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特開2024-62752注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062752
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/00 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B22D29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170811
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】下村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】船木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
(57)【要約】
【課題】大きな駆動力および稼働エネルギーを必要とすることなく、サイクルタイムの短縮と、設備のコンパクト化を図ることができる注湯済み鋳型抜き出し装置を提供する。
【解決手段】搬入位置から、抜き出し位置まで、鋳型を下方より支持して移送する移送装置と、鋳型を搬送台から移送装置に受け渡す受け渡し装置と、抜き出し位置に設けられ、鋳型の鋳枠から砂型部分を抜き出す抜き出し部と、抜き出された砂型部分を搬送する砂型部分搬送装置と、を備え、抜き出し部は、鋳型の砂型部分を載置して上昇させる抜き出しテーブルと、鋳枠の上端面を押さえる複数の制止部と、を備え、複数の制止部は、砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定され、抜き出しテーブルの上昇距離は、鋳枠の丈と、砂型部分を完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送台に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型が搬入路によって搬入される搬入位置から、抜き出し位置まで、前記鋳型を下方より支持して移送する移送装置と、
前記鋳型を前記搬送台から前記移送装置に受け渡す受け渡し装置と、
前記抜き出し位置に設けられ、前記鋳型の鋳枠から砂型部分を抜き出す抜き出し部と、
抜き出された前記砂型部分を搬送する砂型部分搬送装置と、を備え、
前記抜き出し部は、前記鋳型の前記砂型部分を載置して上昇させる抜き出しテーブルと、
前記鋳枠の上端面を押さえる複数の制止部と、を備え、
複数の前記制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定され、
前記抜き出しテーブルの上昇距離は、前記鋳枠の丈寸法と、前記砂型部分を完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である、
注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項2】
前記移送装置は、前記搬入位置から前記抜き出し位置に移送される前記鋳型の前記鋳枠の後端下部に設けられた被掛止部に下方から着脱可能に掛止する掛止部と、
前記搬入位置に隣接する位置から前記抜き出し位置まで複数並べられ、かつ前記抜き出し位置に移送される方向に直角な方向に対に配置されたローラで前記鋳枠の向かい合う側端下部を転動可能に支持するローラコンベヤと、を備え、
前記受け渡し装置は、前記搬入位置において、前記搬送台を前記移送装置よりも低い位置に下降させる搬送台下降装置を備えた、
請求項1に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項3】
前記移送装置は、前記搬入位置から前記抜き出し位置に移送される前記鋳型の前記鋳枠の後端下部に設けられた被掛止部に下方から着脱可能に掛止する掛止部と、
前記搬入位置に隣接する位置から前記抜き出し位置まで複数並べられ、かつ前記抜き出し位置に移送される方向に直角な方向に対に配置されたローラで前記鋳枠の向かい合う側端下部を転動可能に支持するローラコンベヤと、を備え、
前記受け渡し装置は、前記搬入位置において、前記掛止部を上昇させることで、前記鋳枠の後部下端を前記搬送台よりも高い位置に上昇させる掛止部上昇装置と、
前記ローラコンベヤのローラを上昇させることで、前記鋳枠の前部下端を前記搬送台よりも高い位置に上昇させるローラ上昇装置と、を備えた、
請求項1に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項4】
前記砂型部分搬送装置は、抜き出された前記砂型部分が載置されて摺動して移動される砂型部分移動台を備え、
前記砂型部分移動台の上面は、前記抜き出しテーブルに載置された前記鋳型の前記鋳枠上端の高さよりも、前記抜き出し代の寸法分高い位置に設けられている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項5】
搬送台に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型が搬入路によって搬入される搬入位置から、抜き出し位置まで、前記鋳型を下方より支持した移送装置により移送する移送工程と、
前記鋳枠付の注湯済み鋳型を前記搬送台から前記移送装置に受け渡す受け渡し工程と、
前記抜き出し位置に設けられ、前記鋳型の鋳枠から砂型部分を抜き出す抜き出し工程と、
抜き出された前記砂型部分を砂型部分搬送装置で搬送する砂型部分搬送工程と、を備え、
前記抜き出し工程は、前記鋳型の前記砂型部分を抜き出しテーブルに載置して上昇させる上昇工程と、
前記鋳枠の上端面を複数の制止部で押さえる制止工程と、を備え、
複数の前記制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定されており、
前記上昇工程において、前記抜き出しテーブルの上昇距離は、前記鋳枠の丈寸法と、前記砂型部分を完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である、
注湯済み鋳型抜き出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注湯済みの鋳型を、鋳枠から抜き出す鋳型抜き出し装置および鋳型抜き出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注湯済みの鋳型を鋳枠から抜き出す方法として、特許文献1に示すように、シリンダ装置により鋳型の下方から真上に抜き上げる方法がある。この方法は鋳型(砂型部分)をできる限り崩さずに外部に抜き出した後に、鋳型内で製品(鋳物)を一定時間徐冷することを主目的としている。
【0003】
従来の注湯済み鋳型抜き出し装置は、砂型部分が通過可能で、かつ鋳枠が通過不能な開口を有する「砂型抜き部」を備えた「支持フレーム」で、注湯済み鋳型を吊り下げて抜き出し位置まで移送する。抜き出し位置における、砂型部分の抜き出しは、支持フレームが、注湯済み鋳型の上方に配置された状態で行われる。
【0004】
