(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062580
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、回収システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170505
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(71)【出願人】
【識別番号】505417437
【氏名又は名称】MNインターファッション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】平井 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】大野 重樹
(72)【発明者】
【氏名】若山 翔平
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】各段階における環境保護を支援することができる情報処理装置、回収システムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】検査情報取得部は試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得し、素材検出部は追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、前記追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、検査パターン情報と固有パターン情報を照合し、検査パターン情報に基づく素材の検出情報を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得する検査情報取得部と、
追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、前記追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、前記検査パターン情報と前記固有パターン情報を照合し、
前記検査パターン情報に基づく前記素材の検出情報を取得する素材検出部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
ユーザ機器から前記素材の特性を示す前記素材情報と前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを含む前記生産条件情報を取得する生産条件情報取得部と、
前記生産条件情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された生産条件情報から生地の画像を合成し、前記画像を前記ユーザ機器に出力する画像合成部と、を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記素材の特性を示す前記素材情報と前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを含む前記生産条件情報を取得する生産条件情報取得部と、
前記生産条件情報ごとに、当該生産条件情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された生産条件情報から生地の画像を合成し、前記生産条件情報ごとに合成された前記画像をユーザ機器に出力する画像合成部と、を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検査パターン情報と関連付けて取得される前記素材を含む製品である素材含有品に関する数量または前記素材含有品における前記素材の含率を前記素材含有品に係るユーザごとに集計した集計量に基づいて前記ユーザに対する待遇を定めるユーザ管理部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ管理部は、
前記ユーザが前記素材の購入者であるとき、
前記集計量に基づいて前記素材の販売に関する条件を定める
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記試料に含まれる素材に関する開示情報を取得する開示情報取得部と、
前記試料から取得された検出情報と前記開示情報を照合し、
前記開示情報の妥当性を評価する開示情報評価部と、を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記開示情報は、前記素材に関する環境指標として第1環境指標を含み、
前記開示情報評価部は、
前記検出情報として前記試料の原料構成に基づいて当該試料に係る環境指標を第2環境指標として算出し、
前記第1環境指標と前記第2環境指標を照合し、
前記第1環境指標の妥当性を評価する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
報告情報処理部を備え、
前記生地情報は、前記加工品における前記素材の含率の基準値を示し、
前記素材検出部は、
前記検査パターン情報に基づいて前記試料に含まれる前記素材の含率を測定し、
前記報告情報処理部は、
前記含率の測定値が前記基準値と合致するとき、
前記素材または前記加工品に関する報告情報を生成する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記報告情報処理部は、
前記素材の含率、当該含率に基づく前記素材もしくは前記加工品に係る環境指標、または、前記素材もしくは加工品の生産者の情報を含む前記報告情報を生成する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
回収情報処理部を備え、
前記素材検出部は、
前記検査パターン情報に基づいて前記試料とする回収品に含まれる前記素材の含率を測定し、
前記回収情報処理部は、
前記含率の測定値に基づいて前記回収品の回収の要否を判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記回収情報処理部は、
前記含率の測定値が所定の基準値以上であるか否かに基づいて前記回収品の回収の要否を判定する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置と、
前記回収品が回収否と判定される場合、当該回収品を排出する排出部と、を備える
回収システム。
【請求項13】
情報処理装置における情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、
試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得する検査情報取得ステップと、
追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、前記追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、前記検査パターン情報と前記固有パターン情報を照合し、
前記検査パターン情報に基づく前記素材の検出情報を取得する素材検出ステップと、を実行する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、回収システムおよび情報処理方法に関する。本発明は、例えば、合成素材からなる生地、衣料品などの加工品の追跡および回収に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護意識の高まりにより、環境負荷の低減が求められている。経済と両立した循環型社会の形成に向け、さまざまな取り組みがなされている。循環型社会とは、有限な資源を効率的に利用するとともに、循環的な利用により、持続可能な形で循環させながら利用していく社会である。循環型社会の実現には、生産者、消費者、をはじめとする各人の行動が環境に配慮されていることを要する。そのため、政府、地方公共団体などの公的機関により種々の規制や行動基準が策定されている。
【0003】
産業界においては、生産、加工、流通などの各段階の活動が資源を有効に活用するものであり、汚染などの環境負荷を低減することが求められている。消費者に対しては、入手または使用する製品の追跡性(トレーサビリティ(traceability)の可視化が試みられている。追跡性の可視化を通じて環境保護に対する貢献度を明らかにすることで、環境に配慮された製品の購入や利用が促される。そして、不要品に対しては、販売者または専門の回収業者による回収または再利用のための設備や体制の整備が促されている。
【0004】
また、事業者や製品に対しては、環境保護を目的とする基準や認証制度が整備されつつある。認証の取得は事業者やその製品に対する評価項目や、宣伝の一環としても用いられることがある。かかる動向は、アパレル業界においても無縁ではない。
例えば、特許文献1には、織物の分野には複雑な供給連鎖が存在すること、織物製品がその起源に関して適切に記載されないこと、最終的な買い手が、示される繊維材料が適切に使用されることを望むことについて記載されている。そして、特有の形状の繊維を十分な比率で遷移含有物品に含め、容易に特定できるようにすることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、環境保護の推進は、事業者に対する負担を増加しかねない。例えば、推進のための人員の訓練、設備の導入を要することがある。他方、環境保護への取り組みの有無により、取引先の選定が見直されることもある。かかる取り組みは、一般に人材が豊富であり財務基盤が安定した大手の事業者でなければ困難である。中小の事業者は、情報収集や人員の確保の面でも大手の事業者よりも不利になりがちである。単価が低い製品、サービスに対してはコストの低減が優先されがちである。例えば、虚偽の環境指標や認証取得が標榜されることがある。このことは環境基準や認証制度に対する信頼性を失わせる原因となりうる。
【0007】
また、環境対応型素材は、非環境対応型素材と物理的または化学的に区別できないことがある。環境対応型素材とは、環境負荷が低い素材または環境負荷の低減に貢献する素材を指す。環境対応型素材には、例えば、バイオマス素材、リサイクル素材などがある。物理的または化学的手法で原材料や生産工程の差異が特定できないためである。例えば、バイオマスPET(Polyethylen-Terephthalate)繊維、リサイクルPET繊維は、石油を原料として生産されたPET繊維とは区別できない。消費者の立場としては、環境対応型素材を使用した製品を認識して購入しても、現実には購入品において非環境対応型素材が使用されている可能性がある。このような場合には、製品に対する信頼性が失われかねない。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題の一つは、衣料品の販売、流通、回収などの各段階における環境保護を支援することができる情報処理装置、回収システムおよび情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得する検査情報取得部と、追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、前記追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、前記検査パターン情報と前記固有パターン情報を照合し、前記検査パターン情報に基づく前記素材の検出情報を取得する素材検出部と、を備える情報処理装置である。
【0010】
(2)本発明の他の態様は、情報処理装置における情報処理方法であって、前記情報処理装置が、試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得する検査情報取得ステップと、追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、前記追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、前記検査パターン情報と前記固有パターン情報を照合し、前記検査パターン情報に基づく前記素材の検出情報を取得する素材検出ステップと、を実行する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各段階における環境保護を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図2】第1実施形態の画像合成モデルの学習と推論の例を示す説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る生産条件情報の例を示す表である。
