(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062611
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】乗物用空気清浄ユニット
(51)【国際特許分類】
A61L 9/16 20060101AFI20240501BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240501BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240501BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20240501BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20240501BHJP
B03C 3/28 20060101ALI20240501BHJP
B60H 3/06 20060101ALI20240501BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20240501BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20240501BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240501BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20240501BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
A61L9/16
A61L9/00 C
A61L9/20
B01D46/52 A
B01D39/14 E
B03C3/28
B60H3/06 E
B60H3/00 F
F24F8/167
F24F8/22
F24F8/192
F24F8/108 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170569
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510037259
【氏名又は名称】昭和セラミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 祐功
(72)【発明者】
【氏名】富田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】和田 聡
(72)【発明者】
【氏名】上條 隆明
(72)【発明者】
【氏名】森田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕司
(72)【発明者】
【氏名】坂元 洸太
【テーマコード(参考)】
3L211
4C180
4D019
4D054
4D058
【Fターム(参考)】
3L211BA09
3L211BA10
3L211BA55
3L211DA73
3L211DA74
3L211DA75
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA10
4C180CC03
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA22X
4C180EA30X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA40X
4C180EA52X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4D019AA01
4D019BA04
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC01
4D019BC06
4D019BC07
4D019BC10
4D019CA02
4D019CB04
4D054BC16
4D058JA13
4D058JB41
4D058JB50
4D058TA06
4D058TA07
(57)【要約】
【課題】空気の清浄化効果が高く、薄型で放熱性に優れる乗物用空気清浄ユニットを提供する。