そのため、鋳型を抜き出し際に必要なストロークは、抜き出される鋳枠の丈寸法と支持フレームの丈寸法の合算分の長いストロークが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-111125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、鋳型を抜き出す際のストロークが長くなると、鋳物製品(鋳物)の製造におけるサイクルタイムの短縮や設備高さの低減によるコンパクト化を図る際の障害となっていた。また、サイクルタイムを短縮するため昇降速度を早くすることも考えられるが、高速で同じ抜き出し力を出力するためには、大きな駆動力と高稼働エネルギーとを必要とする等の問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、大きな駆動力および稼働エネルギーを必要とすることなく、サイクルタイムの短縮と、設備のコンパクト化を図ることができる注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、搬送台に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型が搬入路によって搬入される搬入位置から、抜き出し位置まで、前記鋳型を下方より支持して移送する移送装置と、前記鋳型を前記搬送台から前記移送装置に受け渡す受け渡し装置と、前記抜き出し位置に設けられ、前記鋳型の鋳枠から砂型部分を抜き出す抜き出し部と、抜き出された前記砂型部分を搬送する砂型部分搬送装置と、を備えている。
【0009】
前記抜き出し部は、前記鋳型の前記砂型部分を載置して上昇させる抜き出しテーブルと、前記鋳枠の上端面を押さえる複数の制止部と、を備え、複数の前記制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定され、前記抜き出しテーブルの上昇距離は、前記鋳枠の丈寸法と、前記砂型部分を完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である。
【0010】
これによれば、鋳枠付の注湯済み鋳型を抜き出し位置まで移送する移送装置は、下方から支持して移送するため、鋳型を吊り下げるために使われた従来の支持フレームを必要としない。そのため、支持フレームを超える位置まで抜き出しテーブルを上昇させる必要がない。また、制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定されている。
【0011】
そのため、鋳枠から砂型部分を抜き出した位置から、さらに制止部を超える位置まで抜き出しテーブルを余分に上昇させる必要がない。その結果、抜き出しテーブルの上昇距離(ストローク)を、鋳枠の丈寸法と、抜き出し代との和とすることが可能となり、短く設定することができる。これにより、大きな駆動力および稼働エネルギーを必要とすることなく、抜き出し作業のサイクルタイムを容易かつ確実に短くすることができる。
【0012】
本発明の第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記移送装置は、前記搬入位置から前記抜き出し位置に移送される前記鋳型の前記鋳枠の後端下部に設けられた被掛止部に下方から着脱可能に掛止する掛止部と、前記搬入位置に隣接する位置から前記抜き出し位置まで複数並べられ、かつ前記抜き出し位置に移送される方向に直角な方向に対に配置されたローラで前記鋳枠の向かい合う側端下部を転動可能に支持するローラコンベヤと、を備えている。
【0013】
また、前記受け渡し装置は、前記搬入位置において、前記搬送台を前記移送装置よりも低い位置に下降させる搬送台下降装置を備えている。
【0014】
これによれば、掛止部は鋳枠を下方から掛止しており、ローラコンベヤは載置されるだけで鋳型を下方から支持している。そのため、搬送台を移送装置よりも低い位置に下降させるという簡素な構造で、鋳枠付の注湯済み鋳型を、移送装置に容易に受け渡すことができる。
【0015】
本発明の第三の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記移送装置は、前記搬入位置から前記抜き出し位置に移送される前記鋳型の前記鋳枠の後端下部に設けられた被掛止部に下方から着脱可能に掛止する掛止部と、前記搬入位置に隣接する位置から前記抜き出し位置まで複数並べられ、かつ前記抜き出し位置に移送される方向に直角な方向に対に配置されたローラで前記鋳枠の向かい合う側端下部を転動可能に支持するローラコンベヤと、を備えている。
【0016】
前記受け渡し装置は、前記搬入位置において、前記掛止部を上昇させることで、前記鋳枠付の注湯済み鋳型の前記鋳枠の後部下端を前記搬送台よりも高い位置に上昇させる掛止部上昇装置と、前記ローラコンベヤのローラを上昇させることで、前記鋳枠付の注湯済み鋳型の前記鋳枠の前部下端を前記搬送台よりも高い位置に上昇させるローラ上昇装置と、を備えている。
【0017】
これによれば、掛止部は鋳枠を下方から掛止しており、ローラコンベヤは載置されるだけで鋳型を下方から支持している。そのため、鋳枠付の注湯済み鋳型の後部下端を搬送台よりも高い位置に上昇させる掛止部上昇装置と、鋳枠付の注湯済み鋳型の前部下端を搬送台よりも高い位置に上昇させるローラ上昇装置とによって、鋳枠付の注湯済み鋳型を搬送台より持ち上げる。これによって、鋳枠付の注湯済み鋳型を搬送台から移送装置に容易かつ確実に受け渡すことができる。
【0018】
本発明の第四の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一ないし第三の態様のいずれか一つの態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記砂型部分搬送装置は、抜き出された前記砂型部分が載置されて摺動して移動される砂型部分移動台を備え、前記砂型部分移動台の上面は、前記抜き出しテーブルに載置された前記鋳型の前記鋳枠上端の高さよりも、前記抜き出し代の寸法分高い位置に設けられている。
【0019】
これによれば、抜き出し代の寸法だけ鋳枠の高さより高く砂型部分移動台の高さを設定すればいいので、抜き出しのための抜き出しテーブルのストロークを短く設定することができ、抜き出し作業のサイクルタイムを容易かつ確実に短くすることができる。
【0020】
本発明の第五の態様の注湯済み鋳型抜き出し方法によれば、搬送台に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型が搬入路によって搬入される搬入位置から、抜き出し位置まで、前記鋳型を下方から支持する移送装置により移送する移送工程と、前記鋳枠付の注湯済み鋳型を前記搬送台から前記移送装置に受け渡す受け渡し工程と、前記抜き出し位置に設けられ、前記鋳型の鋳枠から砂型部分を抜き出す抜き出し工程と、抜き出された前記砂型部分を搬送する砂型部分搬送工程と、を備えている。
【0021】
また、前記抜き出し工程は、前記鋳型の前記砂型部分を抜き出しテーブルに載置して上昇させる上昇工程と、前記鋳枠の上端面を複数の制止部で押さえる制止工程と、を備えている。
【0022】
複数の前記制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定されており、前記上昇工程において、前記抜き出しテーブルの上昇距離は、前記鋳枠の丈寸法と、前記砂型部分を完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である。
【0023】
これによれば、鋳枠付の注湯済み鋳型を抜き出し位置まで移送する移送装置は、下方から支持して移送するため、鋳型を吊り下げるために使われた従来の支持フレームを必要としない。そのため、支持フレームを超える位置まで抜き出しテーブルを上昇させる必要がない。また、制止部は、前記砂型部分搬送装置で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された前記砂型部分が通過可能に設定されている。
【0024】
