(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062597
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】三次元造形物の製造方法、三次元造形システム、および、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/232 20170101AFI20240501BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240501BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240501BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240501BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240501BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240501BHJP
【FI】
B29C64/232
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
B29C64/386
B29C64/106
B29C64/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170549
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 匠
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP05
4F213AP06
4F213AP12
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】ノズルの平行移動時に三次元造形物の一部分にノズルが接触する可能性を低減できる技術を提供する。
【解決手段】ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法であって、ノズルからの造形材料の吐出を停止させる第1工程と、造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、吐出停止位置と同一の層に位置し造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、ノズルを移動させる第2工程と、を有し、第2工程は、ノズルの積層方向への移動距離である退避量に従ってノズルを吐出停止位置から積層方向に退避させる第3工程と、第3工程の後に、ノズルを層に沿って吐出再開位置の上方まで移動させる第4工程と、を有し、ノズルを退避させるか否か、及び、退避量の少なくともいずれか一方は、三次元造形物の造形条件に応じて決定される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法であって、
前記ノズルからの前記造形材料の吐出を停止させる第1工程と、
前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる第2工程と、を有し、
前記第2工程は、
前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させる第3工程と、
前記第3工程の後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる第4工程と、を有し、
前記ノズルを退避させるか否か、及び、前記退避量の少なくともいずれか一方は、前記三次元造形物の造形条件に応じて決定される、
三次元造形物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記造形条件は、前記吐出停止位置と前記吐出再開位置との距離に関する条件を含み、
前記第3工程では、前記吐出停止位置と前記吐出再開位置との距離が予め定められた値以上である場合に前記ノズルを前記積層方向に退避させる、
三次元造形物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記造形条件は、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さ、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数に関する条件を含み、
前記第3工程では、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さが予め定められた値以上である場合、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数が予め定められた値以上である場合に、前記ノズルを前記積層方向に退避させる、
三次元造形物の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記造形条件は、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さ、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数に関する条件を含み、
第n番目(nは自然数)の前記層である第n層における前記吐出停止位置である第1吐出停止位置と、前記第n層よりも前記積層方向において高い層における前記吐出停止位置である第2吐出停止位置と、が存在する場合に、
前記第2吐出停止位置における前記退避量は、前記第1吐出停止位置における前記退避量よりも大きい、
三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記造形条件は、前記吐出停止位置から前記吐出再開位置までの前記ノズルの移動範囲における前記三次元造形物の形状に関する条件を含み、
前記移動範囲に前記積層方向に突出した形状を有する前記三次元造形物の一部分が位置する場合の前記退避量は、前記移動範囲に前記積層方向に突出した形状を有する前記三次元造形物の一部分が位置しない場合の前記退避量よりも大きい、
三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記造形条件は、造形が行われている部分の前記三次元造形物の構造的な位置に関する条件を含み、
前記三次元造形物の外郭の造形における前記退避量は、前記三次元造形物の内部領域の造形における前記退避量よりも大きい、
三次元造形物の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記吐出停止位置および前記吐出再開位置を有する前記層の1層下に位置する前記層の温度を測定する温度測定工程を有し、
前記造形条件は、前記温度測定工程において測定された前記層の温度に関する条件を含み、
前記第3工程では、前記温度測定工程において測定された前記層の温度が予め定められた範囲を外れていた場合に前記ノズルを前記積層方向に退避させる、
三次元造形物の製造方法。
【請求項8】
材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、
前記造形材料を吐出するノズルを有する吐出部と、
前記ノズルから吐出された前記造形材料が積層されるテーブルと、
前記ノズルと前記テーブルとの相対的な位置を変更する位置変更部と、
前記ノズルの前記テーブルに対する移動経路を表す経路データを生成するデータ生成部と、
前記可塑化部、前記吐出部、および前記位置変更部を制御し、前記経路データにしたがって前記ノズルを前記テーブルに対して移動させ、前記テーブル上に前記造形材料の層を積層方向に積層させることで三次元造形物を造形する制御部と、を備え、
前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる場合に、
