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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062454
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】三次元成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20240501BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240501BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240501BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240501BHJP
【FI】
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y80/00
B29C64/153
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170284
(22)【出願日】2022-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000146087
【氏名又は名称】株式会社松浦機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】市村 誠
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL62
(57)【要約】
【課題】製造対象部品、サポート材、テストピースを対象とする三次元成形において、テストピースにつき、製造対象部品を支えるか、又は製造対象部品を支えるサポート材と接合することによって、効率的な成形及び効率的な粉末の利用を可能とする三次元成形方法及び当該方法に基づく三次元成形物を提供すること。
【解決手段】スキージの走行による粉末の散布、レーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結によって成形する製造対象部品1の一部領域に対しサポート材2テストピース3の双方を、個別に接合するか、又はテストピース3を複数個のサポート材2に個別に接合するか、又は造形対象部品1の一部領域に対し、テストピース3を接合することによってサポート材2及びテストピース3を、同一工程によって成形することによって、前記課題を達成している三次元成形方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピース及び/又はテストピースとサポート材との結合部材とを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピース及び/又は前記結合部材の双方を個別に接合した状態にて成形しているか、又は製造対象部品の一部領域に対し、サポート材を個別に接合し、かつテストピース及び/又は前記結合部材を当該サポート材に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
【請求項2】
サポート材、テストピース及び/又は前記結合部材がそれぞれ板状、柱状、立方体、球、楕円球の何れかであることを特徴とする請求項1記載の三次元成形方法。
【請求項3】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のサポート材、並びに長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のテストピース及び/又は前記結合部材がそれぞれ水平方向に配列された状態にて下方から支えており、かつサポート材、及びテストピース及び/又は前記結合部材を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項2記載の三次元成形方法。
【請求項4】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のサポート材が水平方向に配列された状態にて上下方向から支えており、かつ上下方向の長手方向を形成する単位の数が1個又は複数個であると共に、複数個のサポート材の全部又は一部に対し、1個又は複数個のテストピースを交差状態にて接合することによって架設していることを特徴とする請求項2記載の三次元成形方法。
【請求項5】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるテストピース及び/又はテストピースとサポート材との結合部材を、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、テストピース及び/又は前記結合部材を1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
【請求項6】
テストピース及び/又は前記結合部材が板状、柱状、立方体、球、楕円球の何れかであることを特徴とする請求項5記載の三次元成形方法。
【請求項7】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のテストピース及び/又は前記結合部材が水平方向に配列された状態にて個別に下方から支えており、かつテストピース及び/又は前記結合部材を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項6記載の三次元成形方法。
【請求項8】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による両側表面に凹凸形状による空隙を形成している複数個のテストピース及び/又は前記結合部材が下方から支えており、かつテストピース及び/又は前記結合部材が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項6記載の三次元成形方法。
【請求項9】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とすることによって湾曲している板状又は柱状による複数個のテストピース及び/又は前記結合部材が下方から支えており、かつテストピース及び/又は前記結合部材が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項6記載の三次元成形方法。
【請求項10】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による1個のテストピース及び/又は前記結合部材が下方から支えており、かつテストピース及び/又は前記結合部材が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項6記載の三次元成形方法。
【請求項11】
焼結工程の次に、回転工具による焼結表面に対する除去加工による成形工程を採用していることを特徴とする請求項1、5の何れか一項に記載の三次元成形方法。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の何れか一項に記載の三次元成形方法によって成形されている三次元成形物。
【請求項13】
