(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006267
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】駐車管理システム、および駐車管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/30 20120101AFI20240110BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q20/30
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106994
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】513106886
【氏名又は名称】株式会社PKSHA Technology
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松江 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】三村 裕介
(72)【発明者】
【氏名】森川 直輝
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC13
5L055AA61
(57)【要約】
【課題】利用者のプライバシー保護を向上可能にした駐車管理システム、および駐車管理方法を提供する。
【解決手段】車両番号に対応づけられるカード情報を用い出庫検知に基づいてキャッシュレス決済を行う制御部と、を備え、制御部は、車室識別情報、および当該車室識別情報で識別される駐車場所の撮影画像から取得された車両番号と、携帯端末から受信する車室識別情報、および車両番号とが一致することを条件として、登録申請情報を送信した携帯端末の端末識別情報を含む利用者情報に、前登録申請情報に含まれる車両番号と一致する車両番号を対応づけて記憶部に記憶させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場所の利用を管理する駐車管理システムであって、
キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報とに車両番号を対応づけて記憶する記憶部と、
前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行う制御部と、を備え、
登録申請情報は、前記制御部が前記携帯端末から受信する情報であって、前記駐車場所を識別する車室識別情報と前記車両番号とを含み、
利用者情報は、前記制御部が前記携帯端末から受信する情報であって、前記カード情報と前記端末識別情報とを含み、
前記制御部は、前記車室識別情報、および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車室識別情報、および前記車両番号とが一致することを条件として、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致する前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする駐車管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記記憶部が前記利用者情報に対応づける前記車両番号を、前記登録申請情報として前記携帯端末から受信した前記車両番号のみとする処理を行う
請求項1に記載の駐車管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記車室識別情報で識別される前記駐車場所の前記撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車両番号とが一致するとき、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させることの承認を、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末に要求し、当該承認を受けたとき、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致した前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させる
請求項1または2に記載の駐車管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い前記出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行う
請求項1または2に記載の駐車管理システム。
【請求項5】
駐車管理システムが駐車場所の利用を管理する方法であって、
キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報とに車両番号を対応づけて記憶することと、
前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行うことと、を含み、
登録申請情報は、前記駐車管理システムが前記携帯端末から受信する情報であって、前記駐車場所を識別する車室識別情報と前記車両番号とを含み、
利用者情報は、前記駐車管理システムが前記携帯端末から受信する情報であって、前記カード情報と前記端末識別情報とを含み、
前記利用者情報に前記車両番号を対応づけて記憶することは、前記車室識別情報、および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車室識別情報、および前記車両番号とが一致することを条件として、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致した前記車両番号を対応づけて記憶することを含む
ことを特徴とする駐車管理方法。
【請求項6】
前記駐車場所の前記撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い前記出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行うことをさらに含む
請求項5に記載の駐車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場所の利用を管理する駐車管理システム、および駐車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車管理システムの第1例は、(A)車両番号に、(B)駐車料金を決済する銀行口座の番号を対応づけて、車両番号と、銀行口座の番号とを記憶する。第1例の駐車管理システムは、駐車場所に入庫する車両の撮影画像から当該車両の(A1)車両番号を認識する。第1例の駐車管理システムは、駐車開始時刻と駐車終了時刻とに基づいて算出された駐車料金を、認識された(A1)車両番号に対応する銀行口座から引き落とすための処理を行う。これによって、第1の駐車管理システムは、キャッシュレスによる駐車場所の利用を可能にする(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
