(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062619
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G01R33/02 B
G01R33/02 Z
G01R33/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170585
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】長久保 洋介
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AB07
2G017AC07
2G017AD02
2G017BA05
2G017BA15
2G017BA18
2G017CC02
(57)【要約】
【課題】検出対象物の検出感度をより向上させることができる勾配磁界センサを提供する。
【解決手段】第1磁気コアと、第2磁気コアと、前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、集磁機構と、を備え、前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、勾配磁界センサ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁気コアと、
第2磁気コアと、
前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、
前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、
集磁機構と、
を備え、
前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、
前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、
前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、
前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、
前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、
勾配磁界センサ。
【請求項2】
前記集磁機構は、第1集磁機構と、第2集磁機構とを含み、
前記第1集磁機構は、前記第1磁気コアに対して予め決められた第1配置位置に配置され、
前記第2集磁機構は、前記第2磁気コアに対して予め決められた第2配置位置に配置される、
請求項1に記載の勾配磁界センサ。
【請求項3】
前記第1集磁機構は、直線形状の部分を有し、
前記第2集磁機構は、直線形状の部分を有し、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と略平行である、
請求項2に記載の勾配磁界センサ。
【請求項4】
前記第1磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第2磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第1コイルは、前記第1磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第2コイルは、前記第2磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第1集磁機構の直線形状の部分は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と略平行であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と略平行である、
請求項3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項5】
前記第2磁気コアの直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と直交する方向において、前記第1磁気コアの直線形状の部分と対向しており、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2集磁機構の直線形状の部分と直交する方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分と対向しており、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と、前記第2磁気コアの直線形状の部分とを含む仮想的な平面と略平行である、
請求項4に記載の勾配磁界センサ。
【請求項6】
前記第1集磁機構は、前記高透磁率材を第1高透磁率材として、N個の前記第1高透磁率材を含み、且つ、前記低透磁率材を第1低透磁率材として、M個の前記第1低透磁率材を含み、
前記第2集磁機構は、前記高透磁率材を第2高透磁率材として、N個の前記第2高透磁率材を含み、且つ、前記低透磁率材を第2低透磁率材として、M個の前記第2低透磁率材を含み、
前記第1集磁機構では、前記第1高透磁率材と前記第1低透磁率材とが交互に配列され、
前記第2集磁機構では、前記第2高透磁率材と前記第2低透磁率材とが交互に配列され、
前記第2集磁機構における前記高透磁率材と前記低透磁率材との配列は、前記第1集磁機構における前記高透磁率材と前記低透磁率材との配列と同じであり、
Nは、1以上の整数であり、
Mは、1以上の整数である、
請求項5に記載の勾配磁界センサ。
【請求項7】
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する第1方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸とは、略重なっており、
前記第1方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の中心は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの中心と略一致しており、
前記第1方向において、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸とは、略重なっており、
前記第1方向において、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の中心は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの中心と略一致している、
請求項6に記載の勾配磁界センサ。
【請求項8】
前記第1高透磁率材の数と、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1高透磁率材の長さと、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1低透磁率材の長さとのそれぞれは、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第3閾値と、前記第1集磁機構の直線形状の部分に占める前記第1高透磁率材の割合へ前記第1高透磁率材の比透磁率を乗じた第1比透磁率割合とに基づいて決められ、
前記第2高透磁率材の数と、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2高透磁率材の長さと、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2低透磁率材の長さとのそれぞれは、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第4閾値と、前記第2集磁機構の直線形状の部分に占める前記第2高透磁率材の割合へ前記第2高透磁率材の比透磁率を乗じた第2比透磁率割合とに基づいて決められる、
請求項7に記載の勾配磁界センサ。
【請求項9】
前記第1比透磁率割合と前記第2比透磁率割合とのそれぞれは、前記高透磁率材の比透磁率の0.1倍以上、前記高透磁率材の比透磁率の0.9倍以下の範囲内の値である、
請求項8に記載の勾配磁界センサ。
【請求項10】
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの直線形状の部分の長さと、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第5閾値とに基づいて決められ、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの直線形状の部分の長さと、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第6閾値とに基づいて決められる、
請求項9に記載の勾配磁界センサ。
【請求項11】
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの直線形状の部分の長さの0.9以上であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの直線形状の部分の長さの0.9以上である、
請求項10に記載の勾配磁界センサ。
【請求項12】
第1磁気コア直径に対する第1集磁機構幅の割合は、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第7閾値に基づいて決められ、
前記第1磁気コア直径は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第1集磁機構幅は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向と直交する方向における前記第1集磁機構の長さであり、
第2磁気コア直径に対する第2集磁機構幅の割合は、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第8閾値に基づいて決められ、
前記第2磁気コア直径は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第2集磁機構幅は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向と直交する方向における前記第2集磁機構の長さである、
請求項7に記載の勾配磁界センサ。
【請求項13】
前記第1磁気コア直径に対する前記第1集磁機構幅の割合と、前記第2磁気コア直径に対する前記第2集磁機構幅の割合とのそれぞれは、0.5以上60以下の範囲内の値である、
請求項12に記載の勾配磁界センサ。
【請求項14】
第1磁気コア直径に対する第1集磁機構高さの割合は、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第9閾値に基づいて決められ、
前記第1磁気コア直径は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第1集磁機構高さは、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第1集磁機構の長さであり、
第2磁気コア直径に対する第2集磁機構高さの割合は、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第10閾値に基づいて決められ、
前記第2磁気コア直径は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第2集磁機構高さは、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第2集磁機構の長さである、
請求項7に記載の勾配磁界センサ。
【請求項15】
前記第1磁気コア直径に対する前記第1集磁機構高さの割合と、前記第2磁気コア直径に対する前記第2集磁機構高さの割合とのそれぞれは、0.5以上50以下の範囲内の値である、
請求項14に記載の勾配磁界センサ。
【請求項16】
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における第1コイル外周と前記第1集磁機構との間の最短距離は、前記第1集磁機構高さと、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第11閾値とに基づいて決められ、
前記第1コイル外周は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1コイルを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の円周のことであり、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における第2コイル外周と前記第2集磁機構との間の最短距離は、前記第2集磁機構高さと、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第12閾値とに基づいて決められ、
前記第2コイル外周は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2コイルを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の円周のことである、
請求項14に記載の勾配磁界センサ。
【請求項17】
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第1コイル外周と前記第1集磁機構との間の最短距離は、0以上であり、且つ、前記第1集磁機構高さの4倍以下の範囲内の値であり、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第2コイル外周と前記第2集磁機構との間の最短距離は、0以上であり、且つ、前記第2集磁機構高さの4倍以下の範囲内の値である、
請求項16に記載の勾配磁界センサ。
【請求項18】
前記第1磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第2磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第1コイルは、前記第1磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第2コイルは、前記第2磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第1集磁機構の直線形状の部分は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と非平行であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と非平行である、
請求項3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項19】
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状と略同じである、
請求項3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項20】
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、四角形であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2集磁機構を切断した場合の断面の形状は、四角形である、
請求項19に記載の勾配磁界センサ。
【請求項21】
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、正方形であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2集磁機構を切断した場合の断面の形状は、正方形である、
請求項20に記載の勾配磁界センサ。
【請求項22】
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸は、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と略一致している、
請求項3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項23】
勾配磁界センサを備え、
前記勾配磁界センサは、
第1磁気コアと、
第2磁気コアと、
前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、
前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、
集磁機構と、
を備え、
前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、
前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、
前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、
前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、
前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、
磁性物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出する勾配磁界センサについての研究、開発が行われている。ここで、当該勾配は、当該2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの差分のことである。
【0003】
勾配磁界センサは、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さを検出するため、2つのセンサヘッドを備える。勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの一方が、これら2つの異なる地点のうちの一方における磁界の強さを検出する。また、勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの他方が、これら2つの異なる地点のうちの他方における磁界の強さを検出する。そして、勾配磁界センサは、これら2つのセンサヘッドから出力される信号に応じて、これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配は、磁界を変化させることが可能な物体の有無によって変化する。これを利用し、勾配磁界センサは、このような物体を検出対象物とし、検出対象物を検出することができる。
【0004】
これに関し、交流電源が有する第1電源端子が接続される交流電源接続端子と、交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される第1磁気コアと、交流電源接続端子とグラウンドとの間において第1磁気コアと並列に接続される第2磁気コアと、交流電源接続端子と、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続され、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流を制御する交流電流制御部と、第1磁気コアに巻回される第1検出コイルと、第2磁気コアに巻回され、且つ、第1検出コイルと差動接続される第2検出コイルと、第1検出コイルから出力される第1電圧と、第2検出コイルから出力される第2電圧との差分に応じた電圧を検出する検出回路と、を備える勾配磁界センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような勾配磁界センサは、第1磁気コアによる検出対象物の検出感度と、第2磁気コアによる検出対象物の検出感度とを略一致又は一致させることによってノイズを低減し、検出対象物の検出感度を向上させることができる。しかしながら、当該勾配磁界センサでは、検出対象物が小さくなるほど、又は、磁化された検出対象物の磁力が弱いほど、検出対象物の検出感度が十分ではなくなり、その結果、検出対象物の検出に失敗してしまう場合があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、検出対象物の検出感度をより向上させることができる勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、第1磁気コアと、第2磁気コアと、前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、集磁機構と、を備え、前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、勾配磁界センサである。
【0009】
