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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062641
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240501BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20240501BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
F25D23/00 307
A23L3/36 A
F25D23/00 302Z
F25D11/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170621
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506259379
【氏名又は名称】株式会社菱豊フリーズシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】二宮 一就
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA03
3L045CA03
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA00
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA14
3L345BB02
3L345CC01
3L345DD21
3L345DD44
3L345DD52
3L345DD53
3L345GG26
3L345KK04
3L345KK05
4B022LB01
4B022LN01
4B022LN10
4B022LT06
(57)【要約】
【課題】被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことを防止しつつ、冷却効率を向上させる。
【解決手段】冷凍装置100は、内部に冷凍室14を有する筐体1と、冷凍室14に互いに対向して設けられ、冷凍室14に一方向性で略均等な静磁場を形成する一対の磁石体30,31と、冷凍室14内の静磁場に電波を発信する電波発信アンテナ40と、冷凍室14に冷気を供給する冷凍機2と、冷凍室14において一対の磁石体30,31のそれぞれを覆う断熱材39を有する断熱機構32とを備えている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷凍室を有する筐体と、
前記冷凍室に互いに対向して設けられ、前記冷凍室に一方向性で略均等な静磁場を形成する一対の磁石体と、
前記冷凍室内の前記静磁場に電波を発信する電波発信アンテナと、
前記冷凍室に冷気を供給する冷凍機と、
前記冷凍室において前記一対の磁石体のそれぞれを覆う断熱材を有する断熱機構とを備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍装置において、
前記断熱機構は、前記一対の磁石体のそれぞれを変位不能に収容する第1ケースと、前記第1ケースを前記断熱材を介して覆う第2ケースとをさらに有している
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1に記載の冷凍装置において、
前記磁石体は、ネオジム磁石である
ことを特徴とする冷凍装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚や野菜などの生鮮品などを含む食材や食品および生体や生体試料などをはじめとする被冷凍物について、その鮮度を長期に亘って維持しつつ保存する方法として冷凍保存が行われているが、被冷凍物の色調の変化、味覚の劣化およびドリップ(解凍時における被冷凍物内からの液体の流出)などにより、品質および鮮度の低下を完全に防止することができないのが実情である。
【0003】
上記のような被冷凍物は、それらを構成する蛋白質などの分子に拘束された結合水、および上記分子に拘束されずに被冷凍物内を自由に移動し得る自由水を含む多量の水分を有している。冷凍時には、自由水が凍結して氷の結晶が生成および成長して粗大化し、被冷凍物に含まれる細胞などの構造が破壊されてしまう。そのため、被冷凍物の解凍時には破壊された構造に起因してドリップが発生し、被冷凍物を冷凍前の新鮮な状態に復元することが困難となる。
【0004】
そこで、氷の結晶の粗大化を抑制する方法として、例えば特許文献1に開示されているように、極低温に冷却可能な冷凍室と、冷凍室内の被冷凍物に一方向にゆらぎ変動する磁場を発生させる静磁場発生手段と動磁場発生手段を備えた超急速の冷凍装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-139460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したような冷凍装置では、熱容量が比較的大きい磁石が冷凍室に設けられるので、冷凍室を所定の温度まで冷却するのに時間を要してしまう。そのため、冷却効率が低いという問題がある。
