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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062531
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】音像制御装置および音像制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240501BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20240501BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20240501BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04S7/00 300
G10K15/04 302J
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170419
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 才文
(72)【発明者】
【氏名】中島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】疋田 智一
(72)【発明者】
【氏名】松波 豪
【テーマコード(参考)】
3D020
5D162
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC01
3D020BE03
5D162AA06
5D162AA07
5D162BA07
5D162CA01
5D162CA08
5D220AA11
5D220AA31
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】車両の搭乗者に走行に対する没入感を与えられる新たな技術を提供する。
【解決手段】音像制御装置1は、車両100の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部13と、取得部13が取得した車両情報に基づいて、車両100の備える少なくとも2つのスピーカ5から出力される音の音像の位置を車両100の上下方向に移動させる音像制御部15と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる音像制御部と、
を含む音像制御装置。
【請求項2】
前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記音像の位置を前記車両の前後方向または左右方向の少なくともいずれかに更に移動させる、
請求項1記載の音像制御装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つのスピーカは、前記車両の天井に設置された第1スピーカと、前記第1スピーカより低い位置に設置された第2スピーカと、を含み、
前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音と前記第2スピーカが出力する音の大小関係を変更することによって、前記音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる、
請求項1記載の音像制御装置。
【請求項4】
前記音は、前記車両の加速に応じて変化する音である、
請求項1記載の音像制御装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記車両情報として前記車両の加速に関する情報を取得し、
前記音像制御部は、前記車両の加速に応じて前記音像の位置を移動させる、
請求項1記載の音像制御装置。
【請求項6】
前記音像制御部は、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示すときの前記音像の位置を、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示さないときの前記音像の位置よりも、前記車両の後方向かつ上方に移動させる、
請求項5記載の音像制御装置。
【請求項7】
車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する音像制御部と、
を含む音像制御装置。
【請求項8】
前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の前記音像の位置を移動させるとともに、前記音像の動きに連動して前記音像の範囲を変更する、
請求項7記載の音像制御装置。
【請求項9】
前記音像制御部は、前記音像の移動軌跡に沿った範囲を前記音像の範囲とする、
請求項8記載の音像制御装置。
【請求項10】
コンピュータにより実現される音像制御方法であって、
車両の走行状態または操作状態の少なくとも一方に関する車両情報を取得し、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる、
音像制御方法。
【請求項11】
コンピュータにより実現される音像制御方法であって、
車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得し、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する、
音像制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音像制御装置および音像制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の速度またはアクセルに対する踏み込み量に応じて、特定の音源の位置を変化させる手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-10810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法とは異なる手法によって、車両の搭乗者に走行に対する没入感を与えられる技術が望まれる。本開示は、車両の搭乗者に走行に対する没入感を与えられる新たな技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る音像制御装置は、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる音像制御部と、を含む。
【0006】
本開示の他の態様に係る音像制御装置は、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する音像制御部と、を含む。
【0007】
本開示の更に他の態様に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の走行状態または操作状態の少なくとも一方に関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる。
【0008】
本開示の更に他の態様に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る音像制御装置1の一例を示す図である。
図2A】車両100におけるスピーカ5の配置の一例を示す図である。
図2B】車両100におけるスピーカ5の配置の一例を示す図である。
図3】参照情報Eが示す対応関係の一例を表す図である。
図4】第1参照情報E1が示す対応関係の一例を表す図である。
図5】第2参照情報E2が示す対応関係の一例を表す図である。
図6】走行情報G1が示す対応関係の一例を示す図である。
図7】音情報H1が示す対応関係の一例を示す図である。
図8】音像制御装置1の動作の一例を示す図である。
図9】前方向の加速度とZ軸方向における音像の位置との関係の一例を示す図である。
図10】スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5E-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
図11】前方向の加速度と音像の位置との関係の一例を示す図である。
図12】第2実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。
図13A】第3実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。
図13B】第3実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。
図13C】第3実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。
図13D】第3実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。
図14】スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dcと、スピーカ5D-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Ddと、を示す図である。
図15】前方向の加速度とZ軸方向における音像の位置との関係の一例を示す図である。
図16】スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5E-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A:第1実施形態
A1:音像制御装置1
図1は、第1実施形態に係る音像制御装置1の一例を示す図である。音像制御装置1は、車両100に搭載される。車両100は、エンジンを有さない電気自動車である。車両100は、車両100のドライバによって操作される。車両100は、自動運転を実行してもよい。車両100は、音像制御装置1と、車輪2A~2Dと、車輪制御装置3と、車速計測装置3Aと、操作装置4と、複数のスピーカ5とを含む。
【0011】
