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特開2024-62737プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062737
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240501BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170783
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】521372264
【氏名又は名称】小田 研人
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小田 研人
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】心臓超音波検査装置のモニタに表示された、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報を自動的に取得することが可能なプログラム等を提供すること。
【解決手段】一つの側面に係るプログラムは、心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像を取得し、取得した画像中のテキストを抽出し、抽出したテキストを心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する処理をコンピュータに実行させる。これによって、心臓超音波検査装置のモニタに表示された、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報を自動的に取得することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像を取得し、
取得した画像中のテキストを抽出し、
抽出したテキストを心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記画像中のテキストは、検査項目、及び前記検査項目に対応するデータを含み、
前記画像中の検査項目、及び前記検査項目に対応するデータを抽出し、
抽出した検査項目に対応するデータを、前記心臓超音波検査報告書中の検査項目に対応付けて入力する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記画像中の検査項目に対応するデータを認識するための学習モデルを有するクラウドコンピュータに、取得した画像を送信し、
前記学習モデルにより認識された前記検査項目に対応するデータを前記クラウドコンピュータから取得する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記心臓超音波検査装置におけるメーカまたは種類の設定を受け付け、
受け付けたメーカまたは種類に応じて、前記画像から抽出された検査項目及び前記検査項目に対応するデータにおける前記心臓超音波検査報告書の入力アルゴリズムを変更する
請求項2または3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記検査項目は、第1検査項目と、前記第1検査項目とは異なる第2検査項目を含み、
前記第1検査項目及び前記第1検査項目に対応するデータを抽出し、
前記第2検査項目に対応するデータの入力を受け付け、
受け付けた第2検査項目及び前記第2検査項目に対応するデータと、前記第1検査項目及び前記第1検査項目に対応するデータとを印刷する印刷指示を受け付けた場合に、受け付けた印刷指示を出力する
請求項2または3に記載のプログラム。
【請求項6】
心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像を、端末装置の撮影装置を通じて取得し、
取得した画像中のテキストを抽出し、
抽出したテキストを心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する
情報処理方法。
【請求項7】
心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像を取得する取得部と、
取得した画像中のテキストを抽出する抽出部と、
抽出したテキストを心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する入力部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心臓等の対象組織の超音波検査が普及している。例えば特許文献1には、病院情報システムにオンライン接続されていない超音波検査装置について、その検査実績を出力する検査実績把握装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-165924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、心臓超音波検査装置のモニタに表示された、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報を自動的に取得することができないという問題がある。
【0005】