テストピース及び/又は前記結合部材において、テストピースの領域表面に凹凸形状を形成していることを特徴とする請求項12記載の三次元成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造対象部品、及び当該製造対象部品を下方から支えているサポート材、テストピース又はテストピースとサポート材との結合部材を、同一工程にて成形することによる三次元成形方法及び三次元成形物を対象としている。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、製造対象部品は、ベースプレート上にて当該製造対象部品と同一素材であって、通常、焼結強度が製造対象部品の場合よりも弱い状態にあるサポート材によって支えられているが、製造対象部品と同一素材であって、しかも製造対象部品の場合と同一の焼結状態を採用し、かつ製造対象部品の単位体積当たりの塑性変形強度及び製造対象部品の密度を測定するために使用されるテストピース(試験片)によって支えられている訳ではない。
【0003】
しかも、従来技術による製造対象部品、テストピース及びサポート材は、スキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による焼結による各工程を採用している三次元成形において同一工程にて前記成形に及んでいるにも拘らず、テストピースについては、製造対象部品及びサポート材から独立分離した状態にて成形されている。
因みに、3Dプリンタ造形物用現像液組成物を発明の対象としている特許文献1の図1に示す実施形態においては、製造対象部品とテストピースとを兼用しているレンチはサポート材上に載置されているが、前記レンチはサポート材を完全に離脱した状況にある。
【0004】
術前計画骨モデルの作製方法を発明の対象としている特許文献2においては、三次元成形を前提とした上で、図8に示す骨モデルによる製造対象部品は、サポート材に接合した状態にて成形されているが、図9に示すテストピースは、製造対象部品及びサポート材から互いに分離した状態にて成形されている。
【0005】
しかしながら、このような分離した状態の場合には、製造対象部品及びサポート材とテストピースとは、個別の形状の下に三次元成形が行われ、ひいては、効率的な成形、及び三次元成形に必要な粉末の効率的な使用を実現することができない。
【0006】
このように、特許文献1及び同2を含む従来技術においては、テストピースについては、製造対象部品及びサポート材と独立分離した状態にて三次元成形が行われており、その結果、効率的な成形及び効率的な粉末の利用が不可能な状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-83744号公報
【特許文献2】特開2015-82043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、製造対象部品、サポート材、テストピースを対象とする三次元成形において、テストピースにつき、製造対象部品を支えるか、又は製造対象部品を支えるサポート材と一体成形することによって、効率的な成形及び効率的な粉末の利用を可能とする三次元成形方法及び当該方法に基づく三次元成形物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、以下の基本構成(1)、(2)、(3)からなる。
(1)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピース及び/又はテストピースとサポート材との結合部材とを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピース及び/又は前記結合部材の双方を個別に接合した状態にて成形しているか、又は製造対象部品の一部領域に対し、サポート材を個別に接合し、かつテストピース及び/又は前記結合部材を当該サポート材に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
(2)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるテストピース及び/又はテストピースとサポート材との結合部材を、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、テストピース及び/又は前記結合部材を1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
(3)基本構成(1)、(2)の何れかの三次元成形方法によって成形されている三次元成形物。
【発明の効果】
【0010】
基本構成(1)においては、テストピースは、
a サポート材と共に、製造対象部品の一部領域に接合するか、
b 製造対象部品の一部領域に接合する前記結合部材において、サポート材と一体成形されるか、
c 製造対象部品の一部領域に接合しているサポート材に接合するか、
の何れかによって一体成形されており、従来技術のように、製造対象部品及びサポート材と独立分離した状態にて成形されている訳ではない。
【0011】
その結果、テストピースは、製造対象部品又はサポート材と相互に接合することによって、テストピースと製造対象部品及びサポート材との平均距離を短縮し、スピーディーかつ効率的な成形を実現することができる。
【0012】
しかも、前記のような平均距離の短縮によって、三次元成形の材料である粉末材料を節約し、かつ当該粉末材料を効率的に使用することができる。
【0013】
基本構成(2)においては、サポート材自体を採用せずに、テストピース又はテストピースとサポート材との結合部材がサポート材と同様の支持機能を発揮していることを前提とした上で、基本構成(1)と同様に、製造対象部品の一部領域に対し、テストピース及び/又は前記結合部材が接合した状態にて成形が行われている。
【0014】
このような構成によって、基本構成(2)は、基本構成(1)と同様の効率的な成形及び粉末材料の効率的な使用を実現するだけでなく、サポート材とテストピース及び/又は前記結合部材とを個別に設計する必要がない点において、基本構成(1)に比し、設計が極めてシンプルである。
【0015】
しかも、基本構成(2)の場合には、前記のようにテストピース及び/又は前記結合部材のみによって製造対象部品の支持を実現していることによって、前記効率的な成形及び粉末材料の前記効率的な使用を一層助長することができる。
因みに、テストピースの焼結強度は、製造対象部品と同一であって、通常サポート材よりも大きいことを必要としており、基本構成(1)のサポート材+テストピース及び/又は前記結合部材による支持の場合よりも少ない材料にて、製造対象部品を支持することができる。
【0016】
基本構成(1)及び(2)においては、製造対象部品の一部領域に対するサポート材、テストピース及び/又は前記結合部材との接合による支持構成を採用しているが、その根拠は、全部領域に対する接合による支持の場合には、効率的な成形及び効率的な粉末材料の使用が不可能と化すことにある。
【0017】
基本構成(3)においては、基本構成(1)及び同(2)の作用効果によって裏付けられている三次元成形物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】基本構成(1)の構成を示す側面図である。
図2】基本構成(2)の構成を示す側面図である。
