(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062547
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】固定治具、及び固定治具付き電流センサー
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20240501BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20240501BHJP
H01F 38/30 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01R15/18 B
H01F27/30 160
H01F38/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170444
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 琢望
【テーマコード(参考)】
2G025
5E043
5E081
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AB14
2G025AC01
5E043FA01
5E043FA04
5E081AA05
5E081CC30
5E081DD25
5E081EE03
(57)【要約】
【課題】測定導体に対する電流センサーの磁気コアの固定作業を容易に行うことができる固定治具を提供する。
【解決手段】固定治具10は、磁気コア31の内側に磁気コア31と同軸に嵌め込まれる錐体形状の治具本体11を備え、治具本体11には、測定導体40が挿入される切込み20が形成されており、切込み20は、治具本体11の中心軸11aに沿って延伸しており、かつ治具本体11の側面11dから中心軸11aまで切り込まれている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センサーが有するリング状の磁気コアを測定導体に対して固定する固定治具であって、
前記磁気コアの内側に前記磁気コアと同軸に嵌め込まれる錐体形状の治具本体を備え、
前記治具本体には、前記測定導体が挿入される切込みが形成されており、
前記切込みは、前記治具本体の中心軸に沿って延伸しており、かつ前記治具本体の側面から前記中心軸まで切り込まれている固定治具。
【請求項2】
前記治具本体は、前記中心軸に沿う方向の一方の端部である第1端部と、前記中心軸に沿う方向の他方の端部である第2端部と、を有しており、
前記中心軸と垂直な断面において前記治具本体に外接する円の直径を前記治具本体の外接円径としたとき、
前記第1端部における前記治具本体の外接円径は、前記磁気コアの内径よりも小さく、
前記第2端部における前記治具本体の外接円径は、前記磁気コアの前記内径よりも大きい請求項1に記載の固定治具。
【請求項3】
前記治具本体は、柔軟性を有している請求項1に記載の固定治具。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の固定治具と、前記電流センサーと、を有する固定治具付き電流センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定治具、及び固定治具付き電流センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電流センサー取り付け装置が開示されている。この電流センサー取り付け装置は、固定座及び固定部材を備えている。固定座は、円盤状フランジと、円盤状フランジ上に設けられた円柱状突出部と、を有している。円盤状フランジの外周から中心にかけて、スリットが形成されている。固定部材は、輪帯状フランジと、輪帯状フランジ下部に設けられた円筒状突出部と、を有している。輪帯状フランジの中央の穴は、円筒状突出部を貫通している。輪帯状フランジの外周から穴にかけて、スリットが形成されている。
【0003】
