(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062687
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】接合構造体および接合構造体を含む建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/30 20060101AFI20240501BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E04B1/30 E
E04B1/58 508N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170699
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】笠原 貴喜
(72)【発明者】
【氏名】シング ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 仁
(72)【発明者】
【氏名】西塔 純人
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AC01
2E125AC14
2E125AC23
2E125AG03
2E125BB01
2E125BB22
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】木質梁の損傷を抑制可能な接合構造体を提供すること。
【解決手段】接合構造体は、木質梁と、木質梁の端部側に配置される梁端部と、木質梁の延伸方向において前記木質梁に挿入され、木質梁と梁端部とを固定治具によって接合する鋼棒と、木質梁に挿入された鋼棒の上に設けられる第1の補強板と、鋼棒を挟んで第1の補強板と対向する第2の補強板、を含む補強材と、を備える。補強材は、第1の補強板と第2の補強板を接続する第3の補強板をさらに含み、鋼棒は第3の補強板を貫通してもよい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質梁と、
前記木質梁の端部側に配置される梁端部と、
前記木質梁の延伸方向において前記木質梁に挿入され、前記木質梁と前記梁端部とを固定治具によって接合する鋼棒と、
前記木質梁に挿入された前記鋼棒の上に設けられる第1の補強板と、前記鋼棒を挟んで前記第1の補強板と対向する第2の補強板、を含む補強材と、
を備える接合構造体。
【請求項2】
前記補強材は、前記第1の補強板と前記第2の補強板を接続する第3の補強板をさらに含み、
前記鋼棒は前記第3の補強板を貫通する、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
前記鋼棒は複数配置され、
前記第3の補強板は複数の貫通孔を有し、
前記複数の鋼棒はそれぞれ前記複数の貫通孔を貫通する、請求項2に記載の接合構造体。
【請求項4】
前記第1の補強板の幅は、前記鋼棒の幅よりも大きい、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記梁端部は鉄骨構造であり、前記木質梁との接合面にエンドプレートを有し、
前記鋼棒は前記エンドプレートを貫通し、
前記エンドプレートと前記固定治具を介して、前記木質梁と前記梁端部とを接合する、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記梁端部は、前記エンドプレートと反対側において柱に連結し、
前記鋼棒は前記エンドプレートおよび前記柱を貫通し、
前記柱と前記固定治具を介して、前記木質梁と前記梁端部とを接合する、請求項5に記載の接合構造体。
【請求項7】
前記梁端部は鉄筋コンクリート構造であり、
前記固定治具は前記鉄筋コンクリート構造に埋め込まれ、
前記梁端部と前記固定治具を介して、前記木質梁と前記梁端部とを接合する、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項8】
前記梁端部は鉄筋コンクリート構造であり、前記木質梁と反対側において柱に連結し、
前記鋼棒は前記梁端部および前記柱を貫通し、
前記柱と前記固定治具を介して、前記木質梁と前記梁端部とを接合する、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項9】
前記鋼棒は前記木質梁を貫通する、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項10】
木質梁と、
前記木質梁の端部側に配置される梁端部と、
前記木質梁の延伸方向において前記木質梁に挿入され、前記木質梁と前記梁端部とを固定治具によって接合する鋼棒と、
前記木質梁に挿入された前記鋼棒の上に設けられる第1の補強板と、前記鋼棒を挟んで前記第1の補強板と対向する第2の補強板、を含む補強材と、