一つの側面では、心臓超音波検査装置のモニタに表示された、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報を自動的に取得することが可能なプログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係るプログラムは、心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像を取得し、取得した画像中のテキストを抽出し、抽出したテキストを心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、心臓超音波検査装置のモニタに表示された、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報を自動的に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】心臓超音波検査報告書作成システムの概要を示す説明図である。
図2】ユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図3】検査報告書テンプレートDB及び検査報告書DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】クラウドサーバの構成例を示すブロック図である。
図5】検査装置のモニタに表示された画像の一例を示す説明図である。
図6】心臓超音波検査報告書の一例を示す説明図である。
図7】心臓超音波検査報告書を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態2におけるユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図9】入力アルゴリズムDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図10】入力アルゴリズムを変更する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、心臓超音波検査装置のモニタに表示された画像に基づき、心臓超音波検査報告書を自動的に作成する形態に関する。図1は、心臓超音波検査報告書作成システムの概要を示す説明図である。本実施形態のシステムは、心臓超音波検査装置1、情報処理端末2及び情報処理装置3を含み、各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0011】
心臓超音波検査装置1は、検査対象部位である心臓に超音波を照射すると共に、超音波を発する発信超音波が心臓内で反射した超音波である反射超音波により、心臓の状態の検査処理を行う超音波検査装置である。心臓超音波検査装置1は、モニタ(表示装置)11を備える。モニタ11は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、心臓超音波検査装置1から出力された超音波画像等を表示する。以下では簡潔のため、心臓超音波検査装置1を検査装置1と読み替える。
【0012】
情報処理端末2は、検査装置1のモニタ11に表示された画像の取得、画像中のテキスト(文字)の抽出、及び、抽出されたテキストに基づく心臓超音波検査報告書の作成等を行う端末装置である。情報処理端末2は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ(Apple Watch:登録商標)等のウェアラブルデバイス、タブレット、またはパーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末2をユーザ端末2と読み替える。
【0013】
情報処理装置3は、画像中のテキストを認識する学習モデルを有する情報処理装置である。なお、画像中のテキストに関しては後述する。情報処理装置3は、例えばサーバ装置、クラウドサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC(パソコン)等である。本実施形態において、情報処理装置3はクラウドサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためクラウドサーバ3と読み替える。
【0014】
現在多くの医療機関では、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報がそれぞれの業者専用の検査装置1上に記憶して表示されている。通常、検査装置1上に表示された心臓超音波検査情報は、専門業者の手入力等によって医療機関情報システム等に取り込まれる。よって、入力作業の手間が発生するという問題があった。本実施形態では、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報の入力作業の手間を省くために、心臓超音波検査報告書を自動的に作成する。
【0015】
具体的には、本実施形態に係るユーザ端末2は、検査装置1のモニタ11に表示された画像を取得する。ユーザ端末2は、取得した画像中のテキストを抽出する。テキストは、心臓超音波検査に係る検査項目、及び当該検査項目に対応するデータを含む。ユーザ端末2は、抽出した検査項目に対応するデータを、心臓超音波検査報告書の対応する位置に入力する。ユーザ端末2は、作成した心臓超音波検査報告書を出力する。
【0016】
図2は、ユーザ端末2の構成例を示すブロック図である。ユーザ端末2は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、撮影部26及び大容量記憶部27を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0017】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)、またはMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部22に記憶された制御プログラム2P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、ユーザ端末2に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、図2では制御部21を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0018】