【解決手段】乗物に設けられた送風装置10の吸気口56から排気口53までの空気流路に設けられる乗物用空気清浄ユニット20であって、前記空気流路を流れる空気流をろ過し、少なくとも上流側に光触媒が担持されているフィルタ30と、前記フィルタ30の上流側に設けられ、前記フィルタ30に向けてUVAを照射するUVA光源32と、前記フィルタ30の下流側に設けられ、前記フィルタ30に向けてUVCを照射するUVC光源35と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に設けられた送風装置の吸気口から排気口までの空気流路に設けられる乗物用空気清浄ユニットであって、
前記空気流路を流れる空気流をろ過し、少なくとも上流側に光触媒が担持されているフィルタと、
前記フィルタの上流側に設けられ、前記フィルタに向けてUVAを照射するUVA光源と、
前記フィルタの下流側に設けられ、前記フィルタに向けてUVCを照射するUVC光源と、を備える、乗物用空気清浄ユニット。
【請求項2】
前記空気流路は乗物のボディと乗物用内装材との間に前記乗物用内装材に沿うように配置されており、
前記UVA光源および前記UVC光源は、前記ボディ側に取り付けられているとともに、前記乗物用内装材側に、前記UVA光源および前記UVC光源から照射された光を前記フィルタに向けて反射する反射部が設けられている請求項1に記載の乗物用空気清浄ユニット。
【請求項3】
前記フィルタのうち少なくとも下流側は帯電されている請求項1または請求項2に記載の乗物用空気清浄ユニット。
【請求項4】
前記フィルタのうち少なくとも下流側は、光透過性を有する材料により構成されている請求項1または請求項2に記載の乗物用空気清浄ユニット。
【請求項5】
前記フィルタはプリーツ加工されている請求項1または請求項2に記載の乗物用空気清浄ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、乗物用空気清浄ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸化チタンに代表される光触媒を利用して空気を清浄化させる装置として、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の空気用除菌フィルターユニットは、細菌捕集用フィルターの両側を光触媒フィルターで挟み込むサンドイッチ構造を有し、それぞれの光触媒フィルターの前面に設けられた光源から紫外線を照射することにより、除菌を図る構成とされている。
【0003】
また、特許文献2に記載の車載用触媒体は、光触媒作用を有する物質を含む構造体と、構造体へ紫外線を含む光を照射する照射手段と、蓄熱した熱を構造体の光触媒へ供給する蓄熱材と、構造体へ送風する送風手段と、が順に重畳された構成となっており、送風手段から送り出した気流を蓄熱材を介して照射手段および構造体へ供給することにより、車内の臭い成分や有害物質を除去分解する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-284431号公報
【特許文献2】特開2006-21098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、最近では除菌ニーズがますます高まっている。また近年、紫外線の中でも短い波長を有する深紫外線(UVC、波長100~280nm)は、高い除菌効果が得られることが知られており、この深紫外線を利用して、乗物の空気を従来以上に清浄化させることが期待される。このような深紫外線を乗物の除菌に適用する際には、薄型化や放熱性が課題となる。
【0006】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、空気の清浄化効果が高く、薄型で放熱性に優れる乗物用空気清浄ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、乗物に設けられた送風装置の吸気口から排気口までの空気流路に設けられる乗物用空気清浄ユニットであって、前記空気流路を流れる空気流をろ過し、少なくとも上流側に光触媒が担持されているフィルタと、前記フィルタの上流側に設けられ、前記フィルタに向けてUVAを照射するUVA光源と、前記フィルタの下流側に設けられ、前記フィルタに向けてUVCを照射するUVC光源と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、フィルタによって捕捉された空気流中の異物は、上流側からUVAが照射されることにより光触媒が作用して、除菌、消臭効果が発揮される。また、捕捉される異物の中でも微小な菌やウイルスの割合が高い下流側からUVCが照射されることにより、より高い除菌効果が得られる。
【0009】
