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  • 特開-車両用制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062489
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20240501BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20240501BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
E05B41/00 H
B60R25/01
E05B49/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170338
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 豪
(72)【発明者】
【氏名】村岡 悟
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正倫
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250CC06
2E250HH01
2E250LL01
2E250MM01
2E250MM03
2E250SS12
2E250UU02
2E250UU03
(57)【要約】
【課題】コスト低減とユーザの利便性の向上との両立を図ることを目的とする。
【解決手段】メータECUのカスタマイズ設定画面の操作により、アンサーバック機能が無効化されているときに(ステップS5のNO)、ボデーECUによりパワーバックドアの動作指令が検出されたときに(ステップS1,S2のYES、ステップS3のNO、ステップS7のYES)、無効化されているアンサーバック機能が有効にされ、ボデーECUにより、ハザードランプ及びブザーがメモリに保持されたアンサーバック機能の有効時のカスタマイズ設定値に基づく報知態様で制御される(ステップS6)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知手段により所定の報知態様で複数の車両ドアに関する動作を報知するアンサーバック機能を有し、該アンサーバック機能の有効化、無効化をユーザが設定するためのカスタマイズ手段を備える車両用制御装置において、
前記アンサーバック機能の前記所定の報知態様は、前記複数の車両ドアに関する動作の報知と、前記特定の車両ドア以外お特定の車両ドアに関する動作の報知とに共用され、前記カスタマイズ手段により設定されたカスタマイズ設定値に基づく前記所定の報知態様で前記報知手段が制御されて実行されるものであり、
前記カスタマイズ手段により前記アンサーバック機能が無効化されている場合に、ユーザによる前記特定の車両ドアに関する動作指令を検出する検出手段と、
前記カスタマイズ手段により前記アンサーバック機能が無効化されている状態で、前記検出手段により前記特定の車両ドアの動作指令が検出されたときに、無効化されている前記アンサーバック機能を有効にし、前記報知手段を制御して前記特定の車両ドアの動作を前記所定の報知態様で報知させる制御手段と
備えることを特徴とする車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知手段により所定の報知態様で複数の車両ドアに関する動作を報知するアンサーバック機能を有し、該アンサーバック機能の有効化、無効化をユーザが設定するためのカスタマイズ手段を備える車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用制御装置として、ユーザが所持する携帯機から無線送信される制御信号に対する車両ドアの動作状況を、所定の報知態様でユーザに報知するアンサーバック機能を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このアンサーバック機能における報知態様として、例えば運転席ドアや助手席ドアなどの施錠・解錠を報知手段であるハザードランプの点滅やブザーの吹鳴により行うことが一般的であり、この場合のアンサーバック機能は、すべての適用対象ドアについて共用されることから同じ報知態様となる一方、例えばアンサーバック機能を「有効、「無効」にユーザがカスタマイズ設定できる仕様である場合には、アンサーバック機能が「有効」に設定されているときにアンサーバック機能が動作し、「無効」に設定されているときにはアンサーバック機能は動作しないことになる。