前記データ生成部又は前記制御部は、
前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、
前記制御部は、
前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合、前記ノズルを前記積層方向に退避させた後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる、
三次元造形システム。
【請求項9】
ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形するためのデータを生成する情報処理装置であって、
前記三次元造形物の造形において前記ノズルの移動する経路を表す経路データを生成するデータ生成部を有し、
前記データ生成部は、
前記経路データに、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止される吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで前記ノズルを前記層に沿って移動させる平行移動経路が含まれる場合に、
前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、
前記平行移動経路において前記退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるように、前記経路データを変更する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元造形物の製造方法、三次元造形システム、および、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、溶融した熱可塑性の材料を予め設定された形状データにしたがって走査する押出ノズルから基台上に押し出し、基台上で硬化した材料の上に更に溶融した材料を積層して三次元物体を作成する、溶融樹脂押出積層造形方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テーブル上に造形材料を積層することによる三次元造形物の造形において、ノズルからの造形材料の吐出を一時的に停止させた後に、ノズルを同一の層の異なる位置まで移動させて造形材料の吐出を再開させる場合がある。この場合において、ノズルの移動時に、既に造形された三次元造形物の一部分にノズルが接触する場合があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、三次元造形物の製造方法が提供される。この三次元造形物の製造方法は、ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法であって、前記ノズルからの前記造形材料の吐出を停止させる第1工程と、前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる第2工程と、を有し、前記第2工程は、前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させる第3工程と、前記第3工程の後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる第4工程と、を有し、前記ノズルを退避させるか否か、及び、前記退避量の少なくともいずれか一方は、前記三次元造形物の造形条件に応じて決定される。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形システムが提供される。この三次元造形システムは、材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記造形材料を吐出するノズルを有する吐出部と、前記ノズルから吐出された前記造形材料が積層されるテーブルと、前記ノズルと前記テーブルとの相対的な位置を変更する位置変更部と、前記ノズルの前記テーブルに対する移動経路を表す経路データを生成するデータ生成部と、前記可塑化部、前記吐出部、および前記位置変更部を制御し、前記経路データにしたがって前記ノズルを前記テーブルに対して移動させ、前記テーブル上に前記造形材料の層を積層方向に積層させることで三次元造形物を造形する制御部と、を備え、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる場合に、前記データ生成部又は前記制御部は、前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、前記制御部は、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合、前記ノズルを前記積層方向に退避させた後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形するためのデータを生成する情報処理装置であって、前記三次元造形物の造形において前記ノズルの移動する経路を表す経路データを生成するデータ生成部を有し、前記データ生成部は、前記経路データに、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止される吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで前記ノズルを前記層に沿って移動させる平行移動経路が含まれる場合に、前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、前記平行移動経路において前記退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるように、前記経路データを変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における三次元造形システムの概略構成を示す説明図。
【
図5】三次元造形装置が造形物を造形する様子を模式的に示す説明図。
【
図8】変更後の経路データにおけるノズルの移動経路を説明する図。
【
図9】変更後の経路データにおけるノズルの移動経路を説明する図。
【
図10】変更後の経路データにおけるノズルの移動経路を説明する図。
【
図11】三次元造形システムにおいて実行される造形処理の工程図。
【
図12】第2実施形態におけるノズルの積層方向への退避について説明する図。
【
図13】第3実施形態におけるノズルの積層方向への退避について説明する図。
【
図14】第4実施形態におけるノズルの積層方向への退避について説明する図。
【
図15】第5実施形態におけるノズルの積層方向への退避について説明する図。
【
図16】第6実施形態における三次元造形システムの概略構成を示す説明図。
【
図17】第6実施形態における、三次元造形システムにおいて実行される造形処理の工程図。
【
図18】温度測定部によって温度が測定される層の位置を説明する図。
【
図19】三次元造形物の造形時に、制御部がノズルを積層方向に退避させるか否か及び退避量を決定する場合の造形処理の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における三次元造形システム100の概略構成を示す説明図である。
図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を表す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向である。Z方向は、鉛直方向に平行な方向である。
図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を指し示している。向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符号を併用する。
【0010】
