(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062537
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】センサーモジュール及びセンサーシステム
(51)【国際特許分類】
G01D 3/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G01D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170427
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】中島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】茅野 岳人
【テーマコード(参考)】
2F075
【Fターム(参考)】
2F075AA10
2F075EE16
2F075EE17
2F075EE18
(57)【要約】
【課題】センサーデバイスの内部で生成される基準電圧の異常を検出することが可能なセンサーモジュールを提供すること。
【解決手段】第1センサーデバイスと、処理装置と、を備え、前記第1センサーデバイスは、第1センサー素子と、電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、前記処理装置は、前記電源電圧を生成する電源電圧生成回路と、前記第1検出信号を処理する信号処理回路と、前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する判定回路と、を有する、センサーモジュール。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサーデバイスと、
処理装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記処理装置は、
前記電源電圧を生成する電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する判定回路と、を有する、センサーモジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記判定回路は、前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第1センサーデバイスの動作を停止させる、センサーモジュール。
【請求項3】
請求項1において、
前記判定回路は、前記電源電圧が正常範囲にあるか否かをさらに判定する、センサーモジュール。
【請求項4】
請求項1において、
第2センサーデバイスをさらに備え、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記信号処理回路は、前記判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にあると判定した場合、前記第1検出信号を処理し、前記判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第1検出信号に代えて前記第2検出信号を処理する、センサーモジュール。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2センサーデバイスは、前記電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路を有し、前記第2検出回路は、前記第2基準電圧が供給されて前記第2検出信号を生成し、
前記判定回路は、前記第1基準電圧が正常範囲ではないと判定した場合、前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する、センサーモジュール。
【請求項6】
第1センサーデバイスと、
第1処理装置と、
第2センサーデバイスと、
第2処理装置と、
演算装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、を有し、
前記演算装置は、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にあると判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データを用いずに前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データを用いて演算し、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にあると判定した場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する、センサーモジュール。
【請求項7】
第1センサーデバイス及び第1処理装置を含む第1センサーモジュールと、
第2センサーデバイス及び第2処理装置を含む第2センサーモジュールと、
ホストデバイスと、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データ及び前記第1判定回路の判定結果を示す第1フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第1インターフェース回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データ及び前記第2判定回路の判定結果を示す第2フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第2インターフェース回路と、を有し、
前記ホストデバイスは、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にあることを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にないことを示す場合、前記第2データを用いずに前記第1データを用いて演算し、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にないことを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にあることを示す場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する、センサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーモジュール及びセンサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、X軸角速度データを出力するX軸角速度センサーデバイスと、Y軸角速度データを出力するY軸角速度センサーデバイスと、Z軸角速度データを出力するZ軸角速度センサーデバイスと、X軸、Y軸、Z軸の加速度データを出力する加速度センサーデバイスと、マイクロコントローラーと、X軸角速度センサーデバイス、Y軸角速度センサーデバイス、及びZ軸角速度センサーデバイスと、マイクロコントローラーの第1デジタルインターフェースとを電気的に接続する第1デジタルインターフェースバスと、加速度センサーデバイスと、マイクロコントローラーの第2デジタルインターフェースとを電気的に接続する第2デジタルインターフェースバスと、を含むセンサーモジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、センサーデバイスは、センサー素子と、当該センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための基準電圧を生成する基準電圧生成回路を内蔵しており、基準電圧にずれが生じた場合、異常なデータを出力するおそれがある。しかしながら、特許文献1に記載のセンサーモジュールでは、マイクロコントローラーは、各センサーデバイスの内部で生成される基準電圧の異常を検出することができないため、ホストデバイスが、マイクロコントローラーから異常なデータを取得して誤った演算を行うおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るセンサーモジュールの一態様は、
第1センサーデバイスと、
処理装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記処理装置は、
前記電源電圧を生成する電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する判定回路と、を有する。
【0006】
本発明に係るセンサーモジュールの他の一態様は、
第1センサーデバイスと、
第1処理装置と、
第2センサーデバイスと、
第2処理装置と、
演算装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、を有し、
前記演算装置は、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にあると判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データを用いずに前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データを用いて演算し、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にあると判定した場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する。
【0007】
本発明に係るセンサーシステムの一態様は、
第1センサーデバイス及び第1処理装置を含む第1センサーモジュールと、
第2センサーデバイス及び第2処理装置を含む第2センサーモジュールと、
ホストデバイスと、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データ及び前記第1判定回路の判定結果を示す第1フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第1インターフェース回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定
するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データ及び前記第2判定回路の判定結果を示す第2フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第2インターフェース回路と、を有し、
前記ホストデバイスは、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にあることを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にないことを示す場合、前記第2データを用いずに前記第1データを用いて演算し、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にないことを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にあることを示す場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のセンサーモジュールの被装着面への固定態様を示す斜視図。
【
図2】センサーモジュールを被装着面側から観察した斜視図。
【
図5】第1実施形態のセンサーシステムの構成を示す図。
【
図8】第1実施形態における処理装置の構成例を示す図。
【
図9】第1実施形態における判定手順の一例を示すフローチャート図。
【
図10】第2実施形態における処理装置の構成例を示す図。
【
図11】第2実施形態における判定手順の一例を示すフローチャート図。
【
図12】第3実施形態のセンサーシステムの構成を示す図。
【
図13】6Dofセンサーデバイスの構成例を示す図。
【
図14】第3実施形態における処理装置の構成例を示す図。
【
図15】第3実施形態における判定手順の一例を示すフローチャート図。
【
図16】第4実施形態のセンサーシステムの構成を示す図。
【
図17】第5実施形態のセンサーシステムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.第1実施形態
1-1.センサーモジュールの構造
図1は、第1実施形態のセンサーシステムに用いられるセンサーモジュールの被装着面への固定態様を示す斜視図である。
図2は、センサーモジュールを被装着面側から観察した斜視図である。まず、第1実施形態におけるセンサーモジュール2の概要について説明する。センサーモジュール2は、例えば、自動車や、ロボットなどの被装着体の挙動を検出する。
【0011】
図1に示すように、センサーモジュール2は、平面形状が略正方形の直方体をなしており、正方形の一辺の長さが数センチ程度とコンパクトに構成されている。センサーモジュール2の対角線方向には2ヶ所の切欠き穴52が設けられている。センサーモジュール2は、切欠き穴52に挿通される2本のネジ80により、自動車などの被装着体の被装着面81に固定される。なお、被装着体は自動車などの運動体に限らず、例えば、橋梁や、高架軌道などの建造物であっても良い。建造物に取付けられる場合は、例えば、建造物の健全度をチェックする構造ヘルスモニタリングシステムとして用いられる。
【0012】
図2に示すように、センサーモジュール2は、直方体状のアウターケース51の中にインナーケース70を収納した構成となっている。インナーケース70には、長方形状の開口部71が形成されている。以下、この開口部71の長辺方向をY(+)方向とする。また、Y(+)方向と直交する方向をX(+)方向とし、アウターケース51の厚さ方向をZ(+)として座標軸で示して説明する。なお、インナーケース70の開口部71からは、プラグ型のコネクター66が露出しており、Y(+)方向はコネクター66における複数のピンの配列方向と一致している。また、この座標軸は、センサーモジュール2の検出軸である。
【0013】
図3は、センサーモジュール2の分解斜視図である。
図3に示すように、センサーモジュール2は、アウターケース51、接合部材60、回路基板65、インナーケース70などから構成される。
【0014】
アウターケース51は、外形が直方体をなした箱状の筐体である。アウターケース51の材質は、例えば、アルミニウムであるが、他の金属やセラミックであってもよい。アウターケース51の外側には、前述した2つの切欠き穴52が形成されている。ただし、アウターケース51に丸穴等の貫通孔が形成され、当該貫通孔がネジ止めされてもよい。あるいは、アウターケース51の側面にフランジが形成され、フランジ部分がネジ止めされてもよい。
【0015】
アウターケース51には、回路基板65がセットされた状態のインナーケース70を収納するための収納部55が設けられている。収納部55は、底部53aを底面とした第1凹部53と、第1凹部53を囲う受け部54aを有する第2凹部54とから構成される。第1凹部53には、回路基板65が収納される。受け部54aは、底部53aから階段状に立ち上がったリング状のインナーケース70の受け部であり、第2凹部54には、接合部材60を介してインナーケース70が収納される。接合部材60は、アウターケース51とインナーケース70との間に配置される樹脂製の緩衝部材である。接合部材60は、受け部54aと同様なリング状の部材であり、受け部54aの上にセットされる。
【0016】
インナーケース70は、回路基板65を支持する部材であり、アウターケース51の第2凹部54に収納され得る形状に構成されている。インナーケース70は、アウターケース51と同じ材質で構成されている。インナーケース70には、回路基板65のコネクター66を外部に露出させるための開口部71と、回路基板65に実装された電子部品を収納するための第3凹部73とが設けられている。なお、実際には、第3凹部73には樹脂が充填されるが、
図3では図示が省略されている。また、アウターケース51における収納部55の第1凹部53にも、同様に樹脂が充填され得るが、
図3では図示が省略されている。
【0017】
このような構成により、アウターケース51の中に、回路基板65を含むインナーケース70が収納され一体化された状態で、
図1に示したように、2本のネジ80により、被装着体の被装着面81にセンサーモジュール2が固定されて使用される。
【0018】
図4は、回路基板65の斜視図である。回路基板65は、複数のスルーホールが形成された多層基板であり、ガラスエポキシ基板が用いられる。ただし、回路基板65は、ガラスエポキシ基板に限られず、複数のセンサーデバイスや、電子部品、コネクターなどを実装可能なリジットな基板であればよく、例えば、コンポジット基板やセラミック基板が用いられてもよい。回路基板65の外形は、平面視において一部が切り掛かれた変形の八角形に形成されている。回路基板65のZ(+)側の面を第1面65a、第1面65aとは反対側の面を第2面65bという。
【0019】
図4に示すように、回路基板65におけるX(+)方向の一辺の側面には、角速度センサーデバイス10Xが実装されている。角速度センサーデバイス10Xは、X軸回りの角速度を検出するジャイロセンサーである。
【0020】
回路基板65におけるY(+)方向の一辺の側面には、角速度センサーデバイス10Yが実装されている。角速度センサーデバイス10Yは、Y軸回りの角速度を検出するジャイロセンサーである。
【0021】
回路基板65の第1面65aには、コネクター66、角速度センサーデバイス10Z、加速度センサーデバイス20などが実装されている。コネクター66は、プラグ型のコネクターであり、複数のピンが等ピッチで配置されている2列の接続端子を備えている。端子数は、設計仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0022】
角速度センサーデバイス10Zは、Z軸回りの角速度を検出するジャイロセンサーである。角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zは、同じ構造のジャイロセンサーであり、例えば、水晶を材料とするセンサー素子を有し、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する高精度なセンサーである。ただし、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zは、セラミックやシリコン等を材料とするセンサー素子を有してもよい。
【0023】
加速度センサーデバイス20は、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の加速度を検出するセンサーである。加速度センサーデバイス20は、例えば、水晶を材料とするセンサー素子を有する高精度なセンサーである。ただし、加速度センサーデバイス20は、セラミックやシリコン等を材料とするセンサー素子を有してもよい。
【0024】
回路基板65の第2面65bには、処理装置30が実装されている。ただし、処理装置30は、回路基板65の第1面65aに実装されてもよい。処理装置30は、例えばMCUであり、1チップのICとして構成されている。MCUは、Micro Controller Unitの略である。角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20は、それぞれ、回路基板65に設けられた不図示の配線により処理装置30と接続されている。なお、回路基板65には、その他にも、例えば温度センサー等の複数の電子部品が実装されていてもよい。
【0025】
1-2.センサーシステムの構成
次に、センサーモジュール2を用いた第1実施形態のセンサーシステム1の構成及び機能について説明する。また、センサーモジュール2の機能的な構成についても併せて説明する。
図5は、第1実施形態のセンサーシステム1の構成を示す図である。
図5に示すように、第1実施形態のセンサーシステム1は、センサーモジュール2とホストデバイス3とを備える。
【0026】
センサーモジュール2は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zと、加速度センサーデバイス20と、処理装置30と、温度センサー40と、を備える。なお、セン