【0004】
さらに、パワースライドドアやパワーバックドアの作動時には、周囲に注意喚起させるためにハザードランプの点滅やブザーの吹鳴により注意喚起させることも行われており、この場合、パワースライドドアやパワーバックドアの作動時における注意喚起に、上記したアンサーバック機能と同じ報知態様が共用されることもある。
【0005】
ところで、アンサーバック機能を「有効、「無効」にユーザがカスタマイズ設定できるようにしたのは、夜間特に深夜において、ユーザがアンサーバック機能における報知態様としてハザードが点滅したりブザーが吹鳴したりすると近所迷惑なって煩わしさを感じたときに、アンサーバック機構を「無効」に設定できるようにしてほしい、というユーザのニーズがあるからである。
【0006】
また、運転席ドアの施解錠は頻繁に行われるのに比べ、パワーバックドアの開閉動作の頻度は非常に少ないことから、夜間や深夜に運転席ドアの施解錠のたびにアンサーバック機能にける報知対応で報知すると近所迷惑になって困るというユーザにとって、頻度の少ないパワーバックドアの動作でアンサーバック機能と同様の報知態様での報知がなされても近所迷惑になると感じることは少ないのが実情である。そのため、このようなユーザにとっては、夜間や深夜における運転席ドアの施解錠に伴うアンサーバック機能を「無効」にして近所迷惑を回避したいと考えるのが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-148146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このようなユーザの利用形態の実情を鑑みつつ、さらなるコスト低減が望まれている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コスト低減とユーザの利便性の向上との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明の車両用制御装置は、報知手段により所定の報知態様で複数の車両ドアに関する動作を報知するアンサーバック機能を有し、該アンサーバック機能の有効化、無効化をユーザが設定するためのカスタマイズ手段を備える車両用制御装置において、前記アンサーバック機能の前記所定の報知態様は、前記複数の車両ドアに関する動作の報知と、前記特定の車両ドア以外お特定の車両ドアに関する動作の報知とに共用され、前記カスタマイズ手段により設定されたカスタマイズ設定値に基づく前記所定の報知態様で前記報知手段が制御されて実行されるものであり、前記カスタマイズ手段により前記アンサーバック機能が無効化されている場合に、ユーザによる前記特定の車両ドアに関する動作指令を検出する検出手段と、前記カスタマイズ手段により前記アンサーバック機能が無効化されている状態で、前記検出手段により前記特定の車両ドアの動作指令が検出されたときに、無効化されている前記アンサーバック機能を有効にし、前記報知手段を制御して前記特定の車両ドアの動作を前記所定の報知態様で報知させる制御手段と備えることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、複数の車両ドアのうち特定の車両ドアを除くドアに関する動作の報知と、特定の車両ドアに関する動作の報知とに1つのアンサーバック機能が共用されている場合に、カスタマイズ手段によりアンサーバック機能が無効化されている状態で、検出手段とにより特定の車両ドアであるパワーバックドアに関する動作指令が検出されると、無効化されているアンサーバック機能が有効にされて、制御手段により報知手段が制御されて特定の車両ドアの動作が所定の報知態様で報知されるため、特定の車両ドアに専用のアンサーバック機能を設ける場合のような処理プログラムの複雑化によるコスト上昇を招くことを防止でき、安価かつ簡単な構成により、動作開始する特定の車両ドアに人がぶつかるおそれを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンサーバック機能の所定の報知態様が、複数の車両ドアに関する動作の報知と、これら複数の車両ドア以外の特定の車両ドアに関する動作の報知とに共用されている場合に、カスタマイズ手段によりアンサーバック機能が無効化されている状態で、検出手段により特定の車両ドアの動作指令が検出されたときに、無効化されているアンサーバック機能が有効にされ、制御手段により、報知手段が制御されて特定の車両ドアの動作が所定の報知態様で報知されるため、特定の車両ドアに専用のアンサーバック機能を設ける場合のような処理プログラムの複雑化によるコスト上昇を招くことを防止でき、安価かつ簡単な構成により、動作開始する特定の車両ドアに人がぶつかるおそれを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る車両用制御装置の一実施形態のブロック図である。