三次元造形システム100は、三次元造形装置300と、情報処理装置400と、を備える。三次元造形装置300は、三次元造形装置300の各部を制御するための制御部310を備えている。制御部310と情報処理装置400とは、相互に通信可能に接続されている。
【0011】
三次元造形装置300は、さらに、造形部320と、テーブル330と、位置変更部340と、を備える。
【0012】
造形部320は、制御部310の制御下において、固体状態の材料を可塑化させてペースト状にした造形材料を三次元造形物の基台となるテーブル330上に吐出する。造形部320は、材料供給部11と、可塑化部12と、吐出部13と、を備える。
【0013】
材料供給部11は、造形材料を生成するための材料を可塑化部12に供給する。材料供給部11は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部11には、ペレット状や粉末状の材料が収容されている。材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)などの熱可塑性樹脂が用いられる。材料供給部11の下方には、材料供給部11と可塑化部12を接続する連通路15が設けられている。材料供給部11は、連通路15を介して、可塑化部12に材料を供給する。
【0014】
可塑化部12は、材料供給部11から供給された材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の造形材料を生成し、吐出部13へと導く。ここで、「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。可塑化部12は、スクリュー30と、スクリューケース40と、駆動モーター50と、バレル60と、を備える。
【0015】
スクリュー30は、スクリューケース40内に収納されている。スクリュー30の上面側は、駆動モーター50に連結されている。スクリュー30は、駆動モーター50が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース40内で回転する。スクリュー30の回転軸RXの軸線方向は、Z方向に沿う方向である。スクリュー30の回転速度は、制御部310が駆動モーター50の回転速度を制御することによって制御される。なお、スクリュー30は、減速機を介して駆動モーター50によって駆動されてもよい。スクリュー30は、ローター、あるいは、フラットスクリューとも呼ばれる。
【0016】
バレル60は、スクリュー30の-Z方向側に設置されている。バレル60の上面である対向面61は、スクリュー30の下面31に対向している。バレル60の中心には、吐出部13の流路72に連通する連通孔62が形成されている。バレル60の内部には、可塑化ヒーター63が設けられている。可塑化ヒーター63の温度は、制御部310によって制御される。
【0017】
図2は、スクリュー30の概略構成を示す斜視図である。スクリュー30は、回転軸RXに沿った方向における長さが回転軸RXに垂直な方向における長さよりも小さい略円柱状を有する。スクリュー30の下面31には、中央部32を中心に、渦状の溝33が形成されている。溝33は、スクリュー30の側面に形成された材料投入口34に連通している。材料供給部11から供給される材料は、材料投入口34を通じて溝33に供給される。溝33は、凸条部35によって隔てられることにより形成されている。
図2には、溝33が3本形成されている例を示しているが、溝33の数は、1本でもよいし、2本以上であってもよい。なお、溝33は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部32から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0018】
図3は、バレル60の概略平面図である。対向面61における連通孔62の回りには、複数の案内溝64が形成されている。それぞれの案内溝64は、その一端が連通孔62に接続され、連通孔62から対向面61の外周に向かって渦状に延びている。なお、案内溝64の一端は連通孔62に接続されていなくてもよい。また、バレル60には案内溝64が形成されていなくてもよい。
【0019】
スクリュー30の溝33に供給された材料は、スクリュー30の回転と可塑化ヒーター63の加熱によって、溝33内において可塑化されながら、溝33に沿って流動し、造形材料としてスクリュー30の中央部32へ導かれる。中央部32に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、連通孔62を介して吐出部13に供給される。なお、可塑化部12では、造形材料を構成する全ての種類の物質が可塑化していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0020】
吐出部13は、造形材料を吐出する。吐出部13は、ノズル71と、流路72と、吐出調整部73と、吸引部74と、を備える。
【0021】
ノズル71は、流路72を通じて、バレル60の連通孔62に接続されている。ノズル71は、可塑化部12において生成された造形材料を、ノズル71の先端のノズル開口75からテーブル330に向かって吐出する。
【0022】
吐出調整部73は、流路72の開口面積を調整する。本実施形態では、吐出調整部73は、バタフライバルブによって構成されている。バタフライバルブは、バルブとも呼ばれる。バタフライバルブは、一部が加工された駆動軸の、加工された部分に設けられる。駆動軸は、バタフライバルブが、駆動軸と流路72とが交わる位置に位置するように備えられる。バタフライバルブは、流路72内において回転可能に配される。バタフライバルブの形状は、流路72内で回転することによって流路72の開口面積を調整するものであればよく、例えば、板形状、または、半球形状であってもよい。吐出調整部73は、制御部310によって制御される。制御部310は、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、可塑化部12からノズル71に流れる造形材料の流量、つまり、ノズル71から吐出される造形材料の流量を調整する。吐出調整部73は、造形材料の流量を調整するとともに、造形材料の流出のオン/オフを制御する。
【0023】
吸引部74は、流路72において吐出調整部73とノズル開口75の間に接続されている。吸引部74は、ノズル71からの造形材料の吐出停止時に、流路72内の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料がノズル開口75から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。吸引部74は、プランジャーにより構成されており、制御部310によって制御される。
【0024】
テーブル330は、ノズル71のノズル開口75に対向する位置に配置されている。三次元造形装置300は、ノズル71からテーブル330の上面である造形面331に造形材料を吐出させて造形層を積層することによって三次元造形物を造形する。
【0025】
位置変更部340は、ノズル71とテーブル330との相対的な位置を変更する。本実施形態では、位置変更部340は、位置が固定されているノズル71に対してテーブル330を移動させる。テーブル330に対するノズル71の相対的な位置の変化を、単に、ノズル71の移動とも呼ぶ。位置変更部340は、3つのモーターの駆動力によってテーブル330をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。位置変更部340の各モーターは、制御部310の制御下にて駆動する。なお、位置変更部340は、テーブル330を移動させる構成ではなく、テーブル330の位置が固定された状態でノズル71を移動させる構成であってもよい。また、位置変更部340は、テーブル330とノズル71の両方を移動させる構成であってもよい。
【0026】
