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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062558
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】制御回路、回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
H02M7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170462
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城山 博伸
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006CA01
5H006CA07
5H006CB01
5H006DB01
5H006DC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全波整流回路において交流電流の歪みを抑制する制御回路を提供する。
【解決手段】並列にダイオードを備えた第1~第4スイッチ60~63を制御する制御回路であって、第1ラインL1及び第2ラインL2に交流電圧が印加されている状態で、第1ラインからの電流を流す第1ダイオード50と、第2ラインからの電流を流す第2ダイオード52と、第1ラインへ電流を流す第3ダイオード51と、第2ラインへ電流を流す第4ダイオード53と、がオフするオフ期間を判定する判定部と、オフ期間のうち、第2ダイオード及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、第1ダイオード及び第4ダイオードがオフする第1期間に第1スイッチ及び第4スイッチをオンし、第1ダイオ―ド及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、第2ダイオード及び第3ダイオードがオフする第2期間に第2スイッチ及び第3スイッチをオンする制御部と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、
前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードと、がオフするオフ期間を判定する判定部と、
前記オフ期間のうち、前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第4ダイオードがオフする第1期間に前記第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第2及び第3ダイオードがオフする第2期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、
を含む制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載の制御回路であって、
前記判定部は、
前記交流電圧と、前記コンデンサの電圧とに基づいて前記オフ期間を判定する、
制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載の制御回路であって、
前記回路は、
前記交流電圧を全波整流する第2全波整流回路と、
前記第2全波整流回路からの第2整流電圧を分圧する第1分圧回路と、
前記コンデンサの電圧を分圧する第2分圧回路と、
を含み、
前記判定部は、
前記第1分圧回路の第1分圧電圧と、前記第2分圧回路の第2分圧電圧とに基づいて、前記オフ期間を判定する、
制御回路。
【請求項4】
請求項1に記載の制御回路であって、
前記回路は、
前記第3又は第4ダイオードに流れる電流を検出する抵抗を含み、
前記判定部は、
前記第3又は第4ダイオードに流れる電流に基づいて、前記オフ期間を判定する、
制御回路。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の制御回路であって、
前記制御部は、
前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高いか否かを検出する第1検出回路と、
前記第2ラインの電圧が前記第1ラインの電圧より高いか否かを検出する第2検出回路と、
前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高い場合、前記オフ期間に前記第1及び第4スイッチをオンし、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より低い場合、前記オフ期間に前記第2及び第3スイッチをオンするスイッチ制御回路と、
を含む制御回路。
【請求項6】
請求項1に記載の制御回路であって、
前記判定部は、
前記交流電圧の実効値と、前記交流電圧の周波数と、前記交流電圧に基づいて動作する負荷の消費電力と、前記コンデンサの容量値とに基づいて、第3期間を算出する算出部と、
前記交流電圧がゼロとなるタイミングと、前記第3期間とに基づいて、前記オフ期間を判定するオフ期間判定部と、
を含む制御回路。
【請求項7】
第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、
前記交流電圧の実効値と、前記交流電圧の周波数と、前記交流電圧に基づいて動作する負荷の消費電力と、前記コンデンサの容量値とに基づいて、前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードとがオフする所定期間を算出する算出部と、
前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第2ラインに流れる電流がゼロとなった後、前記第1及び第4ダイオードがオフする前記所定期間に前記第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第1及び第2ラインに電流がゼロとなった後、前記第2及び第3ダイオードがオフする前記所定期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、
を含む制御回路。
【請求項8】
第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、
前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサと、
前記第1~第4スイッチを制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードと、がオフするオフ期間を判定する判定部と、
前記オフ期間のうち、前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第4ダイオードがオフする第1期間に第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第2及び第3ダイオードがオフする第2期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、
を含む回路。
【請求項9】
第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、
前記第1ラインに流れる電流の向きを判定する第1判定回路と、
前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高いか否かを判定する第2判定回路と、
前記電流が前記第2ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高い場合、前記第1及び第4スイッチをオンし、前記電流が前記第1ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より低い場合、前記第2及び第3スイッチをオンするオン回路と、
を含む制御回路。
【請求項10】
第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、
前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサと、
前記第1~第4スイッチを制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1ラインに流れる電流の向きを判定する第1判定回路と、
前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高いか否かを判定する第2判定回路と、
前記電流が前記第2ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高い場合、前記第1及び第4スイッチをオンし、前記電流が前記第1ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より低い場合、前記第2及び第3スイッチをオンするオン回路と、
を含む回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、及び回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、全波整流回路、平滑化コンデンサ、及び力率改善回路を用いたAC-DCコンバータがある。また、このようなAC-DCコンバータでは、交流電圧と、平滑化コンデンサの電圧との関係により、全波整流回路を構成するダイオードがオフすることがある。この結果、AC-DCコンバータの交流電流が流れなくなり、交流電流に歪みが生じる(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-251951号公報
【特許文献2】国際公開第2021/210289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、全波整流回路において交流電流の歪みを抑制することが可能な制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する本発明の第1の態様は、第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードと、がオフするオフ期間を判定する判定部と、前記オフ期間のうち、前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第4ダイオードがオフする第1期間に第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第2及び第3ダイオードがオフする第2期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、を含む。
【0006】
