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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062449
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電源装置、及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240501BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240501BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170279
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊貴
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA06
5G015GB01
5G015HA02
5G015JA55
5G503AA01
(57)【要約】
【課題】電力変換効率を良くする。
【解決手段】商用電源を用いて直流電圧VDC2Cを発生し、制御ユニット40に直流電力(Il×出力電圧)を供給する絶縁型直流電源回路125と、直流電圧VDC2Cを用いて二次電池20を充電する充電回路130と、二次電池20の電圧を検出する二次電池電圧検出回路140と、二次電圧の電圧低下を検出したら充電回路130を起動させる電源制御回路190とを備え、二次電池20を充電する充電開始電圧が複数設定されており、電源制御回路190は、直流電力に応じて、何れかの充電開始電圧に設定する。例えば、電源制御回路190は、直流電力が多いときに充電回路130を起動させる二次電池20の充電開始電圧を高く設定し、直流電力が少ないときに充電開始電圧を低く設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を用いて直流電圧を発生し、負荷に直流電力を供給する絶縁型直流電源回路と、
前記直流電圧を用いて二次電池を充電する充電回路と、
前記二次電池の電圧を検出する二次電池電圧検出回路と、
前記二次電池の電圧低下を検出したら前記充電回路を起動させる電源制御回路とを備え、
前記二次電池を充電する充電開始電圧が複数設定されており、
前記電源制御回路は、前記直流電力に応じて、何れかの前記充電開始電圧に設定する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記充電開始電圧は、前記二次電池の公称電圧よりも低い第1充電開始電圧と、該第1充電開始電圧よりも低い第2充電開始電圧との2つであり、
前記電源制御回路は、前記直流電力が多いときに前記第1充電開始電圧に設定し、前記直流電力が少ないときに前記第2充電開始電圧に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記絶縁型直流電源回路の出力電圧は、固定電圧であり、
前記電源制御回路は、前記絶縁型直流電源回路の出力直流電流が多いときに前記第1充電開始電圧に設定し、該出力直流電流が少ないときに前記第2充電開始電圧に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記負荷は、通常モードおよび省エネモードを有する制御回路であり、
前記電源制御回路は、前記制御回路が通常モードであるときに前記第1充電開始電圧に設定し、前記制御回路が省エネモードであるときに前記第2充電開始電圧に設定する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記充電回路は、一定電流で一定時間、前記二次電池を充電するものであり、
前記第1充電開始電圧と前記前記第2充電開始電圧との差分電圧は、前記二次電池の公称電圧の0.1倍未満である
ことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記充電回路は、前記直流電力が多いときに充電電流を少なくし、前記直流電力が少ないときに充電電流を多くする
ことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項7】
前記二次電池から供給される直流電力と前記電源制御回路から供給される直流電力とを切り替えて、切り替えられた直流電力を前記負荷に供給する第1切替回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記負荷は、第1外部回路であり、
前記絶縁型直流電源回路は、前記第1外部回路に直流電力を供給する第1電源電力変換回路と、前記第1外部回路により制御される第2外部回路に直流電力を供給する第2電源電力変換回路とを備えて構成されており、
前記商用電源の給電断を検出する停電検出回路と、該給電断が検出されたとき、前記二次電池の電圧を昇降圧する機構系電源昇降圧回路と、
前記第1外部回路により制御される第2外部回路に印加される電源電圧が前記第2電源電力変換回路から前記機構系電源昇降圧回路に切り替える第2切替回路とをさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の電源装置を備えた自動取引装置。
【請求項10】
商用電源を用いて直流電圧を発生し、第1負荷に直流電力を供給する絶縁型直流電源回路と、
前記直流電圧を用いて二次電池を充電する充電回路と、
前記二次電池の電圧を検出する二次電池電圧検出回路と、
前記二次電池の電圧低下を検出したら前記充電回路を起動させる電源制御回路とを備え、
前記充電回路は、前記直流電力が多いときに充電電流を少なくし、前記直流電力が少ないときに充電電流を多くする
ことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電源装置を備えた自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び電源装置を用いた自動取引装置に関し、例えば、停電発生時にも取引運用を保証するバッテリバックアップ用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の現金自動預払装置や券売機等の自動取引装置は、主制御装置、電源ユニット、バッテリユニット、表示ユニット、紙幣ユニット、硬貨ユニット、カードユニット、通帳ユニット等、複数のユニットで構成されている。
