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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062603
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】電流出力装置および抵抗測定装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/52 20060101AFI20240501BHJP
   H03F 1/02 20060101ALI20240501BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20240501BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H03F1/52
H03F1/02
H03F3/34 230
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170558
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】西島 智香子
(72)【発明者】
【氏名】北村 桂祐
【テーマコード(参考)】
2G028
5J500
【Fターム(参考)】
2G028CG02
2G028DH03
2G028DH13
2G028HN11
2G028HN13
2G028MS05
5J500AA01
5J500AA59
5J500AC36
5J500AC56
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH38
5J500AK02
5J500AK49
5J500AM20
5J500RG03
(57)【要約】
【課題】電圧源を誤って逆極性で接続したときであっても半導体素子の故障を回避する。
【解決手段】電流制御信号Sicを出力する定電流制御部3と、電源電圧+Vccを可変して供給電圧+Vcを出力する可変電源部4pと、電源電圧-Vccを可変して供給電圧-Vcを出力する可変電源部4mと、電流制御信号Sicを増幅して定電流Ipを出力するFET5pと、電流制御信号Sicを増幅して定電流Imを出力するFET5mと、供給電圧+VcがFET5pのソースの電圧値よりも高くなるように可変電源部4pを制御する電圧制御部6pと、供給電圧-VcがFET5mのソースの電圧値よりも低くなるように可変電源部4mを制御する電圧制御部6mと、供給電圧+Vcが第1のしきい値電圧よりも低下したときおよび供給電圧-Vcが第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、遮断回路7に接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させる処理部9とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、
入力されている正電圧の第1の電源電圧の電圧値を第1の電圧制御信号に従って可変して第1の供給電圧として出力する第1の可変電源部と、
前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第1の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記定電流信号として負荷に出力する第1の半導体素子と、
前記第1の供給電圧の電圧値が前記第1の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも高い電圧値となるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する第1の電圧制御部とを備えている電流出力装置であって、
前記第1の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該電流出力端子と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、
前記第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したときに前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記第1の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている電流出力装置。
【請求項2】
負極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、
入力されている負電圧の第2の電源電圧の電圧値を第2の電圧制御信号に従って可変して第2の供給電圧として出力する第2の可変電源部と、
前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第2の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記定電流信号として負荷に出力する第2の半導体素子と、
前記第2の供給電圧の電圧値が前記第2の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも低い電圧値となるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する第2の電圧制御部とを備えている電流出力装置であって、
前記第2の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該電流出力端子と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、
前記第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記第2の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている電流出力装置。
【請求項3】
正極性および負極性のいずれか一方の極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、
入力されている正電圧の第1の電源電圧の電圧値を第1の電圧制御信号に従って可変して第1の供給電圧として出力する第1の可変電源部と、
入力されている負電圧の第2の電源電圧の電圧値を第2の電圧制御信号に従って可変して第2の供給電圧として出力する第2の可変電源部と、
前記正極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号が前記定電流制御部から出力されたときに作動して、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第1の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記正極性の定電流信号として負荷に出力する第1の半導体素子と、
前記負極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号が前記定電流制御部から出力されたときに作動して、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第2の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記負極性の定電流信号として前記負荷に出力する第2の半導体素子と、
前記第1の供給電圧の電圧値が前記第1の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも高い電圧値となるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する第1の電圧制御部と、
前記第2の供給電圧の電圧値が前記第2の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも低い電圧値となるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する第2の電圧制御部とを備え、
前記第1の半導体素子の前記電流出力端子および前記第2の半導体素子の前記電流出力端子の接続点と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該接続点と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、
前記正極性の定電流信号の電流値を制御する前記電流制御信号が前記定電流制御部から出力されている状態において前記第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したとき、および前記負極性の定電流信号の電流値を制御する前記電流制御信号が前記定電流制御部から出力されている状態において前記第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記接続点と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている電流出力装置。
【請求項4】
前記第1の電圧制御部は、前記第1の半導体素子における前記第1の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第1の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する請求項1記載の電流出力装置。
