(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062582
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】硬貨入金機
(51)【国際特許分類】
G07D 11/23 20190101AFI20240501BHJP
【FI】
G07D11/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170507
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】境 俊明
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141CA16
3E141FB01
3E141HA09
3E141JA07
3E141KC20
3E141LA11
3E141LA45
3E141LA63
(57)【要約】
【課題】処理効率を向上させることが可能となる硬貨入金機を提供する。
【解決手段】制御手段は、収納手段が満杯判定状態になく、かつ、一時貯留手段の硬貨が一時貯留閾値未満で、かつ、一時貯留手段の換算貯留枚数と収納手段の換算収納枚数との和が収納閾値未満の状態のとき、一時貯留手段へ硬貨を受け入れさせ、一時貯留手段から収納手段へ硬貨を収納させる際に、換算貯留枚数を換算収納枚数に加えた収納後在高を算出し、収納後在高が、収納閾値未満で、かつ、制御閾値以上の状態のとき、収納手段を満杯判定状態とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を識別する識別手段と、
前記識別手段の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を一時貯留させる一時貯留手段と、
前記一時貯留手段の硬貨を受け入れて収納する収納手段と、
前記一時貯留手段の貯留枚数と前記収納手段の収納枚数とから硬貨を受け入れ可能な状態か否かを判断する制御手段と、
を有する硬貨入金機において、
前記制御手段は、
前記一時貯留手段のフル枚数である一時貯留閾値と、
前記収納手段のフル枚数である収納閾値と、
前記収納閾値よりも少ない制御閾値とを用いて、
前記収納手段が満杯判定状態になく、かつ、前記一時貯留手段の硬貨が前記一時貯留閾値未満で、かつ、前記一時貯留手段の貯留枚数と前記収納手段の収納枚数との和が前記収納閾値未満の状態のとき、前記一時貯留手段へ硬貨を受け入れさせ、
前記一時貯留手段から前記収納手段へ硬貨を収納させる際に、
前記貯留枚数を前記収納枚数に加えた収納後在高を算出し、
前記収納後在高が、前記収納閾値未満で、かつ、前記制御閾値以上の状態のとき、前記収納手段を前記満杯判定状態とする
ことを特徴とする硬貨入金機。
【請求項2】
前記一時貯留手段と前記収納手段とを対で複数組み備えると共に、
前記識別手段の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を複数の前記一時貯留手段に選択的に振り分ける振分手段を有し、
前記制御手段は、
前記振分手段によって、
一の収納手段が前記満杯判定状態になく、かつ、対をなす一の一時貯留手段の硬貨が前記一時貯留閾値未満で、かつ、前記一の一時貯留手段の貯留枚数と前記一の収納手段の収納枚数との和が前記収納閾値未満の状態のとき、前記一の一時貯留手段へ硬貨を受け入れさせ、
前記一の一時貯留手段から前記一の収納手段へ硬貨を収納させる際に、
前記一の一時貯留手段の前記貯留枚数を前記一の収納手段の前記収納枚数に加えた収納後在高を算出し、
前記収納後在高が、前記収納閾値未満で、かつ、前記制御閾値以上の状態のとき、前記一の収納手段を前記満杯判定状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨入金機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記満杯判定状態にない収納手段が複数ある場合には、
これら収納手段のそれぞれの収納枚数と前記収納閾値とに応じて、
前記振分手段によって、これら収納手段のうち、前記収納枚数が前記収納閾値未満の一の収納手段に硬貨を収納させるように、当該一の収納手段と対をなす一の一時貯留手段に硬貨を一時貯留させ、
当該一の一時貯留手段が受け入れ不可になると、
当該一の一時貯留手段から当該一の一時貯留手段と対をなす前記収納手段に硬貨を収納させる
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨入金機。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記満杯判定状態にない収納手段が複数ある場合には、
これら収納手段のそれぞれの収納枚数と前記収納閾値とに応じて、
前記振分手段によって、
これら収納手段のうち、前記収納枚数が前記収納閾値未満の一の収納手段に硬貨を収納させるように、当該一の収納手段と対をなす一の一時貯留手段に硬貨を一時貯留させ、
当該一の一時貯留手段が受け入れ不可になると、
これら収納手段のうち、前記収納枚数が前記収納閾値未満の次の収納手段と対をなす残りの一の一時貯留手段に硬貨を一時貯留させるようにして、
複数の前記一時貯留手段を一つずつ受け入れ不可にしていき、
その後、
複数の前記一時貯留手段から複数の前記収納手段に硬貨を収納させる
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨入金機。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記満杯判定状態にない収納手段が複数ある場合には、
これら収納手段のそれぞれの収納可能な残容量に応じて、最も残容量が多いものから順に硬貨を収納させるように、前記振分手段によって、最も残容量が多い一の収納手段と対をなす一の一時貯留手段に硬貨を一時貯留させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の硬貨入金機。
【請求項6】
前記収納手段を複数備えると共に、一つの前記一時貯留手段が複数の前記収納手段に選択的に硬貨を収納可能であり、
前記制御手段は、
一の収納手段が前記満杯判定状態になく、かつ、前記一時貯留手段の硬貨が前記一時貯留閾値未満で、かつ、前記一時貯留手段の貯留枚数と前記一の収納手段の収納枚数との和が前記収納閾値未満の状態のとき、前記一時貯留手段へ硬貨を受け入れさせ、
前記一時貯留手段から前記一の収納手段へ硬貨を収納させる際に、
前記一時貯留手段の前記貯留枚数を前記一の収納手段の前記収納枚数に加えた収納後在高を算出し、
前記収納後在高が、前記収納閾値未満で、かつ、前記制御閾値以上の状態のとき、前記一の収納手段を前記満杯判定状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨入金機。
【請求項7】
前記制御手段は、
複数の前記収納手段のうちの一の収納手段が前記満杯判定状態とされた状態で、
前記一時貯留手段の貯留枚数と、当該一の収納手段の収納枚数との和が前記収納閾値未満の状態のとき、
前記一時貯留手段から当該一の収納手段へ硬貨を収納させる
ことを特徴とする請求項6に記載の硬貨入金機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の入金処理を行う硬貨入金機に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨を識別しつつ計数して一時貯留手段に一時貯留させると共に、一時貯留手段に一時貯留された硬貨を確定操作後に収納手段に収納する入金処理を行う硬貨処理機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬貨入金機において、処理効率を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、処理効率を向上させることが可能となる硬貨入金機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一の態様は、硬貨を識別する識別手段と、前記識別手段の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を一時貯留させる一時貯留手段と、前記一時貯留手段の硬貨を受け入れて収納する収納手段と、前記一時貯留手段の貯留枚数と前記収納手段の収納枚数とから硬貨を受け入れ可能な状態か否かを判断する制御手段と、を有する硬貨入金機において、前記制御手段は、前記一時貯留手段のフル枚数である一時貯留閾値と、前記収納手段のフル枚数である収納閾値と、前記収納閾値よりも少ない制御閾値とを用いて、前記収納手段が満杯判定状態になく、かつ、前記一時貯留手段の硬貨が前記一時貯留閾値未満で、かつ、前記一時貯留手段の貯留枚数と前記収納手段の収納枚数との和が前記収納閾値未満の状態のとき、前記一時貯留手段へ硬貨を受け入れさせ、前記一時貯留手段から前記収納手段へ硬貨を収納させる際に、前記貯留枚数を前記収納枚数に加えた収納後在高を算出し、前記収納後在高が、前記収納閾値未満で、かつ、前記制御閾値以上の状態のとき、前記収納手段を前記満杯判定状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、処理効率を向上させることが可能となる硬貨入金機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の構成を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の入金処理の主な流れを説明するフローチャートである。
【
図4】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の収納処理の主な流れを説明するフローチャートである。
【
図5】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の第1の案内表示画面を示す正面図である。
【
図6】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の第2の案内表示画面を示す正面図である。
【
図7】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の第3の案内表示画面を示す正面図である。
【
図8】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の第4の案内表示画面を示す正面図である。
【
図9】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の第5の案内表示画面を示す正面図である。
【
図10】本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機の設定表示画面を示す正面図である。
【
図11】本発明に係る第2実施形態の硬貨入金機の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の硬貨入金機10を
図1~
図10を参照して以下に説明する。以下の説明における「前」は硬貨入金機10の操作者側、「後」は硬貨入金機10の操作者とは反対側、「左」は硬貨入金機10を操作者から見て左側、「右」は硬貨入金機10の操作者から見て右側である(
図1参照)。硬貨入金機10は、投入されたバラの硬貨を入金収納可能である一方で、収納している硬貨を計数しつつ機外に繰り出す出金処理は行わないものとなっている。
【0010】
図1に示すように、硬貨入金機10は、機体11の上部に設けられる入金部12を有している。入金部12は、
図2に示すように、ホッパ13と、供給部14と、繰出部15と、シャッタ16とを有している。ホッパ13は上下に開口する筒状であり、その上部にあって上方に開口する入金口17を介して硬貨が機外から投入される。供給部14は、回転円板型であり、ホッパ13の下方に設けられ、ホッパ13に投入された硬貨を受け入れると共に、受け入れた硬貨を回転することにより繰り出す。繰出部15は、回転円板型であり、供給部14から繰り出された硬貨を受け入れると共に、受け入れた硬貨を回転することにより一枚ずつに分離して繰り出す。シャッタ16は、ホッパ13の入金口17を開閉する。
【0011】
硬貨入金機10は、計数搬送部21と、識別計数部22(識別手段)と、リジェクト部23と、リジェクト箱24とを有している。
【0012】
計数搬送部21は、入金部12から繰出部15によって一枚ずつに分離されて繰り出された硬貨を搬送する。識別計数部22は、計数搬送部21で搬送される硬貨の真偽および金種を識別して計数する。リジェクト部23は、開閉式であり、識別計数部22で偽等の識別異常つまり受け入れ不可と識別された識別異常硬貨を開状態となることで計数搬送部21から落下させる。リジェクト箱24は、上方に開口する箱状であり、リジェクト部23によって計数搬送部21から落下させられた硬貨を機外に取り出し可能に収納する。
【0013】
