IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-62524パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム
<>
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図1
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図2
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図3
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図4
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図5
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図6
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図7
  • 特開-パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062524
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20240501BHJP
【FI】
G06T7/70
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170407
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙敷 大樹
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA05
5L096EA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オブジェクトが非平面を少なくとも一部に含む場合でも、パラメーターを決定可能にする方法、情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】パラメーター決定方法は、第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置によって取得された第1の画像又は第1の光学装置から投写された第1の画像の少なくとも一部に含まれるN個の第1の領域を決定することと、第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置によって取得された第2の画像において、N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、N個の第1の領域とN個の第2の領域との間で一対一に決定したN個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、第2の光学装置に関する第1のパラメーター及び撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む、
パラメーター決定方法。
【請求項2】
前記第1のパラメーター、及び、前記第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することは、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、N個の前記第1のパラメーターを決定することと、
N個の前記第1のパラメーターを統計処理することによって、1つの前記第1のパラメーターを決定することと、
を含む、
請求項1に記載のパラメーター決定方法。
【請求項3】
前記第1のパラメーター、及び、前記第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することは、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記N個の第1の領域のそれぞれについて前記第2のパラメーターを決定すること、
を含む、
請求項1又は2に記載のパラメーター決定方法。
【請求項4】
前記撮像対象の表面は、少なくとも一部に非平面を含む、
請求項1に記載のパラメーター決定方法。
【請求項5】
前記第1の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第1の画像を取得するための光学系を含む撮像装置、又は、前記第1の画像を投写するための光学系を含むプロジェクターであり、
前記第2の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第2の画像を取得するための光学系を含む撮像装置である、
請求項1に記載のパラメーター決定方法。
【請求項6】
前記第1の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第1の画像を取得する装置であり、
前記第1の画像、及び前記第2の画像は、
プロジェクターから投写される第3の画像を撮像した画像である、
請求項1に記載のパラメーター決定方法。
【請求項7】
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む処理を行う少なくとも1つのプロセッサーを含む、情報処理装置。
【請求項8】