特に、各ユニットを制御する制御ユニット、商用電源から直流電圧を発生させる電源ユニット、二次電池から交流電力を発生させるバッテリユニットは、常時起動するものであり、主制御装置はオペレーティングシステムやアプリケーション等のプログラムを記憶部に格納し、取引データ等も記録している。
【0003】
このため、従来の自動取引装置は、装置稼働中に停電などの入力電力異常が発生した場合、オペレーティングシステムやアプリケーション等のプログラムの保護や取引データ等の保護のために、主制御装置、及び表示ユニットへの電力供給と、カード返却を行うためのカードユニットへの電力供給との双方を電源ユニットからバッテリユニットに切り替えていた。
【0004】
特許文献1には、商用電源から直流電圧を生成する非絶縁型直流電源回路と、前記直流電圧を用いて二次電池を充電する絶縁型充電回路と、前記商用電源の給電断時に前記二次電池から放電され、前記直流電源回路と同一の直流電圧を生成する絶縁型昇圧回路とを備えた無停電電源装置、及びこれを用いた自動取引装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6645248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の自動取引装置では、非絶縁型直流電源回路の出力電圧を用いて、負荷(制御ユニット)を駆動するとともに、バッテリバックアップ用の二次電池を充電する充電回路を常に機能させている。
ところで、スイッチング回路は、ON状態とOFF状態との間を遷移しているときに発生するスイッチング損失と、ON状態のときに発生するオン損失との双方を発生する。スイッチング損失およびオン損失は、負荷電流に比例するが、一般的に、スイッチング損失は、オン損失よりも大きい。そのため、負荷電流が少ないとスイッチング損失が支配的になる。
特許文献1に記載の自動取引装置であっても、非絶縁型直流電源回路が負荷に流す負荷電流が少ないときには、オン損失よりもスイッチング損失が支配的になり、変換効率が低かった。
【0007】
本発明は、電力変換効率の良い電源装置、及びこれを用いた自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1発明の電源装置(10)は、商用電源を用いて直流電圧(VDC2C)を発生し、負荷(制御ユニット40)に直流電力(Il×出力電圧)を供給する絶縁型直流電源回路(125)と、前記直流電圧を用いて二次電池(20)を充電する充電回路(130)と、前記二次電池の電圧を検出する二次電池電圧検出回路(140)と、前記二次電圧の電圧低下を検出したら前記充電回路を起動させる電源制御回路(190)とを備え、前記二次電池を充電する充電開始電圧が複数設定されており、前記電源制御回路は、前記直流電力に応じて、何れかの前記充電開始電圧に設定することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【0009】
絶縁型直流電源回路が出力する負荷電力((Il+Ibat)×出力電圧)は、前記直流電力と充電回路を駆動させる駆動電力とが重畳されている。そのため、絶縁型直流電源回路は、負荷に直流電力のみを供給するときよりも、電力変換効率が高くなる。ここで、複数の充電開始電圧を設定することで、二次電池に対する充放電の繰り返しが速くなったり、遅くなったりする。充放電の繰り返しを速くすることができると、遅いときよりも電力変換効率が高くなり易い。
【0010】
また、本発明の第2発明の電源装置は、商用電源を用いて直流電圧を発生し、第1負荷(制御ユニット40)に直流電力を供給する絶縁型直流電源回路(125)と、前記直流電圧を用いて二次電池を充電する充電回路(130)と、前記二次電池の電圧を検出する二次電池電圧検出回路(140)と、前記二次電池の電圧低下を検出したら前記充電回路を起動させる電源制御回路(190)とを備え、前記充電回路は、前記直流電力が多いときに充電電流を少なくし、前記直流電力が少ないときに充電電流を多くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電力変換効率の良い電源装置、及び自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態である電源装置、及び自動機器の構成図である。
図2】電力変換回路の負荷電流と電力変換効率との関係を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態である電源装置に含まれる電源制御回路が二次電池充電回路を制御するフローチャートである。
図4】力率改善回路、絶縁型昇圧回路、及び機構系電源昇圧回路を例示する回路図である。
図5】本発明の第1実施形態である自動取引装置の構成図である。
図6】本発明の第1実施形態である自動取引装置の停電発生時の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態である電源装置に含まれる電源制御回路が二次電池充電回路を制御するフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態の通常モードおよび省エネモードについて、二次電池を充電する充電電流と負荷に流す電源電流との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
(構成の説明)
図1は、本発明の第1実施形態である電源装置、及び自動機器の構成図である。
自動機器1は、電源装置10と、二次電池20と、第2外部回路としてのメカユニット30と、負荷や第1外部回路としての制御ユニット40と、制御ユニット40に接続されているスイッチ70とを備え、例えば、ATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置1a(図5)である。電源装置10は、無停電電源装置として機能し、停電等により商用電源2の給電断を検出すると、制御ユニット40に印加される電源電圧を二次電池20の公称電圧(例えば、18V)から絶縁型直流電源回路125が発生する直流電圧(例えば、24V)に切り替えると共に、メカユニット30に印加される電源電圧を機構系電源昇圧回路160の出力電圧(例えば、24V)に切り替える。また、電源装置10は、常時、制御ユニット40に直流電力を供給している。制御ユニット40は、スイッチ70の投入によって、電源装置10に対して、機構系電源電力変換回路110がメカユニット30に直流電力を供給するように指示する。