【
図4】第1実施形態に係る検査情報の例を示す表である。
【
図5】第1実施形態に係る回収履歴の例を示す表である。
【
図6】第1実施形態に係る回収者情報の例を示す表である。
【
図7】第1実施形態に係る回収者管理方法の例を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る生産条件情報の例を示す表である。
【
図10】第3実施形態に係る報告情報処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】第3実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図12】第3実施形態に係る妥当性評価処理の例を示すフローチャートである。
【
図13】第4実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図14】第4実施形態に係る回収処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。第1実施形態の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例を示す概略ブロック図である。情報処理システム1は、情報処理装置10、端末装置20および検出器30を含んで構成される。情報処理装置10は、ネットワークを経由して無線または有線で各種のデータを端末装置20および検出器30のそれぞれと送受信可能に接続される。ネットワークは、インターネット、公衆ネットワーク、構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)、仮想専用線(VPN:Virtual Private Network)、専用回線、などのいずれか1つ、または、いずれかの組み合わせであってもよい。
【0014】
情報処理装置10は、試料から検出された検査パターン情報を含む検査情報を取得する。試料は、検査パターン情報の検出対象物である。試料として、合成毛皮の材料または加工品が適用されうる。合成毛皮の材料は、例えば、生地である。合成毛皮の加工品は、その材料を含む製品または半製品である。合成毛皮の材料または加工品は、素材に対する加工品とみなすこともできる。合成毛皮の製品には、例えば、帽子、靴下、オーバーコート、マフラー、などがある。合成毛皮の半製品として、最終の製品の部材が該当する。例えば、帽子のトップクラウン、サイドクラウン、耳当て、靴下のかかと部、爪先部、フート部、レッグ部、オーバーコートの袖、ヨーク、プリーツ、ポケット、などがある。
【0015】
情報処理装置10は、生産条件情報を参照して、検査パターン情報と固有パターン情報を照合する。生産条件情報は、素材情報を含んで構成され、固有パターン情報と関連付けて管理される。固有パターン情報は、追跡子に固有のパターン情報である。素材情報は、その追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する情報を含む。情報処理装置10は、固有パターン情報との照合により、検査パターン情報に基づく素材の検出情報を取得する。
【0016】
検出情報を取得することで、試料における生産条件情報に掲げられた化学繊維を含む素材の含量に基づいて有無を判定することができる。その素材を有する場合には、検出された含量が生産条件情報で規定された素材の構成比率を満たすか判定されうる。生産条件情報は、素材の特性を示す素材情報と素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを含む。生産条件情報は、素材の発注時に取得されることがある。例えば、情報処理装置10は、端末装置20から取得した生産条件情報から、画像合成モデルを用いて生地の画像を合成する。画像合成モデルは、生産条件情報と生地の立体形態を表す画像との関係を示す数理モデルである。情報処理装置10は、合成した画像を端末装置20に出力する。画像合成モデルは、生産条件情報ごとに、その生産条件情報と生地の立体形態を表す画像との関係を表すモデルであってもよい。その場合、情報処理装置10は、生産条件情報ごとに合成された画像を端末装置20に出力する。
情報処理装置10は、端末装置20から生地に関する注文情報を取得し、生地の生産を開始させるための処理を実行してもよい。
【0017】
生産条件情報は、生地の生産条件を示す情報であり、素材情報と生地情報を含む。素材情報は、素材の特性を示す情報である。生地情報は、素材から生産される生地の特性を示す情報である。生地は、具体的には人工毛皮(合成毛皮、人造毛皮、エコファー、フェイクファー、などとも呼ばれることがある)である。人工毛皮は、一般に基布(地組織部という場合がある)上に化学繊維からなる繊維束を編みや織り等の方法により立毛組織を形成してなる立毛調生地である。生地は、サンプル(標本、見本、などとも呼ばれることがある)として形成されうる。素材は、生地の原材料となる化学繊維を少なくとも含み、一部に天然繊維を含んでいてもよい。
【0018】
端末装置20は、主に情報処理装置10から提供される各種のサービスをユーザに提示するためのユーザインタフェースを備えるユーザ機器である。例えば、端末装置20は、操作に応じて生産条件情報を生成または更新する。端末装置20は、取得した生産条件情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、素材情報ならびに生地情報と、生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用い、端末装置20から受信した素材情報ならびに生地情報から生地の画像を合成する。情報処理装置10は、合成した画像を示す画像データを端末装置20に送信する。端末装置20は、情報処理装置10から受信した画像データに基づいて生地の立体形態を表す画像を表示する。端末装置20のユーザは、表示された画像を視認して、画像に表れた生地が所望の生地であるか確認することができる。端末装置20は、ユーザから受け付けた操作に応じて注文情報を生成し、情報処理装置10に送信してもよい(発注)。
【0019】
検出器30は、試料から検査パターン情報を検出する。検出器30は、例えば、分光分析器である。分光分析器は、試料が放射する光のスペクトル(放射スペクトル)または吸収する光のスペクトル(吸収スペクトル)を検出する。検出した放射スペクトルまたは吸収スペクトルの全体または一部は、検査パターン情報として用いられる。固有パターンとして素材に含まれる追跡子の放射スペクトルまたは吸収スペクトルの全体または一部が用いられる。放射スペクトルまたは吸収スペクトルは、所定の波長帯域に属する波長の放射率または吸収量で表される。追跡子は、トレーサ(tracer)とも呼ばれ、その追跡子を含む物質の使用状況または流通状況の調査に用いられる。
【0020】
後述するように、検査パターンは、その追跡子を含む素材の含量または使用の有無を判定するために用いられる。追跡子は、素材の生産工程において、その原料に添加される。追跡子として、素材と化学反応を生じず、その素材もしくは代替として使用されうる他の物質と有意に異なるパターンを有するスペクトルを生ずる物質(例えば、トレーサ樹脂、顔料など)が用いられる。追跡子の添加量は、素材の外観に有意な影響を与えない程度の少量であればよい。検出器30は、検出した検査パターン情報を有する検出情報を情報処理装置10に送信する。検出情報には、他の要素情報をさらに含めて送信されてもよい。他の要素情報として、例えば、回収者識別情報、回収日時、回収品の数量などのいずれか一項目またはいずれかの組み合わせが適用されうる。
【0021】
情報処理装置10のユーザは、主に素材の生産者の他、販売者、または、それらの委託を受けた事業者(本願では、「生産者等」と総称することがある)、衣料品のデザイナー、生産者もしくは販売者である。情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)、ワークステーション、サーバ装置などの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器として構成されてもよい。
端末装置20のユーザは、主に素材の利用者である。素材の利用者は、例えば、素材を原料とする生地の生産者もしくは販売者、または、生地を材料とする衣料品のデザイナー、生産者もしくは販売者などである。
端末装置20は、PC、タブレット端末装置、スマートフォンなどの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器として構成されてもよい。
【0022】
情報処理装置10のユーザ、とりわけ生地もしくは素材の生産者において、生地サンプルもしくは素材の生産を軽減または省略することができるため、素材ならびに生地の開発を効率化することができる。端末装置20のユーザは、端末装置20を用いて生産条件情報を変更し、生地サンプルの画像データを視認して所望の生地をすぐに確認できるため、必要以上の生地サンプルの開発に係る労力や時間を節減することができる。
【0023】
衣料品に係る素材または素材を原料とする加工品の流通経路は、一般に複雑である。素材の利用者として、一次利用者に限らず、二次利用者以上の高次利用者が存在しうる。一次利用者は、生産者から直接取得した素材を利用する者である。高次利用者は、他の利用者が利用した素材を自ら利用する者である。つまり、素材の流通経路において、生産者は最も上流に所在し、一次利用者は生産者の次に所在する利用者であり、二次利用者は一次利用者の次に下流に所在する利用者であり、高次利用者は、さらに下流に所在する利用者に相当する。素材の利用には、素材から加工品の生産、その素材を含む加工品から他の加工品の生産、その素材またはそれらの加工品の他の利用者への流通が含まれる。
【0024】
本実施形態では、素材として合成毛皮の原料とする化学繊維が適用され、素材に対する加工品として、その素材を原料とする生地ならびに生地の加工品を掲げる。生地は、合成毛皮の材料となる。生地の加工品は、最終製品となる衣料品の他、衣料品の材料となる半製品が該当する。不要となった合成毛皮の材料または加工品が回収品となりうる。回収品は、その素材の再生(リサイクル)またはその素材を含む加工品の再使用(リユース)の対象となりうる。
【0025】
検査対象となる試料として、未使用品もしくは未出荷品に限られず回収品も適用されうる。出荷後に不要となった加工品が回収品となりうる。本実施形態では、回収品を回収する者を「回収者」と呼ぶ。回収者は、回収物の回収を専業とする事業者に限られない。生産者等または利用者も回収者となりうる。検出器30は、生産者、利用者および回収者のいずれによっても用いられうる。
【0026】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例について説明する。情報処理装置10は、制御部120と、記憶部170と、入出力部175と、を含んで構成される。
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含んで構成される。プロセッサは、記憶部170に予め記憶させた所定のプログラムに記述された命令に示される処理を実行して、情報処理装置10の機能を発揮する。本願では、プログラムに記述された命令に示される処理を実行することを、「プログラムの実行」、「プログラムを実行する」などと呼ぶことがある。プロセッサは、例えば、所定のプログラムを実行して制御部120としての機能を実現する。制御部120は、専用の部材を用いて実現されてもよい。
【0027】
記憶部170は、制御部120が実行する処理に用いる各種のデータを記憶する。記憶部170は、制御部120が取得した各種のデータを記憶する。記憶部170は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体を含んで構成される。
入出力部175は、他の機器と無線または有線を用いて各種のデータの入力または出力する。入出力部175は、他の機器とネットワークを経由して接続してもよい。入出力部175は、例えば、入出力インタフェース、通信インタフェースなどのいずれか、または両者を含んで構成されてもよい。
【0028】
次に、制御部120の機能構成について説明する。制御部120は、生産条件情報取得部122、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、検査情報取得部130、素材検出部142、回収者管理部144およびユーザ管理部160を含んで構成される。