前述した課題を解決する本発明の第2の態様は、第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、前記交流電圧の実効値と、前記交流電圧の周波数と、前記交流電圧に基づいて動作する負荷の消費電力と、前記コンデンサの容量値とに基づいて、前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードとがオフする所定期間を算出する算出部と、前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第2ラインに流れる電流がゼロとなった後、前記第1及び第4ダイオードがオフする前記所定期間に前記第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第1及び第2ラインに電流がゼロとなった後、前記第2及び第3ダイオードがオフする前記所定期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、を含む。
【0007】
また、前述した課題を解決する本発明の第3の態様は、第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサと、前記第1~第4スイッチを制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記第1及び第2ラインに前記交流電圧が印加されている状態で、前記第1ラインからの電流を流す前記第1ダイオードと、前記第2ラインからの電流を流す前記第2ダイオードと、前記第1ラインへ電流を流す前記第3ダイオードと、前記第2ラインへ電流を流す第4ダイオードと、がオフするオフ期間を判定する判定部と、前記オフ期間のうち、前記第2及び第3ダイオードがオフしている第1状態において、前記第1及び第4ダイオードがオフする第1期間に第1及び第4スイッチをオンし、前記第1及び第4ダイオードがオフしている第2状態において、前記第2及び第3ダイオードがオフする第2期間に前記第2及び第3スイッチをオンする制御部と、を含む。
【0008】
また、前述した課題を解決する本発明の第4の態様は、第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサとを備える回路の前記第1~第4スイッチを制御する制御回路であって、前記第1ラインに流れる電流の向きを判定する第1判定回路と、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高いか否かを判定する第2判定回路と、前記電流が前記第2ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高い場合、前記第1及び第4スイッチをオンし、前記電流が前記第1ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より低い場合、前記第2及び第3スイッチをオンする論理回路と、を含む。
【0009】
また、前述した課題を解決する本発明の第5の態様は、第1~第4ダイオード、及び前記第1~第4ダイオードにそれぞれ並列に接続される第1~第4スイッチを含み、第1及び第2ラインに印加される交流電圧を整流する第1全波整流回路と、前記交流電圧が整流された第1整流電圧が印加されるコンデンサと、前記第1~第4スイッチを制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記第1ラインに流れる電流の向きを判定する第1判定回路と、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高いか否かを判定する第2判定回路と、前記電流が前記第2ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より高い場合、前記第1及び第4スイッチをオンし、前記電流が前記第1ラインから前記第1全波整流回路へ流れ、前記第1ラインの電圧が前記第2ラインの電圧より低い場合、前記第2及び第3スイッチをオンする論理回路と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全波整流回路において交流電流の歪みを抑制することが可能な制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】AC-DCコンバータ10aの一例を示す図である。
図2】全波整流回路20a及び制御ブロック23aの一例を示す図である。
図3】制御回路100aの一例を示す図である。
図4】ドライバ回路200~203の一例を示す図である。
図5】制御ブロック23aの主要な波形を示す図である。
図6】期間P0における電流経路を説明するための図である。
図7】期間P1における電流経路を説明するための図である。
図8】期間P2における電流経路を説明するための図である。
図9】期間P3における電流経路を説明するための図である。
図10】全波整流回路20b及び制御ブロック23bの一例を示す図である。
図11】制御回路100bの一例を示す図である。
図12】制御ブロック23bの主要な波形を示す図である。
図13】全波整流回路20c及び制御ブロック23cの一例を示す図である。
図14】制御回路100cの一例を示す図である。
図15】制御ブロック23cの主要な波形を示す図である。
図16】AC-DCコンバータ10d及び制御ブロック23dの一例を示す図である。
図17】制御回路100dの一例を示す図である。
図18】制御ブロック23dの主要な波形を示す図である。
図19】AC-DCコンバータ10e及び制御ブロック23eの一例を示す図である。
図20】制御回路100eの一例を示す図である。
図21】制御ブロック23eの主要な波形を示す図である。
図22】AC-DCコンバータ10f及び制御ブロック23fの一例を示す図である。
図23】制御回路100fの一例を示す図である。
図24】制御ブロック23fの主要な波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。なお、以下、本実施形態の「回路」には、アナログ回路、ワイヤ―ドロジック型の論理回路のみならず、DSP(Digital Signal Processor)やマイコン等に含まれ、デジタル演算処理を実行可能な機能ブロック(または、手段)も含むこととする。また、以下、同一の構成には同一の参照符号を付し、同一の構成については説明を省略する。
【0013】
=====本実施形態=====
<<<AC-DCコンバータ10aの概要>>>
図1は、本発明の一実施形態であるAC-DCコンバータ10aの構成を示す図である。AC-DCコンバータ10aは、端子T1,T2に印加される商用電源の交流電圧Vacから、目的レベルの出力電圧Voutを生成し、負荷11に電力を供給する。なお、端子T1が接続されるラインをラインL1とし、端子T2が接続されるラインをラインL2とする。また、ラインL1は、「第1ライン」に相当し、ラインL2は、「第2ライン」に相当する。
【0014】
AC-DCコンバータ10aは、全波整流回路20a、コンデンサ21、力率改善回路22、制御ブロック23aを含んで構成される。全波整流回路20aは、詳細は後述するが、ラインL1,L2に印加される所定の交流電圧Vacを全波整流し、整流電圧Vrec1として、コンデンサ21及びトランス30の主コイルLa(後述)に出力する。なお、交流電圧Vacは、例えば、実効値が100~240V、周波数が50~60Hzの電圧である。なお、以下、本実施形態では、基本的に電圧は基準点(図中のGND)に対する電位差であるが、交流電圧Vacは、端子間電圧を示す。なお、以降、図中のGNDの電位を適宜「接地電位」と称する。
【0015】
また、本実実施形態において、交流電圧Vacが0Vの場合(つまり、ラインL1,L2間の電位差がゼロの場合)、ラインL1,L2の電位が、ともに接地電位(0V)となるよう、ラインL1,L2には、後述の全波整流回路20a等の各種回路が接続されている。したがって、本実施形態では、ラインL1の電圧VL1と、ラインL2の電圧VL2とが等しくなる場合に、交流電圧Vacは0Vとなる。さらに、本実施形態では、ラインL1の電圧VL1が、ラインL2の電圧VL2より高い場合、交流電圧Vacのレベルは正(>0)となり、ラインL1の電圧VL1が、ラインL2の電圧VL2より低い場合、交流電圧Vacのレベルは負(<0)となる。
【0016】
また、商用電源が、ラインL1,L2に流す電流を交流電流Iacとし、交流電流Iacが図1に示す矢印の方向(端子T1から後述する全波整流回路20aへの方向)に流れる場合、交流電流Iacは正の電流であるものとする。一方、交流電流Iacが図1に示す矢印の向きとは逆方向に流れる場合、交流電流Iacは負の電流であるものとする。
【0017】
全波整流回路20aについての詳細は、後述するが、全波整流回路20aは、「第1全波整流回路」に相当する。
【0018】
コンデンサ21は、整流電圧Vrec1が印加され、整流電圧Vrec1を平滑化する。なお、整流電圧Vrec1は、「第1整流電圧」に相当する。
【0019】
力率改善回路22は、トランス30、ダイオード31、コンデンサ32、力率改善IC33、NMOSトランジスタ34、及び抵抗40,41を含んで構成される。トランス30の主コイルLa、ダイオード31、コンデンサ32、及びNMOSトランジスタ34は、昇圧チョッパー回路を構成する。このため、コンデンサ32の充電電圧が直流の出力電圧Voutとなる。
【0020】
トランス30は、主コイルLaと、主コイルLaに磁気的に結合された補助コイルLbとを有する。ここで、本実施形態では、補助コイルLbに生じる電圧が、主コイルLaに生じる電圧とは極性が逆になるよう、補助コイルLbは巻かれている。そして、力率改善IC33(後述)の端子ZCDには、補助コイルLbで発生する電圧Vzcdが印加される。
【0021】
力率改善IC33は、AC-DCコンバータ10aの入力力率を改善しつつ、出力電圧Voutのレベルが目的レベル(例えば、400V)となるよう、NMOSトランジスタ34のスイッチングを制御する集積回路である。具体的には、力率改善IC33は、主コイルLaに流れるインダクタ電流IL、及び出力電圧Voutに基づいて、NMOSトランジスタ34を駆動する。なお、力率改善IC33には、端子ZCD,FB,OUTが設けられている。
【0022】
NMOSトランジスタ34は、AC-DCコンバータ10aの負荷11への電力を制御するためのパワートランジスタである。なお、本実施形態では、NMOSトランジスタ34は、N型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであることとしたが、これに限られず、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、バイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子であっても良い。また、NMOSトランジスタ34のゲート電極は、端子OUTに接続されている。
【0023】
抵抗40,41は、出力電圧Voutを分圧する分圧回路を構成し、NMOSトランジスタ34をスイッチングする際に用いられる帰還電圧Vfbを生成する。なお、抵抗40,41が接続されるノードに生成される帰還電圧Vfbは、端子FBに印加される。
【0024】
==力率改善回路22の動作の簡単な説明==
力率改善回路22は、交流電圧Vacの位相と、交流電流Iacの位相とを一致させ、力率を改善するよう動作する。また、力率改善回路22において、力率改善IC33は、帰還電圧Vfbと、インダクタ電流ILとに基づいて、主コイルLaにインダクタ電流ILを流すNMOSトランジスタ34のスイッチングを制御する。
【0025】
