(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062576
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】駐停車違反判定装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170495
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】塩入 健太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181DD08
5H181FF04
5H181MB05
(57)【要約】
【課題】駐停車違反となる場所を正確に認識することが可能な駐停車違反判定装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る駐停車違反判定装置1は、検出部2、判定部3、作成部4を備える。検出部2は、車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する。判定部3は、検出された条件に関する情報に基づいて、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する。作成部4は、地図上に、条件に関する情報と、場所判定結果とを表示した見取り図を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する検出部と、
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する判定部と、
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する作成部と、
を備える、
駐停車違反判定装置。
【請求項2】
前記条件の検出結果が誤っていた場合、前記見取り図上の前記条件に関する情報を修正する修正情報の入力を受け付ける入力部をさらに備える、
請求項1に記載の駐停車違反判定装置。
【請求項3】
前記入力部は、運転者の乗車有無を示す情報及び駐停車した時間の少なくともいずれか一方をさらに受け付ける、
請求項2に記載の駐停車違反判定装置。
【請求項4】
前記車両を停車した場合に、前記場所判定結果と、運転者の乗車有無を示す情報及び停車した場所での経過時間の少なくともいずれか1つとに基づいて、当該車両の停車行為が駐車違反に該当するか否かを判定する、違反判定部をさらに備える、
請求項3に記載の駐停車違反判定装置。
【請求項5】
前記見取り図を、ネットワークを介して接続される情報端末に出力する出力部をさらに備える、
請求項1に記載の駐停車違反判定装置。
【請求項6】
車両の周辺状況を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した画像を取得する駐停車違反判定装置とを含み、
前記駐停車違反判定装置は、
取得した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する検出部と、
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する判定部と、
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する作成部と、
を備える、
システム。
【請求項7】
前記撮影装置は、特定の道路の周辺状況を撮影し、
前記駐停車違反判定装置は、車両が停車した時に、当該車両の停車位置が、前記見取り図上の駐停車違反となる場所に該当するか否かを通知するための情報を出力する出力部をさらに備える、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータが、
車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する処理と、
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する処理と、
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する処理と、
を実行する、方法。
【請求項9】
車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する処理と、
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する処理と、
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐停車違反判定装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駐車禁止あるいは駐停車禁止の道路交通法違反を回避することができる自動運転車が開示されている。この自動運転車は、駐車禁止状態に合致するか否かを判別する条件要素を検出し、手動運転モードにおいて駐車禁止状態に合致することが予測されるときに、手動運転モードから自動運転モードに切り替えて移動制御する。
【0003】
特許文献1の自動運転車は、駐車禁止状態に合致するかどうかを判別するために、自車の前方や側方のカメラの撮像画像から道路標示を認識することで、駐車禁止や時間制限駐車区間を検出する。また、この自動運転車は、撮像画像から消火栓や火災報知機を認識し、測距センサを用いて消火栓や火災報知機との距離を計測して所定の距離以内かを認識することで、駐車禁止場所を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
