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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062628
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】保管設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/04 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170597
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 信
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴紀
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ09
3F022JJ11
3F022MM52
3F022MM57
3F022MM61
3F022MM70
3F022NN55
(57)【要約】
【課題】いずれかの保管部で異常が発生した場合の保管設備の稼働効率の低下を、より効果的に抑制することができる技術の実現が望まれる。
【解決手段】保管設備は、第1方向に沿って走行して保管部91において物品を搬送する第1台車11と、第1台車11を搭載可能であって、保管部91の外部において第2方向に沿って走行する第2台車12と、制御装置と、作業者の位置を検知する位置検知システムと、を備え、制御装置は、位置検知システムによる検知結果に応じて第1制御と第2制御とを実行し、第1制御は、対象保管層90Aにおいて第1台車11及び第2台車12の双方の走行を停止させる制御であり、第2制御は、真上保管部91Bを含む上側隣接保管層90Bにおける一部の保管部91への第1台車11の進入を禁止する制御である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、
作業者の位置を検知する位置検知システムと、を備え、
前記制御装置は、いずれかの前記保管層に前記作業者がいる場合に、前記位置検知システムによる検知結果に応じて第1制御と第2制御とを実行し、
前記作業者がいる前記保管層を対象保管層とし、前記対象保管層における前記作業者の前記第2方向の位置に対応する前記保管部を対象保管部とし、前記対象保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記対象保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記対象保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部を含む前記上側隣接保管層における一部の前記保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御である、保管設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記上側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記上側隣接保管層における前記第2制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第2制御を実行する、請求項1に記載の保管設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記位置検知システムにより検知される前記作業者の位置が変化した場合には、当該変化後の前記作業者の位置に応じて随時前記対象保管部を変更する、請求項1又は2に記載の保管設備。
【請求項4】
前記制御装置は、いずれかの前記保管層に前記作業者がいる場合に、更に第3制御も実行し、
前記対象保管層に対して下側に隣接する前記保管層を下側隣接保管層とし、前記下側隣接保管層における前記対象保管部の真下に位置する前記保管部を真下保管部として、
前記第3制御は、前記真下保管部を含む前記下側隣接保管層における一部の前記保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御である、請求項1又は2に記載の保管設備。
【請求項5】
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に当該異常が発生した前記保管部が存在する前記保管層を前記対象保管層に決定し、及び、いずれかの前記保管層に前記作業者が進入した場合に当該作業者が進入した前記保管層を前記対象保管層に決定し、前記対象保管層が決定された場合に前記第1制御を開始し、その後、前記位置検知システムにより前記対象保管層に前記作業者がいることが検知された場合に前記第2制御を開始する、請求項1又は2に記載の保管設備。
【請求項6】
前記第2制御の対象となった前記保管部を特定保管部として、
前記制御装置は、前記第2制御の開始時に前記特定保管部に前記第1台車が存在する場合には、当該第1台車を特定第1台車として、前記特定第1台車を停止させる、請求項1又は2に記載の保管設備。
【請求項7】
前記制御装置は、前記位置検知システムによる検知結果に応じて前記特定保管部であった前記保管部が前記第2制御の対象外となった場合であって、当該保管部に停止している前記特定第1台車がある場合には、当該特定第1台車の走行を再開させる、請求項6に記載の保管設備。
【請求項8】
前記制御装置は、前記特定保管部に前記特定第1台車を停止させた後、予め定められた期間が経過しても前記特定保管部が前記第2制御の対象外とならない場合には、前記特定第1台車に警告音を出力させると共に、前記特定第1台車が前記物品を搬送中であった場合には当該物品を前記特定保管部に卸させてから前記特定第1台車を前記第2台車まで走行させる臨時退避制御を実行する、請求項6に記載の保管設備。
【請求項9】
前記制御装置は、前記臨時退避制御を実行した後、前記位置検知システムによる検知結果に応じて前記特定保管部であった前記保管部が前記第2制御の対象外となった場合には、前記特定保管部であった前記保管部に前記第1台車を移動させ、前記臨時退避制御で前記特定保管部に卸させた前記物品の搬送を再開させる、請求項8に記載の保管設備。
【請求項10】
複数段の前記保管層のそれぞれにおいて、複数列の前記保管部が、前記第2台車の走行経路を挟んで両側に配置されており、
前記制御装置は、前記対象保管層における前記作業者の前記第2方向の位置に対応する前記保管部を、前記走行経路の両側共に前記対象保管部とする、請求項1又は2に記載の保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に複数段の保管層が設けられた保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような保管設備の一例が、特開2020-152556号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1の自動倉庫システム(1)は、荷(2)を保管可能な複数段の保管ステージ(24)を備えている。複数段の保管ステージ(24)のそれぞれには、X軸方向(水平方向)に荷(2)を並べて保管可能な保管行(26)が、Y軸方向(X軸方向に直交する水平方向)に複数並べて設けられている。そして、保管行(26)の中をX軸方向に走行する第1台車(6)と、第1台車(6)を搭載可能であってY軸方向に走行する第2台車(8)とを含む搬送機構によって、各保管ステージ(24)において荷(2)が搬送される。
【0003】
