(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062680
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
D06F58/02 A
D06F58/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170684
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏治
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA45
3B166BA55
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA06
3B166CB11
3B166EA03
3B166EA12
3B166EA15
3B166EC18
3B166EC44
3B166EE04
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
(57)【要約】
【課題】赤外線放射材から所定波長の赤外線を安定して放射させることができる、衣類乾装置を提供する。
【解決手段】この衣類乾燥装置10は、乾燥室内に供給される空気を加熱する第1熱源と、乾燥室35内に加熱空気を供給する給気通路と、乾燥室35内から乾燥に利用された後の空気を排出する排気通路と、給気通路及び排気通路を通じて乾燥室35の内側と外側との間で空気を流通させる送風装置と、乾燥室35の内側面の少なくとも一部の範囲に設けられ、加熱されることで赤外線を放射する赤外線放射材87と、乾燥室35の内側面の、赤外線放射材87が設けられた一部の範囲を、乾燥室35の外側面から加熱する、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室内に収容した衣類を乾燥させる衣類乾燥装置であって、
前記乾燥室内に供給される空気を加熱する第1熱源と、
前記乾燥室内に、前記第1熱源で加熱された空気を供給する給気通路と、
前記乾燥室内から、乾燥に利用された後の空気を排出する排気通路と、
前記給気通路及び前記排気通路を通じて、前記乾燥室の内側と外側との間で空気を流通させる送風装置と、
前記乾燥室の内側面の少なくとも一部の範囲に設けられ、加熱されることで赤外線を放射する赤外線放射材と、
前記乾燥室の内側面の、前記赤外線放射材が設けられた前記一部の範囲を、前記乾燥室の外側面から加熱する、前記第1熱源に対して独立し且つ前記第1熱源とは異なる第2熱源と、を備えることを特徴とする衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記第2熱源は電熱ヒータであり、
該電熱ヒータは、前記給気通路及び前記排気通路を流通する空気に接触しないように配置されている請求項1記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記電熱ヒータは、前記乾燥室の外側面に接触するように配置されている請求項2記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥室の外側面の、前記電熱ヒータが接触する範囲は、前記赤外線放射材が設けられた範囲よりも狭く設定されている請求項3記載の衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ドラムの内部に、洗濯後の衣類(タオルやシーツ等も含む)を収容し、回転ドラム内に加熱空気(乾燥用温風)を供給しつつ回転ドラムを回転させることで、衣類を乾燥させる、衣類乾燥装置が知られている。
【0003】
上記のような衣類乾燥装置のように、加熱空気のみで衣類を乾燥させるものでは、例えば、厚手のデニム素材の衣類の場合、乾燥までに時間がかかることがある。そこで、加熱空気に加え、加熱することで放射される赤外線を利用して、衣類を乾燥させる衣類乾燥装置が開発されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、衣類を収容するドラムと、該ドラム内に熱風を送るヒータ及びファンと、ファン及びドラムを駆動する電動機とを備え、ドラム内面若しくはドラム内方に面する部位に遠赤外線発生部を形成した、衣類乾燥機が記載されている。また、ドラムの、加熱空気の供給口付近であるドラム前板に、遠赤外線を発生する材料を含む塗膜が形成されており、これが遠赤外線発生部をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の衣類乾燥機の場合、加熱空気が通過する箇所である、乾燥用温風の供給口付近に位置するドラム前板に、遠赤外線発生部を設けることで、赤外線による乾燥効率を向上させようとしている。
