとする。各貫通孔22は、尿を通過させる一方で、粒状体30を通過させない。複数の貫通孔22は、仕切部20において格子状に配列されている。
【0016】
複数の貫通孔22は、貫通孔22a(第1の貫通孔)、及び貫通孔22b(第2の貫通孔)を含んでいる。本実施形態において複数の貫通孔22は、貫通孔22a及び貫通孔22bのみからなる。平面視で、貫通孔22bの形状は、貫通孔22aの形状と相似である。本実施形態において各貫通孔22a,22bの平面形状は、円形である。複数の貫通孔22は、同じ高さに位置している。すなわち、各貫通孔22から底面部10aまでの距離は、一定である。それゆえ、貫通孔22bは、貫通孔22aと同じ高さに位置している。ただし、貫通孔22bは、貫通孔22aよりも外側に位置している。すなわち、平面視で、貫通孔22bから仕切部20の外周までの最短距離は、貫通孔22aから仕切部20の外周までの最短距離よりも小さい。
【0017】
貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積よりも小さい。ここで、開口面積は、各貫通孔22を平面視(
図5参照)したときの開口部分の面積として定義される。貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。仕切部20は、複数の貫通孔22a、及び複数の貫通孔22bを有している。貫通孔22aの個数は、貫通孔22a及び貫通孔22bの個数の合計の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。
【0018】
貫通孔22a及び貫通孔22bは、それぞれ、仕切部20の中央部20a及び周辺部20bに設けられている。全ての貫通孔22aが中央部20aに設けられるとともに、全ての貫通孔22bが周辺部20bに設けられている。中央部20aは、平面視で全ての貫通孔22aを内包し得る最小の仮想的な矩形R1で囲まれた部分である。矩形R1の長辺及び短辺は、それぞれ、仕切部20の長辺及び短辺に平行である。平面視で、中央部20aの中心は、仕切部20の中心に一致する。周辺部20bは、仕切部20における中央部20a以外の部分であり、中央部20aの全体を包囲している。平面視で仕切部20に占める中央部20aの面積割合は、20%以上60%以下であることが好ましく、30%以上50%以下であることがより好ましい。
【0019】
本体部10の上部空間S1には、排泄物(主に尿)を処理するための複数の粒状体30が敷設される。複数の粒状体30は、仕切部20上に直接敷設される。各粒状体30は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体30の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体30の粒径は、当該粒状体30を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ1の使用時、粒状体30は、排泄物を直接に受けることになる。
【0020】
粒状体30は、疎水性を有している。すなわち、粒状体30は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。かかる疎水性を有する粒状体30は、吸水性を有する粒状体とは異なり、尿で濡れたときに粒状体どうしが接着して固まりを形成するということはない。
【0021】
粒状体30が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体30(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、液通過率が60%以上となるため、粒状体30が疎水性を有するといえる。
【0022】
各粒状体30は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体30の主材料とは、粒状体30を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体30に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。各粒状体30は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0023】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙)、石膏ボード由来の紙(石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙)、又は衛生用品由来の紙(紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙)を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、塩ビ壁紙由来のプラスチック(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック)、又は衛生用品由来のプラスチック(プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック)を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0024】
粒状体30を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体30を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体30は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体30に疎水性を付与しやすくなる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体30の全体に対して5重量%以上50重量%未満とされる。
