(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006251
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】溶接ロボットシステムおよび判定方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/127 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B23K9/127 508B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106965
(22)【出願日】2022-07-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】榎本 望
(72)【発明者】
【氏名】片山 翼
(72)【発明者】
【氏名】三木 聡史
(72)【発明者】
【氏名】脇田 直弥
(57)【要約】
【課題】溶接ロボットに取り付けられるセンサ位置の正誤を判定できる溶接ロボットシステムおよび判定方法を提供する。
【解決手段】溶接ロボットシステムは、鋼材を所定方向に移動しながら鋼材を溶接する溶接ロボットを備える。溶接ロボットシステムは、溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、溶接ロボットの所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサと、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムであって、
前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、
前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサと、
前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部と、
を備える、溶接ロボットシステム。
【請求項2】
前記センサは、カメラを含み、
前記溶接ロボットシステムは、前記所定方向側センサと前記反対側センサとに、前記所定方向側センサと前記反対側センサとの間に設置された被写体を撮像させる制御を行う制御部
をさらに備え、
前記判定部は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記被写体を撮像して出力した画像を用いて、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する、請求項1に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項3】
前記被写体は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項4】
前記被写体の形状は、矩形である、請求項3に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項5】
前記被写体の形状は、長方形であり、
前記被写体の長辺と、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角が不変である、
請求項4に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項6】
前記判定部は、前記画像に含まれる前記被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが、前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する、請求項5に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項7】
前記被写体は、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサの座標系と前記溶接ロボットの座標系とを対応付けるためのキャリブレーションであって、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのキャリブレーションに用いられるキャリブレーションプレートである、請求項6に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項8】
前記キャリブレーションプレートは、開先の断面形状の測定にも用いられる、請求項7に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項9】
前記キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられる、請求項8に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項10】
前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記キャリブレーションのために前記被写体を撮像して出力した画像である、請求項9に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項11】
前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪み補正のために前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが前記被写体を撮像して出力した画像である、請求項9に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項12】
前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付けられる位置に対応する情報をユーザに入力させる入力部と、
前記入力部により入力される前記情報に対応する位置と、前記判定部により判定される前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付けられている位置と、が異なる場合に、前記ユーザに通知する通知部と、
を備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項13】
鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムが実行する判定方法であって、
前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサとのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定するステップ
を有する、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ロボットシステムおよび判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材の接合に溶接ロボットを用いた自動溶接が行われている。自動溶接の際には、溶接部分に沿って自走式の溶接ロボットを配置し、予め溶接部分に形成しておいた開先に対して連続的に溶接を行う。溶接ロボットの制御装置においては、溶接ロボットのトーチの開先に対する位置を適切にするために、画像処理による位置制御が利用されている。
【0003】
また、アーク溶接に関して、溶接部位の溶融状態を観察する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、溶接観察装置は、アーク溶接における溶融部位を観察する溶接観察装置であって、溶融部位に形成される溶融池の画像を撮像する第1の撮像手段と、第1の撮像手段によって撮像された溶融池の画像から、溶融池に発生した気泡を検出する第1検出部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接品質の向上、建築現場における人手不足を解消するために、建築現場にレール自走式の溶接ロボットが導入されている。レール自走式の溶接ロボットを使用して、溶接対象となる母材の形状測定をカメラによる画像処理で実施しようとした場合に、以下の点が懸念される。
(1)溶接ワイヤの先端と開先形状とを撮像するカメラが溶接ロボットに対して1台しかない場合、治具、付帯機器との干渉により撮像できない箇所が発生するおそれがある点。
(2)日照条件など光学的な理由より1台のカメラで撮像した場合には、画像処理精度、処理自体の実行完結できないおそれがある点。
【0006】
以上の懸念に対し、2台のカメラを溶接トーチに対し対象の位置に設置する機構とした場合について説明する。建築現場に溶接ロボットを導入した場合、作業者が溶接個所までロボットを運搬し、組み立て、据え付けをしなければならない。この過程で作業者が、ロボットに設定し、登録されている2台のカメラの取り付け台座を誤るとカメラ2台を適切に使い分けることが不可能となる。
例えば、特許文献1では溶接ロボットにおいて、トーチを挟んで進行方向の前後にカメラなどのセンサを設置し、双方から得られた画像に対して画像処理を実施し、溶接状況の監視を行っている。しかし、特許文献1には、カメラなどのセンサの設置ミスによって発生するおそれがある画像が取り違えられることを防止することについては言及されていない。
【0007】
本発明の目的は、溶接ロボットに取り付けられるセンサ位置の正誤を判定できる溶接ロボットシステムおよび判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムであって、前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサと、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部と、を備える。
【0009】
この発明によれば、溶接ロボットシステムは、鋼材を所定方向に移動しながら鋼材を溶接する溶接ロボットを備える。溶接ロボットシステムは、溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、溶接ロボットの所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサとを備える。溶接ロボットシステムは、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部を備える。このように構成することによって、溶接ロボットシステムは、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部を備えるため、センサの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0010】
