(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062674
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】エアストレッチ運動装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240501BHJP
A63B 23/025 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61H7/00 322D
A63B23/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170670
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢
(72)【発明者】
【氏名】沼田 康一
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BB05
4C100CA15
4C100DA04
4C100DA05
(57)【要約】
【課題】枕部に頭部を載置して仰臥した状態で使用者の頭部の顎部側を持ち上げて、使用者の首部や肩部などの施療部に対して伸ばすストレッチ運動を行うことができるエアストレッチ運動装置を提供する。
【解決手段】本発明のエアストレッチ運動装置1は、使用者の頭部が載置可能な枕部2と、枕部2の下方に配備され且つ膨張することで枕部2を上昇させ、使用者の頭部から首部に対してストレッチ運動させる第1エアバッグ16と、第1エアバック16に空気を供給するエアポンプ8と、を備えている。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部が載置可能な枕部と、
膨張することで前記枕部を上昇させ、使用者の頭部から首部に対してストレッチ運動させる第1エアバッグと、
前記第1エアバックに空気を供給するエアポンプと、を備えている
ことを特徴とするエアストレッチ運動装置。
【請求項2】
前記第1エアバックは、前記枕部が載置可能な広さを有し、前記枕部の下方に配備されることを特徴とする請求項1に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項3】
前記第1エアバックは、
前記エアポンプから空気が供給されて膨張すると前記枕部を上方へ持ち上げ、当該枕部に載置された使用者の頭部を上方且つ後側へ引っ張るストレッチ運動を発現するものとされている
ことを特徴とする請求項2に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項4】
前記枕部の上面側は凸形状となっており、前記枕部の下面後側は前記ケース体に対して回動自在に枢支されていて、前記第1エアバックが膨張することで、前記枕部は枢支軸回りにその前部が上方に回動して持ち上がるように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項5】
前記枕部の前側に接続され、前記使用者が仰臥することが可能なシート部を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項6】
前記枕部はケース体内に格納され且つ当該ケース体から出退自在となっており、
前記ケース体の前側には可撓性の部材で形成された前記シート部が接続されており、
前記ケース体内に、エアポンプと、前記エアポンプからの空気を前記シート部に配備された第2エアバッグに導く空気供給ホースと、当該空気供給ホースと前記第2エアバッグを繋ぐコネクタとが格納されているため、前記シート部は当該ケース体の外周回りに巻き付け可能となっている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項7】
前記シート部には、前記使用者の施療部に対してストレッチ運動させる第2エアバックが配備されていることを特徴とする請求項4に記載のエアストレッチ運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面やベッドなど略水平な場所に載置し、使用者が仰臥してストレッチ運動をすることが可能なエアストレッチ運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では体を動かす機会が少なかったり、長時間同じ姿勢でいることがよくある。そのため、身体の筋や腱などが収縮した状態となったり、筋肉が凝り固まったりすることがよくある。このような身体(施療部)に対して、伸ばすストレッチ運動ができる装置が市販されている。肩部~腰部までの背部や臀部などの施療部をストレッチ運動させることのできる運動機が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のストレッチ運動機はシート型とされ、そのシート部上に使用者が仰臥して背部や臀部などを伸ばしてストレッチ運動を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、肩部・背中・腰部などの背部や臀部などに対して十分にストレッチ運動を行うことができ、高いストレッチ効果を得ることができるものである。