そのため、鋳枠から砂型部分を抜き出した位置から、さらに制止部を超える位置まで抜き出しテーブルを余分に上昇させる必要がない。その結果、抜き出しテーブルの上昇距離(ストローク)を、鋳枠の丈寸法と、抜き出し代との和とすることができ、短く設定することができる。これにより、抜き出し作業のサイクルタイムを容易かつ確実に短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の注湯済み鋳型抜き出し装置の第一実施形態を一部断面図で示す正面側から見た全体概要図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3図1におけるIII-III断面図である。
図4図1におけるIV-IV断面図である。
図5図1におけるV-V断面図である。
図6図1におけるVI-VI断面図である。
図7】移送装置への受け渡し前の工程を示す拡大図である。
図8】受け渡し装置が下降して鋳枠付の注湯済み鋳型を移送装置に受け渡した状態を示す図である。
図9】移送装置により鋳枠付の注湯済み鋳型が押し出し位置に移送された状態を示す図である。
図10】鋳枠付の注湯済み鋳型から砂型部分を押し出した状態を示す図である。
図11】砂型部分を砂型部分搬送装置で搬送した状態を示す図である。
図12】受け渡し装置が下降して鋳枠付の注湯済み鋳型を移送装置に受け渡した状態を示す側面から見た拡大図である。
図13】注湯済み鋳型抜き出し装置の第二実施形態を一部断面図で示す正面側から見た概要図である。
図14】注湯済み鋳型抜き出し装置の第二実施形態を示す平面図である。
図15】第二実施形態における受け渡し工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
本件発明にかかる注湯済み鋳型抜き出し装置の第一実施形態を図1から図12に基づいて以下に説明する。
【0027】
なお、図1における左右に広がる水平方向をX軸方向といい、X軸方向に直交する水平方向をY軸方向というものとする。有形の物体に仮想の中心線を考えた場合に、該中心線に近い方を「内側」、該中心線に遠い方を「外側」というものとする。搬送される物があるときに、搬送の起点側を「上流」または「後」、搬送の終点側を「下流」または「前」というものとする。
【0028】
第一実施形態における注湯済み鋳型抜き出し装置1は、図1に示すように、移送装置2と、受け渡し装置3と、抜き出しテーブル4と、制止部5と、砂型部分搬送装置6と、を備えている。
【0029】
注湯済み鋳型抜き出し装置1は、Y軸方向に延在し、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが搬入され、鋳型CMの砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFが搬出される搬入搬出路IORと、搬入搬出路IORに平行に隣接されて設けられ、抜き出された砂型部分SM(鋳物CAを含む)をさらに冷却しながら搬送する砂型部分搬送路TPSとの間に、直交するように配置されて設けられている。
注湯済み鋳型抜き出し装置1は、一部がピットPの中に収容されている。
【0030】
(搬入搬出路)
搬入搬出路IORは、図6に示すように、Y軸方向に並ぶように床面FL或いは基礎台31より立設された複数のレール支持部材11と、各レール支持部材11が支持するように組付けた搬送レール12と、を備えている。搬送レール12には搬送台である搬送台車13が搬送レール12に沿って複数並べて載置されている。搬入搬出路IORが移送装置2と交差する部分は、所定の幅で切断されており、切断箇所(搬入搬出位置LUP)には、後述する受け渡し装置3が設けられている。搬送台車13および搬入搬出路IORは、公知技術であるため、説明を省略する。
【0031】
(移送装置)
移送装置2は、搬送台車13により搬入搬出位置LUPに搬入された鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを、抜き出し位置EPに移送する。また、砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを搬入搬出位置LUPまで移送する。本実施形態では、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを搬入する搬入位置と、砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを搬出する搬出位置とは、同じ位置が設定され、搬入搬出位置LUPとして表現されている。
移送装置2は、掛止移行装置21とローラコンベヤ22とを備えている。
【0032】
(掛止移行装置)
掛止移行装置21は、鋳枠CFを掛止して搬入搬出位置LUPと抜き出し位置EPとの間を移動させる。
掛止移行装置21は、移行シリンダ23と、移行台車24と、台車走行フレーム25と、掛止部保持フレーム26と、掛止部27と、を備えている。
【0033】
また、移行シリンダ23は、構造体STに固定され、台車走行フレーム25は、構造体STの一部を構成している。
【0034】
(移行シリンダ)
移行シリンダ23は、例えば油圧シリンダであり、X軸方向に沿って延在するシリンダ部23aとシリンダ部23aより抜き出し位置EP方向に進退するピストンロッド部23bとを備えている。シリンダ部23aは、図1における左側の構造体STに固定されている。
【0035】
左側の構造体STは、床面FLにY軸方向に並べて立設された一対の第一支柱PL1と、第一支柱PL1間の中間部にY軸方向に横架された下部梁部材LBと、第一支柱PL1間の上端部にY軸方向に横架された上部梁部材HBとを備えている。
【0036】
シリンダ部23aは、下部梁部材LBに取付金具を介して固定されている。ピストンロッド部23bの先端は、連結ピン等を介して後述する掛止部保持フレーム26にX軸方向および鉛直方向に延在する仮想の平面内で回動可能に連結されている。
シリンダ部23aは、図略の油送パイプを介して図略の油圧ポンプに連通している。シリンダ部23aと油圧ポンプとの間には、図略の電磁切換弁が設けられ、電磁切換弁の作動は、図略の制御装置によって制御されている。
【0037】
(移行台車)
移行台車24は、例えば鉄製の板材で矩形状に形成され、四つの隅部にはY軸方向に沿って延在する回転軸24aが設けられている。各回転軸24aには、転動輪24bが回動自在にそれぞれ設けられている。
転動輪24bは、後述する台車走行フレーム25の下フランジの内壁上面に接触して転動する。
【0038】
(台車走行フレーム)
台車走行フレーム25は、例えばH形鋼で形成されている。台車走行フレーム25は、移送する鋳枠CFの上端面より所定高さ高い位置に、X軸方向に沿って延在するように一対設けられている。対向する台車走行フレーム25の上フランジと下フランジの間に前述の移行台車24の転動輪24bがそれぞれ挿嵌されている。
【0039】
対向する台車走行フレーム25の図1における左側の端部は、Y軸方向に沿って延在する例えばH形鋼製の横部材SBによって連結されている(図2参照)。
【0040】
対向する台車走行フレーム25の図1における左側は、第一支柱PL1によって支持された上部梁部材HBに固定されている。
【0041】
対向する台車走行フレーム25の図1における右側は、床面FLに掘られたピットPの底面に立設され、それぞれY軸方向に並べて一対ずつ設けられた第二支柱PL2および第三支柱PL3により支持されている。第二支柱PL2および第三支柱PL3は、後述する抜き出しテーブル4を囲むように配置されている。
【0042】
(掛止部保持フレーム)
掛止部保持フレーム26は、移行台車24と移行シリンダ23と掛止部27とを連結させる。
掛止部保持フレーム26は、図3に示すように、例えば鉄製で垂直方向に延在する略U字形の枠状に形成され、対となった上端部が、図略のブラケットを介して移行台車24の右側端部の下面にそれぞれ固定されている。