具体的には、力率改善IC33は、インダクタ電流ILがゼロとなると、NMOSトランジスタ34をオンし、帰還電圧Vfbに応じた期間が経過すると、NMOSトランジスタ34をオフする。これにより、インダクタ電流ILは、ゼロと、整流電圧Vrec1に応じたピーク電流との間で電流値が変化する。そして、結果として、インダクタ電流ILを平均化すると、交流電圧Vacの位相と、インダクタ電流ILの平均電流(すなわち、交流電流Iac)の位相とが一致することとなる。なお、力率改善回路22に関する更なる詳細は省略する。
【0026】
制御ブロック23aは、詳細は後述するが、交流電圧Vacと、コンデンサ21の電圧Vrec1とに基づいて全波整流回路20aを制御する。
【0027】
<<<全波整流回路20a及び制御ブロック23aについて>>>
==全波整流回路20aの構成==
図2は、全波整流回路20a及び制御ブロック23aの一例を示す図である。全波整流回路20aは、交流電圧Vacを全波整流し整流電圧Vrec1を生成する。全波整流回路20aは、ダイオード50~53、及びNMOSトランジスタ60~63を含んで構成される。また、ダイオード50~53は、ダイオードブリッジを構成する。具体的には、ダイオード50は、アノードがラインL1に接続され、カソードがコンデンサ21に接続され、ラインL1からの交流電流Iacをコンデンサ21に流す。そして、ダイオード51は、アノードがラインL2に接続され、カソードがコンデンサ21に接続され、ラインL2からの交流電流Iacをコンデンサ21に流す。
【0028】
また、ダイオード52は、アノードが接地に接続され、カソードがラインL1に接続され、接地からラインL1へ交流電流Iacを流す。そして、ダイオード53は、アノードが接地に接続され、カソードがラインL2に接続され、接地からラインL2へ交流電流Iacを流す。
【0029】
また、詳細は後述するが、交流電圧Vacのレベルが正の場合、ダイオード50,53がオンし、正の方向に交流電流Iacは流れる。また、この時、整流後の接地電圧GNDを基準にラインL1及びラインL2の電位を考えると、ラインL1の電位が正電位となり、ラインL2の電位がほぼゼロとなる。なお、ここでは、ラインL1の電圧VL1が、コンデンサ21の電圧Vrec1より、ダイオード50の順方向電圧だけ高くならないと、ダイオード50はオンしない。また、ラインL2の電圧VL2が、接地電圧より、ダイオード53の順方向電圧だけ低くならないと、ダイオード53はオンしない。
【0030】
また、交流電圧Vacのレベルが負の場合、ダイオード51,52がオンし、負の方向に交流電流Iacは流れる。また、この時、整流後の接地電圧GNDを基準にラインL1及びラインL2の電位を考えると、ラインL1の電位がほぼゼロとなり、ラインL2の電位が正電位となる。なお、ここでは、ラインL2の電圧VL2が、コンデンサ21の電圧Vrec1より、ダイオード51の順方向電圧だけ高くならないと、ダイオード51はオンしない。また、ラインL1の電圧VL1が、接地電圧より、ダイオード52の順方向電圧だけ低くならないと、ダイオード52はオンしない。
【0031】
また、NMOSトランジスタ60~63は、交流電流Iacの歪を抑制すべく、交流電流Iacを連続的に流すための素子であり、ダイオード50~53のそれぞれに並列接続されている。
【0032】
例えば、NMOSトランジスタ60は、ダイオード50と並列に接続されている。そして、NMOSトランジスタ60は、ラインL1の電圧VL1が正電圧であるにも関わらず、ダイオード50がオフしている期間にオンされる。この結果、コンデンサ21からラインL1へ交流電流Iacが流れるため、交流電流Iacを連続的に変化させることができる。
【0033】
また、ダイオード50,51は、コンデンサ21の高電位側にカソードが接続されるダイオードであるため、高電位側のダイオードと称し、ダイオード52,53は、コンデンサ21の低電位側にアノードが接続されるダイオードであるため、低電位側のダイオードと称する。なお、ダイオード50~53は、「第1~第4ダイオード」に相当し、NMOSトランジスタ60~63は、「第1~第4スイッチ」に相当する。
【0034】
==制御ブロック23aの構成==
制御ブロック23aは、交流電流Iacの歪みを抑制すべく、NMOSトランジスタ60~63のスイッチングを制御するブロックである。具体的には、制御ブロック23aは、交流電圧Vacのレベルが正であり、ラインL1の電圧VL1が正電圧である状態で、ダイオード50,53がオフする期間PAに、NMOSトランジスタ60,63をオンする。また、制御ブロック23aは、交流電圧Vacのレベルが負であり、ラインL2の電圧VL2が正電圧である状態で、ダイオード51,52がオフする期間PBに、NMOSトランジスタ61,62をオンする。これにより、ダイオード50~53がオフしている状態であっても、交流電流Iacを連続的に変化させることができるため、交流電流Iacの歪みを抑制することができる。なお、期間PAは、「第1期間」に相当し、期間PBは、「第2期間」に相当する。
【0035】
制御ブロック23aは、ダイオード70,71、抵抗72,73,80,81,90~93、制御回路100a、及びドライバ回路200~203を含んで構成される。
【0036】
ダイオード70,71は、全波整流回路を構成する。ダイオード70は、アノードがラインL1に接続され、カソードがダイオード71のカソードと接続される。そして、ダイオード71は、アノードがラインL2に接続され、カソードが抵抗72の一端に接続される。また、ダイオード70,71のカソードには、交流電圧Vacを全波整流した整流電圧Vrec2が生成される。なお、ダイオード70,71は、「第2全波整流回路」に相当し、整流電圧Vrec2は、「第2整流電圧」に相当する。
【0037】
抵抗72,73は、整流電圧Vrec2を分圧する分圧回路を構成し、抵抗72の他端と、抵抗73の一端とが接続され、抵抗73の他端は接地される。また、抵抗72と抵抗73との接続点には、整流電圧Vrec2を分圧した電圧Vrec2dが生成される。なお、抵抗72,73は、「第1分圧回路」に相当し、電圧Vrec2dは、「第1分圧電圧」に相当する。
【0038】
抵抗80,81は、コンデンサ21に印加される整流電圧Vrec1を分圧する分圧回路を構成し、抵抗80の一端には、整流電圧Vrec1が印加され、抵抗80の他端と、抵抗81の一端とが接続され、抵抗81の他端は接地される。また、抵抗80と抵抗81との接続点には、整流電圧Vrec1を分圧した電圧Vrec1dが生成される。本実施形態では、電圧Vrec1と、電圧Vrec2とを正確に比較できるよう、抵抗72,73による分圧比は、抵抗80,81による分圧比と同じように設定される。
【0039】
そして、本実施形態において、電圧Vrec1dと、電圧Vrec2dとを比較することにより、ラインL1の電圧VL1がコンデンサ21の電圧Vrec1よりダイオード50の順方向電圧だけ高いか否かを検出することができる。これにより、ラインL1の電圧VL1が正電圧の場合に、ダイオード50がオン又はオフしているかを検出することができる。
【0040】
同様に、電圧Vrec1dと、電圧Vrec2dとを比較することにより、ラインL2の電圧VL2がコンデンサ21の電圧Vrec1よりダイオード51の順方向電圧だけ高いか否かを検出することができる。これにより、ラインL2の電圧VL2が正電圧の場合に、ダイオード51がオン又はオフしているかを検出することができる。
【0041】
また、詳細は後述するが、ダイオード52は、ダイオード51のオン又はオフに合わせてオン又はオフする。同様に、ダイオード53は、ダイオード50のオン又はオフに合わせてオン又はオフする。なお、抵抗80,81は、「第2分圧回路」に相当し、電圧Vrec1dは、「第2分圧電圧」に相当する。
【0042】
抵抗90,91は、ラインL1の電圧VL1が正電圧であるか否かを後述する制御回路100aで検出させるための電圧VL1dを生成する分圧回路である。
【0043】
抵抗90の一端はラインL1に接続され、抵抗90の他端と、抵抗91の一端とが接続され、抵抗91の他端は接地される。また、抵抗90と抵抗91との接続点には、ラインL1の電圧VL1を分圧した電圧VL1dが生成される。
【0044】
抵抗92,93は、ラインL2の電圧VL2が正電圧であるか否かを制御回路100aで検出させるための電圧VL2dを生成する分圧回路である。
【0045】
抵抗92の一端はラインL2に接続され、抵抗92の他端と、抵抗93の一端とが接続され、抵抗93の他端は接地される。また、抵抗92と抵抗93との接続点には、ラインL2の電圧VL2を分圧した電圧VL2dが生成される。
【0046】
===制御回路100aの構成===
図3は、制御回路100aの一例を示す図である。制御回路100aは、電圧Vrec1d,Vrec2dと、電圧VL1d,VL2dとに基づいて、ダイオード50,53がオフする期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0と、ダイオード51,52がオフする期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1とを出力する。
【0047】
詳細は後述するが、本実施形態の制御回路100aは、交流電圧Vacと、コンデンサ21の電圧とに基づいて、ダイオード50~53がオフするオフ期間Pを判定する。そして、制御回路100aは、オフ期間Pのうち、ダイオード51,52がオフしている状態において、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、ダイオード50,53がオフしている状態において、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。なお、ダイオード51,52がオフしている状態は、「第1状態」に相当し、ダイオード50,53がオフしている状態は、「第2状態」に相当する。
【0048】
制御回路100aは、判定部110a、制御部111aを含む。判定部110aは、電圧Vrec1dと、電圧Vrec2dとを比較する比較回路120であり、交流電圧Vacと、コンデンサ21の電圧とに基づいてオフ期間Pを判定する。
【0049】
ところで、上述のように、ラインL1の電圧VL1が正電圧であり、かつ電圧Vrec1dが電圧Vrec2dより高い場合、ダイオード50はオフし、同様に、ダイオード53もオフする。また、ラインL2の電圧V2が正電圧であり、かつ電圧Vrec1dが電圧Vrec2dより高い場合、ダイオード51はオフし、同様にダイオード52もオフする。
【0050】
比較回路120は、電圧Vrec1dが電圧Vrec2dより高い場合、NMOSトランジスタ60,63又はNMOSトランジスタ61,62の何れかをオンすべく、ハイレベル(以下、“H”レベルと称する。)のオフ期間Pを示す信号を出力する。一方、比較回路120は、電圧Vrec1dが電圧Vrec2dより低い場合、ローレベル(以下、“L”レベルと称する。)の信号を出力する。
【0051】
制御部111aは、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。具体的には、制御部111aは、ラインL1,L2のそれぞれの電圧VL1,VL2の関係と、期間Pを示す比較回路120からの信号とに基づいて、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号S0、及びNMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号S1を出力する。