【0005】
さて近年では、スマートフォン・タブレット機器等の使用や、パソコンを使用した事務仕事などにおいて、背中を丸めた姿勢(猫背の姿勢)を長時間することがよくある。このような頭部を前方に傾斜させた姿勢では、頭部が重いため首部や肩部回りにストレスがかかり、首部や肩部の凝りや所謂ストレートネックなどの症状が生じてしまう。
【0006】
このようなことより、背部・腰部・臀部などの施療部に対してストレッチ運動を行えることに加えて、首部や肩部回りに対してストレッチ運動を行える装置が望まれている。すなわち、従来の装置のように背部・腰部などの施療部の施療部に限定されずに、様々な部位に対してストレッチ運動が行える装置が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、枕部に頭部を載置して仰臥した状態で使用者の頭部の顎部側を持ち上げて、使用者の首部や肩部などの施療部に対して伸ばすストレッチ運動を行うことができるエアストレッチ運動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0009】
本発明にかかるエアストレッチ運動装置は、使用者の頭部が載置可能な枕部と、膨張することで前記枕部を上昇させ、使用者の頭部から首部に対してストレッチ運動させる第1エアバッグと、前記第1エアバックに空気を供給するエアポンプと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記第1エアバックは、前記枕部が載置可能な広さを有し、前記枕部の下方に配備されるとよい。
【0011】
好ましくは、前記第1エアバックは、前記エアポンプから空気が供給されて膨張すると前記枕部を上方へ持ち上げ、当該枕部に載置された使用者の頭部を上方且つ後側へ引っ張るストレッチ運動を発現するとよい。
【0012】
好ましくは、前記枕部の上面側は凸形状となっており、前記枕部の下面後側はケース体に対して回動自在に枢支されていて、前記第1エアバックが膨張することで、前記枕部は枢支軸回りにその前部が上方に回動して持ち上がるように構成されているとよい。
【0013】
好ましくは、前記枕部の前側に接続され、前記使用者が仰臥することが可能なシート部を備えているとよい。
【0014】
好ましくは、前記枕部はケース体内に格納され且つ当該ケース体から出退自在となっており、前記ケース体の前側には可撓性の部材で形成された前記シート部が接続されており、前記ケース体内に、エアポンプと、前記エアポンプからの空気を前記シート部に配備された第2エアバッグに導く空気供給ホースと、当該空気供給ホースと前記第2エアバッグを繋ぐコネクタとが格納されているため、前記シート部は当該ケース体の外周回りに巻き付け可能となっているとよい。
【0015】
好ましくは、前記シート部には、前記使用者の施療部に対してストレッチ運動させる第2エアバックが配備されているとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、枕部に載置された使用者の頭部を持ち上げて、使用者の首部や肩部などの施療部に対してストレッチ運動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のエアストレッチ運動装置の概略を模式的に示した図である。
【
図2A】本発明のエアストレッチ運動装置の概略を模式的に示した図であり、第1エアバッグが収縮した状態を示した図である。
【
図2B】本発明のエアストレッチ運動装置の概略を模式的に示した図であり、第1エアバッグが膨張した状態を示した図である。
【
図3】本発明のエアストレッチ運動装置の概略を模式的に示した図であり、第1エアバッグが膨張した状態を示した図である(
図2Bとは異なる方向からの斜視図)。
【
図4A】本発明のエアストレッチ運動装置の使用態様を示した図であり、第1エアバッグが収縮した状態を示した側面図である。
【
図4B】本発明のエアストレッチ運動装置の使用態様を示した図であり、第1エアバッグが膨張した状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるエアストレッチ運動装置の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略して描いている。
【0019】
本実施形態を説明するにあたり、シート型のエアストレッチ運動装置1の方向について、説明の便宜上、以下のように定義する。
【0020】