生産条件情報取得部122は、生地の生産条件情報を取得する。生産条件情報取得部122は、端末装置20から入出力部175を経由して生産条件情報を受信し、受信した生産条件情報を画像合成部124に出力する。生産条件情報取得部122は、受信した生産条件情報をユーザ識別情報と対応付けて記憶部170に記憶してもよい。生産条件情報の要素となるパラメータの例については、後述する。
【0029】
画像合成部124は、所定の画像合成モデルを用いて、生産条件情報取得部122から入力された生産条件情報に基づいて生地の立体形態を表す画像を合成し、生成した画像を示す三次元の画像データを生成する(推論)。画像合成部124は、生成した画像データを端末装置20に入出力部175を経由して送信する。立体形態は、三次元形状と、表面に付された模様をなす色の分布で表現される。色は、一般に色調(色合い)と階調(濃淡)の一方または両方を指す。三次元形状と大きさは、予め設定されてもよい。画像に表される三次元形状には少なくとも1つの表面と1つの断面が含まれる。三次元画像データとして、点群データ、二次元の画像データと奥行データの組、などが用いられうる。画像合成モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)などの数理モデルを用いることができる。画像合成モデルを用いた演算処理のパラメータ群(ハイパーパラメータ、モデルパラメータ、などとも呼ばれる)として、モデル学習部126により得られたモデルパラメータが用いられる。以下の説明では、画像データと奥行データにおける信号値の設定単位である画素(ピクセル)、点群データにおける信号値の設定単位である体積要素(ボクセル)を「表示単位」と総称することがある。
【0030】
モデル学習部126は、予め生成された訓練データを用いて、生産条件情報と生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルのモデルパラメータを算出する(モデル学習)。訓練データは、複数の訓練セットを含んで構成される。個々の訓練セットは、入力情報として生産条件情報と、出力情報として画像とを有し、これらを対応付けてなる組を含む。モデル学習部126は、例えば、訓練セット全体として、入力情報に基づく推定画像と、出力情報をなす画像との差分が低減されるように、モデルパラメータを再帰的に更新する。学習により得られたモデルパラメータが、画像合成部124における推論に用いられる。モデル学習および推論については、後述する。
【0031】
注文処理部128は、画像合成部124において生成された画像データに立体形態が示された生地に関する注文情報を端末装置20から入出力部175を経由して受信する(受注)。注文情報には、発注対象とする生地の生産条件情報、数量、納期、および、発注者情報が含まれる。発注者情報には、名称、住所、および、連絡先が含まれる。発注者情報には、名称、住所、および、連絡先に代え、または、これらの情報ととともに、ユーザIDが含まれてもよい。ユーザ管理データ(後述)において、ユーザIDと対応付けて名称、住所、および、連絡先を対応付けて含まれていれば、これらの情報は発注者情報において省略されてもよい。
【0032】
注文処理部128は、受信した注文情報に示される生産条件情報を特定する。特定した生産条件情報は生地の生産に用いられてもよい。例えば、注文処理部128は、特定した生産条件情報を生地の生産設備に送信してもよい。注文処理部128は、生産設備に対し、生産条件情報で示される生産条件に従って生地を生産させることができる。本実施形態では、生産対象とする製品は、主に生地の標本(以下、「生地サンプル」と呼ぶことがある)である場合を例にする。なお、注文処理部128は、取得した注文条件をユーザ管理部160に出力し、ユーザ(例えば、利用者)ごとにユーザIDと対応付けて管理させるようにしてもよい。
【0033】
検査情報取得部130は、試料から検出された検査パターン情報を含む検査情報を検出器30から入出力部175を経由して取得する。検査情報取得部130は、取得した検査情報から検査パターン情報を抽出し、抽出した検査パターン情報を素材検出部142に出力する。検査情報に他の要素情報が含まれている場合には、検査情報取得部130は、検査情報から他の要素情報を抽出し、抽出した検査パターン情報と対応付けて素材検出部142に出力してもよい。
【0034】
素材検出部142は、記憶部170に予め記憶された追跡子の固有パターン情報と生産条件情報を読み取る。素材検出部142は、検査情報取得部130から入力される検査パターン情報を待ち受ける。検査パターン情報が入力されるとき、素材検出部142は、固有パターン情報と検査パターン情報を照合し、公知の分光分析法に従い、固有パターン情報に対応付けられた生産条件情報に含まれる素材情報に示される素材の検出情報を取得する。素材検出部142は、例えば、追跡子を含む特定の素材の含率を定めることができる。定めた含率が所定の検出下限未満である場合には、素材検出部142は、追跡子を含む特定の素材が検出されないと判定してもよい。素材検出部142は、特定の素材の有無と含率の一方または両方を、その素材の検出情報として定めることができる。素材検出部142は、素材検出部142は、検出情報を回収者の回収者識別情報(回収者ID(identifier))と対応付けて記憶部170に記憶する。素材検出部142は、検査パターン情報に含まれる他の要素情報を検出情報に含めて記憶部170に記憶してもよい。記憶部170には、回収者ごとに検出情報が累積してなる回収履歴が形成される。
【0035】
なお、合成毛皮の材料または加工品は、複数種類の素材から生成されることが通例である。異なる種類の素材には、それぞれ異なる種類の追跡子が含有されてもよい。異なる種類の追跡子は、互いに識別可能に異なる特性を示す固有パターン情報を有する。素材検出部142は、試料に対して固有パターン情報の種類ごとに検出器30が取得した検査パターン情報と照合して、その種類に対応する追跡子を含む素材の含量を定めることができる。
【0036】
回収者管理部144は、記憶部170に記憶された回収履歴を参照し回収者ごとの待遇を管理する。回収者管理部144は、回収履歴から検査ごとの検出情報を読み出し、読み出した検出情報を集計して集計量を算出する。回収者管理部144は、例えば、検査ごとの検出情報から素材の含率と試料として回収品の数量を特定し、特定した含率が検出下限以上となる検査に係る数量を累積して得られた値を有効回収量、その検査の回数を有効回数として算出することができる。素材の含率は、試料である加工品における素材の純度とみなすこともできる。回収者管理部144は、検査ごとに特定した純度を数量に比例する重みで加重平均して得られる加重平均値を平均純度として算出することができる。有効回収量、有効回数、平均純度は、いずれも集計量の例となる。
【0037】
回収者管理部144は、算出した集計量に基づいて回収者の待遇を定めることができる。回収者管理部144は、予め定めた複数段階の集計量の値域に対して異なる待遇を予め設定しておく。ここで、集計量が多いほど回収者に対して有利な待遇が設定されればよい。回収者の待遇として、例えば、会員ランク、サービスレベル、回収費用の単価、基本料などのいずれか1項目、または、いずれかの組み合わせが適用可能である。集計量として、所定の演算規則のもとで算出された回収ポイントを用いてもよい。回収ポイントは、回収頻度と個々の検査に係る回収ごとの回収量を総合して正規化された数値とみなすこともできる。回収ポイントは、回収者に対する報酬またはサービスの対価として用いられてもよい。回収者が素材の購入者である場合には、回収者管理部144は、回収者に対する素材の販売に関する条件を定めてもよい。販売に関する条件は、例えば、単価、基本料、納期、販売単位、などのいずれか1項目、または、いずれかの組み合わせが適用可能である。
回収者管理部144は、回収者ごとの回収者識別情報と集計量ならびに待遇の一部または全部を含み、これらを対応付けてなる回収者情報を記憶部170に記憶する。
【0038】
ユーザ管理部160は、端末装置20を用いてアクセスするユーザを管理する。ユーザ管理部160は、例えば、ログイン処理を行う。記憶部170には、ユーザごとにユーザ識別情報と認証情報を含み、これらを関連付けてなるユーザ管理データを記憶させておく。ユーザ識別情報と認証情報として、例えば、ユーザIDとパスワードが用いられる。ユーザ管理部160は、端末装置20からユーザ識別情報と認証情報を取得する。ユーザ管理部160は、ユーザ管理データを参照し、取得したユーザ識別情報に関連付けられた認証情報と取得した認証情報とを照合し、ユーザ認証の成否を判定する。ユーザ管理部160は、ユーザ認証に成功したユーザ識別情報の送信元となる端末装置20からのアクセスを許可し、ユーザ認証に失敗したユーザ識別情報の送信元となる端末装置20からのアクセスを許可しない。ユーザ管理部160は、端末装置20からログアウト処理が指示されるまでの間、端末装置20からのアクセスにより通知されるIPアドレスなどの機器識別情報を用いて、アクセス元の端末装置20を特定することができる。
【0039】
次に、端末装置20の機能構成例について説明する。端末装置20は、制御部220、記憶部270、入出力部275、表示部280および操作部285を含んで構成される。
記憶部270、入出力部275の機能構成は、それぞれ情報処理装置10の記憶部170および入出力部175の機能構成と同様であってもよく、それらの説明を援用する。
【0040】
表示部280は、制御部220から入力される表示データに従って各種の情報(例えば、表示画面など)を表示する。表示部280は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのディスプレイを備える。
操作部285は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作で指示される各種の情報(例えば、座標値、文字、など)を示す操作信号を生成する。操作部285は、生成した操作信号を制御部220に出力する。操作部285は、ボタン、レバー、つまみ、などの専用の部材を備えてもよいし、タッチセンサ、マウス、ジョイスティック、などの汎用の部材を備えてもよい。操作部285をなすタッチセンサは、表示部280をなすディスプレイと重なり合い、タッチパネルとして構成されてもよい。
【0041】
次に、制御部220について説明する。制御部220は、入力処理部222および表示処理部224を含んで構成される。
入力処理部222は、表示処理部224と協働して、グラフィックユーザインタフェース(GUI:Graphic User Interface)を構成する。入力処理部222は、操作部285または入出力部275に入力される操作信号で指示される情報を特定する。特定される情報には、素材情報、生地情報、注文情報などの要素情報や情報処理装置10へのアクセス要求などがある。アクセス要求が指示されるとき、入力処理部222は、予め設定されたユーザ識別情報と操作信号で指示される認証情報を含めて情報処理装置10に送信する。素材情報および生地情報が特定される場合、入力処理部222は、特定した素材情報および生地情報を情報処理装置10に送信する。入力処理部222は、操作信号に基づいて表示画面に表れる生地の画像の表示態様を特定し、特定した表示態様を表示処理部224に通知してもよい。入力処理部222は、操作情報に基づいて注文情報を特定し、特定した注文情報を情報処理装置10に送信する。
【0042】
表示処理部224は、各種の表示画面を構成し、構成された表示画面を示す表示データを表示部280に出力する。表示画面には、素材情報、生地情報を特定するための項目や、生地の立体形態を表す画像の表示欄、画像の表示態様を指示するための画面部品などが含まれうる。表示画面には、注文条件を特定するための項目や画像に対する評価項目などが含まれうる。
【0043】
次に、画像合成モデルの学習と推論について説明する。
図2は、本実施形態の画像合成モデルの学習と推論の例を示す説明図である。情報処理装置10は、学習ステップ(S02)と推論ステップ(S04)を実行可能とする。学習ステップS02は、入力される素材情報と生地情報から所定の画像合成モデルを用いて生地の立体形態を表す画像を合成するためのモデルパラメータを定める処理である。学習ステップS02において、モデル学習部126は、教師あり学習(Supervised Learning)を実行する。教師あり学習において、モデル学習部126は、既知の入力値と目標値を含むデータセットを訓練セットとして用い、入力値に対して画像合成モデルに従って算出される推定値が目標値に近似するようにモデルパラメータを再帰的に算出する。本実施形態では、入力値として素材情報と生地情報のそれぞれをなす要素を示す数値が用いられる。
【0044】