道路交通法に定められる駐車禁止場所は多岐にわたり、標識のある場所の他、坂の頂上付近、トンネルなど様々な場所が駐車禁止とされている。また、駐停車が禁止される条件には、「道路工事の区域の端から5m以内」など、その時々で変化する条件もあり、駐停車違反となる場所を正しく認識することは困難である。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、駐停車違反となる場所を正確に認識することが可能な駐停車違反判定装置、システム、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る駐停車違反判定は、検出部、判定部、作成部を含む。検出部は、車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する。判定部は、検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する。作成部は、地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する。
【0008】
本開示の一態様に係るシステムは、車両の周辺状況を撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像を取得する駐停車違反判定装置を含む。駐停車違反判定は、検出部、判定部、作成部を備える。検出部は、車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する。判定部は、検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する。作成部は、地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する。
【0009】
本開示の一態様に係る方法は、コンピュータが以下の処理を実行する。
車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する処理。
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する処理。
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する処理。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに以下の処理を実行させる。
車両の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する処理。
検出された前記条件に関する情報に基づいて、前記車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する処理。
地図上に、前記条件に関する情報と、前記場所判定結果とを表示した見取り図を作成する処理。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、駐停車違反となる場所を正確に認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る駐停車違反判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る駐停車違反判定装置が行う処理方法を説明するフロー図である。
【
図3】実施形態2に係る駐停車違反判定システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図3の情報端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】情報端末に表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態2に係る駐停車違反判定システムにおける、見取り図作成の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】実施形態3に係る駐停車違反判定システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
法律で規定される駐停車違反の条件は多岐にわたり、複合的であり、全てを正しく理解することは困難である。道路交通法では、駐停車が禁止されている場所として、駐停車禁止の道路標識や道路標示のある場所の他、坂の頂上や勾配の急な坂、トンネル、交差点とその端から5m以内、道路の曲がり角から5m以内、横断歩道、自転車横断帯とその端から5m以内、踏切とその端から前後10m以内、バス、路面電車の停留所の表示板から10m以内等があげられる。
【0015】
また、駐車が禁止されている場所として、駐車禁止の標識、道路標示のある場所の他、駐車場や車庫などの自動車専用の出入り口から3m以内、道路工事の区域の端から5m以内、消防用機械器具の置き場等から5m以内、消火栓等の取り入れ口から5m以内、火災報知器から1m以内等があげられる。さらに、時間を限って同一車両が引き続き駐車できる道路の区間であることが道路標識等により指定されている時間制限駐車可能区間のように、時間的な条件に基づき駐停車違反が判定される場所もある。
【0016】
