(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062694
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】半導体装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170712
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】碇 昌之
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA25
2G036BA33
(57)【要約】
【課題】液晶を用いた半導体装置の欠陥を簡易に判定することができる、半導体装置の検査方法を提供すること。
【解決手段】各々が液晶を含む、x方向および前記x方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、半導体装置の上に配置し、複数の反射素子の各々において、液晶の誘電率が所定の第1状態となるように半導体装置に第1の電圧信号を入力した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する第1の容量を取得し、複数の反射素子の各々において、液晶の誘電率が所定の第2状態となるように半導体装置に第2の電圧信号を入力した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する第2の容量を取得し、第1の容量と前記第2の容量との差分値を算出し、差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が液晶を含む、x方向および前記x方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、
複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、前記半導体装置の上に配置し、
前記複数の反射素子の各々において、前記液晶の誘電率が所定の第1状態となるように前記半導体装置に第1の電圧信号を入力した後、前記複数のセンサ電極を介して、前記複数の反射素子の各々に対応する第1の容量を取得し、
前記複数の反射素子の各々において、前記液晶の誘電率が所定の第2状態となるように前記半導体装置に第2の電圧信号を入力した後、前記複数のセンサ電極を介して、前記複数の反射素子の各々に対応する第2の容量を取得し、
前記第1の容量と前記第2の容量との差分値を算出し、
前記差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する、半導体装置の検査方法。
【請求項2】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向および前記y方向にマトリクス状に配置されている、請求項1に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項3】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向に延在する複数の第1のセンサ電極と前記y方向に延在する複数の第2のセンサ電極と、含む、請求項1に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項4】
前記複数のセンサ電極が前記半導体装置と非接触となるように、前記センサヘッドが配置される、請求項1に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項5】
前記液晶の配向を制御するパッチ電極が非透光性である、請求項1に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項6】
前記x方向および前記y方向の少なくとも1つの方向において、前記複数のセンサ電極の各々の幅は、前記液晶の配向を制御するパッチ電極の幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項7】
各々が液晶を含む、x方向および前記x方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、
前記x方向および前記y方向にマトリクス状に配置された複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、前記半導体装置の上に配置し、
前記複数の反射素子において、前記x方向および前記y方向の隣接する2つの反射素子の一方の前記液晶の誘電率が所定の第1状態となり、および他方の前記液晶の誘電率が所定の第2状態となるように前記半導体装置に電圧信号を入力した後、前記複数のセンサ電極を介して、前記複数の反射素子の各々に対応する容量を取得し、
前記x方向および前記y方向の各々において隣接する2つの反射素子の2つの取得された前記容量の差分値を算出し、
前記差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する、半導体装置の検査方法。
【請求項8】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向および前記y方向にマトリクス状に配置されている、請求項7に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項9】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向に延在する複数の第1のセンサ電極と前記y方向に延在する複数の第2のセンサ電極と、含む、請求項7に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項10】
前記複数のセンサ電極が前記半導体装置と非接触となるように、前記センサヘッドが配置される、請求項7に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項11】
前記液晶の配向を制御するパッチ電極が非透光性である、請求項7に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項12】
前記x方向および前記y方向の少なくとも1つの方向において、前記複数のセンサ電極の各々の幅は、前記液晶の配向を制御するパッチ電極の幅よりも小さい、請求項7に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項13】
各々が液晶を含む、x方向および前記x方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、
