(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062495
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電気式施解錠装置及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05B 47/06 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
E05B47/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170349
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】307011510
【氏名又は名称】株式会社熊平製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 泰史
(57)【要約】
【課題】電磁ソレノイドとロック部材との間に電磁ソレノイドの破損を回避するための弾性部材を介在させる場合に、耐久性をより一層高める。
【解決手段】電気式施解錠装置1は、カンヌキ操作部材106をロックするロック部材2と、ロック部材2をロック位置とロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置3と、ロック部材2と電気式駆動装置3の出力部3bとの間に介在する弾性部材5を備えている。弾性部材5は、ロック部材2側から電気式駆動装置3側に向かう圧縮力または電気式駆動装置3側からロック部材2側に向かう圧縮力を受けて弾性変形するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に設けられるカンヌキ操作部材をロックするロック部材と、
前記ロック部材を、前記カンヌキ操作部材をロックするロック位置と前記カンヌキ操作部材のロックを解除するロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置とを備える電気式施解錠装置であって、
前記ロック部材と、前記電気式駆動装置が有する出力部との間には、前記ロック部材側から前記電気式駆動装置側に向かう圧縮力または前記電気式駆動装置側から前記ロック部材側に向かう圧縮力を受けて弾性変形する弾性部材が介在していることを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気式施解錠装置において、
前記弾性部材は圧縮バネであり、
前記圧縮バネの弾性変形方向一側が前記ロック部材側に位置付けられ、
前記圧縮バネの弾性変形方向他側が前記電気式駆動装置側に位置付けられていることを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気式施解錠装置において、
前記電気式駆動装置の前記出力部には、前記圧縮バネの一端側に達するまで延びる出力側連結部材が連結され、
前記出力側連結部材には、前記圧縮バネの一端側の端面に沿って延び、当該一端側の端面に当接する出力側当接板部が設けられ、
前記ロック部材には、前記圧縮バネの他端側に達するまで延びるロック側連結部材が連結され、
前記ロック側連結部材には、前記圧縮バネの他端側の端面に沿って延び、当該他端側の端面に当接するロック側当接板部が設けられていることを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気式施解錠装置において、
前記出力側連結部材は、前記圧縮バネの外周面に沿って前記圧縮バネの一端側に達するまで延びる出力側ガイド部を有し、該出力側ガイド部に前記出力側当接板部が設けられ、
前記ロック側連結部材は、前記圧縮バネの外周面に沿って前記圧縮バネの他端側に達するまで延びるロック側ガイド部を有し、該ロック側ガイド部に前記ロック側当接板部が設けられことを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気式施解錠装置において、
前記ロック側ガイド部は、前記圧縮バネの径方向に延びる板状をなしており、
前記出力側ガイド部は、前記ロック側ガイド部から前記圧縮バネの周方向に離れて配置されるとともに、前記圧縮バネの径方向かつ前記ロック側ガイド部と交差する方向に延びる板状をなしており、
前記出力側当接板部には、前記ロック側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第1出力側スリットと、前記出力側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第2出力側スリットとが形成され、
前記ロック側当接板部には、前記出力側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第1ロック側スリットと、前記ロック側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第2ロック側スリットとが形成されていることを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気式施解錠装置において、
