IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

特開2024-62779半導体装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062779
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20240501BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01L27/088 B
H01L29/78 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170855
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】河合 徹
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AB10
5F048AC01
5F048BA01
5F048BB02
5F048BB05
5F048BC02
5F048BC05
5F048BC06
5F048BC07
5F048BC18
5F048BF02
5F048BF06
5F048BF07
5F048BG13
5F140AB01
5F140BA01
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF47
5F140BF53
5F140BG08
5F140BG09
5F140BG32
5F140BH13
5F140BH15
5F140BH17
5F140BJ07
5F140BJ08
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140CB04
5F140CC03
5F140CC08
(57)【要約】
【課題】発振回路を備える半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】発振回路を備える半導体装置は、半導体基板SBに形成された、ハロー領域を有するMISFETと、半導体基板に形成された、ハロー領域を有していないMISFET2,3とを有している。ハロー領域を有していないMISFET2,3のゲート電極G2,G3は互いに電気的に接続されている。ハロー領域を有していないMISFET2,3は、発振回路に含まれるペアトランジスタに用いられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、発振回路を備える半導体装置:
半導体基板;
前記半導体基板に形成された複数の第1MISFET;
前記半導体基板に形成された複数の第2MISFET;
ここで、
前記複数の第1MISFETのそれぞれは、前記半導体基板に形成されたソースまたはドレイン用の第1半導体領域と、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記半導体基板に前記第1半導体領域に隣接するように形成された、前記第1半導体領域とは逆の導電型の第1ハロー領域と、を有し、
前記複数の第2MISFETのそれぞれは、前記半導体基板に形成されたソースまたはドレイン用の第2半導体領域と、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、を有し、
前記第2MISFETは、前記半導体基板における前記第2半導体領域に隣接する位置に、前記第1半導体領域とは逆の導電型のハロー領域を有しておらず、
前記複数の第2MISFETは、前記発振回路に含まれるペアトランジスタに用いられている。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
論理回路を更に備え、
前記複数の第1MISFETは、前記論理回路に用いられている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記複数の第1MISFETは、前記発振回路に含まれるペアトランジスタ以外のMISFETに用いられている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
記憶回路を更に備え、
前記複数の第1MISFETは、前記記憶回路に用いられている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
論理回路および記憶回路を更に備え、
前記複数の第1MISFETは、前記発振回路に含まれるペアトランジスタ以外のMISFETと、前記論理回路と、前記記憶回路とに用いられている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記複数の第1MISFETのそれぞれが有する前記第1ゲート絶縁膜と、前記複数の第2MISFETのそれぞれが有する前記第2ゲート絶縁膜とは、互いに同じ厚さを有している、半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体領域は、第1低濃度領域と、前記第1低濃度領域と同じ導電型を有し、かつ前記第1低濃度領域の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1高濃度領域と、を有し、
前記第2半導体領域は、第2低濃度領域と、前記第2低濃度領域と同じ導電型を有し、かつ前記第2低濃度領域の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第2高濃度領域と、を有し、
前記第1低濃度領域に隣接する位置に、前記第1ハロー領域が形成されている、半導体装置。
【請求項8】
以下を含む、発振回路を備える半導体装置:
半導体基板;
前記発振回路に含まれるペアトランジスタに用いられる第1MISFETおよび第2MISFET;
ここで、
前記第1MISFETは、前記半導体基板に形成されたソースまたはドレイン用の第1導電型の第1半導体領域と、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、を有し、
前記第2MISFETは、前記半導体基板に形成されたソースまたはドレイン用の前記第1導電型の第2半導体領域と、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、を有し、
前記第1MISFETは、前記半導体基板における前記第1半導体領域に隣接する位置に、前記第1導電型とは反対の第2導電型のハロー領域を有しておらず、
前記第2MISFETは、前記半導体基板における前記第2半導体領域に隣接する位置に、前記第2導電型のハロー領域を有しておらず、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とは、互いに電気的に接続されている。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
論理回路に用いられる第3MISFETを更に備え、
前記第3MISFETは、前記半導体基板に形成されたソースまたはドレイン用の前記第1導電型の第3半導体領域と、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極と、前記半導体基板に前記第1半導体領域に隣接するように形成された、前記第2導電型の第1ハロー領域と、を有し、
前記第1ゲート絶縁膜と前記第2ゲート絶縁膜と前記第3ゲート絶縁膜のそれぞれの厚さは、互いに同じである、半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、