【0007】
本開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを防止しつつ、冷却効率を向上させ得る冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の冷凍装置は、ケーシングと、一対の磁石体と、電波発信アンテナと、冷凍機と、断熱機構とを備えている。前記ケーシングは、内部に冷凍室を有している。前記一対の磁石体は、前記冷凍室に互いに対向して設けられ、前記冷凍室に一方向性で略均等な静磁場を形成する。前記電波発信アンテナは、前記冷凍室内の前記静磁場に電波を発信する。前記冷凍機は、前記冷凍室に冷気を供給する。前記断熱機構は、前記冷凍室において前記一対の磁石体のそれぞれを覆う断熱材を有している。
【発明の効果】
【0009】
本開示の冷凍装置によれば、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを防止しつつ、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、冷凍装置の内部を示す正面図である。
図2図2は、コアユニットを前方から視て示す斜視図である。
図3図3は、電波発信アンテナを除くコアユニットの断面図である。
図4図4は、第1ケースの内部を前方から視て示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、冷凍装置100の内部を示す正面図である。本実施形態の冷凍装置100は、冷凍室に収容された生成食品等の被冷凍物を冷凍するものである。冷凍装置100は、筐体1と、冷凍機2と、コアユニット3とを備えている。コアユニット3は、一対の磁石体30,31と、断熱機構32と、電波発信アンテナ40とを有している。
【0013】
筐体1は、内部に冷凍室14を有する。筐体1は、冷凍装置100の最外郭を形成する。具体的に、筐体1は、例えば、やや縦長の矩形体に形成されている。筐体1の内部は、仕切板11によって、第1室12と第2室13とに仕切られている。この例では、第1室12および第2室13は、上下に並んでおり、矩形状に形成されている。第2室13には、冷凍室14および循環流路15が形成されている。冷凍室14には、被冷凍物が収容される。この例では、冷凍室14は、略矩形体状、より詳しくは、やや横長の略矩形体状に形成されている。
【0014】
冷凍機2は、冷凍室14に冷気を供給する。具体的に、冷凍機2は、圧縮機21と、凝縮器22と、蒸発器23と、ファン24とを有している。冷凍機2では、冷媒が圧縮機21、凝縮器22および蒸発器23の順に循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。圧縮機21および凝縮器22は、第1室12に配置されており、蒸発器23およびファン24は、循環流路15に配置されている。ファン24は、冷凍室14と蒸発器23との間で冷気を循環させる。つまり、ファン24は、冷凍室14の空気を蒸発器23に供給すると共に、蒸発器23で冷却された冷気を冷凍室14に供給する。これにより、冷凍室14が所定の温度に冷却され、被冷凍物が冷凍される。
【0015】
図2は、コアユニット3を前方から視て示す斜視図である。図3は、電波発信アンテナ40を除くコアユニット3の断面図である。図4は、第1ケース33の内部を前方から視て示す斜視図である。
【0016】
コアユニット3は、冷凍室14において略均等な静磁場(即ち、略均等な磁束)を形成すると共に、静磁場に電波を発信する。コアユニット3は、前述の如く、一対の磁石体30,31と、断熱機構32と、電波発信アンテナ40とを有している。
【0017】
一対の磁石体30,31は、冷凍室14に互いに対向して設けられ、冷凍室14に一方向性で略均等な静磁場を形成する。一対の磁石体30,31のそれぞれを区別して説明する場合は、上側磁石体30および下側磁石体31と称する。
【0018】
具体的に、上側磁石体30は、冷凍室14の上面側に配置され、下側磁石体31は、冷凍室14の下面側に配置されている。つまり、この例では、一対の磁石体30,31の一方が冷凍室14の上面側に位置し、一対の磁石体30,31の他方が冷凍室14の下面側に位置している。より詳しくは、冷凍室14の上面側には、多数の上側磁石体30が平面状に配置されている。冷凍室14の下面側には、多数の下側磁石体31が平面状に配置されている。こうして、一対の磁石体30,31は、互いに上下方向に対向する。このように設けられた上側磁石体30と下側磁石体31の間には、上下方向に一方向性で略均等な静磁場(即ち、略均等な磁束)が形成される。この例では、上側磁石体30および下側磁石体31のそれぞれは、軸心が上下方向に延びる円柱状に形成されている。
