(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062506
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】肌用ミスト化粧料、及び、化粧品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240501BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240501BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/86
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170372
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】荻野 由美子
(72)【発明者】
【氏名】山縣 英祐
(72)【発明者】
【氏名】硲 祥吾
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD041
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC11
4C083DD08
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 スプレー容器から良好に噴霧でき、しかも、皮膚上の粉体含有化粧料が転着すること及び皮膚上の粉体含有化粧料がくすむことを抑制できる肌用ミスト化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む、肌用ミスト化粧料などを提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む、肌用ミスト化粧料。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とが少なくとも共重合した共重合体である、請求項1に記載の肌用ミスト化粧料。
【請求項3】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の肌用ミスト化粧料。
【請求項4】
IOB値が1以上4以下の多価アルコールをさらに含む、請求項1又は2に記載の肌用ミスト化粧料。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された肌用ミスト化粧料と、該肌用ミスト化粧料を収容した容器とを含む、化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧されて使用される肌用ミスト化粧料、及び、該肌用ミスト化粧料と容器とを含む化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば皮膚上のメイクアップ化粧料に対して噴霧されて使用される肌用ミスト化粧料が知られている。
【0003】
この種の肌用ミスト化粧料としては、例えば、特定の2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位及び特定の(メタ)アクリル酸アルキルに基づく構成単位を分子中に含有する重合体と、特定のポリメトキシフラボンと、水とを含むものが知られている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の肌用ミスト化粧料は、上記の重合体を0.0001~0.5質量%含み、且つ、上記のポリメトキシフラボンを0.0001~0.1質量%含む。特許文献1に記載の肌用ミスト化粧料は、皮膚上のファンデーションなどのメイクアップ化粧料に対して噴霧されて使用される。これにより、特許文献1に記載の肌用ミスト化粧料は、噴霧性(ミスト拡散性など)が比較的良好であり、皮膚に塗布された粉体を含むメイクアップ化粧料の塗膜が経時的に乱れることを抑制、即ちメイク崩れを抑制し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のごとき肌用ミスト化粧料は、良好に噴霧できるものの、皮膚上の粉体含有化粧料に塗布されると、皮膚上の粉体含有化粧料のくすみが生じやすくなるという問題、及び、皮膚上の粉体含有化粧料がマスク等に転着しやすくなるという問題を生じさせ得る。
ところが、スプレー容器から良好に噴霧でき、しかも、皮膚上の粉体含有化粧料がマスク等に転着することを抑制でき、皮膚上の粉体含有化粧料のくすみの発生を抑制できる肌用ミスト化粧料については、未だ十分に検討されているとはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、スプレー容器から良好に噴霧でき、しかも、皮膚上の粉体含有化粧料が転着すること及び皮膚上の粉体含有化粧料がくすむことを抑制できる肌用ミスト化粧料を提供することを課題とする。また、本発明は、上記肌用ミスト化粧料と容器とを含む化粧品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る肌用ミスト化粧料は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の肌用ミスト化粧料では、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とが少なくとも共重合した共重合体であってもよい。
上記の肌用ミスト化粧料では、前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
上記の肌用ミスト化粧料で、IOB値が1以上4以下の多価アルコールをさらに含んでもよい。
【0010】
本発明に係る化粧品は、上記の肌用ミスト化粧料と、該肌用ミスト化粧料を収容した容器とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の肌用ミスト化粧料、化粧品によれば、スプレー容器から良好に噴霧でき、しかも、皮膚上の粉体含有化粧料が転着すること及び皮膚上の粉体含有化粧料がくすむことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】肌用ミスト化粧料を霧状に噴出させた後の様子を表す写真。
【
図2】各肌用ミスト化粧料の噴霧性能を表すグラフ。
【
図3】各肌用ミスト化粧料のくすみ抑制性能を表すグラフ。
【
図4】各肌用ミスト化粧料の耐転着性能を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る肌用ミスト化粧料の一実施形態について以下に説明する。
【0014】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む。本実施形態の肌用ミスト化粧料は、水をさらに含む。