【0043】
掛止部保持フレーム26の上下方向の中間部と移行台車24の底面におけるY軸方向の端部との間には、筋交い26aが設けられ、掛止部保持フレーム26に水平方向に働く荷重に対する補強材となっている。
【0044】
掛止部保持フレーム26の下端にY軸方向に延在する横桟部26bには、図3に示すように、移行シリンダ23側の中央部に取付金具が設けられている。取付金具には、前述のようにピストンロッド部23bの先端が、連結ピン等を介して連結されている。
【0045】
(掛止部)
横桟部26bの抜き出しテーブル4側のY軸方向の両端部には、掛止部27がそれぞれ設けられている。掛止部27は、例えば鉄製で、X軸方向に沿って抜き出しテーブル4側に所定長さで突出する断面四角の棒状に形成されている。掛止部27の基端部は、横桟部26bの下端に、例えば図略の取付金具を介してボルト等で組付けられている。掛止部27の先端部には、上方に湾曲した鉤状部が形成され、後述する鋳枠CFの被掛止部CFbに下方から掛止するようになっている。
【0046】
(被掛止部)
被掛止部CFbは、図3および図7に示すように、下鋳枠LCFに設けられている。
下鋳枠LCFは、例えば鉄製で中央に鋳物砂が詰められる空間が形成された矩形枠状に形成されている。下鋳枠LCFの外周には、フランジ部LCFaが矩形枠状に沿った形状で周設されている。フランジ部LCFaの抜き出し位置EPの反対側の下端には、対となった掛止部27に対向する二か所の位置に下方が開放した矩形状の凹部として、被掛止部CFbが設けられている。ここで、フランジ部LCFaの抜き出し位置EPの反対側の下端は、「後端下部BEL」に相当する。
被掛止部CFbに対して掛止部27は、下方から上方に相対的に移動することで掛止し、掛止した状態から掛止部27が下方に相対的に移動することで、掛止状態が解除される。
また、下鋳枠LCFのフランジ部LCFaは、図4に示すように、進行方向に対して直角な方向に沿って並んだ側方のフランジ部LCFaの下部が、「向かい合う側端下部SEL」に相当する。
【0047】
(ローラコンベヤ)
ローラコンベヤ22は、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMをローラ22bで支持して、掛止移行装置21が移動させる鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを抜き出し位置EPまで水平方向に移動させる。ローラコンベヤ22は、搬入搬出位置LUPに隣接する位置から抜き出しテーブル4を超える位置まで延在する。
【0048】
ローラコンベヤ22は、X軸方向に延在する一対のローラ支持部材22aと、複数のローラ22bとを備えている。ローラ22bは、Y軸方向に延在する回転軸に回転自在に軸支され、対向するローラ支持部材22aの内側にそれぞれX軸方向に沿って複数並べて配置されている。ローラ22bの上端部の高さ位置は、図7に示すように、搬送台車13に載置された鋳枠CFのフランジ部LCFaの下端位置よりも、所定高さ低く設定されている。
鋳枠付の注湯済み鋳型FCMがローラコンベヤ22に載置されて移動する場合、フランジ部LCFaの下端にローラ22bの上端が当接した状態で転動する。
【0049】
(受け渡し装置)
受け渡し装置3は、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを搬送台車13から移送装置2に受け渡す。
受け渡し装置3は、搬入搬出位置LUPに設けられ、基礎台31と、昇降シリンダ32と、昇降ガイド33と、昇降テーブル34と、昇降レール35とを備えている。
【0050】
(基礎台)
基礎台31は、床面FLに掘られたピットPの底面に立設された四本の柱と、四本の柱に角部をそれぞれ支持された矩形の板状体31aを備えている。板状体31aは、中央部と中央部を囲む四か所とに、取付穴が貫設されている。
【0051】
中央部の取付穴には、昇降シリンダ32が貫通した状態で組付けられている。昇降シリンダ32は、例えば油圧式シリンダであり、昇降シリンダ部32aと昇降ピストンロッド部32bとを備えている。昇降シリンダ部32aは、図略の油送パイプを介して図略の油圧ポンプに連通されている。昇降シリンダ部32aと油圧ポンプの間には、図略の電磁切換弁が設けられている。
【0052】
昇降ピストンロッド部32bは、上方が開口した昇降シリンダ部32aに上方に向かって進退するように設けられている。昇降ピストンロッド部32bの先端部は、後述する昇降テーブル34の下面中央部に連結されている。また、電磁切換弁の切り換えによる昇降テーブル34の昇降動作が図略の制御装置によって制御されている。
【0053】
中央部を囲む四か所の取付穴には、それぞれ昇降ガイド33が設けられ、昇降シリンダ32による上下方向の昇降動作をガイドする。昇降ガイド33は、取付穴に貫通するように固定された筒状部33aと、筒状部33aに摺動可能に挿入されたガイドロッド33bを備えている。ガイドロッド33bの先端部は、昇降テーブル34の下面四隅に連結されている。
【0054】
(昇降テーブル)
昇降テーブル34は、例えば鉄製で矩形厚板状に形成されている。昇降テーブル34の上面には、Y軸方向に沿って延在し、搬送レール12に整列可能な昇降レール35が組付けられている。
【0055】
昇降テーブル34が上昇端位置にあるとき、図7に示すように、搬送台車13に搭載された下鋳枠LCFのフランジ部LCFaの下端面の高さ位置が、掛止部27の鉤状部の先端部およびローラコンベヤ22のローラ22bの上端部よりも所定高さ高い位置となるよう設定されている。同時に、前記上昇端位置にあるとき、図6に示すように、昇降レール35は搬送レール12に整列するよう設定されている。
【0056】
昇降テーブル34が下降端位置にあるとき、搬送台車13に搭載された下鋳枠LCFのフランジ部LCFaにおける下端面の高さ位置が、掛止部27の鉤状部の先端部およびローラコンベヤ22のローラ22bの上端部よりも所定高さ低い位置となるよう設定されている。同時に、前記下降端位置にあるとき、図12に示すように、昇降レール35は、搬送レール12より下方に外れる位置となるよう設定されている。
【0057】
(抜き出しテーブル)
抜き出しテーブル4は、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMより砂型部分SMを上方に抜き出す。
抜き出しテーブル4は、前述の第二支柱PL2および第三支柱PL3に囲まれて配置されている。
【0058】
抜き出しテーブル4は、図4に示すように、テーブル本体4aと、抜き出しシリンダ装置41と抜き出し板42とを備えている。テーブル本体4aは、例えば鉄製で矩形厚板状に形成され、後述する抜き出し板42を下方から支持する。抜き出しシリンダ装置41は、例えば油圧シリンダで、抜き出しシリンダ41aと、抜き出しピストンロッド41bと、ケーシング41cと、台座41dと、を備えている。
【0059】
抜き出しシリンダ41aは、例えば上方が開口した筒状に形成され、下端のキャップ部側は、ピットPの底面に固定された矩形板状の台座41dに嵌入されて固定されている。抜き出しシリンダ41aは、四角筒状のケーシング41cに収納されている。抜き出しシリンダ41aは、いずれも図略の油送パイプを介して油送ポンプに連通している。抜き出しシリンダ41aと油圧ポンプとの間には、図略の電磁切換弁が設けられ、電磁切換弁は作動が図略の制御装置によって制御されている。
【0060】
抜き出しピストンロッド41bは、抜き出しシリンダ41aの開口より上下方向に進退するように設けられている。抜き出しピストンロッド41bの先端部には、テーブル本体4aが組付けられている。テーブル本体4aの上面には、抜き出し板42が貼着されている。