特許文献1の自動倉庫システム(1)は、いずれかの保管ステージ(24)で異常が発生したときに、異常が発生した保管ステージ(24)の運転と、指定された保管ステージ(24)の運転とを停止させるように構成されている。特許文献1の段落0042に記載されているように、運転が停止される保管ステージ(24)では、第1台車(6)及び第2台車(4)の双方の走行が停止される。そのため、異常が発生した保管ステージ(24)と指定された保管ステージ(24)との双方で、保管ステージ(24)全体での荷(2)の搬送が停止される。特許文献1によれば、このような制御を行うことで、復旧作業を行っているときでも自動倉庫システム(1)の稼働効率の低下を抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-152556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保管設備は上記のように構成されているため、いずれかの保管部(特許文献1では、保管行)で異常が発生した場合には、異常が発生した保管部が存在する保管層(特許文献1では、保管ステージ)である異常発生保管層と、異常発生保管層とは異なる指定された保管層との双方で、保管層全体での物品の搬送が停止される。よって、保管設備全体での物品の搬送を停止させる場合と比べると、保管設備の稼働効率の低下を抑制することはできるものの、異常発生保管層とは異なる保管層においても保管層全体での物品の搬送が一律に停止されるため、物品の搬送の停止が必要以上に広範囲で行われて稼働効率低下の抑制効果が限定的になるおそれがある。
【0006】
そこで、いずれかの保管部で異常が発生した場合の保管設備の稼働効率の低下を、より効果的に抑制することができる技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る保管設備は、上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、
作業者の位置を検知する位置検知システムと、を備え、
前記制御装置は、いずれかの前記保管層に前記作業者がいる場合に、前記位置検知システムによる検知結果に応じて第1制御と第2制御とを実行し、
前記作業者がいる前記保管層を対象保管層とし、前記対象保管層における前記作業者の前記第2方向の位置に対応する前記保管部を対象保管部とし、前記対象保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記対象保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記対象保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部を含む前記上側隣接保管層における一部の前記保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御である。
【0008】
本構成によれば、いずれかの保管層に作業者が入った場合には第1制御が実行され、当該作業者がいる対象保管層において第1台車及び第2台車の双方の走行が停止される。よって、対象保管層にいる作業者の安全を適切に確保することができる。
また、本構成によれば、第1制御に加えて第2制御が実行され、対象保管層における作業者の第2方向の位置に対応する保管部である対象保管部の真上に位置する真上保管部を含む上側隣接保管層における一部の保管部への第1台車の進入が禁止される。このように上側隣接保管層における作業者の位置に比較的近い位置にある保管部への第1台車の進入を禁止することで、作業者と上側隣接保管層にいる第1台車との万が一の接触や、作業者と上側隣接保管層を走行中の第1台車からの落下物(例えば、搬送中の物品等)との万が一の接触を回避して、作業者の安全を適切に確保することができる。
一方で、上側隣接保管層における作業者と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、上側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を上側隣接保管層の一部に限定して、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0009】
保管設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】保管設備の平面図
図2】保管設備の一部の縦断正面図
図3】保管設備の一部の斜視図
図4】第1制御、第2制御、及び第3制御の説明図
図5】第1制御、第2制御、及び第3制御の説明図
図6】制御ブロック図
図7】制御フロー図
図8】制御フロー図
図9】制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
保管設備の実施形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、保管設備100には、上下方向Z(鉛直方向)に複数段の保管層90が設けられている。図2には、上下方向Zに3段の保管層90が設けられた保管設備100を例示している。図2では、3つの段Lを、上下方向Zの下側Z2から順に、第1段L1、第2段L2、第3段L3としている。
【0012】
図1及び図2に示すように、水平面に沿う特定の方向を第1方向Xとし、上下方向Zに沿う方向視である上下方向Z視(平面視)で第1方向Xに交差する方向を第2方向Yとする。ここでは、第2方向Yは、上下方向Z視で第1方向Xに直交する水平方向である。すなわち、第1方向X及び第2方向Yは、互いに直交する2つの水平方向である。
【0013】
第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2とする。また、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1とし、第2方向Yの他方側を第2方向第2側Y2とする。ここでは、第1方向Xにおける後述する第2台車12の走行経路に近づく側を第1方向第1側X1とし、その反対側を、第1方向第2側X2としている。よって、第2台車12の走行経路に対して第1方向Xの両側の領域の間で、第1方向第1側X1の向きは互いに反対向きとなっている。また、ここでは、第2方向Yにおける後述する入庫部92及び出庫部93に近づく側を第2方向第1側Y1とし、その反対側を、第2方向第2側Y2としている。
【0014】
図1に示すように、複数段の保管層90のそれぞれには、第1方向Xに物品Wを並べて保管可能な保管部91が設けられている。1つの保管部91において第1方向Xに並べて保管可能な物品Wの数は、物品Wの第1方向Xの寸法に応じて変化し得る。図1に示す例では、1つの保管部91に、最大で8個の物品Wを第1方向Xに並べて保管することが可能となっている。
【0015】
図1に示すように、複数段の保管層90のそれぞれには、保管部91が第2方向Yに複数列設けられている。本実施形態では、複数段の保管層90のそれぞれにおいて、複数列の保管部91が、後述する第2台車12の走行経路を挟んで両側に配置されている。図1に示す例では、保管部91は、第2方向Yに9列設けられている。また、図1に示す例では、後述する第2台車12の走行経路に対して第1方向Xの両側に、保管部91が第2方向Yに複数列(ここでは、9列)設けられている。
【0016】
図1~3、及び図6に示すように、保管設備100は、第1台車11と、第2台車12と、第1台車11及び第2台車12の走行を制御する制御装置40と、位置検知システム60と、を備えている。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の当該演算処理装置が参照可能な記憶装置と、を備えている。制御装置40の各機能は、制御装置40が備えるハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。制御装置40は、1つのハードウェアではなく、互いに有線又は無線で通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。
【0017】