また、本発明の一態様は、勾配磁界センサを備え、前記勾配磁界センサは、第1磁気コアと、第2磁気コアと、前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、集磁機構と、を備え、前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有する、磁性物検出装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検出対象物の検出感度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した勾配磁界センサ12の斜視図である。
【
図3】検出対象物DMから発生した磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を第1集磁機構CM1が増加させている様子の一例を示す図である。
【
図4】勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備えていない場合において、検出対象物DMから発生した磁束のうちの一部が第1磁気コアCR1と鎖交している様子の一例を示す図である。
【
図5】
図3に示した第1磁気コアCR1と、
図4に示した第1磁気コアCR1とのそれぞれと鎖交する磁束の量を比較するための図である。
【
図6】ノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交せずに第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を通る経路を流れる様子の一例を示す図である。
【
図7】勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備えていない場合において、
図6に示したノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2と鎖交する様子の一例を示す図である。
【
図8】第1集磁機構CM1における第1高透磁率材の数Nと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1高透磁率材の長さtと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方を説明するための図である。
【
図9】対象状態の勾配磁界センサ12において第1比透磁率割合magの値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。
【
図10】第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の長さL
coreに対する、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1集磁機構CM1の長さL
totalの割合の決め方を説明するための図である。
【
図11】対象状態の勾配磁界センサ12において長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。
【
図12】第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の決め方を説明するための図である。
【
図13】対象状態の勾配磁界センサ12において第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。
【
図14】第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の決め方を説明するための図である。
【
図15】対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。
【
図16】第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の決め方を説明するための図である。
【
図17】対象状態の勾配磁界センサ12において第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。
【
図18】勾配磁界センサ12の検出感度の一例を示す図である。
【
図19】勾配磁界センサ12が検出するノイズの一例を示す図である。
【
図20】勾配磁界センサ12により検出されたノイズについてのノイズ・フロアの一例を示す図である。
【
図21】2つの磁気シールドが設けられた勾配磁界センサ12の様子の一例を示す斜視図である。
【
図22】勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
【
図23】複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。
【
図24】第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2の構成の変形例を示す図である。
【
図25】勾配磁界センサ12Aの回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<磁性物検出装置の概要>
まず、本実施形態に係る磁性物検出装置の概要について説明する。
【0014】
実施形態に係る磁性物検出装置は、実施形態に係る勾配磁界センサを備え、勾配磁界センサは、第1磁気コアと、第2磁気コアと、第1磁気コアに配置される第1コイルと、第2磁気コアに配置される第2コイルと、集磁機構を備える。ここで、第2コイルは、第1コイルと差動接続される。集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材を含む。高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有する。低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有する。そして、第2閾値は、第1閾値以下である。
【0015】
これにより、実施形態に係る勾配磁界センサ、及び実施形態に係る磁性物検出装置は、検出対象物の検出感度をより向上させることができる。
【0016】
以下では、実施形態に係る磁性物検出装置と、実施形態に係る勾配磁界センサとのそれぞれの構成について、詳しく説明する。
【0017】
<磁性物検出装置の構成>
以下、実施形態に係る磁性物検出装置の一例として磁性物検出装置1を例に挙げて、実施形態に係る磁性物検出装置の構成について説明する。ここで、実施形態では、直流電力に応じた電気信号、又は交流電力に応じた電気信号を伝送する導体のことを、伝送路と称して説明する。伝送路は、例えば、基板上にプリントされた導体であってもよく、導体が線状に形成された導線であってもよく、他の導体であってもよい。また、実施形態では、電圧と称した場合、所定の基準となる電位からの電位差を意味し、基準となる電位についての図示及び説明を省略する。ここで、基準となる電位は、如何なる電位であってもよい。実施形態では、一例として、基準となる電位がグラウンド電位である場合について説明する。また、実施形態では、グラウンドと称した場合、同一のグラウンドを示す。
【0018】
図1は、磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上又は上方向と称し、Z軸の負方向を下又は下方向と称して説明する。
【0019】
磁性物検出装置1は、検出対象物を磁界により検出する装置である。検出対象物は、磁界を変化させることが可能な物体のことであり、例えば、磁化された磁性体のことである。
【0020】
磁性物検出装置1は、例えば、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、勾配磁界センサ12と、情報処理装置20を備える。そして、勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との2つのセンサヘッドを備える。なお、
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、磁性物検出装置1における情報処理装置20と他の部材とを接続するケーブルについては、省略している。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部を備えない構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部に代えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20との全部に加えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。
【0021】
枠体CSには、磁性物検出装置1の各部材が取り付けられる。枠体CSは、主として、図示しない天板と、図示しない底板と、天板と底板とを接続する複数の支柱とから構成される。
図1に示した例では、枠体CSの外形状は、ほぼ直方体形状である。なお、枠体CSの外形状は、如何なる形状であってもよい。
【0022】
枠体CSの内部には、第1ローラRL1と、第2ローラRL2とが設けられている。
【0023】
第1ローラRL1は、検出対象物の付着の有無を検査される対象となるシート部材STがロール状に巻かれたローラのことである。第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを所定の経路に沿って搬送させながら巻き取るローラのことである。第2ローラRL2は、図示しないサーボモータ等により回転させられる。これにより、第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを巻き取ることができる。すなわち、第2ローラRL2は、駆動ローラである。そして、第1ローラRL1は、第2ローラRL2の回転に応じてシート部材STが巻き取られながら回転する受動ローラである。なお、当該サーボモータは、例えば、情報処理装置20により制御される。
【0024】
シート部材STは、第1ローラRL1から引き出されて第2ローラRL2により巻き取られるまでの間に、着磁装置11により発生させられた磁界の中を搬送させられる。これにより、シート部材STに付着した磁性体は、磁化する。すなわち、
図1に示した例では、磁性物検出装置1は、着磁装置11により磁化された磁性体を、検出対象物として検出する。シート部材STは、当該磁界の中を搬送させられた後、勾配磁界センサ12が検出対象物の有無を検出可能な所定の検出領域を搬送させられる。そして、シート部材STは、第2ローラRL2に巻き付けられる。
【0025】
ここで、着磁装置11は、所定の磁化領域に所定の強さの磁界を発生させ、磁化領域内に入った磁性体を磁化する装置である。着磁装置11については、既知の装置であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0026】
勾配磁界センサ12は、前述の検出領域における2つの異なる地点のそれぞれに配置されたセンサヘッド、すなわち、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とにより、当該2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これにより、勾配磁界センサ12から出力される検出信号を取得する情報処理装置20は、検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定することができる。なお、以下では、説明の便宜上、第1センサヘッドS1が配置された地点と第2センサヘッドS2が配置された地点との2つの地点における磁界の強さの勾配を、単に勾配と称して説明する。
【0027】
ここで、
図2は、
図1に示した勾配磁界センサ12の斜視図である。なお、
図2に示した矢印A1は、勾配磁界センサ12に対してシート部材STが動く方向を示す。また、
図2に示した検出対象物DMは、勾配磁界センサ12が検出する検出対象物の一例である。検出対象物DMは、実際にはシート部材STに付着している。しかしながら、
図2では、図が煩雑になるのを防ぐため、シート部材STを省略し、検出対象物DMのみを示している。このため、
図2では、矢印A1は、検出対象物DMが動く方向を示している。
【0028】
勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1、第2センサヘッドS2とともに、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とが接続される本体部と、集磁機構CMを備える。ここで、勾配磁界センサ12の本体部には、勾配磁界センサ12を制御する各種の回路を含む基板が搭載されている。第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、これらの各種の回路のうちの少なくとも一部に、電気的に接続される。そして、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、勾配磁界センサ12の本体部により支持される。なお、
図2では、図を簡略化するため、勾配磁界センサ12の本体部が省略されている。
【0029】
第1センサヘッドS1は、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する。第2センサヘッドS2は、第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する。第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、直線形状の部分を有する。以下では、一例として、
図2に示したように、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれが、全体として略直線形状のセンサヘッドである場合について説明する。このため、
図2に示した例では、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、X軸と平行な方向に向かって延伸する直線形状の物体として描かれている。そして、当該例では、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を含む平面が、XY平面と平行になるように配置されている。XY平面は、X軸とY軸とによって張られる仮想的な平面のことである。また、当該例では、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、互いに対向し、且つ、互いに平行に並んで配置されている。これにより、勾配磁界センサ12は、磁界を検出する方向を同じ方向とすることができ、その結果、地磁気、遠方一様時間等のノイズとなる磁界に対しての検出感度を、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれにおいて互いに略同じにすることができる。なお、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、当該平面がXY平面と非平行になるように配置されてもよい。また、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、互いに非平行に並んで配置されてもよい。また、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、同軸上に配置されてもよい。なお、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのうちのいずれか一方又は両方は、略直線形状のセンサヘッドに代えて、直線形状を有する他の形状のセンサヘッドであってもよく、直線形状を有さない他の形状のセンサヘッドであってもよい。また、本実施形態において全体が略直線形状の各種の部材(例えば、第1センサヘッドS1、第2センサヘッドS2のそれぞれ等)についての説明は、それらの各種の部材が部分的に直線形状であった場合、それらの各種の部材それぞれの直線形状の部分に対して適用される。
【0030】
また、第1センサヘッドS1は、
図2に示したように、第1磁気コアCR1と、第1コイルCL1を備える。
【0031】
第1磁気コアCR1は、直線形状の部分を有する。ここで、この一例において、第1センサヘッドS1は、全体として略直線形状のセンサヘッドである。この場合、第1磁気コアCR1も、
図2に示したように、第1磁気コアCR1が全体として略直線形状の磁気コアである。また、以下では、一例として、略直線形状の第1磁気コアCR1が延伸する方向と直交する仮想的な平面によって第1磁気コアCR1を切断した場合の断面の形状が、円形状である場合について説明する。すなわち、この場合、第1磁気コアCR1は、円柱形状の磁気コアである。ここで、
図2に示した例では、第1磁気コアCR1が延伸する方向は、X軸と平行な方向である。以下では、説明の便宜上、当該断面を、第1磁気コアCR1の断面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1磁気コアCR1が延伸する方向へ向かって当該断面の中心(すなわち、図心、重心等)を通る軸を、第1磁気コアCR1の中心軸と称して説明する。そして、以下では、説明の便宜上、第1磁気コアCR1が延伸する方向を、第1磁気コアCR1の中心軸方向と称して説明する。なお、第1磁気コアCR1の断面の形状は、円形状に代えて、楕円形状であってもよく、矩形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0032】
第1コイルCL1は、第1磁気コアCR1に配置される。より具体的には、第1コイルCL1は、第1磁気コアCR1の周囲にソレノイドコイルとして配置された(巻回された)導体である。このため、第1コイルCL1には、第1磁気コアCR1に磁束が鎖交した場合、鎖交した磁束の変化に応じた電流が流れる。そして、第1コイルCL1に流れる電流の値は、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が増加するほど大きくなり、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が減少するほど小さくなる。
【0033】
第2磁気コアCR2は、直線形状の部分を有する。ここで、この一例において、第2センサヘッドS2は、全体として略直線形状のセンサヘッドである。この場合、第2磁気コアCR2も、
図2に示したように、第2磁気コアCR2が全体として略直線形状の磁気コアである。また、以下では、一例として、略直線形状の第2磁気コアCR2が延伸する方向と直交する仮想的な平面によって第2磁気コアCR2を切断した場合の断面の形状が、製造誤差等によるずれを除いて第1磁気コアCR1の断面の形状と略同じ形状、すなわち、円形状である場合について説明する。すなわち、この場合、第2磁気コアCR2は、円柱形状の磁気コアである。ここで、
図2に示した例では、第2磁気コアCR2が延伸する方向は、X軸と平行な方向である。以下では、説明の便宜上、当該断面を、第2磁気コアCR2の断面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2磁気コアCR2が延伸する方向へ向かって当該断面の中心(すなわち、図心、重心等)を通る軸を、第2磁気コアCR2の中心軸と称して説明する。そして、以下では、説明の便宜上、第2磁気コアCR2が延伸する方向を、第2磁気コアCR2の中心軸方向と称して説明する。なお、第2磁気コアCR2の断面の形状は、円形状に代えて、楕円形状であってもよく、矩形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0034】
第2コイルCL2は、第2磁気コアCR2に配置される。より具体的には、第2コイルCL2は、第2磁気コアCR2の周囲にソレノイドコイルとして配置された(巻回された)導体である。このため、第2コイルCL2には、第2磁気コアCR2に磁束が鎖交した場合、鎖交した磁束の変化に応じた電流が流れる。そして、第2コイルCL2に流れる電流の値は、第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量が増加するほど大きくなり、第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量が減少するほど小さくなる。
【0035】
ここで、第2コイルCL2は、第1コイルCL1と差動接続される。なお、第1コイルCL1及び第2コイルCL2を含む勾配磁界センサ12の回路構成については、後述する。
【0036】
勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物を検出する。センサヘッド領域は、このような構成の第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれを対向する辺として有する仮想的な四角形の領域のことである。なお、第1センサヘッドS1の一部が非直線形状であり、且つ、第2センサヘッドS2の一部が非直線形状である場合、センサヘッド領域は、第1センサヘッドS1が有する直線形状の部分と、第2センサヘッドS2が有する直線形状の部分とのそれぞれを対向する辺として有する仮想的な四角形の領域のことである。