(2)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(1)に係る溶接ロボットシステムであって、前記センサは、カメラを含み、前記溶接ロボットシステムは、前記所定方向側センサと前記反対側センサとに、前記所定方向側センサと前記反対側センサとの間に設置された被写体を撮像させる制御を行う制御部をさらに備え、前記判定部は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記被写体を撮像して出力した画像を用いて、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
【0011】
溶接ロボットシステムにおいて、センサは、カメラを含む。溶接ロボットシステムは、所定方向側センサと反対側センサとに、所定方向側センサと反対側センサとの間に設置された被写体を撮像させる制御を行う制御部をさらに備える。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0012】
(3)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(2)に記載の溶接ロボットシステムであって、前記被写体は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する。
【0013】
溶接ロボットシステムにおいて、被写体は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが、それぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0014】
(4)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(2)又は上記(3)に記載の溶接ロボットシステムであって、前記被写体の形状は、矩形である。
【0015】
溶接ロボットシステムにおいて、被写体の形状は、矩形とすることができる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが、矩形の被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0016】
(5)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(2)から上記(4)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記被写体の形状は、長方形であり、前記被写体の長辺と、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角が不変である。
【0017】
溶接ロボットシステムにおいて、被写体の形状は、長方形であり、被写体の長辺と、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角を不変とすることができる。所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが撮像するタイミングで、被写体の長辺と、撮像範囲の長辺とがなす角が不変であればよい。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが、長方形の被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0018】
(6)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(2)から上記(5)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記判定部は、前記画像に含まれる前記被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが、前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
【0019】
溶接ロボットシステムにおいて、判定部は、画像に含まれる被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用いることができる。このように構成することによって、判定部は、画像に含まれる被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、所定方向側センサと反対側センサとが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0020】
(7)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(2)から上記(6)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記被写体は、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサの座標系と前記溶接ロボットの座標系とを対応付けるためのキャリブレーションであって、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのキャリブレーションに用いられるキャリブレーションプレートである。
【0021】
溶接ロボットシステムにおいて、被写体は、所定方向側センサおよび反対側センサの座標系と溶接ロボットの座標系とを対応付けるためのキャリブレーションであって、所定方向側センサと反対側センサとのキャリブレーションに用いられるキャリブレーションプレートとすることができる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとがキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0022】
(8)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(7)に記載の溶接ロボットシステムであって、前記キャリブレーションプレートは、開先の断面形状の測定にも用いられる。
【0023】
溶接ロボットシステムにおいて、キャリブレーションプレートは、開先の断面形状の測定にも用いられる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが開先の断面形状の測定にも用いられるキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0024】
(9)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(7)又は上記(8)に記載の溶接ロボットシステムであって、前記キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられる。
【0025】
溶接ロボットシステムにおいて、キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが、ワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられるキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0026】
(10)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(7)から上記(9)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記キャリブレーションのために前記被写体を撮像して出力した画像である。
【0027】
溶接ロボットシステムにおいて、画像は、所定方向側センサと反対側センサとがキャリブレーションのために被写体を撮像して出力した画像とすることができる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとが、キャリブレーションのために被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0028】
(11)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(7)から上記(10)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪補正のために前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが前記被写体を撮像して出力した画像である。
【0029】
溶接ロボットシステムにおいて、画像は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪補正のために所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが被写体を撮像して出力した画像とすることができる。このように構成することによって、判定部は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪補正のために被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0030】
(12)本発明の一態様に係る溶接ロボットシステムは、上記(1)から上記(11)のいずれか一項に記載の溶接ロボットシステムであって、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付つけられる位置に対応する情報をユーザに入力させる入力部と、前記入力部により入力される前記情報が対応する位置と、前記判定部により判定される前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付けられている位置と、が異なる場合に、前記ユーザに通知する通知部と、を備える。
【0031】
溶接ロボットシステムにおいて、溶接ロボットシステムは、所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられる位置に対応する情報をユーザに入力させる入力部を備える。位置に対応する情報の一例は、IPアドレスである。溶接ロボットシステムは、入力部により入力される情報に対応する位置と、判定部により判定される前記所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられている位置とが異なる場合に、ユーザに通知する通知部を備える。このように構成することによって、溶接ロボットシステムは、所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられる位置に対応する情報に基づいて、溶接ロボットに、鋼材を所定方向に移動させながら鋼材を溶接させることができる。溶接ロボットシステムは、カメラの取り付け位置が誤っている場合に、ユーザに通知できる。
【0032】
(13)本発明の一態様に係る判定方法は、鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える判定方法であって、前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサとのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定するステップとを有する。
