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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062703
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】換気空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240501BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20240501BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240501BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240501BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240501BHJP
   F24F 110/50 20180101ALN20240501BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20240501BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20240501BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/003
F24F11/46
F24F11/64
F24F11/74
F24F110:50
F24F110:70
F24F120:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170727
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】萩平 隆司
(72)【発明者】
【氏名】上田 真也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE01
3L260AB15
3L260BA07
3L260BA09
3L260BA12
3L260BA42
3L260CA03
3L260CA17
3L260EA07
3L260FA07
3L260FC02
3L260FC03
3L260FC06
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】換気空気浄化システムにおいて、エネルギ効率の向上を図りながら、室内空間における局所的な在室者の集中に起因する空気質悪化による感染症の感染リスク上昇などを抑制する。
【解決手段】室内空間R全体における全体空気汚染度を検知する検知手段54と、当該検知手段54で検知された全体空気汚染度から個別エリアRa,Rbにおける基準個別人密集度を推定する推定手段64と、個別エリアRa,Rbにおける実個別人密集度を検知する検知手段66と、を備え、換気風量制御手段52が、全体空気汚染度に応じて全体換気部10の目標換気風量を決定し、循環風量制御手段62が、基準個別人密集度に対する実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて個別空気浄化部20a,20bの目標循環風量を決定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間全体の空気を外気と交換して換気する全体換気部の換気風量を所定の目標換気風量に制御する換気風量制御手段と、前記室内空間の一部である個別エリアの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部の循環風量を所定の目標循環風量に制御する循環風量制御手段と、を備えた換気空気浄化システムであって、
前記室内空間全体における空気汚染度を全体空気汚染度として検知する全体空気汚染度検知手段と、
前記全体空気汚染度検知手段で検知された全体空気汚染度から前記個別エリアにおける人の密集度を基準個別人密集度として推定する基準個別人密集度推定手段と、
前記個別エリアにおける実際の人の密集度を実個別人密集度として検知する実個別人密集度検知手段と、を備え、
前記換気風量制御手段が、前記全体空気汚染度に応じて前記目標換気風量を決定し、
前記循環風量制御手段が、前記基準個別人密集度に対する前記実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて前記目標循環風量を決定する換気空気浄化システム。
【請求項2】
前記循環風量制御手段が、前記人密集度基準超過幅に応じて決定される前記目標循環風量が前記個別空気浄化部における循環風量の設定範囲上限値である最大循環風量を超える場合には、前記個別空気浄化部の循環風量を当該最大循環風量に設定すると共に、
前記換気風量制御手段が、前記全体空気汚染度に応じて決定された前記目標換気風量を、前記目標循環風量に対する前記最大循環風量の不足分である循環風量不足幅に応じて増加させる請求項1に記載の換気空気浄化システム。
【請求項3】
前記室内空間における空気の二酸化炭素濃度を測定可能な二酸化炭素濃度センサを備え、
前記全体空気汚染度検知手段が、前記二酸化炭素濃度センサで測定された前記室内空間における空気の二酸化炭素濃度に基づいて前記全体空気汚染度を検知し、