【0037】
集磁機構CMは、検出対象物から発生する磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を増加させるとともに、検出対象物から発生する磁束のうち第2磁気コアCR2と鎖交する磁束の量を増加させる部材である。以下では、一例として、
図2に示したように、集磁機構CMが、第1集磁機構CM1と、第2集磁機構CM2を含む場合について説明する。なお、集磁機構CMは、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2に加えて、他の1以上の集磁機構を備える構成であってもよい。また、集磁機構CMは、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とのうちの一方を含み、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とのうちの他方を含まない構成であってもよい。
【0038】
第1集磁機構CM1は、検出対象物から発生する磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を増加させる部材である。第1集磁機構CM1は、直線形状の部分を有する。以下では、一例として、
図2に示したように、第1集磁機構CM1が全体として略直線形状の部材である場合について説明する。また、以下では、一例として、
図2に示したように、第1集磁機構CM1が延伸する方向と直交する仮想的な平面によって第1集磁機構CM1を切断した場合の断面の形状が、正方形状である場合について説明する。すなわち、この場合、第1集磁機構CM1の形状は、断面が正方形の四角柱形状である。ここで、
図2に示した例では、第1集磁機構CM1が延伸する方向は、X軸と平行な方向である。以下では、説明の便宜上、当該断面を、第1集磁機構CM1の断面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1集磁機構CM1が延伸する方向へ向かって当該断面の中心(すなわち、図心、重心等)を通る軸を、第1集磁機構CM1の中心軸と称して説明する。そして、以下では、説明の便宜上、第1集磁機構CM1が延伸する方向を、第1集磁機構CM1の中心軸方向と称して説明する。なお、第1集磁機構CM1の断面の形状は、正方形状に代えて、円形状であってもよく、楕円形状であってもよく、長方形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0039】
第1集磁機構CM1は、第1磁気コアCR1に対して予め決められた第1配置位置に配置される。この際、第1集磁機構CM1は、第1集磁機構CM1から第1磁気コアCR1へ向かう方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗が最も低くなるように、第1配置位置に配置される。例えば、この一例のように第1集磁機構CM1の断面が正方形状である場合、第1集磁機構CM1は、第1集磁機構CM1の断面の形状である正方形が有する2つの辺が、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2とを含む仮想的な平面と、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になるように、第1配置位置に配置される。これは、第1集磁機構CM1の断面の形状である正方形状である場合、当該正方形が有する各辺と平行な方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗が、製造誤差等によるずれを除いて略等しくなり、且つ、当該正方形が有する各辺と非平行な方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗が、当該正方形が有する各辺と平行な方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗と比べて高いためである。また、例えば、第1集磁機構CM1の断面が長方形状である場合、第1集磁機構CM1は、第1集磁機構CM1の断面の形状である長方形が有する2つの短辺が、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2とを含む仮想的な平面と、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になるように、第1配置位置に配置される。これは、第1集磁機構CM1の断面の形状である長方形状である場合、当該長方形が有する長辺と平行な方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗が、他の方向における第1集磁機構CM1の磁気抵抗がと比べて低いためである。
【0040】
図2に示した例では、第1配置位置は、略直線形状の第1磁気コアCR1と略直線形状の第1集磁機構CM1とが、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になり、且つ、第1磁気コアCR1と第1集磁機構CM1とが第1磁気コアCR1、第1集磁機構CM1の順に上から下へ並ぶ位置である。また、当該例では、第1配置位置は、上から下に向かって勾配磁界センサ12を見た場合、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の中心と、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1集磁機構CM1の中心とが、組み付け誤差等によるずれを除いて略一致する位置である。この場合、上下方向において、第1集磁機構CM1の中心軸は、第1磁気コアCR1の中心軸と、組み付け誤差等によるずれを除いて、略重なっている。なお、第1配置位置は、検出対象物が通過する領域と、第1磁気コアCR1との間の位置であれば、他の位置であってもよい。このため、第1集磁機構CM1は、第1磁気コアCR1と非平行であってもよい。また、このため、第1集磁機構CM1の中心軸の一部又は全部は、上下方向において、第1磁気コアCR1の中心軸と重なっていなくてもよい。また、第1集磁機構CM1は、第1磁気コアCR1に配置された第1コイルCL1と接触していてもよく、離間していてもよい。ただし、第1集磁機構CM1と第1コイルCL1とが接触している場合、第1集磁機構CM1は、第1コイルCL1として巻回された導体表面の絶縁被膜等によって第1コイルCL1と電気的に絶縁される。以下では、説明の便宜上、上下方向における第1コイルCL1と第1集磁機構CM1との間の距離を、第1離間距離g1と称して説明する。
【0041】
ここで、第1集磁機構CM1は、高透磁率材HMを第1高透磁率材とし、低透磁率材LMを第1低透磁率材として、N個の第1高透磁率材と、M個の第1低透磁率材を含む。Nは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。また、Mは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。なお、
図2に示した例では、Nは、15である。また、当該例では、Mは、N-1、すなわち、14である。また、
図2では、図が煩雑になるのを防ぐため、15個の第1高透磁率材のうち2個の第1高透磁率材のみをHMによって示している。また、
図2では、図が煩雑になるのを防ぐため、14個の第1低透磁率材のうち2個の第1低透磁率材のみをLMによって示している。
【0042】
高透磁率材HMは、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有する部材であり、例えば、フェライト等の磁性体製の部材である。
【0043】
低透磁率材LMは、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有する部材であり、例えば、ファインセラミック等の非磁性体である。ここで、第2閾値は、第1閾値以下の値であれば、如何なる値であってもよい。なお、低透磁率材LMは、非磁性体に代えて、例えば、第2閾値未満の透磁率を有する磁性体であってもよく、空気であってもよい。
【0044】
第1集磁機構CM1では、第1高透磁率材と第1低透磁率材とは、
図2に示したように、交互に配列される。このため、第1集磁機構CM1は、
図3に示したように、検出対象物DMから発生する磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を増加させることができる。
図3は、検出対象物DMから発生した磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を第1集磁機構CM1が増加させている様子の一例を示す図である。また、
図3は、第1集磁機構CM1の中心軸、及び第1磁気コアCR1の中心軸と直交する方向のうち、センサヘッド領域と平行な方向から第1集磁機構CM1及び第1センサヘッドS1を見た場合の第1集磁機構CM1及び第1センサヘッドS1の側面図の一例を示す図でもある。
図3に示した例では、
図2に示した検出対象物DMは、第1集磁機構CM1の直下に位置している。そして、
図3に示した矢印は、検出対象物DMから発生した磁束が通る経路の一部の一例を示している。
図3に示したように、検出対象物DMから発生した磁束は、第1低透磁率材よりも磁気抵抗が低い第1高透磁率材を通って、第1磁気コアCR1と鎖交する。ここで、第1集磁機構CM1において第1高透磁率材と第1低透磁率材とが交互に配置されているため、第1高透磁率材を通る磁束は、第1集磁機構CM1の中心軸方向への拡がりが抑制される。このため、第1高透磁率材を通る磁束のほとんどは、
図3に示したように、第1磁気コアCR1と鎖交する。このような理由により、第1集磁機構CM1は、検出対象物DMから発生した磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を増加させることができる。なお、
図3では、図が煩雑になるのを防ぐため、第1磁気コアCR1と鎖交した後の磁束の流れについては、省略されている。
【0045】
一方、
図4は、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備えていない場合において、検出対象物DMから発生した磁束のうちの一部が第1磁気コアCR1と鎖交している様子の一例を示す図である。この場合、検出対象物DMから発生した磁束の多くは、
図4に示したように、第1磁気コアCR1と鎖交することなく、検出対象物DMへ戻る磁気回路を形成する。このため、当該場合、検出対象物DMから発生した磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量は、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備えている場合と比較して、少なくなる。換言すると、これは、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備える場合、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備えていない場合と比較して、検出対象物DMから発生した磁束のうち第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量が多くなることを示している。
【0046】
図5は、
図3に示した第1磁気コアCR1と、
図4に示した第1磁気コアCR1とのそれぞれと鎖交する磁束の量を比較するための図である。ここで、
図3に示した第1磁気コアCR1は、すなわち、第1集磁機構CM1を備えた第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1のことである。また、
図4に示した第1磁気コアCR1は、すなわち、第1集磁機構CM1を備えていない第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1のことである。
図5に示したグラフの横軸は、検出対象物DMを、第1磁気コアCR1の中心軸と平行な方向に第1磁気コアCR1の直下を移動させた場合における検出対象物DMの位置を示している。このため、当該横軸の原点は、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の中心の位置を示している。また、当該グラフの縦軸は、第1磁気コアCR1と鎖交した磁束の量を示している。また、当該グラフにプロットされた曲線F1は、
図3に示した第1磁気コアCR1の直下を当該方向へ向かって検出対象物DMが移動した場合において、検出対象物DMから発生した磁束のうち、当該第1磁気コアCR1と鎖交した磁束の量の変化の一例を示す。また、当該グラフにプロットされた曲線F2は、
図4に示した第1磁気コアCR1の直下を当該方向へ向かって検出対象物DMが移動した場合において、検出対象物DMから発生した磁束のうち、当該第1磁気コアCR1と鎖交した磁束の量の変化の一例を示す。
図5に示したように、当該グラフにおいて、曲線F1のピークの高さは、曲線F2のピークの高さよりも高い。このように、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1を備える場合、勾配磁界センサ12は、第1磁気コアCR1と鎖交する磁束の量を増加させることができる。
【0047】
第2集磁機構CM2は、検出対象物から発生する磁束のうち第2磁気コアCR2と鎖交する磁束の量を増加させる。第2集磁機構CM2の構成は、第1集磁機構CM1の構成と同様の構成である。このため、本実施形態では、第2集磁機構CM2の構成についての詳細な説明を省略する。なお、第2集磁機構CM2の形状は、第1集磁機構CM1の形状と異なる構成であってもよい。また、以下では、説明の便宜上、略直線形状の第2集磁機構CM2が延伸する方向を、第2集磁機構CM2の中心軸方向と称して説明する。ここで、
図2に示した例では、第2集磁機構CM2の中心軸方向は、X軸と平行な方向である。また、以下では、説明の便宜上、第2集磁機構CM2の中心軸方向と直交する仮想的な平面によって第2集磁機構CM2を切断した場合の断面を、第2集磁機構CM2の断面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2集磁機構CM2の中心軸方向に向かって当該断面の中心(すなわち、図心、重心等)を通る軸を、第2集磁機構CM2の中心軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2集磁機構CM2に含まれるN個の高透磁率材HMのそれぞれを、第2高透磁率材と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2集磁機構CM2に含まれるM個の高透磁率材HMのそれぞれを、第2低透磁率材と称して説明する。このように第1集磁機構CM1の構成と同様の構成の第2集磁機構CM2は、検出対象物から発生する磁束のうち第2磁気コアCR2と鎖交する磁束の量を増加させることができる。
【0048】
第2集磁機構CM2は、第2磁気コアCR2に対して予め決められた第2配置位置に配置される。この際、第2集磁機構CM2は、第2集磁機構CM2から第2磁気コアCR2へ向かう方向における第2集磁機構CM2の磁気抵抗が最も低くなるように、第2配置位置に配置される。例えば、この一例のように第2集磁機構CM2の断面が正方形状である場合、第2集磁機構CM2は、第2集磁機構CM2の断面の形状である正方形が有する2つの辺が、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2とを含む仮想的な平面と、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になるように、第2配置位置に配置される。また、例えば、第2集磁機構CM2の断面が長方形状である場合、第2集磁機構CM2は、第2集磁機構CM2の断面の形状である長方形が有する2つの短辺が、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2とを含む仮想的な平面と、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になるように、第2配置位置に配置される。ここで、第2集磁機構CM2の断面の形状が第1集磁機構CM1の断面の形状と、製造誤差等によるずれを除いて略同じ形状である場合、勾配磁界センサ12は、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2との両方から等距離にある検出対象物から発生した磁束について、第1磁気コアCR1へ流入する磁束の量と、第2磁気コアCR2へ流入する磁束の量とを略同じ量にすることができる。その結果、勾配磁界センサ12は、第1コイルCL1と第2コイルCL2との差動接続によって、第1センサヘッドS1により検出されたノイズと、第2センサヘッドS2により検出されたノイズとを精度よく相殺させることができる。また、第1集磁機構CM1の断面の形状と、第2集磁機構CM2の断面の形状とが四角形状(すなわち、正方形状、長方形状等)である場合、検出対象物から発生する磁束を、他の形状の断面を有する第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2と比べて、効率よく第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2へ流すことができる。
【0049】
図2に示した例では、第2配置位置は、略直線形状の第2磁気コアCR2と略直線形状の第2集磁機構CM2とが、組み付け誤差等によるずれを除いて略平行になり、且つ、第2磁気コアCR2と第2集磁機構CM2とが第2磁気コアCR2、第2集磁機構CM2の順に上から下へ並ぶ位置である。また、当該例では、第2配置位置は、上から下に向かって勾配磁界センサ12を見た場合、第2磁気コアCR2の中心軸方向における第2磁気コアCR2の中心と、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2集磁機構CM2の中心とが、組み付け誤差等によるずれを除いて略一致する位置である。この場合、上下方向において、第2集磁機構CM2の中心軸は、第2磁気コアCR2の中心軸と、組み付け誤差等によるずれを除いて、略重なっている。ここで、このような中心の一致と中心軸の一致とのそれぞれが、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2において実現している場合、勾配磁界センサ12は、第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2それぞれの全体による磁界の検出感度を向上させることができる。なお、第2配置位置は、検出対象物が通過する領域と、第2磁気コアCR2との間の位置であれば、他の位置であってもよい。このため、第2集磁機構CM2は、第2磁気コアCR2と非平行であってもよい。また、このため、第2集磁機構CM2の中心軸の一部又は全部は、上下方向において、第2磁気コアCR2の中心軸と重なっていなくてもよい。また、第2集磁機構CM2は、第2磁気コアCR2に配置された第2コイルCL2と接触していてもよく、離間していてもよい。ただし、第2集磁機構CM2と第2コイルCL2とが接触している場合、第2集磁機構CM2は、第2コイルCL2として巻回された導体表面の絶縁被膜等によって第2コイルCL2と電気的に絶縁される。以下では、説明の便宜上、上下方向における第2コイルCL2と第2集磁機構CM2との間の距離を、第2離間距離g2と称して説明する。
【0050】
なお、以下では、一例として、
図2に示したように、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面は、センサヘッド領域(又は、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2とを含む仮想的な平面)と、組み付け誤差等によるずれを除いて、略平行である場合について説明する。この場合、センサヘッド領域がXY平面と略平行であるため、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面も、XY平面と略平行である。なお、勾配磁界センサ12において、これら2つの平面は、非平行であってもよい。
【0051】
ここで、以上のような構成の第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2は、第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交する磁束の量を増加させることに加えて、ノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2それぞれと鎖交してしまうことを抑制することができる。
図6は、ノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交せずに第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を通る経路を流れる様子の一例を示す図である。また、
