(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062718
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】コンベヤ用モータ内蔵ローラおよびコンベア装置
(51)【国際特許分類】
B65G 13/06 20060101AFI20240501BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B65G13/06
B65G43/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170747
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】592141020
【氏名又は名称】株式会社協和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】三枝 勇介
【テーマコード(参考)】
3F027
3F033
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027AA03
3F027DA33
3F027EA01
3F033BB01
3F033BB14
3F033BC04
3F033BC06
3F033BC07
3F033BC08
3F033GA01
3F033GA06
3F033GB08
(57)【要約】
【課題】本発明は、温度上昇を低減できるコンベヤ用モータ内蔵ローラおよびコンベア装置を提供する。
【解決手段】本発明のコンベア用モータ内蔵ローラMRは、ローラ管1と、互いに対向するように配設され、ローラ管1を回転可能に軸支する1対の支持軸2a、2bと、ローラ管1の内部に配設され、ローラ管1を回転させる駆動力を生成するモータ3と、ローラ管1の内部に配設され、モータ3を駆動する駆動回路4と、駆動回路4で生じた熱を1対の支持軸2a、2bのうちの一方2aに伝熱する伝熱部5a~5eとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ管と、
互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、
前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記ローラ管の内部に配設され、前記モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路で生じた熱を前記1対の支持軸のうちの一方に伝熱する伝熱部とを備える、
コンベア用モータ内蔵ローラ。
【請求項2】
前記伝熱部は、前記駆動回路を構成する1または複数の素子に、直接、接する、または、熱伝導シートを介して接する、ヒートシンクを含む、
請求項1に記載のコンベア用モータ内蔵ローラ。
【請求項3】
前記モータの起動時および停止時のうちの少なくとも一方で生じる衝撃力を吸収する衝撃吸収部材をさらに備え、
前記伝熱部は、前記衝撃吸収部材を含み、
前記衝撃吸収部材は、熱伝導性を有する、
請求項1に記載のコンベア用モータ内蔵ローラ。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、黒鉛を含有するゴムで形成されている、
請求項3に記載のコンベア用モータ内蔵ローラ。
【請求項5】
一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路として対象物を移動するローラコンベア装置のコンベア装置であって、
前記複数のローラは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む、
コンベア装置。
【請求項6】
一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置のコンベア装置であって、
前記複数のローラは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む、
コンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラおよびこれを用いたコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベア装置は、例えば生産現場や流通現場等で、対象物を移動するために、多用されている。このコンベア装置には、大別すると、ローラコンベア装置と、ベルトコンベア装置とがある。前記ローラコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)を移動(搬送)する装置である。前記ベルトコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動する装置である。これらローラコンベア装置およびベルトコンベア装置における前記複数のローラには、モータを内蔵し、前記モータで生成される駆動力によって回転するモータ内蔵ローラ(駆動ローラ)と、前記モータ内蔵ローラの回転に従って例えば懸架されたベルトや移動する対象物等を介して回転するローラ(従動ローラ)とがある。このモータ内蔵ローラのモータは、前記モータ内蔵ローラの外部、例えばコンベア枠(コンベアフレーム)に取り付けられたモータ駆動装置(モータ制御装置)によって駆動される(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-068501号公報