車輪2Aおよび2Bの各々は、車両100の前輪である。車輪2Cおよび2Dの各々は、車両100の後輪である。車両100は、車輪2A~2Dに加えて、追加の車輪を有してもよい。
【0012】
車輪制御装置3は、車輪2Aおよび2Bの各々の回転を制御する。車輪制御装置3は、車輪2Aおよび2Bの各々の回転の代わりに、車輪2Cおよび2Dの各々の回転を制御してもよい。車輪制御装置3は、車輪2A~2Dの各々の回転を制御してもよい。車輪制御装置3は、モータ31と、アクセルペダル32と、シフトレバー33と、モータ制御装置34と、動力伝達装置35と、を含む。
【0013】
モータ31は、電力により駆動され、車輪2Aおよび2Bを回転させるための動力を生成する。アクセルペダル32およびシフトレバー33は、それぞれ、車両100のドライバによって操作される。アクセルペダル32およびシフトレバー33は、それぞれ、自動的に操作されてもよい。
【0014】
アクセルペダル32の位置は、車両100のドライバによって調節される。アクセルペダル32の位置は、「アクセルの開度」に対応する。アクセルの開度は、アクセルペダル32の位置とアクセルペダル32の基準位置との差分の増加に応じて増加する。アクセルペダル32の基準位置は、アクセルペダル32が操作されていない状況におけるアクセルペダル32の位置である。アクセルペダル32の位置が、アクセルペダル32の基準位置と一致する場合、アクセルの開度は「0」である。
【0015】
アクセルペダル32は、アクセル操作機構の一例である。車両100がアクセルペダル32の代わりにアクセルレバーを有する場合、アクセルレバーがアクセル操作機構の一例である。
【0016】
シフトレバー33は、車両100のドライバによって、ドライブレンジと、パーキングレンジと、リバースレンジと、ニュートラルレンジと、のいずれの位置に択一的に設定される。
【0017】
モータ制御装置34は、アクセルペダル32の位置と、シフトレバー33の位置と、を検出する。アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とを検出する手法は、公知であるため、詳細な説明を割愛する。
【0018】
モータ制御装置34は、アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいて、モータ31を制御する。例えば、モータ制御装置34は、アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいて、回転方向情報と回転速度情報とを生成する。回転方向情報は、モータ31の回転方向を定める情報である。回転速度情報は、モータ31の回転速度を定める情報である。モータ制御装置34は、モータ31の回転方向を、回転方向情報が定める回転方向に設定する。モータ制御装置34は、モータ31の回転速度を、回転速度情報が定める回転速度に設定する。アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいてモータ31の回転(回転方向および回転速度)を制御する手法は、公知であるため、詳細な説明を割愛する。
【0019】
動力伝達装置35は、1セットのリダクションギア(reduction gear)である。動力伝達装置35は、モータ31によって生成される動力を車輪2Aおよび2Bに伝達する。動力伝達装置35は、モータ31によって生成される動力を、車輪2Aおよび2Bの代わりに、車輪2Cおよび2Dに伝達してもよい。動力伝達装置35は、モータ31によって生成される動力を、車輪2A~2Dに伝達してもよい。
【0020】
車速計測装置3Aは、車両100の速度を計測する。車速計測装置3Aは、車両100の速度の計測結果に基づいて、速度情報A1を生成する。速度情報A1は、車両100の速度を示す情報である。速度情報A1の変化は、車両100の前後方向における加速度を示す。このため、速度情報A1は、車両100の加速に関する情報の一例である。
【0021】
なお、車両100は、前後方向における加速度を検出する前後加速度センサを有してもよい。この場合、加速度センサが出力する加速度情報が、車両100の加速に関する情報となる。
【0022】
モータ制御装置34は、アクセルペダル32の位置に基づいて、アクセル情報B1を生成する。アクセル情報B1は、アクセルの開度を示す情報である。
【0023】
操作装置4は、例えば、タッチパネルである。操作装置4は、タッチパネルに限らず、種々の操作ボタンを有する操作盤でもよい。操作装置4は、車両100の搭乗者が行う操作を受け取る。以下「車両100の搭乗者」を、単に「搭乗者」と称する。
【0024】
複数のスピーカ5は、スピーカ5A(5A-1~5A-8),5B(5B-1~5B-6),5C(5C-1~5C-6),5D(5D-1~5D-2),5E(5E-1~5E-6),5Fおよび5Gを含む。以下、個々のスピーカ5A(5A-1~5A-8),5B(5B-1~5B-6),5C(5C-1~5C-6),5D(5D-1~5D-2),5E(5E-1~5E-6),5Fおよび5Gを区別しない場合には、「スピーカ5」と表記する。
【0025】
図2Aおよび図2Bは、車両100におけるスピーカ5の配置の一例を示す図である。図2Aおよび図2Bでは、スピーカ5の配置の説明に必要な構成以外は図示を省略している。図2Aは、車両100の車室100Aの上面図である。図2Bは、車両100の車室100Aを車両100の走行方向に対して右側から見た側面図である。なお、図2Bでは、図示の便宜上、一部のスピーカ5の図示を省略している。車両100の走行方向とは、車両100のシフトをドライブ(D)に入れた場合に車両100が走行する方向である。図2Aおよび図2Bにおいて、X軸は車両100の前後方向に沿う。Y軸は車両100の左右方向に沿う。Z軸は車両100の上下方向に沿う。
【0026】
スピーカ5A(5A-1~5A-8),5B(5B-1~5B-6),5C(5C-1~5C-6),5D(5D-1~5D-2),5E(5E-1~5E-6),5Fおよび5Gの各々は、スピーカセットを構成する。スピーカ5A(5A-1~5A-8),5B(5B-1~5B-6),5C(5C-1~5C-6),5D(5D-1~5D-2),5E(5E-1~5E-6),5Fおよび5Gは、車両100の備える少なくとも2つのスピーカの一例である。
【0027】
スピーカ5は、種々の音を出力する。スピーカ5は、例えば仮想のエンジン音を出力する。エンジン音は、エンジン自体が発する音と、エンジンによる吸気に起因する吸気音と、エンジンによる排気に起因する排気音と、を含む音である。エンジン音は、エンジン自体が発する音のみでもよいし、エンジン自体が発する音と吸気音との組合せでもよいし、エンジン自体が発する音と排気音との組合せでもよい。エンジン音は、更にノイズを示す音を含んでもよい。
【0028】
本実施形態では、スピーカ5が出力するエンジン音は、仮想のエンジン音を示す複数の音データの中から、車両100の加速度に応じて選択された1つの音データの再生音である。よって、スピーカ5が出力する音は、車両100の加速に応じて変化する音である。
【0029】
車両100は、車室100Aと、フロント右ドア7Aと、フロント左ドア7Bと、リア右ドア7Cと、リア左ドア7Dと、Dピラー9A,9Bとを含む。車室100Aには、フロント右ドア7Aの内装面と、フロント左ドア7Bの内装面と、リア右ドア7Cの内装面と、リア左ドア7Dの内装面と、Dピラー9A,9Bの内装面と、天井100Bとが面する。また、車室100Aには、インスツルメントパネル8と、フロント右座席6Aと、フロント左座席6Bと、リア右座席6Cと、リア左座席6Dとが配置されている。インスツルメントパネル8は、ステアリングホイール80および操作装置4(図1参照)等、車両100の走行状態や車内環境を調整するための機構が設けられる。フロント右座席6Aは運転席であり、その前方にステアリングホイール80が配置されている。以下、フロント右座席6Aと、フロント左座席6Bと、リア右座席6Cと、リア左座席6Dとを区別しない場合には、「座席6」と表記する。
【0030】
スピーカ5A(5A-1~5A-8)は、座席6のヘッドレストに設けられている。各座席6のヘッドレストには、Y軸に沿って2つのスピーカ5Aが設けられている。2つのスピーカ5Aは、座席6に着席した搭乗者の左右の耳に対応する位置に配置される具体的には、フロント右座席6Aのヘッドレストには、スピーカ5A-1および5A-2が設けられている。フロント左座席6Bのヘッドレストには、スピーカ5A-3および5A-4が設けられている。リア右座席6Cのヘッドレストには、スピーカ5A-5および5A-6が設けられている。リア左座席6Dのヘッドレストには、スピーカ5A-7および5A-8が設けられている。
【0031】
スピーカ5B(5B-1~5B-6)は、左右のフロントドア、すなわちフロント右ドア7Aおよびフロント左ドア7Bに設けられている。フロント右ドア7Aおよびフロント左ドア7Bには、それぞれ3つのスピーカ5が設けられている。具体的には、フロント右ドア7Aには、スピーカ5B-1,5B-2,5B-3が設けられている。フロント左ドア7Bには、スピーカ5B-4,5B-5,5B-6が設けられている。図2Aでは図示の便宜上、X軸に沿って3つのスピーカ5B-1,5B-2,5B-3およびスピーカ5B-4,5B-5,5B-6を図示しているが、実際には、図2Bに示すように、Z方向に沿って3つのスピーカ5B-1,5B-2,5B-3およびスピーカ5B-4,5B-5,5B-6が配置される。
【0032】
スピーカ5C(5C-1~5C-6)は、左右のリアドア、すなわちリア右ドア7Cおよびリア左ドア7Dに設けられている。リア右ドア7Cおよびリア左ドア7Dには、それぞれ3つのスピーカ5が設けられている。具体的には、リア右ドア7Cには、スピーカ5C-1,5C-2,5C-3が設けられている。リア左ドア7Dには、スピーカ5C-4,5C-5,5C-6が設けられている。図2Aでは図示の便宜上、X軸に沿って3つのスピーカ5C-1,5C-2,5C-3およびスピーカ5C-4,5C-5,5C-6を図示しているが、実際には、図2Bに示すように、Z方向に沿って3つのスピーカ5C-1,5C-2,5C-3およびスピーカ5C-4,5C-5,5C-6が配置される。
【0033】
スピーカ5D(5D-1~5D-2)は、左右のDピラー9A,9Bに設けられている。右側のDピラー9Aにはスピーカ5D-1が設けられている。左側のDピラー9Bにはスピーカ5D-2が設けられている。
