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特開2024-62629基板切断制御システム、基板切断制御方法、プログラム、及び、基板切断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062629
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】基板切断制御システム、基板切断制御方法、プログラム、及び、基板切断システム
(51)【国際特許分類】
   B28D 5/00 20060101AFI20240501BHJP
   B28D 7/00 20060101ALI20240501BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20240501BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B28D5/00 Z
B28D7/00
B26F3/00 A
C03B33/033
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170604
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義明
(72)【発明者】
【氏名】西田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】中田 勝喜
(72)【発明者】
【氏名】劉 雄
(72)【発明者】
【氏名】谷垣内 平道
(72)【発明者】
【氏名】田端 淳
【テーマコード(参考)】
3C060
3C069
4G015
【Fターム(参考)】
3C060AA08
3C060AA10
3C060CB03
3C060CB14
3C069AA03
3C069BA03
3C069BA04
3C069BB04
3C069BC03
3C069BC04
3C069CA03
3C069CA06
3C069CA11
3C069EA01
4G015FB01
4G015FC02
4G015FC14
(57)【要約】
【課題】基板切断を停止させることなく、熟練した技術を必要とすることなく、基板切断の制御パラメータを適切に調整する。
【解決手段】基板切断制御システム7は、状態データ収集装置71と、品質データ収集装置73と、パラメータ算出装置75と、を備える。状態データ収集装置71は、スクライブ装置1の状態を表す第1状態データD1と、ブレイク装置3の状態を表す第2状態データD2と、を収集する。品質データ収集装置73は、基板小片SWの品質を表す品質データD3を収集する。パラメータ算出装置75は、第1状態データD1と、第2状態データD2と、品質データD3と、に基づいて、スクライブ装置1の第1制御パラメータP1と、ブレイク装置3の第2制御パラメータP2と、を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、前記スクライブラインに沿って前記基板をブレイクするブレイク装置と、を制御する基板切断制御システムであって、
前記基板に前記スクライブラインを形成しているときの前記スクライブ装置の状態を表す第1状態データと、前記基板をブレイクしているときの前記ブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集する状態データ収集装置と、
前記基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集する品質データ収集装置と、
前記第1状態データと、前記第2状態データと、前記品質データと、に基づいて、前記基板にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ装置の第1制御パラメータと、前記基板をブレイクするときの前記ブレイク装置の第2制御パラメータと、を算出するパラメータ算出装置と、
を備える、基板切断制御システム。
【請求項2】
前記第1状態データは、前記スクライブ装置で発生する振動に関するデータ、前記スクライブ装置が前記基板を押す量に関するデータ、前記スクライブ装置が前記基板に加える力の変動に関するデータ、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基板切断制御システム。
【請求項3】
前記第2状態データは、前記基板をブレイクするときに発生する音に関するデータ、前記ブレイク装置が前記基板を押す量に関するデータ、前記ブレイク装置が前記基板を押す力に関するデータ、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基板切断制御システム。
【請求項4】
前記第1制御パラメータは、前記スクライブ装置が前記基板に加える力、前記基板に対する前記スクライブ装置の走査速度、前記基板に対する前記スクライブ装置の加減速度、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基板切断制御システム。
【請求項5】
前記第2制御パラメータは、前記ブレイク装置が前記基板に加える力、前記基板をブレイクする順番、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基板切断制御システム。
【請求項6】
基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、前記スクライブラインに沿って前記基板をブレイクするブレイク装置と、を制御する基板切断制御方法であって、
前記基板に前記スクライブラインを形成しているときの前記スクライブ装置の状態を表す第1状態データと、前記基板をブレイクしているときの前記ブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集するステップと、
前記基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集するステップと、
前記第1状態データと、前記第2状態データと、前記品質データと、に基づいて、前記基板にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ装置の制御パラメータと、前記基板をブレイクするときの前記ブレイク装置の制御パラメータと、を算出するステップと、
を備える、基板切断制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の基板切断制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、