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む処理をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パラメーター決定方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトをカメラによって撮像することによって得られる画像に基づいてカメラに関するパラメーターを特定する技術が知られている。
例えば、特許文献1は、異なる位置から平面オブジェクトの2つの画像をカメラを用いて取り込み、2つの画像の間のホモグラフィを分解することによって、少なくとも1つの可能な解を得て、この可能な解に基づきカメラの回転に関するパラメーターを導出する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-526736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホモグラフィ分解法は、オブジェクトが平面であることを前提とする。このため、オブジェクトが非平面を少なくとも一部に含む場合、特許文献1の技術によって、カメラなどの光学装置に関するパラメーターを決定できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のパラメーター決定方法の一態様は、第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、を含む。
【0006】
本開示の情報処理装置の一態様は、第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、を含む処理を行う少なくとも1つのプロセッサーを含む。
【0007】
本開示のプログラムの一態様は、第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、を含む処理をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るパラメーター決定システムの一例を示す概略図である。
図2】第1の範囲、第2の範囲、N個の第1の領域、及びN個の第2の領域の説明図である。
図3】並進ベクトル、回転行列、及び法線ベクトルの説明図である。
図4】位置、及び姿勢のそれぞれのN個のパラメーターから得られるヒストグラムの一例を示す図である。
図5】パラメーター決定システムの動作の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係るパラメーター計測システムの一例を示す概略図である。
図7】第3実施形態に係るパラメーター計測システムの一例を示す概略図である。
図8】第4実施形態に係るパラメーター計測システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本開示に係る好適な形態を説明する。なお、図面において、各部の寸法、及び縮尺が実際と適宜に異なる場合があり、また、理解を容易にするために模式的に示している部分を含む場合がある。以下の説明において、本開示を限定する旨の特段の記載がない限り、本開示の範囲は以下の説明に記載された形態に限られない。また、本開示の範囲は当該形態の均等の範囲を含む。
【0010】
1.第1実施形態
図1は、パラメーター決定システム1の一例を示す概略図である。図2は、第1の範囲H1、第2の範囲H2、N個の第1の領域F1、及びN個の第2の領域F2の説明図である。
パラメーター決定システム1は、撮像対象であるオブジェクトAを撮像する光学装置10と、情報処理装置20と、を含み、情報処理装置20が光学装置10に関する第1のパラメーターB1、及び、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2の少なくとも1つを決定するシステムである。
光学装置10は、オブジェクトAを撮像することによって画像Cを取得するための撮像素子100と、オブジェクトAの像を結像させる光学系102と、を備える装置であり、本実施形態では撮像装置である。光学系102は、例えば、1又は複数のレンズ、及び、1又は複数の絞りなどの光学部材を含む。また、本実施形態の光学装置10は、内部パラメーターが既知の装置である。内部パラメーターは、光学系102の特性に関するパラメーターであり、例えば、焦点距離、及び光学中心を表すパラメーターである。また、内部パラメーターは、一般に、カメラ行列とも呼ばれ、光学装置10の座標系を画像Cの座標へ変換する行列に対応する。
【0011】
本実施形態の光学装置10は、第1の位置D1、及び第2の位置D2の互いに異なる2点の間を移動し、第1の位置D1においてオブジェクトAを撮像することによって第1の画像C1を取得し、また、第2の位置D2において同じオブジェクトAを撮像することによって第2の画像C2を取得する。
本開示において、第1の位置D1に位置する光学装置10が第1の光学装置に対応し、第2の位置D2に位置する光学装置10が第2の光学装置に対応する。光学装置10の移動は、ユーザーによる持ち運びによって行われてもよいし、光学装置10を搬送する搬送機構、又は光学装置10を自走させる自走機構などによって行われてもよい。なお、以下の説明において、第1の位置D1から第2の位置D2の順に光学装置10が移動するものとする。
【0012】
オブジェクトAは、光学装置10による撮像の対象となる有形の物体である。オブジェクトAは、有形であること以外に限定されない。
【0013】
情報処理装置20は、例えば、据置型、又は可搬型のコンピューターである。