図1に示すように、リジェクト箱24は、硬貨入金機10の前面を構成している。リジェクト箱24は、機体11から前方に引き出されて取り外されることによって、収納している硬貨が機外に取り出し可能となる。リジェクト箱24には、収納した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これによりリジェクト箱24が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。
【0014】
図2に示すように、硬貨入金機10は、振分搬送部31(振分手段)と、一時貯留部32と、返却箱33と、硬貨収納部34とを有している。
【0015】
振分搬送部31は、識別計数部22で正常に金種が識別され受け入れ可能と識別された識別正常硬貨を計数搬送部21から受け入れて搬送しつつ振り分ける。振分搬送部31は、複数、具体的には3つの開閉部31a~31cを有している。開閉部31a~31cは、機体11の前面側から、開閉部31a、開閉部31b、開閉部31cの順に並べられている。開閉部31a~31cは、いずれも開状態になることで振分搬送部31から硬貨を落下させる。
【0016】
一時貯留部32は、振分搬送部31で振り分けられた硬貨を一時貯留させる。言い換えれば、一時貯留部32は、識別計数部22の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を一時貯留させる。一時貯留部32は、胴部36と、底部37とを有している。胴部36と、底部37とは、いずれも機体11の左右方向に移動する。
【0017】
一時貯留部32は、複数、具体的には、開閉部31a~31cと同数の3つの一時貯留庫41~43(一時貯留手段)を有している。一時貯留庫41~43は、機体11の前面側から、一時貯留庫41、一時貯留庫42、一時貯留庫43の順に並べられている。一時貯留庫41は、胴部36に設けられて上下に開口する筒状の壁部41aを有しており、一時貯留庫42は、胴部36に設けられて上下に開口する筒状の壁部42aを有しており、一時貯留庫43は、胴部36に設けられて上下に開口する筒状の壁部43aを有している。壁部41a、壁部42aおよび壁部43aは、機体11の前面側からこの順番に並べられている。底部37は、一時貯留庫41~43の全ての壁部41a~43aの下部開口を同時に開閉する。一時貯留庫43は、胴部36が機体11内右側の第1位置に位置し、かつ、底部37が機体11内右側の第1位置に位置する状態が基本状態である。
【0018】
振分搬送部31は、硬貨を、基本状態にある一時貯留部32の一時貯留庫41~43に選択的に振り分ける。その際に、振分搬送部31は、硬貨を、開閉部31aが一時貯留庫41に、開閉部31bが一時貯留庫42に、開閉部31cが一時貯留庫43に、それぞれ落下させて貯留させる。言い換えれば、振分搬送部31は、識別計数部22の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を複数の一時貯留庫41~43に選択的に振り分ける。
【0019】
一時貯留庫41には、一時貯留した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより一時貯留庫41が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。一時貯留庫42には、一時貯留した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより一時貯留庫42が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。一時貯留庫43には、一時貯留した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより一時貯留庫43が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。
【0020】
返却箱33は、一時貯留部32よりも下側に設けられている。返却箱33は、上方に開口する箱状である。一時貯留部32は、基本状態から、胴部36を機体11内右側の第1位置に位置させた状態のまま、底部37を機体11内左側の第2位置に移動させると、壁部41a~43aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留庫41~43に一時貯留されていた硬貨が、落下して返却箱33に一括で収納される。
【0021】
図1に示すように、返却箱33は、硬貨入金機10の前面を構成している。返却箱33は、機体11から前方に引き出されることによって、収納している硬貨が機外に取り出し可能となる。
【0022】
図2に示す硬貨収納部34は、一時貯留部32が貯留している硬貨を収納する。硬貨収納部34は、収納台車50と、複数、具体的には、一時貯留庫41~43と同数の3つの収納金庫51~53(収納手段)とを有している。収納金庫51~53は、機体11の前面側から、収納金庫51、収納金庫52、収納金庫53の順に並べられている。収納金庫51~53は、一時貯留部32よりも下側に設けられている。収納金庫51~53は、いずれも上部に上部開口を有しており、いずれにも上部開口を開閉する図示略の上部シャッタが設けられている。
【0023】
収納金庫51には、収納した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより収納金庫51が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。収納金庫52には、収納した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより収納金庫52が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。収納金庫53には、収納した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより収納金庫53が満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。
【0024】
収納金庫51~53は、それぞれが収納台車50に載置されている。一時貯留部32は、基本状態から、底部37を機体11内右側の第1位置に位置させた状態のまま、胴部36を機体11内左側の第2位置に移動させると、壁部41a~43aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留庫41の硬貨が落下して収納金庫51に上部開口を介して収納され、一時貯留庫42の硬貨が落下して収納金庫52に上部開口を介して収納され、一時貯留庫43の硬貨が落下して収納金庫53に上部開口を介して収納される。言い換えれば、収納金庫51が一時貯留庫41の硬貨を受け入れて収納し、収納金庫52が一時貯留庫42の硬貨を受け入れて収納し、収納金庫53が一時貯留庫43の硬貨を受け入れて収納する。
【0025】
よって、硬貨入金機10は、一時貯留庫41と収納金庫51とが対をなし、一時貯留庫42と収納金庫52とが対をなし、一時貯留庫43と収納金庫53とが対をなす。言い換えれば、硬貨入金機10は、一時貯留庫41と収納金庫51との対と、一時貯留庫42と収納金庫52との対と、一時貯留庫43と収納金庫53との対の3組を備えている。勿論、一時貯留庫と収納金庫との対は、1組だけでも良く、2組あるいは4組以上の複数組あっても良い。
【0026】
図1に示すように、硬貨収納部34の収納台車50は、硬貨入金機10の前面を構成している。硬貨収納部34は、収納台車50が、機体11から前方に引き出されることによって、収納台車50に載置されている
図2に示す収納金庫51~53が、それぞれ個別に収納台車50から取り外されて機外に取り出される。
【0027】
硬貨入金機10は、その全体を制御する制御部61と、操作者による操作入力を受け付けると共に操作者に向けた表示を行う操作表示部62とを有している。なお、制御部61および操作表示部62を、機体11とは別体の管理装置に設けるようにしても良い。例えば、管理装置として、機体11と通信可能なパーソナルコンピュータが設けられる場合、このパーソナルコンピュータに、制御部61および操作表示部62を設けることが可能である。あるいは、管理装置として、機体11と通信可能なATM及び硬貨入出金機などの貨幣処理装置が設けられる場合、この硬貨入出金機に、制御部61および操作表示部62を設けることが可能である。あるいは、いずれも機体11と通信可能なパーソナルコンピュータおよび硬貨入出金機が設けられる場合、これらパーソナルコンピュータおよび硬貨入出金機のうちの一方に、制御部61を設けることが可能であり、これらパーソナルコンピュータおよび硬貨入出金機のうちの一方あるいは両方に、操作表示部62を設けることが可能である。
【0028】
制御部61は、一時貯留部32の一時貯留庫41~43のそれぞれに貯留される硬貨の換算貯留枚数(収納枚数)および実貯留枚数を常に更新記憶しており、硬貨収納部34の収納金庫51~53のそれぞれに収納される硬貨の換算収納枚数(収納枚数)および実収納枚数を常に更新記憶している。ここで、制御部61は、1円~100円硬貨に対して外径が大きい500円硬貨の1枚は1.5枚に換算して、一時貯留庫41~43のそれぞれの換算貯留枚数とすると共に収納金庫51~53のそれぞれの換算収納枚数とする。よって、換算貯留枚数は、貯留硬貨に500円硬貨が含まれる場合、500円硬貨の1枚を1.5枚に換算していない実貯留枚数とは一致しない。また、換算収納枚数も、収納硬貨に500円硬貨が含まれる場合、500円硬貨の1枚を1.5枚に換算していない実収納枚数とは一致しない。
【0029】
次に、第1実施形態の硬貨入金機10の主な処理について説明する。なお、事前に、操作表示部62への入力操作に基づいて、制御部61は、一時貯留庫41~43のそれぞれについてのフル枚数(最大収納枚数)である一時貯留閾値と、収納金庫51~53のそれぞれについてのフル枚数(最大収納枚数)である収納閾値と、収納金庫51~53のそれぞれについての制御閾値とが設定されている。一時貯留庫41~43のそれぞれについてのフル枚数および収納金庫51~53のそれぞれについてのフル枚数は、500円硬貨を含まないと仮定して設定される。
【0030】
一時貯留庫41~43のそれぞれの一時貯留閾値は、例えば、全て同数の700枚に設定されている。また、収納金庫51~53のそれぞれの収納閾値は、例えば、全て同数の7000枚に設定されている。収納金庫51~53のそれぞれの制御閾値は、収納金庫51~53のそれぞれの収納閾値よりも少ない値に設定されており、例えば、全て同数の6500枚に設定されている。以下では、このように、一時貯留閾値が700枚に設定され、収納閾値が7000枚に設定され、制御閾値が6500枚に設定されている場合を例にとり説明する。
【0031】
また、収納金庫51~53のそれぞれには、受入閾値が設定される。受入閾値には、収納金庫51~53のそれぞれのフル枚数である収納閾値が設定される。収納金庫51~53のそれぞれの受入閾値は、硬貨が取り出されて空の状態とされたときに設定される初期値が収納閾値となっている。
【0032】
[入金処理]
入金処理には、第1の制御と、第2の制御とがあり、いずれの制御を行うかは、操作表示部への選択操作で設定可能となっている。
【0033】
{入金処理の第1の制御}
入金処理は、機外から入金部12のホッパ13に投入された硬貨を搬送しつつ識別および計数して一時貯留させる処理である。操作表示部62に表示されたメインメニュー画面において入金処理の選択操作がなされると、制御部61は、入金処理を開始することになり、まず、入金部12のシャッタ16を開く。そして、ホッパ13に機外から硬貨が投入され、操作表示部62に入金処理の開始操作がなされると、制御部61は、入金部12のシャッタ16を閉じると共に、一時貯留庫41~43の中から硬貨の一時貯留先を決定する一時貯留先決定処理を行う。
【0034】
制御部61は、一時貯留先決定処理の時点において、収納金庫51が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態になく、かつ、収納金庫51と対をなす一時貯留庫41の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値未満であり、かつ、一時貯留庫41の満杯検知センサが硬貨を検知していなく、かつ、一時貯留庫41の換算貯留枚数と収納金庫51の換算収納枚数との和が所定の収納閾値未満のとき、一時貯留庫41は硬貨を受け入れ可能と判断する。一時貯留庫41の硬貨の換算貯留枚数が0でないときは一時貯留庫41を搬送先として決定する。その一方で、制御部61は、収納金庫51が満杯判定状態にあるときと、一時貯留庫41の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値以上のときと、一時貯留庫41の満杯検知センサが硬貨を検知しているときと、一時貯留庫41の換算貯留枚数と収納金庫51との換算収納枚数との和が所定の収納閾値以上のときとは、一時貯留庫41が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0035】