リング形状の電流センサーを被測定線に取り付ける際には、被測定線を固定座のスリットに挿入し、被測定線を固定座の中央に固定する。その後、電流センサーを固定座の円盤状フランジ上に載せ、固定座の円柱状突出部を固定部材の穴に嵌め入れる。これにより、電流センサーは、固定座の円盤状フランジと固定部材の輪帯状フランジとの間に挟まれて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の電流センサー取り付け装置を用いて電流センサーを被測定線に取り付ける際には、固定座及び固定部材という2つの部品を被測定線及び電流センサーと共に組み立てる必要がある。このため、電流センサーを被測定線に取り付ける作業が煩雑になってしまうという課題があった。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、測定導体に対する電流センサーの磁気コアの固定作業を容易に行うことができる固定治具、及び固定治具付き電流センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る固定治具は、電流センサーが有するリング状の磁気コアを測定導体に対して固定する固定治具であって、前記磁気コアの内側に前記磁気コアと同軸に嵌め込まれる錐体形状の治具本体を備え、前記治具本体には、前記測定導体が挿入される切込みが形成されており、前記切込みは、前記治具本体の中心軸に沿って延伸しており、かつ前記治具本体の側面から前記中心軸まで切り込まれている。
【0008】
本開示に係る固定治具付き電流センサーは、本開示に係る固定治具と、前記電流センサーと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、測定導体に対する電流センサーの磁気コアの固定作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る電流センサーの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る固定治具の構成を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る固定治具の構成を示す模式的な上面図である。
【
図4】実施の形態1に係る固定治具の構成を示す模式的な正面図である。
【
図6】実施の形態1に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す模式的な上面図である。
【
図8】実施の形態1に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る固定治具、及び固定治具付き電流センサーについて説明する。まず、電流センサーの構成及び測定原理について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る電流センサーの構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、電流センサー30は、磁気コア31、巻線32及びシャント抵抗33を有している。磁気コア31は、リング状の形状を有している。磁気コア31の内径はD0である。巻線32は、磁気コア31に巻かれている。シャント抵抗33は、巻線32の両端の間に接続されている。測定導体40は、磁気コア31の内側に通されている。
【0013】
測定導体40に交流の一次電流I1が流れると、磁気コア31には、一次電流I1による磁束Φ1が発生する。磁束Φ1は、巻線32に二次電流I2を誘導する。二次電流I2は、二次電流I2によって磁気コア31に発生する磁束が磁束Φ1を打ち消すように誘導される。二次電流I2は、一次電流I1と比例関係にある。このため、二次電流I2の波形を検出することにより、一次電流I1の波形を得ることができる。
【0014】
測定導体40に流れる電流を電流センサー30によって高精度に測定するため、測定導体40は、磁気コア31の中心に配置され、かつ磁気コア31の中心軸に沿って延伸していることが望ましい。
【0015】
次に、磁気コア31を測定導体40に対して固定する際に用いられる固定治具10について説明する。
図2は、本実施の形態に係る固定治具の構成を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る固定治具の構成を示す模式的な上面図である。
図4は、本実施の形態に係る固定治具の構成を示す模式的な正面図である。
図5は、
図4のV-V断面を示す断面図である。
【0016】
図2~
図5に示すように、固定治具10は、治具本体11を有している。治具本体11は、中心軸11aを中心とした錐体形状を有している。ここで、錐体形状には、円錐、円錐台、角錐、角錐台などの形状が含まれる。本実施の形態の治具本体11は、円錐台形状を有している。
【0017】
治具本体11は、電流センサー30による電流の測定に影響を及ぼさない程度に低い透磁率を有する材料によって形成されている。また、治具本体11は、柔軟性を有している。例えば、治具本体11は、弾性変形可能である。治具本体11の形成材料には、例えば、発泡スチロール、コルク材、ゴム等が用いられる。固定治具10が屋外などの雨風にさらされる環境で使用される場合、治具本体11の形成材料には、例えば、エチレンプロピレンゴム等の耐候性に優れたゴムが用いられる。固定治具10が屋内で使用される場合、治具本体11の形成材料には、例えば、軽量で扱いやすい発泡スチロール又はコルク材が用いられる。
