(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062681
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】車両用アシストグリップ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/02 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B60N3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170686
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 良祐
(72)【発明者】
【氏名】河口 大生
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088DA06
3B088DB01
(57)【要約】
【課題】組付け作業性に優れた車両用アシストグリップを提供する。
【解決手段】車両に取付けられる車両用アシストグリップ10は、グリップ部11と、グリップ部11の両端側に設けられた取付部20と、を備え、取付部20には、締結孔21aを有する取付座21と、取付座21にインテグラルヒンジ25を介して回動可能に連結されており取付座21を覆う閉位置P1で係止されるキャップと26と、キャップ26が閉位置P1に至るまでの回動動作をガイドするキャップガイド29と、が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取付けられる車両用アシストグリップであって、
グリップ部と、
上記グリップ部の両端側に設けられた取付部と、
を備え、
上記取付部には、取付座と、上記取付座にインテグラルヒンジを介して回動可能に連結されており上記取付座を覆う閉位置で係止されるキャップと、上記キャップが上記閉位置に至るまでの回動動作をガイドするキャップガイドと、が設けられている、車両用アシストグリップ。
【請求項2】
上記キャップガイドは、上記取付座から立設する立設壁に設けられたガイド凸部を有し、上記ガイド凸部は、上記キャップが上記閉位置に向けて回動するときに上記キャップの側壁部と摺動するように構成されている、請求項1に記載の車両用アシストグリップ。
【請求項3】
上記立設壁には、第1係合部と、上記第1係合部よりも上記インテグラルヒンジに近い位置にある第2係合部と、が設けられ、
上記キャップには、上記閉位置で上記第1係合部と係合する第1被係合部と、上記閉位置で上記第2係合部と係合する第2被係合部と、が設けられている、請求項2に記載の車両用アシストグリップ。
【請求項4】
内装材の取付面に折り畳み状態のカーテンエアバッグに対向して取り付けられるものであり、
上記取付部は、上記キャップが上記閉位置にあるとき上記キャップのうち上記インテグラルヒンジを除く部位と上記取付面との間に上記取付座が介在するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用アシストグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取付けられる車両用アシストグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用アシストグリップが開示されている。このアシストグリップは、グリップ部の両端側の取付部において車両に取り付けられている。取付部には、締結孔を有する取付座にフィルム状ヒンジを介して一体成形された蓋が設けられている。このような薄肉のフィルム状ヒンジは、一般的に「インテグラルヒンジ」と称される。この取付部において、蓋の内壁面には係合爪が設けられており、取付座に立設された立設壁には係合爪と嵌合可能な係合溝が設けられている。
【0003】
上記構成のアシストグリップによれば、ユーザによる蓋の回動操作によって、蓋を取付座が被覆された閉位置に設定することができる。そして、蓋は係合爪と係合溝との嵌合によって閉位置で係止される。アシストグリップを車両に取付けるときには、先ず蓋を開いた状態で取付座の締結孔に締結部材の軸部を挿入して車体に固定する。その後、蓋を閉位置まで回動させて取付座に組付ける組付け作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のアシストグリップは、蓋と取付座をインテグラルヒンジによって連結することで取付部の構造を簡素化できるという利点を有する。ところが、このようなアシストグリップは、インテグラルヒンジが薄肉部である構造上、蓋の回動中心が安定し難いという問題を抱えている。このため、蓋を閉位置に向けて回動させる閉方向の回動動作が不安定になる。その結果、蓋の閉位置付近で係合爪と係合溝が嵌合し難くなり、組付け時のバラツキによって蓋を閉位置で係止するのに手間がかかる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、組付け作業性に優れた車両用アシストグリップを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
