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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062756
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】作業構台の柱構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/16 20060101AFI20240501BHJP
   E04G 1/04 20060101ALI20240501BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20240501BHJP
   E04B 1/58 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
E04G5/16 B
E04G1/04
E01D21/00 A
E04B1/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170816
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】512064619
【氏名又は名称】株式会社オトワコーエイ
(71)【出願人】
【識別番号】512256454
【氏名又は名称】KSコンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】小島 一彦
(72)【発明者】
【氏名】北岡 茂樹
【テーマコード(参考)】
2D059
2E125
【Fターム(参考)】
2D059EE10
2D059GG55
2E125AA33
2E125AC14
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG12
2E125AG41
2E125BB16
2E125BB22
2E125BD01
2E125BE01
2E125BF03
2E125CA05
2E125CA72
(57)【要約】
【課題】従来の構台の柱構造の綾構は応力材である水平継材や斜材を縦柱に連結する構造であったが、連結工事に手間がかかっていた。
【解決手段】この発明の柱構造は、第1応力材、第2応力材及び第3応力材並びに第1縦柱及び第2縦柱を備え、
3つの応力材は中央結節点において同一な平面内を回転可能にピン接合されており、
第1応力材は第1結節点において平面内を回転可能に前記第1縦柱へピン接合され、第2応力材は第2結節点において平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、第3応力材は第3結節点において平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、
第1結節点から中央結節点までの距離をA、第2結節点から中央結節点までの距離をB、第3結節点から中央結節点までの距離をC、第1縦柱と第2縦柱の間隔をDとしたとき、
A+B>D、かつC<D の関係にある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業構台の柱構造であって、第1応力材、第2応力材及び第3応力材並びに第1縦柱及び第2縦柱を備え、
前記3つの応力材は中央結節点において同一な平面内を回転可能にピン接合されており、
前記第1応力材は第1結節点において前記平面内を回転可能に前記第1縦柱へピン接合され、
前記第2応力材は第2結節点において前記平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、
前記第3応力材は第3結節点において前記平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、
前記第1結節点と前記中央結節点までの距離をA、前記第2結節点から前記中央結節点までの距離をB、前記第3結節点から前記中央結節点までの距離をC、前記第1縦柱と前記第2縦柱の間隔をDとしたとき、
A+B>D、かつC<D の関係にある、作業構台の柱構造。
【請求項2】
前記第1応力材は一方の端部が前記中央結節点を構成し、かつ他方の端部が前記第1結節点を構成し、
前記第2応力材は一方の端部が前記中央結節点を構成し、かつ他方の端部が前記第2結節点を構成し、及び
前記第3応力材は一方の端部が前記中央結節点を構成し、かつ他方の端部が前記第3結節点を構成する、請求項1に記載の柱構造。
【請求項3】
前記中央結節点、前記第1~第3結節点のピン接合は、リテーナ、ピン軸及び軸受を備え、前記リテーナに前記ピン軸が前記平面と垂直に架設され、該ピン軸は前記軸受に回転自在に挿入され、前記軸受に前記第1~第3応力材の端部が連結される、請求項2に記載の柱構造。
【請求項4】
前記第1~第3応力材の第1~第3結節点におけるピン接合において、前記リテーナは前記第1縦柱若しくは前記第2縦柱に固定され、該リテーナに前記ピン軸は架設され、前記軸受は半径方向に分割されて前記ピン軸へ外挿嵌可能であり、前記軸受と前記第1~第3応力材の間にはアジャスタが設けられて、前記軸受と前記第1~第3応力材の他方の端部との距離が調節可能である、請求項3に記載の柱構造。