モデル学習部126は、学習ステップS02において入力値として素材情報と生地情報をなす数値を用い、目標値として、生地サンプル画像を示す画像データをなす表示要素ごとの信号値を用いる。生地サンプル画像とは、生地サンプルを表す画像である。学習ステップS02では、モデル学習部126は、推定値と目標値との差分の大きさを示す損失関数(Loss Function)が複数通りの訓練セットを跨いで最小化されるように画像合成モデルのパラメータセットを再帰的に算出する。画像合成モデルとして用いられる数理モデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、ResNet(Residual Network)などのいずれであってもよいし、ニューラルネットワーク以外の数理モデルであってもよい。ここで、最小化とは絶対的に最小にすることの他、極力最小にすることを目的としてモデルパラメータを推定または探索するという意味を含む。従って、最小化の過程で損失関数は単調に減少するとは限られず、一時的に増加することもありうる。
【0045】
損失関数として、例えば、平均二乗誤差(SSD:Sum of Squared Differences)、交差エントロピー誤差(cross entropy error)などを用いることができる。モデルパラメータを定める手法は、最急降下法(steepest descent)、確率的最適化(stochastic optimization)、などのいずれの手法でもよい。モデル学習部126は、損失関数が所定の損失関数の閾値以下となったとき、または、パラメータセットの更新回数が所定回数に達するときモデルが収束したと判定し、学習ステップS02を停止する。モデル学習部126は、その時点で算出されたモデルパラメータを示す画像合成モデルデータを記憶部170に記憶する。なお、モデル学習部126は、他の機器から訓練データを取得し、取得した訓練データを用いてモデルパラメータを算出してもよい。
【0046】
推論ステップS04は、入力される素材情報と生地情報から所定の画像合成モデルを用いて生地の立体形態を表す画像を合成する処理である。画像合成部124は、記憶部170に記憶された画像合成モデルデータを読み出し、読み出した画像合成モデルデータに示されるモデルパラメータを画像合成モデルに展開する。推論ステップS04において、画像合成部124は、素材情報と生地情報を示す入力値に対し、画像合成モデルを用いて表示要素ごとの推定値を算出し、算出した表示要素ごとの推定値を示す画像データを生成する。生成された画像データにより生地サンプルの立体形態を表す三次元画像が表現される。この時点で表される生地サンプルの三次元形状は、生地サンプルの基本形状であってもよい。生地サンプルの基本形状は、例えば、平板状の直方体である。主面の形状は、正方形または長方形である。厚みは、通例、主面に平行な2つの辺のそれぞれの長さよりも小さい。
【0047】
次に、生産条件情報の例について説明する。
図3は、本実施形態に係る生産条件情報の例を示す表である。生産条件情報は、素材情報と生地情報を含む。生産条件情報は、その素材の固有パターン情報と関連付けて情報処理装置10の記憶部170に記憶される。固有パターン情報は、素材ごとに予め記憶部170に記憶させておいてもよい。固有パターン情報は、その素材に係る生産条件情報と後発的に対応付けられる。
【0048】
素材情報の例について説明する。素材情報は、素材の特性を示す情報である。本実施形態では、素材とは、生地の材料となる繊維を指す。特性とは、性質、状態、属性、などを意味する。素材情報の要素として、銘柄、品種、繊度、繊維タイプ、断面形状、光沢、色、潜在捲縮特性、収縮特性、繊維長、捲縮特性、フィラメント数およびフィラメントの総繊度の全部または一部が含まれる。
【0049】
銘柄とは、繊維の名称を指す。銘柄として、商品名が用いられることがある。銘柄は、ユーザによる認識が容易であるため、生地の仕様の特定にしばしば用いられる。銘柄は、繊維の特性、例えば、断面の形状や太さ、配合(色、光沢)、捲縮特性、などと関連付けて観念されることがある。
品種とは、繊維の種類を指す。繊維には、フィラメント(長繊維)とステープル(短繊維)がある。フィラメントとは、単体の長さが比較的長い繊維(例えば、数十m~数km、理論的には無限)を指す。ステープルとは、単体での長さが比較的短い(例えば、数cm~数十cm程度)繊維を指す。繊維の種類(フィラメント、ステープルに共通)は、例えば、天然繊維と化学繊維に分類される。天然繊維には、麻、綿などの植物繊維と、羊毛、カシミヤなどの動物繊維がある。人工毛皮の素材として、化学繊維の他、その一部に天然繊維が用いられることもある。化学繊維には、レーヨンなどの再生繊維と、アセテート等の動物繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維等の合成繊維がある。人工毛皮の素材として、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリエステル繊維がしばしば用いられる。アクリル系繊維には、例えば、モダクリル繊維がある。品種は、例えば、個々の種類を示す整数値(品種コード)で表される。
【0050】
繊度は、単繊維の単位長さ当たりの重量を意味する。繊度の単位として、デシテックス(dtex)、デニール(den)などが用いられる。1デシテックスは、10000m当たりの重量(g)に相当する。1デニールは、9000m当たりの重量(g)に相当する。
繊維タイプは、ステープルかフィラメントのいずれに分類されるかを示す情報である。
断面形状は、繊維の長手方向に垂直に切断して表れる断面の形状である。断面形状には、丸断面、扁平、異形扁平(扁平多葉型)、Y字、H字、W型などがある。人工毛皮では、丸、楕円、扁平、異形扁平などが、しばしば用いられる。
光沢は、繊維の外観上の濁り感の度合いを指し、光沢の評価尺度としてダル性が用いられてもよい。ダル性とは、繊維が濁り透明感が乏しく光が透過しない状態を意味する。ダル性の段階には、フルダル、ダル、セミダル、ブライトなどがある。これらの段階のうち、フルダルが最もダル性が高く、その順にダル性が低くなる。
【0051】
色は、繊維の色を指す。色合い(色調)と明るさ(階調)の組み合わせに相当する。色は、所定の色空間を用いて表現された色空間値を用いて表現される。色空間として、例えば、Labが利用可能である。Lab色空間は、人間の視覚を近似するよう設計される。Lab色空間値は、実数となる要素としてL、a、bを含む三次元のベクトル値で表現される。L、a、bは、それぞれ明度、第1種の補色、第2種の補色の次元に対応する。aの値により、赤もしくはマゼンタから緑の間の色合いが定量化される。bの値により、黄から青の間の色合いが定量化される。本実施形態では、Lab色空間に限られず、RGB色空間が用いられてもよい。合成繊維は、製造時に着色する工程(原着)に限らず、製造後に着色する工程(染色)が介在することもある。
【0052】
潜在捲縮特性とは、例えば、サイドバイサイド型の複合繊維が有する螺旋状の形状の特性を指す。かかる特性を有する繊維によれば、羊毛と同様な弾性が得られるので、シープタイプの人工毛皮の生産に用いられることがある。潜在捲縮特性の要素として、潜在捲縮の有無、捲縮の形状(例えば、螺旋の直径、ピッチ)などが含まれうる。
収縮特性は、繊維に熱を加えた時の収縮率を表す特性である。段差情報のボア編み生地の例で後述するように、複数種類の原綿を素材として形成される生地の毛先を一定の長さに切り揃えた後で、収縮処理(一般には、加熱処理)を施し、収縮率に応じた長さとなるように段差を形成することがある。この場合は、個々の繊維の収縮率が段差を形成するうえで重要となる。
【0053】
銘柄から収縮特性までの項目は、いずれもステープルとフィラメントに共通するが、捲縮特性は、ステープルに特有の項目である。
繊維長は、1個に限らず、複数個設定されることがある。動物の毛皮のタイプは、複数個の繊維長の組み合わせで特徴づけられるためである。このことを利用して、複数個の繊維長の組み合わせに基づいて、ある動物の毛皮を再現(模擬)するための手がかりとして用いられることがある。
捲縮特性は、ステープルが有する捲縮の特性を指す。捲縮とは、いわゆる縮れを意味し、クリンプとも呼ばれる。捲縮は、複数本の繊維をより合わせて糸を形成する際、繊維同士の絡み合いを確保するために必要な形状である。捲縮特性の要素として、捲縮数、捲縮率、残留捲縮率、捲縮弾性率などがある。これらのパラメータの定義や試験方法は、例えば、日本工業規格JIS L1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」に規定されている。
【0054】
フィラメントに特有の項目は、フィラメント数とフィラメントの総繊度である。
フィラメント数は、1本のフィラメント束をなす単糸の数を指す。フィラメント束は、通例、数十本の単糸がより合わされてなる(マルチフィラメント)。
フィラメントの総繊度は、1本のフィラメント束全体の繊度を指す。フィラメントの総繊度は、単糸1本の繊度にフィラメント数を乗じて得られる。
【0055】
次に、生地情報について説明する。生地情報は、素材から生産される生地の特性を示す情報である。一般的に、生地は編みまたは織りといった方法で生産される。人工毛皮の生地は、主に編みにより生産される。人工毛皮の生産に用いられる編み方には、例えば、ハイパイル編み、ボア編み、ラッセル編み、その他の方法がある。そのうち、ハイパイル編み(スライバーニットとも呼ばれる)は、一般的にステープルを用いて作成される。ボア編みは、ステープルで作られた梳毛糸を用いても、フィラメントを直接用いても実現可能である。ラッセル編みは、ステープルで作られた梳毛糸を用いても(梳毛糸ラッセル)、フィラメントを直接用いても実現可能である。
【0056】
生地情報は、主に生地の生産工程において生地に表れる性質、状態、属性、などが該当する。生地情報の要素として、動物の種類、構成比率、パイル長、段差情報、植え込みパターン、変色加工状態、目付および植え込み密度の全部または一部が含まれる。
動物の種類は、生地により模擬される動物の種類を意味する。動物の種類は、個々の動物の種類を示す整数値(銘柄コード)で表される。この「銘柄コード」の「銘柄」とは、上記のように「繊維の名称」ではなく、「動物の種類」を意味する。動物の種類には、例えば、フォックス、ラビット、ミンク、ラクーン、セーブル、シープ、ウルフ、チンチラ(図示せず)、などがある。動物の種類により、毛足の長さ(ロング、ミドル、ショート)、段差構造(1層構造(プレーン)、2層構造(ガードヘア、ダウンヘアからなる)、3層構造(ガードヘア、ダウンヘア、ミドルヘアからなる))、繊維にかけるウェーブの有無、などの要件が異なりうる。例えば、フォックスタイプの生地は、毛足の長さがロングであり3層構造をなす。セーブルタイプの生地は、毛足の長さがミドルであり、2層構造をなす。モンゴリアンシープタイプの生地は、毛足の長さがロングであり、3層構造をなすとともに、ウェーブを有する。
生地タイプとは、生地の形成方法を指す。生地タイプは、上記のハイパイル、ボア、およびラッセルに限られず、その他の織り方でも、その他の加工方法、例えば、フロック加工が指定されうる。
【0057】
構成比率とは、素材として用いられる原綿の組成比である。構成比率は、例えば、原綿の種類ごとの重量比、などの実数値で与えられる。その前提として、素材情報は原綿の種類ごとに定義されていてもよいし、主成分とする原綿の限定された種類だけに定義されてもよい。なお、素材とする原綿の種類ごとに、上記の素材情報が設定されうる。
パイル長とは、繊維束の長さを示す。繊維束の長さは、生地の地組織から毛先までの長さに相当する。本実施形態では、繊維束の長さの平均値が与えられてもよい。なお、繊維束の長さを一定の長さに切り揃えるか否かを示す情報として、剪毛情報が生地情報に含まれてもよい。剪毛情報は、繊維束の長さを切り揃えるか否かにより1または0を示すフラグ値を用いて表現される。繊維束の長さを切り揃えない場合には、パイル長が設定されなくてもよい。
【0058】
段差情報とは、段差構造の特性を示す情報である。段差情報には、段差構造の有無と、段差構造を有する生地については、段差ごとの毛の長さ(即ち、ダウンヘア、ミドルヘアの長さ)が要素として含まれる。段差の付け方には、種々の方法がある。ハイパイル編みでは、繊維長が異なる複数種類の原綿を素材とする生地に現れる。ボア編みミンク生地では、収縮率が異なる複数種類の原綿を素材として形成される生地の毛先を一定の長さに切り揃えた後で、収縮処理(一般には、加熱処理)を施し、収縮率に応じた長さとなるように段差が現れる。ボア編みにおいて、1ループごとに毛をカットする場合には、ループの長さを1ループごとに変更することで段差が現れる。
【0059】