第1台車11は、第1方向Xに沿って走行して保管部91において物品Wを搬送する。第1台車11は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに1台以上(例えば、1台)配置される。第2台車12は、第1台車11を搭載可能であって、保管部91の外部において第2方向Yに沿って走行する。第2台車12は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに1台ずつ配置される。このように、保管設備100は、子台車としての第1台車11と親台車としての第2台車12とを備えた物品搬送車10(親子台車)を備えている。
【0018】
保管設備100は、上下方向Zに沿って延在する支柱1を備えている。図2に示す例では、支柱1は、床部から上下方向Zの上側Z1に向かって延びるように、床部に立設されている。第1レール20及び第2レール30は支柱1に支持されている。具体的には、第1レール20は、第1方向Xに並ぶように配置された複数の支柱1に連結されることで、これら複数の支柱1に支持されている。また、第2レール30は、第2方向Yに並ぶように配置された複数の支柱1に連結されることで、これら複数の支柱1に支持されている。
【0019】
図2に示すように、第1台車11は、第1レール20の走行面(ここでは、上側Z1を向く面)である第1走行面21(図3参照)を転動する第1走行輪11aを備えている。第1走行輪11aが電動モータ等の駆動装置(図示せず)により回転駆動されることで、第1台車11が第1レール20に沿って走行する。図3に示すように、第2台車12は、第2レール30の走行面(ここでは、上側Z1を向く面)である第2走行面31を転動する第2走行輪12aを備えている。第2走行輪12aが電動モータ等の駆動装置(図示せず)により回転駆動されることで、第2台車12が第2レール30に沿って走行する。
【0020】
第1台車11は、第2台車12に搭載された状態で、第2方向Yに移動可能であると共に、第2台車12から分離した状態で、第1方向Xに移動可能である。図1に示すように、第2台車12が、第1台車11の走行経路を形成する第1レール20(ここでは、一対の第1レール20)に対応する第2方向Yの位置にある状態で、第1台車11は、第2台車12上と第1レール20上との間を移動する。
【0021】
保管部91に保管する物品Wは、保管設備100の外部から入庫部92に搬入され、保管部91から取り出された物品Wは、出庫部93から保管設備100の外部に搬出される。図1に示す例では、入庫部92及び出庫部93は、第2台車12の走行経路における第2方向第1側Y1の端部に設けられている。物品搬送車10は、保管部91に保管する物品Wを、入庫部92から保管部91に搬送し、保管部91から取り出す物品Wを、保管部91から出庫部93に搬送する。図2では、荷Wbが載せられた状態のパレットWaが物品Wである場合を例示している。
【0022】
本実施形態では、保管部91は、第1レール20を用いて形成されている。具体的には、図3に示すように、第1レール20は、上述した第1走行面21に加えて、第1走行面21よりも上側Z1に配置された載置面22(ここでは、上側Z1を向く面)を備えている。載置面22は、第1方向Xに連続して延びるように形成されている。複数の物品Wを第1方向Xに並べて載置面22に載置することで、複数の物品Wが第1方向Xに並べて保管部91に保管される。
【0023】
図1に示すように、物品Wは、一対の第1レール20(具体的には、第1台車11の走行経路を形成する一対の第1レール20、以下同様)に第2方向Yの両側を支持された状態で、保管部91に保管される。具体的には、物品Wは、一対の第1レール20の一方の載置面22と他方の載置面22とに第2方向Yの両側が載置された状態で、保管部91に保管される。一対の第1レール20の間の第2方向Yの中心に向かう側を、第2方向Yの内側とし、その反対側を、第2方向Yの外側として、図3に示すように、載置面22は、当該載置面22と同じ第1レール20に形成された第1走行面21に対して、第2方向Yの外側に配置されている。よって、1つの保管部91を形成する一対の載置面22の第2方向Yの間に、当該保管部91における第1台車11の走行経路を形成する一対の第1走行面21が配置されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、第1台車11は、物品Wを下側Z2から支持する支持面11bを備えている。支持面11bは、昇降可能に構成されており、第1台車11は、電動モータ等の駆動装置(図示せず)の駆動力により支持面11bを昇降させる。図3に示すように、第2台車12は、物品Wを下側Z2から支持すると共に物品Wを第1方向Xに搬送する搬送コンベヤ12bを備えている。第2台車12は、電動モータ等の駆動装置(図示せず)の駆動力により搬送コンベヤ12bを駆動する。
【0025】
保管部91に物品Wを保管する場合、制御装置40は、例えば、第1台車11及び第2台車12を以下のように動作させる。第1台車11を搭載した状態の第2台車12が、入庫部92にて、搬送コンベヤ12bを作動させて入庫部92から搬送コンベヤ12b上に物品Wを受け取る。第2台車12は、入庫部92から物品Wを受け取った後、物品Wの保管対象の保管部91に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止する。そして、支持面11bを上昇させて支持面11bにて物品Wを支持した状態の第1台車11が、第2台車12から分離して、物品Wを保管する保管位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。その後、第1台車11が、支持面11bを下降させて、支持面11bに支持されていた物品Wを載置面22に載せる。これにより、保管部91における上記保管位置に物品Wが保管される。
【0026】
保管部91から物品Wを取り出す場合、制御装置40は、例えば、第1台車11及び第2台車12を以下のように動作させる。第1台車11を搭載した状態の第2台車12が、取り出し対象の物品Wが保管された保管部91に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止する。そして、支持面11bを下降させた状態の第1台車11が、第2台車12から分離して、取り出し対象の物品Wが保管されている保管位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。第1台車11は、保管位置において支持面11bを上昇させて、載置面22に載置されている物品Wを支持面11bにて支持した後、第2台車12に搭載される位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。これにより、保管部91における上記保管位置に保管されていた物品Wが、保管部91から取り出される。第1台車11が第2台車12上で支持面11bを下降させることで、保管部91から取り出した物品Wは搬送コンベヤ12bに支持される。第2台車12は、出庫部93に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止した後、搬送コンベヤ12bを作動させて搬送コンベヤ12bから出庫部93に物品Wを渡す。
【0027】
図2に示すように、複数段の保管層90のそれぞれに、作業者が第2方向Yに沿って移動可能な作業者用通路82(歩廊)が形成されている。作業者用通路82は、上下方向Z視で第2台車12の走行経路と重複する位置に形成されている。本実施形態では、作業者用通路82の上下方向Zの大きさが、作業者(例えば、平均身長の作業者)が歩行可能な大きさとなるように、各段の作業者用通路82が形成されている。
【0028】
図2に示す例では、最下段の作業者用通路82は、床面によって形成され、それ以外の段Lの作業者用通路82は、通路形成部材80によって形成されている。通路形成部材80は、最下段を除く各段の第2レール30(ここでは、一対の第2レール30)に対応する高さに設けられている。通路形成部材80は、作業者が搭乗可能な板状(貫通孔が形成された板状を含む)に形成されており、通路形成部材80に対して上側Z1の空間が、作業者用通路82となっている。作業者は、足場81(図1参照)から通路形成部材80に乗り移ることで、当該通路形成部材80によって形成された作業者用通路82に進入する。