【0015】
電源装置10は、絶縁型直流電源回路125(力率改善回路100、機構系電源電力変換回路110、制御系電源電力変換回路120)と、二次電池充電回路130と、二次電池電圧検出回路140と、停電検出回路150と、機構系電源昇圧回路160と、2つの切替回路(機構系電源電圧切替回路170,制御系電源電圧切替回路180)と、電源制御回路190とを備える。商用電源2は、力率改善回路100に接続されている。
【0016】
力率改善回路100は、非絶縁の直流電源装置であり、商用電源2の交流電圧を直流電圧に変換する。力率改善回路100は、ワールドワイド仕様(入力交流電圧:100V~240V)とすることが好ましく、所定の電圧(一次側直流電圧VDC1(例えば、VDC1=380V))を出力する。また、力率改善回路100は、交流電流の波形と交流電圧の波形とが略一致するように、電源制御回路190がトランジスタ103a,103b(図2(a))をON/OFF制御し、交流電流の高調波成分を低減する。これにより、力率改善回路100は、有効電力を増加させ、力率を改善する。
【0017】
機構系電源電力変換回路110は、一次側直流電圧VDC1をメカユニット30の直流電源電圧VDC2Mまで降圧する絶縁型直流電源回路である。機構系電源電力変換回路110は、電源制御回路190と制御線(破線)で接続されており、スイッチ70を投入したときに、起動する。なお、機構系電源電力変換回路110は、簡易なフォワード回路(図2(b))を例示したが、メカユニット30の消費電力に合わせて、複数のトランジスタを使用するブリッジ回路やLLC共振回路等が使用される。
【0018】
制御系電源電力変換回路120は、一次側直流電圧VDC1を制御ユニット40の直流電源電圧VDC2Cまで降圧する絶縁型直流電源回路である。制御系電源電力変換回路120は、機構系電源電力変換回路110と同様の回路構成であるが、出力電力が少なく、常時、出力直流電力を出力している点で相違する。つまり、電源装置10は、単一の電力変換回路を用い、複数の二次巻線を用いる方式に比較して、機構系電源電力変換回路110、及び制御系電源電力変換回路120のいずれか一方又は双方を独立して駆動することができる。なお、制御系電源電力変換回路120は、電源制御回路190によって、駆動制御されるが、スイッチ70(図1)の投入にかかわらず常時駆動する。
【0019】
機構系電源電圧切替回路170は、ダイオード171を有し、機構系電源昇圧回路160からメカユニット30に流れる電流と、機構系電源電力変換回路110からメカユニット30に流れる電流とを切り替える。具体的には、機構系電源電圧切替回路170は、停電により、機構系電源電力変換回路110の出力電圧が、機構系電源昇圧回路160の出力電圧よりも低下したとき(より正確には、機構系電源昇圧回路160の直流出力電圧からダイオード171の順方向電圧を減じた電圧よりも低下したとき)に、電流が切り替わる。
【0020】
制御系電源電圧切替回路180は、ダイオード181を有し、二次電池20から制御ユニット40に流す電源電流と、制御系電源電力変換回路120から制御ユニット40に流す電源電流Ilとを切り替える。具体的には、制御系電源電圧切替回路180は、停電により、制御系電源電力変換回路120の出力電圧が、二次電池20の出力電圧よりも低下したとき(より正確には、二次電池20の出力電圧からダイオード181の順方向電圧を減じた電圧よりも低下したとき)に、電流が切り替わる。なお、電源電流Ilは、制御系電源電力変換回路120が負荷(制御ユニット40)に流す出力直流電流でもある。
【0021】
これにより、機構系電源電力変換回路110、及び制御系電源電力変換回路120は、停電時であっても通常時と同様にメカユニット30、及び制御ユニット40に直流電力を供給することができる。
【0022】
二次電池充電回路130は、停電が発生していない通常時において、制御系電源電力変換回路120の直流電源電圧VDC2C(例えば、VDC2C=24V)を用いて、二次電池20を充電する回路である。なお、二次電池充電回路130は、二次電池20が過充電を起こさないように充電電流Ibatに制限する電流制限機能を有している。なお、二次電池充電回路130の駆動電圧(電源電圧)は、二次電池20の公称電圧(18V)よりも高い値になっている。
【0023】
二次電池電圧検出回路140は、二次電池20の電圧を検出する回路であり、電源制御回路190に二次電池電圧信号(不図示)を送信する。停電検出回路150は、商用電源2が給電する交流電力の給電断(停電)を検出する回路であり、一次側と二次側とが絶縁されている。電源制御回路190は、停電検出回路150が給電断を検出すると、機構系電源昇圧回路160を駆動する。
【0024】
電源制御回路190は、マイクロコントローラ等の制御部から構成されており、制御系電源電圧切替回路180の出力電圧によって、停電か否かに拘わらず駆動される。電源制御回路190は、力率改善回路100、機構系電源電力変換回路110、制御系電源電力変換回路120、二次電池充電回路130、及び、機構系電源昇圧回路160のスイッチング素子をON/OFF制御する。ここで、電源制御回路190は、常時、制御系電源電力変換回路120を駆動し、スイッチ70が投入されると、機構系電源電力変換回路110を駆動する。
【0025】
また、電源制御回路190は、停電検出回路150から停電信号(不図示)を受信し、二次電池電圧検出回路140から二次電池電圧信号(不図示)を受信する。電源制御回路190は、停電検出回路150による停電信号により、割込みが発生し、機構系電源昇圧回路160を駆動する。なお、機構系電源昇圧回路160は、停電が検出される前から駆動していてもよく、その場合、機構系電源昇圧回路160の出力電圧は、機構系電源電力変換回路110の出力電圧よりも低い電圧となる。
【0026】
さらに、電源制御回路190は、制御ユニット40と制御線(破線)で接続されており、停電信号、二次電池電圧低下信号やアラーム信号等を制御ユニット40に送信する。ここでアラーム信号は、電源装置10の故障信号、二次電池20の故障信号等があり、後記する。