植え込みパターンとは、地組織の編み目に立毛部の繊維を植え込む位置の分布のパターンを示す。植え込みパターンには、編み目ごとの植え込み、飛ばし編み、ジャガード編みなどがある。飛ばし編みとは、編み目を飛ばして(スキップ)植え込まれることを指す。ジャガード編みとは、任意の編み目に埋め込まれることを指す。
【0060】
変色加工状態とは、個々の毛に対する変色加工として、一部分の着色または脱色の状態を示す。変色加工は、一般的にはプリント加工(着色)、抜染加工(脱色)とも呼ばれる。変色加工状態は、変色加工単位ごとの着色または脱色により表れる色の色信号値と、変色加工単位の分布で表される。例えば、根本部分、中間部分、毛先部分をそれぞれ変色加工単位とし、その長さと色が表される。変色加工状態は、変色加工単位ごとの変色加工処理の内容と長さで表されてもよい。変色加工処理の内容として、例えば、着色と着色後の色、抜染がある。目付とは、単位面積当たりの重量である。目付が大きいほど、繊維の密度が高くなる傾向がある。植え込み密度とは、単位面積当たりの繊維本数である。
【0061】
なお、個々の人工毛皮は、複数種類の繊維を用いて構成されることがある。その場合、毛の種類ごとに、人工毛皮の生地全体としてパイル長、植え込み密度、変色加工状態、および、総繊度の一部または全部が設定されてもよい。また、人工毛皮は、個々の繊維に代え、繊維束が基布上に立毛部組織を構成されることがある。個々の繊維束は、複数本の繊維の基端部を結合してなる。その場合、植え込み密度は繊維束に対して設定され、繊維の種類ごとに設定されなくてもよい。繊維の種類には、例えば、差毛と綿毛がある。差毛の方が綿毛よりも太く、かつ、長くなりうる。繊維束は、例えば、1個の差毛とその周囲に複数(例えば、3~10本)の綿毛の根元を揃えて束ねて構成され、基布に接着される。繊維束の構成は、これには限られず、綿毛のみから構成されるものや、差毛のみから構成されるものもある。また、綿毛のみから構成される繊維束と差毛もみから構成される繊維束とが隣り合って配置され一連の立毛部を構成することもある。そこで、生地情報には、繊維束の構成に関する繊維束構成情報を要素情報として含まれてもよい。繊維束構成情報には、繊維束の構成の有無を示す情報、構成ありの場合、1本の繊維束における繊維の種類間の構成比(例えば、本数の比率)、1本の繊維束における複数の繊維の種類の配置などを示す情報、のいずれか、または、それらの組み合わせが含まれてもよい。
【0062】
なお、生地情報の要素には、生産された生地の利用状況に関する情報、例えば、トレンド情報、価値観情報、用途情報などのいずれか、または、それらの組が含まれてもよい。
トレンド情報とは、生地のトレンドを反映する情報である。トレンドとは、主に流行を指す。一般に、衣料はシーズンごとにトレンドが変化する。トレンド情報は、例えば、その衣料の特徴、その衣料の流行の要因となった生地の特徴、などを反映したキーワードで表現される。
【0063】
価値観情報とは、ユーザ、または、最終消費者が生地に対して求める価値感(例えば、「リアル」、「ゴージャス」、「環境保護」等)を反映する情報である。価値観情報は、例えば、その価値観を示すキーワードで表現される。
用途情報とは、生地の用途を示す情報である。生地の用途として、例えば、衣服の外面やコートのフード周り(トリミングともいう)等の衣料への用途の他、クッションカバーやソファーカバー等のホームテキスタイルへの用途、カバンや靴等のファッション小物への用途などがある。用途情報は、例えば、その用途を示すキーワードで表現される。
【0064】
端末装置20の表示処理部224は、表示画面を構成し、構成した表示画面を表示部280に表示させる。表示画面は、ユーザにより指示された素材情報と生地情報に基づく生地サンプルの形態を閲覧および生地サンプルを注文するためのサービス画面として用いられてもよい。サービス画面には、画像表示欄、表示条件指定欄、生産条件指定欄、および、注文ボタンが配置される。画像表示欄には、指示された素材情報と生地情報に基づいて生産される生地サンプルの立体形態を表すサンプル画像が表示される。表示条件指定欄は、ユーザ操作に応じて操作部285から入力される操作信号で(本願では、単に「ユーザ層操作に応じて」と呼ぶことがある)指示されるサンプル画像の表示条件情報を取得するために用いられる。サンプル画像の表示条件として、例えば、視点方向、照明条件および品種(製品イメージ)の一部または全部が指示される。情報処理装置10の画像合成部124は、画像合成モデルを用いて合成された画像に対し、入力処理部222から数値される表示条件に従って所定のグラフィクス処理を実行することにより画像を操作(レンダリング)する。生産条件指定欄は、ユーザ操作に応じて指示される生産条件情報をなす素材情報と生地情報の要素を取得するために用いられる。
【0065】
なお、生地情報の要素であるトレンド情報、価値観情報または用途情報については、これらを表すキーワードが、端末装置20のユーザの操作に応じて直接入力されてもよいし、予め準備された複数のキーワードの一覧からユーザの操作に応じて選択されてもよい。
注文ボタンは、生地サンプルの注文を押下により指示するための画面部品である。表示処理部224は、注文ボタンへの押下を検出するとき、その時点で表示されているサービス画面を消去し、注文画面を表示部280に表示させる。本願では、「押下」とは、現実に押下することの他、表示領域内の位置を指示する操作信号が入力される、つまり、操作に応じて指示される、という意味も含む。
【0066】
注文画面には生地サンプルの注文条件を操作に応じて入力するための入力欄と確定ボタンが配置される。注文条件として、発注者名、発注者連絡先、決済方法、数量、サイズのなどが指示されうる。確定ボタンは、押下により注文を確定するための画面部品である。表示処理部224は、確定ボタンへの押下を検出するとき、入力された注文条件を示す注文情報と生産条件情報(即ち、素材情報と生地情報)を対応付けて情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の注文処理部128は、端末装置20から注文情報を受信する。注文処理部128は、個々の注文を識別するための契約番号を発番する。契約番号は、契約ごとに異なる。注文処理部128は、例えば、新たな注文情報が受信される都度、一定値ずつ増加した値を契約番号として定める。
【0067】
なお、表示画面は、予め定めた複数の生産条件情報のうち、いずれかの生産条件情報を閲覧および生地サンプルを注文するためのサービス画面として構成されてもよい。情報処理装置10の生産条件情報取得部122には、個々の生産条件情報には、予め生地の特徴を示す特徴語と対応付けて設定しておき、端末装置20の入力処理部222から操作に応じて指示されるキーワードと特徴語とを照合し、いずれかの生産条件情報を選択可能としてもよい。そして、生産条件情報をなす一部または全部の要素情報は、入力処理部222から操作に応じて指示される要素情報をもって更新可能としてもよい。
【0068】
情報処理装置10の注文処理部128は、端末装置から受信した注文希望情報に含まれるサンプル識別情報に対応する生産条件情報を記憶部170から読み出す。注文処理部128は、読み出した生産条件情報と注文希望情報に対応する希望条件情報に基づいて生地サンプルの注文条件の要素として価格を定めてもよい。記憶部170には、例えば、生産条件情報と対応付けて単位数量当たりの単価とサイズごとの基本料を示す価格算出データを記憶させておく。注文処理部128は、価格算出データを参照して、受信した生産条件情報に対応する単価と基本料を特定し、特定した単価と基本料と、希望条件情報で示される数量とサイズに基づいて価格を算出することができる。
【0069】
図3に戻り、固有パターン情報の例について説明する。
図3の例では、固有パターン情報は、銘柄とスペクトルの項目を有する。銘柄は、上記のように素材となる繊維の名称に相当する。スペクトルの項目には、その素材の固有パターンとして、その素材に添加される追跡子に対して予め測定されたスペクトルが保存される。スペクトルの種別、即ち、放射スペクトルと吸収スペクトルのいずれかは、検出器30が測定可能とするスペクトルの種別であればよい。追跡子のスペクトルは、検出器30が測定可能とする波長帯域内であって、その波長特性が他の素材に添加される他の追跡子とは有意に異なる波長特性を有していればよい。固有パターン情報は、素材ごとに予め記憶部170に記憶させておいてもよい。
【0070】
次に、本実施形態に係る検査情報の例について説明する。
図4は、本実施形態に係る検査情報の例を示す表である。検査情報は、回収者ID、日時、数量およびスペクトルの項目を有する。回収者IDは、個々の回収者を識別するための回収者識別情報である。回収者IDは、数字、文字および記号のいずれか一種類またはいずれか複数種類の組で表されてもよい。日時は、検査パターン情報とするスペクトルが測定または情報処理装置10により取得された年月日と時分で表される。数量は、検査対象とした試料の一回の回収量を示す。数量は、試料の個数、重量などのいずれであってもよい。数量は、試料とする加工品の生産設備から取得されてもよいし、回収者の操作に応じて検出器に設定されてもよい。スペクトルの項目には、試料から測定された検査パターン情報として、検出器30により測定されたスペクトルが格納される。
【0071】
次に、本実施形態に係る回収履歴の例について説明する。
図5は、本実施形態に係る回収履歴の例を示す表である。回収履歴は、回収者IDと、個々の検出ごとの検出情報を累積して構成される。個々の検出情報は、日時、銘柄、純度および数量を含んで構成される。日時は、検査パターン情報が検出された日の年月日と、その時刻の時分を用いて表される、銘柄は、検査パターン情報から検出された試料をなす素材の名称を表す。純度は、回収品における素材の成分比に相当する。数量は、試料となる回収品の数量を表す。
【0072】
次に、本実施形態に係る回収者情報の例について説明する。
図6は、本実施形態に係る回収者情報の例を示す表である。回収者情報は、回収者ID、会員ランク、回収ポイント、および、販売条件の項目を有する。これらの項目のうち、会員ランクと販売条件が回収ポイントに基づいて定まる待遇の例となる。会員ランクは、予め定めた複数段階のうち1段階を示す数値または記号で表される。回収ポイントは、回収頻度が多いほど多くなり、個々の検査に係る回収量が多いほど多くなるように定められる。販売条件の項目は、回収者が素材の購入者である場合に有効な情報が設定され、購入者ではない場合には情報が設定されなくてもよいし、購入者ではないことを示す非購入者フラグが設定されてもよい。情報処理装置10の回収者管理部144またはユーザ管理部160は、非購入者フラグの有無に基づいて、回収者が素材の購入者であるか否かを判定できる。回収者販売条件は、素材の販売に係る条件である。販売条件は、素材の単価、基本料、発注後の納期などを表す数値で示されてもよいし、予め定めた有限段階のパターンのうちの、1段階を表す数値または記号で表されてもよい。回収ポイントは、その時点までに回収者が回収した加工品の回収量を正規化した数値で表される。なお、回収者情報は、ユーザ管理情報の一部として構成されてもよいし、独立に構成されてもよい。
【0073】
次に、本実施形態に係る回収者管理方法の例について説明する。
図7は、本実施形態に係る回収者管理方法の例を示すフローチャートである。
(ステップS102)検出器30は、試料から検査パターン情報を測定する。検出器30は、測定した検査パターン情報に他の要素情報を含めて検査情報を生成し、生成した検査情報を情報処理装置10に出力する。
(ステップS104)情報処理装置10の検査情報取得部130は、検出器30から入力される検査情報から検査パターン情報を抽出し、抽出した検査パターン情報を素材検出部142に出力する。
【0074】
(ステップS106)素材検出部142は、予め設定された固有パターン情報と入力された検査パターン情報を照合する。
(ステップS108)素材検出部142は、固有パターン情報に対応付けられた生産条件情報に含まれる素材情報に示される素材の検出情報を定める。
(ステップS110)素材検出部142は、定めた検出情報を回収者ごとに記憶部170に蓄積し回収履歴の一部として保存する。
【0075】
(ステップS112)回収者管理部144は、回収履歴から検査ごとに素材の検出情報を読み出し、読み出した検出情報を集計して集計量を算出する。
(ステップS114)回収者管理部144は、算出した集計量に基づいて回収者の待遇を定める。例えば、回収者管理部144は。予め定めた複数段階の集計量の値域と算出した集計量を比較し、その集計量が含まれる値域に対応する待遇を定める。回収者管理部144は、回収者ごとに回収者ID、待遇および集計量を対応付けて回収者情報として記憶部170に記憶する。その後、
図7の処理を終了する。
【0076】
