IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図1
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図2
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図3
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図4
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図5
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図6
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図7
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図8
  • 特開-海上都市及び海上建築物 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062581
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】海上都市及び海上建築物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20240501BHJP
   E02D 27/18 20060101ALI20240501BHJP
   E02B 17/00 20060101ALI20240501BHJP
   E04B 1/35 20060101ALI20240501BHJP
   E02D 27/52 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
E04H1/00
E02D27/32 Z
E02D27/18
E02B17/00 Z
E04B1/35 Q
E02D27/52 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170506
(22)【出願日】2022-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】515277584
【氏名又は名称】日本電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】白川 欽一
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA13
2D046DA00
2D046DA61
(57)【要約】
【課題】利便性の高い海上都市及び海上建築物を提供する。
【解決手段】
海上都市1は、海面100から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤10と、人工地盤10上に構築される海上建築物11,12,21,22,23と、人工地盤10と海底200との間に設けられ、密閉された室内空間52を有する地盤下室51とを備える。地盤下室51は、海上建築物11,12のそれぞれが有している複数の柱及びそれらの柱間に設けられる壁部によって形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤と、
前記人工地盤上に構築される海上建築物と、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室と
を備える、海上都市。
【請求項2】
前記海上建築物が前記地盤下室を有している、
請求項1に記載の海上都市。
【請求項3】
前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱と、当該複数の柱間に設けられる壁部とを有しており、
前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
請求項2に記載の海上都市。
【請求項4】
前記人工地盤上には複数の前記海上建築物が構築され、
前記壁部は、一の前記海上建築物の前記複数の柱と他の前記海上建築物の前記複数の柱との間にも設けられ、
一の前記海上建築物の前記複数の柱、他の前記海上建築物の前記複数の柱、及び前記壁部によって、前記一の前記海上建築物及び前記他の前記海上建築物に跨がった前記地盤下室が形成される、
請求項3に記載の海上都市。
【請求項5】
前記人工地盤を下方から支持する複数の柱、及び当該複数の柱間に設けられる壁部
をさらに備え、
前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
請求項1に記載の海上都市。
【請求項6】
前記人工地盤を下方から支持する複数の柱
をさらに備え、
前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱を有しており、
前記下方から支持する複数の柱間、前記海上建築物に係る複数の柱間、並びに前記下方から支持する柱及び前記海上建築物に係る柱間のそれぞれに壁部が設けられ、
前記下方から支持する複数の柱、前記海上建築物に係る複数の柱、及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
請求項1に記載の海上都市。
【請求項7】
前記地盤下室が、水平方向に所定の距離隔てて複数設けられている、
請求項1に記載の海上都市。
【請求項8】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤上に構築され、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室
を備える、海上建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上都市及びその海上都市を構成する海上建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2本の斜杭を組み合わせた組杭により地盤がかなり高く支持された人工地盤であって、組杭を構成する2本の斜杭は平面的にみて一直線状で立面的にみて杭頭を当接させ略同一角度の逆V字形に傾斜させた配置とされ、組杭の配列は平面的にみて縦横に規則的な行列とされていると共に、個々の組杭は斜杭を行列方向に対し所定角度傾けた配置とされ、隣り合う列の組杭の関係は180度対称な配置で設置されたものが開示されている。この人工地盤の場合、海上から上方に大きく離れた位置に設けることができるため、空間の有効利用が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-170346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術などに基づいて海上に設けた人工地盤上に種々の建築物を構築することによって、所謂海上都市を実現することが可能である。この海上都市においては、生活の利便性を向上させるためにも、多くの室内空間が設けられていることが好ましい。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、多くの室内空間の設置を可能とする海上都市、及びその海上都市に構築される海上建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の海上都市は、海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤と、前記人工地盤上に構築される海上建築物と、前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室とを備える。
