IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-窓 図1
  • 特開-窓 図2
  • 特開-窓 図3
  • 特開-窓 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006277
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20240110BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240110BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/18 F
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107009
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】武田 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD14
2E011KG04
2E011KH00
2E011LF01
2E011LF04
(57)【要約】
【課題】重量の大きな内窓を配置可能な窓を提供すること。
【解決手段】窓1は、建物の開口部9に配置される外窓2と、外窓2の室内側に配置される額縁4と、額縁4の室内側に設けられる額縁延長部材5と、額縁4及び額縁延長部材5の内周側に配置される内窓3と、を備え、額縁延長部材5は、額縁4の上部で左右方向に延びる上部延長部材51と、下部で左右方向に延びる下部延長部材52と、上下方向に延びる縦延長部材53と、を有し、下部延長部材は、上部延長部材51及び縦延長部材53の延びる方向に直交する方向の見付幅W1、W3に比べて、下部延長部材52の延びる方向に直交する方向の見付幅W2が大きく構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される外窓と、
前記外窓の室内側に配置される額縁と、
前記額縁の室内側に設けられる額縁延長部材と、
前記額縁及び前記額縁延長部材の内周側に配置される内窓と、を備え、
前記額縁延長部材は、前記額縁の上部で左右方向に延びる上部延長部材と、下部で左右方向に延びる下部延長部材と、上下方向に延びる縦延長部材と、を有し、
前記下部延長部材は、前記上部延長部材及び前記縦延長部材の延びる方向に直交する方向の見付幅に比べて、前記下部延長部材の延びる方向に直交する方向の見付幅が大きく構成される、窓。
【請求項2】
前記額縁延長部材は、前記上部延長部材と、前記下部延長部材と、前記上部延長部材及び前記下部延長部材の左右方向の端部を接続する前記縦延長部材とにより四周に枠組みされ、
前記縦延長部材が、少なくとも前記下部延長部材と接続固定される、請求項1に記載の窓。
【請求項3】
前記下部延長部材の左右方向の端部は、前記縦延長部材の下端側に接続固定されている、請求項1又は2に記載の窓。
【請求項4】
前記額縁延長部材の室内側の面及び見込面を覆うカバー部材をさらに有する、請求項1又は2に記載の窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外窓の室内側に額縁を介して内窓を配置する際に、内窓を取り付けるための額縁の見込寸法が足りない場合、例えばふかし材と呼ばれる額縁延長部材を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-12507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、内窓が大型化したり、内窓の障子がペアガラスになったりすることで内窓の重量が増加する場合が生じている。そこで、重量の大きな内窓を配置可能な窓が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、建物の開口部に配置される外窓と、前記外窓の室内側に配置される額縁と、前記額縁の室内側に設けられる額縁延長部材と、前記額縁及び前記額縁延長部材の内周側に配置される内窓と、を備え、前記額縁延長部材は、前記額縁の上部で左右方向に延びる上部延長部材と、下部で左右方向に延びる下部延長部材と、上下方向に延びる縦延長部材と、を有し、前記下部延長部材は、前記上部延長部材及び前記縦延長部材の延びる方向に直交する方向の見付幅に比べて、前記下部延長部材の延びる方向に直交する方向の見付幅が大きく構成される、窓に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の窓を示す正面図である。