前記出力側ガイド部には、前記出力側当接板部における前記圧縮バネと反対側に位置する面に係合する出力側係合突起が設けられ、
前記ロック側ガイド部には、前記ロック側当接板部における前記圧縮バネと反対側に位置する面に係合するロック側係合突起が設けられていることを特徴とする電気式施解錠装置。
【請求項7】
前記扉と、
前記扉を支持する扉支持部材と、
前記扉を扉支持部材に対して回動可能に連結するヒンジと、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電気式施解錠装置とを備えたことを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、扉に設けられる電気式施解錠装置及び開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、外部から入力される電気信号によって電気錠を作動させて施錠及び解錠を行う電気式施解錠装置が開示されている。特許文献1の電気式施解錠装置では、カンヌキ操作部材をロックするロック部材を電磁ソレノイドによって駆動するように構成されており、電磁ソレノイドとロック部材との間に引張バネが介在している。引張バネを介在させることにより、ある要因によってロック部材がロック位置で固定されたまま、電磁ソレノイドを後退動作させる方向に電圧が印加されたとしても、引張バネの伸長によって電磁ソレノイドの後退動作を可能にして電磁ソレノイドの破損を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁ソレノイドは、印加された電圧によって瞬間的な動作を行うので、特許文献1のように電磁ソレノイドとロック部材との間に引張バネが介在していると、その引張バネに対して瞬間的に大きな力が作用することになる。
【0005】
一般的に、引張バネの両端部にはそれぞれフック部が設けられており、特許文献1の引張バネの場合、電磁ソレノイド側に引っ掛かるフック部と、ロック部材側に引っ掛かるフック部とが設けられている。本発明者が詳細に観察すると、電磁ソレノイドが瞬間的に動作した際、引張バネはフック部で引っ掛かっているだけなので簡単に揺れてしまい、その結果、フック部が、引っ掛かっている部材に対して擦れるように動くことになる。この程度の擦れは、通常の使用状態では特に問題となることはないが、電磁ソレノイドの操作頻度が極めて高くなるような特殊なケースでは、フック部の摩耗や引張バネのねじれによる破断を招き、その結果、フック部が破損することが考えられる。つまり、更に高い耐久性が要求される場合には、引張バネでは対応できない場合がある。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電磁ソレノイドとロック部材との間に電磁ソレノイドの破損を回避するための弾性部材を介在させる場合に、耐久性をより一層高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様では、扉に設けられるカンヌキ操作部材をロックするロック部材と、前記ロック部材を、前記カンヌキ操作部材をロックするロック位置と前記カンヌキ操作部材のロックを解除するロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置とを備える電気式施解錠装置を前提とすることができる。前記ロック部材と、前記電気式駆動装置が有する出力部との間には、前記ロック部材側から前記電気式駆動装置側に向かう圧縮力または前記電気式駆動装置側から前記ロック部材側に向かう圧縮力を受けて弾性変形する弾性部材が介在している。
【0008】
この構成によれば、電気式駆動装置が出力部を例えば進出させることで、ロック部材がロック位置になり、カンヌキ操作部材がロックされる。一方、電気式駆動装置が出力部を後退させることで、ロック部材がロック解除位置になり、カンヌキ操作部材のロックが解除される。尚、電気式駆動装置が出力部を後退させることでロックする一方、出力部を進出させることでロック解除するように構成することもできる。以下、同様である。
【0009】
ここで、仮に、ロック部材がロック位置で固定されたまま、電気式駆動装置に対して出力部を後退させる方向に電圧が印加された場合を想定すると、弾性部材が圧縮力を受けて弾性変形する。これにより、電気式駆動装置の後退動作が可能になるので、電気式駆動装置の破損が回避される。
【0010】
また、ロック部材をロック位置からロック解除位置に切り替える際や、ロック解除位置からロック位置に切り替える際に、電気式駆動装置が瞬間的に動作した時には、弾性部材が弾性変形することで、各部に加わる衝撃が緩和される。さらに、弾性部材は圧縮力を受けた際に弾性変形する部材なので、従来の引張バネのようにフック部を引っ掛けるといった構造は不要であることから、弾性部材自体の破損が起こり難くなる。
【0011】
本開示の第2の態様に係る弾性部材は圧縮バネであってもよい。この場合、前記圧縮バネの弾性変形方向一側が前記ロック部材側に位置付けられ、前記圧縮バネの弾性変形方向他側が前記電気式駆動装置側に位置付けられる構成とすることができる。これにより、圧縮バネを用いた簡単なシンプルな構造としながら、破損が起こらないようにすることができる。
【0012】