図3(a)】基本構成(1)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材及びテストピースによって支持している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。尚、製造対象部品を示す点線は、前記透視状態を表わしており、この点は、図3(b)~図4(d)の場合も同様である。
図3(b)】基本構成(1)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材及び前記結合部材によって支持している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図3(c)】基本構成(1)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材によって支持しており、かつテストピースをサポート材と交差状態にて接合することによって架設している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図4(a)】基本構成(2)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のテストピース及び前記結合部材を水平方向に配列した状態にて支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図4(b)】基本構成(2)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による複数個のテストピースが下方から支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図4(c)】基本構成(2)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とする複数個の湾曲した板状又は柱状による前記結合部材が下方から支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図4(d)】製造対象部品を1個のテストピースによって下方から支えている実施形態による直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図5】実施例の構成を示す断面図であって、(a)は、テストピースの場合を示し、(b)は、前記結合部材の場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
基本構成(1)は、図1に示すように、ベースプレート4の上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品1及び製造対象部品1を支えるサポート材2とテストピース3及び/又はテストピース3とサポート材2との結合部材23とを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品1の一部領域に対し、サポート材2、テストピース3及び/又は前記結合部材23の双方を個別に接合した状態にて成形しているか、又は製造対象部品1の一部領域に対し、サポート材2を個別に接合し、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23を当該サポート材2に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法である。
尚、図1においては、テストピース3及び前記結合部材23との双方を採用しているが、前記の「及び/又は」の表現からも明らかなように、製造対象部品1に対する支持をサポート材2以外に、テストピース3のみ又は前記結合部材23のみを採用することも可能である。
【0020】
基本構成(1)の技術上のメリットについては、発明の効果の項において、前記a、b、cに即して説明した通りである。
【0021】
基本構成(1)においては、サポート材2、テストピース3及び前記結合部材23の形状については、特に限定される訳ではない。
但し、図3(a)に示すような板状、図3(b)、(c)に示すような柱状、図1に示すような立方体、球、楕円球が典型例として好適に採用されている。
【0022】
基本構成(1)においては、図3(a)及び図3(b)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のサポート材2、並びに長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のテストピース3及び/又は前記結合部材23がそれぞれ水平方向に配列された状態にて下方から支えており、かつサポート材2、及びテストピース3及び/又は前記結合部材23を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
尚、図3(a)は、製造対象部品1をサポート材2及びテストピース3のみによって支持している場合を示しており、図3(b)は、製造対象部品1をサポート材2及び前記結合部材23によって支持している場合を示しており、前記実施形態の「テストピース3又は前記結合部材23」の場合に該当するが、図3(a)、(b)に代えて、図1に示すように、「テストピース3及び前記結合部材23」とすることは当然可能である。
【0023】
図3(a)及び図3(b)に示す実施形態の場合には、上下方向のサポート材2、及び上下方向のテストピース3及び/又は前記結合部材23によって、様々な組み合わせによる製造対象部品1における支持構造を実現することができる。
尚、前記実施形態における上下方向とは、直線状の鉛直方向に限定される訳ではなく、図3(a)のサポート材2に示すように、一部が斜方向又は湾曲形状である場合、及び図3(b)の前記結合部材23に示すように、全てが斜方向又は湾曲形状をも採用することができ、かつこの点は、後述する図3(c)、及び図4(a)に示す実施形態の場合においても同様である。
【0024】
前記結合部材23を採用する技術上のメリットについては、基本構成(2)において後述する通りである。
【0025】
基本構成(1)においては、図1(c)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のサポート材2が水平方向に配列された状態にて上下方向から支えており、かつ上下方向の長手方向を形成する単位の数が1個又は複数個であると共に、複数個のサポート材2の全部又は一部に対し、1個又は複数個のテストピース3を交差状態にて接合することによって架設していることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0026】
前記実施形態は、基本構成(1)のうち、製造対象部品1の一部領域に対し、サポート材2を個別に接合し、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23を当該サポート材2に接合した状態にて成形している場合に該当するが、前記実施形態においては、サポート材2に対し交差状態に架設されているテストピース3をサポート材2から切断を介して除去することによって、容易にテストピース3及び/又は前記結合部材23の使用を実現することができる。
【0027】
前記図3(a)、(b)、(c)に示す各実施形態においては、水平方向に配列されている板状又は柱状による単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴としているが、図3(a)は、1個の場合を示し、図3(b)は、平行である2個の場合を示し、図3(c)は、隣り合う水平方向の配列方向が相互に非平行である3個の場合を示す。
