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特開2024-62700排水桝、及び、それを用いた排水管盛替え方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062700
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】排水桝、及び、それを用いた排水管盛替え方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
E03F5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170724
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾伏 唯之
(72)【発明者】
【氏名】森山 実記
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純大
(72)【発明者】
【氏名】上田 真也
(72)【発明者】
【氏名】横山 喜宜
(72)【発明者】
【氏名】村上 奈々子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA02
2D063BA14
2D063BA21
2D063BA31
2D063DA06
2D063DA12
2D063DA23
2D063DA24
2D063DA30
(57)【要約】
【課題】既存排水管の設置後に盛替えを行うことが必要になった場合でも、断水や排水停止をすることなく既存排水管の盛替え作業が行える排水桝を提供する。
【解決手段】既存排水管5の切断箇所5Aからの排水を受け入れる上向きの開口部6及び受け入れた排水を新設排水管に排出する排出部を備えた桝側部材12と、既存排水管5の切断箇所5Aより上流側の部分5Bを挿通する横向きの挿通口9を形成する状態で桝側部材2の開口部6を塞ぐ蓋側部材3とに、分割する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存排水管の切断箇所からの排水を受け入れる上向きの開口部及び受け入れた排水を新設排水管に排出する排出部を備えた桝側部材と、
前記既存排水管の前記切断箇所より上流側の部分を挿通する横向きの挿通口を形成する状態で前記桝側部材の前記開口部を塞ぐ蓋側部材とに、分割されている排水桝。
【請求項2】
前記桝側部材及び前記蓋側部材は、FRPで構成されている請求項1に記載の排水桝。
【請求項3】
前記蓋側部材は、壁から延びる前記既存排水管の前記上流側の部分を前記挿通口に挿通させた状態で且つ前記壁に接した状態で前記桝側部材上に設置される請求項1又は2に記載の排水桝。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の排水桝を用いた排水管盛替え方法であって、
前記新設排水管を設置すると共に前記既存排水管の切断予定箇所の真下に前記桝側部材を設置して前記新設排水管を前記桝側部材の前記排出部に接続する桝側部材設置工程と、
前記既存排水管を前記切断予定箇所で切断して前記既存排水管における前記切断予定箇所より下流側の部分を取り除く切断除去工程と、
前記既存排水管の前記上流側の部分を前記挿通口に挿通させた状態で前記蓋側部材を前記桝側部材上に設置する蓋側部材設置工程とを行う排水管盛替え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存排水管の切断箇所からの排水を受け入れる排水桝、及び、それを用いた排水管盛替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存排水管からの排水を受け入れると共に受け入れた排水を新設排水管に排出する排水桝が示されている。
通常、既存排水管の盛替えのために既存排水管を切断する場合は、その既存排水管の切断箇所からの排水を防ぐために断水や排水停止を行う必要があるが、特許文献1の排水桝は、既存排水管における盛替えが想定される箇所に予め設置しておき、既存排水管の管体(3)を切断した際のその切断箇所からの排水を桝本体(1)で受け止めて新設排水管(パイプ93)に排出することで、断水や排水停止を行うことなく既存排水管の盛替えができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-197513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の排水桝では、既存排水管の設置時に排水桝を設置する必要があるため、既存排水