また、ユーザ管理部160は、回収者管理部144の機能を備えることで、回収者管理部144と一体に構成されてもよい。その場合、ユーザ管理部160は、回収品に対する回収者を含め、その他の種別のユーザに関する情報を管理することができる。
回収者以外のユーザに対しても、回収者に対する処理が、他の種別のユーザに対する処理に準用されてもよい。例えば、素材検出部142は、生地の生産者が生産した生地を試料として得られる検査パターン情報に基づいて検出情報を取得することができる。素材検出部142は、取得した検出情報を生産者のユーザID(生産者識別情報)と対応付けて記憶部170に記憶することで、生産者ごとに検出情報が累積してなる検出履歴が形成される。検出履歴は、ユーザIDと関連付けることで、ユーザ管理データの一部として記憶部170に記憶されてもよい。素材検出部142は、ユーザ管理データを参照し、検出情報で特定された素材の含率と、その生地の生産条件情報で指示された素材の含率基準値とを照合することで、その生地が生産条件情報に従って生産されているか否かを判定することができる。
【0077】
ユーザ管理部160は、回収履歴から回収品に対して集計量を算出する手法と同様の手法を用いて、検出履歴から生産品となる生地に対して集計量を算出することができる。但し、ユーザ管理部160は、ユーザ管理データを参照し、集計量の算出根拠とする生産品の数量として、その生地の生産者に係る素材の注文条件において指示された数量を、その生産品に含まれる素材の数量として推定してもよい。ユーザ管理部160は、素材の純度に代えて、ユーザ管理データを参照し、検出情報で特定された素材の含率が、その生地の生産条件情報で指示された素材の含率基準値(後述)に近似するほど、高くなるように、その検出情報に係る素材に対する素点(ポイント)を定め、純度に代えて素点を用いて集計量を定めてもよい。そして、ユーザ管理部160は、集計量から回収者の待遇を定める手法と同様の手法を用いて算出した集計量に基づいて、その生産者に対する待遇を定めてもよい。その待遇の要件として、素材の販売に関する条件が含まれうる。
【0078】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、主に上記の実施形態との差異について説明する。上記の実施形態との共通点については、共通の符号を付し、特に断らない限りその説明を援用する。
図8は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置10の制御部120は、生産条件情報取得部122、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、検査情報取得部130、素材検出部142、報告情報処理部146およびユーザ管理部160を含んで構成される。
図8の例では、制御部120は報告情報処理部146を備え、回収者管理部144が省略されている。
【0079】
本実施形態に係る端末装置20の制御部220は、入力処理部222および表示処理部224の他、報告情報取得部226を含んで構成される。端末装置20のユーザが、検出器30を用いて試料から検査パターンを取得させることがある。試料は、主に素材を含む未使用の加工品である。
【0080】
本実施形態では、生地情報は、
図9に例示されるように生地における素材の含率の基準値(本願では、「含率基準値」と呼ぶことがある)を含めて設定されてもよい。含率基準値は、例えば、生地における素材の重量比で表される。素材情報は、素材関連情報を含めて設定されてもよい。素材関連情報は、必ずしも素材の生産に用いられないが、素材に関する報告情報の基礎とする要素情報を含む。また、生地情報は、生地関連情報を含めて設定されてもよい。生地関連情報は、必ずしも生地の生産に用いられないが、生地に関する報告情報の基礎とする要素情報を含む。報告情報の例については、後述する。
【0081】
情報処理装置10の検査情報取得部130は、取得した検査情報を報告情報処理部146に出力する。
報告情報処理部146は、素材情報を参照し、検査情報取得部130から入力される検査情報に示される素材の含率の測定値と含率基準値を比較し、測定値と含率基準値に合致するか否かを判定する。報告情報処理部146は、生産条件情報を参照し、含率基準値として、生地情報の構成比率の項目で指示される素材の比率を用いることができる。報告情報処理部146は、例えば、測定値が含率基準値から所定の許容誤差範囲内である場合、含率基準値に合致すると判定し、測定値が含率基準値から所定の許容誤差範囲内でない場合、含率基準値に合致しないと判定する。
【0082】
測定値が含率基準値に合致すると判定するとき、報告情報処理部146は、例えば、素材に関する報告情報を生成する。報告情報処理部146は、素材情報または生地情報の一部の所定の種類の要素情報を抽出し、抽出した情報を所定の位置および領域に配置して所定の形式を有する報告情報として生成する。報告情報処理部146は、生成した報告情報を端末装置20に出力する。端末装置20は、報告情報処理部146から入力される報告情報を表示することができる。
なお、測定値が含率基準値に合致しないと判定するとき、報告情報処理部146は、測定値が含率基準値に合致しないことを示すエラー通知画面を示す表示データを端末装置20に出力する。端末装置20は、報告情報処理部146から入力される表示データに基づくエラー通知画面を表示することができる。
【0083】
報告情報処理部146は、検査情報により定量された素材ごとに、その素材の含率の測定値を含めて報告情報を生成してもよいし、その測定値に対応する含率基準値を併記してもよい。
報告情報処理部146は、環境貢献情報を含めて報告情報を生成してもよい。環境貢献情報は、当該素材または生地における環境負荷の低減を示す情報を含むデータレポートとして形成されてもよい。報告情報は、要素情報として、素材の生産者、産地、素材の銘柄、構成比率、不要時の取り扱い方法(例えば、廃棄方法、回収先)などのいずれか一項目、または、いずれかの組み合わせが含まれるタグ(下げ札)情報として形成されてもよい。これらの要素情報として、素材関連情報または生地関連情報の項目に設定された情報が用いられてもよい。報告情報は、その要素情報の所在を表すアドレス(例えば、URL:Universal Resource Locator)を示してもよいし、そのアドレスはタグ情報として形成されてもよい。その場合、報告情報処理部146は、アドレスで指示され、ネットワークを経由して接続可能な機器(例えば、ウェブサーバ)に要素情報を含む要素情報の本編を本編情報として送信(アップロード)してもよい。アドレスは、所定の形式(例えば、JIS X 0510)を有する二次元コードで表されてもよい。報告情報処理部146は、素材の構成比率として、検出情報に示される素材の含率を、報告情報をなす要素情報として用いてもよい。
【0084】
報告情報処理部146は、環境貢献情報に環境負荷の程度を定量的に示す環境指標を含めてもよい。評価対象とする加工品の環境指標は、比較対象とする他品目の環境指標との差分値で表されてよい。
報告情報処理部146は、評価対象とする加工品の供給条件と環境評価指数を用いて環境評価項目ごとに予め定めた関数に従って環境指標を算出することができる。環境評価項目にとして、例えば、二酸化炭素排出量、窒素酸化物排出量、温室効果ガス排出量、排水量、産業廃棄物発生量、電力使用量、水使用量、その他のエネルギー使用量、などのいずれか1項目、または、いずれか複数項目が用いられる。
報告情報処理部146は、供給条件の因子として、加工品の供給に係る段階ごとの種別と特性を適用する。報告情報処理部146は、供給条件の因子として、生地生産に関する因子として生地情報に含まれる素材の構成比率、目付、変色加工状態などのいずれかの組み合わせを特定する。報告情報処理部146は、検出情報から特定される含率をその素材の構成比率に代えて用いてもよい。報告情報処理部146は、生地生産に関する因子として、さらに注文情報に含まれる発注量を特定することができる。
【0085】
記憶部170には、流通情報として、素材の流通経路をなすサプライチェーンと輸送経路のセットを予め複数通り記憶させておく。サプライチェーンは、素材の生産者から生地などの中間製品の生産者、最終製品の生産者、卸売業者などを経て小売業者までの流通経路を示す。サプライチェーンの情報は、事業者情報と、事業者ごとになされる段階の情報を含んで構成される。輸送経路の情報は、個々の段階がなされる事業所の位置情報と、事業所間の素材ならびに加工品の経路の情報を含んで構成される。
【0086】
報告情報処理部146は、例えば、検出対象の素材を含む加工品としての生地に係る注文情報を参照して発注者の名称またはユーザIDをもって発注者を特定し、発注者の住所を発注者の事業所の位置情報として特定することができる。報告情報処理部146は、特定した発注者を含むサプライチェーンと発注者の事業所の位置を含む輸送経路を選択することができる。加工品は、中間製品である生地に限られず、最終製品である衣料品であってもよい。
環境評価指数は、段階またはその因子ごとの処理対象物の単位量当たりの環境負荷を表す値である。環境評価指数は、例えば、原料となる素材の生産、生地の生産、染色、後加工、輸送、などのそれぞれに対して予め設定される。
【0087】
端末装置20の報告情報取得部226には、情報処理装置10から報告情報を取得する。報告情報取得部226は、取得される報告情報の形式に応じた態様で、その報告情報を提示させる。例えば、報告情報が視認可能なデータレポートとして構成されている場合には、報告情報取得部226は、データレポートを表す表示データを、表示処理部224を経由して表示部280に出力させる。表示部280には、データレポートが表示される。
報告情報の形式が、タグ情報である場合には、表示部280は、報告情報を表す表示データを、表示処理部224を経由して表示部280に出力してもよいし、印刷機(プリンタ、図示せず)に送信し、予め定めた材質および大きさを有する基材(例えば、台紙、PET(Polyethylene Terephthalate)カードなど)上に報告情報を印刷させ、タグとして生成させてもよい。
【0088】
タグ情報を表す二次元コードは、他の情報機器(例えば、コードリーダ、携帯電話機、など、図示せず)により読み取られる。他の情報機器は、読み取った二次元コードをアドレスに変換し、変換したアドレスで特定されるウェブサーバにネットワークを経由してアクセスし、ウェブサーバから本編情報を取得し、取得した本編情報を視認可能に表示してもよい。
【0089】
なお、報告情報処理部146は、報告情報の基礎とする生産条件情報が更新されるごと、または、注文処理部128により注文情報が受け付けられるごとに、更新後の生産条件情報に基づいて報告情報を更新してもよい。そのため、素材または生地などの加工品の販売後も更新される可能性がある。
【0090】
次に、本実施形態に係る報告情報処理の例について説明する。
図10は、本実施形態に係る報告情報処理の例を示すフローチャートである。
図10の処理は、ステップS102~S108の処理と、ステップS124~S128の処理を有する。ステップS108において、素材検出部142が素材の検出情報として含率の測定値を測定した後、ステップS124の処理に進む。
【0091】
(ステップS124)報告情報処理部146は、素材の含率の測定値と含率基準値と合致するか否かを比較する。合致すると判定する場合(ステップS124 YES)、ステップS126の処理に進む。合致しないと判定する場合(ステップS124 NO)、エラー通知を端末装置20に出力し、
図10の処理を終了する。
(ステップS126)報告情報処理部146は、生産条件情報の一部または全部の要素情報を用いて素材または生地に関する報告情報を生成する。
(ステップS128)報告情報処理部146は、生成した報告情報を端末装置20に出力し、報告情報を提示させる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について、主に上記の実施形態との差異について説明する。上記の実施形態との共通点については、共通の符号を付し、特に断らない限りその説明を援用する。
図11は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理装置10と検出器30を含んで構成される。
【0093】
本実施形態に係る情報処理装置10の制御部120は、生産条件情報取得部122、検査情報取得部130、素材検出部142、開示情報取得部148および開示情報評価部150を含んで構成される。