【0029】
図6に示すように、位置検知システム60は、作業者の位置を検知する。本実施形態では、位置検知システム60は、複数段の保管層90のいずれかの保管層90に存在する作業者の位置を検知する。具体的には、位置検知システム60は、各保管層90における複数の保管部91のうちの、いずれかの保管部91に対応する作業者の位置(例えば、作業者用通路82上における作業者の第2方向Yの位置)を検知する。本例では、位置検知システム60は、ビーコン発信機(以下、単に発信機62と称する。)及び当該発信機62から発信されるビーコン電波を受信する受信機61を含んでいる。発信機62は、複数段の保管層90の内部で作業を行う作業者に携帯される。また、複数の受信機61が、各保管層90のそれぞれに取り付けられている。そして、位置検知システム60は、各受信機61が受信するビーコン電波の強度等に基づいて、作業者の位置を測定することができる。なお、位置検知システム60は、上記のように複数段の保管層90の内部における作業者の位置を検知できればよく、より具体的には、いずれの保管部91に対応する位置(第2方向Yの位置)に作業者がいるかを特定できればよい。すなわち、作業者が作業者用通路82にいるか保管部91にいるかは、位置検知システム60によって特定できなくてもよい。
【0030】
次に、いずれかの保管部91で異常が発生した場合や、いずれかの保管層90に作業者が進入した場合に制御装置40が実行する制御について説明する。なお、以下に説明する制御装置40の種々の技術的特徴は、第1台車11及び第2台車12の制御方法(例えば、図6に示す各工程を含む方法)や、第1台車11及び第2台車12を制御するためのプログラムにも適用可能であり、そのような方法やプログラム、更には、そのようなプログラムが記録された記録媒体(光ディスクやフラッシュメモリ等の、コンピュータが読み取り可能な記録媒体)も、本明細書に開示されている。第1台車11及び第2台車12を制御するためのプログラムは、例えば、当該プログラムを記録した記録媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供され、提供されたプログラムは、制御装置40(コンピュータ)が参照可能な記憶装置に記憶される。
【0031】
制御装置40は、例えば、保管部91に設けられたセンサ(画像センサ等)の検出情報に基づき、或いは、第1台車11又は第2台車12から送信される信号に基づき、いずれかの保管部91で異常が発生したか否かを判定する。例えば、保管部91に存在する第1台車11が、当該第1台車11に設けられた機器(例えば、電動モータ等の駆動装置)の故障を検知した場合に、当該保管部91で異常が発生したことを示す信号を、第1台車11が制御装置40に送信する。また、例えば、ある保管部91に対する物品Wの搬出入作業が予定サイクル内で終了しないことが検知された場合に、当該保管部91で異常が発生したことを示す信号を、第1台車11又は第2台車12が制御装置40に送信する。図6に示すように、本実施形態では、制御装置40と第1台車11とが、第2台車12を介して通信(ここでは、無線通信)を行うように構成されている。このような構成とは異なり、制御装置40と第1台車11とが直接(すなわち、第2台車12を介さずに)通信を行う構成とすることもできる。
【0032】
また、制御装置40は、例えば、保管層90への進入(例えば、図1に示す足場81からの進入)のための作業者の動作を検出する検出装置41の検出情報に基づき、いずれかの保管層90に作業者が進入したかを判定する。図6に示すように、検出装置41は、複数段の保管層90のそれぞれに設けられている。保管層90への進入のための作業者の動作は、作業者の保管層90への移動動作と、当該移動動作の前に行われる作業者の事前動作との、双方を含む概念である。事前動作は、例えば、保管層90への進入口に設けられた扉を開くための作業者の動作(扉の開き動作や、扉を開くためのスイッチを操作する動作等)とされる。また、検出装置41は、保管部91からの退出のための作業者の動作を検出することができる。制御装置40は、検出装置41の検出情報に基づき、作業者が保管層90から退出したかを判定することもできる。なお、制御装置40は、作業者の発信機62から発信されるビーコン電波を受信した受信機61から作業者の位置情報を取得して、当該位置情報に基づいて、いずれかの保管層90に作業者が進入(或いは、作業者が保管層90から退出)したかを判定することもできる。
【0033】
制御装置40は、いずれかの保管層90に作業者がいる場合に、位置検知システム60による検知結果に応じて第1制御と第2制御とを実行する。ここで、図4及び図5に示すように、作業者がいる保管層90を対象保管層90Aとし、対象保管層90Aにおける作業者の第2方向Yの位置に対応する保管部91を対象保管部91Aとし、対象保管層90Aに対して上側に隣接する保管層90を上側隣接保管層90Bとし、上側隣接保管層90Bにおける対象保管部91Aの真上に位置する保管部91を真上保管部91Bとする。本実施形態では、制御装置40は、対象保管層90Aにおける作業者の第2方向Yの位置に対応する保管部91を、走行経路の両側共に対象保管部91Aとする。本例では、作業者は、各保管層90内の作業者用通路82を通行する。そのため、対象保管部91Aは、走行経路に沿う作業者用通路82の作業者がいる位置に対して第1方向Xの両側に配置された一対の保管部91とされる。また、対象保管層90Aに対して下側に隣接する保管層90を下側隣接保管層90Cとし、下側隣接保管層90Cにおける対象保管部91Aの真下に位置する保管部91を真下保管部91Cとする。なお、図4及び図5では、物品Wを省略する等、保管層90を簡略化して示している。また、図4及び図5では、第1台車11や第2台車12の許容される動作を「○」で示すと共に、第1台車11や第2台車12の禁止される動作を「×」で示している。
【0034】
本実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に当該異常が発生した保管部91が存在する保管層90を対象保管層90Aに決定し、及び、いずれかの保管層90に作業者が進入した場合に当該作業者が進入した保管層90を対象保管層90Aに決定し、対象保管層90Aが決定された場合に第1制御を開始し、その後、位置検知システム60により対象保管層90Aに作業者がいることが検知された場合に第2制御を開始する。ここで、いずれかの保管層90に作業者が進入する場合とは、例えば、作業者が保管層90において何等かのメンテナンス作業を行う場合等が挙げられる。
【0035】
第1制御は、対象保管層90Aにおいて第1台車11及び第2台車12の双方の走行を停止させる制御であり、第2制御は、真上保管部91Bを含む上側隣接保管層90Bにおける一部の保管部91への第1台車11の進入を禁止する制御である。真上保管部91Bを含む上側隣接保管層90Bにおける一部の保管部91への第1台車11の進入の禁止に伴い、真上保管部91Bを含む複数の保管部91における第1台車11の走行は基本的に禁止される。そして、制御装置40がこのような第1制御及び第2制御を実行するため、対象保管層90Aでは、保管層90の全域で物品Wの搬送が停止され、上側隣接保管層90Bでは、真上保管部91Bを含む複数の保管部91に対する物品Wの搬出入が停止される(図4及び図5参照)。
【0036】
制御装置40は、上側隣接保管層90Bにおける第2台車12の走行と、上側隣接保管層90Bにおける第2制御の対象とならない保管部91への第1台車11の進入と、を許容しつつ、第2制御を実行する。制御装置40は、第2制御の対象とならない保管部91における第1台車11の走行を許容することで、当該保管部91への第1台車11の進入を許容する。よって、いずれかの保管部91で異常が発生した場合であっても、上側隣接保管層90Bにおいて、第2制御の対象とならない保管部91に対する物品Wの搬出入を、第1台車11と第2台車12とを用いて行うことができる。本実施形態では、作業者用通路82と、当該作業者用通路82に対して上側Z1に形成される第2台車12の走行経路との間には、上述した通路形成部材80が配置されている(図2参照)。そのため、上側隣接保管層90Bにおける第2台車12の走行を許容しても、対象保管層90Aに形成された作業者用通路82を移動する作業者の安全性を適切に確保しやすい。