【0027】
制御ユニット40は、OS(Operating System)を搭載したコンピュータであり、表示ユニット50(図5参照)及びメカユニット30と接続し、これらを制御する。制御ユニット40は、制御系電源電力変換回路120の負荷として機能する。制御ユニット40は、省エネモード(省電力モード)と通常モード(非省電力モード)とがある。省エネモードは、メカユニット30を機能させないモードであり、LED(Light Emitting Diode)の消灯や、画面輝度の低下等を行っている。そのため、制御ユニット40に流れる電源電流Ilは、通常モード>省エネモードとなる。また、二次電池充電回路130に流れる充電電流Ibat>省エネモードで流れる電源電流Ilである。
【0028】
なお、メカユニット30との接続(制御用インタフェース)は、制御ユニット40と絶縁されていることが好ましい。制御ユニット40は、内部に非絶縁型DC-DC変換器40aを備え、非絶縁型DC-DC変換器40aが直流電源電圧VDC2C(具体的には、制御系電源電力変換回路120の出力電圧(24V)または二次電池の電圧(18V))を12V、5V、3.3V等に降圧する。言い換えれば、制御ユニット40の電源電圧仕様値は、少なくとも、二次電池20の電圧(例えば18V)から制御系電源電力変換回路120の出力電圧(24V)以上の許容幅を有している。さらに言い換えれば、制御ユニット40の電源電圧仕様値は、少なくとも、二次電池20の電圧(例えば18V)から該電圧(18V)と二次電池充電回路130が駆動可能な入出力間電圧とを加算した加算電圧(入力電源電圧=制御系電源電力変換回路120の出力直流電圧)までの許容幅を有している。
【0029】
また、制御ユニット40は、ネットワークを介して通信を行う通信部、HDD等の不揮発性記憶部、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶部を内蔵しており、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)に格納されたOSやアプリケーションプログラムがRAMに展開され、そのプログラムがCPUにより実行されることにより、自動取引装置としての機能が実現される。
【0030】
図2は、電力変換回路の負荷電流と電力変換効率との関係を示す図である。横軸は、電力変換回路、例えば制御系電源電力変換回路120の負荷電流(Il+Ibat)であり、縦軸が電力変換効率ηである。ここで、電力変換効率ηは、η=(出力直流電力/入力直流電力)である。制御系電源電力変換回路120は、負荷電流(Il+Ibat)が少ないときには、電力変換効率ηが低く、負荷電流(Il+Ibat)が増加するにつれて電力変換効率ηが高くなる性質を有している。例えば、負荷電流I1のとき電力変換効率η1であり、負荷電流I2(I2>I1)のとき電力変換効率η2(η2>η1)である。
【0031】
一般的に、電力変換回路は、負荷電流(Il+Ibat)に依存する電力損失が発生する。また、スイッチング素子を制御する制御回路(例えば、電源制御回路190)を有している。この制御回路は、負荷電流(Il+Ibat)に依存しない固定の電力損失(固定電力損失)を発生する。そのため、負荷電流(Il+Ibat)が多いときには、電力変換効率は、負荷電流(Il+Ibat)に依存するが、負荷電流(Il+Ibat)が少ないときには、固定損失が支配的になる。なお、電力損失には、ON状態とOFF状態とを遷移するときに発生するスイッチング損失と、ON状態のときに発生するON損失(伝導損)とがある。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態である電源装置に含まれる電源制御回路190が二次電池充電回路130を制御するフローチャートである。このフローは、電源起動時に起動する。
電源制御回路190は、制御ユニット40の運用状況、つまり、省エネモードで運用されているか通常モードで運用されているかを判定する(S1)。制御ユニット40が通常モードであれば(S1で「通常モード」)、電源制御回路190は、二次電池20の電圧チェックを行う(S2)。二次電池電圧Vbat=一次側直流電圧VDC1Bが所定の第1充電開始電圧Vbat1以上であれば(S2で「二次電池電圧≧Vbat1」)、電源制御回路190は、S1に戻り、運用状況の判定を繰り返す。ここで、第1充電開始電圧Vbat1は、二次電池20の公称電圧よりも僅かに高い電圧(例えば、公称電圧の1.07以上~1.09倍、具体的には、1.08倍)である。一方、二次電池電圧Vbatが第1充電開始電圧Vbat1未満まで低下すれば(S2で「二次電池電圧<Vbat1」)、電源制御回路190は、二次電池充電回路130に対して、二次電池20の充電を行わせる(S3)。この充電は、一定電流Ibatで所定の充電時間T(不図示)だけ行われる。このときの充電完了電圧をVbatc(不図示)とする。そして、充電時間Tの経過により充電が完了したら処理をS1に戻す(S4)。なお、充電完了電圧Vbatcは、例えば、二次電池20の公称電圧の1.2倍程度である。
【0033】
制御ユニット40が省エネモードであれば(S1で「省エネモード」)、電源制御回路190は、二次電池20の電圧チェックを行う(S5)。二次電池電圧Vbatが所定の第2充電開始電圧Vbat2以上であれば(S5で「二次電池電圧≧Vbat2」)、電源制御回路190は、処理をS1に戻し、運用状況の判定を繰り返す。ここで、第2充電開始電圧Vbat2は、公称電圧よりも僅かに高く、第1充電開始電圧Vbat1よりも僅かに低い電圧(例えば、公称電圧の1.05倍~1.07未満、具体的には、1.06倍)である。言い換えれば、(Vbat1-Vbat2)≒公称電圧×0.02≒0の関係がある。なお、この差分電圧(Vbat1-Vbat2)は、(Vbat1-Vbat2)<公称電圧×0.1の関係を有していれば構わない。
【0034】
一方、二次電池電圧Vbatが第2充電開始電圧Vbat2未満まで低下すれば(S5で「二次電池電圧<Vbat2」)、電源制御回路190は、二次電池充電回路130に対して、二次電池20の充電を行わせる(S6)。この充電は、S3と同様に、一定電流Ibatで充電時間T(不図示)だけ行われる。このときの充電完了電圧は、(Vbatc(不図示)-(Vbat1-Vbat2))となる。そして、充電が完了したら処理をS1に戻す(S7)。なお、第2充電開始電圧Vbat2を低下させ過ぎると(例えば、Vbat2<<公称電圧)、充電時間Tで一定であるので、充電完了電圧が公称電圧よりも低くなってしまう。