なお、「ミスト化粧料」という表記は、スプレー容器などの内部から噴霧されて使用されるための組成物であることを指す。
【0015】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、例えば、粉体含有化粧料に塗布するために使用される。詳しくは、皮膚に塗布されたファンデーションなどの粉体含有化粧料に重ねて塗布して使用できる。
このようにして使用される本実施形態の肌用ミスト化粧料は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含むため、皮膚上の粉体含有化粧料が転着することを抑制できる(良好な耐転着性を有する)。また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、皮膚上の粉体含有化粧料に対して噴霧されたときに、皮膚上の粉体含有化粧料のくすみを抑制できる。また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、スプレー容器などから良好に噴霧(噴出)される。
【0016】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子は、水含有溶媒中で分散した状態(例えば、マイクロエマルジョンの状態)であってもよい。粒子の平均粒径は、例えば10nm以上100nm以下であってもよい。また、粒子の平均粒径は、例えば40nm以下であってもよい。本実施形態の肌用ミスト化粧料の透明性がより高まるという点で、粒子径は小さい方が好ましい。また、肌用ミスト化粧料を肌に塗布した後に、肌表面の小さい凹凸にも粒子が入り込んで、より均一に近い被膜を形成できるという点で、粒子径は小さい方が好ましい。
【0017】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、少なくとも2種類のモノマーの共重合体であって、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが重合した共重合体である。上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、少なくとも2種の異なる(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが重合した共重合体であってもよく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の他のモノマーとが共重合した共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸モノマー、又は、スチレン若しくは酢酸ビニルなどのビニルモノマー(非イオン性モノマー)などが挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル酸」という表記は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する。
【0018】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、炭素数が互いに異なる複数種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(メタ)アクリル酸と共重合することによって得られたものであってもよい。
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体では、(メタ)アクリル酸の構成単位のカルボキシ基が塩の状態であってもよく、(メタ)アクリル酸の構成単位のカルボキシ基が遊離状態(-COOHの状態)であってもよい。
【0019】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル部分は、炭素数1以上10以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素であることが好ましく、炭素数1以上4以下及び炭素数8の炭化水素であることがより好ましい。
さらに好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、アルキル部分の炭素数が1以上4以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、アルキル部分の炭素数が8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸とが共重合した共重合体である。斯かる共重合体が肌用ミスト化粧料に含まれることにより、肌用ミスト化粧料を肌に塗布した後に、より強固な被膜を形成できる。
【0020】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子(総量)を、0.15質量%以上含むことが好ましい。上記の含有率以上であることによって、より良好な耐転着性が発揮される。
また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子(総量)を、2.00質量%以下含んでもよい。これにより、肌用ミスト化粧料をより容易に噴霧できる。
【0021】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子としては、例えば、市販されているものを使用できる。市販されている上記共重合体の粒子を含む原料(以下、製品名)としては、「ヨドゾールGH256F」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「ヨドゾールGH800F」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「ヨドゾールGH34F」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「ヨドゾールGH810F」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「ヨドゾールGH41F」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「DERMACRYL AQF」(ヌーリオン・ジャパン社製)、「ビニゾール 1076DM2.5」(大同化成工業社製)、「ビニゾール 1086WP」(大同化成工業社製)、「ビニゾール 1087FT」(大同化成工業社製)などが挙げられる。
【0022】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤を含む。ポリオキシアルキレン鎖は、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシ(エチレン/プロピレン)鎖などである。ポリオキシアルキレン鎖(特にポリオキシエチレン鎖)は、界面活性剤における親水基として機能する。
【0023】