【0037】
第2制御は、上側隣接保管層90Bに設けられた、真上保管部91Bを含む複数の保管部91への第1台車11の進入を禁止する。本例では、第2制御は、上側隣接保管層90Bのうちの、走行経路を挟んで第1方向Xに分かれて配置された2つの真上保管部91Bと、それぞれの真上保管部91Bに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91と、について第1台車11の進入を禁止する。すなわち、第2制御の対象となる保管部91は、合計6つである。このように第2制御の対象となる保管部91は、真上保管部91Bを含む複数の保管部91となる。なお、第2制御の対象となる保管部91の位置や数は、真上保管部91Bを第2制御の対象に含んでいれば、必要に応じて適宜変更可能であると好適である。例えば、第2制御の対象となる保管部91を真上保管部91Bのみに設定することもできるし、第2制御の対象となる保管部91の数を6つより少なく設定したり、6つよりも多く設定したりすることもできる。
【0038】
本実施形態では、図5に示すように、制御装置40は、位置検知システム60により検知される作業者の位置が変化した場合には、当該変化後の作業者の位置に応じて随時対象保管部91Aを変更する。例えば、同一の対象保管層90Aにおいて、作業者が作業者用通路82を第2方向Yに移動したことにより、対象保管部91Aが変更された場合、第1制御の対象となるのは、作業者の移動前と同じ対象保管層90Aであるが、第2制御の対象となる真上保管部91Bが変更される。図5では、作業者が、第2方向Yに移動して、図5の対象保管部91Aに第2方向Yに隣接する保管部91に対応する位置に存在する例を示している。図5の一例では、作業者が移動したことにより、対象保管部91Aも変更されている。これにより、第2制御の対象である真上保管部91Bを含む複数の保管部91(後述する特定保管部91D)も変更されている。具体的には、第2制御の対象である複数の保管部91が、図5における第2制御の対象である複数の保管部91よりも第2方向Yに1つずれるように変更されている。なお、制御装置40は、作業者が対象保管層90Aから退出し、且つ対象保管層90Aに異常が発生していない場合、第1制御及び第2制御を終了させる。一方、制御装置40は、作業者が対象保管層90Aから退出し、且つ対象保管層90Aに異常が発生している場合には、第1制御の実行を継続しつつ、第2制御を終了させることができる。
【0039】
本実施形態では、第2制御の対象となった保管部91を特定保管部91Dとして、制御装置40は、第2制御の開始時に特定保管部91Dに第1台車11が存在する場合には、当該第1台車11を特定第1台車11Aとして、特定第1台車11Aを停止させる。これにより、特定保管部91Dにおける特定第1台車11Aによる物品Wの搬出入が停止される。本例では、制御装置40は、第2制御の開始と同時に特定第1台車11Aを停止させる。なお、制御装置40は、第2制御が開始されて一定期間(例えば、数秒間)経過後に特定第1台車11Aを停車させるようにすることもできる。そして、制御装置40は、第2制御の開始後、上記一定期間で特定第1台車11Aが第2台車12に戻ることが可能と判断した場合は、一定時間内に当該特定第1台車11Aを走行経路上の第2台車12に戻すこともできる。また、本実施形態では、制御装置40は、位置検知システム60による検知結果に応じて特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合であって、当該保管部91に停止している特定第1台車11Aがある場合には、当該特定第1台車11Aの走行を再開させる。例えば、作業者が、作業者用通路82を第2方向Yに移動したり、対象保管層90Aから退出した結果、特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合には、制御装置40は、一旦停止した特定第1台車11Aの走行を再開させる。なお、特定第1台車11Aは、ブザー(音声出力装置の一例)を備えており、走行を再開する場合、ブザーが発する警告音を一定期間出力させることもできる。また、特定第1台車11Aは、警告音以外にも、光などの視覚情報を出力してもよい。
【0040】
本実施形態では、制御装置40は、特定保管部91Dに特定第1台車11Aを停止させた後、予め定められた期間が経過しても特定保管部91Dが第2制御の対象外とならない場合には、特定第1台車11Aに警告音を出力させると共に、特定第1台車11Aが物品Wを搬送中であった場合には当該物品Wを特定保管部91Dに卸させてから特定第1台車11Aを第2台車12まで走行させる臨時退避制御を実行する。本例では、予め定められた期間は数分程度(例えば5分~10分程度)に設定されるが、当該期間は数秒~数時間等となるように適宜設定変更可能である。そして、上記期間が経過すると、特定第1台車11Aが物品Wを保持している場合には、特定第1台車11Aは、自身が存在する保管部91(特定保管部91D)に一旦、物品Wを卸す(載置する)。なお、物品Wを卸す位置は、特定第1台車11Aが第2制御の開始に伴い停止した位置(例えば、第2制御の開始時の位置)とすることができる。その後、特定第1台車11Aは、保管部91を第1方向Xに移動して、第2台車12に乗り移る。また、特定第1台車11Aが、第2制御開始時に物品Wを保持していない場合は、当該特定第1台車11Aは、予め定められた期間が経過すると、第1方向Xに移動して、第2台車12に乗り移る。なお、本実施形態では、警告音は、特定第1台車11Aが第2台車12に到達するまで継続的に出力される。また、このような警告音が出力される期間は、適宜変更可能であり、例えば、特定第1台車11Aが第2台車12に到達するまでに警告音を停止させることもできる。また、特定第1台車11Aは、警告音以外にも、光などの視覚情報を出力してもよい。
【0041】
制御装置40は、臨時退避制御を実行した後、位置検知システム60による検知結果に応じて特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合には、特定保管部91Dであった保管部91に第1台車11を移動させ、臨時退避制御で特定保管部91Dに卸させた物品Wの搬送を再開させる。本例では、作業者が作業者用通路82を第2方向Yに移動したり、対象保管層90Aから退出した結果、特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外になった場合には、物品Wを卸した保管部91に、第2台車12から第1台車11が乗り移り、臨時退避制御にて卸した物品Wを保持して、当該物品Wの搬送を再開させる。このように、臨時退避制御を実行した場合であっても、保管部91(特定保管部91D)が第2制御の対象外になれば、特定第1台車11Aが搬送中であった物品W(ここでは、特定保管部91Dであった保管部91に卸した物品W)の搬送を再開させることができる。すなわち、制御装置40は、臨時退避制御で特定第1台車11Aに卸させた物品Wの位置(ここでは、当該物品Wが載置された特定保管部91Dの位置)を記憶する。
【0042】
制御装置40は、いずれかの保管層90に作業者がいる場合に、更に第3制御も実行する。第3制御は、真下保管部91Cを含む下側隣接保管層90Cにおける一部の保管部91への第1台車11の進入を禁止する制御である。真下保管部91Cを含む下側隣接保管層90Cにおける一部の保管部91への第1台車11の進入の禁止に伴い、真下保管部91Cを含む複数の保管部91における第1台車11の走行は基本的に禁止される。そして、真下保管部91Cを含む複数の保管部91に対する物品Wの搬出入が停止される(図4及び図5参照)。なお、本例では、第3制御は、第2制御と比べると、制御の対象となる保管層90が異なるだけで、基本的な制御内容は同じである。