前記スクライブラインに沿って前記基板をブレイクするブレイク装置と、
前記スクライブ装置、前記ブレイク装置を制御する基板切断制御システムと、
を備え、
前記基板切断制御システムは、
前記基板に前記スクライブラインを形成しているときの前記スクライブ装置の状態を表す第1状態データと、前記基板をブレイクしているときの前記ブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集する状態データ収集装置と、
前記基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集する品質データ収集装置と、
前記第1状態データと、前記第2状態データと、前記品質データと、に基づいて、前記基板にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ装置の第1制御パラメータと、前記基板をブレイクするときの前記ブレイク装置の第2制御パラメータと、を算出するパラメータ算出装置と、
を有する、
基板切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置と、を制御する基板切断制御システム、これら装置を制御する基板切断制御方法、基板切断制御方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、スクライブ装置と、ブレイク装置と、上記の基板切断制御システムと、を備える基板切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等の平面状の基板を切断して基板小片を生成する方法として、加工線に沿ったスクライブラインを基板に形成し、スクライブラインを形成した基板をブレイク(切断)して基板小片を生成する方法が知られている。この基板切断方法を実現するために、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置と、を備えるシステムが知られている。このシステムにおいて、スクライブ装置及びブレイク装置の状態を表すデータを収集しモニタすることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-80177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムにおいては、装置の状態をモニタすることで基板小片の生成状態が不適切であると認識した場合には、当該システムを停止させて、ユーザが装置のパラメータ等を調整する必要がある。そのため、従来のシステムでは、基板小片の生成効率を上げることが難しかった。また、基板小片の生成状態が不適切であることを認識してシステムを停止するまでに時間がかかるため、システムが停止するまでの間に生成状態が不適切な大量の基板小片が生成される可能性もあった。さらに、装置のパラメータ等の調整には、勘と経験に基づいた熟練した技術が必要であるため、装置のパラメータ等の調整を適切に行えるユーザも限られていた。
【0005】
本発明の目的は、スクライブ装置とブレイク装置を備えるシステムにおいて、当該システムを停止させることなく、熟練した技術を必要とすることなく、上記装置の制御パラメータを適切に調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る基板切断制御システムは、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置と、を制御するシステムである。基板切断制御システムは、状態データ収集装置と、品質データ収集装置と、パラメータ算出装置と、を備える。
状態データ収集装置は、基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データと、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集する。
品質データ収集装置は、基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集する。
パラメータ算出装置は、第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の第1制御パラメータと、基板をブレイクするときのブレイク装置の第2制御パラメータと、を算出する。
【0007】
上記の基板切断制御システムでは、パラメータ算出装置が、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板切断制御システムは、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【0008】
上記の基板切断制御システムにおいて、第1状態データは、スクライブ装置で発生する振動に関するデータ、スクライブ装置が基板を押す量に関するデータ、スクライブ装置が基板に加える力の変動に関するデータ、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のデータは、スクライブラインの形成状態に影響を及ぼしうるデータであるので、第1状態データを上記のデータとすることで、基板小片の切断状態を適切にモニタできる。
【0009】
上記の基板切断制御システムにおいて、第2状態データは、基板をブレイクするときに発生する音に関するデータ、ブレイク装置が基板を押す量に関するデータ、ブレイク装置が基板を押す力に関するデータ、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のデータは、基板のブレイクの状態に影響を及ぼしうるデータであるので、第2状態データを上記のデータとすることで、基板小片の切断状態を適切にモニタできる。
【0010】
上記の基板切断制御システムにおいて、第1制御パラメータは、スクライブ装置が基板に加える力、基板に対するスクライブ装置の走査速度、基板に対するスクライブ装置の加減速度、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のパラメータは、基板にスクライブラインを形成する条件に関するものであるので、第1制御パラメータを上記のパラメータとすることで、基板小片の切断状態を適切にするようスクライブ装置を動作させることができる。
【0011】