を備える接合構造体を含む建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、接合構造体および接合構造体を含む建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物における木材の接続方法には、例えば、木材に穴をあけ、そこに接合ロッドと接着剤を挿入・充填したGIR(Glued in Rod)接合がある。一方で、特許文献1には、木材にあらかじめT字状に突出する接合プレートを取り付けることによって、プレート挿入部に差し込みドリフトピンによる緊結によって木材を接合する、より現場施工が容易な方法が開示されている。しかしながら、木材に上からの力がかかると、接合ロッドや接合プレート等から木材にせん断力が伝達され、めり込むことによる木材の損傷が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、木質梁を含む接合構造体を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、木質梁の損傷を抑制可能な接合構造体を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、接合構造体は、木質梁と、木質梁の端部側に配置される梁端部と、木質梁の延伸方向において木質梁に挿入され、木質梁と梁端部とを固定治具によって接合する鋼棒と、木質梁に挿入された鋼棒の上に設けられる第1の補強板と、鋼棒を挟んで第1の補強板と対向する第2の補強板、を含む補強材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態の一つである構造体の模式的側面図。
【
図2A】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図2B】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図3】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図4】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図5】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図6A】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図6B】本発明の実施形態の一つである補強材の正面図。
【
図6C】本発明の実施形態の一つである補強材の側面図。
【
図7A】本発明の実施形態の一つである接合構造体の模式的断面図。
【
図7B】本発明の実施形態の一つである補強材の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0008】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。符号が付された要素の一部を表記する際には、符号に小文字のアルファベットが添えられる。同一または類似の構造を有する複数の要素をそれぞれ区別して表記する際には、符号の後にハイフンと自然数を付す。同一または類似の構造を有する複数の要素を纏めて表記する際には、符号のみを用いる。
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態の一つである構造体の構造について説明する。説明において使用する図面においては、便宜上、水平な地表面に平行な面をxy平面とし、xy平面に垂直な鉛直方向がz方向であるとして説明を行う。
【0010】
1.全体構造
構造体は鉛直方向(z方向)に延伸する複数の柱、一対の柱に連結され、水平方向(x方向またはy方向)に延伸する複数の梁、および梁の上に設けられる床スラブを基本的な構成として備える。梁は隣接する一対の柱と連結される。
【0011】
構造体に設けられる梁は、木質梁を含む。構造体に設けられる梁の全てが木質梁を含んでもよく、あるいは梁の一部が木質梁を含み、他の梁は鉄骨梁であってもよい。
【0012】
2.柱
一対の柱110とそれに連結される梁120の模式的側面図を
図1に示す。
図1では、床スラブは省略する。床スラブは梁120上に設けられる鉄筋コンクリートであり、公知の構造を採用することができるため、ここでの説明は割愛する。
【0013】
柱110の数は4以上であれば特に制約はなく、構造体の大きさや形状に応じ、その数や配置を適宜決定すればよい。柱110は図示されない杭や基礎梁と接続される。柱110の形状(xy平面における端面形状)も任意であり、四角形、円形、楕円形などから適宜選択すればよい。柱110の長さも構造体の大きさ、各階の高さに応じて適宜設計される。各柱110は、鉄筋ユニットとコンクリートを含む鉄筋コンクリート構造である。しかしながらこれに限定されず、各柱110は、鉄骨構造であってもよい。
【0014】
3.梁
図1に示すように、梁120は、木質梁121と、エンドプレート124を有する梁端部123と、木質梁121とエンドプレート124とを接合する鋼棒125と、を備える。木質梁121と梁端部123を含む接合構造体12の模式的断面図を
図2Aに示す。
図2Aの鎖線A-A´に沿った断面の模式図を