サーモジュール2は、
図5の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0027】
前述の通り、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zは、それぞれX軸,Y軸,Z軸回りの角速度を検出する。また、加速度センサーデバイス20は、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の加速度を検出する。角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の各々は、外部接続用の端子である端子TVD、端子TVL、端子TCS、端子TCK、端子TDI、端子TDO及び端子TRを有する。
【0028】
角速度センサーデバイス10Xは、所定の周期でX軸回りの角速度を検出してX軸角速度データを生成し、X軸角速度データの生成を完了する毎に、X軸角速度データの準備完了を知らせるデータレディー信号を生成する。このデータレディー信号は、データレディー信号DRDY1として、角速度センサーデバイス10Xの端子TRから出力され、処理装置30の端子TMR1に入力される。
【0029】
角速度センサーデバイス10Yは、所定の周期でY軸回りの角速度を検出してY軸角速度データを生成し、Y軸角速度データの生成を完了する毎に、Y軸角速度データの準備完了を知らせるデータレディー信号を生成する。このデータレディー信号は、データレディー信号DRDY2として、角速度センサーデバイス10Yの端子TRから出力され、処理装置30の端子TMR2に入力される。
【0030】
角速度センサーデバイス10Zは、所定の周期でZ軸回りの角速度を検出してZ軸角速度データを生成し、Z軸角速度データの生成を完了する毎に、Z軸角速度データの準備完了を知らせるデータレディー信号を生成する。このデータレディー信号は、データレディー信号DRDY3として、角速度センサーデバイス10Zの端子TRから出力され、処理装置30の端子TMR3に入力される。
【0031】
加速度センサーデバイス20は、所定の周期でX軸、Y軸、Z軸の加速度を検出してX軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データを含む3軸加速度データを生成し、3軸加速度データの生成を完了する毎に、3軸加速度データの準備完了を知らせるデータレディー信号を生成する。このデータレディー信号は、データレディー信号DRDY4として、加速度センサーデバイス20の端子TRから出力され、処理装置30の端子TMR4に入力される。
【0032】
センサーモジュール2は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と処理装置30とを電気的に接続するデジタルインターフェースバスBSを含む。
【0033】
デジタルインターフェースバスBSは、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20が行うインターフェース処理の通信規格に準拠したバスであり、クロック信号線やデータ信号線を含む。本実施形態では、デジタルインターフェースバスBSは、SPIの通信規格に準拠したバスである。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略である。具体的には、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20は、それぞれ、端子TCK、端子TDI、端子TDOを介してデジタルインターフェースバスBSに電気的に接続される。また、処理装置30は、端子TMCK、端子TMDO、端子TMDIを介してデジタルインターフェースバスBSに電気的に接続される。ここで、電気的に接続とは電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。ただし、デジタルインターフェースバスBSは、I2Cの通信規格や、SPI又はI2Cを発展した通信規格や、SPI又はI2Cの規格の一部を改良又は改変した通信規格などに準拠したバスで
あってもよい。I2Cは、Inter-Integrated Circuitの略である。
【0034】
処理装置30は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20に対してマスターとなるコントローラーである。処理装置30は、集積回路装置であり、例えばMCUなどのプロセッサーにより実現される。或いは、処理装置30は、ゲートアレイなどの自動配置配線によるASICにより実現されてもよい。
【0035】
処理装置30は、端子TMCS1からチップセレクト信号XMCS1を出力し、端子TMCS2からチップセレクト信号XMCS2を出力し、端子TMCS3からチップセレクト信号XMCS3を出力し、端子TMCS4からチップセレクト信号XMCS4を出力する。チップセレクト信号XMCS1は角速度センサーデバイス10Xの端子TCSに入力され、チップセレクト信号XMCS2は角速度センサーデバイス10Yの端子TCSに入力され、チップセレクト信号XMCS3は角速度センサーデバイス10Zの端子TCSに入力され、チップセレクト信号XMCS4は加速度センサーデバイス20の端子TCSに入力される。
【0036】
また、処理装置30は、端子TMCKからシリアルクロック信号MSCLKを出力し、端子TMDOからシリアルデータ信号MSDIを出力する。シリアルクロック信号MSCLKは、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の端子TCKに共通に入力される。シリアルデータ信号MSDIは、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の端子TDIに共通に入力される。
【0037】
角速度センサーデバイス10Xは、チップセレクト信号XMCS1がアクティブ、例えばローレベルのとき、シリアルクロック信号MSCLK及びシリアルデータ信号MSDIに基づいて、インターフェース処理を行う。例えば、シリアルデータ信号MSDIがX軸角速度データの読み出しコマンドである場合、角速度センサーデバイス10Xは、端子TDOにX軸角速度データを出力する。
【0038】
角速度センサーデバイス10Yは、チップセレクト信号XMCS2がアクティブのとき、シリアルクロック信号MSCLK及びシリアルデータ信号MSDIに基づいて、インターフェース処理を行う。例えば、シリアルデータ信号MSDIがY軸角速度データの読み出しコマンドである場合、角速度センサーデバイス10Yは、端子TDOにY軸角速度データを出力する。
【0039】
角速度センサーデバイス10Zは、チップセレクト信号XMCS3がアクティブのとき、シリアルクロック信号MSCLK及びシリアルデータ信号MSDIに基づいて、インターフェース処理を行う。例えば、シリアルデータ信号MSDIがZ軸角速度データの読み出しコマンドである場合、角速度センサーデバイス10Zは、端子TDOにZ軸角速度データを出力する。
【0040】
加速度センサーデバイス20は、チップセレクト信号XMCS4がアクティブのとき、シリアルクロック信号MSCLK及びシリアルデータ信号MSDIに基づいて、インターフェース処理を行う。例えば、シリアルデータ信号MSDIが3軸加速度データの読み出しコマンドである場合、加速度センサーデバイス20は、端子TDOに3軸加速度データを出力する。
【0041】
処理装置30は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データを取得して各種の演算を行い、所定の周期で計測データを生成する。具体的には、処理装置30は、端子TMR1からデータレディー信号DRDY1が入力されると、
角速度センサーデバイス10XにX軸角速度データの読み出しコマンドを出力してX軸角速度データを読み出し、X軸角速度データに対して各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、端子TMR2からデータレディー信号DRDY2が入力されると、角速度センサーデバイス10YにY軸角速度データの読み出しコマンドを出力してY軸角速度データを読み出し、Y軸角速度データに対して各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、端子TMR3からデータレディー信号DRDY3が入力されると、角速度センサーデバイス10ZにZ軸角速度データの読み出しコマンドを出力してZ軸角速度データを読み出し、Z軸角速度データに対して各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、端子TMR4からデータレディー信号DRDY4が入力されると、加速度センサーデバイス20に3軸加速度データの読み出しコマンドを出力して3軸加速度データを読み出し、3軸加速度データに対して各種の演算処理を行う。
【0042】
例えば、処理装置30は、温度センサー40から出力されて端子TSENから入力される温度信号TMPOに基づいて、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各データに対する温度補正演算を行ってもよい。温度補正演算は、あらかじめ決められた温度範囲において、温度に応じて各データを増加又は減少させることにより、各データの温度依存性を低減させるように補正する演算である。なお、温度センサー40は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20のいずれかに設けられてもよい。
【0043】
また、処理装置30は、各データに対して、感度補正演算、オフセット補正演算、アラインメント補正演算等を行ってもよい。感度補正演算は、各軸の検出感度が基準値となるように補正する演算である。オフセット補正演算は、各軸のゼロ点が基準値となるように補正する演算である。アラインメント補正演算は、各センサー素子の検出軸とセンサーモジュール2のX軸、Y軸又はZ軸とのずれによる誤差を補正する演算である。
【0044】
また、処理装置30は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに基づいて、センサーモジュール2の姿勢、速度、角度等を算出する演算を行ってもよい。
【0045】
なお、処理装置30は、一連の演算を行う周期がデータレディー信号DRDY1,DRDY2,DRDY3,DRDY4の各周期よりも長い場合、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの一部を間引くダウンサンプリング演算を行ってもよい。
【0046】
本実施形態では、処理装置30は、端子THCS、端子THCK、端子THDI、端子THDO及び端子THRを介してホストデバイス3と電気的に接続される。ホストデバイス3は、処理装置30に対してマスターとなるコントローラーである。処理装置30は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに対する一連の演算を行って計測データの生成を完了する毎に、端子THRから計測データの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYをホストデバイス3に出力する。ホストデバイス3は、データレディー信号DRDYが入力される毎に、SPIの通信規格に準拠した、チップセレクト信号XHCS、シリアルクロック信号HSCLK及び出力指示情報としての計測データの読み出しコマンドであるシリアルデータ信号HSDIを処理装置30に出力する。処理装置30は、端子THCSから入力されるチップセレクト信号XHCSがアクティブ、例えばローレベルのとき、端子THCKから入力されるシリアルクロック信号HSCLK及び端子THDIから入力されるシリアルデータ信号HSDIに基づいて、SPIの通信規格のインターフェース処理を行い、端子THDOに計測データを出力する。処理装置30の端子THDOから出力された計測データは、シリアルデータ信号HSDOとしてホストデバイス3に入力される。ただし、処理装置30は、I2Cの通信規格や
、SPI又はI2Cを発展した通信規格や、SPI又はI2Cの規格の一部を改良又は改変した通信規格などのインターフェース処理を行ってもよい。
【0047】
本実施形態では、処理装置30は、端子TVINに、ホストデバイス3から供給される電圧VINが入力され、電圧VINに基づいて、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の電源電圧VDDを生成し、電源電圧VDDを端子TVDから出力する。角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20は、それぞれ、端子TVDに入力される電源電圧VDDに基づいて、ゼロ点に対応する基準電圧を生成する。角速度センサーデバイス10Xが生成する基準電圧は、角速度センサーデバイス10Xの端子TVLから出力され、基準電圧VDDL1として処理装置30の端子TVL1に入力される。また、角速度センサーデバイス10Yが生成する基準電圧は、角速度センサーデバイス10Yの端子TVLから出力され、基準電圧VDDL2として処理装置30の端子TVL2に入力される。また、角速度センサーデバイス10Zが生成する基準電圧は、角速度センサーデバイス10Zの端子TVLから出力され、基準電圧VDDL3として処理装置30の端子TVL3に入力される。また、加速度センサーデバイス20が生成する基準電圧は、加速度センサーデバイス20の端子TVLから出力され、基準電圧VDDL4として処理装置30の端子TVL4に入力される。
【0048】
処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4がそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示すフラグ情報を生成する。基準電圧VDDL1が正常範囲にない場合は、X軸角速度データの信頼性が低いことを意味する。また、基準電圧VDDL2が正常範囲にない場合は、Y軸角速度データの信頼性が低いことを意味する。また、基準電圧VDDL3が正常範囲にない場合は、Z軸角速度データの信頼性が低いことを意味する。また、基準電圧VDDL4が正常範囲にない場合は、3軸加速度データの信頼性が低いことを意味する。例えば、ホストデバイス3は、データレディー信号DRDYが入力される毎に、計測データとともにフラグ情報を読み出し、フラグ情報に基づいて、計測データに含まれるX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データのうちの信頼性が低いデータを用いずに各種の演算処理を行ってもよいし、信頼性が低いデータに関する情報を不図示の表示装置や音出力装置を介してユーザーに通知してもよい。
【0049】
1-3.角速度センサーデバイスの構成
次に、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zの具体的な構成について説明する。なお、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zは同じ構成であるものとする。
図6は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zの構成例を示す図である。
図6に示すように、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zは、それぞれ、センサー素子11、駆動回路12、検出回路13、インターフェース回路14及びレギュレーター15を含む。
【0050】
センサー素子11は、X軸、Y軸又はZ軸を検出軸として角速度を検出するセンサー素子である。センサー素子11は、例えば、水晶を材料とし、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を高精度に検出する。ただし、センサー素子11は、セラミックやシリコン等を材料とするセンサー素子であってもよい。
【0051】
レギュレーター15は、端子TVDから入力される電源電圧VDDに基づいて、センサー素子11から出力される信号にオフセットを設定するための基準電圧VDDLを生成する基準電圧生成回路である。なお、電源電圧VDDは、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが動作するために必要な電源電圧であり、駆動回路12、検出回路13、インターフェース回路14にも供給される。電源電圧VDDに代えて他の電源電圧を、駆
動回路22、検出回路23やインターフェース回路24に供給してもよい。
【0052】
駆動回路12は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子11が角速度を検出可能な状態になるように、センサー素子11を駆動する回路である。
【0053】
検出回路13は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子11から出力される信号に基づく検出信号SDを生成する。具体的には、検出回路13は、センサー素子11から出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って角速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子11に加わる角速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。例えば、基準電圧VDDLは、電源電圧VDDの1/2の電圧であってもよい。そして、検出回路13は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換して検出信号SDを生成する。また、検出回路13は、検出信号SDの生成を完了する毎に検出信号SDの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYを生成する。検出信号SDはインターフェース回路14に出力され、データレディー信号DRDYは、端子TRから出力され、前述のデータレディー信号DRDY1、データレディー信号DRDY2又はデータレディー信号DRDY3として処理装置30に入力される。
【0054】
インターフェース回路14は、端子TCSから入力されるチップセレクト信号XMCS1、チップセレクト信号XMCS2又はチップセレクト信号XMCS3がアクティブのとき、端子TCKから入力されるシリアルクロック信号MSCLK及び端子TDIから入力されるシリアルデータ信号MSDIに基づいて、SPIの通信規格のインターフェース処理を行う。例えば、インターフェース回路14は、端子TDIから入力される読み出しコマンドに応じて、検出回路13から出力される検出信号SDを取得し、取得した検出信号SDをシリアルデータに変換し、端子TDOに出力する。この端子TDOから出力されるシリアルデータは、X軸角速度データ、Y軸角速度データ又はZ軸角速度データとして、処理装置30に入力される。
【0055】
1-4.加速度センサーデバイスの構成
次に、加速度センサーデバイス20の具体的な構成について説明する。
図7は、加速度センサーデバイス20の構成例を示す図である。
図7に示すように、加速度センサーデバイス20は、センサー素子21X,21Y,21Z、駆動回路22、検出回路23、インターフェース回路24及びレギュレーター25を含む。
【0056】
センサー素子21Xは、X軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子21Yは、Y軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子21Zは、Z軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。センサー素子21X,21Y,21Zは、例えば、水晶を材料とし、加速度を高精度に検出する。ただし、センサー素子21X,21Y,21Zは、セラミックやシリコン等を材料とするセンサー素子であってもよい。
【0057】
