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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062534
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】回路装置及び表示制御システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/38 20060101AFI20240501BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240501BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240501BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240501BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240501BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240501BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240501BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240501BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20240501BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
G09G5/38 A
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 641P
G09G3/20 642C
G09G3/20 612T
G09G5/00 550C
G09G5/36 520P
G09G5/10 Z
H04N5/74 Z
G02F1/133 580
G02F1/133 535
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170424
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 和輝
(72)【発明者】
【氏名】足立 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H193
2H391
5C006
5C058
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2H193ZF11
2H193ZG03
2H193ZG04
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZG48
2H193ZH30
2H193ZH56
2H193ZR06
2H391AA03
2H391AA13
2H391AB02
2H391AB04
2H391AB08
2H391BA21
2H391CB13
2H391CB22
2H391CB43
2H391EB02
2H391FA06
2H391FA07
5C006AA11
5C006AA22
5C006AF11
5C006AF44
5C006AF46
5C006BB29
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC16
5C006BF15
5C006BF38
5C006EA01
5C006FA34
5C058AA18
5C058BA29
5C058EA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD03
5C080EE28
5C080EE29
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK20
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA12
5C182AA22
5C182AB25
5C182AB26
5C182AB31
5C182AB33
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA46
5C182CA01
5C182CA11
5C182CA32
5C182CB11
5C182CB42
5C182CC24
5C182CC25
5C182DA53
(57)【要約】
【課題】バックライトの適切な調光制御を実現できる回路装置等の提供。
【解決手段】回路装置10は、入力画像IMIと、入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置ずれ特定情報PSとを受信するインターフェース回路20と、入力画像IMIに基づく画像処理を行う画像処理回路30と、入力画像IMIに基づく画像解析を行ってバックライト120の調光処理を行い、調光情報DMを出力する調光処理回路40と、第1フレームでの入力画像である第1入力画像と、第1フレームの後の第2フレームでの入力画像である第2入力画像との間のオブジェクトの位置ずれ特定情報PSに基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を調光情報DMに対して行う位置補正回路50を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルとバックライトを含む表示装置を制御する回路装置であって、
入力画像と、前記入力画像におけるオブジェクトの位置ずれ特定情報と、を受信するインターフェース回路と、
前記入力画像に基づく画像処理を行う画像処理回路と、
前記入力画像に基づく画像解析を行って前記バックライトの調光処理を行い、調光情報を出力する調光処理回路と、
第1フレームでの前記入力画像である第1入力画像と、前記第1フレームより後の第2フレームでの前記入力画像である第2入力画像と、の間の前記オブジェクトの前記位置ずれ特定情報に基づいて、前記第1フレームと前記第2フレームの間での前記オブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を前記調光情報に対して行う位置補正回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記画像処理回路は、
前記第1入力画像に対して前記画像処理を行った第1出力画像を生成し、前記第2入力画像に対して前記画像処理を行った第2出力画像を生成し、
前記位置補正回路は、
前記第1入力画像に基づく前記調光情報に対して、前記位置補正を行うことで補正調光情報を生成し、
前記第2出力画像が前記表示パネルに表示されるとき、前記補正調光情報に基づいて前記バックライトを発光させることを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載された回路装置において、
前記画像処理回路は、
前記位置補正後の前記調光情報である補正調光情報に基づいて、前記入力画像に対する色補正を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項1に記載された回路装置において、
前記インターフェース回路は、
外部装置から入力された垂直同期信号に同期して前記入力画像を受信し、前記入力画像の画像データの垂直ブランキング期間において前記位置ずれ特定情報を受信することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1に記載された回路装置において、
前記位置補正回路は、
前記入力画像に基づく前記調光情報が記憶される調光情報バッファーと、
前記調光情報バッファーの読み出しアドレスを制御するアドレス制御回路と、
を含み、
前記アドレス制御回路は、
前記位置ずれ特定情報に基づいて、位置補正後の前記オブジェクトの表示位置に対応するアドレス情報を前記調光情報バッファーに出力して、前記調光情報バッファーから補正調光情報を出力させることを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1に記載された回路装置において、
前記調光処理回路は、
前記第1入力画像に基づいて、前記表示パネルにおける前記第1入力画像の前記オブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる前記調光情報を生成し、
前記位置補正回路は、
前記位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけ前記輝度分布をシフトさせることで、前記表示パネルにおける前記第2入力画像の前記オブジェクトの表示位置に対応した前記輝度分布となる前記位置補正後の補正調光情報を生成することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記位置ずれ特定情報は、
前記第1入力画像における前記オブジェクトの位置と、前記第2入力画像における前記オブジェクトの位置との差に対応するシフト量であることを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記位置ずれ特定情報は、
前記入力画像における画素数で表された情報であることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記位置ずれ特定情報は、
センサーの検出情報に基づいて生成された情報であることを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項9に記載された回路装置において、
前記位置ずれ特定情報は、
前記表示装置が設置される移動体の加速度、角速度及び位置の少なくとも1つを検出する前記センサーの検出情報に基づいて生成された情報であることを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記位置補正回路は、
前記表示パネルの複数のエリアの第1エリアに対応する前記調光情報に対して前記位置補正を行い、前記複数のエリアの第2エリアに対応する第2調光情報に対しては、前記位置補正を行わない、又は前記位置補正とは異なる第2位置補正を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された回路装置と、
前記インターフェース回路を介して前記回路装置と通信接続される処理装置と、
を含み、
前記処理装置は、