上記の基板切断制御システムにおいて、第2制御パラメータは、ブレイク装置が基板に加える力、基板をブレイクする順番、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のパラメータは、基板をブレイクする条件に関するものであるので、第2制御パラメータを上記のパラメータとすることで、基板小片の切断状態を適切にするようブレイク装置を動作させることができる。
【0012】
本発明の他の見地に係る基板切断制御方法は、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置と、を制御する方法である。基板切断制御方法は、以下のステップを備える。
◎基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データと、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集するステップ。
◎基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集するステップ。
◎第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の制御パラメータと、基板をブレイクするときのブレイク装置の制御パラメータと、を算出するステップ。
【0013】
上記の基板切断制御方法では、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板切断制御方法は、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【0014】
本発明のさらに他の見地に係る基板切断システムは、スクライブ装置と、ブレイク装置と、基板切断制御システムと、を備える。スクライブ装置は、基板にスクライブラインを形成する。ブレイク装置は、スクライブラインに沿って基板をブレイクする。基板切断制御システムは、スクライブ装置、ブレイク装置を制御する。
【0015】
基板切断制御システムは、状態データ収集装置と、品質データ収集装置と、パラメータ算出装置と、を有する。状態データ収集装置は、基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データと、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集する。品質データ収集装置は、基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集する。パラメータ算出装置は、第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の第1制御パラメータと、基板をブレイクするときのブレイク装置の第2制御パラメータと、を算出する。
【0016】
上記の基板切断システムでは、パラメータ算出装置が、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板制御システムは、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
スクライブ装置とブレイク装置とを停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、上記装置の制御パラメータを適切に調整できる。この結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】基板切断システムの構成を示す図。
図2】スクライブ装置の概略斜視図。
図3】ブレイク装置の概略斜視図。
図4】状態データ収集装置の構成を示す図。
図5】品質データ収集装置の構成を示す図。
図6】パラメータ算出装置の構成を示す図
図7】基板切断システムにおける基板切断動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態
(1)基板切断システム
図1を用いて、基板切断システム100を説明する。図1は、基板切断システム100の構成を示す図である。基板切断システム100は、基板Wを所定の形状に切断して基板小片SWを生成するシステムである。基板Wは、例えば、ガラス基板、セラミック基板、サファイア基板、シリコン基板等の脆性材料で構成された平面状の基板である。
【0020】
基板切断システム100では、基板Wを加工線に沿ってスクライブラインを形成し、スクライブラインに沿って基板Wをブレイクすることで、基板小片SWを生成する。基板切断システム100は、スクライブ装置1と、ブレイク装置3と、検査装置5と、基板切断制御システム7と、を備える。
【0021】
スクライブ装置1は、加工線に沿って基板Wにスクライブラインを形成する装置である。図2に示すように、スクライブ装置1は、基板Wを載置するテーブル11を有する。図2は、スクライブ装置1の概略斜視図である。テーブル11は、移動台12に載っている。移動台12は、水平なレール13a、13bに沿って移動できるようになっており、第1モータ14によって回転するボールネジ15により駆動される。これにより、テーブル11は、後述するスクライブヘッド19に対して一方向(図2では、Y方向)に移動できる。
【0022】
スクライブ装置1は、移動台12とテーブル11を跨ぐように、支柱16a、16bによって架設されているブリッジ17を有する。ブリッジ17には、ガイド18が取り付けられている。ガイド18には、スクライブヘッド19が、ガイド18の延長方向(図3では、X方向)に沿って移動可能に設置されている。スクライブヘッド19は、第2モータ20による駆動により、ガイド18に沿って移動する。
【0023】
スクライブ装置1では、テーブル11がスクライブヘッド19に対して一方向(Y方向)に移動し、スクライブヘッド19がガイド18の延長方向(X方向)に沿って移動することで、スクライブヘッド19が、テーブル11に載置された基板Wに対して二次元的に移動できる。
【0024】
スクライブヘッド19には、ホルダージョイント19aを介して、ホルダーユニット19bが取り付けられている。ホルダーユニット19bは、ホイール19cを有している。ホイール19cは、基板Wにスクライブラインを形成するスクライブホイールである。ホイール19cは、ホルダーユニット19bに回転自在に支持されている。スクライブヘッド19には、ホイール19cを基板Wに押しつける駆動力を与える第3モータ19dと、ホイール19cに伝わる振動を検出するセンサ19eと、が設けられる。センサ19eは、例えば、加速度センサである。
【0025】