【特許文献2】特開2018-177441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記モータ駆動装置(モータ制御装置)を、モータ内蔵ローラ内に組み込むことにより、コンベア装置を簡素化できる。しかしながら、前記モータ内蔵ローラは、その駆動によるモータにおけるコイルの温度上昇によって温度上昇するが、前記モータ駆動装置を内蔵すると、前記モータ駆動装置を構成する素子、例えばMOSFETの温度上昇によってさらに温度上昇してしまう。前記モータ駆動装置に、温度上昇に対する保護回路が備えられていると、前記保護回路が作動してしまい、前記モータ駆動装置がモータを駆動できなくなってしまう虞がある。また、ローラコンベア装置は、ローラ上に対象物が乗るため、温度上昇は、好ましくない。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、温度上昇を低減できるコンベヤ用モータ内蔵ローラおよびコンベア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるコンベア用モータ内蔵ローラは、ローラ管と、互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、前記ローラ管の内部に配設され、前記モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路で生じた熱を前記1対の支持軸のうちの一方に伝熱する伝熱部とを備える。
【0007】
このようなコンベア用モータ内蔵ローラは、駆動回路で生じた熱を1対の支持軸のうちの一方に伝熱する伝熱部を備えるので、前記駆動回路で生じた熱を支持軸から外部に放熱することができから、温度上昇を低減できる。
【0008】
他の一態様では、上述のコンベア用モータ内蔵ローラにおいて、前記伝熱部は、前記駆動回路を構成する1または複数の素子に、直接、接する、または、熱伝導シートを介して接する、ヒートシンクを含む。
【0009】
このようなコンベア用モータ内蔵ローラは、駆動回路を構成する1または複数の素子に、直接的にまたは間接的に接する、ヒートシンクを備えるので、前記駆動回路で生じた熱をヒートシンクで放熱できるから、前記駆動回路を構成する素子の温度上昇を低減できる。前記熱伝導シートを介して間接的に接する場合には、熱伝導シートによって駆動回路を構成する1または複数の素子とヒートシンクとの密着性が向上でき、前記駆動回路で生じた熱をヒートシンクに、より確実に伝熱できる。
【0010】
他の一態様では、これら上述のコンベア用モータ内蔵ローラにおいて、前記モータの起動時および停止時のうちの少なくとも一方で生じる衝撃力を吸収する衝撃吸収部材をさらに備え、前記伝熱部は、前記衝撃吸収部材を含み、前記衝撃吸収部材は、熱伝導性を有する。
【0011】
このようなコンベア用モータ内蔵ローラは、伝熱部に衝撃吸収部材を含む場合でも、前記衝撃吸収部材が熱伝導性を有するので、駆動回路で生じた熱を支持軸により確実に伝熱できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述のコンベア用モータ内蔵ローラにおいて、前記衝撃吸収部材は、黒鉛を含有するゴムで形成されている。
【0013】
このようなコンベア用モータ内蔵ローラでは、衝撃吸収部材は、黒鉛を含有するゴムで形成されているので、衝撃を吸収可能であるとともに、より効率的に伝熱できる。
【0014】
本発明の他の一態様にかかるコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路として対象物を移動するローラコンベア装置のコンベア装置であって、前記複数のローラは、これら上述のいずれかのコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む。
【0015】
これによれば、これら上述のいずれかのコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数含むローラコンベア装置のコンベア装置が提供できる。このようなコンベア装置は、コンベア用モータ内蔵ローラの温度上昇を低減できる。
【0016】