【0043】
制御装置40は、下側隣接保管層90Cにおける第2台車12の走行と、下側隣接保管層90Cにおける第3制御の対象とならない保管部91への第1台車11の進入と、を許容しつつ、第3制御を実行する。制御装置40は、第3制御の対象とならない保管部91における第1台車11の走行を許容することで、当該保管部91への第1台車11の進入を許容する。よって、いずれかの保管部91に作業者がいる場合であっても、下側隣接保管層90Cにおいて、第3制御の対象とならない保管部91に対する物品Wの搬出入を、第1台車11と第2台車12とを用いて行うことができる。
【0044】
第3制御は、下側隣接保管層90Cに設けられた、真下保管部91Cを含む複数の保管部91への第1台車11の進入を禁止する。本例では、第3制御は、下側隣接保管層90Cのうちの、走行経路を挟んで第1方向Xに分かれて配置された2つの真下保管部91Cと、それぞれの真下保管部91Cに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91と、について第1台車11の進入を禁止する。すなわち、第3制御の対象となる保管部91は、合計6つである。このように第3制御の対象となる保管部91は、真下保管部91Cを含む複数の保管部91となる。なお、第3制御の対象となる保管部91の位置や数は、真下保管部91Cを第3制御の対象に含んでいれば、必要に応じて適宜変更可能であると好適である。例えば、第3制御の対象となる保管部91を真下保管部91Cのみに設定することができる。また、第3制御の対象となる保管部91の数は、6つより少なく設定したり、6つよりも多く設定することもできる。また、本実施形態では、図5に示すように、位置検知システム60により検知される作業者の位置が変化することで、変化後の作業者の位置に応じて対象保管部91Aが変更された場合は、対象保管部91Aの変更に応じて、第3制御の対象となる真下保管部91Cを含む複数の保管部91も変更される。
【0045】
なお、制御装置40は、第3制御の開始時に、第3制御の対象となった保管部91に第1台車11が存在する場合、当該第1台車11を停止させるようにすることもできる。また、制御装置40は、位置検知システム60による検知結果に応じて第3制御の対象であった保管部91が第3制御の対象外となった場合であって、当該保管部91に停止している第1台車11がある場合には、当該第1台車11の走行を再開させることもできる。また、制御装置40は、第3制御の対象である保管部91に第1台車11を停止させた後、予め定められた期間が経過しても、当該保管部91が第3制御の対象外とならない場合には、第1台車11に警告音を出力させると共に、当該第1台車11が物品Wを搬送中であった場合には当該物品Wを上記保管部91に卸させてから第1台車11を第2台車12まで走行させる制御を実行することもできる。これらの制御については、上記した第2制御に関連する制御と同様であるため、具体的な説明は省略する。
【0046】
本実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合又は作業者が保管層90へ進入した場合に、対象保管層90Aを決定して、第1制御を開始する。具体的には、図7に示すように、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合又は作業者が保管層90へ進入するための作業者の動作が検知された場合(ステップ♯01:Yes)、対象保管層90Aを決定して(ステップ♯02)、第1制御を開始する(ステップ♯03)。その後、制御装置40は、位置検知システム60により対象保管層90Aに作業者がいることが検知された場合(ステップ♯04:Yes)、第2制御(本実施形態では、第2制御及び第3制御)を開始する(ステップ♯05)。
【0047】
第2制御では、制御装置40は、位置検知システム60による検知結果に基づいて、対象保管部91Aを特定する(ステップ♯06)。次に、制御装置40は、特定保管部91Dを決定する(ステップ♯07)。本例では、制御装置40は、上側隣接保管層90Bにおける真上保管部91Bを含む複数の保管部91を特定保管部91Dに決定する。そして、制御装置40は、特定保管部91Dへの第1台車11の進入を禁止する(ステップ♯08)。次に、制御装置40は、位置検知システム60によって対象保管部91Aとは異なる保管部91に作業者がいることを検知すると(ステップ♯09:Yes)、制御装置40は、新たに対象保管部91Aを特定する(ステップ♯06)。一方、制御装置40は、位置検知システム60によって対象保管部91Aとは異なる保管部91に作業者がいることを検知されず(ステップ♯09:Nо)、更に、作業者が対象保管層90Aから退出したことを検知した場合(ステップ♯10:Yes)、第2制御を終了する。また、制御装置40は、作業者が対象保管層90Aから退出したことを検知していない場合(ステップ♯10:Nо)、引き続き特定保管部91Dへの第1台車11の進入を禁止する(ステップ♯08)。
【0048】
本実施形態では、図9に示すように、制御装置40は、第2制御に関連した制御を実行することもできる。この制御は、第2制御の開始に伴い実行される。まず、制御装置40は、特定保管部91Dに特定第1台車11Aが存在するかを判定する(ステップ♯20)。制御装置40は、特定保管部91Dに特定第1台車11Aが存在すると判定した場合(ステップ♯21:Yes)、当該特定第1台車11Aの走行を停止させる(ステップ♯22)。次に、制御装置40は、特定第1台車11Aが存在する保管部91が、第2制御の対象であるかを判定する(ステップ♯23)。制御装置40は、上記保管部91が第2制御の対象であると判定した場合(ステップ♯23:Yes)、制御装置40は、第2制御を開始後予め定められた期間が経過したかを判定する(ステップ♯24)。そして、制御装置40は、第2制御を開始後予め定められた期間が経過したと判定した場合(ステップ♯24:Yes)、臨時退避制御を開始する(ステップ♯25)。一方、制御装置40は、第2制御を開始後予め定められた期間が経過していないと判定した場合(ステップ♯24:Nо)、特定第1台車11Aの走行を停止させた状態を維持しつつ、特定第1台車11Aが存在する保管部91が、第2制御の対象であるかを判定する(ステップ♯23)。制御装置40は、臨時退避制御を開始後(ステップ♯25)に、上記保管部91が第2制御の対象ではないと判定した場合(ステップ♯26:Nо)、第1台車11に特定保管部91Dであった上記保管部91に卸させた物品Wの搬送を再開させる(ステップ♯27)。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、位置検知システム60は、発信機62及び当該発信機62から発信されるビーコン電波を受信する受信機61を含んでおり、これにより作業者の位置を測定する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、各保管層90にセンサ(超音波センサ、赤外線センサ等)を設置して、作業者の進入や存在を検知することで、作業者がいずれの保管部91に対応する位置(ここでは、作業者用通路82)にいるかを特定することもできる。
【0050】
(2)上記の実施形態では、制御装置40は、位置検知システム60により検知される作業者の位置が変化した場合には、当該変化後の作業者の位置に応じて随時対象保管部91Aを変更する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、位置検知システム60が一定期間の周期で作業者の位置を検知し、一定期間の周期ごとの作業者の位置(ここでは、任意の段Lの保管層90における複数の保管部91のいずれかに対応する位置)に応じて、対象保管部91Aを変更してもよい。なお、この場合、一定期間が経過するまでは、作業者の位置と対象保管部91Aとが対応していないことがある。