本実施形態の情報処理装置20は、上述の第1の画像C1、及び第2の画像C2に基づくホモグラフィHに基づいて、上述の第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2を決定する。加えて、情報処理装置20は、オブジェクトAの表面ASが非平面である場合、或いは、表面ASが非平面な箇所を含む場合でも、後述するN個のホモグラフィHに基づいて第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2を決定可能とする。
【0014】
なお、本開示において、非平面は平面でないことを言う。具体的には、非平面は、1又は複数の有限の曲率を有する面を言う。非平面において、曲率が互いに異なる幾つかの領域の接続点は、互いの曲率が連続的に変化してもよいし、互いの曲率が非連続に変化してもよい。
また、本開示において、表面ASが単一の平面であっても、情報処理装置20は、後述するN個のホモグラフィHに基づいて第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2を決定可能である。
【0015】
情報処理装置20は、図1に示すように、処理装置200と、記憶装置210と、データインターフェース装置220と、を含み、それぞれがバスに接続される。
処理装置200は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの1又は複数のプロセッサーを含む。処理装置200の機能の一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路によって構成されてもよい。記憶装置210は、処理装置200が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置210は、例えば、不揮発性メモリーと、揮発性メモリーと、を含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。データインターフェース装置220は、光学装置10から画像Cのデータが入力される装置である。データインターフェース装置220は、データの入力に関する所定規格に準拠したハードウェアを含み、当該ハードウェアは、例えばコネクター及びインターフェース回路を備える。
【0016】
本実施形態の記憶装置210は、情報処理装置20を制御するプログラム211を記憶する。処理装置200のプロセッサーがプログラム211を実行することによって、処理装置200は、画像取得部201、領域決定部202、ホモグラフィ決定部203、及び、パラメーター決定部204として機能する。
【0017】
画像取得部201は、光学装置10からデータインターフェース装置220を介して画像Cを取得する。画像取得部201によって取得される画像Cには、少なくとも上述の第1の画像C1、及び第2の画像C2の2つが含まれる。
【0018】
領域決定部202は、Nを1より大きい自然数とした場合に、第1の画像C1の少なくとも一部に含まれるN個の第1の領域F1を決定する。また、領域決定部202は、第2の画像C2において、第1の領域F1に対応する第2の領域F2を、N個の第1の領域F1のそれぞれについて決定する。
より具体的には、本実施形態の領域決定部202は、図2に示すように、第1の画像C1において第1の範囲H1を決定し、この第1の範囲H1をN個の領域に分割することでN個の第1の領域F1を決定する。また、領域決定部202は、第2の領域F2についても同様に、第2の画像C2において第2の範囲H2を決定し、この第2の範囲H2をN個に分割することでN個の第2の領域F2を決定する。
【0019】
第1の範囲H1は、第1の画像C1においてオブジェクトAが写っている領域の少なくとも一部である。第2の範囲H2は、第2の画像C2において、第1の画像C1の第1の範囲H1に対応する範囲、すなわち第1の範囲H1と同じオブジェクトA、又はオブジェクトAの同じ部分が写っている範囲である。したがって、第1の範囲H1の中のN個の第1の領域F1は、いずれも第2の範囲H2のN個の第2の領域F2のうち、同じオブジェクトA、又はオブジェクトAの同じ部分が写っている第2の領域F2と一対一に対応する。
【0020】
また、第1の領域F1、及び第2の領域F2は、いずれも同じ面積の領域であり、画像Cの解像度によって決定される画素よりも大きな面積に設定される。第1の領域F1、及び第2の領域F2の個数Nは、大きいほど好ましい。第1の範囲H1、及び第2の範囲H2に写っているオブジェクトAの表面ASが非平面を少なくとも一部に含む場合でも、第1の範囲H1、及び第2の範囲H2がそれぞれN個の第1の領域F1、及び第2の領域F2に分割されるため、オブジェクトAの表面ASが、微小な平面と見做せるN個の第1の領域F1、及び第2の領域F2の集合として取り扱われる。
【0021】
ホモグラフィ決定部203は、第1の画像C1におけるN個の第1の領域F1と、第2の画像C2におけるN個の第2の領域F2との間で一対一にホモグラフィHを決定することによって、N個のホモグラフィHを決定する。
【0022】
N個のホモグラフィHは、それぞれ第1の領域F1の座標系を一対一に対応する第2の領域F2の座標系へ射影変換する射影変換行列である。本実施形態のホモグラフィ決定部203は、図2に示すように、一対一に対応する第1の領域F1と第2の領域F2とのそれぞれに、互いに対応する対応点Kを4点以上設定し、第1の領域F1の座標系における対応点Kの座標と、第2の領域F2の座標系における対応点Kの座標との線形的な対応関係を各対応点Kについて公知の手法により解析的に求めることでホモグラフィHを決定する。そして、ホモグラフィ決定部203は、第1の領域F1と第2の領域F2のN個の対のそれぞれについてホモグラフィHを決定することで、N個のホモグラフィHを決定する。
