IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアールエス株式会社の特許一覧

特開2024-62655ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法
<>
  • 特開-ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法 図1
  • 特開-ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法 図2
  • 特開-ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法 図3
  • 特開-ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062655
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
E04B1/348 G
E04B1/348 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170640
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】515031816
【氏名又は名称】エスアールエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】帆足 圭太
(57)【要約】
【課題】ユニットハウスの運搬作業に伴う玉掛け作業の効率向上に寄与する手段を提供すること。
【解決手段】ユニットハウスAの天井を開口して、ユニットハウスAの屋内と屋根上との間を連通してなる連絡口10と、連絡口を閉塞可能な閉塞部20と、ユニットハウスAの屋根上に設ける係止部30と、を少なくとも具備する。作業員Cは、ユニットハウスAの屋内から適宜閉塞部20を開けて開放した連絡口10を通じて、ユニットハウスAの屋根上へと上半身を乗り出した姿勢から、係止部30に対する玉掛け作業を実施することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットハウスであって、
ユニットハウスのうち少なくとも天井を開口して、ユニットハウスの屋内と屋根上との間を連通してなる連絡口、および
ユニットハウスの屋根上に設け、玉掛けに使用される係止部、
を少なくとも具備することを特徴とする、
ユニットハウス。
【請求項2】
前記連絡口を閉塞可能な閉塞部をさらに具備することを特徴とする、
請求項1に記載のユニットハウス。
【請求項3】
前記閉塞部が可動蓋またはスライドドアからなることを特徴とする、
請求項2に記載のユニットハウス。
【請求項4】
前記連絡口に対し前記閉塞部を屋内側と屋外側に設けてあることを特徴とする、
請求項2に記載のユニットハウス。
【請求項5】
屋外側の前記閉塞部が、
ユニットハウスの屋根上から立設しつつ前記連絡口と連通する筒部、および、
前記筒部の上端側の開口を閉塞する可動蓋からなり、
屋内側の前記閉塞部が、スライドドアからなることを特徴とする、
請求項4に記載のユニットハウス。
【請求項6】
請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のユニットハウスへの玉掛け方法であって、
前記連絡口を通じて、ユニットハウスの屋内から屋根上へと作業員の上半身を乗り出した姿勢で、前記係止部に対する玉掛け作業を行うことを特徴とする、
ユニットハウスへの玉掛け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットハウスの運搬時に行う玉掛け作業の効率向上に寄与する、ユニットハウスおよびユニットハウスへの玉掛け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットハウスとは、クレーン等による揚重でもって所定の場所に設置して使用する、仮設構造物である。
ユニットハウスは、工事現場での作業所、仮設住宅、宿泊施設、簡易診療所など、多種多様な用途で使用されており、以下の特許文献1,2等の技術開発が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165178号公報
【特許文献2】特開2020-063648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユニットハウスは、高さ方向に多段積みして一体化した複数階建ての仮設構造物として使用する場合もある。