図2図1に示す窓の縦断面図である。
図3図1に示す窓の横断面図である。
図4】本実施形態の窓の下方を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の窓1は、建物の開口部9に設置された既設の外窓2の室内側に、内窓3を設置して構成される二重窓である。図1図3に示すように、窓1は、外窓2と、額縁4と、内窓3と、額縁延長部材5と、カバー部材6と、を有する。
【0008】
本明細書において、左右方向とは、窓1を正面側から視た左右に延びる方向を言う。上下方向とは、天地方向を言う。見込方向とは、室内側と室外側を結ぶ窓1の奥行方向を言う。見付方向とは、窓1を正面から視た場合の部材の幅の方向を言い、例えば窓1の四周の外周側と内周側とを結ぶ方向である。
【0009】
外窓2は、引き違い窓である。図2及び図3に示すように、外窓2は、建物の開口部9に配置され、開口部9の室外側で躯体90に固定されて、建物の室外と室内側を開閉可能に仕切っている。外窓2は、外窓枠体20と、外窓枠体20の内側に開閉可能に配置される外窓障子200と、を有する。
【0010】
外窓枠体20は、上枠21、下枠22、一対の縦枠23により四周に枠組みされている。上枠21は、窓1の正面視で左右方向に延び、上方に配置される。下枠22は、窓1の正面視で左右方向に延び、下方に配置される。一対の縦枠23は、上枠21及び下枠22の左右方向の端部を接続するように、上下方向に延びる。
【0011】
外窓障子200は、外窓枠体20の内周側に配置される。外窓障子200は、室外側に配置される外障子201と、室内側に配置される内障子202と、を有し、下枠22の内周側に配置されたレール22aに係合して左右に移動可能に配置される。外障子201及び内障子202のそれぞれが、框210と、ガラス材220と、を有する。框210は、上框211、下框212、縦框213により四周に枠組みされている。上框211は、窓1の正面視で左右方向に延び、上方に配置される。下框212は、窓1の正面視で左右方向に延び、下方に配置される。一対の縦框213は、上框211及び下框212の左右方向の端部を接続するように、上下方向に延びる。ガラス材220は、框210の枠体内に配置される。
【0012】
額縁4は、外窓2の室内側に配置され、建物の開口部9の四周を覆うように配置される。額縁4は、躯体90の室内側に配置される石膏ボード8に固定されるとともに、開口部9から室内側に若干突出している。額縁4は、板状の部材により構成され、開口部9の上部で左右方向に延びる上額縁41と、下部で左右方向に延びる下額縁42と、上額縁41及び下額縁42の左右方向の端部を接続して上下に延びる縦額縁43と、を有する。
【0013】
内窓3は、引き違い窓である。内窓3は、例えば、外窓2が既設であった場合に、後から改修により設置される。図2及び図3に示すように、内窓3は外窓2及び額縁4の室内側に配置され、額縁4に固定される。また、内窓は、額縁4及び後述する額縁延長部材の内周側に配置される。内窓3は、額縁4の内周に取り付けられるとともに、室内側に部分的に突出するように配置される。内窓3は、内窓枠体30と、内窓枠体30の内側に開閉可能に配置される内窓障子300と、を有する。
【0014】
内窓枠体30は、上枠31、下枠32、一対の縦枠33により四周に枠組みされている。上枠31は、窓1の正面視で左右方向に延び、上方に配置される。上枠31は、室外側の上面が上額縁41の室内側の下面に沿って配置され、室内側へ突出する。下枠32は、窓1の正面視で左右方向に延び、下方に配置される。下枠32は、室外側の下面が下額縁42の室内側の上面に沿って配置され、室内側へ突出する。一対の縦枠33は、上枠31及び下枠32の左右方向の端部を接続するように、上下方向に延びる。一対の縦枠33は、図3に示すように、室外側の外周側の面が縦額縁43の室内側の見込面に沿って配置され、室内側へ突出する。
【0015】
内窓障子300は、内窓枠体30の内周側に配置される。内窓障子300は、室外側に配置される外障子301と、室内側に配置される内障子302と、を有し、下枠32の内周側に配置されたレール32aに係合して左右に移動可能に配置される。外障子301及び内障子302のそれぞれが、框310と、ガラス材320と、を有する。框310は、上框311、下框312、縦框313により四周に枠組みされている。上框311は、窓1の正面視で左右方向に延び、上方に配置される。下框312は、窓1の正面視で左右方向に延び、下方に配置される。一対の縦框313は、上框311及び下框312の左右方向の端部を接続するように、上下方向に延びる。ガラス材320は、框310の枠体内に配置される。内窓3のガラス材320は、室内側と室外側に間を空けて配置されるペアガラスである。
