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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006263
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】洗米炊飯装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20240110BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A47J27/14 N
A47J27/14 E
A47J27/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106989
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】河原田 崇
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】村上 修三
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AB20
4B054AC02
4B054CH11
4B055AA02
4B055BA80
(57)【要約】
【課題】加熱手段を用いて計量部ひいては貯米部、洗米タンクを乾燥させることを目的とする。
【解決手段】計量ドラム13に貯留タンク4からの米を受け入れ、横軸14まわりに回転しながら所定量の米を計量して繰り出す計量部を構成し、計量ドラム13を収容する計量ドラムケース10の外側に左右それぞれヒータ27を設ける。
【選択図】 図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量ドラム(13)に貯留タンク(4)からの米を受け入れ、横軸(14)まわりに回転しながら所定量の米を計量して繰り出す計量部を構成し、計量ドラム(13)を収容する計量ドラムケース(10)の外側に左右それぞれヒータ(27)を設けたことを特徴とする洗米炊飯装置。
【請求項2】
洗米タンク(5)の上面に開口部(28)を形成し、この開口部(28)にはフィルタ(28a)及びファン(28b)を配置し、乾燥モードに設定中、計量ドラム(13)は回転し洗米タンク(5)下部の投下弁(39)は開くよう構成し、かつファン(28b)を駆動する構成とする請求項1に記載の洗米炊飯装置。
【請求項3】
貯米タンク(4)本体の上部に支点軸(85)回りに回動可能に設けられ、反転する米受姿勢と貯米タンク(4)の上面を覆う復帰姿勢とに切り替わる蓋状体(86)を設けてなる請求項1又は請求項2に記載の洗米炊飯装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米炊飯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗米炊飯機は、米の貯留部を備え、計量をして洗米し、炊飯する行程を何度も繰り返すため、炊飯による蒸気や熱により、計量部に湿気が付着して、米の流れ不良で計量不良となる場合がある。このため計量器の側面に送風口を形成し、その外側部に設けた送風機から風を送り、洗米タンクに臨む計量ドラムの下面に風を当てる構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-3305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると炊飯器の運転中に送風したり、又は洗米炊飯器の電源が「入」のとき一定の時間間隔の送風を定期的に行うよう、送風機を運転することにより、水で湿った米粒の計量ドラム内進入を防止できるとともに、洗米タンク内の乾燥によってかびの発生を抑制することができる。
【0005】
ところが、送風によるもので直接的に計量部の内部を加熱乾燥させる構成のものは見当たらない。
【0006】
この発明は、加熱手段を用いて計量部ひいては貯米部、洗米タンクを乾燥させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0008】