本発明の他の一態様にかかるコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置のコンベア装置であって、前記複数のローラは、これらいずれかのコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む。
【0017】
これによれば、これら上述のいずれかのコンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数含むベルトコンベア装置のコンベア装置が提供できる。このようなコンベア装置は、コンベア用モータ内蔵ローラの温度上昇を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるコンベア用モータ内蔵ローラは、温度上昇を低減できる。本発明によれば、このようなコンベア用モータ内蔵ローラを備えたコンベア装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態におけるコンベア装置の平面図である。
【
図2】前記コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラのローラ管内の内部構成を示す斜視図である。
【
図3】前記コンベア用モータ内蔵ローラの内部構成を示す一部断面図である。
【
図4】前記コンベア用モータ内蔵ローラの主要構成を説明するための図である。
【
図5】前記コンベア用モータ内蔵ローラの温度上昇低減効果を説明するための図である。
【
図6】第1変形形態におけるコンベア用モータ内蔵ローラの内部構成を示す一部断面図である。
【
図7】第2変形形態におけるコンベア装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0021】
実施形態におけるコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)を移動するローラコンベア装置、または、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置である。実施形態におけるコンベア用モータ内蔵ローラは、このようなコンベア装置における前記複数のローラに、1または複数、含まれる。このコンベア用モータ内蔵ローラは、ローラ管と、互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、前記ローラ管の内部に配設され、前記モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路で生じた熱を前記1対の支持軸のうちの一方に伝熱する伝熱部とを備える。以下、このコンベア装置およびコンベア用モータ内蔵ローラについて、ローラコンベア装置を例に、より具体的に説明する。
【0022】
図1は、実施形態におけるコンベア装置の平面図である。
図2は、前記コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラのローラ管内の内部構成を示す斜視図である。
図3は、前記コンベア用モータ内蔵ローラの内部構成を示す一部断面図である。
図4は、前記コンベア用モータ内蔵ローラの主要構成を説明するための図である。
図4Aは、駆動回路の外観斜視図であり、
図4Bは、ヒートシンクの外観斜視図であり、
図4Cは、衝撃吸収部材を説明するための一部分解斜視図である。
【0023】
実施形態におけるコンベア装置CSは、例えば、
図1に示すように、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRを備え、前記複数のローラMR、FRの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)Obを移動するローラコンベア装置CSである。
図1では、対象物Obは、2点鎖線で示されている。
【0024】
より具体的には、ローラコンベア装置CSは、1対の第1および第2コンベア枠(コンベアフレーム)CFa、CFbと、1または複数のコンベア用モータ内蔵ローラMRと、1または複数の従動ローラFRと、1または複数のベルトBTとを備える。
【0025】
第1および第2コンベア枠CFa、CFbは、コンベヤ用モータ内蔵ローラ(モータローラ、以下、「C-M内蔵ローラ」と適宜略記する)MRおよび従動ローラ(フリーローラ)FRを回転可能に支持する一方向に長尺な部材であり、前記一方向に直交する方向で所定の間隔(第1間隔)を空けて互いに対向し、かつ、前記一方向で平行となるように配置される。前記第1間隔は、このローラコンベア装置CSで搬送される搬送物Obのサイズに応じた適宜な間隔であり、前記第1間隔に応じてC-M内蔵ローラMRおよび従動ローラFRそれぞれの長さが設定される。第1および第2コンベア枠CFa、CFbは、例えば、