また、駐車が禁止されていない道路であっても、駐車する自動車の右側に3.5m以上の余地がない場合は、駐車をすることができない。ただし、荷物の積み下ろしで、運転者が車を離れない、もしくは離れてもすぐに運転できる場合、傷病者の救護のためやむを得ない場合には駐車することができることが規定されている。駐停車の方法には、様々なルールが定められている。例えば、路側帯のある道路で駐停車する時は、車体が路側帯の幅が0.75m以下の場合は車道の左端に沿うように停止させる。また、路側帯の幅が0.75mを超える場合は、路側帯に入って駐車することができるが、左側に0.75m以上の余地をあける必要がある。
【0017】
このような駐停車又は駐車が禁止される場所(以下、まとめて駐車禁止場所とする)のうち、標識がある場所であれば、運転者がそれを見ることで事足りる。しかし、標識の設置されていない駐車禁止場所は、運転者が正確に認識することは難しい。また、例外的に駐車が許される場所であっても、駐車の方法には複雑なルールが設けられており、運転者が駐車しようとする場所が駐停車違反と判定されるか否かを正確に知ることが望まれている。実施形態は、上記のような駐停車違反と判定される場所を認識することが可能な技術に関する。
【0018】
実施形態1.
図1は、実施形態1に係る駐停車違反判定装置1の構成を示すブロック図である。駐停車違反判定装置1は、主な構成として、検出部2、判定部3、作成部4を備える。検出部2には、例えば、車両に搭載されたカメラで撮影された、車両の周辺状況を撮影した撮影画像が入力される。なお、検出部2に入力される撮影画像は、車両に搭載されたドライブレコーダーや、運転者や同乗者が所持するカメラ付きのスマートフォン等の情報端末により生成されたものであり得る。
【0019】
検出部2は、外部から入力された撮影画像から、駐停車違反を判定するための条件(以下、駐停車違反判定条件とする)を検出する。駐停車違反判定条件とは、上述したように、標識や道路標示だけでなく、坂やトンネル、踏切、交差点、停留所、自動車専用出入口、道路工事区域、消火栓等を含む。
【0020】
なお、検出部2は、駐停車違反判定装置1の内部又は外部に設けられたデータベース(不図示)にアクセスすることができる。データベースには、駐停車違反判定条件のイメージデータがあらかじめ登録されている。検出部2は、例えば、撮影画像とイメージデータとのマッチング処理を行うことにより、駐停車違反判定条件を抽出することができる。
【0021】
判定部3は、検出された駐停車違反判定条件に関する情報に基づいて、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する。「駐停車違反判定条件に関する情報」とは、検出された駐停車違反判定条件と、これに関連し、駐停車違反を判定するのに必要な情報(以下、関連情報)を含むものである。例えば、消火栓が検出された場合、「消火栓の取り入れ口から5m以内」との情報が関連情報となる。なお、駐停車禁止や駐車禁止の標識や道路標示のように、関連情報を必要とせず、それ自体で駐停車違反を判定することができるものもある。
【0022】
作成部4は、地図上に、駐停車違反判定条件に関する情報と、場所判定結果とを表示した見取り図を作成する。作成部4は、複数の画像を合成して、車両を上空から見下ろしているような俯瞰画像を得ることができる。例えば、作成部4は、車両の前方に設置されたフロントカメラ、側方に設置されたサイドカメラ、後方に設置されたリアカメラを含むアラウンドビューシステムで撮影された画像を用いて、俯瞰画像を作成できる。作成部4は、この俯瞰画像に、駐停車違反判定条件に関する情報と、駐停車違反となる場所を示す場所判定結果とを表示して見取り図を作成する。すなわち、見取り図には、道路地図、車両、標識や消火栓、踏切等の駐停車違反判定条件、消火栓や踏切等からの距離や時間をはじめとした関連情報が含まれる。
【0023】
なお、作成部4は、一般的なカーナビゲーションシステムで用いられるような、道路地図データを用いて、見取り図を作成することも可能である。道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含んでいてもよい。
【0024】
次に、
図2を参照して駐停車違反判定装置1が行う処理について説明する。
図2は、実施形態1に係る駐停車違反判定装置1が行う処理方法を説明するフロー図である。まず、駐停車違反判定装置1は、道路の周辺状況を撮影した画像から、駐停車違反を判定するための条件を検出する(S11)。
【0025】
次に、駐停車違反判定装置1は、検出された条件に関する情報に基づいて、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する(S12)。そして、駐停車違反判定装置1は、地図上に、条件に関する情報と、場所判定結果とを表示した見取り図を作成する(S13)。このように、実施形態1によれば、運転者が駐車しようとする場所が駐停車違反と判定される場所か否かを正確に知ることが可能となる。
【0026】
なお、駐停車違反判定装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。当該記憶装置には、実施形態1に係る処理方法の各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、記憶装置からプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。これにより、プロセッサは、検出部2、判定部3、作成部4の各機能を実現する。
【0027】