【0007】
前記態様において、前記海上建築物が前記地盤下室を有していてもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱と、当該複数の柱間に設けられる壁部とを有しており、前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成されてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記人工地盤上には複数の前記海上建築物が構築され、前記壁部は、一の前記海上建築物の前記複数の柱と他の前記海上建築物の前記複数の柱との間にも設けられ、一の前記海上建築物の前記複数の柱、他の前記海上建築物の前記複数の柱、及び前記壁部によって、前記一の前記海上建築物及び前記他の前記海上建築物に跨がった前記地盤下室が形成されてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記人工地盤を下方から支持する複数の柱、及び当該複数の柱間に設けられる壁部をさらに備え、前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成されてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記人工地盤を下方から支持する複数の柱をさらに備え、前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱を有しており、前記下方から支持する複数の柱間、前記海上建築物に係る複数の柱間、並びに前記下方から支持する柱及び前記海上建築物に係る柱間のそれぞれに壁部が設けられ、前記下方から支持する複数の柱、前記海上建築物に係る複数の柱、及び前記壁部によって前記地盤下室が形成されてもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記地盤下室が、水平方向に所定の距離隔てて複数設けられていてもよい。
【0013】
本発明の海上建築物は、海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤上に構築され、前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多くの室内空間を有する海上都市及び海上建築物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1の海上都市の構成を示す正面図。
図2】高層建築物の柱の構成を示す正面図。
図3図1のA-A線拡大断面図。
図4】実施の形態2の海上都市の構成を示す正面図。
図5】高層建築物及び人工地盤に係る柱の構成を示す正面図。
図6図4のB-B線拡大断面図。
図7】実施の形態3の海上都市の構成を示す正面図。
図8】高層建築物及び人工地盤に係る構成を示す正面図。
図9図7のC-C線拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置及び方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
後述する各実施の形態の海上都市は、人工地盤上に建築物などを構築して得られるものである。このような海上都市は、地球温暖化により海面が上昇した場合であっても、自然災害による被害を防ぐことができるなどの利点がある。そのため、海抜の低い地域において特に有効である。なお、人工地盤上には、住宅用・事業用建築物、教育施設、娯楽施設、各種基地、飛行場など、様々な建築物、施設などを設けることが可能である。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の海上都市の構成を示す正面図である。海上都市1は、海上に設けられる人工地盤10と、その人工地盤10上に構築される海上建築物とを備えている。その海上建築物として、図1には、高層建築物11,12及び中層建築物21,22,23が示されている。なお、これが例示にすぎないことは勿論であり、人工地盤10上には様々な高さを有する複数の建築物が構築され得る。
【0019】
人工地盤10は、例えばプレキャストコンクリートなどで造られた人工の基盤であって、海面100から所定の距離上方に隔てて設けられている。この距離としては種々の値を採用可能であるが、例えば、小型船・中型船が人工地盤10下を通過可能なように、10~20メートル程度とすることが想定される。
【0020】
人工地盤10は、海底200に設けられたケーソン基礎41に接続される複数の支持柱31によって支持されている。支持柱31は、人工地盤10のみを支持するものの他、後述するように、高層建築物11,12も併せて支持するものがある。なお、高層建築物11,12を支持する支持柱31は、高層建築物11,12よりも平面視で一回り大きくなっている。これにより、人工地盤10及びその上に構築される高層建築物11,12をより安定的に支持することが可能になる。
【0021】
人工地盤10と海底200との間には、密閉された室内空間52を有する地盤下室51が設けられている。本実施の形態の場合、地盤下室51は、高層建築物11,12内に形成される。地盤下室51の詳細については後述する。
【0022】
高層建築物11,12は、鉄筋コンクリート造の複数の柱、それらの柱間に設けられる壁、梁及びスラブなどの部材から構成される鉄筋コンクリート構造の建築物である。
【0023】
図2は、高層建築物11が備える柱の構成を示す正面図である。この図において、柱111以外の高層建築物11の構成部材は図示が省略されている。また、人工地盤10下の支持柱31についても、柱111以外の構成部材は図示が省略されている。なお、高層建築物12の構成は高層建築物11の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0024】