請求項1に記載の発明は、計量ドラム13に貯留タンク4からの米を受け入れ、横軸14まわりに回転しながら所定量の米を計量して繰り出す計量部を構成し、計量ドラム13を収容する計量ドラムケース10の外側に左右それぞれヒータ27を設ける。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、洗米タンク5の上面に開口部28を形成し、この開口部28にはフィルタ28a及びファン28bを配置し、乾燥モードに設定中、計量ドラム13は回転し洗米タンク5下部の投下弁39は開くよう構成し、かつファン28bを駆動する構成とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、貯米タンク4本体の上部に支点軸85回りに回動可能に設けられ、反転する米受姿勢と貯米タンク4の上面を覆う復帰姿勢とに切り替わる蓋状体86を設けてなる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によると、ヒータ27による加熱作用によって、計量ドラム13及びその周辺を加熱して米の流通阻害状況を改善できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、洗米タンク5の上面の開口部28からファン28bの送風を行うことによって、貯米タンク4、計量部、洗米タンク5を乾燥できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の効果に加え、米受姿勢の蓋状体86の位置を低く設定し、身長の低い作業者においても米投入作業を楽に行える。また、蓋状体86を反転・復帰姿勢への動作を繰り返すことで風を起こすことができ、貯米タンク4、計量部、洗米タンク5を通風乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかる洗米炊飯装置の正面図である。
図2】同洗米炊飯装置の側面図である。
図3】同洗米炊飯装置の正断面図である。
図4】同洗米炊飯装置の貯米タンクと洗米タンクの斜視図である。
図5】同貯米タンクと洗米タンクの平面図である。
図6】同洗米炊飯装置の計量部の側断面図である。
図7】同計量部のドラムケースの断面図である。
図8】(A)同計量部のヒータ装着のドラムケース正面図、(B)同側面図である。
図9】同洗米炊飯装置の斜視図である。
図10】同洗米炊飯装置の仕切り部材及び周辺配置機器の平面図である。
図11】(A)同洗米炊飯装置の洗米タンク及び周辺の側面図、(B)同平面図である。
図12】同洗米炊飯装置の仕切り部材及び周辺配置機器の斜視図である。
図13】(A)同洗米炊飯装置の操作パネルの表示状態一例を示す正面図、(B)拡張設定画面の表示一例を示す正面図である。
図14】同洗米炊飯装置の全体の制御フローチャートである。
図15】(a)同洗米炊飯装置の作用状態を示す側面図、(b)作用状態を示す平面図である。
図16】(A)(B)同洗米炊飯装置の蓋状体の開閉状態を示す斜視図、(C)(D)その作用を示す側面図である。
図17】同洗米炊飯装置の蓋状体の作用をしめす斜視図である。
図18】(A)同洗米炊飯装置の貯米タンクへの米搬送の斜視図、(B)貯米タンク上蓋の平面図である、
図19】本発明の実施形態の別例の洗米炊飯装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、以下図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1乃至図12に示すように、コ型又は角筒材を縦横に枠組みする支持部材1は、下部にキャスタを備えた長方形状の台枠1aと、所定幅及び所定高さの左右支柱1b,1bと、左右支柱1b,1b間に支架した複数の横桟1c,1c…により構成されている。
【0017】
上記横桟1cには各機材を装着すべく平板状の仕切り部材3を設け、その上部に貯米タンク4を設け、この貯米タンク4の下方には洗米タンク5を設け、洗米タンク5の下方には、間隔をおいて炊飯装置6を配置する。この炊飯装置6は炊飯釜7、釜加熱用ガス台8と引出式の架台9等から構成されている。図1における架台9引出側を前側、奥側を後側とする。
【0018】
貯米タンク4は、断面方形状の上部の主タンク4aと、下部の漏斗状ホッパ部4bとからなり、このホッパ部4bの下端部に計量ドラムケース10が取り付けられている。該計量ドラムケース10内には、円筒状で切欠き部11を形成したドラム部11aと、前後の側壁部12a,12bとからなる計量ドラム13を設け、該前後の側壁部12a,12bを貫通すべく横軸14によって回転自在にドラムケース10に支持している。またこの軸14を直接連動すべくドラムケース10の後面側にモータ15を装着し、貯米タンク4から切欠き部11を介して計量ドラム13に一定量ずつ流下した米が充填され、回転によって切欠き部11位置が下方に反転してドラムケース10に形成した排出口16に至ると計量ドラム13から流下排出される構成である。