本開示の第3の態様では、前記電気式駆動装置の前記出力部には、前記圧縮バネの一端側に達するまで延びる出力側連結部材が連結されていてもよい。この場合、前記出力側連結部材には、前記圧縮バネの一端側の端面に沿って延び、当該一端側の端面に当接する出力側当接板部を設けることができる。また、前記ロック部材には、前記圧縮バネの他端側に達するまで延びるロック側連結部材が連結されていてもよい。この場合、前記ロック側連結部材には、前記圧縮バネの他端側の端面に沿って延び、当該他端側の端面に当接するロック側当接板部を設けることができる。
【0013】
この構成によれば、出力側当接板部とロック側当接板部との間に圧縮バネが配置されることになる。そして、出力側当接板部が圧縮バネの一端側の端面に当接し、ロック側当接板部が圧縮バネの他端側の端面に当接することになるので、圧縮バネに対して圧縮力を安定して作用させることができる。また、圧縮バネの各端面の広い範囲に圧縮力が分散することになるので、局所的な集中荷重の発生を抑制できる。
【0014】
本開示の第4の態様に係る出力側連結部材は、前記圧縮バネの外周面に沿って前記圧縮バネの一端側に達するまで延びる出力側ガイド部を有し、該出力側ガイド部に前記出力側当接板部が設けられていてもよい。また、前記ロック側連結部材は、前記圧縮バネの外周面に沿って前記圧縮バネの他端側に達するまで延びるロック側ガイド部を有し、該ロック側ガイド部に前記ロック側当接板部が設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、圧縮バネの側方に出力側ガイド部及びロック側ガイド部が配置されることになるので、電気式駆動装置が瞬間的に動作した時、圧縮バネが径方向に揺れないように、出力側ガイド部及びロック側ガイド部によって圧縮バネを所定位置に位置付けておくことができる。これにより、圧縮バネの損傷を抑制できる。
【0016】
本開示の第5の態様に係るロック側ガイド部は、前記圧縮バネの径方向に延びる板状をなしていてもよい。また、前記出力側ガイド部は、前記ロック側ガイド部から前記圧縮バネの周方向に離れて配置されるとともに、前記圧縮バネの径方向かつ前記ロック側ガイド部と交差する方向に延びる板状をなしていてもよい。この場合、前記出力側当接板部には、前記ロック側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第1出力側スリットと、前記出力側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第2出力側スリットとを形成することができ、また、前記ロック側当接板部には、前記出力側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第1ロック側スリットと、前記ロック側ガイド部が差し込まれた状態で摺動する第2ロック側スリットとを形成することができる。
【0017】
この構成によれば、第1出力側スリット及び第2出力側スリットにそれぞれロック側ガイド部及び出力側ガイド部が差し込まれ、また、第1ロック側スリット及び第2ロック側スリットにそれぞれ出力側ガイド部及びロック側ガイド部が差し込まれた状態で、各部材の摺動が可能になる。従って、出力側ガイド部及びロック側ガイド部の周方向の相対的な位置関係がロック側当接板部と出力側当接板部とによって決定されるので、出力側ガイド部がロック側ガイド部に対して揺動することや、捻れるように動くことを抑制でき、その結果、各部の負荷を軽減できる。
【0018】
本開示の第6の態様に係る出力側ガイド部には、前記出力側当接板部における前記圧縮バネと反対側に位置する面に係合する出力側係合突起が設けられていてもよい。また、前記ロック側ガイド部には、前記ロック側当接板部における前記圧縮バネと反対側に位置する面に係合するロック側係合突起が設けられていてもよい。
【0019】
この構成によれば、出力側係合突起を設けるという簡単な構成でありながら、出力側当接板部を出力側ガイド部に対して摺動可能にかつ外れないように設けることができる。また、同様に、ロック側係合突起を設けるという簡単な構成でありながら、ロック側当接板部をロック側ガイド部に対して摺動可能にかつ外れないように設けることができる。
【0020】
また、開閉装置を前提とすることもでき、この場合、前記扉と、前記扉を支持する扉支持部材と、前記扉を扉支持部材に対して回動可能に連結するヒンジと、前記電気式施解錠装置とを備えている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、カンヌキ操作部材をロックするロック部材と、ロック部材を操作する電気式駆動装置の出力部との間に、圧縮力を受けて弾性変形する弾性部材を介在させたので、各部に加わる衝撃を緩和しつつ、弾性部材自体の破損を抑制することができ、耐久性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る電気式施解錠装置を備えた開閉装置の一部を示す斜視図である。
【
図2】施錠時における電気式施解錠装置の斜視図である。
【
図4】施錠時における電気式施解錠装置の側面図である。
【
図5】施錠時における圧縮バネ近傍を拡大して示す側面図である。
【
図6】施錠時における圧縮バネ近傍を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る電気式施解錠装置(詳細は