駐停車違反判定装置1の各構成要素は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用又は線用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0028】
また、駐停車違反判定装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、駐停車違反判定装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0029】
実施形態2.
実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。
図3は、実施形態2にかかる駐停車違反判定システム100の全体構成を示すブロック図である。駐停車違反判定システム100は、サーバ10、情報端末20、データベース30を含む。サーバ10、情報端末20、データベース30は、それぞれネットワークNを介して接続される。ここで、ネットワークNは、有線又は無線の通信回線、例えばインターネットである。
【0030】
<サーバ10>
サーバ10は、上述した駐停車違反判定装置1に対応する。サーバ10は、駐停車違反判定条件検出処理、場所判定処理、見取り図作成処理を行う情報処理装置である。なお、サーバ10は複数台のサーバで構成されていてもよく、各機能ブロックは複数台のコンピュータで実現されてもよい。
【0031】
図4は、
図3のサーバ10の構成を示すブロック図である。サーバ10は、制御部11、記憶部12、メモリ13、通信部14を備える。制御部11は、サーバ10の各構成を制御するプロセッサである。記憶部12は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部12は、プログラム121及び会員DB122を記憶する。プログラム121は、駐停車違反判定条件検出処理、場所判定処理、見取り図作成処理等の少なくとも一部が実装されたコンピュータプログラムである。
【0032】
情報DB122は、制御部11の動作により作成された見取り図情報や、駐停車違反判定条件を検出するため、又は、駐停車違反となるか否かを判定するための法律・法令情報を管理するデータベースである。情報DB122に格納される見取り図情報及び法律・法令情報は、更新可能である。例えば、見取り図情報は、後述する情報端末20からの入力に従って更新され得る。また、サーバ10は、最新の道路交通法や条例等を管理するデータベース30にアクセスして、それを用いて情報DB122の法律・法令情報を自動的に最新の状態に更新することができる。
【0033】
メモリ13は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部11の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部14は、ネットワークNとの通信インタフェースである。
【0034】
制御部11は、記憶部12からプログラム121をメモリ120へ読み込ませ、プログラム121を実行する。これにより、制御部11は、検出部111、判定部112、作成部113、出力部114、違反判定部115の機能を実現する。
【0035】
検出部111は、情報端末20から入力された撮影画像から、情報DB122の法律・法令情報を用いて、駐停車違反判定条件を検出する。上述したように、駐停車違反判定条件とは、標識や道路標示、坂やトンネル、踏切、交差点、停留所、自動車専用出入口、道路工事区域、消火栓等を含む。情報DB122には、法律法令情報として、駐停車違反判定条件のイメージデータがあらかじめ登録されている。検出部2は、撮影画像とイメージデータとのマッチング処理を行うことにより、駐停車違反判定条件を抽出することができる。
【0036】
判定部112は、検出された駐停車違反判定条件に関する情報に基づいて、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する。情報DB122の法律・法令情報には、上述の通り、駐停車違反判定条件と関連情報とが含まれる。これらが、「駐停車違反判定条件に関する情報」である。関連情報は、駐停車違反判定条件とともに、駐停車違反の判定を行う際に用いられる。関連情報は、イメージデータとしては保存されない情報である。関連情報には、例えば、「駐車する自動車の右側に3.5m以上の余地がある」ことや、「路側帯の幅が0.75mを超える場合に、路側帯に入って駐車するとき、左側に0.75m以上の余地をあけているか」等の距離や、連続して駐車した経過時間等の時間に関する情報が含まれる。
【0037】
作成部113は、地図上に、駐停車違反判定条件に関する情報と、場所判定結果とを表示した見取り図を作成する。作成部4は、例えば、車両を上空から見下ろしているような俯瞰画像に、駐停車違反判定条件に関する情報と、駐停車違反となる場所を示す場所判定結果とを表示した見取り図を作成することができる。すなわち、見取り図には、道路地図、車両、標識や消火栓等の駐停車違反判定条件、駐車禁止とされる消火栓、踏切等からの距離をはじめとした関連情報が含まれる。
【0038】
出力部114は、作成した見取り図のデータを情報端末20に送信して、情報端末20に見取り図を表示させる。これにより、情報端末20のユーザは、駐停車違反となる場所を正確に認識することが可能となる。
【0039】