【0028】
1個の場合には、構成がシンプルであって、効率的な成形及び効率的な粉末材料の使用を実現することができる。
【0029】
複数個の場合には、製造対象部品1を安定した状態にて載置することができる。
【0030】
基本構成(2)は、図2に示すように、ベースプレート4の上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品1及び製造対象部品1を支えるテストピース3及び/又はテストピース3とサポート材2との結合部材23を、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品1の一部領域に対し、テストピース3及び/又は前記結合部材23を1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法である。
尚、図2は、テストピース3及びテストピース3とサポート材2との結合部材23の双方による支持の場合を示すが、前記の「及び/又は」の記載からも明らかなように、テストピース3のみによる支持、又は前記結合部材23のみによる支持もまた当然選択することができる。
【0031】
基本構成(2)の技術上のメリットについては、基本構成(1)の効果との対比に即して、発明の効果の項において既に説明した通りである。
【0032】
基本構成(2)においては、テストピース3及び/又は前記結合部材23の形状については、特に限定される訳ではない。
但し、図4(a)、(b)、(d)に示すような板状、図4(c)に示すような柱状、図2に示すような立方体、球、楕円球が典型例として好適に採用されている。
【0033】
前記結合部材23の場合には、テストピース3の領域において、サポート材2を付着した状態にて製造対象部品1の塑性変形強度、及び製造対象部品1の密度の測定に使用することができる点において、シンプルな設計とテストピース3としての機能とを両立することができる。
【0034】
しかも、板状又は柱状のテストピース3に比し、サポート材2を部分的に採用している結果、焼結速度を向上させることができ、更には全体の密度が小さいことから、粉末材料の効率的な使用を実現することができる。
特に、図3(c)に示すように、中央部分をテストピース3とし、上下両端部分をサポート材2とした場合には、上下両端側のサポート材2を除去せずに、中央領域のみをテストピース3として使用することによって、容易に前記両立を実現している。
【0035】
基本構成(2)においては、図4(a)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のテストピース3及び/又は前記結合部材23が水平方向に配列された状態にて個別に下方から支えており、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0036】
前記実施形態は、テストピース3及び/又は前記結合部材23が長手方向又は上下方向である点において、図3(a)及び図3(b)に示す実施形態と共通している。
【0037】
しかしながら、製造対象部品1を支える素材が専らテストピース3であって、サポート材2を除外していることから、図3(a)及び図3(b)に示す実施形態に比し、シンプルな設計を実現することができる。
【0038】
しかも、製造対象部品1と同一の焼結の程度が行われているテストピース3の場合には、サポート材2よりも焼結の程度が大きいことから、前記実施形態におけるテストピース3の数については、図3(a)の実施形態におけるサポート材2+テストピース3及び/又は前記結合部材23の数よりも小さい状態とすることができ、その結果、上記実施形態に比し、効率的な成形及び粉末材料の効率的な使用を助長することができる。
【0039】
基本構成(2)においては、図4(b)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による両側表面に凹凸形状による空隙を形成している複数個のテストピース3及び/又は前記結合部材23が下方から支えており、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
尚、図4(b)は、テストピース3のみを採用している場合を示すが、テストピース3及び前記結合部材23の双方を採用することは当然可能である。
【0040】
前記実施形態の場合には、テストピース3及び/又は前記結合部材23の長手方向の形状を製造対象部品1の水平方向とする長手方向に沿った状態とすることができ、図4(a)に示す実施形態とは別の技術的趣旨にてシンプルな設計を実現することができる。
【0041】
しかも、水平方向に沿ったテストピース3及び/又は前記結合部材23の相互間に凹凸形状による空隙が形成されていることから、三次元成形における粉末材料の節約に資することができる。
【0042】
基本構成(2)においては、図4(c)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とすることによって湾曲している板状又は柱状による複数個のテストピース3及び/又は前記結合部材23が下方から支えており、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
尚、図4(c)は、前記結合部材23のみを採用している場合を示すが、前記実施形態においては、テストピース3及び前記結合部材23の双方を採用することは当然可能である。
【0043】
前記実施形態においても、テストピース3の水平方向に沿った形状につき、製造対象部品1に沿った状態とすることができ、図4(b)の実施形態と同様にシンプルな構成を実現することができる。
【0044】
しかも、湾曲状のテストピース3の場合には、必然的に上下方向に空隙が形成されており、図4(b)に示す実施形態の場合と同様に、前記粉末材料の節約に資することができる。
【0045】
基本構成(2)においては、図4(d)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による1個のテストピース3及び/又は前記結合部材23が下方から支えており、かつテストピース3及び/又は前記結合部材23が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0046】
前記実施形態の場合には、テストピース3の上下方向が1個であることから、図4(b)、(c)の実施形態にまして、更にシンプルな設計を実現することができる。
尚、前記実施形態のうち、図4(b)に示す実施形態の場合と同様に表面に空隙を形成し、その結果、製造対象部品1及びベースプレート4との間にて空隙を形成する構成を採用することは、当然可能である。
【0047】
図4(a)、(b)、(c)、(d)に示す実施形態の場合には、水平方向に配列している板状又は柱状による単位の数(図4(a)の場合)、又は長手方向を形成する柱状又は円柱状による単位の数(図4(b)、(c)、(d)の場合)が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを要件としているが、1個の場合には、シンプルな構成を実現することができ、複数個の場合には、当然製造対象部品1に対する安定した支持を実現することができる。