図2Bに示す。接合構造体12の構造を見やすくするため、
図2Aおよび
図2Bでは床スラブ150は点線で示す。
【0015】
木質梁121は木材を含み、その端面形状(木質梁121の延伸方向に垂直な端面)は任意に決定することができる。木質梁121の端面形状は、例えば円、楕円、四角形などの多角形でもよい。あるいは、木質梁121の端面形状の輪郭は複数の曲線と複数の直線で形成されていてもよい。また、木質梁121の断面形状は木質梁121の延伸方向において一定でもよく、木材の元の形状に起因して連続的に変化してもよい。木材の種類にも制約はなく、例えば檜、松、杉などの針葉樹に由来する木材でもよく、オーク、ブナ、ケヤキ、ウォールナット、チーク、マホガニーなどの広葉樹に由来する木材でもよい。また、木質梁121は、複数の板状木材が貼り合わされた合板で形成されてもよい。
【0016】
梁端部123は、柱110に垂直に連結される。梁端部123は鉄骨構造である。梁端部123の端面形状(梁端部123の延伸方向に垂直な端面)は任意に決定することができる。梁端部123の端面形状は、例えばH形、角形、円、山形、溝形、リップ溝形などであってもよい。また、梁端部123の断面形状は梁端部123の延伸方向において一定でもよい。
【0017】
梁端部123は、柱110とは反対側の端部にエンドプレート124を有する。エンドプレート124は平板形状で、梁端部123の端面を覆うように梁端部123の延伸方向に対して垂直に配置される。エンドプレート124は、梁端部123の端面より大きく、梁端部123との接合面を囲む周辺領域を有する。エンドプレート124の周辺領域は梁端部123との接合面から上下左右4方向(YZ面方向)に延在し、梁端部123の延伸方向に対して垂直な方向に突出する。しかしながらこれに限定されず、エンドプレート124は梁端部123と木質梁121の端面全体と木質梁121の延伸方向(X方向)で重なればよい。エンドプレート124は、溶接などによって梁端部123に接合される。
【0018】
図2Aおよび
図2Bに示すように、木質梁121の端部と、梁端部123の端部のエンドプレート124とは対向する。エンドプレート124の周辺領域には、木質梁121の延伸方向(X方向)で木質梁121と重なる位置に複数の貫通孔が配置される。木質梁121には、エンドプレート124の貫通孔と木質梁121の延伸方向(X方向)で重なる位置に孔が配置される。木質梁121の孔は、木質梁121の延伸方向(X方向)に延在する。木質梁121の孔の長さは、特に限定しない。木質梁121の孔は、木質梁121全体を貫通していてもよい。
【0019】
連続するエンドプレート124の貫通孔と木質梁121の孔には鋼棒125が配置される。鋼棒125は、木質梁121の端部から延伸方向(X方向)において木質梁121に挿入される。鋼棒125の長さは、特に限定しない。鋼棒125は、木質梁121の延伸方向(X方向)において木質梁121の反対側の端部まで延在していてもよい(点線)。この場合、鋼棒125は木質梁121の反対側の端部で接合構造体12を構成していてもよい。木質梁121の孔に木材よりヤング係数の大きい鋼棒125が挿入されることで、見かけの断面二次モーメントが上昇し、木質梁121のたわみを低減することができる。
【0020】
木質梁121の孔には補強材130が配置される。補強材130は、木質梁121と鋼棒125との間に配置される。補強材130は、木質梁121の端部から木質梁121の延伸方向(X方向)において木質梁121に挿入される第1の補強板131と第2の補強板132とを含む。第1の補強板131は、木質梁121に挿入された鋼棒125の上に配置される。第2の補強板132は、鋼棒125を挟んで第1の補強板131と対向する。第1の補強板131と第2の補強板132とは、鉛直方向(Z方向)に鋼棒125と重なる位置に配置される。第1の補強板131と第2の補強板132とは、木質梁121の孔の内側面に接して配置されることが好ましい。本実施形態において第1の補強板131と第2の補強板132とは対で示した。第1の補強板131と第2の補強板132の木質梁121の端面における水平方向(Y方向)の幅(Y方向における長さ)は、鋼棒125の幅(Y方向における長さ)よりも大きいことが好ましい。
【0021】
木質梁121の孔には接着剤127が充填される。接着剤127は、木質梁121と鋼棒125との間に配置される。接着剤127は、補強材130と鋼棒125との間にも配置される。鋼棒125は、木質梁121の孔の中で接着剤127によって木質梁121に固定される。
【0022】
鋼棒125は、木質梁121の端部から突出し、エンドプレート124を貫通する端部に雄ねじを含む。鋼棒125の端部の雄ねじには、雌ねじを含むナット(固定治具)126が螺合する。ナット126は、エンドプレート124を挟んで木質梁121と梁端部123とを接合する。木質梁121とエンドプレート124は接触している。しかしながらこれに限定されず、木質梁121とエンドプレート124は離間していてもよい。ナット126とエンドプレート124の間には、図示しないワッシャーを配置してもよい。鋼棒125は、エンドプレート124の梁端部123に干渉しない位置に複数配置される。
