(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062721
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】車両用アンダーカバー
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240501BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B62D21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170750
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】中村 光児
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA13
3D203BB03
3D203CA07
3D203CA08
3D203CA65
3D203CB24
3D203CB25
(57)【要約】
【課題】車両用アンダーカバーを壊れ難くする。
【解決手段】車両用アンダーカバー20は、サスペンションメンバー14の下側に配置される。車両用アンダーカバー20は、多孔質の板状部24を有するカバー本体22と、カバー本体22から上方へ突出し、サスペンションメンバー14に取り付けられる取付部28と、カバー本体22から上方へ突出する立壁30とを備えている。立壁30が、サスペンションメンバー14に当接する、又は、カバー本体22が車両上方へ撓んだ際に、前記立壁30がサスペンションメンバー14に当接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションメンバーの下側に配置される車両用アンダーカバーであって、
多孔質の板状部を有するカバー本体と、
前記カバー本体から上方へ突出し、前記サスペンションメンバーに取り付けられる取付部と、
前記カバー本体から上方へ突出する立壁と、を備え、
前記立壁が、前記サスペンションメンバーに当接する、又は、前記カバー本体が車両上方へ撓んだ際に、前記立壁が前記サスペンションメンバーに当接する
ことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項2】
前記取付部は複数設けられ、
1の前記取付部と2の前記取付部との間に前記板状部を備え、
前記立壁は、前記1の取付部に繋がると共に前記2の取付部へ向けて延びている請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【請求項3】
前記取付部は複数設けられ、
1の前記取付部と2の前記取付部との間に補強部を備え、
前記補強部は、前記カバー本体に下方へ開口する溝形状で形成され、前記1の取付部と前記2の取付部を結んだ直線と交差する方向へ前記溝形状が延びる請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【請求項4】
前記立壁が、前記取付部に繋がると共に前記補強部よりも高く形成されている請求項3記載の車両用アンダーカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用アンダーカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両における車体の下側には、エンジンアンダーカバーが取り付けられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が雪や氷塊や縁石などの障害物に乗り上げた際に、障害物に当たったエンジンアンダーカバーがある程度変形するようになっている。しかし、エンジンアンダーカバーの上側に間隔をあけて配置されているサスペンションメンバーに当たる程度まで、エンジンアンダーカバーが大きく変形すると、エンジンアンダーカバーが破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、障害物が当たっても壊れ難い車両用アンダーカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第1態様は、
サスペンションメンバーの下側に配置される車両用アンダーカバーであって、
多孔質の板状部を有するカバー本体と、
前記カバー本体から上方へ突出し、前記サスペンションメンバーに取り付けられる取付部と、
前記カバー本体から上方へ突出する立壁と、を備え、
前記立壁が、前記サスペンションメンバーに当接する、又は、前記カバー本体が車両上方へ撓んだ際に、前記立壁が前記サスペンションメンバーに当接することを要旨とする。
【0007】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第2態様は、前記第1態様において、
前記取付部は複数設けられ、
1の前記取付部と2の前記取付部との間に前記板状部を備え、
前記立壁は、前記1の取付部に繋がると共に前記2の取付部へ向けて延びていてもよい。