駐車管理システムの第2例は、(C)携帯電話番号に、(B)駐車料金を決済する銀行口座の番号を対応づけて、携帯電話番号と、銀行口座の番号とを記憶する。第1例の駐車管理システムは、利用者の携帯端末から、(D)入庫した駐車場所の識別情報と、(C1)携帯電話番号とを、駐車開始要求として受信する。第2例の駐車管理システムは、駐車開始時刻と駐車終了時刻とに基づいて算出された駐車料金を、受信された(C1)携帯電話番号に対応する銀行口座から引き落とすための処理を行う。また、第2例の駐車管理システムは、駐車場所における車両の存否を検知する。第2例の駐車管理システムは、車両の存在を検知された駐車場所の識別子を駐車開始要求として受信していないことに基づいて不正駐車を検知する。これによって、第1の駐車管理システムは、キャッシュレスによる駐車場所の利用と、不正駐車の検知とを可能にする(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
駐車管理システムの第3例は、(A)車両番号に、(B)駐車料金の請求先を対応づけて、車両番号と、請求先とを記憶する。第3例の駐車管理システムは、駐車場所に入庫する車両の撮影画像から当該車両の(A1)車両番号を認識する。第3例の駐車管理システムは、(D1)入庫した駐車場所の識別情報と、撮影画像から認識された(A1)車両番号とを、入庫情報として生成する。第3例の駐車管理システムは、駐車場所に設置される車室装置から、近距離通信によって、入庫情報をブロードキャスト送信する。車両近傍に位置する利用者の携帯端末は、ブロードキャスト送信された入庫情報の正誤判定を、携帯端末を所持する利用者に促す。第3例の駐車管理システムは、入庫情報が正である旨の応答を利用者の携帯端末から受信することによって、入庫した(A1)車両番号を確定すると共に、当該(A1)車両番号に基づくキャッシュレスによる駐車場所の利用を可能にする(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-132380号公報
【特許文献2】特開2017-045384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1例や第3例のように、駐車管理システムの管理が車両番号の画像認識によって作動しはじめることは、駐車開始要求の受信によって管理をはじめる第2例と比べて、利用者の煩わしさが大幅に軽減される。一方、上述した駐車管理システムにおいては、駐車場所の利用に関わる情報が利用者のみに秘匿されることが利用者のプライバシー保護の観点から新たに強く要求されはじめている。
この点、利用者の車両を識別する(A)車両番号は、利用者以外の他者に知られる情報である。利用者が著名人ともなれば、利用者の(A)車両番号は、さらに多くの他者の知られる情報ともなる。そして、第1例や第3例では、駐車場所の利用に先駆けて、こうした著名人などの利用者の(A)車両番号に(B)利用者以外の他者のカード情報が対応づけられ得る。仮に、利用者以外の他者のカード情報が利用者の車両番号に対応づけられてしまうと、利用者の意図に反して、利用者の駐車料金が利用者以外の他者によって支払われる。そして、利用者の意図に反して、利用者の車両所在や滞在時刻などの駐車場所の利用に関する情報が他者に漏洩してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための駐車管理システムは、駐車場所の利用を管理する駐車管理システムである。この駐車管理システムは、キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報ごとに車両番号を対応づけて記憶する記憶部と、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行う制御部と、を備える。登録申請情報は、前記制御部が前記携帯端末から受信する情報であって、前記駐車場所を識別する車室識別情報と前記車両番号とを含み、利用者情報は、前記制御部が前記携帯端末から受信する情報であって、前記カード情報と前記端末識別情報とを含む。前記制御部は、前記車室識別情報、および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車室識別情報、および前記車両番号とが一致することを条件として、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致する前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させる。
【0008】
上記課題を解決するための駐車管理方法は、駐車管理システムが駐車場所の利用を管理する方法である。この駐車管理方法は、キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報とに車両番号を対応づけて記憶することと、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行うことと、を含む。登録申請情報は、前記駐車管理システムが前記携帯端末から受信する情報であって、前記駐車場所を識別する車室識別情報と前記車両番号とを含み、利用者情報は、前記駐車管理システムが前記携帯端末から受信する情報であって、前記カード情報と前記端末識別情報とを含む。前記利用者情報に前記車両番号を対応づけて記憶することは、前記車室識別情報、および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車室識別情報、および前記車両番号とが一致することを条件として、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致した前記車両番号を対応づけて記憶することを含む。
【0009】
駐車場所の利用に関わる情報を秘匿することは、利用者のプライバシー保護の観点から強く要求されている。仮に、利用者以外の他者のカード情報と端末識別情報とが、利用者の車両番号に対応づけられると、利用者の駐車料金が利用者以外の他者によって支払われる一方、利用者の車両所在や滞在時刻などの駐車場所の利用に関する情報が他者に漏洩してしまう。
【0010】
この点、駐車場所を識別する車室識別情報は、利用者以外の他者に知られる情報である。利用者の車両を識別する車両番号もまた、利用者以外の他者に知られる情報である。しかし、車室識別情報と、車室識別情報で識別される駐車場所に現在入庫した車両の車両番号との組み合わせは、当該駐車場所に車両を入庫させたときに利用者のみに知られる情報である。上記各構成によれば、車室識別情報と、当該車室識別情報に対応づけられた撮影画像から得られる車両番号と、携帯端末から受信した車室識別情報、および車両番号とが一致することを条件として、車両番号が利用者情報に対応づけられる。結果として、利用者情報に正である車両番号を対応づけることが、利用者以外の他者によって実現されがたい。このため、利用者情報に正である車両番号が対応づけられることの信頼性が高まる。結果として、利用者のプライバシーの保護が図られる。