【0035】
これらの処理により、省エネモードの方が通常モードよりも充電開始電圧が低くなる。言い換えれば、電源制御回路190は、制御ユニット40に供給される直流電力や直流電流が多いときに充電開始電圧を高くし、制御ユニット40に供給される直流電力や直流電流が少ないときに充電開始電圧を低くしている。
【0036】
省エネモードの放電期間は、通常モードの放電期間よりも長い。省エネモードの放電期間に通常モードの充電が行われるので、通常モードの方が省エネモードよりも、総充電期間が長い。そのため、通常モードの方が省エネモードよりも、電力変換効率が高くなる。
【0037】
図4は、力率改善回路100、機構系電源電力変換回路110、制御系電源電力変換回路120および機構系電源昇圧回路160を例示する回路図である。ここで、白抜き逆三角形は、一次側回路(図1)の基準電位を意味し、黒塗り逆三角形は、一次側回路と絶縁された二次側回路の基準電位(接地電位)を意味する。
【0038】
図4(a)に示す力率改善回路100は、例えば、コイル101と4本のダイオード102a、102b、104a、104bと、2つのトランジスタ103a、103bと、2つの平滑コンデンサ105a、105bとを備え、非絶縁型直流電源回路として機能する。ここで、トランジスタ103a、103bは、FET(Field Effect Transistor)であるが、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であっても構わない。商用電源2(図1)に接続される2つのAC端子は、一方がコイル101の一端に接続され、他方がトランジスタ103aのソース、トランジスタ103bのドレイン、平滑コンデンサ105aの一端、及び平滑コンデンサ105bの一端の接続点Pに接続される。
【0039】
コイル101の他端は、ダイオード102aのアノード、及びダイオード102bのカソードの接続点に接続される。ダイオード102aのカソードは、ダイオード104aのアノード、及びトランジスタ103aのドレインに接続される。また、ダイオード102bのアノードは、ダイオード104bのカソード、及びトランジスタ103bのソースに接続される。
ダイオード104aのカソードは、平滑コンデンサ105aの他端に接続され、ダイオード104bのアノードは、平滑コンデンサ105bの他端に接続される。なお、ダイオード104aのカソード、及び平滑コンデンサ105aの他端の接続点は、+出力端子に接続され、ダイオード104bのアノード、及び平滑コンデンサ105bの他端の接続点は、-出力端子に接続され、一次側接地端となる。
【0040】
図4(b)に示す機構系電源電力変換回路110、制御系電源電力変換回路120は、絶縁型DC-DC変換回路の例示である。
機構系電源電力変換回路110、制御系電源電力変換回路120は、例えば、平滑コンデンサ111と、トランス113と、トランジスタ112と、2つのダイオード114,115と、平滑コンデンサ116と、コイル117とを備えるフォワード回路である。
【0041】
平滑コンデンサ111は、一次側直流電圧VDC1が印加されており、一端がトランス113の一次側コイル113aの一端に接続され、一次側コイル113aの他端は、トランジスタ112のドレインに接続される。トランジスタ112のソースは、平滑コンデンサ111の他端と共に、一次側接地端に接地される。
【0042】
トランス113の二次側コイル113bは、一端がダイオード114のアノードに接続され、ダイオード114のカソードはダイオード115のカソード、及びコイル117の一端に接続される。二次側コイル113bの他端は、ダイオード115のアノード、及び平滑コンデンサ116の一端に接続される。コイル117の他端、及び平滑コンデンサ116の他端は、+出力端子に接続され、ダイオード115のアノード、及び平滑コンデンサ116の一端は、-出力端子に接続され、二次側接地端に接地される。
【0043】
トランジスタ112のゲートは、電源制御回路190によりON/OFF制御される。トランジスタ112がON時にトランス113の一次側コイル113aに電流が流れると共に、ダイオード114を介して二次側電流がコイル117を流れ、平滑コンデンサ116が蓄電される。一方、トランジスタ112のOFF時には、一次側コイル113aに電流が流れることなく、二次側コイル113bに逆方向の起電力が発生し、ダイオード115を介して、二次側電流がコイル117を流れ、平滑コンデンサ116が蓄電される。このフォワード回路は、二次側電圧を一次側電圧で除した電圧比が巻数比で定まる。
【0044】
図4(c)に示す機構系電源昇圧回路160は、非絶縁型昇圧回路の例示である。
機構系電源昇圧回路160は、例えば、トランジスタ121と、コイル122と、ダイオード123と、平滑コンデンサ124とを備えて構成される。
二次電池20(図1)の正極に接続される正極端子は、コイル122の一端に接続される。コイル122の他端は、トランジスタ121のドレインおよびダイオード123のカソードに接続される。ダイオード123のアノードは、正極出力端および平滑コンデンサ124の正極に接続される。二次電池の負極に接続される負極端子と、トランジスタ121のソースと平滑コンデンサ124の負極と負極出力端とは、互いに接続されている。
【0045】
電源制御回路190は、トランジスタ121をオン状態にすると、コイル122に磁気エネルギが蓄積される。次に、電源制御回路190は、トランジスタ121をオフ状態に遷移させると、二次電池20(図1)の正極に接続される正極端子の電位とコイル122の逆起電力とが加算して、平滑コンデンサ124を充電する。入力電圧をV1、出力電圧をV2、トランジスタ121のオン時間をTON、オフ時間をTOFFとすると、
V2/V1=(1+TON/TOFF)