図1に示すように、シート型のエアストレッチ運動装置1の長手方向において、枕部2側を装置の「後側」とし、枕部2の反対側であるシート部5の端部側を装置の「前側」とする。また、使用者Uがシート型のエアストレッチ運動装置1上に仰臥した場合、その使用者Uが見上げた方向(天井方向)をエアストレッチ運動装置1の「上側」とする。なお、エアストレッチ運動装置1の左右方向については、図面に示す通りとする。
【0021】
図1~
図4Bに、本発明にかかるエアストレッチ運動装置の構成及び使用態様を示す。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のシート型のエアストレッチ運動装置1は、床面Fやベッドなど平らな面上に敷設でき、例えば仰臥した使用者Uの肩胛骨部(肩部下側)、背部(背中)、腰部、臀部、または下肢などの施療部に対して、ストレッチ動作を付与するものである。それに加えて、本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、使用者Uの首部から肩部にかけての施療部を伸ばすストレッチ動作を付与することができるものである。
【0023】
本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、仰向けに寝た使用者Uの頭部を載置することが可能な枕部2と、枕部2の下方に配備され、膨張することで枕部2を上に持ち上げて使用者Uの頭部から首部に対してストレッチ運動させる第1エアバッグ16とを有する。さらに、エアストレッチ運動装置1は、枕部2の内部に格納され、第1エアバック16を駆動する駆動機構4(第1エアバック16に空気を供給するエアポンプ8)と、枕部2の前側に接続され、使用者Uが仰臥することが可能なシート部5と、を備えている。
【0024】
本実施形態のエアストレッチ運動装置1の大きさを例示すると、広げたときのシート部5の左右方向の長さ(幅)は、使用者Uの肩幅よりやや大きいものである。また、このエアストレッチ運動装置1を広げたときの前後方向の長さは、およそ使用者Uの頭部から背部、腰部を経て臀部にかけての長さに相当するものである。すなわち、エアストレッチ運動装置1は、上体を載置できる大きさである。
【0025】
図1、
図2などに示すように、枕部2は、シート部5上に仰向けに寝た使用者Uの頭部
を載置可能なものである。枕部2の上面側は、例えば丸みを帯びた形状や平らな面を有する形状などが挙げられる。また、枕部2の下面側は、枕部2を床面などの平らな面に載置するため略水平面とされている。この水平面の下方に、後述する第1エアバッグ16が配備されている。
【0026】
この枕部2は、ケース体6(格納体)の左右中央部から上下方向に出退自在に配備されている。具体的には、ケース体6は左右方向に長尺な部材であり、内部が空洞とされた筐体である。また、ケース体6の内部は、所定の大きさの空間が形成されていて、第1エアバッグ16及び第1エアバッグ16を駆動する駆動機構4を格納する。
【0027】
ケース体6の左右中央部には枕部2が嵌まり込む大きさの開口が形成されている。この開口に枕部2は遊嵌状態で嵌まり込んでいるため、上下方向に出退自在となっている。ケース体6は、下面が平たく切り欠かれ、上方に張り出た形状(カマボコ形状)となっていて、内部に空間を有するため、この内部空間内に、駆動機構4を収納することが可能となっている。好ましくは、使用者の頭部と接する枕部2の上面側には、やわらかいクッション部材7が配設されているとよい。枕部2の形状については、本実施形態で例示した形状に限定されない。
【0028】
図2に示すように、ケース体6の内部には、駆動機構4を構成するエアポンプ8(コンプレッサ)と、エアポンプ8から送出された空気を第1エアバッグ16に導く第1エアホースと、第1エアホースと第1エアバッグ16を繋ぐ第1コネクタと、第1エアバッグ16に供給する空気の量を制御する電磁弁11と、この電磁弁11を制御する制御部12と、が格納されている。
【0029】
ケース体6の下部には、前方向に向かって開口した開口部13が形成されている。開口部13は、枕部2の内部と外部とを連通状態にする。開口部13は、側面視で、ケース体6の下部より前方向に突出するように設けられている。この開口部13は、左右方向に長い長方形状に開口されたものであり、シート部5の後側(基端側)が接続される。
【0030】
また、開口部13内には、平らな載置面14が設けられていて、その載置面14の上に駆動機構4を構成するエアホースなどが配設されている。開口部13より内側のケース体6内に駆動機構4を構成するエアホースなどが配設されていることにより、開口部13から外部へ露出しないようになる。これにより、可撓性のシート部5をケース体6の外周回りに巻き付けて留め置いた状態のときに、エアホースなどが巻き込まれたり、挟まれて折れたりしないようになる。
【0031】
また、
図2A、
図2B、
図4A、
図4Bなどに示すように、本実施形態では、枕部2の下方に第1エアバック16を設けている。この第1エアバック16は、枕部2の下面と対面する位置に配備され、エアポンプ8の駆動により膨張し、当該第1エアバック16上に載せられた枕部2が上方且つ後方へ移動することで、使用者Uの後頭部から首部の後側を持ち上げて後頭部から首部の後側を伸ばしてストレッチ運動させるものである。