【0011】
上記駐車管理システムにおいて、前記制御部は、前記記憶部が前記利用者情報に対応づける前記車両番号を、前記登録申請情報として前記携帯端末から受信した前記車両番号のみとする処理を行ってもよい。この構成によれば、上述したようなプライバシーの保護性能がさらに高められる。
【0012】
上記駐車管理システムにおいて、前記制御部は、前記車室識別情報と、当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の前記撮影画像から取得された前記車両番号と、前記携帯端末から受信する前記車室識別情報、および前記車両番号とが一致するとき、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させることの承認を、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末に要求し、当該承認を受けたとき、前記登録申請情報を送信した前記携帯端末の前記端末識別情報を含む前記利用者情報に、前記登録申請情報に含まれる前記車両番号と一致した前記車両番号を対応づけて前記記憶部に記憶させてもよい。
【0013】
上記構成によれば、利用者情報に正である車両番号を対応づけることが、利用者の承認を受けて行われる。結果として、駐車管理の堅牢性が得られると共に、プライバシーの保護による安心感が利用者に与えられるため、キャッシュレス決済による駐車場所の利用促進が可能ともなる。
【0014】
上記駐車管理システムにおいて、前記制御部は、前記撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い前記出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行ってもよい。
【0015】
上記駐車管理方法は、前記駐車場所の前記撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い前記出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行うことをさらに含めてもよい。
【0016】
撮影画像から認識される車両番号が誤っている場合、駐車管理システムの上記第1例では、誤った銀行口座から駐車料金が引き落とされてしまう。また、駐車管理システムの上記第2例では、駐車場所の識別情報や携帯電話番号を送信するような煩わしさが、駐車場所を利用しはじめるたび、利用者に強いられている。また、駐車管理システムの上記第3例では、撮影画像から認識された車両番号の正誤が利用者によって判定されるが、判定に要する入庫情報が車室装置から駐車場所に向けてブロードキャスト送信されている。結果として、駐車管理システムの上記第3例では、入庫した駐車場所の近傍において、入庫情報の誤送信が発生してしまう。
この点、上記各構成において、端末識別情報は、車両番号に対応づけられる。駐車管理システムは、撮影画像から取得された車両番号に対応づけられる端末識別情報を特定すると共に、端末識別情報で識別される携帯端末にキャッシュレス決済に要する入庫確認を要求する。このため、ブロードキャスト送信に起因した承認要求の誤送信が生じがたい。また、撮影画像から取得された車両番号が誤っている場合、キャッシュレス決済に要する入庫確認が、正である携帯端末には要求されず、駐車管理システムはキャッシュレス決済に要する入庫確認を受けがたい。このため、撮影画像から取得された車両番号に誤りが生じても、入庫確認を受けるという条件は満たされないから、結果として、装置取得の車両番号に誤りが生じている状態でキャッシュレス決済が行われることはない。また、撮影画像から車両番号が取得されるたび、キャッシュレス決済に要する入庫確認が携帯端末に要求される。このため、駐車場所の利用要求を自らはじめるような煩わしさが駐車場所の利用のたびに軽減される。
【発明の効果】
【0017】
本開示の駐車管理システム、および駐車管理方法によれば、キャッシュレス決済に誤りが発生することが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、駐車管理システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、利用者情報の構成を示す構成図である。
【
図6】
図6は、利用申請処理から確認要求処理までの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、駐車管理システム、および駐車管理方法の一実施形態を示す。まず、
図1、および
図2を参照して駐車管理システムの構成を説明する。次に、
図3から
図6を参照して駐車管理システムが実行する駐車管理方法を説明する。
【0020】
[駐車場所21]
図1が示すように、駐車管理システム10は、車室装置20、および駐車管理装置30を備える。車室装置20は、駐車場所21に設置される。駐車管理装置30は、ネットワークを介して車室装置20に接続されている。駐車管理装置30は、ネットワークを介して決済装置40に接続されている。駐車管理装置30は、決済装置40にカード情報54と駐車料金とを送信し、決済装置40に駐車料金の決済を依頼する。決済装置40は、カード情報54に基づいて駐車料金の決済を代行する。車室装置20と、駐車管理装置30とは、それぞれ各種の処理をソフトウェアによって処理するものを含む。車室装置20と、駐車管理装置30とは、それぞれ各種の処理のうちの少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)などの専用のハードウェアを備えてもよい。車室装置20と駐車管理装置30とは、それぞれASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、あるいは、これらの組み合わせ、を含む回路としても構成される。
【0021】
駐車場所21は、一般公共の用に供する駐車場である。一般公共の用に供する駐車場は、路外でもよいし、路上でもよい。一般公共の用に供する駐車場は、料金を徴収する駐車場を含む。一般公共の用に供する駐車場は、料金を徴収しない駐車場を含んでもよい。
【0022】
駐車管理装置30は、車室装置20の撮影する駐車場所21に車室番号21Nを付与する。車室番号21Nは、駐車場所21の識別情報である車室識別情報の一例である。駐車管理装置30は、各駐車場所21に1つずつ車室番号21Nを付与する。
【0023】
[車室装置20]
車室装置20は、車番取得部22、車室管理部23、および出庫検知部24を備える。