ここで、1の取付部は、複数の取付部の中から選んだ取付部の1つのことを指す。また、2の取付部は、複数の取付部のうち、前記1の取付部として選んだ取付部を除く残りの取付部から選んだ取付部の1つのことを指す。このように、1の取付部と2の取付部とは、別々の取付部を指している。1の取付部と2の取付部との位置関係は、左右方向に隣り合ったり、前後方向に隣り合ったり、前記方向と異なる方向に隣り合ったりするなどが挙げられる。また、1の取付部と2の取付部とは、隣り合う関係に限らず、1の取付部と2の取付部との間に、別の取付部があってもよい。
【0008】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第3態様は、前記第1態様又は前記第2態様において、
前記取付部は複数設けられ、
1の前記取付部と2の前記取付部との間に補強部を備え、
前記補強部は、前記カバー本体に下方へ開口する溝形状で形成され、前記1の取付部と前記2の取付部を結んだ直線と交差する方向へ前記溝形状が延びていてもよい。
【0009】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第4態様は、前記第1態様~前記第3態様の何れかにおいて、
前記立壁が、前記取付部に繋がると共に補強部よりも高く形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用アンダーカバーによれば、障害物が当たっても壊れ難い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用アンダーカバーを示す平面図である。なお、サスペンションメンバー及び車輪を二点鎖線で示している。
【
図6】
図2のE部に対応する拡大図であり、立壁とサスペンションメンバーとの関係の一例を示す説明図である。
【
図7】
図2のE部に対応する拡大図であり、立壁とサスペンションメンバーとの関係の別例を示す説明図である。(a)は通常の状態を示し、(b)はカバー本体に下方から上方へ向けて力が加わった状態を示す。
【
図8】
図2のE部に対応する拡大図であり、立壁の変更例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る車両用アンダーカバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0013】
図4に示すように、実施例に係る車両用アンダーカバー20は、自動車などの車両における車体10の下側に配置されるものである。実施例の車両用アンダーカバー20は、車体10を構成するサスペンションメンバー14の下側に取り付けられ、左右の車輪12,12の間に配置される。サスペンションは、車両における車体10と車輪12をつないで、路面より受ける衝撃や振動を車室に伝わらないようにする装置である。サスペンションメンバー14は、サスペンションの中で骨格となるパーツである。サスペンションメンバー14は、枠状である。具体的には、実施例のサスペンションメンバー14は、車前後方向に延びる2本の第1部材14a,14aを、車幅方向に延びる2本の第2部材14b,14bで接続して構成されている(
図1参照)。サスペンションメンバー14において、左右の第1部材14a,14a及び前後の第2部材14b,14bに囲われる開口部分が、パワーユニット16の下側に位置する。
【0014】
サスペンションメンバー14は、上下方向に曲げた形状を設けることで、剛性を向上できる。
図2に示すように、実施例における後側の第2部材14bは、車両用アンダーカバー20が締結される左右の側端部よりも、左右方向中央部が上方へ突出するように湾曲している。なお、サスペンションメンバー14において、第1部材14aをサイドメンバーと呼び、前側の第2部材14bをフロントクロスメンバーと呼び、後側の第2部材14bをリアクロスメンバーと呼ぶことがある。
【0015】
図3に示すように、車両用アンダーカバー20は、パワーユニットルーム15の下側に配置される。パワーユニットルーム15には、エンジンやモータやコンプレッサなどの駆動時に音が発生するパワーユニット16が設置される。実施例のパワーユニット16は、エンジンを例示している。なお、車両用アンダーカバー20は、特にエンジンが設置されたエンジンルーム(パワーユニットルームに相当)の下側に取り付けるものを、エンジンアンダーカバーと呼ぶ場合がある。
【0016】
図1及び
図2に示すように、車両用アンダーカバー20は、カバー本体22と、サスペンションメンバー14に取り付けるための取付部28と、サスペンションメンバー14との当接によりカバー本体22の変形を制御するための立壁30とを備えている。取付部28がサスペンションメンバー14に取り付けられることで、車両用アンダーカバー20が車体10に設置される。
【0017】
図1に示すように、カバー本体22は、板状である。カバー本体22は、多孔質の板状部24を有している。実施例のカバー本体22は、複数の板状部24が前後及び左右に並べて配置されている。カバー本体22は、板状部24を支持する支持部26を有している。支持部26は、カバー本体22の外縁部に設けられている。また、支持部26は、隣り合う板状部24の間に設けられている。カバー本体22は、下面が凸凹を少なくして平らに形成されており、板状部24がカバー本体22の下面(路面側)に露出する。