センサーからの検出情報に基づいて前記位置ずれ特定情報を求め、前記位置ずれ特定情報に基づいて前記入力画像における前記オブジェクトの位置を特定し、前記入力画像と前記位置ずれ特定情報を前記回路装置に出力することを特徴とする表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び表示制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
HUD(Head-Up Display)等の表示装置を制御する表示制御装置の従来技術としては例えば特許文献1に開示される技術がある。特許文献1には、車両の姿勢変化に対応するように投影位置を変化させても、歪みの抑制された虚像を表示可能な表示制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-050328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像に表示されるオブジェクトの位置の変化に応じた表示装置のバックライト制御については提案されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、表示パネルとバックライトを含む表示装置を制御する回路装置であって、入力画像と、前記入力画像におけるオブジェクトの位置ずれ特定情報とを受信するインターフェース回路と、前記入力画像に基づく画像処理を行う画像処理回路と、前記入力画像に基づく画像解析を行って前記バックライトの調光処理を行い、調光情報を出力する調光処理回路と、第1フレームでの前記入力画像である第1入力画像と、前記第1フレームより後の第2フレームでの前記入力画像である第2入力画像との間の前記オブジェクトの前記位置ずれ特定情報に基づいて、前記第1フレームと前記第2フレームの間での前記オブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を前記調光情報に対して行う位置補正回路と、を含む回路装置に関係する。
【0006】
本開示の他の態様は、上記に記載された回路装置と、前記インターフェース回路を介して前記回路装置と通信接続される処理装置と、を含み、前記処理装置は、センサーからの検出情報に基づいて前記位置ずれ特定情報を求め、前記位置ずれ特定情報に基づいて前記入力画像における前記オブジェクトの位置を特定し、前記入力画像と前記位置ずれ特定情報を前記回路装置に出力する表示制御システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の回路装置、表示制御システムの構成例。
図2】本実施形態の回路装置、表示制御システムの詳細な構成例。
図3】バックライト、表示パネルの構成例。
図4】光源及び表示エリアの説明図。
図5】調光処理の処理例を説明するフローチャート。
図6】色補正の説明図。
図7】入力画像に基づき調光情報を求める調光処理の説明図。
図8】調光情報に基づく色補正の説明図。
図9】対象物に追従するようにオブジェクトを表示する処理の説明図。
図10】対象物に追従するようにオブジェクトを表示する処理の説明図。
図11】対象物の急激な位置変化に起因するバックライト制御の不具合の説明図。
図12】本実施形態の比較例の構成例。
図13】比較例における各処理のタイミングの説明図。
図14】本実施形態における各処理のタイミングの説明図。
図15】位置補正回路の構成例。
図16】位置補正回路の動作説明図。
図17】位置補正回路の動作説明図。
図18】位置ずれ特定情報の説明図。
図19】表示エリア毎の調光情報の位置補正処理の説明図。
図20】表示エリア毎の調光情報の位置補正処理の説明図。
図21】表示システムの一例であるヘッドアップディスプレイの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.回路装置、表示制御システム
図1に本実施形態の回路装置10及び回路装置10を含む表示制御システム5の構成例を示す。回路装置10は、インターフェース回路20、画像処理回路30、調光処理回路40、位置補正回路50を含む。表示制御システム5は、処理装置200と回路装置10を含む。表示制御システム5は表示装置100の表示制御を行うシステムであり、表示制御システム5と表示装置100とにより表示システムが構成される。
【0010】
表示装置100は画像データに基づいて画像の表示を行う。ヘッドアップディスプレイを例にとれば、表示装置100は、ユーザーの視界に虚像を表示するための装置である。また表示装置100は、ヘッドアップディプレイには限定されず、例えばHMDと呼ばれる頭部装着型表示装置などであってもよい。また表示装置100は、メーターパネルのディスプレイであるクラスターディスプレイなどの自動車用の他の表示装置であってもよいし、自動車用以外の用途の表示装置であってもよい。なお以下ではヘッドアップディプレイを、適宜、HUDと記載する。
【0011】
表示装置100は、表示パネル110とバックライト120を含む。表示パネル110は例えば電気光学パネルである。また表示装置100は、バックライト120の光源を駆動する不図示の光源ドライバーや、不図示の表示コントローラーや、表示パネル110を駆動する不図示の表示ドライバーを含んでもよい。
【0012】
処理装置200は、例えばSoC(System on Chip)であり、例えばマスターデバイスとも呼ばれる。処理装置200は、例えばマイクロコンピューター、CPU、又はMPU等により実現できる。例えば回路装置10は、インターフェース回路20を介して処理装置200と通信接続されている。そして処理装置200からの入力画像IMIがインターフェース回路20を介して回路装置10に入力される。
【0013】
回路装置10は、例えば半導体の基板に複数の回路素子が集積された集積回路装置である。表示装置100は、回路装置10からの出力画像IMQに基づいて画像の表示を行う。表示装置100がHUDである場合には、回路装置10はHUDコントローラーである。表示パネル110とバックライト120を含む表示装置100を制御する回路装置10は、インターフェース回路20と画像処理回路30と調光処理回路40と位置補正回路50を含む。
【0014】
インターフェース回路20は、処理装置200とのインターフェース処理を行う回路であり、例えばホストインターフェース回路である。インターフェース回路20は、入力画像IMIと、入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置ずれ特定情報PSとを受信する。例えばインターフェース回路20は、所定のインターフェース規格に準拠した通信処理を行うことで、入力画像IMIと位置ずれ特定情報PSを受信する。入力画像IMIは表示装置100の表示対象となる画像である。オブジェクトは入力画像IMIにおける表示物であり、マーカー、シンボルマーク又はアイコン等と呼ぶこともできる。位置ずれ特定情報PSは、入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置ずれを特定するための情報であり、位置ずれ情報そのものであってもよいし、各フレームにおける入力画像IMIでのオブジェクトの位置情報などであってもよい。例えば位置ずれ特定情報PSは、第1フレームでの入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置と、第2フレームでの入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置の差に対応する位置ずれ情報であってもよい。或いは位置ずれ特定情報PSは、第1フレームでの入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置の情報と、第2フレームでの入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置の情報であってもよい。この場合には回路装置10が、これらのオブジェクトの位置の情報から位置ずれ情報を求めることになる。
【0015】
画像処理回路30は、入力画像IMIに基づく画像処理を行う回路である。画像処理回路30は、入力画像IMIそのものに対して画像処理を行ってもよいし、入力画像IMIに対して歪み補正等の補正処理を行った後の画像に対して画像処理を行ってもよい。画像処理回路30が行う画像処理は、入力画像IMIに対応した画像を表示パネル110に適正に表示するための画像処理である。具体的には、バックライト120の調光制御が行われた場合にも、入力画像IMIをユーザーが適正に視認できるようにするための画像処理であり、例えば後述する色補正の画像処理である。画像処理回路30は、例えば光源制御回路60からの補正調光情報DMCに基づいて入力画像IMIに対して色補正等の画像処理を行い、画像処理後の出力画像IMQを表示装置100に出力する。これにより出力画像IMQが表示パネル110に表示されるようになる。
【0016】
調光処理回路40はバックライト120の調光制御のための調光処理を行う。例えば調光処理回路40は、入力画像IMIに基づく画像解析を行ってバックライト120の調光処理を行い、調光情報DMを出力する。調光処理回路40は、入力画像IMIそのものに対して画像解析を行ってもよいし、入力画像IMIに対して歪み補正等の補正処理を行った後の画像に対して画像解析を行ってもよい。例えば調光処理回路40は、入力画像IMIに基づく画像解析を行い、画像解析の結果に基づいて、バックライト120の光源の輝度分布情報である調光情報DMを求めて、位置補正回路50に出力する。
【0017】
位置補正回路50は、入力画像IMIのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を調光情報DMに対して行う。そして位置補正回路50は、位置補正後の調光情報DMである補正調光情報DMCを画像処理回路30等に出力する。バックライト120の調光制御は、この補正調光情報DMCに基づき行われる。例えば位置補正回路50は、第1フレームでの入力画像IMIである第1入力画像と、第1フレームより後の第2フレームでの入力画像IMIである第2入力画像との間のオブジェクトの位置ずれ特定情報PSに基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を調光情報DMに対して行う。第2フレームは、例えば第1フレームの次のフレームであるが、第1フレームから複数フレーム後のフレームであってもよい。このように位置補正回路50は、入力画像IMIにおけるフレーム間のオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を調光情報DMに対して行う。例えば調光情報DMに対する位置ずれ補正は、位置ずれ特定情報PSに基づくシフト量だけ、バックライト120における輝度分布をシフトさせる補正である。
【0018】
2.詳細な構成例
図2に本実施形態の回路装置10及び表示制御システム5の詳細な構成例を示す。なお回路装置10、表示制御システム5は、図2の構成例には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0019】