図3に示すように、強度を高めるために、断面略コ字形状であり、C-M内蔵ローラMRにおける後述の第1支持軸2aによって伝熱された熱を放熱する観点から、優位な熱伝導性を持つ部材、例えばSPC(Steel Plate Cold(冷間圧延鋼板))等の鉄系の金属(合金を含む)で形成されることが好ましい。第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれには、前記一方向に沿って、所定の間隔(第2間隔)を空けて、後述の、C-M内蔵ローラMRの第1および第2支持軸2a、2bや従動ローラFRの第1および第2支持軸AXa、AXbを挿通するための複数の貫通開口が形成されている。C-M内蔵ローラMRにおける第1および第2支持軸2a、2bそれぞれは、第1および第2コンベア枠CFa、CFにおける各貫通開口に挿通され、各固定金具FMa、FMb(
図3参照、固定金具FMbは不図示)によって第1および第2コンベア枠CFa、CFそれぞれに固定される。従動ローラFRにおける第1および第2支持軸AXa、AXbそれぞれは、例えば、第1および第2コンベア枠CFa、CFbにおける各貫通開口に挿通され、第1および第2支持軸AXa、AXbに形成された各ねじ溝に各ナット(不図示)を螺合することによって第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれに固定される。あるいは、例えば、第1および第2支持軸AXa、AXbそれぞれは、その断面が六角形状や小判形状等に形成され、第1および第2コンベア枠CFa、CFbにおける前記六角形状や小判形状に形成された各貫通開口に嵌め合わされることとによって第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれに固定されてもよい。
【0026】
複数のC-M内蔵ローラMRは、一方向に沿って並置された2個の従動ローラFRを介して、前記一方向に沿って並置される。すなわち、複数のC-M内蔵ローラMRは、所定数、
図1に示す例では3個おきに前記一方向に沿って並置され、互いに隣接する2個のC-M内蔵ローラMRの間に、2個の従動ローラFRが前記一方向に沿って並置される。したがって、これら複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRは、前記一方向に直交する方向で互いに平行となっている。これら複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRにおいて、1個のC-M内蔵ローラMRは、これを挟んで前記一方向で隣接する2個の従動ローラFRそれぞれと一方端部に巻き掛けられたベルトBTによって連結され、前記1個のC-M内蔵ローラMRが回転すると、前記ベルトBTによって前記1個のC-M内蔵ローラMRの回転が前記2個の従動ローラFRそれぞれに伝達され、前記2個の従動ローラFRそれぞれは、回転する。これによって複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRの上に載置された対象物(搬送物)Obが移動可能(搬送可能)となっている。
【0027】
このようなローラコンベア装置CSに用いられるコンベア用モータ内蔵ローラMRは、
図2ないし
図4に示すように構成されている。より具体的には、C-M内蔵ローラMRは、例えば機械構造用炭素鋼等の鉄系の金属(合金を含む)等で形成された所定長(第1長さ)の円筒状のローラ管1を備える。ローラ管1の一方端部には、この一方端部を閉塞するための部材である第1キャップ部材9aが固定的に取り付けられ、その他方端部には、この他方端部を閉塞するための部材である第2キャップ部材9bが固定的に取り付けられる。第1キャップ部材9a内には、例えば機械構造用炭素鋼(例えばS45C)等の鉄系の金属(合金を含む)等で形成された円筒状のシャフト5eを介して、第1支持軸2aに回転可能に軸支される第1軸受8aが設けられ、第1キャップ部材9aには、ローラ管1の中心軸に沿って貫通し、シャフト5eを介して第1支持軸2aを挿通する貫通開口が設けられる。同様に、第2キャップ部材9b内には、第2支持軸2bに回転可能に軸支される第2軸受8bが設けられ、第2キャップ部材9bには、前記中心軸に沿って貫通し、第2支持軸2bを挿通する貫通開口が設けられる。第1支持軸2aは、例えば鉄系の金属(合金を含む)で形成され、後述の駆動回路4に接続されるケーブルCBを挿通するために中空な柱状部材であり、その外周の断面形状は、上述の固定金具FMaで第1コンベア枠CFaに固定するために正六角形となっている。なお、正六角形に限らず、例えば小判形状やD形状等であってもよい。シャフト5eと第1支持軸2aは、この例では、一体に形成され、第1支持軸2aにおける中央位置より他方側の他方部分がシャフト5eとなっている。第2支持軸2bは、円柱状の部材であり、この第2支持軸2bを2箇所で軸支するために、第2軸受8bは、2個の第2Aおよび第2B軸受81b、82bで構成されている。
【0028】