【0007】
ところで、衣類を乾燥させるのに、好適な赤外線波長は、ある程度決まっている。また、赤外線を放射させる部材(以下、「放射部材」という)から、所定波長で赤外線を放射させるためには、ウィーンの変位則等から、前記放射部材を、所定温度で加熱することが必要である。そのため、前記放射部材を、上下幅の少ない温度で加熱することが望ましい。
【0008】
しかし、上記特許文献1の衣類乾燥機における加熱空気は、乾燥工程において、その温度が上昇したり低下したりすることがある。そのため、遠赤外線発生部に、上下幅の少ない安定した温度の加熱空気を供給しにくく、遠赤外線発生部から所定波長の赤外線を安定させて放射させることは難しい。
【0009】
したがって、本発明の目的は、赤外線放射材から所定波長の赤外線を安定して放射させることができる、衣類乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、乾燥室内に収容した衣類を乾燥させる衣類乾燥装置であって、前記乾燥室内に供給される空気を加熱する第1熱源と、前記乾燥室内に、前記第1熱源で加熱された空気を供給する給気通路と、前記乾燥室内から、乾燥に利用された後の空気を排出する排気通路と、前記給気通路及び前記排気通路を通じて、前記乾燥室の内側と外側との間で空気を流通させる送風装置と、前記乾燥室の内側面の少なくとも一部の範囲に設けられ、加熱されることで赤外線を放射する赤外線放射材と、前記乾燥室の内側面の、前記赤外線放射材が設けられた前記一部の範囲を、前記乾燥室の外側面から加熱する、前記第1熱源に対して独立し且つ前記第1熱源とは異なる第2熱源と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、乾燥室の内側面の、赤外線放射材が設けられた一部の範囲を、乾燥室の外側面から加熱する、第1熱源に対して独立且つ第1熱源とは異なる第2熱源を有しているので、乾燥室内に供給される空気の温度が、乾燥工程で変化しても、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源が、赤外線放射材を加熱するため、赤外線放射材を安定して加熱することができる。その結果、赤外線放射材から赤外線を安定して放射させることができる。
【0012】
本発明に係る衣類乾燥装置においては、前記第2熱源は電熱ヒータであり、該電熱ヒータは、前記給気通路及び前記排気通路を流通する空気に接触しないように配置されていてもよい。
【0013】
上記態様によれば、電熱ヒータが、給気通路及び排気通路を流通する空気によって、冷却されることを防止することができるので、赤外線放射材を効率よく加熱することができる。
【0014】
本発明に係る衣類乾燥装置においては、前記電熱ヒータは、前記乾燥室の外側面に接触するように配置されていてもよい。
【0015】
上記態様によれば、電熱ヒータは、乾燥室の外側面に接触するように配置されているので、赤外線放射材と電熱ヒータとの距離をできる限り近づけることができ、赤外線放射材を、より一層効率よく加熱することができる。
【0016】
本発明に係る衣類乾燥装置においては、前記乾燥室の外側面の、前記電熱ヒータが接触する範囲は、前記赤外線放射材が設けられた範囲よりも狭く設定されていてもよい。
【0017】