前記基準個別人密集度推定手段が、前記二酸化炭素濃度センサで測定された前記室内空間における二酸化炭素濃度に基づいて前記室内空間全体における在室者数を推定し、当該推定した前記室内空間における在室者数を前記個別エリアに按分して前記基準個別人密集度を算出する請求項1又は2に記載の換気空気浄化システム。
【請求項4】
前記室内空間における在室者数を測定可能な人感センサを備え、
前記全体空気汚染度検知手段が、前記人感センサで測定された前記室内空間における在室者数に基づいて前記全体空気汚染度を検知し、
前記基準個別人密集度推定手段が、前記人感センサで測定された前記室内空間における在室者数を前記個別エリアに按分して前記基準個別人密集度を算出する請求項1又は2に記載の換気空気浄化システム。
【請求項5】
前記個別エリアにおける在室者数を測定可能な人感センサを備え、
前記実個別人密集度検知手段が、前記人感センサで測定された前記個別エリアにおける在室者数に基づいて前記実個別人密集度を検知する請求項1又は2に記載の換気空気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間全体の空気を外気と交換して換気する全体換気部の換気風量を所定の目標換気風量に制御する換気風量制御手段と、前記室内空間の一部である個別エリアの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部の循環風量を所定の目標循環風量に制御する循環風量制御手段と、を備えた換気空気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
効率的な換気を実現するために、全体換気部とは別に室内空間の一部である個別エリアの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部を設置し、換気風量の増加分の一部を個別空気浄化部の循環風量に置き換える技術が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
即ち、特許文献1記載の換気空気浄化システムは、全体換気部(換気装置20)の換気風量(外気風量)を制御する換気風量制御手段(換気制御部200)と、個別空気浄化部(空気調和装置30)の循環風量(還気風量)を制御する循環風量制御手段(空調機制御部202)を備える。そして、換気風量制御手段(換気制御部200)では、室内空間全体における全体空気汚染度(CO濃度、在室者数)に応じて全体換気部(換気装置20)の換気風量(外気風量)が決定される。循環風量制御手段(空調機制御部202)では、基準となる換気回数(例えば1時間あたり2回)に対応する合計風量設定値から上記換気風量(外気風量)を減算した値が個別空気浄化部(空気調和装置30)の循環風量(還気風量)に決定される。すると、換気すべき空気の風量の一部が空気浄化される空気の風量に置き換えられて、全体換気部にて実際に換気される空気の風量と空気浄化部にて実際に空気浄化される空気の風量との合計が上記合計風量設定値となるように、換気が行われることになる。このことで、効率的な換気回数を確保できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-086036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば感染症の感染防止対策として、全体換気部による換気を増強することが望まれる。しかしながら、換気を増強するべく全体換気部の換気風量を増加させると、エネルギ効率の悪化を招く。そこで、上記特許文献1記載の換気空気浄化システムのように、換気すべき空気の風量の一部を空気浄化される空気の風量に置き換えることでエネルギ効率の悪化は抑制できるものの、室内空間における局所的な在室者の集中に起因する空気質の悪化を抑制できないという問題がある。
【0006】
即ち、室内空間において在室者が均等に分散しているのではなく特定の個別エリアに偏って滞在している場合がある。そのような場合には、当該特定の個別エリアにおいて、人の密集度が他の個別エリアと比べて局所的に増加して、空気質が悪化する。しかしながら、上記特許文献1記載の換気空気浄化システムでは、個別エリアにおける個別空気浄化部の循環風量が、室内空間における在室者の偏りとは関係なく、基準となる換気回数に対応する全体風量設定値から室内空間全体における全体空気汚染度に応じて決定された換気風量を減算した値に設定されている。よって、上述のような特定の個別エリアにおける人の密集度の増加に起因する空気質の悪化を抑制することはできない。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、室内空間全体の空気を換気する全体換気部の換気風量を所定の目標換気風量に制御する換気風量制御手段と、室内空間の一部である個別エリアの空気を浄化する個別空気浄化部の循環風量を制御する循環風量制御手段と、を備えた換気空気浄化システムにおいて、エネルギ効率の向上を図りながら、室内空間における局所的な在室者の集中に起因する空気質悪化による感染症の感染リスク上昇などを抑制するための技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、室内空間全体の空気を外気と交換して換気する全体換気部の換気風量を所定の目標換気風量に制御する換気風量制御手段と、前記室内空間の一部である個別エリアの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部の循環風量を所定の目標循環風量に制御する循環風量制御手段と、を備えた換気空気浄化システムであって、