図6は、第1磁気コアCR1の中心軸方向、及び、第2磁気コアCR2の中心軸方向のそれぞれと平行な方向から勾配磁界センサ12を見た場合の第1センサヘッドS1、第2センサヘッドS2、第1集磁機構CM1、第2集磁機構CM2のそれぞれを示す正面図である。
図6に示した矢印は、ノイズとなる磁束の流れの一例を示している。すなわち、
図6に示した例では、ノイズとなる磁束は、Y軸の負方向側からY軸の正方向側に向かって流れている。このようなノイズとなる磁束は、第1センサヘッドS1の周囲に、第1センサヘッドS1よりも相対的に磁気抵抗が低い部材が存在する場合、第1センサヘッドS1を避けて当該部材へ流れようとする。第1集磁機構CM1に含まれる第1高透磁率材は、第1センサヘッドS1よりも相対的に磁気抵抗が低い部材の一例である。
【0052】
この一例において、第1集磁機構CM1の中心軸方向と第1磁気コアCR1の中心軸方向とが略平行であり、且つ、第1磁気コアCR1の直下に第1集磁機構CM1が位置しているため、ノイズとなる磁束の多くは、
図6に示したように、第1集磁機構CM1から第2集磁機構CM2へ向かう方向へ向かって、第1集磁機構CM1の第1高透磁率材に流れようとする。また、この一例において、第1高透磁率材の断面は、正方形である。このため、
図6に示した例では、第1高透磁率材の中を流れる磁束は、途中で流れる方向を変えるよりも直進した方がエネルギーの損失が低いため、第2集磁機構CM2に向かって流れている。これと同様の理由により、第1集磁機構CM1から第2集磁機構CM2に流れ込んだ磁束は、
図6に示したように、第2磁気コアCR2に向かって流れることなく、第2集磁機構CM2から第1集磁機構CM1へ向かう方向と反対の方向に向かって流れている。
【0053】
このような事情は、ノイズとなる磁束がY軸の正方向側からY軸の負方向側に向かって流れる場合においても、同様である。すなわち、この場合、ノイズとなる磁束は、第2センサヘッドS2の周囲に、第2センサヘッドS2よりも相対的に磁気抵抗が低い部材が存在する場合、第2センサヘッドS2を避けて当該部材へ流れようとする。第2集磁機構CM2に含まれる第2高透磁率材は、第2センサヘッドS2よりも相対的に磁気抵抗が低い部材の一例である。そして、第2高透磁率材の中を流れる磁束は、途中で流れる方向を変えるよりも直進した方がエネルギーの損失が低いため、第1集磁機構CM1に向かって流れる。これと同様の理由により、第2集磁機構CM2から第1集磁機構CM1に流れ込む磁束は、第1磁気コアCR1に向かって流れることなく、第1集磁機構CM1から第2集磁機構CM2へ向かう方向と反対の方向に向かって流れる。
【0054】
図6に示したように、ノイズとなる磁束の少なくとも一部が、第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交せずに、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を通るため、勾配磁界センサ12は、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備えることにより、ノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2それぞれと鎖交してしまうことを抑制することができる。これはすなわち、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備える場合、検出対象物から発生した磁束のうち第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交する磁束の量を増加させることができ、且つ、勾配磁界センサ12がノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができることを意味している。これにより、勾配磁界センサ12は、検出対象物から発生した磁界の第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれによる検出についてのS(Signal)/N(Noise)比を改善することができ、その結果、検出対象物の検出感度を向上させることができる。
【0055】
なお、ノイズとなる磁束は、第1センサヘッドS1の周囲に、第1センサヘッドS1よりも相対的に磁気抵抗が低い部材が存在しない場合、
図7に示したように、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1と鎖交する。
図7は、勾配磁界センサ12が第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備えていない場合において、
図6に示したノイズとなる磁束が第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2と鎖交する様子の一例を示す図である。
図7に示した矢印は、ノイズとなる磁束の流れの一例を示している。
【0056】
また、集磁機構CMが第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とのいずれか一方のみを含む場合、集磁機構CM(すなわち、第1集磁機構CM1と第2集磁機構CM2とのいずれか一方)は、上から下に向かって勾配磁界センサ12を見た場合、略直線形状の第1センサヘッドS1と、略直線形状の第2センサヘッドS2とのそれぞれと直交又は斜交している。この場合であっても、勾配磁界センサ12は、集磁機構CMを備えることにより、検出対象物から発生した磁界の第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれによる検出についてのS/N比を改善することができ、その結果、検出対象物の検出感度を向上させることができる。
【0057】
また、以上のような第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2のより詳細な構成方法については、後述する。なお、上記において説明したN個の第1高透磁率材のうちの一部又は全部は、互いに異なる種類の高透磁率材であってもよい。また、上記において説明したN個の第2高透磁率材のうちの一部又は全部は、互いに異なる種類の高透磁率材であってもよい。また、上記において説明したM個の第1低透磁率材のうちの一部又は全部は、互いに異なる種類の低透磁率材であってもよい。また、上記において説明したM個の第2低透磁率材のうちの一部又は全部は、互いに異なる種類の低透磁率材であってもよい。
【0058】
図1に戻る。情報処理装置20は、勾配磁界センサ12と通信可能に接続される。そして、前述した通り、情報処理装置20は、勾配磁界センサ12から出力された検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定する。
【0059】
情報処理装置20は、例えば、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたと判定した場合、前述のサーボモータを制御して第2ローラRL2によるシート部材STの巻き取りを停止させるとともに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを報知する報知処理を行う。報知処理は、例えば、情報処理装置20のディスプレイに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを示す情報を表示させる処理である。これにより、磁性物検出装置1のユーザは、シート部材STから検出対象物を除去すること、シート部材STを不良品として特定すること等を行うことができる。なお、報知処理は、このような表示処理に代えて、当該情報を示す音声、振動、光等を出力する処理であってもよい。
【0060】
情報処理装置20は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、タブレットPC、デスクトップPC、ワークステーション、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等である。なお、情報処理装置20は、マイコン等の他の情報処理装置であってもよい。
【0061】
なお、磁性物検出装置1において、着磁装置11と、勾配磁界センサ12と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
【0062】
また、検出対象物の付着の検査を磁性物検出装置1が行う対象は、シート部材STに代えて、検出対象物の有無の検査を行うことが可能な他の物体であってもよい。例えば、勾配磁界センサ12を備えた磁性物探知機は、地中における磁性物の有無を検出する。この場合、当該磁性物探知機は、磁性物検出装置1の一例である。また、地中における磁性物は、当該場合における検出対象物の一例である。
【0063】
<第1集磁機構及び第2集磁機構のより詳細な構成方法>
以下、第1集磁機構及び第2集磁機構のより詳細な構成方法について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を取り外した勾配磁界センサ12を、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を取り外していない勾配磁界センサ12と区別するため、勾配磁界センサ12Xと称して説明する。勾配磁界センサ12Xは、従来の勾配磁界センサに相当する。
【0064】
まず、第1集磁機構CM1における第1高透磁率材の数Nと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1高透磁率材の長さtと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方について説明する。
図8は、第1集磁機構CM1における第1高透磁率材の数Nと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1高透磁率材の長さtと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方を説明するための図である。また、
図8は、第1磁気コアCR1の中心軸と直交する方向のうちセンサヘッド領域と平行な方向から第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1のそれぞれを見た場合の第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1の側面図である。
図8には、長さtと長さt’とのそれぞれが視覚的に分かるように示されている。数N、長さt、長さt’のそれぞれは、以下に示した式(1)及び式(2)によって、第1集磁機構CM1に占める第1高透磁率材の割合へ第1高透磁率材の比透磁率μ
rを乗じた第1比透磁率割合magと関係付けられる。
【0065】
【0066】
【0067】
ここで、上記の式(1)及び式(2)におけるdは、長さtと長さt’との総和に対する長さtの割合を示す。
【0068】
一方、勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に対して予め決められた位置X1に検出対象物DMを配置した場合において第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1比透磁率割合magの値に応じて変化する。以下では、説明の便宜上、勾配磁界センサ12の状態のうち、位置X1に検出対象物DMが配置された状態を、対象状態と称して説明する。ここで、当該磁束の量は、第1比透磁率割合magの値毎に、シミュレーション、実験等によって得ることができる。
図9は、対象状態の勾配磁界センサ12において第1比透磁率割合magの値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。なお、
図9に示したグラフは、シミュレーションによって得られたグラフである。
図9に示したグラフの横軸は、第1比透磁率割合magの値を示す。また、当該グラフの縦軸は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交した磁束の量を示す。また、当該グラフ上に描かれた直線SH1は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量)について予め決められた第3閾値を示している。第3閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
図9に示した例では、当該グラフ上に黒丸としてプロットされた9個の点を見ると、勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1比透磁率割合magの値が0.1以上0.9以下の範囲内の値であれば、第3閾値を超えることが分かる。すなわち、勾配磁界センサ12を製造する製造者は、第1比透磁率割合magの値が0.1以上0.9以下の範囲内の値を選択し、選択した値と、上記の式(1)及び式(2)とに基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、数N、長さt、長さt’のそれぞれを決定することができる。換言すると、数N、長さt、長さt’のそれぞれは、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、このようにして選択された第1比透磁率割合magの値と、上記の式(1)及び式(2)とに基づいて決められる。なお、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の当該グラフにおけるピークは、長さtと長さt’とが同じ長さである場合において現れたピークである。これは、長さtが長さt’よりも短いと、第1高透磁率材の中を第1磁気コアCR1に向かって磁束が通り辛くなり、長さtが長さt’よりも長いと、第1高透磁率材の中において第1集磁機構CM1の中心軸方向へ磁束が拡がってしまうために現れるピークであると考えられる。すなわち、勾配磁界センサ12では、長さtと長さt’とを、製造誤差等によるずれを除いて略同じ長さとすることにより、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量を、より確実に多くすることができる。
【0069】
ここで、第2集磁機構CM2における第2高透磁率材の数Nと、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2高透磁率材の長さtと、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方については、第1集磁機構CM1における第1高透磁率材の数Nと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1高透磁率材の長さtと、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方と同様であるため、説明を省略する。ただし、第2集磁機構CM2における第2高透磁率材の数Nと、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2高透磁率材の長さtと、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2低透磁率材の長さt’とのそれぞれの決め方では、上記の第3閾値に代えて、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量)について予め決められた第4閾値が用いられる。第4閾値は、第3閾値と異なっていてもよく、第3閾値と同じであってもよい。第4閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
【0070】
次に、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の長さL
coreに対する、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1集磁機構CM1の長さL
totalの割合の決め方について説明する。
図10は、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の長さL
coreに対する、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1集磁機構CM1の長さL
totalの割合の決め方を説明するための図である。
図10も、第1磁気コアCR1の中心軸と直交する方向のうちセンサヘッド領域と平行な方向から第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1のそれぞれを見た場合の第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1の側面図である。
図10には、長さL
coreと、長さL
totalとのそれぞれが視覚的に分かるように示されている。
【0071】
対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値に応じて変化する。ここで、当該磁束の量は、当該割合の値毎に、シミュレーション、実験等によって得ることができる。
図11は、対象状態の勾配磁界センサ12において長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。なお、
図11に示したグラフは、シミュレーションによって得られたグラフである。
図11に示したグラフの横軸は、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を示す。また、当該グラフの縦軸は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交した磁束の量を示す。また、当該グラフ上に描かれた直線SH2は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量)について予め決められた第5閾値を示している。第5閾値は、例えば、第3閾値と同じ値であるが、第3閾値と異なる値であってもよい。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F3は、上記の式(2)に示した割合dの値が0.1である場合、且つ、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F4は、割合dの値が0.9である場合、且つ、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F5は、割合dの値が0.25である場合、且つ、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F6は、割合dの値が0.75である場合、且つ、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F7は、割合dの値が0.5である場合、且つ、長さL
coreに対する長さL
totalの割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。
図11に示した例では、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、以下の式(3)に示したように、長さL
totalが長さL
coreの0.9倍以上であれば、割合dの値が0.1~0.9の範囲内において、第5閾値を超えることが分かる。
【0072】
【0073】
すなわち、勾配磁界センサ12を製造する製造者は、長さLcoreと、第5閾値とに基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、長さLtotalを長さLcoreの0.9以上の値に決定することができる。換言すると、長さLcoreに対する長さLtotalの割合の値は、第5閾値に基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、0.9以上の値に決められる。そして、当該製造者は、当該割合の値を決定した後、決定した値と、予め決められた長さLcoreとに基づいて、長さLtotalを決定することができる。
【0074】
ここで、第2磁気コアCR2の中心軸方向における第2磁気コアCR2の長さLcoreに対する、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2集磁機構CM2の長さLtotalの割合の決め方については、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の長さLcoreに対する、第1集磁機構CM1の中心軸方向における第1集磁機構CM1の長さLtotalの割合の決め方と同様であるため、説明を省略する。ただし、第2磁気コアCR2の中心軸方向における第2磁気コアCR2の長さLcoreに対する、第2集磁機構CM2の中心軸方向における第2集磁機構CM2の長さLtotalの割合の決め方では、上記の第5閾値に代えて、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量)について予め決められた第6閾値が用いられる。第6閾値は、第5閾値と異なっていてもよく、第5閾値と同じであってもよい。第6閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