【0023】
なお、ホモグラフィHの決定に用いられる第1の領域F1、及び第2の領域F2の座標系は、それぞれ光学装置10の既知の内部パラメーターに基づいて、例えば領域決定部202、又はホモグラフィ決定部203によって決定される。この場合において、第1の領域F1、及び第2の領域F2の座標系は、それぞれ光学系102のレンズ歪みが補償された座標系であってもよい。レンズ歪みの補償は、レンズ歪み係数などのパラメーターを用いて行われる。
【0024】
パラメーター決定部204は、ホモグラフィ決定部203によって決定されたN個のホモグラフィHに基づいて、第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2を決定する。なお、パラメーター決定部204は、第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2の両方ではなく、いずれか1つを決定してもよい。
【0025】
本実施形態の第1のパラメーターB1は、第1の位置D1に位置する光学装置10に対する第2の位置D2に位置する光学装置10の相対的な位置関係を含むパラメーターである。
具体的には、第1のパラメーターB1は、第2の位置D2に位置する光学装置10の外部パラメーターであり、位置と姿勢に関するパラメーターを含む。位置に関するパラメーターは、第1の位置D1に対する第2の位置D2の相対的な位置の座標を含み、後述する並進ベクトルtに基づいて決定される。姿勢に関するパラメーターは、第1の位置D1に位置する光学装置10に対する第2の位置D2に位置する光学装置10の回転量を含み、後述する回転行列Rに基づいて決定される。
【0026】
また、本実施形態の第2のパラメーターB2は、撮像対象であるオブジェクトAの表面ASの形状に関するパラメーターを含み、具体的には、N個の法線ベクトルnを含む。N個の法線ベクトルnは、それぞれN個の第1の領域F1のそれぞれの法線方向を示すベクトルである。
【0027】
以下の説明では、第1の位置D1に位置する光学装置10の座標系を「第1の座標系Pd1」と称し、第2の位置D2に位置する光学装置10の座標系を「第2の座標系Pd2」と称する。また、本実施形態において、第1の座標系Pd1がワールド座標系Pwであるとする。第1の座標系Pd1、第2の座標系Pd2、及びワールド座標系Pwは、いずれも直交3次元座標系である。
【0028】
図3は、並進ベクトルt、回転行列R、及び法線ベクトルnの説明図である。
並進ベクトルtは、第1の位置D1から第2の位置D2への光学装置10の移動を示すベクトルである。また、回転行列Rは、第1の位置D1に位置する光学装置10に対する第2の位置D2に位置する光学装置10の回転を示す行列である。そして、図3に示すように、第2の座標系Pd2とワールド座標系Pwの関係は、Pw=RPd2+tによって表される。したがって、並進ベクトルt、及び回転行列Rが求められることで、ワールド座標系Pwにおける、第2の位置D2に位置する光学装置10の位置座標、及び回転量が求められる。
また、法線ベクトルnは、第1の座標系Pd1、すなわちワールド座標系Pwにおける第1の領域F1の法線ベクトルである。N個の第1の領域F1の各法線ベクトルnによって、オブジェクトAの表面ASのうち、第1の範囲H1の部分の曲率、及び凹凸などが決定可能となる。
【0029】
ここで、並進ベクトルt、回転行列R、及び法線ベクトルnは、1つのホモグラフィHを分解することによって決定される。ホモグラフィHの分解には、一般に、特異値分解法(SVD:Singular Value Decomposition)が用いられる。なお、一般に、ホモグラフィHの分解では複数の解が得られることが知られている。本実施形態では、光学装置10が撮像する方向である前方にオブジェクトAが位置すること、及び、第1の位置D1と第2の位置D2との相対位置関係などを条件として、1つのホモグラフィHごとに並進ベクトルt、回転行列R、及び法線ベクトルnが1つずつ決定される。
【0030】
本実施形態では、N個のホモグラフィHが決定されているため、N個のホモグラフィHのそれぞれの分解によって、並進ベクトルt、回転行列R、及び法線ベクトルnがN個ずつ決定される。1つのホモグラフィHに基づく並進ベクトルt、及び回転行列Rの組は、そのホモグラフィHに対応する1つの第1の領域F1の座標系について求められたものである。
【0031】
そこで、パラメーター決定部204は、位置に関するN個のパラメーター、及び姿勢に関するN個のパラメーターをそれぞれ統計処理することで、ワールド座標系Pwにおける位置に関する1つのパラメーター、及び姿勢に関する1つのパラメーターを決定する。位置に関する1つのパラメーター、及び姿勢に関する1つのパラメーターの組が、本開示における1つの第1のパラメーターB1に相当する。
【0032】
本実施形態において、位置、及び姿勢のそれぞれのN個のパラメーターの統計処理にはトリム平均が用いられる。トリム平均は、N個のパラメーターのうち、最小値付近のパラメーター、及び、最大値付近のパラメーターを除外して求められた各パラメーターの平均値である。本実施形態では、N個のパラメーターの最小値、及び最大値のそれぞれから順に中央値にかけて、N個のX%に相当する数のパラメーターを除外している。Xは「0」より大きい自然数であり例えば「10」である。統計処理にトリム平均が用いられることで、N個のパラメーターの中に含まれる外れ値及び異常値の影響を受けることなく、N個のパラメーターから平均値を求めることができる。なお、外れ値は、得られたパラメーターの中で真の値の推定値からの残差が異常に大きい値のことを言う。また、異常値は、得られたパラメーターの中で異常の原因が既知のパラメーターの値を言う。