前記室内空間全体における空気汚染度を全体空気汚染度として検知する全体空気汚染度検知手段と、
前記全体空気汚染度検知手段で検知された全体空気汚染度から前記個別エリアにおける人の密集度を基準個別人密集度として推定する基準個別人密集度推定手段と、
前記個別エリアにおける実際の人の密集度を実個別人密集度として検知する実個別人密集度検知手段と、を備え、
前記換気風量制御手段が、前記全体空気汚染度に応じて前記目標換気風量を決定し、
前記循環風量制御手段が、前記基準個別人密集度に対する前記実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて前記目標循環風量を決定する点にある。
【0009】
本構成によれば、室内空間全体を換気する全体換気部の換気風量が、上記換気風量制御手段により、当該室内空間における全体空気汚染度に応じて決定された目標換気風量に制御されて、室内空間全体の空気汚染度の上昇が抑制される。
このことで、実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度以下である個別エリア(以下「低密集個別エリア」と呼ぶ場合がある。)については、当該低密集個別エリアにおける空気質の悪化を抑制するのに十分な換気が全体換気部により行われる。更に、当該低密集個別エリアでは、空気を循環させて浄化する個別空気浄化部の循環風量の増加を必要としないため、当該循環風量の増加に伴うエネルギ効率の低下が抑制される。
一方、在室者の集中により実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度よりも大きい個別エリア(以下「高密集個別エリア」と呼ぶ場合がある。)については、当該高密集個別エリアの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部の循環風量が、上記循環風量制御手段により、基準個別人密集度に対する実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて決定された目標循環風量に制御される。よって、当該高密集個別エリアにおける実個別人密集度の増加による空気質の悪化が効率良く抑制される。
従って、本発明により、室内空間全体の空気を換気する全体換気部の換気風量を所定の目標換気風量に制御する換気風量制御手段と、室内空間の一部である個別エリアの空気を浄化する個別空気浄化部の循環風量を制御する循環風量制御手段と、を備えた換気空気浄化システムにおいて、エネルギ効率の向上を図りながら、室内空間における局所的な在室者の集中に起因する空気質悪化による感染症の感染リスク上昇などを抑制するための技術を提供できる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記循環風量制御手段が、前記人密集度基準超過幅に応じて決定される前記目標循環風量が前記個別空気浄化部における循環風量の設定範囲上限値である最大循環風量を超える場合には、前記個別空気浄化部の循環風量を当該最大循環風量に設定すると共に、
前記換気風量制御手段が、前記全体空気汚染度に応じて決定された前記目標換気風量を、前記目標循環風量に対する前記最大循環風量の不足分である循環風量不足幅に応じて増加させる点にある。
【0011】
本構成によれば、実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度よりも大きい高密集個別エリアでは、人密集度基準超過幅の増加に伴って個別空気浄化部の目標循環風量を増加させるにあたり、当該人密集度基準超過幅に応じて決定された目標循環風量が個別空気浄化部の最大循環風量を超える場合であっても、当該個別空気浄化部の循環風量は最大循環風量に制限されることになる。すると、当該個別空気浄化部の空気浄化だけでは感染症の感染リスク上昇などの要因となる空気質悪化の抑制効果は不十分となる。
そこで、上記のように個別空気浄化部の循環風量が目標循環風量よりも小さい最大循環風量に制限された高密集個別エリアが存在する場合において、全体換気部の目標換気風量が当該高密集個別エリアにおける目標循環風量に対する最大循環風量の不足分である循環風量不足幅に応じて増加される。よって、当該高密集個別エリアにおける個別空気浄化部の空気浄化による空気質悪化の抑制効果の不足分を全体換気部の換気風量の増加により補うことができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記室内空間における空気の二酸化炭素濃度を測定可能な二酸化炭素濃度センサを備え、
前記全体空気汚染度検知手段が、前記二酸化炭素濃度センサで測定された前記室内空間における空気の二酸化炭素濃度に基づいて前記全体空気汚染度を検知し、
前記基準個別人密集度推定手段が、前記二酸化炭素濃度センサで測定された前記室内空間における二酸化炭素濃度に基づいて前記室内空間全体における在室者数を推定し、当該推定した前記室内空間における在室者数を前記個別エリアに按分して前記基準個別人密集度を算出する点にある。