【0019】
一方向性で略均等な静磁場とは、上側磁石体30と下側磁石体31との間の空間において、上側磁石体30の主面から下側磁石体31の主面に向かって、一方向にほぼ直線状に磁力線が走っており、上側磁石体30の主面および下側磁石体31の主面に略平行な面のいずれの部分においても、磁束密度が略一定であることをいう。
【0020】
この例の上側磁石体30および下側磁石体31は、永久磁石であり、より詳しくは、ネオジム磁石である。このように永久磁石を用いることにより、外部からの磁場や電流の供給を受けることなく磁石としての性質を比較的長期にわたって保持し続けることが可能である。また、ネオジム磁石は、比較的強力な磁力を有しているため、冷凍室14において強力な静磁場が形成される。
【0021】
断熱機構32は、冷凍室14において一対の磁石体30,31のそれぞれを覆う断熱材39を有している。より詳しくは、断熱機構32は、一対の磁石体30,31のそれぞれを変位不能に収容する第1ケース33と、第1ケース33を断熱材39を介して覆う第2ケース37とをさらに有している。
【0022】
図3に示すように、第1ケース33は、右側から視た形状が、略コの字型、より詳しくは、前方へ向かって開放された略コの字型に形成されている。つまり、第1ケース33は、水平面状に拡がる上部33aおよび下部33bと、上下方向に延びて上部33aと下部33bを繋ぐ中部33cとを有している。上部33aは、冷凍室14の上面側に位置し、下部33bは、冷凍室14の下面側に位置し、中部33cは、冷凍室14の後面側に位置している。上部33aに上側磁石体30が収容され、下部33bに下側磁石体31が収容されている。
【0023】
第1ケース33には、上側磁石体30および下側磁石体31を保持する、ベース34、第1保持部材35および第2保持部材36が収容されている。ベース34は、第1ケース33の略全長に亘って設けられている。より詳しくは、ベース34は、第1ケース33と略同様のコの字状に折り曲げられた板状部材である。
【0024】
第1保持部材35および第2保持部材36は、第1ケース33の上部33aおよび下部33bの両方に設けられている。第1保持部材35および第2保持部材36は何れも、水平面状に拡がる板状部材である。この例では、第2保持部材36の厚さ(即ち、上下方向の長さ)は、第1保持部材35の厚さ(即ち、上下方向の長さ)よりも厚い。第1保持部材35および第2保持部材36のそれぞれには、磁石体30,31が嵌め込まれる多数の孔35a,36aが形成されている。つまり、第1保持部材35には、厚さ方向に貫通する多数の孔35aが形成され、第2保持部材36には、厚さ方向に貫通する孔36aが形成されている。孔35a,36aの平面視形状は、円形である。
【0025】
第1ケース33の上部33aにおいては、ベース34の下面から下方へ向かって、第1保持部材35および第2保持部材36がその順に積層されている。第1ケース33の下部33bにおいては、ベース34の上面から上方へ向かって、第1保持部材35および第2保持部材36がその順に積層されている。第1保持部材35および第2保持部材36は、互いの孔35a,36aの位置が合致する状態で重ねられている。上部33aにおいては、上側磁石体30が孔35a,36aに下方から嵌め込まれ、下部33bにおいては、下側磁石体31が孔35a,36aに上方から嵌め込まれる。この例では、一対の磁石体30,31は、孔36aから突出した状態で嵌め込まれている。つまり、一対の磁石体30,31の軸心方向(即ち、上下方向)の長さは、第1保持部材35および第2保持部材36の両方の厚さを足した値よりも大きい。
【0026】
このように、一対の磁石体30,31が孔35a,36aに嵌め込まれることで、一対の磁石体30,31は第1保持部材35および第2保持部材36によって保持される。言い換えれば、一対の磁石体30,31は、第1保持部材35および第2保持部材36によって位置決めされる。こうして、一対の磁石体30,31が第1ケース33に変位不能に収容される。
【0027】
第2ケース37は、前述の如く、第1ケース33を断熱材39を介して覆う。言い換えれば、第2ケース37は、第1ケース33を断熱材39と共に収容している。つまり、第1ケース33が断熱材39によって覆われ、断熱材39が第2ケース37によって保持されている。第2ケース37の形状は、第1ケース33と略同様のコの字状に形成されている。つまり、第2ケース37の上部37aに第1ケース33の上部33aが収容され、第2ケース37の下部37bに第1ケース33の下部33bが収容され、第2ケース37の中部37cに第1ケース33の中部33cが収容されている。この例では、断熱材39は、第1ケース33の略全体の表面を覆うように設けられている。例えば、断熱材39は、ガラスウール等が用いられる。こうして、一対の磁石体30,31が断熱材39によって覆われ、一対の磁石体30,31と冷凍室14との間が断熱される。