前記半導体基板に素子分離領域が形成されており、
前記半導体基板における前記素子分離領域で周囲を囲まれた第1活性領域に、前記第1半導体領域が形成され、
前記半導体基板における前記素子分離領域で周囲を囲まれた第2活性領域に、前記第2半導体領域が形成され、
前記第1ゲート電極は、平面視において、前記第1活性領域を横切るように延在し、
前記第2ゲート電極は、平面視において、前記第2活性領域を横切るように延在している、半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第1MISFETにより前記半導体基板に流れる電流の向きと、前記第2MISFETにより前記半導体基板に流れる電流の向きとは、互いに同じである、半導体装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第1活性領域の外周に沿うように前記半導体基板上に延在する第1導体部が、前記第1ゲート電極と一体的に形成されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第1MISFETは、前記第1ゲート電極を複数有し、
前記複数の第1ゲート電極は、互いに電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置において、
前記複数の第1ゲート電極は、それぞれ第1方向に延在し、かつ、前記第1方向に直交する第2方向に並び、
前記複数の第1ゲート電極同士の第1の間隔は、互いに同じであり、
前記第2方向に並ぶ前記複数の第1ゲート電極のうちの前記第2方向の両端に位置する前記第1ゲート電極の一方と前記素子分離領域との間の第2の間隔は、前記第1の間隔よりも大きく、
前記第2方向に並ぶ前記複数の第1ゲート電極のうちの前記第2方向の両端に位置する前記第1ゲート電極の他方と前記素子分離領域との間の第3の間隔は、前記第1の間隔よりも大きい、半導体装置。
【請求項15】
請求項13記載の半導体装置において、
前記複数の第1ゲート電極は、それぞれ第1方向に延在し、かつ、前記第1方向に直交する第2方向に並び、
前記第2方向に並ぶ前記複数の第1ゲート電極のうちの前記第2方向の両端に位置する前記第1ゲート電極の一方と前記素子分離領域との間に、前記第1方向に延在する第1のダミー電極が配置され、
前記第2方向に並ぶ前記複数の第1ゲート電極のうちの前記第2方向の両端に位置する前記第1ゲート電極の他方と前記素子分離領域との間に、前記第1方向に延在する第2のダミー電極が配置されている、半導体装置。
【請求項16】
以下の工程を含む、発振回路を備える半導体装置の製造方法:
(a)半導体基板を準備する工程;
(b)前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して第1MISFET用の第1ゲート電極を形成し、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して第2MISFET用の第2ゲート電極を形成し、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して第3MISFET用の第3ゲート電極を形成する工程;
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板に前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の第1導電型の第1半導体領域と、前記第1半導体領域に隣接しかつ前記第1導電型とは反対の第2導電型の第1ハロー領域とを形成し、前記半導体基板に前記第2MISFETのソースまたはドレイン用の前記第1導電型の第2半導体領域を形成し、前記半導体基板に前記第3MISFETのソースまたはドレイン用の前記第1導電型の第3半導体領域を形成する工程;
(d)前記(c)工程後、半導体基板上に、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ゲート電極を覆うように、層間絶縁膜を形成する工程;
(e)前記(d)工程後、前記層間絶縁膜に埋め込まれた導電性プラグを形成する工程;
(f)前記(e)工程後、前記層間絶縁膜上に配線を形成する工程;
ここで、
前記(c)工程では、前記半導体基板における前記第2半導体領域に隣接する位置に前記第2導電型のハロー領域は形成されず、かつ、前記半導体基板における前記第3半導体領域に隣接する位置に前記第2導電型のハロー領域は形成されず、
前記第2ゲート電極と前記第3ゲート電極とは、互いに電気的に接続され、
前記第2MISFETと前記第3MISFETは、前記発振回路に含まれるペアトランジスタに用いられる。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1MISFETは論理回路に用いられる、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c1)前記半導体基板に、前記第1導電型の第1低濃度領域と前記第1導電型の第2低濃度領域と前記第1導電型の第3低濃度領域とを、第1の垂直イオン注入により形成する工程、
(c2)前記(c1)工程後、前記半導体基板における前記第2MISFETを形成すべき領域と前記第3MISFETを形成すべき領域とを覆い、かつ、前記半導体基板における前記第1MISFETを形成すべき領域を露出するような第1レジストパターンを形成する工程、
(c3)前記(c2)工程後、前記半導体基板に、前記第1低濃度領域に隣接するように、前記第2導電型の前記第1ハロー領域を、斜めイオン注入により形成する工程、
(c4)前記(c3)工程後、前記第1レジストパターンを除去する工程、
(c5)前記(c4)工程後、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ゲート電極の各側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
(c6)前記(c5)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第1高濃度領域と前記第1導電型の第2高濃度領域と前記第1導電型の第3高濃度領域とを、第2の垂直イオン注入により形成する工程、
を有し、
前記第1高濃度領域は、前記第1低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第2高濃度領域は、前記第2低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第3高濃度領域は、前記第3低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第1低濃度領域と前記第1高濃度領域とにより、前記第1半導体領域が形成され、
前記第2低濃度領域と前記第2高濃度領域とにより、前記第2半導体領域が形成され、
前記第3低濃度領域と前記第3高濃度領域とにより、前記第3半導体領域が形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)で準備された前記半導体基板は、素子分離領域を有し、
前記(b)工程では、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ゲート電極と同じ材料からなる抵抗素子が前記素子分離領域上に形成され、
前記(c)工程は、
(c1)前記半導体基板における前記第2MISFETを形成すべき領域と前記第3MISFETを形成すべき領域と前記抵抗素子とを覆い、かつ、前記半導体基板における前記第1MISFETを形成すべき領域を露出するような第1レジストパターンを形成する工程、