車番取得部22は、駐車場所21の一端部に設置される。車番取得部22は、駐車場所21に入庫する車両60を撮影する。車番取得部22は、駐車場所21に入庫する車両60のナンバープレートを撮影する。
【0024】
車番取得部22は、画像処理と、車両番号60Nを取得するための機械学習モデルとを用い、撮影画像から車両番号60Nを取得する。車番取得部22は、取得された車両番号60Nと、車番取得部22の設置された駐車場所21の車室番号21Nと、を車室管理部23に送信する。
【0025】
出庫検知部24は、駐車場所21に設置されたループコイルなどを備える。出庫検知部24は、駐車場所21から車両60が出庫することを検知する。出庫検知部24は、車室管理部23に出庫の検知結果を送信する。
【0026】
車室管理部23は、複数の車番取得部22と、複数の出庫検知部24とに接続されている。車室管理部23は、インターネットを介して駐車管理装置30に接続されている。
車室管理部23は、車番取得部22の取得した車両番号60Nに、車番取得部22の設置された駐車場所21の車室番号21Nと、車両番号60Nの取得された時刻である入庫時刻T1とを対応づけて、駐車管理装置30に送信する。車室管理部23は、出庫検知部24の検知した車両60の出庫に、出庫検知部24の設置された駐車場所21の車室番号21Nと、車両60の出庫した時刻である出庫時刻T2とを対応づけて、駐車管理装置30に送信する。
【0027】
[携帯端末50]
携帯端末50は、駐車場所21の利用者に携帯されるスマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末である。携帯端末50は、駐車場所21に入庫する車両60の運転者に携帯される端末でもよい。携帯端末50は、駐車場所21に入庫する車両60の同乗者に携帯されてもよい。携帯端末50は、インターネットを介して駐車管理装置30に接続されている。携帯端末50は、駐車場所21を利用するための駐車管理アプリケーション51を備える。
【0028】
駐車管理アプリケーション51は、[1]利用申請処理、[2]車番申請処理、および[3]利用確認処理を実行する。駐車管理アプリケーション51は、[1]利用申請処理の後に[2]車番申請処理を実行する。駐車管理アプリケーション51は、[1]利用申請処理と[2]車番申請処理との完了後に、[3]利用確認処理を繰り返す。
【0029】
[1]利用申請処理は、会員ID56を取得する事前処理である。
[2]車番申請処理は、車両番号60Nの登録を申請する事前処理である。
[3]利用確認処理は、キャッシュレス決済に要する入庫確認処理である。
【0030】
[1]利用申請処理において、駐車管理アプリケーション51は、駐車管理装置30に利用者情報52を送信する。
図2が示すように、利用者情報52は、利用者の個人情報53、カード情報54、および端末識別情報55を含む。個人情報53は、利用者の氏名、住所、性別、生年月日などを含む。カード情報54は、駐車料金をキャッシュレス決済するためのクレジットカードの番号や、有効期限などを含む。端末識別情報55は、駐車管理装置30から携帯端末50にキャッシュレス決済に要する入庫確認依頼を通知するための情報である。端末識別情報55は、例えばプッシュ通知を可能にする携帯端末50の端末識別IDである。
【0031】
図1に戻り、駐車管理アプリケーション51は、利用者情報52を受け付けられた結果として、駐車管理装置30から会員ID56を受信する。会員ID56は、駐車管理装置30が利用者を識別するための情報である。会員ID56は、駐車管理装置30によって生成される。会員ID56は、各利用者情報52に1つずつ生成される。
【0032】
[2]車番申請処理において、駐車管理アプリケーション51は、会員ID56の入力によって登録申請画面50A(
図3を参照)を表示する。駐車管理アプリケーション51は、登録申請画面50Aの入力操作を通じて、駐車管理装置30に登録申請情報57を送信する。登録申請情報57は、車室番号21Nと車両番号60Nとの組みである。
【0033】
図3が示すように、登録申請画面50Aは、車室番号21Nの入力欄50B、および車両番号60Nの入力欄50Cを表示する。携帯端末50は、駐車管理装置30に登録申請情報57を送信する。
【0034】
登録申請情報57は、登録申請画面50Aに入力された、車室番号21Nと車両番号60Nとの組みである。登録申請情報57は、登録申請画面50Aの操作によって入力される。携帯端末50の送信する車室番号21Nは、利用者によって入力された(i)利用者入力の車室番号21Nである。携帯端末50の送信する車両番号60Nは、利用者によって入力された(i)利用者入力の車両番号60Nである。携帯端末50の送信する車両番号60Nは、車番取得部22に取得された(ii)装置取得の車両番号60Nではない。
【0035】
[2]車番申請処理において、駐車管理アプリケーション51は、登録申請画面50Aに続いて登録確認画面50Dを表示する。駐車管理アプリケーション51は、登録申請情報57を受け付けられた結果として、駐車管理装置30から車両番号60Nを受信する。携帯端末50の受信する車両番号60Nは、(ii)装置取得の車両番号60Nである。携帯端末50の受信する車両番号60Nは、(i)利用者入力の車両番号60Nではない。
【0036】
図4が示すように、登録確認画面50Dは、「認識された車両番号は以下です。」のように、車室装置20によって車両番号60Nを取得された旨を示すメッセージを表示する。登録確認画面50Dは、車両番号60Nの表示欄50Eに、駐車管理装置30から受信した車両番号60Nを表示する。表示欄50Eに表示される車両番号60Nは、(ii)装置取得の車両番号60Nである。表示欄50Eに表示される車両番号60Nは、(i)利用者入力の車室番号21Nに対応づけられた車両番号60Nである。
【0037】
登録確認画面50Dは、登録中止ボタン50Fと、登録承認ボタン50Gとを表示する。登録中止ボタン50Fのタッチ操作は、表示欄50Eに表示された車両番号60Nの登録中止要求を駐車管理装置30に送信する。登録承認ボタン50Gのタッチ操作は、表示欄50Eに表示された車両番号60Nの登録承認を駐車管理装置30に送信する。車両番号60Nの登録は、利用者情報52に車両番号60Nを対応づけることである。車両番号60Nの登録で対応づけられる利用者情報52は、登録申請情報57を送信した携帯端末50の端末識別情報55を含む。車両番号60Nの登録で対応づけられる車両番号60Nは、表示欄50Eに表示された車両番号60Nである。
【0038】
[3]利用確認処理において、駐車管理アプリケーション51は、会員ID56の入力によって利用確認画面50Hを表示する。利用確認画面50Hを表示する携帯端末50の端末識別情報55は、(ii)装置取得の車両番号60Nに対応づけられている。
【0039】