【0052】
制御部111aは、比較回路121,122、AND回路123,124を含んで構成される。本実施形態では、交流電圧Vacのレベルが正であり、ラインL1の電圧VL1が正電圧である場合、電圧VL1dは接地電圧より高くなり、電圧VL2dは接地電圧より低くなる。
【0053】
一方、交流電圧Vacのレベルが負であり、ラインL2の電圧VL2が正電圧である場合、電圧VL1dは接地電圧より低くなり、電圧VL2dは接地電圧より高くなる。したがって、比較回路121は、電圧VL1dと、接地電圧とを比較し、ラインL1の電圧VL1が正電圧であるか否かを検出する。同様に、比較回路122は、電圧VL2dと、接地電圧とを比較し、ラインL2の電圧VL2が正電圧であるか否かを検出する。
【0054】
ここでは、電圧VL1d,VL2dと、接地電圧とを比較することとしたが、電圧VL1d,VL2dと比較する電圧は、ほぼ接地電圧であればよく、適宜接地電圧より微小に高い所定レベルであってもよい。なお、比較回路121は、「第1検出回路」に相当し,比較回路122は、「第2検出回路」に相当する。
【0055】
AND回路123は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より高い場合、期間PにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号を出力する。一方、AND回路123は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より低い場合、又は期間Pではない場合、NMOSトランジスタ60,63をオフする信号を出力する。AND回路123は、比較回路120からの信号と、比較回路121からの信号との論理積を演算し、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号を出力する。
【0056】
AND回路124は、ラインL2の電圧VL2がラインL1の電圧VL1より高い場合、期間PにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号を出力する。一方、AND回路124は、ラインL2の電圧VL2がラインL1の電圧VL1より低い場合、又は期間Pではない場合、NMOSトランジスタ61,62をオフする信号を出力する。AND回路124は、比較回路120からの信号と、比較回路122からの信号との論理積を演算し、NMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号を出力する。なお、AND回路123,124は、「スイッチ制御回路」に相当する。また、制御部111aにドライバ回路200~203を含めた回路は、「制御部」に相当する。
【0057】
===ドライバ回路200~203の一例===
図4は、図2のドライバ回路(DRV)200~203の一例を示す図である。ドライバ回路200~203は、信号S0又はS1に基づいて、それぞれNMOSトランジスタ60~63をオンオフする。具体的には、(a)に示すドライバ回路200は、“H”レベルの信号S0に基づいてNMOSトランジスタ60をオンする電圧Vdrvの信号S0Hを出力する。一方、ドライバ回路200は、“L”レベルの信号S0に基づいて、NMOSトランジスタ60をオフする電圧VL1の信号S0Hを出力する。
【0058】
また、(b)に示すドライバ回路201は、“H”レベルの信号S1に基づいてNMOSトランジスタ61をオンする電圧Vdrvの信号S1Hを出力する。一方、ドライバ回路201は、“L”レベルの信号S1に基づいて、NMOSトランジスタ61をオフする電圧VL2の信号S1Hを出力する。
【0059】
また、(c)に示すドライバ回路202は、“H”レベルの信号S1に基づいてNMOSトランジスタ62をオンする電圧Vccの信号S1Lを出力する。一方、ドライバ回路202は、“L”レベルの信号S1に基づいて、NMOSトランジスタ62をオフする接地電圧GNDの信号S1Lを出力する。
【0060】
また、(d)に示すドライバ回路203は、“H”レベルの信号S0に基づいてNMOSトランジスタ63をオンする電圧Vccの信号S0Lを出力する。一方、ドライバ回路203は、“L”レベルの信号S0に基づいて、NMOSトランジスタ63をオフする接地電圧GNDの信号S0Lを出力する。なお、電圧Vdrvは、ドライバ回路200,201の電源電圧であり、電圧Vccは、図示しないレギュレータからの電源電圧である。
【0061】
また、ドライバ回路200~203は、発光ダイオード210、フォトトランジスタ211、PNPトランジスタ212、NPNトランジスタ213、及び抵抗214を含んで構成される。発光ダイオード210は、信号S0又はS1の論理レベルに応じて発光する。具体的には、発光ダイオード210は、アノードに信号S0又はS1に応じた電圧が印加され、カソードは、接地される。また、発光ダイオード210は、“H”レベルの信号S0又はS1に応じた電圧が印加されると、オンされ、発光する。一方、発光ダイオード210は、“L”レベルの信号S0又はS1に応じた電圧が印加されると、オフされ、発光しない。
【0062】
フォトトランジスタ211は、発光ダイオード210からの光に基づいて、抵抗214と共に、PNPトランジスタ212及びNPNトランジスタ213のベースに流す電流を制御する。具体的には、フォトトランジスタ211は、発光ダイオード210が発光する場合、ベースを接地し、PNPトランジスタ212のエミッタ-ベース間に電流を流し、PNPトランジスタ212をオンする。一方、フォトトランジスタ211により、ベースが接地されるため、NPNトランジスタ213のベース-エミッタ間には電流が流れず、NPNトランジスタ213はオフする。結果として、上述の通り、ドライバ回路200~203は、電源電圧Vdrv又はVccの信号を出力する。
【0063】
一方、フォトトランジスタ211は、発光ダイオード210が発光しない場合、抵抗214により、ベースがプルアップされるため、NPNトランジスタ213のベース-エミッタ間に電流を流し、NPNトランジスタ213をオンする。一方、抵抗214によりベースがプルアップされるため、PNPトランジスタ212のエミッタ-ベース間には電流が流れず、PNPトランジスタ212はオフする。結果として、上述の通り、ドライバ回路200~203は、電圧VL1,VL2又は接地電圧GNDの信号を出力する。
【0064】
==全波整流回路20a及び制御ブロック23aの動作==
図5は、制御ブロック23aの主要な波形を示す図である。また、図6図9は、後述する期間P0~P3における全波整流回路20a等を流れる電流の経路を説明するための図である。なお、図5において、時刻t0~時刻t1の期間を期間P0とし、時刻t1~時刻t2の期間を期間P1とし、時刻t2~時刻t3の期間を期間P2とし、時刻t3~時刻t4の期間を期間P3とする。また、期間P1,P3はダイオード50~53がオフする「オフ期間P」に相当し、期間P1はダイオード50,53がオンからオフとなる期間PAに対応し、期間P3はダイオード51,52がオンからオフとなる期間PBに対応する。
【0065】
また、図6図9において、交流電流Iacが流れる経路を破線で示し、抵抗90,91又は抵抗92,93を流れる電流の経路を一点鎖線で示す。また、図4に示すように、本実施形態では、ラインL1の電圧VL1と、ラインL2の電圧VL2とが等しくなる場合に、交流電圧Vacは0Vとなる。さらに、本実施形態では、ラインL1の電圧VL1が、ラインL2の電圧VL2より高い場合、交流電圧Vacのレベルは正(>0)となり、ラインL1の電圧VL1が、ラインL2の電圧VL2より低い場合、交流電圧Vacのレベルは負(<0)となる。
【0066】
===期間P0における動作===
時刻t0において、コンデンサ21の電圧Vrec1はほぼゼロまで低下している。コンデンサ21の電圧Vrec1が、ダイオード50の順方向電圧分以上、ラインL1の電圧VL1より低い場合、すなわち、Vrec1d-Vrec2dがマイナスの場合、ダイオード50はオンする。そして、交流電流Iacは、ラインL1からダイオード50を介してコンデンサ21へ流れる。
【0067】
この結果、時刻t0から開始する期間P0において、交流電流Iacは、図5において破線で示すように正の方向に流れる。具体的には、時刻t0において、時刻t0より前にコンデンサ21に整流電圧Vrec1が印加されているため、交流電圧Vacの位相に対する交流電流Iacの位相は、進み位相となり、交流電流Iacは、このように正の方向に流れる。なお、図6図9において、交流電圧Vacを全波整流した整流電圧Vrec1,Vrec2は共に正電圧となり、電圧Vrec1d,Vrec2dも正電圧となる。
【0068】
また、期間P0において、ラインL1の電圧VL1が上昇すると、ダイオード50と同様に、ダイオード53はオンする。結果として、交流電流Iacは、ダイオード53を介してラインL2へと流れる。また、この場合、ラインL2の電圧VL2は、接地電圧からダイオード53の順方向電圧分だけ低下した電圧に維持される。
【0069】
また、図5に戻り、期間P0において、ラインL1の電圧VL1と、電圧VL1を抵抗90,91で分圧した電圧VL1dとは、同様に変化する。この場合、抵抗90,91には、図6の一点鎖線で示すように電流が流れる。一方、ラインL2の電圧VL2は、接地電位からダイオード53の順方向電圧分だけ低下した電位に維持されるため、電圧VL2dは、ほぼ接地電圧となる。なお、図5では、便宜上、接地電位からダイオード53の順方向電圧分だけ低下した電位の電圧を、接地電圧(0V)として記載している。
【0070】
また、期間P0において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ダイオード50の順方向電圧分以上ラインL1の電圧VL1より低いため、整流電圧Vrec1は、整流電圧Vrec2より低くなる。したがって、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより低く、かつ電圧VL1dは正電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S0を出力し、NMOSトランジスタ60,63はオフされる。同様に、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより低く、かつ電圧VL2dはほぼ接地電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S1を出力し、NMOSトランジスタ61,62はオフされる。
【0071】
===期間P1における動作===
時刻t1から開始する期間P1において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ラインL1の電圧VL1からダイオード50の順方向電圧分を引いた電圧より高い場合、すなわち、Vrec1d-Vrec2dがプラスの場合、ダイオード50はオフする。そして、交流電流Iacは、ラインL1からダイオード50を介して流れなくなる。この場合、詳細は後述するが、制御回路100aはNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0を出力する。そのため、交流電流Iacは、NMOSトランジスタ60を介して、ラインL1へと流れる。そして、交流電流Iacが流れる向きは、図7において破線で示すように負の方向であるため、コンデンサ21には接地側から高電位側へと交流電流Iacが流れる。