図2図1の動作説明図である。
図3図1の動作説明用フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る車両用制御装置の一実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
【0015】
本実施形態における車両用制御装置は、電動により開閉可能なパワーバックドアを備え、運転席ドア、助手席ドア、後部座席横のパワースライドドア、パワーバックドアのロック・アンロックやドアの自動開閉を、報知手段であるハザードランプの点滅やブザーの吹鳴により同じ報知態様で報知するアンサーバック機能を備え、ユーザがアンサーバック機能を「有効、「無効」にカスタマイズ設定できる仕様の車両であって、パワーバックドアなどの特定の車両ドアの自動開閉動作時における注意喚起のためにハザードランプの点滅やブザーの吹鳴を行い、このような注意喚起のための報知態様として、アンサーバック機能と同じ報知態様が共用される車両に搭載されるものである。
【0016】
このとき、パワーバックドア等の特定の車両ドアの自動開閉動作時の報知態様を、他の車両ドアとは別に設定することも考えられるが、同種のアンサーバック機能を実行するために別個のカスタマイズのID設定といった処理や判断機能が必要になる等、処理プログラムが複雑化しコストの上昇を招くことから、上記したように、パワーバックドア等の特定の車両ドアの自動開閉動作時の報知態様にアンサーバック機能の報知態様を共用する利点がある。
【0017】
このように報知態様を共用化した車両では、ユーザがアンサーバック機能の「有効、「無効」を設定できることから、原則的に、アンサーバック機能が「有効」にカスタマイズ設定されているときにアンサーバック機能の所定の報知態様による報知が作動し、「無効」に設定されているときにはアンサーバック機能の所定の報知態様による報知が作動することはなく、特定の車両ドアであるパワーバックドアの自動開閉動作も報知されない。
【0018】
しかしながら、パワーバックドア等の特定の車両ドアの自動開閉動作時の報知態様にアンサーバック機能の報知態様を共用しただけでは、例えば車両を使用する複数人の家族の中に聴力に難のある家族がいる場合に、アンサーバック機能を「無効」にしてしまうと、パワーバックドアが動作する際に聴力に難のある家族がパワーバックドアの近辺に立っているときに、アンサーバック機能の報知態様である特にブザーの報知がなされないために、パワーバックドアの作動開始が分からず、パワーバックドアが開いたり閉じたりすることに気付かずにドアにぶつかり、聴力に難のある人以外でもお年寄りや子供などでも、同様にバックドアにぶつかるおそれがある。このような不都合を解消するのが、本発明の特徴である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態における車両用制御装置1は、ボデーECU(Electronic Control Unit)2を備え、このボデーECU2は、バッテリ3により電源供給され、IGスイッチ及びACCスイッチ等の電源スイッチ4の信号が入力され、ドアハンドル付近に設けられたドアのロック・アンロックのためのドアスイッチの操作に基づくリクエストスイッチ信号5が入力され、ユーザが携帯する携帯機(図示せず)のキー操作による全ドアのロック・アンロックのためのワイヤレスロック・アンロック信号6が入力されるほか、パワーバックドアに設けられたバックドアオープナースイッチ7の操作によるバックドアの自動開放信号・自動閉塞信号が入力され、各ドアに設けられた検出センサそれぞれにより検出されるドアロック・アンロック信号8が入力される。ここで、電源スイッチ4の信号がIGスイッチオン信号であれば、ボデーECU2は車両走行による「車速あり」と判断し、電源スイッチ4の信号がACCスイッチオン信号であれば、ボデーECU2は車両停車による「車速なし」と判断する。