記憶部22はRAM(Random Access Memory)、またはROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部21が処理を実行するために必要な制御プログラム2P又はデータ等を記憶している。また、記憶部22は、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0019】
通信部23は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、クラウドサーバ3等と情報の送受信を行う。また、通信部23は、心臓超音波検査報告書を印刷するための印刷インターフェースを有する。通信部23は、制御部21の印刷指示に応じて、心臓超音波検査報告書を印刷インターフェースにより印刷装置(図示なし)に送信する。入力部24は、キーボード、マウスまたは表示部25と一体化したタッチパネルでも良い。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部21の指示に従い各種情報を表示する。
【0020】
撮影部26は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等の撮影装置である。なお、撮影部26はユーザ端末2の中に内蔵せず、外部で直接にユーザ端末2と接続し、撮影可能な構成としても良い。
【0021】
大容量記憶部27は、例えばHDD(Hard disk drive:ハードディスク)、またはSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の記録媒体を備える。大容量記憶部27は、検査報告書テンプレートDB(database)271及び検査報告書DB272を含む。検査報告書テンプレートDB271は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを記憶している。検査報告書DB272は、作成された心臓超音波検査報告書を記憶している。なお、本実施形態において記憶部22及び大容量記憶部27は一体の記憶装置として構成されていても良い。
【0022】
図3は、検査報告書テンプレートDB271及び検査報告書DB272のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
検査報告書テンプレートDB271は、番号列及びテンプレートデータ列を含む。番号列は、各心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを識別するために、一意に特定されるテンプレートデータの番号(ID)を記憶している。
【0023】
テンプレートデータ列は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを記憶している。テンプレートデータは、心臓超音波検査報告書のひな型として用いるテンプレートのデータである。テンプレートデータは、例えば心臓超音波検査報告書の各項目のレイアウト(配置)を示すレイアウトデータと、各項目の正常値(基準値)と、心臓超音波検査報告書全体の背景画像、枠部の色味、配色及び文字サイズ等といったスタイルを示すスタイルデータとを含んで構成されても良い。
【0024】
検査報告書DB272は、患者ID列、検査報告書列及び作成日時列を含む。患者ID列は、各患者を識別するために、一意に特定される患者のIDを記憶している。なお、患者ID列には、患者の診察券番号が記憶されても良い。検査報告書列は、各検査項目及び各検査項目に対応するデータを含む心臓超音波検査報告書のデータを記憶している。なお、検査報告書列には、心臓超音波検査報告書のファイルそのものが記憶されても良い。作成日時列は、心臓超音波検査報告書を作成した日時情報を記憶している。
【0025】
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
【0026】
図4は、クラウドサーバ3の構成例を示すブロック図である。クラウドサーバ3は、制御部31、記憶部32、通信部33、読取部34及び大容量記憶部35を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0027】
制御部31は、CPU、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、または量子プロセッサ等の演算処理装置を含む。制御部31は、記憶部32に記憶された制御プログラム3P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、クラウドサーバ3に係る種々の情報処理または制御処理等を行う。
【0028】
なお、制御プログラム3Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、図4では制御部31を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0029】
記憶部32はRAM、またはROM等のメモリ素子を含み、制御部31が処理を実行するために必要な制御プログラム3P又はデータ等を記憶している。また、記憶部32は、制御部31が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部33は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、ユーザ端末2等との間で情報の送受信を行う。