となる。例えば、TON=TOFFのとき、V2=2V1となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の電源装置10によれば、商用電源2の交流電力を用いて、電源制御回路190は、制御系電源電力変換回路120を駆動させる。これにより、制御系電源電力変換回路120は、制御ユニット40に電源電圧(例えば、24V)を印加する。また、二次電池充電回路130は、制御系電源電力変換回路120の出力直流電圧(例えば、24V)を用いて、二次電池20を充電する。そして、スイッチ70が投入されると、電源制御回路190は、機構系電源電力変換回路110を起動させる。これにより、機構系電源電力変換回路110は、メカユニット30に電源電圧(例えば、24V)を印加する。
【0047】
次に、商用電源2が停電等により給電断になると、制御系電源電力変換回路120の駆動が停止する。これにより、制御ユニット40に印加される電源電圧が制御系電源電力変換回路120の出力直流電圧(例えば、24V)から二次電池20の電圧(18V)に切り替わる。つまり、制御ユニット40に印加される電源電圧は、停電前後で異なる電圧が印加される。
また、給電断により、機構系電源電力変換回路110の駆動も自動的に停止する。さらに、停電検出回路150が商用電源2の停電等による給電断を検出すると、電源制御回路190は、機構系電源昇圧回路160を駆動させる。これにより、メカユニット30に印加される電源電圧が機構系電源電力変換回路110の出力直流電圧(例えば、24V)から機構系電源昇圧回路160の出力直流電圧(例えば、24V)に切り替わる。
【0048】
また、制御ユニット40が通常モードであるとき、二次電池20の充電開始電圧が高く設定され、制御ユニット40が省エネモードであるとき、二次電池20の充電開始電圧が低く設定される。
制御系電源電力変換回路120の負荷電力は、制御ユニット40に供給する直流電力と二次電池充電回路130を駆動させる駆動電力とが重畳されている。そのため、制御系電源電力変換回路120は、負荷に直流電力のみを供給するときよりも、電力変換効率が高い。このとき、制御ユニット40が通常モードである場合、電源制御回路190は、充電開始電圧を高く設定する。
【0049】
省エネモードの放電期間は、通常モードの放電期間よりも長い。省エネモードの放電期間に通常モードの充電が行われるので、通常モードの方が省エネモードよりも、総充電期間が長い。そのため、通常モードの方が省エネモードよりも、電力変換効率が高くなる。
【0050】
(自動取引装置)
図5は、本発明の第1実施形態である自動取引装置を例示する構成図である。
自動取引装置1aは、前記した電源装置10と、電源装置10に接続された二次電池20と、表示ユニット50と、制御ユニット40と、スイッチ70と、カードユニット31と、通帳ユニット32と、紙幣ユニット33と、硬貨ユニット34とを備えた現金自動預払機である。
【0051】
また、電源装置10は、商用電源2に接続され、電源装置10に接続された二次電池20は、自動取引装置1aに内蔵されている。また、スイッチ70は、制御ユニット40に接続されている。なお、カードユニット31と、通帳ユニット32と、紙幣ユニット33と、硬貨ユニット34とは、前記したメカユニット30を構成する。
【0052】
表示ユニット50は、LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を用いており、入力部と表示部とが一体化されたタッチパネル型ディスプレイによって構成されている。表示ユニット50は、筐体前部の傾斜面に設けられている。
【0053】
カードユニット31は、図示しないカード(銀行カードやクレジットカード)を取り扱う機構であり、例えば、取引の実行時に、操作者によってカード挿入排出口から挿入されるカードを装置内部に取り込んだり、カードに設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取ったり、ICカードに内蔵された記憶部から格納情報を読み取ったりする。また、カードユニット31は、取引の終了時に、カードをカード挿入排出口(不図示)から装置外部に排出する。通帳ユニット32は、通帳に印字したり、通帳に貼付されている磁気テープから磁気データを読み込む機能や、通帳を取り込んだり排出したりする機能を有している。
【0054】
紙幣ユニット33は、紙幣を取り扱う機構部であり、例えば、取引の実行時に、操作者によって紙幣投入口(不図示)から投入される紙幣を装置内部に取り込んだり、紙幣を鑑別したり、紙幣を装置内部の所定の箇所に集積したりする。また、紙幣ユニット33は、装置内部に取り込み不能な紙幣や操作者に返却すべき紙幣を紙幣排出口(不図示)から装置外部に排出したりする。
【0055】
硬貨ユニット34は、硬貨を取り扱う機構部であり、例えば、取引の実行時に、操作者によって硬貨投入口(不図示)から投入される硬貨を装置内部に取り込んだり、硬貨を鑑別したり、硬貨を装置内部の所定の箇所に集積したりする。また、硬貨ユニット34は、装置内部に取り込み不能な硬貨や操作者に返却すべき硬貨を硬貨排出口(不図示)から装置外部のトレイに排出したりもする。
また、カードユニット31と通帳ユニット32と紙幣ユニット33と硬貨ユニット34とは、媒体を搬送する搬送用のモータと該モータを駆動する駆動ユニットを備える。
【0056】
(自動取引装置の動作説明)
図6は、本発明の第1実施形態である自動取引装置1aの停電発生時の動作を示すフローチャートである。図面の左側が電源制御回路190(図1)のフローチャートであり、右側が制御ユニット40(図1)のフローチャートである。
【0057】
電源制御回路190は、停電検出回路150(図1)が停電発生を検出すると、制御線(図1)を介して、停電信号を制御ユニット40に送信する(S10)。また、電源制御回路190は、引き続き、電源のバックアップ処理を行う(S11)。このバックアップ処理は、機構系電源昇圧回路160(図1)を起動すると共に、二次電池電圧検出回路140(図1)に二次電池電圧を測定させて、測定した二次電池電圧が低下したときに、二次電池電圧低下信号を制御ユニット40に送信する処理を含む。
【0058】
制御ユニット40は、電源制御回路190からの停電信号の受信により、割込み処理を行う。この割込み処理では、ATM全体(制御ユニット40およびメカユニット30)がバックアップされているので、制御ユニット40は、運用を継続する(S12)。そして、制御ユニット40は、二次電池電圧低下信号の有無により、二次電池電圧が低下したか否かを判定する(S13)。二次電池電圧が低下していなければ(S13でNo)、制御ユニット40は、処理をS12に戻し、運用を継続する。