図11の例では、制御部120は開示情報取得部148および開示情報評価部150を備え、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、報告情報処理部146およびユーザ管理部160が省略されている。情報処理装置10は、記憶部170に生産条件情報を記憶させておいてもよい。制御部120は、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、報告情報処理部146およびユーザ管理部160の一部または全部を備えてもよい。素材の利用者によっては、誤った開示情報を他人に提供する可能性がある。そのため、本実施形態に係る情報処理装置10のユーザは、開示情報の提供者よりも下流の利用者、または、その依頼を受けた素材の生産者、または、開示情報の提供者よりも上流の利用者となりうる。
【0094】
開示情報取得部148は、情報処理装置10の外部から試料に含まれる素材に関する開示情報を取得する。開示情報取得部148は、取得した開示情報を開示情報評価部150に出力する。開示情報には、例えば、検査対象とする加工物の原料となる素材の構成比率、または、その構成比率から導出される数値または情報が含まれうる。開示情報の提供者は、主に試料または加工物の提供者となりうる。開示情報は、品質レポート、タグ情報などのいずれの形式を有してもよい。
【0095】
開示情報評価部150は、開示情報取得部148から入力された開示情報と素材検出部142から入力される検出情報を照合し、開示情報が検出情報と合致するか否かを判定する。開示情報評価部150は、例えば、開示情報から導出される第1指標が検出情報から導出される第2指標から所定の許容誤差範囲内の値であるか否かを判定することにより、開示情報が検出情報と合致するか否かを判定する。開示情報評価部150は、開示情報が検出情報と合致するか否かにより、開示情報が妥当か否かを判定することができる(妥当性評価)。開示情報評価部150は、評価した妥当性を示す妥当性情報を出力する。開示情報評価部150は、例えば、妥当性情報を表す表示データを自装置に接続される表示部(図示せず)に出力してもよいし、情報処理装置10のユーザが用いるユーザ機器に出力してもよい。
【0096】
第1指標および第2指標は、それぞれ開示情報に示される素材の含率および検出情報に示される素材の含率に限られず、それらの含率から導出される他の指標であってもよい。第1指標および第2指標は、例えば、第1環境指標および第2環境指標であってもよい。その場合、開示情報として環境報告情報が適用され、開示情報評価部150は、環境報告情報に含まれる環境指標を第1環境指標として採用することができる。
【0097】
他方、開示情報評価部150は、上記の報告情報処理部146と同様の手法を用いて、評価対象とする加工品の供給条件と環境評価指数を用いて予め定めた関数に従って第2環境指標を算出することができる。開示情報評価部150は、供給条件の一態様である生地生産に関する因子として生地情報に含まれる素材の構成比率、目付、変色加工状態などのいずれかの組み合わせを特定する。開示情報評価部150は、検出情報から特定される含率をその素材の構成比率に代えて用いてもよい。開示情報評価部150は、生地生産に関する因子として、その加工品に係る注文情報を参照して発注量を特定することができる。開示情報評価部150は、その注文情報を参照することで、発注者と発注者の事業所を特定し、発注者を含むサプライチェーンと発注者の事業所を含む輸送経路を選択することができる。そこで、記憶部170には、生産条件情報の他、加工品の注文情報と素材の流通情報を予め記憶しておき、開示情報評価部150からアクセス可能としておく。
【0098】
そして、開示情報評価部150は、環境報告情報から導出される第1環境指標が上記の手法を用いて導出される第2環境指標から所定の許容誤差範囲内の値であるか否かを判定することにより、開示情報である環境報告情報が妥当か否かを判定することができる。
【0099】
次に、本実施形態に係る妥当性評価処理の例について説明する。
図12は、本実施形態に係る妥当性評価処理の例を示すフローチャートである。
図12の例では、環境報告情報に示される第2環境指標の妥当性が評価される。
図12の処理は、ステップS102~S108の処理と、ステップS134~S140の処理を有する。ステップS108において、素材検出部142が素材の検出情報として含率の測定値を測定した後、ステップS134の処理に進む。
【0100】
(ステップS134)開示情報取得部148は、第1環境指標として情報処理装置10の外部から環境指標を含む環境報告情報(開示情報)を取得する。
(ステップS136)開示情報評価部150は、供給条件の因子として検出情報から特定される含率を特定し、生地生産に関する因子として検査対象とした加工品に係る注文情報と流通情報を参照して生地の発注者を含むサプライチェーンと発注者の事業所を含む輸送経路を特定する。開示情報評価部150は、検査対象とする加工品の供給条件と環境評価指数を用いて予め定めた関数に従って第2環境指標を算出する。
【0101】
(ステップS138)開示情報評価部150は、第1環境指標と第2環境指標を比較し、両者が合致するか否かを比較する。
(ステップS140)開示情報評価部150は、第1環境指標と第2環境指標が合致するか否かにより第1環境指標が妥当であるか否かを判定する。開示情報評価部150は、第1環境指標の妥当か否かを示す妥当性情報を情報処理装置10の外部に出力する。
【0102】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について、主に上記の実施形態との差異について説明する。上記の実施形態との共通点については、共通の符号を付し、特に断らない限りその説明を援用する。
図13は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理装置10と回収設備40を含んで構成される。情報処理装置10と回収設備40は、相互に各種の情報を入出力可能に接続される。本実施形態に係る情報処理システム1は、使用済みの回収品を回収するための回収システムとみなすこともできる。
【0103】
本実施形態に係る情報処理装置10の制御部120は、検査情報取得部130、素材検出部142および回収情報処理部152を含んで構成される。
図13の例では、制御部120が回収情報処理部152を備え、生産条件情報取得部122、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、報告情報処理部146、開示情報取得部148、開示情報評価部150およびユーザ管理部160が省略されている。生産条件情報取得部122、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、報告情報処理部146、開示情報取得部148、開示情報評価部150およびユーザ管理部160の一部または全部を備えてもよい。本実施形態では、使用済みの回収品を回収する回収者もしくは回収品から素材を再生する生産者が情報処理システム1のユーザとなりうる。
【0104】
検査情報取得部130には、回収設備40の検出器46から検査情報が入力される。
回収情報処理部152は、素材検出部142から入力される検出情報に示される素材の含率の測定値に基づいて、試料とする回収品の回収の要否を判定する。回収情報処理部152は、例えば、含率の測定値が予め設定された含率の許容下限以上であるか否かに基づいて、回収の要否を判定することができる。より大きい許容下限を設定することで、より素材の純度が高い回収物が回収される。許容下限として、0以上1未満であって、0よりも1に近似した実数値(例えば、0.95~0.99)が予め設定される。
回収情報処理部152は、回収否と判定するとき、回収品の排出を指示するための排出指令(コマンド)を生成し、生成した排出指令を回収設備40の排出部48に出力する。
【0105】
回収設備40は、収集部42、搬送部44、検出器46および排出部48を含んで構成される。
収集部42は、回収対象とする加工品を回収品として収集し、収集した回収品を搬送部44の一端に導入する。収集部42は、例えば、回収設備40の外部に対して開口する搬入口と、搬入口の底辺から搬送部44の搬送面に傾斜したスロープを備える。搬入口の底辺よりも搬送部44の搬送面の方が低い位置に配置される。傾斜したスロープの表面上において回収品を搬入口から搬送部44に滑走させることができる。
搬送部44は、水平面視した形状が幅よりも長さの方が長い細長の搬送面を有する。搬送部44は、搬送面に載置された回収品を、その一端から他端までの搬送経路上を搬送することができる。搬送面の他端には、到達した回収品を保存するための保管箱が備えられている。保管箱に保存された回収品が再利用または回収されうる。搬送部44は、搬送部44は、例えば、ローラコンベア、ベルトコンベアなどのいずれであってもよい。
【0106】
検出器46は、搬送経路の途上に近接した位置に設置され、回収品の通過を検出する物体センサを備える。検出器46は、回収品の通過が検出されるとき、前述の検出器30と同様に回収品から検査パターン情報を検出する受光センサを備える。検出器46は、検出した検査パターン情報を情報処理装置10に出力する。
排出部48は、搬送経路の途上であって、検出器46よりも搬送面の他端に近い位置に設置される。排出部48は、例えば、情報処理装置10から排出指令が入力されるとき、通過する回収品に接触し、搬送面から除去させるための押出機を備える。回収設備40には、搬送面から除去された回収品を受け付ける回収箱が備えられる。回収箱に投入された回収品は廃棄されうる。なお、回収品の検出器46の通過から排出部48の通過までの経過時間が、物体センサによる検査パターン情報の検出から排出部48による回収品の除去までの経過時間が等しくなるように、排出指令の入力から回収品の除去までの遅延時間または検出器46と排出部48との間隔を予め調整しておく。
【0107】
次に、本実施形態に係る回収処理の例について説明する。
図14は、本実施形態に係る回収処理の例を示すフローチャートである。
図14の例では、搬入される回収品の回収の要否が判定される。
図12の処理は、ステップS102~S108の処理と、ステップS154とS156の処理を有する。ステップS108において、素材検出部142が素材の検出情報として含率の測定値を測定した後、ステップS154の処理に進む。
【0108】
(ステップS154)回収情報処理部152は、検出情報に示される素材の含率の測定値が予め設定された含率の許容下限以上であるか否かに基づいて、回収品の回収の要否を判定する。回収要と判定するとき(ステップS154 YES)、回収情報処理部152は排出指令を生成せず、回収設備40の搬送部44に対し回収品を搬送させる。その後、
図14の処理を終了する。回収否と判定するとき(ステップS154 NO)、回収情報処理部152は排出指令を生成し、生成した排出指令を回収設備40の排出部48に出力する。排出指令を受けた排出部48に対し回収品を排出させる。その後、
図14の処理を終了する。
【0109】
なお、上記の説明では、回収品において検査対象とする素材の含量基準値(純度)が100%に近い場合を例にしたが、それには限らない。含量基準値は、0%から100%の範囲内であってもよい。その場合、ステップS154において、回収情報処理部152は、検出対象の素材の含率の測定値が、予め定めた許容下限以上、許容上限以下の範囲内であるか否かに基づいて、回収の要否を判定すればよい。回収情報処理部152には、含量基準値が、許容下限より大きく、許容下限よりも小さくなるように許容範囲を予め設定しておく。
【0110】
また、検出対象とする素材の種類は、1種類に限られず複数種類であってもよい。その場合、素材の種類ごとに固有パターン情報を素材検出部142に設定しておき、含量基準値と許容範囲を回収情報処理部152に設定しておく。素材検出部142は、素材の種類ごとにステップS102~S108の処理を行い、含率の測定値を取得する。そして、回収情報処理部152は、素材の種類ごとに含率の測定値が許容範囲内にあるか否かを判定することができる。回収情報処理部152は、回収の目的または回収設備40の能力に応じて、素材の種類ごとの判定結果の組み合わせに基づいて回収の要否やその態様を判定してもよい。
【0111】
例えば、回収設備40が素材A、Bをそれぞれ回収品から物理的に回収する回収機構A、Bを備え、素材Aの含率の許容範囲が40%~70%、素材Bの含率の許容範囲が60%~90%であって、回収品から測定された素材A、Bの含率の測定値がそれぞれ50%、50%である場合を仮定する。その場合、回収情報処理部152は、素材Aについて含率の測定値が許容範囲内、素材Bについて含率の測定値が許容範囲外と判定する。そして、回収情報処理部152は、回収機構Aに対して回収指令を発行する。回収機構Aは、到来した回収品から素材Aを回収する。回収情報処理部152は、回収機構Bに対して回収指令を発行しない。回収品からは、素材Bは回収されずに分別される。