【0075】
次に、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の決め方について説明する。ここで、第1磁気コア直径φ
core1は、第1磁気コアCR1の断面の形状に外接する外接円の直径のことである。この一例において、第1磁気コアCR1の断面の形状は、円形状である。このため、第1磁気コア直径φ
core1は、第1磁気コアCR1の断面の直径である。また、第1集磁機構幅w1は、第1集磁機構CM1と、第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、第1集磁機構CM1の中心軸方向と直交する方向における第1集磁機構CM1の長さのことである。この一例において、第1集磁機構CM1の断面の形状は、正方形である。このため、第1集磁機構幅w1は、この正方形が有する4つの辺のうち第1集磁機構CM1の中心軸方向と平行な2つの辺それぞれの長さのことである。
図12は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の決め方を説明するための図である。
図12は、第1磁気コアCR1の中心軸方向から第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1のそれぞれを見た場合の第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1の正面図である。
図12には、第1磁気コア直径φ
core1と第1集磁機構幅w1とのそれぞれが視覚的に分かるように示されている。
【0076】
対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値に応じて変化する。ここで、当該磁束の量は、当該割合の値毎に、シミュレーション、実験等によって得ることができる。
図13は、対象状態の勾配磁界センサ12において第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。なお、
図13に示したグラフは、シミュレーションによって得られたグラフである。
図13に示したグラフの横軸は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値を示す。また、当該グラフの縦軸は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交した磁束の量を示す。また、当該グラフ上に描かれた直線SH3は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量)について予め決められた第7閾値を示している。第7閾値は、例えば、第3閾値と同じ値であるが、第3閾値と異なる値であってもよい。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F8は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。
図13に示した例では、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値が0.5以上60以下の範囲内の値であれば、第7閾値を超えることが分かる。すなわち、勾配磁界センサ12を製造する製造者は、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値を、以下の式(4)に示した0.5以上60以下の範囲内の値に決定することができる。換言すると、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構幅w1の割合の値は、第7閾値に基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、0.5以上60以下の範囲内の値に決められる。そして、当該製造者は、当該割合の値を決定した後、決定した値と、第1磁気コア直径φ
core1とに基づいて、第1集磁機構幅w1を決定することができる。
【0077】
【0078】
なお、上記の式(4)に示したwは、第1集磁機構幅w1が代入される変数である。
【0079】
ここで、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構幅w2の割合の決め方については、第1磁気コア直径φcore1に対する第1集磁機構幅w1の割合の決め方と同様であるため、説明を省略する。ただし、第2磁気コア直径φcore2は、第2磁気コアCR2の断面の形状に外接する外接円の直径のことである。この一例において、第2磁気コアCR2の断面の形状は、円形状である。このため、第2磁気コア直径φcore2は、第2磁気コアCR2の断面の直径である。第2集磁機構幅w2は、第1集磁機構CM1と、第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、第2集磁機構CM2の中心軸方向と直交する方向における第2集磁機構CM2の長さのことである。この一例において、第2集磁機構CM2の断面の形状は、正方形である。このため、第2集磁機構幅w2は、この正方形が有する4つの辺のうち第2集磁機構CM2の中心軸方向と平行な2つの辺それぞれの長さのことである。また、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構幅w2の割合の決め方では、上記の式(4)のwは、第2集磁機構幅w2が代入される変数として扱われる。また、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構幅w2の割合の決め方では、上記の第7閾値に代えて、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量)について予め決められた第8閾値が用いられる。第8閾値は、第7閾値と異なっていてもよく、第7閾値と同じであってもよい。第8閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
【0080】
次に、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の決め方について説明する。ここで、第1集磁機構高さh1は、第1集磁機構CM1と、第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面と直交する方向における第1集磁機構CM1の長さのことである。この一例において、第1集磁機構CM1の断面の形状は、正方形である。このため、第1集磁機構高さh1は、この正方形が有する4つの辺のうち当該平面と直交する2つの辺それぞれの長さのことである。
図14は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の決め方を説明するための図である。
図14も、第1磁気コアCR1の中心軸方向から第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1のそれぞれを見た場合の第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1の正面図である。
図14には、第1磁気コア直径φ
core1と第1集磁機構高さh1とのそれぞれが視覚的に分かるように示されている。
【0081】
ここで、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値に応じて変化する。ここで、当該磁束の量は、当該割合の値毎に、シミュレーション、実験等によって得ることができる。
図15は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。なお、
図15に示したグラフは、シミュレーションによって得られたグラフである。
図15に示したグラフの横軸は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値を示す。また、当該グラフの縦軸は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交した磁束の量を示す。また、当該グラフ上に描かれた直線SH4は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量)について予め決められた第9閾値を示している。第9閾値は、例えば、第3閾値と同じ値であるが、第3閾値と異なる値であってもよい。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F9は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。
図15に示した例では、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値が0.5以上50以下の範囲内の値であれば、第9閾値を超えることが分かる。すなわち、勾配磁界センサ12を製造する製造者は、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値を、以下の式(5)に示した0.5以上50以下の範囲内の値に決定することができる。換言すると、第1磁気コア直径φ
core1に対する第1集磁機構高さh1の割合の値は、第9閾値に基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、0.5以上50以下の範囲内の値に決められる。そして、当該製造者は、当該割合の値を決定した後、決定した値と、第1磁気コア直径φ
core1とに基づいて、第1集磁機構高さh1を決定することができる。
【0082】
【0083】
なお、上記の式(5)に示したhは、第1集磁機構高さh1が代入される変数である。
【0084】
ここで、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構高さh2の割合の決め方については、第1磁気コア直径φcore1に対する第1集磁機構高さh1の割合の決め方と同様であるため、説明を省略する。ただし、第2集磁機構高さh2は、第1集磁機構CM1と、第2集磁機構CM2とを含む仮想的な平面と直交する方向における第2集磁機構CM2の長さのことである。この一例において、第2集磁機構CM2の断面の形状は、正方形である。このため、第2集磁機構高さh2は、この正方形が有する4つの辺のうち当該平面と直交する2つの辺それぞれの長さのことである。また、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構幅w2の割合の決め方では、上記の式(5)のhは、第2集磁機構高さh2が代入される変数として扱われる。また、第2磁気コア直径φcore2に対する第2集磁機構高さh2の割合の決め方では、上記の第9閾値に代えて、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量)について予め決められた第10閾値が用いられる。第10閾値は、第9閾値と異なっていてもよく、第9閾値と同じであってもよい。第9閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
【0085】
次に、第1集磁機構高さh1に対する、前述の第1離間距離g1の割合の決め方について説明する。
図16は、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の決め方を説明するための図である。
図16も、第1磁気コアCR1の中心軸方向から第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1のそれぞれを見た場合の第1センサヘッドS1及び第1集磁機構CM1の正面図である。
図16には、第1集磁機構高さh1と第1離間距離g1とのそれぞれが視覚的に分かるように示されている。
【0086】
ここで、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値に応じて変化する。ここで、当該磁束の量は、当該割合の値毎に、シミュレーション、実験等によって得ることができる。
図17は、対象状態の勾配磁界センサ12において第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値を変化させた場合の、第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す図である。なお、
図17に示したグラフは、シミュレーションによって得られたグラフである。
図17に示したグラフの横軸は、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値を示す。また、当該グラフの縦軸は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交した磁束の量を示す。また、当該グラフ上に描かれた直線SH5は、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量)について予め決められた第11閾値を示している。第11閾値は、例えば、第3閾値と同じ値であるが、第3閾値と異なる値であってもよい。また、当該グラフ上にプロットされた曲線F10は、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値を変化させた場合の、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量の変化の一例を示す。
図17に示した例では、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量は、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値が0以上4以下の範囲内の値であれば、第11閾値を超えることが分かる。すなわち、勾配磁界センサ12を製造する製造者は、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値を、以下の式(6)に示した0以上4以下の範囲内の値に決定することができる。換言すると、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の値は、第11閾値に基づいて、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量よりも、対象状態の勾配磁界センサ12の第1磁気コアCR1に鎖交する磁束の量が多くなるように、0以上4以下の範囲内の値に決められる。そして、当該製造者は、当該割合の値を決定した後、決定した値と、第1集磁機構高さh1とに基づいて、第1離間距離g1を決定することができる。すなわち、これは、第1離間距離g1が、第11閾値と、第1集磁機構高さh1とに基づいて、0以上であり、且つ、第1集磁機構高さh1の4倍以下の範囲内の値として決められることを意味する。
【0087】
【0088】
なお、上記の式(6)に示したhは、第1集磁機構高さh1が代入される変数である。また、式(6)に示したgは、第1離間距離g1が代入される変数である。
【0089】
ここで、第2集磁機構高さh2に対する第2離間距離g2の割合の決め方については、第1集磁機構高さh1に対する第1離間距離g1の割合の決め方と同様であるため、説明を省略する。また、第2集磁機構高さh2に対する第2離間距離g2の割合の決め方では、上記の式(6)のhは、第2集磁機構高さh2が代入される変数として扱われる。また、第2集磁機構高さh2に対する第2離間距離g2の割合の決め方では、上記の式(6)のgは、第2離間距離g2が代入される変数として扱われる。第2集磁機構高さh2に対する第2離間距離g2の割合の決め方では、上記の第11閾値に代えて、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2内における総鎖交磁束量(すなわち、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量)について予め決められた第12閾値が用いられる。第12閾値は、第11閾値と異なっていてもよく、第11閾値と同じであってもよい。第12閾値は、例えば、対象状態の勾配磁界センサ12Xの第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量であるが、対象状態の勾配磁界センサ12の第2磁気コアCR2に鎖交する磁束の量について予め決められた他の値であってもよい。
【0090】
<勾配磁界センサの検出感度について>
以下、勾配磁界センサ12の検出感度について説明する。
【0091】
図18は、勾配磁界センサ12の検出感度の一例を示す図である。
図18に示したグラフの横軸は、検出対象物DMを、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2との両方から等距離に位置するように、第1磁気コアCR1の中心軸と平行な方向へセンサヘッド領域の直下を移動させた場合における検出対象物DMの位置を示している。このため、当該横軸の原点は、第1磁気コアCR1の中心軸方向における第1磁気コアCR1の中心の位置(又は、第2磁気コアCR2の中心軸方向における第2磁気コアCR2の中心の位置)を示している。当該グラフの縦軸は、勾配磁界センサ12の検出感度を示す。ここで、
図18に示した例では、勾配磁界センサ12の検出感度は、第2コイルCL2と差動接続された第1コイルCL1から出力される差動信号の電圧を、検出対象物DMの磁気モーメントで除した値によって示している。また、当該グラフにプロットされた曲線F11は、センサヘッド領域の直下を当該方向へ向かって検出対象物DMが移動した場合における勾配磁界センサ12の感度の変化の一例を示す。また、当該グラフにプロットされた曲線F12は、センサヘッド領域の直下を当該方向へ向かって検出対象物DMが移動した場合における勾配磁界センサ12Xの検出感度の変化の一例を示す。曲線F11と曲線F12とを比較することにより、勾配磁界センサ12の検出感度のピークは、勾配磁界センサ12Xの検出感度のピークと比較して、約1.4倍向上していることが分かる。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備えることにより、検出対象物の検出感度をより向上させることができる。
【0092】
ここで、第1集磁機構CM1及び第2集磁機構CM2を備えることによって勾配磁界センサ12の検出感度が向上している場合、検出対象物DMから発生した磁界の第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれによる検出についてのS/N比は、改善していると予想される。このため、勾配磁界センサ12によるノイズの検出は、抑制されていると予想される。
図19は、勾配磁界センサ12が検出するノイズの一例を示す図である。
図19に示したグラフは、勾配磁界センサ12により検出されたノイズをフーリエ変換した場合に得られる周波数スペクトルを示すグラフである。当該グラフの横軸は、ノイズの周波数を示す。当該グラフの縦軸は、周波数毎のノイズの強さを示す。また、当該グラフにプロットされた曲線F13は、勾配磁界センサ12により検出されたノイズの周波数スペクトルの一例を示す。また、当該グラフにプロットされた曲線F14は、勾配磁界センサ12Xにより検出されたノイズの周波数スペクトルの一例を示す。曲線F13と曲線F14とを比較することにより、勾配磁界センサ12により検出されるノイズの強さは、前述の予想通り、勾配磁界センサ12Xにより検出されるノイズの強さと比較して、全体として低減されていることが分かる。なお、勾配磁界センサ12により検出されるノイズの低減は、
図20に示したノイズ・フロアにも現れている。
図20は、勾配磁界センサ12により検出されたノイズについてのノイズ・フロアの一例を示す図である。
図20に示した上段のノイズ・フロアは、勾配磁界センサ12により検出されたノイズについてのノイズ・フロアの一例を示す。また、
図20に示した下段のノイズ・フロアは、勾配磁界センサ12Xにより検出されたノイズについてのノイズ・フロアの一例を示す。これら2つのノイズ・フロアを比較することによっても、勾配磁界センサ12により検出されるノイズの強さは、前述の予想通り、勾配磁界センサ12Xにより検出されるノイズの強さと比較して、全体として低減されていることが分かる。
【0093】
なお、勾配磁界センサ12により検出されるノイズは、
図21に示したように、勾配磁界センサ12に磁気シールドを設けることにより、更に低減することができる。
