(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062666
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ベルトの緩み防止機構
(51)【国際特許分類】
A44B 11/16 20060101AFI20240501BHJP
A44B 11/25 20060101ALI20240501BHJP
A62B 35/00 20060101ALI20240501BHJP
B60R 22/18 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A44B11/16
A44B11/25
A62B35/00 A
B60R22/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170661
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106287
【氏名又は名称】サンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】松田 侑磨
【テーマコード(参考)】
2E184
3B090
3D018
【Fターム(参考)】
2E184KA11
2E184LA24
3B090AC07
3B090AC08
3B090AD10
3B090AE04
3B090BC01
3B090BC02
3B090BC13
3B090BC14
3B090BD04
3D018BA12
(57)【要約】
【課題】既存の汎用されているバックルにも適用可能な、部品点数が少なく機構の簡易なベルトの緩み防止機構を提供すること。
【解決手段】発明にかかるベルトの緩み防止機構は、バックル10と、ベルトと、バックルカバー30と、ばね40を備える。バックル10は、並列するベルト穴12bを有し、ベルトは、一方のベルト穴12bにバックル10の裏面から通され、バックル10の表面の折り曲げ部で折り曲げられ、他方のベルト穴12bにバックル10から裏面に向けて通される。バックルカバー30はバックル10の表面と対向するように取り付けられる。ばね40は、バックルカバー30に収容され、ベルトの折り曲げ部を押圧する。ベルトがばね40により弾性的に押さえつけられているため、その緩みが防止される。既存のバックル10に、ばね40が収容されたバックルカバー30を取り付けるだけであるから、部品点数が少なく機構が簡易である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面を貫通する並列するベルト穴を有するバックルと、
前記バックルの一方のベルト穴にバックルの裏面から通され、バックルの表面で折り曲げられて他方のベルト穴にバックルの裏面に向けて通されるベルトと、
バックルに対して少なくともその表面と対向するように取り付けられるバックルカバーと、
バックルカバーに内蔵され、前記ベルトの前記並列するベルト穴間のベルトの折り曲げ部を押圧するばねと、を備えるベルトの緩み防止機構。
【請求項2】
前記バックルは、左右の側面に凹部を有し、
前記バックルカバーは、前記バックルの左右の側面に対向する左右の側面板と、前記左右の側面板に形成され、前記バックルの凹部に係合する内向きの爪を有する請求項1に記載のベルトの緩み防止機構。
【請求項3】
前記バックルカバーは、前記バックルの表面との対向面に差し込み溝を有し、
前記ばねは、前記差し込み溝に差し込み可能な取り付け部を有する請求項1または2に記載のベルトの緩み防止機構。
【請求項4】
前記ばねは前記バックルカバーに対してインサート成形により一体に固定されている請求項1または2に記載のベルトの緩み防止機構。
【請求項5】
前記バックルは、バックル本体と、タングプレートとからなり、
タングプレートをバックル本体に抜き差しすることで、バックル本体とタングプレートとを連結および連結解除可能なワンタッチバックルである、請求項1または2に記載のベルトの緩み防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトのバックル部分に適用可能な、ベルトの緩み防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等における作業中に、作業者が着用したハーネスのベルトが主にワンタッチバックルの部分で徐々に緩んでしまう現象が知られている。