上記の界面活性剤の親油基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数12以上22以下のアルキル基(飽和脂肪酸アルキル基)、ポリジメチルシロキサン構造、ヒマシ油の脂肪酸部分が水素添加された構造などが挙げられる。
【0024】
親油基としてのアルキル基は、通常、飽和アルキル基である。飽和アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。親油基のアルキル基としては、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基(セチル基)、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基などが挙げられる。
【0025】
上記の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリオキシエチレングリセリルエーテルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
上記の界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことにより、肌用ミスト化粧料が容器からより良好に噴霧される。
【0026】
上記のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ポリエチレングリコール水素添加ヒマシ油とも称される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油には、エチレンオキサイドの付加モル数が異なる硬化ヒマシ油が包含される。エチレンオキサイドの平均付加モル数は、30以上80以下であることが好ましい。エチレンオキサイドの平均付加モル数は、例えば以下のように、E.O.の表記によって示される場合がある。
【0027】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(30E.O.)などが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)が好ましい。
【0028】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(総量)を、0.05質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましい。
また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(総量)を、1.0質量%以下含むことが好ましく、0.5質量%以下含むことがより好ましい。
上記の含有率の範囲内であることによって、皮膚上の粉体含有化粧料に肌用ミスト化粧料が塗布されたときの粉体含有化粧料のくすみをより抑制できる。また、より良好な耐転着性が発揮される。
【0029】
上記のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンには、エチレンオキサイドの付加モル数が異なる様々な化合物が包含される。エチレンオキサイドの平均付加モル数は、例えば以下のように、E.O.の表記によって示される場合がある。
【0030】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5以上15以下のものなどが挙げられる。なかでも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(12E.O.)が好ましい。
【0031】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(総量)を、0.1質量%以上含むことが好ましく、0.2質量%以上含むことがより好ましい。
また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(総量)を、2.0質量%以下含むことが好ましく、1.0質量%以下含むことがより好ましい。
上記の含有率の範囲内であることによって、皮膚上の粉体含有化粧料に肌用ミスト化粧料が塗布されたときの粉体含有化粧料のくすみをより抑制できる。また、より良好な耐転着性が発揮される。
【0032】
上記の界面活性剤としては、他にも、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステル、又は、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステルといったポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。なお、「脂肪酸」とは、炭素数12以上22以下のカルボン酸由来のアルキル基を指す。脂肪酸は、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0033】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド(特にエチレンオキサイド)の平均付加モル数(E.O.で示す)は、例えば、10E.O.以上60E.O.以下であってもよく、40E.O.以下であってもよい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10E.O.以上60E.O.以下のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを上記の肌用ミスト化粧料が含むことにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性(後に詳述)を発揮できる。
【0034】
ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアリン酸エステル、又は、ポリオキシエチレンソルビタンモノベヘン酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
ポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジベヘン酸エステルなどが挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド(特にエチレンオキサイド)の平均付加モル数(E.O.で示す)は、例えば、10E.O.以上50E.O.以下であってもよい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10E.O.以上50E.O.以下のポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステルを上記の肌用ミスト化粧料が含むことにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性を発揮できる。