ブレイク装置3は、スクライブ装置1により形成したスクライブラインに沿って基板Wをブレイクする装置である。図3に示すように、ブレイク装置3は、基板Wを載置するテーブル31を備えている。図3は、ブレイク装置3の概略斜視図である。テーブル31は、移動台32に載っている。移動台32は、水平なレール33a、33bに沿って一方向(図3では、Y方向)に移動できるようになっており、第4モータ34によって回転するボールネジ35により駆動される。
【0026】
ブレイク装置3は、移動台32とその上部のテーブル31を跨ぐように、支柱36a、36bによって架設されているブリッジ37を有する。ブリッジ37には、ブレイクバー38が設けられている。ブレイクバー38は、エアシリンダ39によりテーブル11に対して昇降可能になっている。ブレイクバー38は、基板Wのスクライブラインを形成した箇所を押すことで、基板Wをスクライブラインに沿ってブレイクする。
【0027】
ブレイク装置3には、集音装置40が設けられる。集音装置40は、基板Wをブレイクするときにブレイク装置3で発生する音データを取得する。集音装置40は、例えば、マイクである。
【0028】
図1を用いた基板切断システム100の構成の説明に戻る。図1に示すように、基板切断システム100には、2つのスクライブ装置1と2つのブレイク装置3とが所定の方向に沿って交互に並んで配置されている。また、スクライブ装置1とブレイク装置3は、基板Wを搬送する搬送装置9(例えば、コンベヤ)により接続されている。この構成により、二段階の基板切断の工程を実行できる。
【0029】
例えば、基板Wが2枚の板状部材を貼り合わせたものである場合に、一方の板状部材にスクライブラインを形成してブレイクした後、基板Wを反転させて他方の板状部材にスクライブラインを形成してブレイクすることで、基板Wを切断できる。また、例えば、基板Wを一方向(例えば、基板Wの縦方向又は横方向)にスクライブラインを形成してブレイクした後、基板Wの多方向にスクライブラインを形成してブレイクできる。
【0030】
なお、スクライブ装置1及びブレイク装置3の設置台数は、例えば、基板Wをどのような工程で切断するか等に応じて任意に決定できる。
【0031】
検査装置5は、搬送装置9の終点側に設けられ、基板Wを切断することで生成された基板小片SWの品質を検査するためのデータを取得する。検査装置5は、基板小片SWを撮影した画像(基板画像データIMと呼ぶ)を上記データとして取得する。検査装置5で取得する基板画像データIMは、基板小片SWの側面(すなわち、基板Wの切断面)、角の表面及び裏面などの画像データを含む。
【0032】
基板切断制御システム7は、基板Wの切断工程の実行中(すなわち、基板小片SWの生成中)に、スクライブ装置1、ブレイク装置3、検査装置5において得られた各種データに基づいて、スクライブ装置1及びブレイク装置3を制御するための制御パラメータを決定するシステムである。基板切断制御システム7は、状態データ収集装置71と、品質データ収集装置73と、パラメータ算出装置75と、を有する。
【0033】
(2)状態データ収集装置
状態データ収集装置71は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、各種インタフェース(例えば、ネットワークインタフェース)などにより構成されたコンピュータシステムである。図4に示すように、状態データ収集装置71は、記憶部711と、制御部713と、を有する。図4は、状態データ収集装置71の構成を示す図である。
【0034】
記憶部711は、状態データ収集装置71を構成するコンピュータシステムの記憶装置の記憶領域である。記憶部711は、各種データ、状態データ収集装置71の機能を実現するプログラムなどを記憶する。
【0035】
制御部713は、状態データ収集装置71を構成するコンピュータシステムのCPU、各種インタフェースなどにより構成され、状態データ収集装置71の機能を実行する。制御部713は、記憶部711に記憶されたプログラムを実行することで、状態データ収集装置71の機能を実現する。
【0036】
制御部713は、基板Wにスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置1の状態を表すデータ(第1状態データD1と呼ぶ)を取得し、記憶部711に記憶する。第1状態データD1は、例えば、スクライブ装置1で発生する振動に関するデータ、スクライブ装置1がスクライブラインの形成時に基板Wを押す量に関するデータ、及び/又は、スクライブ装置1がスクライブラインの形成時に基板Wに加える力の変動に関するデータである。
【0037】
振動に関するデータは、スクライブ装置1に設けられたセンサ19eにより測定された、ホイール19cに加えられた振動に関するデータである。この振動に関するデータは、例えば、振動波形として取得される。その他、振動に関するデータは、ホイール19cを基板Wに押しつける第3モータ19dに入力される電流波形とすることもできる。
【0038】
基板Wを押す量に関するデータは、スクライブラインの形成時にホイール19cを基板Wにどれだけ深く押しつけるか(押しつけ量)を示すデータである。この押す量に関するデータは、例えば、ホイール19cを基板Wに押しつける際の第3モータ19dの回転量から算出できる。
【0039】
基板Wに加える力の変動に関するデータは、スクライブラインの形成時にホイール19cを基板Wに押しつける力の変動を示すデータである。この力の変動に関するデータは、例えば、ホイール19cを基板Wに押しつける際の第3モータ19dに入力される電流値とその波形とすることができる。
【0040】
また、制御部713は、基板Wをブレイクしているときのブレイク装置3の状態を表すデータ(第2状態データD2)を取得し、記憶部711に記憶する。第2状態データD2は、例えば、基板Wをブレイクするときに発生する音に関するデータ、ブレイク装置3が基板Wを押す量に関するデータ、及び/又は、ブレイク装置3が基板Wを押す力に関するデータである。
【0041】
基板Wをブレイクするときに発生する音に関するデータは、ブレイク時に基板Wから発生する音のデータである。この音に関するデータは、例えば、ブレイク装置3に設けられた集音装置40により取得できる。
【0042】
基板Wを押す量に関するデータは、ブレイク時にブレイクバー38を基板Wにどれだけ深く押しつけるか(押しつけ量)を示すデータである。この押す量に関するデータは、例えば、エアシリンダ39によりブレイクバー38を基板Wに押しつけたときのブレイクバー38の移動量から算出できる。
【0043】