上記態様によれば、乾燥室の外側面の、電熱ヒータが接触する範囲は、赤外線放射材が設けられた範囲よりも狭く設定されているので、乾燥室の内側面における、赤外線放射材が設けられていない箇所を無駄に加熱することが防止されて、第2熱源による、赤外線放射材に対する加熱効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1熱源により加熱され給気通路を通じて乾燥室内に供給される空気の温度が、乾燥工程で変化しても、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源が、赤外線放射材を加熱するため、赤外線放射材を安定して加熱することができるので、赤外線放射材から赤外線を安定して放射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る衣類乾燥装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】同衣類乾燥装置の要部拡大分解斜視図である。
【
図4】同衣類乾燥装置において、本体ケースの開閉体等を外した状態の正面図である。
【
図5】同衣類乾燥装置において、本体ケースの背面壁等を外した状態の背面図である。
【
図6】
図1のA-A矢視線における要部拡大断面図である。
【
図7】
図1のB-B矢視線における要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(衣類乾燥装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る衣類乾燥装置の、一実施形態について説明する。
【0021】
図1に示す衣類乾燥装置10は、
図2に示すように乾燥室35内に収容した衣類Wを乾燥させるものである。なお、本発明における「衣類」とは、いわゆる洗濯物であってタオルやシーツ等も含むものである。
【0022】
また、この衣類乾燥装置10は、乾燥室35内に供給される空気を加熱する第1熱源(後述のガスバーナを意味する)と、乾燥室35内に、第1熱源で加熱された空気を供給する給気通路と、乾燥室35内から、乾燥に利用された後の空気を排出する排気通路と、前記給気通路及び前記排気通路を通じて、乾燥室35の内側と外側との間で空気を流通させる送風装置(
図6,7に示す送風ファン43を意味する)とを有している。
【0023】
図1に示すように、この実施形態の衣類乾燥装置10は、本体ケース20を有している。
【0024】
この本体ケース20は、底壁21と、該底壁21の両側から立設した一対の側壁22,22と、正面側に配置された正面壁23と、背面側に配置された背面壁24と、底壁21に対向配置された天井壁25とから構成されている。
【0025】
更に天井壁25の所定箇所には、乾燥に利用された後の空気を乾燥室35(
図2参照)から排気するための、排気口27が形成されている。この排気口27には、図示しない排気筒が接続される。また、正面壁23には、開閉体26が開閉可能に取付けられており、乾燥室35内に衣類Wを投入可能となっている。
【0026】
上記本体ケース20内には、回転ドラム30が回転可能に配置されている。この回転ドラム30は略円筒状をなしており、その回転軸心が水平方向となる姿勢で設けられている。この回転ドラム30の内部空間が、乾燥室35をなしている。
【0027】
また、回転ドラム30は、軸方向の一端側の開口が本体ケース20の正面壁23に向けられ、軸方向の他端側の開口が本体ケース20の背面壁24側に向けられて配置されている。
【0028】
更に、回転ドラム30の内周面には、後述する赤外線放射材87によって、乾燥室35内に放射される赤外線を反射させやすくするために、高反射塗料が塗布されている。
【0029】
また、
図2に示すように、本体ケース20の底壁21側には、排気通路の一部を形成するための、排気通路形成ダクト40が配置されている。
【0030】
具体的には、本体ケース20の底壁21と、回転ドラム30の径方向下方における外周面との間に、本体ケース20の正面壁23側から背面壁24側に向けて略水平に延びる、排気通路形成ダクト40が配置されている。なお、排気通路形成ダクト40は、正面壁23側の所定部分が開口しており、乾燥室35の内部空間と連通している。
【0031】
また、本体ケース20の背面壁24側には、本体ケース20の鉛直方向に沿って延びる、排気通路形成ケース41が配置されている。この排気通路形成ケース41の下方部分は、排気通路形成ダクト40の内部空間と連通している。
【0032】
更に、上記排気通路形成ケース41よりも、本体ケース20の背面壁24側には、本体ケース20の鉛直方向に沿って延びる、ファンケース42が配置されている。このファンケース42内には、送風ファン43が支軸44を介して回転可能に支持されている。支軸44は、その軸方向が水平向きとなっており、回転ドラム30の軸心と一致している。