前記x方向および前記y方向にマトリクス状に配置された複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、前記半導体装置の上に配置し、
前記複数の反射素子において、前記x方向の隣接する2つの反射素子の一方の前記液晶の誘電率が所定の第1状態となり、および他方の前記液晶の誘電率が所定の第2状態となるように前記半導体装置に電圧信号を入力した後、前記複数のセンサ電極を介して、前記複数の反射素子の各々に対応する容量を取得し、
前記x方向において隣接する2つの反射素子の2つの取得された前記容量の差分値を算出し、
前記差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する、半導体装置の検査方法。
【請求項14】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向および前記y方向にマトリクス状に配置されている、請求項13に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項15】
前記複数のセンサ電極は、前記x方向に延在する複数の第1のセンサ電極と前記y方向に延在する複数の第2のセンサ電極と、含む、請求項13に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項16】
前記複数のセンサ電極が前記半導体装置と非接触となるように、前記センサヘッドが配置される、請求項13に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項17】
前記液晶の配向を制御するパッチ電極が非透光性である、請求項13に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項18】
前記x方向において、前記複数のセンサ電極の各々の幅は、前記液晶の配向を制御するパッチ電極の幅よりも小さい、請求項13に記載の半導体装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、半導体装置、特に、液晶を用いた半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイの検査においては、液晶ディスプレイを駆動させ、目視により、またはカメラを用いる自動光学検査(Automated Optical Inspection:AOI)により表示状態の観察を行っている。しかしながら、近年、液晶の利用が、液晶ディスプレイのような表示デバイスだけでなく、液晶アンテナまたは液晶レンズのような非表示デバイスにまで拡大している。このような非表示デバイスでは、例えば、パッチ電極が非透光性であるなど、表示を目的としたデバイスではないため、表示状態の観察によって非表示デバイスの欠陥を検出することが困難である。一方、特許文献1には、金属などの導電性パターンに対して適用することができる容量を利用した検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、半導体装置の導電パターンに直流電圧を与えた後、導電性パターンに対向して配置された検出電極を垂直方向に振動させ、導電性パターンと検出電極との間の容量の変化を検出し、導電性パターンの欠陥の有無を判定している。しかしながら、特許文献1に開示された方法では、導電性パターンごとに検出電極による容量の検出が必要である。そのため、半導体装置の検査に時間を要し、結果として、半導体装置のコストが上昇する要因となっていた。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、液晶を用いた半導体装置の欠陥を簡易に判定することができる、半導体装置の検査方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法は、各々が液晶を含む、x方向およびx方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、半導体装置の上に配置し、複数の反射素子の各々において、液晶の誘電率が所定の第1状態となるように半導体装置に第1の電圧信号を入力した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する第1の容量を取得し、複数の反射素子の各々において、液晶の誘電率が所定の第2状態となるように半導体装置に第2の電圧信号を入力した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する第2の容量を取得し、第1の容量と第2の容量との差分値を算出し、差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。
【0007】
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法は、各々が液晶を含む、x方向およびx方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、x方向およびy方向にマトリクス状に配置された複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、半導体装置の上に配置し、複数の反射素子において、x方向およびy方向の隣接する2つの反射素子の一方の液晶の誘電率が所定の第1状態となり、および他方の液晶の誘電率が所定の第2状態となるように半導体装置に電圧信号を入力加した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する容量を取得し、x方向およびy方向の各々において隣接する2つの反射素子の2つの取得された容量の差分値を算出し、差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。
【0008】