違反判定部115は、運転者が車両を実際に停車したときに、停車した場所が駐車違反となる場所に該当する否かを判定する。具体的には、違反判定部115は、場所判定結果と、運転者の乗車有無を示す情報及び停車した場所での経過時間の少なくともいずれか1つとに基づいて、当該車両の停車行為が駐車違反に該当するか否かを判定することができる。なお、出力部114は、車両の停車行為が駐車違反に該当するか否かを、音声や表示によりユーザに通知するための情報を、情報端末20に送信してもよい。
【0040】
また、サーバ10は、車両を連続して停車した経過時間に応じて駐停車違反に該当するか否かが判断される場所では、引き続き停車することができる残り時間をユーザに通知する情報を、情報端末20に送信することも可能である。情報端末20は、このような通知情報を音声や表示で出力する機能を有し得る。
【0041】
また、サーバ10は、撮影画像から、駐停車違反判定条件と車両との距離を推定する機能を有していてもよい。サーバ10は、推定した距離に基づいて、車両の停車位置が駐停車違反に該当するか否かを判断することができる。
【0042】
<情報端末20>
情報端末20は、ユーザが所持、操作し、無線通信によりネットワークNを介しサーバ10とデータの送受信を行う。情報端末20のユーザは、車両の運転者や、同乗者であってもよく、駐停車違反を取り締まる違反監視員であってもよい。情報端末20は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末等である。また、情報端末20は、車両に搭載された複数のカメラを含むカーナビゲーションシステムであってもよい。車両に搭載されるカメラは、ドライブレコーダーであってもよい。
【0043】
図4は、
図3の情報端末20の構成を示すブロック図である。情報端末20は、カメラ21、記憶部22、メモリ23、通信部24、位置情報取得部25、制御部26、表示部27、入力部28を備える。カメラ21は、制御部26の制御に応じて撮影を行う撮影装置である。撮影画像は、カメラ21により自動的に生成されてもよいし、ユーザの入力に応じて生成されてもよい。
【0044】
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置の一例である。記憶部22は、サーバ10から送信された見取り図データの表示処理や、見取り図の修正処理等を含む処理が実装されたプログラムを記憶する。
【0045】
メモリ23は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部26の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部24は、ネットワークNとの通信インタフェースである。なお、通信部24は、サーバ10と近距離無線通信の接続を確立し、通信を行ってもよい。ここで、近距離無線通信は、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)等の様々な規格を適用可能である。
【0046】
位置情報取得部25は、撮影が実行された位置情報を取得する。位置情報取得部25としては、GPS(Global Positioning System)等の測位システムが用いられ得る。取得された位置情報は、カメラ21により生成された撮影画像とともに、ネットワークNを介してサーバ10に送信される。
【0047】
表示部27は、制御部26の制御に応じて、サーバ10から送信された見取り図を表示する表示装置である。入力部28は、表示部27の表示面に見取り図が表示された状態で、表示面に対するユーザの入力操作を受け付ける。なお、タッチパネルのように、入力部28と表示部27とが一体として設けられていてもよい。駐停車違反判定条件の検出結果が誤っていた場合、ユーザは、入力部28から、見取り図上の当該駐停車違反判定条件に関する情報を修正する修正情報を入力することができる。
【0048】
制御部26は、情報端末20が有するハードウェアの制御を行うプロセッサである。制御部26は、記憶部22からプログラムをメモリ23へ読み込ませ、実行する。これにより、制御部26は、送信部261、表示制御部262の機能を実現する。
【0049】
送信部261は、車両の周辺状況を撮影した撮影画像を、撮影した日時や位置情報とともにサーバ10へ送信する。なお、サーバ10は、上述のように撮影画像に基づいて作成した見取り図に紐づけて、撮影日時や位置情報を情報DB122に格納することができる。
【0050】
表示制御部262は、プログラムの実行により、サーバ10から受信した見取り図を表示部27に表示させる。表示制御部262は、見取り図の修正のための、アイコン等を含む修正候補情報を表示することができる。ユーザは、修正候補情報から選択して、見取り図を修正することができる。
【0051】
図6は、情報端末20に表示される画面40の一例を示す図である。画面40は、見取り
図41、修正候補情報42が含まれる。見取り
図41は、車両Vを上空から見下ろしている状態が示されている。見取り
図41には、車両Vの周辺に存在する、駐停車違反判定条件としての、標識、消火栓、車庫出入口が含まれている。また、見取り
図41には、これらの駐停車違反判定条件とともに、駐停車違反の判定に用いられる、距離等の関連情報が表示されている。なお、
図6に示された画面40は一例であって、ここに示された情報に加えて、又はここに示された情報に代えて、その他の情報が表示されてもよい。このように、実施形態1によれば、ユーザは、駐停車違反となる場所を正確に認識することが可能となる。
【0052】
また、駐停車違反判定条件の検出結果が誤っていた場合、ユーザは、見取り図上の当該駐停車違反判定条件に関する情報を修正する修正情報を入力することができる。修正情報の入力は、ユーザが、画面40に表示された修正候補情報42から選択して、見取り