【0033】
この発明によれば、判定方法は、鋼材を所定方向に移動しながら鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムが実行する。判定方法は、溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、溶接ロボットの所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサとのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定するステップを有する。このように構成することによって、溶接ロボットシステムは、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の実施形態によれば、溶接ロボットに取り付けられるセンサ位置の正誤を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態に係る溶接ロボットシステムの一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本実施形態の溶接ロボットシステムおよび判定方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0037】
(実施形態)
(溶接ロボットシステム)
図1は、本発明の実施形態に係る溶接ロボットシステムの一例を示す図である。
本実施形態に係る溶接ロボットシステム1は、溶接ロボット10を用いて溶接対象物2の自動溶接を行うものである。溶接対象物2の一例は、鋼材である。
溶接ロボットシステム1は、溶接ロボット10と制御装置9とを備える。
溶接対象物2には、溶接すべき一対の辺縁に溝状の開先3が形成されている。溶接対象物2には、開先3に沿って走行レール11が設置され、溶接ロボット10は走行レール11に沿って移動可能である。
溶接ロボット10においては、溶接対象物2の表面との交差方向がZ軸、開先3および走行レール11の延伸方向がY軸、開先3を横断する方向(Z軸およびY軸とそれぞれ直交する方向)がX軸とされる。
溶接ロボット10は、走行レール11に沿って移動するサドル12を有し、サドル12には矩形箱状のケース13が支持されている。
ケース13の内部には図示しない移動機構が設置され、ケース13は走行レール11に対して近接離隔する方向(Z軸方向)、および開先3を横断する方向(X軸方向)へ、それぞれ移動可能である。
【0038】
ケース13の開先3に臨む側にはブラケット14が設置され、ブラケット14の先端にはホルダ15が支持され、ホルダ15には溶接トーチ16が保持されている。溶接トーチ16の先端には溶接ワイヤ161が支持されている。
ホルダ15は、ブラケット14に回動可能かつ回動軸Sまわりの任意の角度位置で固定可能であり、ホルダ15の角度により溶接トーチ16のねらい角Atを調整可能である。
溶接ロボット10には、制御装置9が接続されている。
【0039】
溶接ロボット10は、照明装置21と、カメラ22-1と、カメラ22-2とが取り付けられている。カメラ22-1と、カメラ22―2とは、溶接ロボット10から取り外し可能である。カメラ22-1と、カメラ22-2とのうち、任意のカメラをカメラ22と記載する。
照明装置21の一例は、ラインレーザ照射装置であり、開先3の横断方向(X軸方向)に拡がるレーザ光束を開先3の測定部位31に照射する。このように構成することで、測定部位31を開先3の横断方向へ連続して線状に照明できるため、断面形状32を周囲よりも明るく浮かび上がらせることができる。
カメラ22-1とカメラ22-2とは、溶接トーチ16を挟んで両側に一対設置され、それぞれ照明装置21で線状に照明された断面形状32を含む測定部位31を撮像し、画像データとして制御装置9に送信する。
【0040】
一対のカメラ22の一例は、それぞれCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)などの固体撮像素子を含んで構成され、支持パネル221および支持アーム222を介して、ケース13の側面に設置された支持レール223に支持されている。
各カメラ22は、支持パネル221に対して向きを調整可能であり、さらに支持レール223に沿ってX軸方向へ移動可能であり、各カメラ22の位置、向きや傾きを調整することで、撮像する際の視野つまり測定部位31を含む溶接対象物2上の撮像領域220を自由に調整できる。
【0041】
溶接ロボットシステム1は、溶接ロボット10に支持されたパネル23を備える。
パネル23の形状は、長方形などの矩形であり、パネル23の表面には、直交配置された複数本の線232および線233による二次元のゲージ230が描かれている。
パネル23は、キャリブレーションプレートであってもよい。キャリブレーションプレートは、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの座標系と溶接ロボット10の座標系とを対応付けるためのキャリブレーションを行うために使用される。溶接ロボット10の座標系とは、溶接ロボット10の位置を表すための座標系である。
キャリブレーションプレートは、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれのキャリブレーションに使用される。キャリブレーションプレートは、開先3の断面形状の測定にも使用される。キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対するロボット座標系の傾きを求めるためにも使用される。
ゲージ230の形状情報、具体的にはパネル23における直交配置された複数本の線232および線233の基端位置、数、長さ、先端位置の情報は、予め制御装置9に記憶されている。
パネル23は、アーム231を介してブラケット14に支持され、少なくとも下半分が開先3内に入り込むように配置され、パネル23の表面が開先3の連続方向と交差する状態とされている。
アーム231は、ブラケット14に対して回動自在に接続され、パネル23は開先3に入り込んだ状態からカメラ22の視野外まで退避可能である。パネル23をカメラ22の視野外へ退避させるために、アーム231およびパネル23をブラケット14から取り外し可能としてもよい。
このような溶接ロボットシステム1においては、溶接対象物2に対する自動溶接作業に先立って、カメラ位置の正誤を判定し、開先3に対するセンシングを行う。
【0042】
図2は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの一例を示す図である。溶接ロボットシステム1は、
図2に示すように、制御装置9と、走行レール11と、サドル12と、溶接トーチ16と、照明装置21と、カメラ22-1と、カメラ22-2とを備える。
制御装置9は、溶接動作制御部91と、サドル移動制御部92と、入力部93と、処理部94と、記憶部95と、カメラ制御部96と、判定部97と、通知部98とを備える。
制御装置9は、既存のコンピュータシステムに専用のドライバを組み合わせて構成され、記憶部95に格納されたプログラムを実行することで、カメラの位置の正誤の判定、開先形状の測定、走行レール11に沿ったサドル12およびケース13の走行、溶接トーチ16の姿勢調整、溶接トーチ16に供給する電圧および電流の調整、溶接ワイヤの送り速度の調整など、溶接ロボット10の各部動作の制御を行う。
制御装置9は、溶接対象物2の開先3に対して、複数の測定部位31で断面形状32を測定することで開先3の全体的な形状を測定し、得られた開先形状に基づいて溶接ロボット10を制御する。
【0043】
溶接動作制御部91は、溶接トーチ16を制御する。例えば、溶接動作制御部91は、溶接トーチ16の姿勢調整、溶接トーチ16に供給する電圧および電流の調整、溶接ワイヤの送り速度の調整などを行う。
サドル移動制御部92は、サドル12を制御する。例えば、サドル移動制御部92は、走行レール11に沿ったサドル12の走行の制御を行う。
入力部93は、情報を入力する。一例として、入力部93は、キーボードおよびマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部93は、ユーザによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部93は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。
入力部93には、ユーザによって、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられる位置に対応する情報が入力される。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられる位置に対応する情報の一例は、カメラ22-1およびカメラ22-2のIPアドレスなどのカメラ22-1およびカメラ22-2がネットワーク通信を行う場合に使用する識別情報である。
以下、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられる位置に対応する情報の一例として、カメラ22-1およびカメラ22-2のIPアドレスを適用した場合について説明を続ける。
【0044】
例えば、カメラ22-1およびカメラ22-2は、溶接ロボット10に対して、所定方向側と所定方向側とは反対側とに取り付けられる。所定方向の一例は左側(Y軸のマイナス側)であり、反対側の一例は右側(Y軸のプラス側)である。以下、一例として、所定方向側が左側であり、反対側が右側であり、左側にカメラ22-1が取り付けられ、右側にカメラ22-2が取り付けられる場合について説明を続ける。
表示部(図示なし)には、左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスを入力する欄と、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスを入力する欄とが表示される。ユーザは、入力部93に左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスと、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスとを入力する。
【0045】
処理部94は、入力部93から左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスと、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスとを取得する。処理部94は、取得した左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスと、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスとを記憶部95に記憶させる。