このように、フィルタの上流側および下流側に異なる光源を設けてフィルタに向けて照射することにより、消臭効果および除菌効果が効果的に発揮される。また、2種類の光源を設けながら、これらを離れた位置に配置することにより熱源が分散されるから、局所的な温度の上昇を抑制することができ、放熱性に優れる。また、空気清浄ユニットを薄型に形成することができる。
【0010】
前記空気流路は乗物のボディと乗物用内装材との間に前記乗物用内装材に沿うように配置されており、前記UVA光源および前記UVC光源は、前記ボディ側に取り付けられているとともに、前記乗物用内装材側に、前記UVA光源および前記UVC光源から照射された光を前記フィルタに向けて反射する反射部が設けられていてもよい。
【0011】
光源がフィルタに光を照射するべく空気流路の中央部に設けられると、光源が空気流の妨げとなって圧力損失が生じたり、異音が発生したりすることが懸念される。上記構成によれば、光源が空気流路を遮り難い。また、光源を空気流路の中央部から外れた位置に設ける構成とすると、光源からフィルタに照射される光が弱まったり、光が届き難くなることが懸念されるが、反射部を設けることにより、フィルタに十分な光を照射することができる。さらに、光源をボディ側に取り付けることにより、光源からの熱の影響が乗物室内側に及ぶことを抑制することができる。
【0012】
前記フィルタのうち少なくとも下流側は帯電されていてもよい。このような構成によれば、静電気力によって、より異物を捕捉し易い。
【0013】
前記フィルタのうち少なくとも下流側は、光透過性を有する材料により構成されていてもよい。フィルタにより捕捉される異物は、フィルタの上流側ほど補足割合が高い。また、下流側からUVCを照射しても、その光が異物を多く含む上流側まで到達せずに、除菌の効果が十分に発揮できないことが懸念される。上記構成によれば、フィルタのより奥方まで光を十分に照射し、除菌効果を高めることができる。
【0014】
前記フィルタはプリーツ加工されていてもよい。このような構成によれば、フィルタの面積を増加させることができるから、より多くの異物を捕捉させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に開示される技術によれば、空気の清浄化効果が高く、薄型で放熱性に優れる乗物用空気清浄ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態の空気清浄ユニットを備える車両の天井を車室内から視た斜視図
【
図2】空気清浄ユニットを備える車両の空気の流れを示す模式図
【
図3】空気清浄ユニットを備える天井壁を含む内装材の平面図
【
図4】空気清浄ユニットの縦断面図(
図3のI-I断面図)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示の空気清浄ユニット20を、車両の天井裏に設けた送風装置10に適用した一実施形態を
図1から
図6によって説明する。以下の説明においては、
図2から
図5における左側を前方とし、右側を後方とする。また、
図3における上下方向を車両幅方向とする。さらに、
図4および
図5における上側を上方とし、下側を下方とする。
【0018】
本実施形態の送風装置10は、車両の室内天井を構成する天井壁(乗物用内装材の一例)51と車体を構成するボディパネル60との間に設置されている。送風装置10は、
図4に示すように、送風ファン11と、空気清浄ユニット20と、ダクト38と、を備えており、これらのうち送風ファン11と空気清浄ユニット20は、天井壁51に設けられた開口52に臨む形で配置されている。
【0019】
開口52は、車室内側からカバー(乗物用内装材の一例)55により覆われている。このカバー55は、車両後方から前方に向けて下方に傾斜するように配置されており、前方部分には吸気用の吸気口56が前方に向けて開口している。一方、ダクト38は、天井壁51の上面に沿う形で配されている。天井壁51のうちダクト38の後端部に対応する位置には、ダクト38内を流通した空気を車室内に排気するための排気口53が設けられている(
図1、
図3、
図4参照)。なお、この送風装置10は、後部座席の乗員に向けて送風するべく、排気口53が天井壁51の中央部の比較的に高い位置に設けられている。
【0020】
送風ファン11は全体として扁平な略円柱型の本体部12を備えており、当該本体部12は、底面が上下方向を向くように設置されている(
図4参照)。送風ファン11は、下方から吸い込んだ空気を後方に向けて送風する構成とされており、後方に向けて扁平な角筒状に突出する送風口13を備えている。
【0021】