【0034】
スピーカ5E(5E-1~5E-6)は、天井100Bに設けられている。天井100Bのうち、左右のフロント座席、すなわちフロント右座席6Aおよびフロント左座席6Bの上方には、Y軸に沿ってスピーカ5E-1,5E-2,5E-3が配置される。より詳細には、スピーカ5E-1は、天井100Bのうちフロント右座席6Aの上方の位置に配置される。スピーカ5E-3は、天井100Bのうちフロント左座席6Bの上方の位置に配置される。スピーカ5E-2は、天井100Bのうちフロント右座席6Aとフロント左座席6Bの間に配置される。
【0035】
また、天井100Bのうち、左右のリア座席、すなわちリア右座席6Cおよびリア左座席6Dの上方には、Y軸に沿ってスピーカ5E-4,5E-5,5E-6が配置される。より詳細には、スピーカ5E-4は、天井100Bのうちリア右座席6Cの上方の位置に配置される。スピーカ5E-6は、天井100Bのうちリア左座席6Dの上方の位置に配置される。スピーカ5E-5は、天井100Bのうちリア右座席6Cとリア左座席6Dの間に配置される。
【0036】
スピーカ5Fは、インスツルメントパネル8に設けられている。より詳細には、スピーカ5Fは、インスツルメントパネル8の上面のうち、車両100のY軸方向の中央に配置されている。
【0037】
スピーカ5Gは、リア右座席6Cおよびリア左座席6Dの後方に設けられている。より詳細には、スピーカ5Gは、リア右座席6Cおよびリア左座席6Dの後方の床面100Cのうち、車両100のY軸方向の中央に配置されている。
【0038】
図1に示される音像制御装置1は、スピーカ5に、仮想のエンジン音(以下単に「エンジン音」という)を放音させる。また、音像制御装置1は、スピーカ5から出力されるエンジン音の音像の位置を、車両100の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに基づいて移動させる。音像は、スピーカ5から出力される音を聞く人の感覚上の音源である。以下の実施形態では、音像の移動が、座席6に着座する搭乗者全員に認識されるようにしてもよいし、座席6に着座する搭乗者のうち一部にのみ認識されるようにしてもよい。特に後者の場合、フロント右座席6A(運転席)に着座する搭乗者(運転者)のみに音像の移動が認識されるようにしてもよい。
【0039】
音像制御装置1は、記憶装置11と、処理装置12と、を含む。記憶装置11は、音像制御装置1の外部要素でもよい。
【0040】
記憶装置11は、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体(例えば、コンピュータによって読み取り可能なnon transitoryな記録媒体)である。記憶装置11は、不揮発性メモリーと、揮発性メモリーと、を含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0041】
記憶装置11は、プログラムPGと、種々の情報と、を記憶する。プログラムPGは、音像制御装置1の動作を規定する。記憶装置11は、不図示のサーバにおける記憶装置から読み取られたプログラムPGを記憶してもよい。この場合、サーバにおける記憶装置は、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0042】
処理装置12は、1または複数のCPU(Central Processing Unit)を含む。1または複数のCPUは、1または複数のプロセッサの一例である。処理装置、プロセッサおよびCPUの各々は、コンピュータの一例である。
【0043】
処理装置12は、記憶装置11からプログラムPGを読み取る。処理装置12は、プログラムPGを実行することによって、取得部13、生成部14および音像制御部15として機能する。取得部13、生成部14および音像制御部15の少なくとも1つは、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路で実現されてもよい。
【0044】
取得部13は、車両100の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する。本実施形態では、取得部13は、車両100の走行状態に関する情報として、車速計測装置3Aから速度情報A1を取得する。車速計測装置3Aは、例えば、取得部13から送信された速度情報A1の取得要求に応じて速度情報A1を送信してもよいし、能動的に速度情報A1を取得部13に送信してもよい。
【0045】
また、取得部13は、車両100の操作状態に関する情報として、モータ制御装置34からアクセル情報B1を取得する。モータ制御装置34は、例えば、取得部13から送信されたアクセル情報B1の取得要求に応じてアクセル情報B1を送信してもよいし、能動的にアクセル情報B1を取得部13に送信してもよい。速度情報A1とアクセル情報B1は、CAN(Controller Area Network)を用いて通信される。速度情報A1とアクセル情報B1は、CANとは異なる通信プロトコルにて通信されてもよい。
【0046】
生成部14は、取得部13が取得した速度情報A1およびアクセル情報B1に基づいて、音信号C1を生成する。音信号C1は、仮想のエンジン音を示すサラウンド信号である。生成部14は、決定部141と、信号生成部142と、を含む。
【0047】
決定部141は、速度情報A1に基づいて、仮想エンジンの回転数を決定する。仮想エンジンは、車両100に仮想的に搭載される仮想のエンジンである。決定部141は、参照情報Eを用いることによって、仮想エンジンの回転数を決定する。
【0048】
参照情報Eは、車両100の速度と、仮想エンジンの回転数と、の対応関係を示す情報である。参照情報Eは、記憶装置11に記憶されている。
【0049】
決定部141は、参照情報Eを用いて、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を決定する。決定部141は、仮想エンジンの回転数を決定すると、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報F1を生成する。
【0050】
参照情報Eは、第1参照情報E1と第2参照情報E2を含んでもよい。第1参照情報E1は、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。第2参照情報E2は、車両100の減速時および車両100の定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。
【0051】
参照情報Eが、第1参照情報E1と第2参照情報E2とを含む場合も、決定部141は、速度情報A1に基づいて、仮想エンジンの回転数を決定する。例えば、決定部141は、まず、速度情報A1の変化に基づいて、車両100が加速時であるか否かを判断する。決定部141は、車両100が加速時であると判断する場合、第1参照情報E1を用いることによって、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を決定する。また、決定部141は、車両100が加速時でないと判断する場合、車両100が減速時または定速時であると判断する。決定部141は、車両100が減速時または定速時であると判断する場合、第2参照情報E2を用いて、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想的なエンジンの回転数を決定する。参照情報Eが第1参照情報E1と第2参照情報E2とを含む場合も、決定部141は、仮想エンジンの回転数を決定すると、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報F1を生成する。
【0052】
信号生成部142は、回転数情報F1とアクセル情報B1とに基づいて、音信号C1を生成する。信号生成部142は、まず、回転数情報F1とアクセル情報B1とに基づいて、車両100の状態を示す状態情報を決定する。例えば、信号生成部142は、走行情報G1を用いることによって、車両100の状態情報を決定する。
【0053】
走行情報G1は、仮想エンジンの回転数と、アクセルの開度と、状態情報と、の対応関係を示す情報である。走行情報G1は、記憶装置11に記憶されている。信号生成部142は、走行情報G1を用いて、回転数情報F1が示す仮想エンジンの回転数と、アクセル情報B1が示すアクセルの開度と、の両方に対応する車両100の状態情報を決定する。
【0054】
続いて、信号生成部142は、車両100の走行状態に基づいて、音信号C1を生成する。例えば、信号生成部142は、音情報H1を用いることによって、音信号C1を生成する。音情報H1は、車両100の走行状態と、仮想のエンジン音を示す音データと、の対応関係を示す情報である。音データは、車両100の走行状態に応じた仮想のエンジン音を示す。音情報H1は、記憶装置11に記憶されている。信号生成部142は、音情報H1を用いて、車両100の走行状態に対応する音信号C1を生成する。音信号C1は、例えばマルチチャネルの音信号である。
【0055】
音像制御部15は、スピーカ5から出力される音の音像の位置を、車室100Aの任意の位置に移動させる。音像制御部15は、例えばオブジェクトベースの3次元オーディオ技術を用いて、3次元座標(本実施形態においては車室100A内の1点を指定する座標)を用いて音源の位置を指定し、当該位置に音源があるとユーザが認識するように、各スピーカ5が出力する音を制御する。
【0056】
オブジェクトベースを実現するに当たり、例えば音像制御部15は、目標とする音像の位置に配置された仮想的な音源から搭乗者の耳までの空間における音の伝達関数(頭部伝達関数:HRTF)を使用してもよい。この場合、音像制御部15は、音の伝達関数に基づく畳み込み処理を音信号C1に対して実行することによって、各スピーカ5に出力する音信号C2(C2a~C2x)を生成する。
【0057】
第1実施形態では、音像制御部15は、取得部13が取得した車両情報に基づいて、スピーカ5から出力される音の音像の位置を、車両100の上下方向に移動させる。例えば、音像制御部15は、取得部13が取得した速度情報A1に基づいて加速度情報を生成し、車両100の加速に応じて音像の位置を移動させる。加速度情報は、車両100の加速度を示す。