【0033】
図4は、位置、及び姿勢のそれぞれのN個のパラメーターから得られるヒストグラムの一例を示す図である。
図4に示すように、位置に関するパラメーターは、ワールド座標系Pwの各軸の位置座標を含む。そして、各軸の位置座標のヒストグラムにおいて、最小値付近、及び最大値付近のパラメーターを除外した残りの範囲Mのパラメーターの平均値がトリム平均となる。
また、姿勢に関するパラメーターは、ワールド座標系Pwの各軸周りの回転角度を含む。そして、各軸周りの回転角度のヒストグラムにおいて、最小値付近、及び最大値付近のパラメーターを除外した残りの範囲Mのパラメーターの平均値がトリム平均となる。
【0034】
図5は、パラメーター決定システム1の動作の一例を示す図である。
先ず、ユーザーなどが光学装置10を第1の位置D1に配置する(ステップSa1)。そして、この第1の位置D1において、光学装置10がオブジェクトAを撮像することによって第1の画像C1を取得する(ステップSa2)。次いで、ユーザーなどが第2の位置D2に光学装置10を移動する(ステップSa3)。そして、この第2の位置D2において、光学装置10がオブジェクトAを撮像することによって第2の画像C2を取得する(ステップSa4)。第1の画像C1、及び第2の画像C2は、適宜のタイミングで情報処理装置20の画像取得部201によって取得される。
【0035】
次いで、情報処理装置20において、領域決定部202が第1の画像C1の中に第1の範囲H1を決定し、第1の範囲H1に対応する第2の範囲H2を第2の画像C2の中に決定する(ステップSa5)。そして、領域決定部202は、第1の範囲H1、及び第2の範囲H2をN個に分割することにより、第1の画像C1の中にN個の第1の領域F1を決定し、第1の領域F1に一対一に対応するN個の第2の領域F2を第2の画像C2の中に決定する(ステップSa6)。
【0036】
次に、情報処理装置20において、ホモグラフィ決定部203が、N個の第1の領域F1とN個の第2の領域F2との間で一対一にホモグラフィHを決定すること、換言すれば、第1の領域F1とN個の第2の領域F2のN個の対について、それぞれホモグラフィHを決定することにより、N個のホモグラフィHを決定する(ステップSa7)。
【0037】
次いで、情報処理装置20において、パラメーター決定部204が、N個のホモグラフィHをそれぞれ分解することによって、光学装置10に関するN個の第1のパラメーターB1と、オブジェクトAに関するN個の第2のパラメーターB2とを決定する(ステップSa8)。
上述の通り、N個の第1のパラメーターB1は、それぞれ第1の位置D1における光学装置10に対する第2の位置D2における光学装置10の位置、及び姿勢に関するパラメーターを含む。この位置に関するパラメーターは第1の領域F1の座標系における位置座標を含み、姿勢に関するパラメーターは第1の領域F1の座標系における回転角度を含む。また、第2のパラメーターB2は、オブジェクトAの表面ASの形状に関するパラメーターを含み、具体的には、N個の第1の領域F1のそれぞれの法線ベクトルnを含む。
【0038】
そして、パラメーター決定部204は、N個の第1のパラメーターB1を統計処理することにより、1つの第1のパラメーターB1を決定する(ステップSa9)。
本実施形態では、上述の通り、統計処理にはトリム平均が用いられる。また、N個の第1のパラメーターB1は、位置に関するN個のパラメーター、及び、姿勢に関するN個のパラメーターを含む。位置に関するN個のパラメーターのトリム平均によって、位置に関する1つのパラメーターが決定され、また、姿勢に関するN個のパラメーターのトリム平均によって、姿勢に関する1つのパラメーターが決定される。
【0039】
なお、統計処理は、トリム平均に限定されない。統計処理は、例えば算術平均などの、他の平均値を求める処理でもよい。
また、図5に示す処理において、情報処理装置20は、1つの第1のパラメーターB1、及びN個の第2のパラメーターB2の両方ではなく、1つの第1のパラメーターB1、及びN個の第2のパラメーターB2の一方を求めてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置20は、次の一連の処理を実行する。すなわち、第1の位置D1に位置する、内部パラメーターが既知の光学装置10によるオブジェクトAの撮像によって取得された第1の画像C1の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域F1を決定することと、第2の位置D2に位置する光学装置10によるオブジェクトAの撮像によって取得された第2の画像C2において、第1の領域F1に対応する第2の領域F2を、N個の第1の領域F1のそれぞれについて決定することと、N個の第1の領域F1とN個の第2の領域F2との間で一対一にホモグラフィHを決定することによってN個のホモグラフィHを決定することと、N個のホモグラフィHをそれぞれ分解することによって、第2の位置D2に位置する光学装置10に関する第1のパラメーターB1、及び、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2の少なくとも1つを決定することと、を含む処理である。