尚、図4(d)は、1個の場合を示し、図4(a)、(b)は、平行状態による2個の場合を示し、図4(c)は、非平行の状態による2個の場合を示す。
【0048】
基本構成(1)、(2)の三次元成形方法においては、粉末の焼結の次に、更なる工程を採用することができる。
【0049】
具体的には、焼結工程の次に、回転工具による焼結表面に対する除去加工による成形工程を採用していることを特徴とする実施形態は、少なからず採用されている。
尚、前記除去加工については、製造対象部品1、サポート材2、テストピース3、前記結合部材23の全てを対象とする場合と、サポート材2を除外し、製造対象部品1、テストピース3、前記結合部材23を対象とする場合との双方が採用されている。
【0050】
このような実施形態においては、正確な形状による成形を実現することができる。
【0051】
基本構成(1)、(2)の方法を採用している基本構成(3)においては、図3(a)、(b)、(c)に示す実施形態及び図4(a)、(b)、(c)、(d)に示す実施形態の成形方法についても当然採用することができる。
【0052】
以下、実施例について説明する。
【実施例0053】
実施例は、図5(a)、(b)に示すように、テストピース3及び/又は前記結合部材23において、テストピース3の領域表面に凹凸形状を形成していることを特徴としている。
【0054】
このような表面における凹凸形状の設定によって、実施例においては、テストピース3の原材料である粉末材料を節約し、かつ効率的に使用することができる。
但し、テストピース3は、単位体積当たりの塑性変形強度に関する試験片として使用する場合には、凹凸形状は塑性変形の測定に支障が生じない程度の深さであることを必要とする。
【0055】
これに対し、テストピース3が密度に関する試験片に使用される場合には、凹凸形状の深さは然して限定される訳ではない。
【0056】
図5(a)、(b)の凹凸形状は、テストピース3の周囲を囲むライン形状及びそれぞれ独立している点在形状の双方の何れも採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
基本構成(1)、(2)、(3)に立脚している本発明においては、製造対象部品、サポート材、テストピース及び/又は前記結合部材を効率的に成形することができ、かつ三次元成形に必要な粉末材料を効率的に使用し得る点において画期的であり、三次元成形において多大な利用可能性を期待することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 製造対象部品
2 サポート材
3 テストピース
23 結合部材
4 ベースプレート
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピースの双方を個別に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元造形方法
【請求項2】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、複数個のサポート材を個別に接合し、かつテストピースを当該サポート材に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
【請求項3】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のサポート材が水平方向に配列された状態にて上下方向から支えており、かつ上下方向の長手方向を形成する単位の数が1個又は複数個であると共に、複数個のサポート材の全部又は一部に対し、1個又は複数個のテストピースを交差状態にて接合することによって架設していることを特徴とする請求項2記載の三次元成形方法。
【請求項4】
サポート材、テストピースがそれぞれ板状、柱状、立方体、球、楕円球の何れかであることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元成形方法。
【請求項5】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のサポート材、並びに長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のテストピースがそれぞれ水平方向に配列された状態にて下方から支えており、かつサポート材、及びテストピースを水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項6】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるテストピースを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、テストピースを1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
【請求項7】
テストピースが板状、柱状、立方体、球、楕円球の何れかであることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項8】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のテストピースが水平方向に配列された状態にて個別に下方から支えており、かつテストピースを水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項9】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による両側表面に凹凸形状による空隙を形成している複数個のテストピースが下方から支えており、かつテストピースが長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項10】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とすることによって湾曲している板状又は柱状による複数個のテストピースが下方から支えており、かつテストピースが長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項11】
製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による1個のテストピースが下方から支えており、かつテストピースが長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする請求項記載の三次元成形方法。
【請求項12】
焼結工程の次に、回転工具による焼結表面に対する除去加工による成形工程を採用していることを特徴とする請求項1、2、6の何れか一項に記載の三次元成形方法。
【請求項13】
テストピースの領域表面に、凹凸形状を形成していることを特徴とする請求項1,2,6の何れか一項に記載の三次元造形方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造対象部品、及び当該製造対象部品を下方から支えているサポート材、テストピース、同一工程にて成形することによる三次元成形方法を対象としている。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、製造対象部品は、ベースプレート上にて当該製造対象部品と同一素材であって、通常、焼結強度が製造対象部品の場合よりも弱い状態にあるサポート材によって支えられているが、製造対象部品と同一素材であって、しかも製造対象部品の場合と同一の焼結状態を採用し、かつ製造対象部品の単位体積当たりの塑性変形強度及び製造対象部品の密度を測定するために使用されるテストピース(試験片)によって支えられている訳ではない。