レギュレーター25は、端子TVDから入力される電源電圧VDDに基づいて、センサー素子21X,21Y,21Zからそれぞれ出力される信号にオフセットを設定するための基準電圧VDDLを生成する基準電圧生成回路である。なお、電源電圧VDDは、加速度センサーデバイス20が動作するために必要な電源電圧であり、駆動回路22、検出回路23、インターフェース回路24にも供給される。電源電圧VDDに代えて他の電源電圧を、駆動回路22、検出回路23やインターフェース回路24に供給してもよい。。
【0058】
駆動回路22は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子21X,21Y,21Zが加速度を検出可能な状態になるように、センサー素子21X,21Y,21Zを駆動する回路である。
【0059】
検出回路23は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子21X,21Y,21Zからそれぞれ出力される信号に基づく検出信号SDを生成する。具体的には、検出回路23は、センサー素子21Xから出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って加速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子21Xに加わる加速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。例えば、基準電圧VDDLは、電源電圧VDDの1/2の電圧であってもよい。検出回路23は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換してX軸検出信号を生成する。また、検出回路23は、センサー素子21Yから出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って加速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子21Yに加わる加速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。検出回路23は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換してY軸検出信号を生成する。また、検出回路23は、センサー素子21Zから出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って加速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子21Zに加わる加速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。検出回路23は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換してZ軸検出信号を生成する。そして、検出回路23は、X軸検出信号、Y軸検出信号及びZ軸検出信号を含む検出信号SDを生成する。また、検出回路23は、検出信号SDの生成を完了する毎に検出信号SDの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYを生成する。検出信号SDはインターフェース回路24に出力され、データレディー信号DRDYは、端子TRから出力され、前述のデータレディー信号DRDY4として処理装置30に入力される。
【0060】
インターフェース回路24は、端子TCSから入力されるチップセレクト信号XMCS4がアクティブのとき、端子TCKから入力されるシリアルクロック信号MSCLK及び端子TDIから入力されるシリアルデータ信号MSDIに基づいて、SPIの通信規格のインターフェース処理を行う。例えば、インターフェース回路24は、端子TDIから入力される読み出しコマンドに応じて、検出回路23から出力される検出信号SDを取得し、取得した検出信号SDをシリアルデータに変換し、端子TDOに出力する。この端子TDOから出力されるシリアルデータは、3軸加速度データとして処理装置30に入力される。
【0061】
1-5.処理装置の構成
次に、処理装置30の具体的な構成について説明する。
図8は、処理装置30の構成例を示す図である。
図8に示すように、処理装置30は、デジタルインターフェース回路31、信号処理回路32、ホストインターフェース回路33、A/D変換回路34、判定回路35、メモリー36及びレギュレーター37を含む。
【0062】
デジタルインターフェース回路31は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20とのインターフェース処理を行う回路である。すなわち、デジタルインターフェース回路31は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zのインターフェース回路14及び加速度センサーデバイス20のインターフェース回路24との間でマスターとしてのインターフェース処理を行う。デジタルインターフェース回路31は、端子TMCS、端子TMCK、端子TMDO、端子TMDIを介してデジタルインターフェースバスBSに接続される。本実施形態では、デジタルインターフェース回路31は、インターフェース回路14及びインターフェース回路24と同様に、SPIの通信規格のインターフェース処理を行う。ただし、デジタルインターフェース回路31は、I2Cの通信規格や、SPI又はI2Cを発展した通信規格や、SPI又はI2Cの規格の一部を改良又は改変した通信規格などのインターフェース処理を行ってもよい。デジタルインターフェースバスBS及びデジタルインターフェース回路31は、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20に対して共通に
設けられていてもよいし、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20に対してそれぞれ個別に設けられていてもよい。
【0063】
ホストインターフェース回路33は、ホストデバイス3とのインターフェース処理を行う回路である。すなわち、ホストインターフェース回路33は、ホストデバイス3との間でスレーブとしてのインターフェース処理を行う。ホストインターフェース回路33は、端子THCS、端子THCK、端子THDO、端子THDIを介して、ホストデバイス3に対してSPIの通信規格のインターフェース処理を行う。ただし、ホストインターフェース回路33は、I2Cの通信規格や、SPI又はI2Cを発展した通信規格や、SPI又はI2Cの規格の一部を改良又は改変した通信規格などのインターフェース処理を行ってもよい。
【0064】
信号処理回路32は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データを処理する回路であり、これらの各データに対して各種の演算処理等を行う。また、信号処理回路32は、デジタルインターフェース回路31やホストインターフェース回路33の制御処理等を行う。信号処理回路32は、メモリー36あるいはその他の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、演算処理や制御処理を行ってもよい。
【0065】
例えば、信号処理回路32は、端子TMR1からデータレディー信号DRDY1が入力される毎に、X軸角速度データの読み出しコマンドを、デジタルインターフェース回路31を介して角速度センサーデバイス10Xに出力し、角速度センサーデバイス10Xから出力されるX軸角速度データを、デジタルインターフェース回路31を介して取得する。また、信号処理回路32は、端子TMR2からデータレディー信号DRDY2が入力される毎に、Y軸角速度データの読み出しコマンドを、デジタルインターフェース回路31を介して角速度センサーデバイス10Yに出力し、角速度センサーデバイス10Yから出力されるY軸角速度データを、デジタルインターフェース回路31を介して取得する。また、信号処理回路32は、端子TMR3からデータレディー信号DRDY3が入力される毎に、Z軸角速度データの読み出しコマンドを、デジタルインターフェース回路31を介して角速度センサーデバイス10Zに出力し、角速度センサーデバイス10Zから出力されるZ軸角速度データを、デジタルインターフェース回路31を介して取得する。また、信号処理回路32は、端子TMR4からデータレディー信号DRDY4が入力される毎に、3軸加速度データの読み出しコマンドを、デジタルインターフェース回路31を介して加速度センサーデバイス20に出力し、加速度センサーデバイス20から出力される3軸加速度データを、デジタルインターフェース回路31を介して取得する。そして、信号処理回路32は、取得したX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各データに対して、各種の演算を実行する。
【0066】
例えば、信号処理回路32は、端子TSENから入力される温度信号TMPOに基づいて、各データに対する温度補正演算を行う。また、信号処理回路32は、各データに対して、感度補正演算、オフセット補正演算、アラインメント補正演算等を行う。なお、信号処理回路32は、温度補正演算、感度補正演算、オフセット補正演算及びアラインメント補正演算の一部を行わなくてもよいし、他の補正演算を行ってもよい。
【0067】
信号処理回路32は、これらの一連の演算により、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに基づく計測データを算出する。なお、信号処理回路32は、一連の演算を行う周期がデータレディー信号DRDY1,DRDY2,DRDY3,DRDY4の各周期よりも長い場合、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの一部を間引くダウンサンプリング演算を行った後、各種の演算処理を行う。
【0068】
さらに、信号処理回路32は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに基づいて、センサーモジュール2の姿勢、速度、角度等を算出する演算を行ってもよい。姿勢は、ロール、ピッチ、ヨーで表現されてもよいし、オイラー角やクォータニオンで表現されてもよい。
【0069】
信号処理回路32は、一連の演算が完了すると、データレディー信号DRDYを、端子THRを介してホストデバイス3に出力する。信号処理回路32は、ホストデバイス3からの計測データの読み出しコマンドがホストインターフェース回路33を介して入力されると、生成した計測データを、ホストインターフェース回路33を介してホストデバイス3に出力する。
【0070】
レギュレーター37は、端子TVINから入力される電圧VINに基づいて電源電圧VDDを生成する電源電圧生成回路である。レギュレーター37が生成した電源電圧VDDは、端子TVDから角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20に出力される。なお、レギュレーター37は、電圧VINに基づいて、デジタルインターフェース回路31、信号処理回路32、ホストインターフェース回路33、A/D変換回路34、判定回路35及びメモリー36が動作するために必要な電源電圧VDDXも生成する。
【0071】
A/D変換回路34は、端子TVL1から入力される基準電圧VDDL1、端子TVL2から入力される基準電圧VDDL2、端子TVL3から入力される基準電圧VDDL3及び端子TVL4から入力される基準電圧VDDL4を、時分割にデジタル信号に変換する。
【0072】
判定回路35は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4がそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定する。具体的には、判定回路35は、A/D変換回路34が基準電圧VDDL1を変換したデジタル値DVDDL1が所定の範囲に含まれている場合は基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDL1が所定の範囲に含まれていない場合は基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定する。また、判定回路35は、A/D変換回路34が基準電圧VDDL2を変換したデジタル値DVDDL2が所定の範囲に含まれている場合は基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDL2が所定の範囲に含まれていない場合は基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定する。また、判定回路35は、A/D変換回路34が基準電圧VDDL3を変換したデジタル値DVDDL3が所定の範囲に含まれている場合は基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDL3が所定の範囲に含まれていない場合は基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定する。また、判定回路35は、A/D変換回路34が基準電圧VDDL4を変換したデジタル値DVDDL4が所定の範囲に含まれている場合は基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDL4が所定の範囲に含まれていない場合は基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定する。この所定の範囲の下限値及び上限値に対応する2つの閾値THA,THBは、メモリー36の不図示の不揮発性メモリーに記憶されており、判定回路35は、当該不揮発性メモリーから閾値THA,THBを読み出して、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4に対する判定を行う。
【0073】
そして、判定回路35は、それぞれの判定結果を示すフラグ情報を生成する。具体的には、判定回路35は、基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDL1を正常値、例えば0に設定し、基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDL1を異常値、例えば1に設定する。同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDL2を正常値に設定
し、基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDL2を異常値に設定する。同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDL3を正常値に設定し、基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDL3を異常値に設定する。同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDL4を正常値に設定し、基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDL4を異常値に設定する。このようにして、判定回路35は、フラグFVDDL1,FVDDL2,FVDDL3,FVDDL4を含むフラグ情報を生成する。判定回路35は、ホストデバイス3からのフラグ情報の読み出しコマンドがホストインターフェース回路33を介して入力されると、生成したフラグ情報を、ホストインターフェース回路33を介してホストデバイス3に出力する。
【0074】
判定回路35は、基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定した場合、角速度センサーデバイス10Xの動作を停止させてもよい。具体的には、判定回路35は、基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定した場合、停止信号SP1をアクティブ、例えばハイレベルやハイパルスに設定して信号処理回路32に出力する。信号処理回路32は、停止信号SP1がアクティブであれば、デジタルインターフェース回路31を介して、角速度センサーデバイス10Xに動作の停止を指示するコマンドを送信し、角速度センサーデバイス10Xは当該コマンドを受けて動作を停止する。
【0075】
同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定した場合、停止信号SP2をアクティブに設定して信号処理回路32に出力することにより、角速度センサーデバイス10Yの動作を停止させてもよい。同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定した場合、停止信号SP3をアクティブに設定して信号処理回路32に出力することにより、角速度センサーデバイス10Zの動作を停止させてもよい。同様に、判定回路35は、基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定した場合、停止信号SP4をアクティブに設定して信号処理回路32に出力することにより、加速度センサーデバイス20の動作を停止させてもよい。
【0076】
メモリー36は、閾値THA,THB等の各種の情報を記憶する不揮発性メモリーを含み、さらに不図示のRAMを含んでもよい。RAMは、Random Access Memoryの略である。RAMは、例えば、信号処理回路32の作業領域として用いられてもよい。ホストデバイス3は、ホストインターフェース回路33を介してメモリー36に対する各種情報の読み出しや書き込みが可能であってもよい。
【0077】
1-6.判定回路の処理手順
次に、判定回路35による判定手順について説明する。
図9は、判定回路35による判定手順の一例を示すフローチャート図である。
【0078】
図9に示すように、まず、工程S10において、判定回路35は、閾値THA,THBを設定する。具体的には、判定回路35は、メモリー36に記憶されている閾値THA,THBを読み出し、読み出した閾値THA,THBを不図示の内部レジスターに設定する。
【0079】
次に、工程S20において、判定回路35は、変数iを1に設定する。そして、工程S30において停止信号SP1が非アクティブである場合、工程S40において、判定回路35は、A/D変換回路34から出力される基準電圧VDDL1のデジタル値DVDDL1を取得する。
【0080】
次に、工程S50において、判定回路35は、デジタル値DVDDL1が閾値THA以
上閾値THB以下の範囲に含まれるか否かを判定する。すなわち、工程S50において、判定回路35は、基準電圧VDDL1が正常範囲にあるか否かを判定する。そして、工程S50においてデジタル値DVDDL1が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、工程S60において、判定回路35は、フラグFVDDL1を正常値に設定する。
【0081】
工程S50においてデジタル値DVDDL1が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、工程S70において、判定回路35は、停止信号SP1をアクティブに設定する。これにより、信号処理回路32は、停止信号SP1を受けて角速度センサーデバイス10Xの動作を停止させる。さらに、工程S80において、判定回路35は、フラグFVDDL1を異常値に設定する。
【0082】
工程S30において停止信号SP1がアクティブである場合は、判定回路35は工程S40~S80の処理を行わない。
【0083】