【0030】
読取部34は、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体3aを読み取る。制御部31が読取部34を介して、制御プログラム3Pを可搬型記憶媒体3aより読み取り、大容量記憶部35に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部31が制御プログラム3Pをダウンロードし、大容量記憶部35に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ3bから、制御部31が制御プログラム3Pを読み込んでも良い。
【0031】
大容量記憶部35は、例えばHDDまたはSSD等の記録媒体を備える。大容量記憶部35は、検査項目認識モデル(学習モデル)351を含む。検査項目認識モデル351は、検査装置1のモニタ11に表示された画像中のテキスト(検査項目、及び当該検査項目に対応するデータ)を認識する認識器であり、機械学習により生成された学習済みモデルである。
【0032】
なお、本実施形態では、クラウドサーバ3上で構築された検査項目認識モデル351の例を説明したが、これに限るものではない。例えば、ユーザ端末2またはローカルの情報処理装置等を利用し、検査項目認識モデル351を構築しても良い。
【0033】
なお、本実施形態において記憶部32及び大容量記憶部35は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部35は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部35はクラウドサーバ3に接続された外部記憶装置であっても良い。
【0034】
クラウドサーバ3は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良い。また、クラウドサーバ3は、1台のクラウドサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されても良いし、通常のサーバを用いて実現されても良い。
【0035】
続いて、検査装置1のモニタ11に表示された画像に基づき、心臓超音波検査報告書を自動的に作成する処理を説明する。
【0036】
ユーザ端末2は、撮影部26を介して、検査装置1のモニタ11に表示された心臓超音波検査結果の表示画面を撮影する。ユーザ端末2は、撮影した画像を取得する。なお、検査装置1のモニタ11に表示された画像が予め記憶部22または大容量記憶部27に記憶された場合、ユーザ端末2は、記憶部22または大容量記憶部27から画像を取得しても良い。なお、外部の撮影装置等により心臓超音波検査結果の表示画面が撮影された場合、ユーザ端末2は、外部の撮影装置から画像を取得しても良い。
【0037】
ユーザ端末2は、取得した画像中のテキストを抽出する。テキストは、検査項目、及び当該検査項目に対応するデータを含む。検査項目は、心臓超音波検査に関連する項目である。検査項目に対応するデータは、各々の検査項目の数値データである。
【0038】
例えば、検査項目は、LVDs(Left Ventricular Dimension systole;左室収縮末期径)、LVDd(Left Ventricular Dimension diastole;左室拡張末期径)、FS(Fractional Shortening;左室径短縮率)、EF(Ejection Fraction;駆出率)、IVST(InterVentricular Septum Thickness;心室中隔壁厚)、PWT(Left Ventricular Posterior Wall Thickness;左室後壁厚)、LAD(Left Atrial Dimension;左房径)、RVD(Right Ventricular Dimension;右房径)、AOD(Aortic dimension;大動脈径)、IVC(Inferior Vena Cava;下大静脈径)、またはAVA(Aortic Valve Area;大動脈弁弁口面積)等を含む。
【0039】
検査項目及び当該検査項目に対応するデータは、クラウドサーバ3上の学習済みの検査項目認識モデル351を用いて抽出される。具体的には、ユーザ端末2は、取得した画像をクラウドサーバ3に送信する。クラウドサーバ3は、ユーザ端末2から送信された画像を受信する。クラウドサーバ3は、受信した画像を検査項目認識モデル351に入力し、当該画像中の検査項目及び検査項目に対応するデータを認識した認識結果を出力する。
【0040】
検査項目認識モデル351は、例えば、DNN(Deep Neural Network(s))、CNN(Convolution Neural Network)、RCNN(Regions with Convolutional Neural Network)、Fast RCNN、Faster RCNN、SSD(Single Shot Multibook Detector)、YOLO(You Only Look Once)、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、トランスフォーマー(Transformer)ネットワーク、または回帰木等の任意の物体検出アルゴリズムを利用して構築されても良い。
【0041】
なお、検査項目認識モデル351としては、例えば、Google Cloud Platform(登録商標)のVision APIが提供する学習済みモデル等を用いることができる。
【0042】