【0059】
一方、二次電池電圧が低下していれば(S13でYes)、制御ユニット40は、処理をS14に進め、取引中か否か判定する(S14)。取引中でなければ(S14でNo)、制御ユニット40は、OSのシャットダウンを行う(S17)。
【0060】
一方、取引中であれば(S14でYes)、制御ユニット40は、取引強制終了又は取引完了の処理を行い(S15)、カードの返却処理を行う(S16)。カード返却後、制御ユニット40は、OSのシャットダウンを行う(S17)。なお、制御ユニット40は、S15の取引強制終了を行うことなく、仕掛中の1取引を完了してからシャットダウン(S17)を行うこともできる。
なお、二次電池電圧低下信号を検出する前に復電し、停電信号が解除された場合、制御ユニット40は、通常の運用を継続するようにしてもよい。
【0061】
(アラーム処理)
表1は、電源制御回路190が制御線を介して制御ユニット40に送信するアラーム信号と、そのATMの動作を示す。
【表1】
アラーム信号は、「電源装置故障検出」及び「二次電池故障検出」がある。
まず、「電源装置故障検出」の場合、制御ユニット40(図1)は、運用を中止すると共に、電源装置10(図1)が故障している旨を表示ユニット50(図5)に表示させる。ここで、作業者は、電源装置10の故障のとき、電源交換の作業を行う。なお、電源装置10内の故障箇所(例えば、機構系電源昇圧回路160)によっては、停電時のバックアップは出来ないが、停電が発生しなければ通常の運用が可能である。このため、制御ユニット40は、運用を継続して、表示ユニット50(図5)に電源装置10の交換を促す旨の表示を行っても構わない。
【0062】
次に、「二次電池故障検出」の場合、停電発生時のバックアップを確実に行えるように、制御ユニット40は、運用を停止し、作業者が二次電池交換を行う。なお、停電が発生しなければ通常の運用は可能である。このため、制御ユニット40は、運用を継続して、表示ユニット50(図5)に二次電池20(図1)の交換を促す旨の表示を行っても構わない。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の自動取引装置1aは、取引中に停電(給電断)などの電源異常が発生したとき、商用電源2による交流電力供給から二次電池20による直流電力供給に切り替わる。これにより、自動取引装置1aは、ATM全体の電力をバックアップし、通常の運用、または取引を限定した運用を行うことができる。
【0064】
また、自動取引装置1aは、停電時に二次電池20から電力供給される機構系電源昇圧回路160を用いて、メカユニット30をバックアップし、直接、二次電池20が制御ユニット40をバックアップしている。これにより、電源装置10は、特許文献1に記載の制御系昇降圧回路を有していないため、自動取引装置1aの小型化が可能である。
【0065】
また、電源装置10は、停電が発生していない通常時では、制御系電源電力変換回路120から直流電力が供給される二次電池充電回路130が二次電池20を蓄電する。これにより、電源装置10は、二次電池充電回路130の充電電力供給を制御系電源電力変換回路120の二次側低電圧とすることで、特許文献1に記載の絶縁型充電回路が不要となる。これにより、回路の小型化、効率の向上が可能になり、メカユニット30のバックアップが可能である。
【0066】
(第2実施形態)
前記第1実施形態の電源装置10では、通常モードでも省エネモードでも二次電池20の充電電流を同一にしたが、通常モードでは、充電電流を少なくし、省エネモードでは、充電電流を多くしても構わない。
【0067】
図7は、本発明の第2実施形態である電源装置に含まれる電源制御回路が二次電池充電回路を制御するフローチャートである。第2実施形態の構成は、図1と同様であり、電源制御回路190の動作が異なる。
電源制御回路190は、制御ユニット40の運用状況、つまり、省エネモードで運用されているか通常モードで運用されているかを判定する(S21)。制御ユニット40が通常モードであれば(S21で「通常モード」)、電源制御回路190は、二次電池20の電圧チェックを行う(S22)。二次電池電圧Vbat=一次側直流電圧VDC1Bが所定の第1充電開始電圧Vbat1以上であれば(S22で「二次電池電圧≧Vbat1」)、電源制御回路190は、S21に戻り、運用状況の判定を繰り返す。一方、二次電池電圧Vbatが第1充電開始電圧Vbat1未満まで低下すれば(S22で「二次電池電圧<Vbat1」)、電源制御回路190は、二次電池充電回路130に対して、二次電池充電電流=Ibat1、充電時間Tで二次電池20の充電を行わせ(S23)、処理を終了する(S24)。
【0068】
制御ユニット40が省エネモードであれば(S21で「省エネモード」)、電源制御回路190は、二次電池20の電圧チェックを行う(S25)。二次電池電圧Vbatが所定の第1充電開始電圧Vbat1以上であれば(S25で「二次電池電圧≧Vbat1」)、電源制御回路190は、処理をS21に戻し、運用状況の判定を繰り返す。一方、二次電池電圧Vbatが第1充電開始電圧Vbat1未満まで低下すれば(S25で「二次電池電圧<Vbat1」)、電源制御回路190は、二次電池充電回路130に対して、二次電池充電電流=Ibat2(Ibat2>Ibat1)、S23と同様に、充電時間Tで二次電池20の充電を行わせ(S26)、処理を終了する(S27)。
【0069】
これらの処理により、省エネモードの方が通常モードよりも充電電流Ibatが多くなる。これにより、制御系電源電力変換回路120の負荷電流(Il+Ibat)が増加し、制御系電源電力変換回路120の電力変換効率が良くなる。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態の通常モードおよび省エネモードについて、二次電池20を充電する充電電流と負荷に流す電源電流との関係を示す図である。
二次電池を充電する充電電流Ibatと負荷に流す電源電流Ilとの和は、制御系電源電力変換回路120の負荷電流(Ibat+Il)になる。左側の通常モードでは、電源電流Il1が多く、充電電流Ibat1が少ない。逆に、右側の省エネモードでは、電源電流Il2が少なく、充電電流Ibat2が多い。