車両に取付けられる車両用アシストグリップであって、
グリップ部と、
上記グリップ部の両端側に設けられた取付部と、
を備え、
上記取付部には、取付座と、上記取付座にインテグラルヒンジを介して回動可能に連結されており上記取付座を覆う閉位置で係止されるキャップと、上記キャップが上記閉位置に至るまでの回動動作をガイドするキャップガイドと、が設けられている、車両用アシストグリップ、
にある。
【発明の効果】
【0008】
上述の態様の車両用アシストグリップにおいて、グリップ部の両端側の取付部に設けられたキャップは、取付座にインテグラルヒンジを介して回動可能に連結されており、取付座を覆う閉位置で係止される。乗員はキャップを把持して開位置から閉位置まで回動させることによってキャップの組付けを行うことができる。このとき、取付部に設けられたキャップガイドは、キャップが閉位置に至るまでの回動動作をガイドする機能を果たす。このキャップガイドによれば、回動中心が安定し難いインテグラルヒンジが使用されたキャップであっても、キャップの組付けが完了するまでの閉方向の回動動作を安定させることができる。
【0009】
上述の態様によれば、組付け作業性に優れた車両用アシストグリップを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1にかかるルーフサイド構造を車内側からみた側面図。
【
図2】実施形態1の車両用アシストグリップの斜視図。
【
図4】実施形態1の車両用アシストグリップの
図2中のA領域をキャップが開位置にある状態にて示す斜視図。
【
図5】
図4中のキャップを矢印D1方向からみた図。
【
図7】
図3においてカーテンエアバッグの膨張展開時の様子を示す断面図。
【
図8】実施形態2の車両用アシストグリップについて
図4に対応した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上述の態様の車両用アシストグリップにおいて、上記キャップガイドは、上記取付座から立設する立設壁に設けられたガイド凸部を有し、上記ガイド凸部は、上記キャップが上記閉位置に向けて回動するときに上記キャップの側壁部と摺動するように構成されているのが好ましい。
【0013】
この車両用アシストグリップによれば、取付座から立設する立設壁に設けられたガイド凸部が、閉位置に向けて回動するキャップの側壁部と摺動することを利用して、キャップの閉方向の回動動作がガイドされる。このようなガイド凸部を用いてキャップガイドを構築することでキャップガイドの構造を簡素化することができる。
【0014】
上述の態様の車両用アシストグリップにおいて、上記立設壁には、第1係合部と、上記第1係合部よりも上記インテグラルヒンジに近い位置にある第2係合部と、が設けられ、上記キャップには、上記閉位置で上記第1係合部と係合する第1被係合部と、上記閉位置で上記第2係合部と係合する第2被係合部と、が設けられているのが好ましい。
【0015】
この車両用アシストグリップによれば、キャップの第1被係合部と立設壁の第1係合部とが係合し、且つ、キャップの第2被係合部と立設壁の第2係合部とが第1被係合部及び第1係合部よりもインテグラルヒンジに近い位置で係合することで、キャップが最終的に閉位置で係止される。ガイド凸部が設けられている立設壁に第1係合部及び第2係合部を設けることによって、取付座の構造を簡素化できる。また、キャップと取付座側の立設壁をインテグラルヒンジからの距離が異なる二箇所で少なくとも係合させることによって、キャップの閉位置における保持信頼性を高めることができる。
【0016】
上述の態様の車両用アシストグリップは、内装材の取付面に折り畳み状態のカーテンエアバッグに対向して取り付けられるものであり、上記取付部は、上記キャップが上記閉位置にあるとき上記キャップのうち上記インテグラルヒンジを除く部位と上記取付面との間に上記取付座が介在するように構成されているのが好ましい。
【0017】
この車両用アシストグリップによれば、キャップのうちインテグラルヒンジを除く部位が内装材の取付面に直に接触するのを防ぐことによって、キャップと取付面との接触面積を極力減らすことができる。これにより、カーテンエアバッグの膨張展開時に受ける荷重によってキャップが破損するのを抑制できる。
【0018】
以下、車両に取付けられる車両用アシストグリップの実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
なお、この説明で用いる図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示し、車両内方を矢印INで示している。また、特に断わらない限り、車両用アシストグリップの長手方向である第1方向を矢印Xで示し、その幅方向である第2方向を矢印Yで示し、その高さ方向である第3方向を矢印Zで示すものとする。
【0020】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1にかかるルーフサイド構造101は、車両1の左右のルーフサイド部2のそれぞれに設けられる。このルーフサイド構造101は左右で同一であるため、
図1では車両1の右側のルーフサイド構造101のみを例示している。
【0021】