【0003】
しかも、従来技術による製造対象部品、テストピース及びサポート材は、スキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による焼結による各工程を採用している三次元成形において同一工程にて前記成形に及んでいるにも拘らず、テストピースについては、製造対象部品及びサポート材から独立分離した状態にて成形されている。
因みに、3Dプリンタ造形物用現像液組成物を発明の対象としている特許文献1の図1に示す実施形態においては、製造対象部品とテストピースとを兼用しているレンチはサポート材上に載置されているが、前記レンチはサポート材を完全に離脱した状況にある。
【0004】
術前計画骨モデルの作製方法を発明の対象としている特許文献2においては、三次元成形を前提とした上で、図8に示す骨モデルによる製造対象部品は、サポート材に接合した状態にて成形されているが、図9に示すテストピースは、製造対象部品及びサポート材から互いに分離した状態にて成形されている。
【0005】
しかしながら、このような分離した状態の場合には、製造対象部品及びサポート材とテストピースとは、個別の形状の下に三次元成形が行われ、ひいては、効率的な成形、及び三次元成形に必要な粉末の効率的な使用を実現することができない。
【0006】
このように、特許文献1及び同2を含む従来技術においては、テストピースについては、製造対象部品及びサポート材と独立分離した状態にて三次元成形が行われており、その結果、効率的な成形及び効率的な粉末の利用が不可能な状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-83744号公報
【特許文献2】特開2015-82043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、製造対象部品、サポート材、テストピースを対象とする三次元成形において、テストピースにつき、製造対象部品を支えるか、又は製造対象部品を支えるサポート材と一体成形することによって、効率的な成形及び効率的な粉末の利用を可能とする三次元成形方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、以下の基本構成(1)、(2)、(3)からなる。
(1)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピースの双方を個別に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元造形方法
(2)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、複数個のサポート材を個別に接合し、かつテストピースを当該サポート材に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
(3)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるテストピースを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、テストピースを1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
【発明の効果】
【0010】
基本構成(1)においては、テストピースは、サポート材と共に、製造対象部品の一部領域に接合しており、基本構成(2)においては、製造対象部品の一部領域に接合しているサポート材に接合することによって、一体成形されており、従来技術のように、製造対象部品及びサポート材と独立分離した状態にて成形されている訳ではない。
【0011】
その結果、テストピースは、製造対象部品又はサポート材と相互に接合することによって、テストピースと製造対象部品及びサポート材との平均距離を短縮し、スピーディーかつ効率的な成形を実現することができる。
【0012】
しかも、前記のような平均距離の短縮によって、三次元成形の材料である粉末材料を節約し、かつ当該粉末材料を効率的に使用することができる。
【0013】
基本構成(3)においては、サポート材自体を採用せずに、テストピースがサポート材と同様の支持機能を発揮していることを前提とした上で、基本構成(1)と同様に、製造対象部品の一部領域に対し、テストピースが接合した状態にて成形が行われている。
【0014】
このような構成によって、基本構成(3)は、基本構成(1)、(2)と同様の効率的な成形及び粉末材料の効率的な使用を実現するだけでなく、サポート材とテストピースとを個別に設計する必要がない点において、基本構成(1)、(2)に比し、設計が極めてシンプルである。
【0015】
しかも、基本構成(3)の場合には、前記のようにテストピースのみによって製造対象部品の支持を実現していることによって、前記効率的な成形及び粉末材料の前記効率的な使用を一層助長することができる。
因みに、テストピースの焼結強度は、製造対象部品と同一であって、通常サポート材よりも大きいことを必要としており、基本構成(1)、(2)のサポート材+テストピースによる支持の場合よりも少ない材料にて、製造対象部品を支持することができる。
【0016】
基本構成(1)、(2)、(3)においては、製造対象部品の一部領域に対するサポート材、テストピースとの接合による支持構成を採用しているが、その根拠は、全部領域に対する接合による支持の場合には、効率的な成形及び効率的な粉末材料の使用が不可能と化すことにある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】基本構成(1)の構成を示す側面図である。
図2】基本構成(2)の構成を示す側面図である。
図3基本構成(3)の構成を示す側面図である。
図4(a)】基本構成(1)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材及びテストピースによって支持している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。尚、製造対象部品を示す点線は、前記透視状態を表わしており、この点は、図4(b)、図5図6(a)、(b)(c)、(d)の場合も同様である。