図2に示すとおり、高層建築物11は複数の柱111を備えており、その柱111は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続される。これにより、高層建築物11,12が強固に支持される。また、人工地盤10も柱111によって安定的に支持される。なお、高層建築物11の柱111と人工地盤10とは、人工地盤10内で強固に固着されている。
【0025】
図3は、図1のA-A線断面図である。図1も併せて参照すると、高層建築物11は平面視正方形状の建物であって、図3に示すとおり、各辺において、6本の柱111とそれらの柱111間に設けられる壁112とを備えている。ただし、高層建築物11の形状、柱の本数、柱間の距離、及び壁の構成などはこれに限定されず、種々のものが採用可能である。なお、符号113はスラブを示している。
【0026】
地盤下室51は、柱111、壁112及びスラブ113などによって構成され、これらの構成部材によって形成される室内空間52を有している。この室内空間52は密閉されており、外界の影響を受けにくいため、海面100近くの人工地盤10下に設けても特段の問題は生じない。なお、防水性を十分に有する場合、海中101に室内空間52を設けることも可能である。
【0027】
地盤下室51の室内空間52は、高層建築物11の利用者が利用する空間としたり、高層建築物11において必要となる各種設備を収容する空間としたりするなど、様々な用途に利用可能である。このように、人工地盤10上のみではなくその下にも室内空間を設けることによって、海上都市1において多くの室内空間を設けることが可能になるため、海上都市1における生活の利便性を向上させることができる。
【0028】
また、上記のとおり、本実施の形態では高層建築物11,12のそれぞれに地盤下室51が設けられており、これらの地盤下室51,51は水平方向に所定の距離隔てて設けられている。これによって、地盤下室51,51間を船舶が通過可能とすることができるため、複数の地盤下室51を設けた場合であっても、船舶の運航の妨げを防止することができる。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態1では地盤下室が単一の建築物内に形成されているが、実施の形態2では、地盤下室が複数の建築物に跨がって形成される。以下、その構成の詳細について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図4は、実施の形態2の海上都市の構成を示す正面図である。海上都市2は、実施の形態1の海上都市1の場合と同様に、人工地盤10と、その人工地盤10上に構築される海上建築物(高層建築物11,12及び中層建築物21,22,23)とを備えている。
【0031】
図4に示すとおり、人工地盤10と海底200との間には、高層建築物11及び12に跨がって地盤下室511が設けられている。本実施の形態の場合、人工地盤10下における高層建築物11,12の下方に共通の支持柱32が設けられており、この支持柱32内に地盤下室511が設けられている。地盤下室511は、実施の形態1における地盤下室51の場合と同様に、密閉された室内空間512を有している。
【0032】
図5は、高層建築物11,12及び人工地盤10に係る柱の構成を示す正面図である。この図において、柱111、121以外の高層建築物11,12の構成部材は図示が省略されている。また、人工地盤10下の支持柱32についても、柱111,121,131以外の構成部材は図示が省略されている。
【0033】
図5に示すとおり、高層建築物11,12がそれぞれ備える複数の柱111,121のうちの一部は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続される。また、高層建築物11,12間の領域における人工地盤10の下方には、人工地盤10を下方から支持する複数の柱131が所定の間隔で配設されており、これらの柱131もケーソン基礎41に接続されている。
【0034】
図6は、図4のB-B線断面図である。図4も併せて参照すると、高層建築物11は平面視正方形状の建物であり、各辺において6本の柱111を有している。このうち、高層建築物11における高層建築物12側の1辺以外の3辺に配された柱111は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続されている。したがって、図6に示すように、高層建築物11における人工地盤10の下方には、複数の柱111が逆コの字状に配設されている。
【0035】
上記と同様にして、平面視正方形状の建物である高層建築物12は、各辺において6本の柱121を有しており、そのうち、高層建築物12における高層建築物11側の1辺以外の3辺に配された柱121は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続されている。したがって、図6に示すように、高層建築物12における人工地盤10の下方には、複数の柱121がコの字状に配設されている。
【0036】
また、高層建築物11の高層建築物12側に配置された柱111aと、高層建築物12の高層建築物11側に配置された柱121aとの間には、柱131が所定の間隔で配設されている。
【0037】
上記のように各柱が設けられた上で、柱121,121間には壁122が設けられ、柱111及び131間、柱121及び131間、並びに柱131,131間には壁132が設けられる。ただし、高層建築物11,12の形状、柱の本数、柱間の距離、及び壁の構成などはこれに限定されず、種々のものが採用可能である。なお、符号513はスラブを示している。
【0038】
地盤下室511は、柱111,121、壁112,122,132及びスラブ513などによって構成され、これらの構成部材によって形成される密閉された室内空間512を有している。
【0039】
上記のとおり、本実施の形態では、地盤下室511が高層建築物11,12をまたがって設けられているため、実施の形態1の場合のように単一の建築物内に地盤下室51が設けられる場合と比べて、より大きな室内空間を確保することが可能になる。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態3では、地盤下室が、建築物と人工地盤の支持柱とに跨がって形成される。以下、その構成の詳細について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図7は、実施の形態3の海上都市の構成を示す正面図である。海上都市3は、実施の形態1の海上都市1の場合と同様に、人工地盤10と、その人工地盤10上に構築される海上建築物(高層建築物11,12及び中層建築物21,22,23)とを備えている。
【0042】
図7に示すとおり、人工地盤10と海底200との間には、高層建築物11及び人工地盤10下の図面左方の支持柱31に跨がって地盤下室521が設けられている。本実施の形態の場合、人工地盤10下における高層建築物11の下方に当該支持柱31を含む支持柱33が設けられており、この支持柱33内に地盤下室521が設けられている。地盤下室521は、実施の形態1における地盤下室51の場合と同様に、密閉された室内空間522を有している。