【0036】
ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリベヘン酸エステルなどが挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド(特にエチレンオキサイド)の平均付加モル数(E.O.で示す)は、例えば、10E.O.以上40E.O.以下であってもよい。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10E.O.以上40E.O.以下のポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステルを上記の肌用ミスト化粧料が含むことにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性を発揮できる。
【0037】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(総量)を、0.05質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましい。
また、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(総量)を、2.0質量%以下含むことが好ましく、1.0質量%以下含むことがより好ましい。
上記の含有率の範囲内であることによって、皮膚上の粉体含有化粧料に肌用ミスト化粧料が塗布されたときの粉体含有化粧料のくすみをより抑制できる。また、より良好な耐転着性が発揮される。
【0038】
上記の界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルも挙げられる。ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸エステル、又は、ポリオキシエチレンモノベヘン酸エステルなどが挙げられる。
ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド(特にエチレンオキサイド)の平均付加モル数(E.O.で示す)は、例えば、10E.O.、40E.O.などである。
【0039】
上記の界面活性剤としては、HLB値が8以上17以下の界面活性剤が好ましい。HLB値は、グリフィン法によって算出される。
【0040】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのうち少なくとも一方を含むことがより好ましい。これにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性(後に詳述)を発揮できる。
【0041】
上記のポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤としては、市販されている製品を採用できる。
【0042】
本実施形態の肌用ミスト化粧料において、上記の界面活性剤に対する、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子の質量比は、0.1以上であってもよく、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよく、1.0以上であってもよい。これにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性(後に詳述)を発揮できる。
一方、本実施形態の肌用ミスト化粧料において、上記の界面活性剤に対する、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子の質量比は、7.0以下であってもよく、6.0以下であってもよく、5.0以下であってもよく、4.0以下であってもよく、3.0以下であってもよい。これにより、肌用ミスト化粧料を塗布したときの上述した粉体含有化粧料のくすみをより抑制でき、また、肌用ミスト化粧料を塗布したときの粉体含有化粧料のより良好な耐転着性(後に詳述)を発揮できる。
【0043】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、上述した配合成分以外に、例えば、多価アルコール、pH調整剤(クエン酸とクエン酸ナトリウムとの組み合わせ等)、増粘剤、界面活性剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0044】
上記の肌用ミスト化粧料は、上記の成分の他に、多価アルコール、増粘剤、界面活性剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0045】
上記の肌用ミスト化粧料は、例えば、IOB値が1以上4以下の多価アルコールをさらに含んでもよい。この種の多価アルコールとしては、例えば、1,3-ブチレングリコール(IOB値2.5)、ポリエチレングリコール400(IOB値2.3)、トリプロピレングリコール(IOB値1.33)、ジプロピレングリコール(IOB値1.83)、プロピレングリコール(IOB値3.33)などが挙げられる。
【0046】
IOB値は、無機性値と有機性値との比率(無機性値/有機性値)であり、無機性又は有機性を示す指標の1つである。IOBは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略称である。
詳しくは、IOB値は、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となる。具体的には、IOB値=無機性値/有機性値 によって算出される。「無機性値」及び「有機性値」の各値については、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、分子中の水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されている。有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出できる(例えば、甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」p11~17、三共出版、1984年発行 を参照)。
【0047】
本実施形態の肌用ミスト化粧料の性状は、特に限定されないが、通常、液状である。
【0048】
上述したように、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、皮膚に塗布後の粉体含有化粧料に対して、噴霧されて使用される。本実施形態の肌用ミスト化粧料は、例えば、スプレー容器から霧状となって噴出される。