【0072】
そして、期間P1において、ラインL1の電圧VL1が低下し、ダイオード50がオフすると、ダイオード53もオフする。また、NMOSトランジスタ63がオンし、交流電流Iacが図6の破線の向きに流れるため、ラインL2の電圧VL2は、接地電圧からNMOSトランジスタ63のドレイン・ソース間電圧分高い電圧に維持される。
【0073】
また、図5に戻り、期間P1において、ラインL1の電圧VL1と、電圧VL1dとは、同様に変化する。一方、ラインL2の電圧VL2は、接地電圧からNMOSトランジスタ63のドレイン・ソース間電圧分だけ高い電圧に維持されるため、電圧VL2dは、接地電圧となる。なお、図5では、便宜上、接地電位からNMOSトランジスタ63のドレイン・ソース間電圧分だけ高い電位の電圧を、接地電圧(0V)として記載している。
【0074】
また、期間P1において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ラインL1の電圧VL1からダイオード50の順方向電圧分引いた電圧より高いため、整流電圧Vrec1は、整流電圧Vrec2より高くなる。したがって、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより高く、かつ電圧VL1dは正電圧であるため、制御回路100aは、“H”レベルの信号S0を出力し、NMOSトランジスタ60,63はオンされる。同様に、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより高く、電圧VL2dはほぼ接地電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S1を出力し、NMOSトランジスタ61,62はオフされる。
【0075】
===期間P2における動作===
時刻t2から開始する期間P2において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ダイオード51の順方向電圧分以上ラインL2の電圧VL2より低い場合、すなわち、Vrec1d-Vrec2dがマイナスの場合、ダイオード51はオンする。そして、交流電流Iacは、ラインL2からダイオード51を介してコンデンサ21へ流れる。この結果、期間P2において、交流電流Iacは、図8において破線で示すように負の方向に流れる。
【0076】
また、期間P2において、ラインL2の電圧VL2が上昇すると、ダイオード51と同様に、ダイオード52はオンする。結果として、交流電流Iacは、ダイオード52を介してラインL1へと流れる。また、この場合、ラインL1の電圧VL1は、接地電圧からダイオード52の順方向電圧分だけ低下した電圧に維持される。
【0077】
また、図5に戻り、期間P2において、ラインL2の電圧VL2と、電圧VL2を抵抗92,93で分圧した電圧VL2dは、同様に変化する。一方、ラインL1の電圧VL1は、接地電圧からダイオード52の順方向電圧分だけ低下した電圧に維持されるため、電圧VL1dは、ほぼ接地電圧となる。なお、図5では、便宜上、接地電位からダイオード52の順方向電圧分だけ低下した電位の電圧を、接地電圧(0V)として記載している。
【0078】
また、期間P2において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ダイオード51の順方向電圧分以上ラインL2の電圧VL2より低いため、整流電圧Vrec1は、整流電圧Vrec2より低くなる。したがって、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより低く、かつ電圧VL1dは接地電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S0を出力し、NMOSトランジスタ60,63はオフされる。同様に、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより低く、かつ電圧VL2dは正電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S1を出力し、NMOSトランジスタ61,62はオフされる。
【0079】
===期間P3における動作===
時刻t3から開始する期間P3において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ラインL2の電圧VL2からダイオード51の順方向電圧分を引いた電圧より高い場合、すなわち、Vrec1d-Vrec2dがプラスの場合、ダイオード51はオフする。そして、交流電流Iacは、ラインL2からダイオード51を介して流れなくなる。この場合、詳細は後述するが、制御回路100aはNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1を出力する。そのため、交流電流Iacは、NMOSトランジスタ61を介して、ラインL2へと流れる。そして、交流電流Iacが流れる向きは図9において破線で示すように正の方向であるものの、コンデンサ21の電圧Vrec1が、NMOSトランジスタ61のドレイン・ソース間電圧分以上ラインL2の電圧VL2より高いため、コンデンサ21には接地側から高電圧側へと交流電流Iacが流れる。
【0080】
そして、期間P3において、ラインL2の電圧VL2が低下し、ダイオード51がオフすると、ダイオード52もオフする。また、NMOSトランジスタ62がオンし、交流電流Iacが図9の破線の向きに流れるため、ラインL1の電圧VL1は、接地電圧からNMOSトランジスタ62のドレイン・ソース間電圧分だけ高い電圧に維持される。なお、図5では、便宜上、接地電位からNMOSトランジスタ62のドレイン・ソース間電圧分だけ高い電位の電圧を、接地電圧(0V)として記載している。
【0081】
また、図5に戻り、期間P3において、ラインL2の電圧VL2と、電圧VL2dとは、同様に変化する。一方、ラインL1の電圧VL1は、接地電圧からNMOSトランジスタ62のドレイン・ソース間電圧分だけ高い電圧に維持されるため、電圧VL1dは、ほぼ接地電圧となる。
【0082】
また、期間P3において、コンデンサ21の電圧Vrec1が、ラインL2の電圧VL2からダイオード51の順方向電圧分引いた電圧より高いため、整流電圧Vrec1は、整流電圧Vrec2より高くなる。したがって、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより高く、電圧VL1dはほぼ接地電圧であるため、制御回路100aは、“L”レベルの信号S0を出力し、NMOSトランジスタ60,63はオフされる。同様に、電圧Vrec1dは、電圧Vrec2dより高く、かつ電圧VL2dは正電圧であるため、制御回路100aは、“H”レベルの信号S1を出力し、NMOSトランジスタ61,62はオンされる。このように、NMOSトランジスタ60~63は、交流電圧Vacが0V付近の交流電流Iacが小さい期間にのみオンされるため、NMOSトランジスタ60~63を小型の素子にすることができる。
【0083】
なお、時刻t4以降、同様の動作が繰り返される。
【0084】
また、図2において、図1の力率改善IC33と、制御回路100aとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。また、この集積回路には、制御回路100aを除いた制御ブロック23a中の素子(例えば、ダイオード71,70、抵抗72,73等)も含まれていてもよい。
【0085】
===他の実施形態===
<<ダイオード52,53に流れる電流を検出する実施形態>>
==全波整流回路20b及び制御ブロック23bの構成==
図10は、全波整流回路20b及び制御ブロック23bの一例を示す図である。全波整流回路20bは、全波整流回路20aに対して、ダイオード52,53に流れる電流を検出するため、それぞれのアノードに一端が接続され、他端は接地される抵抗54,55を更に含んで構成される。また、制御ブロック23bは、抵抗90~93、制御回路100b、及びドライバ回路200~203を含んで構成される。なお、抵抗54,55は、それぞれダイオード52,53に流れる電流を検出するための抵抗であるため、抵抗値は微小であるものとする。
【0086】
===制御回路100bの構成===
図11は、制御回路100bの一例を示す図である。制御回路100bは、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0と、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1とを出力する。具体的には、制御回路100bは、ダイオード52,53に流れる電流に基づいて期間Pを判定する。すなわち、制御回路100bは、抵抗54,55に生じる電圧に基づいて期間Pを判定する。そして、制御回路100bは、期間Pのうち、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。
【0087】
制御回路100bは、判定部110b、制御部111bを含んで構成される。判定部110bは、比較回路125と、比較回路126とを含む。また、比較回路125は、抵抗55に生じる電圧Vr0と、微小な負電圧である基準電圧Vref0とを比較する。そして、比較回路126は、抵抗54に生じる電圧Vr1と、基準電圧Vref0とを比較する。
【0088】
また、ダイオード53に電流が流れなくなると、抵抗55に生じる電圧Vr0は、接地電圧となる。そのため、比較回路125は、ダイオード53に電流が流れなくなると、NMOSトランジスタ60,63をオンすべく、“H”レベルの期間Pを示す信号を出力する。同様に、ダイオード52に電流が流れなくなると、抵抗54に生じる電圧Vr1は、接地電圧となる。そのため、比較回路126は、ダイオード52に電流が流れなくなると、NMOSトランジスタ61,62をオンすべく、“H”レベルの期間Pを示す信号を出力する。
【0089】
一方、ダイオード52,53のそれぞれに電流が流れている場合、電圧Vr0,Vr1はそれぞれ負電圧となるため、比較回路125,126はそれぞれ“L”レベルの信号を出力する。
【0090】
制御部111bは、期間PAに、NMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBに、NMOSトランジスタ61,62をオンする。具体的には、制御部111bは、ラインL1,L2の電圧の関係と、期間Pを示す比較回路125,126からの信号とに基づいて、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号S0、及びNMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号S1を出力する。なお、制御部111bの構成は、制御部111aの構成とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0091】