【0043】
図8は、高層建築物11,12及び人工地盤10に係る柱の構成を示す正面図である。この図において、柱111以外の高層建築物11の構成部材は図示が省略されている。また、人工地盤10下の支持柱31,33についても、柱111,231,331以外の構成部材は図示が省略されている。
【0044】
図8に示すとおり、高層建築物11が備える複数の柱111のうちの一部は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続される。また、支持柱31は、人工地盤10を下方から支持する複数の柱331を備えており、これらの柱331もケーソン基礎41に接続される。さらに、高層建築物11及び支持柱31間の領域における人工地盤10の下方には、人工地盤10を下方から支持する複数の柱231が所定の間隔で配設されており、これらの柱231もケーソン基礎41に接続されている。
【0045】
図9は、図7のC-C線断面図である。図7も併せて参照すると、高層建築物11は平面視正方形状の建物であり、各辺において6本の柱111を有している。このうち、高層建築物11における支持柱31側の1辺以外の3辺に配された柱111は、人工地盤10を貫通してケーソン基礎41に接続されている。したがって、図9に示すように、高層建築物11における人工地盤10の下方には、複数の柱111がコの字状に配設されている。
【0046】
支持柱31は、平面視矩形状をなしており、高層建築物11側の1辺以外の3辺には複数の柱331が配設されている。したがって、図9に示すように、複数の柱331が逆コの字状に配設されている。
【0047】
また、高層建築物11の支持柱31側に配置された柱111aと、支持柱31の高層建築物11側に配置された柱331aとの間には、柱231が所定の間隔で配設されている。
【0048】
上記のように各柱が設けられた上で、柱331,331間には壁332が設けられ、柱111,231間及び231,331間には壁232が設けられる。ただし、高層建築物11及び支持柱31の形状、柱の本数、柱間の距離、及び壁の構成などはこれに限定されず、種々のものが採用可能である。なお、符号523はスラブを示している。
【0049】
地盤下室521は、柱111,231,331、壁112,232,332及びスラブ523などによって構成され、これらの構成部材によって形成される密閉された室内空間522を有している。
【0050】
上記のとおり、本実施の形態では、地盤下室511が高層建築物11及び支持柱31を跨がって設けられているため、実施の形態1の場合のように単一の建築物内に地盤下室51が設けられる場合と比べて、より大きな室内空間を確保することが可能になる。
【0051】
(その他の実施の形態)
上述した各実施の形態では、海上都市を構成する海上建築物である高層建築物が地盤下室を備えているが、これに限定されるわけではない。例えば、人工地盤を支持する支持柱のみによって地盤下室が形成されていても構わない。より具体的に説明すると、人工地盤を支持する複数の支持柱と、その支持柱間に設けられる壁とによって地盤下室が形成されていてもよい。このように、様々な態様で人工地盤下に地盤下室を形成することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 海上都市
10 人工地盤
11,12 高層建築物
21,22,23 中層建築物
31、32,33 支持柱
41 ケーソン基礎
51,511,521 地盤下室
52,512,522 室内空間
111,121,131,231,331 柱
112,122,132,232,332 壁
113,513,523 スラブ
100 海面
101 海中
200 海底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤と、
前記人工地盤上に構築される海上建築物と、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室と
を備え
前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱と、当該複数の柱間に設けられる壁部とを有しており、
前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
海上都市。
【請求項2】
前記人工地盤上には複数の前記海上建築物が構築され、
前記壁部は、一の前記海上建築物の前記複数の柱と他の前記海上建築物の前記複数の柱との間にも設けられ、
一の前記海上建築物の前記複数の柱、他の前記海上建築物の前記複数の柱、及び前記壁部によって、前記一の前記海上建築物及び前記他の前記海上建築物に跨がった前記地盤下室が形成される、
請求項1に記載の海上都市。
【請求項3】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤と、
前記人工地盤上に構築される海上建築物と、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室と
前記人工地盤を下方から支持する複数の柱、及び当該複数の柱間に設けられる壁部と
を備え
前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
海上都市。
【請求項4】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤と、
前記人工地盤上に構築される海上建築物と、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室と
前記人工地盤を下方から支持する複数の柱と
を備え
前記海上建築物は、前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱を有しており、
前記下方から支持する複数の柱間、前記海上建築物に係る複数の柱間、並びに前記下方から支持する柱及び前記海上建築物に係る柱間のそれぞれに壁部が設けられ、
前記下方から支持する複数の柱、前記海上建築物に係る複数の柱、及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
海上都市。
【請求項5】
前記地盤下室が、水平方向に所定の距離隔てて複数設けられている、
請求項1、3又は4に記載の海上都市。
【請求項6】
海面から所定の距離上方に隔てて設けられる人工地盤上に構築され、
前記人工地盤と海底との間に設けられ、密閉された室内空間を有する地盤下室と、
前記人工地盤を貫通して海底基礎に接続される複数の柱と、当該複数の柱間に設けられる壁部と
を備え
前記複数の柱及び前記壁部によって前記地盤下室が形成される、
海上建築物。