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法は、各々が液晶を含む、x方向およびx方向と交差するy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子を含む半導体装置の検査方法であって、x方向およびy方向にマトリクス状に配置された複数のセンサ電極を含むセンサヘッドを、半導体装置の上に配置し、複数の反射素子において、x方向の隣接する2つの反射素子の一方の液晶の誘電率が所定の第1状態となり、および他方の液晶の誘電率が所定の第2状態となるように半導体装置に電圧信号を入力した後、複数のセンサ電極を介して、複数の反射素子の各々に対応する容量を取得し、x方向において隣接する2つの反射素子の2つの取得された容量の差分値を算出し、差分値が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、センサ電極による容量の検出を説明する模式的な回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に対応する容量を説明する模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置の反射素子に入力される電圧信号を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値の模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値の模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置の反射素子に入力される電圧信号を示す模式図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置の反射素子に入力される電圧信号を示す模式図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置の構成を示す模式図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、第1のセンサ電極および第2のセンサ電極による容量の検出を説明する模式的な回路図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に対応する容量を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の開示はあくまで一例にすぎない。当業者が、発明の主旨を保ちつつ、実施形態の構成を適宜変更することによって容易に想到し得る構成は、当然に本発明の範囲に含有される。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本明細書において、半導体装置の検査方法の実施時を基準として、基板からセンサヘッドに向かう方向を上または上方という。逆に、センサヘッドから基板に向かう方向を下または下方という。このように、原則として、基板とセンサヘッドとの位置関係を基準として、上方または下方と定義するが、場合により、上述した上下関係が逆になる場合がある。
【0012】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA、BおよびCのいずれかを含む」、「αはA、BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0013】
本明細書において、「反射素子」とは、液晶の配向が制御されるように画定され、または実質的に画定される最小単位をいう。例えば、液晶反射板においては、1つのパッチ電極と共通電極との間に挟まれる液晶材料が含まれるように画定され、または実質的に画定される領域を含む単位であるが、液晶反射板以外の半導体装置において同等の構造を含むものであれば同等物と捉えることができる。例えば、液晶ディスプレイにおいては、1つの画素が、前述の最小単位に該当する。
【0014】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法について説明する。
【0016】
[1.検査装置の構成]
本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法においては、検査装置10を使用する。そこで、
図1および
図2を参照して、検査装置10の構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置10の構成を示す模式図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置10の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、検査装置10は、センサヘッド100、制御装置200、およびステージ300を含む。センサヘッド100は、x方向およびx方向と交差する方向にマトリクス状に配置された複数のセンサ電極110を含む。検査装置10によって検査される半導体装置500は、ステージ300上に載置される。半導体装置500は、x方向およびy方向にマトリクス状に配置された複数の反射素子510を含む。半導体装置500の検査の際には、センサヘッド100は、半導体装置500上に(x方向およびz方向と交差するz方向に)配置される。具体的には、半導体装置500の検査の際には、複数のセンサ電極110が、複数の反射素子510と対向するように、センサヘッド100が半導体装置500に近接して配置される。すなわち、複数のセンサ電極110を半導体装置500に接触させる必要はなく、非接触で半導体装置500を検査することができる。
【0019】
半導体装置500は、液晶を含み、例えば、液晶表示装置、液晶アンテナ、または液晶レンズなどであるが、これらに限られない。複数の反射素子510内には、液晶および液晶に電圧を印加するパッチ電極(特に、液晶の配向を制御するパッチ電極)を含む。パッチ電極は、透光性を有していてもよく、非透光性を有していてもよい。
【0020】
図1には図示しないが、センサヘッド100には、センサヘッド100をx方向およびy方向に移動可能なセンサヘッド駆動部140が設けられている(
図2参照)。そのため、センサヘッド100は、x方向およびy方向に移動することができる。また、
図1には図示しないが、ステージ300には、ステージ300をx方向およびy方向に移動可能なステージ駆動部310が設けられている(
図2参照)。そのため、ステージ300に載置された半導体装置500を、x方向およびy方向に移動させることができる。詳細は後述するが、検査装置10を使用した検査では、複数のセンサ電極110で検出される容量を利用する。そのため、センサヘッド100またはステージ300をx方向またはy方向に移動させながら、複数のセンサ電極110を用いて、センサヘッド100と半導体装置500との間の容量を検出する。
【0021】
x方向およびy方向の少なくとも1つの方向において、複数のセンサ電極110の各々の幅は、反射素子510の幅よりも小さく、好ましくはパッチ電極の幅よりも小さい。そのため、1つの反射素子510に対応する容量は、複数のセンサ電極110のうちのいくつかの電極によって検出される。したがって、センサヘッド100に含まれる複数のセンサ電極110が、すべての反射素子510に対応する容量を検出することができるように、センサヘッド100またはステージ300をx方向またはy方向に移動させる。