【0058】
より詳細には、音像制御部15は、生成部14が生成した音信号C1を用いて、各スピーカ5に出力する複数の音信号C2(C2a~C2x)を生成する。また、音像制御部15は、加速度情報に基づいて、車室100Aにおける音源の位置を決定する。本実施形態では、音像制御部15は、車両100の加速度が大きいほど、音源の位置をZ軸に沿って高い位置に決定する。次に、音像制御部15は、音像の位置に基づいて、複数の音信号C2の各々の振幅を調整する。一般には、音像の位置が近いスピーカ5ほど、出力する音が大きくなるため、音信号C2の振幅は大きくされる。音像制御部15は、音信号C2を、それぞれ対応するスピーカ5に提供する。
【0059】
A2:参照情報E
参照情報Eは、車両100の速度と、仮想エンジンの回転数と、の対応関係を示す。仮想エンジンの回転数は、車両100の速度と、仮想の変速機と、に依存する。
【0060】
仮想の変速機は、車両100に仮想的に搭載される変速機である。仮想の変速機は、ギアJ1~J3という3つのギアを有する。ギアJ1は、仮想の変速機における1速に対応する。ギアJ2は、仮想の変速機における2速に対応する。ギアJ3は、仮想の変速機における3速に対応する。ギアJ1、J2およびJ3の各々は、変速ギアとも称され得る。仮想の変速機は、1つ以上のギアを有していればよい。
【0061】
図3は、参照情報Eが示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図3において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想エンジンの回転数を示す。
【0062】
参照情報Eは、ギアJ1~J3の各々について、車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。仮想エンジンの回転数MAX1は、仮想エンジンの最高回転数を示す。仮想エンジンの最高回転数は、例えば、9000rpm(revolutions per minute)である。仮想エンジンの最高回転数は9000rpmに限らない。
【0063】
参照情報Eは、第1参照情報E1と第2参照情報E2とを含む。第1参照情報E1は、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。第2参照情報E2は、車両100の減速時および定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。
【0064】
図4は、第1参照情報E1が示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図4において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想エンジンの回転数を示す。
【0065】
第1参照情報E1は、車両100の速度が速度V1未満である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0066】
速度V1は、ギアJ1を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度である。速度V1は、ギアJ1を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度より小さくてもよい。
【0067】
第1参照情報E1は、車両100の速度が速度V1以上速度V2未満である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ2についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0068】
速度V2は、ギアJ2を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度である。速度V2は、ギアJ2を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度よりも小さくかつ速度V1よりも大きい速度でもよい。
【0069】
第1参照情報E1は、車両100の速度が速度V2以上である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ3についての車両100の速度と仮想のエンジンの回転数との対応関係を示す。
【0070】
図5は、第2参照情報E2が示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の減速時および定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図5において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想のエンジンの回転数を示す。
【0071】
第2参照情報E2は、車両100の速度が速度V4よりも大きい場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ3についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。速度V4は、速度V1よりも大きく速度V2未満である。
【0072】
第2参照情報E2は、車両100の速度が速度V3よりも大きく速度V4以下である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ2についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。速度V3は、0以上速度V1未満である。
【0073】
第2参照情報E2は、車両100の速度が速度V3以下である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0074】
A3:走行情報G1
走行情報G1は、仮想エンジンの回転数と、アクセルの開度と、車両100の走行状態と、の対応関係を示す。
【0075】
図6は、走行情報G1が示す対応関係の一例を示す図である。図6において、横軸は仮想エンジンの回転数を示し、縦軸はアクセルの開度を示す。車両100の走行状態は、仮想エンジンの回転数とアクセルの開度とによって、領域K1~K25に分けられている。以下、領域K1~K25を相互に区別する必要がない場合、領域K1~K25の各々を「領域K」と称する。領域Kの数は、25に限らず、25よりも小さい数でもよいし、25よりも大きい数でもよい。
【0076】
A4:音情報H1
音情報H1は、車両100の走行状態と、車両100の走行状態に応じた仮想のエンジン音を示す音データと、の対応関係を示す情報である。
【0077】
図7は、音情報H1が示す対応関係の一例を示す図である。音情報H1は、車両100の走行状態を示す領域K1~K25と、音信号を定める音データM1~M25と、の対応関係を示す。
【0078】
音データM1~M25は、領域K1~K25と1対1に対応する。例えば、音データM1は領域K1と対応し、音データM25は領域K25と対応する。音データM1~M25は、相互に相違する。以下、音データM1~M25を相互に区別する必要がない場合、音データM1~M25の各々を「音データM」と称する。
【0079】
音データMは、対応する領域K(対応する車両100の走行状態)に応じた仮想のエンジン音を示す。音データMは、現実に存在するエンジンのエンジン音を模した音を示す。音データMは、架空のエンジンのエンジン音を示してもよい。
【0080】
A5:動作の説明
図8は、音像制御装置1の動作の一例を示す図である。以下では、車速計測装置3Aが、車両100の速度を示す速度情報A1を生成しているとする。モータ制御装置34が、アクセルの開度を示すアクセル情報B1を生成しているとする。車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す参照情報Eは、図4に示される第1参照情報E1と、図5に示される第2参照情報E2と、を含むとする。
【0081】
操作装置4が、音信号C1の生成を指示する操作である生成操作を搭乗者から受け取ると、図8に示される動作がスタートする。図8に示される動作は、操作装置4が音信号C1の生成の終了を指示する操作である終了操作を搭乗者から受け取るまで繰り返す。
【0082】
ステップS101において取得部13は、車速計測装置3Aから速度情報A1を取得し、かつ、モータ制御装置34からアクセル情報B1を取得する。
【0083】
続いて、ステップS102において取得部13は、速度情報A1を記憶装置11に記憶する。このため、記憶装置11には、速度情報A1の履歴が記憶される。
【0084】
速度情報A1の履歴は、操作装置4が終了操作を搭乗者から受け取るまで記憶装置11に残される。取得部13は、操作装置4が終了操作を搭乗者から受け取ると、速度情報A1の履歴を記憶装置11から削除する。このため、速度情報A1の履歴は、操作装置4が生成操作を搭乗者から受け取る時点では記憶装置11に記憶されていない。
【0085】
取得部13は、速度情報A1を記憶装置11に記憶すると、速度情報A1を決定部141に提供する。また、取得部13は、アクセル情報B1を信号生成部142に提供する。
【0086】
続いて、ステップS103において決定部141は、速度情報A1の変化に基づいて、車両100が加速時であるか否かを判断する。ステップS103では決定部141は、速度情報A1の履歴を参照することによって、車両100の速度が増大しているか否か(加速時か否か)を判断する。
【0087】
例えば、決定部141は、まず、速度情報A1の履歴から、今回のステップS102で記憶された速度情報A1と、前回のステップS102で記憶された速度情報A1と、を特定する。なお、前回のステップS102で記憶された速度情報A1が記憶装置11に存在しない場合、決定部141は、前回のステップS102で記憶された速度情報A1が示す車両100の速度として、「0」を用いる。
【0088】