【0018】
板状部24は、多孔質材料で構成される。多孔質材料としては、例えば、繊維体や発泡体などを用いることができる。板状部24は、多孔質材料に由来する特性によって、吸音や断熱などの所要の機能を発揮するものである。板状部24を構成する繊維体としては、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維などからなる不織布や織布などを用いることができる。また、板状部24を構成する発泡体としては、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系などの発泡体を用いることができる。なお、板状部24は、吸音性の観点から通気性を有する多孔質材料が好ましい。
【0019】
板状部24は、1層で構成してもよいが、2層以上で構成してもよい。例えば、板状部24は、板状部24に求められる主機能(実施例では吸音)を担保するための第1層と、第1層に重ねて配置されて、板状部24に付加する補助機能(実施例では撥水)を担保するための第2層とを含む複層構造にすることができる。この場合、第2層を第1層よりも密度を高く設定したり、第2層をシリコーン樹脂やフッ素樹脂などの撥水材料を付与することで撥水性を確保したりするなどができる。このように、板状部24において車両外側となる第2層に撥水性を付与することで、板状部24に水が浸入したり、板状部24に雪が付いたり、板状部24に着氷したりすることを防止できるので好ましい。
【0020】
支持部26は、合成樹脂の射出成形等による成形品である。合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)などの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0021】
支持部26を構成する合成樹脂材料は、ソリッドである。ここで、ソリッドとは、発泡体や不織布などの繊維体のような多孔質と異なり、多数の気泡や多数の空隙や多数の孔を有していない密な状態をいう。実施例の支持部26は、板状部24と比べて密度が高い。また、支持部26は、板状部24と比べて通気性が低い、又は通気性がないことが、遮音性向上の観点から好ましい。
【0022】
支持部26は、カバー本体22の剛性を向上するための補強形状を有している。
図1に示すように、実施例の支持部26は、補強形状として、第1補強部(補強部)32と、第1補強部32と交差する方向へ延びる第2補強部34と、カバー本体22の外縁部に形成された第3補強部36とを備えている。第1補強部32は、カバー本体22において下方へ開口する溝形状に形成されている。第1補強部32を左右方向に切断した断面が、「コ」字形状を呈している(
図2及び
図3参照)。また、第1補強部32の溝形状が、前後方向へ延びている。板状部24が、第1補強部32の下端部に繋がる。第1補強部32が、板状部24の上面よりも高くなっている。第1補強部32は、第1補強部32を構成する側壁同士が近づいたり、遠ざかったりする方向(左右方向)においてカバー本体22の上下方向の撓みを許容する。すなわち、第1補強部32が延びる方向(実施例では前後方向)を軸としたカバー本体22の湾曲が許容される。一方で、第1補強部32は、その溝形状が延びる方向(前後方向)において、カバー本体22が上下方向に撓み難くしている。すなわち、第1補強部32が延びる方向と交差する方向(実施例では左右方向)を軸としたカバー本体22の湾曲が難しくなっている。第2補強部34は、平板部分から上方へ突出するリブを有する断面「T」字形状に形成されている(
図4及び
図5参照)。また、第2補強部34のリブ形状が、左右方向へ延びている。板状部24が、第2補強部34の平板部分に繋がる。第2補強部34のリブ形状が延びる方向(左右方向)において、板状部24が上下方向に撓み難くなっている。第3補強部36は、カバー本体22において下方へ開口する溝形状に形成されている。第3補強部36における溝形状が延びる方向と交差する方向に切断した断面が、「コ」字形状を呈している(
図2~
図5参照)。なお、実施例の第3補強部36は、第1補強部32よりも低く、第1補強部32よりも側壁間の幅が狭く設定されている。
【0023】
図2、
図3及び
図5に示すように、車両用アンダーカバー20は、カバー本体22から上方へ突出する取付部28を備えている。取付部28は、支持部26に形成されて、板状部24の上面よりも高く形成されている。また、取付部28が、カバー本体22に複数設けられている(
図1参照)。複数の取付部28は、互いに間隔をあけてカバー本体22に分散して配置されている。実施例の車両用アンダーカバー20は、後側の第2部材14bに取り付けられる取付部28(特に区別する場合は、後取付部28Aという)と、第1部材14aに取り付けられる取付部28(特に区別する場合は、横取付部28Bという)と、前側の第2部材14bに取り付けられる取付部28(特に区別する場合は、前取付部28Cという)とを有している。実施例の取付部28は、支持部26の成形と合わせて形成された合成樹脂成形部である。
【0024】