【0020】
更に、ボデーECU2は、パワーバックドアECU(以下、PBDECUという)9及びメータECU10とCAN(Controller Area Network)通信によるデータの送受信を行うようになっている。例えば、ユーザが足先を車両後部の下方に挿入する等の所定の動きを行うと、PBDECU9に接続されたキックセンサがこの動きに反応して作動し、パワーバックドアを自動開放・自動閉塞するための検知信号がキックセンサから出力されてこの検知信号に応じたキックセンサ信号がPBDECU9からCANの通信バス11に送出されてボデーECU2により受信され、ボデーECU2によりパワーバックドアを自動開放・自動閉塞する制御が行われる。ここで、ボデーECU2によるバックドアオープナースイッチ7の操作に基づくバックドアの自動開放信号・自動閉塞信号の検出、及び、キックセンサ・PBDECU9からの信号の検出機能が、本発明における「検出手段」に相当する。
【0021】
一方、メータEUC10は、所定の報知態様で複数の車両ドアに関する動作を報知するアンサーバック機能の「有効」、「無効」をユーザが設定するためのカスタマイズ手段としての機能を有し、例えば図2に示すようなカスタマイズ設定値を記憶手段であるメモリ10aに予め記憶している。すなわち、ユーザがアンサーバック機能のカスタマイズ設定画面をLCDから成るメータに表示する操作を行うことにより、ユーザがメータに表示されるカスタマイズ設定画面を操作してアンサーバック機能の「有効」または「無効」の選択を行うと、報知手段であるハザードランプに関しては、「有効」の選択であればハザードランプの点滅作動のカスタマイズ設定信号を生成し、「無効」の選択であればハザードランプの非作動のカスタマイズ設定信号を生成し、報知手段であるブザーに関しては、「有効」の選択であればブザーの音圧レベルを1~6の段階でユーザにより選択された音圧でブザーを吹鳴するためのカスタマイズ設定信号を生成し、「無効」の選択であればブザーの音圧レベルのカスタマイズ設定信号を生成する。そして、これらカスタマイズ設定信号がメータECU10からCANの通信バス11に送出され、ボデーECU2によりこれが受信され、ボデーECU2の保持手段であるメモリ2aにメータECU10からのカスタマイズ設定信号に基づくカスタマイズ設定値が保持される。
【0022】
ところで、ユーザがドア解錠のためのアンロック操作を行うと、当該アンロック操作に基づくリクエストスイッチ信号5、ワイヤレスロック信号6がボデーECU2により受信され、これらの信号のいずれかを受信したボデーECU2はドアアンロックの指令ありと判断してアンロック(解錠)のためのドアアンロック制御信号13を図外のドアアクチュエータに出力する。また、ユーザがドア施錠のためのロック操作を行うと、アンロック操作時と同様に、当該ロック操作に基づくリクエストスイッチ信号5、ワイヤレスアンロック信号6がボデーECU2により受信され、これらの信号のいずれかを受信したボデーECU2はドアロックの指令ありと判断してロック(施錠)のためのドアロック制御信号14を上記したドアアクチュエータに出力する。また、ボデーECU2は、ドアオープナースイッチ7の操作によるパワーバックドアの自動開放信号・自動閉塞信号やPBDECU9からのパワーバックドアの自動開放・自動閉塞のためのキックセンサ信号を受信すると、パワーバックドアを自動開放・自動閉塞するために開放指令信号・閉塞指令信号を出力してPBDECU9がこれを受信する。
【0023】
また、ボデーECU2は、ドアアンロック制御信号13、ドアロック制御信号14を出力すると同時に、ユーザの設定操作に基づき、メモリに保持されたカスタマイズ設定値(図2参照)の有効・無効が「有効」に設定されているときにはアンサーバック機能を実行し、ハザードランプ15を「有効」のカスタマイズ設定値に基づき予め定められた所定周期で所定時間点滅させるとともに、ブザー16を「有効」のカスタマイズ設定値の音圧レベルで所定回数だけ所定間隔吹鳴させ、アンサーバック機能における報知態様での報知を実行する。なお、このアンサーバック機能は、電源スイッチ4の信号がIGスイッチオン信号であって車両が走行中で車速ありと判断されたときには実行されず、ACCスイッチオン信号であって車両が停車中で車速なしと判断されたときに実行される。