【0013】
室内空間の全体空気汚染度は当該室内空間全体における空気の二酸化炭素濃度に対応するものとして把握することができる。そこで、本構成によれば、全体空気汚染度検知手段により、上記二酸化炭素濃度センサで測定された室内空間全体における空気の二酸化炭素濃度自身やそれに基づく指標を、全体空気汚染度として検知することができる。その場合には、基準個別人密集度推定手段は、その室内空間全体の二酸化炭素濃度を当該一人あたりが発生すると考えられる二酸化炭素濃度で除算するなどの簡単な方法で、室内空間全体における在室者数を推定できる。更に、基準個別人密集度推定手段は、その推定された室内空間全体における在室者数を個別エリアの室内空間全体に対する床面積割合などで乗算するなどの簡単な方法で室内空間全体における在室者数を個別エリアに按分し個別エリアにおける在室者数を算出できる。そして、基準個別人密集度推定手段は、その個別エリアにおける在室者数自身又はそれを床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数などを個別エリアにおける基準個別人密集度として算出できる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記室内空間における在室者数を測定可能な人感センサを備え、
前記全体空気汚染度検知手段が、前記人感センサで測定された前記室内空間における在室者数に基づいて前記全体空気汚染度を検知し、
前記基準個別人密集度推定手段が、前記人感センサで測定された前記室内空間における在室者数を前記個別エリアに按分して前記基準個別人密集度を算出する点にある。
【0015】
室内空間の全体空気汚染度は当該室内空間全体における空気の二酸化炭素濃度に対応するものとして把握することができ、その二酸化炭素濃度は当該室内空間全体における在室者数に応じて増減するものとなる。そこで、本構成によれば、全体空気汚染度検知手段により、上記人感センサで測定された室内空間全体における在室者数自身やそれに基づく指標を、全体空気汚染度として検知することができる。その場合には、基準個別人密集度推定手段は、その室内空間全体における在室者数を個別エリアの室内空間全体に対する床面積割合などで乗算するなどの簡単な方法で室内空間全体における在室者数を個別エリアに按分し個別エリアにおける在室者数を算出できる。そして、基準個別人密集度推定手段は、その個別エリアにおける在室者数自身又はそれを床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数などを個別エリアにおける基準個別人密集度として算出できる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記個別エリアにおける在室者数を測定可能な人感センサを備え、
前記実個別人密集度検知手段が、前記人感センサで測定された前記個別エリアにおける在室者数に基づいて前記実個別人密集度を検知する点にある。
【0017】
本構成によれば、実個別人密集度検知手段は、人感センサで測定された個別エリアにおける在室者数を、個別エリアの床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数などを実個別人密集度として検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る換気空気浄化システムの共通構成を示す概略構成図
図2】第1実施形態に係る換気空気浄化システムの構成を示す概略構成図
図3】第2実施形態に係る換気空気浄化システムの構成を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る換気空気浄化システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る換気空気浄化システム(以下「本システム」と呼ぶ。)100は、複数の個別エリアRa,Rbを有する室内空間Rの換気や空気浄化を実施するためのシステムとして構成されている。
【0020】
室内空間Rには、その室内空間R全体の空気を外気OAと交換して換気する全体換気部10が設けられている。全体換気部10は、換気装置や外気処理空調装置等として構成されている。即ち、全体換気部10では、外気取込用ファン12により屋外から取り込まれた外気OAが室内空間Rへ供給されると共に、排気用ファン13により室内空間Rから取り込まれた室内空気が排気EAとして屋外へ排出される。
全体換気部10には、当該全体換気部10の作動を制御する全体換気部用制御装置50が設けられている。
【0021】
全体換気部10に取り込まれる排気EAが通流する排気ダクトには、当該排気EAとして屋外へ排出される室内空間R全体の室内空気の二酸化炭素濃度を測定可能な二酸化炭素濃度センサ40が設置されている。即ち、二酸化炭素濃度センサ40で測定された二酸化炭素濃度は、室内空間R全体における室内空気の平均的な二酸化炭素濃度に相当するものとなる。
【0022】