なお、検査項目及び当該検査項目に対応するデータの認識処理については、機械学習又は深層学習等により学習された文字認識を行う検査項目認識モデル351に限定されない。例えば、既存の技術であるOCR(Optical Character Recognition)を用いて、画像中の検査項目及び当該検査項目に対応するデータを抽出しても良い。
【0043】
ユーザ端末2は、クラウドサーバ3上の検査項目認識モデル351を通じて、画像中の検査項目及び当該検査項目に対応するデータを抽出した場合、抽出した検査項目及び当該検査項目に対応するデータに基づいて心臓超音波検査報告書を作成する。
【0044】
具体的には、ユーザ端末2は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを検査報告書テンプレートDB271から取得する。ユーザ端末2は、取得した心臓超音波検査報告書のテンプレートデータにおける各検査項目に対応する位置に、抽出した各検査項目に対応するデータを入力(挿入)する。ユーザ端末2は、作成した心臓超音波検査報告書を画面に表示する。ユーザ端末2は、作成した心臓超音波検査報告書のデータを患者IDに対応付けて検査報告書DB272に記憶する。
【0045】
図5は、検査装置1のモニタ11に表示された画像の一例を示す説明図である。図示のように、心臓超音波検査結果の表示画面は検査装置1のモニタ11に表示される。検査結果には、心臓超音波検査における検査項目及び当該検査項目に対応するデータが含まれる。例えば、AoD、LAD、FS(2D)、EF(Teich,2D)、IVST、LVDdまたはLVDs等を含む検査項目と、各検査項目に対応するデータ(数値)とを検査装置1のモニタ11に表示される。
【0046】
ユーザ端末2は、撮影部26を介して、検査装置1のモニタ11に表示された心臓超音波検査結果の表示画面を撮影する。ユーザ端末2は、クラウドサーバ3上の検査項目認識モデル351を通じて、画像中の検査項目及び当該検査項目に対応するデータを抽出する。
【0047】
図6は、心臓超音波検査報告書の一例を示す説明図である。当該画面は、患者情報表示欄11a、検査項目設定欄11b、撮影ボタン11c、画像選択ボタン11d及び印刷ボタン11eを含む。
【0048】
患者情報表示欄11aは、患者の患者情報を表示する表示欄である。患者情報は、例えば、患者ID、氏名、性別または心臓超音波検査報告書の作成日付等を含む。検査項目設定欄11bは、検査項目及び検査項目に対応するデータと、検査項目の正常値(基準値)とを設定する設定欄である。撮影ボタン11cは、検査装置1のモニタ11に表示された心臓超音波検査結果の表示画面を撮影するボタンである。画像選択ボタン11dは、予め撮影された画像を選択するボタンである。印刷ボタン11eは、心臓超音波検査報告書を印刷するボタンである。
【0049】
ユーザ端末2は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを検査報告書テンプレートDB271から取得する。例えば、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータには、患者情報のレイアウトデータ、各検査項目のレイアウトデータ、各検査項目の正常値、または、文字サイズ等を示すスタイルデータ等が含まれる。ユーザ端末2は、取得した心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを患者情報表示欄11a及び検査項目設定欄11bに表示する。
【0050】
ユーザ端末2は、撮影ボタン11cのタッチ(クリック)操作を受け付けた場合、撮影部26を介して、検査装置1のモニタ11に表示された心臓超音波検査結果の表示画面を撮影する。ユーザ端末2は、画像選択ボタン11dのタッチ操作を受け付けた場合、予め撮影された心臓超音波検査結果の画像を記憶部22または大容量記憶部27等から取得する。なお、ユーザ端末2は、心臓超音波検査結果の画像を外部の情報処理端末から取得しても良い。
【0051】
ユーザ端末2は、撮影ボタン11cにより撮影された画像、または、画像選択ボタン11dにより選択された画像を取得する。ユーザ端末2は、クラウドサーバ3上の学習済みの検査項目認識モデル351を通じて、取得した画像中の検査項目及び当該検査項目に対応するデータを認識する。
【0052】
ユーザ端末2は、検査項目認識モデル351により認識された検査項目及び当該検査項目に対応するデータを取得する。ユーザ端末2は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータにおける各検査項目に対応する位置に、取得した各検査項目に対応するデータを入力する。
【0053】
ユーザ端末2は、患者情報表示欄11aの入力操作を受け付けた場合、入力された患者情報(患者ID、氏名、性別及び心臓超音波検査報告書の作成日付等)を取得する。なお、ユーザ端末2は、例えば、患者情報を管理するデータベース装置(図示なし)から患者情報を取得しても良い。ユーザ端末2は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータにおける患者情報に対応する位置に、取得した患者情報を入力する。
【0054】
ユーザ端末2は、患者情報及び検査項目に対応するデータを入力した心臓超音波検査報告書を患者情報表示欄11a及び検査項目設定欄11bに再表示する。なお、心臓超音波検査報告書の表示形式については、上述した表示形式に限らず、任意の形式で表す心臓超音波検査報告書であっても良い。
【0055】
検査項目は、第1検査項目、及び当該第1検査項目とは異なる第2検査項目等の複数の検査項目を含む。例えば、第1検査項目がAodであり、且つ、第2検査項目がLADである。ユーザ端末2は、画像から第1検査項目(例えば、Aod)及び第1検査項目に対応するデータを抽出する。ユーザ端末2は、検査項目設定欄11bを通じて、第2検査項目(例えば、LAD)に対応するデータの入力を受付ける。