このように意図せずにベルトが緩んでしまうと、作業者からハーネスが脱げてしまうなどして危険である。
【0003】
ここで
図7および
図8のように、一般的なワンタッチバックル10は、バックル本体11と、タングプレート12とからなり、タングプレート12をバックル本体11に抜き差しすることで、バックル本体11とタングプレート12とを連結および連結解除可能に構成されている。
そしてベルトは、バックル本体11とタングプレート12にそれぞれ取り付けられており、タングプレート12においては、並列して設けられたベルト穴に対して、一方のベルト穴にバックルの裏面から通され、バックルの表面の折り曲げ部21で折り曲げられて他方のベルト穴にバックルの裏面に向けて通されている。
【0004】
そして、ベルトが緩むメカニズムとしては、
図8(a)のように、ベルト20の引っ張り方向に継続的に負荷がかかることで微小にずれ動くことが繰り返されることで、徐々に緩みが生じたり、
図8(b)のように、ベルト20の折り曲げ箇所が浮き上がり、倒れたりすることで急激に変位したりすることによると考えられる。
【0005】
ここで、特許文献1のように、この種のベルトの緩みを防止する試みもなされているが、レバーを回転させることでベルト穴の開口幅を変化させ、これによりベルトの締め付け状態を調整するような、従来にない複雑な機構をワンタッチバックルに付属させている。
このため、特殊なバックル構造となり汎用性が低いうえ、部品点数が多く機構が複雑であるため、コスト高となる問題がある。
【0006】
なお、以上のようなベルトが緩む問題は、ワンタッチバックル以外のバックルで、並列したベルト穴を有し、そのベルト穴に対してベルトが、一方のベルト穴にバックルの裏面から通され、バックルの表面で折り曲げられて他方のベルト穴にバックルの裏面に向けて通されることで取り付けられるバックル全般に共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の解決すべき課題は、既存の汎用されているバックルにも適用可能な、部品点数が少なく機構の簡易なベルトの緩み防止機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、発明にかかるベルトの緩み防止機構を、表裏面を貫通する並列するベルト穴を有するバックルと、前記バックルの一方のベルト穴にバックルの裏面から通され、バックルの表面で折り曲げられて他方のベルト穴にバックルの裏面に向けて通されるベルトと、バックルに対して少なくともその表面と対向するように取り付けられるバックルカバーと、バックルカバーに収容され、前記ベルトの前記並列するベルト穴間のベルトの折り曲げ部を押圧するばねと、を備える構成としたのである。
【0010】
このように構成すると、ベルトの折り曲げ部がばねにより弾性的に押さえつけられているため、ベルトの引っ張り方向に継続的に負荷がかかっても、微小にずれ動くことが抑制される。同様に、ベルトの折り曲げ部にばねが上から押しあてられているため、当該箇所が浮き上がることも抑制される。したがって、ベルトの緩みが防止される。
既存のバックルに、ばねが収容されたバックルカバーを取り付けるだけであるから、部品点数の過剰な増加や、機構の過剰な複雑化が防止される。
【0011】
発明にかかるベルトの緩み防止機構において、前記バックルは、左右の側面に凹部を有し、前記バックルカバーは、前記バックルの左右の側面に対向する左右の側面板と、前記左右の側面板に形成され、前記バックルの凹部に係合する内向きの爪を有する構成を採用することが好ましい。
【0012】
発明にかかるベルトの緩み防止機構において、前記バックルカバーは、前記バックルの表面との対向面に差し込み溝を有し、前記ばねは、前記差し込み溝に差し込み可能な取付部を有する構成を採用したり、あるいは、前記ばねは前記バックルカバーに対してインサート成形により一体に固定されている構成を採用したりすることができる。
【0013】
発明にかかるベルトの緩み防止機構において、前記バックルは、バックル本体と、タングプレートとからなり、タングプレートをバックル本体に抜き差しすることで、バックル本体とタングプレートとを連結および連結解除可能なワンタッチバックルである構成を採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
発明にかかるベルトの緩み防止機構を以上のように構成したので、既存の汎用されているバックルに適用可能な、部品点数が少なく機構の簡易なものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】(a)はベルトの緩み防止機構の正面図、(b)はベルトの緩み防止機構の縦断面図