図2以降に示す)を備えた開閉装置100の一部を示す斜視図である。この開閉装置100は、例えば各種建築物に設置されて使用される。開閉装置100が設置される建築物としては、例えば各種ビル、工場、研究施設等を挙げることができる。この実施形態では、開閉装置100が研究施設に設置される場合について説明する。開閉装置100は、研究施設を構成している壁部や骨格部材等に設置することができ、部屋や室、通路を開閉するのに用いられる。
【0025】
開閉装置100は、扉101と、扉101を支持する扉支持部材102と、扉101を扉支持部材102に対して回動可能に連結するヒンジ(図示せず)とを備えている。ヒンジは上下方向に延びる回動軸(図示せず)を備えており、扉101はヒンジの軸周りに回動することにより、図示する閉状態と、図示しない開状態とに切り替えられる。
【0026】
扉101には、
図2等に示す電気式施解錠装置1が内蔵されるとともに、開閉用のハンドル104やカンヌキ105、カンヌキ操作部材106が設けられている。ハンドル104は、扉101の本体部分に対して回転可能に設けられている。ハンドル104の回転力は、カンヌキ操作部材106に対して水平方向の力に変換されて伝達される。カンヌキ操作部材106の水平方向の移動によってカンヌキ105を進出させた状態と、後退させた状態とに切り替えることができる。進出した状態にあるカンヌキ105は、扉支持部材102と係合することによって扉101を閉状態で保持する。
【0027】
尚、ハンドル104、カンヌキ105及びカンヌキ操作部材106の構成は上述した構成に限られるものではなく、どのような構成であってもよい。例えば、ハンドル104はレバー型のものであってもよい。また、カンヌキ105の数や位置も任意に設定することができる。また、カンヌキ操作部材106の形状や位置も任意に設定することができる。
【0028】
図4に示すように、扉101は、電気式施解錠装置1が取り付けられる基板101aと、基板101aに取り付けられた電気式施解錠装置1を覆うカバー部材101bとを備えている。基板101aとカバー部材101bとの間には、電気式施解錠装置1を収容可能な収容空間Rが形成されている。
【0029】
図2に示すように、電気式施解錠装置1は、カンヌキ操作部材106の後退を阻止することによってカンヌキ105を進出させた状態に維持することができるようになっており、この状態が施錠状態である。一方、電気式施解錠装置1は、施錠状態から
図3に示す解錠状態に切り替えられるようになっており、この解錠状態では、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。
【0030】
以下に、電気式施解錠装置1の具体的な構成について説明する。電気式施解錠装置1は、上下方向に移動可能なロック部材2と、ロック部材2を駆動する電気式駆動装置としての電磁ソレノイド3と、ロック側連結部材4と、圧縮バネ5と、連結ピン6と、上側案内部材7及び下側案内部材8と、手動解錠機構9と、出力側連結部材10とを備えている。
【0031】
ロック部材2は、カンヌキ操作部材106が開状態とならないように、当該カンヌキ操作部材106をロックするための部材であり、高強度な金属製の板材で構成されている。ロック部材2は細長い部材で構成されており、ロック部材2の長手方向が上下方向と略一致するようにロック部材2が設けられている。ロック部材2の幅方向は、扉101の幅方向と略一致しており、扉101の内面に沿ってロック部材2が延びている。ロック部材2の幅方向を説明の便宜上、左右方向とし、右側及び左側を各図に示すように定義するが、これは実際の使用状態を限定するものではない。
【0032】
ロック部材2の左右方向の位置は、上側案内部材7及び下側案内部材8によって所定位置に決められている。ロック部材2の上下方向中間部には、当該ロック部材2の移動方向と交差する方向、即ち、右方向へ突出する突出部からなる板状の当接部2aが設けられている。当接部2aは、左方向に突出していてもよい。当接部2aは、ロック部材2の本体部分2bに対して一体成形されており、例えば所定形状の板材を切断することによって本体部分2bと当接部2aとを一体に切り出すことができる。当接部2aを本体部分2bとは別部材で構成してもよく、この場合、当接部2aを本体部分2bに対して固定しておけばよい。また、当接部2aは、正面視で矩形状をなしているが、当接部2aの形状は矩形状に限られるものではなく、任意の形状に設定することができる。当接部2aは、左右両側へ向けてそれぞれ突出するように、複数設けてもよい。
【0033】
ロック部材2の下端部は、カンヌキ操作部材106の移動を阻止するための阻止部2cである。
図2に示すように、ロック部材2が下方へ移動すると、阻止部2cが進出状態にあるカンヌキ操作部材106の端部106aと対向するように配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退(開方向への移動)が阻止される。この位置がロック位置である。一方、
図3に示すように、ロック部材2が上方へ移動すると、阻止部2cがカンヌキ操作部材106の端部106aよりも上に配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。この位置がロック解除位置である。つまり、ロック部材2は、ロック位置からロック解除位置、ロック解除位置からロック位置に切替可能に配設されている。