【0033】
また、ファンケース42は、その正面側中央部が開口しており、上記排気通路形成ケース41の内部空間と連通している。また、ファンケース42の上方一部は、排気口接続部材45を介して、排気口27と連通している。
【0034】
更に、本体ケース20内には、回転ドラム30及び送風ファン43を回転動作させるための、モータ50が設置されている。
【0035】
このモータ50は、第1駆動軸51と第2駆動軸52とを有している。第1駆動軸51は、伝動ベルト53を介して、送風ファン43の支軸44の軸方向一端部に連結されている。また、第2駆動軸52は、図示しない伝動ベルトを介して、回転ドラム30に連結されている。
【0036】
したがって、モータ50が駆動すると、回転ドラム30が所定方向に回転すると共に、支軸44を介して送風ファン43が回転するようになっている。
【0037】
また、送風ファン43は、その回転によって、回転ドラム30内の空気を排気すると共に、回転ドラム30内に空気を引き込む気流を発生させる(
図2の矢印参照)。
【0038】
すなわち、乾燥室35内の空気が、排気通路形成ダクト40、排気通路形成ケース41、ファンケース42、排気口接続部材45を通過して、排気口27から、本体ケース20の外部へと排気される(乾燥に利用された後の空気が、ケース外部に排出される)。つまり、本発明における「排気通路」は、排気通路形成ダクト40、排気通路形成ケース41、ファンケース42、排気口接続部材45における、それぞれの内部空間からなる。
【0039】
更に、送風ファン43の回転動作によって、給気通路を通じて加熱された空気も、回転ドラム30内に引き込まれることになる(これについては後述する)。
【0040】
また、
図3に示すように、本体ケース20内であって、前記排気通路形成ケース41よりも、本体ケース20の正面壁23側には、回転ドラム30を支持するための、ドラム支持部材60が配置されている。
【0041】
このドラム支持部材60は、長板状をなした本体61と、該本体61の幅方向両側に折曲形成された、一対の固定片62,62とを有している。そして、一対の固定片62,62が、本体ケース20の一対の側壁22,22に固定されることで、本体ケース20にドラム支持部材60が固定される。
【0042】
また、ドラム支持部材60の本体61は、円形状をなすと共に、その径方向中心に支軸挿通孔63aが形成された、円形支持部63を有している。
【0043】
更に、円形支持部63の、支軸挿通孔63aの外周部分には、複数の切欠き部64が形成されている。この実施形態の場合、
図3に示すように、円形支持部63の左半分側に、略扇状や矩形状等をなした大小様々なサイズの、切欠き部64が複数形成されている。
【0044】
また、
図3に示すように、ドラム支持部材60の背面側には、燃焼室70及び給気通路形成ダクト73が配置されている。
【0045】
図2,6,7を併せて参照すると、ドラム支持部材60の背面側であって、排気通路形成ケース41の上方に、燃焼室70が配置されている。この燃焼室70は、正面側及び背面側に、複数の空気流通溝71が形成されており(
図3,5参照)、燃焼室周囲の空気を燃焼室70内に取り入れ可能となっている。
【0046】
また、燃焼室70の幅方向一側部に、ガスバーナ収容室72が連設されており、該ガスバーナ収容室72内に、図示しないガスバーナが収容配置されている。そして、ガスバーナから燃焼室70内に向けてガスが噴射されることで、燃焼室70内の空気が加熱される。
【0047】
一方、給気通路形成ダクト73は、全体として半円弧状をなすように延びる、薄肉箱状のダクトとなっている。より具体的には、この給気通路形成ダクト73は、略半円弧形状に延びる背面板74と、該背面板74の正面側に対向配置された正面フレーム75とからなる。
【0048】
また、背面板74の延出方向基端部に、前記燃焼室70の幅方向一側部の正面側が連結されている。更に、背面板74の延出方向基端部には、空気流入口76が形成されている。この空気流入口76を介して、給気通路形成ダクト73の内部空間と燃焼室70の内部空間とが連通している。
【0049】
また、正面フレーム75には、2つの空気流出口77,77が形成されている。これらの2つの空気流出口77,77は、ドラム支持部材60に形成した複数の切欠き部64に適合する位置となっている。