このユニットハウスに対する玉掛け作業(荷を掛けたり外したりする作業)を行うにあたって、以下の様な問題が生じていた。
(1)仮設構造物を構築または撤去する際に、クレーンによる揚重でもってユニットハウスを運搬することになるが、この運搬前の玉掛け作業のために、作業員がユニットハウスの屋根上に立ち入る必要がある。ユニットハウスは高さ2m以上となるため、高層階部分のユニットハウスはもちろん、平置き時にも屋根上は高所作業となることから、屋根上に立ち入るための足場や梯子等をユニットハウスの外に新たに用意する必要がある。
(2)ユニットハウスの屋根上の作業員に対する高所作業としての安全措置(安全帯の着用、親綱支柱の用意など)を講じる必要がある。
【0005】
よって、本発明は、ユニットハウスの運搬作業に伴う玉掛け作業の効率向上に寄与する手段の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決すべくなされた本願発明は、ユニットハウスであって、ユニットハウスのうち少なくとも天井を開口して、ユニットハウスの屋内と屋根上との間を連通してなる連絡口、およびユニットハウスの屋根上に設け、玉掛けに使用される係止部、を少なくとも具備することを特徴とするものである。
また、本願発明は、前記連絡口を閉塞可能な閉塞部をさらに具備することができる。
また、本願発明は、前記閉塞部を可動蓋またはスライドドアで構成することもできる。
また、本願発明は、前記連絡口に対し前記閉塞部を屋内側と屋外側に設けた構成とすることもできる。
また、本願発明は、屋外側の前記閉塞部を、ユニットハウスの屋根上から立設しつつ前記連絡口と連通する筒部、および、前記筒部の上端側の開口を閉塞する可動蓋で構成し、屋内側の前記閉塞部を、スライドドアで構成することもできる。
また、本願発明は、前記したユニットハウスへの玉掛け方法であって、前記連絡口を通じて、ユニットハウスの屋内から屋根上へと作業員の上半身を乗り出した姿勢で、前記係止部に対する玉掛け作業を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)ユニットハウスの屋内から屋根上へと繋がる連絡口を設けることにより、作業員は屋内から連絡口を通じて屋根上に完全に乗りあがることなく、乗り出した姿勢のまま玉掛け作業を行うことができるため、高所作業としての安全措置(安全帯の装着や、親綱支柱の設置)を施す必要が無い。
(2)連絡口を閉塞する閉塞部を設けることにより、連絡口からの浸水等を防止できる。
(3)連絡口を閉塞する閉塞部を複数設けることにより、連絡口からの浸水等をより強く防止できる。
(4)屋外側の閉塞部に筒部を含めることで、筒部内側で繋がる連絡口に、屋根上を流れる水が侵入することを防止できる。
(5)屋内側の閉塞部としてスライドドアを用いることにより、閉塞部が作業員の玉掛け作業の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るユニットハウスAの概略図。
図2】本発明に係るユニットハウスAの玉掛け方法の使用イメージ図。
図3】屋外側の閉塞部の別実施例を示す概略図。
図4】屋内側の閉塞部の別実施例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0010】
<1>全体構成(図1
ユニットハウスAは、床材、柱材、壁材、天井材、屋根材などの部材からなり、各部材を展開したり組み立てたりすることで構築される仮設構造物である。ユニットハウスAには、天井材や床材に、柱材を折り畳んで収納した状態で運搬可能とする構造や、天井材が屋根材や上階の床材を兼用する構造などが知られている。
本発明に係るユニットハウスAは、図1に示すように、連絡口10、閉塞部20および係止部30を具備している。
以下、各部の詳細について説明する。
【0011】
<2>連絡口(図1
連絡口10は、ユニットハウスAの屋内から屋根上への作業員Cの乗り出しを可能とするための部位である。
連絡口10は、ユニットハウスAの天井材に対し、屋内側から屋外側へと連通するように設けた開口によって形成することができる。
したがって、天井材が屋根材を兼用している場合には、天井材のみに開口を設ければ良く、天井材の他に別途屋根材を有している場合には、天井材および屋根材の両方について開口を設ける必要がある。
本発明において連絡口10を設ける数や場所は特段限定しないが、連絡口10の形成に伴う屋内への浸水リスクを極力避ける観点から、連絡口10を設ける数は極力少なくしたり、後述する係止部30に対する作業員Cのアクセスが可能な場所に設けたりすることが好ましい。