==全波整流回路20b及び制御ブロック23bの動作==
図12は、制御ブロック23bの主要な波形を示す図である。なお、図12において、時刻t10~時刻t11の期間を期間P0とし、時刻t11~時刻t12の期間を期間P1とし、時刻t12~時刻t13の期間を期間P2とし、時刻t13~時刻t14の期間を期間P3とする。
【0092】
==期間P0における動作==
時刻t10から開始する期間P0において、図6で説明した通り、ダイオード53に電流が流れる。そのため、電圧Vr0は負電圧となる。一方、ダイオード52には電流が流れないため、電圧Vr1は接地電圧となる。したがって、比較回路125は、“L”レベルの信号を出力し、比較回路126は、“H”レベルの信号を出力する。
【0093】
また、期間P0において、電圧VL1dは正電圧であるため、比較回路121は、“H”レベルの信号を出力するが、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。同様に、期間P0において、電圧VL2dは接地電圧であるため、比較回路122は、“L”レベルの信号を出力し、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1を出力する。
【0094】
==期間P1における動作==
時刻t11から開始する期間P1において、図7で説明した通り、ダイオード53に電流が流れなくなり、電圧Vr0は接地電圧となる。また、ダイオード52にも電流が流れないため、電圧Vr1も接地電圧となる。したがって、比較回路125,126は、“H”レベルの信号を出力する。
【0095】
また、期間P1において、電圧VL1dは正電圧であり、比較回路121は、“H”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオンする“H”レベルの信号S0を出力する。一方、期間P1において、電圧VL2dはほぼ接地電圧であり、比較回路122は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1を出力する。
【0096】
==期間P2における動作==
時刻t12から開始する期間P2において、図8で説明した通り、ダイオード53に電流が流れず、電圧Vr0は接地電圧となる。一方、ダイオード52に電流が流れるため、電圧Vr1は負電圧となる。したがって、比較回路125は、“H”レベルの信号を出力し、比較回路126は、“L”レベルの信号を出力する。
【0097】
また、期間P2において、電圧VL1dは接地電圧であり、比較回路121は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。同様に、期間P2において、電圧VL2dは正電圧であり、比較回路122は、“H”レベルの信号を出力するが、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号を出力する。
【0098】
==期間P3における動作==
時刻t13から開始する期間P3において、図9で説明した通り、ダイオード53に電流が流れず、電圧Vr0は接地電圧となる。また、ダイオード52に電流が流れなくなるため、電圧Vr1も接地電圧となる。したがって、比較回路125,126は、“H”レベルの信号を出力する。
【0099】
また、期間P3において、電圧VL1dはほぼ接地電圧であり、比較回路121は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。一方、期間P3において、電圧VL2dは正電圧であり、比較回路122は、“H”レベルの信号を出力するため、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオンする“H”レベルの信号S1を出力する。
【0100】
なお、時刻t14以降、同様の動作が繰り返される。
【0101】
また、図10において、図1の力率改善IC33と、制御回路100bとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。また、この集積回路には、制御回路100bを除いた制御ブロック23b中の素子(すなわち、抵抗90~93)も含まれていてもよい。
【0102】
<<ダイオード52,53に流れる電流を検出するもう1つの実施形態>>
==全波整流回路20c及び制御ブロック23cの構成==
図13は、全波整流回路20c及び制御ブロック23cの一例を示す図である。全波整流回路20cは、全波整流回路20bに対して、ダイオード52,53に流れる電流を検出するため、抵抗54,55の代わりに、それぞれのアノードに一端が接続され、他端は接地される抵抗56を含んで構成される。また、制御ブロック23cは、抵抗90~93、制御回路100c、及びドライバ回路200~203を含んで構成される。なお、抵抗56は、ダイオード52,53のそれぞれに流れる電流を検出するための抵抗であるため、抵抗値は微小であるものとする。
【0103】
===制御回路100cの構成===
図14は、制御回路100cの一例を示す図である。制御回路100cは、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0と、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1とを出力する。具体的には、制御回路100cは、ダイオード52,53に流れる電流に基づいて期間Pを判定する。すなわち、制御回路100cは、抵抗56に生じる電圧に基づいて期間Pを判定する。そして、制御回路100cは、期間Pのうち、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。
【0104】
制御回路100cは、判定部110c、制御部111cを含んで構成される。判定部110cは、抵抗56に生じる電圧Vr2と、微小な負電圧である基準電圧Vref0とを比較する比較回路127で実現できる。
【0105】
また、ダイオード52,53に電流が流れなくなると、抵抗56に生じる電圧Vr2は、接地電圧となる。そのため、比較回路127は、ダイオード52,53に電流が流れなくなると、“H”レベルの信号を出力する。
【0106】
一方、ダイオード52又はダイオード53に電流が流れている場合、電圧Vr2は負電圧となるため、比較回路127は“L”レベルの信号を出力する。
【0107】
制御部111cは、期間PAに、NMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBに、NMOSトランジスタ61,62をオンする。具体的には、制御部111cは、ラインL1,L2の電圧の関係と、期間Pを示す比較回路127からの信号とに基づいて、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号S0、及びNMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号S1を出力する。なお、制御部111cの構成は、制御部111bの構成とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0108】
==全波整流回路20c及び制御ブロック23cの動作==
図15は、制御ブロック23cの主要な波形を示す図である。なお、図14において、時刻t20~時刻t21の期間を期間P0とし、時刻t21~時刻t22の期間を期間P1とし、時刻t22~時刻t23の期間を期間P2とし、時刻t23~時刻t24の期間を期間P3とする。
【0109】
==期間P0における動作==
時刻t20から開始する期間P0において、図6で説明した通り、ダイオード53に電流が流れ、一方、ダイオード52には電流が流れないため、電圧Vr2は負電圧となる。したがって、比較回路127は、“L”レベルの信号を出力する。
【0110】
また、期間P0において、電圧VL1dは正電圧であり、比較回路121は、“H”レベルの信号を出力するが、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。同様に、期間P0において、電圧VL2dはほぼ接地電圧であり、比較回路122は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1を出力する。
【0111】
==期間P1における動作==
時刻t21から開始する期間P1において、図7で説明した通り、ダイオード52,53には電流が流れない。そのため、電圧Vr2は接地電圧となる。したがって、比較回路127は、“H”レベルの信号を出力する。
【0112】
また、期間P1において、電圧VL1dは正電圧であり、比較回路121は、“H”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオンする“H”レベルの信号S0を出力する。一方、期間P1において、電圧VL2dはほぼ接地電圧であり、比較回路122は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1を出力する。
【0113】
==期間P2における動作==
時刻t22から開始する期間P2において、図8で説明した通り、ダイオード53には電流が流れない、一方、ダイオード52に電流が流れるため、電圧Vr2は負電圧となる。したがって、比較回路127は、“L”レベルの信号を出力する。
【0114】
また、期間P2において、電圧VL1dはほぼ接地電圧であり、比較回路121は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。同様に、期間P2において、電圧VL2dは正電圧であり、比較回路122は、“H”レベルの信号を出力するが、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1を出力する。
【0115】
==期間P3における動作==
時刻t23から開始する期間P3において、図9で説明した通り、ダイオード52,53には電流が流れない。そのため、電圧Vr2は接地電圧となる。したがって、比較回路127は、“H”レベルの信号を出力する。
【0116】
また、期間P3において、電圧VL1dはほぼ接地電圧であり、比較回路121は、“L”レベルの信号を出力するため、AND回路123は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0を出力する。一方、期間P3において、電圧VL2dは正電圧であり、比較回路122は、“H”レベルの信号を出力するため、AND回路124は、NMOSトランジスタ61,62をオンする“H”レベルの信号S1を出力する。
【0117】
なお、時刻t24以降、同様の動作が繰り返される。
【0118】
また、図13において、図1の力率改善IC33と、制御回路100cとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。また、この集積回路には、制御回路100aを除いた制御ブロック23c中の素子(すなわち、抵抗90~93)も含まれていてもよい。
【0119】
<<マイコンによる実施形態>>
<<<交流電圧Vacに基づいて期間Pの開始を検出する制御回路>>>
==AC-DCコンバータ10d及び制御ブロック23dの構成==