【0034】
ロック部材2の上端部には、係合ピン2dが設けられている。係合ピン2dは、ロック部材2の移動方向(上下方向)と交差する方向に延びており、具体的には、ロック部材2の厚み方向に突出するように延びている。係合ピン2dは、ロック部材2とは別部材によって構成されており、例えばピン状の部材で構成されていてもよいし、ボルトやねじ等の軸を有する部材で構成されていてもよい。ボルトやねじを設ける場合、ボルトやねじの軸が係合ピン2dとなり得る部分である。
【0035】
電磁ソレノイド3は、ロック部材2を、カンヌキ操作部材106をロックするロック位置とカンヌキ操作部材106のロックを解除するロック解除位置とに切り替えるためのものである。電磁ソレノイド3は、従来から周知の構造のものを用いることができ、図示しないが、コイル、固定鉄心、可動鉄心、フレーム等を備えている。
図2及び
図3に示すように、電磁ソレノイド3は、ロック部材2の上端部から上方へ離れて配置されている。電磁ソレノイド3の代わりに、例えばギヤ及びモーターを使用した電気式駆動装置であってもよい。
【0036】
電磁ソレノイド3は、コイル、固定鉄心、可動鉄心等を内蔵した本体部3aと、可動鉄心に固定されて当該可動鉄心と一体化された出力部3bと、同様に可動鉄心に固定されて当該可動鉄心と一体化された可動部3cとを有している。可動鉄心の進退方向は上下方向とされており、この実施形態では、
図4に示すように、出力部3bがロック部材2の上端部の直上方に配置され、この状態で本体部3aが扉101の基板101aに固定されている。出力部3bは本体部3aから下方へ突出している。電磁ソレノイド3のコイルに印加する電圧を切り替えることにより、可動鉄心、即ち出力部3b及び可動部3cを上下方向に移動させることができ、
図2に示すように出力部3bを下方へ移動させて進出させた進出状態と、
図3に示すように出力部3bを上方へ移動させて後退させた後退状態とに切り替えることができる。
【0037】
尚、図示しないが、電磁ソレノイド3には、制御部が接続されている。制御部には、施解錠を操作するための操作ボタンやスイッチ等からなる操作手段が接続されており、この操作手段の操作状態を制御部が検出して電磁ソレノイド3に対して所定の電圧を印加する。電磁ソレノイド3は、電圧が印加された瞬間に進出状態から後退状態、後退状態から進出状態に切り替えられ、その動作スピードは高速である。電磁ソレノイド3は進出状態でロック、後退状態でロック解除としてもよいし、後退状態でロック、進出状態でロック解除としてもよい。
【0038】
電磁ソレノイド3の可動部3cは本体部3aから上方へ突出している。可動部3cは出力部3bと連動し、出力部3bが後退すると上方へ移動し、出力部3bが進出すると下方へ移動するようになっている。
【0039】
電磁ソレノイド3の本体部3aよりも下方、かつ、ロック部材2の上方、即ち、ロック部材2と、電磁ソレノイド3が有する出力部3bとの間には、圧縮バネ5が配置されている。圧縮バネ5は、素線を螺旋状に巻くことによって形成された、いわゆるコイルバネであり、巻きばね、弦巻ばねとも呼ぶことができる部材である。圧縮バネ5の素線は、例えば、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。コイル部分の形状は、任意に設定することができ、円筒型、樽型、円錐型等のいずれの形状であってもよい。圧縮バネ5は、弾性変形方向である軸方向が上下方向に向くように配置されている。圧縮バネ5の弾性変形方向一側(下側)がロック部材2側に位置付けられ、圧縮バネ5の弾性変形方向他側(上側)が電磁ソレノイド3側に位置付けられている。従って、上下方向の圧縮力を受けることで、線間が狭まる方向に弾性変形し、その圧縮力が除かれると復元する。つまり、圧縮バネ5は、ロック部材2側から電磁ソレノイド3側に向かう圧縮力または電磁ソレノイド3側からロック部材2側に向かう圧縮力を受けて弾性変形する弾性部材である。
【0040】
ロック部材2には、ロック側連結部材4が連結されている。ロック側連結部材4は、高強度な金属製の板材で構成されており、上下方向に長い形状とされ、ロック部材2の少なくとも上側部分に対してその厚み方向に重なるように配置されている。この状態でロック側連結部材4の上側部分がロック部材2の上端部よりも上に位置している。
【0041】
ロック側連結部材4の下側部分には、ロック部材2を相対的に移動可能にするための移動許容部4aが設けられている。移動許容部4aは、電磁ソレノイド3の出力部3bがロック部材2をロック位置とする状態で固定されているときに、ロック部材2をロック解除位置に移動可能にするための部分である。例えば、移動許容部4aを、ロック部材2の係合ピン2dが挿通される長孔で構成することができ、係合ピン2dは当該長孔内を上下方向に相対的に移動可能になっている。この長孔はロック部材2の移動方向に長く形成されるとともに、ロック側連結部材4を厚み方向に貫通する孔である。また、移動許容部4aは、ロック側連結部材4の略下半部の領域に形成されている。移動許容部4aの開口幅は、係合ピン2dの先端部に設けられている頭部が抜けないように、当該頭部の外径よりも狭く設定されている。
【0042】