【0012】
<3>閉塞部(図1
閉塞部20は、連絡口10を閉塞するための部位である。
本発明において、閉塞部20を設ける位置は特段限定せず、閉塞部20は、ユニットハウスAの天井材の屋内側やユニットハウスAの屋根材の屋外側に適宜設けることができる。
また、本発明では、連絡口10に対する閉塞部20の数も特段限定しない。
例えば、連絡口10の形成に伴う屋内への浸水リスクを極力避ける観点から、一つの連絡口10に対し複数の閉塞部20を設けておくことができる。
また、閉塞部20の構造についても、本発明において特段限定するものではない。閉塞部20には、例えばスライド式の開閉扉や、可動式または脱着式の蓋体等を用いることができる。
また、閉塞部20には、別途、止水機構やロック機構を設けておいてもよい。
【0013】
<4>係止部(図1
係止部30は、クレーンBによる揚重に伴う玉掛け作業の為にワイヤーを係止する部位である。
本発明において、係止部30を設ける位置や数は特段限定しないが、ユニットハウスAを揚重する場合には、安定性の確保の観点から、ユニットハウスAの屋根の四隅にそれぞれ係止部30を設けて、四点吊りとなるように構成することが望ましい。
【0014】
<5>使用イメージ(図2
図2を参照しながら、本発明に係る玉掛け方法の実施例について説明する。
図2(a)に示すように、本例では、ユニットハウスを平面視短辺方向に三基繋げつつ、高さ方向に二基積み上げて、二階建ての仮設構造物を構築している。
この仮設構造物を撤去する際には、二階部分のユニットハウスから解体・運搬を行うことになる。
図2(b)に示すように、作業員Cは、ユニットハウスの屋外に設けてある階段を使って二階中央のユニットハウスA2に設けた出入口から屋内に入り、紙面左側のユニットハウスA1の屋内に脚立Dなどを設置して、閉塞部20を動かして連絡口10を開放する。
そして、開放した連絡口10から屋根上に身体を乗り出した姿勢のまま、係止部30に対しワイヤーの係止作業を行う。このとき、作業員Cは屋根上に完全に乗りあがることなく玉掛け作業を行うことができるため、高所作業としての安全措置(安全帯の装着や親綱支柱の設置など)を施す必要が無い。
図2(c)に示すように、係止作業の完了後は、作業員CはユニットハウスAから離れ、クレーンBによってユニットハウスAを揚重・運搬すればよい。
【0015】
なお、図2では、本発明に係る玉掛け方法を、ユニットハウスAの撤去作業時のワイヤーの係止作業に適用した場合を想定しているが、ユニットハウスAの組立作業時に、クレーンBを用いて所定位置に運搬・設置したユニットハウスAから、ワイヤーを係止部30から取り外す作業においても、ほぼ同様の手順で作業を行うことができる。
【実施例0016】
図3図4を参照しながら、本発明のユニットハウスにおける別実施例について説明する。
【0017】
<1>屋外側の閉塞部(図3
図3に示す閉塞部20Aは、ユニットハウスAの屋外側に設けてあり、連絡口10を取り囲むように屋根から立設する筒部21と、筒部21の上端側の開口を閉塞・開放自在に可動可能な蓋体(可動蓋22)によって構成している。
当該構成とすることで、降雨等によって屋根部を流れる水は、筒部21によって遮られるため、連絡口10へと水が侵入することを防止することができる。
また、可動蓋22でもって筒部21の上端側の開口を確実に閉塞することで、連絡口10への浸水を防止することができる。
【0018】
なお、可動蓋22を平面視したときに筒部21よりも一回り大きな形状として、筒部21を箱に見立てた「かぶせ蓋」構造のように構成しておくと、可動蓋22の上面を流れる水が、可動蓋22の側縁から筒部21の周りに落下するため、連絡口10への浸水の恐れを低くすることができる。
【0019】
<2>屋内側の閉塞部(図4
図4に示す閉塞部20Bは、ユニットハウスAの屋内側に設けてあり、天井部の屋内側の面に設けたガイドレール24を介して横方向にスライドすることで、連絡口10の開放および閉塞を切替可能としたスライドドア23によって構成している。
当該構成とすることで、脚立などを用いてアクセスしようとする作業員Cが連絡口10を開放させる際にも閉塞部20Bが垂れ下がることが無く、作業員Cの邪魔になることもない。
【符号の説明】
【0020】
A:ユニットハウス
B:クレーン
C:作業員
10:連絡口
20,20A,20B:閉塞部
21:筒部
22:可動蓋
23:スライドドア
30:係止部
図1
図2
図3
図4