制御部61は、一時貯留先決定処理の時点において、収納金庫52が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態になく、かつ、収納金庫52と対をなす一時貯留庫42の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値未満であり、かつ、一時貯留庫42の満杯検知センサが硬貨を検知していなく、かつ、一時貯留庫42の換算貯留枚数と収納金庫52の換算収納枚数との和が所定の収納閾値未満のとき、一時貯留庫42は硬貨を受け入れ可能と判断する。一時貯留庫42の硬貨の換算貯留枚数が0でないときは一時貯留庫42を搬送先として決定する。その一方で、制御部61は、収納金庫52が満杯判定状態にあるときと、一時貯留庫42の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値以上のときと、一時貯留庫42の満杯検知センサが硬貨を検知しているときと、一時貯留庫42の換算貯留枚数と収納金庫52との換算収納枚数との和が所定の収納閾値以上のときとは、一時貯留庫42が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0036】
制御部61は、一時貯留先決定処理の時点において、収納金庫53が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態になく、かつ、収納金庫53と対をなす一時貯留庫43の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値未満であり、かつ、一時貯留庫43の満杯検知センサが硬貨を検知していなく、かつ、一時貯留庫43の換算貯留枚数と収納金庫53の換算収納枚数との和が所定の収納閾値未満のとき、一時貯留庫43は硬貨を受け入れ可能と判断する。一時貯留庫43の硬貨の換算貯留枚数が0でないときは一時貯留庫43を搬送先として決定する。その一方で、制御部61は、収納金庫53が満杯判定状態にあるときと、一時貯留庫43の硬貨の換算貯留枚数が所定のフル枚数である一時貯留閾値以上のときと、一時貯留庫43の満杯検知センサが硬貨を検知しているときと、一時貯留庫43の換算貯留枚数と収納金庫53との換算収納枚数との和が所定の収納閾値以上のときとは、一時貯留庫43が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0037】
制御部61は、一時貯留庫41~43がいずれも空の状態にあれば、一時貯留庫41~43のうち、収納金庫51~53の中で満杯判定状態にないものと対をなすものを、硬貨を受け入れ可能と判断する。その一方で、制御部61は、一時貯留庫41~43のうち、収納金庫51~53の中で満杯判定状態にあるものと対をなすものを、硬貨を受け入れ不可と判断する。そして、制御部61は、一時貯留庫41~43のうちの硬貨を受け入れ可能と判断したものの中で、収納金庫51~53のうちの対をなすものの収納可能な残容量が最も多いものを搬送先すなわち一時貯留先として決定する。ここで、収納金庫51~53のいずれにおいても、残容量は、収納閾値であるフル枚数(7000枚)から換算収納枚数を減算した値である。なお、収納金庫51と収納金庫52との残容量が同じ場合と、収納金庫51と収納金庫53との残容量が同じ場合と、収納金庫52と収納金庫53との残容量が同じ場合と、収納金庫51と収納金庫52と収納金庫53との残容量が同じ場合とについては、収納金庫51の優先順位を1位、収納金庫52の優先順位を2位、収納金庫53の優先順位の3位とし、この優先順位の順番で一時貯留先を決定する。
【0038】
一時貯留庫41~43が全て空の状態にあり、収納金庫51~53の全てが満杯判定状態になければ、全ての一時貯留庫41~43が一時貯留先の候補となる。この状態で、例えば、一時貯留庫41と対をなす収納金庫51の残容量が、一時貯留庫42と対をなす収納金庫52の残容量よりも多く、かつ、一時貯留庫43と対をなす収納金庫53の残容量よりも多ければ、制御部61は、一時貯留庫41を一時貯留先決定として決定する。また、この状態で、収納金庫52の残容量が、収納金庫51の残容量よりも多く、かつ、収納金庫53の残容量よりも多ければ、制御部61は、一時貯留庫42を一時貯留先決定として決定する。また、この状態で、収納金庫53の残容量が、収納金庫51の残容量よりも多く、かつ、収納金庫52の残容量よりも多ければ、制御部61は、一時貯留庫43を一時貯留先決定として決定する。
【0039】
制御部61は、以上の一時貯留先決定処理を行うことにより、一時貯留庫41~43の中から硬貨の搬送先すなわち一時貯留先を決定する。ここでは、一時貯留庫41~43のうち、硬貨の一時貯留先として決定された一の一時貯留庫(例えば一時貯留庫41)を、第1の一時貯留庫と称し、第1の一時貯留庫と対をなす、収納金庫51~53のうちの一の収納金庫(例えば収納金庫51)を、第1の収納金庫と称して説明する。
【0040】
硬貨の一時貯留先を第1の一時貯留庫に決定すると、制御部61は、入金部12の供給部14および繰出部15を駆動して、繰出部15から硬貨を一枚ずつ所定の間隔をあけて計数搬送部21に繰り出させることになり、繰り出された硬貨を、計数搬送部21で搬送させる。この搬送中に識別計数部22が硬貨を識別および計数することになり、制御部61は、識別計数部22で金種識別が可能であって受け入れ可能と識別された識別正常硬貨を、計数搬送部21から引き続き振分搬送部31で搬送させ、振分搬送部31で、基本状態にある一時貯留部32の第1の一時貯留庫に一時貯留させる。言い換えれば、制御部61は、振分搬送部31によって、換算収納枚数が収納閾値未満の第1の収納金庫と対をなす第1の一時貯留庫へ硬貨を受け入れさせる。さらに言い換えれば、制御部61は、第1の収納金庫の換算収納枚数が収納閾値未満のとき、第1の収納金庫と対をなす第1の一時貯留庫へ硬貨を受け入れさせる。
【0041】
他方、制御部61は、入金部12から繰り出された硬貨のうち、識別計数部22で識別異常で受け入れ不可と識別した識別異常硬貨、すなわち金種識別できない金種識別不良の硬貨等をリジェクト硬貨として、計数搬送部21からリジェクト部23でリジェクト箱24に収納させる。
【0042】
制御部61は、以上の入金処理を、基本的には、入金部12の硬貨がなくなり、入金部12から繰り出されたすべての硬貨が、一時貯留部32およびリジェクト箱24の何れかに搬送されるまで行う。
【0043】
ここで、入金処理中に、第1の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数が増えることになるが、制御部61は、第1の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数と、この第1の一時貯留庫と対をなす、第1の収納金庫の硬貨の換算収納枚数とから、硬貨を第1の一時貯留庫に受け入れ可能な状態か否か判断する第1の受入判断および第2の受入判断を常に行っている。
【0044】
すなわち、制御部61は、第1の受入判断として、第1の一時貯留庫について、硬貨の換算貯留枚数が、所定のフル枚数である一時貯留閾値に達するか、あるいは、図示略の満杯検知センサが第1の一時貯留庫が満杯になったことを検知するか、のうちのいずれか一方の状態になると、第1の一時貯留庫が、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断する。言い換えれば、制御部61は、第1の一時貯留庫について、換算貯留枚数が、所定のフル枚数である一時貯留閾値未満であり、かつ、図示略の満杯検知センサが硬貨を検知しなければ、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断しない。
【0045】
ここで、制御部61は、リジェクト箱24についても、返却枚数が、所定のフル枚数に達するか、あるいは、図示略の満杯検知センサが硬貨が満杯になったことを検知するか、のうちのいずれか一方の状態になると、リジェクト箱24が、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断する。言い換えれば、制御部61は、リジェクト箱24について、返却枚数が、所定のフル枚数未満であり、かつ、図示略の満杯検知センサが硬貨を検知していなければ、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断しない。
【0046】
制御部61は、第2の受入判断として、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と、これと対をなす第1の収納金庫の換算収納枚数との和が、所定の収納閾値(7000枚)未満の状態のとき、第1の一時貯留庫へ硬貨を受け入れ可能な状態にあると判断し、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との和が所定の収納閾値(7000枚)以上になると、第1の一時貯留庫へ硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断する。
【0047】
よって、制御部61は、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数が一時貯留閾値(700枚)未満(第1の受入判断)で、かつ、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との和が収納閾値(7000枚)未満(第2の受入判断)の状態のとき、第1の一時貯留庫へ硬貨を受け入れさせる。
【0048】
制御部61は、入金処理中に、上記した第1の受入判断および第2の受入判断のうちの、いずれか一つの判断によって、硬貨を第1の一時貯留庫に受け入れ不可な状態になったと判断すると、処理を停止する。そして、制御部61は、操作表示部62への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。
【0049】
以上が入金処理の第1の制御が選択設定されている場合である。以上の入金処理の第1の制御の主な流れは、
図3に示すようになる。すなわち、対をなす一時貯留部および収納金庫の複数の組み合わせの中に、その収納金庫が満杯判定状態にない組み合わせがあるか否かを検索し、その収納金庫が満杯判定状態にない組み合わせがあれば、これらの一時貯留庫および収納金庫の組み合わせの中から搬送先を決定する(ステップSA1)。
【0050】
ステップSA1の後、入金部12の硬貨を一枚取り込む(ステップSA2)。入金部12から取り込む硬貨がなければ(ステップSA3:YES)、計数を停止する(ステップSA4)。計数を停止すると(ステップSA5:YES)、入金処理を終了する。ステップSA3の判断において、入金部12から取り込んだ硬貨があれば(ステップSA3:NO)、搬送先の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数が一時貯留閾値であるフル枚数(700枚)になるか(第1の受入判断)、または、搬送先の一時貯留庫の満杯検知センサがフル状態を検出した場合(ステップSA6:YES)、搬送先の一時貯留庫がフル状態になったと判定する(ステップSA7)。ステップSA7で搬送先の一時貯留庫がフル状態になったと判定すると(ステップSA5:YES)、入金処理を終了する。ステップSA6の判断において、搬送先の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数が一時貯留閾値であるフル枚数(700枚)になく、かつ、搬送先の一時貯留庫の満杯検知センサがフル状態を検出しなければ(ステップSA6:NO)、搬送先の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数と搬送先の収納金庫の硬貨の換算収納枚数とを加算した和が、収納閾値(7000枚)以上になったか否かを判定する(ステップSA8)。搬送先の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数と搬送先の収納金庫の硬貨の換算収納枚数とを加算した和が、収納閾値(7000枚)以上になると(ステップSA8(第2の受入判断):YES)、搬送先の一時貯留庫がフル状態で受け入れ不可になったと判定する(ステップSA9)。ステップSA9で搬送先の一時貯留庫がフル状態になったと判定すると(ステップSA5:YES)、入金処理を終了する。ステップSA8の判断において、搬送先の一時貯留庫の硬貨の換算貯留枚数と搬送先の収納金庫の硬貨の換算収納枚数とを加算した和が、収納閾値(7000枚)以上にならなければ(ステップSA8:NO)、搬送先の一時貯留庫がフル状態になったと判定せず(ステップSA5:NO)、ステップSA2に戻って入金処理を継続する。
【0051】