ロック側連結部材4は、圧縮バネ5の上端側に達するまで延びている。ロック側連結部材4は、2つのロック側ガイド部4bを有している。すなわち、ロック側連結部材4の上側部分、即ち移動許容部4aが形成された部分よりも上側に位置する部分は、ロック側ガイド部4bとされている。2つのロック側ガイド部4bは、圧縮バネ5を左右方向(径方向)から挟むように配置され、圧縮バネ5の外周面に沿って圧縮バネ5の上端側に達するまで延びるとともに、圧縮バネ5の上端側の端面(上端面)よりも上方へ突出している。
【0043】
2つのロック側ガイド部4bは、共に、圧縮バネ5の径方向に延びる板状をなしている。ロック側ガイド部4bには、ロック側当接板部4cが設けられている。ロック側当接板部4cは、圧縮バネ5の上端面に沿って延びる円形状をなしており、圧縮バネ5の上端面に当接する部材である。ロック側ガイド部4bには、ロック側当接板部4cにおける圧縮バネ5と反対側に位置する面、即ちロック側当接板部4cの上面に係合するロック側係合突起4dが設けられている。ロック側係合突起4dがロック側当接板部4cの上面に係合することで、ロック側当接板部4cがロック側ガイド部4bに対してそれ以上、相対的に上方へ移動するのが規制される。
【0044】
一方、電磁ソレノイド3の出力部3bには、例えば金属材等で構成された連結ピン6により、出力側連結部材10が連結されている。
図4に示すように、電磁ソレノイド3の出力部3bの左右方向の両側には、それぞれピン挿通孔3dが左右方向に貫通するように形成されている。連結ピン6は左右方向に延びる姿勢とされ、左右方向の両端部が出力部3bのピン挿通孔3dに挿通された状態で出力部3bに保持されている。連結ピン6の抜け止めとしては、例えば止め輪(図示せず)等を用いることができる。連結ピン6は、圧縮バネ5から上方に離れて配置されている。
【0045】
連結ピン6の左右方向中間部が出力側連結部材10の上側部分を貫通している。出力側連結部材10は、高強度な金属製の板材で構成されており、上下方向に長い形状とされ、扉101の厚み方向に延びている。
【0046】
出力側連結部材10は、圧縮バネ5の下端側に達するまで延びている。出力側連結部材10は、2つの出力側ガイド部10bを有している。すなわち、出力側連結部材10の下側部分、即ち連結ピン6が貫通している部分よりも下側に位置する部分は、出力側ガイド部10bとされている。2つの出力側ガイド部10bは、ロック側ガイド部4bから圧縮バネ5の周方向に離れて配置されるとともに、圧縮バネ5の径方向かつロック側ガイド部4bと交差する方向に延びる板状をなしている。出力側ガイド部10bと、ロック側ガイド部4bとは圧縮バネ5の周方向に90°離れており、従って、出力側ガイド部10bは、圧縮バネ5を扉101の厚み方向から挟むように配置されることになる。出力側ガイド部10bは、圧縮バネ5の外周面に沿って圧縮バネ5の下端側に達するまで延びるとともに、圧縮バネ5の下端側の端面(下端面)よりも下方へ突出している。
【0047】
出力側ガイド部10bには、出力側当接板部10cが設けられている。出力側当接板部10cは、圧縮バネ5の下端面に沿って延びる円形状をなしており、圧縮バネ5の下端面に当接する部材である。出力側ガイド部10bには、出力側当接板部10cにおける圧縮バネ5と反対側に位置する面、即ち出力側当接板部10cの下面に係合する出力側係合突起10dが設けられている。出力側係合突起10dが出力側当接板部10cの下面に係合することで、出力側当接板部10cが出力側ガイド部10bに対してそれ以上、相対的に下方へ移動するのが規制される。
【0048】
出力側当接板部10cには、ロック側ガイド部4bが差し込まれた状態で摺動する第1出力側スリット10eと、出力側ガイド部10bが差し込まれた状態で摺動する第2出力側スリット10fとが形成されている。ロック側ガイド部4bが2つあるので、第1出力側スリット10eも2つ形成されており、第1出力側スリット10eは左右方向に延びている。出力側ガイド部10bも2つあるので、第2出力側スリット10fも2つ形成されており、第2出力側スリット10fは扉101の厚み方向に延びている。したがって、第1出力側スリット10eの延びる方向と、第2出力側スリット10fの延びる方向とは互いに直交する関係となる。
【0049】
また、ロック側当接板部4cには、出力側ガイド部10bが差し込まれた状態で摺動する第1ロック側スリット4eと、ロック側ガイド部4bが差し込まれた状態で摺動する第2ロック側スリット4fとが形成されている。出力側ガイド部10bが2つあるので、第1ロック側スリット4eも2つ形成されており、第1ロック側スリット4eは扉101の厚み方向に延びている。ロック側ガイド部4bも2つあるので、第2ロック側スリット4fも2つ形成されており、第2ロック側スリット4fは左右方向に延びている。したがって、第1ロック側スリット4eの延びる方向と、第2ロック側スリット4fの延びる方向とは互いに直交する関係となる。
【0050】
上側案内部材7は、ロック位置とロック解除位置との間で移動するロック部材2を当該移動方向に案内するための部材である。