【0024】
一方、メモリに保持されたカスタマイズ設定の有効・無効が「無効」に設定されているときには、ボデーECU2はドアアンロック制御信号13、ドアロック制御信号14を出力してもアンサーバック機能における報知態様での報知を実行せず、ハザードランプ15は非作動のままであり、ブザー16も吹鳴しない。
【0025】
次に、本発明の最大の特徴について説明する。いま、車両の全ドアのうちパワーバックドアを特定の車両ドアであるとし、ユーザによる設定操作に基づき、メモリに保持されたカスタマイズ設定値の有効・無効が「無効」に設定されている状態(アンサーバック機能の無効化)、ユーザによりパワーバックドアに関する自動開放・自動閉塞の動作指令が検出されると、ボデーECU2は、「無効」に設定されているアンサーバック機能を有効にしてパワーバックドアの自動開放開始と同時、及び、パワーバックドアの自動閉塞開始直後に、報知手段であるハザードランプ15、ブザー16を制御してパワーバックドアの動作をメモリ2aに保持されたカスタマイズ設定値に基づくアンサーバック機能の報知態様で報知する。
【0026】
このような、ボデーECU2によるパワーバックドアに関する自動開放・自動閉塞の動作指令の検出機能が、本発明における「検出手段」に相当し、「無効」に設定されているアンサーバック機能における報知態様での報知をパワーバックドアの動作に関してのみ有効にしてパワーバックドアの動作を報知する機能が、本発明における「制御手段」に相当する。
【0027】
次に、ボデーECU2の動作手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では「アンサーバック」を「AB」と称し、「パワーバックドア」を「PBD」と称する。
【0028】
図3に示すように、AB(アンサーバック)機能による報知が作動していない非作動状態、つまりハザードランプ15及びブザー16のどちらも動作していない状態であるときに(ステップS1)、ボデーECU2により、AB機能が動作可能な条件が成立したか否か、つまり電源スイッチ4のACCスイッチオン信号が入力されて車両停車により車速がゼロであるか否かの判定がなされ(ステップS2)、この判定結果がNOであればステップS1に戻り、判定結果がYESであれば、携帯機等によるドアのロック・アンロック操作ありを検出したか否かの判定がなされる(ステップS3)。
【0029】
そして、ステップS3の判定結果がYESであれば、携帯機等のロック・アンロック操作に応じたドアのロック・アンロックが完了したか否かの判定がなされ(ステップS4)、この判定結果がNOであれば上記したステップS1に戻り、判定結果がYESであれば、メモリに保持されたAB機能のカスタマイズ設定値が「有効」であるか否かの判定がなされ(ステップS5)、この判定結果がNO(「無効」)であれば上記したステップS1に戻り、判定結果がYES(「有効」)であれば、AB機能が作動されてメモリ2aに保持されているカスタマイズ設定値に基づきハザードランプ15が点滅制御されるとともにブザー16が吹鳴され、AB(アンサーバック)機能における報知態様での報知がなされ(ステップS6)、その後スタートに戻って、ステップS1以降の処理が繰り返される。
【0030】
ところで、上記したステップS3の判定結果がNOであれば、ボデーECU2により、PBD(パワーバックドア)の自動開放・自動閉塞の動作開始操作を検出後、ユーザによるロック・アンロックの操作に応じてロック・アンロックが完了したか否かの判定がなされ(ステップS7)、この判定結果がNOであれば上記したステップS1に戻り、判定結果がYESであれば、ステップS6に移行してAB機能における報知態様での報知が実行され、メモリ2aに保持されたカスタマイズ設定値に基づきハザードランプ15が点滅制御されるとともにブザー16が吹鳴され、PBDの自動開放・自動閉塞の動作の開始が報知される(ステップS6)。
【0031】
ここで、ステップS7の処理について詳述すると、上記したステップS1を経てステップS2~ステップS4を全てYESで通過した後ステップS5をNOで通過する場合、ステップS5の判定でAB機能のカスタマイズ設定値が「無効」と判定されてステップS1に戻るため、その後のステップS2の判定をYESで通過してステップS3の判定で携帯機等によるドアのロック・アンロック操作なしと判定されてNOで通過するとステップS7に移行することになる。
【0032】