図5が示すように、利用確認画面50Hは、利用中止ボタン50Iと、利用確認ボタン50Jとを表示する。利用中止ボタン50Iのタッチ操作は、駐車管理装置30にキャッシュレス決済の中止要求を送信する。利用確認ボタン50Jのタッチ操作は、駐車管理装置30にキャッシュレス決済の事前要求を送信する。
【0040】
[駐車管理装置30]
図1に戻り、駐車管理装置30は、記憶部31、および制御部32を備える。記憶部31は、会員情報データベース35と、入出庫情報データベース36とを備える。駐車管理装置30は、ネットワークを介して車室管理部23に接続されている。駐車管理装置30は、ネットワークを介して携帯端末50に接続されている。駐車管理装置30は、ネットワークを介して決済装置40に接続されている。
【0041】
会員情報データベース35は、会員ID56、利用者情報52、および車両番号60Nを保存する。会員情報データベース35は、会員ID56に利用者情報52を対応づける。会員情報データベース35は、会員ID56と利用者情報52とに車両番号60Nを対応づける。制御部32は、会員情報データベース35を管理する。
【0042】
入出庫情報データベース36は、会員ID56、入庫時刻T1、および出庫時刻T2を保存する。入出庫情報データベース36は、会員ID56に入庫時刻T1を対応づける。入出庫情報データベース36は、会員ID56に出庫時刻T2を対応づける。制御部32は、入出庫情報データベース36を管理する。
【0043】
制御部32は、[4]利用許可処理、[5]車番登録処理、および[6]確認要求処理を実行する。制御部32は、携帯端末50から利用者情報52を受信するごとに、当該利用者情報52について、[4]利用許可処理を実行する。制御部32は、携帯端末50から登録申請情報57を受信するごとに、当該登録申請情報57について[5]車番登録処理を実行する。制御部32は、車室管理部23から車両番号60Nを受信するごとに[6]確認要求処理を実行する。
【0044】
[4]利用許可処理は、会員ID56を発行する事前処理である。
[5]車番登録処理は、車両番号60Nを登録する事前処理である。
[6]確認要求処理は、キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求する処理である。
【0045】
[4]利用許可処理において、制御部32は、利用者情報52に対応づける新たな会員ID56を生成する。制御部32は、新たな会員ID56に利用者情報52を対応づけて新たな会員ID56を記憶させる。制御部32は、利用者情報52の送信元である携帯端末50に、当該携帯端末50から受信した利用者情報52に対応づけた会員ID56を送信して、[4]利用許可処理を終了する。
【0046】
[5]車番登録処理において、制御部32は、登録申請情報57の送信元である携帯端末50の端末識別情報55を特定する。制御部32は、登録申請情報57に含まれる(i)利用者入力の車室番号21Nと(i)利用者入力の車両番号60Nとを取得する。制御部32は、車室管理部23から受信した車室番号21Nと車両番号60Nとの組みの全てを、(ii)装置取得の車室番号21Nと(ii)装置取得の車両番号60Nとの組みとして記憶部31に記憶させる。
【0047】
[5]車番登録処理において、制御部32は、登録申請情報57に含まれる(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nを取得する。制御部32は、(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとを照合する。
【0048】
制御部32は、(i)利用者入力の車両番号60Nと(ii)装置取得の車両番号60Nとが一致し、かつ(i)利用者入力の車室番号21Nと(ii)装置取得の車室番号21Nとが一致することを条件として、登録申請情報57の送信元である携帯端末50に(ii)装置取得の車両番号60Nを送信する。制御部32は、車両番号60Nの登録承認を受けて、利用者情報52に(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づける。これにより、制御部32は、[5]車番登録処理を終了する。(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけられる利用者情報52は、登録申請情報57から特定された端末識別情報55を含む。なお、制御部32は、(i)利用者入力の車室番号21Nに基づいて(ii)装置取得の車両番号60Nを特定してもよい。そして、制御部32は、(i)利用者入力の車両番号60Nと(ii)装置取得の車両番号60Nとが一致することを条件として、登録申請情報57の送信元である携帯端末50に(ii)装置取得の車両番号60Nを送信してもよい。
【0049】
[5]車番登録処理に続き、制御部32は、(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけた利用者情報52から、当該利用者情報52に対応づけられる会員ID56を特定する。制御部32は、特定された会員ID56に、入庫時刻T1と、当該入庫時刻T1に対応づけられた車室番号21Nとを対応づける。制御部32は、車室管理部23から出庫時刻T2を受信するたびに、出庫時刻T2に対応づけられた車室番号21Nに基づいて、当該車室番号21Nに対応づけられた会員ID56に、出庫時刻T2を対応づける。制御部32は、会員ID56に対応づけられた入庫時刻T1と出庫時刻T2とに基づいて駐車料金を算出すると共に、会員ID56に対応づけられたカード情報54と駐車料金とを決済装置40に送信する。すなわち、制御部32は、出庫検知に基づいてキャッシュレス決済を行う。
【0050】
一方、制御部32は、車両番号60Nの登録中止要求を受けて、利用者情報52に(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけずに[5]車番登録処理を終了する。なお、制御部32は、(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとが一致しないとき、(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとが相違する旨を携帯端末50に送信して[5]車番登録処理を終了する。
【0051】
[6]確認要求処理において、制御部32は、車室管理部23から車両番号60Nを受信するごとに、当該車両番号60Nに対応づけられている利用者情報52、および利用者情報52に対応づけられる会員ID56を特定する。制御部32は、特定された利用者情報52に含まれる端末識別情報55を用いて、携帯端末50に利用確認画面50Hを表示させるためのプッシュ通信を行う。
【0052】
制御部32は、キャッシュレス決済の事前要求を受けて、利用者情報52に対応づけられた会員ID56に、入庫時刻T1と、当該入庫時刻T1に対応づけられた車室番号21Nとを対応づける。制御部32は、車室管理部23から出庫時刻T2を受信するたびに、出庫時刻T2に対応づけられた車室番号21Nに基づいて、当該車室番号21Nに対応づけられた会員ID56に、出庫時刻T2を対応づける。制御部32は、会員ID56に対応づけられた入庫時刻T1と出庫時刻T2とに基づいて駐車料金を算出すると共に、会員ID56に対応づけられたカード情報54と駐車料金とを決済装置40に送信する。