図4(b)】基本構成(1)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材によって支持している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図5】基本構成(2)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のサポート材によって支持しており、かつテストピースをサポート材と交差状態にて接合することによって架設している実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図6(a)】基本構成(3)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状のテストピースを水平方向に配列した状態にて支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図6(b)】基本構成(3)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による複数個のテストピースが下方から支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図6(c)】基本構成(3)において、製造対象部品の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とする複数個の湾曲した板状又は柱状によるテストピースが下方から支えている実施形態を示す直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図6(d)】 基本構成(3)において、製造対象部品を1個のテストピースによって下方から支えている実施形態による直交する二方向の側面図及び製造対象部品を透視した状態の上面図である。
図7】実施例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
基本構成(1)は、図1に示すように、ベースプレート4の上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品1及び製造対象部品1を支えるサポート材2とテストピース3とを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品1の一部領域に対し、サポート材2、テストピース3の双方を個別に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法である。
【0019】
基本構成(2)は、図2に示すように、ベースプレート4の上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品1及び製造対象部品1を支えるサポート材2とテストピース3とを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品1の一部領域に対し、複数個のサポート材2を個別に接合し、かつテストピース3を当該サポート材2に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法である
【0020】
基本構成(1)及び同(2)の技術上のメリットについては、発明の効果の項において、既に説明した通りである。
【0021】
基本構成(1)及び同(2)においては、サポート材2、テストピース3の形状については、特に限定される訳ではない。
但し、図(a)に示すような板状、図(b)及び図5に示すような柱状、図1に示すような立方体、球、楕円球が典型例として好適に採用されている。
【0022】
基本構成(1)においては、図(a)及び図(b)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のサポート材2、並びに長手方向を上下方向とする板状又は柱状による1個又は複数個のテストピース3がそれぞれ水平方向に配列された状態にて下方から支えており、かつサポート材2、及びテストピース3を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0023】
(a)及び図(b)に示す実施形態の場合には、上下方向のサポート材2、及び上下方向のテストピース3によって、様々な組み合わせによる製造対象部品1における支持構造を実現することができる。
尚、前記実施形態における上下方向とは、直線状の鉛直方向に限定される訳ではなく、図(a)のサポート材2に示すように、一部が斜方向又は湾曲形状である場合、全てが斜方向又は湾曲形状をも採用することができる。
【0024】
基本構成(2)においては、図5に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のサポート材2が水平方向に配列された状態にて上下方向から支えており、かつ上下方向の長手方向を形成する単位の数が1個又は複数個であると共に、複数個のサポート材2の全部又は一部に対し、1個又は複数個のテストピース3を交差状態にて接合することによって架設していることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0025】
前記実施形態は、製造対象部品1の一部領域に対し、サポート材2を個別に接合し、かつテストピース3を当該サポート材2に接合した状態にて成形している場合に該当するが、前記実施形態においては、サポート材2に対し交差状態に架設されているテストピース3をサポート材2から切断を介して除去することによって、容易にテストピース3の使用を実現することができる。
【0026】
前記図(a)、(b)、図5に示す各実施形態においては、水平方向に配列されている板状又は柱状による単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴としているが、図(a)は、1個の場合を示し、図(b)は、平行である2個の場合を示し、図は、隣り合う水平方向の配列方向が相互に平行である3個の場合を示す。
【0027】
1個の場合には、構成がシンプルであって、効率的な成形及び効率的な粉末材料の使用を実現することができる。
【0028】
複数個の場合には、製造対象部品1を安定した状態にて載置することができる。
【0029】
基本構成(3)は、図に示すように、ベースプレート4の上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品1及び製造対象部品1を支えるテストピース3を、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品1の一部領域に対し、テストピース3を1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法である。
【0030】
基本構成(3)の技術上のメリットについては、基本構成(1)、(2)の効果との対比に即して、発明の効果の項において既に説明した通りである。
【0031】
基本構成(3)においては、テストピース3の形状については、特に限定される訳ではない。
但し、図(a)、(b)、(d)に示すような板状、図(c)に示すような柱状、図に示すような立方体、球、楕円球が典型例として好適に採用されている。
【0032】
基本構成(3)においては、図(a)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を上下方向とする板状又は柱状による複数個のテストピース3が水平方向に配列された状態にて個別に下方から支えており、かつテストピース3を水平方向に配列している単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0033】
前記実施形態は、テストピース3が長手方向又は上下方向である点において、図(a)及び図(b)に示す実施形態と共通している。
【0034】
しかしながら、製造対象部品1を支える素材が専らテストピース3であって、サポート材2を除外していることから、図(a)及び図(b)に示す実施形態に比し、シンプルな設計を実現することができる。
【0035】