図4にも示すように、上側案内部材7は、基板101aに固定される固定板部7aと、固定板部7aからカバー部材101b側へ突出する案内板部7bとを備えており、ロック部材2と同様な金属製の板材で構成されている。案内板部7bには、ロック部材2が移動方向に挿通される案内孔7cが形成されている。案内孔7cは、ロック部材2の断面形状に対応して左右方向に長く延びるように形成されている。ロック部材2が移動する際には、ロック部材2の外面が案内孔7cの内面の摺動することによって上下方向に案内される。また、ロック部材2の左右方向の移動が案内孔7cの内面によって規制される。
【0051】
上側案内部材7は、ロック部材2の当接部2aよりも上に位置している。従って、ロック部材2がロック位置からロック解除位置に切り替えられると、ロック部材2の当接部2aが上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に対してロック部材2の移動方向から当接するようになっている。具体的には、ロック部材2の当接部2aの上端部が、上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に対して下方から当接することになる。これにより、ロック部材2の上昇位置が規定される。
【0052】
下側案内部材8は上側案内部材7と同様に構成されており、固定板部8a及び案内板部8bを有するとともに、案内板部8bに案内孔8cが形成されている。上側案内部材7及び下側案内部材8によってロック部材2の上下両側がそれぞれ上下方向に案内される。
【0053】
手動解錠機構9は、ロック位置にあるロック部材2を、扉101の外部からの手動操作によってロック解除位置まで移動させるための機構である。すなわち、手動解錠機構9は、扉101の基板101aに固定される固定板90と、手動解除用の操作ボタン91と、揺動板92とを有している。操作ボタン91は、扉101の外部からの手動操作が可能となるように、カバー部材101bから外部に臨むように配設されている。
図4に示すように、操作ボタン91は、通常時に誤って操作されないようにボタンカバー101cにより覆われているが、このボタンカバー101cは省略してもよい。
【0054】
操作ボタン91は、例えば指等で押動操作可能であり、指による押動力によって扉101の内方(基板101aに近づく方向)へ移動可能に固定板90に支持されている。操作ボタン91には、可動板91aが設けられている。操作ボタン91の押動操作に伴って可動板91aも同方向に移動するようになっている。揺動板92は、固定板90に対して左右方向に延びる軸92aによって上下方向に揺動自在に取り付けられている。揺動板92には、係合突起92bが設けられている。この係合突起92bは、操作ボタン91の可動板91aと係合するようになっており、操作ボタン91が押動操作されて可動板91aが移動すると、係合突起92bを可動板91aが押し、これにより、揺動板92が軸92a周りに上方へ回動する。
【0055】
揺動板92の上方には、上方へ回動する揺動板92に係合するように、ロック部材2の当接部2aが配置されている。つまり、ロック部材2の当接部2aは、揺動板92に係合して手動解錠機構9から出力されるロック解除方向の力(軸92a周りの上方へ向かう力)を受けるように配置されている。
【0056】
(施錠動作)
施錠動作は、カンヌキ操作部材106が進出した状態で行われる。図示しない施解錠操作ボタンにより施錠操作がなされると、
図2に示すように、電磁ソレノイド3が出力部3bを進出させる。これにより、出力側連結部材10、圧縮バネ5及びロック側連結部材4を介して出力部3bに連結されているロック部材2は下方へ移動してロック位置に配置される。このとき、ロック部材2は自重によって下方へ移動させることができるが、図示しないバネ等の付勢手段による付勢力により下方へ移動させてもよい。ロック部材2がロック位置に配置されると、阻止部2cが進出状態にあるカンヌキ操作部材106の端部106aと対向するように配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退が阻止される。
【0057】
(解錠動作)
図示しない施解錠操作ボタンにより解錠操作がなされると、
図3に示すように、電磁ソレノイド3が出力部3bを後退させる。これにより、出力側連結部材10、圧縮バネ5及びロック側連結部材4を介して出力部3bに連結されているロック部材2は上方へ移動してロック解除位置に配置されるので、阻止部2cがカンヌキ操作部材106の端部106aよりも上に配置される。従って、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。ロック部材2は、上側案内部材7及び下側案内部材8によって上下方向に案内されるので、ロック位置からロック解除位置に移動する際、ロック解除位置からロック位置に移動する際に、予め定められた軌跡で移動することになり、動作がスムーズに行われる。
【0058】
また、ロック位置からロック解除位置に切り替える際、電磁ソレノイド3は、出力部3bを瞬間的に後退させるので、ロック部材2は高速で上昇することになる。
図7及び
図8は、解錠した瞬間の圧縮バネ5の様子を示しており、解錠した瞬間に圧縮バネ5には上下方向の圧縮力が作用するので、ロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの間で圧縮バネ5が縮む。圧縮バネ5が縮むことにより、ロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの距離が短くなる。その後、圧縮バネ5が復元することで、