制御部61は、以上の入金処理の第1の制御によって、入金部12の硬貨がなくなったとき、または、搬送先の一時貯留庫がフル状態になったときは、入金部12から繰り出されたすべての硬貨が、一時貯留部32およびリジェクト箱24の何れかに搬送されると、識別計数部22が受け入れ可能と判定して一時貯留部32に一時貯留させた硬貨の金種別の実貯留枚数および総額等を操作表示部62に表示させると共に、リジェクト箱24への機体11によるロックを解除してリジェクト箱24を機体11から取り外し可能とする。そして、制御部61は、操作表示部62への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。なお、リジェクト箱24への機体11によるロックが解除されると、操作者は、リジェクト箱24を機体11から引き出して、リジェクト箱24から硬貨を取り出し、リジェクト箱24を機体11に押し込む。すると、リジェクト箱24が機体11にロックされることになる。
【0052】
{入金処理の第2の制御}
以上に対し、入金処理の第2の制御が選択設定されている場合、第1の制御と同様に入金処理を行い、入金処理中に、上記した第1の受入判断および第2の受入判断のうちの、いずれか一つの判断によって、硬貨を第1の一時貯留庫に受け入れ不可な状態になったと判断すると、制御部61は、以下の第2の制御を行う。
【0053】
すなわち、入金処理中に、上記した第1の受入判断および第2の受入判断のうちの、いずれか一つの判断によって、硬貨を第1の一時貯留庫に受け入れ不可な状態になったと判断すると、第2の制御では、上記と同様の一時貯留先決定処理を行って、一時貯留庫41~43の中から硬貨の次の一時貯留先を決定する。すなわち、制御部61は、収納金庫51~53のうち一時貯留先決定処理によって硬貨を受け入れ可能と判断したものの中から、収納可能な残容量が第1の収納金庫の次に多いものを一時貯留先として決定する。ここでは、一時貯留庫41~43のうち、硬貨の次の一時貯留先として決定された一の一時貯留庫(例えば一時貯留庫42)を、第2の一時貯留庫と称し、第2の一時貯留庫と対をなす、収納金庫51~53のうちの一の収納金庫(例えば収納金庫52)を、第2の収納金庫と称して説明する。
【0054】
硬貨の次の一時貯留先を第2の一時貯留庫に決定すると、制御部61は、入金処理を上記と同様に続け、識別計数部22で金種識別が可能であって受け入れ可能と識別された識別正常硬貨を、計数搬送部21および振分搬送部31で、基本状態にある一時貯留部32の第2の一時貯留庫に一時貯留させる。制御部61は、入金処理中に、上記した第1の受入判断および第2の受入判断のうちの、いずれか一つの判断によって、硬貨を第2の一時貯留庫に受け入れ不可な状態になったと判断すると、上記と同様の一時貯留先決定処理を行って、一時貯留庫41~43の中から硬貨のさらに次の一時貯留先を決定する。すなわち、制御部61は、収納金庫51~53のうち一時貯留先決定処理によって硬貨を受け入れ可能と判断したものの中から、収納可能な残容量が第2の収納金庫の次に多いものを一時貯留先として決定する。ここでは、一時貯留庫41~43のうち、硬貨のさらに次の一時貯留先として決定された一の一時貯留庫(例えば一時貯留庫43)を、第3の一時貯留庫と称し、第3の一時貯留庫と対をなす、収納金庫51~53のうちの一の収納金庫(例えば収納金庫53)を、第3の収納金庫と称して説明する。
【0055】
硬貨のさらに次の一時貯留先を第3の一時貯留庫に決定すると、制御部61は、入金処理を上記と同様に続け、識別計数部22で受け入れ可能と識別された識別正常硬貨を、計数搬送部21から振分搬送部31で、第3の一時貯留庫に一時貯留させる。
【0056】
よって、制御部61は、収納金庫51~53のうち、満杯判定状態にない収納金庫が複数ある場合には、これら収納金庫のそれぞれの換算収納枚数と収納閾値とに応じて、振分搬送部31によって、これら収納金庫のうち、換算収納枚数が収納閾値未満の一の収納金庫に硬貨を収納させるように、当該一の収納金庫と対をなす一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させ、当該一の一時貯留庫が受け入れ不可になると、これら収納金庫のうち、換算収納枚数が収納閾値未満の次の収納金庫と対をなす残りの一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させるようにして、複数の一時貯留庫41~43を一つずつ受け入れ不可にしていく。
【0057】
また、制御部61は、収納金庫51~53のうち、満杯判定状態にない収納金庫が複数ある場合には、収納金庫のそれぞれの収納可能な残容量に応じて、最も残容量が多いものから順に硬貨を収納させるように、振分搬送部31によって、一時貯留庫41~43のうち、最も残容量が多い一の収納金庫と対をなす一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させる。
【0058】
制御部61は、以上の入金処理の第2の制御によって、入金部12の硬貨がなくなったとき、または、一時貯留先となり得る複数の一時貯留庫がフル状態になったときは、入金部12から繰り出されたすべての硬貨が、一時貯留部32およびリジェクト箱24の何れかに搬送されると、識別計数部22が受け入れ可能と判定して一時貯留部32に一時貯留させた硬貨の金種別の実貯留枚数および総額等を操作表示部62に表示させると共に、リジェクト箱24への機体11によるロックを解除してリジェクト箱24を機体11から取り外し可能とする。そして、制御部61は、操作表示部62への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。なお、リジェクト箱24への機体11によるロックが解除されると、操作者は、リジェクト箱24を機体11から引き出して、リジェクト箱24から硬貨を取り出し、リジェクト箱24を機体11に押し込む。すると、リジェクト箱24が機体11にロックされることになる。
【0059】
[収納処理]
{収納処理の第1の制御}
入金処理の第1の制御を行った後、操作表示部62への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部61は、収納処理の第1の制御を行う。収納処理の第1の制御では、制御部61は、まず、入金を確定して、収納される金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。
【0060】
それと共に、制御部61は、入金処理の第1の制御にて一時貯留部32に一時貯留させた硬貨を、硬貨収納部34に収納させる。すなわち、制御部61は、胴部36が機体11内右側の第1位置に位置し、かつ、底部37が機体11内右側の第1位置に位置する基本状態の一時貯留部32を、この基本状態から、胴部36を機体11内左側の第2位置に位置させる。すると、第1の一時貯留庫にある硬貨が、第1の収納金庫に収納される。
【0061】
それと共に、制御部61は、上記入金確定時において、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数を第1の収納金庫の硬貨の換算収納枚数に加えた第1の収納金庫の収納後在高である金庫在高を算出する。
【0062】
それと共に、制御部61は、第1の収納金庫の金庫在高が収納閾値(7000枚)未満で、かつ、制御閾値(6500枚)以上の状態のとき、第1の収納金庫の受入閾値を、収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500枚)に変更すると共に、第1の収納金庫が満杯判定状態になったと判定する。他方、制御部61は、第1の収納金庫の金庫在高が制御閾値(6500枚)未満の状態のとき、第1の収納金庫の受入閾値を、収納閾値(7000枚)のままとし、第1の収納金庫が満杯判定状態になったと判定しない。
【0063】
なお、制御部61は、収納処理の第1の制御を行うことによって、第1の収納金庫の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、第1の収納金庫の図示略の満杯検知センサが、満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、第1の収納金庫が、満杯判定状態となったと判定する。
【0064】
収納処理の第1の制御において、第1の収納金庫の受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更されて、満杯判定状態と判定された場合は、以降の入金処理において、対をなす第1の一時貯留庫が一時貯留先として選択されることはなくなる。言い換えれば、満杯判定状態と判定されたものは、以降の入金処理において、対をなす一時貯留庫への硬貨の受け入れを不可となる。制御部61は、収納金庫51~53の全てが満杯判定状態となったと判定すると、その旨を、操作表示部62に表示させて、金庫回収を促す。
【0065】
以上の収納処理の第1の制御の主な流れは、
図4に示すようになる。すなわち、搬送先の第1の一時貯留庫の硬貨を搬送先の第1の収納金庫に収納し(ステップSB1)、搬送先の第1の収納金庫の硬貨の換算収納枚数に、対をなす第1の一時貯留庫の換算貯留枚数を加算して第1の収納金庫の金庫在高とする(ステップSB2)。第1の収納金庫の金庫在高が、第1の収納金庫の収納閾値(7000枚)以上であれば(ステップSB3:YES)、第1の収納金庫が満杯判定状態にあると判定して(ステップSB4)、収納処理を終了する。第1の収納金庫の金庫在高が、収納閾値(7000枚)以上でなければ(ステップSB3:NO)、この金庫在高が、第1の収納金庫の制御閾値(6500枚)以上であるか否かを判定する(ステップSB5)。ステップSB5において、この金庫在高が、第1の収納金庫の制御閾値(6500枚)以上であれば(ステップSB5:YES)、第1の収納金庫の受入閾値をこの制御閾値(6500枚)に変更して(ステップSB6)、第1の収納金庫が満杯判定状態にあると判定し(ステップSB4)、収納処理を終了する。ステップSB5において、第1の収納金庫の金庫在高が、第1の収納金庫の制御閾値(6500枚)以上でなければ(ステップSB5:NO)、第1の収納金庫の受入閾値を変更せずに収納処理を終了する。
【0066】
{収納処理の第2の制御}
入金処理の第2の制御を行った後、操作表示部62への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部61は、収納処理の第2の制御を行う。収納処理の第2の制御でも、制御部61は、まず、入金を確定して、収納される金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。
【0067】
それと共に、制御部61は、入金処理の第2の制御にて一時貯留部32に一時貯留させた硬貨を、硬貨収納部34に収納させる。すなわち、制御部61は、胴部36が機体11内右側の第1位置に位置し、かつ、底部37が機体11内右側の第1位置に位置する基本状態の一時貯留部32を、この基本状態から、胴部36を機体11内左側の第2位置に位置させる。すると、一時貯留庫41にある硬貨が収納金庫51に収納され、一時貯留庫42にある硬貨が収納金庫52に収納され、一時貯留庫43にある硬貨が収納金庫53に収納される。
【0068】
それと共に、制御部61は、上記入金確定時において、一時貯留庫41に硬貨があれば、その換算貯留枚数を収納金庫51の硬貨の換算収納枚数に加えた収納金庫51の収納後在高である金庫在高を算出し、上記入金確定時において、一時貯留庫42に硬貨があれば、その換算貯留枚数を収納金庫52の硬貨の換算収納枚数に加えた収納金庫52の収納後在高である金庫在高を算出し、上記入金確定時において、一時貯留庫43に硬貨があれば、その換算貯留枚数を収納金庫53の硬貨の換算収納枚数に加えた収納金庫53の収納後在高である金庫在高を算出する。
【0069】
それと共に、制御部61は、収納金庫51の金庫在高が収納閾値(7000枚)未満で、かつ、制御閾値(6500枚)以上の状態のとき、収納金庫51の受入閾値を、収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500枚)に変更すると共に、収納金庫51が満杯判定状態になったと判定する。他方、制御部61は、収納金庫51の金庫在高が制御閾値(6500枚)未満の状態のとき、収納金庫51の受入閾値を、収納閾値(7000枚)のままとし、収納金庫51が満杯判定状態になったと判定しない。また、制御部61は、収納金庫52の金庫在高が収納閾値(7000枚)未満で、かつ、制御閾値(6500枚)以上の状態のとき、収納金庫52の受入閾値を、収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500枚)に変更すると共に、収納金庫52が満杯判定状態になったとする。他方、制御部61は、収納金庫52の金庫在高が制御閾値(6500枚)未満の状態のとき、収納金庫52の受入閾値を、収納閾値(7000枚)のままとし、収納金庫52が満杯判定状態になったと判定しない。また、制御部61は、収納金庫53の金庫在高が収納閾値(7000枚)未満で、かつ、制御閾値(6500枚)以上の状態のとき、収納金庫53の受入閾値を、収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500枚)に変更すると共に、収納金庫53が満杯判定状態になったと判定する。他方、制御部61は、収納金庫53の金庫在高が制御閾値(6500枚)未満の状態のとき、収納金庫53の受入閾値を、収納閾値(7000枚)のままとし、収納金庫53が満杯判定状態になったと判定しない。