【0112】
(まとめ)
以上に説明したように、本願の実施形態に係る情報処理装置10は、試料とする合成毛皮の材料または加工品から検出されたパターン情報である検査パターン情報を含む検査情報を取得する検査情報取得部130と、追跡子に固有のパターン情報である固有パターン情報と、追跡子が添加された化学繊維を含む素材に関する素材情報とが関連付けられた生産条件情報を参照して、検査パターン情報と固有パターン情報を照合し、検査パターン情報が固有パターン情報に基づく素材の検出情報を取得する素材検出部142を備える。
この構成によれば、合成毛皮の加工品等から検出された検査パターン情報と追跡子の固有パターン情報を照合して、追跡子が添加された化学繊維を含む素材の検出状態を把握することができる。例えば、バイオマス素材またはリサイクル素材に追跡子を添加しておくことで、非環境対応型素材と区別することができる。そのため、素材の検出状態による加工品等の正当性、例えば、真正性、回収適格性、環境に対する貢献度などの判定を促すことができる。
【0113】
情報処理装置10は、ユーザ機器(例えば、端末装置20)から素材の特性を示す素材情報と素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを含む生産条件情報を取得する生産条件情報取得部122と、生産条件情報と、生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された生産条件情報から生地の画像を合成し、合成された画像をユーザ機器に出力する画像合成部124と、を備えてもよい。
この構成によれば、素材自体の特性と素材を原料とする生地の特性に基づいて生地の立体形態を表す画像が得られ、ユーザ機器に提供される。提供された画像をユーザが視認して、把握される立体形態に基づいて素材の特性と生地の特性の選択が促される。そのため、検出された素材の使用状態の選択された仕様に対する妥当性を判定することができる。
【0114】
情報処理装置10は、素材の特性を示す素材情報と素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを含む生産条件情報を取得する生産条件情報取得部122と、生産条件情報ごとに、当該生産条件情報と生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて取得された生産条件情報から生地の画像を合成し、生産条件情報ごとに合成された画像をユーザ機器に出力する画像合成部124を備えてもよい。
この構成によれば、素材自体の特性と素材を原料とする生地の特性を示す生産条件情報に基づいて生地の立体形態を表す画像が、生産条件情報ごとに得られユーザ機器に提供される。生産条件情報ごとに提供された画像をユーザが視認して、把握される立体形態に基づいて素材の特性と生地の特性の選択が促される。そのため、検出された素材の使用状態の選択された仕様に対する妥当性を判定することができる。
【0115】
情報処理装置10は、検査パターン情報と関連付けて取得される素材を含む試料である素材含有品に関する数量または素材含有品における素材の含率を素材含有品に係るユーザごとに集計した集計量に基づいて当該ユーザに対する待遇を定めるユーザ管理部160を備えてもよい。
この構成によれば、試料とする素材含有品(例えば、回収品、生産品)の数量または純度を集計して得らえる集計量に基づいてユーザの待遇が定まる。そのため、ユーザとしての回収者には、より多くの素材の含率として、純度が高い回収品の回収を促すことができる。ひいては、回収による廃棄および回収品の再生に係る環境負荷の低減が促される。また、ユーザとしての生産者に対しては、生産条件情報で指示される素材の含率基準値に従った生産品の生産が促される。
【0116】
ユーザ管理部160は、ユーザが素材の購入者であるとき、集計量に基づいて素材の販売に関する条件を定めてもよい。
この構成によれば、回収される素材含有品の数量または純度を集計して得らえる集計量に基づいてユーザに対する素材の販売条件が定まる。そのため、素材の購入者となる回収者に対しては、より有利な販売条件を適用することで、より多くの素材の純度が高い回収品の回収を促すことができ、生産者に対しては、生産条件情報で指示される素材の含率基準値に忠実な生産品の生産が促される。
【0117】
情報処理装置10は、試料に含まれる素材に関する開示情報を取得する開示情報取得部148と、試料から取得された検出情報と開示情報を照合し、開示情報の妥当性を評価する開示情報評価部150を備えてもよい。
この構成によれば、試料に含まれる素材に関する開示情報が試料からの検出情報との照合により開示情報の妥当性が評価される。そのため、開示情報に接した利用者に対しては妥当性が評価された開示情報に基づいて試料とする加工品の購入を促すことができる。また、開示情報を開示する加工品の販売者に対して、真正な開示情報の開示を促すことができる。
【0118】
開示情報は、素材に関する環境指標として第1環境指標を含み、開示情報評価部150は、検出情報として試料の原料構成に基づいて当該試料に係る環境指標を第2環境指標として算出し、第1環境指標と第2環境指標を照合し、第1環境指標の妥当性を評価してもよい。
この構成によれば、開示情報に含まれる第1環境指標に対する妥当性が評価される。そのため、第1環境指標に接した利用者に対して、妥当性が評価された第1環境指標により環境保護に対する貢献度を確認し、試料とする加工品の購入を促すことができる。また、第1環境指標を開示する加工品の販売者に対して、真正な第1環境指標の開示を促すことができる。
【0119】
情報処理装置10は、報告情報処理部146を備え、生地情報は、加工品における素材の含率の基準値(例えば、含率基準値)を示し、素材検出部142は、検査パターン情報に基づいて試料に含まれる素材の含率を測定し、報告情報処理部146は、含率の測定値が基準値と合致するとき、素材または加工品に関する報告情報を生成してもよい。
この構成によれば、試料とする加工品における素材の含率の測定値が基準値と合致するとき、素材または加工品に関する報告情報が生成される。素材の含率が基準値に従うことが確認されたうえで報告情報が生成されるため、報告情報の信頼性を担保することができる。
【0120】
報告情報処理部146は、素材の含率、当該含率に基づく素材または加工品に係る環境指標、または、素材または加工品の生産者の情報を含む報告情報を生成してもよい。
この構成によれば、素材の含率が基準値に従うことが確認されたうえで、素材の含率、当該含率に基づく素材または加工品に係る環境指標、または、素材または加工品の生産者の情報を含む報告情報が生成される。そのため、報告情報に含まれる素材の含率、当該含率に基づく素材または加工品に係る環境指標、または、素材または加工品の生産者の情報に対する信頼性を担保することができる。
【0121】
情報処理装置10は、回収情報処理部152を備え、素材検出部142は、検査パターン情報に基づいて試料とする回収品に含まれる素材の含率を測定し、回収情報処理部152は、含率の測定値に基づいて回収品の回収の要否を判定してもよい。
この構成によれば、試料とする回収品に含まれる素材の含率の測定値に基づいて、その回収品の回収の要否が判定される。そのため、素材の含率が高い回収品の回収を促すことで、回収した回収品からの再生に係る環境負荷その他のコストを低減することができる。
【0122】
回収情報処理部152は、含率の測定値が所定の基準値以上であるか否かに基づいて回収品の回収の要否を判定してもよい。
この構成によれば、含率の測定値が所定の基準値以上である場合、回収要と判定することができるため、素材の含率が高い回収品の回収を促すことができる。
【0123】
本実施形態に係る情報処理システム1は、上記の情報処理装置10と、試料とする回収品が回収否と判定される場合、当該回収品を排出する排出部48と、を備える回収システムとして構成されてもよい。
この構成によれば、回収否と判定された回収品が回収されずに排出される。そのため、素材の含率が低い回収品の回収を回避することできる。
【0124】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0125】
例えば、ある実施形態の一部が省略されてもよいし、その一部が他の構成に置換されてもよいし、さらに他の構成が追加されてもよい。
より具体的には、第1実施形態または第2実施形態に係る情報処理装置10において、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128およびユーザ管理部160の一部または全部が省略されてもよい。
第3実施形態または第4実施形態に係る情報処理装置10において、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128、報告情報処理部146およびユーザ管理部160の一部または全部を備えてもよい。
第3実施形態または第4実施形態に係る情報処理システム1において、端末装置20が備わってもよい。
第4実施形態に係る情報処理装置10は、回収設備40の一部として備わってもよい。
【0126】
素材情報をなす要素情報の組、生地情報をなす要素情報の組は、上記に説明したものに限られず、一部が省略されてもよいし、他の要素情報が追加されてもよい。また、表示画面における画面部品の配置、表示項目の組、設定項目の組、それらの配置、メッセージ、形状、色彩などは、任意に上記に説明したものに限られず、任意に定められうる。
【0127】
画像合成モデルまたは画像解析モデルとして用いられる数理モデルは、CNNに限らず、RNN(Recurrent Neural Network)、ResNet(Residual Network)のいずれであってもよいし、ニューラルネットワーク以外の数理モデルであってもよい。モデル学習部126は、他の機器から訓練データを取得し、取得した訓練データを用いてモデルパラメータを算出してもよい。モデル学習部126が省略され、他機器において学習されたモデルパラメータが画像合成部124に設定されてもよい。
【0128】
また、第1実施形態または第2実施形態に係る情報処理装置10は、端末装置20と一体に構成され、端末装置20の入力処理部222、表示処理部224および報告情報取得部226の一部または全部に相当する機能部を備えてもよい。その場合には、上記の情報処理装置10と端末装置20における各種情報の送受信が情報処理装置10における入出力となる。
【0129】
また、第1実施形態または第2実施形態に係る情報処理装置10において、モデル学習部126が省略されてもよい。但し、画像合成部124には、予め取得したモデルパラメータを設定しておく。
画像合成部124の一部の処理は、例えば、照明条件、視点、生地サンプル形状のいずれかの変更に応じた生地サンプル画像の合成(レンダリング)に係る処理は、端末装置20の表示処理部224が実行してもよい。
【0130】
端末装置20において、表示部280と操作部285の一方または両方が省略されてもよい。端末装置20は、操作信号の入力元、表示データの送信先となる機器と無線または有線で各種のデータを送受信可能に接続できればよい。
検出器30は、専用の分光分析器であってもよいし、端末装置20または情報処理装置10と一体に構成されてもよい。
また、上記の例では、追跡子の固有パターン情報を分光分析により検出し、その検出結果に応じて特定の素材の有無または含量を判定する場合を例にしたが、これには限られない。検出器30は、その他の原理に基づいて追跡子を含む素材とその含量を検出することができればよい。
情報処理装置10の検査情報取得部130は、ネットワークを用いて検出器30から検査情報を受信する他、別個の記憶媒体に記憶しておいた検査情報を読み出すようにしてもよい。
【0131】
また、上述した実施形態における情報処理装置10の一部、または全部を、LSI(Large Scale integration)等の集積回路として実現してもよい。情報処理装置10の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0132】
10…情報処理装置、20…端末装置、30…検出器、40…回収設備、42…収集部、44…搬送部、46…検出器、48…排出部、120…制御部、122…生産条件情報取得部、124…画像合成部、126…モデル学習部、128…注文処理部、130…検査情報取得部、142…素材検出部、144…回収者管理部、146…報告情報処理部、148…開示情報取得部、150…開示情報評価部、152…回収情報処理部、160…ユーザ管理部、170…記憶部、175…入出力部、220…制御部、222…入力処理部、224…表示処理部、226…報告情報取得部、270…記憶部、275…入出力部、280…表示部、285…操作部