続いて、決定部141は、今回のステップS102で記憶された速度情報A1が示す車両100の速度が、前回のステップS102で記憶された速度情報A1が示す車両100の速度よりも増大しているか否かを判断する。車両100の速度の増大は、車両100が加速時であることを意味する。このため、車両100の速度が増大しているか否かの判断は、車両100が加速時であるか否かの判断を意味する。
【0089】
決定部141は、今回のステップS102で記憶された速度情報A1が示す車両100の速度が、前回のステップS102で記憶された速度情報A1が示す車両100の速度よりも増大している場合、車両100が加速時であると判断する。
【0090】
決定部141は、ステップS103において車両100が加速時であると判断すると、ステップS104において第1参照情報E1を用いることによって仮想エンジンの回転数を決定する。
【0091】
ステップS104では決定部141は、まず、第1参照情報E1に示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、加速時における回転数として決定する。続いて、決定部141は、加速時における回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0092】
例えば、車両100が加速時であり車両100の速度が速度V1未満である場合、決定部141は、まず、第1参照情報E1に示されるギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を選択する。続いて、決定部141は、ギアJ1について示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、加速時における回転数として決定する。続いて、決定部141は、加速時における回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0093】
決定部141は、ステップS103において車両100が加速時でないと判断すると、車両100が減速時または定速時であると判断する。続いて、決定部141は、ステップS105において第2参照情報E2を用いて仮想エンジンの回転数を決定する。
【0094】
ステップS105では決定部141は、まず、第2参照情報E2に示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報A1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、該当回転数として特定する。続いて、決定部141は、該当回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0095】
ステップS104またはステップS105において仮想エンジンの回転数が決定すると、ステップS106において決定部141は、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報F1を生成する。決定部141は、回転数情報F1を信号生成部142に提供する。
【0096】
続いて、ステップS107において信号生成部142は、回転数情報F1とアクセル情報B1とに基づいて、車両100の走行状態を決定する。
【0097】
ステップS107では信号生成部142は、回転数情報F1とアクセル情報B1と走行情報G1とを用いて、車両100の走行状態を決定する。走行情報G1に示される領域K1~K25は、車両100の走行状態を示す。信号生成部142は、走行情報G1に示される領域K1~K25の中から、回転数情報F1が示す仮想エンジンの回転数と、アクセル情報B1が示すアクセルの開度と、の両方に対応する領域Kを、車両100の走行状態として決定する。
【0098】
続いて、ステップS108において信号生成部142は、車両100の走行状態に基づいて、音信号C1を生成する。
【0099】
ステップS108では信号生成部142は、車両100の走行状態と音情報H1とを用いて、音信号C1を生成する。信号生成部142は、まず、音情報H1に示される音データM1~M25の中から、車両100の走行状態として決定された領域Kに対応する音データMを、該当の音データとして読み出す。信号生成部142は、続いて、該当の音データが示す音をマルチチャネルで示す音信号C1を生成する。続いて、信号生成部142は、音信号C1を音像制御部15に提供する。
【0100】
続いて、ステップS109において音像制御部15は、加速度情報に基づいて、スピーカ5が出力する音の音像の位置を制御する。
【0101】
ステップS109では音像制御部15は、まず、速度情報A1に基づいて、車両100の加速度を特定する。以下、車両100の前方向における加速度を「前方向の加速度」と称する。音像制御部15は、記憶装置11に記憶されている速度情報A1の履歴を用いて、前方向の加速度を示す加速度情報を決定する。
【0102】
例えば、音像制御部15は、まず、今回のステップS102で記憶された速度情報A1を、速度情報A1Aとして特定する。続いて、音像制御部15は、前回のステップS102で記憶された速度情報A1を、速度情報A1Bとして特定する。続いて、音像制御部15は、速度情報A1Aが示す車両100の速度から、速度情報A1Bが示す車両100の速度を差し引くことによって速度差を特定する。続いて、音像制御部15は、速度差を、今回のステップS102の実行時と前回のステップS102の実行時との間の時間で割ることによって、前方向の加速度を示す加速度情報を生成する。前回のステップS102で記憶された速度情報A1が記憶装置11に存在しない場合、音像制御部15は、速度情報A1Bが示す車両100の速度として、「0」を用いる。
【0103】
速度情報A1Aが示す車両100の速度が、速度情報A1Bが示す車両100の速度よりも大きい場合、速度情報A1Aは、前方向への加速を示す。速度情報A1Aが示す車両100の速度が、速度情報A1Bが示す車両100の速度よりも大きくない場合、速度情報A1Aは、車両100の前方向への加速を示さない。
【0104】
音像制御部15は、前方向の加速度が正の値である場合、スピーカ5が出力する音の音像の位置を、前方向の加速度に基づいて設定する。例えば、音像制御部15は、速度情報A1Aが車両100の前方向への加速を示すときの音像の位置を、速度情報A1Aが車両100の前方向への加速を示さないときの音像の位置よりも車両100の上方向に移動した位置に設定する。
【0105】
図9は、前方向の加速度とZ軸方向における音像の位置との関係の一例を示す図である。例えば、図2Bにおいて、フロント右座席6Aの座面の下を第1位置P1、フロント右座席6Aの上方を第2位置P2とする。座席6に着席した搭乗者の耳の位置を基準点にすると、第1位置P1は基準点より下方であり、第2位置P2は基準点より上方である。前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、音像の位置を第1位置P1に近づける。前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、音像の位置を第2位置P2に近づける。この場合、座席6に着席した搭乗者(運転者)は、加速度が小さい間は自身の下方にあった音像が、加速度が大きくなると自身の上方に移動していくように感じる。
【0106】
前方向に車両100が加速すると、重力による下方向の加速度と前方向への加速度が合成されて前方斜め下方向への加速度となる。このため、搭乗者は、車両100が前方向へ加速する場合には、車両100が前方向へ加速していない場合(重力の影響のみを受けている場合)と比較して、身体が上方に浮くような感覚をわずかに得る。車両100の加速に伴って音像の位置を上方向に移動させることにより、搭乗者の身体感覚と音像の位置とが一致する。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0107】
音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて音信号C2a~C2xのそれぞれの振幅を制御することによって、スピーカ5が出力する音の音像の位置を、車両100の上下方向に移動する。一例として、第1位置P1に最も近いスピーカ5B-1が出力する音の音圧(≒振幅)と、第2位置P2に最も近いスピーカ5E-1が出力する音の音圧(≒振幅)との関係を図10に示す。
【0108】
図10は、スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5E-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
【0109】
音像制御部15は、前方向の加速度が小さいほど、スピーカ5B-1に出力する音信号C2の振幅を大きくし、前方向の加速度が大きいほど、スピーカ5B-1に出力する音信号C2の振幅を小さくする。このため、車両100の下部に位置するスピーカ5B-1が出力する音の音圧は、前方向の加速度が小さいほど大きくなり、前方向の加速度が大きいほど小さくなる。
【0110】
また、音像制御部15は、前方向の加速度が小さいほど、スピーカ5E-1に出力する音信号C2の振幅を小さくし、前方向の加速度が大きいほど、スピーカ5E-1に出力する音信号C2の振幅を大きくする。このため、車両100の上部に位置するスピーカ5E-1が出力する音の音圧は、前方向の加速度が小さいほど小さくなり、前方向の加速度が大きいほど小さくなる。
【0111】
音像制御部15は、スピーカ5B-1および5E-1以外の他のスピーカ5についても、同様に音信号C2の制御を行う。一般的には、音像制御部15は、あるスピーカ5について、音像との距離が短いほど出力する音の音圧を大きくし、音像との距離が長いほど出力する音の音圧を小さくする。
【0112】
このように、音像制御部15は、例えば、車両100の天井100Bに設置されたスピーカ5E-1が出力する音と、スピーカ5E-1よりも低い位置に設置されたスピーカ5B-1が出力する音の大小関係を変更することによって、音像の位置を車両100の上下方向に移動させる。スピーカ5E-1は第1スピーカの一例であり、スピーカ5B-1は第2スピーカの一例である。よって、搭乗者は、車両100の加速の程度に応じて上下に動く音像を認識できる。
【0113】