処理装置200は、インターフェース回路20を介して回路装置10と通信接続されている。処理装置200は、センサー250からの検出情報に基づいて位置ずれ特定情報PSを求める。そして処理装置200は、位置ずれ特定情報PSに基づいて入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置を特定し、入力画像IMIと位置ずれ特定情報PSを回路装置10に出力する。例えば処理装置200は位置ずれ演算部210と画像生成部220を含む。位置ずれ演算部210は、センサー250からの検出情報に基づいて位置ずれ特定情報PSを求める演算処理を行う。画像生成部220は、位置ずれ特定情報PSに基づいて位置が特定されたオブジェクトの画像を含む入力画像IMIを生成する。このように図2では、位置ずれ特定情報PSは、センサー250の検出情報に基づいて生成された情報となっている。センサー250は、例えば表示装置100が設置される車等の移動体の位置、加速度及び角速度の少なくとも1つを検出するセンサーである。位置ずれ特定情報PSは、このように移動体の位置、加速度及び角速度の少なくとも1つを検出するセンサー250の検出情報に基づいて生成された情報である。例えばセンサー250は、加速度センサーや、ジャイロセンサー等の角速度センサーである。例えばセンサー250は、慣性センセー又はモーションセンサーと言われるものであり、例えば6軸慣性センサー、6軸モーションセンサーなどである。
【0020】
表示装置100は、表示パネル110とバックライト120と光源ドライバー130を含む。例えばバックライト120には、複数の光源LSが設けられている。具体的にはバックライト120には、LED等により実現される複数の光源LSがアレイ配置されている。光源ドライバー130は、これらの複数の光源LSを駆動して発光させる。また表示装置100は、不図示の表示コントローラーや、表示パネル110を駆動する不図示の表示ドライバーを含んでもよい。表示ドライバーは、表示パネル110のデータ線を駆動するデータドライバーや、表示パネル110の走査線を駆動する走査ドライバーなどを含むことができる。
【0021】
図3は、バックライト120及び表示パネル110の構成例である。図3において、方向D1は表示パネル110の水平走査方向であり、方向D2は表示パネル110の垂直走査方向である。方向D3は、方向D1及びD2に直交する方向であり、表示パネル110を平面視する方向である。バックライト120は、表示パネル110の方向D3側に設けられており、表示パネル110への方向である方向D3の反対方向に向けて、照明光を出射する。
【0022】
バックライト120は複数の光源LSを含む。図3には、8×5個の光源LSが2次元アレイ状に配置された例を図示している。即ち、方向D1に沿って8個の光源LSが並び、方向D2に沿って5個の光源LSが並ぶ。なお適切なローカルディミングのためには例えば100個以上の光源LSをバックライト120に設けることが望ましい。光源LSは、例えばLED(Light Emitting Diode)である。なお光源LSはLEDに限定されず、独立に光量が制御され且つ点光源に近い光源であればよい。点光源に近い光源とは、光源LSの発光部の大きさが、その光源LSに対応したエリアARよりも十分に小さい光源ということである。また光源LSの配置としては、正方配置、六方配置などの種々の配置形態が考えられる。
【0023】
表示パネル110は画素アレイを有し、その画素アレイにおいて表示画像が表示されるエリアを表示エリアとする。表示エリアは複数のエリアARに分割される。各エリアARには各光源LSが対応して配置される。即ち、1つのエリアARに1つの光源LSが対応している。例えば表示パネル110を平面視したとき、エリアARの中心に光源LSが配置される。但し、光源LSの配置位置はこれに限定されない。図3では、8×5個の光源LSに対応して、表示エリアが8×5個のエリアARに分割される。なお、エリアARは回路装置10における処理に用いられるものであり、表示パネル110に実際に表示される表示画像においてエリアARの境界があるわけではない。表示パネル110は、表示画像に応じて各画素の透過率が制御され、その各画素がバックライト120の照明光を透過することによって表示画像を表示するようなパネルである。表示パネル110は例えば液晶表示パネルである。
【0024】
このように、表示パネル110の表示エリアを、各エリアARに各光源LSが配置されるような複数のエリアに分割したときに、表示パネル110を照明する光源LSは、光源LSから離れるほど光強度が小さくなるような光強度分布を有する。このため、エリアARの中央よりも周辺部において光強度が小さくなる。この光源LSの光強度分布をPSFと呼ぶ。図4にPSFの光強度分布の例を示す。図4では光強度分布をグラデーションで示しており、白いほど光強度分布の係数が大きい。図4では、PSFのサイズは3×3個のエリアAR1~AR9に対応しており、PSFの中心が光源の位置に配置されている。
【0025】
なおバックライト120としては、直下型、エッジ型などの種々の方式の構成を採用できる。また液晶パネルを用いてローカルディミング等の調光制御を行うデュアルLCDを採用してもよい。また光源LSはレーザーダイオードやハロゲン電球などの発光デバイスにより構成されていてもよい。
【0026】
処理装置200からの入力画像IMIと位置ずれ特定情報PSはインターフェース回路20を介して回路装置10に入力される。調光処理回路40は、入力画像IMIに基づいて光源の調光処理を行う。具体的には調光処理回路40は、複数の光源を有するバックライト120の調光処理を行い、例えばローカルディミングと呼ばれる調光制御を実現する。例えば調光処理回路40が入力画像IMIに基づいて調光量の情報を求める演算処理を行う。ここでの調光量の情報は、調光制御により光源を光らせる輝度を指定するための情報である。
【0027】
位置補正回路50は、調光処理回路40により求められた調光量の情報である調光情報DMに対して、入力画像IMIのフレーム間でのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を行う。そして位置補正回路50は、調光情報DMに対して位置補正を行うことで、補正調光情報DMCを生成して出力する。位置補正回路50の詳細については後述する。
【0028】
光源制御回路60は、位置補正回路50からの補正調光情報DMCに基づいて、表示装置100の光源ドライバー130の制御処理や指示処理を行う。そしてLEDドライバーである光源ドライバー130が、バックライト120の光源LSを補正調光情報DMCの調光量の情報に基づき駆動することで、バックライト120の調光制御が実現される。例えば表示パネル110の表示エリアを分割した複数のエリアの各エリア毎の調光制御が行われるローカルディミングが実現される。
【0029】
例えば調光処理回路40は、輝度解析部42と調光量演算部43を含む。輝度解析部42は、入力画像IMIについての輝度解析を行う。そして調光量演算部43は、輝度解析の結果に基づいて各光源の調光量を演算する。具体的には輝度解析部42は、入力画像IMIに基づいて、表示エリアの複数のエリアの各エリア毎に、各エリアにおいて輝度が最大輝度となる画素をサーチする。そして、サーチされた最大輝度の色を表示できるように、光源の輝度分布を決定する。そして調光量演算部43は、決定された光源の輝度分布と、光源の拡散係数情報とに基づいて、各画素毎に輝度を再計算する演算処理を行って、画素毎のバックライト120の輝度値に対応する調光量を演算する。拡散係数情報は、例えば後述の図21の拡散板115の拡散係数パラメーターの情報である。また調光量演算部43からの調光量の情報が、光源制御回路60を介して光源ドライバー130に送られ、光源ドライバー130が、複数のエリアの各エリアの光源を、調光量に応じて発光させる駆動を行うことで、ローカルディミングが実現される。具体的には光源制御回路60からの補正調光情報DMCが、光源制御回路60を介して光源ドライバー130に送られる。例えば光源制御回路60は、調光情報メモリー62を有しており、補正調光情報DMCはこの調光情報メモリー62に一時的に記憶される。
【0030】
なお光源制御回路60と光源ドライバー130との間に、光源ドライバー130の機種に依存した通信プロトコルの違い吸収するためのMCU等の処理装置を設けてもよい。この場合には、このMCU等の処理装置を経由して、光源制御回路60により光源ドライバー130が制御されることになる。また光源ドライバー130は、複数の光源ドライバーICにより実現されてもよい。この場合には複数の光源ドライバーICの各光源ドライバーICが、複数の光源の各光源群を駆動することになる。
【0031】
画像処理回路30は色補正回路32を含む。色補正回路32は入力画像IMIに対して色補正を行い、色補正後の画像を出力画像IMQとして表示装置100に出力する。色補正は、例えば入力画像IMIの色調整処理であり、色のレベルを調整する補正処理である。色補正は画像の輝度補正又は階調補正と言うこともできる。例えば色補正回路32は、ローカルディミングなどの調光制御でバックライト120の輝度が強いエリアと輝度が弱いエリアの輝度差を縮小するように、画像の色の階調を調整する。
【0032】
例えば表示装置100での出力画像IMQの表示の際に調光制御が行われる場合に、色補正回路32は、この調光制御における調光量に応じた色補正を入力画像IMIに対して行う。調光制御はバックライト120である光源装置の光量を調整する制御である。調光制御は、バックライト120の明るさを複数のエリアの各エリア毎に制御するローカルディミングの調光制御や、表示画面全体の明るさをグローバルに制御する調光制御である。そして調光制御においては、光源装置の低消費電力化や、黒色の画素をより黒く見せるために、光源装置の光源の光量を減少させる制御が行われる。この場合に色補正回路32は、光源の光量を減少させた分だけ、表示装置100の表示画面において、光源に対応する画素の輝度を上昇させる色補正を行う。例えば色補正回路32は、表示装置100の表示画像が、入力画像IMIと同じ明るさ、色合いの画像になるように、各画素値に対する色補正を行って、色補正後の画像を出力画像IMQとして表示装置100に出力する。なお色補正回路32が行う色補正は、このような調光制御を補償するための色補正には限定されず、表示装置100の表示画像の色合い等を調整するための色補正であってもよい。
【0033】