送風ファン11の後方には、空気清浄ユニット20が設けられている。空気清浄ユニット20は、送風ファン11の送風口13から連なる箱型の収容部21を備えている。収容部21は、
図5に示すように、略水平方向に延在する上壁22と、上壁22と対向する底壁25と、上壁22および底壁25を連結する前壁26と、2つの側壁と、後壁27とを備えており、前壁26に上記送風口13が連なるとともに、後壁27に後述するダクト38が連なっている。また底壁25は、前後方向の中央部分に配されて上壁22と平行に対向する中央底壁部25Bと、中央底壁部25Bの前方に連なり、前方に向けて上方に傾斜する前方底壁部25Aと、中央底壁部25Bの後方に連なり、後方に向けて上方に傾斜する後方底壁部25Cと、から構成されている。
【0022】
上述したカバー55の後方部分のうち、収容部21の後方底壁部25Cを覆う部分の一部は、中央底壁部25Bの高さ以上の位置に配置されている。つまり、収容部21の後方底壁部25Cが上方に向けて傾斜していることにより、カバー55の後方部分を高い位置に配置することができ、もって、乗員の頭部スペースを広く確保することが可能とされている。
【0023】
中央底壁部25Bには、送風ファン11から送り出された空気流をろ過するためのフィルタ30が設置されている。本実施形態において、フィルタ30は2層構造とされている(
図6参照)。
【0024】
このうち上流側に配置される第1フィルタ30Aは、光触媒を含んだ構成とされる。具体的には、光触媒を含んだ多孔質状や不織布状等の形をなした構成や、ポリプロピレンやポリエチレンの不織布等のシート状の基材に粉末状の光触媒が担持された構成とされている。
【0025】
第1フィルタ30Aに含まれる光触媒としては特に限定されず、紫外光によりラジカルやイオンを発生させて、少なくとも臭気物質を分解する作用を発揮するものであればよい。また光触媒は、菌やウィルス等の微生物を殺菌する作用を有するものであってもよい。このような光触媒としては、例えば、酸化チタン、タングステン、インジウム、銀、モリブデン、亜鉛、ガリウム、タンタル、及びヒ素等の金属化合物の中から採用することができる。本実施形態では、二酸化チタンが採用されている。
【0026】
なお、このように光触媒を上流側に配置される第1フィルタ30Aに含ませる構成とすることにより、後述する下流側に配置される第2フィルタ30Bに含ませる構成と比較して、粉末状の光触媒を担持させた場合に、空気流によって光触媒が剥がれることを抑制したり、剥がれた光触媒を下流側で捕捉する効果が得られる。
【0027】
一方、下流側に配置される第2フィルタ30Bは、例えば光透過性を有するガラス繊維等により構成された不織布であって、第1フィルタ30Aより細かい目付を有している。また、その表面は帯電されており、ろ過される空気流中の異物を静電気力によって効率よく捕捉可能とされている。
【0028】
これらの第1フィルタ30Aおよび第2フィルタ30Bは、2層が重ね合わされた状態で左右方向に互い違いに折れ曲がる縦型にプリーツ加工されており、枠体31に嵌め入れられることで、プリーツ形状および配置が保持されるようになっている。箱型の収容部21の内部は、
図3から
図5に示すように、フィルタ30によって前後方向に仕切られており、収容部21を後方に向けて通過する空気流がフィルタ30によりろ過されるようになっている。以下、収容部21のうちフィルタ30より前方の空間部分を前室21A、後方の空間部分を後室21Bと称することとする。
【0029】
図5に示すように、収容部21の上壁22のうち前室21Aに対応する部分には、第1光源32(UVA光源の一例)が設置されている。第1光源32は、第1LED33と第1LED基板34とから構成されている。第1LED基板34は車両幅方向に長尺な帯状をなし、その下面に複数の第1LED33が車両の幅方向に沿って所定の間隔を空けつつ一列に(直線的に)配置されている。これら各第1LED33は、320~400nmの波長の紫外線(UVA)を発光するものであって、第1LED基板34とは反対側の面が主発光面となる、いわゆる頂面発光型とされている。これら複数の第1LED33は、前室21Aの上壁22に設けられた車両幅方向に延びる第1孔部23から収容部21内に露出しており、前室21A内を照射可能とされている。
【0030】
また、上述した前方底壁部25Aには、当該前方底壁部25Aに沿う形で、第1反射板28が設置されている。第1LED33から発光され、第1反射板28に到達した光は、第1反射板28により第1フィルタ30Aの前面に向けて反射されるように設定されている。つまり、前方底壁部25Aの中央底壁部25Bに対する角度は、反射光が第1フィルタ30Aを照射することが可能な角度に設定されている。