【請求項5】
前記第1の電圧制御部は、前記第1の半導体素子における前記第1の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第1の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する請求項3記載の電流出力装置。
【請求項6】
前記第2の電圧制御部は、前記第2の半導体素子における前記第2の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第2の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する請求項2記載の電流出力装置。
【請求項7】
前記第2の電圧制御部は、前記第2の半導体素子における前記第2の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第2の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する請求項3記載の電流出力装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の電流出力装置と、前記負荷としての測定対象に前記定電流信号を供給すると共に当該測定対象の両端に発生する電圧と当該定電流信号の電流値とに基づいて当該測定対象の抵抗値を測定する測定部とを備えている抵抗測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流信号を負荷に出力可能に構成された電流出力装置、およびそのような電流出力装置を備えて測定対象の抵抗値を測定可能な抵抗測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電流出力装置として、下記の特許文献に開示された電流出力装置(以下、「電流出力装置1X」ともいう)が知られている。図4に示すように、この電流出力装置1Xは、差動増幅器OPX、トランジスタTRX(半導体素子)、FET2X、抵抗Ra,Rb,Rs1および電圧制御部VCXを備えて構成されている。
【0003】
この電流出力装置1Xでは、差動増幅器OPXが、外部から非反転入力端子に入力された入力信号Vsの電圧値と反転入力端子に入力されるフィードバック電圧Vfとの差分信号をトランジスタTRXのベースに出力する。また、トランジスタTRXは、コレクタに入力される降圧された電圧Vcを用いて差分信号を増幅して、外部負荷RLに定電流の負荷電流ILを出力する。この結果、トランジスタTRXのエミッタの電圧は負荷電圧VLとなる。この際に、電圧制御部VCXが、電源から供給される電源電圧Vddを降圧し、降圧した電圧VcとしてトランジスタTRXのコレクタに出力する。また、抵抗Ra,Rbが、電圧制御部VCXから出力される降圧された電圧Vcと、FET2Xから出力されるドレイン電流IDとの両方に比例する基準電圧Vref(=α×Vc+β×ID)を生成して電圧制御部VCXに出力する。これにより、電圧制御部VCXは、基準電圧Vrefの値が一定に保持されるように、予め定められた最低電圧から電源電圧Vddまでの範囲で降圧された電圧Vcを制御する。
【0004】
この場合、トランジスタTRXのコレクタ-エミッタ間電圧Vce(=Vc-VL)が大きくなったときには、この電位差(Vc-VL)と大きさが等しいFET2Xのゲート-ソース間電圧がFET2Xのしきい値電圧Vthを超えるとドレイン電流IDが流れるため、基準電圧Vrefが大きくなる。
【0005】
一方、電圧制御部VCXは、基準電圧Vrefの値が一定に保持されるように電圧Vcを制御するため、ドレイン電流IDが流れた際には、電圧Vcを降圧する。これにより、トランジスタTRXのコレクタ-エミッタ間電圧Vce(Vc-VL)の上昇が抑制される。したがって、この電流出力装置1Xによれば、入力信号Vsが大きく、かつ外部負荷RLが小さい場合であっても、トランジスタTRXのコレクタ-エミッタ間電圧Vce(=Vc-VL)の上昇が抑制されるため、(Vc-VL)×ILで表されるトランジスタTRXの消費電力の上昇が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6257536号公報(第5-11頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の電流出力装置1Xには、以下のような課題が存在する。具体的には、電流出力装置1Xの用途としては、本来的には、抵抗である外部負荷RLに定電流の負荷電流ILを出力することが想定されている。この場合、例えば、負荷電流ILとして1Aの定電流を出力し、抵抗Rs1の抵抗値を1Ωとすることを想定すると、入力信号Vsとして+1Vを入力することになる。したがって、差動増幅器OPXの反転端子(抵抗Rs1の両端)に入力されるフィードバック電圧Vfの電圧値は、入力信号Vsの電圧値とほぼ等しい電圧である+1V(1Ω×負荷電流ILの電流値)となる。
【0008】
一方、外部負荷RLを接続するつもりが、外部負荷RLに代えて、電圧源(一例として「電池Bat」とする。)を誤って逆極性で接続してしまうことがある。例えば、図4に示すように、電池電圧が3Vの電池Batを外部負荷RLに代えて誤って逆接続したときには、トランジスタTRXのエミッタの電圧である負荷電圧VLは、-2V(=+1V-3V)となる。このため、電圧制御部VCXは、FET2Xおよび抵抗Ra,Rbによって生成される基準電圧Vrefを入力して電圧Vcを低下させるように制御する。しかしながら、電圧制御部VCXによって最も低下させられる電圧Vcの予め定められた最低電圧は、電源電圧Vddが正の電圧のため、0V以上となっている。この状態では、トランジスタTRXのコレクタ-エミッタ間電圧Vceが少なくとも+2Vとなるため、トランジスタTRXの消費電力は少なくとも2W(+2V×1A)と大きな消費電力となる。したがって、この電流出力装置1Xには、外部負荷RLに代えて電池Batを誤って逆極性で接続したときに、トランジスタTRXの発火や故障を招くという問題点がある。また、トランジスタTRXの発火や故障を防止するためには、トランジスタTRXとして定格消費電力の大きなトランジスタを使用したり、複数のトランジスタを並列接続したりしたうえで、さらに大きなヒートシンクを用いなければならないため、部品のコスト、ひいては電流出力装置の製造コストが増大するという問題点がある。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても半導体素子の故障を回避し得る電流出力装置、およびそのような電流出力装置を備えて負荷として接続されている測定対象の抵抗値を測定する抵抗測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に係る電流出力装置は、正極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、入力されている正電圧の第1の電源電圧の電圧値を第1の電圧制御信号に従って可変して第1の供給電圧として出力する第1の可変電源部と、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第1の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記定電流信号として負荷に出力する第1の半導体素子と、前記第1の供給電圧の電圧値が前記第1の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも高い電圧値となるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する第1の電圧制御部とを備えている電流出力装置であって、前記第1の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該電流出力端子と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、前記第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したときに前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記第1の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている。
【0011】
この電流出力装置によれば、処理部が、正極性の定電流の電流値を制御する電流制御信号が定電流制御部から出力されている状態において第1の可変電源部から出力される第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したときに、遮断制御信号を遮断回路に出力して第1の半導体素子の電流出力端子と負荷との接続を遮断させることにより、定電流の負荷への出力が停止されるため、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、第1の半導体素子の過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、この電流出力装置によれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどを第1の半導体素子として用いることができる結果、電流出力装置を簡易かつ安価に構成することができる。