【0019】
前記仕切り部材3には排出口16に対応する開口17を備え、上記計量ドラム13を所定回転数だけ回転させることで、所定量の米を貯米タンク4から洗米タンク5に繰り出すよう構成されている。又、その繰り出し回数をカウントする回転センサ(図示せず)の検出によって所定量を供給できる構成としている。
【0020】
上記ドラムケース10と漏斗状ホッパ4bとは、一体的に構成され、上部の主タンク4aを取り外した後、このホッパ4bとドラムケース10との一体物は、仕切り部材3から外すことができるよう構成される。即ち、後方側は仕切り部材3に形成したフック状部18にドラムケース10の係合凸状部19を係脱可能に係合部20を設け、前方側にはこれら仕切り部材3とドラムケース10との間に螺子で着脱固定自在の着脱係合ステー21を設け、螺子22を緩めてステー21を螺子部中心に回動することにより、ドラムケース10との係合を解く構成である。ドラムケース10はその下端縁が仕切り部材3の長方形状の開口に嵌合すべく形成されるが、上記の係合ステー21の係合を外してその側を上方にやや持ち上げて上記下端縁の仕切り部材3からの嵌合を解き、前方から手前方向斜めに引き抜くことによって後方側の下端縁の嵌合を解きつつ係合部20の係合から解放できる。
【0021】
前記貯米タンク4及び計量部は、外方をカバー部材23で覆う構成で、左右側壁及び後側壁は適宜前記仕切り部材3等に固定して設けられ、前側壁下半部23aは例えば正面視右側部を支点として開閉可能な扉形態に構成される。なお、前側壁上半部23bは左右側壁に連結されて固定壁形態に構成される。従って、前記貯米タンク2やドラムケース10の点検着脱はこの前側壁下半部23aを解放した状態で行える。なお、24は主タンク4aを上方から着脱自在に施蓋する方形の覆板である。
【0022】
25は、漏斗状ホッパ部4bの一側(図例では前側)に設けた排米用の排出シャッタで、起立姿勢で排米を遮断し、軸支部回りに回動することによって傾斜案内シュート状になり内部の米を排出できる構成としている。
【0023】
図7は計量ドラム13部の断面図を示し、漏斗状の下部ホッパ4bとドラムケース10との間に米を傾斜案内するガスケット26a,26bを斜設し、計量ドラム13外周とドラムケース10内周との間隔を米の浸入によってもこれを圧砕しない程度の隙間t(例えば約1mm)を有する構成としている。
【0024】
前記計量ドラム13はモータ15によって一定方向イに回転、停止を繰り返すが、計量ドラム13の停止位置は図7にて示す位置としている。即ち、漏斗状ホッパ4bの側壁に加振手段(図例では後記空気供給用のポンプ66としている)を回転後方側ガスケット26bの存在側近傍の傾斜壁に装着して内部の米流動の促進を図る構成とし、併せて計量ドラム13はその開口端縁が当該加振側ガスケット26bの回転後位にて停止し、他方の開口端縁は非加振側ガスケット26aの前位にて停止するようになして、上記加振手段の振動によって入り込もうとする米を計量ドラム13をもって遮蔽する一方、非加振側では自然に計量ドラム13内に米を送り込むことにより供給量の精度を安定できる。
【0025】
図8に示すように、前記ドラムケース10の外周に、ケース10左右の円弧状部に沿ってヒータ27L,27Rを設けている。ヒータ27は薄いシート状で柔軟性のある例えばシリコンラバーヒータとしている。ドラムケース10に貼付して用いることで、ドラムケース10を加熱し、ひいては計量ドラム13内部を加熱できる。ところで炊飯工程で発生する蒸気や熱で計量部に湿気が作用して計量された米の流れが阻害される。しかしながら、上記ヒータ27による加熱作用によって、計量ドラム13及びその周辺を加熱して米の流通阻害状況を改善できる。なお、後述の乾燥モード中計量ドラム13の切欠き部11が左右いずれかの向きになって停止するようにし、左右ヒータ27の一方27Lは計量ドラム13の外部を乾燥するが、他方27Rは切欠き部11に対応して計量ドラム13内部を乾燥できるよう構成している。
【0026】