【0022】
センサヘッド100には、端子部120が設けられている。複数のセンサ電極110は、それぞれ、端子部120の複数の端子と電気的に接続されている。また、端子部120は、接続部130を介して、制御装置200と電気的に接続されている。そのため、複数のセンサ電極110の各々で検出された信号(具体的には、容量に対応する信号)は、端子部120および接続部130を介して、制御装置200に入力される。なお、制御装置200からの信号をセンサヘッド100に入力することもできる。
【0023】
図2に示すように、制御装置200は、センサヘッド駆動制御部210、ステージ駆動制御部220、電圧信号生成部230、容量取得部240、差分値算出部250、判定部260、および記憶部270を含む。制御装置200は、いわゆるコンピュータであり、所定のプログラムを実行することにより機能する。制御装置200は、例えば、データまたは情報を用いて演算処理を行う中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)、または画像処理装置(GPU)を含む。また、制御装置200は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、もしくはソリッドステートドライブ(SSD)などの記憶装置、または通信インターフェースを含む。
【0024】
センサヘッド駆動制御部210は、センサヘッド駆動部140と接続され、センサヘッド駆動部140に制御信号を送信することができる。センサヘッド駆動制御部210から送信される制御信号に基づき、センサヘッド100が、x方向およびy方向に移動する。
【0025】
ステージ駆動制御部220は、ステージ駆動部310と接続され、ステージ駆動部310に制御信号を送信することができる。ステージ駆動制御部220から送信される制御信号に基づき、ステージ駆動部310が、ステージ300をx方向およびy方向に移動させる。
【0026】
電圧信号生成部230は、センサヘッド100および半導体装置500に入力される電圧信号を生成することができる。例えば、電圧信号生成部230は、直流電圧信号または交流(矩形波)電圧信号などを生成することができる。
【0027】
容量取得部240は、複数のセンサ電極110を介して、複数の反射素子510の各々に対応する容量を取得することができる。詳細は後述するが、半導体装置500の検査においては、複数の反射素子510の各々に電圧信号を入力しながら、複数のセンサ電極110を用いて容量を検出する。容量取得部240は、複数の反射素子510ごとに、複数のセンサ電極110によって検出された1つまたはいくつかの容量を合計し、複数の反射素子510の各々に対応する容量を取得する。なお、取得された複数の反射素子510の各々に対応する容量は、記憶部270に格納しておくことができる。
【0028】
差分値算出部250は、容量取得部240によって取得された2つの容量の差分値を算出することができる。例えば、差分値算出部250は、反射素子510に第1の電圧信号が入力されたときに取得される第1の容量と、反射素子510に第2の電圧信号が入力されたときに取得される第2の容量との差分値を算出することができる。
【0029】
判定部260は、差分値算出部250によって算出された差分値に基づき、半導体装置500に欠陥が含まれているか否かを判定することができる。具体的には、判定部260は、算出された差分値と記憶部270に格納されたしきい値271とを比較し、半導体装置500の欠陥の有無を判定する。なお、しきい値271は、ユーザが自由に設定することができる。
【0030】
[2.反射素子に対応する容量の取得]
図3および
図4を参照して、反射素子510に対応する容量の取得について説明する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、センサ電極110の容量の検出を説明する模式的な回路図である。
【0032】
図3には、センサヘッド100の検出回路および反射素子510の反射素子回路が図示されている。なお、検出回路および反射素子回路は、
図3に示す構成に限られない。また、
図3では、説明の便宜上、1つの反射素子510に対して1つのセンサ電極110が図示されている。
【0033】
図3に示す検出回路は、センサ電極110、増幅器AMP、および補償容量C
AMPを含む。センサ電極110によって検出された信号は、増幅器AMPによって増幅され、出力される。
【0034】
図3に示す反射素子回路は、液晶容量C
LC、保持容量C
S、トランジスタTr、共通線CL、ゲート線GL、および信号線SLを含む。液晶容量C
LCを形成する一対の電極の一方である共通電極は、共通線CLと接続され、液晶容量C
LCを形成する一対の電極の他方であるパッチ電極は、トランジスタTrのソース電極およびドレイン電極の一方と接続されている。トランジスタTrのソース電極およびドレイン電極の他方は、信号線SLと接続されている。また、トランジスタTrのゲート電極には、ゲート線GLが接続されている。保持容量C
sを形成する一対の電極の一方は、パッチ電極ならびにソース電極およびドレイン電極の一方と接続され、保持容量C
sを形成する一対の電極の他方は、接地されている。
【0035】
電圧信号生成部230によって生成された交流電圧信号は、検出回路の増幅器AMP、共通線CL、および信号線SLに入力される。また、電圧信号生成部230によって生成された直流電圧信号は、ゲート電極に入力される。なお、半導体装置500がゲート駆動回路およびソース駆動回路を含む場合は、ゲート駆動回路およびソース駆動回路を介して、反射素子510に、各電圧信号が入力される。
【0036】
センサ電極110を反射素子510に近接させると、センサ電極110と反射素子510との間にさまざまな容量が生成される。例えば、容量C1はセンサ電極110と信号線SLとの間に形成される容量であり、容量C2はセンサ電極110とゲート線GLとの間に形成される容量であり、容量C3はセンサ電極110とパッチ電極との間に形成される容量であり、C4はセンサ電極110と共通電極または共通線との間に形成される容量であり、C5はセンサ電極110と接地線との間に形成される容量である。このように、検査装置10では、センサ電極110を近接させることにより容量が形成される、いわゆる自己容量方式によって容量を検出することができる。センサ電極110から出力される信号は、センサ電極110と反射素子510との間に形成されたあらゆる容量(例えば、容量C1~容量C5など)が合算されたものとなる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子510に対応する容量を説明する模式図である。