カメラ制御部96は、カメラ22-1と、カメラ22-2とを制御する。カメラ制御部96は、カメラ22-1と、カメラ22-2とに接続し、カメラ22-1と、カメラ22-2とから、識別情報を取得する。識別情報の一例は、MACアドレス(Media Access Control address)などのカメラ22に固有の識別番号である。以下、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの識別情報の一例として、MACアドレスを適用した場合について説明を続ける。
カメラ制御部96は、カメラ22-1から取得したMACアドレスを、カメラ22-1のIPアドレスと関連付けて、記憶部95に記憶させる。カメラ制御部96は、カメラ22-2から取得したMACアドレスを、カメラ22-2のIPアドレスと関連付けて、記憶部95に記憶させる。
【0046】
溶接ロボット10が、溶接対象物2に設置される。照明装置21により開先3の測定部位31を横断方向へ線状に照明する。カメラ制御部96は、カメラ22-1とカメラ22-2とを開先3に向けて撮像領域を調整する。カメラ22-1とカメラ22-2とは、開先3を撮像する。
処理部94は、カメラ22-1とカメラ22-2とのそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。処理部94は、画像データを処理することによって得られる画像に基づいて、カメラ22-1とカメラ22-2からの画像データをワールド座標系に対応させる校正関数を準備する。
処理部94は、カメラ22のレンズの歪を補正する。カメラ制御部96は、カメラ22-1と、カメラ22-2とに、被写体を撮像させる制御を行う。被写体の一例は、Y軸方向において、カメラ22-1と、カメラ22-2との間に設置されたパネル23である。カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、パネル23に描かれているゲージ230を撮像領域に配置させ、ゲージ230を撮像させる制御を行う。
ゲージ230の基準点(例えば直交配置された複数本の線232および線233の交差する基点のいずれか)に対して、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの向きを調整し、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの光軸を基準点に向けて固定しておく。
【0047】
溶接ロボット10により支持されたカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの位置は通常開先3からそれた位置にあり、パネル23の正面(開先3の連続方向であるY軸方向)から見ると、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれがX軸方向に変位Dx、Z軸方向に変位Dzで配置されている。さらに、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの傾きがあり、光軸まわりのカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの傾き角Rとする。
カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、パネル23に描かれているゲージ230を撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
処理部94は、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれによって撮像された画像にワールド座標系を設定する。例えば、処理部94は、撮像したゲージ230の画像から割り出した画像上の座標をもとにワールド座標系での座標を割り出すことによってワールド座標系を設定する。処理部94は、画像のゆがみ、焦点距離などのカメラ22-1およびカメラ22-2に固有の特性(内部パラメータ)に基づいて、画像座標系からカメラ座標系に変換する。処理部94は、外部パラメータに基づいて、カメラ座標系からワールド座標系に変換する。
撮像された画像では、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれがX軸方向に変位Dx、Z軸方向に変位Dzおよび傾き角Rによりそれた位置にあるため、パネル23に描かれたゲージ230の形状(例えば直交配置された複数本の線232および線233の長さ、なす角度)が元の形状に対して変形して表れる。
【0048】
処理部94は、記憶部95に記憶されているゲージ230(例えば直交配置された複数本の線232および線233の長さ、なす角度)を参照し、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に表れたゲージ230との比較演算を行うことで、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの変位Dx,変位Dzおよび傾き角Rを計算する。
処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの変位Dx,変位Dzおよび傾き角Rの計算結果に対して、例えばホモグラフィ変換などの演算処理などを行うことにより、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの外部パラメータとして開先3の断面形状を正面つまり開先3の連続方向から見た状態に校正する情報を取得する。
処理部94は、取得したカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの外部パラメータを、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれのIPアドレスと関連付けて記憶部95に記憶させる。このように構成することによって、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれで撮像された被写体の画像上に、ワールド座標系に対応したカメラ座標系を設定できる。なお、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの内部パラメータは、それぞれのMACアドレスと関連付けて記憶部95に記憶させる。
【0049】
カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、被写体を撮像させる制御を行う。被写体の一例は、Y軸方向において、カメラ22-1と、カメラ22-2との間に設置されたパネル23である。カメラ22-1と、カメラ22-2とは、被写体を撮像する。
図3は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
図3において、左図はカメラ22-1によって被写体(パネル23)が撮像される様子を示す画像の一例であり、右図はカメラ22-2によって被写体が撮像される様子を示す画像の一例である。
ここで、カメラ22-1のIPアドレスは、192.168.***.**1であり、MACアドレスは、LL:LL:LL:LL:LL:LLである。カメラ22-2のIPアドレスは、192.168.***.**2であり、MACアドレスは、RR:RR:RR:RR:RR:RRである。
判定部97は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。判定部97は、画像データを処理することによって得られる画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが、溶接ロボット10の左側および右側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
【0050】
図4は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
図4において、左図はカメラ22-1によって撮像される被写体(パネル23)の歪補正前の画像(以下「左側被写体画像」という)の一例であり、右図はカメラ22-2によって撮像される被写体(パネル23)の歪補正前の画像(以下「右側被写体画像」という)の一例である。
図4に示すように、被写体(パネル23)の形状は、長方形である。
図4によれば、カメラ22-1によって撮像される被写体(パネル23)の画像の一例から、被写体はカメラ22-1の撮像範囲における所定範囲に位置し、カメラ22-2によって撮像される被写体(パネル23)の画像の一例から、被写体はカメラ22-2の撮像範囲における所定範囲に位置していることが分かる。
判定部97は、左側被写体画像に含まれる被写体(パネル23)の少なくとも2つの頂点の画像座標系での座標と、右側被写体画像に含まれる被写体(パネル23)の少なくとも2つの頂点の画像座標系での座標とを取得する。例えば、判定部97は、左側被写体画像に含まれる被写体(パネル23)の対向する頂点の画像座標系での座標を取得し、右側被写体画像に含まれる被写体(パネル23)の対向する頂点の画像座標系での座標を取得する。
【0051】
図5は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
図5において、左図は歪補正後の左側被写体画像の一例であり、右図は歪補正後の右側被写体画像の一例である。破線で示すように、被写体の長辺と、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角(θL、θR)が、少なくとも撮像のタイミングで不変である。
判定部97は、左側被写体画像と右側被写体画像との各々に含まれる被写体(パネル23)から二次元ゲージの対向する頂点のカメラ座標系での座標を取得する。例えば、判定部97は、画像のゆがみ、焦点距離などのカメラ22-1およびカメラ22-2に固有の特性(内部パラメータ)に基づいて、画像座標系からカメラ座標系に変換する。
判定部97は、左側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VL1)の座標と、原点(VL1)に対向する頂点(VL2)の座標とを取得する。判定部97は、右側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VR1)の座標と原点(VR1)に対向する頂点(VR2)の座標とを取得する。
判定部97は、左側被写体画像および右側被写体画像のそれぞれから取得した二次元ゲージの対向する頂点のカメラ座標系での座標を、ワールド座標系の座標に変換する。例えば、判定部97は、左側被写体画像において、外部パラメータに基づいて、カメラ座標系での原点(VL1)の座標をワールド座標系での座標(XiL(0),YiL(0))に変換し、カメラ座標系での原点に対向する頂点(VL2)の座標をワールド座標系での座標(XiL(max),YiLR(max))に変換する。
判定部97は、右側被写体画像において、外部パラメータに基づいて、カメラ座標系での原点(VR1)の座標をワールド座標系での座標(XiR(0),YiR(0))に変換し、カメラ座標系での原点に対向する頂点(VR2)の座標をワールド座標系での座標(XiR(max),YiR(max))に変換する。