洗米タンク5は、図3に示すように、天井部に上記ドラムケース10から供給される米を案内する受け筒部31を備え、中間部に円筒状の胴部と、下部にホッパ状部を持つ構成である、洗米タンク3のホッパ状部の下方にジャケット部32を接続し、ホッパ状部とジャケット部32との境界部に米粒を漏下させない程度の開口を持つ網状体からなるフィルタ33を設けている。
【0027】
洗米タンク5の中心部には鉛直方向の回転軸34を設け、この回転軸34には棒状体を逆L型に折り曲げ成形した複数の攪拌棒35,35…を、これらの上側端部を軸34に溶接等によって取り付ける。回転軸34は洗米モータ36によりベベルギヤ機構37を介して回転され、回転によってタンク内の米と水とを撹拌すべく構成する。
【0028】
上記回転軸34は中空軸であり、内側の軸38は外側の中空軸34の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、下方に延出する。この軸38の下端に着脱自在に円錐形状の投下弁39を設ける。該軸38の上端を排米弁駆動用モータ40で駆動するカム41、後記投下アーム等の連動機構により上下動させて、投下弁39の開閉制御がなされる構成である。投下弁39が開くと、洗米タンク5内の米は下方の炊飯装置6の内釜内に落下するよう構成する。
【0029】
洗米タンク5への水の供給は水道蛇口に連通する主配水管46、上側給水弁47及び2連の可撓性の上給水管48,48、洗米タンク5の天井部の上部給水口49,49を経由する上側給水ルートと、上記主配水管46から分岐して下側給水弁50、配水管51、下部給水口52からジャケット部32を経由する下側給水ルートの2系統で行われる。なお各給水ルートには流量センサを備えている。
【0030】
即ち、前記ドラムケース10近傍で仕切り部材3をベースにして、主配水管46に通じる2本の上給水管48,48を配設すると共に、仕切り部材3を貫通状に設ける配水管51には下給水管53を接続している。
【0031】
55は前記電動モータ15と連繋して排出口16を開閉動するシャッタで、モータ15の回転をリンク機構56,57を介してシャッタ支軸58部に連結しドラム開口部が排出口16に一致するときシャッタ55開状態となるよう連動構成している。このため、常時はシャッタ55は閉じ姿勢にあり、洗米タンク5における洗米途中での拡散水の飛散を防いで計量ドラム13内の水の浸入を防止している。
【0032】
なお、上記の上給水管48,48は平面視において、左右中央線上に位置すべく配置され、この位置は後記の洗米タンク5の平面視左右中央線上に当たるものである。また、この上給水管48,48の配置される位置よりも左側にドラムケース10が位置し、右側には後記の投下弁39用モータ40及び撹拌棒35,35…駆動用洗米モータ36を配置している。
【0033】
図15(a)、(b)に示すように、洗米タンク5の下部後方には排水箱60が設けられる。排水口61を有した排水箱60は、上端が洗米タンク5の上部側面に開口するオーバーフロー管62の下端部と、一端部が前記ジャケット部32に連通するジャケット部32の他端部とが接続されている。ジャケット部32からの排水は排水弁64の開閉で行われ、水位弁65で排水しながら洗米タンク5内の水位を調整する。
【0034】
常時、排水箱60は排水弁64及び水位弁65で閉鎖されているが、洗米タンク5内の水を排水する場合には、ジャケット部32のフィルタ33から、排水弁64及び/または水位弁65、排水箱60及び排水口61を経て排水される。排水弁64及び水位弁65は適宜の開閉出力によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク5内の水量を検出する水位センサ68を備えている。
【0035】
ところで、前記オーバーフロー管62は、洗米タンク3の上端部付近に接続する水平管部62aとこの水平管部62aに接続する垂直管部62bとを有し、垂直管部62bの下端が前記排水箱60に連結されるものである。そして垂直管部62bの上端を上方に延長しこの延長管部62cは前記仕切り部材3を貫通する状態で、仕切り部材3の下面に設ける装着ホルダ69に適宜に固定支持されている。
【0036】