【0031】
一方、収容部21の上壁22のうち後室21Bに対応する部分には、第2光源35(UVC光源の一例)が設置されている。第2光源35は、第2LED36と第2LED基板37とから構成されている。第2LED基板37は車両幅方向に長尺な帯状をなし、その下面に複数の第2LED36が車両の幅方向に沿って所定の間隔を空けつつ一列に(直線的に)配置されている。これら各第2LED36は、紫外線の中でも波長が短い波長100~280nmの深紫外線(UVC)を照射する深紫外線LEDである。これらの第2LED36が照射する深紫外線の波長は、200~280nmの範囲内であることが好ましい。第2LED36は、第2LED基板37とは反対側の面が主発光面となる、いわゆる頂面発光型とされている。これら複数の第2LED36は、後室21Bの上壁22に設けられた車両幅方向に延びる第2孔部24から収容部21内に露出しており、後室21B内を照射可能とされている。
【0032】
また、上述した後方底壁部25Cには、当該後方底壁部25Cに沿う形で、第2反射板29が設置されている。第2LED36から発光され、第2反射板29に到達した光は、第2反射板29により第2フィルタ30Bの後面に向けて反射されるように設定されている。つまり、後方底壁部25Cの中央底壁部25Bに対する角度は、反射光が第2フィルタ30Bを照射することが可能な角度に設定されている。
【0033】
このような構成とすることにより、各光源からの直接光だけでなく、反射光を利用して、様々な角度からフィルタ30の表裏に光を照射することが可能となり、フィルタ30がプリーツ状とされる場合であっても、影となる部分を発生し難くすることができる。
【0034】
収容部21の後方には、車両の前後方向に延びるダクト38が連なっている。ダクト38は、上述した収容部21の底壁25と連なるダクト底壁39と、ダクト底壁39と対向するとともに収容部21の後壁27と連なる対向壁40と、ダクト底壁39および対向壁40の間を塞ぐとともに収容部21の2つの側壁と連なる2つのダクト側壁と、ダクト38の後端部を塞ぐ後壁41(
図4参照)と、を備えており、このうちダクト底壁39は、車両の天井壁51により構成されている。ダクト底壁39以外の部分、すなわち、対向壁40、ダクト側壁、および後壁41は、ダクト底壁39(天井壁51)とは別部材である合成樹脂製のダクト形成部材により一体に構成されている。
【0035】
ダクト38の後方部分におけるダクト底壁39には、排気用の排気口53が開口している(
図1、
図3、
図4参照)。排気口53は、車両幅方向(空気の流通方向と交差する方向)に延びて帯状に開口する所謂スリット状とされている。
【0036】
吸気口56から排気口53までが空気流路とされており、吸気口56から吸いこまれた空気流は送風ファン11により空気清浄ユニット20を通過し、ダクト38を通過して排気口53から車室内に排気される。空気流は、空気清浄ユニット20を通過する際に、第1フィルタ30Aに含まれる光触媒および第1光源32からの光(UVA)の作用により、当該空気流中の臭気成分が分解されるとともに、菌やウイルス等の微生物が除菌される。さらに、第1フィルタ30Aを通り抜けた菌やウイルスは、より目付が小さく帯電している第2フィルタ30Bに捕捉され、エネルギーがより高い第2光源35からの光(UVC)により、除菌される。これにより清浄化された空気が、排出口から車室内に排気される。
【0037】
本実施形態の空気清浄ユニット20を備える送風装置10は上述した通りであって、次に、作用効果について説明する。本実施形態の空気清浄ユニット20は、車両に設けられた送風装置10の吸気口56から排気口53までの空気流路に設けられるものであって、空気流路を流れる空気流をろ過し、上流側に光触媒が担持されているフィルタ30と、フィルタ30の上流側に設けられ、フィルタ30に向けてUVAを照射する第1光源32と、フィルタ30の下流側に設けられ、フィルタ30に向けてUVCを照射する第2光源35と、を備える。
【0038】
上記構成によれば、フィルタ30によって捕捉された空気流中の異物は、上流側からUVAが照射されることにより光触媒が作用して、除菌、消臭効果が発揮される。また、捕捉される異物の中でも微小な菌やウイルスの割合が高い下流側からエネルギーが高いUVCが照射されることにより、より高い除菌効果が得られる。
【0039】
このように、フィルタ30の上流側および下流側に異なる光源を設けてフィルタ30に向けて照射することにより、消臭効果および除菌効果が効果的に発揮される。また、2種類の光源を設けながら、これらを離れた位置に配置することにより熱源が分散されるから、局所的な温度の上昇を抑制することができ、放熱性に優れる。また、空気清浄ユニット20を薄型に形成することができる。