【0053】
なお、[6]確認要求処理において、制御部32は、(ii)装置取得の車両番号60Nが利用者情報52に対応づけられていない場合、(ii)装置取得の車両番号60Nに関わる処理を所定期間だけ待機する。制御部32は、所定期間の待機中に登録申請情報57を受信すると、(ii)装置取得の車両番号60Nを用いる[5]車番登録処理を実行する。
【0054】
[駐車管理方法]
次に、携帯端末50が実行するキャッシュレス決済申請方法、および駐車管理システム10が実行する駐車管理方法を説明する。
【0055】
携帯端末50が実行するキャッシュレス決済申請方法は、上述した[1]利用申請処理、[2]車番申請処理、および[3]利用確認処理を含む。駐車管理アプリケーション51は、決済申請プログラムの一例である。駐車管理システム10が実行する駐車管理方法は、上述した[4]利用申請処理、[5]車番登録処理、および[6]確認要求処理を含む。
【0056】
[初回利用]
まず、携帯端末50は、駐車場所21を利用するための駐車管理アプリケーション51を取得する。携帯端末50による取得例は、インターネットを介したアプリケーションのダウンロードである。
【0057】
次に、携帯端末50は、駐車管理アプリケーション51による[1]利用申請処理を開始して、駐車管理装置30に利用者情報52を送信する(ステップS51)。駐車管理装置30は、[4]利用許可処理を開始して、携帯端末50に、利用者情報52に対応づけた会員ID56を送信する。
【0058】
次に、利用者の車両60が駐車場所21に入庫すると(ステップS61)、車室装置20は、撮影画像から取得された(ii)装置取得の車両番号60Nを車室番号21Nに対応づけて駐車管理装置30に送信する(ステップS21)。駐車管理装置30は、[6]確認要求処理を開始して、(ii)装置取得の車両番号60Nが利用者情報52に対応づけられていないと判断する。これにより、駐車管理装置30は、(ii)装置取得の車両番号60Nに関わる処理を所定期間だけ待機する。
【0059】
次に、携帯端末50は、駐車管理アプリケーション51による[2]車番申請処理を開始して、駐車管理装置30に登録申請情報57を送信する(ステップS52)。待機していた駐車管理装置30は、[5]車番登録処理を開始する。駐車管理装置30は、登録申請情報57に含まれる(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと、(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとを照合して照合結果を携帯端末50に送信する。(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとが一致するとき、照合結果は、(ii)装置取得の車両番号60Nに対する登録の承認依頼である。(i)利用者入力の車室番号21N、および車両番号60Nと(ii)装置取得の車室番号21N、および車両番号60Nとが一致しないとき、照合結果は、2つの車両番号60Nが相違する旨のメッセージである。
【0060】
次に、携帯端末50は、駐車管理アプリケーション51による[2]車番申請処理を継続し、駐車管理装置30から受信した照合結果として、車両番号60Nとメッセージとを表示する。携帯端末50は、登録承認ボタン50Gのタッチ操作を通じて、駐車管理装置30に対する処理要求として、車両番号60Nの登録承認を送信する。あるいは、携帯端末50は、登録中止ボタン50Fのタッチ操作を通じて、駐車管理装置30に対する処理要求として、車両番号60Nの登録中止要求を駐車管理装置30に送信する(ステップS53)。
【0061】
次に、駐車管理装置30は、車両番号60Nの登録承認を受けて、当該登録承認を送信した携帯端末50の利用者情報52に、(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけて、[5]車番登録処理を終了する。あるいは、駐車管理装置30は、車両番号60Nの登録中止要求を受けて、当該登録中止要求を送信した携帯端末50の利用者情報52に、(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけず、[5]車番登録処理を終了する。
【0062】
ここで、駐車場所21の利用に関わる情報を秘匿することは、利用者のプライバシー保護の観点から強く要求されている。一方、利用者の車両60を識別する車両番号60Nは、利用者以外の他者に知られる情報である。利用者が著名人ともなれば、利用者の車両番号60Nは、さらに多くの他者の知られる情報ともなる。仮に、利用者以外の他者のカード情報54と端末識別情報55とが、利用者の車両番号60Nに対応づけられると、利用者の駐車料金が利用者以外の他者によって支払われる一方、利用者の車両所在や滞在時刻などの駐車場所21の利用に関する情報が他者に漏洩してしまう。
【0063】
この点、車室番号21Nは、利用者以外の他者に知られる情報である。利用者の車両番号60Nもまた、利用者以外の他者に知られる情報である。しかし、車室番号21Nと、車室番号21Nで識別される駐車場所21に現在入庫した車両60の車両番号60Nとの組み合わせは、当該駐車場所21に車両60を入庫させたときに利用者のみに知られる情報である。そのため、上述したような車両番号60Nの登録であれば、利用者情報52に正である車両番号60Nを対応づけることが、利用者以外の他者によって実現されがたい。
【0064】
駐車管理装置30は、[5]車番登録処理に続き、(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけた利用者情報52から、当該利用者情報52に対応づけられる会員ID56を特定する。駐車管理装置30は、特定された会員ID56に、入庫時刻T1と出庫時刻T2とを対応づける。駐車管理装置30は、入庫時刻T1と出庫時刻T2とに基づいて駐車料金を算出すると共に、会員ID56に対応づけられたカード情報54と駐車料金とを決済装置40に送信する。
【0065】
[次回利用]
次に、車両番号60Nを登録された利用者の車両60が駐車場所21に再度入庫すると(ステップS62)、車室装置20は、撮影画像から取得された(ii)装置取得の車両番号60Nを車室番号21Nに対応づけて駐車管理装置30に送信する(ステップS22)。駐車管理装置30は、[6]確認要求処理を開始して、(ii)装置取得の車両番号60Nに対応づけられている利用者情報52を特定する。駐車管理装置30は、特定された利用者情報52に含まれる端末識別情報55を用いて、キャッシュレス決済に要する入庫確認として、携帯端末50に利用確認画面50Hを表示させるためのプッシュ通信を行う。