(c2)前記(c1)工程後、前記半導体基板に、前記第1導電型の第1低濃度領域を第1の垂直イオン注入により形成する工程、
(c3)前記(c1)工程後、前記半導体基板に、前記第2導電型の前記第1ハロー領域を斜めイオン注入により形成する工程、
(c4)前記(c2)工程および前記(c3)工程の後、前記第1レジストパターンを除去する工程、
(c5)前記(c4)工程後、前記半導体基板における前記第1MISFETを形成すべき領域を覆い、かつ、前記半導体基板における前記第2MISFETを形成すべき領域と前記第3MISFETを形成すべき領域と前記抵抗素子とを露出するような第2レジストパターンを形成する工程、
(c6)前記(c5)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第2低濃度領域と前記第1導電型の第3低濃度領域とを、第2の垂直イオン注入により形成する工程、
(c7)前記(c6)工程後、前記第2レジストパターンを除去する工程、
(c8)前記(c7)工程後、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ゲート電極の各側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
(c9)前記(c8)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第1高濃度領域と前記第1導電型の第2高濃度領域と前記第1導電型の第3高濃度領域とを、第3の垂直イオン注入により形成する工程、
を有し、
前記第1高濃度領域は、前記第1低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第2高濃度領域は、前記第2低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第3高濃度領域は、前記第3低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第1低濃度領域と前記第1高濃度領域とにより、前記第1半導体領域が形成され、
前記第2低濃度領域と前記第2高濃度領域とにより、前記第2半導体領域が形成され、
前記第3低濃度領域と前記第3高濃度領域とにより、前記第3半導体領域が形成され、
前記(c6)工程では、前記第2の垂直イオン注入により、前記抵抗素子に前記第2導電型の不純物が導入される、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記半導体基板上に第4ゲート絶縁膜を介して第4MISFET用の第4ゲート電極が形成され、
前記第4ゲート絶縁膜は、前記第1ゲート絶縁膜、前記第2ゲート絶縁膜および前記第3ゲート絶縁膜のそれぞれよりも厚く、
前記(c)工程は、
(c1)前記半導体基板における前記第2MISFETを形成すべき領域と前記第3MISFETを形成すべき領域と前記第4MISFETを形成すべき領域とを覆い、かつ、前記半導体基板における前記第1MISFETを形成すべき領域を露出するような第1レジストパターンを形成する工程、
(c2)前記(c1)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第1低濃度領域を第1の垂直イオン注入により形成する工程、
(c3)前記(c1)工程後、前記半導体基板に、前記第2導電型の前記第1ハロー領域を斜めイオン注入により形成する工程、
(c4)前記(c2)工程および前記(c3)工程の後、前記第1レジストパターンを除去する工程、
(c5)前記(c4)工程後、前記半導体基板における前記第1MISFETを形成すべき領域を覆い、かつ、前記半導体基板における前記第2MISFETを形成すべき領域と前記第3MISFETを形成すべき領域と前記第4MISFETを形成すべき領域とを露出するような第2レジストパターンを形成する工程、
(c6)前記(c5)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第2低濃度領域と前記第1導電型の第3低濃度領域と前記第1導電型の第4低濃度領域とを、第2の垂直イオン注入により形成する工程、
(c7)前記(c6)工程後、前記第2レジストパターンを除去する工程、
(c8)前記(c7)工程後、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、前記第3ゲート電極および前記第4ゲート電極の各側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
(c9)前記(c8)工程後、前記半導体基板に前記第1導電型の第1高濃度領域と前記第1導電型の第2高濃度領域と前記第1導電型の第3高濃度領域と前記第1導電型の第4高濃度領域とを、第3の垂直イオン注入により形成する工程、
を有し、
前記第1高濃度領域は、前記第1低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第2高濃度領域は、前記第2低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第3高濃度領域は、前記第3低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第4高濃度領域は、前記第4低濃度領域よりも高い不純物濃度を有し、
前記第1低濃度領域と前記第1高濃度領域とにより、前記第1半導体領域が形成され、
前記第2低濃度領域と前記第2高濃度領域とにより、前記第2半導体領域が形成され、
前記第3低濃度領域と前記第3高濃度領域とにより、前記第3半導体領域が形成され、
前記第4低濃度領域と前記第4高濃度領域とにより、前記第4MISFETのソースまたはドレイン用の前記第1導電型の第4半導体領域が形成される、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、例えば、発振回路を備える半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
特開平9-45906号公報(特許文献1)には、ソースドレイン領域の形成後にポケット領域を形成する技術が記載されている。
【0003】
また、特開2019-9345号公報(特許文献2)には、発振回路を備える半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-45906号公報
【特許文献2】特開2019-9345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発振回路を備える半導体装置において、性能を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、発振回路を備える半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された複数の第1MISFETと、前記半導体基板に形成された複数の第2MISFETとを含んでいる。前記複数の第1MISFETのそれぞれは、ハロー領域を有するMISFETであり、前記複数の第2MISFETのそれぞれは、ハロー領域を有していないMISFETである。前記複数の第2MISFETは、前記発振回路に含まれるペアトランジスタに用いられている。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、発振回路を備える半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図3】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図4】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図5】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図7】変形例の半導体装置の要部平面図である。