【請求項5】
縦柱と応力材とを備える作業構台の柱構造に用いられ、前記応力材を前記縦柱へ固定するための固定構造であって、
リテーナ、ピン軸、軸受及びアジャスタを備え、
前記リテーナは縦柱に固定され、該リテーナに前記ピン軸は架設され、前記軸受は半径方向に分割されて前記ピン軸へ外挿可能であり、前記軸受と前記応力材の間にはアジャスタが設けられて、前記軸受と前記応力材の端部との距離が調節可能である、固定構造。
【請求項6】
リテーナと該リテーナに架設されたピン軸とからなる第1アッセンブリ部を取り付けた縦柱を備える作業構台に用いられる応力材であって、
軸受とアジャスタとを備え、
前記軸受は半径方向に分割されて前記ピン軸へ外嵌可能であり、前記アジャスタは前記軸受と前記応力材の間に設けられて、前記軸受と前記応力材の他方の端部との距離が調節可能である、応力材。
【請求項7】
縦柱と応力材とを備える作業構台の柱構造に用いられ、前記応力材を前記縦柱へ固定するために第1アッセンブリ部と第2アッセンブリ部とを備える固定構造であって、前記第1アッセンブリ部は前記縦柱に固定されるリテーナと該リテーナに架設されるピン軸を備え、前記第2アッセンブリ部は前記応力材の一端に連結される、固定構造に適用される、前記第2アッセンブリ部であって、
前記第2アッセンブリ部は半径方向に分割されて前記ピン軸へ外嵌可能な軸受と、該軸受と前記応力材の一端に配置されて、前記軸受と前記応力材の他端との距離を調節可能とするアジャスタとを備える、第2アッセンブリ部。
【請求項8】
請求項1~4の何れかに記載の柱構造を作業構台の上下方向の第1段に形成する第1工程と、
前記作業構台の上下方向の第2段に前記柱構造を形成する第2工程と、を備える作業構台の柱構造の製造方法において、
前記第2段は前記第1段の上方にある、作業構台の柱構造の製造方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載の柱構造において、前記第1~第3応力材を前記中央結節点においてピン接合する第1ステップと、
前記中央結節点においてピン接合された前記第1~第3応力材の各他端を前記第1柱部若しくは前記第2柱部へ接合する第2ステップと、
を備える作業構台の柱構造の製造方法。
【請求項10】
前記第2ステップは、既設の作業構台の上縁から吊られた前記第1~第3応力材に対して実行される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記応力材を構成する鋼材に連結される長さ調整ボックスが更に備えられ、
該調整ボックスは、第1ボックス片と第2ボックス片とに分割され、前記第1ボックス片は第1斜面を、前記第2ボックス片は第2斜面を備え、前記第1斜面と前記第2斜面とは前記鋼材の軸方向にスライド可能であり、
さらに、前記斜面のスライドを拘束する、拘束部が備えられる、請求項1に記載の柱構造
【請求項12】
前記第1及び第2斜面と前記拘束部とにより、前記軸方向にかかる応力が吸収される、請求項11に記載の柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業構台の柱構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
作業構台とは、橋梁等の施工にあたり岸や山の斜面等から作業員や工事用機械、材料等の運搬を行うために設けた通路や工事用作業足場として利用されるものをいう。
このような作業構台の柱構造は縦柱と綾構とを備える。縦柱は地盤に立設される。綾構は応力材としての水平継材と斜材とを備え、それぞれ縦柱へ一般的には溶接される。
かかる柱構造の上に、けた受けが取付けられて、このけた受けの上に履工板が載せられて足場となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
応力材としての水平継材や斜材を縦柱に溶接する構造では、高所における溶接が必要となり危険が伴い、また大きな手間がかかる。また、一旦溶接された鋼材はその再生が困難である。
縦柱に対して応力材をボルトなどで接合することも可能であるが、両者の位置合わせが困難である。縦柱においてボルトを受ける位置が固定されると、応力材の長さや傾きなどに許される誤差が厳しくなる。他方、縦柱におけるボルトを受ける位置を可変とするには、溶接以上の手間がかかる。また、ボルト接合された縦柱や応力材の再生も困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、応力材に着目して本発明に想到した。
即ち、この発明の第1局面は次のように規定される。
作業構台の柱構造であって、第1応力材、第2応力材及び第3応力材並びに第1縦柱及び第2縦柱を備え、
前記3つの応力材は中央結節点において同一な平面内を回転可能にピン接合されており、
前記第1応力材は第1結節点において前記平面内を回転可能に前記第1縦柱へピン接合され、