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明に係る電流出力装置は、負極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、入力されている負電圧の第2の電源電圧の電圧値を第2の電圧制御信号に従って可変して第2の供給電圧として出力する第2の可変電源部と、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第2の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記定電流信号として負荷に出力する第2の半導体素子と、前記第2の供給電圧の電圧値が前記第2の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも低い電圧値となるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する第2の電圧制御部とを備えている電流出力装置であって、前記第2の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該電流出力端子と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、前記第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記第2の半導体素子の前記電流出力端子と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている。
【0013】
この電流出力装置によれば、処理部が、負極性の定電流の電流値を制御する電流制御信号が定電流制御部から出力されている状態において第2の可変電源部から出力される第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、遮断制御信号を遮断回路に出力して第2の半導体素子の電流出力端子と負荷との接続を遮断させることにより、定電流の負荷への出力が停止されるため、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、第2の半導体素子の過大な消費電力による故障が十分に回避される。したがって、この電流出力装置によれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどを第2の半導体素子として用いることができる結果、電流出力装置を簡易かつ安価に構成することができる。
【0014】
上記目的を達成すべく、本発明に係る電流出力装置は、正極性および負極性のいずれか一方の極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号を出力する定電流制御部と、入力されている正電圧の第1の電源電圧の電圧値を第1の電圧制御信号に従って可変して第1の供給電圧として出力する第1の可変電源部と、入力されている負電圧の第2の電源電圧の電圧値を第2の電圧制御信号に従って可変して第2の供給電圧として出力する第2の可変電源部と、前記正極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号が前記定電流制御部から出力されたときに作動して、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第1の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記正極性の定電流信号として負荷に出力する第1の半導体素子と、前記負極性の定電流信号の電流値を制御する電流制御信号が前記定電流制御部から出力されたときに作動して、前記定電流制御部から出力された前記電流制御信号を前記第2の供給電圧を用いて増幅して電流出力端子から前記負極性の定電流信号として前記負荷に出力する第2の半導体素子と、前記第1の供給電圧の電圧値が前記第1の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも高い電圧値となるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する第1の電圧制御部と、前記第2の供給電圧の電圧値が前記第2の半導体素子における前記電流出力端子の電圧値の高低に追従して、かつ当該電流出力端子の電圧値よりも低い電圧値となるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する第2の電圧制御部とを備え、前記第1の半導体素子の前記電流出力端子および前記第2の半導体素子の前記電流出力端子の接続点と前記負荷との間に配設されて遮断制御信号に従い当該接続点と当該負荷との接続を遮断する遮断部と、前記正極性の定電流信号の電流値を制御する前記電流制御信号が前記定電流制御部から出力されている状態において前記第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したとき、および前記負極性の定電流信号の電流値を制御する前記電流制御信号が前記定電流制御部から出力されている状態において前記第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、前記遮断制御信号を前記遮断部に出力して前記接続点と前記負荷との接続を遮断させる処理部とを備えている。
【0015】
この電流出力装置によれば、処理部が、正極性の定電流の電流値を制御する電流制御信号が定電流制御部から出力されている状態において第1の可変電源部から出力される第1の供給電圧の電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したとき、および負極性の定電流の電流値を制御する電流制御信号が定電流制御部から出力されている状態において第2の可変電源部から出力される第2の供給電圧の電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、遮断制御信号を遮断回路に出力して接続点と負荷との接続を遮断させることにより、定電流の負荷への出力が停止されるため、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、第1の半導体素子や第2の半導体素子の過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、この電流出力装置によれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどを第1の半導体素子や第2の半導体素子として用いることができる結果、電流出力装置を簡易かつ安価に構成することができる。また、この電流測定装置を備えた抵抗測定装置によれば、正極性の定電流を出力しての抵抗値測定および負極性の定電流を出力しての抵抗値測定のいずれも行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る電流出力装置において、前記第1の電圧制御部は、前記第1の半導体素子における前記第1の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第1の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、前記第1の電圧制御信号を出力して前記第1の可変電源部を制御する。
【0017】
この電流出力装置によれば、第1の電圧制御部が、第1の半導体素子における第1の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が第1の半導体素子の電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、第1の電圧制御信号を出力して第1の可変電源部を制御することにより、負荷の抵抗値が変化して第1の半導体素子における電流出力端子の電圧が変化したとしても、第1の半導体素子の電流入力端子および電流出力端子間の電圧を一定電圧に維持することができる。このため、この電流出力装置によれば、抵抗値が異なる各種の負荷に定電流を出力する際の第1の半導体素子の消費電力を一定にすることができる。
【0018】
また、本発明に係る電流出力装置において、前記第2の電圧制御部は、前記第2の半導体素子における前記第2の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が当該第2の半導体素子の前記電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、前記第2の電圧制御信号を出力して前記第2の可変電源部を制御する。
【0019】
この電流出力装置によれば、第2の電圧制御部が、第2の半導体素子における第2の供給電圧が入力される電流入力端子の電圧が第2の半導体素子の電流出力端子の電圧よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、第2の電圧制御信号を出力して第2の可変電源部を制御することにより、負荷の抵抗値が変化して第2の半導体素子における電流出力端子の電圧が変化したとしても、第2の半導体素子の電流入力端子および電流出力端子間の電圧を一定電圧に維持することができる。このため、この電流出力装置によれば、抵抗値が異なる各種の負荷に定電流を出力する際の第2の半導体素子の消費電力を一定にすることができる。
【0020】
上記目的を達成すべく、本発明に係る抵抗測定装置は、上記の電流出力装置と、前記負荷としての測定対象に前記定電流信号を供給すると共に当該測定対象の両端に発生する電圧と当該定電流信号の電流値とに基づいて当該測定対象の抵抗値を測定する測定部とを備えている。