【0071】
なお、図2には、図示されていないが、制御系電源電力変換回路120の電力変換効率が最大となる出力電流の値が存在し得る。充電電流Ibatと電源電流Ilとの和をその出力電流(変換効率最大出力電流)の値とすることが好ましい。
【0072】
(効果の説明)
以上説明したように、制御ユニット40は、省エネモードの方が通常モードよりも電源電流Ilが多くなる。これにより、電源制御回路190は、二次電池充電回路130の充電電流Ibatを増加させる。その結果、制御系電源電力変換回路120の負荷電流(Il+Ibat)が増加し、制御系電源電力変換回路120の電力変換効率が良くなる。
【0073】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態では、制御ユニット40の電源に流れる電源電流Ilの大小によって、二次電池20の充電開始電圧Vbat1.Vbat2を変更したり、充電電流Ibatを増減させたりした。これは、制御ユニット40の内部に非絶縁型DC-DC変換器40a(図1)を備え、電源電圧が24Vに固定されているからである。この変形例では、負荷としての制御ユニット40の電源に供給する直流電力の大小によって、二次電池20の充電開始電圧Vbat1,Vbat2を変更したり、充電電流Ibatを増減させたりする。具体的には、負荷である電源に供給される直流電力が多いときに、高い充電開始電圧Vbat1にし、直流電力が少ないときに低い充電開始電圧Vbat2にする。また、第2実施形態では、電源に供給される直流電力が多いときに、充電電流Ibatを少なく流し、直流電力が少ないときに、充電電流Ibatを多く流す。
【0074】
(2)前記各実施形態の電源装置10は、二次電池充電回路130を制御系電源電力変換回路120に接続していたが、機構系電源電力変換回路110の出力に二次電池充電回路130を接続することにより、二次電池20を充電することも可能である。
この場合、第1実施形態では、メカユニット30の運用状況によって、二次電池20の充電開始電圧Vbat1,Vbat2を高くしたり低くしたりする。具体的には、カードユニット31、通帳ユニット32、紙幣ユニット33、硬貨ユニット34の内、何れかの組合せが駆動しており、消費電力が多いときに高い充電開始電圧Vbat1にし、他の組合せが駆動したり、メカユニット30の全部が駆動していなかったりして、消費電力が少ないときに、低い充電開始電圧Vbat2にする。また、第2実施形態では、カードユニット31、通帳ユニット32、紙幣ユニット33、硬貨ユニット34の内、何れかの組合せが駆動しており、消費電力が多いときに充電電流Ibatを少なく流し、他の組合せが駆動したり、メカユニット30の全部が駆動していなかったりしたときに、充電電流Ibatを多く流す。
【0075】
(3)前記第2実施形態の省電力モードでは、高い充電開始電圧(第1充電開始電圧Vbat1)に設定した上で、二次電池20の充電電流を通常モードよりも多く流したが、低い充電開始電圧(第2充電開始電圧Vbat2)に設定した上で、二次電池20の充電電流を通常モードよりも多く流しても構わない。つまり、通常モードでは、高い充電開始電圧(第1充電開始電圧Vbat1)になったら少ない充電電流Ibat1を流し、省エネモードでは、低い充電開始電圧(第2充電開始電圧Vbat2)になったら多い充電電流Ibat2を流しても構わない。
【0076】
(4)前記各実施形態では、充電開始電圧を第1充電開始電圧Vbat1と第2充電開始電圧Vbat2との2つにしたが、3つ以上にしても構わない。複数の充電開始電圧を設定することで、二次電池20の放電期間に対する総充電時間が増減する。総充電時間が増加すると、電力変換効率ηが高くなる。
【0077】
(5)前記各実施形態の電源装置10(図1)では、機構系電源昇圧回路160を使用したが、二次電池20の電圧とメカユニット30の電源電圧との関係によって、降圧回路や昇降圧回路(機構系電源昇降圧回路)を使用することもできる。仮に、二次電池の電圧(公称値)が24Vであったとしても、二次電池は充電率により電圧低下するため、安定した電源電圧をメカユニット30に供給するため昇降圧電源が好ましい。なお、昇降圧回路(機構系電源昇降圧回路)は、降圧回路と昇圧回路とを縦続接続させて構成してもよい。
【0078】
(6)前記各実施形態の電源装置10(図1)は、2つの切替回路(機構系電源電圧切替回路170,制御系電源電圧切替回路180)をダイオード171,181で構成したが、FETやIGBT等のスイッチング素子で構成することもできる。この場合において、スイッチング素子で構成した切替回路は、停電検出回路150が停電を検出したときに、電源制御回路190によって、制御系電源電力変換回路120や機構系電源電力変換回路110から二次電池20や機構系電源昇圧回路160に切り替えられる。
【0079】
(7)前記各実施形態の切替回路(機構系電源電圧切替回路170,制御系電源電圧切替回路180)(図1)では、機構系電源昇圧回路160からメカユニット30に向かうダイオード171や、二次電池20から制御ユニット40に向かうダイオード181を用いたが、機構系電源電力変換回路110からメカユニット30に向かう他のダイオードや、制御系電源電力変換回路120から制御ユニット40に向かう他のダイオードを追加することもできる。
【符号の説明】
【0080】
1 自動機器
1a,1b 自動取引装置
2 商用電源
10 電源装置
20 二次電池
30 メカユニット(第2外部回路、機構装置)
40 制御ユニット(第1外部回路、制御装置)
40a 非絶縁型DC-DC変換器
100 力率改善回路(非絶縁型直流電源回路)
110 機構系電源電力変換回路(絶縁型直流電源回路、第2直流電源回路)
125 絶縁型直流電源回路
120 制御系電源電力変換回路(絶縁型直流電源回路、第1直流電源回路)
130 二次電池充電回路(非絶縁型充電回路)
140 二次電池電圧検出回路
150 停電検出回路
160 機構系電源昇圧回路(非絶縁電源回路)
170 機構系電源電圧切替回路(第1切替回路)
180 制御系電源電圧切替回路(第2切替回路)
190 電源制御回路
Vbat1 第1充電開始電圧
Vbat2 第2充電開始電圧
Il 電源電流(出力直流電流)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8