【0038】
図3では、1つの反射素子510に対して1つのセンサ電極110が対応しているものとして説明したが、実際には、
図4に示すように、1つの反射素子510に対して複数のセンサ電極110が対向している。
【0039】
図4に示すように、液晶LCを挟持するパッチ電極E
PIXと共通電極E
COMとの間には、液晶容量C
LCが形成されている。また、個々のセンサ電極110と1つの反射素子510との間に形成される容量は上述したとおりであるが、1つの反射素子510あたりでは、1つの反射素子510に対応する複数のセンサ電極110の容量が合算された容量C
SEN-PIXが形成されると考えることができる。したがって、1つの反射素子510に対応する複数のセンサ電極110は、直列に接続された容量C
SEN-PIXおよび容量C
LCを検出する。すなわち、反射素子510に対応する複数のセンサ電極110は、式(1)で表される容量C
detを検出することができる。
【0040】
【0041】
液晶LCの状態が変化すると、CLCが変化する。そのため、式(1)から理解されるように、液晶LCの状態が変化すると、複数のセンサ電極110で検出される容量Cdetが変化する。したがって、容量取得部240は、反射素子510に対応する複数のセンサ電極110を選択することにより、反射素子510に対応する容量Cdetを取得することができる。
【0042】
[3.半導体装置の検査方法]
図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置500の反射素子510に入力される電圧信号を示す模式図である。なお、
図6では、便宜上、6×6の反射素子510が図示されている。
【0043】
図5に示すフローチャートは、ステップS110~ステップS170を含む。以下では、ステップS110~ステップS170を順に説明する。
【0044】
ステップS110では、センサヘッド100が、半導体装置500上に配置される。具体的には、複数のセンサ電極110が、反射素子510と対向するように、センサヘッド100が半導体装置500に近接して配置される。半導体装置500内のすべての反射素子510に対応する容量を取得するため、適宜、センサヘッド100またはステージ300を移動する。センサヘッド100の移動は、センサヘッド駆動制御部210からの制御信号に基づいて実行される。また、ステージ300の移動は、ステージ駆動制御部220からの制御信号に基づいて実行される。
【0045】
ステップS120では、反射素子510において前記液晶の誘電率が所定の第1状態となるように、半導体装置500に第1の電圧信号が入力される。第1の電圧信号は、電圧信号生成部230によって生成される。第1の電圧信号は、例えば、複数の反射素子510の各々のパッチ電極に印加される。ここで、所定の第1状態とは、液晶反射板において、パッチ電極と共通電極とに挟持された液晶の誘電率が最も小さくなる状態であることをいう。すなわち、第1の電圧信号は、液晶が所定の第1状態を維持する電圧信号である(
図6参照)。
【0046】
なお、ステップS120における第1の電圧信号は、所定の時間だけ入力されてもよい。
【0047】
ステップS130では、複数のセンサ電極110を介して、反射素子510に対応する第1の容量Cdet-1を取得する。第1の容量Cdet-1は、第1の電圧信号が印加されたときの液晶の状態と対応した容量である。具体的には、容量取得部240は、1つの反射素子510と対応したセンサ電極110を選択し、選択されたセンサ電極110で検出された容量を合算し、第1の容量Cdet-1を取得する。同様にして、半導体装置500に含まれる複数の反射素子510の各々の第1の容量Cdet-1を取得する。複数の反射素子510の各々の取得された第1の容量Cdet-1は、記憶部270に格納される。
【0048】
ステップS140では、複数の反射素子510において前記液晶の誘電率が所定の第2状態となるように、半導体装置500に第2の電圧信号が入力される。第2の電圧信号は、電圧信号生成部230によって生成される。第2の電圧信号も、例えば、複数の反射素子510の各々のパッチ電極に印加される。ここで、所定の第1状態とは、液晶反射板において、パッチ電極と共通電極とに挟持された液晶の誘電率が最も大きくなる状態であることをいう。すなわち、第2の電圧信号は、液晶が所定の第2状態に変化する電圧信号である(
図6参照)。
【0049】
なお、ステップS140における第2の電圧信号の入力は、所定の時間のみ実行される。ここで、所定の時間とは、液晶が初期配向状態から別の配向状態に変化する時間であり、適宜、ユーザによって設定されてもよい。
【0050】
ステップS150では、複数のセンサ電極110を介して、反射素子510に対応する第2の容量Cdet-2を取得する。第2の容量Cdet-2は、第2の電圧信号が印加されたときの液晶の状態と対応した容量である。具体的には、容量取得部240は、1つの反射素子510と対応したセンサ電極110を選択し、選択されたセンサ電極110で検出された容量を合算し、第2の容量Cdet-2を取得する。同様にして、半導体装置500に含まれる複数の反射素子510の各々の第2の容量Cdet-2を取得する。複数の反射素子510の各々の取得された第2の容量Cdet-2は、記憶部270に格納される。
【0051】
ステップS160では、差分値算出部250が、第1の容量Cdet-1と第2の容量Cdet-2との差分値(絶対値)を算出する。
【0052】
ステップS170では、判定部260が、差分値に基づき、半導体装置500の欠陥の有無を判定する。具体的には、判定部260は、差分値が、しきい値以下であるか否かを判定する。半導体装置500に欠陥があると、差分値は小さくなる。そのため、差分値がしきい値以下であるとき、判定部260は、半導体装置500が欠陥品であると判定する。一方、差分値がしきい値を超えるとき、判定部260は、半導体装置500が正常品であると判定する。
【0053】
ここで、
図7~
図9を参照して、半導体装置500の欠陥が反映される差分値の減少について説明する。
【0054】
図7~
図9は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子510に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【0055】
図7には、差分値がしきい値以下である1つの欠陥のある反射素子510dが示されている。反射素子510d内で配線が断線しているとき、ステップS140において反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されないため、ステップS150において取得される第2の容量C