室内空間Rの一部である複数の個別エリアRa,Rbの夫々には、当該個別エリアRa,Rbの空気を循環させて浄化する個別空気浄化部20a,20bが、例えば個別エリアRa,Rbの天井部に設置されている。個別空気浄化部20a,20bは、詳細については後述するが、空気清浄装置20A(図2参照)や空気清浄機能付きの空調装置20B(図3参照)として構成されている。即ち、夫々の個別空気浄化部20a,20bでは、循環用ファン22により個別エリアRa,Rbからプレフィルタ26を通じて取り込まれた室内空気RAが空気浄化用フィルタ24を通過してろ過により浄化されて、当該浄化後の室内空気RAが浄化済みの給気SAとして個別エリアRa,Rbに戻される。尚、空気浄化用フィルタ24としては、通過する空気中の感染性エアロゾルを除去できるものであれば良く、中性能フィルタやHEPAフィルタ(高性能フィルタ)を用いることができ、粒子捕集効率を向上するために帯電しているものであっても良い。
夫々の個別空気浄化部20a,20bには、当該個別空気浄化部20a,20bの作動を制御する個別空気浄化部用制御装置60a,60bが設けられている。
【0023】
夫々の個別エリアRa,Rbには、当該個別エリアRa,Rbにおける在室者数を測定可能な人感センサ42a,42bが設けられている。例えば、このような人感センサ42a,42bとしては、人の位置や数を測定可能な画像型やサーモパイル型の人感センサを用いることができる。
【0024】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態の換気空気浄化システムの詳細構成について主に図2に基づいて説明する。
本実施形態の換気空気浄化システムでは、夫々の個別エリアRa,Rbに設けられた個別空気浄化部20a,20bが、個別エリアRa,Rbの空気浄化を主として実施する空気清浄装置20Aとして構成されている。更に、夫々の個別空気浄化部20a,20bの作動を制御する個別空気浄化部用制御装置60a,60bとして、空気清浄装置20Aの作動を制御する空気清浄装置用制御装置60Aが夫々の個別エリアRa,Rbに設けられている。
尚、夫々の個別エリアRa,Rbでは、上記空気清浄装置20Aとは別にパッケージエアコン等の空調装置30を設けて、当該空調装置30により個別エリアRa,Rbの空調を適宜実施できる。
【0025】
全体換気部10の作動を制御する全体換気部用制御装置50は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する換気風量制御手段52、及び全体空気汚染度検知手段54として機能する。
【0026】
換気風量制御手段52は、例えば外気取込用ファン12及び排気用ファン13の送風出力やそれらに通じるダクトに設けられたダンパ(図示省略)の開度を調整するなどの形態で、室内空間R全体への外気OAの供給量に相当する全体換気部10の換気風量を、後述する決定方法によって決定された所定の目標換気風量に制御するものとして構成されている。
【0027】
全体空気汚染度検知手段54は、室内空間R全体における空気汚染度を全体空気汚染度として検知するものとして構成されている。更に、室内空間Rの全体空気汚染度は当該室内空間R全体における空気の二酸化炭素濃度に対応するものとして把握できる。このことを利用して、全体空気汚染度検知手段54では、例えば二酸化炭素濃度センサ40で測定された室内空間Rにおける室内空気の二酸化炭素濃度が高いほど上記全体空気汚染度が高いと判断する形態で、当該二酸化炭素濃度センサ40で測定された二酸化炭素濃度に基づいて上記全体空気汚染度が検知される。即ち、全体空気汚染度検知手段54により、二酸化炭素濃度センサ40で測定された室内空間R全体における空気の二酸化炭素濃度自身やそれに基づく指標が、全体空気汚染度として検知される。
【0028】
換気風量制御手段52では、例えば全体空気汚染度検知手段54で検知された全体空気汚染度が高いほど目標換気風量を大きくする形態で、全体空気汚染度検知手段54で検知された全体空気汚染度に応じて上記目標換気風量が決定され、全体換気部10の換気風量が当該決定された目標換気風量に制御される。すると、室内空間R全体の空気汚染度の上昇が抑制される。
【0029】
夫々の個別エリアRa,Rbにおいて、空気清浄装置20Aの作動を制御する空気清浄装置用制御装置60Aは、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する循環風量制御手段62、基準個別人密集度推定手段64、及び実個別人密集度検知手段66として機能する。
【0030】
循環風量制御手段62は、例えば循環用ファン22の送風出力やそれに通じるダクトに設けられたダンパ(図示省略)の開度を調整するなどの形態で、個別エリアRa,Rbへの浄化済みの給気SAの供給量に相当する空気清浄装置20Aの循環風量を、後述する決定方法により決定された所定の目標循環風量に制御するものとして構成されている。
【0031】
基準個別人密集度推定手段64及び実個別人密集度検知手段66は、個別エリアRa,Rbにおける人の密集度である個別人密集度を推定又は検知する手段である。尚、本実施形態において、人の密集度は、単位床面積あたりの在室者数を示す指標とする。