【0023】
図2Bには、接合構造体12に対して4個の鋼棒125を示したが、鋼棒125の数は任意に決定することができる。鋼棒125は、木質梁121に対して均等な間隔で配置されることが好ましい。
【0024】
木質梁121は、その両端部において、接合構造体12を介して梁端部123に平行に接合される。これにより、木質梁121は、柱110に固定される。床スラブ150は、木質梁121および梁端部123の上に配置される。エンドプレート124の一部は床スラブ150に埋め込まれてもよい。
【0025】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12は、鋼棒125を上下方向で挟む少なくとも一対の第1の補強板131と第2の補強板132とを含む補強材130が設けられる。このような構成を備えることで、接合構造体12は、木質梁121の端部に設けられた補強材130によって支圧が分散され、支圧の集中を抑制することができ、鋼棒125のめり込みを低減することができる。このため、木質梁121の支圧破壊が防止され、梁120は高いせん断耐力を示す。
【0026】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた鋼棒125が柱110aを貫通して固定される構造について説明する。第1実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0027】
木質梁121と梁端部123を含む接合構造体12aの模式的断面図を
図3に示す。接合構造体12aの構造を見やすくするため、
図3では床スラブ150は点線で示す。
【0028】
図3に示すように、木質梁121の端部と、梁端部123の端部のエンドプレート124とは対向する。エンドプレート124には、木質梁121の延伸方向(X方向)で木質梁121と重なる位置に複数の貫通孔が配置される。木質梁121には、木質梁121の延伸方向(X方向)でエンドプレート124の貫通孔と重なる位置に孔が配置される。柱110aには、梁端部123の延伸方向(X方向)でエンドプレート124の貫通孔および木質梁121の孔と重なる位置に貫通孔が配置される。
【0029】
柱110aの貫通孔とエンドプレート124の貫通孔と木質梁121の孔には鋼棒125が配置される。鋼棒125は、柱110aを貫通している。
【0030】
鋼棒125は、木質梁121の端部から突出し、エンドプレート124と柱110aを貫通する端部に雄ねじを含む。鋼棒125の端部の雄ねじには、雌ねじを含むナット(固定治具)126が螺合する。ナット126は、エンドプレート124と梁端部123を挟んで木質梁121と柱110aとを接合する。木質梁121とエンドプレート124は接触している。しかしながらこれに限定されず、木質梁121とエンドプレート124は離間していてもよい。鋼棒125は、エンドプレート124の梁端部123に干渉しない位置に複数配置される。エンドプレート124を設けることで、木質梁121の接触面におけるめり込みと、それに伴う破壊を防ぐことができる。
【0031】
木質梁121は、その両端部において、接合構造体12aを介して柱110aに垂直に接合される。床スラブ150は、木質梁121および梁端部123の上に配置される。エンドプレート124の一部は床スラブ150に埋め込まれてもよい。
【0032】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12aは、鋼棒125がエンドプレート124と柱110aを貫通して固定される。このような構成を備えることで接合構造体12aは、木質梁121と梁端部123と柱110aの接合をさらに確実にすることができる。
【0033】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた鋼棒125が梁端部123bに埋め込まれて固定される構造について説明する。第1実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0034】
木質梁121と梁端部123bを含む接合構造体12bの模式的断面図を
図4に示す。接合構造体12bの構造を見やすくするため、
図4では床スラブ150は点線で示す。
【0035】
本実施形態において梁端部123bは、鉄筋ユニットとコンクリートを含む鉄筋コンクリート構造である。梁端部123bの端面形状(梁端部123bの延伸方向に垂直な端面)は任意に決定することができる。梁端部123bの端面形状は、例えば四角形、円形、楕円形などであってもよい。また、梁端部123bの断面形状は梁端部123bの延伸方向において一定でもよい。
【0036】
図4に示すように、木質梁121の端部と、梁端部123bの端部とは対向する。梁端部123bには、木質梁121の延伸方向(X方向)で木質梁121と重なる位置に複数の孔が配置される。木質梁121には、木質梁121の延伸方向(X方向)で梁端部123bの孔と重なる位置に孔が配置される。連続する梁端部123bの孔と木質梁121の孔には鋼棒125が配置される。
【0037】