管を設置する前に予め盛替えを行うことが想定されている箇所にしか用いることができず、既存排水管の設置後に新たに盛替えを行うことになった場合には用いることができなかった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、既存排水管の設置後に盛替えを行うことが必要になった場合でも、断水や排水停止をすることなく既存排水管の盛替え作業が行える排水桝、及び、それを用いた排水管盛替え方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、既存排水管の切断箇所からの排水を受け入れる上向きの開口部及び受け入れた排水を新設排水管に排出する排出部を備えた桝側部材と、
前記既存排水管の前記切断箇所より上流側の部分を挿通する横向きの挿通口を形成する状態で前記桝側部材の前記開口部を塞ぐ蓋側部材とに、分割されている点にある。
【0007】
本構成によれば、既存排水管を切断箇所で切断する前に切断箇所の直下に桝側部材を設置しておくことで、切断箇所の周囲が開放されているため既存排水管の切断作業が効率良く行えながら、既存排水管を切断箇所で切断した際のその切断箇所からの排水を開口部から受け入れて新設排水管に排出することができる。そして、既存排水管の上流側の部分を挿通口に挿通させる状態で桝側部材上に蓋側部材を設置することで、桝側部材の開口部を塞いで臭気漏れ等を防止することができるため、既存排水管の設置後に盛替えを行うことが必要になった場合でも、断水や排水停止をすることなく既存排水管の盛替え作業が行える。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記桝側部材及び前記蓋側部材は、FRPで構成されている点にある。
【0009】
本構成によれば、桝側部材及び蓋側部材をFRPで構成することで、これらがステンレスで構成する場合に比べて、軽量で施工性がよくなると共に高い断熱性能により結露対策も不要となる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記蓋側部材は、壁から延びる前記既存排水管の前記上流側の部分を前記挿通口に挿通させた状態で且つ前記壁に接した状態で前記桝側部材上に設置される点にある。
【0011】
本構成によれば、蓋側部材を壁に接した状態で設置することで、その壁から延びる既存排水管の上流側部分を挿通口に挿通させながら、その挿通口を壁を利用して効率良く塞ぐことができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、排水桝を用いた排水管盛替え方法であって、
前記新設排水管を設置すると共に前記既存排水管の切断予定箇所の真下に前記桝側部材を設置して前記新設排水管を前記桝側部材の前記排出部に接続する桝側部材設置工程と、
前記既存排水管を前記切断予定箇所で切断して前記既存排水管における前記切断予定箇所より下流側の部分を取り除く切断除去工程と、
前記既存排水管の前記上流側の部分を前記挿通口に挿通させた状態で前記蓋側部材を前記桝側部材上に設置する蓋側部材設置工程とを行う点にある。
【0013】
本構成によれば、桝側部材設置工程の後に切断除去工程を行うことで、切断箇所の周囲が開放されているため既存排水管の切断作業が効率良く行えながら、既存排水管を切断予定箇所で切断した際のその切断箇所からの排水を桝側部材の開口部から受け入れて新設排水管に排出することができる。そして、これらの工程の後に蓋側部材設置工程を行うことで、既存排水管の上流側の部分を挿通口に挿通させる状態で桝側部材の開口部を塞いで臭気漏れ等を防止することができるため、既存排水管の設置後に盛替えを行うことが必要になった場合でも、断水や排水を停止をすることなく既存排水管の盛替え作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】排水枡の正面図
図2】排水枡の側面図
図3】排水枡の平面図
図4】排水枡の縦断側面図
図5】排水管盛替え方法のフローチャート
図6】桝側部材設置工程の途中の状態を示す図
図7】桝側部材設置工程を行った状態を示す図
図8】切断除去工程を行った状態を示す図
図9】蓋部材設置工程を行った状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る排水桝、及び、それを用いた排水管盛替え方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図2及び図4に示すように、排水桝1は、桝側部材2と蓋側部材3とに分割されている。図1図3及び図4に示すように、桝側部材2は、既存排水管5の切断箇所5Aからの排水を受け入れる上向きの開口部6(図4参照)及び受け入れた排水を新設排水管7に排出する排出部8(図1及び図3参照)を備えている。図1から図4に示すように、蓋側部材3は、既存排水管5の切断箇所5Aより上流側の部分(以下、上流側残存部分5Bと称する)を挿通する横向きの挿通口9(図1及び図4参照)を形成する状態で桝側部材2の開口部6を塞ぐように構成されている。