図8】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図9図8と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図10図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図11図10と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図12図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図13図12と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図14図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図15図14と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図16図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図17図16と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図18図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図19図18と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図20図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図21図20と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図22】第1の変形例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図23図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図24図23と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図25図23と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図26図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図27図26と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図28図26と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図29】第2の変形例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図30図29と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図31図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図32図31と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図33図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図34図33と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図35図33に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図36図35と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図37】オシレータ回路の一部を示す回路図である。
図38】一実施の形態の半導体装置の回路ブロック図である。
図39】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図40】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図41】半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
図42】ペアトランジスタの回路図である。
図43】ペアトランジスタの回路図である。
図44】ペアトランジスタの回路図である。
図45】ペアトランジスタの回路図である。
図46】ペアトランジスタのレイアウト例を示す平面図である。
図47】ペアトランジスタのレイアウト例を示す平面図である。
図48】ペアトランジスタのレイアウト例を示す平面図である。
図49図47のレイアウトを適用した場合の半導体装置の要部断面図である。
図50図47のレイアウトを適用した場合の半導体装置の要部断面図である。
図51】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図52】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図53】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図54】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
<半導体装置の構造について>
図1および図2は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、図3は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、図1および図2のA1-A1線の位置での断面図が図3に対応している。また、図4は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、図5および図6は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、図4のA2-A2線の位置での断面図が図5に対応し、図4のA3-A3線の位置での断面図が図6に対応している。
【0014】
なお、図1図2および図4などに示されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向である。X方向およびY方向は、半導体基板SBの主面または裏面に平行な方向であり、すなわち水平方向である。Z方向は、半導体基板SBの厚さ方向である。また、X方向は、ゲート電極G1,G2,G3のゲート長方向に対応し、Y方向は、ゲート電極G1,G2,G3のゲート幅方向に対応している。
【0015】