【0070】
なお、制御部61は、収納処理の第2の制御を行うことによって、収納金庫51の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫51の図示略の満杯検知センサが、満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫51が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理の第2の制御を行うことによって、収納金庫52の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫52の図示略の満杯検知センサが満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫52が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理の第2の制御を行うことによって、収納金庫53の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫53の図示略の満杯検知センサが満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫53が、満杯判定状態となったと判定する。
【0071】
収納処理の第2の制御において、収納金庫51~53のうち、受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更されて、満杯判定状態と判定されたものについては、以降の入金処理において、対をなす一時貯留庫が一時貯留先として選択されることはなくなる。言い換えれば、満杯判定状態と判定されたものは、以降の入金処理において、対をなす一時貯留庫への硬貨の受け入れを不可となる。制御部61は、収納金庫51~53の全てが満杯判定状態となったと判定すると、その旨を、操作表示部62に表示させて、金庫回収を促す。
【0072】
以上の収納処理の第2の制御の主な流れは、一時貯留部32に一時貯留させた硬貨を、硬貨収納部34に収納させると共に、
図4のステップSB2~SB6に示すような流れを、収納金庫51~53のうちの搬送先とされたもの全てについて行う。
【0073】
入金処理の第1の制御および収納処理の第1の制御では、一時貯留庫41~43の中から硬貨の搬送先として決定した「第1の一時貯留庫」がフル状態になると、一旦入金を確定して収納処理を行い、この「第1の一時貯留庫」と対をなす「第1の収納金庫」へ硬貨を収納する。この「第1の収納金庫」が満杯状態になるまで、入金処理および収納処理を繰り返す。この「第1の収納金庫」が満杯状態になると、一時貯留庫41~43の中から硬貨の搬送先として決定した次の一時貯留庫を「次の第1の一時貯留庫」として硬貨を搬送し、この「次の第1の一時貯留庫」がフルになると、一旦入金を確定して収納処理を行い、この「次の第1の一時貯留庫」と対をなす「次の第1の収納金庫」へ硬貨を収納する。この「次の第1の収納金庫」が満杯状態になるまで、入金処理および収納処理を繰り返す。この「次の第1の収納金庫」が満杯状態になると、一時貯留庫41~43の中から硬貨の搬送先として決定した次の一時貯留庫を「さらに次の第1の一時貯留庫」として硬貨を搬送し、この「さらに次の一時貯留庫」がフルになると、一旦入金を確定して収納処理を行い、この「さらに次の第1の一時貯留庫」と対をなす「さらに次の第1の収納金庫」へ硬貨を収納する。この「さらに次の第1の収納金庫」が満杯状態になるまで、入金処理および収納処理を繰り返す。
【0074】
入金処理の第2の制御および収納処理の第2の制御では、一時貯留庫41~43の中から硬貨の搬送先として決定した第1の一時貯留庫がフル状態になると、次の第2の一時貯留庫にフル状態になるまで硬貨を貯留させ、この第2の一時貯留庫がフル状態になると、さらに次の第3の一時貯留庫にフル状態になるまで硬貨を貯留させる、という処理を適宜繰り返して、入金部12が空になる、あるいは、一時貯留庫41~43の全てがフル状態になるまで入金処理を行う。そして、その後、入金を確定し収納処理を行って、一時貯留庫41~43に貯留された硬貨をまとめて同時に、一時貯留庫41の硬貨を収納金庫51に、一時貯留庫42の硬貨を収納金庫52に、一時貯留庫43の硬貨を収納金庫53に、それぞれ収納させる。
【0075】
[返却処理]
入金処理の第1の制御および入金処理の第2の制御のいずれを行った場合も、操作表示部62へ入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時には、制御部61は、入金を確定せず、入金処理にて一時貯留部32に一時貯留した硬貨をすべて、返却箱33に受け渡す返却処理を行う。すなわち、制御部61は、胴部36が機体11内右側の第1位置に位置し、かつ、底部37が機体11内右側の第1位置に位置する基本状態の一時貯留部32を、この基本状態から、胴部36はそのままで底部37を機体11内左側の第2位置に位置させる。すると、一時貯留庫41にある硬貨が返却箱33に収納される。すなわち、 入金処理の第1の制御後であれば、一時貯留庫41~43のうちの第1の一時貯留庫の硬貨が返却箱33に返却される。また、入金処理の第2の制御後であれば、一時貯留庫41に硬貨があれば一時貯留庫41の硬貨が、一時貯留庫42に硬貨があれば一時貯留庫42の硬貨が、一時貯留庫43に硬貨があれば一時貯留庫43の硬貨が、返却箱33に返却される。返却処理の最後に、制御部61は、返却箱33への機体11によるロックを解除して返却箱33を機体11から取り外し可能とする。これにより、操作者が、返却箱33を機体11から引き出して返却箱33の硬貨を取り出した後、返却箱33を機体11に押し込む。すると、返却箱33は機体11にロックされた状態になる。
【0076】
ここで、制御部61は、第1の制御での入金処理中の上記した第1の受入判断および第2の受入判断によって、一時貯留庫41~43のうちの第1の一時貯留庫に受け入れ不可な状態になったと判断して入金処理を一旦中断したり、入金処理の第2の制御での上記した第1の受入判断および第2の受入判断によって、一時貯留庫41~43の全てで硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断して入金処理を一旦中断すると、設定に応じて、下記の処理を行う。設定としては、収納後継続設定と、収納後返却設定とがある。
【0077】
{入金処理の第1の制御において、収納後継続設定に設定されている場合}
この場合、制御部61は、一時貯留庫41~43のうちの第1の一時貯留庫と、収納金庫51~53のうちの、第1の一時貯留庫と対をなす第1の収納金庫との、換算貯留枚数と換算収納枚数との加算値が、制御閾値(6500枚)未満であるか否かを判定する。第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との加算値が制御閾値(6500枚)未満であれば、第1の一時貯留部の硬貨を第1の収納金庫に一旦収納して入金処理を継続するか否かの入力を促す表示を操作表示部62に表示させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、
図5に示す第1の案内表示画面101を表示させる。第1の案内表示画面101では、入金処理を複数回にわけて行う旨を含む説明表示102と、今回の中断前に計数した金額を示す金額表示103と、「確認」ボタン104と、「取消」ボタン105とを表示させる。説明表示102は、「確認」ボタン104の説明および「取消」ボタン105の説明と、「確認」ボタン104および「取消」ボタン105の選択入力を促す旨とを含んでいる。
【0078】
第1の案内表示画面101で「確認」ボタン104が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行って、第1の一時貯留庫の硬貨を第1の収納金庫に収納させる。この収納処理後に、制御部61は、操作表示部62に、再度の確認を促す表示を行わせて再度の確認操作を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、
図6に示す第2の案内表示画面111を表示させる。第2の案内表示画面111では、入金部12にある残りの硬貨の計数を行う旨の説明表示112と、「確認」ボタン113とを表示させる。第2の案内表示画面111で「確認」ボタン113が選択操作されると、制御部61は、第1の一時貯留庫に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して、それまでの金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、入金処理を再開させる。なお、第1の案内表示画面101の確認104が選択操作された時点で第2の案内表示画面111を表示させる事無く入金処理を再開させても良い。
【0079】
第1の案内表示画面101で「取消」ボタン105が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、第1の一時貯留庫の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0080】
入金処理の第1の制御において、収納後継続設定に設定されていて、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との加算値が制御閾値未満でなければ、制御部61は、第1の一時貯留庫の硬貨を第1の硬貨金庫に収納して入金処理を終了するか否かを操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、
図7に示す第3の案内表示画面121を表示させる。第3の案内表示画面121では、入金処理の継続が不可である旨を含む説明表示122と、中断前に計数した金額の金額表示123と、「確認」ボタン124と、「取消」ボタン125とを表示させる。説明表示122は、「確認」ボタン124の説明および「取消」ボタン125の説明と、「確認」ボタン124および「取消」ボタン125の選択入力を促す旨とを含んでいる。
【0081】
第3の案内表示画面121で「確認」ボタン124が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行う。収納処理後に、操作表示部62に、再度の確認を促す表示を行わせて再度の確認操作を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、
図8に示す第4の案内表示画面131を表示させる。第4の案内表示画面131では、残りの硬貨を入金できず返却する旨を含む説明表示132と、「確認」ボタン133とを表示させる。第4の案内表示画面131で「確認」ボタン133が選択操作されると、制御部61は、第1の一時貯留庫に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、入金部12に残っていた硬貨について、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0082】
第3の案内表示画面121で「取消」ボタン125が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、一時貯留部32の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0083】
{入金処理の第1の制御において、収納後返却設定に設定されている場合}
この場合、制御部61は、第1の一時貯留庫の換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との加算値が制御閾値(6500枚)未満であるか否かを判定せずに、入金処理の終了方法の選択を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、
図9に示す第5の案内表示画面141を表示させる。第5の案内表示画面141では、入金処理の継続が困難であって残りの硬貨を返却する旨を含む説明表示142と、中断前に計数した金額の金額表示143と、「確認」ボタン144と、「取消」ボタン145とを表示させる。説明表示142は、「確認」ボタン144および「取消」ボタン145の説明と、「確認」ボタン144あるいは「取消」ボタン145の選択入力を促す旨とを表示させる。
【0084】
第5の案内表示画面141で「確認」ボタン144が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行って、第1の一時貯留庫の硬貨を第1の収納金庫に収納させると共に、第1の一時貯留庫に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、入金部12に残っていた硬貨について、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0085】