【0025】
粒状体30は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料(粒状体30を構成する材料)を造粒することにより、粒状体30となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体30の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。
【0026】
本体部10の下部空間S2には、吸水性シート40が配設される。吸水性シート40は、仕切部20の貫通孔22を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔22を通過した尿は、吸水性シート40に吸収された状態で下部空間S2に溜まる。
【0027】
図6は、引出部50を示す斜視図である。引出部50は、底板50a、前板50b、先板50c、及び一対の側板50dを有している。底板50aの大きさは、本体部10の底面部10aの大きさに略等しい。前板50bは、開口12と略同一の形状及び大きさをしている。前板50bには、把手52が取り付けられている。引出部50は、開口12を通じて本体部10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部50には、吸水性シート40が収容される。すなわち、吸水性シート40は、引出部50に収容された状態で本体部10内に配設される。引出部50の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。
【0028】
動物用トイレ1の使用時、本体部10に排泄された尿は、粒状体30どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部20の貫通孔22を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動する。下部空間S2に移動した尿は、吸水性シート40に吸収される。
【0029】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、仕切部20に貫通孔22a及び貫通孔22bが設けられている。貫通孔22bは、貫通孔22aよりも外側に位置している。そして、貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積よりも小さい。このように比較的外側に位置する貫通孔22bの開口面積を小さくすることにより、下部空間S2に溜まった尿から発生した臭気が上部空間S1に漏れにくくなる。臭気は、特に本体部10の側面部10bに沿って上昇する傾向があるため、比較的内側に位置する貫通孔22aよりも比較的外側に位置する貫通孔22bを通過しやすいからである。一方、貫通孔22aの開口面積を大きくすることにより、尿が上部空間S1から下部空間S2へ円滑に移動しやすくなる。したがって、上部空間S1から下部空間S2への尿の円滑な移動を妨げることなく、下部空間S2から上部空間S1への臭気の漏れを抑制するのに適した動物用トイレ1が実現されている。
【0030】
このように尿の円滑な移動を妨げることなく臭気の漏れを抑制する観点から、貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。他方、当該割合が小さすぎると、各貫通孔22a,22bの開口面積の設計可能な範囲が狭くなり、動物用トイレ1の製造に支障を来しかねない。かかる観点から、貫通孔22bの開口面積は、貫通孔22aの開口面積の1/8以上であることが好ましい。
【0031】
平面視で、貫通孔22bの形状は、貫通孔22aの形状と相似である。このように貫通孔22a及び貫通孔22bの形状を相似にすることにより、仕切部20ひいては動物用トイレ1の美観を高めることができる。ただし、平面視で、貫通孔22bの形状は、貫通孔22aの形状と相似でなくてもよい。
【0032】
仕切部20は、平板状をしている。これにより、仕切部20の成形が容易となる。このことは、仕切部20ひいては動物用トイレ1の製造コストの低減に資する。
【0033】
貫通孔22aは仕切部20の中央部20aに設けられており、貫通孔22bは仕切部20の周辺部20bに設けられている。このように貫通孔22aが配置される領域と貫通孔22bが配置される領域とを整然と区別することにより、仕切部20ひいては動物用トイレ1の美観を高めることができる。
【0034】
貫通孔22aが設けられた中央部20aの面積を小さくした方が、下部空間S2から上部空間S1への臭気の漏れを抑制するのに有利である。かかる観点から、平面視で仕切部20に占める中央部20aの面積割合は、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。他方、中央部20aの面積が小さすぎると、尿が上部空間S1から下部空間S2へ円滑に移動しにくくなってしまう。かかる観点から、上記面積割合は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
【0035】
貫通孔22aの個数を少なくした方が、下部空間S2から上部空間S1への臭気の漏れを抑制するのに有利である。かかる観点から、貫通孔22aの個数は、貫通孔22a及び貫通孔22bの個数の合計の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。他方、貫通孔22aの個数が少なすぎると、尿が上部空間S1から下部空間S2へ円滑に移動しにくくなってしまう。かかる観点から、貫通孔22aの個数は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
【0036】
粒状体30は、疎水性を有している。この場合、粒状体30上に排泄された尿の大部分は、粒状体30に吸収されずに、粒状体30どうしの隙間を通り抜けていく。これにより、尿を下部空間S2まで速やかに導くことができる。