【0021】
この抵抗測定装置によれば、電流出力装置を簡易かつ安価に構成することができるため、抵抗測定装置を簡易かつ安価に構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電流出力装置によれば、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、第1の半導体素子や第2の半導体素子の過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどを第1の半導体素子や第2の半導体素子として用いることができる結果、電流出力装置を簡易かつ安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】抵抗測定装置100の構成を示す構成図である。
図2】抵抗測定装置100Aの構成を示す構成図である。
図3】抵抗測定装置100Bの構成を示す構成図である。
図4】従来の電流出力装置1Xの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、電流出力装置および抵抗測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
最初に第1の実施例としての抵抗測定装置100について説明する。図1に示す抵抗測定装置100は、「電流出力装置(本例では、電流出力装置1)」を備えた「抵抗測定装置」の一例であって、例えば、負荷としての抵抗Rt(測定対象の一例)の抵抗値を測定可能に構成されている。具体的には、抵抗測定装置100は、電流出力装置1、測定部2、および測定用のプローブPR1~PR4を備えて構成されている。
【0026】
電流出力装置1は、定電流制御部3、可変電源部4p,4m、FET5p,5m、FET5p,5m用のバイアス抵抗Rb、電圧制御部6p,6m、遮断回路7、出力部8および処理部9を備え、定電流信号としての正極性の定電流Ipおよび定電流信号としての負極性の定電流Imのいずれか一方(以下、区別しないときには「定電流I(定電流信号)」ともいう)をプローブPR1,PR2を介して抵抗Rtに出力する。
ている。
【0027】
定電流制御部3は、正極性および負極性のいずれか一方の極性の定電流Iの電流値を制御(規定)する電流制御信号Sicを出力可能に構成されている。具体的には、定電流制御部3は、電圧源Bp,Bm、オペアンプOP1、スイッチSW1および基準抵抗R1を備えている。ここで、電圧源Bpは、正極性の定電流Ipの電流値を制御(規定)するための正電圧を出力する電圧源として機能する。また、電圧源Bmは、負極性の定電流Imの電流値を制御(規定)するための負電圧を出力する電圧源として機能する。なお、本例では、一例として、正極性の1Aまたは負極性の1Aの定電流Iを電流出力装置1から出力することを想定して、電圧源Bpとして出力電圧が+1Vのタイプが用いられてオペアンプOP1の非反転入力端子に正極性で接続可能とし,電圧源Bmとして出力電圧が+1Vのタイプが用いられてオペアンプOP1の非反転入力端子に負極性で接続可能となっている。なお、電圧源Bp,Bmとして、出力電圧が固定のタイプの電圧源だけでなく、出力電圧が可変可能なタイプの電圧源を用いることもできる。
【0028】
オペアンプOP1は、差動増幅器として機能し、非反転入力端子の電圧Vpと、反転入力端子の電圧Vmとの差分電圧を電流制御信号Sicとして出力する。なお、オペアンプOP1の非反転入力端子には、電圧源Bp,Bmのいずれか一方の出力電圧が電圧Vpとして入力され、オペアンプOP1の反転入力端子には、抵抗R1に生じるフィードバック電圧Vfが電圧Vmとして入力される。この場合、例えば、電流出力装置1から+1Aの正極性の定電流を定電流Ipとして出力させるときには、抵抗R1の抵抗値を1Ωとし、かつオペアンプOP1の非反転入力端子に電圧源Bpから+1Vの電圧Vpを供給させる。このときには、抵抗R1の両端に生じるフィードバック電圧Vfの電圧値は、オペアンプOP1の非反転入力端子の電圧値とほぼ等しい電圧である+1V(1Ω×定電流Ipの電流値)となる。一方、例えば、電流出力装置1から1Aの負極性の定電流を定電流Imとして出力させるときには、抵抗R1の抵抗値を1Ωとした状態で、オペアンプOP1の非反転入力端子に電圧源Bmから-1Vの電圧Vmを供給させる。このときには、抵抗R1の両端に生じるフィードバック電圧Vfの電圧値は、オペアンプOP1の非反転入力端子の電圧値とほぼ等しい電圧である-1V(1Ω×定電流Imの電流値)となる。スイッチSW1は、処理部9によって制御されて、電流出力装置1から正極性の定電流Ipを出力させるときには、可動接点を電圧源Bp側の固定接点に接触させることにより、電圧源Bpの正電圧(+1V)を電圧VpとしてオペアンプOP1の非反転入力端子に出力させ、電流出力装置1から負極性の定電流Imを出力させるときには、可動接点を電圧源Bm側の固定接点に接触させることにより、電圧源Bmの負電圧(-1V)を電圧VpとしてオペアンプOP1の非反転入力端子に出力させる。
【0029】
可変電源部4pは、第1の可変電源部に相当し、降圧コンバータで構成されて、入力されている正電圧の電源電圧+Vcc(第1の電源電圧:例えば、15Vとする)の電圧値を電圧制御信号Svcp(第1の電圧制御信号)に従って降圧する(電圧値の絶対値を下げる)ことにより可変して供給電圧+Vc(第1の供給電圧)としてFET5pのドレインに出力する。また、可変電源部4pは、供給電圧+Vcの電圧値を示す電圧信号Spを処理部9に出力する。また、可変電源部4mは、第2の可変電源部に相当し、降圧コンバータで構成されて、入力されている負電圧の電源電圧-Vcc(第2の電源電圧:例えば、-15Vとする)の電圧値を電圧制御信号Svcm(第2の電圧制御信号)に従って降圧する(電圧値の絶対値を下げる)ことにより可変して供給電圧-Vc(第2の供給電圧)としてFET5mのドレインに出力する。また、可変電源部4mは、供給電圧-Vcの電圧値を示す電圧信号Smを処理部9に出力する。なお、本例では、可変電源部4p,4mを降圧コンバータで構成しているが、昇圧コンバータで構成して、電源電圧+Vcc,-Vccの電圧を昇圧して(電圧値の絶対値を上げて)供給電圧+Vc,-Vcを生成することもできる。
【0030】
FET5pは、nチャネルのFETが用いられて第1の半導体素子を構成し、正極性の定電流Ipの電流値を制御する正電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されたときに作動して、電流制御信号Sicを可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcを用いて増幅してソース(電流出力端子)から正極性の定電流Ipとして抵抗Rtに出力する。また、FET5mは、pチャネルのFETが用いられて第2の半導体素子を構成し、負極性の定電流Imの電流値を制御する負電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されたときに作動して、電流制御信号Sicを可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcを用いて増幅してソース(電流出力端子)から負極性の定負電流Imとして抵抗Rtに出力する。
【0031】
電圧制御部6pは、第1の電圧制御部として機能し、供給電圧+Vcの電圧値がFET5pにおけるソースの電圧値の高低に追従して、かつそのソースの電圧値よりも高い電圧値となるように、電圧制御信号Svcpを出力して可変電源部4pを制御する。具体的には、電圧制御部6pは、FET5pにおける供給電圧+Vcが入力されるドレイン(電流入力端子)の電圧がソースの電圧よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを出力して可変電源部4pを制御する。より具体的には、電圧制御部6pは、オペアンプOPp、ダイオードDpおよび抵抗Rpを備えて構成されている。
【0032】
オペアンプOPpは、第1の差動増幅回路として機能し、FET5pにおけるソース(正極性の定電流Ipについての電流出力端子)の電圧(抵抗Rtにおける高電位側の端子の電圧:プローブPR1の電圧でもある。)を反転入力端子に入力すると共に抵抗Rpを介して基準電位(本例では、グランドGの電位)を非反転入力端子に入力して、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧(基準電位)との差分電圧を電圧制御信号Svcpとして出力端子から出力して可変電源部4pを制御する。また、ダイオードDpは、電圧規定回路として機能し、供給電圧+Vcが入力されるFET5pのドレイン(電流入力端子)とオペアンプOPpの非反転入力端子との間において、FET5pのドレインからオペアンプOPpの非反転入力端子に向けて電流が流れる向きで(カソードがオペアンプOPpの非反転入力端子に接続される向きで)配設されている。このダイオードDpは、FET5pにおけるドレインの電圧(供給電圧+Vc)をオペアンプOPpの非反転入力端子の電圧よりも予め規定された電圧値(本例では、ダイオードDpの順方向電圧分の電圧値)だけ高く規定する。この場合、オペアンプOPpの非反転入力端子と反転入力端子の電圧が等しいため、ダイオードDpは、FET5pにおけるドレインの電圧(供給電圧+Vc)をFET5pにおけるソースの電圧(抵抗Rtに加わる電圧である出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値(本例では、ダイオードDpの順方向電圧分の電圧値)だけ高く規定する。