前記第2応力材は第2結節点において前記平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、
前記第3応力材は第3結節点において前記平面内を回転可能に前記第2縦柱へピン接合され、
前記第1結節点から前記中央結節点までの距離をA、前記第2結節点から前記中央結節点までの距離をB、前記第3結節点から前記中央結節点までの距離をC、前記第1縦柱と前記第2縦柱の間隔をDとしたとき、
A+B>D、かつC<D の関係にある、作業構台の柱構造。
【0005】
このように構成された柱構造の模式図を図1に示す。
第1縦柱10と第2縦柱20との間隔をDとする。
第1応力材1の長さをA、第2応力材2の長さをB、第3応力材3の長さをCとしたとき、A+B>D、かつC<Dの関係が成り立つ。ここに、第1応力材1の長さAは第1結節点J1から中央結節点JOまでの距離と実質的に等しい。同様に、第2応力材2の長さBは第2結節点J2から中央結節点JOまでの距離と実質的に等しく、第3応力材3の長さCは第3結節点J3から中央結節点JOまでの距離と実質的に等しい。
第1応力材1、第2応力材2及び第3応力材3は中央結節点JOにおいてピン接合される。このピン接合を中心に、第1~第3応力材は一つの平面内において自由に回転できる。この平面は第1縦柱10と第2縦柱20とで規定される平面である。
【0006】
第1応力材1と第1縦柱10とは第1結節点J1においてピン接合される。同様に、第2応力材2と第2縦柱20とは第2結節点J2においてピン接合され、第3応力材と第2縦柱20とは第3結節点J3においてピン接合される。
第1~第3応力材からなるこの発明の綾構30によれば、第1縦柱10と第2縦柱20との距離Dが一定に保たれる。換言すれば、両者が傾くことを防止できる。第2応力材2と第3応力材3とを一体物とみれば、かかる綾構30を繰り返すことにより、第1縦柱10と第2縦柱20とが擬トラス構造で補強されることになるからである。
【0007】
この発明の綾構30では、A+B>D、かつC<Dの関係が成り立てばよいので、第1~第3応力材1~3の長さのバラツキや、第1縦柱10と第2縦柱20との距離Dのバラツキを吸収することができる。これにより、施工が容易になる。またこのことは、規格された第1~第3応力材1~3を用いても、第1縦柱10と第2縦柱20との距離Dを、上記関係を満足する範囲で、任意に設計できることを意味する。
また、ピン接合を採用することにより、第1~第3応力材や第1及び第2縦柱の再生が容易になる。
【0008】
上記の例では、第1~第3応力材1~3の各端部がピン接合されているが、必ずしもピン接合の位置は応力材の端部に限られるものではない。応力材の端部以外の部位においてピン接合の構造を設けることができる。例えば、図1において、第1応力材1の左下端部側(中央結節点JO側)を延長させる。第1応力材1の右側端部側(第1縦柱10側)を延長させることもできる。第2応力材2及び第3応力材3についても同様の設計変更が可能である。
応力材の軽量化の観点から、第1~第3応力材1~3の各端部を相手部材に対してピン接合することが好ましい(第2局面)。
【0009】
ピン接合は、これを支点として、各応力材を所定の平面内で自由回転させるものであれば、任意の構造を採用できる。
この発明の実施例では、リテーナ、ピン軸及び軸受を備え、リテーナにピン軸が平面(第1縦柱と第2縦柱とで規定される平面)と垂直に架設され、該ピン軸は軸受に回転自在に挿入され、軸受に第1~第3応力材の端部が接合される構成を採用する(第3局面)。これにより、ピン接合の構造が簡素化される。
【0010】
第1~第3結節点に採用するピン接合は次のように構成することが好ましい(第4局面)。
即ち、リテーナは第1縦柱若しくは第2縦柱に固定され、リテーナにピン軸は架設され(第1縦柱と第2縦柱とで規定される平面に垂直)、軸受は半径方向に分割されてピン軸へ外挿可能であり、軸受と第1~第3応力材の間にはアジャスタが設けられて、軸受と第1~第3応力材の他方の端部との距離を調節可能とする、即ち第1~第3応力材の実質的な長さを調整可能とする。
このように規定される接合構造によれば、軸受が半径方向分割されるので、ピン軸へ外挿する作業が容易になる。また、アジャスタにより、各応力材の長さを調節できるので、各縦柱に対するリテーナの取付け位置のバラツキがあってもそれが吸収されて、接合作業が容易になる。
【0011】
図1の柱構造は次のようにして造られる。
第1縦柱10及び第2縦柱20を地盤に対して打ち込む。
当該打ち込み作業とは別個に、第1~第3応力材1~3を中央結節点JOにおいて、ピン接合しておく。より具体的には、第1~第3応力材1~3を中央結節点JOにおいてピン接合させて綾構30を構成し、これを、既存の構台のクレーンで所望の位置に吊った状態で、各応力材1~3の他端をそれぞれ第1縦柱10と第2縦柱20の各結節点J1~J3に接合する。
【0012】
同様にして、綾構30の上段に第2綾構130を形成し、さらにその上段に第3綾構230を形成していく(図2参照)。