【0050】
そして、燃焼室70内で加熱された空気は、空気流入口76から、給気通路形成ダクト73内に流入し、複数の空気流出口77,77から流出して、ドラム支持部材60の複数の切欠き部64を通過するようになっている。
【0051】
なお、以上説明した給気通路形成ダクトとしては、上記のように全体として略半円弧状に延びる形状のみならず、例えば、略半円弧状に延びる部分が線対象に配置された、全体として馬蹄形のような形状等としてもよく、特に限定はされない。この場合、ドラム支持部材や加熱空気吹出部材等は、給気通路形成ダクトに適合する形状であることが好ましい。
【0052】
また、
図3に示すように、回転ドラム30の背面側であって、且つ、ドラム支持部材60の正面側には、回転ドラム30の軸方向他端側の開口を覆うように配置される、加熱空気吹出部材80が設けられている。
【0053】
図3及び
図4に示すように、加熱空気吹出部材80は略円形板状をなしており、その径方向中央部に、ドラム支持部材60を構成する本体61の円形支持部63に支持される、支持部81が設けられている。
【0054】
また、支持部81の径方向外側部分には、加熱空気吹出部82が、一定範囲で設けられている。
【0055】
この実施形態の場合、
図4に示すように、加熱空気吹出部材80を正面方向から見て、回転ドラム30の軸心Cの位置を原点とし、原点を通る水平線X及び垂直線Yで区分けしたとき、第2象限の周方向中央から、第3象限の、第4象限よりもやや手前に至る範囲で、加熱空気吹出部82が設けられている。また、加熱空気吹出部82は、小径の円形孔83が複数形成された、メッシュ穴状をなしている。
【0056】
更に、加熱空気吹出部材80の内面85(厚さ方向の一端面)は、乾燥室35に向けて配置されている。この内面85が、乾燥室35の内側面をなしている。また、加熱空気吹出部材80の外面86(厚さ方向の他端面)が、乾燥室35の外側面をなしている。
【0057】
更に
図4に示すように、加熱空気吹出部材80の、支持部81の径方向外側部分であって、前記加熱空気吹出部82以外の部分からは、加熱空気吹出部材80の径方向中心に対して放射状に延び、且つ、所定高さで隆起した隆起部84が複数延設されている。
【0058】
ところで、この衣類乾燥装置10においては、上述したように、モータ50が駆動して、送風ファン43が回転すると、回転ドラム30内に空気を引き込む気流を発生させるようになっている。
【0059】
そのため、燃焼室70内において、ガスバーナで加熱された空気(以下、単に「加熱空気」ともいう)は、空気流入口76から給気通路形成ダクト73内に流入し、空気流出口77から排出され、ドラム支持部材60の切欠き部64を通過して、加熱空気吹出部材80へと供給される。その後、加熱空気は、加熱空気吹出部82を通過して、乾燥室35内へと供給される(流入される)ようになっている。
【0060】
つまり、本発明における「給気通路」は、燃焼室70の内部空間、空気流入口76、給気通路形成ダクト73の内部空間、空気流出口77、ドラム支持部材60の切欠き部64、加熱空気吹出部82からなる。
【0061】
そして、この衣類乾燥装置10は、加熱されることで赤外線を放射する赤外線放射材87が、乾燥室35の内側面(加熱空気吹出部材80の内面85)の少なくとも一部の範囲に設けられている。
【0062】
この実施形態では、加熱空気吹出部材80の内面85の、加熱空気吹出部82を含む全範囲に、赤外線放射材87が設けられている。また、赤外線放射材87は、加熱空気吹出部材80の内面において、少なくとも第2熱源(電熱ヒータ88)が設けられた範囲に、適合する範囲に設けられている。
【0063】
更に、この実施形態における赤外線放射材87は、加熱空気吹出部材80の内面85に、赤外線を放射可能な材料を含む、塗料(高波長の遠赤外線を放射可能な塗料が好ましい)を塗布されることで設けられている。すなわち、赤外線放射材は、塗料を含む概念である。
【0064】
なお、加熱空気吹出部材80の内面85には、例えば、加熱されることで赤外線を放射可能なヒータやシート等を、接着剤や接着テープ、固定具等を介して、接着したり固着したりしてもよい。この場合、上記のヒータやシート等が、本発明における「赤外線放射材」をなす。
【0065】