【0051】
(3)上記の実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管層90に作業者がいる場合に、第1制御及び第2制御に加えて、更に第3制御も実行する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置40が、いずれかの保管層90に作業者がいる場合に、第3制御を実行しない構成(例えば、第1制御及び第2制御のみを実行する構成)とすることもできる。また、制御装置40が、第2制御に加えて第4制御を実行する構成や、制御装置40が、第3制御を実行する場合に第3制御に加えて第5制御を実行する構成とすることもできる。ここで、第4制御は、上側隣接保管層90Bよりも上側Z1に存在する一部又は全ての保管層90において、第2制御の対象となる保管部91と上下方向視で重複する保管部91への第1台車11の進入を禁止する制御である。また、第5制御は、下側隣接保管層90Cよりも下側Z2に存在する一部又は全ての保管層90において、第3制御の対象となる保管部91と上下方向視で重複する保管部91への第1台車11の進入を禁止する制御である。
【0052】
(4)上記の実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に当該異常が発生した保管部91が存在する保管層90を対象保管層90Aに決定し、及び、いずれかの保管層90に作業者が進入した場合に当該作業者が進入した保管層90を対象保管層90Aに決定し、対象保管層90Aが決定された場合に第1制御を開始する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、いずれかの保管層90に作業者が進入した場合にのみ、当該作業者が進入した保管層90を対象保管層90Aに決定し、対象保管層90Aが決定された場合に第1制御を開始してもよい。
【0053】
(5)上記の実施形態では、第2制御の対象となった保管部91を特定保管部91Dとして、制御装置40は、第2制御の開始時に特定保管部91Dに第1台車11が存在する場合には、当該第1台車11を特定第1台車11Aとして、特定第1台車11Aを停止させる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、制御装置40は、第2制御の開始時に特定保管部91Dに第1台車11が存在する場合であっても、特定第1台車11Aを停止させないようにすることもできる。その場合、制御装置40は、特定第1台車11Aが物品Wを保持しているか否かに拘らず、当該特定第1台車11Aを、一旦第2台車12に戻すように移動させることもできる。
【0054】
(6)上記の実施形態では、制御装置40は、位置検知システム60による検知結果に応じて特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合であって、当該保管部91に停止している特定第1台車11Aがある場合には、当該特定第1台車11Aの走行を再開させる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置40は、保管部91が第2制御の対象外となった場合であっても、当該保管部91に停止している特定第1台車11Aの走行を再開させなくてもよい。また、第2制御の対象外となってから一定期間(例えば数分程度)経過後に当該保管部91に停止している特定第1台車11Aの走行を再開させてもよい。
【0055】
(7)上記の実施形態では、制御装置40は、特定保管部91Dに特定第1台車11Aを停止させた後、予め定められた期間が経過しても特定保管部91Dが第2制御の対象外とならない場合には、特定第1台車11Aに警告音を出力させると共に、特定第1台車11Aが物品Wを搬送中であった場合には当該物品Wを特定保管部91Dに卸させてから特定第1台車11Aを第2台車12まで走行させる臨時退避制御を実行する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置40は、上記の臨時退避制御を実行しなくてもよい。また、制御装置40は、臨時退避制御を実行する場合に、特定第1台車11Aに物品Wを特定保管部91Dに卸させつつ、当該特定第1台車11Aを第2台車12まで走行させず、特定保管部91Dに留まるように制御することもできる。
【0056】
(8)上記の実施形態では、制御装置40は、臨時退避制御を実行した後、位置検知システム60による検知結果に応じて特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合には、特定保管部91Dであった保管部91に第1台車11を移動させ、臨時退避制御で特定保管部91Dに卸させた物品Wの搬送を再開させる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置40は、特定保管部91Dであった保管部91が第2制御の対象外となった場合には、特定保管部91Dであった保管部91に第1台車11を移動させ、臨時退避制御で特定保管部91Dに卸させた物品Wの搬送を再開させない構成とすることもできる。
【0057】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した保管設備の概要について説明する。
【0058】
本開示に係る保管設備は、上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、
作業者の位置を検知する位置検知システムと、を備え、
前記制御装置は、いずれかの前記保管層に前記作業者がいる場合に、前記位置検知システムによる検知結果に応じて第1制御と第2制御とを実行し、
前記作業者がいる前記保管層を対象保管層とし、前記対象保管層における前記作業者の前記第2方向の位置に対応する前記保管部を対象保管部とし、前記対象保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記対象保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記対象保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部を含む前記上側隣接保管層における一部の前記保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御である。
【0059】
本構成によれば、いずれかの保管層に作業者が入った場合には第1制御が実行され、当該作業者がいる対象保管層において第1台車及び第2台車の双方の走行が停止される。よって、対象保管層にいる作業者の安全を適切に確保することができる。
また、本構成によれば、第1制御に加えて第2制御が実行され、対象保管層における作業者の第2方向の位置に対応する保管部である対象保管部の真上に位置する真上保管部を含む上側隣接保管層における一部の保管部への第1台車の進入が禁止される。このように上側隣接保管層における作業者の位置に比較的近い位置にある保管部への第1台車の進入を禁止することで、作業者と上側隣接保管層にいる第1台車との万が一の接触や、作業者と上側隣接保管層を走行中の第1台車からの落下物(例えば、搬送中の物品等)との万が一の接触を回避して、作業者の安全を適切に確保することができる。
一方で、上側隣接保管層における作業者と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、上側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を上側隣接保管層の一部に限定して、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0060】
ここで、前記制御装置は、前記上側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記上側隣接保管層における前記第2制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第2制御を実行すると好適である。