【0032】
第1エアバック16は、空気を不透過とされた布体を上下に配置し、その周縁を溶着などにより気密状態に接合した構造とされている(溶着構造)。第1エアバック16は、エアポンプ8からの加圧された空気を貯留可能に形成され、大きく膨張できるように膨縮自在に形成されている。第1エアバック16は、本実施形態のように、平面視で左右方向に長い長方形状の形状とされた袋体でもよい。また、第1エアバック16は、例えば左右方向に長い楕円形状などの形状とされた袋体でもよい。第1エアバック16は、後述する第2エアバック17に対して独立して膨縮することが可能な構成とされている。
【0033】
第1エアバック16には、第1コネクタが取り付けられている。その第1コネクタには、第1エアホースが接続されている。エアポンプ8からの空気が第1エアホースと第1コネクタを通過することにより、空気が供給されて第1エアバック16が膨張する。
【0034】
前述した如く、枕部2の上面側は、例えば丸みを帯びた形状や平らな面を有する形状(山形形状、上方に凸形状)となっている。
図2A、
図2Bに示すように、枕部2の下面後側には、後方向に屈曲するL字型形状の支持部20が垂下状に設けられており、この支持部20の反枕側(後方を向く側)は枢支部21となっている。具体的には、ケース体6の載置面14には枢支体22が立設されており、この枢支体22にL字型の支持部21の先端が左右軸心回り回動自在に枢支されるものとなっている。そのため、枕部2はこの枢支軸回りに枕部2の前部が上方に回動して持ち上がるものとなっている。故に第1エアバック16に空気が供給されて膨張し、枕部2を持ち上がることでケース体6の開口から当該ケース体6の外方に突出するようになる。
【0035】
すると、枕部2の凸形状が使用者の頸椎の部分に当たり、枕部2が上方へ持ち上がることで、使用者の頸椎を引き伸ばし心地よいマッサージを付与することになる。また、使用者の頸椎のカーブを自然なものに引き伸ばしストレートネック対策にもなる。
【0036】
図2に示すように、ケース体6の内部には、駆動機構4が格納されている。駆動機構4は、加圧した空気を供給して第1エアバッグ16などを膨張させるエアポンプ8と、エアポンプ8から送出された空気を各エアバッグ16,17などに導くエアホースと、当該エアホースと各エアバッグ16,17を繋ぐコネクタと、各エアバッグ16,17に供給する空気の量を制御する電磁弁11と、この電磁弁11を制御する制御部12と、を有している。
【0037】
エアポンプ8は、ケース体6内の左側に備えられていて、エアホースを介して電磁弁11に接続されている。エアポンプ8は、加圧した空気を電磁弁11に送出する。電磁弁11は、ケース体6の右側に設けられていて、第1エアバッグ16に空気を供給する第1エアホースや、第2エアバッグ17(詳細は後述)に空気を供給する第2エアホースなどが接続されている。電磁弁11は、制御部12にて制御されており、第1エアバッグ16、第2エアバッグ17などへの空気の導入を切り替えるものである。
【0038】
第1エアホースは、第1エアバッグ16に備えられている第1コネクタに接続されている。第2エアホースは、第2エアバッグ17に備えられている第2コネクタに接続されている。なお、第1エアホース及び第2エアホースとしては、例えば可撓性を有するゴムチューブなどを採用するとよい。
【0039】
制御部12は、ケース体6の右側に備えられている。この制御部12には、複数のストレッチ運動を行わせるプログラムが組み込まれていて、プログラムにより第1エアバッグ16、第2エアバッグ17の膨張などを制御している。
【0040】
図1、
図2などに示すように、本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、枕部2の前側に接続され、使用者Uが仰臥することが可能なシート部5を備えている。シート部5は、使用者Uの施療部(例えば、肩部、背部、腰部、臀部など)の下に広げられるように配置される。
【0041】
本実施形態のシート部5の大きさを例示すると、広げたときのシート部5の左右方向の長さ(幅)は、使用者Uの肩幅よりやや大きいものである。また、このシート部5を広げたときの前後方向の長さは、およそ使用者Uの肩部から背部、腰部を経て臀部にかけての長さに相当するものである。すなわち、シート部5は、上体を載置できる大きさである。
【0042】
シート部5には、使用者Uの施療部に対してストレッチ運動させる第2エアバック17が配備されている。第2エアバック17は、膨張することで当該第2エアバック17上の使用者Uの施療部(例えば、背部、腰部、臀部、下肢など)を押し上げ使用者の体を捻るように動かすことで、施療部に対してストレッチ運動を付与する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態の第2エアバッグ17は、シート部5に4つ配備されている。これらの第2エアバッグ17は、空気を不透過とされた布体を上下に配置し、その周縁を溶着などにより気密状態に接合した構造とされている(溶着構造)。