【0061】
抜き出し板42は、例えば鉄製で矩形の板材で形成されている。テーブル本体4aの外周には、スカート状のカバー部材43が、抜き出しシリンダ41aおよび抜き出しピストンを覆うように下方に向かって延在するように設けられている。カバー部材43は、こぼれた砂が、可動部の隙間に入るのを防止している。
【0062】
(鋳型受け部材)
鋳型受け部材7は、図3に示すように、搬入搬出路IORの搬入搬出位置LUPと、抜き出し位置EPに設けられた抜き出しテーブル4の間に設けられている。
鋳型受け部材7は、鋳型CMの状態によって、砂型部分SM(鋳物CAを含む)が移送の際に落下する場合があるが、鋳型受け部材7は、その落下物を受け止める。
【0063】
鋳型受け部材7は、上部がX軸方向に沿って延在する複数の略T字状の薄板材71で形成されている(図1および図3参照)。各略T字状の薄板材71は、対となった第二支柱PL2の中間部に横架された横部材PL2aに、下部の側面が、例えば溶接等で固定されている。各略T字状の薄板材71は、相互に所定間隔を空けて配置され、こぼれた砂が溜まるのを防止している。
【0064】
(制止部)
制止部5は、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの上端面を押さえ、抜き出しテーブル4と協働して砂型部分SMを抜き出す。
制止部5は、押し出しテーブルを囲むように配置された第二支柱PL2および第三支柱PL3の上端に対向する台車走行フレーム25の内側に、それぞれ取り付けられている。
【0065】
制止部5は、油圧シリンダ装置51と、油圧切換弁52と、オイルタンク53と、空気圧切換弁54と、空気圧ポンプAPとを備えている。
【0066】
油圧シリンダ装置51は、シリンダ部51aとピストンロッド部51bと当接部51cとを備えている。
【0067】
シリンダ部51aは、図1に示すように、抜き出される上鋳枠の四隅に対向するように、台車走行フレーム25に固定された取付金具25aの側面にそれぞれ固定されている(図4参照)。
【0068】
シリンダ部51aは、下方に向かって開口する開口部を備え、開口部より進退するピストンロッド部51bを備えている。ピストンロッド部51bの下端には、当接部51cが設けられている。当接部51cは、例えば鉄製で円柱形状に形成されている。当接部51cの下端部は、砂型部分SMが抜き出される上鋳枠HCFのフランジ部HCFaの上端面の隅部に砂型部分SMを抜き出す際に当接する。
【0069】
当接部51cは、図4に示すように、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが搬入搬出位置LUPに搬入される場合には、鋳枠の上面との間に隙間tをおいて、対向するよう設定されている。隙間tは、例えば、10~15mmで設定される。重ねられる上鋳枠HCFと下鋳枠LCFとの間に鋳物砂を噛んで、重ねられた鋳枠CFの高さに変動を生じる場合がある。隙間tは、鋳枠CFの高さの変動を吸収する。
【0070】
オイルタンク53は、下部には作動油が貯留される油層53aが、上部には空気が充満する空気層53bが生じるように設定されている。
【0071】
油層53aのあるオイルタンク53の下部と、シリンダ部51aの上部とは油送パイプ55を介して連通している。オイルタンク53とシリンダ部51aとの間には、油圧切換弁52(電磁切換弁)が設けられ、作動油の油送・停止を制御装置で制御する。
【0072】
空気層53bのあるオイルタンク53の上部は、空気圧ポンプAPがエアパイプ56を介して連通している。オイルタンク53と空気圧ポンプAPとの間には、空気圧切換弁54(電磁切換弁)が設けられ、シリンダ部51aおよびオイルタンク53内の空気圧の調節を行うようになっている。
オイルタンク53から油圧切換弁52への作動油の供給は、オイルタンク53の空気層53bに付加される空気圧により行う。
【0073】
これによれば、油圧切換弁52への作動油供給はオイルタンク53を経由して空気圧力により行うことで、油圧ユニットを使用することなく、砂型部分SMの抜き出し初期に発生する大きな排圧を油圧シリンダ装置51と油圧切換弁52の耐圧力で制止することができる。
【0074】
(砂型部分搬送装置)
砂型部分搬送装置6は、抜き出された砂型部分SMを水平方向に移動させ、さらに冷却を行う砂型部分搬送台車8に搭載させる。
砂型部分搬送装置6は、図1に示すように、砂型部分移送レール61と、砂型部分押し出し装置62と、砂型部分移動台64と、を備えている。
【0075】
砂型部分移送レール61は、図4に示すように、台車走行フレーム25の上方にX軸方向に沿って一対設けられている。砂型部分移送レール61は、例えばH形鋼で形成されている。
【0076】
砂型部分移送レール61の一方の端部は、図1に示すように、台車走行フレーム25の中間部に立設された第五支柱PL5に支持されている。砂型部分移送レール61の他方の端部は、砂型部分搬送路TPSを跨いだ位置より床面FLに立設された第四支柱PL4に支持されている。砂型部分移送レール61の中間部は、第三支柱PL3に対向する位置に台車走行フレーム25に立設された第六支柱PL6に支持されている。砂型部分移送レール61の両端部には、それぞれY軸方向に延在する梁部材が設けられている。
【0077】
砂型部分移送レール61の上フランジおよび下フランジの内側壁には、図4および図5に示すように、レール補助部61aが設けられている。レール補助部61aは、例えば、鉄製の断面矩形に形成された棒状部材であり、X軸方向に沿って延在している。レール補助部61aは、砂型部分SMを押圧する際に、押圧板622より押し出し台車621に負荷される回転力により、転動輪621bが砂型部分移送レール61の内部でガタつくのを防止する。
【0078】
(砂型部分押し出し装置)
砂型部分押し出し装置62は、図1に示すように、押し出し台車621と、押圧板622と、押し出しフレーム623と、を備えている。
押し出し台車621は、台車本体部621aと、転動輪621bと、図略の駆動装置とを備えている。
【0079】
台車本体部621aは、例えば鉄製で矩形厚板状に形成されている。台車本体部621aの四隅には、Y軸方向に沿って延在する回転軸が設けられ、回転軸には、それぞれ転動輪621bが設けられている。
【0080】
転動輪621bのうち、例えば、搬入搬出位置LUP側の転動輪621bは、回転軸に対して回転自在に設けられている。一方、例えば搬入搬出位置LUPと反対側の転動輪621bは、駆動装置によって駆動するように構成されている。
【0081】
駆動装置として、例えば、いずれも図略の電動モータと、電動モータの出力軸に周設されたスプロケットと、搬入搬出位置LUPと反対側の転動輪621bの回転軸に周設された大スプロケットと、スプロケットと大スプロケットの間に掛装されたチェーンとを備えている。これらの駆動装置は、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
転動輪621bは、砂型部分移送レール61の下フランジ部におけるレール補助部61aに接触して転動する。
【0082】
(押し出しフレーム)
押し出しフレーム623は、図1および図4に示すように、例えば、鉄製の長尺板状の部材で略U字状に形成され、押し出し台車621の下面に下方に向かって突出するように設けられている。押し出しフレーム623には、押し出し台車621との間に筋交い623aが設けられ、曲げモーメントに対する補強がなされている。押し出しフレーム623の前進する方向の側には、押圧板622が組付けられている。
【0083】
(押圧板)