【0056】
ユーザ端末2は、印刷ボタン11eのタッチ操作を受け付けた場合、検査項目設定欄11bにより受け付けられた第2検査項目及び当該第2検査項目に対応するデータと、第1検査項目及び当該第1検査項目に対応するデータとを印刷する印刷指示を印刷装置(図示なし)に送信する。
【0057】
印刷装置は、ユーザ端末2から送信された印刷指示に応じて、第2検査項目及び当該第2検査項目に対応するデータと、第1検査項目及び当該第1検査項目に対応するデータとを含む心臓超音波検査報告書を印刷する。なお、第2検査項目が入力されない場合でも、第1検査項目のみを含む心臓超音波検査報告書を印刷しても良い。
【0058】
このように、検査項目に対応するデータを検査項目認識モデル351等により自動的に認識することができ、また、検査項目に対応するデータを手動で入力することもできる。これによって、各検査項目に対応するデータに対する修正等を実現することができる。
【0059】
図7は、心臓超音波検査報告書を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。ユーザ端末2の制御部21は、検査装置1のモニタ11に表示された画像を取得する(ステップS201)。例えば、制御部21は、撮影部26を介して、検査装置1のモニタ11に表示された心臓超音波検査結果の表示画面を撮影する。制御部21は、撮影した画像を取得する。ユーザ端末2は、取得した画像を通信部23によりクラウドサーバ3に送信する(ステップS202)。
【0060】
クラウドサーバ3の制御部31は、ユーザ端末2から送信された画像を通信部33により受信する(ステップS301)。制御部31は、受信した画像を大容量記憶部35の検査項目認識モデル351に入力し、当該画像中の検査項目(LVDs、LVDd、FSまたはEF等)、及び検査項目に対応するデータを抽出する(ステップS302)。制御部31は、抽出した検査項目及び当該検査項目に対応するデータを通信部33によりユーザ端末2に送信する(ステップS303)。
【0061】
ユーザ端末2の制御部21は、クラウドサーバ3から送信された検査項目及び当該検査項目に対応するデータを通信部23により受信する(ステップS204)。制御部21は、患者情報(患者ID、氏名または性別等)を取得する(ステップS205)。例えば制御部21は、患者情報の入力を入力部24により受け付けても良い。
【0062】
制御部21は、心臓超音波検査報告書のテンプレートデータを大容量記憶部27の検査報告書テンプレートDB271から取得する(ステップS206)。制御部21は、取得した心臓超音波検査報告書のテンプレートデータにおける患者情報及び各検査項目に対応する位置に、取得した患者情報及び各検査項目に対応するデータを入力する(ステップS207)。制御部21は、表示部25を介して、患者情報及び検査項目に対応するデータを入力した心臓超音波検査報告書を表示する(ステップS208)。
【0063】
制御部21は、患者の患者IDに対応付けて、作成した心臓超音波検査報告書のデータ及び作成日時を一つのレコードとして大容量記憶部27の検査報告書DB272に記憶する(ステップS209)。制御部21は、検査項目(第1検査項目)とは異なる第2検査項目に対応するデータの入力を入力部24により受け付ける(ステップS210)。なお、ステップS210の処理は必須ではなく、ステップS210の処理を省略することができる。
【0064】
制御部21は、心臓超音波検査報告書を印刷する印刷指示を入力部24により受け付ける(ステップS211)。心臓超音波検査報告書には、第2検査項目及び当該第2検査項目に対応するデータと、第1検査項目及び当該第1検査項目に対応するデータとが含まれる。制御部21は、受け付けた印刷指示を通信部23により印刷装置に送信し(ステップS212)、処理を終了する。
【0065】
本実施形態によると、検査装置1のモニタ11に表示された画像に基づき、心臓超音波検査報告書を自動的に作成することが可能となる。
【0066】
本実施形態によると、心臓超音波検査報告書を自動的に作成することにより、業者による心臓超音波検査報告書に記載すべき情報の手入力作業を不要とし、業者の作業負担を軽減するとともに、入力ミスの発生を排除することが可能となる。
【0067】
本実施形態によると、心臓超音波検査報告書を自動的に作成することにより、心臓超音波検査報告書に記載すべき情報入力の手間を低減することが可能となり、当該情報入力における人権費の低減を促進することが可能となる。
【0068】
(実施形態2)
実施形態2は、検査装置1のメーカまたは種類に応じて、検査項目及び当該検査項目に対応するデータにおける心臓超音波検査報告書の入力アルゴリズムを変更する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0069】
検査装置1のメーカまたは種類により、検査項目の名称の表記、または、検査項目に対応するデータの単位等が異なる場合がある。例えば、「AoD」である検査項目に対し、メーカAの検査装置1上に「Ao Diam」なる表記がなされているが、メーカBの検査装置1上に「AoD」なる表記がなされている。または、検査項目に対応するデータの単位に対し、メーカAの検査装置1上に「inch」なる単位がなされているが、メーカBの検査装置1上に「mm」なる表記がなされている。
【0070】
これに従って、画像中の検査項目及び当該検査項目に対応するデータが抽出された場合、検査装置1のメーカまたは種類に応じて、抽出された検査項目及び当該検査項目に対応するデータにおける心臓超音波検査報告書の入力アルゴリズムを変更することが必要である。
【0071】