ルーフサイド部2の内部空間2aは、内装材3によって車室5側から覆われている。内装材3は、いずれも合成樹脂材料からなるルーフヘッドライニング及びルーフガーニッシュによって構成されている。
【0022】
ルーフサイド構造101は、ルーフサイド部2の内部空間2aに予め折り畳まれた折り畳み状態C1に収容されるカーテンエアバッグ6と、車両1のルーフサイド部2に取付けられる車両用アシストグリップ(以下、単に「アシストグリップ」という。)10と、を備えている。アシストグリップ10は、具体的には、ルーフサイド部2のうち内装材3の取付面3aに折り畳み状態C1のカーテンエアバッグ6に対向して取り付けられる。
【0023】
1.カーテンエアバッグ6の構造
図1に示されるように、カーテンエアバッグ6は、折り畳み状態C1では、車両1の窓部4の上方領域にルーフサイド部2に沿って延びるように設けられている。カーテンエアバッグ6は、車両1の衝突時に作動するインフレータ(図示省略)からのガス供給によって車室5を上下方向Zの下向きにカーテン状に膨張展開する。ここでいう「膨張展開」とは、予め所定の形状に折り畳まれたカーテンエアバッグ6が膨張する過程で折り畳み状態を解除するように拡張する態様をいう。このカーテンエアバッグ6は、展開完了状態C2で車両1の側方の複数の窓部4を覆うように配置される。これにより、カーテンエアバッグ6は、乗員の頭部を保護する機能を果たす。
【0024】
図3に示されるように、カーテンエアバッグ6は、ケース7に保持された状態でルーフサイド部2の内部空間2aに収容されている。ケース7は、インナパネル8に固定されたブラケット9に取付けられている。
【0025】
2.アシストグリップ10の構造
図2に示されるように、実施形態1のアシストグリップ10は、第1方向X1を長手方向とし第2方向Yを幅方向とし第3方向Zを高さ方向とする部材である。このアシストグリップ10は、グリップ部11と、グリップ部11の第1方向X1の両端側に設けられた取付部20と、を備えている。
【0026】
グリップ部11は、2つの取付部20の間の中間部分であり、乗員が把持可能な把持領域となる。このため、乗員が乗降時にグリップ部11を把持することによって、当該乗員を支える機能、所謂「アシストグリップ機能」が発揮される。
【0027】
取付部20には、取付座21と、取付座21にインテグラルヒンジ25を介して回動可能に連結された蓋部としてのキャップ26と、が設けられている。インテグラルヒンジ25は、取付座21とキャップ26を連結する薄肉のフィルム状ヒンジである。取付座21とキャップ26は、インテグラルヒンジ25とともに一体状に樹脂成形されている。インテグラルヒンジ25を使用すれば、部品点数を減らすことができ取付座21とキャップ26の連結構造を簡素化することが可能になる。
【0028】
取付座21の第1方向Xの端部には、インテグラルヒンジ25を収容する凹部21cが設けられている。これにより、キャップ26が閉位置P1にあるときにインテグラルヒンジ25を凹部21cの内壁面によって第2方向Yの両側から隠すことができる。その結果、樹脂材料からなるインテグラルヒンジ25がその折り曲げによって白化状態となったときでも、白化した部位を取付座21の端部よって隠して目立ちにくくすることができ、キャップ26の外観上の見栄えが悪くなるのを防ぐことができる。
【0029】
取付部20は、キャップ26が閉位置P1にあるときキャップ26のうちインテグラルヒンジ25を除く部位と内装材3の取付面3aとの間に取付座21が介在するように構成されている。本構成の場合、キャップ26のうちインテグラルヒンジ25を除く部位である側壁部26bが取付面3aに直に接触することによって、キャップ26と取付面3aとの接触面積を極力減らすことができる。
【0030】
図3に示されるように、取付部20は、締結用のボルト部材30とナット部材31を使用してルーフサイド部2に締結固定されている。この締結固定のために、ボルト部材30の軸部30aは、取付座21に貫通状に設けられた締結孔21aを通じてルーフサイド部2の内部空間2aまで延出するように構成されている。一方で、インナパネル8のブラケット9には、ボルト部材30の軸部30aが螺合するナット部材31が固定されている。
【0031】
3.キャップ26の係止構造
図4に示されるように、キャップ26は、閉位置P1(二点鎖線で示される位置を参照)から開位置P2(実線で示される位置を参照)までの間でインテグラルヒンジ25を中心に回動可能に構成されている。キャップ26が閉位置P1にあるときには、取付座21の座面空間21bが覆われて閉鎖される。これに対して、キャップ26が開位置P2にあるときには、取付座21の座面空間21bが開放される。
【0032】
図4及び
図5に示されるように、キャップ26の内壁面26aには、第1被係合部としての一対の第1被係合爪27と、第2被係合部としての一対の第2被係合爪28と、が設けられている。第2被係合爪28は、第1被係合爪27よりもインテグラルヒンジ25に近い位置に配置されている。
【0033】