図16は、AC-DCコンバータ10d及び制御ブロック23dの一例を示す図である。AC-DCコンバータ10dは、AC-DCコンバータ10aに対し、負荷11から負荷11の状態を示す情報VLを受け、制御回路100dに負荷11の消費電力Powを出力する負荷測定装置12を更に含む。また、制御ブロック23dは、抵抗90,91、制御回路100d、及びドライバ回路200~203を含んで構成される。
【0120】
===制御回路100dの構成===
図17は、制御回路100dの一例を示す図である。制御回路100dは、電圧VL1dに基づいて、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0と,期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1とを出力する。具体的には、制御回路100dは、交流電圧Vacの実効値Vac_rms及び周波数facと、交流電圧Vacに基づいて動作する負荷の消費電力Pinと、コンデンサ21の容量値C1とに基づいて、期間Pの長さを示す時間差tを算出する。また、制御回路100dは、交流電圧Vacがゼロとなるタイミングと、時間差tとに基づいて、オフ期間Pを判定する。そして、制御回路100dは、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。
【0121】
制御回路100dは、判定部110d、制御部111dを含んで構成される。判定部110dは、算出部130と、オフ期間判定部131とを含む。また、算出部130は、実効値Vac_rms、周波数fac、消費電力Pow、及び容量値C1に基づいて、時間差tを算出する。具体的には、算出部130は、以下の(1)式に基づいて、時間差tを算出する。なお、実効値Vac_rms,周波数fac,容量値C1については、制御回路100d中の他の構成要素から得られるものとする。また、時間差tは、交流電圧Vacと、交流電流Iacとの位相差に相当し、図4における期間P1,P3の期間に相当する。また、時間差tは、「第3期間」に相当する。
【0122】
t=tan^-1(2π×fac×C1×RL)/2π/fac ・・・(1)
ここで、負荷RLは、以下の(2)式から求められ、消費電力Pinは、負荷11の消費電力Powに全波整流回路20a及び力率改善回路22の既知の消費電力Pknownを加算した消費電力である。なお、全波整流回路20a、力率改善回路22、及び負荷11は、「負荷」に相当する。
RL=Vac_rms^2/Pin ・・・(2)
【0123】
オフ期間判定部131は、電圧VL1dに基づいて交流電圧Vacが0Vとなるタイミングを検出し、このタイミングと、時間差tとに基づいてオフ期間Pを判定する。なお、オフ期間判定部131は、交流電圧Vacが0Vとなる前の時間差tに対応する期間をオフ期間Pとして判定する。また、制御部111dは、オフ期間Pと、電圧VL1dとに基づいて、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0を出力し、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1を出力する。
【0124】
==全波整流回路20a及び制御ブロック23dの動作==
図18は、制御ブロック23dの主要な波形を示す図である。なお、図18において、時刻t30~時刻t31の期間を期間P0とし、時刻t31~時刻t32の期間を期間P1とし、時刻t32~時刻t33の期間を期間P2とし、時刻t33~時刻t34の期間を期間P3とする。また、算出部130は、既に、実効値Vac_rms、周波数fac、消費電力Pow、及び容量値C1に基づいて、時間差tを算出しているものとする。
【0125】
==期間P0における動作==
時刻t30から開始する期間P0において、図6で説明した通り、ダイオード50,53に電流が流れ、一方、ダイオード51,52には電流が流れない。また、時刻t30において、交流電圧Vacが0Vとなるため、オフ期間判定部131は、時刻t30以前に交流電圧Vacが0Vとなるタイミングと、時刻t30のタイミングとに基づいて、交流電圧Vacの半周期Tを検出する。そして、オフ期間判定部131は、半周期Tから時間差tを減算した期間Ptを算出する。期間P0においては、交流電圧Vacが0Vとなってから期間Ptが経過していないため、オフ期間判定部131は、オフ期間Pを示す信号を出力せず、制御部111dは、“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0126】
==期間P1における動作==
時刻t31から開始する期間P1において、図7で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、時刻t31において、時刻t30から期間Ptが経過するため、オフ期間判定部131は、オフ期間Pを示す信号を出力する。そして、制御部111dは、電圧VL1dが正電圧であるため、“H”レベルの信号S0と、“L”レベルの信号S1とを出力する。
【0127】
==期間P2における動作==
時刻t32から開始する期間P2において、図8で説明した通り、ダイオード50,53には電流が流れない、一方、ダイオード51,52に電流が流れる。また、時刻t32において、交流電圧Vacが0Vとなるため、オフ期間判定部131は、時刻t32以前に交流電圧Vacが0Vとなるタイミングと、時刻t32のタイミングとに基づいて、交流電圧Vacの半周期Tを検出する。そして、オフ期間判定部131は、半周期Tから時間差tを減算した期間Ptを算出する。期間P2においては、交流電圧Vacが0Vとなってから期間Ptが経過していないため、オフ期間判定部131は、オフ期間Pを示す信号を出力せず、制御部111dは、“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0128】
==期間P3における動作==
時刻t33から開始する期間P3において、図9で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、時刻t33において、時刻t32から期間Ptが経過するため、オフ期間判定部131は、オフ期間Pを示す信号を出力する。そして、制御部111dは、電圧VL1dがほぼ接地電圧であるため、“L”レベルの信号S0と、“H”レベルの信号S1とを出力する。
【0129】
なお、時刻t34以降、同様の動作が繰り返される。
【0130】
また、図16において、図1の力率改善IC33と、制御回路100dとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。また、この集積回路には、制御回路100dを除いた制御ブロック23d中の素子(すなわち、抵抗90,91)も含まれていてもよい。
【0131】
<<<交流電流Iacに基づいて期間Pの開始を検出する制御回路>>>
==AC-DCコンバータ10e及び制御ブロック23eの構成==
図19は、AC-DCコンバータ10e及び制御ブロック23eの一例を示す図である。AC-DCコンバータ10eは、AC-DCコンバータ10dに対し、ラインL1に流れる電流Iacを検出する電流検出トランス24を更に含む。また、制御ブロック23eは、制御回路100e、ドライバ回路200~203を含んで構成される。
【0132】
===制御回路100eの構成===
図20は、制御回路100eの一例を示す図である。制御回路100eは、電流検出トランス24からの電圧Viacbに基づいて、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0と,期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1とを出力する。具体的には、制御回路100eは、交流電圧Vacの実効値Vac_rms及び周波数facと、交流電圧Vacに基づいて動作する負荷の消費電力Pinと、コンデンサ21の容量値C1とに基づいて、時間差tを算出する。そして、制御回路100eは、交流電流Iacに基づいて、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。
【0133】
制御回路100eは、算出部130、制御部111eを含んで構成される。また、制御部111eは、電流検出トランス24からの電圧Viacbと、時間差tとに基づいて、交流電流Iacが0Aとなった後、交流電流IacがラインL2から(すなわち、負の方向に)流れるよう、時間差tの間の期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0を出力する。また、同様に、制御部111eは、交流電流Iacが0Aとなった後、交流電流IacがラインL1から(すなわち、正の方向に)流れるよう、時間差tの間の期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1を出力する。なお、時間差tは、「所定期間」に相当する。
【0134】
==全波整流回路20a及び制御ブロック23eの動作==
図21は、制御ブロック23eの主要な波形を示す図である。なお、図21において、時刻t40~時刻t41の期間を期間P0とし、時刻t41~時刻t42の期間を期間P1とし、時刻t42~時刻t43の期間を期間P2とし、時刻t43~時刻t44の期間を期間P3とする。また、算出部130は、既に、実効値Vac_rms、周波数fac、消費電力Pow、及び容量値C1に基づいて、時間差tを算出しているものとする。
【0135】
==期間P0における動作==
時刻t40から開始する期間P0において、図6で説明した通り、ダイオード50,53に電流が流れ、一方、ダイオード51,52には電流が流れない。また、期間P0においては、交流電流Iacが0Aではないことを示す電圧Viacbに基づいて、制御部111eは、“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0136】
==期間P1における動作==
時刻t41から開始する期間P1において、図7で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、時刻t41において、交流電流Iacが0Aとなったことを示す電圧Viacbに基づいて、制御部111eは、交流電流Iacが負の方向に流れるよう、“H”レベルの信号S0と、“L”レベルの信号S1とを出力する。
【0137】
==期間P2における動作==
時刻t42から開始する期間P2において、図8で説明した通り、ダイオード50,53には電流が流れない、一方、ダイオード51,52に電流が流れる。また、期間P2においては、交流電流Iacが0Aではないことを示す電圧Viacbに基づいて、制御部111eは、“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0138】
==期間P3における動作==
時刻t43から開始する期間P3において、図9で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、時刻t43において、交流電流Iacが0Aとなったことを示す電圧Viacbに基づいて、制御部111dは、交流電流Iacが正の方向に流れるよう、“L”レベルの信号S0と、“H”レベルの信号S1とを出力する。
【0139】
なお、時刻t44以降、同様の動作が繰り返される。