【0066】
次に、携帯端末50は、駐車管理アプリケーション51による[3]利用確認処理を開始する。携帯端末50は、駐車管理装置30に対する処理要求として、利用確認ボタン50Jのタッチ操作を通じて、駐車管理装置30にキャッシュレス決済に要する入庫確認を送信する。あるいは、携帯端末50は、利用中止ボタン50Iのタッチ操作を通じて、駐車管理装置30に対する処理要求として、駐車管理装置30にキャッシュレス決済の中止要求を送信する。
【0067】
駐車管理装置30は、キャッシュレス決済に要する入庫確認を受けて、利用者情報52に対応づけられた会員ID56に、入庫時刻T1と、当該入庫時刻T1に対応づけられた車室番号21Nとを対応づける。制御部32は、車室管理部23から出庫時刻T2を受信するたびに、出庫時刻T2に対応づけられた車室番号21Nに基づいて、当該車室番号21Nに対応づけられた会員ID56に、出庫時刻T2を対応づける。制御部32は、会員ID56に対応づけられた入庫時刻T1と出庫時刻T2とに基づいて駐車料金を算出すると共に、会員ID56に対応づけられたカード情報54と駐車料金とを決済装置40に送信する。
【0068】
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)端末識別情報55は、車両番号60Nに対応づけられる。駐車管理システム10は、(ii)装置取得の車両番号60Nに対応づけられる端末識別情報55を特定すると共に、端末識別情報55で識別される携帯端末50にキャッシュレス決済に要する入庫確認を要求する。このため、ブロードキャスト送信に起因した確認要求の誤送信が生じがたい。
【0069】
(2)(ii)装置取得の車両番号60Nが誤っている場合、キャッシュレス決済に要する入庫確認は、正である携帯端末50には要求されず、駐車管理システム10はキャッシュレス決済に要する入庫確認を受けがたい。このため、(ii)装置取得の車両番号60Nの誤りに起因したキャッシュレス決済の誤りの発生が抑えられる。
【0070】
(3)(ii)装置取得の車両番号60Nが受信されるたび、キャッシュレス決済に要する入庫確認が携帯端末50に要求される。このため、駐車場所21の利用要求を自らはじめるような煩わしさが駐車場所21の利用のたびに軽減される。
【0071】
(4)(i)利用者入力の車室番号21Nに基づいて撮影画像から得られる車両番号60Nと、(i)利用者入力の車両番号60Nとが一致することを条件として、車両番号60Nが利用者情報52に対応づけられる。結果として、利用者情報52に正である車両番号60Nを対応づけることが、利用者以外の他者によって実現されがたい。このため、利用者情報52に正である車両番号60Nが対応づけられることの信頼性が高まる。結果として、利用者のプライバシーの保護が図られる。
【0072】
(5)登録申請情報57に含まれる(i)利用者入力の車両番号60Nと一致した車両番号60Nのみを、制御部32が利用者情報52に対応づけるため、上記(4)に準じたプライバシーの保護性能がさらに高められる。
【0073】
(6)利用者情報52に正である車両番号60Nを対応づけることが、携帯端末50から承認を受けて行われる。結果として、駐車管理の堅牢性が得られると共に、プライバシーの保護による安心感が利用者に与えられるため、キャッシュレス決済による駐車場所21の利用促進が可能ともなる。
【0074】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[携帯端末50]
・利用者情報52に含まれる端末識別情報55は、[1]利用申請処理を実行する携帯端末50の端末識別情報55と異なってもよい。すなわち、[1]利用申請処理を実行する携帯端末50は、[2]車番申請処理、および[3]利用確認処理を実行する携帯端末50とは異なってもよい。
【0075】
[車番登録処理]
・利用申請処理において、携帯端末50は、利用者情報52と共に、当該利用者情報52に対応づけられた車両番号60Nを、駐車管理装置30に送信してもよい。この際、携帯端末50は、駐車管理装置30に登録申請情報57を送信すること、すなわち[3]車番申請処理を割愛してもよい。また、駐車管理装置30は、利用者情報52と、当該利用者情報52と共に受信した車両番号60Nとを対応づけることを、[5]車番登録処理として実行してもよい。このように、駐車管理装置30は、(i)利用者入力の車両番号60Nおよび車室番号21Nと(ii)装置取得の車両番号60Nおよび車室番号21Nとの照合を割愛してもよい。
【0076】
・あるいは、駐車管理装置30は、利用者情報52と、当該利用者情報52と共に受信した車両番号60Nとを対応づけることを、初回の[5]車番登録処理として実行してもよい。すなわち、駐車管理装置30は、(i)利用者入力の車両番号60Nを正として車両番号60Nの初回登録を実行してもよい。そして、駐車管理装置30は、次回以降の[5]車番登録処理のなかで携帯端末50から登録申請情報57を受信したとき、(i)利用者入力の車両番号60Nおよび車室番号21Nと(ii)装置取得の車両番号60Nおよび車室番号21Nとの照合を通じて、利用者情報52に(ii)装置取得の車両番号60Nを対応づけて更新してもよい。このように、駐車管理装置30は、利用者情報52と車両番号60Nとの対応づけを更新してもよい。
【0077】
・(i)利用者入力の車両番号60Nおよび車室番号21Nと(ii)装置取得の車両番号60Nおよび車室番号21Nとが一致することは、利用者情報52に車両番号60Nを対応づける必要条件であってもよいし、十分条件であってもよい。例えば、駐車管理装置30は、(i)利用者入力の車両番号60Nおよび車室番号21Nと(ii)装置取得の車両番号60Nおよび車室番号21Nとが一致するとき、携帯端末50に照合結果を送信せずに、利用者情報52に車両番号60Nを対応づけてもよい。これによって、(i)利用者入力の車両番号60Nと(ii)装置取得の車両番号60Nとが一致することは、利用者情報52に車両番号60Nを対応づける十分条件となる。
【0078】
[確認要求処理]
・駐車管理装置30は、[6]確認要求処理を割愛してもよい。例えば、(ii)装置取得の車両番号60Nの画像認識精度が十分に高い環境、かつキャッシュレス決済の選択される確度が十分に高い環境であれば、駐車管理装置30によるプッシュ通信、および携帯端末50による事前要求は、割愛してもよい。すなわち、駐車管理装置30は、キャッシュレス決済に要する入庫確認の要求を割愛し、装置取得の車両番号60Nに対応づけられたカード情報を用い、出庫検知に基づいてキャッシュレス決済を行ってもよい。これによれば、[3]利用確認処理などの入庫確認に要する利用者の負荷を軽減できる。一方、(ii)装置取得の車両番号60Nの精度が十分であるとはいえない環境、あるいはキャッシュレス決済の選択される確度が十分であるとはいえない環境であれば、[6]確認要求処理を実行する駐車管理装置30は、特に有用性に優れている。
【0079】