また、この衣類乾燥装置10は、乾燥室35の内側面(加熱空気吹出部材80の内面85)の、赤外線放射材87が設けられた前記一部の範囲を、乾燥室35の外側面(加熱空気吹出部材80の外面86)から加熱する、第1熱源(ガスバーナ)に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源を有している。
【0066】
この実施形態の場合、上記第2熱源は、図示しない電源から供給される電気によって加熱される、電熱ヒータ88となっている。また、
図3に示すように、この実施形態における電熱ヒータ88は、薄肉板状をなし略扇状に延びる、シリコンラバーヒータとなっている。更に、シリコンラバーヒータは、厚さ方向一端面が、接着剤や接着テープ等を介して、加熱空気吹出部材80の外面86に接触するように固着されている。
【0067】
そして、図示しない電源から電気が供給されて、電熱ヒータ88が加熱されると、加熱空気吹出部材80の外面86から内面85へと、電熱ヒータ88の熱が伝わる。この熱が、加熱空気吹出部材80の内面85に設けた赤外線放射材87へと伝わることで、赤外線放射材87が加熱されて、所定波長の赤外線が乾燥室35内へ放射されることになる。
【0068】
なお、第2熱源としては、例えば、シーズヒータや、フィルムヒータ、面状ヒータ等であってもよく、乾燥室35を外側面から加熱可能で、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なるものであれば、特に限定はされない。
【0069】
また、本発明において、第2熱源が、「第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる」とは、第1熱源とは空気を加熱する際の加熱手段が異なると共に(本実施形態では第1熱源はガス、第2熱源は電気)、第1熱源に対して離間し、且つ、第1熱源とは異なる位置やレイアウトであることを意味する。
【0070】
なお、加熱空気吹出部材80は、第2熱源から、赤外線放射材87への熱の伝わりやすさを考慮して、銅や銅合金等の熱伝導率の高い材料で形成されることが好ましい。
【0071】
更に
図3に示すように、電熱ヒータ88は、加熱空気吹出部材80の外面86であって、前記加熱空気吹出部82に対して、概ね径方向に対向する箇所に配置されている。
【0072】
より具体的には、
図4に示すように、加熱空気吹出部材80を正面方向から見て、回転ドラム30の軸心Cの位置を原点とし、原点を通る水平線X及び垂直線Yで区分けしたとき、第1象限の周方向中央付近に位置する隆起部84と、第4象限の周方向中央付近に位置する隆起部84との間の範囲に、電熱ヒータ88が配置されている。
【0073】
また、電熱ヒータ88は、給気通路及び排気通路を流通する空気に接触しないように配置されている。
【0074】
すなわち、
図2に示すように、電熱ヒータ88は、給気通路(給気通路形成ダクト73の内部空間等)、及び、排気通路(排気通路形成ダクト40や排気通路形成ケース41等)に対して離間した位置に設けられており、両通路を流通する空気に接触することはない構成となっている。
【0075】
更に、電熱ヒータ88は、乾燥室35の外側面に接触するように配置されている。すなわち、
図2や
図7に示すように、電熱ヒータ88は、乾燥室35の外側面をなす加熱空気吹出部材80の外面86に接触するように配置されている。
【0076】
また、乾燥室35の外側面の、電熱ヒータ88が接触する範囲は、赤外線放射材87が設けられた範囲よりも狭く設定されている。
【0077】
この実施形態の場合、前述したように、赤外線放射材87は、乾燥室35の内側面をなす加熱空気吹出部材80の内面85の全範囲に設けられているのに対し、電熱ヒータ88は、乾燥室35の外側面をなす加熱空気吹出部材80の外面86の一定範囲にのみ接触する構成となっている(
図4参照)。
【0078】
(作用効果)
次に、上記構成からなる衣類乾燥装置10の作用効果について説明する。
【0079】
衣類乾燥装置10を利用する際には、乾燥室35内に衣類Wを投入した後、衣類乾燥装置10を起動する。すると、モータ50が駆動して、回転ドラム30が回転する。また、送風ファン43が回転して、回転ドラム30内の空気を、排気通路を介して排気すると共に、給気通路を介して回転ドラム30内に空気を引き込む気流が発生する。更に、第1熱源であるガスバーナが動作すると共に、第2熱源である電熱ヒータ88が動作する。