次に、変数iが1であり、工程S90において変数iが4よりも小さいので、工程S100において、判定回路35は、変数iを1だけ増やして2に設定する。そして、工程S30において停止信号SP2が非アクティブである場合、判定回路35は、工程S40において基準電圧VDDL2のデジタル値DVDDL2を取得し、工程S50においてデジタル値DVDDL2が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、工程S60においてフラグFVDDL2を正常値に設定する。一方、工程S50においてデジタル値DVDDL2が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、判定回路35は、工程S70において停止信号SP2をアクティブに設定し、工程S80においてフラグFVDDL2を異常値に設定する。工程S30において停止信号SP2がアクティブである場合は、判定回路35は工程S40~S80の処理を行わない。
【0084】
次に、変数iが2であり、工程S90において変数iが4よりも小さいので、工程S100において、判定回路35は、変数iを1だけ増やして3に設定する。そして、工程S30において停止信号SP3が非アクティブである場合、判定回路35は、工程S40において基準電圧VDDL3のデジタル値DVDDL3を取得し、工程S50においてデジタル値DVDDL3が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、工程S60においてフラグFVDDL3を正常値に設定する。一方、工程S50においてデジタル値DVDDL3が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、判定回路35は、工程S70において停止信号SP3をアクティブに設定し、工程S80においてフラグFVDDL3を異常値に設定する。工程S30において停止信号SP3がアクティブである場合は、判定回路35は工程S40~S80の処理を行わない。
【0085】
次に、変数iが3であり、工程S90において変数iが4よりも小さいので、工程S100において、判定回路35は、変数iを1だけ増やして4に設定する。そして、工程S30において停止信号SP4が非アクティブである場合、判定回路35は、工程S40において基準電圧VDDL4のデジタル値DVDDL4を取得し、工程S50においてデジタル値DVDDL4が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、工程S60においてフラグFVDDL4を正常値に設定する。一方、工程S50においてデジタル値DVDDL4が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、判定回路35は、工程S70において停止信号SP4をアクティブに設定し、工程S80においてフラグFVDDL4を異常値に設定する。工程S30において停止信号SP4がアクティブである場合は、判定回路35は工程S40~S80の処理を行わない。
【0086】
次に、変数iが4であり、工程S90において変数iが4よりも小さい条件が満たされず、判定回路35は、工程S200において判定を終了するまで、工程S20~S100
の処理を繰り返す。
【0087】
なお、第1実施形態において、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20は、それぞれ、「第1センサーデバイス」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス20が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第1センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス20が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第1基準電圧生成回路」の一例である。また、レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第1基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス20が有する検出回路23は、それぞれ、「第1検出回路」の一例である。また、検出回路13,23が生成する検出信号SDは、それぞれ、「第1検出信号」の一例である。また、処理装置30が有するレギュレーター37は、「電源電圧生成回路」の一例である。
【0088】
1-7.作用効果
以上に説明したように、第1実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置30が有する判定回路35が、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の各々の内部で生成される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示すフラグ情報を生成するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を検出することができる。そして、ホストデバイス3は、フラグ情報に基づいて、計測データに含まれるX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々の信頼性を判断することができるので、計測データに基づく適切な演算を行うことができる。
【0089】
また、第1実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置30が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々が正常範囲にないと判定した場合、異常なデータを生成するおそれがある角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20の各々の動作を停止させることにより、各センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。
【0090】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態のセンサーシステムについて、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0091】
第2実施形態のセンサーシステム1の構成は
図5と同様であるので、その図示及び説明を省略する。また、第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zの機能的な構成は
図6と同様であるので、その図示及び説明を省略する。また、第2実施形態における加速度センサーデバイス20の機能的な構成は
図7と同様であるので、その図示及び説明を省略する。
【0092】
図10は、第2実施形態における処理装置30の構成例を示す図である。
図10において、
図8と同様の構成要素には同じ符号が付されており、その説明を省略又は簡略する。
図10に示すように、第2実施形態における処理装置30は、第1実施形態と同様、デジタルインターフェース回路31、信号処理回路32、ホストインターフェース回路33、A/D変換回路34、判定回路35、メモリー36及びレギュレーター37を含む。
【0093】
第2実施形態では、A/D変換回路34は、端子TVL1から入力される基準電圧VDDL1、端子TVL2から入力される基準電圧VDDL2、端子TVL3から入力される基準電圧VDDL3、端子TVL4から入力される基準電圧VDDL4及びレギュレーター37が生成した電源電圧VDDを、時分割にデジタル信号に変換する。
【0094】
判定回路35は、第1実施形態と同様、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4がそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定する。さらに、第2実施形態では、判定回路35は、電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定する。具体的には、判定回路35は、A/D変換回路34が電源電圧VDDを変換したデジタル値DVDDが所定の範囲に含まれている場合は電源電圧VDDが正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDが所定の範囲に含まれていない場合は電源電圧VDDが正常範囲にないと判定する。この所定の範囲の下限値及び上限値に対応する2つの閾値THC,THDは、メモリー36の不図示の不揮発性メモリーに記憶されており、判定回路35は、当該不揮発性メモリーから閾値THC,THDを読み出して、電源電圧VDDに対する判定を行う。
【0095】
そして、判定回路35は、それぞれの判定結果を示すフラグ情報を生成する。具体的には、第1実施形態と同様、判定回路35は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の判定結果に基づいてフラグFVDDL1,FVDDL2,FVDDL3,FVDDL4をそれぞれ正常値又は異常値に設定する。さらに、第2実施形態では、判定回路35は、電源電圧VDDが正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDを正常値、例えば0に設定し、電源電圧VDDが正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDを異常値、例えば1に設定する。このようにして、判定回路35は、フラグFVDDL1,FVDDL2,FVDDL3,FVDDL4,FVDDを含むフラグ情報を生成する。判定回路35は、ホストデバイス3からのフラグ情報の読み出しコマンドがホストインターフェース回路33を介して入力されると、生成したフラグ情報を、ホストインターフェース回路33を介してホストデバイス3に出力する。
【0096】
第2実施形態のセンサーシステム1のその他の構成及び機能は第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0097】
図11は、第2実施形態における判定回路35による判定手順の一例を示すフローチャート図である。
図11において、
図9と同じ工程には同じ符号が付されており、その説明を省略又は簡略する。
【0098】
図11に示すように、まず、工程S12において、判定回路35は、閾値THA,THB,THC,THDを設定する。具体的には、判定回路35は、メモリー36に記憶されている閾値THA,THB,THC,THDを読み出し、読み出した閾値THA,THB,THC,THDを不図示の内部レジスターに設定する。
【0099】
次に、
図9と同様、判定回路35は、工程S20において変数iを1に設定し、工程S90において変数iが4よりも小さい条件が満たされなくなるまで、工程S30~S100の処理を行う。
【0100】
次に、変数iが4になると、工程S90において変数iが4よりも小さい条件が満たされず、工程S110において、判定回路35は、A/D変換回路34から出力される電源電圧VDDのデジタル値DVDDを取得する。
【0101】
次に、工程S120において、判定回路35は、デジタル値DVDDが閾値THC以上閾値THD以下の範囲に含まれるか否かを判定する。すなわち、工程S120において、判定回路35は、電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定する。そして、工程S1
20においてデジタル値DVDDが閾値THC以上閾値THD以下の範囲に含まれている場合は、工程S130において、判定回路35は、フラグFVDDを正常値に設定する。
【0102】
工程S120においてデジタル値DVDDが閾値THC以上閾値THD以下の範囲に含まれていない場合は、工程S140において、判定回路35は、フラグFVDDを異常値に設定する。
【0103】
そして、判定回路35は、工程S200において判定を終了するまで、工程S20~S140の処理を繰り返す。
【0104】
なお、第2実施形態において、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20は、それぞれ、「第1センサーデバイス」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス20が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第1センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス20が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第1基準電圧生成回路」の一例である。また、レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第1基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス20が有する検出回路23は、それぞれ、「第1検出回路」の一例である。また、検出回路13,23が生成する検出信号SDは、それぞれ、「第1検出信号」の一例である。また、処理装置30が有するレギュレーター37は、「電源電圧生成回路」の一例である。
【0105】
以上に説明した第2実施形態のセンサーシステム1は、第1実施形態のセンサーシステム1と同様の効果を奏する。
【0106】
さらに、第2実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置30が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の元となる電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を間接的に検出することができる。そして、ホストデバイス3は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4及び電源電圧VDDの判定結果を示すフラグ情報に基づいて、計測データに含まれるX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々の信頼性を判断することができるので、計測データに基づく適切な演算を行うことができる。
【0107】
3.第3実施形態
以下、第3実施形態のセンサーシステムについて、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
【0108】
図12は、第3実施形態のセンサーシステム1の構成を示す図である。
図12において、
図5と同様の構成要素には同じ符号が付されており、その説明を省略又は簡略する。
図12に示すように、第3実施形態のセンサーシステム1は、センサーモジュール2とホストデバイス3とを備える。
【0109】
第3実施形態のセンサーモジュール2は、第1実施形態又は第2実施形態と同様、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zと、加速度センサーデバイス20と、処理装置30と、温度センサー40と、を備える。第3実施形態のセンサーモジュール2は、6Dofセンサーデバイス100をさらに備える。DOFは、Degrees Of Freedomの略であ
る。なお、センサーモジュール2は、
図12の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0110】
6Dofセンサーデバイス100は、所定の周期でX軸、Y軸、Z軸の角速度を検出してX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データを含む3軸角速度データを生成する。また、6Dofセンサーデバイス100は、所定の周期でX軸、Y軸、Z軸の加速度を検出してX軸加速度データ、Y軸加速度データ、Z軸加速度データを含む3軸加速度データを生成する。そして、6Dofセンサーデバイス100は、3軸角速度データ及び3軸加速度データを含む6Dofデータの生成を完了する毎に、6Dofデータの準備完了を知らせるデータレディー信号を生成する。このデータレディー信号は、データレディー信号DRDY5として、6Dofセンサーデバイス100の端子TRから出力され、処理装置30の端子TMR5に入力される。
【0111】
6Dofセンサーデバイス100は、端子TCK、端子TDI、端子TDOを介してデジタルインターフェースバスBSに電気的に接続される。処理装置30は、端子TMCS5からチップセレクト信号XMCS5を出力する。チップセレクト信号XMCS5は6Dofセンサーデバイス100の端子TCSに入力される。6Dofセンサーデバイス100の端子TCKには、処理装置30の端子TMCKから出力されるシリアルクロック信号MSCLKが入力される。また、6Dofセンサーデバイス100の端子TDIには、処理装置30の端子TMDOから出力されるシリアルデータ信号MSDIが入力される。
【0112】
6Dofセンサーデバイス100は、チップセレクト信号XMCS5がアクティブのとき、シリアルクロック信号MSCLK及びシリアルデータ信号MSDIに基づいて、インターフェース処理を行う。例えば、シリアルデータ信号MSDIが6Dofデータの読み出しコマンドである場合、6Dofセンサーデバイス100は、端子TDOに6Dofデータを出力する。
【0113】
第3実施形態では、処理装置30は、基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定した場合、角速度センサーデバイス10Xから出力されるX軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるX軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定した場合、角速度センサーデバイス10Yから出力されるY軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるY軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定した場合、角速度センサーデバイス10Zから出力されるZ軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるZ軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。また、処理装置30は、基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定した場合、加速度センサーデバイス20から出力される3軸加速度データに代えて、6Dofデータに含まれる3軸加速度データを用いて各種の演算処理を行う。
【0114】
また、処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4がいずれも正常範囲にあると判定した場合は、6Dofデータを用いずに、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データを用いて各種の演算処理を行い、計測データを生成する。
【0115】
このように、6Dofセンサーデバイス100は、バックアップ用のセンサーであり、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と比較して計測精度は低いが、比較的安価なセンサーである。例えば、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20は、水晶を材料とするセンサー素子を有する高精度なセンサーであり、6Dofセンサーデバイス100は、シリコン基板をMEMS技術で加工した静電容量型のセンサーであってもよい。MEMSは、Micro
Electro Mechanical Systemsの略である。
【0116】
6Dofセンサーデバイス100は、端子TVDに入力される電源電圧VDDに基づいて、ゼロ点に対応する基準電圧を生成する。6Dofセンサーデバイス100が生成する基準電圧は、6Dofセンサーデバイス100の端子TVLから出力され、基準電圧VDDL5として処理装置30の端子TVL5に入力される。処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の少なくとも1つが正常範囲ではないと判定した場合、6Dofデータの少なくとも一部を用いて各種の演算処理を行うので、基準電圧VDDL5が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示すフラグ情報を生成してもよい。基準電圧VDDL5が正常範囲にない場合は、6Dofデータの信頼性が低いことを意味する。例えば、ホストデバイス3は、データレディー信号DRDYが入力される毎に、計測データとともにフラグ情報を読み出し、フラグ情報に基づいて、計測データに含まれる6Dofデータの信頼性が低い場合は、当該6Dofデータを用いずに各種の演算処理を行ってもよいし、6Dofデータの信頼性が低いことを示す情報を不図示の表示装置や音出力装置を介してユーザーに通知してもよい。