【0033】
電圧制御部6mは、第2の電圧制御部として機能し、供給電圧-Vcの電圧値がFET5mにおけるソースの電圧値の高低に追従して、かつそのソースの電圧値よりも低い電圧値となるように、電圧制御信号Svcmを出力して可変電源部4mを制御する。具体的には、電圧制御部6mは、FET5mにおける供給電圧-Vcが入力されるドレイン(電流入力端子)における電圧がソースの電圧よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを出力して可変電源部4mを制御する。より具体的には、電圧制御部6mは、オペアンプOPm、ダイオードDmおよび抵抗Rmを備えて構成されている。
【0034】
オペアンプOPmは、第2の差動増幅回路として機能し、FET5mにおけるソース(負極性の定電流Imについての電流出力端子)の電圧(抵抗Rtにおける低電位側の端子の電圧:プローブPR1の電圧でもある。)を反転入力端子に入力すると共に抵抗Rmを介して基準電位(本例では、グランドGの電位)を非反転入力端子に入力して、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧(基準電位)との差分電圧を電圧制御信号Svcmとして出力端子から出力して可変電源部4mを制御する。また、ダイオードDmは、電圧規定回路として機能し、供給電圧-Vcが入力されるFET5mのドレイン(電流入力端子)とオペアンプOPmの非反転入力端子との間において、オペアンプOPmの非反転入力端子からFET5mのドレインに向けて電流が流れる向きで(カソードがFET5mのドレインに接続される向きで)配設されている。このダイオードDmは、FET5mにおけるドレインの電圧(供給電圧-Vc)をオペアンプOPmの非反転入力端子の電圧よりも予め規定された電圧値(本例では、ダイオードDmの順方向電圧分の電圧値)だけ低く規定する。この場合、オペアンプOPmの非反転入力端子と反転入力端子の電圧が等しいため、ダイオードDmは、FET5mにおけるドレインの電圧(供給電圧-Vc)をFET5mにおけるソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値(本例では、ダイオードDmの順方向電圧分の電圧値)だけ低く規定する。
【0035】
遮断回路7は、遮断部として機能して、スイッチSW2を備えて構成されている。この場合、スイッチSW2は、FET5pにおけるソースおよびFET5mにおけるソースの接続点P1と抵抗Rt(プローブPR1でもある。)との間に配設されて、処理部9から出力される遮断制御信号Scに従い、接続点P1(つまり、FET5p,5mの電流出力端子であるソース)と抵抗Rtとの接続を遮断する。なお、スイッチSW2としては、FETやトランジスタなどの半導体素子、およびリレーなどで構成されている。
【0036】
出力部8は、一例として、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示装置(ディスプレイ)で構成されて、処理部9から出力された抵抗Rtの抵抗値を示すデータや遮断回路7に対する遮断制御の内容を示すデータなどを含む表示データDdを入力して、抵抗Rtの抵抗値や遮断回路7に対する遮断制御状態を画面上に表示する。なお、出力部8は、表示装置に代えて、外部装置とデータ通信を行うインターフェース装置で構成して、この外部装置に表示データDdを出力する構成を採用することもできる。
【0037】
処理部9は、抵抗測定装置100における各種制御を実行する。具体的には、処理部9は、抵抗Rtの抵抗値測定の際には、スイッチSW1に対する切替制御、出力部8に対する表示制御、および遮断回路7に対する遮断制御を実行する。具体的には、処理部9は、切替制御時において、正極性の定電流Ipを出力する際には、電圧源Bpが電圧VpとしてオペアンプOP1の非反転入力端子に入力されるようにスイッチSW1を制御し、負極性の定電流Imを出力する際には、電圧源Bmが電圧VpとしてオペアンプOP1の非反転入力端子に入力されるようにスイッチSW1を制御する。また、処理部9は、表示制御時には、表示データDdを出力して、出力部8に対して抵抗Rtの抵抗値や遮断回路7に対する遮断制御状態(スイッチSW2のオン/オフ状態)を画面上に表示させる。
【0038】
また、処理部9は、遮断制御時には、正極性の定電流Ipの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されているときにおいては、可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcの電圧値を電圧信号Spに基づいて監視して、供給電圧+Vcの電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧(本例では、+1Vとする。)よりも低下したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力してスイッチSW2をオフさせることにより接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させる。また、処理部9は、遮断制御時には、負極性の定電流Imの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されているときにおいては、可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcの電圧値を電圧信号Smに基づいて監視して、供給電圧-Vcの電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧(本例では、-1Vとする。)よりも上昇したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力してスイッチSW2をオフさせることにより接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させる。
【0039】
この場合、第1および第2のしきい値電圧を上記のように規定したのは、下記の理由による。この電流出力装置1では、通常、負荷として抵抗Rtなどが接続されることを想定しており、抵抗Rtが接続されている通常状態では、正極性の定電流Ipを出力する際には、出力電圧Voは正の電圧となる。例えば、抵抗Rtの抵抗値が5Ωであって、正極性の1Aの定電流Ipを出力している状態では、出力電圧Voの電圧値は、+6V(5Ωの抵抗Rtの両端電圧(5V)と1Ωの抵抗R1の両端電圧(+1V)の加算電圧)となる。したがって、この際には、電圧制御部6pのオペアンプOPpは、供給電圧+Vcの電圧が反転入力端子における出力電圧Voの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分(約0.7V)だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを可変電源部4pに出力する。これにより、可変電源部4pは、出力電圧Voの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分だけ高い電圧になるように電源電圧+Vccを降圧して供給電圧+Vcを生成する。このため、FET5pにおける消費電力は、FET5pのドレイン-ソース間の電圧Vds(本例では、ダイオードDpの順方向電圧分(約0.7V))に定電流Ipの電流値(本例では、1A)を乗算した値であって、抵抗Rtの抵抗値の高低に拘わらず一定値となっている。
【0040】
また、負極性の定電流Imを出力する際には、出力電圧Voは負の電圧となる。例えば、抵抗Rtの抵抗値が5Ωであって、負極性の1Aの定電流Imを出力している状態では、出力電圧Voの電圧値は、-6V(5Ωの抵抗Rtの両端電圧(-5V)と1Ωの抵抗R1の両端電圧(-1V)の加算電圧)となる。したがって、この際には、電圧制御部6mのオペアンプOPmは、供給電圧-Vcの電圧が反転入力端子における出力電圧Voの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分(約0.7V)だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを可変電源部4mに出力する。これにより、可変電源部4mは、出力電圧Voの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分だけ低い電圧になるように電源電圧-Vccを降圧して供給電圧-Vcを生成する。このため、FET5mにおける消費電力は、FET5mのドレイン-ソース間の電圧Vds(本例では、ダイオードDmの順方向電圧分(約0.7V))に定電流Imの電流値(本例では、1A)を乗算した値であって、抵抗Rtの抵抗値の高低に拘わらず一定値となっている。
【0041】