以下、操作装置4が終了操作を搭乗者から受け取るまで、図8に示される動作が繰り返される。
【0114】
A6:第1実施形態のまとめ
以上の説明したように、第1実施形態に係る音像制御装置1は、車両の走行状態または操作状態の少なくとも一方に連動して、スピーカ5から出力される音の音像の位置を車両100の上下方向に移動させる。搭乗者は、音像の移動を認識することによって車両100の走行感を認識しやすくなり、走行に対する没入感を得ることができる
【0115】
また、第1実施形態に係る音像制御装置1は、例えば車両100の天井100Bに設置されたスピーカ5E-1と、スピーカ5E-1より低い位置に設置されたスピーカ5B-1と、がそれぞれ出力する音の大小関係を変更することによって音像の位置を変化させる。よって、例えば音の伝達関数を用いるなどの複雑な処理を行うことなく、簡易な処理で音像の位置を変更することが可能となる。
【0116】
また、第1実施形態に係る音像制御装置1は、車両100の加速に応じて変化する音を出力する。搭乗者は、音の変化によって車両100の加速を認識することができ、加速に応じて音が変化しない場合と比較して、走行に対する没入感を得ることができる。
【0117】
また、第1実施形態に係る音像制御装置1は、車両100に加速に応じてスピーカ5から出力する音の音像の位置を移動させる。搭乗者は、音像の位置の変化によって車両100の加速を認識することができ、加速に応じて音像の位置が変化しない場合と比較して、走行に対する没入感を得ることができる。
【0118】
B:第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0119】
第1実施形態において、音像制御部15は、車両情報に基づいて、音像の位置を車両100の上下方向に移動させた。すなわち、第1実施形態における音像の移動は、1軸(Z軸)に沿った動きであった。第2実施形態では、音像制御部15は、音像の位置を、車両100の上下方向に加えて、前後方向または左右方向の少なくともいずれかに更に移動させる。すなわち、第2実施形態における音像の移動は、2軸(Z軸+X軸またはZ軸+Y軸)または3軸(Z軸+X軸+Y軸)に沿った動きである。
【0120】
図12は、第2実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。また、図11は、前方向の加速度と音像の位置との関係の一例を示す図である。例えば、図12において、フロント右座席6Aに座った搭乗者の足元付近(インスツルメントパネル8の下方)を第3位置P3、後部のリア右座席6Cの後方かつ天井100B付近を第4位置P4とする。音像制御部15は、図11に示すように、前方向の加速度が小さいほど、音像の位置を第3位置P3に近づけ、前方向の加速度が大きいほど、音像の位置を第4位置P4に近づける。すなわち、音像制御部15は、車両情報が車両100の前方への加速を示すときの音像の位置を、車両情報が車両100の前方への加速を示さないときの音像の位置よりも、車両100の後方向かつ上方に移動させる。
【0121】
この場合、座席6に着席した搭乗者(運転者)は、加速度が小さい間は自身の足元にあった音像が、加速度が大きくなると自身の後方かつ上方に移動していくように感じる。車両100が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両100の後方に向かう力を受ける。このため、車両100が前方へ加速する場合、音像を車両100の後方に移動させることによって、搭乗者の身体感覚と音像の位置とが一致する。また、第1実施形態で説明したように、車両100が前方へ加速する場合、音像を車両100の上方に移動させることによって、搭乗者の身体感覚と音像の位置とが一致する。このようなX軸に沿った動きと、Z軸に沿った動きとを組み合わせることによって、搭乗者は、走行に対するより深い没入感を得ることができる。
【0122】
また、音源の移動方向は、すなわち車両100の左右方向(Y軸)に沿っていてもよい。この場合、例えば車両100に、車両100の左右方向における加速度を検出する左右加速度センサが設けられる。左右加速度センサは、車両100が右に曲がるときに右方向の加速度を検出し、車両100が左に曲がるときに左方向の加速度を検出する。取得部13は、左右加速度センサの出力、すなわち、車両100の左右方向における加速度を示す情報を取得する。音像制御部15は、取得部13が取得した左右加速度センサの出力を用いて、車両100の左右方向における加速度を決定する。なお、左右加速度センサに代えて、ヨーレートセンサが設けられてもよい。また、車両100の左右方向における加速度は、左右方向加速度センサから得られるのではなく、例えばステアリングホイール80の操作量に基づいて推定されてもよい。
【0123】
音像制御部15は、左右加速度センサの出力に基づいて、スピーカ5から出力される音の音像の位置を車両100の左右方向に移動させる。例えば、音像制御部15は、右方向の加速度が大きいほど、スピーカ5が出力する音の音像の位置を車両100の左端に近づける。音像制御部15は、左方向の加速度が大きいほど、スピーカ5が出力する音の音像の位置を車両100の右端に近づける。
【0124】
車両100が右方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の左方向に向かう力を受ける。また、車両100が左方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の右方向に向かう力を受ける。よって、車両100が右方向へ加速する場合には音像を車両100の左方向に移動させ、車両100が左方向へ加速する場合には音像を車両100の右方向に移動させることによって、搭乗者の身体感覚と音像の移動方向とが一致する。これにより、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0125】
なお、上述した説明では、音像制御部15は、車速計測装置3Aで計測された車速に基づく前方向の加速度(または前後加速度センサで検出された前方向の加速度)、または左右加速度センサで検出された左右方向の加速度に基づいてスピーカ5から出力する音の音像の位置を移動させた。これに代えて、またはこれに加えて、車両100の上下方向の加速度に基づいて、スピーカ5から出力する音の音像の位置を移動させてもよい。
【0126】
車両100の上下方向の加速度は、例えば重力加速度センサまたはピッチセンサ等により検出することができる。車両100に上下方向の加速度が生じる場合とは、例えば車両100が上り坂または下り坂を走行している場合、または路面状態が悪い(凹凸がある)道路を走行している場合等である。
【0127】
車両100の上下方向の加速度に基づいて、音像の位置を移動させる場合、音像の位置を車両100の上下方向に変更してもよいし、上下方向に加えて前後方向または左右方向の少なくともいずれかに移動させてもよい。
【0128】
以上のように、第2実施形態に係る音像制御装置1は、スピーカ5から出力される音の音像の位置を、車両100の上下方向に加えて、車両100の前後方向または左右方向の少なくともいずれかに移動させる。よって、搭乗者は、音像の2次元的または3次元的な移動を認識することによって、車両100の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0129】
また、第2実施形態に係る音像制御装置1は、車両100に前方向への加速がある場合には、音像の位置が前方向かつ下方から後方向かつ上方へと移動する。よって、搭乗者は、音像の位置の変化によって車両100の加速をよりリアルに認識することができ、走行に対する没入感を得ることができる。
【0130】
C:第3実施形態
本開示の第3実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において機能が第1実施形態および第2実施形態と同様である要素については、第1実施形態および第2実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0131】
第1実施形態および第2実施形態では、音像制御部15は、車室100A内における音源の位置を移動させた。すなわち、第1実施形態および第2実施形態では、音源は点音源であるものとして取り扱った。これに対して、第3実施形態では、音源が面または3次元の領域を有するものとし、音像制御部15は、車両情報に基づいて音源の範囲を変更する。すなわち、音像制御部15は、取得部13が取得した車両情報に基づいて、車両100の備える少なくとも2つのスピーカ5から出力される音の音像の範囲を変更する。
【0132】
より詳細には、音像制御部15は、車両情報に基づいて、車両100の備える少なくとも2つのスピーカ5から出力される音の音像の位置を移動させるとともに、音像の動きに連動して音像の範囲を変更する。この時、音像制御部15は、音像の移動軌跡に沿った範囲を音像の範囲とする。
【0133】
図13A図13Dは、第3実施形態における音像の移動を模式的に示す図である。図13A図13Dの例では、第2実施形態と同様に、第3位置P3と第4位置P4との間を音像が移動するものとする。第3位置P3と第4位置P4との略中間点を第5位置P5とする。
【0134】
図13Aは、車両100の加速度が0の場合における音像の範囲を模式的に示す。図13Aでは、第1音像S1が第3位置P3に定位される。第1音像S1は、仮想のエンジン音を発生する第1音源の位置である。第3位置P3は、エンジン車におけるエンジンの搭載位置に近い。よって、第3位置P3に第1音像S1を定位することにより、仮想のエンジン音が実際のエンジン音のように認識されやすくなる。なお、第1音像S1は点音源であってもよいし、図13Aに示すように一定の範囲を有してもよい。第1音像S1が点音源ではない場合、第1音像S1は、「第1音像S1が第3位置P3に定位される」、とは、例えば第1音像S1の仮想的な基準点が第3位置P3に位置することを指す。基準点とは、第1音像S1の重心点であってもよいし、第1音像S1の範囲内において最も音が大きい点であってもよい。後述する第2音像S2についても同様である。
【0135】