【0117】
なお、6Dofセンサーデバイス100が基準電圧を出力する端子TVLを有していない場合は、処理装置30は、当該基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定しなくてもよい。
【0118】
図13は、6Dofセンサーデバイス100の構成例を示す図である。
図13に示すように、6Dofセンサーデバイス100は、センサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZ、駆動回路102、検出回路103、インターフェース回路104及びレギュレーター105を含む。
【0119】
センサー素子101GXは、X軸を検出軸として角速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子101GYは、Y軸を検出軸として角速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子101GZは、Z軸を検出軸として角速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子101AXは、X軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子101AYは、Y軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。また、センサー素子101AZは、Z軸を検出軸として加速度を検出するセンサー素子である。センサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZは、例えば、シリコン基板をMEMS技術で加工して作製されたセンサー素子である。
【0120】
レギュレーター105は、端子TVDから入力される電源電圧VDDに基づいて、センサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZからそれぞれ出力される信号にオフセットを設定するための基準電圧VDDLを生成する基準電圧生成回路である。なお、電源電圧VDDは、6Dofセンサーデバイス100が動作するために必要な電源電圧であり、駆動回路102、検出回路103、インターフェース回路104にも供給される。
【0121】
駆動回路102は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子101GX,101GY,101GZが角速度を検出し、センサー素子101AX,101AY,101AZが加速度を検出可能な状態になるように、センサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZを駆動する回路である。
【0122】
検出回路103は、基準電圧VDDLが供給され、センサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZからそれぞれ出力される信号に基づく検出信号SDを生成する。具体的には、検出回路103は、センサー素子101GX
,101GY,101GZからそれぞれ出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って角速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子101GX,101GY,101GZにそれぞれ加わる角速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。例えば、基準電圧VDDLは、電源電圧VDDの1/2の電圧であってもよい。検出回路103は、当該アナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換してX軸角速度検出信号、Y軸角速度検出信号及びZ軸角速度検出信号を生成する。また、検出回路103は、センサー素子101AX,101AY,101AZからそれぞれ出力される信号を所定の周期で取得し、所定の演算を行って加速度に応じた電圧のアナログ信号を生成する。当該アナログ信号の電圧は、センサー素子101AX,101AY,101AZにそれぞれ加わる加速度がゼロのときに基準電圧VDDLとなる。検出回路103は、当該アナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換してX軸加速度検出信号、Y軸加速度検出信号及びZ軸加速度検出信号を生成する。そして、検出回路103は、X軸角速度検出信号、Y軸角速度検出信号、Z軸角速度検出信号、X軸加速度検出信号、Y軸加速度検出信号及びZ軸加速度検出信号を含む検出信号SDを生成する。また、検出回路103は、検出信号SDの生成を完了する毎に検出信号SDの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYを生成する。検出信号SDはインターフェース回路104に出力され、データレディー信号DRDYは、端子TRから出力され、前述のデータレディー信号DRDY5として処理装置30に入力される。
【0123】
インターフェース回路104は、端子TCSから入力されるチップセレクト信号XMCS5がアクティブのとき、端子TCKから入力されるシリアルクロック信号MSCLK及び端子TDIから入力されるシリアルデータ信号MSDIに基づいて、SPIの通信規格のインターフェース処理を行う。例えば、インターフェース回路104は、端子TDIから入力される読み出しコマンドに応じて、検出回路103から出力される検出信号SDを取得し、取得した検出信号SDをシリアルデータに変換し、端子TDOに出力する。この端子TDOから出力されるシリアルデータは、6Dofデータとして処理装置30に入力される。
【0124】
図14は、第3実施形態における処理装置30の構成例を示す図である。
図14において、
図8又は
図10と同様の構成要素には同じ符号が付されており、その説明を省略又は簡略する。
図14に示すように、第3実施形態における処理装置30は、第1実施形態又は第2実施形態と同様、デジタルインターフェース回路31、信号処理回路32、ホストインターフェース回路33、A/D変換回路34、判定回路35、メモリー36及びレギュレーター37を含む。
【0125】
第3実施形態では、A/D変換回路34は、端子TVL1から入力される基準電圧VDDL1、端子TVL2から入力される基準電圧VDDL2、端子TVL3から入力される基準電圧VDDL3、端子TVL4から入力される基準電圧VDDL4、端子TVL5から入力される基準電圧VDDL5及びレギュレーター37が生成した電源電圧VDDを、時分割にデジタル信号に変換する。
【0126】
判定回路35は、第2実施形態と同様、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4及び電源電圧VDDがそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定する。さらに、第3実施形態では、判定回路35は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の少なくとも1つが正常範囲ではないと判定した場合、基準電圧VDDL5が正常範囲にあるか否かを判定する。具体的には、判定回路35は、A/D変換回路34が基準電圧VDDL5を変換したデジタル値DVDDL5が所定の範囲に含まれている場合は基準電圧VDDL5が正常範囲にあると判定し、デジタル値DVDDL5が所定の範囲に含まれていない場合は基準電圧VDDL5が正常範囲にないと判定する。
【0127】
そして、判定回路35は、それぞれの判定結果を示すフラグ情報を生成する。具体的には、第2実施形態と同様、判定回路35は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4及び電源電圧VDDの判定結果に基づいてフラグFVDDL1,FVDDL2,FVDDL3,FVDDL4,FVDDをそれぞれ正常値又は異常値に設定する。さらに、第3実施形態では、判定回路35は、基準電圧VDDL5が正常範囲にあると判定した場合はフラグFVDDL5を正常値、例えば0に設定し、電源電圧VDDが正常範囲にないと判定した場合はフラグFVDDL5を異常値、例えば1に設定する。このようにして、判定回路35は、フラグFVDDL1,FVDDL2,FVDDL3,FVDDL4,FVDDL5,FVDDを含むフラグ情報を生成する。判定回路35は、ホストデバイス3からのフラグ情報の読み出しコマンドがホストインターフェース回路33を介して入力されると、生成したフラグ情報を、ホストインターフェース回路33を介してホストデバイス3に出力する。
【0128】
信号処理回路32は、第1実施形態又は第2実施形態と同様、デジタルインターフェース回路31を介して、角速度センサーデバイス10Xから出力されるX軸角速度データ、角速度センサーデバイス10Yから出力されるY軸角速度データ、角速度センサーデバイス10Zから出力されるZ軸角速度データ及び加速度センサーデバイス20から出力される3軸加速度データを取得する。さらに、第3実施形態では、信号処理回路32は、デジタルインターフェース回路31を介して、6Dofセンサーデバイス100から出力される6Dofデータを取得する。具体的には、信号処理回路32は、端子TMR5からデータレディー信号DRDY5が入力される毎に、6Dofデータの読み出しコマンドを、デジタルインターフェース回路31を介して6Dofセンサーデバイス100に出力し、6Dofセンサーデバイス100から出力される6Dofデータを、デジタルインターフェース回路31を介して取得する。
【0129】
第3実施形態では、信号処理回路32は、判定回路35が基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあると判定した場合、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データを処理し、判定回路35が基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の少なくとも1つが正常範囲にないと判定した場合、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの少なくとも1つに代えて6Dofデータを処理する。具体的には、判定回路35は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4がそれぞれ正常範囲ではないと判定した場合、切替信号SW1,SW2,SW3,SW4をそれぞれアクティブ、例えばハイレベルに設定して信号処理回路32に出力する。信号処理回路32は、切替信号SW1がアクティブである場合、角速度センサーデバイス10Xから出力されるX軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるX軸角速度データを用いて各種の演算処理を行って計測データを生成する。また、信号処理回路32は、切替信号SW2がアクティブである場合、角速度センサーデバイス10Yから出力されるY軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるY軸角速度データを用いて各種の演算処理を行って計測データを生成する。また、信号処理回路32は、切替信号SW3がアクティブである場合、角速度センサーデバイス10Zから出力されるZ軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるZ軸角速度データを用いて各種の演算処理を行って計測データを生成する。また、信号処理回路32は、切替信号SW4がアクティブである場合、加速度センサーデバイス20から出力される3軸加速度データに代えて、6Dofデータに含まれる3軸加速度データを用いて各種の演算処理を行って計測データを生成する。
【0130】
第3実施形態のセンサーシステム1のその他の構成及び機能は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0131】
図15は、第3実施形態における判定回路35による判定手順の一例を示すフローチャ
ート図である。
図15において、
図9又は
図11と同じ工程には同じ符号が付されており、その説明を省略又は簡略する。
【0132】
図15に示すように、まず、判定回路35は、
図11と同様、工程S12~S50の処理を行う。そして、工程S50においてデジタル値D
VDDL1が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、
図11と同様、工程S60において、判定回路35は、フラグF
VDDL1を正常値に設定する。
【0133】
工程S50においてデジタル値D
VDDL1が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、
図11と同様、工程S70において、判定回路35は、停止信号SP1をアクティブに設定する。また、工程S72において、判定回路35は、切替信号SW1をアクティブに設定する。これにより、信号処理回路32は、角速度センサーデバイス10Xから出力されるX軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるX軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。
【0134】
そして、判定回路35は、工程S90において変数iが4よりも小さい条件が満たされなくなるまで、工程S100において変数iを1だけ増やしながら、工程S30~S80の処理を行う。したがって、この間に、工程S50においてデジタル値DVDDL2が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、工程S72において、判定回路35は、切替信号SW2をアクティブに設定する。これにより、信号処理回路32は、角速度センサーデバイス10Yから出力されるY軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるY軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。また、工程S50においてデジタル値DVDDL3が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、工程S72において、判定回路35は、切替信号SW3をアクティブに設定する。これにより、信号処理回路32は、角速度センサーデバイス10Zから出力されるZ軸角速度データに代えて、6Dofデータに含まれるZ軸角速度データを用いて各種の演算処理を行う。また、工程S50においてデジタル値DVDDL4が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、工程S72において、判定回路35は、切替信号SW4をアクティブに設定する。これにより、信号処理回路32は、加速度センサーデバイス20から出力される3軸加速度データに代えて、6Dofデータに含まれる3軸加速度データを用いて各種の演算処理を行う。
【0135】
次に、判定回路35は、
図11と同様、工程S110~S140の処理を行う。
【0136】
次に、工程S150において、切替信号SW1~SW4の少なくとも1つがアクティブである場合、工程S160において、判定回路35は、A/D変換回路34から出力される基準電圧VDDL5のデジタル値DVDDL5を取得する。
【0137】
次に、工程S170において、判定回路35は、デジタル値DVDDL5が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれるか否かを判定する。すなわち、工程S170において、判定回路35は、基準電圧VDDL5が正常範囲にあるか否かを判定する。そして、工程S170においてデジタル値DVDDL5が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれている場合は、工程S180において、判定回路35は、フラグFVDDL5を正常値に設定する。
【0138】
工程S170においてデジタル値DVDDL5が閾値THA以上閾値THB以下の範囲に含まれていない場合は、工程S190において、判定回路35は、フラグFVDDL5を異常値に設定する。
【0139】
工程S150において切替信号SW1~SW4がすべて非アクティブである場合は、判
定回路35は工程S160~S190の処理を行わない。
【0140】
そして、判定回路35は、工程S200において判定を終了するまで、工程S20~S190の処理を繰り返す。
【0141】
なお、第3実施形態において、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20は、それぞれ、「第1センサーデバイス」の一例である。また、6Dofセンサーデバイス100は、「第2センサーデバイス」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス20が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第1センサー素子」の一例である。また、6Dofセンサーデバイス100が有するセンサー素子101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZは、それぞれ、「第2センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス20が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第1基準電圧生成回路」の一例であり、レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第1基準電圧」の一例である。また、6Dofセンサーデバイス100が有するレギュレーター105は、「第2基準電圧生成回路」の一例であり、レギュレーター105が生成する基準電圧VDDLは、「第2基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス10X,10Y,10Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス20が有する検出回路23は、それぞれ、「第1検出回路」の一例であり、検出回路13,23が生成する検出信号SDは、それぞれ、「第1検出信号」の一例である。また、6Dofセンサーデバイス100が有する検出回路103は、「第2検出回路」の一例であり、検出回路103が生成する検出信号SDは、「第2検出信号」の一例である。また、処理装置30が有するレギュレーター37は、「電源電圧生成回路」の一例である。
【0142】
以上に説明した第3実施形態のセンサーシステム1は、第1実施形態又は第2実施形態のセンサーシステム1と同様の効果を奏する。
【0143】