図8は、実施形態2におけるユーザ端末2の構成例を示すブロック図である。なお、図2と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。大容量記憶部27には、入力アルゴリズムDB273が記憶されている。入力アルゴリズムDB273は、検査装置1のメーカまたは種類に応じた入力アルゴリズムを記憶している。
【0072】
図9は、入力アルゴリズムDB273のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。入力アルゴリズムDB273は、メーカ列、種類列及び入力アルゴリズム列を含む。メーカ列は、検査装置1のメーカ情報を記憶している。種類列は、検査装置1の種類情報(例えば、型番)を記憶している。入力アルゴリズム列は、メーカまたは種類に応じた入力アルゴリズムを記憶している。
【0073】
入力アルゴリズムは、メーカまたは種類に基づく検査項目及び検査項目に対応するデータを、心臓超音波検査報告書に記載すべき検査項目の表記形式(フォーマット)に変更するために、名称の表記または単位の変更等を明確に定義した命令を組み合わせた方法または手段である。なお、本実施形態では、入力アルゴリズムを入力アルゴリズムDB273に記憶した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、メーカまたは種類に基づく入力アルゴリズムは、予め制御プログラム2Pに含まれても良い。
【0074】
図10は、入力アルゴリズムを変更する際の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。ユーザ端末2の制御部21は、ステップS205の処理を実行した後に、検査装置1におけるメーカまたは種類の設定を入力部24により受け付ける(ステップS221)。
【0075】
なお、制御部21は、メーカ、種類、または、メーカと種類との両方の設定を受け付けても良い。なお、制御部21は、通信部23を介して、検査装置1のメーカまたは種類を当該検査装置1から直接取得しても良い。なお、制御部21は、検査装置1のモニタ11に表示された画像に基づき、当該検査装置1のメーカまたは種類を特定しても良い。例えば、制御部21は、検査装置1のモニタ11に表示された画像に対するパターンマッチング等の画像処理によって、メーカまたは種類を特定するようにしても良い。または、制御部21は、検査装置1のモニタ11に表示された画像を入力した場合に、当該検査装置1のメーカまたは種類を出力するように学習された学習モデルを利用し、メーカまたは種類を特定しても良い。
【0076】
制御部21は、受け付けたメーカまたは種類に基づいて、該当する心臓超音波検査報告書の入力アルゴリズムを大容量記憶部27の入力アルゴリズムDB273から取得する(ステップS222)。例えば、入力アルゴリズムには、変更元情報(メーカまたは種類に応じた検査項目の名称の表記、及び当該検査項目に対応するデータの単位)、変更先情報(心臓超音波検査報告書に記載すべき検査項目の名称の表記、及び当該検査項目に対応するデータの単位)、及び単位変更用の計算式等が含まれる。例えば、メーカAの検査装置1における入力アルゴリズムには、「Ao Diam ⇒ AoD、inch ⇒ mm(1inch = 25.4mm)」となった内容が記憶されても良い。
【0077】
制御部21は、取得した入力アルゴリズムに変更し(ステップS223)、変更後の入力アルゴリズムを用いてステップS207の処理を実行する。
【0078】
本実施形態によると、検査装置1のメーカまたは種類に応じて、検査項目及び当該検査項目に対応するデータにおける心臓超音波検査報告書の入力アルゴリズムを変更することが可能となる。
【0079】
本実施形態によると、入力アルゴリズムを変更することにより、各種の検査装置1における心臓超音波検査報告書を自動的に作成することが可能となる。
【0080】
なお、上述した各実施形態では、心臓超音波検査結果を示す画像の例を説明したが、これに限るものではない。例えば、血液検査、腹部超音波検査、胸部X線検査、心臓カテーテル検査、内視鏡検査、CT(Computed Tomography)検査、またはMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査等により得られた検査結果を示す画像にも同様に適用することできる。
【0081】
例えば、ユーザ端末2は、腹部超音波検査において、腹部超音波検査装置のモニタ11に表示された画像を取得する。ユーザ端末2は、取得した画像中のテキストを抽出する。ユーザ端末2は、抽出したテキストを腹部超音波検査報告書の対応する位置に入力することにより、腹部超音波検査報告書を作成しても良い。
【0082】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0083】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 心臓超音波検査装置(検査装置)
11 モニタ(表示装置)
2 情報処理端末(ユーザ端末)
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 表示部
26 撮影部
27 大容量記憶部
271 検査報告書テンプレートDB
272 検査報告書DB
273 入力アルゴリズムDB
2P 制御プログラム
3 情報処理装置(クラウドサーバ)
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 読取部
35 大容量記憶部
351 検査項目認識モデル(学習モデル)
3a 可搬型記憶媒体
3b 半導体メモリ
3P 制御プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10