図1に示すように、複数(実施例では2つ)の後取付部28Aが、左右方向に延在する後側の第2部材14bに合わせて、左右方向に離して設けられている。右側の後取付部28Aと左側の後取付部28Aとの間に、板状部24及び第1補強部32が配置されている。
図2に示すように、実施例の後取付部28Aは、下方が開口する凸形状に形成されている。後取付部28Aは、第1補強部32、第2補強部34及び第3補強部36よりも高くなっている。なお、実施例の後取付部28Aは、第1補強部32と一体的に形成されている。
図1に示すように、横取付部28Bは、前後方向に延在する左右の第1部材14a,14aに合わせて、カバー本体22の側縁部のそれぞれに設けられている。実施例の横取付部28Bは、下方が開口する凸形状に形成されている。横取付部28Bは、第1補強部32、第2補強部34及び第3補強部36よりも高くなっている。なお、実施例の横取付部28Bは、第3補強部36と一体的に形成されている。
図1に示すように、複数(実施例では4つ)の前取付部28Cが、左右方向に延在する前側の第2部材14bに合わせて、左右方向に離して設けられている。前取付部28Cは、板状部24よりも上方へ立ち上がったカバー本体22の前縁部に設けられている(
図5参照)。
【0025】
実施例では、取付部28に設けられた孔に、ボルトやクリップなどの締結部材を通して、車両用アンダーカバー20をサスペンションメンバー14に取り付けている。車両用アンダーカバー20は、板状部24の上面又は補強部32,34,36が、サスペンションメンバー14の下面に当たらないように間隔があいている。
【0026】
図2に示すように、車両用アンダーカバー20は、カバー本体22から上方へ突出する立壁30を備えている。立壁30は、サスペンションメンバー14の直下に配置される。そして、立壁30が、サスペンションメンバー14に当接する(
図6参照)、又は、カバー本体22が車両上方へ撓んだ際に、立壁30がサスペンションメンバー14に当接するようになっている(
図7参照)。立壁30は、支持部26から立ち上がる板形状である。立壁30は、補強部32,34,36よりも高く形成される。また、立壁30は、取付部28よりも低くても、取付部28と同じ高さであっても、取付部28よりも高くても、何れであってもよい。立壁30の高さは、サスペンションメンバー14の下面形状やカバー本体22の中での立壁30の位置などに応じて適宜設定可能である。実施例の立壁30は、支持部26の成形と合わせて形成された合成樹脂成形部である。
【0027】
立壁30について更に詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、実施例の車両用アンダーカバー20は、右側の後取付部28A(1の取付部)に繋がると共に左側の後取付部28A(2の取付部)に向けて延びる立壁30と、左側の後取付部28A(1の取付部)に繋がると共に右側の後取付部28A(2の取付部)に向けて延びる立壁30とを備えている。右側の立壁30は、左右の後取付部28A,28Aの間にある第1補強部32に繋がっている。このように、右側の立壁30は、一端が右側の後取付部28Aに繋がり、他端が右側の後取付部28Aの左右方向左側(車両内側)に位置する第1補強部32に繋がり、右側の後取付部28Aから第1補強部32に亘って延びている。同様に、左側の立壁30は、左右の後取付部28A,28Aの間にある第1補強部32に繋がっている。このように、左側の立壁30は、一端が左側の後取付部28Aに繋がり、他端が左側の後取付部28Aの左右方向右側(車両内側)に位置する第1補強部32に繋がり、左側の後取付部28Aから第1補強部32に亘って延びている。ここで、左右の後取付部28A,28Aの間にある第1補強部32の溝形状が、右側の後取付部28Aと左側の後取付部28Aとを結んだ直線と交差する方向へ延びている。このように、立壁30が延びる方向が、第1補強部32の溝形状が延びる方向と交差している。
【0028】
図6に示す立壁30の例を説明する。立壁30は、カバー本体22に外力が加わっていない通常の状態において、立壁30の上端が第2部材14bの下面に接する。立壁30は、後取付部28Aと同じ高さで設定されている。また、立壁30の上端が、後取付部28Aの上面と平行に延びている。更に、立壁30における左右方向の車両内側部分の上端が、左右方向の車両外側から内側へ向かうにつれて上方傾斜する第2部材14bの下面から離れている。
【0029】
図7に示す立壁30の例を説明する。立壁30は、カバー本体22に外力が加わっていない通常の状態において、立壁30の上端が第2部材14bの下面と離れている(
図7(a)参照)。立壁30と第2部材14bとの間隔は、車両走行時に振動するカバー本体22の上下の振れ幅よりも大きくすることが好ましく、特に限定するものではないが例えば1mm以上に設定される。また、立壁30と第2部材14bとの間隔は、カバー本体22が車両上方へ撓んだ際に、立壁30が第2部材14bに当接可能な間隔に設定され、特に限定するものではないが例えば20mm以下とされる。立壁30は、後取付部28Aよりも低く設定されている。また、立壁30の上端が、後取付部28Aの上面と平行に延びている。そして、カバー本体22が車両上方へ撓んだ際に、立壁30がサスペンションメンバー14に当接するようになっている(
図7(b)参照)。