この処理によれば、第1の画像C1、及び第2の画像C2に写っているオブジェクトAの表面ASが非平面を含む場合であっても、光学装置10に関する第1のパラメーターB1を決定することができる。加えて、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2も決定することができる。
【0041】
本実施形態の上記処理において、第2の位置D2に位置する光学装置10に関する第1のパラメーターB1、及び、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2の少なくとも1つを決定することは、N個のホモグラフィHをそれぞれ分解することによってN個の第1のパラメーターB1を決定することと、N個の第1のパラメーターB1を統計処理することによって、1つの第1のパラメーターB1を決定することと、を含む。
この処理によれば、N個の第1のパラメーターB1の統計処理によって1つの第1のパラメーターB1が正確に決定される。
【0042】
本実施形態の上記処理において、第2の位置D2に位置する光学装置10に関する第1のパラメーターB1、及び、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2の少なくとも1つを決定することは、N個のホモグラフィHをそれぞれ分解することによって、N個の第1の領域F1のそれぞれについてN個の第2のパラメーターB2を決定すること、を含む。
この処理によれば、第1の範囲H1の中のN個の第1の領域F1のそれぞれについて、第2のパラメーターB2を得ることができる。これらN個の第2のパラメーターB2を用いることで、第1の範囲H1に写ったオブジェクトAの形状を特定することもできる。
【0043】
本実施形態において、オブジェクトAの表面ASは、少なくとも一部に非平面を含む。
本実施形態によれば、オブジェクトAの表面ASに非平面が実際に含まれる場合でも、N個のホモグラフィHに基づいて第1のパラメーターB1、及び第2のパラメーターB2を確実に決定することができる。
【0044】
本実施形態において、光学装置10は、第1の画像C1、及び第2の画像C2を撮像するための光学系102を含む撮像装置である。
本実施形態によれば、1台の光学装置10により、第2の位置D2に位置したときの光学装置10の第1のパラメーターB1を決定できる。
【0045】
2.第2実施形態
図6は、本実施形態に係るパラメーター決定システム1Aの一例を示す概略図である。なお、同図において、第1実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第1実施形態では、パラメーター決定システム1が1つの光学装置10を備えるのに対し、図6に示すように、本実施形態のパラメーター決定システム1Aは、第1の光学装置10Aと、第2の光学装置10Bとの2つの光学装置10を備える点で相違する。
第1の光学装置10Aは、第1の位置D1においてオブジェクトAを撮像することによって第1の画像C1を取得する、内部パラメーターが既知の装置である。第2の光学装置10Bは、第1の光学装置10Aとは別の装置であり、第2の位置D2においてオブジェクトAを撮像することによって第2の画像C2を取得する、内部パラメーターが既知の装置である。なお、第1の光学装置10Aと第2の光学装置10Bとは、内部パラメーターが既知の1台のステレオカメラであってもよい。
【0046】
情報処理装置20の構成は第1実施形態と同じである。すなわち、情報処理装置20は、第1の光学装置10Aによって取得された第1の画像C1、及び第2の光学装置10Bによって取得された第2の画像C2を画像取得部201が取得する。そして、情報処理装置20は、図5のステップSa5からステップSa9を実行することにより、1つの第1のパラメーターB1、及びN個の第2のパラメーターB2の少なくとも一方を決定する。
【0047】
本実施形態によれば、光学装置10を第1の位置D1から第2の位置D2に移動させなくても、第2の光学装置10Bに関する第1のパラメーターB1、及び、N個の第1の領域F1に関する第2のパラメーターB2の少なくとも1つを決定することができる。
【0048】
3.第3実施形態
図7は、本実施形態に係るパラメーター決定システム1Bの一例を示す概略図である。なお、同図において、第1実施形態、又は第2実施形態と共通する要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のパラメーター決定システム1Bは、第1実施形態のパラメーター決定システム1、又は、第2実施形態のパラメーター決定システム1Aにおいて、オブジェクトAに第3の画像C3を投写するプロジェクター30を更に備える。なお、図7は、第2実施形態のパラメーター決定システム1Aがプロジェクター30を更に備える場合を例示する。
【0049】
第3の画像C3は、オブジェクトAの表面ASに、上記対応点Kの目印となるパターンを写す画像である。第1の光学装置10A、及び第2の光学装置10Bは、それぞれオブジェクトAの表面ASに投写によって現れた第3の画像C3を撮像することによって、第1の画像C1、及び第2の画像C2を取得する。
この結果、第1の画像C1、及び第2の画像C2のそれぞれに、第3の画像C3のパターンが含まれ、このパターンに基づいて、第1の範囲H1に対応する第2の範囲H2の決定、及び、第1の領域F1に対応する第2の領域F2の決定、第1の領域F1から第2の領域F2への射影変換行列であるホモグラフィHの決定などを正確かつ容易に行うことができる。
【0050】