押圧板622は、図1および図4に示すように、例えば、鉄製で矩形板状に形成されている。抜き出された砂型部分SMの正面側側方(しょうめんがわそくほう)に接触して、砂型部分SMを砂型部分搬送台車8に移動させる。押圧板622の下端は、後述する砂型部分移動台64の上面にわずかな隙間を介して対向するように寸法が設定されている。押圧板622の両側端は、後述する側板の内面にわずかな隙間を介して対向するように寸法が設定されている。
【0084】
(砂型部分移動台)
砂型部分移動台64は、抜き出された砂型部分SMが載置されて移動される。
砂型部分移動台64は、例えば、鉄製で矩形板状に形成され、図2に示すように、第三支柱PL3と砂型部分搬送路TPSに隣接する位置との間に水平方向に沿って延在するように設けられている。
【0085】
砂型部分移動台64は、図1に示すように、Y軸方向に延在する二本の支持バー641,642によって、支持されている。支持バー641,642は、例えば、等辺山形鋼で形成された棒状部材である。一方の支持バー641は、対となった第三支柱PL3の上部に横架され、砂型部分移動台64を下方から固定支持している。他方の支持バー642は、図略の構造体に固定され、砂型部分移動台64の端部を固定支持している。
【0086】
砂型部分移動台64の上面は、抜き出しテーブル4に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CF上端の高さよりも、抜き出し代の寸法分高い位置に設けられている。「抜き出し代」は、砂型部分SMを鋳枠CFから完全に抜き出すのに必要な寸法であって、例えば、15~45mmの範囲で設定され、好ましくは30mmである。
【0087】
従来、抜き出しのためのストロークに加算する必要があった支持フレームの丈寸法を200mmとすれば、170mmのストロークの短縮となる。さらに上昇、下降の往復工程なので合計340mmのストローク短縮となり、シリンダ速度を200mm/秒とすれば1.7秒のサイクルタイム短縮が可能となる。
【0088】
(側板)
側板65は、例えば、鉄製で横側が長い長方形の板材で形成され、図1および図2に示すように、第二支柱PL2と砂型部分搬送路TPSに隣接す位置との間に設けられている。側板65は、台車走行フレーム25の上フランジ部の上面に例えば溶接等で固定されたブラケット65aを介して固定されている。側板65は、鉛直方向に立設して一対設けられている。対向する側板65の離間する幅は、抜き出された砂型部分SMのY軸方向に並んだ辺が挿入可能な寸法に設定されている。
【0089】
(砂型部分搬送路)
砂型部分搬送路TPSは、移行装置を挟んで搬入搬出路IORに平行に設けられている。砂型部分搬送路TPSは、砂型部分搬送装置6で搬送された砂型部分SMをさらに冷却しながら搬送する。砂型部分搬送路TPSは、図1に示すように、床面FLに所定高さで設けられ、Y軸方向に沿って延在する架台TPS1と、架台TPS1の上面にY軸方向に沿って延在する一対のレール支持部材TPS2と、各レール支持部材TPS2に固定されたレールTPS3とを備えている。
レールTPS3には、複数の砂型部分搬送台車8がY軸方向に沿って並べられている。
【0090】
(砂型部分搬送台車)
砂型部分搬送台車8は、砂型部分SMを搭載して砂型部分搬送路TPS上を搬送する。
砂型部分搬送台車8は、台車本体8aと、転動輪8bと、砂落下防止板8cとを備えている。台車本体8aは、例えば鉄製でX軸方向に延在する矩形の長板状に形成され、二つの砂型部分SMがX軸方向に並べて搭載出来るようになっている。
【0091】
台車本体8aの四隅下面には、軸受け8dが設けられ、各軸受け8dにはX軸方向に延在する回転軸を有する転動輪8bが回転自在に軸支されている。
台車本体8aの下流側の面および上流側の面には、砂落下防止板8cが組付けられている。砂落下防止板8cは、例えば鉄製で横側が長い長方形の板材で形成され、台車本体8aの上面に対して垂直に立設されている。
【0092】
砂落下防止板8cの下部には、図2に示すように、例えば、鉄製で短円柱形状に形成され、前方(下流側)に突出する前方当接部8efと後方(上流側)に突出する後方当接部8ebとが、Y軸方向に並べて二つずつ設けられている。
複数の砂型部分搬送台車8は、図略のプッシャー装置およびクッション装置により挟持されて、1ピッチずつ間欠的に搬送される。この搬送方法は、公知技術であるため、説明を省略する。
【0093】
(制御装置)
制御装置(図略)は、移行シリンダ23、昇降シリンダ32、油圧シリンダ装置51、抜き出しシリンダ装置41、押し出し台車621等の作動の制御を行う。
【0094】
(作動)
上記のように構成された注湯済み鋳型抜き出し装置1の作動について、図1図4図6図12に基づいて以下に説明する。
【0095】
図1では、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMが、搬送台車13に搭載されて搬入搬出位置LUPに位置決めされた状態を示している。
【0096】
受け渡し装置3の昇降テーブル34は、上昇端位置に位置決めされ、昇降レール35は、図6に示すように、搬送レール12に整列している。
移行シリンダ23は、退縮した位置に位置決めされている。移送装置2の移行台車24は、搬入搬出位置LUPに図1において左側に隣接する位置に位置決めされている。そして、掛止部27の鉤状部が、図7に示すように、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMの被掛止部CFbに隙間を介して下方から対向するように位置決めされている。
鋳枠付注湯済みの鋳型FCMの抜き出し位置EP側のフランジ部LCFaの下端部は、ローラコンベヤ22の左端のローラ22bの上端に、隙間を介して対向している。
【0097】
次に、制御装置は、受け渡し装置3の昇降シリンダ32を駆動させて、昇降テーブル34を図8および図12に示すように降下させる。
その際、掛止部27が鋳枠付注湯済みの鋳型FCMの被掛止部CFbに掛止するとともに(掛止工程)、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMの下鋳枠LCFの下端が上流端にあるローラ22bの上端に当接する(ローラコンベヤ支持工程)。このようにして、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMは搬送台車13から移送装置2に受け渡される(受け渡し工程)。
【0098】
次に、制御装置は、移行シリンダ23のピストンロッド部23bを伸長させる。鋳枠付注湯済みの鋳型FCMをローラコンベヤ22上で移動させ、図9に示すように、抜き出し位置EPまで移動させる(移送工程)。
抜き出し位置EPでは、図4に示すように、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMの砂型部分SMが抜き出し板42に対向するように位置決めされ、鋳枠CFの上端隅部が、制止部5の当接部51cに対向するように位置決めされる。
【0099】
次に、制御装置は、図10に示すように、抜き出しシリンダ装置41を駆動させ、抜き出し板42を上昇させる(上昇工程)。その際、油圧切換弁52を切り換えて、当接部51cを下降させ、鋳枠CFの上端四隅に当接させることで、鋳枠CFの上昇を抑制する(制止工程)。これによって、砂型部分SMが鋳枠CFより抜き出される(抜き出し工程)。砂型部分SMは、砂型部分移動台64の高さまで上昇させられる。この高さは、鋳枠CFの高さに抜き出し代を加えた高さであり、抜き出しテーブル4を上昇させる距離(ストローク)は、鋳枠CFの丈寸法に抜き出し代を加算した距離である。
【0100】