[車室装置20]
・車室装置20は、2つ以上の駐車場所21に1つずつ車番取得部22を備えてもよい。2つ以上の駐車場所21に1つずつ車番取得部22を備える場合、駐車場所21に入庫する車両60の車両番号60Nを各駐車場所21に対応づけて取得するように、車番取得部22が構成される。
【0080】
・1つの車室装置20は、車番取得部22、車室管理部23、および出庫検知部24を1つずつ備えてもよい。この構成であっても、駐車管理装置30は、携帯端末50から受信した車両番号60Nと車室番号21Nとの組みを用いて車両番号60Nの照合を行うことが可能である。
【0081】
・車番取得部22のなかで車両番号60Nを取得する機能は、車室装置20から割愛されて駐車管理装置30に搭載されてもよい。この際、車室管理部23は、車両60の入庫した駐車場所21を特定し、当該駐車場所21の撮影画像と車室番号21Nとを駐車管理装置30に送信してもよい。駐車管理装置30は、車室管理部23から受信した撮影画像から車両番号60Nを取得してもよい。
【0082】
上記実施形態、および変更例から導き出される技術的思想を以下に付記する。
[付記1]
駐車場所の利用を管理する駐車管理システムであって、
キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報とに車両番号を対応づけて記憶する記憶部と、
前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行う制御部と、を備えることを特徴とする駐車管理システム。
【0083】
[付記2]
駐車管理システムが駐車場所の利用を管理する方法であって、
キャッシュレス決済用のカード情報と携帯端末の端末識別情報とに車両番号を対応づけて記憶することと、
前記駐車場所の撮影画像から取得された前記車両番号に対応づけられる前記端末識別情報を用いて前記携帯端末に前記キャッシュレス決済に要する入庫確認を要求し、前記携帯端末から前記入庫確認を受けることを条件として、前記車両番号に対応づけられる前記カード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行うことと、を含むことを特徴とする駐車管理方法。
付記1,2において、端末識別情報は、車両番号に対応づけられる。駐車管理システムは、撮影画像から取得された車両番号に対応づけられる端末識別情報を特定すると共に、端末識別情報で識別される携帯端末にキャッシュレス決済に要する入庫確認を要求する。このため、ブロードキャスト送信に起因した承認要求の誤送信が生じがたい。また、撮影画像から取得された車両番号が誤っている場合、キャッシュレス決済に要する入庫確認が、正である携帯端末には要求されず、駐車管理システムはキャッシュレス決済に要する入庫確認を受けがたい。このため、撮影画像から取得された車両番号に誤りが生じても、入庫確認を受けるという条件は満たされないから、結果として、装置取得の車両番号に誤りが生じている状態でキャッシュレス決済が行われることはない。また、撮影画像から車両番号が取得されるたび、キャッシュレス決済に要する入庫確認が携帯端末に要求される。このため、駐車場所の利用要求を自らはじめるような煩わしさが駐車場所の利用のたびに軽減される。
【0084】
[付記3]
携帯端末に駐車料金のキャッシュレス決済を申請させる決済申請プログラムであって、
車室識別情報は、駐車場所を識別する情報であり、
駐車管理システムは、前記車室識別情報および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から得る車両番号と、前記携帯端末から受信した前記車室識別情報および前記車両番号とが一致することを条件として、前記車両番号に対応する前記キャッシュレス決済用のカード情報を用い出庫検知に基づいて前記キャッシュレス決済を行い、
前記決済申請プログラムは、前記携帯端末に、
前記駐車場所に入庫した前記車両の前記車両番号と、前記車両が入庫した前記駐車場所を識別する前記車室識別情報とを1つの画面に対する入力操作を通じて前記駐車管理システムに送信させる、ことを特徴とする決済申請プログラム。
【0085】
上記付記3によれば、車室識別情報および当該車室識別情報で識別される前記駐車場所の撮影画像から得る車両番号と、利用者入力の車室識別情報および車両番号とが一致することを条件として、カード情報を用いるキャッシュレス決済が行われる。結果として、カード情報を用いるキャッシュレス決済が、利用者以外の他者によって実現されがたい。このため、駐車場所の利用に関わる情報が利用者以外に漏れることが抑えられて、利用者のプライバシーの保護が図られる。
【0086】
[付記4]
前記制御部は、前記携帯端末から受信した前記車室識別情報によって識別される前記駐車場所の撮影画像から得る前記車両番号と、前記携帯端末から受信した前記車両番号とが一致することを条件として、前記携帯端末から受信した前記カード情報に、前記携帯端末から受信した前記車両番号を対応づける、付記1に記載の駐車管理システム。
【0087】
上記付記4によれば、利用者が入力する車室識別情報に基づいて撮影画像から得る車両番号と、利用者が入力する車両番号とが一致することを条件として、カード情報に車両番号が対応づけられる。結果として、カード情報に正である車両番号を対応づけることが、利用者以外の他者によって実現されがたい。このため、カード情報に正である車両番号が対応づけられることの信頼性が高まる。結果として、利用者のプライバシーの保護が図られる。
【0088】
[付記5]
前記制御部は、前記携帯端末から受信した前記車室識別情報によって識別される前記駐車場所の撮影画像から得る前記車両番号と、前記携帯端末から受信した前記車両番号とが一致するとき、前記携帯端末から受信した前記カード情報に、前記携帯端末から受信した前記車両番号を対応づけることの承認を、前記携帯端末に要求し、当該承認を受けたとき、前記携帯端末から受信した前記カード情報に、前記携帯端末から受信した前記車両番号を対応づける、付記1または付記4に記載の駐車管理システム。
【0089】
上記付記5によれば、カード情報に正である車両番号を対応づけることが、携帯端末から承認を受けて行われる。結果として、駐車管理の堅牢性が得られると共に、プライバシーの保護による安心感が利用者に与えられるため、キャッシュレス決済による駐車場所の利用促進が可能ともなる。
【符号の説明】
【0090】
T1…入庫時刻
T2…出庫時刻
10…駐車管理システム
20…車室装置
21…駐車場所
21N…車室番号
22…車番取得部
23…車室管理部
24…出庫検知部
30…駐車管理装置
31…記憶部
32…制御部
35…会員情報データベース
36…入出庫情報データベース
40…決済装置
50…携帯端末
50A…登録申請画面
50D…登録確認画面
50H…利用確認画面
51…駐車管理アプリケーション
52…利用者情報
54…カード情報
55…端末識別情報
56…会員ID
57…登録申請情報
60…車両
60N…車両番号