なお、第3の画像C3のパターンは、例えば、ドットパターン、チェッカーフラグパターン、及び、周期的変化パターンなどである。周期的変化パターンは、位相シフト法によって対応点Kを求める場合に用いられるパターンであり、具体的には、第1の位置D1と第2の位置D2を結ぶ方向において明暗が例えばサイン関数的に周期的に変化するパターンである。
【0051】
4.第4実施形態
図8は、本実施形態に係るパラメーター決定システム1Cの一例を示す概略図である。なお、同図において、第1実施形態、又は第2実施形態と共通する要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すように、本実施形態のパラメーター決定システム1Cは、第2実施形態のパラメーター決定システム1Aにおいて、第1の光学装置10Aが撮像装置ではなく、プロジェクターである点で構成を異にする。
具体的には、本実施形態の第1の光学装置10Aは、第1の位置D1において第1の画像C1をオブジェクトAに投写する、内部パラメーターが既知のプロジェクターであり、光源110と、光変調装置112と、投写のための光学系114と、を含む。光源110は、放電ランプ、及び半導体光源などである。放電ランプの代表的な例は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、及び超高圧水銀ランプなどである。半導体光源の代表的な例は、LED(light-emitting diode)、及びレーザーダイオードなどである。光変調装置112は、光源110の光を光変調する光変調素子を含む。光変調素子は、例えば、液晶パネル、及びデジタルミラーデバイス (Digital Micromirror Device)などである。光変調素子は、単一の液晶パネル又はデジタルミラーデバイスであってもよく、複数の液晶パネル又はデジタルミラーデバイスを含んでいてもよい。光学系114は、光変調装置112から出力された光の拡大率及び結像位置を調整する1又は複数の光学素子を含む。光学素子は、例えば、レンズ及びミラーである。光学系114の出力光が第1の画像C1の画像光LGとして第1の光学装置10Aから放出され、オブジェクトAの表面ASに投写される。
【0052】
本実施形態において、オブジェクトAは、典型的には、画像の投写に用いられ得る物体であり、例えばスクリーン、及び、部屋又は建物の壁面などである。
【0053】
第1の画像C1は、例えば第3実施形態の第3の画像C3と同様なパターンを含む画像である。本実施形態では、この第1の画像C1の投写画像データ212が情報処理装置20の記憶装置210に予め記憶されている。そして、情報処理装置20が第1の光学装置10Aに投写画像データ212を供給することによって、第1の光学装置10Aが投写画像データ212に基づいて第1の画像C1をオブジェクトAに投写する。そして、第2の光学装置10Bが第2の位置D2において、オブジェクトAに現れた第1の画像C1を撮像することによって第2の画像C2を取得する。
【0054】
また、本実施形態の情報処理装置20は、処理装置200が第1の画像決定部205を更に備える。第1の画像決定部205は、第1の光学装置10Aの投写によってオブジェクトAの表面ASに現れる第1の画像C1を決定する機能部であり、処理装置200がプログラム211を実行することによって実現される。
具体的には、第1の画像決定部205は、第1の光学装置10Aの内部パラメーターである光学系114の光学中心、及び焦点距離と、投写画像データ212と、に基づいて、オブジェクトAの表面ASにおける第1の画像C1を決定する。この場合において、第1の画像C1の座標系は、第1の光学装置10Aの座標系であり、本開示ではワールド座標系Pwである。なお、第1の画像決定部205は、光学系114の光学中心、及び焦点距離に基づいてレンズ中心の影響を補償した第1の画像C1を決定してもよい。
【0055】
そして、情報処理装置20において、画像取得部201が第1の画像決定部205から第1の画像C1を取得し、また、第2の光学装置10Bから第2の画像C2を取得する。その後、情報処理装置20は、図5のステップSa5からステップSa9を実行することにより、1つの第1のパラメーターB1、及びN個の第2のパラメーターB2の少なくとも一方を決定する。
【0056】
本実施形態によれば、第1の光学装置10Aであるプロジェクターの第1の座標系Pd1をワールド座標系Pwとして、第2の光学装置10Bに関する第1のパラメーターB1、及び、オブジェクトAに関する第2のパラメーターB2を決定できる。
【0057】
5.変形例
以上に例示した形態は多様に変形され得る。上述の形態に適用され得る具体的な変形の形態を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の形態は、技術的な矛盾を生じさせない範囲で相互に適宜に併合され得る。
【0058】
例えば、情報処理装置20は、1台のコンピューターに限らず、複数のコンピューターによって実現されてもよい。具体的には、情報処理装置20の処理装置200が備える各機能部は、複数のコンピューターがそれぞれ備える各プロセッサーによって実現されてもよい。この場合、図5に示した各ステップが、複数のコンピューターに割り当てられ、各コンピューターによって実行される。
【0059】
例えば、情報処理装置20は、光学装置10と一体であってもよい。この場合、データインターフェース装置220は省略されてもよい。
【0060】
6.応用例
本開示は、撮像対象であるオブジェクトAを撮像した第1の画像C1と第2の画像C2との間のホモグラフィHを用いる要素を含む各種の技術に広く用いることができる。例えば、この種の技術には、画像処理技術、及びコンピュータービジョン技術などが挙げられる。