【
図5】ベルトの緩み防止機構の他の例を示す縦断面図
【
図6】(a)はベルトの緩み防止機構のさらに他の例を示す側面図、(b)はベルトの緩み防止機構のさらに他の例を示す正面図、(c)は肩バックルの正面図
【
図8】ワンタッチバックル部分でベルトが、(a)はずれ動きにより緩む様子を、(b)は浮き上がりにより緩む様子を、それぞれ示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1から
図4に示す実施形態のベルト緩み防止機構は、主として
図7に示すようなハーネスタイプの安全帯Hのワンタッチバックル部分に適用され、部品点数が少なく機構が簡易なため、低コストでの緩み防止が実現されたものとなっている。
図7に示すハーネスタイプの安全帯Hは、作業者の両肩に掛けられる一対の肩ベルト1と、作業者の両足の大腿部に装着する一対の腿ベルト2と、背面中央ベルト3と、一対の尻ベルト4と、作業者の胴に巻き付ける胴ベルト5を有する。
図中鎖線で示すように、胴ベルト5には、フックやランヤードなどを収納するための収納袋6が適宜取り付けられる。
なお、安全帯Hの構成が図示のものに限定されないことは無論である。たとえば、胴ベルト5を省略したり、胸ベルトを追加したり、というように適宜構成を変更可能である。
ここで、図中、腿ベルト2、2と胴ベルト5には、ワンタッチバックル10が取り付けられており、肩ベルト1、1には、肩バックル7が取り付けられている。
【0018】
図1から
図4のように、ベルト緩み防止機構は、ワンタッチバックル10と、バックルに通されるベルト20と、ワンタッチバックル10に被せて取り付けられるバックルカバー30と、バックルカバー30に収容されるばね40を備える。
【0019】
ここでワンタッチバックル10は、後述する点を除き、従来と同様の構造であり、図示のように、バックル本体11と、タングプレート12からなる。
このタングプレート12をバックル本体11に対して抜き差しすることで、バックル本体11とタングプレート12とが連結および連結解除可能に構成されている。
【0020】
バックル本体11の両側面には操作片11aが設けられており、タングプレート12の先端部12aをバックル本体11に差し込んだ際には、操作片11aの先端の爪状部分がバックル本体11に内蔵されたばねの作用でタングプレート12の先端部12aに接近し係合するようになっている。
これにより、バックル本体11とタングプレート12とが連結される。
連結を解除する際には、ばねの力に抗して操作片11aを動かすと、操作片11aの先端の爪状部分がタングプレート12の先端部12aから離れ、その係合が解除される。
これにより、タングプレート12をバックル本体11から抜き取ることが可能となる。
【0021】
図示のように、バックル本体11にはその表裏面を貫通するベルト穴11bが、タングプレート12にはその表裏面を貫通するベルト穴12bがそれぞれ設けられている。
タングプレート12のベルト穴12bは、バー12cにより隔てられ、先端部12aに近接する前穴と先端部12aから離れた後穴に二分割されている。
【0022】
図示のように、汎用されているワンタッチバックルとは異なり、実施形態のワンタッチバックル10では、そのタングプレート12の両側面に、溝状の凹部12dが設けられている。また、タングプレート12の表面の中央部にねじ穴12eが設けられている。
これは既存のタングプレートに、切削工具などにより溝や穴の追加工をすることで形成することができるため、従来のワンタッチバックルをそのまま利用することが可能である。
【0023】
ベルト20も従来と同様の構造のものが用いられる。
特に限定されるものではないが、これらのベルト20は、通常はポリエステルやナイロン等の合成繊維の織物で形成されている。
【0024】
図示のように、ベルト20は、ワンタッチバックル10のバックル本体11のベルト穴11bおよびタングプレート12のベルト穴12bの双方に取り付けられている。
バックル本体11においては、ベルト穴11bを通されたベルト20の端部は折り返され、重ね合わされたうえで縫い付けられている。
タングプレート12においては、ベルト20はベルト穴12bの前穴にタングプレートの裏面から表面に向けて通され、タングプレートの表面で折り返されて、ベルト穴12bの後穴にタングプレート12の表面から裏面に向けて通されている。ベルト20の端部は縫い付けられず、リング状のベルト通しに通されるなどして、ばたつかないようになっている。