次に、制御装置は、押し出し台車621を駆動させて、抜き出された砂型部分SMを砂型部分搬送台車8まで水平方向に移動して砂型部分搬送台車8に二つずつ搭載させる(砂型部分搬送工程)。
砂型部分搬送台車8に搭載された砂型部分SMは、図略のプッシャー装置とクッション装置とによって、さらに冷却されながら次工程に搬送される。
【0101】
制御装置は、掛止移行装置21を駆動させて、砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを、抜き出し位置EPから搬入搬出位置LUPに位置決めされた搬送台車13に搭載させる。
【0102】
制御装置は、搬入搬出位置LUPの搬送台車13に搭載させた鋳枠CFを、図略のプッシャー装置とクッション装置とによって、下流側へ搬送し、新たな鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを載置した搬送台車13を上流側から搬入搬出位置LUPに搬入する。
以下、同作業を繰り返す。
【0103】
上記に記載で明らかなように、第一実施形態の注湯済み鋳型抜き出し装置1によれば、搬送台車13に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが搬入路IORによって搬入される搬入搬出位置LUPから、抜き出し位置EPまで、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを移送する移送装置2と、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを搬送台車13から移送装置2に受け渡す受け渡し装置3と、抜き出し位置EPに設けられ、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFから砂型部分SMを抜き出す抜き出し部POPと、抜き出された砂型部分SMを搬送する砂型部分搬送装置6と、を備えている。
【0104】
抜き出し部POPは、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの砂型部分SMを載置して上昇させる抜き出しテーブル4と、鋳枠CFの上端面を押さえる複数の制止部5と、を備え、複数の制止部5は、砂型部分搬送装置6で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された砂型部分SMが通過可能に設定され、抜き出しテーブル4の上昇距離(ストローク)は、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの丈寸法と、砂型部分SMを完全に抜き出すのに必要な抜き出し代との和である。
【0105】
これによれば、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを抜き出し位置EPまで移送する移送装置2は、下方から支持して移送するため、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを吊り下げるために使われた従来の支持フレームを必要としない。そのため、支持フレームを超える位置まで抜き出しテーブル4を上昇させる必要がない。また、制止部5は、砂型部分搬送装置6で搬送される方向に対して交差する方向に配置された間隔が、抜き出された砂型部分SMが通過可能に設定されている。
【0106】
そのため、鋳枠CFから砂型部分SMを抜き出した位置から、さらに制止部5を超える位置まで抜き出しテーブル4を余分に上昇させる必要がない。その結果、抜き出しテーブル4の上昇距離(ストローク)を、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの丈寸法と、抜き出し代との和とすることが可能であり、短く設定することができる。これにより、大きな駆動力および稼働エネルギーを必要とすることなく、抜き出し作業のサイクルタイムを容易かつ確実に短くすることができる。
【0107】
また、移送装置2は、搬入搬出位置LUPから抜き出し位置EPに移送される鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの後端下部BELの被掛止部CFbに下方から着脱可能に掛止する掛止部27と、搬入搬出位置LUPに隣接する位置から抜き出し位置EPまで複数並べられ、かつ抜き出し位置EPに移送される方向に直角な方向に対に配置されたローラ22bで鋳枠CFの向かい合う側端下部SELを転動可能に支持するローラコンベヤ22と、を備えている。
【0108】
また、受け渡し装置3は、搬入搬出位置LUPにおいて、搬送台車13を移送装置2よりも低い位置に下降させる搬送台下降装置(昇降シリンダ32,昇降ガイド33、昇降テーブル34)を備えている。
【0109】
これによれば、掛止部27は鋳枠CFを下方から掛止しており、ローラコンベヤ22は載置されるだけで鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを下方から支持している。そのため、搬送台車13を移送装置2よりも低い位置に下降させるという簡素な構造で、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを、移送装置2に容易に受け渡すことができる。
【0110】
また、砂型部分搬送装置6は、抜き出された砂型部分SMが載置されて摺動して移動される砂型部分移動台64を備え、砂型部分移動台64の上面は、抜き出しテーブル4に載置された鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CF上端の高さよりも、砂型部分SMを完全に抜き出すのに必要な抜き出し代の寸法分高い位置に設けられている。
【0111】
これによれば、抜き出し代の寸法だけ鋳枠CFの高さより高く砂型部分移動台64の高さを設定すればいいので、抜き出しのための抜き出しテーブル4のストロークを短く設定することができ、抜き出し作業のサイクルタイムを容易かつ確実に短くすることができる。
【0112】
(第二実施形態)
次に、本件発明にかかる注湯済み鋳型抜き出し装置の第二実施形態を図13から図15に基づいて以下に説明する。
【0113】
第二実施形態における注湯済み鋳型抜き出し装置101は、受け渡し装置103が第一実施形態の注湯済み鋳型抜き出し装置と相違する。その他の構成は同様であるため、同じ符号を付与して説明を省略する。
第二実施形態における注湯済み鋳型抜き出し装置101は、受け渡し装置103において、図13に示すように、掛止部上昇装置105と、ローラ上昇装置123と、を備えている。なお、掛止部上昇装置105と、ローラ上昇装置123は、同時に移送装置102の一部を構成する。
【0114】
(掛止部上昇装置)
掛止部上昇装置105は、搬入搬出位置LUPにおいて、掛止部27を上昇させて、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの後方の下端面を、搬送台車13の上面よりも高い位置に上昇させる。ここで、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの後方の下端面は、「後部下端BDE」に相当する。
【0115】
掛止部上昇装置105は、掛止部保持フレーム126が、第一実施形態の掛止部保持フレーム26よりも太い断面矩形状の柱で形成され、下端部には油圧シリンダ105aが設けられている。油圧シリンダ105aには、ピストンロッド105bが下方に向けて進退する様に設けられ、ピストンロッド105bの下端には掛止部27が設けられている。油圧シリンダ105aは、図略の油圧ポンプに連通されている。油圧ポンプと油圧シリンダ105aの間には、図略の電磁切換弁が設けられ、電磁切換弁は図略の制御装置によって作動が制御されている。