【0040】
空気流路は車両のボディパネル60と天井壁51との間に天井壁51に沿うように配置されており、第1光源32および第2光源35は、ボディパネル60側に取り付けられているとともに、天井壁51側に、第1光源32および第2光源35から照射された光をフィルタ30に向けて反射する第1反射板28および第2反射板29が設けられている。
【0041】
光源がフィルタ30に光を照射するべく空気流路の中央部に設けられると、光源が空気流の妨げとなって圧力損失が生じたり、異音が発生したりすることが懸念される。上記構成によれば、光源32、35が空気流路を遮り難い。また、光源32、35を空気流路の中央部から外れた位置に設ける構成とすると、光源32、35からフィルタ30に照射される光が弱まったり、光が届き難くなることが懸念されるが、反射板28、29を設けることにより、フィルタ30に十分な光を照射することができる。さらに、光源32、35をボディパネル60側に取り付けることにより、光源32、35からの熱の影響が車室内側に及ぶことを抑制することができる。
【0042】
また、フィルタ30のうち下流側に配される第2フィルタ30Bは帯電されている。このような構成によれば、静電気力により異物を捕捉し易い。
【0043】
第2フィルタ30Bは、光透過性を有するガラス繊維により構成されている。フィルタ30により捕捉される異物は、フィルタ30の上流側ほど補足割合が高い傾向がある。また、下流側からUVCを照射しても、その光が奥方まで到達せずに、除菌の効果が十分に発揮できないことが懸念される。上記構成によれば、フィルタ30のより奥方まで光を十分に照射し、除菌効果を高めることができる。
【0044】
フィルタ30はプリーツ加工されている。このような構成によれば、フィルタ30の面積を増加させることができるから、より多くの異物を捕捉させることができる。
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0045】
(1)上記実施形態では、空気清浄ユニット20を車両の天井に設けた送風装置10に設けた形態を示したが、空気清浄ユニットは、車両の天井に限らず、例えばフロントパネルやその他の部位に設けた空調装置や送風装置に適用することができる。
【0046】
(2)上記実施形態では、第1光源32および第2光源35を収容部21のボディパネル60側の面に設ける構成を示したが、第1光源および第2光源が空気流路の中央部に設けられたり、乗物用内装材側に設けられる形態も技術範囲に含まれる。
【0047】
(3)上記実施形態では、反射部として反射板28、29を設ける形態を示したが、反射部は反射板に限らず、収容部に反射率が高い樹脂や反射粒子を塗布したり、反射シールを貼付したり、収容部自体を金属等の光を反射可能な材料で構成することができる。
【0048】
(4)上記実施形態では、第2フィルタ30Bが帯電している形態を示したが、第2フィルタは帯電していない形態としてもよい。また、第2フィルタを透光性を有しない材料で構成してもよい。さらに、第1フィルタと同目付としてもよい。
【0049】
(5)また、上記実施形態ではフィルタ30を2層構造としたが、フィルタは、異物を捕捉可能な厚みを有する1層構造とし、フィルタ全体が光触媒を含んだり、帯電したり、透光性を有する構成とすることもできる。
【0050】
(6)上記実施形態では、フィルタ30に縦型のプリーツ加工が施されている形態を示したが、フィルタは、平坦なシート状であったり、横型のプリーツとされている形態とすることもできる。
【0051】
(7)上記実施形態では、光触媒を含む第1フィルタ30Aに対して320~400nmの波長の紫外線(UVA)を照射する形態を示したが、参考例として、可視光、又は赤外光等により作用する光触媒を利用する場合には、可視光や赤外光等を照射する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:送風装置、11:送風ファン、20:空気清浄ユニット(乗物用空気清浄ユニット)、21:収容部、25:底壁、25A:前方底壁部、25B:中央底壁部、25C:後方底壁部、28:第1反射板、29:第2反射板、30:フィルタ、30A:第1フィルタ、30B:第2フィルタ、31:枠体、32:第1光源、35:第2光源、38:ダクト、51:天井壁(乗物用内装材)、52:開口、53:排気口、55:カバー(乗物用内装材)、56:吸気口、60:ボディパネル(ボディ)