【0052】
判定部97は、左側被写体画像において、カメラ座標系での原点(VR1)の座標をワールド座標系での座標に変換した結果と、カメラ座標系での原点に対向する頂点(VL2)の座標をワールド座標系での座標に変換した結果とに基づいて、左側に取り付けられたカメラ22-1および右側に取り付けられたカメラ22-2のそれぞれが正しいか否かを判定する。
具体的には、判定部97は、ワールド座標系での頂点(VL2)のX座標(XiL(max))が、ワールド座標系での原点(VL1)のX座標(XiL(0))よりも大きい値であり、且つワールド座標系での頂点(VR2)のX座標(XiR(max))が、ワールド座標系での原点(VR1)のX座標(XiR(0))よりも小さい値である場合には、カメラ22-1とカメラ22-2とが正しく設置されていると判定する。
判定部97は、ワールド座標系での頂点(VL2)のX座標(XiL(max))が、ワールド座標系での原点(VL1)のX座標(XiL(0))以下の値であり、又はワールド座標系での頂点(VR2)のX座標(XiR(max))が、ワールド座標系での原点(VR1)のX座標(XiR(0))以上の値である場合には、カメラ22-1とカメラ22-2とが正しく設置されていないと判定する。
【0053】
判定部97は、ワールド座標系での頂点(VL2)のX座標(XiL(max))が、ワールド座標系での原点(VL1)のX座標(XiL(0))以下の値であり、且つワールド座標系での頂点(VR2)のX座標(XiR(max))が、ワールド座標系での原点(VR1)のX座標(XiR(0))以上の値である場合には、カメラ22-1とカメラ22-2とが正しく設置されていないと判定する。
図2に戻り説明を続ける。
判定部97は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが正しく設置されていないと判定した場合に、通知部98に通知する。
通知部98は、判定部97から通知された場合に、ユーザにカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが正しい位置に設置されていないことを通知する。このように構成することによって、入力部93に入力されるカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれのIPアドレスに対応する位置と、判定部97により判定されるカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられている位置とが異なることをユーザに知らせることができる。
処理部94は、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれで撮像された画像におけるカメラ座標系を設定する。
【0054】
アーム231を回動させることによって、パネル23をカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの視野外まで退避させる。処理部94は、カメラ座標系の原点を校正する。例えば、溶接ロボット10の溶接トーチ16の先端から溶接ワイヤを出した状態にする。
図1において、断面形状32の任意位置(例えば予め設定される校正ポイントに用いた開先3の折曲点)をトーチねらい位置として選択しておき、溶接ロボット10をX軸方向およびZ軸方向に移動させ、溶接トーチ16から延びる溶接ワイヤ161の先端をトーチねらい位置に接触させる。これにより、ワールド座標系の原点と、ロボット座標系の原点と、を対応付ける。
【0055】
カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、溶接ワイヤの先端を含む溶接ワイヤを撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、溶接ワイヤの先端を含む溶接ワイヤを撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
溶接ロボット10の溶接トーチ16の先端から溶接ワイヤが出ない状態にする。カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、溶接トーチ16の先端を撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、溶接トーチ16の先端を撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
【0056】
処理部94は、画像データを処理することによって得られるワイヤ先端を含むワイヤの画像と溶接トーチ16の先端の画像とに基づいて、ワイヤ先端を含むワイヤの画像を取得する。処理部94は、取得したワイヤ先端を含むワイヤの画像に基づいて、ロボット座標系での溶接ワイヤ先端(トーチねらい位置)の座標を取得する。
処理部94は、取得したロボット座標系でのワイヤ先端の座標を、ワールド座標系の原点に設定する。溶接ワイヤ先端(トーチねらい位置)は、ロボット座標系での現在位置として検出されているので、ワールド座標系での原点位置をロボット座標系に変換できる。
【0057】
サドル移動制御部92は、開先3の測定部位31の近傍に溶接ロボット10を移動させる。処理部94は、照明装置21に測定部位31を横断方向へ線状に照明させる。処理部94は、開先3の測定部位31からセンシングポイントを決定する。カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、開先3の測定部位31に含まれるセンシングポイントを撮像させる制御を行う。
カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、開先3の測定部位31に含まれるセンシングポイントを撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
処理部94は、予め準備された準備データを用いて、画像データを処理することによって得られる開先3の測定部位31に含まれるセンシングポイントの画像から、センシングポイントを挟む溶接対象物2の特徴に基づいて、左側のカメラ22-1でエリアの算出が可能か、右側のカメラ22-2でエリアの算出が可能か、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方でエリアの算出が可能かを判定する。なお、後述のステップS3―1の処理は、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方でエリアの算出が可能と処理部94により判定されたエリアで実行される。
【0058】
図6は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
図6には、溶接対象物2おいて、建方治具中間点に、センシングポイント(1)からセンシングポイント(5)が示されている。
処理部94は、建方治具の位置情報を取得し、取得した建方治具の位置情報に基づき、センシングポイント(1)からセンシングポイント(5)のそれぞれにおいて、左側のカメラ22-1でエリアの算出が可能か、右側のカメラ22-2でエリアの算出が可能か、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方でエリアの算出が可能かを判定する。ここで、処理部94は、センシング手段によって建方治具の位置情報を取得しても良いし、ユーザに入力させることによって建方治具の位置情報を取得しても良い。
処理部94は、センシングポイント(1)は、右側のカメラ22-2で撮像できるため、右側のカメラ22-2でエリアの算出が可能であると判定する。処理部94は、センシングポイント(2)からセンシングポイント(4)は、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方で撮像できるため、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方でエリアの算出が可能であると判定する。処理部94は、センシングポイント(5)は、左側のカメラ22-1で撮像できるため、左側のカメラ22-1でエリアの算出が可能であると判定する。
図7は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示す図である。
図7において、左図は、左側のカメラ22-1で、センシングポイント(5)を撮像した画像の一例である。センシングポイント(5)は、左側のカメラ22-1で撮像できるため、左側のカメラ22-1でエリアの算出が可能であることが分かる。
右上図は、右側のカメラ22-2で、センシングポイント(1)を撮像した画像の一例である。センシングポイント(1)は、右側のカメラ22-2で撮像できるため、右側のカメラ22-2でエリアの算出が可能であることが分かる。右下図は、右上図において、左右を反転させた画像である。
図2に戻り説明を続ける。
【0059】
カメラ制御部96は、エリアの算出が可能であると判定した左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2のいずれか一方又は両方に、センシングポイントを撮像させる制御を行う。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。処理部94は、取得した画像データを処理することによって得られる開先3の断面形状を検出する。
例えば、処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから取得した画像データを処理することによって得られる開先3の測定部位31の画像のうちの一方に反転処理を行う。処理部94は、反転処理を行った開先3の測定部位31の画像と、反転処理を行わなかった開先3の測定部位31の画像とに基づいて、開先3の長さ、角度、板厚などを算出することによってエッジ検出処理を行う。
処理部94は、開先3の断面形状のエッジ検出結果に基づいて、開先3の形状とロボット座標系における基準点とを導出する。処理部94は、導出した開先3の形状を特定する情報と基準点の値とにエラーがない場合に、開先3の形状を特定する情報と基準点の値とを確定する。処理部94は、確定した開先3の形状とロボット座標系における基準点とを記憶部95に記憶させる。
開先3の測定部位31に含まれるセンシングポイントを変更しつつ、開先3の全長あるいは一部区間にわたって、複数回繰り返される。このように構成することによって開先3の連続方向に沿った断面形状32を得ること(センシング)ができる。
溶接動作制御部91、サドル移動制御部92、処理部94、カメラ制御部96および判定部97は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部95に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0060】
(溶接ロボットシステムの動作)
図8から
図11は、本実施形態に係る溶接ロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、パネル23の一例としてキャリブレーションプレートを使用した場合について説明する。