また本実施形態の回路装置10は不図示の歪み補正回路を含んでもよい。歪み補正回路は、処理装置200からの入力画像IMIの歪み補正を行って、歪み補正後の入力画像IMIを出力する。そして調光処理回路40は、歪み補正後の入力画像IMIに基づいて調光処理を行い、画像処理回路30は、歪み補正後の入力画像IMIに基づいて色補正等の画像処理を行う。具体的には、歪み補正回路は、歪み補正回路の入力画像データにおける画素座標と、歪み補正回路の出力画像データにおける画素座標との間の座標変換を用いて、入力画像データに対して歪み補正を行い、その結果を、出力画像データとして出力する。歪み補正とは、表示パネル110に表示された画像が投影されるときの画像歪みと逆の画像歪みを画像に施すことであり、歪みが無い又は低減されたHUD表示にするための画像補正である。投影による画像歪みは、HUDにおけるスクリーンの曲面による画像歪み、HUD光学系による画像歪み、又はそれら両方を含む。例えばHUDは、透明スクリーンに画像を投影することで、又は透明表示パネルに画像を表示させることで、画像をユーザーに提示する。このとき、透明スクリーン又は透明表示パネルの湾曲等に合わせて画像を変形させることで、ユーザーには歪みの無い画像として見える。歪み補正回路は、このような画像の変形処理を、歪み補正として行う。例えば歪み補正回路は、リバースマッピング又はフォワードマッピングの処理を行う。リバースマッピングは、リバースワープとも呼ばれ、出力画像データにおける画素座標を、それに対応した参照座標に座標変換し、その参照座標における入力画像データの画素データから出力画像データの画素データを求めるマッピング処理である。フォワードマッピングは、フォワードワープとも呼ばれ、入力画像データにおける画素座標を、それに対応した移動先座標に座標変換し、画素座標における入力画像データの画素データから、移動先座標における出力画像データの画素データを求めるマッピング処理である。リバースマッピング及びフォワードマッピングにおける座標変換は、マップデータとも呼ばれるマッピングパラメーターにより定義される。マッピングパラメーターは、入力画像上の座標と、出力画像上の座標を対応付けたテーブル、入力画像上の座標と出力画像上の座標との間の移動量を示すテーブル、又は入力画像上の座標と出力画像上の座標を対応付ける多項式の係数等である。
【0034】
なお歪み補正回路を設ける場合には、位置補正回路50は、歪み補正を反映させた、オブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行えばよい。例えば位置補正回路50は、位置補正の際に、歪み補正回路で用いられるマップデータによる座標変換を行う。また回路装置10に歪み補正回路を設けずに、処理装置200が歪み補正を行い、歪み補正後の入力画像IMIを回路装置10に出力するようにしてもよい。
【0035】
次に本実施形態の調光処理の具体的例について説明する。図5は画素毎の輝度計算の処理例を説明するフローチャートである。まず、各光源のエリア毎に、輝度が最大輝度である画素をサーチする(ステップS1)。例えば図3図4で説明した、各光源に対応する各エリアにおいて、入力画像IMIに基づいて、そのエリアに存在する画素の輝度を探索し、そのエリアにおいて輝度が最大輝度となる画素を見つける。そして、その最大輝度の画素の色を表示できるように、各光源毎の輝度分布を決定する(ステップS2)。例えば輝度範囲が0~100であり、対象となるエリアにおいて、最大輝度の画素の輝度が50であったとする。この場合には、最大輝度である50の輝度の画素が、例えば輝度範囲の上限である100の輝度の色で表示できるように、光源の輝度分布を決定する。最大輝度の画素の輝度が、輝度範囲の上限の輝度であれば、それ以外の画素の輝度が、輝度範囲である0~100内に入ることが保証されるようになる。そして表示パネル110の画素毎に、拡散係数情報に基づいて輝度を再計算する(ステップS3)。これにより画素毎のバックライト120の輝度の値が求まる。
【0036】
例えば後述の図21に示すように、表示装置100には光源からの光を拡散して一様な輝度分布にするための拡散板115が、例えばバックライト120と表示パネル110の間に設けられている。拡散板115は拡散シートとも呼ばれる。例えば図4に示すように光源の光強度分布PSFは光源から離れるほど光強度が小さくなる強度分布になっているが、拡散板115を設けて光源からの光を拡散することで、輝度ムラを低減でき、均一な面光源の実現が可能になる。ここで光拡散の方式としては直下型、サイドライト方式、エッジライト方式などがある。そして図5のステップS3では、図4の光源の光強度分布PSFに加えて、拡散板115による光源からの光の拡散も反映させて、表示パネル110の画素毎の輝度を再計算して、画素毎のバックライト120の輝度の値が求められている。一例としては、対象となる画素について、その画素の周囲の例えば4×4個のLEDの光源からの光の強度を、図4の光強度分布PSFと拡散板115の拡散係数情報とに基づいて求めることで、輝度を再計算して、画素毎のバックライト120の輝度の値を求める。このようにすることで、複数の光源を有するバックライト120と拡散板115を有する表示装置100において、画素毎のバックライト120の輝度の値を適正に求めることが可能になる。
【0037】
図6は色補正の処理例の説明図である。まず図5で説明したように対象画素のバックライト120の輝度Bを求める。また回路装置10の不図示の記憶回路に、輝度-係数のテーブルを記憶しておき、このテーブルを用いて、バックライト120の輝度Bから係数Kを計算する。図6の輝度-係数のテーブルは、輝度Bが低くなるほど係数Kが大きくなるようなテーブルになっている。なおこのような輝度-係数のテーブルを用いるのではなく、所定の計算式に基づいて輝度Bから係数Kを求めてもよい。また図6の輝度-係数のテーブルは1次の特性になっているが、これには限定されず、光の明るさに対する人間の目の特性に応じた適切な特性にすればよい。また輝度-係数のテーブルの2つの出力値を、1次補間やスプライン補間などで補間して係数Kを求めてもよい。そして、このようにして求められた係数Kと、対象画素の色Cのレベルとの乗算処理を行って、表示装置100に出力する色のレベルを求める。即ちバックライト120の輝度Bが低い画素に対して、画像データの色のレベルを上昇させる処理が行われる。このようにすることで色補正回路32は、入力画像IMIから出力画像IMQを求めて表示装置100に出力できるようになる。図6の輝度-係数のテーブルでは、バックライト120の輝度Bが低くなるほど係数Kが大きくなるため、対象画素についてのバックライト120の輝度が低くなるほど、対象画素の色のレベルが高くなり、調光制御を実現できるようになる。
【0038】
図7は入力画像IMIに基づき調光情報を求める調光処理の説明図である。入力画像IMIは画素単位で値が設定される。調光情報はエリア単位で値が設定される。例えばエリアAR1、AR2、AR3、AR4の輝度は、入力画像IMIにおける対応する例えば3×3の画素の値に基づき求められる。例えばAR1~AR4の各エリアに対応して複数の光源の各光源が設けられる。エリアの輝度は、赤、緑、青などの色の識別は無く、明るさ成分を取り出す。またエリアを代表する輝度の求め方としては、エリア内の画素の輝度の最大値を取る場合や、平均値を取る場合が考えられるが、図7の例は、画素の輝度の最大値を取る場合を示している。
【0039】
例えば輝度範囲を0~100とした場合に、図7のC1に示す画素は、輝度が50であり、エリアAR1に対応する3×3の画素のうちの最大輝度の画素であったとする。この場合に、この最大輝度のC1の画素の色を表示できるように、エリアAR1の輝度が決定され、決定された輝度に応じた色補正が行われる。例えば調光処理回路40によりエリアAR1の輝度(係数)が0.5に決定され、色補正回路32により、C1の画素の輝度=50が、0~100の輝度範囲の最大値である100に色補正される。これにより出力画像IMQでは、C1の画素の輝度が100に色補正され、バックライト120の調光により、ユーザーの目に見えるC1の画素の輝度は、入力画像IMIにおけるC1の画素と同じ輝度である100×0.5=50になる。
【0040】
また図7のC2に示す画素は、輝度が90であり、エリアAR2に対応する3×3の画素のうちの最大輝度の画素であったとする。この場合に、この最大輝度のC2の画素の色を表示できるように、エリアAR2の輝度が決定され、決定された輝度に応じた色補正が行われる。例えば調光処理回路40によりエリアAR2の輝度(係数)が0.9に決定され、色補正回路32により、C2の画素の輝度=90が、0~100の輝度範囲の最大値である100に色補正される。これにより出力画像IMQでは、C2の画素の輝度が100に色補正され、バックライト120の調光により、ユーザーの目に見えるC2の画素の輝度は、入力画像IMIにおけるC2の画素と同じ輝度である100×0.9=90になる。
【0041】
同様にエリアAR3に対応する3×3の画素のうちの最大輝度の画素の輝度が5であったとすると、エリアAR3の輝度が0.05に決定され、輝度が5である画素の輝度は100に色補正される。これによりユーザーの目には100×0.05=5の輝度の画素に見えるようになる。そしてエリアAR3での光源の輝度が0.05に設定されることで、省電力化を図れると共に、黒色の画素をより黒く見せることが可能になる。
【0042】
図8に示すように本実施形態では、入力画像IMIと調光情報DMとに基づいて、出力画像IMQが生成される。入力画像IMIは、画素単位の色情報を持つ1枚の画像のデータである。調光情報DMは、バックライト情報であり、バックライト120により照らされるエリア単位での輝度情報を持つデータであり、バックライト120の輝度分布情報である。出力画像IMQは、画素単位の色情報を持つ1枚の画像のデータである。図8における1マスは、バックライト120のエリアを示している。
【0043】
画像処理回路30は、入力画像IMIに対してバックライト120が照らしている範囲を求め、図8のA1に示すように、バックライト120が照らしている範囲、即ちバックライト120の輝度が強い範囲の色を暗くする。これにより、バックライト120と画像とが重なった際に適切な輝度を実現できる。一方、A2、A3に示すように、入力画像IMIに対してバックライト120が照らしていない範囲、即ちバックライト120の輝度が弱い範囲の色は維持される。これにより、バックライト120の光が無くても、ある程度の輝度が確保される。この2つの処理により、バックライト120が照らしている範囲と照らしていない範囲の輝度差を縮小させることができる。
【0044】
3.位置補正
次に本実施形態の位置補正について詳細に説明する。自動車用のHUDの表示システムなどでは、図9に示すように、前の車などの対象物TMVに追従するようにオブジェクトOBの画像を表示する機能が設けられている。このようなHUDは、AR-HUD(Augmented Reality Head-Up Display)とも呼ばれる。この場合に、対象物TMVの位置が急激に変化すると、図10に示すように、対象物TMVの位置とオブジェクトOBの位置がずれるという現象が発生する。このような対象物TMVの位置の急激な変化は、ユーザーが運転する車が、道路の段差等に乗り上げることで車体が振動したり傾いたりすることなどにより発生する。