【0018】
治具本体11は、第1端部11b、第2端部11c及び側面11dを有している。第1端部11bは、中心軸11aに沿う方向における治具本体11の一方の端部である。第2端部11cは、中心軸11aに沿う方向における治具本体11の他方の端部である。本実施の形態の治具本体11は円錐台形状を有しているため、第1端部11b及び第2端部11cはいずれも、中心軸11aと垂直な平面状に形成されている。
【0019】
ここで、中心軸11aと垂直な断面において治具本体11に外接する円の直径を、治具本体11の外接円径とする。本実施の形態の治具本体11は円錐台形状を有しているため、上記の断面において治具本体11に外接する円は、側面11dと一致する。この円の中心は、中心軸11a上に位置する。
【0020】
第1端部11bにおける治具本体11の外接円径D1は、第2端部11cにおける治具本体11の外接円径D2よりも小さくなっている(D1<D2)。外接円径D1は、電流センサー30の磁気コア31の内径D0よりも小さくなっている(D1<D0)。外接円径D2は、磁気コア31の内径D0よりも大きくなっている(D2>D0)。
【0021】
側面11dは、治具本体11の外周に位置している。側面11dは、第1端部11bと第2端部11cとの間に形成されている。側面11dは、第2端部11cから第1端部11bに向かって先細りになるテーパー面状に形成されている。
【0022】
側面11dには、スリット状の切込み20が形成されている。切込み20は、治具本体11の中心軸11aに沿って延伸している。切込み20の延伸方向一端部は、第1端部11bまで達している。切込み20の延伸方向他端部は、第2端部11cまで達している。切込み20は、中心軸11aを含む平面に沿って、側面11dから中心軸11aまで切り込まれている。
【0023】
切込み20は、底面20aと、一対の側壁面20b、20cと、によって画定されている。底面20aは、中心軸11aに沿って第1端部11bから第2端部11cまで延伸している。底面20aは、中心軸11aと平行に形成されている。
図5に示すように、底面20aは、中心軸11aよりも切込み20の奥側に位置している。底面20aと中心軸11aとの間の距離L1は、想定される測定導体40の半径に相当する。治具本体11が磁気コア31に嵌め込まれた際に測定導体40を固定できる範囲であれば、距離L1と測定導体40の半径とが異なっていてもよい。
【0024】
側壁面20b及び側壁面20cのそれぞれは、底面20aと側面11dとの間に形成されている。側壁面20b及び側壁面20cのそれぞれは、中心軸11aを含む平面に沿った平面状に形成されている。側壁面20b及び側壁面20cは、隙間を挟んで互いに向かい合っている。側壁面20b及び側壁面20cのそれぞれは、曲面状に形成されていてもよい。側壁面20b及び側壁面20cのそれぞれは、襞状に形成されていてもよい。襞の向きはどの方向であってもよい。
【0025】
固定治具10を用いて磁気コア31を測定導体40に固定する際、切込み20には測定導体40が挿入される。挿入された測定導体40は、底面20aの長手方向に沿って配置される。
図5には、切込み20の底面20aまで挿入された測定導体40が二点鎖線で示されている。
図5に示すように、切込み20の底面20aまで挿入されたときの測定導体40は、中心軸11a上に配置され、かつ中心軸11aと平行に延伸している。
【0026】
固定治具10は、例えば電流センサー30の付属品として、電流センサー30と共に市場に流通し得る。以下の説明では、電流センサー30と固定治具10とを合わせたものを「固定治具付き電流センサー」という場合がある。すなわち、固定治具付き電流センサーは、電流センサー30及び固定治具10を有している。
【0027】
次に、固定治具10を用いて磁気コア31を測定導体40に固定する方法について説明する。まず、治具本体11に形成された切込み20に、測定導体40を挿入する。測定導体40は、切込み20の底面20aまで挿入され、底面20aの長手方向に沿うように配置される。これにより、測定導体40は、中心軸11a上に配置され、かつ中心軸11aと平行に延伸する。
【0028】
次に、測定導体40が切込み20に挿入された状態で、固定治具10の治具本体11を磁気コア31の内側に磁気コア31と同軸に嵌め込む。
図6は、本実施の形態に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す斜視図である。
図7は、本実施の形態に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す模式的な上面図である。