【0016】
以下、桝側部材2と蓋側部材3とが重なる方向を上下方向Zと称する。また、排水桝1を既存排水管5や新設排水管7に対して設置した状態に基づいて、既存排水管5が延在する方向を既存延在方向Xと称し、新設排水管7が延在する方向を新設延在方向Yと称する。また、既存延在方向Xの一方側である既存排水管5の上流側を既存上流側X1、その反対側である既存排水管5の下流側を既存下流側X2と称し、新設延在方向Yの一方側である新設排水管7の上流側を新設上流側Y1、その反対側である新設排水管7の下流側を新設下流側Y2と称する。
本実施形態では、既存延在方向Xは、建物26の壁11と排水桝1とが並ぶ奥行き方向(図9参照)と同じ方向であり、新設延在方向Yは、上下方向視で既存延在方向Xに対して直交する方向であると共に壁11に沿う横幅方向(図3参照)と同じ方向である。
【0017】
桝側部材2及び蓋側部材3は樹脂材で構成されている。具体的には、桝側部材2及び蓋側部材3はFRP(繊維強化プラスチック)で構成されており、排水桝1の全体がFRPで構成されている。
桝側部材2と蓋側部材3との間には、桝側部材2と蓋側部材3との間からの臭気漏れ等を防止するためのシール材(図示せず)が備えられている。
【0018】
図1図4に示すように、桝側部材2は、桝側部材2の周壁を形成する桝側周壁部12と、開口部6からの排水を受け止める底部13(図4参照)と、新設排水管7に接続される排出部8及び流入部10(図1及び図3参照)とを備えている。
桝側周壁部12は、既存延在方向Xの両側に位置する一対の第1桝側壁部12Aと新設延在方向Yの両側に位置する一対の第2桝側壁部12Bとを備えて平面視で矩形状に形成されている。
【0019】
図4に示すように、形状に桝側周壁部12の上方側Z1の端部によって開口部6が形成されている。底部13は、下方側Z2に向けて凹入する形状に形成された排水通流用凹部16と、排水通流用凹部16に向けて傾斜する傾斜部17とを備えている。排水通流用凹部16は、新設延在方向視で円弧状に凹入して新設延在方向Yに沿う形状に形成されており、桝側部材2の新設延在方向Yの全長に亘って形成されている。傾斜部17は、既存延在方向Xの内側に向かうに従って下方側Z2に位置するように傾斜状に形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すように、排出部8は、桝側部材2から新設下流側Y2に向けて延びるように、一対の第2桝側壁部12Bのうちの新設下流側Y2の第2桝側壁部12Bの外面に接続されている。流入部10は、桝側部材2から新設上流側Y1に向けて延びるように、一対の第2桝側壁部12Bのうちの新設上流側Y1の第2桝側壁部12Bの外面に接続されている。排出部8及び流入部10は、第2桝側壁部12Bに形成されている排水通流口(図示せず)を介して排水通流用凹部16との間で排水を通流可能に構成されている。
【0021】
つまり、桝側部材2は、既存排水管5の切断箇所5Aから排出された排水を開口部6から受け入れ、その受け入れた排水を排水通流用凹部16に集めて新設下流側Y2に位置する排出部8から新設排水管7に流出させるように構成されている。
また、桝側部材2は、新設上流側Y1に位置する新設排水管7からの排水を流入部10を介して桝側部材2内に流入させ、その流入させた排水を新設下流側Y2に位置する排出部8から新設排水管7に流出させるように構成されている。
【0022】
図1から図4に示すように、蓋側部材3は、蓋側部材3の周壁を形成する蓋側周壁部22と、蓋側周壁部22によって囲まれている空間の上方側Z1を塞ぐ上壁部23とを備えている。
蓋側周壁部22は、既存延在方向Xの両側に位置する一対の第1蓋側壁部22Aと新設延在方向Yの両側に位置する一対の第2蓋側壁部22Bとを備えて平面視で矩形状に形成されている。一対の第1蓋側壁部22Aのうちの既存上流側X1にある第1蓋側壁部22Aには、挿通口9が形成されている。
【0023】
図1に示すように、挿通口9が形成されている第1蓋側壁部22Aは、新設延在方向Yの両側及び上方側Z1が囲まれると共に挿通口9の下方側Z2が開放されるように門型に形成されている。そのため、蓋側部材3は、既存排水管5の切断箇所5Aに被せるように既存排水管5に対して蓋側部材3を上方側Z1から移動させることで、挿通口9に既存排水管5を挿通させることができるように構成されている。尚、蓋側部材3を桝側部材2上に設置した状態では、挿通口9の下方側Z2の縁部は桝側部材2によって閉じられる。