制御部310は、三次元造形装置全体の動作を制御する制御装置である。制御部310は、1つ、または、複数のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。制御部310は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、三次元造形物を造形するための造形処理を実行する機能等、種々の機能を発揮する。なお、制御部310は、コンピューターによって構成される代わりに、各機能の少なくとも一部を実現するための複数の回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。
【0027】
図4は、情報処理装置400の概略構成を示す説明図である。情報処理装置400は、CPU410、メモリー420、記憶装置430、通信インターフェイス440、入出力インターフェイス450がバス460によって相互に接続されたコンピューターとして構成されている。情報処理装置400は、通信インターフェイス440を介して、三次元造形装置300の制御部310に接続される。
【0028】
CPU410は、記憶装置430に記憶されたプログラムを実行することによって、データ生成部411として機能する。
【0029】
データ生成部411は、三次元造形物を造形するためのデータである造形データを生成する。造形データは、三次元造形物の形状を複数にスライスした層毎に、ノズル71の移動経路を表す経路データと、移動経路における造形材料の吐出量を表す吐出量データと、を含む。ノズル71の移動経路とは、ノズル71がテーブル330の造形面331に沿って相対的に移動する経路である。
【0030】
情報処理装置400は、データ生成部411によって生成された造形データを、三次元造形装置300の制御部310に送信する。制御部310は、受信した造形データに従って、吐出部13及び移動機構を制御して、造形材料を吐出して層MLを積層方向に積層することで、三次元造形物をテーブル330上に造形する。本実施形態において、積層方向は+Z方向である。
【0031】
図5は、三次元造形装置300が造形物を造形する様子を模式的に示す説明図である。三次元造形装置300では、上述したように、可塑化部12において、回転しているスクリュー30の溝33に供給された固体状態の材料が可塑化されて造形材料MMが生成される。制御部310は、テーブル330上の造形面331とノズル71との距離を保持したまま、位置変更部340を制御して造形面331に沿った方向に、テーブル330に対するノズル71の位置を変えながら、ノズル71から造形材料MMを吐出させる。ノズル71から吐出された造形材料MMは、ノズル71の移動方向に連続して堆積されていき、層MLが形成される。制御部310は、1つの層MLを形成した後、テーブル330を下降させて、テーブル330に対するノズル71の位置を相対的に+Z方向に移動させる。そして、これまでに形成された層MLの上に、更に層MLを積み重ねることによって三次元造形物を造形していく。
【0032】
制御部310は、例えば、一層分の層MLの形成を完了した場合のノズル71のZ方向への移動や、各層MLで独立する複数の造形領域がある場合には、ノズル71からの造形材料MMの吐出を一時的に中断させる。この場合、制御部310は、吐出調整部73によって流路72を閉塞させて、ノズル開口75からの造形材料MMの吐出を停止させ、吸引部74によってノズル71内の造形材料MMを一時的に吸引する。制御部310は、ノズル71の位置を変更した後、吸引部74内の造形材料MMを排出しつつ吐出調整部73によって流路72を開くことによって、変更後のノズル71の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。
【0033】
図6は、情報処理装置400において実行される造形データ生成処理のフローチャートである。まず、ステップS10において、データ生成部411は、三次元造形物の三次元CADデータ等を解析し、三次元造形物をXY平面に沿って複数の層MLにスライスした層データを生成する。層データは、そのXY平面における三次元造形物の輪郭線を表すデータである。
【0034】
ステップS20において、データ生成部411は、特定の層MLの層データから、その層MLを造形するための経路データおよび吐出量データを生成する。
【0035】
ステップS30において、データ生成部411は、ステップS20で生成された特定の層MLにおける経路データに、平行移動経路が含まれるか否かを判定する。
図7は、平行移動経路について説明する図である。平行移動経路とは、吐出停止位置P1においてノズル71からの造形材料の吐出を停止させた後に、吐出停止位置P1から、吐出停止位置P1と同一の層MLに位置し造形材料の吐出が再開される吐出再開位置P2まで、テーブル330上に積層された造形材料の層MLに沿ってノズル71を移動させる経路を意味する。
図7には、吐出再開位置P2で造形される予定の層MLが破線で示されている。
【0036】
ステップS30で経路データに平行移動経路が含まれると判定された場合、ステップS40において、データ生成部411は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までノズル71を移動させる際に、ノズル71を積層方向に退避させるか否かを三次元造形物の造形条件に応じて決定する。本実施形態では、造形条件は、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離に関する条件を含む。本実施形態では、データ生成部411は、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離が予め定められた値以上である場合に、ノズル71を積層方向に退避させると決定する。
【0037】
ステップS40でノズル71を積層方向に退避させることが決定された場合、ステップS50において、データ生成部411は、ノズル71の積層方向への移動距離である退避量を造形条件に応じて決定する。データ生成部411は、例えば、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2の距離が大きいほど退避量が大きくなるように、退避量を決定する。
【0038】
ステップS60において、データ生成部411は、ステップS50で決定された退避量に従ってノズル71を吐出停止位置P1から積層方向に退避させるように、ステップS20で生成された経路データを変更する。具体的には、データ生成部411は、平行移動経路の前後に、ノズル71から造形材料を吐出させることなく、退避量に従ってノズル71を積層方向に移動させる経路を追加する。データ生成部411は、ノズル71を造形材料の層MLに沿って移動させる直前にノズル71を+Z方向に移動させる経路、および、ノズル71を造形材料の層MLに沿って移動させた直後にノズル71を-Z方向に移動させる経路を追加する。
図8から
図10は、変更後の経路データにおけるノズル71の移動経路を説明する図である。変更前の経路データでは、
図7に示すように、ノズル71は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までテーブル330上に積層された造形材料の層MLに沿って移動される。変更後の経路データでは、まず、
図8に示すように、ノズル71が吐出停止位置P1から+Z方向に退避量だけ移動される。次に、
図9に示すように、ノズル71がテーブル330上に積層された造形材料の層MLに沿って吐出再開位置P2の上方まで移動される。このとき、ノズル71はXY平面内で移動される。最後に、
図10に示すように、ノズル71が吐出再開位置P2の上方から吐出再開位置P2まで退避量と同じ距離だけ-Z方向に移動される。
【0039】