【0045】
この現象を改善するために、センサー等を用いて車の振動や姿勢変化などを検出し、システムが、検出結果に基づいて位置ずれ情報を取得して、投影するオブジェクトOBの表示位置を補正する位置補正を行う。このようにすることで図9に示すように、車や道などの対象物TMVに、オブジェクトOBの画像を追従させることができる。この場合に、例えば前方をカメラ等で撮影し、撮影によって取得された画像を解析して、位置ずれ情報を取得し、その位置ずれ情報を用いて画像を補正し、出力するシステムも考えられる。
【0046】
一方、バックライト120を有する表示装置100では、図3図8で説明したようなローカルディミング等の調光処理が行われる。そして、対象物TMVが急激に移動したときに、オブジェクトOBについては対象物TMVに追従させることはできる。しかしながら、例えばバックライト120の調光情報の更新が1フレーム遅れてしまうことにより、バックライト120が照らしている位置が対象物TMVに対してずれてしまう問題が発生することが判明した。例えば図11のB1では、対象物TMVに対応する位置に、対象物TMVのマーカーであるオブジェクトOBが表示され、このオブジェクトOBに対応するローカルディミングによる調光制御が行われている。このときに対象物TMVの位置の急激な変化があると、オブジェクトOBの画像は対象物TMVに追従するが、バックライト120が照らす範囲は追従できず、B2に示すにように、オブジェクトOBの非表示領域にバックライト120の白い光の残像が残ってしまう。またオブジェクトOBに対する適正な調光処理が行われないため、B3に示すようにオブジェクトOBの画像がB1に比べて暗くなってしまう。
【0047】
図12に本実施形態の比較例の構成例を示す。図12では図1図2の位置補正回路50が設けられていない。例えば光源制御回路60は、1画面分のバックライト120の調光情報を調光情報メモリー62に保持し、画像同期信号によって指示されたタイミングで、画像処理回路30及び光源ドライバー130に対して、輝度情報である調光情報DMを出力する。例えば光源制御回路60には、調光処理回路40が出力する調光情報DMと、画像処理回路30が出力する画像同期信号が入力される。そして光源制御回路60は、入力された調光情報DMを調光情報メモリー62に貯め込み、画像同期信号をトリガーとして調光情報メモリー62内の調光情報DMを出力する。
【0048】
図13は、図12の比較例における各処理のタイミングの説明図である。VSYI、VSYQは画像同期信号である。具体的には、VSYIは、処理装置200から回路装置10に入力される垂直同期信号であり、VSYQは、回路装置10が表示装置100に出力する垂直同期信号である。図13では、処理装置200からの垂直同期信号VSYIに同期して、第1フレームでは第1入力画像IMI1が、次の第2フレームでは第2入力画像IMI2が、次の第3フレームでは第3入力画像IMI3が、回路装置10に入力される。そして回路装置10の調光処理回路40は、第1入力画像IMI1に基づいて第1フレームでの調光情報DM1を求め、第2入力画像IMI2に基づいて第2フレームでの調光情報DM2を求め、第3入力画像IMI3に基づいて第3フレームでの調光情報DM3を求める。求められた調光情報DM1、DM2、DM3は調光情報メモリー62に貯め込まれる。また画像処理回路30は、第1入力画像IMI1に対して画像処理PRC1を行って、第1出力画像IMQ1を生成し、第2入力画像IMI2に対して画像処理PRC2を行って、第2出力画像IMQ2を生成し、第3入力画像IMI3に対して画像処理PRC3を行って、第3出力画像IMQ3を生成する。このとき第1出力画像IMQ1は第1フレームにおいて垂直同期信号VSYQに同期して出力され、第2出力画像IMQ2は第2フレームにおいて垂直同期信号VSYQに同期して出力され、第3出力画像IMQ3は第3フレームにおいて垂直同期信号VSYQに同期して出力されることになる。
【0049】
そして比較例では図13に示すように、第2フレームの第2出力画像IMQ2が表示装置100に出力されて表示される際には、第2フレームの前の第1フレームの第1入力画像IMI1に基づき求められた調光情報DM1によりバックライト120の調光制御が行われる。また第3フレームの第3出力画像IMQ3が表示装置100に出力されて表示される際には、第3フレームの前の第2フレームの第2入力画像IMI2に基づき求められた調光情報DM2によりバックライト120の調光制御が行われる。
【0050】
即ち入力画像IMIが回路装置10に入力されて出力画像IMQとして出力されるまでの時間は、画像処理回路30で発生する遅延時間と略同一である。画像処理回路30では、大きなバッファーを必要とする処理は無く、画像処理回路30の遅延時間は画像1枚が送られる時間に対して十分に小さい。一方、バックライト120の調光情報DMが出力されるまでの時間は、画像1枚が送られる時間よりも長くなる。図13に示すように、第1入力画像IMI1が入力された場合、第1入力画像IMI1から生成される調光情報DM1は、第2出力画像IMQ2の出力タイミングで出力される。このように画像と調光情報が画像1枚分の時間だけずれてしまう理由は、光源制御回路60において画像1枚分の調光情報DMを調光情報メモリー62に蓄えるために、画像1枚分のデータ及び画像1枚を送るための時間が掛かるためである。そして調光情報メモリー62に蓄えられた調光情報DMは、次の垂直同期信号VSYQに合わせて出力されるため、出力画像IMQに対して調光情報DMが1フレーム分だけ遅れてしまう。このように比較例では、表示装置100の画像表示の際に、1フレーム前の調光情報によりバックライト120の調光制御が行われてしまうという問題がある。
【0051】
図14は、本実施形態における各処理のタイミングの説明図である。本実施形態では、図12図13の比較例に対して、位置補正回路50と、位置ずれ特定情報PSの入力が追加されており、バックライト120の調光情報DMに対して位置補正が掛かっている。位置ずれ特定情報PSは、画像生成元である処理装置200から入力される情報であり、処理装置200がIMI1、IMI2、IMI3の入力画像を生成するために必要な情報が位置ずれ特定情報PS1、PS2、PS3である。処理装置200は、図9図10に示すような急激な画像変更を行う際に、外部のセンサー250の検出情報に基づき取得した位置ずれ特定情報PSを用いる必要がある。そのため、位置ずれ特定情報PSは、処理装置200において対応する入力画像IMIが生成される前に存在する。従って処理装置200は、回路装置10に対して、入力画像IMIの出力よりも前に、位置ずれ特定情報PSを出力することができる。このため図14では、IMI1、IMI2、IMI3の入力画像の入力の前に、位置ずれ特定情報PS1、PS2、PS3が入力されている。例えば位置ずれ特定情報PS1、PS2、PS3は、処理装置200からの垂直同期信号VSYIに同期して入力される。具体的には垂直同期信号VSYIのアクティブタイミングを起点とする垂直ブランキング期間TVBにおいて、位置ずれ特定情報PS1、PS2、PS3が回路装置10に入力される。
【0052】
そして図14に示すように調光処理回路40は、IMI1、IMI2、IMI3の入力画像に基づく調光処理を行って、調光情報DM1、DM2、DM3を求める。また画像処理回路30は、IMI1、IMI2、IMI3の入力画像に基づいて、画像処理PRC1、PRC2、PRC3を行って、IMQ1、IMQ2、IMQ3の出力画像を生成する。調光情報DM1、DM2、DM3を求める調光処理と、画像処理PRC1、PRC2、PRC3のタイミングは、図13の比較例と同様である。
【0053】
そして本実施形態では、比較例には存在しなかった位置補正回路50が設けられており、位置補正回路50が、位置ずれ特定情報PS1、PS2、PS3に基づいて位置補正PC1、PC2、PC3を行う。具体的には位置補正回路50は、第1フレームでは、第1フレームの前のフレームでの調光情報DM0に対して、位置ずれ特定情報PS1に基づく位置補正PC1を行い、位置補正PC1により求められた補正調光情報DMC1=DM0+PC1が、調光情報メモリー62に書き込まれる。そして第1出力画像IMQ1の出力の際には、この補正調光情報DMC1=DM0+PC1が出力されて、この補正調光情報DMC1に基づいてバックライト120の調光制御が行われるようになる。同様に位置補正回路50は、第2フレームでは、第2フレームの前の第1フレームでの調光情報DM1に対して、位置ずれ特定情報PS2に基づく位置補正PC2を行い、位置補正PC2により求められた補正調光情報DMC2=DM1+PC2が、調光情報メモリー62に書き込まれる。そして第2出力画像IMQ2の出力の際には、この補正調光情報DMC2=DM1+PC2が出力されて、この補正調光情報DMC2に基づいてバックライト120の調光制御が行われるようになる。また位置補正回路50は、第3フレームでは、第3フレームの前の第2フレームでの調光情報DM2に対して、位置ずれ特定情報PS3に基づく位置補正PC3を行い、位置補正PC3により求められた補正調光情報DMC3=DM2+PC3が、調光情報メモリー62に書き込まれる。そして第3出力画像IMQ3の出力の際には、この補正調光情報DMC3=DM2+PC3が出力されて、この補正調光情報DMC3に基づいてバックライト120の調光制御が行われるようになる。
【0054】
図13の比較例では、IMQ1、IMQ2、IMQ3の出力画像の表示の際に、前のフレームでの調光情報DM0、DM1、DM2に基づいて、バックライト120の調光制御が行われていた。これに対して図14の本実施形態では、IMQ1、IMQ2、IMQ3の出力画像の表示の際に、位置補正が行われた補正調光情報DMC1=DM0+PC1、DMC2=DM1+PC2、DMC3=DM2+PC3に基づいて、バックライト120の調光制御が行われるようになる。例えば第1出力画像IMQ1の表示の際には、1フレーム前の調光情報DM0ではなく、調光情報DM0に対して、位置ずれ特定情報PS1に基づき位置補正PC1が行われた補正調光情報DMC1=DM0+PC1に基づいて調光制御が行われるようになる。従って、1フレーム前の調光情報DM0により調光制御されることが原因で図11にて説明したような不具合が発生するというような事態を防止でき、位置補正した補正調光情報DMC1により、バックライト120の適正な調光制御を実現できるようになる。
【0055】