基準個別人密集度推定手段64は、前述の全体換気部用制御装置50の全体空気汚染度検知手段54で検知された全体空気汚染度から個別エリアRa,Rbにおける個別人密集度を基準個別人密集度として推定するものとして構成されている。基準個別人密集度推定手段64では、例えば二酸化炭素濃度センサ40で測定された室内空間R全体の二酸化炭素濃度を当該一人あたりが発生すると考えられる二酸化炭素濃度で除算するなどの形態で、二酸化炭素濃度センサ40で測定された室内空間Rにおける二酸化炭素濃度に基づいて室内空間R全体における在室者数が推定される。例えばその推定された室内空間R全体における在室者数を個別エリアRa,Rbの室内空間R全体に対する床面積割合などで乗算するなどの形態で、室内空間R全体における在室者数が個別エリアRa,Rbに按分されて個別エリアRa,Rbにおける在室者数が算出される。そして、その算出された在室者数自身又はそれを当該個別エリアRa,Rbの床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数が、個別エリアRa,Rbにおける基準個別人密集度として算出される。
【0032】
実個別人密集度検知手段66は、人感センサ42a,42bで測定された個別エリアRa,Rbにおける在室者数に基づいて、個別エリアRa,Rbにおける実際の人密集度を実個別人密集度として検知するものとして構成されている。実個別人密集度検知手段66では、例えば人感センサ42a,42bで測定された個別エリアRa,Rbにおける在室者数自身又はそれを当該個別エリアRa,Rbの床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数が、実個別人密集度として検知される。
【0033】
上記基準個別人密集度推定手段64で推定された基準個別人密集度に対する上記実個別人密集度検知手段66で検定された実個別人密集度の超過分を、人密集度基準超過幅と呼ぶ。この人密集度基準超過幅は、室内空間Rにおいて在室者がその個別エリアRa,Rbに偏って滞在している程度を示す指標となる。循環風量制御手段62では、例えば人密集度基準超過幅が大きいほど目標循環風量を大きくする形態で、基準個別人密集度に対する実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて上記目標循環風量が決定されて、空気清浄装置20Aの循環風量が当該決定された目標循環風量に制御される。
【0034】
例えば、本実施形態において、図1を参照して、室内空間Rには、個別在室者の集中により実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度よりも大きい高密集個別エリアRaと、実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度以下である低密集個別エリアRbとが存在していると仮定する。
上述したような構成により、低密集個別エリアRbについては、上記人密集度基準超過幅が0であることから、上記循環風量制御手段62により、空気清浄装置20Aの循環風量が0又は所定の最低循環風量に設定される。すると、当該低密集個別エリアRbでは、適切な空気質を保つための十分な換気が全体換気部10により行われる。更に、低密集個別エリアRbでは、当該空気清浄装置20Aの循環風量の増加を必要としないため、当該循環風量の増加に伴うエネルギ効率の低下が抑制される。
一方、高密集個別エリアRaについては、上記空気清浄装置20Aの循環風量が、上記循環風量制御手段62により、人密集度基準超過幅に応じて決定された目標循環風量に制御される。すると、当該高密集個別エリアRaでは、全体換気部10による換気に加えて、空気清浄装置20Aによる十分な空気浄化が行われることになって、感染症の感染リスク上昇などの要因となる実個別人密集度の増加による空気質悪化が効率良く抑制される。
【0035】
空気清浄装置20Aでは、一般的に、循環風量の設定範囲上限値である最大循環風量が設定されている。その場合には、空気清浄装置20Aの循環風量は、その最大循環風量以下の範囲内でのみ調整可能であり、その最大循環風量を超える循環風量の設定ができない。
そこで、高密集個別エリアRaの循環風量制御手段62では、上記人密集度基準超過幅に応じて決定される目標循環風量が空気清浄装置20Aの最大循環風量を超える場合であっても、空気清浄装置20Aの循環風量が当該最大循環風量に設定される。その目標循環風量に対する前記最大循環風量の不足分である循環風量不足幅が循環風量制御手段62から換気風量制御手段52に伝達される。
すると、換気風量制御手段52では、例えば循環風量制御手段62から伝達された循環風量不足幅が大きいほど目標換気風量を大きく増加させる形態で、上記全体空気汚染度に応じて決定された目標換気風量が、当該循環風量不足幅に応じて増加される。
このような構成により、高密集個別エリアRaにおいて、人密集度基準超過幅に応じて決定された空気清浄装置20Aの最大循環風量を超える場合に、空気清浄装置20Aの循環風量が最大循環風量に制限されることで当該空気清浄装置20Aの空気浄化だけでは感染症の感染リスク上昇の要因となる空気質悪化の抑制効果は不十分となるものの、全体換気部10の目標換気風量が上記循環風量不足幅に応じて増加される。よって、空気清浄装置20Aの空気浄化による空気質悪化の抑制効果の不足分が全体換気部10の換気風量の増加により補われる。
【0036】