図5及び
図6に示すように、ロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの間隔が元に戻る。
【0059】
また、本実施形態では、ロック部材2に当接部2aを設けており、ロック位置からロック解除位置に切り替える際に、当接部2aを上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に当接させてロック部材2が必要以上に上方へ移動しないように上昇位置を規制している。つまり、当接部2aの位置及び上側案内部材7の位置によってロック部材2の過度な上昇を防止しているので、圧縮バネ5や連結ピン6に作用する衝撃力を大幅に低下させることができる。当接部2aが上側案内部材7に当接した後も、ロック側連結部材4には上方に向かう慣性力が作用するので、ロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの間で圧縮バネ5が縮む。圧縮バネ5が縮むことにより、ロック側連結部材4にかかる慣性力が減衰され、連結ピン6にかかる衝撃力を更に低下させることができる。その後、圧縮バネ5が復元することで、ロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの間隔が元に戻る。
【0060】
(非常解錠時)
次に、非常解錠について説明する。例えば、電磁ソレノイド3の故障等によって電磁ソレノイド3が進出状態で動かなくなると、ロック部材2がロック位置のままになり、カンヌキ105を後退させることができなくなる。このような非常時には、扉101の外部から手動解錠機構9の操作ボタン91を押す。すると、可動板91aが移動して、揺動板92の係合突起92bを可動板91aが押し、これにより、揺動板92が軸92a周りに上方へ回動してロック部材2の当接部2aに対して上方へ向かう力が作用する。これによってロック部材2が上方へ移動しようとする。ロック部材2の係合ピン2dがロック側連結部材4の移動許容部4aに挿通されているので、ロック側連結部材4が上方に動かなかったとしても、ロック部材2の上方への移動が許容され、これにより、ロック部材2をロック解除位置にすることができる。
【0061】
手動でロック解除位置にする際にも、当接部2aを上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に当接させることができるので、圧縮バネ5や連結ピン6に作用する衝撃力を大幅に低下させることができる。
【0062】
(異常操作時)
次に、異常操作時について説明する。
図9に示すように、ロック位置にあるロック部材2が例えば他の部材に引っ掛かる等してロック解除位置に移動させることができない状態で、電磁ソレノイド3の出力部3bが後退した場合を想定する。この場合、電磁ソレノイド3の出力部3bとロック部材2との間には圧縮バネ5が介在しているので、圧縮バネ5がロック側当接板部4cと出力側当接板部10cとの間で縮むことにより、出力部3bの後退が許容される。これにより、電磁ソレノイド3の破損が回避される。
【0063】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、電磁ソレノイド3の出力部3bを進出させることで、ロック部材2がロック解除位置からロック位置に切り替わり、カンヌキ操作部材106がロックされる。一方、電磁ソレノイド3の出力部3bを後退させることで、ロック部材2がロック位置からロック解除位置に切り替わり、カンヌキ操作部材106のロックが解除される。
【0064】
異常時、ロック部材2がロック位置で固定されたまま、電磁ソレノイド3に対して出力部3bを後退させる方向に電圧が印加されると、圧縮バネ5が圧縮力を受けて弾性変形する。これにより、電磁ソレノイド3の後退動作が可能になるので、電磁ソレノイド3の破損が回避される。
【0065】
また、ロック部材2をロック位置からロック解除位置に切り替える際や、ロック解除位置からロック位置に切り替える際に、電磁ソレノイド3が瞬間的に動作した時には、圧縮バネ5が弾性変形することで、各部に加わる衝撃が緩和される。さらに、圧縮バネ5は圧縮力を受けた際に弾性変形する部材なので、従来の引張バネのようにフック部を引っ掛けるといった構造は不要であり、フック部の摩耗及び破損といった問題は起こり得ない。したがって、耐久性をより一層高めることができる。
【0066】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本開示に係る電気式施解錠装置は、例えば各種建築物に設置される扉に設けて利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 電気式施解錠装置
2 ロック部材
3 電磁ソレノイド(電気式駆動装置)
3b 出力部
4 ロック側連結部材
4b ロック側ガイド部
4c ロック側当接板部
4d ロック側係合突起
4e 第1ロック側スリット
4f 第2ロック側スリット
5 圧縮バネ
10 出力側連結部材
10b 出力側ガイド部
10c 出力側当接板部
10d 出力側係合突起
10e 第1出力側スリット
10f 第2出力側スリット
106 カンヌキ操作部材