ステップS60の後、または、ステップS40でノズル71を積層方向に退避させないと決定された場合は、ステップS70が実行される。ステップS70において、データ生成部411は、特定の層MLにおける全ての平行移動経路についてステップS40が実行されたか、すなわちノズル71を積層方向に退避させるか否かの判定が行われたかを判定する。ノズル71を積層方向に退避させるか否かの判定が行われていない平行移動経路が存在する場合は、データ生成部411は、処理をステップS40に戻す。
【0040】
ステップS70で特定の層MLにおける全ての平行移動経路についてノズル71を積層方向に退避させるか否かの判定が行われたと判定された場合、または、ステップS30で特定の層MLにおける経路データに平行移動経路が含まれないと判定された場合は、ステップS80が実行される。ステップS80では、データ生成部411は、全ての層MLの層データからそれぞれの層MLにおける経路データおよび吐出量データが生成されたか否かを判定する。経路データおよび吐出量データが生成されていない層MLが存在する場合は、データ生成部411は、処理をステップS20に戻す。全ての層MLについて経路データおよび吐出量データが生成されている場合は、造形データ生成処理が終了される。
【0041】
図11は、三次元造形システム100において実行される造形処理の工程図である。まず、ステップS110において、三次元造形装置300の制御部310は、情報処理装置400で生成された造形データを取得する。
【0042】
ステップS120において、三次元造形装置300の制御部310は、造形データに従って、吐出部13から造形材料を吐出させ、テーブル330上に造形材料の層MLを積層することによって、三次元造形物を造形する。
図6のステップS40でノズル71を積層方向に退避させることが決定された場合は、
図11のステップS120において制御部310が造形データに従って三次元造形物を造形することで、ステップS121と、ステップS122と、が実行される。ステップS121およびステップ122が実行される場合は、ステップS121およびステップS122は、一回ではなく複数回実行されてもよい。
【0043】
ステップS121では、ノズル71からの造形材料の吐出が停止される。ステップS121を第1工程とも呼ぶ。
【0044】
ステップS122では、吐出停止位置P1から、吐出停止位置P1と同一の層MLに位置する吐出再開位置P2まで、ノズル71が移動される。ステップS122を第2工程とも呼ぶ。ステップS122は、ステップS123と、ステップS124と、を有する。
【0045】
ステップS123では、退避量に従って、吐出停止位置P1から積層方向にノズル71が退避される。ステップS123を第3工程とも呼ぶ。
【0046】
ステップS124では、ステップS123でノズル71が積層方向に退避された後に、ノズル71が造形材料の層MLに沿って吐出再開位置P2の上方まで移動される。ステップS124を第4工程とも呼ぶ。
【0047】
以上で説明した第1実施形態によれば、データ生成部411は、経路データに平行移動経路が含まれる場合、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までノズル71を移動させる際に、ノズル71を積層方向に退避させるか否かを三次元造形物の造形条件に応じて決定する。また、データ生成部411は、ノズル71を積層方向に退避させると決定した場合、退避量を造形条件に応じて決定し、退避量に従ってノズル71を吐出停止位置P1から積層方向に退避させるように経路データを変更する。そのため、吐出停止位置P1から、吐出停止位置P1と同一の層MLに位置する吐出再開位置P2までノズル71を移動させる際に、既に造形された三次元造形物の一部分にノズル71が接触することを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、造形条件は吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離に関する条件であり、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離が予め定められた値以上である場合に、ノズル71が積層方向に退避される。吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離が短い場合には、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との間に既に造形された三次元造形物の一部分が存在する可能性は低い。そのため、吐出停止位置P1と吐出再開位置P2との距離が短い場合には、ノズル71の退避を実行せずに済み、不要なノズル71の移動を減らすことができる。
【0049】
B.第2実施形態:
第2実施形態では、造形条件が第1実施形態と異なる。第2実施形態における造形条件は、積層方向における吐出停止位置P1の高さ、または、吐出停止位置P1より下方の層MLの積層数に関する条件を含む。
【0050】
図12は、第2実施形態におけるノズル71の積層方向への退避について説明する図である。第2実施形態では、積層方向における吐出停止位置P1の高さHが予め定められた値以上である場合、または、吐出停止位置P1より下方の層MLの積層数Xが予め定められた値以上である場合に、
図6のステップS40において、データ生成部411は、ノズル71を積層方向に退避させると決定する。ここで、積層方向における吐出停止位置P1の高さHは、吐出停止位置P1とテーブル330の造形面331とのZ方向の距離である。
【0051】
三次元造形物は、高さが高くなるほど、また、積層数が多くなるほど、造形精度や三次元造形物自身の揺れの影響を受けやすくなる。その結果、高さが高いほど、また、積層数が多いほど、層データ上は三次元造形物が存在しない位置に、実際に造形された三次元造形物の一部が存在する可能性が高くなる。
【0052】
第2実施形態によれば、積層方向における吐出停止位置P1の高さHが予め定められた値以上である場合、または、吐出停止位置P1より下方の層MLの積層数Xが予め定められた値以上である場合に、ノズル71が積層方向に退避される。そのため、層データ上は三次元造形物が存在しない位置に三次元造形物の一部が存在する場合でも、三次元造形物とノズル71が接触する可能性を低くできる。
【0053】
C.第3実施形態:
第3実施形態の造形条件は、第2実施形態と同じである。第3実施形態では、ノズル71の退避量の決定方法が第2実施形態と異なる。
【0054】
図13は、第3実施形態におけるノズル71の積層方向への退避について説明する図である。本実施形態では、第n番目(nは自然数)の層MLである第n層における吐出停止位置P1を第1吐出停止位置P11、第n層よりも積層方向において高い層MLにおける吐出停止位置P1を第2吐出停止位置P12と呼ぶ。第1吐出停止位置P11および第2吐出停止位置P12が存在する場合、
図6のステップS50において、データ生成部411は、第2吐出停止位置P12における退避量L2が、第1吐出停止位置P11における退避量L1よりも大きくなるように、退避量を決定する。
【0055】
第2吐出停止位置P12は第1吐出停止位置P11よりも高い層MLに位置するため、第2実施形態での説明と同じ理由で、第1吐出停止位置P11を有する層MLよりも第2吐出停止位置P12を有する層MLの方が、層データ上は三次元造形物が存在しない位置に、実際に造形された三次元造形物の一部が存在する可能性が高い。第3実施形態によれば、第2吐出停止位置P12における退避量L2が、第1吐出停止位置P11における退避量L1よりも大きくなるように、退避量が決定される。そのため、層データ上は三次元造形物が存在しない位置に三次元造形物の一部が存在する場合でも、三次元造形物とノズル71が接触する可能性を低くできる。
【0056】
D.第4実施形態:
第4実施形態では、造形条件が第1実施形態と異なる。第4実施形態における造形条件は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までのノズル71の移動範囲における三次元造形物の形状に関する条件を含む。