【0140】
また、図19において、図1の力率改善IC33と、制御回路100eとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。
【0141】
<<<交流電圧Vac及び交流電流Iacに基づいてNMOSトランジスタ60~63をオンオフする制御回路>>>
==AC-DCコンバータ10f及び制御ブロック23fの構成==
図22は、AC-DCコンバータ10f及び制御ブロック23fの一例を示す図である。AC-DCコンバータ10fは、制御ブロック23f中の制御回路100fが異なるのみで、AC-DCコンバータ10eと同様である。また、制御ブロック23fは、抵抗90,91、制御回路100f、ドライバ回路200~203を含んで構成される。
【0142】
===制御回路100fの構成===
図23は、制御回路100fの一例を示す図である。制御回路100fは、交流電圧Vac及び交流電流Iacを検出して、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号S0と、NMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号S1とを出力する。具体的には、制御回路100fは、交流電流IacがラインL2から全波整流回路20aへ(すなわち、負の方向に)流れ、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より高い場合、NMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0を出力する。一方、制御回路100fは、交流電流IacがラインL1から全波整流回路20aへ(すなわち、正の方向に)流れ、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より低い場合、NMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1を出力する。
【0143】
制御回路100fは、比較回路220,221、論理回路222を含んで構成される。比較回路220は、交流電流Iacの流れる向きを判定するため、電圧Viacbと接地電圧とを比較し、電圧Viacbが正電圧であるか否かを判定する。比較回路221は、電圧VL1が電圧VL2より高いか否かを判定するため、電圧VL1dと接地電圧とを比較し、電圧VL1dが正電圧か否かを判定する。
【0144】
論理回路222は、比較回路220,221の比較結果に基づいて、信号S0,S1を出力する。具体的には、論理回路222は、交流電流IacがラインL2から全波整流回路20aへ(すなわち、負の方向に)流れ、ラインL1の電圧VL1が前記第2ラインの電圧VL2より高い場合、NMOSトランジスタ60,63をオンする信号S0を出力する。一方、論理回路222は、交流電流IacがラインL1から全波整流回路20aへ(すなわち、正の方向に)流れるか、又はラインL1の電圧VL1が前記第2ラインの電圧VL2より低い場合、NMOSトランジスタ60,63をオフする信号S0を出力する。
【0145】
また、論理回路222は、交流電流IacがラインL1から全波整流回路20aへ(すなわち、正の方向に)流れ、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より低い場合、NMOSトランジスタ61,62をオンする信号S1を出力する。一方、論理回路222は、交流電流IacがラインL2から全波整流回路20aへ(すなわち、負の方向に)流れるか、又はラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より高い場合、NMOSトランジスタ61,62をオフする信号S1を出力する。なお、比較回路220は、「第1判定回路」に相当し、比較回路221は、「第2判定回路」に相当する。また、論理回路222にドライバ回路200~203を含めた回路は、「オン回路」に相当する。
【0146】
==全波整流回路20a及び制御ブロック23fの動作==
図24は、制御ブロック23fの主要な波形を示す図である。なお、図24において、時刻t50~時刻t51の期間を期間P0とし、時刻t51~時刻t52の期間を期間P1とし、時刻t52~時刻t53の期間を期間P2とし、時刻t53~時刻t54の期間を期間P3とする。
【0147】
==期間P0における動作==
時刻t50から開始する期間P0において、図6で説明した通り、ダイオード50,53に電流が流れ、一方、ダイオード51,52には電流が流れない。また、期間P0においては、比較回路220は、交流電流Iacが正の方向に流れていることを検出し、比較回路221は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より高いことを検出する。そのため、論理回路222は、NMOSトランジスタ60~63をオフする“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0148】
==期間P1における動作==
時刻t51から開始する期間P1において、図7で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、期間P1においては、比較回路220は、交流電流Iacが負の方向に流れていることを検出し、比較回路221は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より高いことを検出する。そのため、論理回路222は、NMOSトランジスタ60,63をオンする“H”レベルの信号S0と、NMOSトランジスタ61,62をオフする“L”レベルの信号S1とを出力する。
【0149】
==期間P2における動作==
時刻t52から開始する期間P2において、図8で説明した通り、ダイオード50,53には電流が流れない、一方、ダイオード51,52に電流が流れる。また、期間P2においては、比較回路220は、交流電流Iacが負の方向に流れていることを検出し、比較回路221は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より低いことを検出する。そのため、論理回路222は、NMOSトランジスタ60~63をオフする“L”レベルの信号S0,S1を出力する。
【0150】
==期間P3における動作==
時刻t53から開始する期間P3において、図9で説明した通り、ダイオード50~53には電流が流れない。また、期間P3においては、比較回路220は、交流電流Iacが正の方向に流れていることを検出し、比較回路221は、ラインL1の電圧VL1がラインL2の電圧VL2より低いことを検出する。そのため、論理回路222は、NMOSトランジスタ60,63をオフする“L”レベルの信号S0と、NMOSトランジスタ61,62をオンする“H”レベルの信号S1とを出力する。
【0151】
なお、時刻t54以降、同様の動作が繰り返される。
【0152】
また、図22において、図1の力率改善IC33と、制御回路100fとを別の回路として説明したが、2つの回路は、1つの集積回路で構成されてもよい。また、この集積回路には、制御回路100fを除いた制御ブロック23f中の素子(すなわち、抵抗90,91)も含まれていてもよい。
【0153】
===まとめ===
以上、本実施形態のAC-DCコンバータ10aについて説明した。制御回路100aは、判定部110a、制御部111aを含んで構成される。判定部110aは、オフ期間Pを判定し、制御部111aは、期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。これにより、全波整流回路において交流電流の歪みを抑制することが可能な制御回路を提供することができる。
【0154】
また、判定部110aは、交流電圧Vacと、コンデンサ21の電圧とに基づいてオフ期間Pを判定する。これにより、回路中の電圧を実測し、オフ期間Pを判定することができる。
【0155】
また、判定部110aは、電圧Vrec1dと、電圧Vrec2dとに基づいてオフ期間Pを判定する。これにより、判定部110aの回路を簡易にすることができる。
【0156】
また、判定部110b,110cは、ダイオード52,53に流れる電流に基づいてオフ期間Pを判定する。これにより、ダイオード70,71及び抵抗72,73,80,81を用いなくとも、オフ期間Pを判定することができる。
【0157】
また、制御部111aは、比較回路121,122、AND回路123,124を含んで構成される。これにより、簡易な回路により、オフ期間Pが期間PA,PBの何れであるかを識別でき、NMOSトランジスタ60~63のうち適切なNMOSトランジスタをオンできる。
【0158】
また、判定部110dは、算出部130、オフ期間判定部131を含んで構成される。算出部130は、時間差tを算出し、オフ期間判定部131は、時間差tと、ラインL1の電圧VL1とに基づいてオフ期間Pを判定する。これにより、マイコンを用いて、電圧VL1に基づいてオフ期間Pを判定することができる。
【0159】
また、制御回路100eは、算出部130、制御部111eを含んで構成される。制御部111eは、時間差tと、交流電流Iacとに基づいて、交流電流Iacが0Aとなった後、時間差tに相当する期間PAにNMOSトランジスタ60,63をオンし、交流電流Iacが0Aとなった後、時間差tに相当する期間PBにNMOSトランジスタ61,62をオンする。これにより、マイコンを用いて、交流電流Iacに基づいてNMOSトランジスタ60~63をオンすることができる。
【0160】
また、制御回路100fは、交流電流Iacの向きと、交流電圧Vacのレベルとに基づいて、NMOSトランジスタ60,63をオンオフする信号S0と、NMOSトランジスタ61,62をオンオフする信号S1とを出力する。これにより、制御回路100fは、交流電流Iacを検出する電流検出トランス24は必要になるが、演算のためのマイコンを用いることなく、信号S0,S1を出力することができる。
【0161】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0162】
10a,10b,10c,10d,10e,10f AC-DCコンバータ
11 負荷
12 負荷測定装置
20a,20b,20c 全波整流回路
21,32 コンデンサ
22 力率改善回路
23a,23b,23c,23d,23e,23f 制御ブロック
24 電流検出トランス
30 トランス
31,50~53,70,71 ダイオード
34,60~63 NMOSトランジスタ
40~42,54~56,72,73,80,81,90~93,214 抵抗
100a,100b,100c,100d,100e,100f 制御回路
110a,110b,110c,110d 判定部
111a,111b,111c,111d,111e 制御部
120~122,125~127,220,221 比較回路
123,124 AND回路
130 算出部
131 オフ期間判定部
200~203 ドライバ回路
210 発光ダイオード
211 フォトトランジスタ
212 PNPトランジスタ
213 NPNトランジスタ
222 論理回路
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図22
図23
図24