【0044】
本実施形態の第2エアバッグ17は、シート部5の右後側に配置された右後エアバッグ17cと、右前側に配置された右前エアバッグ17dと、左後側に配置された左後エアバッグ17eと、左前側に配置された左前エアバッグ17fと、を有している。
【0045】
右後エアバッグ17c~左前エアバッグ17fは、エアポンプ8からの加圧された空気を貯留可能に形成され、大きく膨張できるように膨縮自在に形成されている。右後エアバッグ17c~左前エアバッグ17fは、前後方向に長い袋体であり、例えば「長方形状」や「楕円形状」などの形状とされた袋体であってもよい。これら右後エアバッグ17c~左前エアバッグ17fは、それぞれ独立して膨縮することが可能な構成とされている。
【0046】
本実施形態の右後エアバッグ17cは、平面視で、前後方向に長い楕円形状の袋体とさ
れていて、シート部5の右後側に配備されている。右後エアバッグ17cは、シート部5に仰向けに寝た使用者Uの右側の肩部、背部などに対応する位置に配置されている。
【0047】
右後エアバッグ17cの後側(基端側)には、右後コネクタが取り付けられている。その右後コネクタには、右後エアホースが接続されている。エアポンプ8からの空気が右後エアホースと右後コネクタを通過することにより、右後エアバッグに供給されて膨張する。右後エアバッグがシート部5から上方向に向かって膨張することで、シート部5上に仰向けに寝た使用者Uの右側の肩部、背部などの施療部に対して、ストレッチ運動を付与する。
【0048】
本実施形態の右前エアバッグ17dは、平面視で、略円形状の袋体とされていて、シート部5の右前側に配備されている。右前エアバッグ17dは、シート部5に仰向けに寝た使用者Uの右側の腰部や臀部などに対応する位置に配置されている。
【0049】
この右前エアバッグ17dには、エアポンプ8から供給された空気が通過する空気通路18dが設けられている。この空気通路18dは、右後エアバッグ17cの右外側を通過するように備えられている。
【0050】
空気通路18dの後側(基端側)には、右前コネクタが取り付けられている。その右前コネクタには、右前エアホースが接続されている。エアポンプ8からの空気が右前エアホースと右前コネクタを経て、空気通路18dを通過することにより、右前エアバッグ17dに供給されて膨張する。
【0051】
この右前エアバッグ17dがシート部5から上方向に向かって膨張することで、シート部5上に仰向けに寝た使用者Uの右側の腰部、臀部などの施療部に対して、ストレッチ運動を付与する。
【0052】
ところで、左後エアバッグ17eは、右後エアバッグ17cを左に反転(鏡像反転)させて配置したものである。すなわち、左後エアバッグ17eと右後エアバッグ17cは、左右対称のものである。本実施形態の左後エアバッグ17eは、シート部5の左後側に配備され、シート部5に仰向けに寝た使用者Uの左側の肩部、背部などに対応する位置に配置されている。
【0053】
左後エアバッグ17eの後側(基端側)には、左後コネクタが取り付けられている。その左後コネクタには、左後エアホースが接続されている。エアポンプ8からの空気が左後エアホースと左後コネクタを通過することにより、左後エアバッグ17eに供給されて膨張する。左後エアバッグ17eがシート部5から上方向に向かって膨張することで、シート部5上に仰向けに寝た使用者Uの左側の肩部、背部などの施療部に対して、ストレッチ運動を付与する。
【0054】
また、左前エアバッグ17fは、右前エアバッグ17dを左に反転させて配置したものである。すなわち、左前エアバッグ17fと右前エアバッグ17dは、左右対称のものである。本実施形態の左前エアバッグ17fは、シート部5の左前側に配備され、シート部5に仰向けに寝た使用者Uの左側の腰部、臀部などに対応する位置に配置されている。
【0055】
この左前エアバッグ17fには、エアポンプ8から供給された空気が通過する空気通路18fが設けられている。この空気通路18fは、左後エアバッグ17eの左外側を通過するように備えられている。
【0056】
空気通路18fの後側(基端側)には、左前コネクタが取り付けられている。その左前コネクタには、左前エアホースが接続されている。エアポンプ8からの空気が左前エアホースと左前コネクタを経て、空気通路18fを通過することにより、左前エアバッグ17fに供給されて膨張する。左前エアバッグ17fがシート部5から上方向に向かって膨張することで、シート部5上に仰向けに寝た使用者Uの左側の腰部、臀部などの施療部に対して、ストレッチ運動を付与する。
【0057】
なお、第2エアバッグ17c~17fの形状に関しては、シート部5上に仰臥した使用者Uの施療部に対してストレッチ運動することができるものであれば、特に限定しない。
【0058】