タングプレート12においては、ベルト20のベルト穴12bへの挿通位置をずらせることで、ベルト20の長さ調節が可能となっている。
ベルト穴12bに通したベルト20の前穴と後穴間の箇所は、折り曲げ部21となっている。
【0025】
図示のように、バックルカバー30は、表面板31、裏面板32、左右の側面板33からなり、天面および底面が開口する筒型の形状をなしている。
バックルカバー30の表面板31および裏面板32は、タングプレート12の表裏面に沿うようにおおむね平坦な形状に、側面板33は、タングプレート12の側面に沿うように湾曲形状に、それぞれ形成されている。
【0026】
ここで、バックルカバー30の左右の側面板33には、それぞれ内向きの爪33aが形成されている。左右の側面板33は、爪33aの近傍が、成型時の型抜きのために開口しており、これにより爪33aの弾性も増している。
また、バックルカバー30の表面板31には、貫通するボルト挿通穴31aが形成されている。
この表面板31には、その表面に向けて凸に、裏面板32との対向面に向けて凹になるような、ばね収納部31bが形成されている。
さらに、表面板31の裏面板32との対向面には、ばね収納部31bからバックルカバーの天面方向に延びる差し込み溝31cが形成されている。差し込み溝31cの前縁には、左右に並列するキー31dが形成されている。差し込み溝31cの溝深さはばね収納部31bの深さよりも小さくなっている。
この差し込み溝31cには、ボルト挿通穴31aが連通している。
バックルカバー30の材質は特に限定されないが、成型の容易なものとして合成樹脂が例示できる。
【0027】
ばね40は、ベルト20に押し付けられる押さえ部41と、バックルカバー30に取り付けられる取り付け部42とからなる。
取り付け部42には、ボルト挿通穴42aと、左右に並列する切り欠き42bが形成されている。
押さえ部41と取り付け部42はそれぞれ平板状であり、その境界には段差が形成されている。
ばね40の材質は特に限定されないが、ばね作用を容易に奏するものとしてばね鋼などの金属板が例示できる。
【0028】
実施形態のベルト緩み防止機構の構成は以上のようであり、次にその組み立て方について説明する。
まず、
図3のように、ばね40をバックルカバー30の内部に入れて、その取り付け部42を差し込み溝31cに差し込んで、キー31dと切り欠き42bをはめ合わせる。これにより、ばね40がバックルカバー30に仮固定される。
仮固定された状態で、押さえ部41は、ばね収納部31b内に位置しており、バックルカバー30のボルト挿通穴31aと、ばね40のボルト挿通穴42aとは位置が合致している。
このため、ばね40とバックルカバー30との位置合わせが容易となり、また、組み立て作業中に、ばね40とバックルカバー30が分離してしまうことが抑制され、作業効率が向上する。
【0029】
次に、
図2のように、ばね40が仮固定されたバックルカバー30を、タングプレート12に被せる。この際に、バックルカバー30の両側面の爪33aをタングプレート12の両側面の凹部12dにはめ合わせる。
これにより、バックルカバー30がタングプレート12に仮固定される。
仮固定された状態で、バックルカバー30のボルト挿通穴31aとタングプレート12のねじ穴12eとは位置が合致している。
このため、バックルカバー30とタングプレート12との位置合わせが容易となり、また、組み立て作業中に、バックルカバー30とタングプレート12が分離してしまうことが抑制され、作業効率が向上する。
【0030】
この状態で、
図2のように、本固定の手段として、ワッシャ51を介して、ボルト50を、バックルカバー30のボルト挿通穴31a、ばねのボルト挿通穴42aを挿通させ、タングプレート12のねじ穴へとねじ込むことで、ベルトの緩み防止機構の組み立てが完了する。
【0031】
組み立てられた状態で、バックルカバー30の表面板31および裏面板32は、タングプレート12の表面および背面のそれぞれに、バックルカバー30の左右一対の側面板33は、タングプレート12の左右側面のそれぞれに対向している。タングプレート12の肩部がバックルカバー30の側面板に当接することで、タングプレート12は、バックルカバー30の天面方向に対して抜け止めされている。
そして、
図4(b)のように、ばね40の押さえ部41は、タングプレート12のベルト穴を通ったベルト20の折り曲げ部21に対向し、この折り曲げ部21に弾性的に押し付けられる。