(ステップS1-1)
制御装置9において、入力部93には、ユーザによって、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられる位置に対応するIPアドレスが入力される。処理部94は、入力部93から左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスと、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスとを取得する。処理部94は、取得した左側のカメラ22-1に対応するIPアドレスと、右側のカメラ22-2に対応するIPアドレスとを記憶部95に記憶させる。
(ステップS2-1)
制御装置9において、カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれを制御する。カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに接続し、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、MACアドレスを取得する。
カメラ制御部96は、カメラ22-1から取得したMACアドレスを、カメラ22-1のIPアドレスと関連付けて、記憶部95に記憶させる。カメラ制御部96は、カメラ22-2から取得したMACアドレスを、カメラ22-2のIPアドレスと関連付けて、記憶部95に記憶させる。
【0061】
(ステップS3-1)
制御装置9において、カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、キャリブレーションプレート(パネル23)に描かれているゲージ230を撮像領域に配置させ、ゲージ230を撮像させる制御を行う。
ゲージ230の基準点に対して、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの向きを調整し、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの光軸を基準点に向けて固定しておく。
カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、キャリブレーションプレート(パネル23)に描かれているゲージ230を撮像する。
(ステップS4-1)
制御装置9において、処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。処理部94は、画像データを処理することによって、画像のゆがみ、焦点距離などのカメラ22-1およびカメラ22-2に固有の特性(内部パラメータ)を算出する。
処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。処理部94は、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に、画像のゆがみ、焦点距離などのカメラ22-1およびカメラ22-2に固有の特性(内部パラメータ)に基づいて、歪補正を行う。
処理部94は、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれで撮像された画像にワールド座標系を設定する。
処理部94は、記憶部95に記憶されているゲージ230を参照し、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に表れたゲージ230との比較演算を行うことで、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれにおいて、変位Dx,変位Dzおよび傾き角Rを計算する。
処理部94は、得られたカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの変位Dx,変位Dzおよび傾き角Rに対して、例えばホモグラフィ変換などの演算処理により、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの外部パラメータとして開先3の断面形状を正面つまり開先の連続方向から見た状態に校正する情報を取得する。ホモグラフィ変換は、「(同じものを写した)二枚の画像の間の変換」を表す。つまり、ホモグラフィ変換は、歪んだ画像から内部パラメータを使って歪んでいない画像を作成する。内部パラメータを算出することもホモグラフィ変換を用いていると表現してもよい。ホモグラフィ変換の内容は、行列計算であり、ワールド座標系に仮想画面を想定すれば、後述するステップS6-1で、ホモグラフィ変換が行われてもよい。
【0062】
(ステップS5-1)
制御装置9において、処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの内部パラメータを、カメラ22-1のMACアドレスおよびカメラ22-2のMACアドレスと関連付けて、記憶部95に記憶させる。
(ステップS6-1)
制御装置9において、カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、キャリブレーションプレート(パネル23)を撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、キャリブレーションプレート(パネル23)を撮像する。
(ステップS7-1)
制御装置9において、判定部97は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。判定部97は、画像データを処理することによって得られる画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが、溶接ロボット10の左側および右側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
判定部97は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが正しく取り付けられていないと判定した場合に、通知部98に通知する。通知部98は、判定部97から通知された場合に、ユーザにカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが正しく取り付けられてないことを通知する。ここでは、判定部97が、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが正しく取り付けられていると判定した場合について説明を続ける。
【0063】
(ステップS8-1)
制御装置9において、処理部94は、画像データを処理することによって得られるゲージ230の画像に基づいて、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれで撮像された画像におけるワールド座標系を設定する。
図9を参照して、引き続き説明を続ける。
(ステップS1-2)
アーム231を回動させることによって、キャリブレーションプレート(パネル23)をカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの視野外まで退避させる。
制御装置9において、処理部94は、カメラ座標系の原点を校正する。例えば、溶接ロボット10の溶接トーチ16の先端から溶接ワイヤを出した状態にする。断面形状32の任意位置(例えば予め設定される校正ポイントに用いた開先3の折曲点)をトーチねらい位置として選択しておき、溶接ロボット10をX軸方向およびZ軸方向に移動させ、溶接トーチ16から延びる溶接ワイヤ161の先端をトーチねらい位置に接触させる。
カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、溶接ワイヤの先端を含む溶接ワイヤを撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、溶接ワイヤの先端を含む溶接ワイヤを撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
【0064】
(ステップS2-2)
溶接ロボット10の溶接トーチ16の先端から溶接ワイヤが出ない状態にする。
制御装置9において、カメラ制御部96は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、溶接トーチ16の先端を撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、溶接トーチ16の先端を撮像する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。
(ステップS3-2)
制御装置9において、処理部94は、画像データを処理することによって得られるワイヤ先端を含むワイヤの画像と溶接トーチ16の先端の画像とに基づいて、ワイヤ先端を含むワイヤの画像を取得する。処理部94は、取得したワイヤ先端を含むワイヤの画像に基づいて、ロボット座標系での溶接ワイヤ先端(トーチねらい位置)の座標を取得する。
(ステップS4-2)
制御装置9において、処理部94は、取得したロボット座標系でのワイヤ先端の座標を、ワールド座標系の原点に設定する。
図10を参照して、引き続き説明を続ける。
【0065】
(ステップS1-3)
サドル移動制御部92は、開先3の測定部位31に溶接ロボット10を移動させる。
制御装置9において、処理部94は、照明装置21に測定部位31を横断方向へ線状に照明させる。処理部94は、センシングポイントを決定する。
(ステップS2-3)
制御装置9において、処理部94は、決定したセンシングポイントを挟む溶接対象の特徴に基づいて、左側のカメラ22-1でエリアの算出が可能か、右側のカメラ22-2でエリアの算出が可能か、左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2の両方でエリアの算出が可能かを判定する。
(ステップS3-3)
制御装置9において、カメラ制御部96は、エリアの算出が可能であると判定した左側のカメラ22-1および右側のカメラ22-2のいずれか一方又は両方に、センシングポイントを撮像させる制御を行う。
カメラ制御部96は、記憶部95に記憶されたIPアドレスにアクセスすることによって、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれに、開先3の測定部位31を撮像させる制御を行う。カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、開先3の測定部位31を撮像する。
【0066】
(ステップS4-3)
制御装置9において、処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから、画像データを取得し、取得した画像データを処理する。処理部94は、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれから取得した画像データを処理することによって得られる開先3の測定部位31の画像のうちの一方に反転処理を行う。