そして、ステップS7の判定で、ボデーECU2により、PBDの自動開放・自動閉塞の動作開始操作を検出後、ユーザによるロック・アンロックの操作に応じてロック・アンロックが完了したと判定されてYESで通過するときには、ボデーECU2により、AB報知機能が「無効」に設定されている状態であってもPBDの動作をAB機能により報知できるようにするために有効とされ、PBDの自動開放開始と同時、及び、PBDのロックの自動閉塞開始直後に、ハザードランプ15、ブザー16がメモリ2aに保持されたAB機能の有効時のカスタマイズ設定値に基づく報知態様でPBDの動作が報知される。なお、AB機能が「無効」に設定されている場合、原則的に各ドアの動作に関してAB機能における報知態様での報知はなされない。
【0033】
したがって、上記した実施形態によれば、カスタマイズ手段として機能するメータECU10のカスタマイズ設定画面の操作により、アンサーバック機能が「無効」に設定されている状態で、検出手段として機能するボデーECU2により特定の車両ドアであるパワーバックドアの自動開放・自動閉塞の動作指令が検出されたときに、無効化されているアンサーバック機能が有効にされて、ボデーECU2により、ハザードランプ15及びブザー16がメモリ2aに保持されたアンサーバック機能の「有効」のカスタマイズ設定値に基づく報知態様で制御される。
【0034】
そのため、特定の車両ドアであるパワーバックドアを除くドアに関する動作の報知と、パワーバックドアに関する動作の報知とで1つアンサーバック機能が共用されている場合に、アンサーバック機能が無効化されていても、パワーバックドアの自動開放・自動閉塞の動作を、メモリ2aに保持されたカスタマイズ設定値に基づくアンサーバック機能の報知態様により報知することができ、特定の車両ドアであるパワーバックドアに関する動作を報知するアンサーバック機能を他の車両ドアとは別に設ける場合のような処理プログラムの複雑化によるコスト上昇を招くこともなく、安価かつ簡単な構成により、動作開始するパワーバックドアに人がぶつかるおそれを未然に防止することができる。
【0035】
また、カスタマイズ手段として機能するメータECU10のカスタマイズ設定画面の操作により設定されたカスタマイズ設定値に基づく所定の報知態様でハザードランプ15及びブザー16が制御されるため、ユーザはカスタマイズ設定値を変更することで、アンサーバックの報知態様を好みに合う態様に可変設定することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0037】
例えば、上記した実施形態では、特定の車両ドアをパワーバックドアとした場合について説明したが、特定の車両ドアがパワースライドドアであっても、本発明を同様に適用して同様の効果を得ることができる。さらに、パワーバックドア、パワースライドドア以外のドアを特定の車両ドアとして、本発明を実施してもよい。
【0038】
また、上記した実施形態では、アンサーバック機能における報知態様として、ハザードランプ15の点滅のみ、ブザー16の吹鳴のみのいずれかであってもよい。また、報知手段は、上記したハザードランプ15及びブザー16に限るものではない。
【0039】
また、カスタマイズ手段により、上記したアンサーバック機能の「有効」、「無効」のほか、「全無効」の設定もできるようにしておき、「全無効」が設定されたときには制御手段が上記した制御を行わないようにしてもよい。すなわち、「全無効」に設定された場合に、制御手段として機能するボデーECU2は、カスタマイズ手段によりアンサーバック機能が無効化されている状態で、検出手段によりパワーバックドア等の特定の車両ドアの動作指令が検出されても、アンサーバック機能における報知態様での報知を行わずにハザードランプ15、ブザー16を非作動にするようにしてもよい。
【0040】
本発明は、記憶手段に予め記憶された所定の報知態様で複数の車両ドアに関する動作を報知する報知手段によるアンサーバック機能の有効化、無効化をユーザが設定するためのカスタマイズ手段を備える車両用制御装置に、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 …車両用制御装置
2 …ボデーECU(検出手段、制御手段)
2a …メモリ(保持手段)
10 …メータECU(カスタマイズ手段)
10a…メモリ(記憶手段)
15 …ハザードランプ(報知手段)
16 …ブザー(報知手段)
図1
図2
図3