【0061】
7.本開示のまとめ
以下、本開示のまとめを付記する。
【0062】
(付記1)
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む、
パラメーター決定方法。
付記1によれば、仮に、撮像対象が非平面を含む場合であっても、第2の光学装置に関する第1のパラメーターを決定することができる。また、撮像対象に関する第2のパラメーターも決定することができる。
【0063】
(付記2)
前記第1のパラメーター、及び、前記第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することは、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、N個の前記第1のパラメーターを決定することと、
N個の前記第1のパラメーターを統計処理することによって、1つの前記第1のパラメーターを決定することと、
を含む、
付記1に記載のパラメーター決定方法。
付記2によれば、N個の第1のパラメーターの統計処理によって1つの第1のパラメーターB1が正確に決定される。
【0064】
(付記3)
前記第1のパラメーター、及び、前記第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することは、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記N個の第1の領域のそれぞれについて前記第2のパラメーターを決定すること、
を含む、
付記1又は2に記載のパラメーター決定方法。
付記3によれば、N個の第1の領域のそれぞれについて、撮像対象に関する第2のパラメーターを得ることができる。
【0065】
(付記4)
前記撮像対象の表面は、少なくとも一部に非平面を含む、
付記1から付記3のいずれか1項に記載のパラメーター決定方法。
付記4によれば、撮像対象の表面の少なくとも一部に非平面が実際に含まれる場合でも、N個のホモグラフィに基づいて第1のパラメーター、及び第2のパラメーターを確実に決定することができる。
【0066】
(付記5)
前記第1の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第1の画像を取得するための光学系を含む撮像装置、又は、前記第1の画像を投写するための光学系を含むプロジェクターであり、
前記第2の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第2の画像を取得するための光学系を含む撮像装置である、
付記1から付記4のいずれか1項に記載のパラメーター決定方法。
付記5によれば、第1の光学装置として撮像装置又はプロジェクターを用い、第2の光学装置として撮像装置を用いることで、第2の光学装置に対応する撮像装置に関する第1のパラメーターを決定できる。
【0067】
(付記6)
前記第1の光学装置は、前記撮像対象を撮像することによって前記第1の画像を取得する装置であり、
前記第1の画像、及び前記第2の画像は、
プロジェクターから投写される第3の画像を撮像した画像である、
付記1から付記5のいずれか1項に記載のパラメーター決定方法。
付記6によれば、第1の画像、及び第2の画像に写ったそれぞれの第3の画像に基づいて、第1の領域F1に対応する第2の領域F2の決定などを正確かつ容易に行うことができる。
【0068】
(付記7)
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む処理を行う少なくとも1つのプロセッサーを含む、情報処理装置。
付記7によれば、付記1と同様な効果を奏する。
【0069】
(付記8)
第1の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第1の光学装置が撮像対象を撮像することによって取得された第1の画像、又は、前記第1の光学装置から投写された前記第1の画像の少なくとも一部に含まれるN(Nは1よりも大きな自然数)個の第1の領域を決定することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置する、内部パラメーターが既知の第2の光学装置が前記撮像対象を撮像することによって取得された第2の画像において、前記N個の第1の領域のそれぞれに一対一に対応するN個の第2の領域を決定することと、
前記N個の第1の領域と前記N個の第2の領域との間で一対一にホモグラフィを決定することによってN個のホモグラフィを決定することと、
前記N個のホモグラフィをそれぞれ分解することによって、前記第2の光学装置に関する第1のパラメーター、及び、前記撮像対象に関する第2のパラメーターの少なくとも1つを決定することと、
を含む処理をコンピューターに実行させるプログラム。
付記8によれば、付記1と同様な効果を奏する。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B、1C…パラメーター決定システム、10…光学装置、10A…第1の光学装置、10B…第2の光学装置、20…情報処理装置、30…プロジェクター、102、114…光学系、200…処理装置、211…プログラム、A…オブジェクト、B1…第1のパラメーター、B2…第2のパラメーター、C1…第1の画像、C2…第2の画像、C3…第3の画像、D1…第1の位置、D2…第2の位置、F1…第1の領域、F2…第2の領域、H…ホモグラフィ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8