【0057】
図14は、第4実施形態におけるノズル71の積層方向への退避について説明する図である。第4実施形態では、
図6のステップS50において、データ生成部411は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までのノズル71の移動範囲に積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分が位置する場合の退避量が、ノズル71の移動範囲に積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分が位置しない場合の退避量よりも大きくなるように、退避量を決定する。ここで、積層方向に突出した形状とは、例えば、積層方向に垂直な方向の長さよりも積層方向の長さが長い直方体や円錐形状である。
【0058】
図14には、吐出停止位置P21から吐出再開位置P22までのノズル71の移動範囲に積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分Qが位置する場合の退避量L3、および、吐出停止位置P31から吐出再開位置P32までのノズル71の移動範囲に積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分Qが位置しない場合の退避量L4が示されている。
図6のステップS50において、データ生成部411は、退避量L3が退避量L4よりも大きくなるように、退避量を決定する。以下では、積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分Qを、単に突出部分Qとも呼ぶ。
【0059】
突出部分Qは揺れやすいため、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までのノズル71の移動範囲に、突出部分Qが位置する場合、突出部分Qとノズル71が接触する可能性がある。第4実施形態によれば、データ生成部411は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までのノズル71の移動範囲に突出部分Qが位置する場合の退避量が、ノズル71の移動範囲に突出部分Qが位置しない場合の退避量よりも大きくなるように、退避量を決定する。そのため、ノズル71が吐出停止位置P1から吐出再開位置P2まで移動する間に三次元造形物が揺れた場合でも、突出部分Qとノズル71が接触する可能性を低くすることができる。
【0060】
E.第5実施形態:
第5実施形態では、造形条件が第1実施形態と異なる。第5実施形態における造形条件は、造形が行われている部分の三次元造形物の構造的な位置に関する条件を含む。
【0061】
図15は、第5実施形態におけるノズル71の積層方向への退避について説明する図である。第5実施形態では、
図6のステップS50において、データ生成部411は、三次元造形物の外郭の造形における退避量が、三次元造形物の内部領域の造形における退避量よりも大きくなるように、退避量を決定する。ここで、三次元造形物の外郭とは、造形が完了した三次元造形物の外郭に位置する部分を意味する。また、三次元造形物の内部領域とは、造形が完了した三次元造形物の内部に位置する部分を意味する。内部領域をインフィルとも呼ぶ。三次元造形物の外郭に当たる部分を分かりやすく示すため、
図15には、三次元造形物の外郭に斜線のハッチングが施されている。また、
図15には、三次元造形物の外郭に位置する吐出停止位置P41での退避量L5と、三次元造形物の内部領域に位置する吐出停止位置P42での退避量L6が示されている。
図6のステップS50において、データ生成部411は、退避量L5が退避量L6より大きくなるように、退避量を決定する。
【0062】
以上で説明した第5実施形態によれば、三次元造形物の外郭の造形における退避量L5が、三次元造形物の内部領域の造形における退避量L6よりも大きくなるように、退避量が決定されるため、三次元造形物の内部領域とノズル71が接触する可能性よりも、三次元造形物の外郭とノズル71が接触する可能性を低くできる。したがって、三次元造形物の外郭とノズル71が接触することによって、造形が完了した三次元造形物の外郭の造形精度が低下することを抑制できる。三次元造形物の外郭は三次元造形物の外観に影響を与える部分であるため、結果として、三次元造形物の品質を向上させることができる。
【0063】
F.第6実施形態:
図16は、第6実施形態における三次元造形システム100の概略構成を示す説明図である。第6実施形態では、三次元造形装置300は、温度測定部500を備える。温度測定部500は、支持部510に支持されている。支持部510は、位置変更部340を支持する基部520に固定されている。温度測定部500は、テーブル330上に積層された造形材料の層MLの温度を測定する。温度測定部500は、例えば、造形材料の層ML全体の温度を測定するサーモグラフィーである。
【0064】
図17は、第6実施形態における、三次元造形システム100において実行される造形処理の工程図である。まず、ステップS210において、データ生成部411は、三次元造形物の三次元CADデータ等を解析して層データを生成し、それぞれの層MLの層データから、それぞれの層MLを造形するための、経路データおよび吐出量データを含む造形データを生成する。
【0065】
ステップS220において、三次元造形装置300の制御部310は、データ生成部411で生成された造形データを取得する。
【0066】
ステップS230において、制御部310は、造形データに従って、吐出部13から造形材料を吐出させ、テーブル330上に造形材料の層MLを積層することによって、三次元造形物の造形を開始する。
【0067】
ステップS240において、制御部310は、次に実行するノズル71の移動経路が平行移動経路か否かを判定する。ステップS240で次に実行するノズル71の移動経路が平行移動経路であると判定された場合、ステップS250が実行される。ステップS240で次に実行するノズル71の移動経路が平行移動経路ではないと判定された場合、制御部310は、処理をステップS290に進める。
【0068】
ステップS250では、温度測定部500が、次に実行される平行移動経路の吐出停止位置P1および吐出再開位置P2を有する層MLの1層下に位置する層MLの温度を測定する。
図18は、温度測定部500によって温度が測定される層MLの位置を説明する図である。
図18に示すように、温度測定部500は、吐出停止位置P1および吐出再開位置P2を有する層MLの1層下に位置する層ML1の温度を測定する。ステップS250を温度測定工程とも呼ぶ。第6実施形態における造形条件は、温度測定工程において測定された層MLの温度に関する条件を含む。
【0069】
ステップS260において、制御部310は、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲を外れているか否かを判定する。層MLの温度が予め定められた範囲を外れていると判定された場合は、ステップS270において、制御部310は、ノズル71を積層方向に退避させて、ノズル71を吐出停止位置P1から吐出再開位置P2まで移動させる。具体的には、まず、制御部310は、
図18に示すように、ノズル71を吐出停止位置P1から+Z方向に予め定められた退避量だけ移動させる。次に、制御部310は、
図9と同様に、ノズル71をテーブル330上に積層された造形材料の層MLに沿って吐出再開位置P2の上方まで移動させる。最後に、制御部310は、
図10と同様に、ノズル71を吐出再開位置P2の上方から吐出再開位置P2まで予め定められた退避量と同じ距離だけ-Z方向に移動させる。
【0070】
ステップS260で層MLの温度が予め定められた範囲を外れていないと判定された場合は、ステップS280において、制御部310は、経路データにある平行移動経路に従って、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までノズル71を層MLに沿って移動させる。