図13Bは、車両100の加速度が中程度の場合における音像の範囲を模式的に示す。第1音像S1は、車両100の加速度に関わらず第3位置P3に定位する。また、車両100に前方向の加速度が発生すると、第1音源と異なる第2音源が発生する。第2音源の位置が第2音像S2である。第2音源は、第1音源と同じく仮想のエンジン音を発生してもよいし、例えばターボ車両のターボ音(タービンが回る音)を発生してもよい。ターボ音は、例えば加速度に比例する「キーン」等のタービンの回転音を模した音であり、エンジン音とは異なる音である。
【0136】
図13Bでは、第2音像S2の基準位置は第5位置P5にある。第2音像S2の基準位置は、車両100の加速度が大きくなるにつれて第3位置P3から第4位置に近づく。この時、第2音像S2の範囲は、基準点の移動軌跡R1を含む範囲に拡張される。基準点の移動軌跡R1を含む範囲に第2音像S2が拡張されることにより、基準点の移動後にも第2音源の音の残響が搭乗者に認識される。搭乗者は、車両100の加速に伴う音像の移動をよりリアルに感じることができ、走行に対するより深い没入感を得ることができる。
【0137】
図13Cは、車両100の加速度が最大値に近い場合における音像の範囲を模式的に示す。図13Cにおいても、第1音像S1は第3位置P3に定位する。また、図13Cでは、第2音像S2の基準位置は第4位置P4にある。第2音像S2の範囲は、第3位置P3から第4位置P4を含む範囲となる。
【0138】
このように、車両100の加速度が大きくなるにつれ、音像の範囲は、図13A図13Bおよび図13Cのように移行する。また、車両100が一定程度加速すると、加速度が徐々に小さくなり、高速での定速状態(=加速度0)になる場合がある。この場合、車両100の加速度は徐々に0に近づき、音像の範囲は、図13C図13Bおよび図13Aのように移行する。よって、定速走行時には、図13Aに示すように、第1音像S1のみが残る。
【0139】
なお、図13Cにおいて、第2音像S2の範囲が、移動の開始点である第3位置P3を含んでいるが、これに限られない。例えば図13Dに示すように、第2音像S2の移動軌跡R1に沿った範囲のうち、基準点(図13Dでは第4位置P4)から所定距離以内の範囲を第2音像S2の範囲としてもよい。
【0140】
また、図13A図13Cにおいて、第2音像S2とともに、車両100の加速に関わらず範囲が変化しない第1音像S1を示しているが、必ずしも2つの音像を併存させなくてもよい。図13Dに示すように、第1音像S1を定位せず、車両100の加速に基づいて範囲が変化する第2音像S2のみを定位してもよい。
【0141】
第3実施形態においても、音像制御部15は、加速度に基づいて音信号C2a~C2xのそれぞれの振幅を制御することによって、スピーカ5が出力する音の音像の範囲を変更する。一例として、第3位置P3に最も近いスピーカ5B-1が出力する音の音圧(≒振幅)と、第4位置P4に最も近いスピーカ5D-1が出力する音の音圧(≒振幅)との関係を図14に示す。
【0142】
図14は、スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dcと、スピーカ5D-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Ddと、を示す図である。音像制御部15は、加速度がゼロの場合は、スピーカ5B-1からは音を出力するが、スピーカ5D-1からは音を出力しない。音像制御部15は、加速度が大きくなるにつれ、スピーカ5D-1に出力する音信号C2の振幅を大きくする。よって、スピーカ5D-1が出力する音の音圧は、加速度が大きいほど大きくなる。一方で、音像制御部15は、スピーカ5B-1に出力する音信号C2の振幅については、加速度が大きくなっても変更しない。よって、スピーカ5B-1が出力する音の音圧は、加速度が増加しても一定に保たれる。
【0143】
このように、音像の移動の開始点に近いスピーカ5B-1の音圧を保ったまま、他のスピーカ5(例えばスピーカ5D-1)の音圧を上げていくことで、音像の広がりが得られる。なお、図14は、各スピーカ5の音圧と加速度との関係をごく模式的に示したものである。実際には、例えばスピーカ5B-1が出力する音の音圧を、加速度が大きくなるにつれ、わずかに減少させる等の制御が行われ得る。
【0144】
以上のように、第3実施形態に係る音像制御装置1は、車両情報に基づいて、音像の範囲を変更する。搭乗者は、車両100の動きと連動した音像の広がりを認識するので、車両100の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0145】
また、第3実施形態に係る音像制御装置1は、スピーカ5から出力される音の音像を移動するとともに、これに連動して音像の範囲を変更する。搭乗者は、音像の移動と音像の広がりとを連動して体感するので、スピーカ5から出力される音を立体的に認識することができる。
【0146】
また、第3実施形態に係る音像制御装置1は、音像の移動軌跡に沿った範囲を音像の範囲とする。搭乗者は、音像の移動軌跡を含む範囲を音像として認識するので、音像の動きの余韻を感じることができ、車両100の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0147】
D:変形例
第1実施形態から第3実施形態における変形の態様を以下に示す。以下の態様から任意に選択された2個以上の態様が、相互に矛盾しない範囲において適宜に併合されてもよい。
【0148】
D1:第1変形例
上述した第1実施形態から第3実施形態における音像の移動方向は例示であり、本開示の適用はこれらの例示に限られない。例えば、第1実施形態では、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置は上方向に移動された。これに限らず、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置が下方向に移動されてもよい。また、車両100の後方向の加速度に応じて、音像の位置が上下方向に移動されてもよい。
【0149】
また、第2実施形態では、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置は車両100の前方向かつ下方から車両100の後方向かつ上方に移動された。これに限らず、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置が車両100の後方向かつ上方から車両100の前方向かつ下方に移動されてもよい。または、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置が車両100の前方向かつ上方から車両100の後方向かつ下方に移動されてもよい。または、車両100の前方向の加速度が大きくなるほど、音像の位置が車両100の後方向かつ下方から車両100の前方向かつ上方に移動されてもよい。
【0150】
また、第2実施形態では、車両100の右方向の加速度が大きいほど、音像の位置が車両100の左端に近づけられ、左方向の加速度が大きいほど、音像の位置が車両100の右端に近づけられた。これに限らず、車両100の右方向の加速度が大きいほど、音像の位置が車両100の右端に近づけられ、左方向の加速度が大きいほど、音像の位置が車両100の左端に近づけられてもよい。
【0151】
D2:第2変形例
上述した第1実施形態から第3実施形態では、車両情報として主に車両100の前方向の加速度を用いた。車両100の前方向の加速度は、車速計測装置3Aにより生成された速度情報A1に基づいて算出された。これに限らず、車両情報として様々な情報が利用され得る。
【0152】
例えば、車両100の前方向の加速度が、アクセルペダル32の変位量またはアクセル情報B1に基づいて推定されてもよい。例えば、車両100の前方向の加速度が、図示しないブレーキペダルの変位量に基づいて推定されてもよい。また、例えばステアリングホイール80の操作量に基づいて、左右方向の加速度が推定されてもよい。
【0153】
また、例えば車両情報として車両100の速度(速度情報A1)が用いられてもよい。例えば、車両100の速度が速いほど音像の位置が上方向に移動され、車両100の速度が遅いほど音像の位置が下方向に移動されてもよい。
【0154】
D3:第3変形例
上述した第1実施形態から第3実施形態では、車両100の前方向の加速度が正の場合について説明した。これに限らず、車両100の前方向の加速度が負の値である場合(車両100が減速時である場合)にも、音像の位置を移動させてよい。
【0155】
図15は、前方向の加速度とZ軸方向における音像の位置との関係の一例を示す図である。図15は、図2Bに示す第1位置P1と第2位置P2との間で音像を移動させる場合を示す。第1位置P1および第2位置P2の略中間点を第6位置とする。
【0156】
前方向の加速度が「0」である場合、音像制御部15は、スピーカ5が出力する音の音像の位置を第6位置P6に設定する。前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、スピーカ5が出力する音の音像の位置を第1位置P1に近づける。前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、スピーカ5が出力する音の音像の位置を第2位置P2に近づける。
【0157】
前方向の加速度とZ軸方向における音像の位置との関係は、図15に示される関係に限らない。例えば、前方向の加速度が小さいほど、音像の位置が段階的に第1位置P1に近づいてもよい。前方向の加速度が大きいほど、音像の位置が段階的に第2位置P2に近づいてもよい。
【0158】
音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて音信号C2a~C2xのそれぞれの振幅を制御することによって、スピーカ5が出力する音の音像の位置を、車両100の上下方向に移動する。一例として、第1位置P1に最も近いスピーカ5B-1が出力する音の音圧(≒振幅)と、第2位置P2に最も近いスピーカ5E-1が出力する音の音圧(≒振幅)との関係を図16に示す。
【0159】