このような構成によって、ローラ管1は、第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれから立設する第1および第2支持軸2a、2bによって回転可能に軸支されている。
【0029】
C-M内蔵ローラMRは、ローラ管1にモータ3を内蔵する。より具体的には、ローラ管1より小径であり、例えばアルミニウム等の金属(合金を含む)等で形成された所定長(第2長さ)の円筒状の内部フレーム10内に、モータMは、収容され、内部フレーム10は、ローラ管1が内部フレーム10に対し回転可能となるように、ローラ管1の内周面から隙間を空けてローラ管1内に収容される。
【0030】
内部フレーム10における他方側の他方部分には、遊星歯車等で構成された減速機6が内部フレーム10内に固定的に収容され、減速機6の出力軸には、円柱状の中間プレート7が固定的に連結され、中間プレート7は、その外周面がローラ管1の内周面に固定的に連結される。減速機6の一方側には、内部フレーム10内に固定的に収容されたモータ3が配設され、モータ3の出力軸31は、減速機6の入力部に連結される。このような構成によってモータ3の出力軸31が回転すると、減速機6を介して中間プレート7が回転し、この中間プレート7の回転に伴ってローラ管1が回転する。このようにモータ3は、内部フレーム10を介してローラ管1の内部に配設され、ローラ管1を回転させる駆動力を生成する。モータ3は、適宜なタイプのモータであってよいが、
図2ないし
図4に示す例では、ラジアルギャップのインナーロータ型のモータであり、そのロータには、複数の永久磁石を備え、そのステータには、複数のコイルを備え、複数のコイルそれぞれに通電することによって生じる回転磁界と前記複数の永久磁石の各磁界との相互作用により前記ロータが回転し、出力軸31が回転する。
【0031】
内部フレーム10の一方端部には、この一方端部を閉塞するための部材であり、例えばアルミニウム等の金属(合金を含む)で形成されたモータブラケット5bが固定的に取り付けられ、モータブラケット5bには、モータ3の出力軸31を回転可能に軸支する第3軸受32が設けられる。
【0032】
モータ3とモータブラケット5bとの間には、駆動回路(制御回路)4とヒートシンク5aとが連接的に配設される。したがって、これら駆動回路4とヒートシンク5aとは、内部フレーム10内に収容されている。駆動回路4は、モータ3を駆動する回路であり、例えば、モータ3に給電し、モータ3を起動、増速、定速、減速、停止、正転および逆転等するように、制御信号に応じて制御する。モータ3に給電される電力は、ケーブルCB内の電源線によって外部から供給され、前記制御信号は、ケーブルCB内の信号線によって外部から入力される。駆動回路4は、例えば、
図4Bに示すように、円柱状のベース部材4cと、ベース部材4cの各端面に配設された第1および第2基板4a、4bとを備える。第1基板4a、ベース部材4cおよび第2基板4bには、第3軸受32まで延びる出力軸31(減速機6へ延びる出力軸31の部分とは逆側に延びる出力軸31の部分)を挿通するために、前記中心軸に沿って貫通する貫通開口が設けられる。第1および第2基板4a、4bには、例えばマイクロプロセッサやMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の、駆動回路4を構成する複数の素子が搭載されている。ベース部材4cは、内部フレーム10内に固定される。このような駆動回路4は、例えば前記特許文献1や特許文献2等に開示されている。ヒートシンク5aは、駆動回路4を構成する1または複数の前記素子に、直接、接するように配設される。ヒートシンク5aは、例えば、
図4Bに示すように、半円環板状の基部51と、基部51の一方面上に、周方向に所定の間隔(第3間隔)を空けて立設する板状の複数のフィン52とを備えて構成され、基部51の他方面で、駆動回路4を構成する1または複数の前記素子に、直接的に、接し、そして、複数のフィン52の各上面でモータブラケット5bに接している。
【0033】
内部フレーム10の一方端部を閉塞し、これに固定的に取り付けられたモータブラケット5bは、衝撃吸収部材5cを介してカップリングハブ5dによってシャフト5eに固定され連結される。衝撃吸収部材5cは、モータ3の起動時および停止時のうちの少なくとも一方で生じる衝撃力を吸収する部材であり、本実施形態では、例えばゴムより優位な熱伝導性を有する部材である。衝撃吸収部材5cは、例えば、黒鉛を含有するゴム(例えばウレタンゴムやニトリルゴム(NBR)等)で形成されている。一例では、日本ゼオンポリマー社製の製品名CM-580Hの中高ニトリルゴムに、富士黒鉛社製の平均粒径180[μm]の黒鉛をニトリルゴム100に対して黒鉛50で質量含有率33[%]で配合することによって、通常の製造方法により、黒鉛含有のニトリルゴムが生成された。ニトリルゴムの熱伝導率は、0.25[W/(m・K)]であるが、このように黒鉛を配合することにより、その熱伝導率は、0.45[W/(m・K)]であった。このため、衝撃吸収部材5cは、衝撃を吸収可能であるとともに、より効率的に伝熱できる。この衝撃吸収部材5cは、例えば、