鋼棒125は、木質梁121の端部から突出し、梁端部123bの端部から延伸方向(X方向)において木質梁121に挿入される。鋼棒125の長さは、特に限定しない。鋼棒125の梁端部123b側の端部には定着金物(固定治具)126bが接合する。定着金物126bは、梁端部123bに埋め込まれる。鋼棒125と定着金物126bは、木質梁121と梁端部123bとを接合する。しかしながらこれに限定されず、定着金物126bはなくてもよい。木質梁121と梁端部123bは接触している。しかしながらこれに限定されず、木質梁121と梁端部123bは離間していてもよい。
【0038】
木質梁121は、その両端部において、接合構造体12bを介して梁端部123bに平行に接合される。床スラブ150は、木質梁121および梁端部123bの上に配置される。
【0039】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12bは、鋼棒125と定着金物126bが梁端部123bに埋め込まれて固定される。このような構成を備えることで接合構造体12bは、木質梁121と梁端部123bの接合をさらに確実にすることができる。
【0040】
<第4実施形態>
本実施形態では、第3実施形態で述べた鋼棒125が柱110cを貫通して固定される構造について説明する。第1実施形態および第3実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0041】
木質梁121と梁端部123cを含む接合構造体12cの模式的断面図を
図5に示す。接合構造体12cの構造を見やすくするため、
図5では床スラブ150は点線で示す。
【0042】
図5に示すように、木質梁121の端部と、梁端部123cの端部とは対向する。梁端部123cには、木質梁121の延伸方向(X方向)で木質梁121と重なる位置に複数の貫通孔が配置される。木質梁121には、木質梁121の延伸方向(X方向)で梁端部123cの孔と重なる位置に孔が配置される。柱110cには、梁端部123cの延伸方向(X方向)で梁端部123cの貫通孔および木質梁121の孔と重なる位置に貫通孔が配置される。
【0043】
柱110cの貫通孔と梁端部123cの貫通孔と木質梁121の孔には鋼棒125が配置される。鋼棒125は、柱110cを貫通している。
【0044】
鋼棒125は、木質梁121の端部から突出し、梁端部123cと柱110cを貫通する端部に雄ねじを含む。鋼棒125の端部の雄ねじには、雌ねじを含むナット(固定治具)126が螺合する。ナット126は、梁端部123cを挟んで木質梁121と柱110cとを接合する。木質梁121と梁端部123cは接触している。しかしながらこれに限定されず、木質梁121と梁端部123cは離間していてもよい。
【0045】
木質梁121は、その両端部において、接合構造体12cを介して梁端部123cに平行に接合される。床スラブ150は、木質梁121および梁端部123cの上に配置される。
【0046】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12cは、鋼棒125が梁端部123cと柱110cを貫通して固定される。このような構成を備えることで接合構造体12cは、木質梁121と梁端部123cの接合をさらに確実にすることができる。
【0047】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた補強材130と構造が異なる補強材130dについて説明する。第1実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0048】
木質梁121と梁端部123を含む接合構造体12の模式的断面図を
図6Aに示す。接合構造体12の構造を見やすくするため、
図6Aでは床スラブ150は点線で示す。補強材130dの正面図を
図6Bに示す。補強材130dの側面図を
図6Cに示す。
【0049】
木質梁121の孔には補強材130dが配置される。補強材130dは、木質梁121と鋼棒125との間に配置される。補強材130dは、木質梁121の端部から木質梁121の延伸方向(X方向)において木質梁121に挿入される第1の補強板131dと第2の補強板132dと、第1の補強板131dおよび第2の補強板132dを接続する第3の補強板133dを含む。第1の補強板131dは、木質梁121に挿入された鋼棒125の上に配置される。第2の補強板132dは、鋼棒125を挟んで第1の補強板131dと対向する。第3の補強板133dは、梁端部123の延伸方向に対して法線を有し、第1の補強板131dおよび第2の補強板132dを接続する。第3の補強板133dは、貫通孔を備える。第3の補強板133dの貫通孔には鋼棒125が配置される。鋼棒125は、第3の補強板133dの貫通孔の内側面に接して配置されることが好ましい。第1の補強板131dと第2の補強板132dと第3の補強板133dは、鉛直方向(Z方向)に鋼棒125と重なる位置に配置される。第1の補強板131dと第2の補強板132dとは、木質梁121の孔の内側面に接して配置されることが好ましい。第1の補強板131dと第2の補強板132dと第3の補強板133dの木質梁121の端面における水平方向(Y方向)の幅(Y方向における長さ)は、鋼棒125の幅(Y方向における長さ)よりも大きいことが好ましい。