さらに、第3実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出しない場合は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々を用いて正常な信号処理を行うことができる。また、処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、6Dofデータに含まれる各データを用いて正常な信号処理を行うことができる。また、処理装置30は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4のいずれかの異常を検出した場合は、6Dofセンサーデバイス100の内部で生成される基準電圧VDDL5が正常範囲にあるか否かを判定するので、基準電圧VDDL5の異常を検出することができる。そして、ホストデバイス3は、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4,VDDL5の判定結果を示すフラグ情報に基づいて、計測データに含まれるX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々の信頼性を判断することができるので、計測データに基づく適切な演算を行うことができる。
【0144】
4.第4実施形態
以下、第4実施形態のセンサーシステムについて、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第3実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
【0145】
図16は、第4実施形態のセンサーシステム1の構成を示す図である。
図16に示すように、第4実施形態のセンサーシステム1は、センサーモジュール2とホストデバイス3とを備える。
【0146】
センサーモジュール2は、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zと、加速度センサーデバイス220と、処理装置230と、温度センサー240と、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zと、加速度センサーデバイス320と、処理装置330と、温度センサー340と、演算装置400と、を備える。なお、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z、加速度センサーデバイス220、処理装置230、及び温度センサー240を総称してサブモジュール200と呼び、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z、加速度センサーデバイス320、処理装置330、及び温度センサー340を総称してサブモジュール300と呼ぶことがある。即ち、センサーモジュール2は、サブモジュール200と、サブモジュール300と、演算装置400と、を備えている。
【0147】
角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z、加速度センサーデバイス220、処理装置230及び温度センサー240のそれぞれの機能は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20、処理装置30及び温度センサー40と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z及び加速度センサーデバイス220と処理装置230との接続関係、及び、処理装置230と温度センサー240との接続関係は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と処理装置30との接続関係、及び、処理装置30と温度センサー40との接続関係と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zの具体的な構成は、
図6と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、加速度センサーデバイス220の具体的な構成は、
図7と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、処理装置230の具体的な構成は、ホストインターフェース回路33に代えて演算装置400とのインターフェース回路を有する点を除いて、
図8又は
図10と同様であるため、その図示及び説明を省略する。例えば、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z、加速度センサーデバイス220、処理装置230及び温度センサー240は、第1実施形態又は第2実施形態におけるセンサーモジュール2と同様の構造のサブモジュール200として一体に構成されていてもよい。
【0148】
同様に、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z、加速度センサーデバイス320、処理装置330及び温度センサー340のそれぞれの機能は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20、処理装置30及び温度センサー40と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z及び加速度センサーデバイス320と処理装置330との接続関係、及び、処理装置330と温度センサー340との接続関係は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と処理装置30との接続関係、及び、処理装置30と温度センサー40との接続関係と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zの具体的な構成は、
図6と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、加速度センサーデバイス320の具体的な構成は、
図7と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、処理装置330の具体的な構成は、ホストインターフェース回路33に代えて演算装置400とのインターフェース回路を有する点を除いて、
図8又は
図10と同様であるため、その図示及び説明を省略する。例えば、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z、加速度センサーデバイス320、処理装置330及び温度センサー340は、第1
実施形態又は第2実施形態におけるセンサーモジュール2と同様の構造のサブモジュール300として一体に構成されていてもよい。
【0149】
処理装置230の判定回路35は、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zからそれぞれ出力される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3、加速度センサーデバイス220から出力される基準電圧VDDL4がそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第1フラグ情報を生成する。そして、処理装置230の判定回路35は、第1フラグ情報を演算装置400に出力する。
【0150】
同様に、処理装置330の判定回路35は、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zからそれぞれ出力される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3、加速度センサーデバイス320から出力される基準電圧VDDL4がそれぞれ正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第2フラグ情報を生成する。そして、処理装置330の判定回路35は、第2フラグ情報を演算装置400に出力する。
【0151】
演算装置400は、第1フラグ情報及び第2フラグ情報に基づいて、処理装置230の判定回路35の判定結果及び処理装置330の判定回路35の判定結果を認識する。そして、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定した場合、処理装置230の信号処理回路32が処理して得られたX軸角速度データである第1のX軸角速度データ及び処理装置330の信号処理回路32が処理して得られたX軸角速度データである第2のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のX軸角速度データと第2のX軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをX軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定した場合、第2のX軸角速度データを用いずに第1のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のX軸角速度データをX軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にないと判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL1が正常範囲にあると判定した場合、第1のX軸角速度データを用いずに第2のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第2のX軸角速度データをX軸角速度データとする計測データを生成してもよい。
【0152】
同様に、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定した場合、処理装置230の信号処理回路32が処理して得られたY軸角速度データである第1のY軸角速度データ及び処理装置330の信号処理回路32が処理して得られたY軸角速度データである第2のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のY軸角速度データと第2のY軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをY軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定した場合、第2のY軸角速度データを用いずに第1のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のY軸角速度データをY軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にないと判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL2が正常範囲にあると判定した場合、第1のY軸角速度データを用いずに第2のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第2のY軸角速度データをY軸角速度データとする計測データを生成してもよい。
【0153】
同様に、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定した場合、処理装置230の信号処理回路32が処理して得られたZ軸角速度データである第1のZ軸角速度データ及び処理装置330の信号処理回路32が処理して得られたZ軸角速度データである第2のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のZ軸角速度データと第2のZ軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをZ軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定した場合、第2のZ軸角速度データを用いずに第1のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1のZ軸角速度データをZ軸角速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にないと判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL3が正常範囲にあると判定した場合、第1のZ軸角速度データを用いずに第2のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第2のZ軸角速度データをZ軸角速度データとする計測データを生成してもよい。
【0154】
同様に、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が、加速度センサーデバイス220から出力される基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が、加速度センサーデバイス320から出力される基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定した場合、処理装置230の信号処理回路32が処理して得られた3軸加速度データである第1の3軸加速度データ及び処理装置330の信号処理回路32が処理して得られた3軸加速度データである第2の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1の3軸加速度データと第2の3軸加速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータを3軸加速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定した場合、第2の3軸加速度データを用いずに第1の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第1の3軸加速度データを3軸加速度データとする計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230の判定回路35が基準電圧VDDL4が正常範囲にないと判定し、かつ、処理装置330の判定回路35が基準電圧VDDL4が正常範囲にあると判定した場合、第1の3軸加速度データを用いずに第2の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、演算装置400は、第2の3軸加速度データを3軸加速度データとする計測データを生成してもよい。
【0155】
演算装置400は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに対する一連の演算を行って計測データの生成を完了する毎に、計測データの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYをホストデバイス3に出力する。演算装置400は、
図8又は
図10のホストインターフェース回路33と同様の不図示のホストインターフェース回路を備えており、ホストデバイス3は、データレディー信号DRDYが入力される毎に、計測データの読み出しコマンドを演算装置400に出力して計測データを取得し、各種の演算処理を行う。ホストデバイス3は、データレディー信号DRDYが入力される毎に、計測データとともに第1フラグ情報及び第2フラグ情報を読み出し、第1フラグ情報及び第2フラグ情報に基づいて、計測データに含まれるX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データのうちの信頼性が低いデータを用いずに各種の演算処理を行ってもよいし、信頼性が低いデータに関する情報を不図示の表示装置や音出力装置を介してユーザーに通知してもよい。
【0156】
なお、第4実施形態において、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z
、加速度センサーデバイス220は、それぞれ、「第1センサーデバイス」の一例である。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z、加速度センサーデバイス320は、それぞれ、「第2センサーデバイス」の一例である。また、処理装置230は、「第1処理装置」の一例であり、処理装置330は、「第2処理装置」の一例である。また、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス220が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第1センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス320が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第2センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス220が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第1基準電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第1基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス320が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第2基準電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第2基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス220が有する検出回路23は、それぞれ、「第1検出回路」の一例であり、当該検出回路13,23が生成する検出信号SDは、それぞれ、「第1検出信号」の一例である。また、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス320が有する検出回路23は、それぞれ、「第2検出回路」の一例であり、当該検出回路13,23が生成する検出信号SDは、「第2検出信号」の一例である。また、処理装置230が有するレギュレーター37は、「第1電源電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター37が生成する電源電圧VDDは、「第1電源電圧」の一例である。また、処理装置330が有するレギュレーター37は、「第2電源電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター37が生成する電源電圧VDDは、「第2電源電圧」の一例である。また、処理装置230が有する信号処理回路32は、「第1信号処理回路」の一例であり、処理装置330が有する信号処理回路32は、「第2信号処理回路」の一例である。また、処理装置230が有する判定回路35は、「第1判定回路」の一例であり、処理装置330が有する判定回路35は、「第2判定回路」の一例である。また、第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データは、それぞれ、「第1データ」の一例であり、第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データは、それぞれ、「第2データ」の一例である。
【0157】
以上に説明したように、第4実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置230が有する判定回路35が、角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z及び加速度センサーデバイス220の各々の内部で生成される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第1フラグ情報を生成するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を検出することができる。また、処理装置330が有する判定回路35が、角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z及び加速度センサーデバイス320の各々の内部で生成される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第2フラグ情報を生成するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を検出することができる。
【0158】