図21は、2つの磁気シールドが設けられた勾配磁界センサ12の様子の一例を示す斜視図である。なお、
図21においても、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部は、省略されている。
【0094】
図21に示した例では、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と、第2磁気シールド部SD2を更に備える。
【0095】
第1磁気シールド部SD1は、磁性体製の部材である。そして、第1磁気シールド部SD1は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界のうち、検出対象物DM以外の部材から発生した磁界の少なくとも一部を遮蔽する部材である。
図21に示した例では、第1磁気シールド部SD1は、矩形平板形状の部材である。なお、第1磁気シールド部SD1の形状は、矩形状に代えて、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。また、第1磁気シールド部SD1の形状は、平板形状に代えて、円柱形状、半球体形状、多層形状等の他の立体的な形状であってもよい。また、第1磁気シールド部SD1の形状は、凹凸を有する形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0096】
第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域の直上に配置される。このため、下方向に向かって第1磁気シールド部SD1を見た場合における第1磁気シールド部SD1の輪郭内には、センサヘッド領域が含まれている。
【0097】
第1磁気シールド部SD1が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。これにより、第1磁気シールド部SD1は、磁化された検出対象物DMから発生する磁界が、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を避けて、第1磁気シールド部SD1へ直接侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物DMの、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2による検出感度を低下させてしまうことを抑制することができる。
図21に示した例では、第1磁気シールド部SD1は、第1磁気シールド部SD1の形状が矩形平板形状である。このため、当該例では、第1磁気シールド部SD1が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面、すなわち、第1磁気シールド部SD1の下面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直上に配置される第1磁気シールド部SD1を備えることにより、センサヘッド領域よりも上の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界を遮蔽することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、当該磁界をノイズとして検出してしまうことを抑制することができる。ここで、第1磁気シールド部SD1は、磁性体製であるため、空気よりも磁気抵抗が小さい。このため、当該磁界の磁束は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に進入し辛い。その結果、第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域よりも上の領域から当該磁界が第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されてしまうことを抑制することができる。
【0098】
第2磁気シールド部SD2は、磁性体製の部材である。そして、第2磁気シールド部SD2は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界のうち、検出対象物DM以外の部材から発生した磁界の少なくとも一部を遮蔽する部材である。
図21に示した例では、第2磁気シールド部SD2は、矩形平板形状の部材である。なお、第2磁気シールド部SD2の形状は、矩形状に代えて、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。また、第2磁気シールド部SD2の形状は、平板形状に代えて、円柱形状、半球体形状、多層形状等の他の立体的な形状であってもよい。また、第2磁気シールド部SD2の形状は、凹凸を有する形状であってもよく、他の形状であってもよい。また、当該例では、第2磁気シールド部SD2の形状は、第1磁気シールド部SD1の形状と同じ形状である。しかしながら、第2磁気シールド部SD2の形状は、第1磁気シールド部SD1の形状と異なる形状であってもよい。
【0099】
第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域の直下に配置される。このため、上方向に向かって第2磁気シールド部SD2を見た場合における第2磁気シールド部SD2の輪郭内には、センサヘッド領域が含まれている。
【0100】
第2磁気シールド部SD2が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。これにより、第2磁気シールド部SD2は、磁化された検出対象物DMから発生する磁界が、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を避けて、第2磁気シールド部SD2へ直接侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物DMの、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2による検出感度を低下させてしまうことを抑制することができる。
図21に示した例では、第2磁気シールド部SD2は、第2磁気シールド部SD2の形状が矩形平板形状である。このため、当該例では、第2磁気シールド部SD2が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面、すなわち、第2磁気シールド部SD2の上面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直下に配置される第2磁気シールド部SD2を備えることにより、センサヘッド領域よりも下の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界を遮蔽することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、当該磁界をノイズとして検出してしまうことを抑制することができる。ここで、第2磁気シールド部SD2は、磁性体製であるため、空気よりも磁気抵抗が小さい。このため、当該磁界の磁束は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に侵入し辛い。その結果、第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域よりも下の領域から当該磁界が第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されてしまうことを抑制することができる。
【0101】
以上のように、勾配磁界センサ12では、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2が、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に位置するように配置される。その結果、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを備えない場合と比較して、検出対象物から発生した磁束のうち第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれと鎖交する磁束の量を、より確実に増大させることができるとともに、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とを備えることにより、検出対象物の検出感度を、より確実に向上させることができる。なお、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれは、例えば、勾配磁界センサ12の本体部により支持されてもよく、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との少なくとも一方により支持されてもよい。
【0102】
なお、
図21に示した例では、前述のシート部材STは、センサヘッド領域と、第2磁気シールド部SD2との間の空間を動くが、これに代えて、センサヘッド領域と、第1磁気シールド部SD1との間の空間を動く構成であってもよい。この場合、勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直上を通過する検出対象物DMを検出する。
【0103】
また、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と、第2磁気シールド部SD2とのいずれか一方を備える構成であってもよい。ただし、勾配磁界センサ12により検出されるノイズは、勾配磁界センサ12が第1磁気シールド部SD1を備え、且つ、第2磁気シールド部SD2を備えない場合、勾配磁界センサ12が第1磁気シールド部SD1を備えず、且つ、第2磁気シールド部SD2を備える場合と比較して、より低減される。
【0104】
<勾配磁界センサの回路構成>
以下、
図22を参照し、勾配磁界センサ12の回路構成について説明する。
図22は、勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
【0105】
勾配磁界センサ12は、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2と、直流電源接続端子CT3と、直流電流制御部CC2を備える。また、第1センサヘッドS1は、第1磁気コアCR1と、第1コイルCL1を備える。また、第2センサヘッドS2は、第2磁気コアCR2と、第2コイルCL2を備える。また、第0移相回路PS0は、入力端子PS01と、出力端子PS02との2つの端子を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1入力端子CC11と、第2入力端子CC12と、第1出力端子CC13と、第2出力端子CC14を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2を備える。また、検出回路DTは、第1入力端子DTT1と、第2入力端子DTT2と、出力端子DTT3を有する。また、検出回路DTは、位相検波回路PDと、ローパスフィルタLFと、誤差アンプEAと、抵抗R1と、第3コンデンサC3を備える。また、位相検波回路PDは、第1入力端子PD1と、第2入力端子PD2と、出力端子PD3を有する。また、直流電流制御部CC2は、入力端子CC21と、第1出力端子CC22と、第2出力端子CC23を有する。また、直流電流制御部CC2は、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1と、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2を備える。
【0106】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、交流電源P1と、直流電源P2とのそれぞれと接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの一方である第1電源端子P11と接続される。そして、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの他方である第2電源端子P12は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、勾配磁界センサ12の直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電源P2が有する正極電源端子と接続される。そして、直流電源P2が有する負極電源端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、交流電源P1は、如何なる交流電源であってもよい。また、直流電源P2は、如何なる直流電源であってもよい。なお、交流電源接続端子CT1と第1電源端子P11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2電源端子P12とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、直流電源接続端子CT3と当該正極電源端子との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、当該負極電源端子とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0107】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の検出信号出力端子CT2は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。なお、検出信号出力端子CT2と情報処理装置20との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0108】
また、交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、第0移相回路PS0が有する入力端子PS01と、検出回路DTが有する第1入力端子DTT1とのそれぞれと接続される。そして、第0移相回路PS0が有する出力端子PS02は、伝送路を介して、交流電流制御部CC1が有する第1入力端子CC11と、交流電流制御部CC1が有する第2入力端子CC12とのそれぞれと接続される。なお、交流電源接続端子CT1と入力端子PS01との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電源接続端子CT1と第1入力端子DTT1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第1入力端子CC11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第2入力端子CC12との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0109】
また、直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電流制御部CC2が有する入力端子CC21と接続される。なお、直流電源接続端子CT3と入力端子CC21との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0110】
また、交流電流制御部CC1において、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、伝送路を介して、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とが直列に接続される。また、交流電流制御部CC1において、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、伝送路を介して、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とが直列に接続される。なお、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0111】
また、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1が接続される。また、交流電流制御部CC1の第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第2センサヘッドS2の第2磁気コアCR2が接続される。以下では、説明の便宜上、第1出力端子CC13から第1磁気コアCR1に流れる交流電流を、
図22に示したように、第1交流励磁電流AC1と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2出力端子CC14から第2磁気コアCR2に流れる交流電流を、
図22に示したように、第2交流励磁電流AC2と称して説明する。なお、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1磁気コアCR1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2磁気コアCR2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0112】
また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、伝送路を介して、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とが直列に接続される。また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、伝送路を介して、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とが直列に接続される。なお、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0113】
また、直流電流制御部CC2の第1出力端子CC22は、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第1出力端子CC22と、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0114】
また、直流電流制御部CC2の第2出力端子CC23は、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第2出力端子CC23と、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0115】
また、検出回路DTにおいて、第1入力端子DTT1は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第1入力端子PD1と接続される。また、位相検波回路PDが有する出力端子PD3は、伝送路を介して、ローパスフィルタLFが有する図示しない入力端子と接続される。また、ローパスフィルタLFが有する図示しない出力端子は、伝送路を介して、誤差アンプEAが有する反転入力端子と接続される。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、誤差アンプEAが有する出力端子は、伝送路を介して、検出回路DTが有する出力端子DTT3と、抵抗R1が有する2つの端子のうちの一方とのそれぞれと接続される。また、抵抗R1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子DTT2と、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子PD2と接続される。このように、検出回路DTは、PSD(Phase Sensitive Detector)回路である。なお、第1入力端子DTT1と第1入力端子PD1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PD3とローパスフィルタLFが有する入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、ローパスフィルタLFが有する出力端子と誤差アンプEAが有する反転入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子とグラウンドの間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と出力端子DTT3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と抵抗R1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第3コンデンサC3と第2入力端子PD2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3とを接続する伝送路と第2入力端子DTT2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0116】