第5の案内表示画面で「取消」ボタン145が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、第1の一時貯留庫の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に収納させる。
【0086】
{入金処理の第2の制御において、収納後継続設定に設定されている場合}
この場合、制御部61は、一時貯留庫41~43および収納金庫51~53の対をなすもの同士の換算貯留枚数と換算収納枚数との加算値のうちの少なくともいずれか一つが制御閾値(6500枚)未満であるか否かを判定する。一時貯留庫41~43および収納金庫51~53の対をなすもの同士の組み合わせの中に、換算貯留枚数と換算収納枚数との加算値が制御閾値(6500枚)未満の組み合わせがあれば、制御部61は、一時貯留部32の硬貨を硬貨収納部34に一旦収納して入金処理を継続するか否かの入力を促す表示を操作表示部62に表示させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、上記と同様の
図5に示す第1の案内表示画面101を表示させる。
【0087】
第1の案内表示画面101で「確認」ボタン104が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行って、一時貯留部32の硬貨を硬貨収納部34に収納させる。この収納処理後に、制御部61は、操作表示部62に、再度の確認を促す表示を行わせて再度の確認操作を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、上記と同様の
図6に示す第2の案内表示画面111を表示させる。第2の案内表示画面111で「確認」ボタン113が選択操作されると、制御部61は、一時貯留部32に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して、それまでの金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、上記した一時貯留先決定処理を行って、一時貯留庫41~43の中から一時貯留先を決定して、入金処理を再開させる。なお、第1の案内表示画面101の確認104が選択操作された時点で第2の案内表示画面111を表示させる事無く入金処理を再開させても良い。
【0088】
第1の案内表示画面101で「取消」ボタン105が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、一時貯留部32の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0089】
入金処理の第2の制御において、収納後継続設定に設定されていて、一時貯留庫41~43および収納金庫51~53の対をなすもの同士の換算貯留枚数と換算収納枚数との加算値のいずれも制御閾値未満でなければ、制御部61は、一時貯留部32の硬貨を硬貨収納部34に収納して入金処理を終了するか否かを操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、上記と同様の
図7に示す第3の案内表示画面121を表示させる。
【0090】
第3の案内表示画面121で「確認」ボタン124が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行って、一時貯留部32の硬貨を硬貨収納部34に収納させる。収納処理後に、操作表示部62に、再度の確認を促す表示を行わせて再度の確認操作を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、上記と同様の
図8に示す第4の案内表示画面131を表示させる。第4の案内表示画面131で「確認」ボタン133が選択操作されると、制御部61は、一時貯留部32に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、入金部12に残っていた硬貨について、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0091】
第3の案内表示画面121で「取消」ボタン125が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、一時貯留部32の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0092】
{入金処理の第2の制御において、収納後返却設定に設定されている場合}
この場合、制御部61は、一時貯留庫41~43および収納金庫51~53の対をなすもの同士の換算貯留枚数と換算収納枚数との加算値のうちの少なくともいずれか一つが制御閾値(6500枚)未満であるか否かを判定せずに、入金処理の終了方法の選択を操作表示部62に入力させる。すなわち、制御部61は、操作表示部62に、上記と同様の
図9に示す第5の案内表示画面141を表示させる。
【0093】
第5の案内表示画面141で「確認」ボタン144が選択操作されると、制御部61は、上記した収納処理を行って、一時貯留部32の硬貨を硬貨収納部34に収納させると共に、一時貯留部32に一時貯留されていた硬貨の入金を確定して金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、制御部61は、入金部12に残っていた硬貨について、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、返却処理を行って、返却箱33に返却させる。
【0094】
第5の案内表示画面で「取消」ボタン145が選択操作されると、制御部61は、上記した返却処理を行って、一時貯留部32の硬貨を返却箱33に返却させた後、入金部12に残っていた硬貨についても、計数搬送部21および振分搬送部31を介して一時貯留庫41~43に貯留させた後、上記した返却処理を行って、返却箱33に収納させる。
【0095】
[金庫回収処理]
操作表示部62に表示されたメインメニュー画面において、金庫回収処理の選択操作が入力されると、制御部61は、機体11内の図示略の駆動機構で収納金庫51~53のそれぞれに設けられた図示略の上部シャッタを閉じた後、収納台車50への機体11によるロックを解除する。すると、操作者が、収納金庫51~53が載置された状態の収納台車50を、機体11から引き出す。そして、操作者が、収納金庫51~53を収納台車50から取り外す。その後、操作者は、空の状態であって図示略の上部シャッタが開かれた状態の収納金庫51~53を収納台車50にセットして、収納台車50を機体11に押し込む。すると、収納台車50が機体11にロックされた状態になる。金庫回収処理の終了にあたって、制御部61は、収納金庫51~53のそれぞれの換算収納枚数を0にリセットすると共に、収納金庫51~53のそれぞれの受入閾値を収納閾値(7000枚)とする。
【0096】
ここで、収納金庫51~53のそれぞれのフル枚数である「金庫枚数」(収納閾値)と、一時貯留庫41~43のそれぞれのフル枚数である「一時庫」枚数(一時貯留閾値)と、「ユーザー金庫フル設定」の使用・不使用と、各硬貨毎の換算枚数設定と、を操作者が設定可能となっている。その場合、制御部61は、操作表示部62への操作入力に基づいて、操作表示部62に
図10に示す設定画面151を表示させる。
なお、設定画面151に、制御閾値を使用するか否かを選択する「アプリ金種フル設定」の使用・不使用と制御閾値の設定枚数である「アプリ金種フル設定枚数」(制御閾値)項目を表示しても良い。本設定画面151は全ての項目の設定権限を有するユーザーや保守員に対する設定画面としても良い。
【0097】
硬貨入金機10では、収納金庫51~53のそれぞれのフル枚数が、共通で設定されるようになっている。このため、この設定画面151では、「金庫枚数(1~7000)」と表示された金庫枚数設定欄152に、収納金庫51~53のそれぞれの共通のフル枚数が、設定可能な1~7,000枚の中から入力される。設定画面151では、金庫枚数設定欄152に、「7000」枚が入力された状態を示している。なお、収納金庫51~53の大きさが異なる場合、収納金庫51~53のそれぞれのフル枚数を個別に設定可能としても良い。
【0098】
硬貨入金機10では、一時貯留庫41~43のそれぞれのフル枚数が、共通で設定されるようになっている。このため、この設定画面151では、「一時庫(1~700)」と表示された一時庫枚数設定欄153に、一時貯留庫41~43のそれぞれの共通のフル枚数が、設定可能な1~700枚の中から入力される。設定画面151では、一時庫枚数設定欄153に、「700」枚が入力された状態を示している。なお、一時貯留庫41~43の大きさが異なる場合、一時貯留庫41~43のそれぞれのフル枚数を個別に設定可能としても良い。
【0099】
また、この設定画面151では、「ユーザー金庫フル設定」と表示された選択設定欄154に「使用しない」および「使用する」の一方が選択入力される。設定画面151では、「使用する」が選択された状態を示している。
「使用する」が選択された場合、「金庫枚数」(収納閾値)の設定権限のみを有するユーザーへの設定画面(図示略)を表示する。
また、この設定画面151では受入閾値として制御閾値を使用する「アプリ金種フル設定」について図示略の選択設定欄に、「使用しない」および「使用する」の一方が選択入力される。本「アプリ金種フル設定」項目は接続した管理装置での設定を反映させ、設定画面151においては表示のみとしても良い。
また、この設定画面151では「アプリ金種フル設定枚数」(制御閾値)と表示された図示略のアプリ金種フル枚数設定欄にアプリ金種フル設定枚数を設定する。アプリ金種フル設定枚数は「金庫枚数」(収納閾値)よりも少ない枚数となる値となるように入力制限を設けても良い。なお、本「アプリ金種フル設定枚数」項目は接続した管理装置での設定を反映させ、設定画面151においては表示のみとしても良い。
なお、「アプリ金種フル設定」と「アプリ金種フル設定枚数」は固定で使用するとしてもよい。この場合はアプリ金種フル設定の2項目については非表示でもよい。
【0100】
また、この設定画面151では、換算枚数設定と表示され、各金種が表示された換算枚数設定欄155に換算枚数が入力される。この設定画面151では、「500円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.5」枚が入力され、「100円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.0」枚が入力され、「50円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.0」枚が入力され、「10円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.0」枚が入力され、「5円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.0」枚が入力され、「1円」と表示された換算枚数設定欄155に「1.0」枚が入力された状態を示している。
なお、表示される各金種は図示略の受入金種設定により設定された金種であっても良いし、選択可能であってもよい。選択できる金種は受入金種設定により設定された金種である。設定画面151の額面での金種表示例のほか、額面以外の年代などによる金種設定が行われても良い。同一額面であっても、サイズの異なる金種に対しても適切な換算枚数を設定することができる。
【0101】
そして、これらの入力が行われて、設定画面151の「設定完了」ボタン156が選択操作されると、制御部61は、金庫枚数設定欄152、一時庫枚数設定欄153、選択設定欄154および換算枚数設定欄155に入力された情報を記憶して、その後の制御で使用する。ここで、「アプリ金種フル設定」と表示された図示略の選択設定欄に「使用する」が選択入力された場合、以上に説明した制御閾値を使用した制御を行う設定となり、選択設定欄154に「使用しない」が選択入力された場合、制御閾値を使用せず、収納閾値のみを使用する設定となる。この場合、収納閾値は、フル枚数である7000枚を使用せず、余裕を見て、フル枚数未満の枚数、例えば6500枚が収納閾値として設定される。
【0102】
以上に述べたように、第1実施形態の硬貨入金機10は、対をなす一時貯留庫41および収納金庫51と、対をなす一時貯留庫42および収納金庫52と、対をなす一時貯留庫43および収納金庫53との複数組を備えると共に、硬貨を一時貯留庫41~43に選択的に振り分ける振分搬送部31を有している。硬貨入金機10は、制御部61が、一時貯留庫41~43のそれぞれの換算貯留枚数と収納金庫51~53のそれぞれの換算収納枚数とから硬貨を一時貯留庫41~43に受け入れ可能な状態か否かを判断する。その際に、制御部61は、一時貯留庫41~43のそれぞれのフル枚数である一時貯留閾値と、収納金庫51~53のそれぞれのフル枚数である収納閾値と、収納金庫51~53のそれぞれの、収納閾値よりも少ない制御閾値とを用いる。そして、制御部61は、一時貯留庫41~43のそれぞれについて、収納金庫51~53のうちの対をなすものが満杯判定状態になく、かつ、換算貯留枚数が一時貯留閾値未満で、かつ、換算貯留枚数と、収納金庫51~53のうちの対をなすものの換算収納枚数との和が収納閾値未満の状態のとき、硬貨を受け入れさせる。その後、一時貯留庫41~43のそれぞれから、収納金庫51~53のうちの対をなすものへ硬貨を収納させる。それと共に、制御部61は、収納金庫51~53のそれぞれについて、換算貯留枚数を換算収納枚数に加えた金庫在高を算出し、収納金庫51~53のそれぞれについて、金庫在高が、収納閾値未満で、かつ、制御閾値以上の状態のとき、受入閾値を、収納閾値から制御閾値として、満杯判定状態とする。収納金庫51~53のうち、満杯判定状態とされたものは、一時貯留庫41~43のうちの、対をなす一時貯留部への以降の入金処理での硬貨の受け入れが不可となる。