ところが、図1に示すように、正極性の定電流Ipを出力する際に、抵抗Rtに代えて電圧源として例えば電池Batを逆接続したときには、プローブPR1における電圧、つまり接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧がマイナス電圧になることがある。この際には、電圧制御部6pのオペアンプOPpが、供給電圧+Vcの電圧が反転入力端子におけるマイナスの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分(約0.7V)だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを可変電源部4pに出力する。これにより、可変電源部4pは、マイナスの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分だけ高い電圧になるように電源電圧+Vccを降圧して供給電圧+Vcを生成する。しかしながら、電源電圧+Vccが正の電圧のため、可変電源部4pが生成可能な供給電圧+Vcの最低電圧はゼロボルトに近い正の電圧となり、異常な状態となる。したがって、この状態において、FET5pから定電流Ipを出力させたときには、FET5pにおける消費電力が、FET5pのドレイン-ソース間の電圧Vds(この例では、接続点P1におけるマイナスの電圧の絶対値の電圧)に定電流Ipの電流値(本例では、1A)を乗算した値となり、過大な消費電力に起因してFET5mの故障を招く可能性がある。したがって、抵抗Rtに代えて電池Batを逆接続したときには、定電流Ipの出力を直ちに停止させる必要がある。このため、可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcの電圧値が第1のしきい値電圧(本例では、+1Vとする。)よりも低下したときには、接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧が少なくとも抵抗R1に発生する電圧(フィードバック電圧Vf)よりも低い電圧(負電圧または絶対値が小さな正の電圧)となる異常状態が発生したとして、処理部9が遮断回路7に対して遮断制御信号Scを出力する条件としている。
【0042】
一方、負極性の定電流Imを出力する際に、抵抗Rtに代えて電圧源として例えば電池Batを正接続したときには、プローブPR1における電圧、つまり接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧がプラス電圧になることがある。この際には、電圧制御部6mのオペアンプOPmが、供給電圧-Vcの電圧が反転入力端子におけるプラスの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分(約0.7V)だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを可変電源部4mに出力する。これにより、可変電源部4mは、プラスの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分だけ低い電圧になるように電源電圧-Vccを降圧して供給電圧-Vcを生成する。しかしながら、電源電圧-Vccが負の電圧のため、可変電源部4mが生成可能な供給電圧-Vcの最低電圧はゼロボルトに近い負の電圧となり、異常な状態となる。したがって、この状態において、FET5mから定電流Imを出力させたときには、FET5mにおける消費電力が、FET5mのドレイン-ソース間の電圧Vds(この例では、接続点P1におけるプラスの電圧の絶対値の電圧)に定電流Imの電流値(本例では、1A)を乗算した値となり、過大な消費電力に起因してFET5mの故障を招く可能性がある。したがって、抵抗Rtに代えて電池Batを正接続したときには、定電流Imの出力を直ちに停止させる必要がある。このため、可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcの電圧値が第2のしきい値電圧(本例では、-1Vとする。)よりも上昇したときには、接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧が少なくとも抵抗R1に発生する電圧(フィードバック電圧Vf)よりも高い電圧(正電圧または絶対値が小さな負の電圧)となる異常状態が発生したとして、処理部9が遮断回路7に対して遮断制御信号Scを出力する条件としている。
【0043】
測定部2は、プローブPR3,PR4間の電圧Vtを入力すると共に、電圧Vtの電圧値と定電流制御部3から出力される定電流Iの電流値とに基づいて、測定対象としての抵抗Rtの抵抗値を測定する。また、測定部2は、測定後に、測定した抵抗Rtの抵抗値を示す測定値データDsを処理部9に出力する。
【0044】
次に、抵抗測定装置100による測定対象としての抵抗Rtの抵抗値を測定する測定処理、および遮断処理について添付図面を参照して説明する。
【0045】
最初に、電流出力装置1から出力させる定電流Iの種類を選択する。例えば、正極性の定電流Ipを選択した際には、処理部9は、スイッチSW1を制御して、出力電圧が1Vの電圧源BpをオペアンプOP1の非反転入力端子に接続させる。この際には、オペアンプOP1の非反転入力端子の電圧Vpは、+1Vとなる。その後、プローブPR1~PR4に抵抗Rtを接続する。
【0046】
次いで、図外の測定開始スイッチを操作する。これにより、オペアンプOP1が、電流制御信号Sicを出力する。また、可変電源部4pが、正電圧の電源電圧+Vccの電圧値を電圧制御信号Svcpに従って降圧することにより可変して供給電圧+VcとしてFET5pのドレインに出力すると共に電圧信号Spを処理部9に出力する。また、可変電源部4mは、負電圧の電源電圧-Vccの電圧値を電圧制御信号Svcmに従って降圧することにより可変して供給電圧-VcとしてFET5mのドレインに出力すると共に電圧信号Smを処理部9に出力する。
【0047】
次いで、FET5pが、正極性の定電流Ipの電流値を制御する正電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されたときに作動して、可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcを用いて電流制御信号Sicを所定の利得で増幅してソースから正極性の定電流Ipとして出力する。この際に、定電流Ipは、電源電圧+Vccの電源、可変電源部4p、FET5p、遮断回路7、プローブPR1、抵抗Rt、プローブPR2、抵抗R1および基準電位からなる電流経路を流れる。この状態では、オペアンプOP1のフィードバック制御により、抵抗R1におけるオペアンプOP1の反転入力端子側の一端には、+1Vのフィードバック電圧Vfが発生する。この結果、電流出力装置1は、1Aの正極性の定電流Ipを抵抗Rtに安定的に出力する。なお、この状態では、負極性の定電流Imの電流値を制御する負電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されていないため、FET5mは作動を停止している。
【0048】
一方、電圧制御部6pでは、オペアンプOPpが、FET5pにおけるソースの電圧(この際の電圧は出力電圧Voとする)を反転入力端子に入力すると共に抵抗Rpを介して基準電位(本例では、グランドGの電位)を非反転入力端子に入力して、反転入力端子の電圧(出力電圧Voの電圧値)と非反転入力端子の電圧(基準電位)との差分電圧を電圧制御信号Svcpとして出力端子から出力して可変電源部4pを制御する。また、ダイオードDpが、FET5pにおけるドレインの電圧(供給電圧+Vc)をFET5pにおけるソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧(本例では、ダイオードDpの順方向電圧分の電圧)だけ高い電圧に規定する。したがって、可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcの電圧値と出力電圧Voの電圧値との差分電圧であるFET5pのドレイン-ソース間の電圧Vdsが+約0.7Vとなり、定電流Iの電流値が1Aのため、FET5pにおける消費電力は、約0.7Wとなる。このため、この電流出力装置1では、発熱が少ない結果、小型で安価なFETやトランジスタを用いることができると共に、FETやトランジスタの放熱用に小型で安価なヒートシンクを用いることができる。
【0049】
次いで、測定部2が、プローブPR3,PR4間の電圧Vtを入力すると共に、電圧Vtの電圧値と定電流制御部3から出力される定電流Iの電流値とに基づいて、測定対象としての抵抗Rtの抵抗値を測定する。次いで、測定部2は、測定後に、測定した抵抗Rtの抵抗値を示す測定値データDsを処理部9に出力する。この際には、処理部9は、表示制御を実行して、表示データDdを出力して、出力部8に対して抵抗Rtの抵抗値を画面上に表示させる。次いで、図外の測定終了スイッチを操作する。これにより、抵抗Rtに対する抵抗値の測定が終了する。
【0050】
なお、電流出力装置1から出力させる定電流Iの種類として負極性の定電流Imを選択した際には、処理部9は、スイッチSW1を制御して、出力電圧が1Vの電圧源BmをオペアンプOP1の非反転入力端子に逆極性で接続させる。この際には、オペアンプOP1の非反転入力端子の電圧Vpは、-1Vとなる。その後、プローブPR1~PR4に抵抗Rtを接続する。
【0051】
次いで、図外の測定開始スイッチを操作する。これにより、オペアンプOP1が、電流制御信号Sicを出力する。また、可変電源部4pが、負電圧の電源電圧+Vccの電圧値を電圧制御信号Svcpに従って降圧することにより可変して供給電圧+VcとしてFET5pのドレインに出力すると共に電圧信号Spを処理部9に出力する。また、可変電源部4mは、負電圧の電源電圧-Vccの電圧値を電圧制御信号Svcmに従って降圧することにより可変して供給電圧-VcとしてFET5mのドレインに出力すると共に電圧信号Smを処理部9に出力する。
【0052】