以上のように本実施形態の回路装置10は、インターフェース回路20と画像処理回路30と調光処理回路40と位置補正回路50を含む。インターフェース回路20は、入力画像IMIと、入力画像IMIにおけるオブジェクトの位置ずれ特定情報PSとを受信する。画像処理回路30は、入力画像IMIに基づく画像処理を行う。例えば色補正回路32が入力画像IMIに基づく画像処理として色補正を行う。調光処理回路40は、入力画像IMIに基づく画像解析を行ってバックライト120の調光処理を行い、調光情報DMを出力する。そして位置補正回路50は、第1フレームでの入力画像IMIである第1入力画像IMI1と第2フレームでの入力画像IMIである第2入力画像IMI2との間のオブジェクトの位置ずれ特定情報PSに基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正するための位置補正を、調光情報に対して行う。例えば図14に示すように、位置補正回路50は、第1入力画像IMI1と第2入力画像IMI2との間のオブジェクトの位置ずれ特定情報PS2に基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正するための位置補正PC2を、調光情報DM1に対して行って、位置補正が行われた補正調光情報DMC2=DM1+PC2を出力する。そしてこの補正調光情報DMC2に基づいてバックライト120の調光制御が行われる。このようにすれば、位置補正が行われた適正な補正調光情報に基づいて、バックライト120の調光制御が行われるようになる。従って、調光情報の生成が例えば1フレーム遅れてしまう場合等においても、出力画像に応じた適正な補正調光情報により調光制御を行えるようになり、バックライト120の適正な調光制御を実現することが可能になる。
【0056】
また本実施形態の表示制御システム5は、回路装置10と、インターフェース回路20を介して回路装置10と通信接続される処理装置200を含む。そして処理装置200は、センサー250からの検出情報に基づいて位置ずれ特定情報PSを求める。また処理装置200は、位置ずれ特定情報PSに基づいて入力画像IMIにおけるオブジェクトOBの位置を特定し、入力画像IMIと位置ずれ特定情報PSを回路装置10に出力する。このようにすれば、例えば画像生成元である処理装置200は、センサー250からの検出情報に基づいて、オブジェクトの位置ずれ特定情報PSを求めることが可能になる。そして回路装置10は、処理装置200がセンサー250からの検出情報に基づき求めた位置ずれ特定情報PSを有効活用して、バックライト120の調光情報の位置補正を実行できるようになる。
【0057】
また本実施形態では画像処理回路30は、図14に示すように、第1入力画像IMI1に対して画像処理PRC1を行った第1出力画像IMQ1を生成し、第2入力画像IMI2に対して画像処理PRC2を行った第2出力画像IMQ2を生成する。例えば第1フレームにおいては、第1出力画像IMQ1が表示装置100に出力され、第2フレームにおいては、第2出力画像IMQ2が表示装置100に出力される。また位置補正回路50は、第1入力画像IMI1に基づく調光情報DM1に対して、位置補正PC2を行うことで補正調光情報DMC2=DM1+PC2を生成する。そして第2出力画像IMQ2が表示パネル110に表示されるとき、補正調光情報DMC2=DM1+PC2に基づいてバックライト120を発光させる。即ち第2出力画像IMQ2が表示装置100に出力されるときに、補正調光情報DMC2=DM1+PC2が表示装置100の光源ドライバー130に出力されて、補正調光情報DMC2に基づいてバックライト120の調光制御が行われる。同様に第3出力画像IMQ3が表示パネル110に表示されるとき、補正調光情報DMC3=DM2+PC3に基づいてバックライト120を発光させる。即ち第3出力画像IMQ3が表示装置100に出力されるときに、補正調光情報DMC3=DM2+PC3が光源ドライバー130に出力されて、補正調光情報DMC3に基づいてバックライト120の調光制御が行われる。このようにすれば、各フレームにおいて表示パネル110に表示される出力画像に応じた適正な調光補正情報に基づいて、バックライト120の調光制御を行えるようになる。これより、バックライト120の調光制御が遅れて、オブジェクトが適正な色等の画像で表示されなかったり、残像が残るなどの図11で説明した不具合の発生を抑制できるようになる。なお本実施形態では図11のB3に示すオブジェクトOBの色についての不具合とB2に示すバックライト120の光の残像についての不具合の少なくとも一方を改善できればよい。
【0058】
また図2に示すように画像処理回路30は、位置補正後の調光情報DMである補正調光情報DMCに基づいて、入力画像IMIに対する色補正を行う。例えば画像処理回路30の色補正回路32が、図6等で説明した色補正を行う。例えば画像処理回路30は、調光制御でバックライト120の輝度が強いエリアと輝度が弱いエリアの輝度差を縮小するように、画像の色の階調を調整する色補正を行う。このようにすれば、位置補正前の調光情報DMに基づき色補正を行う場合に比べて、より適正な補正調光情報DMCに基づいて、入力画像IMIに対する色補正を行えるようになる。例えば位置補正前の調光情報DMに基づき色補正を行うと、1フレームだけ遅れた調光情報DMに基づき色補正が行われてしまい、適正な色補正を実現できない問題が発生する。例えば図11のB3に示すようにオブジェクトOBの色を適正に表示できないなどの問題が発生するが、補正調光情報DMCに基づき入力画像IMIの色補正を行うことで、このような問題を改善できる。
【0059】
また本実施形態では図14に示すように、インターフェース回路20は、外部装置から入力された垂直同期信号VSYIに同期して入力画像IMIを受信し、入力画像IMIの画像データの垂直ブランキング期間TVBにおいて、位置ずれ特定情報PSを受信する。外部装置は例えばSoC等の処理装置200である。外部装置である処理装置200は、垂直同期信号VSYIに同期して入力画像IMIを回路装置10に送信し、回路装置10は、垂直同期信号VSYIに同期して入力画像IMIを受信する。例えば垂直同期信号VSYIがアクティブになってから、入力画像IMIの画像データが入力されるまでの垂直ブランキング期間TVBにおいて、回路装置10のインターフェース回路20は、処理装置200から位置ずれ特定情報PSを受信する。例えば処理装置200は垂直同期信号VSYIをアクティブにした後に位置ずれ特定情報PSを送信し、インターフェース回路20は、垂直同期信号VSYIがアクティブになったことをトリガーとして、位置ずれ特定情報PSを受信する。このようにすれば位置補正回路50は、垂直ブランキング期間TVBにおいて受信した位置ずれ特定情報PSに基づいて、調光処理回路40からの調光情報DMに対して位置補正を行って、補正調光情報DMCを生成できるようになる。垂直ブランキング期間TVBにおいて位置ずれ特定情報PSを受信することで、位置補正回路50は、例えば入力画像IMIの画像データの入力タイミングよりも前のタイミングから位置補正を実行できるようになり、処理の効率化を図れる。
【0060】
4.位置補正の具体例
次に位置補正の具体例について詳細に説明する。図15に位置補正回路50の構成例を示す。なお図15の構成は一例であり、位置補正回路50はこの構成に限定されず、種々の変形実施が可能である。図15に示すように位置補正回路50は調光情報バッファー52とアドレス制御回路54を含む。調光情報バッファー52には、入力画像IMIに基づく調光情報DMが記憶される。調光情報バッファー52は例えばRAMなどの記憶回路により実現できる。調光情報バッファー52はバックライト情報を記憶するバックライトバッファーと呼ぶこともできる。調光情報DMは、入力画像IMIに基づくものであればよく、入力画像IMIに対して歪み補正等の処理を行った画像に基づき求められた調光情報であってもよい。アドレス制御回路54は、調光情報バッファー52の読み出しアドレスを制御する。調光情報バッファー52からは、アドレス制御回路54からのアドレス情報ADにより指示される読み出しアドレスから情報が読み出される。具体的にはアドレス制御回路54は、位置ずれ特定情報PSに基づいて、位置補正後のオブジェクトOBの表示位置に対応するアドレス情報ADを調光情報バッファー52に出力して、調光情報バッファー52から補正調光情報DMCを出力させる。例えば第1フレームにおいてオブジェクトOBが第1表示位置に表示され、第2フレームおいてオブジェクトOBが第2表示位置に表示されたとする。位置ずれ特定情報PSにより、第1表示位置から第2表示位置へのシフト量である位置ずれを特定できる。そしてアドレス制御回路54は、オブジェクトOBが第1表示位置に表示されるときのバックライト120の輝度分布が、オブジェクトOBが第2表示位置に表示されるときの輝度分布になるように、位置ずれ特定情報PSに基づきアドレス情報ADを変更し、変更したアドレス情報ADを調光情報バッファー52に出力する。これにより第2表示位置に対応する輝度分布の補正調光情報DMCが、調光情報バッファー52から読み出されて出力されるようになる。このようにすれば、位置補正回路50は、位置ずれ特定情報PSに基づいて、アドレス制御回路54でのアドレス情報の変更処理を行うことで、位置補正後のオブジェクトOBの表示位置に対応した調光情報である補正調光情報DMCを出力できるようになる。これによりオブジェクトOBの表示位置が急激に変化した場合にも、補正調光情報DMCに基づく適正なバックライト120の調光制御を実現することが可能になる。
【0061】
図16図17は位置補正回路50の動作説明図である。調光情報バッファー52は、ローカルディミング回路である調光処理回路40から出力されたバックライト情報である調光情報DMを入力として、そのデータを蓄える機能と、アドレス制御回路54から出力される読み出しアドレスに応じて出力するデータを選択できる機能を有する。アドレス制御回路54は、位置ずれ特定情報PSである位置ずれ情報を入力とする。なお以下では位置ずれ特定情報PSを、適宜、単に位置ずれ情報と記載する。位置ずれ情報は、画像生成元である処理装置200から出力される情報であり、画素単位の情報であってもよいし、バックライト120のエリア単位の情報であってもよい。画素単位の位置ずれ情報である場合、アドレス制御回路54内において、バックライト120のエリア単位の位置ずれ情報に変換する。その変換式は例えば下式(1)、(2)のように表される。
【0062】
ΔAREA_H=(ΔPIX_H)/(PIX_Harea) (1)
ΔAREA_V=(ΔPIX_V)/(PIX_Varea) (2)
【0063】