図4に示されるように、取付座21から立設壁22が締結孔21aを取り囲むように第3方向Zに立設している。この立設壁22には、第1係合部としての一対の第1係合爪23と、第2係合部としての一対の第2係合爪24と、が設けられている。一対の第1係合爪23は、第2方向Yに互いに向けて突出した爪形状をなしている。同様に、一対の第2係合爪24は、第2方向Yに互いに向けて突出した爪形状をなしている。第2係合爪24は、第1係合爪23よりもインテグラルヒンジ25に近い位置に配置されている。一対の第1係合爪23と一対の第2係合爪24は、締結孔21aを間に挟んでその両側に配置されている。
【0034】
図6に示されるように、取付部20は、キャップ26が閉位置P1まで回動したとき、その第1被係合爪27が取付座21側の第1係合爪23に係合して引っ掛かり、且つ、その第2被係合爪28が取付座21側の第2係合爪24に係合して引っ掛かるように構成されている。本構成によれば、キャップ26は、その閉位置P1において、取付座21側の立設壁22に対してインテグラルヒンジ25からの距離が異なる二箇所((第1被係合爪27と第1係合爪23、及び第2被係合爪28と第2係合爪24))で爪係合する。これにより、キャップ26は、閉位置P1で係止され保持されるようになっている。
【0035】
特に図示しないものの、キャップ26が閉位置P1に向けて回動するとき、第1被係合爪27が第1係合爪23に接触して押圧されて一時的に離間する方向に弾性変形した後、弾性変形前の状態に復帰することによって、最終的に第1係合爪23に引っ掛かる。同様に、キャップ26が閉位置P1に向けて回動するとき、第2被係合爪28が第2係合爪24に接触して押圧されて一時的に離間する方向に弾性変形した後、弾性変形前の状態に復帰することによって、最終的に第2係合爪24に引っ掛かる。
【0036】
なお、本形態では、相対的にインテグラルヒンジ25に近い位置にある第2被係合爪28が第2係合爪24に引っ掛かった後に、相対的にインテグラルヒンジ25から離れた位置にある第1被係合爪27が第1係合爪23に引っ掛かるような構造を採用することができる。このような構造によれば、第2被係合爪28と第2係合爪24との係合構造にキャップ26のガイド機能をも兼務させることができ、キャップ26が最終的に閉位置P1で係止されるまでの回動動作を安定させるのに効果がある。
【0037】
また、本形態では、立設壁22に第1被係合爪27及び第2被係合爪28を設ける構造に代えて、第1被係合爪27と第2被係合爪28の少なくとも一方を取付座21直に設けるような構造を採用してもよい。
【0038】
また、キャップ26を閉位置P1で係止するための構造については、
図6に示されるものに限定されるものではなく、必要に応じて、第1係合爪23、第2係合爪24、第1被係合爪27、第2被係合爪28のそれぞれの形状、数を適宜に変更可能である。例えば、キャップ26の第1被係合爪27を立設壁22の第1係合爪23が係合可能な係合溝(第1被係合部)に変更し、キャップ26の第2被係合爪28を立設壁22の第2係合爪24が係合可能な係合溝に変更した構造を採用することもできる。
【0039】
4.キャップ26のガイド構造
図4及び
図6に示されるように、立設壁22には、異なる三箇所にいずれも外側に向けて突出した複数のガイド凸部22a,22b,22cが設けられている。複数のガイド凸部22a,22b,22cはいずれも、キャップ26の回動方向に沿う方向である第3方向Zに直線状に延びている。ガイド凸部22aは、立設壁22のうち第1係合爪23の近傍領域に設けられている。ガイド凸部22cは、立設壁22のうち第2係合爪24の近傍領域に設けられている。ガイド凸部22bは、立設壁22のうちガイド凸部22aとガイド凸部22cとの間の中間領域に設けられている。
【0040】
図6に示されるように、複数のガイド凸部22a,22b,22cは、キャップ26がインテグラルヒンジ25を中心に閉位置P1に向けて回動するときにキャップ26の側壁部26bと摺動するように構成されている。このため、複数のガイド凸部22a,22b,22cは、キャップ26が閉位置P1に至るまでの回動動作をガイドするキャップガイド29としての機能を果たす。これにより、キャップ26が閉位置P1に至るまでの閉動作を安定させることができ、キャップ26の組付け作業性を向上させることができる。また、それに加えて、複数のガイド凸部22a,22b,22cは、立設壁22自体の厚みを増やすことによって立設壁22を補強する補強用リブとしての機能をも果たす。これにより、アシストグリップ10の剛性を高めることができる。
【0041】
なお、ガイド凸部22a,22b,22cの数、配置、形状は、
図4に示されるものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更可能である。例えば、第3方向Zに直線状に延びるガイド凸部22aに代えて、第3方向Zに間隔を空けて設けられた複数の突起からなるガイド凸部や、キャップ26の回動方向に曲線状に延びるガイド凸部などを採用してもよい。
【0042】
5.アシストグリップ10の取付け
図4に示されるように、アシストグリップ10を車両1に取付けるときには、先ずキャップ26を開いた状態で、取付座21の締結孔21aにボルト部材30の軸部30aを挿入してナット部材31と螺合させる。その後、キャップ26を開位置P2から閉位置P1までインテグラルヒンジ25を中心に閉方向に回動させて組付ける。このとき、前述のように、キャップ26が閉位置P1に至るまでの回動動作がキャップガイド29によってガイドされる。そして、キャップ26は、第1被係合爪27と第1係合爪23との係合、及び第2被係合爪28と第2係合爪24との係合によって、閉位置P1で係止される。これにより、キャップ26の組付けが完了する。