基板Wを押す力に関するデータは、ブレイク時にブレイクバー38を基板Wに押しつける力を示すデータである。この押す力に関するは、例えば、ブレイク時にエアシリンダ39がブレイクバー38を押した力として算出できる。
【0044】
さらに、制御部713は、第1状態データD1及び第2状態データD2を分析して、基板Wの切断工程を実行中のスクライブ装置1及びブレイク装置3の状態を監視し、監視結果R1を記憶部711に記憶する。
【0045】
制御部713は、スクライブ装置1で発生する振動に関するデータ、スクライブ装置1がスクライブラインの形成時に基板Wに加える力の変動に関するデータ、基板Wをブレイクするときに発生する音に関するデータなどの波形として取得されるデータについては、例えば、波形の振幅、波形に含まれる周波数成分に基づいて、監視結果R1を算出する。例えば、波形の振幅が通常よりも大きい場合、波形に通常では見られない周波数成分が含まれている場合には、スクライブラインの形成時及び/又はブレイク時に異常が発生している、スクライブラインの形成条件及び/又はブレイク条件が不適切と認識できる。
【0046】
また、制御部713は、スクライブ装置1がスクライブラインの形成時に基板Wを押す量に関するデータ、ブレイク装置3が基板Wを押す量に関するデータ、及び/又は、ブレイク装置3が基板Wを押す力に関するデータなどについては、これら量又は力の大きさに基づいて、監視結果R1を算出する。例えば、基板Wを押す量及び/又は押す力が過大又は過小である場合に、スクライブラインの形成時及び/又はブレイク時に異常が発生している、スクライブラインの形成条件及び/又はブレイク条件が不適切と認識できる。
【0047】
状態データ収集装置71には、表示装置71aが接続されている。表示装置71aは、第1状態データD1、第2状態データD2、監視結果R1などを表示する。これにより、ユーザは、スクライブ装置1及びブレイク装置3から得られた状態データ、これら装置の監視結果R1を視覚的に確認できる。表示装置71aは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。
【0048】
(3)品質データ収集装置
品質データ収集装置73は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、各種インタフェース(例えば、ネットワークインタフェース)などにより構成されたコンピュータシステムである。図5に示すように、品質データ収集装置73は、記憶部731と、制御部733と、を有する。図5は、品質データ収集装置73の構成を示す図である。
【0049】
記憶部731は、品質データ収集装置73を構成するコンピュータシステムの記憶装置の記憶領域である。記憶部731は、各種データ、品質データ収集装置73の機能を実現するプログラムなどを記憶する。
【0050】
制御部733は、品質データ収集装置73を構成するコンピュータシステムのCPU、各種インタフェースなどにより構成され、品質データ収集装置73の機能を実行する。制御部733は、記憶部731に記憶されたプログラムを実行することで、品質データ収集装置73の機能を実現する。
【0051】
制御部733は、基板小片SWを撮影した基板画像データIMを検査装置5から取得し、基板画像データIMに基づいて基板小片SWの品質を表すデータ(品質データD3と呼ぶ)を生成し、記憶部731に記憶する。制御部733は、基板画像データIMを画像解析して、基板小片SWに存在する「欠け(チッピング)」、「割れ」、「リブマーク」などの不適切な部分の存在個数とその大きさを取得し、これらに基づいて品質データD3を生成する。品質データD3は、例えば、基板小片SWの品質が合格基準にあるか否かを示すデータであってもよいし、基板小片SWの品質を複数段階に分けて評価したデータであってもよい。
【0052】
また、基板Wを切断することで基板小片SWは複数生成される。この場合、制御部733は、複数の基板小片SWのうち1つの品質を品質データD3としてもよいし、複数の基板小片SWの品質の平均を品質データD3としてもよい。複数の基板小片SWのうち1つの品質を品質データD3する場合には、複数の基板小片SWのうち品質の評価結果が最も低かったものの品質を品質データD3としてもよいし、複数の基板小片SWのうち品質の評価結果が最も高かったものの品質を品質データD3としてもよいし、ランダムに選択した基板小片SWの品質を品質データD3としてもよい。
【0053】
品質データ収集装置73には、表示装置73aが接続されている。表示装置73aは、基板画像データIM、品質データD3などを表示する。基板画像データIMを表示する場合、表示装置73aは、対応する基板小片SWに存在する上記不適切な部分の存在箇所とその大きさを認識できる表示(例えば、不適切な部分を四角等で囲むなど)をしてもよい。これにより、ユーザは、基板小片SWの不適切な部分の状態を確認しやすくなる。表示装置73aは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。
【0054】
(4)パラメータ算出装置
パラメータ算出装置75は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、各種インタフェース(例えば、ネットワークインタフェース)などにより構成されたコンピュータシステムである。図6に示すように、パラメータ算出装置75は、記憶部751と、制御部753と、を有する。図6は、パラメータ算出装置75の構成を示す図である。
【0055】
記憶部751は、パラメータ算出装置75を構成するコンピュータシステムの記憶装置の記憶領域である。記憶部751は、各種データ、パラメータ算出装置75の機能を実現するプログラムなどを記憶する。
【0056】
制御部753は、パラメータ算出装置75を構成するコンピュータシステムのCPU、各種インタフェースなどにより構成され、パラメータ算出装置75の機能を実行する。制御部753は、記憶部751に記憶されたプログラムを実行することで、パラメータ算出装置75の機能を実現する。
【0057】
制御部753は、状態データ収集装置71から第1状態データD1及び第2状態データD2を受信し、品質データ収集装置73から品質データD3を受信し、第1状態データD1と、第2状態データD2と、品質データD3と、に基づいて、基板Wにスクライブラインを形成するときのスクライブ装置1の制御パラメータ(第1制御パラメータP1と呼ぶ)と、基板Wをブレイクするときのブレイク装置3の制御パラメータ(第2制御パラメータP2)と、を算出する。
【0058】