尚、上記実施形態では、全体空気汚染度検知手段54は、二酸化炭素濃度センサ40で測定された室内空間Rにおける空気の二酸化炭素濃度に基づいて全体空気汚染度を検知したが、かかる二酸化炭素濃度センサ40を省略して、別の方法で全体空気汚染度を検知することもできる。例えば、室内空間Rの全体空気汚染度は当該室内空間R全体における空気の二酸化炭素濃度に対応するものとして把握することができ、その二酸化炭素濃度は当該室内空間R全体における在室者数に応じて増減する。このことを利用して、全体空気汚染度検知手段54は、夫々の個別エリアRa,Rbに設けられた全ての人感センサ42a,42bで測定された室内空間R全体における在室者数に基づいて全体空気汚染度を検知するものとして構成できる。例えば、全体空気汚染度検知手段54は、全ての人感センサ42a,42bの夫々で測定された在室者数を合計して得た室内空間R全体の在室者数が多いほど上記全体空気汚染度が高いと判断する形態で、当該人感センサ42a,42bで測定された室内空間R全体における在室者数に基づいて全体空気汚染度を検知することができる。即ち、全体空気汚染度検知手段54により、人感センサ42a,42bで測定された室内空間R全体における在室者数自身やそれに基づく指標が、全体空気汚染度として検知される。
【0037】
更に、基準個別人密集度推定手段64では、例えば全体空気汚染度検知手段54で算出された室内空間R全体における在室者数を個別エリアRa,Rbの室内空間R全体に対する床面積割合などで乗算するなどの形態で、当該室内空間R全体における在室者数が個別エリアRa,Rbに按分されて個別エリアRa,Rbにおける在室者数が算出される。その算出された在室者数自身又はそれを当該個別エリアRa,Rbの床面積で除算して得た単位床面積あたりの在室者数が、個別エリアRa,Rbにおける基準個別人密集度として算出される。
【0038】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の換気空気浄化システムの詳細構成について主に図3に基づいて説明する。尚、前述の第1実施形態(図2参照)と同様の構成については説明を割愛する場合がある。
【0039】
本実施形態の換気空気浄化システムでは、夫々の個別エリアRa,Rbに設けられた個別空気浄化部20a,20bが、個別エリアRa,Rbの空気浄化を実施する空気清浄機能が付加された個別エリアRa,Rbの空調を実施する空気清浄機能付きのパッケージエアコン等の空調装置20Bとして構成されている。即ち、空調装置20Bは、循環用ファン22により個別エリアRa,Rbからプレフィルタ26を通じて室内空気RAを取り込み、当該取り込んだ室内空気RAを空気浄化用フィルタ24に通過させてろ過により浄化すると共に温調用コイル28に通過させて温調調整し、当該浄化及び温度調整後の室内空気RAを浄化温調済みの給気SAとして個別エリアRa,Rbに戻すものとして構成されている。更に、夫々の個別空気浄化部20a,20bの作動を制御する個別空気浄化部用制御装置60a,60bとして、空調装置20Bの作動を制御する空調装置用制御装置60Bが夫々の個別エリアRa,Rbに設けられている。
【0040】
全体換気部10の作動を制御する全体換気部用制御装置50は、前述の第1実施形態のもの(図2参照)と同様の構成が採用されている。
夫々の個別エリアRa,Rbにおいて、空調装置20Bの作動を制御する空調装置用制御装置60Bは、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する循環風量制御手段62、基準個別人密集度推定手段64、実個別人密集度検知手段66、及び空調用循環風量決定手段68として機能する。尚、基準個別人密集度推定手段64及び実個別人密集度検知手段66については、前述の第1実施形態における空気清浄装置用制御装置60Aのもの(図2参照)と同様の構成が採用されている。
【0041】
循環風量制御手段62は、例えば循環用ファン22の送風出力やそれに通じるダクトに設けられたダンパ(図示省略)の開度を調整するなどの形態で、個別エリアRa,Rbへの浄化済みの給気SAの供給量に相当する空調装置20Bの循環風量を、後述する決定方法により決定された所定の目標循環風量に制御するものとして構成されている。
空調用循環風量決定手段68は、例えば個別エリアRa,Rbの室内温度が所定の設定室内温度となるように、空調用循環風量を決定するものとして構成されている。
【0042】
上記基準個別人密集度推定手段64で推定された基準個別人密集度に対し、上記実個別人密集度検知手段66で検定された実個別人密集度の超過分を、人密集度基準超過幅と呼ぶ。この人密集度基準超過幅は、室内空間Rにおいて在室者がその個別エリアRa,Rbに偏って滞在している程度を示す指標となる。循環風量制御手段62では、例えば人密集度基準超過幅が大きいほど空気浄化用循環風量を大きくする形態で、基準個別人密集度に対する実個別人密集度の超過分である人密集度基準超過幅に応じて上記空気浄化用循環風量が決定される。そして、循環風量制御手段62では、その空気浄化用循環風量を上記空調用循環風量決定手段68で決定された空調用循環風量に加算したものが目標循環風量として決定され、空調装置20Bの循環風量が当該決定された目標循環風量に制御される。
【0043】
例えば、本実施形態において、図1を参照して、室内空間Rには、個別在室者の集中により実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度よりも大きい高密集個別エリアRaと、実個別人密集度が全体空気汚染度から推定される基準個別人密集度以下である低密集個別エリアRbとが存在していると仮定する。