挿通口9は、新設延在方向Yにおいて複数の既存排水管5を挿通可能な大きさに形成されており、既存排水管5が複数ある場合でも、それら複数の既存排水管5を1つの挿通口9に挿通可能に構成されている。
【0024】
図1図2及び図4に示すように、蓋側部材3は、壁11から延びる既存排水管5の上流側残存部分5Bを挿通口9に挿通させた状態で且つ壁11に接した状態で桝側部材2上に設置可能に構成されている。
説明を加えると、図4に示すように、壁11における枡側部材2が接する側(既存下流側X2)を向く面が平坦面であることを想定して、桝側部材2の壁11が存在する側(新設上流側Y1)を向く面が平面状に形成されている。そのため、桝側部材2は、桝側部材2の壁11が存在する側を向く面の全体が壁11に接した状態で設置可能となっており、桝側部材2の姿勢を安定させた状態で設置することができる。
そして、蓋側部材3についても、蓋側部材3の壁11が存在する側(新設上流側Y1)を向く面は平面状に形成されている。そのため、蓋側部材3は、蓋側部材3の壁11が存在する側を向く面の全体が壁11に接した状態で設置可能となっており、蓋側部材3の姿勢を安定させた状態で設置することができるとともに、挿通口9からの臭気漏れ等が防止されている。
尚、桝側部材2や蓋側部材3における壁11が存在する側の面にはシール材(図示せず)が備えられている。
【0025】
つまり、排水桝1は、図7及び図8に示すように、既存排水管5を切断箇所5Aで切断する前に桝側部材2と蓋側部材3とのうちの桝側部材2のみを切断箇所5Aの直下に設置しておくことで、図8に示すように、切断箇所5Aの周囲が開放されているため既存排水管5の切断作業が効率良く行えながら、既存排水管5を切断箇所5Aで切断した際のその切断箇所5Aからの排水を開口部6から受け入れて新設排水管7に排出することができる。そして、図9に示すように、既存排水管5の上流側残存部分5Bを挿通口9に挿通させる状態で桝側部材2上に蓋側部材3を設置することで、桝側部材2の開口部6を塞いで臭気漏れ等を防止することができる。
【0026】
次に、上記した排水桝1を利用した排水管盛替え方法について説明する。
図5に示すように、排水管盛替え工事を行う排水管盛替え方法では、桝側部材設置工程S1と切断除去工程S2と蓋側部材設置工程S3とを記載順に行う。
桝側部材設置工程S1は、図6に示すように新設排水管7を設置すると共に、図7に示すように既存排水管5の切断予定箇所5Cの真下に桝側部材2を設置して新設排水管7を桝側部材2の排出部8に接続する工程である。
切断除去工程S2は、図8に示すように、既存排水管5を切断予定箇所5Cで切断して既存排水管5における切断予定箇所5Cより下流側の部分5Dを取り除く工程である。
蓋側部材設置工程S3は、図9に示すように、既存排水管5の上流側残存部分5Bを挿通口9に挿通させた状態で蓋側部材3を桝側部材2上に設置する工程である。
【0027】
次に、排水管盛替え方法の詳細について、図6に示すように地下空間の一例であるドライエリア27を横切る状態で既存排水管5が設置されている場合に基づいて説明を加える。
図6に示す例では、建物26における地階の壁11からドライエリア27に既存排水管5が延びており、この既存排水管5は、ドライエリア27及び擁壁28を通って既存排水桝29に接続されている。本実施形態では、ドライエリア27を利用して排水桝1を設置する。尚、擁壁28上には手摺り30が設置されている。
【0028】
最初に行う桝側部材設置工程S1では、図6及び図7に示すように、新設排水管7を設置した後に桝側部材2を設置する。新設排水管7を設置する場合は、図6に示すように、擁壁28上に支持枠31を設置し、この支持枠31にロッドやワイヤー等の排水管用支持具32を用いて新設排水管7を吊り下げ支持させた状態で設置する。このように新設排水管7を設置する場合、桝側部材2における排出部8に接続する新設排水管7と流入部10に接続する新設排水管7とを、桝側部材2の既存延在方向Xの長さ分だけ間隔を空けた状態で新設延在方向Yに並べて設置する。
【0029】
そして、新設排水管7を設置した後、図7に示すように、支持枠31にロッドやワイヤー等の桝用支持具33を用いて桝側部材2を吊り下げた状態で設置する。このように桝側部材2を設置する場合、既存排水管5の切断予定箇所5Cの真下に開口部6が位置し且つ一対の第1桝側壁部12Aのうちの既存上流側X1にある第1桝側壁部12Aが壁11に接するように既存排水管5の下方側Z2に設置する。その後、桝側部材2の排出部8及び流入部10に新設排水管7を接続する。