【0061】
本構成によれば、第2制御の実行中であっても、上側隣接保管層における第2制御の対象とならない保管部に対する物品の搬出入を、第1台車と第2台車とを用いて行うことができる。よって、保管設備の稼働効率の低下を抑制しつつ第2制御を実行することができる。
【0062】
また、前記制御装置は、前記位置検知システムにより検知される前記作業者の位置が変化した場合には、当該変化後の前記作業者の位置に応じて随時前記対象保管部を変更すると好適である。
【0063】
本構成によれば、作業者が第2方向に移動した場合であっても、当該作業者の移動に追従して第2制御の対象とする前記保管部を随時設定することができる。従って、作業者が移動した場合であっても、当該移動後の作業者の位置に比較的近い位置にある上側隣接保管層の保管部への第1台車の進入を禁止し、作業者の安全を適切に確保することができる。
【0064】
また、前記制御装置は、いずれかの前記保管層に前記作業者がいる場合に、更に第3制御も実行し、
前記対象保管層に対して下側に隣接する前記保管層を下側隣接保管層とし、前記下側隣接保管層における前記対象保管部の真下に位置する前記保管部を真下保管部として、
前記第3制御は、前記真下保管部を含む前記下側隣接保管層における一部の前記保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であると好適である。
【0065】
本構成によれば、いずれかの保管層に作業者が入った場合には第1制御及び第2制御に加えて第3制御が実行され、対象保管部の真下に位置する真下保管部を含む下側隣接保管層における一部の保管部への第1台車の進入が禁止される。このように下側隣接保管層における作業者の位置に比較的近い位置にある保管部への第1台車の進入を禁止することで、仮に作業者による作業時に対象保管部から何らかの物体(例えば、工具等)が下側隣接保管層に落下した場合でも、当該物体と下側隣接保管層に存在する第1台車との接触を回避できる等、下側隣接保管層で異常が発生することを回避しやすくなる。
一方で、下側隣接保管層における作業者と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、下側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を下側隣接保管層の一部に限定して、第3制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0066】
また、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に当該異常が発生した前記保管部が存在する前記保管層を前記対象保管層に決定し、及び、いずれかの前記保管層に前記作業者が進入した場合に当該作業者が進入した前記保管層を前記対象保管層に決定し、前記対象保管層が決定された場合に前記第1制御を開始し、その後、前記位置検知システムにより前記対象保管層に前記作業者がいることが検知された場合に前記第2制御を開始すると好適である。
【0067】
本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合及びいずれかの保管部に作業者が進入した場合には、直ちに第1制御を開始できるため、異常状態が悪化することを回避できると共に作業者の安全を確保することができる。
その上で、第2制御の開始を、位置検知システムにより対象保管層に作業者がいることが検知されるまで遅らせることができる。よって、作業者が検知されるまでの間は、上側隣接保管層の全体において物品の搬送を継続して行うことができ、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を更に抑制することができる。
【0068】
また、前記第2制御の対象となった前記保管部を特定保管部として、
前記制御装置は、前記第2制御の開始時に前記特定保管部に前記第1台車が存在する場合には、当該第1台車を特定第1台車として、前記特定第1台車を停止させると好適である。
【0069】
本構成によれば、第2制御の開始時に既に特定保管部に第1台車がいた場合であっても、当該第1台車を停止させることで、作業者と特定保管部にいる第1台車との接触を回避して、作業者の安全を適切に確保することができる。
【0070】
また、前記制御装置は、前記位置検知システムによる検知結果に応じて前記特定保管部であった前記保管部が前記第2制御の対象外となった場合であって、当該保管部に停止している前記特定第1台車がある場合には、当該特定第1台車の走行を再開させると好適である。
【0071】
本構成によれば、第2制御の開始時に既に特定保管部に第1台車がいた場合に当該第1台車を停止させた後であっても、作業者の移動等によって当該特定保管部であった保管部が第2制御の対象外となった場合には、第1台車の走行を再開させることができる。従って、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0072】
また、前記制御装置は、前記特定保管部に前記特定第1台車を停止させた後、予め定められた期間が経過しても前記特定保管部が前記第2制御の対象外とならない場合には、前記特定第1台車に警告音を出力させると共に、前記特定第1台車が前記物品を搬送中であった場合には当該物品を前記特定保管部に卸させてから前記特定第1台車を前記第2台車まで走行させる臨時退避制御を実行すると好適である。
【0073】
第2制御の開始時に既に特定保管部に第1台車がいた場合であって、第2制御が長期間継続した場合には、特定第1台車を長期間稼働させることができないことになる。本構成によれば、そのような場合に、警告音を出力させることで作業者に注意を促し、且つ、搬送中であった物品を特定保管部に卸させることで作業者の安全性を高めつつ、特定第1台車を稼働させることができる。従って、長期間第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0074】
また、前記制御装置は、前記臨時退避制御を実行した後、前記位置検知システムによる検知結果に応じて前記特定保管部であった前記保管部が前記第2制御の対象外となった場合には、前記特定保管部であった前記保管部に前記第1台車を移動させ、前記臨時退避制御で前記特定保管部に卸させた前記物品の搬送を再開させると好適である。
【0075】
本構成によれば、臨時退避制御を実行した場合であっても、特定保管部であった保管部が第2制御の対象外となった場合には、特定第1台車が搬送中であった物品の搬送を再開させることができる。従って、当該保管部に対する第2制御の終了後に物品を適切に搬送することができる。
【0076】
また、複数段の前記保管層のそれぞれにおいて、複数列の前記保管部が、前記第2台車の走行経路を挟んで両側に配置されており、
前記制御装置は、前記対象保管層における前記作業者の前記第2方向の位置に対応する前記保管部を、前記走行経路の両側共に前記対象保管部とすると好適である。
【0077】
本構成によれば、第2台車の走行経路を挟んで両側に配置された保管部の双方を対象として第2制御を実行することができる。従って、作業者のより一層の安全を確保し易い。
【0078】
本開示に係る保管設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0079】
11 :第1台車
11A :特定第1台車
12 :第2台車
40 :制御装置
60 :位置検知システム
90 :保管層
90A :対象保管層
90B :上側隣接保管層
90C :下側隣接保管層
91 :保管部
91A :対象保管部
91B :真上保管部
91C :真下保管部
91D :特定保管部
100 :保管設備
L :段
W :物品
X :第1方向
Y :第2方向
Z :上下方向
Z1 :上側
Z2 :下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9