図2において、第2綾構130は長さA2で示される第1応力材、長さB2で示される第2応力材、長さC2で示される第3応力材からなり、これらの一端が中央結節点JO2でピン接合される。第1応力材の他端は第2縦柱20に第5結節点J5にてピン接合され、第2応力材の他端と第3応力材の他端は第1縦柱10に第2結節点J1と第4結節点J4においてピン接合される。ここに、A2+B2>D、かつC2<Dの関係は満足される。
第3綾構230は長さA3で示される第1応力材、長さB3で示される第2応力材、長さC3で示される第3応力材からなり、これらの一端が中央結節点JO3でピン接合される。第1応力材の他端は第1縦柱10に第6結節点J6においてピン接合され、第2応力材の他端と第3応力材の他端は第2縦柱20に第5結節点J5及び第7結節点J7にてピン接合される。ここに、A3+B3>D、かつC3<Dの関係は満足される。
【0013】
中央結節点JO、JO2、JO3の位置は特に限定されないが、第1縦柱10と第2縦柱20の中央線よりも一方側に偏移させることが好ましい。第1応力材と第2応力材とが直線状に配置されることを防止するためである。
この場合、上下に隣接する綾構において、中央結節点の位置は、第1縦柱10と第2縦柱20との中央線を跨いで配置することが好ましい。
【0014】
第1縦柱10及び第2縦柱20において、相対向する結節点J1-J3、J4-J5、J6-J7は同じ高さに配置されることが好ましい。また、各縦柱において結節点間の距離は均等とすることが好ましい。
これにより、両縦柱10、20にかかる応力が均等になり、柱構造として機械的な剛性が高くなる。
なお、図3示すように、両縦柱10,20において相対向する結節点J1-J3、J4-J5、J6-J7の間に水平継材50を架設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1はこの発明の基本的な柱構造を示す模式図である。
図2図2は柱構造の施工例を示す。
図3図3は変形態様の柱構造の施工例を示す。
図4図4は中央結節点におけるピン接合構造を示す。
図5図5は応力材の長さを可変とする構造を示し、図5(A)は応力材を最も長くした状態を示し、図5(B)は応力材を短くした状態をしめす。
図6図6はリテーナを縦柱に取付ける構造(第1アッセンブリ)の分解図である。
図7図7は第2応力材2の端部の軸受を第1アッセンブリのピン軸へ接合する作業を示す模式図である。
図8図8図7を裏側から見たときの部分拡大図である。
図9図9は軸受部90を示す斜視図である。
図10図10は分割された軸受93とねじ94を示す部分拡大図である。
図11図11はねじ94で締結された軸受93の裏面図である(図10における矢視図)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図4は、図1における第1応力材1、第2応力材2及び第3応力材3の各端部がピン接合される中央結節点JOの構造を示す。
この中央結節点JOは、リテーナ61、ピン軸63及び軸受65から構成される。
リテーナ61は一対の板状の鋼材からなり、それらに4本のピン軸63が間隔をとって架設される。軸受65は各応力材の一端にそれぞれ取り付けられ、対向するピン軸63へ回転自在に外挿される。
各応力材1~3は、それぞれ鋼材からなるボックスを連結させた構成である。ボックスの数を選択することでその長さが調整される。
【0017】
図5A、Bに、応力材1~3の長さを微調整する機構を示す。この機構では、図5Aに示すように、長さ可変のボックス100を用いる、このボックス100は第1ボックス片101と第2ボックス片103に分割され、両者は斜面102と斜面104で摺動可能に当接している。換言すれば、この長さ可変ボックス100は、直方体のボックスを正面からみたとき対角線に沿って分割し、分割された各片にはこの対角線に沿った斜面が備えられる。各片の斜面が完全に重なりあったとき、ボックスの外郭は直方体となる。
各斜面102、104にはその中央軸線にそってスリット106が形成され、このスリット106に締結具107が貫通されている。この締結具107はボルトとナットからなり、これらを締結することで第1ボックス片101と第2ボックス片103との移動が拘束される。
【0018】
図5Aはボックス100が最も長い状態を示す。この状態から、締結具107を緩め、斜面102と104をスライドさせて各ボックス片101と103を相対的に移動させることで、図5Bに示すように、ボックス100の長さを調整できる。
図5において、ボックス100には、汎用的なボックス200が図示しない汎用的な締結具(拘束部)を用いて連結される。図5では、説明のためにボックス100の両端に1つの汎用的なボックス200が連結されている例を示しているが、応力材の長さや用途に応じて、ボックス200の数は任意に選択できる。応力材におけるボックス100の位置は任意であるし、これを複数用いることもできる。ボックス200として、任意の長さのH鋼、四角鋼、丸鋼等を用いることもできる。
ボックス200の両端には軸受265が設けられる。
【0019】