【0116】
ピストンロッド105bが退縮して、掛止部27を上昇させた場合、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFを、搬送台車13に載置した際の位置よりも高く保持することができる。逆にピストンロッド105bを伸長して掛止部27が下方に下降した場合、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFは、搬送台車13に載置する位置よりも低い位置となる。
【0117】
(ローラ上昇装置)
ローラ上昇装置123は、ローラコンベヤ122の搬入搬出位置LUP側の端部のローラ(端部ローラ122b)を上昇させて、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの抜き出し位置EP側の下端面を、搬送台車13の上面よりも高い位置に上昇させる。ここで、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFの抜き出し位置EP側の下端面は、「前部下端FDE」に相当する。
【0118】
ローラ上昇装置123は、搬入搬出位置LUP側の最も端部の端部ローラ122bに設けられている。端部ローラ122bは、Y軸方向に並んで一対設けられている。ローラ上昇装置123は、駆動部(図略)と、回動駆動機構(図略)と、回動支持軸123aと、回動アーム123bと、ローラ支持軸123cと、端部ローラ122bと、を備えている。
【0119】
駆動部は、例えば電動モータであり、回動駆動機構は、例えば歯車減速機である。電動モータは、駆動が図略の制御装置によって制御されている。回動支持軸123aは、ローラ支持部材22aに支承され、回動アーム123bの基端部を軸支している。回動アーム123bは、歯車減速機を介して電動モータの出力軸に連結されている。回動アーム123bの先端部には、Y軸方向に延在する円柱状のローラ支持軸123cが相対回転不能に組付けられ、ローラ支持軸123cの先端には端部ローラ122bが回転自在に設けられている。
【0120】
回動アーム123bは、図略の上部ストッパと下部ストッパとにより、回動する範囲が規制されている。端部ローラ122bは、回動アーム123bが上方に回動して他のローラ22bと整列した際に、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFを、搬送台車13に載置した際の位置よりも高く保持することができる。逆に回動アーム123bが下方に回動した場合、端部ローラ122bは、搬送台車13に鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの鋳枠CFを、搬送台車13に載置する位置よりも低い位置とする。
【0121】
これによれば、掛止部27は、鋳枠CFを下方から掛止する構造であり、ローラコンベヤ122は、載置されるだけで鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを下方から支持する。そのため、掛止部27を上昇させる掛止部上昇装置105と、ローラコンベヤ122の端部ローラ122bを上昇させるローラ上昇装置123とによって、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMの抜き出し位置EP側の端部(前部下端FDE)および抜き出し位置EP側とは反対側の端部(後部下端BDE)を搬送台車13よりも高く持ち上げることで、搬送台車13から移送装置102に容易かつ確実に受け渡すことができる。
【0122】
また、第一実施形態のように昇降テーブル34を昇降させる機構を、ピットP内に配置する必要がないので、ピットPを浅く形成することができる。
次に、第二実施形態の注湯済み鋳型抜き出し装置における受け渡し作業について、図13図15を参照して以下に説明する。
【0123】
(作動)
図13および図14に示すように、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMは、搬入搬出位置LUPに位置決めされている。
その際、掛止部27は、被掛止部CFbに対して、所定の隙間t1を置いて対向している。下鋳枠LCFの抜き出し位置EP側端部の下端部は、所定の隙間t2を介して、端部ローラ122bの上端部に対向している。
【0124】
次に、制御装置は、図15に示すように、油圧シリンダ105aを駆動させ、ピストンロッド105bを退縮させることで、掛止部27を上昇させ被掛止部CFbに掛止させる。同時に、回動アーム123bを、図15において、時計回りに回動させ、下鋳枠LCFの抜き出し位置EP側端部の下端部を端部ローラ122b上に載置させる。
【0125】
これらによって、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMは、搬送台車13より浮き上がり、移送装置102である掛止移行装置121およびローラコンベヤ122に受け渡される。後の工程は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
なお、上記実施形態では、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを搬入する位置を、搬入搬出位置LUPとしたが、これに限定されない。例えば、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを搬入する位置を搬入位置とし、鋳枠CFを搬出する位置を搬出位置として別に設けてもよい。
また、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが搬入される通路を搬入搬出路IORとしたが、これに限定されない。例えば、搬入路と搬出路とが分かれているものでも良い。
【0127】
また、搬送台を搬送台車13としたが、これに限定されない。例えば、コンベヤによって搬送されるトレイでもよい。
また、搬入搬出位置LUP、抜き出し位置EP、砂型部分移動台64、および砂型部分搬送路TPSに隣接する位置を直線的に配置したが、このような配置に限定されない。例えば、砂型部分移動台64から水平方向で直角に曲げた移動経路で砂型部分搬送路TPSに隣接する位置に砂型部分SMを搬送するようにしてもよい。
【0128】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0129】
1:注湯済み鋳型抜き出し装置、13:搬送台車(搬送台)、2:移送装置、22:ローラコンベヤ、22b:ローラ、24:移行台車、25:台車走行フレーム、26:掛止部保持フレーム、27:掛止部、3:受け渡し装置、32:昇降シリンダ(搬送台下降装置)、33:昇降ガイド(搬送台下降装置)、34:昇降テーブル(搬送台下降装置)、4:抜き出しテーブル、41:抜き出しシリンダ装置、42:抜き出し板、5:制止部、51:油圧シリンダ装置、51c:当接部、6:砂型部分搬送装置、62:砂型部分押し出し装置、64:砂型部分移動台、8:砂型部分搬送台車、101:注湯済み鋳型抜き出し装置、102:移送装置、103:受け渡し装置、105:掛止部上昇装置、123:ローラ上昇装置、BEL:後端下部、BDE:後部下端、CF:鋳枠、CFa:被掛止部、CM:鋳型、EP:抜き出し位置、FCM:鋳枠付の注湯済み鋳型、FDE:前部下端、HD:丈寸法、IOR:搬入搬出路(搬入路)、LCF:下鋳枠、LUP:搬入搬出位置(搬入位置)、POP:抜き出し部、SEL:側端下部、SM:砂型部分。
図1
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