さて、上記した第2エアバッグ17c~17fは、それぞれ独立して交互に膨縮させることが可能な構成とされている。例えば、シート部5の右側に配置されている右後エアバッグ17cと右前エアバッグ17dをともに膨張させ、それらを収縮させると同時に、シート部5の左側に配置されている左後エアバッグ17eと左前エアバッグ17fをともに膨張させ始めるような制御を行ってもよい。
【0059】
また、シート部5において配置関係がクロス方向である右後エアバッグ17c及び左前エアバッグ17fをともに膨張させ、それらを収縮させると同時に、反対のクロス方向の配置である右前エアバッグ17dと左後エアバッグ17eをともに膨張させ始めるような制御を行ってもよい。
【0060】
また、シート部5の後側に配置されている右後エアバッグ17cと左後エアバッグ17eをともに膨張させ、それらを収縮させると同時に、シート部5の前側に配置されている右前エアバッグ17dと左前エアバッグ17fをともに膨張させ始めるような制御を行ってもよい。なお、各エアバッグ17c~17fを膨縮させるタイミングについては、個別に遅らせたり早めたりする制御も可能である。
[作動態様]
次いで、本発明のエアストレッチ運動装置1の作動態様について、図を参照しながら説明する。
【0061】
例えば、
図2A、
図4Aなどに示す状態にする。具体的には、使用者Uは、シート部5上に仰向きに寝て、頭部を枕部2上に載置し、第1エアバック16を使用する状態にする。ここで、枕部2の左上部に設けられているスイッチ19を操作し、エアポンプ8(駆動機構4)を駆動させる。
【0062】
図2B、
図4Bに示すように、第1エアバック16を駆動させる場合、エアポンプ8から加圧された空気が電磁弁11に送られる。加圧空気は電磁弁11を経て、第1エアホースと第1コネクタを通過し、第1エアバッグ16に供給される。第1エアバッグ16は膨張するようになる。
【0063】
第1エアバッグ16が上方向に向かって膨張することで、第1エアバッグ16上に置かれた枕部2が上昇し、使用者Uの頭部が上方向且つ後方向に引き上げられるので、首部(首筋)が伸ばされることになり、首部や肩部回りに対して効果的にストレッチ運動を付与する。シート部5の第2エアバッグ17を膨張させる場合は、前述した通りであり、使用者Uの上体をひねるように動かし使用者Uに対してストレッチ運動を付与することができる。
【0064】
さらに、本発明のエアストレッチ運動装置1は、以下のようなストレッチ運動も行うことができる。使用者Uの背中に対応する第2エアバッグ17を膨張させた状態で頭部の第1エアバッグ16を膨らませる動作を行うと、第2エアバッグ17の膨張(特に、右後エアバッグ17cと左後エアバッグ17eの膨張)により背中が持ち上げられて胸部が反る状態となり、より顎部を上げる姿勢となる。この動作により、胸鎖乳突筋(後頭部から鎖骨にかけて繋がって筋肉)などに対してストレッチ運動を行うことができる。
【0065】
シート部5上に横向きに寝るようにし、頭部を載せる第1エアバッグ16に上腕部(詳しくは、脇部より少しだけ手先側)を載せて、第2エアバッグ16を膨張させると、脇部に対してストレッチ運動を行うことができる。
【0066】
背中に対応する第2エアバッグ17の上に臀部を載せ、枕部2に腰部を当ててストッパとし、床面に肘(または手)を突いて上体を起こして、第2エアバッグ17を膨張させると、腰部に対してストレッチ運動を行うことができる。なお、枕部2に腰部を当てて、エアストレッチ運動装置1上に寝るようにした状態でも良いが、少し痛みを感じる場合、上体を起こした状態でストレッチ運動を行うことが望ましい。
【0067】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0068】
例えば、第1エアバック16の大きさや形状などの構成については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。また、第1エアバック16、第2エアバック17の配置や形状などの構成、膨張と収縮のリズムや、膨張させる順番等については、施療範囲を鑑み適宜変更可
能である。第2エアバック17について、シート部5内に収まる一枚のものでも可能である。また、第2エアバック17に関しては、上布無しの状態で、シート部5の上面に載せるように備えてもよい。すなわち、エアストレッチ運動装置1の構成については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。また、シート部5を有さず、ケース体6(枕部2及び第1エアバッグ16)だけで構成されたエアストレッチ運動装置とすることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 エアストレッチ運動装置
2 枕部
4 駆動機構
5 シート部
6 ケース体
7 クッション部材
8 エアポンプ
11 電磁弁
12 制御部
13 開口部
14 載置面
16 第1エアバッグ
17 第2エアバッグ
U 使用者