皮膚に塗布後の粉体含有化粧料は、無機粉体又は有機粉体を含有する化粧料である。具体的には、粉体含有化粧料としては、ファンデーション、日焼け止め剤、アイシャドウ、チーク、白粉などが挙げられる。粉体含有化粧料は、通常、体質顔料又は着色顔料の少なくとも一方を含む。塗布後の粉体含有化粧料は、油分及び粉体を比較的多く含む塗膜の状態で皮膚を覆っている。皮膚上の粉体含有化粧料に塗布された粉体含有化粧料は、油分及び粉体が皮膚上に単に付着した状態であることから、水を含む化粧料に付着すると、反射率が変化すること等が原因で、くすむ場合がある。また、こすれによって、皮膚上から塗膜がはがれてしまう(転着する)場合がある。また、皮膚に塗布後の粉体含有化粧料は、粉体の再凝集などが原因となって、経時的に崩れる場合がある。
【0049】
これに対して、本実施形態の肌用ミスト化粧料は、水を含むものの、皮膚上の粉体含有化粧料に対して噴霧されたときに、皮膚上の粉体含有化粧料のくすみを抑制できる。また、皮膚上の粉体含有化粧料がマスク等に転着することを抑制できる(耐転着性を有する)。また、皮膚上の粉体含有化粧料の経時的な崩れを抑制できる。
【0050】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、一般的な方法によって製造できる。
例えば、配合する各成分を混合し、撹拌することによって上記肌用ミスト化粧料を製造できる。撹拌するための装置としては、一般的なものを使用できる。必要に応じて、加温しつつ撹拌してもよい。
【0051】
上記の肌用ミスト化粧料は、皮膚外用剤であることが好ましい。斯かる皮膚外用剤は、通常、皮膚に塗布されて使用される。上記の皮膚外用剤は、例えば、顔の皮膚、首の皮膚、四肢の皮膚、頭皮、毛髪、粘膜に塗布されて使用されてもよい。
【0052】
本実施形態の肌用ミスト化粧料は、薬機法上の化粧料、医薬部外品、医薬品等の分類には必ずしも拘束されない。
【0053】
次に、本実施形態の化粧品について説明する。
【0054】
本実施形態の化粧品は、上記の肌用ミスト化粧料と、該肌用ミスト化粧料を収容した容器とを備える。換言すると、本実施形態の化粧品は、上記の肌用ミスト化粧料を内部に収容した容器と、該容器から霧状となって噴出される上記の肌用ミスト化粧料とを備える。
【0055】
上記の容器は、例えば、内部に収容された上記の肌用ミスト化粧料を噴霧できるスプレー容器である。
容器の1回の噴霧操作によって噴霧される肌用ミスト化粧料の量は、特に限定されないが、例えば0.05mL/1回以上1.00mL/1回以下であってもよい。好ましくは、0.50mL/1回以下、より好ましくは0.20mL/1回以下である。
【0056】
本発明の肌用ミスト化粧料及び化粧品は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の実施形態に限定されるものではない。また、本発明では、一般の化粧料や化粧品などにおいて採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【0057】
本明細書によって開示される事項は、以下のものを含む。
(1)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む、肌用ミスト化粧料。
(2)
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とが少なくとも共重合した共重合体である、上記(1)に記載の肌用ミスト化粧料。
(3)
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレンとが少なくとも共重合した共重合体である、上記(1)又は(2)に記載の肌用ミスト化粧料。
(4)
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の肌用ミスト化粧料。
(5)
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上80以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、
前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5以上15以下のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであり、
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10以上60以下のポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルである、上記(4)に記載の肌用ミスト化粧料。
(6)
IOB値が1以上4以下の多価アルコールをさらに含む、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の肌用ミスト化粧料。
(7)
上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載された肌用ミスト化粧料と、肌用該ミスト化粧料を収容した容器とを含む、化粧品。
【実施例0058】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
(実施例1~6、比較例1~5)
表1及び表2にそれぞれ示す配合組成に従い、各肌用ミスト化粧料を製造した。使用した配合成分の詳細を以下に示す。
「(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子を含む原料」
(A-1)アクリレーツコポリマー(エマルジョン状態)
少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体
製品名「ヨドゾールGH256F」ヌーリオン社製
(A-2)アクリレーツコポリマーアンモニウム(エマルジョン状態)
少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体のアンモニウム塩
製品名「ヨドゾールGH800F」ヌーリオン社製
(A-3)(スチレン/アクリレーツ)コポリマー(エマルジョン状態)
少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとスチレンモノマーとの共重合体
製品名「ダイトゾール5000STY」大東化成社製
「その他のポリマー」
(a1)ポリビニルアルコール
製品名「ゴーセノール EG05」三菱ケミカル社製
「ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤」
(B-1)PEG-12ポリジメチルシロキサン HLB=13
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(12E.O.))
製品名「SS-2804」DOWCORNING TORAY社製
(B-2)PEG-60水素添加ヒマシ油 HLB=14
(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.))