そして、演算装置400は、処理装置230,330がいずれもVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出しなかった場合は、処理装置230がX
軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々を処理して得られた第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データと処理装置330がX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々を処理して得られた第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データとの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成することができる。また、演算装置400は、処理装置330がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データの各々を用いて正常な演算を行うことができる。また、処理装置230がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データの各々を用いて正常な演算を行うことができる。したがって、ホストデバイス3は、演算装置400が生成した計測データに基づく適切な演算を行うことができる。
【0159】
また、第4実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置230が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々が正常範囲にないと判定した場合、異常なデータを生成するおそれがある角速度センサーデバイス210X,210Y,210Z及び加速度センサーデバイス220の各々の動作を停止させることにより、各センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。同様に、処理装置330が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々が正常範囲にないと判定した場合、異常なデータを生成するおそれがある角速度センサーデバイス310X,310Y,310Z及び加速度センサーデバイス320の各々の動作を停止させることにより、各センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。
【0160】
また、第4実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール2において、処理装置230が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の元となる電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定することにより、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を間接的に検出することができる。同様に、処理装置230が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の元となる電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定することにより、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を間接的に検出することができる。そして、演算装置400は、適切な演算を行うことができる。
【0161】
第4実施形態のセンサーシステム1において、センサーモジュール2は、サブモジュール200及びサブモジュール300の2つサブモジュールを有していたが、これに加えて他のサブモジュールを備えることで3つ以上のサブモジュールを有していてもよい。この場合、演算装置400は、いずれもVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出しなかった場合は、サブモジュール200、サブモジュール300、及び他のサブモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成することができる。また、演算装置400は、処理装置330がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、サブモジュール200及び他のサブモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、サブモジュール300及び他のサブモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。また、演算装置400は、処理装置230及び処理装置330がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々
の異常を検出した場合は、他のサブモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。
【0162】
5.第5実施形態
以下、第5実施形態のセンサーシステムについて、第1実施形態~第4実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第4実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第4実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
【0163】
図17は、第5実施形態のセンサーシステム1の構成を示す図である。
図17に示すように、第5実施形態のセンサーシステム1は、センサーモジュール500と、センサーモジュール600と、ホストデバイス3と、を備える。
【0164】
センサーモジュール500は、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Zと、加速度センサーデバイス520と、処理装置530と、温度センサー540と、を備える。角速度センサーデバイス510X,510Y,510Z、加速度センサーデバイス520、処理装置530及び温度センサー540のそれぞれの機能は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20、処理装置30及び温度センサー40と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Z及び加速度センサーデバイス520と処理装置530との接続関係、及び、処理装置530と温度センサー540との接続関係は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と処理装置30との接続関係、及び、処理装置30と温度センサー40との接続関係と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Zの具体的な構成は、
図6と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、加速度センサーデバイス520の具体的な構成は、
図7と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、処理装置530の具体的な構成は、
図8又は
図10と同様であるため、その図示及び説明を省略する。すなわち、センサーモジュール500の構成及び機能は、
図5又は
図10に示した第1実施形態又は第2実施形態におけるセンサーモジュール2と同じであるので、その説明を省略する。
【0165】
センサーモジュール600は、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Zと、加速度センサーデバイス620と、処理装置630と、温度センサー640と、を備える。角速度センサーデバイス610X,610Y,610Z、加速度センサーデバイス620、処理装置630及び温度センサー640のそれぞれの機能は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z、加速度センサーデバイス20、処理装置30及び温度センサー40と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Z及び加速度センサーデバイス620と処理装置630との接続関係、及び、処理装置630と温度センサー640との接続関係は、第1実施形態又は第2実施形態における角速度センサーデバイス10X,10Y,10Z及び加速度センサーデバイス20と処理装置30との接続関係、及び、処理装置30と温度センサー40との接続関係と同様であるため、その説明を省略する。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Zの具体的な構成は、
図6と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、加速度センサーデバイス620の具体的な構成は、
図7と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、処理装置630の具体的な構成は、
図8又は
図10と同様であるため、その図示及び説明を省略する。すなわち、センサーモジュール600の構成及び機能は、
図5又は
図10に示した第1実施形態又は第2実施形態におけるセンサーモジュール2と同じであるので、その説明を省略する。
【0166】
処理装置530は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに対する一連の演算を行って計測データの生成を完了する毎に、計測データの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYをホストデバイス3に出力する。ホストデバイス3は、当該データレディー信号DRDYが入力される毎に、処理装置530から計測データ及びフラグ情報を読み出し、第1計測データ及び第1フラグ情報として取得する。
【0167】
処理装置630は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データに対する一連の演算を行って計測データの生成を完了する毎に、計測データの準備完了を知らせるデータレディー信号DRDYをホストデバイス3に出力する。ホストデバイス3は、当該データレディー信号DRDYが入力される毎に、処理装置630から計測データ及びフラグ情報を読み出し、第2計測データ及び第2フラグ情報として取得する。
【0168】
ホストデバイス3は、第1フラグ情報及び第2フラグ情報に基づいて、処理装置530の判定回路35の判定結果及び処理装置630の判定回路35の判定結果を認識する。そして、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が角速度センサーデバイス510Xから出力される基準電圧VDDL1が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が角速度センサーデバイス610Xから出力される基準電圧VDDL1が正常範囲にあることを示す場合、第1計測データに含まれるX軸角速度データである第1のX軸角速度データ及び第2計測データに含まれるX軸角速度データである第2のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のX軸角速度データと第2のX軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをX軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL1が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL1が正常範囲にないことを示す場合、第2のX軸角速度データを用いずに第1のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のX軸角速度データをX軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL1が正常範囲にないことを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL1が正常範囲にあることを示す場合、第1のX軸角速度データを用いずに第2のX軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第2のX軸角速度データをX軸角速度データとしてもよい。
【0169】
同様に、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が角速度センサーデバイス510Yから出力される基準電圧VDDL2が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が角速度センサーデバイス610Yから出力される基準電圧VDDL2が正常範囲にあることを示す場合、第1計測データに含まれるY軸角速度データである第1のY軸角速度データ及び第2計測データに含まれるY軸角速度データである第2のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のY軸角速度データと第2のY軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをY軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL2が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL2が正常範囲にないことを示す場合、第2のY軸角速度データを用いずに第1のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のY軸角速度データをY軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL2が正常範囲にないことを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL2が正常範囲にあることを示す場合、第1のY軸角速度データを用いずに第2のY軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第2のY軸角速度データをY軸角速度データとしてもよい。
【0170】
同様に、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が角速度センサーデバイス510Zから
出力される基準電圧VDDL3が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が角速度センサーデバイス610Zから出力される基準電圧VDDL3が正常範囲にあることを示す場合、第1計測データに含まれるZ軸角速度データである第1のZ軸角速度データ及び第2計測データに含まれるZ軸角速度データである第2のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のZ軸角速度データと第2のZ軸角速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータをZ軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL3が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL3が正常範囲にないことを示す場合、第2のZ軸角速度データを用いずに第1のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1のZ軸角速度データをZ軸角速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL3が正常範囲にないことを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL3が正常範囲にあることを示す場合、第1のZ軸角速度データを用いずに第2のZ軸角速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第2のZ軸角速度データをZ軸角速度データとしてもよい。
【0171】
同様に、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が加速度センサーデバイス520から出力される基準電圧VDDL4が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が加速度センサーデバイス620から出力される基準電圧VDDL4が正常範囲にあることを示す場合、第1計測データに含まれる3軸加速度データである第1の3軸加速度データ及び第2計測データに含まれる3軸加速度データである第2の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1の3軸加速度データと第2の3軸加速度データとの平均値を算出し、当該平均値のデータを3軸加速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL4が正常範囲にあることを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL4が正常範囲にないことを示す場合、第2の3軸加速度データを用いずに第1の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第1の3軸加速度データを3軸加速度データとしてもよい。また、ホストデバイス3は、第1フラグ情報が基準電圧VDDL4が正常範囲にないことを示し、かつ、第2フラグ情報が基準電圧VDDL4が正常範囲にあることを示す場合、第1の3軸加速度データを用いずに第2の3軸加速度データを用いて演算する。例えば、ホストデバイス3は、第2の3軸加速度データを3軸加速度データとしてもよい。
【0172】
そして、ホストデバイス3は、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データを用いて各種の演算処理を行う。ホストデバイス3は、第1フラグ情報及び第2フラグ情報に基づいて、X軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データのうちの信頼性が低いデータを用いずに各種の演算処理を行ってもよいし、信頼性が低いデータに関する情報を不図示の表示装置や音出力装置を介してユーザーに通知してもよい。
【0173】
なお、第5実施形態において、センサーモジュール500は、「第1センサーモジュール」の一例であり、センサーモジュール600は、「第2センサーモジュール」の一例である。また、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Z、加速度センサーデバイス520は、それぞれ、「第1センサーデバイス」の一例である。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Z、加速度センサーデバイス620は、それぞれ、「第2センサーデバイス」の一例である。また、処理装置530は、「第1処理装置」の一例であり、処理装置630は、「第2処理装置」の一例である。また、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス520が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第1センサー素子」の一例である。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Zが有するセンサー素子11、加速度センサーデバイス620が有するセンサー素子21X,21Y,21Zは、それぞれ、「第2センサー素子」の一例である。また、角速度セン