【0016】
額縁延長部材5は、図2及び図3に示すように、額縁4の室内側に設けられ、内窓3の室内側における外周縁に沿って配置される。額縁延長部材5は、額縁4にねじにより固定される。額縁延長部材5は、額縁4の見込方向の寸法が小さく、内窓3の外周縁を額縁4が充分に支持することができない場合に、額縁4に取り付けて内窓3を支持する部材である。額縁延長部材5は、上部延長部材51と、下部延長部材52と、一対の縦延長部材53と、を有し、上部延長部材51、下部延長部材52、一対の縦延長部材53により四周に枠組みされて構成される。額縁延長部材5の室内側の面は、内窓3の室内側の面と概ね位置が合うように配置される。
【0017】
上部延長部材51は、長尺の型材であり、内窓3の上部で左右方向に延びるように配置される。上部延長部材51は、上額縁41の室内側の面にねじで固定される。また、上部延長部材51は、内窓3の上枠31の上面にねじにより固定される。上部延長部材51は、方形筒型のホロー構造を有する型材であり、室内側の面にねじを固定するための開口部が形成されている。
【0018】
下部延長部材52は、長尺の型材であり、内窓3の下部で左右方向に延びるように配置される。また、下部延長部材52は、内窓3の下枠32の下面にねじにより固定される。下部延長部材52は、方形筒型のホロー構造を有する型材である。下部延長部材52は、上部延長部材51の見付幅W1及び後述する縦延長部材53の見付幅W3と比べて、見付幅W2が大きい。ここで言う見付幅とは、長尺の上部延長部材51、下部延長部材52、縦延長部材53それぞれの延びる長手方向に対して直交し、見付方向に延びる幅である。窓1の施工された状態で言えば、上部延長部材51及び下部延長部材52の見付幅W1、W2は上下方向に延び、縦延長部材53の見付幅W3は左右方向に延びている。
【0019】
下部延長部材52の見付幅W2は、例えば、上部延長部材51の見付幅W1の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上がさらに好ましい。下部延長部材52の見付幅W2が、上部延長部材51の見付幅W1の1.5倍以上あると、内窓3の荷重が増加しても、下部延長部材52によって内窓3を良好に支持しやすい。見付幅W2が見付幅W1の2倍以上あると、内窓3をさらに良好に支持しやすい。上部延長部材51及び縦延長部材53の見付幅W1、W3が25mmであるとき、下部延長部材52の見付幅W2が72mmであってよいが、この数値に限定されない。
【0020】
縦延長部材53は、長尺の型材であり、上部延長部材51及び下部延長部材52の左右方向の端部を接続し、上下方向に延びる。縦延長部材53は、縦額縁43の室内側の面にねじにて固定される。また、縦延長部材53は、内窓3の縦枠33の外側の面にねじにより固定される。縦延長部材53の見付幅W3は、上部延長部材51の見付幅W2と略同じである。図4に示すように、縦延長部材53の下端側における内周側の面に、下部延長部材52がねじ54により接続固定されている。これにより、縦延長部材53は、下部延長部材52の荷重を支持している。図4では、外窓2は省略して示している。
【0021】
これらの上部延長部材51、下部延長部材52及び縦延長部材53には、図2及び図3に示すように、以下に説明するカバー部材6と係合するための小さな突起51a、52a、53aが設けられている。
【0022】
カバー部材6は、額縁延長部材5の室内側の面及び見込面を覆う樹脂製の部材である。カバー部材6は、上カバー61と、下カバー62と、縦カバー63と、を有する。上カバー61、下カバー62、縦カバー63は、それぞれ、室内側の面と、見込面とに延びる断面視略L字状の形状を有する。上カバー61、下カバー62、縦カバー63の室内側の面は、額縁延長部材5の上部延長部材51、下部延長部材52、縦延長部材53の室内側の面に当接し、室内側の面を覆う。上カバー61、下カバー62、縦カバー63の見込面は、額縁延長部材5の上部延長部材51の上面、下部延長部材52の下面、縦延長部材53の外側の見込面に当接し、これらの面を覆う。
【0023】