【0071】
ステップS290において、制御部310は、三次元造形物の造形が完了したか否かを判定する。三次元造形物の造形が完了していない場合は、制御部310は、処理をステップS240に戻す。三次元造形物の造形が完了した場合は、制御部310は、三次元造形処理を終了する。
【0072】
温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲よりも低い場合、三次元造形物が冷却されることで三次元造形物に反りが生じやすくなる。また、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲よりも高い場合、三次元造形物が加熱されることで三次元造形物が揺れやすくなる。そのため、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲を外れている場合は、層データ上は三次元造形物が存在しない位置に、実際に造形された三次元造形物の一部が存在する可能性が高くなる。
【0073】
第6実施形態によれば、制御部310は、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲を外れていた場合に、ノズル71を積層方向に退避させる。そのため、三次元造形物が冷却されることにより変形した場合、または、三次元造形物が加熱されることにより揺れやすくなった場合であっても、造形中に三次元造形物とノズル71が接触する可能性を低くすることができる。
【0074】
G.他の実施形態:
(G-1)第1実施形態から第5実施形態では、データ生成部411が、経路データに平行移動経路が存在する場合に、造形条件に応じてノズル71を積層方向へ退避させるか否か、及び、退避量を決定し、経路データを変更している。そして、制御部310が、変更された経路データを含む造形データに従って三次元造形装置300の各部を制御することで、三次元造形物が造形される。これに対して、三次元造形物の造形時に、制御部310が、ノズル71を積層方向に退避させるか否か、及び、退避量を決定してもよい。
【0075】
図19は、三次元造形物の造形時に、制御部310が、ノズル71を積層方向に退避させるか否か、及び、退避量を決定する場合に、三次元造形システム100において実行される造形処理の工程図である。なお、
図19において、
図17と同様の処理が実行される工程については、
図17と同じ符号を付記し、説明を省略する。
【0076】
図19のステップS240で次に実行するノズル71の移動経路が平行移動経路であると判定された場合、ステップS310において、制御部310は、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までノズル71を移動させる際に、ノズル71を積層方向に退避させるか否かを三次元造形物の造形条件に応じて決定する。
【0077】
ステップS310でノズル71を積層方向に退避させることが決定された場合は、ステップS320において、制御部310は、退避量を造形条件に応じて決定する。次に、ステップS330において、制御部310は、退避量に従ってノズル71を積層方向に退避させて、ノズル71を吐出停止位置P1から吐出再開位置P2まで移動させる。
【0078】
ステップS310でノズル71を積層方向に退避させないことが決定された場合は、制御部310は、
図17のステップS280と同様に、経路データに従って、吐出停止位置P1から吐出再開位置P2までノズル71を層MLに沿って移動させる。
【0079】
ステップS330の後、ステップS280の後、または、ステップS240で次に実行するノズル71の移動経路が平行移動経路ではないと判定された場合は、制御部310は、
図17のステップS290と同様に、三次元造形物の造形が完了したか否かを判定する。
【0080】
なお、
図19のステップS310で、ノズル71を積層方向に退避させることが三次元造形物の造形条件に応じて決定された場合は、退避量は造形条件に応じて決定されなくてもよい。この場合、退避量は、例えばユーザーによって予め設定されていてもよい。
【0081】
なお、
図19のステップS320で、退避量が三次元造形物の造形条件に応じて決定される場合は、ノズル71を積層方向に退避させるか否かは造形条件に応じて決定されなくてもよい。この場合、制御部310は、例えば、経路データに平行移動経路が含まれている場合はノズル71を積層方向に退避させると決定してもよい。
【0082】
(G-2)第1実施形態から第5実施形態において、
図6のステップS40で、ノズル71を積層方向に退避させることが三次元造形物の造形条件に応じて決定された場合は、退避量は造形条件に応じて決定されなくてもよい。この場合、退避量は、例えばユーザーによって予め設定されていてもよい。すなわち、ノズル71を退避させるか否か、及び、退避量の少なくともいずれか一方が、三次元造形物の造形条件に応じて決定されればよい。
【0083】
(G-3)第1実施形態から第5実施形態において、
図6のステップS50で、退避量が三次元造形物の造形条件に応じて決定される場合は、ノズル71を積層方向に退避させるか否かは造形条件に応じて決定されなくてもよい。この場合、データ生成部411は、例えば、経路データに平行移動経路が含まれている場合はノズル71を積層方向に退避させると決定してもよい。すなわち、ノズル71を退避させるか否か、及び、退避量の少なくともいずれか一方が、三次元造形物の造形条件に応じて決定されればよい。
【0084】
(G-4)第6実施形態において、退避量は、予め定められた値ではなく、三次元造形物の造形条件、すなわち、温度測定工程において測定された層MLの温度に関する条件に応じて決定されてもよい。制御部310は、例えば、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲よりも高い場合は、温度が高いほど退避量が大きくなるように退避量を決定してもよい。また、制御部310は、例えば、温度測定工程において測定された層MLの温度が予め定められた範囲よりも低い場合は、温度が低いほど退避量が大きくなるように退避量を決定してもよい。
【0085】
(G-5)上記実施形態では、情報処理装置400がデータ生成部411を有している。これに対して、三次元造形装置300の制御部310がデータ生成部411を有してもよい。
【0086】
H.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0087】
(1)本開示の一形態によれば、三次元造形物の製造方法が提供される。この三次元造形物の製造方法は、ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法であって、前記ノズルからの前記造形材料の吐出を停止させる第1工程と、前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる第2工程と、を有し、前記第2工程は、前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させる第3工程と、前記第3工程の後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる第4工程と、を有し、前記ノズルを退避させるか否か、及び、前記退避量の少なくともいずれか一方は、前記三次元造形物の造形条件に応じて決定される。
このような形態によれば、吐出停止位置から吐出再開位置までノズルを移動させる場合に、退避量に従ってノズルを積層方向に退避させてから、ノズルを層に沿って移動させるため、既に造形された三次元造形物の一部分にノズルが接触することを抑制できる。ノズルを退避させるか否かが三次元造形物の造形条件に応じて決定される場合は、ノズルを退避させなくても三次元造形物とノズルが接触しない場合にノズルを退避させずに済むため、不要なノズルの移動を減らすことができる。退避量が三次元造形物の造形条件に応じて決定される場合は、三次元造形物とノズルが接触しないために必要な距離だけノズルを退避させることができるため、不要なノズルの移動を減らすことができる。