図8は、本実施の形態に係る固定治具が磁気コアに嵌め込まれた状態を示す模式的な正面図である。
【0029】
図6~
図8に示すように、治具本体11は、第1端部11b側から磁気コア31に嵌め込まれる。治具本体11の外接円径D1は磁気コア31の内径D0よりも小さく、治具本体11の外接円径D2は磁気コア31の内径D0よりも大きい。このため、固定治具10が磁気コア31に嵌め込まれる際には、まず側面11dが磁気コア31と接触する。
【0030】
側面11dが磁気コア31と接触した後、固定治具10は、さらに磁気コア31内に押し込まれる。固定治具10は、弾性変形可能な柔軟性を有している。一方、磁気コア31は、固定治具10と比較して高い強度を有している。このため、固定治具10が磁気コア31内に押し込まれると、固定治具10は、
図7中の太矢印で示されるように、側壁面20b及び側壁面20cが互いに近づくように変形し、切込み20が押し潰される。
【0031】
測定導体40は、固定治具10の変形の程度に応じて、側壁面20b及び側壁面20cによって締め付けられる。これにより、測定導体40は、固定治具10に対して固定される。
【0032】
固定治具10の変形の程度は、磁気コア31に対する固定治具10の押し込み度合いに応じて調整可能である。このため、測定導体40の直径が異なっていても、測定導体40を固定治具10に対して固定できる。したがって、1つの固定治具10を多様な種類の測定導体40に適用することができる。ただし、治具本体11が塑性変形を起こすほどの大きい直径を有する測定導体には、固定治具10を適用するのが困難な場合がある。なお、
図6~
図8に示す測定導体40の断面形状は円形であるが、測定導体40の断面形状は、矩形等の他の形状であってもよい。
【0033】
また、固定治具10の側面11dは、固定治具10の弾性復元力によって磁気コア31に押し付けられる。これにより、固定治具10は、磁気コア31に対して固定される。固定治具10をより強固に磁気コア31に固定するために、粘着テープを用いて固定治具10と磁気コア31とを固定してもよい。
【0034】
固定治具10が磁気コア31に対して固定されたとき、固定治具10の中心軸11aは、磁気コア31の中心軸と概ね一致する。これにより、測定導体40は、磁気コア31の中心に配置され、かつ磁気コア31の中心軸に沿って延伸する。したがって、測定導体40に流れる電流を電流センサー30によって高精度に測定することができる。
【0035】
電流の測定が終了すると、磁気コア31から固定治具10が取り外されるとともに、固定治具10の切込み20から測定導体40が取り出される。固定治具10の形状は、固定治具10の弾性復元力によって元の形状に戻る。別の測定導体の電流を測定する場合には、上記と同様の手順により、固定治具10を用いて磁気コア31が別の測定導体に対して固定される。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る固定治具10は、電流センサー30が有するリング状の磁気コア31を測定導体40に対して固定するためのものである。固定治具10は、錐体形状の治具本体11を備えている。治具本体11は、磁気コア31の内側に磁気コア31と同軸に嵌め込まれる。治具本体11には、測定導体40が挿入される切込み20が形成されている。切込み20は、治具本体11の中心軸11aに沿って延伸しており、かつ治具本体11の側面11dから中心軸11aまで切り込まれている。
【0037】
電流センサーにより測定導体の電流を測定する場合、測定導体は、磁気コアの中心に配置され、かつ磁気コアの中心軸に沿って延伸するように位置決めされる。測定導体及び磁気コアのそれぞれが別の治具によって互いに独立して固定されている場合、測定導体を正確に位置決めするのは困難であった。また、エアキャップを測定導体に巻き付けることによって測定導体の位置決めを行う場合、手間と時間を要していた。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、固定治具10、測定導体40及び磁気コア31を組み立てることによって、特別な調整作業を行うことなく、磁気コア31に対する測定導体40の位置決めを行うことができる。したがって、測定導体40に対する磁気コア31の固定作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、固定治具10を構成する部品点数を1つにすることができるため、測定導体40に対する磁気コア31の固定作業を容易に行うことができる。また、固定治具10を構成する部品点数を削減することができるため、固定治具10の保管管理を容易に行うことができる。