【0080】
そして、燃焼室70内において、ガスバーナで加熱された空気は、空気流入口76から給気通路形成ダクト73内に流入し、空気流出口77から排出され、ドラム支持部材60の切欠き部64を通過して、加熱空気吹出部材80へと供給される。
【0081】
すると、加熱空気は、加熱空気吹出部82を通過して、乾燥室35内へと供給される。また、電熱ヒータ88の熱が、加熱空気吹出部材80の外面86から内面85に伝わることで、赤外線放射材87が加熱されて、所定波長の赤外線が乾燥室35内へ放射される。その結果、乾燥室35内の衣類Wが乾燥される。
【0082】
そして、この衣類乾燥装置10においては、乾燥室35の内側面の、赤外線放射材87が設けられた一部の範囲を、乾燥室35の外側面から加熱する、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源を有している。
【0083】
そのため、第1熱源により加熱され給気通路を通じて乾燥室35内に供給される加熱空気の温度が、乾燥工程で変化しても、第1熱源に対して独立し且つ第1熱源とは異なる第2熱源が、赤外線放射材87を加熱するため、赤外線放射材87を安定して加熱することができる。
【0084】
すなわち、第1熱源は、給気通路を流通する空気を加熱するものであり、赤外線放射材87を直接的に加熱することはできない。これに対して、第2熱源は、赤外線放射材87を加熱する目的で設けられたものであって、第1熱源とは異なるルートで、赤外線放射材87を直接的に加熱することができる。そのため、赤外線放射材87を安定して加熱することが可能となる。
【0085】
以上の理由から、赤外線放射材87から赤外線を安定して放射させることができるので、乾燥室35内の衣類Wを効率よく乾燥することができる。
【0086】
ところで、回転ドラム30の軸方向一端側の開口を覆うように配置された、加熱空気吹出部材80の内面85(乾燥室35の内側面)は、衣類Wが張り付きにくく、また、乾燥室35内で最も温度が高くなりやすい部分となっている。更に、回転ドラム30の内周面には、乾燥室35内に放射される赤外線を反射させやすくする、高反射塗料が塗布されている。
【0087】
上記のような加熱空気吹出部材80の内面85に、赤外線放射材87を設けると共に、回転ドラム30の内周面に高反射塗料が塗布されているので、衣類Wの乾燥効率を向上させることができる。
【0088】
また、この実施形態の場合、第2熱源は電熱ヒータ88であり、該電熱ヒータ88は、給気通路及び排気通路を流通する空気に接触しないように配置されている。
【0089】
上記態様によれば、電熱ヒータ88が、給気通路及び排気通路を流通する空気によって、冷却されることを防止することができるので、赤外線放射材87を効率よく加熱することができる。
【0090】
更に、この実施形態の場合、電熱ヒータ88は、乾燥室35の外側面(加熱空気吹出部材80の外面86)に接触するように配置されている。
【0091】
上記態様によれば、電熱ヒータ88は、乾燥室35の外側面に接触するように配置されているので、赤外線放射材87と電熱ヒータ88との距離をできる限り近づけることができ、赤外線放射材87を、より一層効率よく加熱することができる。
【0092】
また、この実施形態の場合、乾燥室35の外側面の、電熱ヒータ88が接触する範囲は、赤外線放射材87が設けられた範囲よりも狭く設定されている。
【0093】
上記態様によれば、乾燥室35の外側面の、電熱ヒータ88が接触する範囲は、赤外線放射材87が設けられた範囲よりも狭く設定されているので、乾燥室35の内側面(加熱空気吹出部材80の内面85)における、赤外線放射材87が設けられていない箇所を無駄に加熱することが防止されて、第2熱源による、赤外線放射材87に対する加熱効率を高めることができる。
【0094】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10・・・衣類乾燥装置、20・・・本体ケース、30・・・回転ドラム、35・・・乾燥室、40・・・排気通路形成ダクト、50・・・モータ、60・・・ドラム支持部材、70・・・燃焼室、80・・・加熱空気吹出部材、87・・・赤外線放射材、88・・・電熱ヒータ