上式(1)、(2)において、PIX_Hareaは、バックライト120が照らすエリアの水平方向の画素数(pixel number)であり、PIX_Vareaは、バックライト120が照らすエリアの垂直方向の画素数である。ΔPIX_Hは、画像の水平方向の位置ずれ情報であり、画素単位の値である。ΔPIX_Vは、画像の垂直方向の位置ずれ情報であり、画素単位の値である。ΔAREA_Hは、バックライト120の調光情報である輝度分布の水平方向の位置ずれ情報であり、エリア単位の値である。ΔAREA_Vは、バックライト120の調光情報である輝度分布の垂直方向の位置ずれ情報であり、エリア単位の値である。そして図16では、入力された位置ずれ情報に対して、上式(1)、(2)によりΔAREA_H=+2、ΔAREA_V=+3と算出されている。従って、調光情報である輝度分布を、水平方向においてエリア単位で2個、垂直方向においてエリア単位で3個だけ、ずらすためのアドレス制御が行われる。これによりオブジェクトの表示位置の位置ずれ情報に応じたバックライト120の調光情報の位置補正が実現される。
【0064】
なおΔAREA_HとΔAREA_Vは、小数点以下を処理した整数値としてもよいし、小数点以下の情報を別の処理に用いてもよい。例えば、小数点以下を処理する場合、小数点以下を特定の閾値で切り上げ又は切り捨てをすることで整数値にする。図16はこの場合の例である。一方、小数点以下の情報を別の処理に用いる場合は、例えば隣接するバックライト光源の輝度処理に、この情報を用いることでエリアとエリアの間のバックライト輝度を考慮した処理方法が考えられる。図17はこの場合の例を示すものである。図17では、ΔAREA_H=+2.5、ΔAREA_V=+3と算出されている。従って、例えば水平方向にエリア単位で2個ずらすとともに、ずらした先のE1に示すエリアの輝度を、例えば元の輝度の小数点の値に対応する輝度に設定する。図16ではE1に示すエリアの輝度が元の輝度の例えば0.5倍の輝度に設定されている。同様にE2に示すエリアの輝度も例えば元の輝度の0.5倍の輝度に設定されている。これにより、調光情報である輝度分布を2.5だけ移動させた場合と同様の効果を得ることができ、小数点の値も反映させた調光情報の位置補正を実現できるようになる。
【0065】
図16図17に示すように、本実施形態では調光処理回路40は、第1入力画像に基づいて、表示パネル110における第1入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報を生成する。例えば図16図17の左側では、第1フレームの第1入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報が生成されている。輝度分布は例えばバックライト120の複数の光源の輝度の設定の分布である。そして位置補正回路50は、位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけ輝度分布をシフトさせることで、表示パネル110における第2入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる位置補正後の補正調光情報を生成する。例えば図16図17の左側の輝度分布を位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけシフトさせることで、図16図17の右側に示すように、第2フレームの第2入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報が生成されている。図16ではシフト量は、水平方向にΔAREA_H=+2、垂直方向にΔAREA_V=+3である。図17ではシフト量は、水平方向にΔAREA_H=+2.5、垂直方向にΔAREA_V=+3である。ここではシフト量はエリア単位となっている。このようにすれば、第1入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報を、位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけシフトさせることで、表示パネル110における第2入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる補正調光情報を生成できるようになる。そして、第2入力画像に対応する第2出力画像が表示装置100に表示される際に、この補正調光情報に基づいてバックライト120を発光させることで、第2出力画像に対応した適正な補正調光情報でバックライト120の調光制御を実現できるようになる。
【0066】
また図18に示すように、位置ずれ特定情報PSは、例えば、第1入力画像IMI1におけるオブジェクトOBの位置POBと、第2入力画像IMI2におけるオブジェクトOBの位置POBとの差に対応するシフト量SFである。例えば図18では、第1フレームでの第1入力画像IMI1と、第2フレームでの第2入力画像IMI2とでは、オブジェクトOBの位置POBが、例えば第1方向である水平方向にシフト量SFだけシフトしている。なお図18では水平方向に位置POBがシフトしているが、第2方向である垂直方向に位置POBがシフトしてもよい。そして位置ずれ特定情報PSは、このオブジェクトOBの位置POBが移動した量であるシフト量SFである。このようにすれば、水平方向や垂直方向でのシフト量SFを位置ずれ特定情報PSとして取得できるようになる。そして例えば図16図17や上式(1)、(2)に示すように、このオブジェクトOBの位置POBのシフト量SFに対応するシフト量だけ、バックライト120の調光情報である輝度分布をシフトさせる補正調光情報を求めることができる。これにより、第2入力画像IMI2に対応する第2出力画像が表示装置100に表示される際に、この第2出力画像に適切な補正調光情報を用いて、バックライト120の適正な調光制御を実現できるようになる。
【0067】
また位置ずれ特定情報PSは、図18に示すように、例えば入力画像における画素数(pixel number)で表された情報である。例えば上式(1)、(2)において、ΔPIX_H、ΔPIX_Vが位置ずれ特定情報PSに対応し、ΔPIX_H、ΔPIX_Vは画素数で表された情報である。このようにすれば画像生成元である処理装置200は、画素数で表された位置ずれ特定情報PSを回路装置10に送信できるようになる。そして回路装置は、画素数で表された位置ずれ特定情報PSに基づいて、フレーム間でオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行うことが可能になる。
【0068】
また位置ずれ特定情報PSは、例えばセンサー250の検出情報に基づいて生成された情報である。センサー250は例えば振動センサー、モーションセンサー又は慣性センサーと呼ばれるものである。振動センサーは、センサーが設置される物体の振動を検出する。モーションセンサーは、センサーが設置される物体の位置や姿勢の動きを検出する。慣性センサーは、例えば加速度センサーやジャイロセンサー等の加速度センサーで実現されるものであり、例えば6軸慣性センサーである。このようにすれば、センサー250の検出情報を有効活用して、例えば図2の処理装置200が、フレーム間でのオブジェクトの位置ずれ特定情報PSを求めることが可能になる。そして回路装置10は、このようにセンサー250の検出情報に基づき求められた位置ずれ特定情報PSに基づいて、フレーム間でオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行うことが可能になる。
【0069】
また位置ずれ特定情報PSは、例えば表示装置100が設置される移動体の加速度、角速度及び位置の少なくとも1つを検出するセンサー250の検出情報に基づいて生成された情報である。移動体はエンジンやモーターなどの駆動機構等により移動するものであり、例えば自動車、バイク又は船舶等である。表示装置100は、メーターパネルなどのクラスターディスプレイやHUDなどである。そしてセンサー250は、例えば移動体の加速度、角速度及び位置の少なくとも1つを検出する。例えば加速度センサーにより加速度を検出したり、ジャイロセンサー等の角速度センサーにより角速度を検出する。また6軸慣性センサーを用いて3軸の加速度及び3軸の角速度を検出する。また検出された角速度等に用いて移動体の位置を算出したり、位置検出用のセンサーで移動体の位置を検出する。このようにすれば、表示装置100が設置される自動車等の移動体が、道路の段差等に乗り上げて傾いたり、ガタガタ道で振動したり、急激な加速変化などがあった場合にも、これを移動体の加速度、角速度及び位置の少なくとも1つを検出するセンサー250により検出できるようになる。そしてセンサー250からの検出情報から位置ずれ特定情報PSを求めて、この位置ずれ特定情報PSに基づいて、フレーム間でのオブジェクトの位置補正を行ったり、フレーム間でのバックライト120の調光情報の位置補正を行えるようになる。これにより移動体に設置される表示装置100に対して、バックライト120の適切な調光制御が行われた画像を表示できるようになる。
【0070】
また本実施形態では位置補正回路50は、表示パネル110の複数のエリアの第1エリアに対応する調光情報に対して位置補正を行い、複数のエリアの第2エリアに対応する第2調光情報に対しては、位置補正を行わない、又はこの位置補正とは異なる第2位置補正を行ってもよい。
【0071】
例えば図19では、表示パネル110の上側の第1エリアに対応する調光情報に対しては、位置補正が行われている。即ち図14図17で説明したような位置補正が行われる。例えば対象物TMVにオブジェクトOBを追従させる画像の位置補正が行われる共に、オブジェクトOBに輝度分布を追従させるバックライト120の調光情報の位置補正も行われる。一方、表示パネル110の下側の第2エリアに対応する調光情報に対しては、本実施形態の位置補正が行われない。例えば下側の第2エリアにはオブジェクトOB1、OB2、OB3の画像が表示されている。第1エリアのオブジェクトOBについては、対象物TMVに追従して移動させる処理が行われるが、第2エリアのオブジェクトOB1、OB2、OB3については、このような処理は行われない。そしてオブジェクトOB1、OB2、OB3については、バックライト120の輝度分布を移動させる処理についても行われない。また図20では、右側の第1エリアのオブジェクトOBAの調光情報に対しては、第1位置補正が行われるが、左側の第2エリアのオブジェクトOBBの調光情報に対しては、第1位置補正とは異なる第2位置補正が行われる。例えば第1エリアのオブジェクトOBAと、第2エリアのオブジェクトOBBとでは、バックライト120の輝度分布の例えば移動のシフト量又は移動方向などが互いに異なる処理態様の位置補正が行われる。このようにすれば、例えば表示パネル110に表示される複数のオブジェクトの各オブジェクトに応じて、位置補正の実行の有無や位置補正の処理態様を切り替えることが可能になる。従って、表示パネル110に表示される複数のオブジェクトの各オブジェクトに応じた適切な調光情報等の位置補正が可能になる。
【0072】
5.表示システム