【0103】
これにより、硬貨入金機10は、収納閾値よりも少ない制御閾値を最初から上限値として設定する場合よりも、処理効率を向上させることができる。すなわち、収納閾値(7000枚)よりも少ない制御閾値(6500枚)を最初から上限値としている場合、入金処理において、対をなす一の一時貯留庫の換算貯留枚数と一の収納金庫の換算収納枚数との和が上限値(6500枚)となると、この一の一時貯留庫への硬貨の受け入れができなくなってしまうが、硬貨入金機10によれば、これら換算貯留枚数と換算収納枚数との和が受入閾値(6500枚)を超えても、収納閾値(7000枚)未満であれば、受け入れを継続することができるため、処理効率を向上させることができる。すなわち、一時貯留庫41~43から収納金庫51~53へ途中収納の発生が、収納閾値のベース値を受入閾値としているときよりも起こりにくくなる。また、入金処理中に途中収納を行わない設定にすることにより、一時貯留庫41~43に一時貯留している計数した全ての硬貨(現物)を返却することができる。また、一時貯留庫41~43がフル状態になりにくい。
【0104】
硬貨入金機10は、入金処理の第1の制御では、収納金庫51~53の中に満杯判定状態にない収納金庫が複数ある場合に、制御部61が、これら収納金庫のそれぞれの換算収納枚数と収納閾値とに応じて、振分搬送部31によって、これら収納金庫のうち、換算収納枚数が収納閾値未満の一の収納金庫に硬貨を収納させるように、当該一の収納金庫と対をなす一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させ、当該一の一時貯留庫が受け入れ不可になると、当該一の一時貯留庫から、当該一の一時貯留庫と対をなす収納金庫に硬貨を収納させる。これにより、返却箱は、一つの一時貯留部のフル枚数と同様にすれば良く、装置サイズをコンパクトにできる。
【0105】
硬貨入金機10は、入金処理の第2の制御では、収納金庫51~53の中に満杯判定状態にない収納金庫が複数ある場合に、制御部61が、これら収納金庫のそれぞれの換算収納枚数と収納閾値とに応じて、振分搬送部31によって、これら収納金庫のうち、換算収納枚数が収納閾値未満の一の収納金庫に硬貨を収納させるように、当該一の収納金庫と対をなす一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させ、当該一の一時貯留庫が受け入れ不可になると、これら収納金庫のうち、換算収納枚数が収納閾値未満の次の収納金庫と対をなす残りの一の一時貯留庫に硬貨を一時貯留させるようにして、複数の一時貯留庫を一つずつ受け入れ不可にしていく。制御部61は、その後、複数の一時貯留庫から複数の収納金庫に硬貨を収納させる。これにより、さらに処理効率を向上させることができる。
【0106】
硬貨入金機10は、収納金庫51~53の中に満杯判定状態にない収納金庫が複数ある場合に、制御部61が、これら収納金庫のそれぞれの収納可能な残容量に応じて、最も残容量が多いものから順に硬貨を収納させるように、振分搬送部31によって、最も残容量が多い一の収納金庫と対をなす一の一時貯庫に硬貨を一時貯留させる よって、これにより、さらに処理効率を向上させることができる。
【0107】
なお、硬貨入金機10は、複数の一時貯留庫ではなく一つのみ一時貯留庫が設けられ、同じく複数の収納金庫ではなく一つのみ収納金庫が設けられる構造であっても良い。例えば、一時貯留庫41~43のうちの一時貯留庫41のみと、収納金庫51~53のうちの収納金庫51のみとが設けられる場合である。このような構造の場合、制御部61は、一時貯留庫41の換算貯留枚数と収納金庫51の換算収納枚数とから、硬貨を一時貯留庫41に受け入れ可能な状態か否かを判断する。その際に、制御部61は、一時貯留庫41のフル枚数である一時貯留閾値と、収納金庫51のフル枚数である収納閾値と、収納金庫51の、収納閾値よりも少ない制御閾値とを用いる。そして、制御部61は、収納金庫51が満杯判定状態になく、かつ、一時貯留庫41の換算貯留枚数が一時貯留閾値未満で、かつ、換算貯留枚数と収納金庫51の換算収納枚数との和が収納閾値未満の状態のとき、一時貯留庫41に硬貨を受け入れさせる。その後、一時貯留庫41から、収納金庫51へ硬貨を収納させる。それと共に、制御部61は、収納金庫51について、換算貯留枚数を換算収納枚数に加えた金庫在高を算出し、金庫在高が、収納閾値未満で、かつ、制御閾値以上の状態のとき、受入閾値を、収納閾値から制御閾値とし、満杯判定状態とする。これにより、一時貯留庫41への以降の入金処理での硬貨の受け入れを不可が不可となる。
【0108】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態の硬貨入金機を主に
図11を参照して、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0109】
図11に示すように、第2実施形態の硬貨入金機10Aは、振分搬送部31にかえて搬送部31Aを有している。搬送部31Aは、識別計数部22で正常に金種が識別され受け入れ可能と識別された識別正常硬貨を計数搬送部21から受け入れて搬送する。
【0110】
硬貨入金機10Aは、一時貯留部32にかえて一時貯留部32A(一時貯留手段)を有している。一時貯留部32Aは、搬送部31Aで搬送されてきた硬貨を一時貯留させる。一時貯留部32Aも、識別計数部22の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された硬貨を一時貯留させる。一時貯留部32Aは、胴部36Aと、底部37Aとを有している。胴部36Aは、機体11Aの左右方向および前後方向に移動する。底部37Aは機体11の左右方向に移動する。
【0111】
胴部36Aは、上下に開口する筒状である。底部37Aは、胴部36Aの下部開口を開閉する。胴部36Aは、胴部36Aが機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内前後中間の前後第1位置に位置し、かつ、底部37Aが機体11A内左側の左右第1位置に位置する状態が基本状態である。搬送部31Aは、硬貨を、基本状態にある一時貯留庫43に搬送する。なお、本実施形態における機体11A内前後中間の前後第1位置は、前後方向においては収納金庫52上となる。
【0112】
一時貯留部32Aには、一時貯留した硬貨の上部高さが所定高さに達すると上部の硬貨で遮光されることになって、これにより一時貯留部32Aが満杯になったことを検知する図示略の満杯検知センサが設けられている。
【0113】
一時貯留部32Aは、基本状態から、底部37Aを機体11A内左側の左右第1位置に位置させた状態のまま、胴部36Aを機体11A内右側の左右第2位置かつ機体11A内前後中間の前後第1位置に移動させると、胴部36Aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留部32Aに一時貯留されていた硬貨が、落下して返却箱33に一括で収納される。
【0114】
一時貯留部32Aは、基本状態から、底部37Aを機体11A内左側の左右第1位置に位置させた状態のまま、胴部36Aを、機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内前側の前後第2位置に移動させると、胴部36Aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫51に上部開口を介して収納される。
【0115】
一時貯留部32Aは、基本状態から、胴部36Aを機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内前後中間の前後第1位置に位置させた状態のまま、底部37Aを機体11A内右側の左右第2位置に移動させると、胴部36Aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫52に上部開口を介して収納される。
【0116】
一時貯留部32Aは、基本状態から、底部37Aを機体11A内左側の左右第1位置に位置させた状態のまま、胴部36Aを機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内後側の前後第3位置まで移動させると、胴部36Aの下部開口が開かれる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫53に上部開口を介して収納される。
【0117】
よって、硬貨入金機10Aは、複数の収納金庫51~53を備えると共に、一つの一時貯留部32Aが複数の複数の収納金庫51~53に選択的に硬貨を収納可能となっている。
【0118】
次に、第2実施形態の硬貨入金機10Aの主な処理について説明する。なお、事前に、操作表示部62への入力操作に基づいて、制御部61は、一時貯留部32Aについてのフル枚数である一時貯留閾値と、収納金庫51~53のそれぞれについてのフル枚数である収納閾値と、収納金庫51~53のそれぞれについての制御閾値とが操作表示部62への設定操作で設定されている。収納金庫51~53のそれぞれの受入閾値も、収納閾値と制御閾値とのうちの一方が設定される。収納金庫51~53のそれぞれの受入閾値も、空の状態とされたときに設定される初期値が収納閾値となっている。第2実施形態においても、収納金庫51~53のそれぞれについて、一時貯留閾値が700枚に設定され、収納閾値が7000枚に設定され、制御閾値が6500枚に設定されている場合について説明する。
【0119】
[入金処理]
入金処理は、機外から入金部12のホッパ13に投入された硬貨を搬送しつつ識別および計数して一時貯留させる処理である。操作表示部62に表示されたメインメニュー画面において入金処理の選択操作がなされると、制御部61は、入金処理を開始することになり、まず、入金部12のシャッタ16を開く。そして、ホッパ13に機外から硬貨が投入され、操作表示部62に入金処理の開始操作がなされると、制御部61は、入金部12のシャッタ16を閉じると共に、収納金庫51~53の中から硬貨の収納先を決定する収納先決定処理を行う。
【0120】
制御部61は、収納先決定処理の時点において、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0でなく、かつ、収納金庫51が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態にないときと、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫51が満杯判定状態にないときとは、収納金庫51は硬貨を受け入れ可能と判断する一方、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫51が満杯判定状態にあるときは、収納金庫51が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0121】
制御部61は、収納先決定処理の時点において、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0でなく、かつ、収納金庫52が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態にないときと、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫52が満杯判定状態にないときとは、収納金庫52は硬貨を受け入れ可能と判断する一方、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫52が満杯判定状態にあるときは、収納金庫52が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0122】
制御部61は、収納先決定処理の時点において、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0でなく、かつ、収納金庫53が硬貨を受け入れ不可な満杯判定状態にないときと、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫53が満杯判定状態にないときとは、収納金庫53は硬貨を受け入れ可能と判断する一方、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が0であり、かつ、収納金庫53が満杯判定状態にあるときは、収納金庫53が硬貨を受け入れ不可と判断する。