【0043】
6.カーテンエアバッグ6の膨張展開動作
図7に示されるように、カーテンエアバッグ6は、インフレータ(図示省略)の作動に伴って、折り畳み状態C1から展開完了状態C2(
図1を参照)に至るまで膨張展開する。このとき、内装材3は、カーテンエアバッグ6側から受ける荷重によって車室5側へ押し開かれる。これにより、内装材3による被覆が部分的に解除され、カーテンエアバッグ6が車室5に向けて突出可能な状態になる。
【0044】
本形態では、アシストグリップ10の取付部20がカーテンエアバッグ6側から荷重Fを受ける。このとき、取付部20の各部位のうち取付座21が内装材3の取付面3aから荷重Fによって直に押圧される。一方で、キャップ26の側壁部26bが内装材3の取付面3aから直に押圧されない。したがって、カーテンエアバッグ6の膨張展開時に受ける荷重によってキャップ26が破損するのを抑制できる。
【0045】
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0046】
実施形態1のアシストグリップ10において、グリップ部11の両端側の取付部20に設けられたキャップ26は、取付座21にインテグラルヒンジ25を介して回動可能に連結されており、取付座21を覆う閉位置P1で係止される。乗員はキャップ26を把持してイ開位置P2から閉位置P1まで回動させることによってキャップ26の組付けを行うことができる。このとき、取付部20に設けられたキャップガイド29(ガイド凸部22a,22b,22c)は、キャップ26が閉位置P1に至るまでの回動動作をガイドする機能を果たす。このキャップガイド29によれば、回動中心が安定し難いインテグラルヒンジ25が使用されたキャップ26であっても、キャップ26の組付けが完了するまでの閉方向の回動動作を安定させることができる。
【0047】
したがって、上述の実施形態1によれば、組付け作業性に優れたアシストグリップ10を提供することが可能になる。
【0048】
実施形態1のアシストグリップ10によれば、取付座21から立設する立設壁22に設けられたガイド凸部22a,22b,22cが、閉位置P1に向けて回動するキャップ26の側壁部26bと摺動することを利用して、キャップ26の閉方向の回動動作がガイドされる。このようなガイド凸部22a,22b,22cを用いてキャップガイド29を構築することによってキャップガイド29の構造を簡素化することができる。
【0049】
実施形態1のアシストグリップ10によれば、ガイド凸部22a,22b,22cが設けられている立設壁22に第1係合爪23及び第2係合爪24を設けることによって、取付座21の構造を簡素化できる。また、キャップ26と取付座21側の立設壁22をインテグラルヒンジ25からの距離が異なる二箇所(第1被係合爪27と第1係合爪23、及び第2被係合爪28と第2係合爪24)で係合させることによって、キャップ26の閉位置P1における保持信頼性を高めることができる。
【0050】
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、上述の実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0051】
(実施形態2)
図8に示されるように、実施形態2のアシストグリップ10Aは、キャップ26側の第2被係合爪28と、取付座21側の第2係合爪24及びガイド凸部22cと、が省略されている点で、実施形態1のアシストグリップ10と相違している。
【0052】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0053】
実施形態2のアシストグリップ10Aによれば、キャップ26及び取付座21のそれぞれの構造を簡素化できる。
【0054】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0055】
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0056】
上述の形態では、車両1のルーフサイド部2に取付けられるアシストグリップ10,10Aについて例示したが、このアシストグリップ10,10Aの構造を必要に応じて車両1のうちルーフサイド部2以外の箇所に取付けられるアシストグリップの構造に適用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
2 ルーフサイド部
6 カーテンエアバッグ
3 内装材
3a 取付面
10,10A アシストグリップ(車両用アシストグリップ)
11 グリップ部
20 取付部
21 取付座
21a 締結孔
22 立設壁
22a,22b,22c ガイド凸部(キャップガイド)
23 第1係合爪(第1係合部)
24 第2係合爪(第2係合部)
25 インテグラルヒンジ
26 キャップ
26b 側壁部
27 第1被係合爪(第1被係合部)
28 第2被係合爪(第2被係合部)
29 キャップガイド
C1 折り畳み状態
P1 閉位置