また、検出回路DTが有する第2入力端子DTT2は、伝送路を介して、第1コイルCL1が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第1コイルCL1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、第2コイルCL2が有する2つの端子のうちの一方と接続される。そして、第2コイルCL2が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ただし、第2コイルCL2は、第1コイルCL1と差動接続される。なお、第2入力端子DTT2と第1コイルCL1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1コイルCL1と第2コイルCL2との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2コイルCL2とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0117】
<実施形態に係る勾配磁界センサの動作>
次に、勾配磁界センサ12の動作について説明する。
【0118】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12において、交流電源P1は、交流電源接続端子CT1に交流電流を入力する。交流電源接続端子CT1に入力された交流電流は、2つに分岐される。2つに分岐された交流電流の一方は、交流励磁電流として第0移相回路PS0に入力される。また、2つの分岐された交流電流の他方は、参照信号として検出回路DTが有する第1入力端子DTT1に入力される。
【0119】
第0移相回路PS0に入力された交流励磁電流は、第0移相回路PS0により移相された後、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2との2つの交流励磁電流に分岐される。
【0120】
第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1、第1可変抵抗VR11、第1コンデンサC1を介して第1磁気コアCR1に流れる。このため、第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1により移相され、第1可変抵抗VR11により振幅が調整される。そして、第1交流励磁電流AC1は、第1出力端子CC13から第1磁気コアCR1に入力する。なお、第1コンデンサC1は、ACカップリングのためのコンデンサである。第1コンデンサC1の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第1出力端子CC13から第1入力端子CC11へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0121】
一方、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2、第2可変抵抗VR12、第2コンデンサC2を介して第2磁気コアCR2に流れる。このため、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2により移相され、第2可変抵抗VR12により振幅が調整される。そして、第2交流励磁電流AC2は、第2出力端子CC14から第2磁気コアCR2に入力する。なお、第2コンデンサC2は、ACカップリングのためのコンデンサである。第2コンデンサC2の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第2出力端子CC14から第2入力端子CC12へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0122】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12において、直流電源P2は、直流電源接続端子CT3に直流電流を入力する。直流電源接続端子CT3に入力された直流電流は、直流励磁電流として直流電流制御部CC2に入力される。
【0123】
直流電流制御部CC2に入力された直流励磁電流は、第1直流励磁電流DC1と第2直流励磁電流DC2との2つの直流励磁電流に分岐される。
【0124】
直流電流制御部CC2において、第1直流励磁電流DC1は、第1可変抵抗VR21により大きさが調整される。そして、第1直流励磁電流DC1は、第1出力端子CC22から第1磁気コアCR1に入力する。これにより、第1コイルCL1には、第1磁気コアCR1に流れた第1交流励磁電流AC1と、第1磁気コアCR1に流れた第1直流励磁電流DC1と、第1コイルCL1に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12においても、当該電圧は、外部から第1コイルCL1に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第1誘起電圧と称して説明する。なお、第1インダクタL1は、DCカップリングのためのインダクタである。第1インダクタL1の存在により、勾配磁界センサ12では、交流電流が第1出力端子CC22から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0125】
一方、直流電流制御部CC2において、第2直流励磁電流DC2は、第2可変抵抗VR22により大きさが調整される。そして、第2直流励磁電流DC2は、第2出力端子CC23から第2磁気コアCR2に入力する。これにより、第2コイルCL2には、第2磁気コアCR2に流れた第2交流励磁電流AC2と、第2磁気コアCR2に流れた第2直流励磁電流DC2と、第2コイルCL2に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12においても、当該電圧は、外部から第2コイルCL2に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第2誘起電圧と称して説明する。なお、第2インダクタL2は、DCカップリングのためのインダクタである。第2インダクタL2の存在により、勾配磁界センサ12では、交流電流が第2出力端子CC23から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0126】
勾配磁界センサ12では、このようにして誘起された第1誘起電圧及び第2誘起電圧に応じた信号が、差動信号Voutとして検出回路DTが有する第2入力端子DTT2に入力する。検出回路DTの位相検波回路PDは、このようにして入力された差動信号Voutと、交流電源P1から入力された参照信号とのずれに応じた信号を、検波信号としてローパスフィルタLFに入力する。ローパスフィルタLFは、位相検波回路PDから入力された検波信号から所定の周波数以上の成分を除去した出力信号を誤差アンプEAの反転入力端子に出力する。誤差アンプEAは、誤差アンプEAの反転入力端子に入力された出力信号の電位とグラウンド電位との電位差に応じた信号を検出信号として、検出信号出力端子CT2と抵抗R1とのそれぞれに出力する。なお、第3コンデンサC3は、ACカップリングのためのコンデンサである。また、第3コンデンサC3が有する端子のうち位相検波回路PDと接続された端子と反対側の端子には、バッファ回路(例えば、ボルテージフォロワ等)が接続される。このバッファ回路については、図を簡略化するため、図示を省略している。
【0127】
抵抗R1に入力された検出信号は、図示しないバッファ回路の存在により、第3コンデンサC3へ入力されることなく、帰還電流として第2入力端子DTT2から第1コイルCL1に向かって流れていく。
【0128】
このような動作を行う検出回路DTには、調整を行うことにより、差動信号Voutの信号レベルが0[V]である場合、信号レベルが0[V]の検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させ、差動信号Voutの信号レベルが0[V]ではない場合、信号レベルが0[V]ではない検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させることができる。なお、検出回路DTの調整については、既知であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0129】
以上のような動作により、勾配磁界センサ12は、勾配を検出する。
【0130】
なお、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第0移相回路PS0を備えない構成であってもよい。
【0131】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。
【0132】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR11と第2可変抵抗VR12とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。
【0133】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、これらはACカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との両方を備えている方が望ましい。
【0134】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第1可変抵抗VR11に代えて、又は、第1可変抵抗VR11に加えて、第1交流励磁電流AC1の振幅を増幅する第1増幅回路を備える構成であってもよい。
【0135】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第2可変抵抗VR12に代えて、又は、第2可変抵抗VR12に加えて、第2交流励磁電流AC2の振幅を増幅する第2増幅回路を備える構成であってもよい。
【0136】
勾配磁界センサ12は、以上のような動作を行う回路構成を有する。これにより、勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との2つのセンサヘッドにより、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出することができる。そして、勾配磁界センサ12は、前述した通り、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備えることにより、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0137】
なお、
図22に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。また、当該勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。
【0138】
また、
図22に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、事前の試験等の結果を踏まえた上で、上記において説明した第1可変抵抗VR21及び第2可変抵抗VR22それぞれの抵抗値と同じ抵抗値の抵抗素子を用意できる場合、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方又は両方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。
【0139】
また、
図22に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、前述した通り、これらはDCカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との両方を備えている方が望ましい。
【0140】
なお、上記において説明した第1磁気コアCR1は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第1磁気コアCR1は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。ここで、
図23は、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。
図23に示した例では、第1磁気コアCR1は、2つの磁性体を含んでいる。より具体的には、当該例では、第1磁気コアCR1は、磁性体CR1Aと、磁性体CR1Bと、非磁性の導体CR1Cと、端子CR1Dと、端子CR1Eを有する。そして、磁性体CR1Aと磁性体CR1Bとは、導体CR1Cによって接続されている。また、磁性体CR1Aが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Dが設けられている。端子CR1Dは、例えば、
図22において、交流電流制御部CC1の第1出力端子CC13と接続されている端子である。また、磁性体CR1Bが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Eが設けられている。端子CR1Eは、例えば、
図22において、グラウンドに接地されている端子である。
【0141】
また、上記において説明した第2磁気コアCR2は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第2磁気コアCR2は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。なお、複数の磁性体を含む第2磁気コアCR2の構成については、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成と同様の構成であるため、図示による説明を省略する。
【0142】
また、上記において説明した第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2は、
図24に示したように、第1コイルCL1及び第2コイルCL2のそれぞれが複数のコイルにより構成されていてもよい。
図24は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2の構成の変形例を示す図である。また、
図24は、第1磁気コアCR1の中心軸AX1と、第2磁気コアCR2の中心軸AX2との両方を含む平面において勾配磁界センサ12を切断した場合における勾配磁界センサ12の断面図でもある。
【0143】
図24に示した例では、第1コイルCL1は、第1コイルCL11と、第1コイルCL12と、第1コイルCL13と、第1コイルCL14との4つのコイルにより構成されている。また、当該例では、第2コイルCL2は、第2コイルCL21と、第2コイルCL22と、第2コイルCL23と、第2コイルCL24との4つのコイルにより構成されている。この場合、勾配磁界センサ12の回路構成は、例えば、
図25に示したような回路構成である。
図25は、勾配磁界センサ12の回路構成の他の例を示す図である。以下では、説明の便宜上、
図25に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Aと称して説明する。
【0144】
図25に示した例では、勾配磁界センサ12Aは、検出回路DTに代えて、検出回路DT1~検出回路DT4のそれぞれを備える。また、勾配磁界センサ12Aは、信号処理部PRを更に備える。
【0145】
検出回路DT1は、交流電源接続端子CT1と接続される入力端子DTT11と、入力端子DTT12と、出力端子DTT13との3つの端子を有する。
【0146】
検出回路DT2は、交流電源接続端子CT1と接続される入力端子DTT21と、入力端子DTT22と、出力端子DTT23との3つの端子を有する。
【0147】
検出回路DT3は、交流電源接続端子CT1と接続される入力端子DTT31と、入力端子DTT32と、出力端子DTT33との3つの端子を有する。
【0148】
検出回路DT4は、交流電源接続端子CT1と接続される入力端子DTT41と、入力端子DTT42と、出力端子DTT43との3つの端子を有する。
【0149】
信号処理部PRは、入力端子PR1と、入力端子PR2と、入力端子PR3と、入力端子PR4と、出力端子PR5との5つの端子を有する。
【0150】
また、検出回路DT1が有する入力端子DTT12は、伝送路を介して、第1コイルCL11が有する2つの端子のうちのホット側の端子と接続される。また、第1コイルCL11が有する2つの端子のうちのコールド側の端子は、伝送路を介して、第2コイルCL21が有する2つの端子のうちのコールド側の端子と接続される。そして、第2コイルCL21が有する2つの端子のうちのホット側の端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。すなわち、第1コイルCL11と第2コイルCL21とは、差動接続される。なお、入力端子DTT12と第1コイルCL11との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1コイルCL11と第2コイルCL21との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2コイルCL21とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、
図25では、第1コイルCL11から出力される差動信号Voutを、差動信号Vout1によって示している。
【0151】
また、検出回路DT2が有する入力端子DTT22は、伝送路を介して、第1コイルCL12が有する2つの端子のうちのホット側の端子と接続される。また、第1コイルCL12が有する2つの端子のうちのコールド側の端子は、伝送路を介して、第2コイルCL22が有する2つの端子のうちのコールド側の端子と接続される。そして、第2コイルCL22が有する2つの端子のうちのホット側の端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。すなわち、第1コイルCL12と第2コイルCL22とは、差動接続される。なお、入力端子DTT22と第1コイルCL12との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1コイルCL12と第2コイルCL22との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2コイルCL22とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、
図25では、第1コイルCL12から出力される差動信号Voutを、差動信号Vout2によって示している。
【0152】
また、検出回路DT3が有する入力端子DTT32は、伝送路を介して、第1コイルCL13が有する2つの端子のうちのホット側の端子と接続される。また、第1コイルCL13が有する2つの端子のうちのコールド側の端子は、伝送路を介して、第2コイルCL23が有する2つの端子のうちのコールド側の端子と接続される。そして、第2コイルCL23が有する2つの端子のうちのホット側の端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。すなわち、第1コイルCL13と第2コイルCL23とは、差動接続される。なお、入力端子DTT32と第1コイルCL13との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1コイルCL13と第2コイルCL23との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2コイルCL23とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、
図25では、第1コイルCL13から出力される差動信号Voutを、差動信号Vout3によって示している。
【0153】
また、検出回路DT4が有する入力端子DTT42は、伝送路を介して、第1コイルCL14が有する2つの端子のうちのホット側の端子と接続される。また、第1コイルCL14が有する2つの端子のうちのコールド側の端子は、伝送路を介して、第2コイルCL24が有する2つの端子のうちのコールド側の端子と接続される。そして、第2コイルCL24が有する2つの端子のうちのホット側の端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。すなわち、第1コイルCL14と第2コイルCL24とは、差動接続される。なお、入力端子DTT42と第1コイルCL14との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1コイルCL14と第2コイルCL24との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2コイルCL24とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、