したがって、ベルトの引っ張り方向に継続的に負荷がかかっても、ばね圧により、微小にベルトがずれ動くことが抑制される。同様に、ばねの上からの押さえつけにより、ベルトの折り曲げ部21がタングプレートから浮き上がることも抑制される。この結果、ベルト20の緩みが防止される。
【0032】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0033】
たとえば、実施形態では、ばね40とバックルカバー30とを別体としたが、インサート成形などにより、
図5のように、ばね40の取り付け部42がバックルカバー30と一体化するように形成してもよい。
この場合、ばね40をバックルカバー30に仮固定する必要がなくなり、作業性がさらに向上し、仮固定のための、差し込み溝31cなども不要となる。
【0034】
なお、バックルカバー30は、バックルに取り付け可能であり、ばね40をベルト20の折り曲げ部21に弾性的に押し当て可能である限りにおいて、その形状、構造は実施形態のものに限定されない。
同様に、ばね40の形状、構造も、ベルト20の折り曲げ部21を押圧可能である限りにおいて、実施形態のものに限定されない。
【0035】
バックルカバー30などの、バックルに対する取付態様(本固定の態様)も実施形態のボルト止めに限定されない。その仮固定の態様も実施形態のような凹部12dと爪33aに限定されない。
たとえば、凹部12dと爪33aの係合により固定強度が充分なのであれば、それらを本固定の手段としてバックルカバー30をバックルに取り付けることも可能である。
実施形態では、既存のバックルを利用するため、追加工により凹部12d等を形成したが、バックルの成形時に、一体的に凹部12d等を形成することもできる。
凹部12dと爪33aなどの仮固定の手段を省略することもできる。
【0036】
また、実施形態では、ベルトの緩み防止機構をワンタッチバックル10に適用しているが、発明にかかるベルトの緩み防止機構は、並列したベルト穴を有し、そのベルト穴に対してベルト20が、一方のベルト穴にバックルの裏面から通され、バックルの表面で折り曲げられて他方のベルト穴にバックルの裏面に向けて通されることで取り付けられるバックル全般に適用可能である。
安全帯以外のバックルにも本発明のベルトの緩み防止機構が適用可能であることは無論である。
【0037】
たとえば、
図6のように、安全帯Hの肩バックル7に適用することもできる。
図示において、肩バックル7には並列するベルト穴7aが形成されており、その一方は、バー7bにより二分割されている。
ベルト20は、バー7bで二分割されたベルト穴7aの一方に対し、肩バックル7の裏面から表面に向けて通され、表面において折り曲げられて、次いで他方に、肩バックル7の表面から裏面に向けて通されている。
ベルト20のベルト穴7a間の箇所は折り曲げ部となっており、この折り曲げ部を覆うようにバックルカバー30が被せられ、肩バックル7に取り付けられている。
実施形態と同様に、仮固定は、肩バックル7の両側面に形成された凹部12dと、バックルカバー30の両側面板33に形成された内向きの爪33aの係合によりおこなわれ、本固定はボルト50のねじ込みによりおこなわれる。
【0038】
バックルカバー30には、上記したのと同様にばね40が収納されており、このばね40の押さえ部41がベルト20の折り曲げ部に弾性的に押し付けられる。これにより、肩バックル7の部分において、ベルトが緩むことが抑制される。
ワンタッチバックル10の部分と肩バックル7の部分の両方に、ベルトの緩み防止機構を併用することで、ベルトの緩みをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
H ハーネスタイプの安全帯
1 肩ベルト
2 腿ベルト
3 背面中央ベルト
4 尻ベルト
5 胴ベルト
6 収納袋
7 肩バックル
7a ベルト穴
7b バー
10 ワンタッチバックル
11 バックル本体
11a 操作片
11b ベルト穴
12 タングプレート
12a 先端部
12b ベルト穴
12c バー
12d 凹部
12e ねじ穴
20 ベルト
21 折り曲げ部
30 バックルカバー
31 表面板
31a ボルト挿通穴
31b ばね収納部
31c 差し込み溝
31d キー
32 裏面板
33 側面板
33a 爪
40 ばね
41 押さえ部
42 取り付け部
42a ボルト挿通穴
42b 切り欠き
50 ボルト
51 ワッシャ