det-2は第1の容量C
det-1に近い値となる。この場合、第1の容量C
det-1と第2の容量C
det-2との差が小さくなるため、算出される差分値が減少する。
【0056】
図8には、信号線SLが延在するy方向において、途中から端部まで差分値がしきい値以下である3つの欠陥のある反射素子510d(第1の反射素子510d-1~第3の反射素子510d-3)が示されている。信号線SLが断線していると、断線が発生している第1の反射素子510d-1から端部の第3の反射素子510d-3まで、ステップS140において反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されないため、ステップS150において取得される第2の容量C
det-2は第1の容量C
det-1に近い値となる。この場合、第1の容量C
det-1と第2の容量C
det-2との差が小さくなるため、算出される差分値が減少する。
図8に示される反射素子510dの欠陥は、反射素子510d内で発生しているものではないが、信号線SLの欠陥が、反射素子510dに対応する容量に反映される。そのため、本実施形態に係る半導体装置の検査方法によれば、反射素子510内の欠陥に限られず、信号線SLの欠陥を検出することができる。
【0057】
図9には、ゲート線GLが延在するx方向において、x方向の一列すべての差分値がしきい値以下である6つの欠陥のある反射素子510d(第1の反射素子510d-1~第6の反射素子510d-6)が示されている。ゲート線GLが断線していると、断線が発生している列に含まれるすべての反射素子510dにおいて、ステップS140において反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されないため、ステップS150において取得される第2の容量C
det-2は第1の容量C
det-1に近い値となる。この場合、第1の容量C
det-1と第2の容量C
det-2との差が小さくなるため、算出される差分値が減少する。
図9に示される反射素子510dの欠陥は、反射素子510d内で発生しているものではないが、ゲート線GLの欠陥が、反射素子510dに対応する容量に反映されれる。そのため、本実施形態に係る半導体装置の検査方法によれば、反射素子510内の欠陥に限られず、ゲート線GLの欠陥を検出することも可能である。
【0058】
判定部260は、しきい値の判定だけでなく、
図7~
図9で示した欠陥のある反射素子510dの分布に基づき、反射素子510、信号線SL、およびゲート線GLのいずれの欠陥であるかを判定してもよい。
【0059】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法によれば、複数のセンサ電極110を含むセンサヘッド100を用いて、半導体装置500の複数の反射素子510の各々に対応する容量を取得することができる。反射素子510に対応する容量には、反射素子510、信号線SL、およびゲート線GLなどのさまざまな欠陥が反映される。そのため、反射素子510に対応する容量の変化に基づき、半導体装置500の欠陥を簡易に判定することができる。
【0060】
以下では、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法のいくつかの変形例について説明する。なお、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法の変形は、以下で説明する変形例に限定されるものではない。
【0061】
<変形例1>
図10~
図13を参照して、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法の一変形例について説明する。なお、以下の説明において、上述した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0062】
図10は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
図11は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置500の反射素子510に入力される電圧信号を示す模式図である。
【0063】
図10に示すフローチャートは、ステップS210~ステップS250を含む。以下では、ステップS210~ステップS250を順に説明する。
【0064】
ステップS210は、ステップS110と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
ステップS220では、x方向およびy方向において隣接する2つの反射素子510の一方の液晶の誘電率が所定の第1状態となり、および他方の液晶の誘電率が所定の第2状態となるように、半導体装置500に電圧信号が入力される。すなわち、ステップS220では、複数の反射素子510がチェック状に第1状態(
図11中の反射素子510-1参照)および第2状態(
図11中の反射素子510-2参照)となるように半導体装置500に電圧信号が入力される。
【0066】
なお、ステップS220における電圧信号の入力は、所定の時間のみ実行される。
【0067】
ステップS230では、複数のセンサ電極110を介して、反射素子510に対応する容量Cdetを取得する。具体的には、容量取得部240は、1つの反射素子510と対応したセンサ電極110を選択し、選択されたセンサ電極110で検出された容量を合算し、容量Cdetを取得する。同様にして、半導体装置500に含まれる複数の反射素子510の各々の容量Cdetを取得する。複数の反射素子510の各々の取得された容量Cdetは、記憶部270に格納される。
【0068】
ステップS240では、差分値算出部250が、x方向およびy方向において隣接する2つの反射素子510の容量間の差分値(絶対値)を算出する。x方向およびy方向において隣接する2つの反射素子510の容量は、第1状態である反射素子510-1に対応する容量および第2状態である反射素子510-2に対応する容量である。1つの反射素子510がx方向およびy方向において隣接する反射素子510は2つ~4つのいずれかである。そのため、複数の反射素子510の各々において、2つ~4つの差分値が取得される。
【0069】
ステップS250は、ステップS170と同様であるため、説明を省略する。但し、複数の反射素子510の各々は、2つ~4つの差分値を有するため、判定部260は、2つ~4つの差分値のいずれについても、しきい値以下であるか否かを判定する。
【0070】
ここで、
図12および
図13を参照して、半導体装置500の欠陥が反映される差分値の減少について説明する。