しかも、製造対象部品1と同一の焼結の程度が行われているテストピース3の場合には、サポート材2よりも焼結の程度が大きいことから、前記実施形態におけるテストピース3の数については、図(a)の実施形態におけるサポート材2+テストピース3の数よりも小さい状態とすることができ、その結果、上記実施形態に比し、効率的な成形及び粉末材料の効率的な使用を助長することができる。
【0036】
基本構成(3)においては、図(b)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による両側表面に凹凸形状による空隙を形成している複数個のテストピース3が下方から支えており、かつテストピース3が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0037】
前記実施形態の場合には、テストピース3の長手方向の形状を製造対象部品1の水平方向とする長手方向に沿った状態とすることができ、図(a)に示す実施形態とは別の技術的趣旨にてシンプルな設計を実現することができる。
【0038】
しかも、水平方向に沿ったテストピース3の相互間に凹凸形状による空隙が形成されていることから、三次元成形における粉末材料の節約に資することができる。
【0039】
基本構成(3)においては、図(c)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向及び当該水平方向と交差する斜方向とすることによって湾曲している板状又は柱状による複数個のテストピース3が下方から支えており、かつテストピース3が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0040】
前記実施形態においても、テストピース3の水平方向に沿った形状につき、製造対象部品1に沿った状態とすることができ、図(b)の実施形態と同様にシンプルな構成を実現することができる。
【0041】
しかも、湾曲状のテストピース3の場合には、必然的に上下方向に空隙が形成されており、図(b)に示す実施形態の場合と同様に、前記粉末材料の節約に資することができる。
【0042】
基本構成(3)においては、図(d)に示すように、製造対象部品1の一部領域を、長手方向を水平方向とする板状又は柱状による1個のテストピース3が下方から支えており、かつテストピース3が長手方向を形成する単位の数が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0043】
前記実施形態の場合には、テストピース3の上下方向が1個であることから、図(b)、(c)の実施形態にまして、更にシンプルな設計を実現することができる。
尚、前記実施形態のうち、図(b)に示す実施形態の場合と同様に表面に空隙を形成し、その結果、製造対象部品1及びベースプレート4との間にて空隙を形成する構成を採用することは、当然可能である。
【0044】
(a)、(b)、(c)、(d)に示す実施形態の場合には、水平方向に配列している板状又は柱状による単位の数(図(a)の場合)、又は長手方向を形成する柱状又は円柱状による単位の数(図(b)、(c)、(d)の場合)が1個、又は平行若しくは非平行の状態による複数個であることを要件としているが、1個の場合には、シンプルな構成を実現することができ、複数個の場合には、当然製造対象部品1に対する安定した支持を実現することができる。
尚、図(d)は、1個の場合を示し、図(a)、(b)は、平行状態による2個の場合を示し、図(c)は、非平行の状態による2個の場合を示す。
【0045】
基本構成(1)、(2)、(3)の三次元成形方法においては、粉末の焼結の次に、更なる工程を採用することができる。
【0046】
具体的には、焼結工程の次に、回転工具による焼結表面に対する除去加工による成形工程を採用していることを特徴とする実施形態は、少なからず採用されている。
尚、前記除去加工については、製造対象部品1、サポート材2、テストピース3の全てを対象とする場合と、サポート材2を除外し、製造対象部品1、テストピース3を対象とする場合との双方が採用されている。
【0047】
このような実施形態においては、正確な形状による成形を実現することができる。
【0048】
以下、実施例について説明する。
【実施例0049】
実施例は、基本構成(1)、(2)、(3)において、に示すように、テストピース3において、テストピース3の領域表面に凹凸形状を形成していることを特徴としている。
【0050】
このような表面における凹凸形状の設定によって、実施例においては、テストピース3の原材料である粉末材料を節約し、かつ効率的に使用することができる。
但し、テストピース3は、単位体積当たりの塑性変形強度に関する試験片として使用する場合には、凹凸形状は塑性変形の測定に支障が生じない程度の深さであることを必要とする。
【0051】
これに対し、テストピース3が密度に関する試験片に使用される場合には、凹凸形状の深さは然して限定される訳ではない。
【0052】
の凹凸形状は、テストピース3の周囲を囲むライン形状及びそれぞれ独立している点在形状の双方の何れも採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
基本構成(1)、(2)、(3)に立脚している本発明においては、製造対象部品、サポート材、テストピースを効率的に成形することができ、かつ三次元成形に必要な粉末材料を効率的に使用し得る点において画期的であり、三次元成形において多大な利用可能性を期待することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 製造対象部品
2 サポート材
3 テストピース
4 ベースプレート
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピースの双方を個別に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元形方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
テストピースの領域表面に、凹凸形状を形成していることを特徴とする請求項1,2,6の何れか一項に記載の三次元形方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、以下の基本構成(1)、(2)、(3)からなる。
(1)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、サポート材、テストピースの双方を個別に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元形方法。
(2)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるサポート材とテストピースとを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、複数個のサポート材を個別に接合し、かつテストピースを当該サポート材に接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。
(3)ベースプレートの上側におけるスキージの走行による粉末の散布及びレーザビーム又は電子ビームの照射による粉末の焼結による成形に立脚し、かつ製造対象部品及び製造対象部品を支えるテストピースを、同一工程内にて前記成形に至る三次元成形方法であって、製造対象部品の一部領域に対し、テストピースを1個又は複数個の単位にて接合した状態にて成形していることを特徴とする三次元成形方法。