図25では、第1コイルCL14から出力される差動信号Voutを、差動信号Vout4によって示している。
【0154】
なお、検出回路DT11~検出回路DT14それぞれの回路構成は、例えば、検出回路DTの回路構成と同様である。このため、検出回路DT11~検出回路DT14それぞれの回路構成については、詳細な説明を省略する。
【0155】
また、信号処理部PRが有する入力端子PR1は、伝送路を介して、検出回路DT1が有する出力端子DTT13と接続される。また、信号処理部PRが有する入力端子PR2は、伝送路を介して、検出回路DT2が有する出力端子DTT23と接続される。また、信号処理部PRが有する入力端子PR3は、伝送路を介して、検出回路DT3が有する出力端子DTT33と接続される。また、信号処理部PRが有する入力端子PR4は、伝送路を介して、検出回路DT4が有する出力端子DTT43と接続される。また、信号処理部PRが有する出力端子PR5は、伝送路を介して、検出信号出力端子CT2と接続される。なお、入力端子PR1と出力端子DTT13との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子PR2と出力端子DTT23との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子PR3と出力端子DTT33との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子PR4と出力端子DTT43との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PR5と検出信号出力端子CT2との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0156】
信号処理部PRは、検出回路DT1~検出回路DT4のそれぞれから入力された検出信号に対して、各種の信号処理を行い、勾配を検出する。なお、信号処理部PRの回路構成は、検出回路DT1~検出回路DT4のそれぞれから入力された検出信号に基づいて勾配を検出可能な構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0157】
以上のような構成の勾配磁界センサ12Aが集磁機構CMを備えた場合であっても、勾配磁界センサ12Aは、検出対象物から発生した磁界の第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれによる検出についてのS/N比を改善することができ、その結果、検出対象物の検出感度を向上させることができる。
【0158】
なお、上記において説明した事項は、如何様に組み合わされてもよい。
【0159】
以上のように、実施形態に係る勾配磁界センサ(上記において説明した例では、勾配磁界センサ12)は、第1磁気コア(上記において説明した例では、第1磁気コアCR1)と、第2磁気コア(上記において説明した例では、第2磁気コアCR2)と、第1磁気コアに配置される第1コイル(上記において説明した例では、第1コイルCL1)と、第2磁気コアに配置される第2コイル(上記において説明した例では、第2コイルCL2)と、集磁機構(上記において説明した例では、集磁機構CM)と、を備え、第2コイルは、第1コイルと差動接続され、集磁機構は、高透磁率材(上記において説明した例では、高透磁率材HM)と、低透磁率材(上記において説明した例では、低透磁率材LM)とを含み、高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、第2閾値は、第1閾値以下である。これにより、勾配磁界センサは、検出対象物の検出感度をより向上させることができる。
【0160】
<付記>
[1]
第1磁気コアと、
第2磁気コアと、
前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、
前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、
集磁機構と、
を備え、
前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、
前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、
前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、
前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、
前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、
勾配磁界センサ。
[2]
前記集磁機構は、第1集磁機構と、第2集磁機構とを含み、
前記第1集磁機構は、前記第1磁気コアに対して予め決められた第1配置位置に配置され、
前記第2集磁機構は、前記第2磁気コアに対して予め決められた第2配置位置に配置される、
[1]に記載の勾配磁界センサ。
[3]
前記第1集磁機構は、直線形状の部分を有し、
前記第2集磁機構は、直線形状の部分を有し、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と略平行である、
[2]に記載の勾配磁界センサ。
[4]
前記第1磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第2磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第1コイルは、前記第1磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第2コイルは、前記第2磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第1集磁機構の直線形状の部分は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と略平行であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と略平行である、
[3]に記載の勾配磁界センサ。
[5]
前記第2磁気コアの直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と直交する方向において、前記第1磁気コアの直線形状の部分と対向しており、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2集磁機構の直線形状の部分と直交する方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分と対向しており、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と、前記第2磁気コアの直線形状の部分とを含む仮想的な平面と略平行である、
[4]に記載の勾配磁界センサ。
[6]
前記第1集磁機構は、前記高透磁率材を第1高透磁率材として、N個の前記第1高透磁率材を含み、且つ、前記低透磁率材を第1低透磁率材として、M個の前記第1低透磁率材を含み、
前記第2集磁機構は、前記高透磁率材を第2高透磁率材として、N個の前記第2高透磁率材を含み、且つ、前記低透磁率材を第2低透磁率材として、M個の前記第2低透磁率材を含み、
前記第1集磁機構では、前記第1高透磁率材と前記第1低透磁率材とが交互に配列され、
前記第2集磁機構では、前記第2高透磁率材と前記第2低透磁率材とが交互に配列され、
前記第2集磁機構における前記高透磁率材と前記低透磁率材との配列は、前記第1集磁機構における前記高透磁率材と前記低透磁率材との配列と同じであり、
Nは、1以上の整数であり、
Mは、1以上の整数である、
[5]に記載の勾配磁界センサ。
[7]
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する第1方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸とは、略重なっており、
前記第1方向において、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の中心は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの中心と略一致しており、
前記第1方向において、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸とは、略重なっており、
前記第1方向において、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の中心は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの中心と略一致している、
[6]に記載の勾配磁界センサ。
[8]
前記第1高透磁率材の数と、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1高透磁率材の長さと、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1低透磁率材の長さとのそれぞれは、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第3閾値と、前記第1集磁機構の直線形状の部分に占める前記第1高透磁率材の割合へ前記第1高透磁率材の比透磁率を乗じた第1比透磁率割合とに基づいて決められ、
前記第2高透磁率材の数と、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2高透磁率材の長さと、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2低透磁率材の長さとのそれぞれは、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第4閾値と、前記第2集磁機構の直線形状の部分に占める前記第2高透磁率材の割合へ前記第2高透磁率材の比透磁率を乗じた第2比透磁率割合とに基づいて決められる、
[7]に記載の勾配磁界センサ。
[9]
前記第1比透磁率割合と前記第2比透磁率割合とのそれぞれは、前記高透磁率材の比透磁率の0.1倍以上、前記高透磁率材の比透磁率の0.9倍以下の範囲内の値である、
[8]に記載の勾配磁界センサ。
[10]
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの直線形状の部分の長さと、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第5閾値とに基づいて決められ、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの直線形状の部分の長さと、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第6閾値とに基づいて決められる、
[9]に記載の勾配磁界センサ。
[11]
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第1集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第1磁気コアの直線形状の部分の長さの0.9以上であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向における前記第2集磁機構の直線形状の部分の長さは、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸方向における前記第2磁気コアの直線形状の部分の長さの0.9以上である、
[10]に記載の勾配磁界センサ。
[12]
第1磁気コア直径に対する第1集磁機構幅の割合は、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第7閾値に基づいて決められ、
前記第1磁気コア直径は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第1集磁機構幅は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向と直交する方向における前記第1集磁機構の長さであり、
第2磁気コア直径に対する第2集磁機構幅の割合は、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第8閾値に基づいて決められ、
前記第2磁気コア直径は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第2集磁機構幅は、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と平行な方向であり、且つ、前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸方向と直交する方向における前記第2集磁機構の長さである、
[7]から[11]のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
[13]
前記第1磁気コア直径に対する前記第1集磁機構幅の割合と、前記第2磁気コア直径に対する前記第2集磁機構幅の割合とのそれぞれは、0.5以上60以下の範囲内の値である、
[12]に記載の勾配磁界センサ。
[14]
第1磁気コア直径に対する第1集磁機構高さの割合は、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第9閾値に基づいて決められ、
前記第1磁気コア直径は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第1集磁機構高さは、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第1集磁機構の長さであり、
第2磁気コア直径に対する第2集磁機構高さの割合は、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第10閾値に基づいて決められ、
前記第2磁気コア直径は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2磁気コアを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の直径であり、
前記第2集磁機構高さは、前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第2集磁機構の長さである、
[7]から[13]のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
[15]
前記第1磁気コア直径に対する前記第1集磁機構高さの割合と、前記第2磁気コア直径に対する前記第2集磁機構高さの割合とのそれぞれは、0.5以上50以下の範囲内の値である、
[14]に記載の勾配磁界センサ。
[16]
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における第1コイル外周と前記第1集磁機構との間の最短距離は、前記第1集磁機構高さと、前記第1磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第11閾値とに基づいて決められ、
前記第1コイル外周は、前記第1磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1コイルを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の円周のことであり、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における第2コイル外周と前記第2集磁機構との間の最短距離は、前記第2集磁機構高さと、前記第2磁気コア内における総鎖交磁束量について予め決められた第12閾値とに基づいて決められ、
前記第2コイル外周は、前記第2磁気コアの直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2コイルを切断した場合の断面の形状に外接する外接円の円周のことである、
[14]又は[15]に記載の勾配磁界センサ。
[17]
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第1コイル外周と前記第1集磁機構との間の最短距離は、0以上であり、且つ、前記第1集磁機構高さの4倍以下の範囲内の値であり、
前記第1集磁機構の直線形状の部分と、前記第2集磁機構の直線形状の部分とを含む仮想的な平面と直交する方向における前記第2コイル外周と前記第2集磁機構との間の最短距離は、0以上であり、且つ、前記第2集磁機構高さの4倍以下の範囲内の値である、
[16]に記載の勾配磁界センサ。
[18]
前記第1磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第2磁気コアは、直線形状の部分を有し、
前記第1コイルは、前記第1磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第2コイルは、前記第2磁気コアの直線形状の部分に配置され、
前記第1集磁機構の直線形状の部分は、前記第1磁気コアの直線形状の部分と非平行であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分は、前記第2磁気コアの直線形状の部分と非平行である、
[3]から[17]のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
[19]
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状と略同じである、
[3]から[18]のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
[20]
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、四角形であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2集磁機構を切断した場合の断面の形状は、四角形である、
[19]に記載の勾配磁界センサ。
[21]
前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第1集磁機構を切断した場合の断面の形状は、正方形であり、
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸と直交する仮想的な面によって前記第2集磁機構を切断した場合の断面の形状は、正方形である、
[20]に記載の勾配磁界センサ。
[22]
前記第2集磁機構の直線形状の部分の中心軸は、前記第1集磁機構の直線形状の部分の中心軸と略一致している、
[3]に記載の勾配磁界センサ。
[23]
勾配磁界センサを備え、
前記勾配磁界センサは、
第1磁気コアと、
第2磁気コアと、
前記第1磁気コアに配置される第1コイルと、
前記第2磁気コアに配置される第2コイルと、
集磁機構と、
を備え、
前記第2コイルは、前記第1コイルと差動接続され、
前記集磁機構は、高透磁率材と、低透磁率材とを含み、
前記高透磁率材は、予め決められた第1閾値以上の透磁率を有し、
前記低透磁率材は、予め決められた第2閾値未満の透磁率を有し、
前記第2閾値は、前記第1閾値以下である、
磁性物検出装置。
【0161】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0162】
1…磁性物検出装置、11…着磁装置、12、12X…勾配磁界センサ、20…情報処理装置、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、C3…第3コンデンサ、CC1…交流電流制御部、CC2…直流電流制御部、CC3…交流電流制御部、CL1…第1コイル、CL2…第2コイル、CM…集磁機構、CM1…第1集磁機構、CM2…第2集磁機構、CR1…第1磁気コア、CR1A…磁性体、CR1B…磁性体、CR1C…導体、CR1D…端子、CR1E…端子、CR2…第2磁気コア、CS…枠体、DC1…第1直流励磁電流、DC2…第2直流励磁電流、DM…検出対象物、DT…検出回路、EA…誤差アンプ、HM…高透磁率材、L1…第1インダクタ、L2…第2インダクタ、LF…ローパスフィルタ、LM…低透磁率材、mag…第1比透磁率割合、P1…交流電源、P2…直流電源、PD…位相検波回路、PS0…第0移相回路、PS1…第1移相回路、PS2…第2移相回路、R1…抵抗、RL1…第1ローラ、RL2…第2ローラ、RVC…反転回路、S1…第1センサヘッド、S2…第2センサヘッド、SD1…第1磁気シールド部、SD2…第2磁気シールド部、ST…シート部材、SWC1…第1切替回路、SWC2…第2切替回路、TC…三次元座標系、VR11…第1可変抵抗、VR12…第2可変抵抗、VR21…第1可変抵抗、VR22…第2可変抵抗