【0123】
制御部61は、第1実施形態と同様にして、収納金庫51~53のうちの硬貨を受け入れ可能と判断したものの中で、残容量が最も多いものを搬送先すなわち収納先として決定する。なお、基本状態にある一時貯留部の位置は、前後方向においては収納金庫52上となるため、収納金庫52を優先的に収納先として決定しても良い。全ての収納金庫が満杯判定状態になる前に回収するような運用である場合、前後方向の移動の少ない収納金庫52を優先的に用いることは処理効率の向上となる。
【0124】
制御部61は、以上の収納先決定処理を行うことにより、収納金庫51~53の中から硬貨の収納先を決定する。ここでは、収納金庫51~53のうち、硬貨の収納先として決定された一の収納金庫(例えば収納金庫51)を、第1の収納金庫と称して説明する。
【0125】
硬貨の収納先を第1の収納金庫に決定すると、制御部61は、入金部12の供給部14および繰出部15を駆動して、繰出部15から硬貨を一枚ずつ所定の間隔をあけて計数搬送部21に繰り出させることになり、繰り出された硬貨を、計数搬送部21で搬送させる。この搬送中に識別計数部22が硬貨を識別および計数することになり、制御部61は、識別計数部22で金種識別が可能であって受け入れ可能と識別した識別正常硬貨を、計数搬送部21から引き続き搬送部31Aで搬送させ、搬送部31Aで、基本状態にある一時貯留部32Aに一時貯留させる。
【0126】
他方、制御部61は、入金部12から繰り出された硬貨のうち、識別計数部22で識別異常で受け入れ不可と識別した識別異常硬貨、すなわち金種識別できない金種識別不良の硬貨等をリジェクト硬貨として、計数搬送部21からリジェクト部23でリジェクト箱24に収納させる。
【0127】
制御部61は、以上の入金処理を、基本的には、入金部12の硬貨がなくなり、入金部12から繰り出されたすべての硬貨が、一時貯留部32Aおよびリジェクト箱24の何れかに搬送されるまで行う。
【0128】
ここで、入金処理中に、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数が増えることになるが、制御部61は、一時貯留部32Aの硬貨の換算貯留枚数と、第1の収納金庫の硬貨の換算収納枚数とから、硬貨を一時貯留部32Aに受け入れ可能な状態か否か判断する受入判断を常に行っている。
【0129】
すなわち、制御部61は、一時貯留部32Aについて、硬貨の換算貯留枚数が、所定のフル枚数である一時貯留閾値に達するか、あるいは、図示略の満杯検知センサが一時貯留部32Aが満杯になったことを検知するか、のうちのいずれか一方の状態になると、一時貯留部32Aが、満杯判定状態となり、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断する。言い換えれば、制御部61は、一時貯留部32Aについて、換算貯留枚数が、所定のフル枚数である一時貯留閾値未満であり、かつ、図示略の満杯検知センサが硬貨を検知しなければ、硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断しない。
【0130】
また、制御部61は、一時貯留部32Aの換算貯留枚数と、第1の収納金庫の換算収納枚数との和が、所定の収納閾値(7000枚)未満の状態のとき、一時貯留部32Aへ硬貨を受け入れ可能な状態にあると判断し、一時貯留部32Aの換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との和が所定の収納閾値(7000枚)以上になると、一時貯留部32Aへ硬貨を受け入れ不可な状態になったと判断する。
【0131】
よって、制御部61は、一時貯留部32Aの換算貯留枚数が一時貯留閾値(700枚)未満で、かつ、一時貯留部32Aの換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との和が収納閾値(7000枚)未満の状態のとき、一時貯留部32Aへ硬貨を受け入れさせる。
【0132】
制御部61は、以上の入金処理によって、入金部12の硬貨がなくなり、入金部12から繰り出されたすべての硬貨が、一時貯留部32Aおよびリジェクト箱24の何れかに搬送されると、識別計数部22が受け入れ可能と判定して一時貯留部32Aに一時貯留させた硬貨の金種別の実貯留枚数および総額等を操作表示部62に表示させると共に、リジェクト箱24への機体11Aによるロックを解除してリジェクト箱24を機体11Aから取り外し可能とする。そして、制御部61は、操作表示部62への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。
【0133】
[収納処理]
入金処理後、操作表示部62への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部61は、入金を確定して金種別の実貯留枚数を含む入金情報を記憶すると共に、金種別の実収納枚数を更新して記憶する。それと共に、一時貯留部32Aの換算貯留枚数を第1の収納金庫の硬貨の換算収納枚数に加えた第1の収納金庫の収納後在高である金庫在高を算出する。
【0134】
そして、制御部61は、入金処理にて一時貯留部32Aに一時貯留させた硬貨を、第1の収納金庫に収納させる。
【0135】
すなわち、第1の収納金庫が収納金庫51である場合、制御部61は、基本状態にある一時貯留部32Aの底部37Aはそのままで胴部36Aのみを、機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内前側の前後第2位置に移動させる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫51に上部開口を介して収納される。
【0136】
また、第1の収納金庫が収納金庫52である場合、制御部61は、基本状態にある一時貯留部32Aの胴部36Aはそのままで底部37Aのみを、機体11A内右側の左右第2位置に移動させる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫52に上部開口を介して収納される。
【0137】
また、第1の収納金庫が収納金庫53である場合、制御部61は、基本状態にある一時貯留部32Aの底部37Aはそのままで、胴部36Aのみを機体11A内左側の左右第1位置かつ機体11A内後側の前後第3位置に移動させる。すると、一時貯留部32Aの硬貨が落下して直下の収納金庫53に上部開口を介して収納される。
【0138】
それと共に、制御部61は、第1の収納金庫の金庫在高が収納閾値(7000枚)未満で、かつ、制御閾値(6500枚)以上の状態のとき、第1の収納金庫の受入閾値を、収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500枚)に変更する。他方、制御部61は、第1の収納金庫の金庫在高が制御閾値(6500枚)未満の状態のとき、第1の収納金庫の受入閾値を、収納閾値(7000枚)のままとする。
【0139】
なお、制御部61は、収納処理を行うことによって、収納金庫51の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫51の図示略の満杯検知センサが、収納金庫51が満杯になったことを検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫51が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理を行うことによって、収納金庫52の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫52の図示略の満杯検知センサが満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫52が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理を行うことによって、収納金庫53の金庫在高が収納閾値(7000枚)以上となった場合、および、収納金庫53の図示略の満杯検知センサが満杯を検知した場合、のうちのいずれか一方の状態になると、収納金庫53が、満杯判定状態となったと判定する。
【0140】
また、制御部61は、収納処理において、収納金庫51の受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更された場合、収納金庫51が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理において、収納金庫52の受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更された場合、収納金庫52が、満杯判定状態となったと判定する。同様に、制御部61は、収納処理において、収納金庫53の受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更された場合、収納金庫53が、満杯判定状態となったと判定する。
【0141】
収納金庫51~53のうち、受入閾値が収納閾値(7000枚)から制御閾値(6500)に変更されたものを含む満杯判定状態となったものは、基本的には、以降の入金処理において、収納先として選択されることはなくなる。制御部61は、収納金庫51~53の全てが満杯判定状態となったと判定すると、その旨を、操作表示部62に表示させて、金庫回収を促す。
【0142】
ただし、上記した入金処理において、制御部61は、収納金庫51~53のうち、受入閾値が制御閾値(6500枚)とされて満杯判定状態となった収納金庫がある場合に、収納金庫の換算収納枚数と、一時貯留部32の一時換算貯留枚数とを加算した和が、収納閾値(7000枚)未満の場合に、収納処理を行って、一時貯留部32からこの収納金庫へ硬貨を収納させる。
【0143】
具体的に、制御部61は、収納金庫51~53のうち、受入閾値が収納閾値(7000枚)とされた第1の収納金庫を収納先として指定して行った入金処理において、入金部12の硬貨がなくなり、入金部12の硬貨が全て一時貯留部32Aあるいはリジェクト箱24に搬送されて一時貯留部32Aへの硬貨の貯留が終了した時点で、収納金庫51~53のうち、受入閾値が制御閾値(6500枚)とされた第2の収納金庫の収納枚数と、一時貯留部32の一時貯留枚数とを加算した和が、収納閾値(7000枚)未満である場合に、一時貯留部32Aからの収納先を、第1の収納金庫から第2の収納金庫に変更して、第2の収納金庫へ硬貨を収納させるのである。
【0144】
[返却処理]
入金処理後、操作表示部62への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部61は、入金を確定せず、入金処理にて一時貯留部32Aに一時貯留した硬貨をすべて、返却箱33に受け渡す返却処理を行う。すなわち、制御部61は、基本状態の一時貯留部32Aを、この基本状態から、底部37Aはそのままで、胴部36Aを機体11A内右側の第2位置かつ機体11A内前後中間の前後第1位置に位置させる。すると、一時貯留部32Aにある硬貨が返却箱33に収納される。
【0145】
以上に述べたように、第2実施形態の硬貨入金機10Aは、複数の収納金庫51~53を備えると共に、一つの一時貯留部32Aが複数の収納金庫51~53に選択的に硬貨を収納可能となっている。そして、制御部61は、満杯判定状態にない第1の収納金庫について、一時貯留部32Aの硬貨が一時貯留閾値未満で、かつ、一時貯留部32Aの換算貯留枚数と第1の収納金庫の換算収納枚数との和が収納閾値未満の状態のとき、一時貯留部32Aへ硬貨を受け入れさせた後、第1の収納金庫へ硬貨を収納させる。それと共に、制御部61は、一時貯留部32Aの換算貯留枚数を第1の収納金庫の換算収納枚数に加えた金庫在高を算出し、この金庫在高が、収納閾値未満で、かつ、制御閾値以上の状態のとき、第1の収納金庫の受入閾値を、収納閾値から制御閾値として、満杯判定状態とし、第1の収納金庫への以降の入金処理での硬貨の受け入れを不可とする。これにより、硬貨入金機10Aは、収納閾値よりも少ない制御閾値を最初から上限値として設定する場合よりも、処理効率を向上させることができる。また、一つの一時貯留部32Aが複数の収納金庫51~53に選択的に硬貨を収納可能となっていることからコストを低減することが可能となる。
【0146】
また、硬貨入金機10Aは、制御部61が、複数の収納金庫51~53のうちの第1の収納金庫の受入閾値が制御閾値とされた状態で、一時貯留部32Aの換算貯留枚数と、第1の収納金庫の換算収納枚数との和が収納閾値未満の状態のとき、一時貯留部32Aから第1の収納金庫へ硬貨を収納させる。このため、さらに処理効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0147】
10,10A…硬貨入金機、22…識別計数部(識別手段)、32A…一時貯留部(一時貯留手段)、41~43…一時貯留庫(一時貯留手段)、51~53…収納金庫(収納手段)、61…制御部(制御手段)。