サーデバイス510X,510Y,510Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス520が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第1基準電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第1基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Zが有するレギュレーター15、加速度センサーデバイス620が有するレギュレーター25は、それぞれ、「第2基準電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター15,25が生成する基準電圧VDDLは、それぞれ、「第2基準電圧」の一例である。また、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス520が有する検出回路23は、それぞれ、「第1検出回路」の一例であり、当該検出回路13,23が生成する検出信号SDは、それぞれ、「第1検出信号」の一例である。また、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Zが有する検出回路13、加速度センサーデバイス620が有する検出回路23は、それぞれ、「第2検出回路」の一例であり、当該検出回路13,23が生成する検出信号SDは、「第2検出信号」の一例である。また、処理装置530が有するレギュレーター37は、「第1電源電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター37が生成する電源電圧VDDは、「第1電源電圧」の一例である。また、処理装置630が有するレギュレーター37は、「第2電源電圧生成回路」の一例であり、当該レギュレーター37が生成する電源電圧VDDは、「第2電源電圧」の一例である。また、処理装置530が有する信号処理回路32は、「第1信号処理回路」の一例であり、処理装置630が有する信号処理回路32は、「第2信号処理回路」の一例である。また、処理装置530が有する判定回路35は、「第1判定回路」の一例であり、処理装置630が有する判定回路35は、「第2判定回路」の一例である。また、処理装置530が有するホストインターフェース回路33は、「第1インターフェース回路」の一例であり、処理装置630が有するホストインターフェース回路33は、「第2インターフェース回路」の一例である。また、第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データは、それぞれ、「第1データ」の一例であり、第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データは、それぞれ、「第2データ」の一例である。
【0174】
以上に説明したように、第5実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール500において、処理装置530が有する判定回路35が、角速度センサーデバイス510X,510Y,510Z及び加速度センサーデバイス520の各々の内部で生成される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第1フラグ情報を生成するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を検出することができる。また、センサーモジュール600において、処理装置630が有する判定回路35が、角速度センサーデバイス610X,610Y,610Z及び加速度センサーデバイス620の各々の内部で生成される基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4が正常範囲にあるか否かを判定し、判定結果を示す第2フラグ情報を生成するので、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を検出することができる。
【0175】
ホストデバイス3は、処理装置530,630がいずれもVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出しなかった場合は、処理装置530がX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々を処理して得られた第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データと処理装置630がX軸角速度データ、Y軸角速度データ、Z軸角速度データ及び3軸加速度データの各々を処理して得られた第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データとの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成することができる。また、ホストデバイス3は、処理装置630がVDDL1,VDDL2,VDDL3,
VDDL4の各々の異常を検出した場合は、第1のX軸角速度データ、第1のY軸角速度データ、第1のZ軸角速度データ及び第1の3軸加速度データの各々を用いて正常な演算を行うことができる。また、処理装置530がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、第2のX軸角速度データ、第2のY軸角速度データ、第2のZ軸角速度データ及び第2の3軸加速度データの各々を用いて正常な演算を行うことができる。したがって、ホストデバイス3は、適切な演算を行うことができる。
【0176】
第5実施形態のセンサーシステム1は、センサーモジュール500及びセンサーモジュール600の2つセンサーモジュールを有していたが、これに加えて他のセンサーモジュールを備えることで3つ以上のセンサーモジュールを有していてもよい。この場合、ホストデバイス3は、いずれもVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出しなかった場合は、センサーモジュール500、センサーモジュール600、及び他のセンサーモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成することができる。また、ホストデバイス3は、処理装置530がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、センサーモジュール600及び他のセンサーモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。また、ホストデバイス3は、処理装置630がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、センサーモジュール500及び他のセンサーモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。また、ホストデバイス3は、処理装置530及び処理装置630がVDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々の異常を検出した場合は、他のセンサーモジュールの各軸の角速度データ及び加速度データの平均値のデータを算出することにより、S/N比の高い計測データを生成してもよい。
【0177】
また、第5実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール500において、処理装置530が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々が正常範囲にないと判定した場合、異常なデータを生成するおそれがある角速度センサーデバイス510X,510Y,510Z及び加速度センサーデバイス220の各々の動作を停止させることにより、各センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。同様に、センサーモジュール600において、処理装置630が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の各々が正常範囲にないと判定した場合、異常なデータを生成するおそれがある角速度センサーデバイス610X,610Y,610Z及び加速度センサーデバイス620の各々の動作を停止させることにより、各センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。
【0178】
また、第5実施形態のセンサーシステム1によれば、センサーモジュール500において、処理装置230が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の元となる電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定することにより、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を間接的に検出することができる。同様に、センサーモジュール600において、処理装置630が、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の元となる電源電圧VDDが正常範囲にあるか否かを判定することにより、基準電圧VDDL1,VDDL2,VDDL3,VDDL4の異常を間接的に検出することができる。そして、ホストデバイス3は、適切な演算を行うことができる。
【0179】
6.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0180】
例えば、上記の各実施形態では、センサーモジュール2は3軸角速度及び3軸加速度を検出しているが、センサーモジュール2は、1軸又は2軸の角速度を検出してもよいし、1軸又は2軸の加速度を検出してもよい。また、センサーモジュール2は、角速度を検出しなくてもよいし、加速度を検出しなくてもよい。また、センサーモジュール2が検出する物理量は、角速度や加速度に限られず、例えば、角加速度、速度、距離、圧力、音圧又は磁気量等であってもよい。
【0181】
また、上記の各実施形態では、処理装置30がセンサーモジュール2の姿勢、速度、角度等を演算する例を挙げたが、ホストデバイス3がセンサーモジュール2の姿勢、速度、角度等を演算してもよい。
【0182】
また、上記の各実施形態では、ホストデバイス3が、フラグ情報に基づいて、センサーモジュール2,500,600から取得した各データの信頼性を判断する例を挙げたが、センサーモジュール2,500,600が信頼性の低いデータをホストデバイス3に出力しないようにしてもよい。
【0183】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0184】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0185】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0186】
センサーモジュールの一態様は、
第1センサーデバイスと、
処理装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記処理装置は、
前記電源電圧を生成する電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する判定回路と、を有する。
【0187】
このセンサーモジュールによれば、処理装置が有する判定回路が、第1センサーデバイスの内部で生成される第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定するので、第1基準電圧の異常を検出することができる。
【0188】
前記センサーモジュールの一態様において、
前記判定回路は、前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第1センサーデバイスの動作を停止させてもよい。
【0189】
このセンサーモジュールによれば、異常な第1検出信号を生成するおそれがある第1センサーデバイスの動作を停止させることにより、第1センサーデバイスで無駄に消費される電力を削減することができる。
【0190】
前記センサーモジュールの一態様において、
前記判定回路は、前記電源電圧が正常範囲にあるか否かをさらに判定してもよい。
【0191】
このセンサーモジュールによれば、処理装置が有する判定回路が、第1基準電圧の元となる電源電圧が正常範囲にあるか否かを判定するので、第1基準電圧の異常を間接的に検出することができる。
【0192】
前記センサーモジュールの一態様は、
第2センサーデバイスをさらに備え、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記信号処理回路は、前記判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にあると判定した場合、前記第1検出信号を処理し、前記判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第1検出信号に代えて前記第2検出信号を処理してもよい。
【0193】
このセンサーモジュールによれば、処理装置は、第1基準電圧の異常を検出しない場合は第1検出信号を用いて正常な信号処理を行い、第1基準電圧の異常を検出した場合は第2検出信号を用いて正常な信号処理を行うことができる。
【0194】
前記センサーモジュールの一態様において、
前記第2センサーデバイスは、前記電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路を有し、前記第2検出回路は、前記第2基準電圧が供給されて前記第2検出信号を生成し、
前記判定回路は、前記第1基準電圧が正常範囲ではないと判定した場合、前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定してもよい。
【0195】
このセンサーモジュールによれば、第1基準電圧の異常を検出した場合に、第2センサーデバイスの内部で生成される第2基準電圧の異常を検出することができる。
【0196】
センサーモジュールの他の一態様は、
第1センサーデバイスと、
第1処理装置と、
第2センサーデバイスと、
第2処理装置と、
演算装置と、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、を有し、
前記演算装置は、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にあると判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にないと判定した場合、前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データを用いずに前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データを用いて演算し、
前記第1判定回路が前記第1基準電圧が正常範囲にないと判定し、かつ、前記第2判定回路が前記第2基準電圧が正常範囲にあると判定した場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する。
【0197】
このセンサーモジュールによれば、演算装置は、第2処理装置が第2基準電圧の異常を検出した場合は第1信号処理回路が第1検出信号を処理して得られた第1データを用いて正常な演算を行い、第1処理装置が第1基準電圧の異常を検出した場合は第2信号処理回路が第2検出信号を処理して得られた第2データを用いて正常な演算を行うことができる。
【0198】
センサーシステムの一態様は、
第1センサーデバイス及び第1処理装置を含む第1センサーモジュールと、
第2センサーデバイス及び第2処理装置を含む第2センサーモジュールと、
ホストデバイスと、を備え、
前記第1センサーデバイスは、
第1センサー素子と、
第1電源電圧に基づいて前記第1センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第1基準電圧を生成する第1基準電圧生成回路と、
前記第1基準電圧が供給され、前記第1センサー素子から出力される信号に基づく第1検出信号を生成する第1検出回路と、を有し、
前記第1処理装置は、
前記第1電源電圧を生成する第1電源電圧生成回路と、
前記第1検出信号を処理する第1信号処理回路と、
前記第1基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1信号処理回路が処理して得られた第1データ及び前記第1判定回路の判定結果を示す第1フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第1インターフェース回路と、を有し、
前記第2センサーデバイスは、
第2センサー素子と、
第2電源電圧に基づいて前記第2センサー素子から出力される信号にオフセットを設定するための第2基準電圧を生成する第2基準電圧生成回路と、
前記第2基準電圧が供給され、前記第2センサー素子から出力される信号に基づく第2
検出信号を生成する第2検出回路と、を有し、
前記第2処理装置は、
前記第2電源電圧を生成する第2電源電圧生成回路と、
前記第2検出信号を処理する第2信号処理回路と、
前記第2基準電圧が正常範囲にあるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2信号処理回路が処理して得られた第2データ及び前記第2判定回路の判定結果を示す第2フラグ情報を前記ホストデバイスに出力する第2インターフェース回路と、を有し、
前記ホストデバイスは、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にあることを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にないことを示す場合、前記第2データを用いずに前記第1データを用いて演算し、
前記第1フラグ情報が前記第1基準電圧が正常範囲にないことを示し、かつ、前記第2フラグ情報が前記第2基準電圧が正常範囲にあることを示す場合、前記第1データを用いずに前記第2データを用いて演算する。
【0199】
このセンサーシステムによれば、ホストデバイスは、第2処理装置が第2基準電圧の異常を検出した場合は第1信号処理回路が第1検出信号を処理して得られた第1データを用いて正常な演算を行い、第1処理装置が第1基準電圧の異常を検出した場合は第2信号処理回路が第2検出信号を処理して得られた第2データを用いて正常な演算を行うことができる。
【符号の説明】
【0200】
1…センサーシステム、2…センサーモジュール、3…ホストデバイス、10X,10Y,10Z…角速度センサーデバイス、11…センサー素子、12…駆動回路、13…検出回路、14…インターフェース回路、15…レギュレーター、20…加速度センサーデバイス、20…加速度センサーデバイス、21X,21Y,21Z…センサー素子、22…駆動回路、23…検出回路、24…インターフェース回路、25…レギュレーター、30…処理装置、31…デジタルインターフェース回路、32…信号処理回路、33…ホストインターフェース回路、34…A/D変換回路、35…判定回路、36…メモリー、37…レギュレーター、40…温度センサー、100…6Dofセンサーデバイス、101GX,101GY,101GZ,101AX,101AY,101AZ…センサー素子、102…駆動回路、103…検出回路、104…インターフェース回路、105…レギュレーター、200…サブモジュール、210X,210Y,210Z…角速度センサーデバイス、220…加速度センサーデバイス、230…処理装置、240…温度センサー、300…サブモジュール、310X,310Y,310Z…角速度センサーデバイス、320…加速度センサーデバイス、330…処理装置、340…温度センサー、400…演算装置、500…センサーモジュール、510X,510Y,510Z…角速度センサーデバイス、520…加速度センサーデバイス、530…処理装置、540…温度センサー、600…センサーモジュール、610X,610Y,610Z…角速度センサーデバイス、620…加速度センサーデバイス、630…処理装置、640…温度センサー