前記カバー部材23内であって、貯米タンク4の下方と仕切り部材3との間の略閉鎖された空間部Aには前記した計量部10、各種駆動部、配管類等を収容するものであるが、水蒸気の籠りを防止するために通気性を確保している。すなわち、カバー部材23の一側壁に送風ファン70を配置し、装置運転中常時通電して駆動され外部空気を空間部A内に供給できる構成としている。なお、空間部Aに入った空気は適宜に空間部Aを流通し後述の網目孔部等から機外に排気されるものである。したがって、炊飯中に立ち上る水蒸気を受けた空間部A内を外部空気の流通によって湿度低下が図れる。送風ファン70に対向する側のカバー部材23内面にはコントローラ71を配置しているが、このコンロローラ71にも通気作用を与えることで湿気を除去できる。なお、コントローラ71の近傍、例えばコントローラ71の前部下方に延長管部62c上端開口をのぞませると適正な空気流れを生じてコントローラ71に作用した空気は効率的に延長管部62cに導入され得る。
【0037】
ところで、前記のようにオーバーフロー管62の延長部62cを仕切り部材3を貫通させることで、上端開口部が空間部Aにのぞむこととなり、送風ファン70からの通気がオーバーフロー管62を通して洗米タンク5内に供給されることとなる。つまり、オーバーフロー管62の延長管部62c上端から入った空気が、延長部62c、水平管部62aを経て洗米タンク5内に入るものとなる。したがって洗米タンク5内を乾燥させる効果がある。このように、空間部Aと洗米タンク5との間に、オーバーフロー管62の延長管部62cのような通気部Bを構成することで、送風ファン70による流通空気を洗米タンク5内に導入でき、洗米タンク5内を乾燥させることができる。
【0038】
なお、通気部Bとしてオーバーフロー管62の延長管部62cを設ける構成とすると、空間部Aの塵埃が空気によって搬送されても、この塵埃はオーバーフロー管62の垂直管部62bを経て落下し排水箱60に至り、洗米タンク5内に入る恐れが少ない。延長管部62c(通気部B)の上端部には通気網又はパンチングメタルからなる網状体73を装着して異物進入を防止してもよい。
【0039】
前記カバー部材23と仕切り部材3等で囲われる空間部Aの底面下部には、空洞部Cを設けて、各種ハーネス(図示せず)を収容している。詳述すると、仕切り部材3は絞り形成して側壁を一体成形してなり、その下方に施蓋状に底板72を設け、空洞部Cとしている。なお、仕切り部材3の適所には空洞部Cに連通すべく通気網又はパンチングメタルからなる網状体74を装着している。この場合、延長管部62c(通気部B)の上端部の前記網状体73の目合いは、仕切り部材3の適所に配設する上記網状体74の目合いよりも小さなものとして、異物、特に微小サイズの昆虫類の進入防止効果を高めている。
【0040】
通気部Bについて、前記の例とは異なる構成としてもよい。すなわち、図11に示すように、洗米タンク5の上部を覆う前記仕切り部材3に開口部28を設け、フィルタ28a及びファン28bを装備して、直接空間部Aから洗米タンク5内に通気風を供給することにより、貯米タンク4下部、計量部を備えた空間部Aや洗米タンク5内を乾燥することができる。なお、ファン28bを制御する乾燥モードについては後述する。
【0041】
次いで、前記水位センサ68について説明する。水位センサ68は、洗米タンク5水量がオーバーフロー状態に達する直前乃至オーバーフロー状態に至っている水位であることを検出するために設けられ、所定水位に達することを検出電極68a(水位検出部)を備えて水位の有無に基づく静電容量の変化を検出して当該所定水位に達したことを検知できる公知の構成である。そして水位センサ68を前記仕切り部材3に着脱自在に支持するものである。検出電極68aは支持するベース部材68bに連結固定される。すなわち前記仕切り部材3の上面においてカバー部材23の前記前側壁下半部23aに接近した箇所に位置してベース部材68bに連結固定されている。なお、水位センサ68のベース部材68bの固定は、左右2箇所に配設された回動ロック片75をそれぞれ蝶ボルト76で締結・弛緩する構成であり、蝶ボルト76の回動操作は手指で実施できるものとし所謂工具レスに設けている。ベース部材68bを取り外すと、仕切り部材3に形成した大型の開口部77を開放できる。したがって、作業員は、カバー部材23の前記前側壁下半部23aを開くことで、手前側に開口する開口部77を通して洗米タンク5内を目視できる。
【0042】