【0030】
車両用アンダーカバー20は、支持部26及び取付部28を一体成形した成形品に、板状部24を取り付けたり、板状部24をセットした成形型において、支持部26及び取付部28を形成するインサート成形を行ったりするなど、様々な方法で製造可能である。
【0031】
車両用アンダーカバー20は、車両が雪や氷塊や縁石などの障害物に乗り上げた際に、障害物に当たったカバー本体22が上方へ押される。このとき、カバー本体22から上方へ突出する立壁30が、サスペンションメンバー14に当接していることで、カバー本体22の撓み量を抑えることができる。これにより、カバー本体22が板状部24を有していても、板状部24の境界で破断したりするなどのカバー本体22の破損を防止できる。従って、車両用アンダーカバー20を、障害物に当たっても壊れ難くできる。サスペンションメンバー14において、ステアリングシャフトを支持する後側の第2部材14bは、操安性が要求されたり、路面入力により共振しないことが求められることから、後側の第2部材14bの形状を曲げて剛性を向上している。このため、後側の第2部材14bとカバー本体22との間が比較的広くなるが、立壁30がカバー本体22よりも先に第2部材14bに当たる構成とすることで、カバー本体22の変形を制御して、カバー本体22の破損を防止できる。
【0032】
立壁30が、1つの後取付部28Aに繋がると共に、別の後取付部28Aへ向けて延びている。カバー本体22が上方へ押された際に、立壁30を後取付部28Aに繋げて設けることで、後取付部28A近傍でのカバー本体22の変形を抑えて、サスペンションメンバー14に取り付けられた後取付部28Aに負荷が集中することを防止できる。これにより、後取付部28Aの根元が破断したり、後取付部28Aがサスペンションメンバー14から外れたりすることなどを回避できる。従って、車両用アンダーカバー20を、障害物に当たっても壊れ難くできる。
【0033】
左右の後取付部28A,28Aの間にある第1補強部32の溝形状が、左右の後取付部28A,28Aを結んだ左右に延在する仮想直線と交差する前後方向に延びている。第1補強部32における下方へ開口する溝形状の形状変化によって、カバー本体22において左右の後取付部28Aの間に加わる上方への力を逃がすことができる。これにより、板状部24が境界で破断したり、後取付部28Aの根元が破断したり、後取付部28Aがサスペンションメンバー14から外れたりすることなどを回避できる。従って、車両用アンダーカバー20を、障害物に当たっても壊れ難くできる。
【0034】
後取付部28Aから第1補強部32に亘って立壁30を設けることで、後取付部28A近傍でのカバー本体22の変形を抑えて、サスペンションメンバー14に取り付けられた後取付部28Aに負荷が集中することを防止できる。これにより、後取付部28Aの根元が破断したり、後取付部28Aがサスペンションメンバー14から外れたりすることなどを回避できる。従って、車両用アンダーカバー20を、障害物に当たっても壊れ難くできる。
【0035】
実施例では、立壁30が左右の後取付部28A,28Aの間に亘って設けられておらず、左右の立壁30の間が分断されている。このようにすることで、カバー本体22の形状変化によって、左右の後取付部28Aの間に加わる上方への力を逃がすことができる。これにより、板状部24が境界で破断したり、後取付部28Aの根元が破断したり、後取付部28Aがサスペンションメンバー14から外れたりすることなどを回避できる。従って、車両用アンダーカバー20を、障害物に当たっても壊れ難くできる。
【0036】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)パワーユニットは、エンジンやモータやコンプレッサなどの単体に限らず、エンジン等の稼働時に音を発する装置や機構などを含んでいてもよい。
(2)サスペンションメンバーの形状は、実施例に限らず、例えば、平面視「U」字状や「コ」字状などの枠状であってもよい。
(3)補強部の形状は、実施例に限らず、例えば、前後方向に延びる補強部がリブ形状であったり、左右方向に延びる補強部が凹形状(樋形状)であったり、平板形状であったり、その他の形状であってもよい。
(4)実施例では、左右の後取付部の間に立壁を設けたが、後取付部と横取付部との間や、左右の横取付部の間や、後取付部と前取付部との間や、横取付部と前取付部との間など、立壁を適宜位置に設けることが可能である。
(5)立壁は、2つの取付部の間において、2以上に分けて断続的に設けても、連続的に設けてもよい。
(6)立壁は、同じ高さで形成することに限らず、高さが変化してもよい。例えば、
図8に示すように、サスペンションメンバー14の下面の形状に合わせて、立壁30の高さを変えてもよい。立壁30の高さは、
図8に示すように漸次変化しても、段状に変化しても、何れであってもよい。
(7)
図8に示すように、立壁30が、後取付部28A(取付部28)より高くてもよい。このようにすることで、立壁30とサスペンションメンバー14との当接によってカバー本体22の変形を制御し易くなる。
図8では、立壁30が、後取付部28Aに繋がると共に、後取付部28Aの左右方向における車両内側の第1補強部32に繋がっている。