【0071】
図12および
図13は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子510に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【0072】
図12には、差分値がしきい値である隣接する2つの反射素子510dが示されている。隣接している2つの反射素子510dにおいて短絡していると、ステップS220において第1状態となるはずの反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されない。そのため、短絡が発生している2つの隣接する反射素子510dでは、ステップS230において取得される容量C
detが、第2状態である反射素子510-2の容量C
detに近い値となる。この場合、隣接する2つの反射素子510dにおいて、算出される差分値が減少する。
【0073】
図13には、差分値がしきい値以下である隣接する2列の反射素子510d-Lが示されている。y方向に延在する2つの信号線SLが短絡していると、ステップS220において第1状態となるはずの反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されない。そのため、短絡が発生している列の反射素子510d-Lでは、ステップS230において取得される容量C
detが、第2状態である反射素子510-2の容量C
detに近い値となる。この場合、x方向において隣接する2列の反射素子510-Lにおいて、算出される差分値が減少する。
図13に示される2列の反射素子510d-Lの欠陥は、反射素子510d内で発生しているものではないが、信号線SLの欠陥が、反射素子510dに対応する容量に反映される。そのため、本変形例に係る半導体装置の検査方法によれば、反射素子510内の欠陥に限られず、信号線SLの欠陥を検出することができる。
【0074】
<変形例2>
図14~
図16を参照して、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法の別の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上述した構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0075】
図14は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
図15は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、半導体装置500の反射素子510に入力される電圧信号を示す模式図である。なお、
図15では、便宜上、6×6の反射素子510が図示されている。
【0076】
図14に示すフローチャートは、ステップS310~ステップS350を含む。以下では、ステップS310~ステップS350を順に説明する。
【0077】
ステップS310は、ステップS110と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
ステップS320では、y方向に沿った一列の反射素子510の液晶の誘電率が第1状態または第2状態となるように、半導体装置500に電圧信号が入力される。x方向では、第1状態である一列の反射素子510-L1と第2状態である一列の反射素子510-L2とが交互に配列されている。すなわち、ステップS320では、複数の反射素子510がストライプ状に第1態および第2状態となるように半導体装置500に電圧信号が入力される(
図15参照)。
【0079】
なお、ステップS320における電圧信号の入力は、所定の時間のみ実行される。
【0080】
ステップS330では、複数のセンサ電極110を介して、反射素子510に対応する容量Cdetを取得する。具体的には、容量取得部240は、1つの反射素子510と対応したセンサ電極110を選択し、選択されたセンサ電極110で検出された容量を合算し、容量Cdetを取得する。同様にして、半導体装置500に含まれる複数の反射素子510の各々の容量Cdetを取得する。複数の反射素子510の各々の取得された容量Cdetは、記憶部270に格納される。
【0081】
ステップS340では、差分値算出部250が、x方向において隣接する2つの反射素子510の容量間の差分値(絶対値)を算出する。x方向において隣接する2つの反射素子510の容量は、第1状態である反射素子510に対応する容量および第2状態である反射素子510に対応する容量である。1つの反射素子510がx方向において隣接する反射素子510は1つまたは2つである。そのため、複数の反射素子510の各々において、1つまたは2つの差分値が取得される。
【0082】
ステップS350は、ステップS170と同様であるため、説明を省略する。なお、2つの差分値を有する反射素子510においては、判定部260は、2つの差分値のいずれについても、しきい値以下であるか否かを判定する。
【0083】
ここで、
図16を参照して、半導体装置500の欠陥が反映される差分値の減少について説明する。
【0084】
図16は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子510に欠陥がある場合に算出される差分値を示す模式図である。
【0085】
図16には、差分値がしきい値以下である隣接する2列の反射素子510d-Lが示されている。y方向に延在する隣接する2つの信号線SLが短絡していると、ステップS320において第1状態となるはずの反射素子510d内の液晶に電圧信号が十分に印加されない。そのため、短絡が発生している列の反射素子510d-Lでは、ステップS330において取得される容量C
detが、第2状態である反射素子510の容量C
detに近い値となる。この場合、x方向において隣接する2列の反射素子510-Lにおいて、算出される差分値が減少する。
図16に示される2列の反射素子510d-Lの欠陥は、反射素子510d内で発生しているものではないが、信号線SLの欠陥が、反射素子510dに対応する容量に反映される。そのため、本変形例に係る半導体装置の検査方法によれば、反射素子510内の欠陥に限られず、信号線SLの欠陥を検出することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法におけるいくつかの変形例について説明したが、本実施形態では、これらの変形例を組み合わせた実施も可能である。
【0087】
<第2実施形態>
図17~
図19を参照して、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法について説明する。