【0037】
各粒状体30が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体30を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体30の処分の便宜に資する。特に各粒状体30が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体30を得ることができる。
【0038】
本体部10は、1つの容器からなっている。この場合、本体部10が複数の容器からなる場合に比して簡易な構成で、上部空間S1及び下部空間S2を有する動物用トイレ1を実現することができる。
【0039】
仕切部20は、本体部10に固定されていない。この場合、本体部10に対する仕切部20の着脱が容易になる。
【0040】
仕切部20は、支持部14上に載置されている。これにより、本体部10に固定することなく仕切部20を本体部10内の所定の位置に留めておくことができる。
【0041】
支持部14は、平面視で、側面部10bの内周の全体に設けられている。これにより、仕切部20が下部空間S2に落下してしまう事態を防ぎやすくなる。
【0042】
仕切部20は、その外周全体が側面部10bから離間した状態で本体部10内に配設することが可能である。このように仕切部20と側面部10bとの間にマージンを設けておくことにより、本体部10に対する仕切部20の着脱を円滑に行うことができる。
【0043】
下部空間S2には、吸水性シート40が配設されている。これにより、下部空間S2に溜まった尿を吸水性シート40内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。
【0044】
本体部10に対して抜き挿しすることが可能な引出部50が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート40を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。
【0045】
ところで、猫は、犬等の他の動物と異なり、排泄後に排泄物を粒状体で隠す習性を有する。それゆえ、上部空間S1に複数の粒状体30が敷設される動物用トイレ1は、猫用トイレとして特に好適に用いることができる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、開口面積が相異なる2種類の貫通孔22(貫通孔22a及び貫通孔22b)が仕切部20に設けられた場合を例示した。しかし、仕切部20は、例えば
図7に示すように、開口面積が相異なる3種類以上の貫通孔22を有していてもよい。同図において仕切部20は、貫通孔22a及び貫通孔22bに加えて、貫通孔22c(第3の貫通孔)を有している。貫通孔22cは、貫通孔22a及び貫通孔22bと同じ高さでかつ貫通孔22bよりも外側に位置している。貫通孔22cの開口面積は、貫通孔22bの開口面積よりも小さい。平面視で、貫通孔22cの形状は、貫通孔22a及び貫通孔22bの形状と相似である。仕切部20は、複数の貫通孔22cを有している。
【0047】
貫通孔22cは、仕切部20の周辺部20cに設けられている。全ての貫通孔22cが周辺部20cに設けられている。本例において周辺部20b(第1の周辺部)は、平面視で全ての貫通孔22bを内包し得る最小の仮想的な矩形R2で囲まれた部分から、中央部20aを除いた部分である。矩形R2の長辺及び短辺は、それぞれ、仕切部20の長辺及び短辺に平行である。周辺部20c(第2の周辺部)は、仕切部20における中央部20a及び周辺部20b以外の部分であり、周辺部20bの全体を包囲している。
【0048】
上記実施形態においては、貫通孔22の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、貫通孔22の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。
【0049】
上記実施形態においては、引出部50が設けられた場合を例示した。しかし、引出部50を設けることは必須でない。引出部50を設けない場合、吸水性シート40は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口12は設けられない。
【0050】
上記実施形態においては、本体部10に吸水性シート40が配設される場合を例示した。しかし、本体部10に吸水性シート40を配設することは必須でない。吸水性シート40を配設しない場合、引出部50も設けられない。
【0051】
上記実施形態においては、本体部10が1つの容器で構成された場合を例示した。しかし、本体部10は、例えば
図8に示すように、複数の容器で構成されてもよい。同図において本体部10は、2つの容器(容器62,64)で構成されている。各容器62,64は、底面部及び側面部を有する箱状をしている。容器62は、容器64上に積み重ねられている。容器62の底面部は、貫通孔22を有しており、平板状の仕切部20を構成している。これにより、容器62の内部空間及び容器64の内部空間が、それぞれ上部空間S1及び下部空間S2となっている。また、容器64の底面部が本体部10の底面部を構成するとともに、容器62の側面部及び容器64の側面部が本体部10の側面部を構成している。
【符号の説明】
【0052】
1 動物用トイレ
10 本体部
10a 底面部
10b 側面部
12 開口
14 支持部
20 仕切部
20a 中央部
20b 周辺部(第1の周辺部)
20c 周辺部(第2の周辺部)
22 貫通孔
22a 貫通孔(第1の貫通孔)
22b 貫通孔(第2の貫通孔)
22c 貫通孔(第3の貫通孔)
30 粒状体
40 吸水性シート
50 引出部
52 把手
62 容器
64 容器
S1 上部空間
S2 下部空間