水位センサ68の水位検出部として上記実施例では静電容量の有無を検出しうる電極形態としたが、所謂フロートの上昇に伴って電気的接点をON,OFFしうるフロート形態など種々の構成とすることができる。 前記洗米タンク5への水の供給は、洗米タンク5の天井部の上部給水口48を経由する上部給水ルートと、下部給水口51からジャケット部32を経由する下部給水ルートの2系統で行われる構成とするが、下部給水ルートの下給水管52に並列して、ポンプ66に連通して空気を噴出する空気噴出管67を配置し、下部給水ルートの水と並列して空気を併せてジャケット部32内に噴出する構成としており、下部給水管52、空気噴出管67は、それぞれ図12(b)において、ジャケット部32の中心より偏芯した位置に設けられ、空気と水が混合された旋回流が生じやすくしている。
【0043】
そして、洗米タンク5での洗米作業時には、洗米タンク5内の回転軸34に設けられている大小の攪拌棒35,35…の回転方向と、下部給水ルートからの水噴出方向及び空気噴出管67からの空気噴出方向を互いに逆方向となるように構成している。
【0044】
なお、空気噴出管67による空気供給を洗米タンク5が空の状態で実行することで洗米タンク5内の乾燥に寄与する。このため、洗米作用時以外にもポンプ66を駆動するスイッチ手段をオンにできる構成とし、作業員が任意に洗米タンク5乾燥を実行できるよう構成する。このポンプ66駆動による空気供給は単独にて行ってもよく、前記連通部Bからの空気供給と重複して実行できる形態でもよい。
【0045】
また、前記水位センサ68の検出精度向上のため以下の構成とすることができる。上部給水ルートと下部給水ルートの2系統で行われるが、水位センサ68による検出のタイミングは上給水のシャワーを停止してからとし、検出後、シャワーを再開する場合は所定時間毎に間欠検出する構成とする。試運転モードを備える場合は、所定時間毎に給水と検出を繰り返し、検出精度を確認する構成とし、検出異常の場合は異常表示を行う。
【0046】
次に、炊飯装置の操作について説明する。
【0047】
まず、図外コンピュータの制御部に、炊飯量、洗米時間(攪拌棒35の回転時間)、研米時間(攪拌棒35の回転時間)、洗米タンク乃至釜内での浸漬時間などの炊飯装置稼働に必要な条件を前記カバー部材23の前側壁下半部23aに配設した操作パネル(操作表示装置)80により設定するよう構成する。液晶表示画面81を備え、周囲のスイッチ群82操作の機能や操作手順等を表示案内しながら洗米炊飯に必要な上記条件を設定できる(図13(A),(B))。
【0048】
電源スイッチをオンにし、操作パネル80の各操作に従って炊飯条件の設定を行ない、各種の炊飯条件を設定の後、スタートスイッチをオンすると、図14で示す炊飯フローのように運転開始される。
【0049】
即ち、まず電源スイッチをオン(ステップ1)後、炊飯条件の設定入力を行い(ステップ2)、スタートスイッチ75を押すと(ステップ3)、ステップ4で貯米タンク4の米を計量ドラムで計量し、洗米タンク5に設定量の米を供給し、ステップ5で洗米する。
【0050】
ステップ5の洗米工程は、水をたれ流しながら米を攪拌する糠抜き工程、一旦給水した後水切りし米を湿潤状態で攪拌する研米工程、所定水位で米を攪拌する荒ゆすぎ工程、水をタンクよりオーバーフローしながら攪拌する仕上げゆすぎ工程からなる。
【0051】
上記ステップ5の洗米工程の次は、ステップ6の水加減処理工程に進む。 ステップ7では、洗米タンク5内の洗米済の米とステップ3の水加減の計量された水が、投下弁39の開閉により炊飯釜7に投下される。
【0052】
ステップ8では、炊飯釜7内の米は規定時間にわたり水に浸漬される。規定時間経過後に、ステップ9で点火、ステップ10で炊飯、ステップ11で蒸らしを行い、ステップ12で炊き上り、所定の米飯ができあがる。
【0053】
尚、スタートスイッチをオンする前に、予約スイッチ操作によって予約画面を出力し、炊き上がり時刻等を予約設定することにより予定の時刻に炊きあげることができる。
【0054】
また上記実施例では、水加減を洗米タンクの満量状態から水位弁65の開放によって順次減じながら所定水量を確保する形態としたが、この形態に限らず例えば、流量センサを設けて給水量を管理する構成でもよい。
【0055】
前記送風ファン70やファン28bは、スタートスイッチオン後、洗米炊飯運転中継続的に駆動するが、炊飯運転後は、乾燥モードに入り、所定時間に亘り送風ファン70やファン28bを駆動し、さらに前記ヒータ27をONするよう構成している。なお、乾燥モード中は、前記計量ドラム13は回転駆動しかつ投下弁39は下方に作動されて排米口を開いた状態となっている。このように構成することで、炊飯運転終了後に貯米タンク4下部や計量部が構成される空間部A内や洗米タンク5内を乾燥することができる。したがって、送風ファン70による送風空気は、延長管部62cから導入され、水平管部62aを通して洗米タンク5上部側に入る一方、垂直管部62b,排水箱60を通して洗米タンク5下部側に入ることとなって乾燥効率をアップできる。また、ファン28bの駆動による送風空気は洗米タンク5内に入って上部側から空気供給によって洗米タンク5内に入って乾燥効率を向上する。