製品名「NIKKOL HCO-60」日本サーファクタント工業社製
(B-3)ポリソルベート20 HLB=16.7
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
(ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノラウリン酸エステル)
製品名「レオドール TW-L120」花王社製
「その他の界面活性剤」
(b1)ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(アニオン系)
製品名「ペリセアL-30」旭化成ケミカルズ社製
【0060】
【0061】
【0062】
以下の項目について、各肌用ミスト化粧料について評価試験をおこなった。
<評価:噴霧性>
ミスト容器に各肌用ミスト化粧料をそれぞれ充填した。ボードに固定した用紙に向かって、用紙から所定の距離(15cm)離れたところから、ミスト容器の噴霧用部材を1プッシュすることによって、各肌用ミスト化粧料を約0.15mL噴射した。
円状に広がって用紙上に塗布された部分の直径を測定した。ミストの噴霧性を以下の基準によって評価した。
塗布部分の直径が4.5cm以上:噴霧性良好
塗布部分の直径が4.5cm未満:噴霧性不良
【0063】
上記の噴霧性の評価結果を表1及び表2に示す。
実施例2(A-1及びB-2配合)、及び比較例3(A-1及びb1配合)の各肌用ミスト化粧料について、上記の噴霧性の評価結果(噴霧した後の様子)を
図1に示す。また、グラフで示した評価結果を
図2に示す。
表1、表2、
図1、及び
図2から把握されるように、実施例の肌用ミスト化粧料の噴霧性は良好であった。具体的には、噴霧範囲が比較的広くなった。比較例3などの比較例の肌用ミスト化粧料は、噴霧範囲が小さく、噴霧性が悪かった。
【0064】
<評価:ファンデーションのくすみの抑制性能>
1.コピー紙に1.5cm×1.5cmの枠を設け、測色計でL値を測定した(L0)。
2.スポンジでとったファンデーションを皮膚に塗布する操作を5回繰り返した後、測色計でL値を測定した(L1)。
3.塗布したファンデーションの上から各肌用ミスト化粧料を約0.15mL噴霧し、乾燥させた。その後、測色計でL値を測定した(L2)。
・判定
各肌用ミスト化粧料を塗布した前後で、ファンデーションの色の変化が小さいほどくすみが抑制できたと判断した。指標として、L2-L1の値が小さいほど、くすみを抑制できたと判定した。
L2-L1の値が0.2以下であれば「良」、L2-L1の値が0.2よりも大きければ「不良」と判定した。
【0065】
上記のくすみの抑制性能の評価結果を表1及び表2に示す。また、グラフで示した評価結果を
図3に示す。
表1、表2、及び
図3から把握されるように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む肌用ミスト化粧料を粉体含有化粧料に塗布したときに、粉体含有化粧料がくすむことを抑制できた。
【0066】
<評価:ファンデーションの耐転着性>
上記の評価(くすみ抑制性能)の操作に引き続いて以下の操作を行った。
4.各肌用ミスト化粧料の塗布部で、ティッシュを巻きつけた文鎮(75g)を3往復させた。その後、測色計でL値を測定した(L3)。
・判定
各肌用ミスト化粧料を塗布した後に、こする操作を実施してもファンデーションが落ちにくいほど耐転着性が高いと判定した。指標として、(L0-L3)/(L0-L2)の百分率が高いほど、耐転着性が高いと判定した。
上記百分率の値が80以上であれば「良」、上記百分率の値が80未満であれば「不良」と判定した。
【0067】
上記のくすみの耐転着性の評価結果を表1及び表2に示す。また、グラフで示した評価結果を
図4に示す。
表1、表2、及び
図4から把握されるように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子と、ポリオキシアルキレン鎖を分子中に有する界面活性剤とを含む肌用ミスト化粧料を粉体含有化粧料に塗布したときに、粉体含有化粧料の耐転着性が良好であった。
【0068】
以上のように、本実施形態の肌用ミスト化粧料(皮膚外用剤)は、皮膚上の粉体含有化粧料に塗布されたときに粉体含有化粧料のくすみを抑制でき、粉体含有化粧料の転着を抑制できた。また、スプレー容器から良好に噴霧できた。
さらには、特定の界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を採用することによって、噴霧性がより良好となり、また、より良好な耐転着性を発揮できた。
【0069】
<評価:実使用評価>
皮膚に塗布したファンデーション等の化粧持ち性能について、実使用評価を実施した。
・被試験者
ファンデーションやチークのはがれが気になり、頻繁に化粧直しを行っている20歳以上49歳以下の女性 52名
・評価品
[実施試験品]肌用ミスト化粧料(スプレー容器に充填済)((メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と界面活性剤とを含む)
具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体としてアクリレーツコポリマーを含み、界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)を含む
[比較参考品]肌用ミスト化粧料((アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーを含み、界面活性剤を含まない)
・実施期間 1評価品につき1週間、計2週間
被験者の半数は、最初の1週間に実施試験品を使用し、次の1週間に比較参考品を使用した。被験者の他の残り半数は、最初の1週間に比較参考品を使用し、次の1週間に実施試験品を使用した。
・使用方法
朝、メイクアップ化粧料(ファンデーション等)を塗った後に、上記の実施試験品又は上記の比較参考品のいずれかを顔全体に塗布
・評価項目
ファンデーションのもち、チークのもち、アイシャドウのもち、及び、ファンデーションのヨレ、という各評価項目について、被験者自身で官能評価を行った。それぞれの項目に対して、満足、どちらともいえない、不満の3段階のアンケート調査を行った。
結果を表3及び表4に示す。なお、表3は絶対評価の結果を示し、表4は相対評価の結果を示す。
【0070】
【0071】
【0072】
表3及び表4から把握されるように、本発明の実施例の肌用ミスト化粧料を使用することによって、粉体含有化粧料の化粧持ちなどの性能を向上させることができた。
本発明の肌用ミスト化粧料は、例えば、皮膚外用剤の用途で使用できる。本発明の肌用ミスト化粧料は、例えば、皮膚に塗布された粉体含有化粧料(ファンデーションなど)の化粧持ちを持続させるために、粉体含有化粧料のうえから(粉体含有化粧料に重ねて)塗布されて、好適に使用できる。