次いで、FET5mが、負極性の定電流Imの電流値を制御する負電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されたときに作動して、可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcを用いて電流制御信号Sicを所定の利得で増幅してソースから負極性の定電流Imとして出力する。この際に、定電流Imは、基準電位、抵抗R1、プローブPR2、抵抗Rt、プローブPR1、遮断回路7、FET5m、可変電源部4mおよび電源電圧-Vccの電源からなる電流経路を流れる。この状態では、オペアンプOP1のフィードバック制御により、抵抗R1におけるオペアンプOP1の反転入力端子側の一端には、-1Vのフィードバック電圧Vfが発生する。この結果、電流出力装置1は、-1Aの負極性の定電流Imを抵抗Rtに安定的に出力する。なお、この状態では、正極性の定電流Ipの電流値を制御する正電圧の電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されていないため、FET5pは作動を停止している。
【0053】
一方、電圧制御部6mでは、オペアンプOPmが、FET5mにおけるソースの電圧(この際の電圧は出力電圧Voとする)を反転入力端子に入力すると共に抵抗Rmを介して基準電位(本例では、グランドGの電位)を非反転入力端子に入力して、反転入力端子の電圧(出力電圧Voの電圧値)と非反転入力端子の電圧(基準電位)との差分電圧を電圧制御信号Svcmとして出力端子から出力して可変電源部4mを制御する。また、ダイオードDmが、FET5mにおけるドレインの電圧(供給電圧-Vc)をFET5mにおけるソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧(本例では、ダイオードDmの順方向電圧分の電圧)だけ低い電圧に規定する。したがって、可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcの電圧値と出力電圧Voの電圧値との差分電圧であるFET5mにおけるソース-ドレイン間の電圧Vsdが+約0.7Vとなり、定電流Iの電流値が1Aのため、FET5mにおける消費電力は、約0.7Wとなる。このため、この電流出力装置1では、発熱が少ない結果、小型で安価なFETやトランジスタを用いることができると共に、FETやトランジスタの放熱用に小型で安価なヒートシンクを用いることができる。
【0054】
次いで、測定部2が、プローブPR3,PR4間の電圧Vtを入力すると共に、電圧Vtの電圧値と電流出力装置1から出力される定電流Iの電流値とに基づいて、測定対象としての抵抗Rtの抵抗値を測定する。次いで、測定部2は、測定後に、測定した抵抗Rtの抵抗値を示す測定値データDsを処理部9に出力する。この際には、処理部9は、表示制御を実行して、表示データDdを出力して、出力部8に対して抵抗Rtの抵抗値を画面上に表示させる。次いで、図外の測定終了スイッチを操作する。これにより、抵抗Rtに対する抵抗値の測定が終了する。
【0055】
一方、正極性の定電流Ipを出力する際に、抵抗Rtに代えて例えば電圧源として例えば電池電圧が3Vの電池Batを逆接続したときには、接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧が-2Vになる。この際には、電圧制御部6pのオペアンプOPpが、供給電圧+Vcの電圧が反転入力端子における-2Vの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分(約0.7V)だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを可変電源部4pに出力する。これにより、可変電源部4pは、-2Vの電圧よりもダイオードDpの順方向電圧分だけ高い電圧になるように電源電圧+Vccを降圧して供給電圧+Vcを生成しようとする。しかしながら、上記したように、この状態は異常状態であり、FET5pの発熱による故障を招く可能性がある。このため、処理部9は、可変電源部4pから出力されている電圧信号Spを監視して、供給電圧+Vcの電圧値が第1のしきい値電圧である+1Vよりも低下したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力して接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させる。この結果、正極性の定電流Ipの出力が停止されるため、FET5pの過大な消費電力(損失)による故障が回避される。
【0056】
また、負極性の定電流Imを出力する際に、抵抗Rtに代えて例えば電圧源として例えば電池電圧が3Vの電池Batを正接続したときには、接続点P1(FET5p,5mにおけるソース)の電圧が+2Vになる。この際には、電圧制御部6mのオペアンプOPmが、供給電圧-Vcの電圧が反転入力端子における+2Vの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分(約0.7V)だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを可変電源部4mに出力する。これにより、可変電源部4mは、+2Vの電圧よりもダイオードDmの順方向電圧分だけ低い電圧になるように電源電圧-Vccを降圧して供給電圧-Vcを生成しようとする。しかしながら、上記したように、この状態は異常状態であり、FET5mの発熱による故障を招く可能性がある。このため、処理部9は、可変電源部4mから出力されている電圧信号Smを監視して、供給電圧-Vcの電圧値が第2のしきい値電圧である-1Vよりも上昇したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力して接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させる。この結果、負極性の定電流Imの出力が停止されるため、FET5mの過大な消費電力(損失)による故障が回避される。
【0057】
このように、この電流出力装置1によれば、処理部9が、正極性の定電流Ipの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されている状態において可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcの電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したとき、および負極性の定電流Imの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されている状態において可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcの電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力して接続点P1と抵抗Rtとの接続を遮断させることにより、定電流Iの抵抗Rtへの出力が停止されるため、電圧源(本例では、電池Bat)を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、FET5p,5mの過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、この電流出力装置1によれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどをFET5p,5mとして用いることができる結果、電流出力装置1を簡易かつ安価に構成することができる。
【0058】
また、この電流出力装置1によれば、電圧制御部6pが、FET5pにおけるドレインの電圧(供給電圧+Vc)がソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを出力して可変電源部4pを制御し、電圧制御部6mが、FET5mにおけるドレインの電圧(供給電圧-Vc)がソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを出力して可変電源部4mを制御することにより、抵抗Rt(負荷)の抵抗値が変化してFET5p,5mにおけるソースの電圧が変化したとしても、FET5p,5mのドレイン-ソース間の電圧Vdsを一定電圧に維持することができる。このため、この電流出力装置1によれば、抵抗値が異なる各種の抵抗Rt(負荷)に定電流を出力する際のFET5p,5mの消費電力を一定にすることができ、これにより、FET5p,5mの温度上昇も一定にすることができる。
【0059】
また、この抵抗測定装置100によれば、電流出力装置1を簡易かつ安価に構成することができるため、抵抗測定装置100を簡易かつ安価に構成することができる。また、この抵抗測定装置100によれば、正極性の定電流Ipを出力しての抵抗Rtの抵抗値測定および負極性の定電流Imを出力しての抵抗Rtの抵抗値測定のいずれも行うことができる。
【0060】
次に、第2の実施例としての抵抗測定装置100Aについて説明する。
【0061】
図2に示す抵抗測定装置100Aは、「電流出力装置(本例では、電流出力装置1A)」を備えた「抵抗測定装置」の一例であって、例えば、負荷としての抵抗Rt(測定対象の一例)の抵抗値を測定可能に構成されている。具体的には、抵抗測定装置100Aは、電流出力装置1A、測定部2、および測定用のプローブPR1~PR4を備えて構成されている。なお、抵抗測定装置100における構成要素と同様に機能する抵抗測定装置100Aにおける対応する構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