第1制御パラメータP1は、例えば、スクライブ装置1が基板Wに加える力、基板Wに対するスクライブ装置1の走査速度、及び/又は、基板Wに対するスクライブ装置の加減速度である。
【0059】
スクライブ装置1が基板Wに加える力は、スクライブラインの形成時にホイール19cを基板Wに押しつける力である。このパラメータは、例えば、ホイール19cを基板Wに押しつける際の第3モータ19dに入力する電流値とできる。基板Wに対するスクライブ装置1の走査速度、加減速度は、スクライブラインの形成時のホイール19cの基板Wに対する速度、加減速度である。このパラメータは、例えば、ガイド18におけるスクライブヘッド19の移動を行う第2モータ20に対する制御量、及び/又は、スクライブ装置1の移動台12を移動させる第1モータ14に対する制御量とできる。
【0060】
一方、第2制御パラメータP2は、ブレイク装置3が基板Wに加える力、及び/又は、基板Wをブレイクする順番である。ブレイク装置3が基板Wに加える力は、ブレイク時にブレイクバー38を基板Wに押しつける力である。このパラメータは、例えば、ブレイクバー38を昇降させるエアシリンダ39の制御量である。基板Wをブレイクする順番は、基板Wのどの部分から順番にブレイクを行うかを示すパラメータである。このパラメータは、ブレイク装置3の移動台32を移動させる第4モータ34の制御量及び/又は制御パターンである。
【0061】
制御部753は、現在の第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を用いてスクライブ装置1及びブレイク装置3を制御して得られた、第1状態データD1、第2状態データD2、品質データD3を分析し、よりよい状態を表すとされている第1状態データD1及び第2状態データD2、より品質が高いことを示す品質データD3が得られるより最適な第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を算出する。
【0062】
上記の「よりよい状態」とは、例えば、ホイール19cの振動が少ない、ホイール19cを基板Wに押しつける力の変動が少ない、ホイール19cの押しつけ量が適切な範囲内にある、ブレイク時の音が適切な範囲内にある、ブレイクバー38の押しつけ量が適切な範囲内にある、ブレイクバー38を基板Wに押しつける力が適切な範囲内にある、など装置が最適に動作している状態を指す。
【0063】
制御部753は、上記の第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2の算出を、例えば、所定のアルゴリズムによって実現できる。例えば、制御部753は、第1状態データD1、第2状態データD2、品質データD3、これらデータを得られた第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を入力とし、改善されたデータを取得できた変更後の第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を出力とする教師データとして学習された学習モデルを用いて、第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を算出できる。その他、所定の機械学習アルゴリズムを用いて、最適な第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を算出できるモデルを実現できる。
【0064】
パラメータ算出装置75には、表示装置75aが接続されている。表示装置75aは、パラメータ算出装置75における制御パラメータの算出に関する各種情報を表示する。表示装置75aは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。
【0065】
(5)基板切断システムの動作
以下、図7を用いて、基板切断システム100において基板Wを切断し、基板切断中に得られた第1状態データD1、第2状態データD2、基板切断後の基板小片SWの品質データD3に基づいてより最適な第1制御パラメータP1及び第2制御パラメータP2を算出する動作を説明する。図7は、基板切断システム100における基板切断動作を示すフローチャートである。
【0066】
基板切断システム100において、基板Wを切断して基板小片SWを生成する(ステップS1)。具体的には、搬送装置9が、基板Wを最初のスクライブ装置1に搬送し、スクライブ装置1がこの基板Wにスクライブラインを形成する。その後、スクライブラインが形成された基板Wがブレイク装置3に搬送され、ブレイク装置3が形成したスクライブラインに沿って基板Wをブレイクする。これにより、第1段階の切断工程が実行される。
【0067】
第1段階の切断工程を終了後、基板Wの表裏を反転させるか、又は、基板Wの向きを変更した基板Wが、次段階のスクライブ装置1に搬送される。このスクライブ装置1によりスクライブラインが形成された基板Wが次段階のブレイク装置3に搬送され、次段階のブレイク装置3によりこのスクライブラインに沿って基板Wがブレイクされる。これにより、第2段階の切断工程が実行され、基板小片SWが生成される。基板小片SWは、搬送装置9により検査装置5に搬送される。
【0068】
上記の基板Wの切断中に、状態データ収集装置71の制御部713が、スクライブ装置1において得られた第1状態データD1を収集し、ブレイク装置3において得られた第2状態データD2を収集する(ステップS2)。制御部713は、一連の基板切断工程(1つの基板Wから基板小片SWを生成するまでの工程)の第1状態データD1と第2状態データD2とを関連付けて、記憶部711に記憶する。
【0069】
その後、制御部713は、記憶部711に記憶した第1状態データD1と第2状態データD2に基づいて、スクライブ装置1及びブレイク装置3の状態を評価し、評価結果を表示装置71aに表示する。例えば、スクライブ装置1及び/又はブレイク装置3に異常が生じていると評価された場合、及び/又は、第1状態データD1と第2状態データD2に含まれるデータが異常を示す場合(例えば、装置の振動が過大である、ブレイク時の音が異常であるなど)には、その旨を表示装置71aに表示する等して通知してもよい。
【0070】
また、制御部713は、記憶部711に記憶した第1状態データD1と第2状態データD2とをパラメータ算出装置75に送信する。
【0071】
生成された基板小片SWが搬送されてくると、検査装置5は、当該基板小片SWを検査する(ステップS3)。具体的には、検査装置5は、基板小片SWの所定の箇所を撮影し、撮影して得られた画像データを基板画像データIMとして品質データ収集装置73に送信する。