【0028】
なお、この例では、第1ケース33、ベース34、第1保持部材35、第2保持部材36および第2ケース37は、金属製である。詳しくは、第1ケース33および第2ケース37は、ステンレス製である。
【0029】
電波発信アンテナ40は、冷凍室14内の静磁場に電波を発信する。つまり、電波発信アンテナ40は、一対の磁石体30,31によって形成された静磁場に電波を伝播させる。具体的に、電波発信アンテナ40は、冷凍室14の後面側に位置している。電波発信アンテナ40は、前後方向に直交する面状に拡がって形成されている。この例では、第2ケース37の中部37cの前方側に設けられている。より詳しくは、電波発信アンテナ40は、中部37cと僅かな間隔を置いて位置している。電波発信アンテナは、冷凍室14において、一対の磁石体30,31によって形成される磁束方向(この例では、上下方向)に直交する方向(この例では、前後方向)において前方へ向かって電波を発信する。
【0030】
このような電波発信アンテナ25としては、従来公知の種々のものを用いることができるが、低電力でもより確実に電波を発信することができ、周波数を考慮して寸法が大きくなり過ぎないという観点から、コイルアンテナを用いることが好ましい。なお、図1図3においては、電波発信アンテナ40は、箱状の防水カバーで覆われた状態で図示されている。防水カバーは、水分および低温による電波発信アンテナ40の劣化を抑制するためのものであり、例えば、種々の樹脂により形成される。
【0031】
このように構成された冷凍装置100では、冷凍機2が駆動されることで、冷凍室14内の被冷凍物が冷凍される。つまり、図1に示すように、蒸発器23によって冷却された冷気が、ファン24によって冷凍室14に供給されると共に、冷凍室14の空気がファン24によって蒸発器23へ戻される。これにより、冷凍室14が所定の温度に冷却され、被冷凍物が冷凍される。
【0032】
ここで、冷凍室14においては、一対の磁石体30,31によって一方向性で略均等な静磁場が形成されるので、被冷凍物中の自由水(水分子)が所定の間隔をおいて略均等に配列した状態となる。そして、電波発信アンテナ40によって静磁場に電波が発信されることで、被冷凍物中の水分子が揺動し、前述の間隔を確保した状態で被冷凍物が冷凍される。そのため、冷凍された被冷凍物は、解凍された後において冷凍前の新鮮さの喪失が抑えられる。さらに、この例では、静磁場(磁束)の方向と電波の方向とが略直交しているため、被冷凍物中の水分子がより確実に揺動し、前述した間隔がより確保された状態で被冷凍物が冷凍される。そのため、被冷凍物が解凍された後において冷凍前の新鮮さの喪失が一層抑えられる。
【0033】
ところで、冷凍室14に設けられた磁石体30,31は熱容量が比較的大きいため、冷凍室14を所定の温度まで冷却するのに時間を要してしまう。その点、この例の冷凍装置100では、磁石体30,31が断熱材39によって覆われているため、磁石体30,31と冷凍室14との間が断熱される。そのため、磁石体30,31の熱容量の影響を受けることなく、冷凍室14が所定の温度にいち早く冷却される。
【0034】
さらに、一対の磁石体30,31は第1ケース33によって変位不能に収容されているので、冷凍室14において安定した静磁場が形成される。そして、第1ケース33が断熱材39を介して第2ケース37に覆われるので、磁石体30,31と冷凍室14との間の断熱が確保される。したがって、磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱しつつ、冷凍室14において安定した静磁場が形成される。
【0035】
このように、冷凍装置100には、冷凍室14に一方向性で略均等な静磁場を形成する一対の磁石体30,31と、静磁場に電波を発信する電波発信アンテナ40とが設けられている。そのため、被冷凍物が冷凍される際、静磁場によって被冷凍物中の水分子が所定の間隔をおいて略均等に配列した状態となり、電波によって被冷凍物中の水分子が揺動し、前述の間隔が確保される。そのため、冷凍された被冷凍物は、解凍後における冷凍前の新鮮さの喪失を抑えることができる。
【0036】
そして、冷凍装置100には、一対の磁石体30,31のそれぞれを覆う断熱材39を有する断熱機構32が設けられている。そのため、磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱することができる。そのため、磁石体30,31の熱容量の影響を受けることなく、冷凍室14を所定の温度にいち早く冷却することができる。以上により、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを防止しつつ、冷却効率を向上させることができる。
【0037】