電流出力装置1Aは、定電流制御部3A、可変電源部4p、FET5p、FET5p用のバイアス抵抗Rb、電圧制御部6p、遮断回路7、出力部8および処理部9を備え、定電流信号としての正極性の定電流IpをプローブPR1,PR2を介して抵抗Rtに出力する。
【0063】
定電流制御部3Aは、正極性の定電流Ipの電流値を制御(規定)する電流制御信号Sicを出力可能に構成されている。具体的には、定電流制御部3Aは、電圧源Bp、オペアンプOP1および基準抵抗R1を備えている。ここで、電圧源Bpは、オペアンプOP1の非反転入力端子に直接接続されて、正極性の定電流Ipの電流値を制御(規定)するための電圧源として機能する。なお、本例では、一例として、正極性の1Aの定電流Ipを電流出力装置1Aから出力することを想定して、電圧源Bpとして出力電圧が+1Vのタイプが用いられている。遮断回路7は、電流出力装置1における遮断回路7と同様に構成されて、FET5pにおけるソースと抵抗Rt(負荷)との間に配設されて遮断制御信号Scに従いFET5pにおけるソースと抵抗Rtとの接続を遮断する。
【0064】
また、電流出力装置1Aの動作についても、電流出力装置1における正極性の定電流Ipを出力する際と同様の動作を行うため、その動作説明を省略する。
【0065】
この電流出力装置1Aによれば、電流出力装置1と同様にして、処理部9が、正極性の定電流Ipの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されている状態において可変電源部4pから出力される供給電圧+Vcの電圧値が予め規定された第1のしきい値電圧よりも低下したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力してFET5pにおけるソースと抵抗Rtとの接続を遮断させることにより、定電流Iの抵抗Rtへの出力が停止されるため、電圧源(本例では、電池Bat)を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、FET5pの過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、この電流出力装置1Aによれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどをFET5pとして用いることができる結果、電流出力装置1Aを簡易かつ安価に構成することができる。
【0066】
また、この電流出力装置1Aによれば、電圧制御部6pが、FET5pにおけるドレインの電圧(供給電圧+Vc)がソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値だけ高くなるように、電圧制御信号Svcpを出力して可変電源部4pを制御することにより、抵抗Rt(負荷)の抵抗値が変化してFET5pにおけるソースの電圧が変化したとしても、FET5pのドレイン-ソース間の電圧Vdsを一定電圧に維持することができる。このため、この電流出力装置1Aによれば、抵抗値が異なる各種の抵抗Rt(負荷)に定電流を出力する際のFET5pの消費電力を一定にすることができる。
【0067】
また、この抵抗測定装置100Aによれば、電流出力装置1Aを簡易かつ安価に構成することができるため、抵抗測定装置100Aを簡易かつ安価に構成することができる。
【0068】
次に、第3の実施例としての抵抗測定装置100Bについて説明する。
【0069】
図3に示す抵抗測定装置100Bは、「電流出力装置(本例では、電流出力装置1B)」を備えた「抵抗測定装置」の一例であって、例えば、負荷としての抵抗Rt(測定対象の一例)の抵抗値を測定可能に構成されている。具体的には、抵抗測定装置100Bは、電流出力装置1B、測定部2、および測定用のプローブPR1~PR4を備えて構成されている。なお、抵抗測定装置100における構成要素と同様に機能する抵抗測定装置100Bにおける対応する構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
電流出力装置1Bは、定電流制御部3B、可変電源部4m、FET5m、FET5m用のバイアス抵抗Rb、電圧制御部6m、遮断回路7、出力部8および処理部9を備え、定電流信号としての負極性の定電流ImをプローブPR1,PR2を介して抵抗Rtに出力する。
【0071】
定電流制御部3Bは、負極性の定電流Imの電流値を制御(規定)する電流制御信号Sicを出力可能に構成されている。具体的には、定電流制御部3Bは、電圧源Bm、オペアンプOP1および基準抵抗R1を備えている。ここで、電圧源Bmは、オペアンプOP1の非反転入力端子に直接接続されて、負極性の定電流Imの電流値を制御(規定)するための電圧源として機能する。なお、本例では、一例として、負極性の-1Aの定電流Imを電流出力装置1Bから出力することを想定して、電圧源Bmとして出力電圧が-1Vのタイプが用いられている。遮断回路7は、電流出力装置1における遮断回路7と同様に構成されて、FET5mにおけるソースと抵抗Rt(負荷)との間に配設されて遮断制御信号Scに従いFET5mにおけるソースと抵抗Rtとの接続を遮断する。
【0072】
また、電流出力装置1Bの動作についても、電流出力装置1における負極性の定電流Imを出力する際と同様の動作を行うため、その動作説明を省略する。
【0073】
この電流出力装置1Bによれば、電流出力装置1と同様にして、処理部9が、負極性の定電流Imの電流値を制御する電流制御信号Sicが定電流制御部3から出力されている状態において可変電源部4mから出力される供給電圧-Vcの電圧値が予め規定された第2のしきい値電圧よりも上昇したときに、遮断制御信号Scを遮断回路7に出力してFET5mにおけるソースと抵抗Rtとの接続を遮断させることにより、定電流Iの抵抗Rtへの出力が停止されるため、電圧源(本例では、電池Bat)電池を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、FET5mの過大な消費電力による故障が十分に回避される。また、この電流出力装置1Bによれば、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどをFET5mとして用いることができる結果、電流出力装置1Bを簡易かつ安価に構成することができる。
【0074】
また、この電流出力装置1Bによれば、電圧制御部6mが、FET5mにおけるドレインの電圧(供給電圧-Vc)がソースの電圧(出力電圧Vo)よりも予め規定された電圧値だけ低くなるように、電圧制御信号Svcmを出力して可変電源部4mを制御することにより、抵抗Rt(負荷)の抵抗値が変化してFET5mにおけるソースの電圧が変化したとしても、FET5mのドレイン-ソース間の電圧Vdsを一定電圧に維持することができる。このため、この電流出力装置1Bによれば、抵抗値が異なる各種の抵抗Rt(負荷)に定電流を出力する際のFET5mの消費電力を一定にすることができる。
【0075】
また、この抵抗測定装置100Bによれば、電流出力装置1Bを簡易かつ安価に構成することができるため、抵抗測定装置100Bを簡易かつ安価に構成することができる。
【0076】
なお、電流出力装置は、上記の構成に限定されず、適宜変更することができる。例えば、電流出力装置1,1A,1Bでは、第1の半導体素子および第2の半導体素子としてFETを用いた例について説明したが、トランジスタを用いることができる。トランジスタで構成する場合、コレクタが電流入力端子として機能し、エミッタが電流出力端子として機能する。また、FET5p(またはFET5m)におけるドレインの電圧がソースの電圧よりも予め規定された電圧値だけ高く(または低く)する電圧規定回路としてダイオード(ダイオードDp,Dm)を用いた例について説明したが、トランジスタ、FETおよび集積回路などを用いて、電圧規定回路を構成することができる。ただし、電圧規定回路を簡易に構成する場合には、ダイオード(ダイオードDp,Dm)を用いるのが好ましい。また、第1の半導体素子や第2の半導体素子における消費電力を抑えるためには、「予め規定された電圧値」としては、できるだけ低い電圧(0.7V~1.2V程度)に規定するのが好ましい。また、第1のしきい値電圧や第2のしきい値電圧は、上記した例に限らず、適宜変更することができる。また、基準電位はグランドGの電位に限らず、一定電圧値の電位であればよい。また、電圧源Bp,Bmに代えて、一次電池や二次電池を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本願発明によれば、電圧源を誤って負荷として逆極性で接続したときであっても、第1の半導体素子や第2の半導体素子の過大な消費電力による故障を十分に回避することができる。また、複数のFETやトランジスタなどの半導体素子を並列接続したり、大きなヒートシンクを用いたりすることなく、定格消費電力の小さなFETやトランジスタなどを第1の半導体素子や第2の半導体素子として用いることができる結果、電流出力装置、ひいては抵抗測定装置を簡易かつ安価に構成することができる。これにより、本願発明は、このような電流出力装置や、抵抗測定を行う抵抗測定装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
100,100A,100B 抵抗測定装置
1,1A,1B 電流出力装置
2 測定部
3,3A,3B 定電流制御部
4p,4m 可変電源部
5p,5m FET
6p,6m 電圧制御部
7 遮断回路
9 処理部
図1
図2
図3
図4