【0072】
基板画像データIMを受信した品質データ収集装置73の制御部733は、この基板画像データIMに基づいて品質データD3を収集する(ステップS4)。制御部733は、収集した品質データD3を記憶部731に記憶する。
【0073】
その後、制御部733は、収集した品質データD3に示された品質評価結果を表示装置73aに表示する。例えば、品質評価結果が過剰に低い場合などには、その旨を表示装置73aに表示する等して通知してもよい。また、制御部733は、記憶部731に記憶した品質データD3をパラメータ算出装置75に送信する。
【0074】
ある基板Wを切断したときの第1状態データD1及び第2状態データD2を状態データ収集装置71から受信し、対応する品質データD3を品質データ収集装置73から受信すると、パラメータ算出装置75の制御部753は、これらデータを関連付けて記憶部751に記憶する。
【0075】
その後、制御部753は、記憶部751に記憶した第1状態データD1、第2状態データD2、品質データD3に基づいて、スクライブ装置1を制御するための第1制御パラメータP1、ブレイク装置3を制御するための第2制御パラメータP2を算出する(ステップS5)。制御部753は、算出した第1制御パラメータP1をスクライブ装置1に送信し、第2制御パラメータP2をブレイク装置3に送信する。
【0076】
第1制御パラメータP1を受信したスクライブ装置1は、現在の制御パラメータを受信した第1制御パラメータP1に変更する。これにより、スクライブ装置1は、新たな制御パラメータ(すなわち、第1制御パラメータP1)に基づいて制御されるようになる。また、第2制御パラメータP2を受信したブレイク装置3は、現在の制御パラメータを受信した第2制御パラメータP2に変更する。これにより、ブレイク装置3は、新たな制御パラメータ(すなわち、第2制御パラメータP2)に基づいて制御されるようになる。
【0077】
上記の処理は、基板切断システム100において基板Wを切断して基板小片SWの生成を停止するまで(すなわち、ステップS6で「No」である限り)繰り返し実行される。一方、基板小片SWの生成を停止する場合(ステップS6で「Yes」)、基板切断システム100は動作を停止する。
【0078】
このように、基板切断システム100では、スクライブ装置1の状態を表す第1状態データD1、ブレイク装置3の状態を表す第2状態データD2、基板Wを切断して生成された基板小片SWの品質を表す品質データD3に基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータが自動的に算出されている。このため、基板切断システム100では、スクライブ装置1及びブレイク装置3を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置1及びブレイク装置3の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片SWの生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片SWが大量に生成されることを抑制できる。
【0079】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に記載された複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)図7に示すフローチャートにおける各ステップの処理内容、及び/又は、各ステップの処理順は、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0080】
(B)スクライブ装置1は、基板Wにスクライブラインを形成する装置であれば、上記の第1実施形態で説明したものとは異なる構成を有してもよい。例えば、スクライブ装置1は、加工線に沿ってレーザ光を照射することでスクライブラインを形成する装置であってもよい。
【0081】
(C)ブレイク装置3は、スクライブラインに沿って基板Wをブレイクする装置であれば、上記の第1実施形態で説明したものとは異なる構成を有してもよい。
【0082】
3.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
(1)基板切断制御システム(例えば、基板切断制御システム7)は、基板(例えば、基板W)にスクライブラインを形成するスクライブ装置(例えば、スクライブ装置1)と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置(例えば、ブレイク装置3)と、を制御するシステムである。基板切断制御システムは、状態データ収集装置(例えば、状態データ収集装置71)と、品質データ収集装置(品質データ収集装置73)と、パラメータ算出装置(例えば、パラメータ算出装置75)と、を備える。
【0083】
状態データ収集装置は、基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データ(例えば、第1状態データD1)と、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データ(例えば、第2状態データD2)と、を収集する。品質データ収集装置は、基板をブレイクすることで切り出された基板小片(例えば、基板小片SW)の品質を表す品質データ(例えば、品質データD3)を収集する。
【0084】
パラメータ算出装置は、第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の第1制御パラメータ(例えば、第1制御パラメータP1)と、基板をブレイクするときのブレイク装置の第2制御パラメータ(例えば、第2制御パラメータP2)と、を算出する。
【0085】
上記の基板切断制御システムでは、パラメータ算出装置が、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板切断制御システムは、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【0086】
(2)上記(1)の基板切断制御システムにおいて、第1状態データは、スクライブ装置で発生する振動に関するデータ、スクライブ装置が基板を押す量に関するデータ、スクライブ装置が基板に加える力の変動に関するデータ、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のデータは、スクライブラインの形成状態に影響を及ぼしうるデータであるので、第1状態データを上記のデータとすることで、基板小片の切断状態を適切にモニタできる。