【0088】
(2)上記形態において、前記造形条件は、前記吐出停止位置と前記吐出再開位置との距離に関する条件を含み、前記第3工程では、前記吐出停止位置と前記吐出再開位置との距離が予め定められた値以上である場合に前記ノズルを前記積層方向に退避させてもよい。このような形態によれば、吐出停止位置と吐出再開位置との距離が短く、吐出停止位置と吐出再開位置の間に既に造形された三次元造形物の一部分が存在しない場合に、ノズルの退避を実行せずに済むため、不要なノズルの移動を減らすことができる。
【0089】
(3)上記形態において、前記造形条件は、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さ、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数に関する条件を含み、前記第3工程では、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さが予め定められた値以上である場合、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数が予め定められた値以上である場合に、前記ノズルを前記積層方向に退避させてもよい。このような形態によれば、三次元造形物が揺れた場合でも、既に造形された三次元造形物の一部分とノズルが接触する可能性を低くできる。
【0090】
(4)上記形態において、前記造形条件は、前記積層方向における前記吐出停止位置の高さ、または、前記吐出停止位置より下方の前記層の積層数に関する条件を含み、第n番目(nは自然数)の前記層である第n層における前記吐出停止位置である第1吐出停止位置と、前記第n層よりも前記積層方向において高い層における前記吐出停止位置である第2吐出停止位置と、が存在する場合に、前記第2吐出停止位置における前記退避量は、前記第1吐出停止位置における前記退避量よりも大きくてもよい。このような形態によれば、三次元造形物が揺れた場合でも、第2吐出停止位置において既に造形された三次元造形物の一部分とノズルが接触する可能性を低くできる。
【0091】
(5)上記形態において、前記造形条件は、前記吐出停止位置から前記吐出再開位置までの前記ノズルの移動範囲における前記三次元造形物の形状に関する条件を含み、前記移動範囲に前記積層方向に突出した形状を有する前記三次元造形物の一部分が位置する場合の前記退避量は、前記移動範囲に前記積層方向に突出した形状を有する前記三次元造形物の一部分が位置しない場合の前記退避量よりも大きくてもよい。このような形態によれば、ノズルが吐出停止位置から吐出再開位置まで移動する間に三次元造形物が揺れた場合でも、積層方向に突出した形状を有する三次元造形物の一部分とノズルが接触する可能性を低くすることができる。
【0092】
(6)上記形態において、前記造形条件は、造形が行われている部分の前記三次元造形物の構造的な位置に関する条件を含み、前記三次元造形物の外郭の造形における前記退避量は、前記三次元造形物の内部領域の造形における前記退避量よりも大きくてもよい。このような形態によれば、三次元造形物の外郭とノズルが接触する可能性を低減できる。そのため、造形が完了した三次元造形物の外郭の造形精度が低下することを抑制できる。
【0093】
(7)上記形態において、前記吐出停止位置および前記吐出再開位置を有する前記層の1層下に位置する前記層の温度を測定する温度測定工程を有し、前記造形条件は、前記温度測定工程において測定された前記層の温度に関する条件を含み、前記第3工程では、前記温度測定工程において測定された前記層の温度が予め定められた範囲を外れていた場合に前記ノズルを前記積層方向に退避させてもよい。このような形態によれば、三次元造形物が冷却されることにより変形した場合、または、三次元造形物が加熱されることにより揺れやすくなった場合でも、三次元造形物とノズルが接触する可能性を低くすることができる。
【0094】
(8)本開示の第2の形態によれば、三次元造形システムが提供される。この三次元造形システムは、材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記造形材料を吐出するノズルを有する吐出部と、前記ノズルから吐出された前記造形材料が積層されるテーブルと、前記ノズルと前記テーブルとの相対的な位置を変更する位置変更部と、前記ノズルの前記テーブルに対する移動経路を表す経路データを生成するデータ生成部と、前記可塑化部、前記吐出部、および前記位置変更部を制御し、前記経路データにしたがって前記ノズルを前記テーブルに対して移動させ、前記テーブル上に前記造形材料の層を積層方向に積層させることで三次元造形物を造形する制御部と、を備え、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止された吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで、前記ノズルを移動させる場合に、前記データ生成部又は前記制御部は、前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、前記制御部は、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合、前記ノズルを前記積層方向に退避させた後に、前記ノズルを前記層に沿って前記吐出再開位置の上方まで移動させる。
【0095】
(9)本開示の第3の形態によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、ノズルから造形材料を吐出して層を積層方向に積層することで三次元造形物を造形するためのデータを生成する情報処理装置であって、前記三次元造形物の造形において前記ノズルの移動する経路を表す経路データを生成するデータ生成部を有し、前記データ生成部は、前記経路データに、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が停止される吐出停止位置から、前記吐出停止位置と同一の前記層に位置し、前記ノズルからの前記造形材料の吐出が再開される吐出再開位置まで前記ノズルを前記層に沿って移動させる平行移動経路が含まれる場合に、前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるか否か、及び、前記ノズルを前記積層方向に退避させる場合の前記ノズルの前記積層方向への移動距離である退避量の、少なくともいずれか一方を前記三次元造形物の造形条件に応じて決定し、前記平行移動経路において前記退避量に従って前記ノズルを前記吐出停止位置から前記積層方向に退避させるように、前記経路データを変更する。
【符号の説明】
【0096】
11…材料供給部、12…可塑化部、13…吐出部、15…連通路、30…スクリュー、31…スクリューの下面、32…中央部、33…溝、34…材料投入口、35…凸条部、40…スクリューケース、50…駆動モーター、60…バレル、61…対向面、62…連通孔、63…可塑化ヒーター、64…案内溝、71…ノズル、72…流路、73…吐出調整部、74…吸引部、75…ノズル開口、100…三次元造形システム、300…三次元造形装置、310…制御部、320…造形部、330…テーブル、331…造形面、340…位置変更部、400…情報処理装置、410…CPU、411…データ生成部、420…メモリー、430…記憶装置、440…通信インターフェイス、450…入出力インターフェイス、460…バス、500…温度測定部、510…支持部、520…基部、ML…層、MM…造形材料、P1…吐出停止位置、P11…第1吐出停止位置、P12…第2吐出停止位置、P2…吐出再開位置、Q…突出部分、RX…回転軸