(ステップS5-3)
制御装置9において、処理部94は、反転処理を行った開先3の測定部位31の画像と、反転処理を行わなかった開先3の測定部位31の画像とに基づいて、開先3の長さ、角度、板厚などを算出することによってエッジ検出処理を行う。
図11を参照して、引き続き説明を続ける。
【0067】
(ステップS1-4)
制御装置9において、処理部94は、右側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)であるか否かを判定する。
(ステップS2-4)
制御装置9において、処理部94は、右側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)であると判定した場合に、右側のセンシングポイントを使用して開先3の形状とロボット座標系における基準点とを導出し、導出した開先3の形状を特定する情報と基準点の値とを出力する。
(ステップS3-4)
制御装置9において、処理部94は、右側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)でないと判定した場合に、エッジ検出処理の結果に基づいて、左側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)であるか否かを判定する。
【0068】
(ステップS4-4)
制御装置9において、処理部94は、左側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)であると判定した場合に、左側のセンシングポイントを使用して開先3の形状とロボット座標系における基準点とを導出し、導出した開先3の形状を特定する情報と基準点の値とを出力する。
(ステップS5-4)
制御装置9において、処理部94は、右側のセンシングポイントのみが使用エリア内(エリアの算出が可能)でないと判定した場合に、設定パラメータの平均処理を行うか否かを判定する。
(ステップS6-4)
制御装置9において、処理部94は、設定パラメータの平均処理を行うと判定した場合に、右側のセンシングポイントを使用して開先3の形状とロボット座標系における基準点とを導出するとともに、左側のセンシングポイントを使用して開先3の形状とロボット座標系における基準点を導出する。
処理部94は、右側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状と、左側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状とを平均化する。処理部94は、右側のセンシングポイントを使用して導出したロボット座標系における基準点と、左側のセンシングポイントを使用して導出したロボット座標系における基準点とを平均化する。
処理部94は、右側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状と左側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状とを平均化した結果と、右側のセンシングポイントを使用して導出したロボット座標系における基準点と左側のセンシングポイントを使用して導出したロボット座標系における基準点とを平均化した結果とを出力する。
【0069】
(ステップS7-4)
制御装置9において、処理部94は、設定パラメータの平均処理を行わないと判定した場合に、設定パラメータを都度確認するように設定する。
(ステップS8-4)
制御装置9において、処理部94は、ステップS2-4とS4-4とS6-4とのいずれかで出力した値にエラーがあるか否かを判定する。
(ステップS9-4)
制御装置9において、処理部94は、ステップS2-4とS4-4とS6-4とのいずれかで出力した値にエラーがあると判定した場合又はステップS7-4で設定パラメータを都度確認するとした場合に、表示部(図示なし)に処理画面を表示させる。
処理画面において、ユーザは、右側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状とロボット座標系における基準点と、左側のセンシングポイントを使用して導出した開先3の形状とロボット座標系における基準点とのいずれかを選択できる。処理画面において、ユーザは、データを修正できる。
(ステップS10-4)
制御装置9において、処理部94は、ステップS8-4でエラー値がないと判定した場合に、開先3の形状とロボット座標系における基準点とを確定する。処理部94は、確定した開先3の形状とロボット座標系における基準点とを記憶部95に記憶させる。
図8のステップS3-1では、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれは、キャリブレーションプレート(パネル23)に描かれているゲージ230を撮像する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、予めキャリブレーションプレート(パネル23)をオフラインで撮像した画像を取得するようにしてもよい。
図8において、ステップS3-1からS5-1は、内部パラメータを算出し、保存した後に、省略されてもよい。
【0070】
前述した実施形態では、溶接ロボット10に、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれが取り付けられる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれとともに、又はカメラ22-1およびカメラ22-2の代わりに輝度情報を取得できるセンサが取り付けられてもよい。
前述した実施形態において、
図9のステップS1-2からS4-2と、
図10のステップS1-3からS5-3とは、順次実行してもよいし、並行して実行してもよいし、個別に実行してもよい。
前述した実施形態においては、パネル23の表面には、直交配置された複数本の線232および線233による二次元のゲージ230が描かれている場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、パネル23の表面に、直交配置された2本の矢印が描かれていてもよいし、カメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれで撮像した画像においてカメラ22-1およびカメラ22-2のそれぞれの方位や傾きが検出可能な図形が描かれていてもよいし、形が異なる複数の点の配列パターンなどが描かれていてもよい。ゲージ230は、パネル23に印刷などで描かれたものに限らず、発光するものなどでもよい。
【0071】
前述した実施形態では、判定部97は、左側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VL1)の座標と原点(VL1)に対向する頂点(VL2)の座標とを取得し、右側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VR1)の座標と原点(VR1)に対向する頂点(VR2)の座標とを取得する場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、判定部97は、左側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VL1)以外の座標と原点(VL1)以外に対向する頂点の座標とを取得し、右側被写体画像において、被写体(パネル23)から二次元ゲージのカメラ座標系での原点(VR1)以外の座標と原点(VR1)以外に対向する頂点(VR2)の座標とを取得してもよい。
前述した実施形態では、ゲージ230が表示されたパネル23は、可動式のアーム231により退避可能なものである場合について説明したが、この例に限られない。例えば、パネル23を溶接ロボット10に対して着脱自在とされたものであってもよい。
前述した実施形態では、照明装置21としてラインレーザ照明装置を使用した場合について説明したが、この例限られない。
例えば、照明装置21は、レーザ光に限らず他の光源でもよく、開先3をその横断方向へ線状に連続して、または線状に並ぶ多点で照明できればよく、断面形状32となる画像を一括して取り込むことができればよい。
【0072】
本実施形態に係る溶接ロボットシステム1によれば、鋼材を所定方向に移動しながら鋼材を溶接する溶接ロボット10を備える。溶接ロボットシステム1は、溶接ロボット10に取り付けられるセンサであって、溶接ロボット10の所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、溶接ロボット10に取り付けられるセンサであって、溶接ロボットの所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサと、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部97とを備える。
このように構成することによって、溶接ロボットシステム1は、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部97を備えるため、センサの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0073】
溶接ロボットシステム1であって、センサは、カメラ22を含み、溶接ロボットシステム1は、所定方向側センサと反対側センサとに、所定方向側センサと反対側センサとの間に設置された被写体を撮像させる制御を行うカメラ制御部96としての制御部をさらに備える。判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが被写体を撮像して出力した画像とを用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0074】
溶接ロボットシステム1であって、被写体は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが、それぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0075】
溶接ロボットシステム1であって、被写体の形状は、矩形である。このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが、矩形の被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
溶接ロボットシステム1であって、被写体の形状は、長方形であり、被写体の長辺と、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角が不変である。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが、長方形の被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0076】