図41内に配置することで行うことができる。
図6に示す例では、修正候補情報42として、消火栓や標識のアイコンが用いられている。例えば、実際には標識があるにも関わらず、検出部111で標識が検出されず、見取り図内に標識がない場合、ユーザは、標識のアイコンを選択して、見取り図内の所定の位置に配置することができる。
【0053】
修正候補情報42としては、アイコン以外に文字列が用いられてもよい。例えば、坂の頂上付近で画像が撮影されたにもかかわらず、見取り図には、「坂の頂上付近であり、駐停車禁止」の旨が表示されていない場合、ユーザは、「坂の頂上」の文字列を選択して見取り図に適用することができる。このように、表示部27に修正候補情報を表示することで、これらの修正候補情報から選択して、簡便に見取り図を修正することが可能である。
【0054】
また、坂の頂上や、道路の曲がり角、道路工事区域等、画像のパターンマッチングでは検出することが難しい駐停車違反判定条件も見取り図に追加することができ、より正確な見取り図を作成することが可能となる。なお、見取り図に工事区域を追加する場合には、工事期間を合わせて入力することもできる。これにより、期間が限定される駐車禁止区域を認識することができる。
【0055】
なお、入力部28として、例えば、タッチパネル式の表示装置に仮想キーボードを表示するソフトウェアキーボード等であってもよい。見取り図の修正は、このようなキーボードを用いて行うことも可能である。
【0056】
情報端末20は、見取り図を修正した修正見取り図情報をサーバ10に送信することができる。サーバ10は、情報DB122に格納された見取り図情報を、修正見取り図情報に更新することが可能である。なお、上述のように修正見取り図には、撮影日時や位置情報が紐づけられる。これにより、その後、ユーザが、自身が所持する情報端末でサーバ10にアクセスして情報DB122に格納された見取り図を再度利用する際に、より正確な情報に修正された見取り図を用いて、駐停車違反となる場所を認識することが可能となる。また、修正見取り図に工事期間が紐づけられている場合には、駐停車違反となる場所が工事期間の終了により変動することを認識できる。
【0057】
また、サーバ10に蓄積された、ユーザにより手動修正された見取り図情報は、第三者が利用することも可能である。第三者が、自身が所持する情報端末から撮影画像をサーバ10に送信するとき、サーバ10は、当該撮影画像が取得された位置情報に基づいて、情報DB122内の利用可能な見取り図を検索することができる。情報DB122に利用可能な見取り図がある場合は、この見取り図に含まれる駐停車違反判定条件や修正情報を引用することができる。これにより、見取り図の作成速度を速くすることができる。なお、古すぎる情報では現在の状況と異なっている場合があるため、引用された情報に紐づけられている日時を第三者が参照できるようにしてもよい。
【0058】
ここで、
図7を参照して、駐停車違反判定システム100における、見取り図作成の流れについて説明する。
図7は、見取り図作成の流れを示すシーケンス図である。まず、情報端末20は、カメラ21により車両の周辺状況を撮影し(S21)、撮影画像をサーバ10に送信する。サーバ10は、情報端末20から撮影画像を取得し、取得した画像から駐停車違反判定条件を検出する(S22)。
【0059】
そして、サーバ10は、検出された駐停車違反判定条件に関する情報に基づいて、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定し、駐停車違反となる場所であることを示す場所判定結果を生成する(S23)。S23では、情報DB122に格納された、法律・法令情報を用いて、駐停車違反に該当するか否かが判定される。なお、情報DB122の法律・法令情報は、データベース30にアクセスして最新の状態に更新される。
【0060】
その後、サーバ10は、地図上に、駐停車違反判定条件に関する情報と、場所判定結果とを表示した見取り図を作成し(S24)、情報端末20に見取り図情報を送信する。情報端末20は、受信した見取り図を表示部27に表示させる(S25)。
【0061】
また、ユーザは、表示部27に表示された見取り図を見て、駐停車違反判定条件の検出結果に誤りがあれば、情報端末20の入力部28から修正情報を入力することができる。情報端末20は、入力された修正情報に基づいて、見取り図の修正を行い(S26)、修正見取り図情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、情報DB122の見取り図情報を、修正見取り図情報に更新することができる(S27)。
【0062】
以上説明したように、実施形態によれば、駐停車違反判定条件に関する情報と、場所判定結果とが表示された見取り図を作成することができ、ユーザは、正確に駐車違反となる場所を正確に認識することが可能となる。
【0063】
なお、駐停車違反は、運転者の乗車有無や、停車した時間に基づいて判定される場合もある。したがって、ユーザは、入力部28から、運転者の乗車有無や、停車した時間を入力することもできる。なお、運転者の乗車有無は、車両の運転席に設けられた加圧センサや、車両の車室内を撮影するカメラを利用して、自動的に判定することも可能である。情報端末20は、これらの情報をさらにサーバ10に送信することができる。サーバ10は、車両が停止する場所が駐停車違反となる場所か否かを判定する際に、これらの情報を利用することができる。
【0064】
実施形態3.