ボックス100を応力材に介在させることにより、地震等による予期しない応力が応力材にかかったとき、斜面102、104及び締結具により、当該応力が吸収される。これにより、応力材の破損、ひいては構台の破損を未然に防止できる。
締結具の本数、斜面の摩擦係数等を調整することで、応力吸収の度合いを調整できる。
【0020】
図6は、第1縦柱10及び第2縦柱20に外挿されるリテーナ70を示す。各リテーナ70は一対の鋼板からなり、その間に3本のピン軸77が間隔をとって架設される。3本のピン軸の軸心は仮想正三角形の各頂点に位置させることが好ましい。
各リテーナ70は縦柱に当てつけられる平板状の基板71、71、72、72の外面に垂直に立設されている。基板71の両端にはねじ受け部73が立設されてそこに貫通穴があけられている。この貫通穴と、基板72,72の両縁にあけられた貫通穴とを連通させた状態でボルト75を通し、各基板は相互に連結される。相互に接触した状態で基板71、71、72、72の内面が構成する矩形は第1縦柱10及び第2縦柱20の外径の矩形より小さいものとし、ボルト75を締めることにより、各基板が各縦柱にしまり嵌めの状態となるようにする。これにより、各リテーナ70が各縦柱10、20に対して固定される。
【0021】
かかる構成を採用することにより、縦柱10、20には何ら造作が不要となるので、縦柱の再生が容易になる。
各縦柱10、20に対するリテーナ70の固定の態様は上記に限定されるものではない。
例えば、溶接やねじ止めによりリテーナ70を縦柱10、20に固定してもよい。
縦柱10、20の断面形状に応じて基板の形状が選択されることは言うまでもない。
【0022】
図7は、かかるリテーナ70に、第2応力材2を接合する態様を示す。図7において、図6と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、説明の関係上、第2縦柱20は省略してある。
第2応力材2の端部には、アジャスタ80を介して、軸受部90が取付けられている。
図8に示すように、アジャスタ80は、第2応力材2へ連結される第1固定部81を備える。第1固定部81は第1筒部82と第1固定板83とからなり、第1固定板83は第2応力材2を構成するボックスへボルト止めされる。第1筒部82の内周にはねじ溝が螺刻されている。
アジャスタ80は更に第2固定部85を備える。この第2固定部85は第2筒部86と第2固定板87とからなり、第2固定板87は軸受部90の取付け板部91にボルト止めされる。第2筒部86の内周にはねじ溝が螺刻されている。
【0023】
ねじ部材88が、第1筒部82と第2筒部86に螺合されており、ハンドル89の回転にともない、第1筒部82と第2筒部86との螺合状態を変化させ、もって、第1筒部82と第2筒部86との距離が変化する。これにより、第2応力材2の端部と軸受部90との距離が調整される。
ここに、ピン軸77はリテーナ70を介して第2縦柱に対して固定状態であるので、軸受部90の位置を調節可能とすることで、ピン軸77へ軸受部90を嵌合させる作業が容易になる。
【0024】
軸受部90は図9に示すとおり、取付け板部91、ネック部92及び軸受93を備える。
軸受93は半径方向に分割され(この例では、図中左下の部分)、ネック部92に連続する部分93Aと分割された部分93Bとはねじ94でつながれて、抜け落ちないようにしている(図10参照)。
図11に示すとおり、分割された部分93Bは軸方にも分割されている。ピン軸77の挿入をより容易にするためである。
【0025】
軸受93が分解された図8の状態を維持して、軸受部90を下側へ降ろしてリテーナ70、70の間へ納め、ピン軸77を挿入する。このとき、軸受93は分割された状態であるため、ピン軸77を挿入する作業は円滑に行われる。
ピン軸77を挿入した後、ねじ94を締めて、ピン軸77と軸受93との接合を安定させる(図11参照)。
【0026】
上記において、リテーナ70、ピン軸77、アジャスタ80及び軸受93は、構台の柱構造を構成する基本的な鋼材要素(縦柱、応力材)とは別個な部材である。従って、リテーナ70、ピン軸77、アジャスタ80及び軸受93により個別の発明、即ち固定構造が構成される。
綾構を構成する応力材の基本要素は鋼材からなるものであるが、上記のようにその端部にアジャスタ80と軸受93とを取り付けたものは新規な応力材である。
また、アジャスタ80と軸受93とのアッセンブリ(第2アッセンブリ)も新規な物といえる。この第2アッセンブリは、リテーナとピン軸とからなる第1アッセンブリに接合される。
【0027】
この発明は上記の形態の説明や図面に限定されるものではなく、当業者が理解できる範囲で任意の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1、2、3 応力材
10、20 縦柱
61 リテーナ
63 ピン軸
65 軸受
70 リテーナ
77 ピン軸
80 アジャスタ
93 軸受
J1―J7 結節点
JO、JO2、JO3 中央結節点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11