上述したような構成により、低密集個別エリアRbについては、上記人密集度基準超過幅が0であることから、上記循環風量制御手段62により、空調装置20Bの循環風量が上記空調用循環風量決定手段68により決定された空調用循環風量に設定される。すると、当該低密集個別エリアRbでは、適切な空気質を保つための十分な換気が全体換気部10により行われる。更に、低密集個別エリアRbでは、当該空調装置20Bの循環風量の空調用循環風量に対する増加を必要としないため、当該循環風量の増加に伴うエネルギ効率の低下が抑制される。
【0044】
一方、高密集個別エリアRaについては、上記空調装置20Bの循環風量が、上記循環風量制御手段62により、上記空調用循環風量決定手段68により決定された空調用循環風量に対して人密集度基準超過幅に応じて決定された空気浄化用循環風量が加算された目標循環風量に制御される。すると、当該高密集個別エリアRaでは、全体換気部10による換気に加えて、空調装置20Bによる十分な空気浄化が行われることになって、感染症の感染リスク上昇などの要因となる実個別人密集度の増加による空気質悪化が効率良く抑制される。
【0045】
尚、本実施形態では、空調用循環風量に空気浄化用循環風量を加算したものを空調装置20Bの目標循環風量としたが、例えば、空調用循環風量と空気浄化用循環風量とのうちの大きい方を空調装置20Bの目標循環風量とすることができる。即ち、実個別人密集度が比較的小さく、それに応じて決定される空気浄化用循環風量が、空調用循環風量決定手段68により決定された空調用循環風量以下となる場合には、目標循環風量は空調用循環風量に決定されて、空調装置20Bの循環風量は通常の空調用循環風量に維持されることになる。すると、空調装置20Bでは、適度な空気浄化を伴いながら通常の空調が行われることになる。一方、実個別人密集度が比較的大きく、それに応じて決定される空気浄化用循環風量が、空調用循環風量決定手段68により決定された空調用循環風量を超える場合には、空調装置20Bの目標循環風量は大きい方の空気浄化用循環風量に決定されて、空調装置20Bの循環風量は通常の空調用循環風量よりも増加されることになる。すると、空調装置20Bでは、実個別人密集度の増加に起因する空気質悪化抑制のための空気浄化を十分に行いながら空調が行われることになる。
【0046】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0047】
(1)上記実施形態では、単位床面積あたりの在室者数を示す指標を人の密集度として用いたが、室内空間Rや個別エリアRa,Rbにおいて在室者が密集しているほど大きな値を示すものであれば別の指標を人の密集度として用いても構わない。例えば、室内空間Rや個別エリアRa,Rbにおいて人感センサ42a,42bで測定された在室者間の距離の最小値の逆数を示す指標を人の密集度として用いることができる。
【0048】
(2)上記実施形態では、室内空間R全体における室内空気の平均的な二酸化炭素濃度を測定するための二酸化炭素濃度センサ40を、各個別エリアRa,Rbから取り込まれた室内空気が合流する全体換気部10の排気ダクトに設置したが、当該二酸化炭素濃度センサ40の設置個所は適宜変更可能である。例えば、夫々の個別エリアRa,Rbや室内空間R全体に亘る複数個所に二酸化炭素濃度センサ40を設置し、それら全ての二酸化炭素濃度センサ40で測定された二酸化炭素濃度を平均化することで、室内空間R全体の二酸化炭素濃度を得ることができる。
【0049】
(3)上記実施形態では、人密集度基準超過幅に応じて決定される個別空気浄化部20a,20b(空気清浄装置20A,空調装置20B)の目標循環風量が、当該個別空気浄化部20a,20bの最大循環風量を超える場合において、当該個別空気浄化部20a,20bの循環風量を当該最大循環風量に設定すると共に、全体換気部10の目標換気風量を上記目標循環風量に対する最大循環風量の不足分である循環風量不足幅に応じて増加させるように構成したが、このように全体換気部10の換気風量を増加させる構成については適宜省略又は改変しても構わない。
【0050】
(4)上記実施形態では、個別空気浄化部20a,20bを、個別エリアRa,Rbの天井部分に固定された固定式のものとして構成したが、必要に応じて適宜個別エリアRa,Rbに移動し設置される移動式のものであっても構わない。また、移動式の個別空気浄化部20a,20bとしては、利用者の人力により移動される可搬式のものの他、自走手段を備えて自らの判断又は外部からの指令により移動する自走式(ロボット式)のものを採用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
10 全体換気部
20a 個別空気浄化部
20b 個別空気浄化部
20A 空気清浄装置(個別空気浄化部)
20B 空調装置(個別空気浄化部)
40 二酸化炭素濃度センサ
42a 人感センサ
42b 人感センサ
52 換気風量制御手段
54 全体空気汚染度検知手段
62 循環風量制御手段
64 基準個別人密集度推定手段
66 実個別人密集度検知手段
OA 外気
R 室内空間
Ra 個別エリア(高密集個別エリア)
Rb 個別エリア(低密集個別エリア)
RA 室内空気
図1
図2
図3