【0056】
なお、乾燥モードへの移行については、上記のほか、前記操作パネル80に乾燥スイッチ83を設けて、任意に移行できる構成としてもよい(図13(A))。そして、乾燥モードにおける設定時間を任意に設定できるように構成している。すなわち、図13(A)の乾燥スイッチ83をONすると、図13(B)の拡張画面に移行し、図外の+(プラス)-(マイナス)スイッチ操作にもとづいて乾燥時間を設定でき、その設定時間が同図の洗米タンク乾燥時間表示部84に数値表示される構成である。
【0057】
次いで、図16図17に基づき貯米タンク4の改良構成について説明する。フレーム上部に配置される貯米タンク4への米の投入は特に高齢者や身長が高くない作業者にとって重労働であり、改善が求められていた。そこで、次のように構成している。すなわち、貯米タンク4本体の上部に支点軸85回りに回動可能に蓋状体86を設ける。蓋状体86は、反転姿勢で米を適宜に貯留できる容器状に形成され、支点軸85に対してブラケット87を介して一体的に設けられる。支点軸85の左右又はいずれか一方には駆動モータ88を設け、正逆転信号を受けて、貯米タンク4上部を閉じる蓋閉じ姿勢と大きく反転して操作パネル80の前方に達する米受姿勢に切り替わるよう構成している。米受姿勢の蓋状体86に適量の米を投入し、駆動モータ88を駆動して回転復帰させると、米は流下しながら貯米タンク4内に投入される。所定回数反転・復帰を繰り返して所定に貯米タンク4は満杯に達する。なお、図16に示すように、前記前側壁上半部23bの上端を傾斜状に形成することで、回転のための支点軸85を直上部に配置できながら、米受姿勢の蓋状体86の下限域を大きくすることができる。一方、支点軸85存在側とは対向する位置の貯米タンク4上端部を内向き傾斜状に形成することで、蓋状体86の開閉を円滑に行うことができる。また、蓋状体86を反転・復帰姿勢への動作を繰り返すことで風を起こすことができ、貯米タンク4、計量部、洗米タンク5を通風乾燥できる。
【0058】
上例では、蓋状体86の支点軸85が本機前方の範囲に収まった構成としたが、この支点軸85が本機前方より突出した状態とすることもできる。この場合、蓋状体86の可動範囲を制限できるように支点軸85回転を制限する手段を講じることがのぞましい。
【0059】
図18に基づき、貯米タンク4へ米を所謂空気搬送する構成の設置構成の安定化を図る例について説明する。貯米タンク4の上蓋90に、前後左右4ケ所にマグネットキャッチャ91を設け、位置決めの精度向上を図っている。上蓋90には、その中央に米の搬送路92に連通する米投入口92aを、その近傍に米投入口92aよりも径大であって、排風搬送路93に連通する排風連通路93aを開口している。そして、排風搬送路93は開放部を備え、かつ任意の方向に基部側中心に回動でき開放部方向を任意の方向に設定できるよう構成している。
【0060】
図19に基づいて、炊飯時のガス燃焼熱を有効に利用して前記空間部Aや計量部を乾燥させようとする。熱伝導率の高い素材を炊飯釜7周辺から空間部Aや計量部に渡って配設する。熱伝導率の高い、例えば、銅板95を炊飯釜7の背面に設け、さらに左右支柱1b,1b、仕切り部材3、空間部Aの内側壁、計量部(ドラムケース10)のそれぞれに銅板部材96,97,98,99を貼付している。ガス台8の炊飯釜の燃焼ガスによる発生熱を背面の銅板95に当てると、以後、左右支柱1b,1bの銅板部材96、仕切り部材3の銅板部材97、空間部Aの内側壁の銅板部材98を経由して熱伝導し、最後に計量ドラム13の銅板部材99に至る。銅板部材99で暖められた計量ドラムケース10は、前記ヒータ27の作用に類似して暖められるから、内部を乾燥でき米の流通を円滑化できる。
【符号の説明】
【0061】
4 貯米タンク
5 洗米タンク
10 ドラムケース
13 計量ドラム
14 横軸
27 ヒータ
28 開口部
28a フィルタ
28b ファン
85 支点軸
86 蓋状体
図1
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