図4Cに示すように、周方向で凹凸を繰り返した筒形状となっている。このため、モータブラケット5bの一方端部における内周の断面形状は、衝撃吸収部材5cにおける外周の断面形状と逆形状となっており、衝撃吸収部材5cがモータブラケット5bの一方端部内に嵌まり込むようになっている。そして、カップリングハブ5dは、例えば焼結合金で形成された略円柱状の部材であり、カップリングハブ5dにおける外周の断面形状は、衝撃吸収部材5cにおける内周の断面形状と逆形状となっており、衝撃吸収部材5c内にカップリングハブ5dが嵌まり込むようになっている。カップリングハブ5dには、前記中心軸に沿って貫通する、例えば小判形状の断面の貫通開口が設けられる。
【0034】
シャフト5eは、略中央位置より一方側の一方部分における外周の断面形状は、第1軸受8aによって回転可能に軸支されるために、円形である一方、前記略中央位置より他方側の他方部分における外周の断面形状は、カップリングハブ5dと固定的に連結するための例えば小判形状となっている。シャフト5eの他方部分をカップリングハブ5dの貫通開口に嵌め込むことで、シャフト5eとカップリングハブ5dとは、固定され連結される。
【0035】
このような構成により、モータ3は、内部フレーム10、モータブラケット5b、衝撃吸収部材5c、カップリングハブ5d、シャフト5eおよび第1支持軸2aを介して第1コンベア枠CFaに固定され、モータ3が回転すると、ローラ管1が回転する。
【0036】
モータ3が駆動されると、モータ3のコイルおよび駆動回路4で熱が生じる。この熱は、ヒートシンク5a、モータブラケット5b、衝撃吸収部材5c、カップリングハブ5d、シャフト5eおよび第1支持軸2aを介して第1コンベア枠CFaに伝熱され、放熱される。このため、駆動回路4、ヒートシンク5a、モータブラケット5b、衝撃吸収部材5c、カップリングハブ5d、シャフト5e、第1支持軸2aおよびコンベア枠CFaにおける各間は、接していることが好ましく、密着していることがより好ましい。なお、隙間があっても、これらは、優位な熱伝導性を持つ材料で形成されているので、モータ3のコイルおよび駆動回路4で生じた熱は、これらを順次に伝わり、外部に放熱される。
【0037】
これらヒートシンク5a、モータブラケット5b、衝撃吸収部材5c、カップリングハブ5dおよびシャフト5eは、前記駆動回路で生じた熱を前記1対の支持軸のうちの一方に伝熱する伝熱部の一例に相当する。なお、
図3Bに示す例では、熱伝導シート5fは、前記伝熱部に含まれる。
【0038】
その温度上昇の低減効果の一例が
図5および表1に示されている。
図5は、前記コンベア用モータ内蔵ローラの温度上昇低減効果を説明するための図である。
図5の横軸は、経過時間であり、その縦軸は、温度[℃]である。
図5Aは、ヒートシンク5aが有る場合におけるMOSFET、コイルおよび周囲温度の各温度変化を示し、
図5Bは、ヒートシンク5aが無い場合におけるMOSFET、コイルおよび周囲温度の各温度変化を示す。なお、
図5に示す例では、衝撃吸収部材は、ゴム製(例えばウレタンゴム製やニトリルゴム製等)であり、黒鉛を含んでいない。
図5Aに示す各温度変化と
図5Bに示す各温度変化とを対比すると分かるように、ヒートシンク5aが無い場合では、MOSFETは、周囲温度約20.66[℃]に対し約141.5[℃]まで温度上昇したが(上昇温度120.84[℃])、ヒートシンク5aを設けることにより、周囲温度約20.32[℃]に対し、MOSFETは、約93.38[℃]の温度上昇にとどまり(上昇温度73.06[℃])、ヒートシンク5aにより、MOSFETの温度上昇が低減されている。駆動回路4に用いられるマイクロプロセッサは、通常、105[℃]で保護機能が作動するように設定されるが、
図5に示す例では、この保護機能の作動の回避が見込める。なお、ヒートシンク5aが無い場合では、コイルは、周囲温度約20.66[℃]に対し約85.1[℃]まで温度上昇し(上昇温度64.44[℃])、ヒートシンク5aが有る場合では、コイルは、周囲温度約20.32[℃]に対し約79.8[℃]まで温度上昇した(上昇温度59.48[℃])。
【0039】
一方、表1から分かるように、衝撃吸収部材に黒鉛を配合しない場合では、ローラ管1の温度は、約76.3[℃]であったが、衝撃吸収部材に黒鉛を配合することにより、ローラ管1の温度は、約73.1[℃]となり、温度上昇が低減されている。
【0040】
【0041】
なお、上述の例では、伝熱部は、ヒートシンク5a、モータブラケット5b、衝撃吸収部材5c、カップリングハブ5dおよびシャフト5eを備えて構成したが、これに限定されるものではなく、他の構成であってもよい。例えば、外部から駆動回路4までケーブルCBを挿通する連通路を、断熱部材で2層構造とし、一方にケーブルCBを挿通し、他方をヒートパイプを挿通して前記ヒートパイプによって駆動回路4で生じた熱を第1支持軸2aに伝熱してもよい。