【0087】
(3)上記(1)~(2)の基板切断制御システムにおいて、第2状態データは、基板をブレイクするときに発生する音に関するデータ、ブレイク装置が基板を押す量に関するデータ、ブレイク装置が基板を押す力に関するデータ、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のデータは、基板のブレイクの状態に影響を及ぼしうるデータであるので、第2状態データを上記のデータとすることで、基板小片の切断状態を適切にモニタできる。
【0088】
(4)上記(1)~(3)の基板切断制御システムにおいて、第1制御パラメータは、スクライブ装置が基板に加える力、基板に対するスクライブ装置の走査速度、基板に対するスクライブ装置の加減速度、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のパラメータは、基板にスクライブラインを形成する条件に関するものであるので、第1制御パラメータを上記のパラメータとすることで、基板小片の切断状態を適切にするようスクライブ装置を動作させることができる。
【0089】
(5)上記(1)~(4)の基板切断制御システムにおいて、第2制御パラメータは、ブレイク装置が基板に加える力、基板をブレイクする順番、の少なくとも1つを含んでもよい。上記のパラメータは、基板をブレイクする条件に関するものであるので、第2制御パラメータを上記のパラメータとすることで、基板小片の切断状態を適切にするようブレイク装置を動作させることができる。
【0090】
(6)本発明の他の見地に係る基板切断制御方法は、基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、スクライブラインに沿って基板をブレイクするブレイク装置と、を制御する方法である。基板切断制御方法は、以下のステップを備える。
◎基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データと、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集するステップ(例えば、ステップS1~S2)。
◎基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集するステップ(例えば、ステップS3~S4)。
◎第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の制御パラメータと、基板をブレイクするときのブレイク装置の制御パラメータと、を算出するステップ(例えば、ステップS6)。
【0091】
上記の基板切断制御方法では、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板切断制御方法は、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【0092】
(7)基板切断システム(例えば、基板切断システム100)は、スクライブ装置と、ブレイク装置と、基板切断制御システムと、を備える。スクライブ装置は、基板にスクライブラインを形成する。ブレイク装置は、スクライブラインに沿って基板をブレイクする。基板切断制御システムは、スクライブ装置、ブレイク装置を制御する。
【0093】
基板切断制御システムは、状態データ収集装置と、品質データ収集装置と、パラメータ算出装置と、を有する。状態データ収集装置は、基板にスクライブラインを形成しているときのスクライブ装置の状態を表す第1状態データと、基板をブレイクしているときのブレイク装置の状態を表す第2状態データと、を収集する。品質データ収集装置は、基板をブレイクすることで切り出された基板小片の品質を表す品質データを収集する。パラメータ算出装置は、第1状態データと、第2状態データと、品質データと、に基づいて、基板にスクライブラインを形成するときのスクライブ装置の第1制御パラメータと、基板をブレイクするときのブレイク装置の第2制御パラメータと、を算出する。
【0094】
上記の基板切断システムでは、パラメータ算出装置が、スクライブ装置の状態を表す第1状態データ、ブレイク装置の状態を表す第2状態データ、基板を切断して生成された基板小片の品質を表す品質データに基づいて、スクライブ装置、ブレイク装置の制御パラメータを自動的に算出している。このため、上記の基板制御システムは、スクライブ装置及びブレイク装置を停止させることなく、また、熟練した技術を必要とすることなく、スクライブ装置及びブレイク装置の制御パラメータを適切に調整できる。その結果、制御パラメータの調整により基板小片の生成効率が低下すること、不適切な切断状態の基板小片が大量に生成されることを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、基板にスクライブラインを形成し、スクライブラインに沿って基板をブレイクすることで基板を切断するシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0096】
100 :基板切断システム
1 :スクライブ装置
11 :テーブル
12 :移動台
13a :レール
13b :レール
14 :第1モータ
15 :ボールネジ
16a :支柱
16b :支柱
17 :ブリッジ
18 :ガイド
19 :スクライブヘッド
19a :ホルダージョイント
19b :ホルダーユニット
19c :ホイール
19d :第3モータ
19e :センサ
20 :第2モータ
3 :ブレイク装置
31 :テーブル
32 :移動台
33a :レール
33b :レール
34 :第4モータ
35 :ボールネジ
36a :支柱
36b :支柱
37 :ブリッジ
38 :ブレイクバー
39 :エアシリンダ
40 :集音装置
5 :検査装置
7 :基板切断制御システム
71 :状態データ収集装置
711 :記憶部
713 :制御部
71a :表示装置
73 :品質データ収集装置
731 :記憶部
733 :制御部
73a :表示装置
75 :パラメータ算出装置
751 :記憶部
753 :制御部
75a :表示装置
9 :搬送装置
D1 :第1状態データ
D2 :第2状態データ
D3 :品質データ
P1 :第1制御パラメータ
P2 :第2制御パラメータ
W :基板
SW :基板小片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7