【0050】
木質梁121の孔には接着剤(図示しない。)が充填される。接着剤は、木質梁121と鋼棒125との間に配置される。接着剤は、補強材130dと鋼棒125との間にも配置されてもよい。鋼棒125は、木質梁121の孔の中で接着剤によって木質梁121に固定される。
【0051】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12は、第1の補強板131dおよび第2の補強板132dを接続する第3の補強板133dを含む補強材130dが設けられる。このような構成を備えることで接合構造体12は、木質梁121の端部において補強材130dによって支圧が分散され、支圧の集中をさらに抑制することができ、鋼棒125のめり込みを低減することができる。このため、木質梁121の支圧破壊が防止され、梁120は高いせん断耐力を示す。
【0052】
<第6実施形態>
本実施形態では、第5実施形態で述べた補強材130dと構造が異なる補強材130eについて説明する。第1実施形態および第5実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0053】
木質梁121と梁端部123を含む接合構造体12の模式的断面図を
図7Aに示す。接合構造体12の構造を見やすくするため、
図7Aでは床スラブ150は点線で示す。補強材130eの正面図を
図7Bに示す。補強材130eの側面図は
図6Cとおなじであることからここでは省略する。
【0054】
木質梁121の孔には補強材130eが配置される。補強材130eは、木質梁121と複数の鋼棒125との間に配置される。すなわち、木質梁121の各孔には複数の鋼棒125が配置される。補強材130eは、木質梁121の端部から木質梁121の延伸方向(X方向)において木質梁121に挿入される第1の補強板131eと第2の補強板132eと、第1の補強板131eおよび第2の補強板132eを接続する第3の補強板133eを含む。第1の補強板131eは、木質梁121に挿入された複数の鋼棒125の上に配置される。第2の補強板132eは、複数の鋼棒125を挟んで第1の補強板131eと対向する。第3の補強板133eは、梁端部123の延伸方向に対して法線を有し、第1の補強板131eおよび第2の補強板132eを接続する。第3の補強板133eは、複数の貫通孔を備える。第3の補強板133eの複数の貫通孔には複数の鋼棒125が配置される。すなわち、本実施形態に係る補強材130eは、第5実施形態で述べた水平方向(Y方向)に隣接する複数の補強材130dが連続する構成を有する。第1の補強板131eは第1の補強板131dが連続し、第2の補強板132eは第2の補強板132dが連続し、第3の補強板133eは第3の補強板133dが連続する構成を有する。
【0055】
鋼棒125は、第3の補強板133eの貫通孔の内側面に接して配置されることが好ましい。第1の補強板131eと第2の補強板132eと第3の補強板133eは、鉛直方向(Z方向)に鋼棒125と重なる位置に配置される。第1の補強板131eと第2の補強板132eとは、木質梁121の孔の内側面に接して配置されることが好ましい。第1の補強板131eと第2の補強板132eと第3の補強板133eの木質梁121の端面における水平方向(Y方向)の幅(Y方向における長さ)は、複数の鋼棒125が配置される幅(Y方向における長さ)よりも大きいことが好ましい。
【0056】
木質梁121の孔には接着剤(図示しない。)が充填される。接着剤は、木質梁121と鋼棒125との間に配置される。接着剤は、複数の鋼棒125の間にも配置される。接着剤は、補強材130eと鋼棒125との間にも配置されてもよい。複数の鋼棒125は、木質梁121の孔の中で接着剤によって木質梁121に固定される。
【0057】
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る接合構造体12には、第1の補強板131eおよび第2の補強板132eを接続する第3の補強板133eを含む補強材130eが設けられる。このような構成を備えることで接合構造体12は、木質梁121の端部において補強材130eによって支圧が分散され、支圧の集中をさらに抑制することができ、鋼棒125のめり込みを低減することができる。このため、木質梁121の支圧破壊が防止され、梁120は高いせん断耐力を示す。
【0058】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0059】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0060】
12:接合構造体、110:柱、120:梁、121:木質梁、123:梁端部、124:エンドプレート、125:鋼棒、126:固定治具、130:補強材、131:第1の補強板、132:第2の補強板、133:第3の補強板、150:床スラブ