【0030】
桝側部材設置工程S1が完了した後に行う切断除去工程S2では、図8に示すように、既存排水管5を切断予定箇所5Cで切断して既存排水管5における切断予定箇所5C(切断箇所5A)より下流側の部分5Dを取り除く。本実施形態では、既存排水管5における切断予定箇所5Cより下流側の部分5Dの全てを取り除くのではなく、切断予定箇所5Cから既存下流側X2の設定範囲の部分のみを取り除いている。そのため、切断予定箇所5Cに加えて、この切断予定箇所5Cから設定距離だけ既存下流側X2の位置にある下流側箇所5Eでも既存排水管5を切断しており、この下流側箇所5Eより下流側に残存する下流側残存部分5Fは取り除かれていない。
上流側残存部分5Bの既存下流側X2の端部(切断箇所5A)には、エルボ状の継手34を接続しており、切断箇所5Aから排出される排水の向きを下方側Z2に変更している。また、下流側残存部分5Fの既存上流側X1の端部(下流側箇所5E)には、止水用のプラグ35を取り付ける。
【0031】
切断除去工程S2が完了した後に行う蓋側部材設置工程S3では、図9に示すように、既存排水管5の上流側残存部分5Bを挿通口9に挿通させた状態で蓋側部材3を桝側部材2上に設置する。このように蓋側部材3を設置する場合、一対の第1蓋側壁部22Aのうちの既存上流側X1にある第1蓋側壁部22Aを壁11に接する状態で蓋側部材3を設置することで挿通口9を塞ぐことができると共に、壁11と蓋側部材3とによって開口部6を塞ぐことができ、開口部6からの臭気漏れを防止することができる。
【0032】
上述のように、桝側部材設置工程S1の後に切断除去工程S2を行うことで、切断箇所5Aの周囲が開放されているため既存排水管5の切断作業が効率良く行えながら、既存排水管5を切断予定箇所5Cで切断した際のその切断箇所5Aからの排水を桝側部材2の開口部6から受け入れて新設排水管7に排出することができる。そして、これらの工程の後に蓋側部材設置工程S3を行うことで、既存排水管5の上流側残存部分5Bを挿通口9に挿通させる状態で桝側部材2の開口部6を塞いで臭気漏れ等を防止することができる。
【0033】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0034】
(1)上記実施形態では、第2桝側壁部12Bに排出部8を接続したが、新設排水管7を設置する方向によっては、第1桝側壁部12Aに排出部8を接続してもよい。また、第2桝側壁部12Bに流入部10を接続したが、同様に、第1桝側壁部12Aに流入部10を接続してもよい。また、新設排水管7の上流側端部に排水桝1を設置する場合であって新設排水管7から排水を流入させる必要がない場合は、桝側部材2に流入部10を備えなくてもよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、桝側部材2及び蓋側部材3をFRPで構成する例を説明した。しかし、桝側部材2及び蓋側部材3の材質は適宜変更してもよく、桝側部材2及び蓋側部材3の一方又は双方をFRP以外の樹脂材で構成したり、桝側部材2や蓋側部材3の一方又は双方をステンレス等の金属材で構成してもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、蓋側部材3を壁11に接する状態で設置することで挿通口9を塞ぐ構成を例として説明した。しかし、例えば、挿通口9と第1桝側壁部12Aとの間に形成される隙間を塞ぐ塞ぎ材を挿通口9に設置する等、挿通口9を塞ぐ構成は適宜変更してもよい。
【0037】
(4)上記実施形態では、第1桝側壁部12Aを門型に形成して挿通口9を下方側Z2が開放する形状としたが、第1桝側壁部12Aをロ型に形成して挿通口9の下方側Z2が開放されない形状としてもよい。
【0038】
(5)上記実施形態では、排水桝1を支持枠31に吊り下げ支持した状態で設置する例を説明した。しかし、排水桝1を支持する構成は適宜変更してもよい。例えば、排水桝1の下方側Z2に支持枠31を設置して支持枠31によって下方側Z2から支持した状態で設置してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 排水桝
2 桝側部材
3 蓋側部材
5 既存排水管
5A 切断箇所
5B 上流側残存部分(上流側の部分)
5C 切断予定箇所
6 開口部
7 新設排水管
8 排出部
9 挿通口
11 壁
S1 桝側部材設置工程
S2 切断除去工程
S3 蓋側部材設置工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9