【0088】
[1.検査装置の構成]
本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法においては、検査装置10Aを使用する。そこで、
図17を参照して、検査装置10Aの構成について説明する。なお、以下では、検査装置10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0089】
図17は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において使用される検査装置10Aの構成を示す模式図である。
【0090】
図17に示すように、検査装置10Aは、センサヘッド100A、制御装置200、およびステージ300を含む。センサヘッド100Aは、x方向に延在する複数の第1のセンサ電極110A-1およびy方向に延在する複数の第2のセンサ電極110A-2を含む。複数の第2のセンサ電極110A-2は、絶縁体を介して、複数の第1のセンサ電極110A-1と重畳している。複数の第1のセンサ電極110A-1および複数の第2のセンサ電極110A-2は、それぞれ、端子部120の複数の端子と電気的に接続されている。制御装置200からの信号が複数の第2のセンサ電極110A-2に入力され、複数の第1のセンサ電極110A-1からの信号が制御装置200に入力される。
【0091】
[2.反射素子に対応する容量の取得]
図18および
図19を参照して、反射素子510に対応する容量の取得について説明する。
【0092】
図18は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、第1のセンサ電極110A-1および第2のセンサ電極110A-2による容量の検出を説明する模式的な回路図である。
【0093】
図18には、センサヘッド100Aの検出回路および反射素子510の反射素子回路が図示されている。なお、検出回路および反射素子回路は、
図18に示す構成に限られない。また、
図18では、説明の便宜上、1つの反射素子510に対して1つの第1のセンサ電極110A-1と1つの第2のセンサ電極110A-2とが重畳している部分が図示されている。
【0094】
図18に示す検出回路は、第1のセンサ電極110A-1、第2のセンサ電極110A-2、および増幅器AMPを含む。第2のセンサ電極110A-2には、制御装置200の電圧信号生成部230によって生成された交流電圧信号が入力される。このとき、第1のセンサ電極110A-1と第2のセンサ電極110A-2との間には、電極間容量C
12が形成される。
【0095】
第1のセンサ電極110A-1を反射素子510に近接させると、第1のセンサ電極110A-1および第2のセンサ電極110A-2との間にさまざまな容量が生成される(
図18中の容量C1~C10参照)。電極間容量C
12は、反射素子510によって形成される容量(容量C1~容量C10および液晶容量C
LCなど)の影響により変化する。このように、検査装置10Aでは、電極間容量C
12の変化を検出する、いわゆる相互容量方式によって容量を検出することができる。
【0096】
図19は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法において、反射素子に対応する容量を説明する模式図である。
【0097】
図18では、1つの反射素子510に対して1つの第1のセンサ電極110A-1と1つの第2のセンサ電極110A-2とが重畳している部分が対応しているものとして説明したが、実際には、
図19に示すように、1つの反射素子510に対して第1のセンサ電極110A-1と第2のセンサ電極110A-2との重複部分が複数対向している。
【0098】
図19に示すように、液晶LCを挟持するパッチ電極E
PIXと共通電極E
COMとの間には、液晶容量C
LCが形成されている。また、第1のセンサ電極110A-1と第2のセンサ電極110A-2との重複部分と、1つの反射素子510との間に形成される容量は上述したとおりであるが、ここでは、上述した容量を第1のセンサ電極110A-1および反射素子510によって形成される容量C
SEN1-PIXと、第2のセンサ電極110A-2および反射素子520によって形成される容量C
SEN2-PIXとに分けて考える。この場合、反射素子510に対応する複数の第1のセンサ電極110A-1は、式(2)で表される容量C
detを検出することができる。
【0099】
【0100】
液晶LCの状態が変化すると、CLCが変化する。そのため、式(2)から理解されるように、液晶LCの状態が変化すると、複数の第1のセンサ電極110A-1で検出される容量Cdetが変化する。したがって、容量取得部240は、反射素子510に対応する複数の第1のセンサ電極110A-1および複数の第2のセンサ電極110A-2を選択することにより、反射素子510に対応する容量Cdetを取得することができる。
【0101】
[3.半導体装置の検査方法]
検査装置10Aを使用する半導体装置の検査方法は、基本的には、第1実施形態で説明した半導体装置の検査方法と同様である。そのため、ここでは、説明を省略する。
【0102】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る半導体装置の検査方法によれば、複数の第1のセンサ電極110A-1および第2のセンサ電極110A-2を含むセンサヘッド100を用いて、半導体装置500の複数の反射素子510の各々に対応する容量を取得することができる。反射素子510に対応する容量には、反射素子510、信号線SL、およびゲート線GLなどのさまざまな欠陥が反映される。そのため、反射素子510に対応する容量の変化に基づき、半導体装置500の欠陥を簡易に判定することができる。
【0103】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0104】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0105】
10、10A:検査装置、 100、100A:センサヘッド、 110センサ電極、 110A-1:第1のセンサ電極、 110A-2:第2のセンサ電極、 120:端子部、 130:接続部、 140:センサヘッド駆動部、 200:制御装置、 210:センサヘッド駆動制御部、 220:ステージ駆動制御部、 230:電圧信号生成部、 240:容量取得部、 250:差分値算出部、 260:判定部、 270:記憶部、 271:しきい値、 300:ステージ、 310:ステージ駆動部、 500:半導体装置、 510:反射素子、 510d:欠陥のある反射素子