【0042】
以上説明したように、実施形態におけるコンベア用モータ内蔵ローラMRは、駆動回路4で生じた熱を第1支持軸2aから外部に放熱することができることから、温度上昇を低減できる。
【0043】
上記コンベア用モータ内蔵ローラMRは、ヒートシンク5aを備えるので、駆動回路4で生じた熱をヒートシンク5aで放熱できるから、前記駆動回路4を構成する素子の温度上昇を低減できる。熱伝導シート5fを介して間接的に接する場合には、熱伝導シート5fによって駆動回路4を構成する1または複数の素子とヒートシンク5aとの密着性が向上でき、前記駆動回路4で生じた熱をヒートシンク5aに、より確実に伝熱できる。
【0044】
上記コンベア用モータ内蔵ローラMRは、熱を伝える経路に衝撃吸収部材を含む場合でも、衝撃吸収部材5cが、例えばゴムより優位な熱伝導性を有するので、駆動回路5で生じた熱を支持軸により確実に伝熱できる。
【0045】
上記コンベア用モータ内蔵ローラMRでは、衝撃吸収部材5cは、黒鉛を含有するゴムで形成されているので、衝撃を吸収可能であるとともに、より効率的に伝熱できる。
【0046】
本実施形態によれば、コンベア用モータ内蔵ローラMRを、1または複数含むローラコンベア装置のコンベア装置CSが提供できる。このようなコンベア装置CSは、コンベア用モータ内蔵ローラの温度上昇を低減できる。
【0047】
なお、上述の実施形態では、前記伝熱部の一部を構成するヒートシンク5aは、前記駆動回路4を構成する1または複数の素子に、直接、接したが、ヒートシンク5aは、熱伝導シート5fを介して接してもよい(第1変形形態)。
【0048】
図6は、第1変形形態におけるコンベア用モータ内蔵ローラの内部構成を示す一部断面図である。例えば、ヒートシンク5aは、
図6に示すように、駆動回路4を構成する1または複数の前記素子に、例えば金属フィラーを配合したシリコーン製等の、熱伝導性を有するシート状の部材である熱伝導シート5fを介して接するように配設される。この場合には、熱伝導シート5fによって駆動回路4を構成する1または複数の前記素子とヒートシンク5aとの密着性が向上でき、前記駆動回路4で生じた熱をヒートシンク5aにより確実に伝熱できる。
【0049】
上述したように、実施形態におけるコンベア用モータ内蔵ローラMRは、ベルトコンベア装置のコンベア装置に用いられてもよい(第2変形形態)。
【0050】
図7は、第2変形形態におけるコンベア装置の平面図である。この第2変形形態におけるコンベア装置CSaは、例えば、
図7に示すように、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRと、前記複数のローラMR、FRに掛け渡された搬送ベルトBTaとを備え、前記搬送ベルトBTaの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置である。より具体的には、このコンベア装置CSaは、1対の第1および第2コンベア枠CFa、CFbと、1または複数のコンベア用モータ内蔵ローラMRと、1または複数の従動ローラFRと、搬送ベルトBTaとを備える。これら第1および第2コンベア枠CFa、CFb、コンベア用モータ内蔵ローラMRおよび従動ローラFRは、それぞれ、上述の実施形態における第1および第2コンベア枠CFa、CFb、コンベア用モータ内蔵ローラMRおよび従動ローラFRと同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
すなわち、上述の実施形態におけるコンベア装置CSは、3個おきにC-M内蔵ローラMRを備え、C-M内蔵ローラMRとこれに隣接する従動ローラFRとが一方端部に巻き掛けられたリング状(環状)のベルトBTによって連結されたが、この第2変形形態におけるコンベア装置CSaは、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRのうちの両端それぞれに配設されるローラがC-M内蔵ローラMRであり、これらに巾広の搬送ベルトBTaが掛け渡されている。なお、両端のC-M内蔵ローラMRの間に並置される複数の従動ローラFRのうちの1または複数がC-M内蔵ローラMRに置き換えられてもよい。
【0052】
これによれば、コンベア用モータ内蔵ローラMRを、1または複数含むベルトコンベア装置のコンベア装置CSaが提供できる。このようなコンベア装置CSaは、コンベア用モータ内蔵ローラMRの温度上昇を低減できる。
【0053】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0054】
CS、CSa;コンベア装置、MR;コンベア用モータ内蔵ローラ、1;ローラ管、2a;第1支持軸、3;モータ、4;駆動回路、5a;ヒートシンク、5b;モータブラケット、5c;衝撃吸収部材、5d;カップリングハブ、5e;シャフト、5f;熱伝導シート