溶接ロボットシステム1であって、判定部97は、画像に含まれる被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、所定方向側センサと反対側センサとが、所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する。
このように構成することによって、判定部97は、画像に含まれる被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、所定方向側センサと反対側センサとが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0077】
溶接ロボットシステム1であって、被写体は、所定方向側センサおよび反対側センサの座標系と溶接ロボットの座標系とを対応付けるためのキャリブレーションであって、所定方向側センサと反対側センサとのキャリブレーションに用いられるキャリブレーションプレートである。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとがキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0078】
溶接ロボットシステムであって、キャリブレーションプレートは、開先の断面形状の測定にも用いられる。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとが開先の断面形状の測定にも用いられるキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0079】
溶接ロボットシステムであって、キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられる。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとがワールド座標系に対するロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられるキャリブレーションプレートを撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラ22の取り付け位置の正誤を判定できる。
【0080】
溶接ロボットシステムであって、画像は、所定方向側センサと反対側センサとがキャリブレーションのために被写体を撮像して出力した画像である。このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとがキャリブレーションのために被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0081】
溶接ロボットシステム1であって、画像は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪補正のために所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが被写体を撮像して出力した画像である。
このように構成することによって、判定部97は、所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪補正のために所定方向側センサと反対側センサとのそれぞれが被写体を撮像して出力した画像を用いて、所定方向側センサおよび反対側センサのそれぞれが所定方向側および反対側のいずれに取り付けられているのかを判定できるため、カメラの取り付け位置の正誤を判定できる。
【0082】
溶接ロボットシステム1であって、所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられる位置に対応する情報をユーザに入力させる入力部93と、入力部93により入力される情報が対応する位置と、判定部97により判定される所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられている位置とが異なる場合に、ユーザに通知する通知部98とを備える。
このように構成することによって、溶接ロボットシステム1は、所定方向側センサと反対側センサとが取り付けられる位置に対応する情報に基づいて、溶接ロボット10に、鋼材を所定方向に移動させながら鋼材を溶接させることができる。溶接ロボットシステム1は、カメラ22の取り付け位置が誤っている場合に、ユーザに通知できる。
【0083】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した制御装置9は、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
【0084】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGAである。
【0085】
なお、上述の制御装置9は内部にコンピュータを有している。そして、上述した制御装置9の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 溶接ロボットシステム
10 溶接ロボット
11 走行レール
12 サドル
13ケース
14 ブラケット
15 ホルダ
16 溶接トーチ
161 溶接ワイヤ
2 溶接対象物
21 照明装置
22、22-1、22-2 カメラ
220 撮像領域
221 支持パネル
222 支持アーム
223 支持レール
23 パネル
230 ゲージ
231 アーム
232、233 線
3 開先
31 測定部位
32 断面形状
9 制御装置
91 溶接動作制御部
92 サドル移動制御部
93 入力部
94 処理部
95 記憶部
96 カメラ制御部
97 判定部
98 通知部
【手続補正書】
【提出日】2023-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムであって、
前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、
前記溶接ロボットに取り付けられるセンサであって、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサと、
前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する判定部と、
を備え、
前記センサは、輝度情報を取得できるセンサ又はカメラである、溶接ロボットシステム。
【請求項2】
前記所定方向側センサと前記反対側センサとに、前記所定方向側センサと前記反対側センサとの間に設置された被写体を撮像させる制御を行う制御部
をさらに備え、
前記センサは、カメラを含み、
前記判定部は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記被写体を撮像して出力した画像を用いて、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する、請求項1に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項3】
前記被写体は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれの撮像範囲における所定範囲内に位置する、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項4】
前記被写体の形状は、矩形である、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項5】
前記被写体の長辺と、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサのそれぞれの撮像範囲の長辺とがなす角が不変である、
請求項4に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項6】
前記判定部は、前記画像に含まれる前記被写体の少なくとも2つの頂点の座標を用い、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが、前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定する、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項7】
前記被写体は、前記所定方向側センサおよび前記反対側センサの座標系と前記溶接ロボットの座標系とを対応付けるためのキャリブレーションであって、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのキャリブレーションに用いられるキャリブレーションプレートである、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項8】
前記キャリブレーションプレートは、開先の断面形状の測定にも用いられる、請求項7に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項9】
前記キャリブレーションプレートは、ワールド座標系に対する前記溶接ロボットの座標系の傾きを求めるためにも用いられる、請求項7に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項10】
前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとが前記キャリブレーションのために前記被写体を撮像して出力した画像である、請求項7に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項11】
前記画像は、前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが撮像する画像の歪み補正のために前記所定方向側センサと前記反対側センサとのそれぞれが前記被写体を撮像して出力した画像である、請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項12】
前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付けられる位置に対応する位置情報をユーザに入力させる入力部と、
前記入力部により入力される前記位置情報に対応する位置と、前記判定部により判定される前記所定方向側センサと前記反対側センサとが取り付けられている位置と、が異なる場合に、前記ユーザに通知する通知部と、
を備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項13】
鋼材を所定方向に移動しながら前記鋼材を溶接する溶接ロボットを備える溶接ロボットシステムが実行する判定方法であって、
前記溶接ロボットの所定方向側に取り付けられた所定方向側センサと、前記溶接ロボットの前記所定方向側とは反対側に取り付けられた反対側センサとのそれぞれが前記所定方向側および前記反対側のいずれに取り付けられているのかを判定するステップ
を有し、
前記所定方向側センサ及び前記反対側センサは、輝度情報を取得できるセンサ又はカメラである、判定方法。