また、一対の磁石体30,31は第1ケース33によって変位不能に収容される一方、第1ケース33は断熱材39を介して第2ケース37に覆われる。そのため、一対の磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱しつつ、冷凍室14においてより安定した静磁場を形成することができる。したがって、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを確実に防止することができる。
【0038】
また、一対の磁石体30,31は、ネオジム磁石が用いられている。ネオジム磁石は比較的強力な磁力を有しているので、冷凍室14において強力な静磁場を形成することができる。そのため、被冷凍物における自由水(水分子)の間隔を確実に確保することができ、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを確実に防止することができる。一方、ネオジム磁石は熱容量が比較的大きいが、その熱容量の影響は断熱機構32によって抑制することができる。そのため、冷凍前の鮮度の喪失を確実に防止しつつも、冷却効率の向上を図ることができる。
【0039】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0040】
例えば、断熱材39は、一対の磁石体30,31と冷凍室14との間を十分に断熱し得るのであれば、第2ケース37において部分的に設けるようにしてもよい。例えば、第2ケース37において一対の磁石体30,31が位置する上部37aおよび下部33bのみに設けるようにしてもよい。
【0041】
また、断熱材39は、第1ケース33に収容してもよい。つまり、第1ケース33内において、断熱材39をベース34や一対の磁石体30,31の表面を覆うように設けてもよい。その場合、第2ケース37は省略される。
【0042】
また、断熱材39は、一対の磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱し得るものであれば、如何なる材料であってもよい。
【0043】
また、一対の磁石体30,31は、冷凍室14における左側面および右側面に設けてもよいし、前面側および後面側に設けるようにしてもよい。
【0044】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0045】
[1] 冷凍装置100は、内部に冷凍室14を有する筐体1と、前記冷凍室14に互いに対向して設けられ、前記冷凍室14に一方向性で略均等な静磁場を形成する一対の磁石体30,31と、前記冷凍室14内の前記静磁場に電波を発信する電波発信アンテナ40と、前記冷凍室14に冷気を供給する冷凍機2と、前記冷凍室14において前記一対の磁石体30,31のそれぞれを覆う断熱材39を有する断熱機構32とを備えている。
【0046】
この構成によれば、冷凍室14において一方向性で略均等な静磁場が形成されるので、被冷凍物が冷凍される際、被冷凍物中の自由水(水分子)が所定の間隔をおいて略均等に配列した状態となる。また、静磁場に電波が発信されるので、被冷凍物中の水分子が揺動し、水分子の間隔が確保された状態で被冷凍物が冷凍される。そのため、解凍後における冷凍前の新鮮さの喪失を抑制することができる。そして、一対の磁石体30,31のそれぞれが断熱材39によって覆われるので、磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱することができる。そのため、磁石体30,31の熱容量の影響を受けることなく、冷凍室14を所定の温度にいち早く冷却することができる。したがって、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを防止しつつ、冷却効率を向上させることができる。
【0047】
[2] [1]に記載の冷凍装置100において、前記断熱機構32は、前記一対の磁石体30,31のそれぞれを変位不能に収容する第1ケース33と、前記第1ケース33を前記断熱材39を介して覆う第2ケース37とをさらに有している。
【0048】
この構成によれば、一対の磁石体30,31と冷凍室14との間を断熱しつつ、冷凍室14においてより安定した静磁場を形成することができる。したがって、被冷凍物の解凍後に冷凍前の鮮度が損なわれることを確実に防止することができる。
【0049】
[3] [1]または[2]に記載の冷凍装置100において、前記磁石体30,31は、ネオジム磁石である。
【0050】
この構成によれば、冷凍前の鮮度の喪失を確実に防止しつつも、冷却効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本開示の技術は、冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0052】
100 冷凍装置
1 筐体
14 冷凍室
30、31 磁石体
32 断熱機構
33 第1ケース
37 第2ケース
39 断熱材

図1
図2
図3
図4