上カバー61、下カバー62、縦カバー63の額縁延長部材5に対面する側の面には、上部延長部材51、下部延長部材52及び縦延長部材53の突起51a、52a及び53aに係止可能な形状に形成された爪状又は凹部状等の係合部61a、62a、63aが設けられている。カバー部材6の係合部61a、62a、63aに額縁延長部材5の突起51a、52a、53aを係止させることで、カバー部材6が額縁延長部材5に係止される。
【0024】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。窓1を、建物の開口部9に配置される外窓2と、外窓2の室内側に配置される額縁4と、額縁4の室内側に設けられる額縁延長部材5と、額縁4及び額縁延長部材5の内周側に配置される内窓3と、を含んで構成した。額縁延長部材5を、額縁4の上部で左右方向に延びる上部延長部材51と、下部で左右方向に延びる下部延長部材52と、上下方向に延びる縦延長部材53と、を含んで構成し、下部延長部材52を、上部延長部材51及び縦延長部材53の延びる方向に直交する方向の見付幅W1、W3に比べて、下部延長部材52の延びる方向に直交する方向の見付幅W2を大きく構成した。これにより、下部延長部材52の強度が増すので、内窓3の重量が大きくなっても確実に内窓3を支持することができる。よって、ガラス材320がペアガラスで構成された内窓を安定して取り付けることが可能になる。さらに、額縁4に下部延長部材52を取り付けるだけで内窓3を十分に支持することができるので、下部延長部材を額縁4の下方で室内の壁や建物の躯体に固定する必要がない。例えばマンションやビルの納まりである鉄筋コンクリート造(RC構造)や、軽量気泡コンクリートを用いたALC構造の納まり等において、室内側の石膏ボードと躯体との間に空気層を設けて断熱性を向上させる場合がある。石膏ボードと躯体の間に空気層を設けていると、額縁延長部材を固定する際に石膏ボードから躯体へ届くように額縁延長部材を留めるためのねじの長さがわからなかったり、ねじが効く部分がねじの先端のみとなって、強度に不安が残ったりするようなことがある。本実施形態によれば、額縁延長部材5の下部延長部材52の見付幅W2が、上部延長部材51及び縦延長部材53の見付幅W1、W3よりも大きく構成されることによって、石膏ボード8や躯体90へねじで固定しなくても、内窓3の荷重を支える強度を得ることができるため、上記のような不安が解消され、施工性が向上する。
【0025】
本実施形態によれば、額縁延長部材5を、上部延長部材51と、下部延長部材52と、上部延長部材51及び下部延長部材52の左右方向の端部を接続する縦延長部材53とにより四周に枠組みして構成した。そして、縦延長部材53を、少なくとも下部延長部材52に接続固定させた。縦延長部材53が下部延長部材52に接続固定されることによって、見付幅W2の大きな下部延長部材52の荷重を、縦延長部材53によって支持することが可能になる。このため、下部延長部材52を額縁4に固定するだけで足りる。また、内窓3自体の荷重が大きくなっても、他の部材や固定箇所を増やすことなく、内窓3を支持することが可能になる。
【0026】
本実施形態によれば、下部延長部材52の左右方向の端部を、縦延長部材53の下端側に接続固定させた。これにより、下部延長部材52の荷重を良好に分散させることができ、上記と同様の効果を奏する。
【0027】
本実施形態によれば、額縁延長部材5の室内側の面及び見込面を覆うカバー部材6をさらに含んで構成した。カバー部材6で額縁延長部材5を覆うことにより、額縁延長部材5の材質に関わらず、内窓3を室内の調度に調和したものにすることが可能になる。また、額縁延長部材5を金属等で構成し、強度を向上させることが可能になる。
【0028】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、上記実施形態では、外窓2及び内窓3は、引き違い窓を例として説明した。しかし、窓の種類は限定されない。窓は、開き窓や、FIX窓であってもよく、開き窓の場合でも、障子の数は二枚以上であってもよい。
【0029】
また、額縁延長部材5について、上部延長部材51と、下部延長部材52と、縦延長部材53を有していれば、その固定の有無は限定されない。縦延長部材53が、少なくとも下部延長部材52と接続固定されていることが特に好ましいが、それぞれが固定されていなくても、すべて固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 窓、 2 外窓、 3 内窓、 4 額縁、 5 額縁延長部材、 6 カバー部材、 9 開口部、 51 上部延長部材、 52 下部延長部材、 53 縦延長部材

図1
図2
図3
図4