図8は、実施形態3に係る駐停車違反判定システムの構成例を示す図である。実施形態3では、道路Rの脇に、カメラ50が設けられている例である。カメラ50は可搬型であり、任意の場所に設置することができる。また、カメラ50として、例えば、街中に設置された監視カメラを利用することが可能である。カメラ50は、特定の道路Rの周辺状況を撮影する。
【0065】
カメラ50の撮影範囲が、このカメラ50を用いて駐停車違反を判定することができる範囲となる。また、後述する情報端末51からの信号に基づき、カメラ50の向きを遠隔制御することも可能である。特定の道路Rを撮影した撮影画像は、サーバ10に送信される。サーバ10は、実施形態2と同様に、駐停車違反判定条件検出処理、場所判定処理、見取り図作成処理を実行する。
【0066】
また、この例では、サーバ10は、カメラ21の撮影範囲内に車両Vが停車した際に、当該車両Vの停車位置が、見取り図上の駐停車違反となる場所に該当するか否かを通知するための通知情報を出力することができる。
【0067】
例えば、
図8に示すように、カメラ50の近傍に駐車禁止の標識があるものとする。この場合、カメラ50の近傍を含む、駐車禁止の標識が設けられた道路Rは駐車違反となる場所である。このような例で、車両Vが道路Rを情報端末20に向かって進行してきて、情報端末20のカメラ21の撮影範囲内に駐車した場合、サーバ10は、駐車違反になる旨の通知情報を車両Vに設けられた情報端末(不図示)に送信することができる。車両Vの情報端末は、運転者に対し、当該停車行為が駐車違反になる旨を音声や表示等で通知することができる。
【0068】
このように、道路交通法等規定される駐車禁止区域とされる位置に車両を駐車させようとした場合に、その旨を運転者に知らせることができるため、運転者は駐停車違反とならない位置に車両Vを移動させることが可能となる。
【0069】
一方、実施形態3の駐停車違反判定システムは、運転者以外に、警察や違反監視員、自治体の人等が利用することもできる。この駐停車違反判定システムが、違反監視員による違反取締の際に活用される例について説明する。サーバ10からの見取り図情報は、違反監視員の所持する情報端末51に送信される。違反監視員の所持する情報端末51では、見取り図と、カメラ50からリアルタイムで送信される道路Rの撮影画像とが重畳して表示されてもよい。違反監視員は、このような画像をみて、駐停車違反となる車両Vを特定することができる。
【0070】
または、情報端末51が、駐車禁止区域に車両Vが駐車した場合に、自動で駐停車違反となる車両Vを特定することも可能である。情報端末51は、特定された車両Vの情報端末に対し、駐車違反の罰金を請求する旨を送信することも可能である。
【0071】
なお、上述のように、違反監視員は、情報端末51を用いて、見取り図を修正することが可能である。このとき、違反監視員は、撮影画像からは判定することが難しい、坂の頂上や、道路工事区域等の駐停車違反判定条件も見取り図に手動で追加することができる。この修正見取り図は、カメラ50における撮影範囲(駐停車違反判定範囲)の設定値として、サーバ10に登録することも可能である。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 駐停車違反判定装置
2 検出部
3 判定部
4 作成部
10 サーバ
11 制御部
111 検出部
112 判定部
113 作成部
114 出力部
115 違反判定部
12 記憶部
13 メモリ
14 通信部
121 プログラム
122 情報DB
20 情報端末
21 カメラ
22 記憶部
23 メモリ
24 通信部
25 位置情報取得部
26 制御部
261 送信部
262 表示制御部
27 表示部
28 入力部
30 データベース
40 画面
41 見取り図
42 修正候補情報
50 カメラ
51 情報端末
100 駐停車違反判定システム
N ネットワーク
V 車両
R 道路