図21に本実施形態の表示システムの一例として、ヘッドアップディプレイ190の構成例を示す。本実施形態の表示システムであるヘッドアップディプレイ190は、本実施形態の表示制御システム5と表示装置100を含む。なお表示制御システム5は処理装置200を含まない構成であってもよい。表示装置100は、回路装置10からの出力画像のデータに基づいて表示画像を表示する。ヘッドアップディプレイ190の表示システムの場合には表示装置100は表示画像を投影することで、虚像をユーザーに表示する。例えば表示装置100は、表示パネル110とバックライト120を含む。また表示装置100は、表示パネル110を駆動する表示ドライバー140や、表示パネル110とバックライト120の間に設けられる拡散板115を含むことができる。また表示装置100は、投影画像の投影光を反射するミラー150などの投影光学系を含むことができる。
【0073】
表示ドライバー140は、回路装置10からの出力画像のデータに基づいて、表示パネル110のデータ線や走査線を駆動して画像を表示させる。バックライト120が出射する光は拡散板115、表示パネル110を透過し、ミラー150によって透明スクリーン160の方向へ反射される。透明スクリーン160は例えば自動車のフロントガラスである。透明スクリーン160の反射面は例えば凹面になっており、ユーザーから見て投影画像は虚像となる。即ち、ユーザーから見て投影画像は透明スクリーン160よりも遠くに結像しているように見える。これにより背景内に投影画像を表示できる。
【0074】
なお本実施形態の表示システムは図21の構成には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば表示パネル110として液晶表示パネル以外の表示パネルを用いてもよいし、拡散板115や投影光学系の配置構成も種々の変形実施が可能である。また本実施形態の表示システムは、図21のようなヘッドアップディプレイ190には限定されず、クラスターディスプレイなどの自動車用の他の表示ステムであってもよいし、自動車用以外の表示システムであってもよい。例えば本実施形態の表示システムは頭部装着型表示装置などであってもよい。
【0075】
以上に説明したように、本実施形態の回路装置は、表示パネルとバックライトを含む表示装置を制御する回路装置であって、入力画像と、入力画像におけるオブジェクトの位置ずれ特定情報と、を受信するインターフェース回路と、入力画像に基づく画像処理を行う画像処理回路と、入力画像に基づく画像解析を行ってバックライトの調光処理を行い、調光情報を出力する調光処理回路を含む。また回路装置は、第1フレームでの入力画像である第1入力画像と、第1フレームより後の第2フレームでの入力画像である第2入力画像と、の間のオブジェクトの位置ずれ特定情報に基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を調光情報に対して行う位置補正回路を含む。
【0076】
本実施形態によれば、位置補正回路は、第1入力画像と第2入力画像との間のオブジェクトの位置ずれ特定情報に基づいて、第1フレームと第2フレームの間でのオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行う。このようにすれば、位置補正が行われた適正な調光情報に基づいて、バックライトの調光制御が行われるようになる。従って、調光情報の生成が遅れてしまう場合等においても、出力画像に応じた適正な調光情報により調光制御を行えるようになり、バックライトの適正な調光制御を実現することが可能になる。
【0077】
また本実施形態では、画像処理回路は、第1入力画像に対して画像処理を行った第1出力画像を生成し、第2入力画像に対して画像処理を行った第2出力画像を生成し、位置補正回路は、第1入力画像に基づく調光情報に対して、位置補正を行うことで補正調光情報を生成してもよい。そして第2出力画像が表示パネルに表示されるとき、補正調光情報に基づいてバックライトを発光させてもよい。
【0078】
このようにすれば、各フレームにおいて表示パネルに表示される出力画像に応じた適正な調光補正情報に基づいて、バックライトの調光制御を行えるようになる。
【0079】
また本実施形態では、画像処理回路は、位置補正後の調光情報である補正調光情報に基づいて、入力画像に対する色補正を行ってもよい。
【0080】
このようにすれば、位置補正前の調光情報に基づき色補正を行う場合に比べて、より適正な補正調光情報に基づいて、入力画像に対する色補正を行えるようになる。
【0081】
また本実施形態では、インターフェース回路は、外部装置から入力された垂直同期信号に同期して入力画像を受信し、入力画像の画像データの垂直ブランキング期間において位置ずれ特定情報を受信してもよい。
【0082】
このようにブランキング期間において位置ずれ特定情報が受信されることで、位置補正回路は、例えば入力画像の画像データの入力タイミングよりも前のタイミングから位置補正を実行できるようになり、処理の効率化を図れる。
【0083】
また本実施形態では、位置補正回路は、入力画像に基づく調光情報が記憶される調光情報バッファーと、調光情報バッファーの読み出しアドレスを制御するアドレス制御回路と、を含んでもよい。またアドレス制御回路は、位置ずれ特定情報に基づいて、位置補正後のオブジェクトの表示位置に対応するアドレス情報を調光情報バッファーに出力して、調光情報バッファーから補正調光情報を出力させてもよい。
【0084】
このようにすれば、位置補正回路は、位置ずれ特定情報に基づいて、アドレス制御回路でのアドレス情報の変更処理を行うことで、位置補正後のオブジェクトの表示位置に対応した補正調光情報を出力できるようになる。
【0085】
また本実施形態では、調光処理回路は、第1入力画像に基づいて、表示パネルにおける第1入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報を生成してもよい。そして位置補正回路は、位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけ輝度分布をシフトさせることで、表示パネルにおける第2入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる位置補正後の補正調光情報を生成してもよい。
【0086】
このようにすれば、第1入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる調光情報を、位置ずれ特定情報に基づくシフト量だけシフトさせることで、表示パネルにおける第2入力画像のオブジェクトの表示位置に対応した輝度分布となる補正調光情報を生成できるようになる。
【0087】
また本実施形態では、位置ずれ特定情報は、第1入力画像におけるオブジェクトの位置と、第2入力画像におけるオブジェクトの位置との差に対応するシフト量であってもよい。
【0088】
このようにすれば、オブジェクトの位置のシフト量に対応するシフト量だけ、バックライトの調光情報である輝度分布をシフトさせる補正調光情報を求めることができる。
【0089】
また本実施形態では、位置ずれ特定情報は、入力画像における画素数で表された情報であってもよい。
【0090】
このようにすれば、画素数で表された位置ずれ特定情報に基づいて、フレーム間でオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行うことが可能になる。
【0091】
また本実施形態では、位置ずれ特定情報は、センサーの検出情報に基づいて生成された情報であってもよい。
【0092】
このようにすれば、センサーの検出情報を有効活用して求められた位置ずれ特定情報に基づいて、フレーム間でオブジェクトの位置ずれを補正する位置補正を、調光情報に対して行うことが可能になる。
【0093】
また本実施形態では、位置ずれ特定情報は、表示装置が設置される移動体の加速度、角速度及び位置の少なくとも1つを検出するセンサーの検出情報に基づいて生成された情報であってもよい。
【0094】
このようにすれば、移動体に設置される表示装置に対して、バックライトの適切な調光制御が行われた画像を表示できるようになる。
【0095】
また本実施形態では、位置補正回路は、表示パネルの複数のエリアの第1エリアに対応する調光情報に対して位置補正を行い、複数のエリアの第2エリアに対応する第2調光情報に対しては、位置補正を行わない、又は位置補正とは異なる第2位置補正を行ってもよい。
【0096】
このようにすれば、表示パネルに表示される複数のオブジェクトの各オブジェクトに応じて、位置補正の実行の有無や位置補正の処理態様などを切り替えることが可能になる。
【0097】
また本実施形態の表示制御システムは、上記に記載された回路装置と、インターフェース回路を介して回路装置と通信接続される処理装置と、を含む。そして処理装置は、センサーからの検出情報に基づいて位置ずれ特定情報を求め、位置ずれ特定情報に基づいて入力画像におけるオブジェクトの位置を特定し、入力画像と位置ずれ特定情報を回路装置に出力する。
【0098】
このようにすれば、回路装置は、処理装置がセンサーからの検出情報に基づき求めた位置ずれ特定情報を有効活用して、バックライトの調光情報の位置補正を実行できるようになる。
【0099】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、表示制御システム、表示装置、表示システム、ヘッドアップディスプレイ等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0100】
5…表示制御システム、10…回路装置、20…インターフェース回路、30…画像処理回路、32…色補正回路、40…調光処理回路、42…輝度解析部、43…調光量演算部、50…位置補正回路、52…調光情報バッファー、54…アドレス制御回路、60…光源制御回路、62…調光情報メモリー、100…表示装置、110…表示パネル、115…拡散板、120…バックライト、130…光源ドライバー、140…表示ドライバー、150…ミラー、160…透明スクリーン、190…ヘッドアップディプレイ、200…処理装置、210…位置ずれ演算部、220…画像生成部、250…センサー、AD…アドレス情報、AR、AR1~AR9…エリア、DM、DM0~DM3…調光情報、DMC、DMC1~DMC3…補正調光情報、IMI…入力画像、IMI1…第1入力画像、IMI2…第2入力画像、IMI3…第3入力画像、IMQ…出力画像、IMQ1…第1出力画像、IMQ2…第2出力画像、IMQ3…第3出力画像、LS…光源、OB、OB1~OB3、OBA、OBB…オブジェクト、PC1~PC3…位置補正、PRC1~PRC3…画像処理、PS、PS1~PS3…位置ずれ特定情報、PSF…光強度分布、SF…シフト量、TMV…対象物、TVB…垂直ブランキング期間、VSYI、VSYQ…垂直同期信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21