図16は、スピーカ5B-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5E-1が出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて、スピーカ5B-1に出力する音信号C2の振幅およびスピーカ5E-1に出力する音信号C2の振幅を制御することによって、図16に示される関係Daおよび関係Dbを実現する。
【0160】
第3変形例によれば、車両100が減速時である場合に、搭乗者は、音像が移動する感覚を得られる。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0161】
D4:第4変形例
第1実施形態および第1変形例~第3変形例において、音像制御部15は、生成部14を含んでもよい。この場合、音像制御部15は、車両情報(例えば、速度情報A1、加速度情報、前後加速度センサの出力、または左右加速度センサの出力)に基づいて、音信号C1を生成してもよい。例えば、図7に示される音データM1~M25が、車両情報にて特定され得る加速度と予め対応づけられ、音像制御部15は、車両情報にて特定される加速度と対応する音データMに基づいて、音信号C1を生成する。音データM1~M25が、音の波形と、音のピッチと、音のレベルとを示してもよい。音データM1~M25は、波形の形状、ピッチおよびレベルの少なくとも1つにおいて互いに異なる。
【0162】
また、音像制御部15は、車両情報から直接的に音像の位置を制御せずに、車両情報から間接的に音像の位置を制御してもよい。例えば、音像制御部15は、音像制御部15が生成する音信号C1が示す音の特性(例えば、ピッチまたはレベル)に基づいて、音像の位置を車両100の上下方向、前後方向または左右方向に移動してもよい。
【0163】
一例を挙げると、音信号C1が示す音のピッチが大きいほど、音像制御部15は、音像の位置を第1位置P1に近づける。音信号C1が示す音のピッチが小さいほど、音像制御部15は、音像の位置を第2位置P2に近づける。または、音像制御部15は、音信号C1が示す音のピッチが大きいほど、音像の位置を第2位置P2に近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音信号C1が示す音のピッチが小さいほど、音像の位置を第1位置P1に近づける。
【0164】
音像制御部15は、音信号C1が示す音のレベルが大きいほど、音像制御部15は、音像の位置を第1位置P1に近づけてもよい。この場合、音信号C1が示す音のレベルが小さいほど、音像制御部15は、音像の位置を第2位置P2に近づける。または、音像制御部15は、音信号C1が示す音のレベルが大きいほど、音像の位置を第2位置P2に近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音信号C1が示す音のレベルが小さいほど、音像の位置を第1位置P1に近づける。
【0165】
第4変形例によれば、音像制御部15は、音信号C1が示す音(スピーカ5から出力される音)の特性(ピッチまたはレベル)に基づいて、音像の位置を、車両100の上下方向、前後方向または左右方向に移動する。このため、搭乗者は、走行に対する没入感を得るとともに、スピーカ5から出力される音の特性の変化に応じて音像の位置が変化する感覚を得ることができる。
【0166】
D5:第5変形例
第1実施形態から第3実施形態および第1変形例~第4変形例において、音信号C1が示す音は、仮想のエンジン音に限らず、例えば、動物の鳴き声、または、基準のテンポ以上のテンポを有する楽曲でもよい。基準のテンポは、例えば、人間の平均的な心拍数以上のテンポである。基準のテンポ以上のテンポを有する楽曲は、車両の加速に応じた音の他の例である。第1実施形態から第3実施形態および第1変形例~第4変形例において、車両100は、電気自動車に限らず、エンジンを動力源として走行する自動車でもよい
【0167】
E:付記
上述の形態および変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
【0168】
本開示の1つの態様(第1態様)に係る音像制御装置は、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる音像制御部と、を含む。この態様によれば、車両の走行状態または操作状態の少なくとも一方に連動して、スピーカから出力される音の音像の位置が車両の上下方向に移動される。搭乗者は、音像の移動を認識することによって車両の走行感を認識しやすくなり、走行に対する没入感を得ることができる。
【0169】
第1態様の具体例(第2態様)において、前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記音像の位置を前記車両の前後方向または左右方向の少なくともいずれかに更に移動させる。この態様によれば、スピーカから出力される音の音像の位置が、車両の上下方向に加えて、車両の前後方向または左右方向の少なくともいずれかに移動される。搭乗者は、音像の2次元的または3次元的な移動を認識することによって、車両の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0170】
第1態様の具体例(第3態様)において、前記少なくとも2つのスピーカは、前記車両の天井に設置された第1スピーカと、前記第1スピーカより低い位置に設置された第2スピーカと、を含み、前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音と前記第2スピーカが出力する音の大小関係を変更することによって、前記音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる。この態様によれば、第1スピーカが出力する音と第2スピーカが出力する音の大小関係を変更することによって音像の位置を変化させる。よって、例えば音の伝達関数を用いるなどの複雑な処理を行うことなく、簡易な処理で音像の位置を変更することが可能となる。
【0171】
第1態様の具体例(第4態様)において、前記音は、前記車両の加速に応じて変化する音である。この態様によれば、車両の加速に応じた音がスピーカから出力される。搭乗者は、音の変化によって車両の加速を認識することができ、加速に応じて音が変化しない場合と比較して、走行に対する没入感を得ることができる。
【0172】
第1態様の具体例(第5態様)において、前記取得部は、前記車両情報として前記車両の加速に関する情報を取得し、前記音像制御部は、前記車両の加速に応じて前記音像の位置を移動させる。この態様によれば、車両の加速に応じてスピーカから出力される音の音像の位置が移動される。搭乗者は、音像の位置の変化によって車両の加速を認識することができ、加速に応じて音像の位置が変化しない場合と比較して、走行に対する没入感を得ることができる。
【0173】
第5態様の具体例(第6態様)において、前記音像制御部は、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示すときの前記音像の位置を、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示さないときの前記音像の位置よりも、前記車両の後方向かつ上方に移動させる。この態様によれば、車両の前方への加速がある場合には、音像の位置が前方向かつ下方から後方向かつ上方へと移動する。搭乗者は、音像の位置の変化によって車両の加速をよりリアルに認識することができ、走行に対する没入感を得ることができる。
【0174】
本開示の1つの態様(第7態様)に係る音像制御装置は、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する音像制御部と、を含む。この態様によれば、車両の走行状態または操作状態に連動して音像の範囲が変更される。搭乗者は、車両の動きに連動した音像の広がりを認識するので、車両の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0175】
第7態様の具体例(第8態様)において、前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を移動させるとともに、前記音像の動きに連動して前記音像の範囲を変更する。この態様によれば、音像が移動されるとともに、これに連動して音像の範囲が変更される。搭乗者は、音像の移動と音像の広がりとを連動して体感するので、スピーカから出力される音を立体的に認識することができる。
【0176】
第8態様の具体例(第9態様)において、前記音像制御部は、前記音像の移動軌跡に沿った範囲を前記音像の範囲とする。この態様によれば、音像が移動した場合、音像の移動軌跡に沿った範囲が音像の範囲となる。搭乗者は、音像の移動軌跡を含む範囲を音像として認識するので、音像の動きの余韻を感じることができ、車両の走行感をよりリアルに認識することができる。
【0177】
本開示の1つの態様(第10態様)に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の走行状態または操作状態の少なくとも一方に関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の位置を前記車両の上下方向に移動させる。
【0178】
本開示の1つの態様(第11態様)に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の走行状態または操作状態の少なくともいずれかに関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像の範囲を変更する。
【符号の説明】
【0179】
1…音像制御装置、3…車輪制御装置、4…操作装置、5(5A(5A-1~5A-8),5B(5B-1~5B-6),5C(5C-1~5C-6),5D(5D-1~5D-2),5E(5E-1~5E-6),5F,5G)…スピーカ、11…記憶装置、12…処理装置、13…取得部、14…生成部、15…音像制御部、31…モータ、32…アクセルペダル、33…シフトレバー、34…モータ制御装置、35…動力伝達装置、100…車両。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16