【0040】
さらに、本実施の形態では、磁気コア31は、固定治具10によって測定導体40に固定される。このため、同じ条件での電流測定を複数回行う場合においても、測定結果の再現性を高めることができる。
【0041】
磁気コア31に対する測定導体40の位置決めは、治具本体11の錐体形状を利用して自律的に行われる。このため、測定導体40の位置決めを行う作業者の技量に依存せずに、測定導体40の位置決めを確実に行うことができる。したがって、作業者が誰であっても、同じ条件で電流を測定することができる。さらに、測定導体を取り替えながら電流測定を繰り返す繰返し試験においても、磁気コア31に対する測定導体40の位置を各試験で一定にすることができるため、相対値をより正確に測定することができる。
【0042】
磁気コア31が一般的な治具によって測定導体40とは独立して固定されている場合、固定が外れると磁気コア31が落下してしまうおそれがある。これに対し、本実施の形態では、磁気コア31が固定治具10によって測定導体40に固定されているため、磁気コア31の落下を防ぐことができる。
【0043】
本実施の形態に係る固定治具10において、治具本体11は、第1端部11bと、第2端部11cと、を有している。第1端部11bは、中心軸11aに沿う方向の一方の端部である。第2端部11cは、中心軸11aに沿う方向の他方の端部である。中心軸11aと垂直な断面において治具本体11に外接する円の直径を治具本体11の外接円径とする。このとき、第1端部11bにおける治具本体11の外接円径D1は、磁気コア31の内径D0よりも小さく、第2端部11cにおける治具本体11の外接円径D2は、磁気コア31の内径D0よりも大きい。
【0044】
この構成によれば、固定治具10を確実に磁気コア31に嵌め込むことができる。また、外接円径D1よりも大きく外接円径D2よりも小さい内径D0を有する磁気コア31であれば、固定治具10を嵌め込むことができるため、固定治具10を多様な種類の電流センサー30に適用することができる。
【0045】
本実施の形態に係る固定治具10において、治具本体11は、柔軟性を有している。
【0046】
この構成によれば、治具本体11が磁気コア31に嵌め込まれることにより切込み20が押し潰されるため、切込み20内の測定導体40を治具本体11に対して容易に固定することができる。また、測定導体40の直径が異なっていても切込み20内の測定導体40を固定できるため、固定治具10を多様な種類の測定導体40に適用することができる。
【0047】
本実施の形態に係る固定治具付き電流センサーは、固定治具10と、電流センサー30と、を有している。
【0048】
この構成によれば、固定治具10により得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、この構成によれば、磁気コア31を固定するための治具を別途用意しなくても、固定治具10によって磁気コア31を測定導体40に固定することができる。
【0049】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
電流センサーが有するリング状の磁気コアを測定導体に対して固定する固定治具であって、
前記磁気コアの内側に前記磁気コアと同軸に嵌め込まれる錐体形状の治具本体を備え、
前記治具本体には、前記測定導体が挿入される切込みが形成されており、
前記切込みは、前記治具本体の中心軸に沿って延伸しており、かつ前記治具本体の側面から前記中心軸まで切り込まれている固定治具。
(付記2)
前記治具本体は、前記中心軸に沿う方向の一方の端部である第1端部と、前記中心軸に沿う方向の他方の端部である第2端部と、を有しており、
前記中心軸と垂直な断面において前記治具本体に外接する円の直径を前記治具本体の外接円径としたとき、
前記第1端部における前記治具本体の外接円径は、前記磁気コアの内径よりも小さく、
前記第2端部における前記治具本体の外接円径は、前記磁気コアの前記内径よりも大きい付記1に記載の固定治具。
(付記3)
前記治具本体は、柔軟性を有している付記1又は付記2に記載の固定治具。
(付記4)
付記1~付記3のいずれか一項に記載の固定治具と、前記電流センサーと、を有する固定治具付き電流センサー。
【符号の説明】
【0051】
10 固定治具、11 治具本体、11a 中心軸、11b 第1端部、11c 第2端部、11d 側面、20 切込み、20a 底面、20b 側壁面、20c 側壁面、30 電流センサー、31 磁気コア、32 巻線、33 シャント抵抗、40 測定導体、D0 内径、D1 外接円径、D2 外接円径、I1 一次電流、I2 二次電流、L1 距離、Φ1 磁束。