図1図2とは、互いに同じ平面領域が示されている。図1図4とは、互いに異なる平面領域が示されている。理解を簡単にするために、図1では、ゲート電極G1の形成位置を点線で示し、素子分離領域ST、n型半導体領域D1a,S1aおよびn型半導体領域D1b,S1bにそれぞれハッチングを付してある。また、図2では、ゲート電極G1の形成位置を点線で示し、素子分離領域STおよびp型ハロー領域HA1,HA2にそれぞれハッチングを付して示してある。また、図4では、ゲート電極G2,G3の形成位置を点線で示し、素子分離領域ST、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aおよびn型半導体領域D2b,S2b,D3b,S3bにそれぞれハッチングを付してある。
【0016】
本実施の形態の半導体装置は、ハロー領域(ポケット領域)を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と、ハロー領域(ポケット領域)を有さないMISFETとを、それぞれ複数含んでいる。図1図3には、ハロー領域(ポケット領域)を有するMISFET1が形成された領域(活性領域)であるMISFET形成領域1Aの平面図(図1図2)または断面図(図3)が示されている。また、図4および図5には、ハロー領域(ポケット領域)を有さないMISFET2,3が形成された領域(活性領域)であるMISFET形成領域2A,3Aの平面図(図4)または断面図(図5)が示されている。
【0017】
なお、詳細は後述するが、本実施の形態の半導体装置は、オシレータ回路(発振回路)を有する半導体装置である。ハロー領域を有さないMISFET2,3は、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタを構成するMISFETとして用いられる。
【0018】
以下では、MISFET1,2,3は、nチャネル型のトランジスタであるとして説明するが、導電型を反対にして、pチャネル型のトランジスタとすることもできる。
【0019】
図1図6に示されるように、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBには、素子を分離するための素子分離領域STが形成されている。この素子分離領域STにより、MISFET1が形成される領域(活性領域)であるMISFET形成領域1Aと、MISFET2が形成される領域(活性領域)であるMISFET形成領域2Aと、MISFET3が形成される領域(活性領域)であるMISFET形成領域3Aとが規定される。
【0020】
素子分離領域STは、半導体基板SBの主面の溝内に埋め込まれている。MISFET形成領域1A,2A,3Aのそれぞれは、平面視において、素子分離領域STによって囲まれている。図1図2および図4には、MISFET形成領域1A,2A,3Aのそれぞれの平面形状が、X方向に略平行な辺とY方向に略平行な辺とを有する長方形状である場合が示されている。なお、平面視とは、半導体基板SBの主面に略平行な平面で見た場合に対応している。
【0021】
素子分離領域STは、STI(Shallow Trench Isolation)法により形成されている。このため、素子分離領域STは、半導体基板SBに形成された溝に埋め込まれた絶縁体(絶縁膜)からなる。素子分離領域STは、主として酸化シリコンからなる。
【0022】
MISFET形成領域1Aの半導体基板SBにp型ウエル(p型のウエル領域)PW1が形成され、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SBにp型ウエル(p型のウエル領域)PW2が形成されている。p型ウエルPW1,PW2は、p型不純物が導入されたp型の半導体領域である。p型ウエルPW1,PW2の底面の深さ位置は、素子分離領域STの底面の深さ位置よりも深い。MISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとは、平面視において、素子分離領域STを介して互いに隣り合っており、p型ウエルPW2は、MISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとにわたって形成されている。このため、平面視において、MISFET形成領域2A,3Aはp型ウエルPW2に内包されている。
【0023】
以下、MISFET1,2,3の構成を説明する。
【0024】
<<MISFET1の構成について>>
まず、MISFET1の構成を、図1図3を参照して具体的に説明する。
【0025】
MISFET1は、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜GF1を介して形成されたゲート電極G1と、平面視においてゲート電極G1の両側に形成されたソース・ドレイン(ソースまたはドレイン)用のn型半導体領域S1,D1と、を有している。
【0026】
ゲート電極G1は、平面視においてMISFET形成領域1Aを横切るように、Y方向に延在している。このため、ゲート電極G1は、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB上と、MISFET形成領域1Aの周囲の素子分離領域ST上とにわたって、連続的に形成されている。ゲート絶縁膜GF1は、半導体基板SB(p型ウエルPW1)とゲート電極G1との間に介在している。素子分離領域STとゲート電極G1との間にゲート絶縁膜GF1が介在する場合もあり得るが、素子分離領域STとゲート電極G1とは互いに接していてもよい。
【0027】
MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)における、ゲート電極G1の下の領域が、チャネルが形成される領域、すなわちチャネル形成領域となる。MISFET1のチャネル形成領域は、半導体基板SBの表層部に形成され、ゲート電極G1の下に存在するゲート絶縁膜GF1に隣接している。
【0028】
ゲート電極G1の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSWが形成されている。サイドウォールスペーサSWは、絶縁膜により形成されているが、単体膜により構成されていても、積層膜により構成されていてもよい。
【0029】
平面視において、ゲート電極G1をX方向に挟むように、一対のn型半導体領域D1,S1が形成されており、そのうちの一方(ここではn型半導体領域S1)が、MISFET1のソース領域として機能し、他方(ここではn型半導体領域D1)が、MISFET1のドレイン領域として機能する。n型半導体領域D1,S1は、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)内に形成されている。一対のn型半導体領域D1,S1は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。
【0030】
このため、n型半導体領域S1は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)S1aと、n型半導体領域S1aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)S1bとにより構成されている。また、n型半導体領域D1は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)D1aと、n型半導体領域D1aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)D1bとにより構成されている。n型半導体領域D1bの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域D1aの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高く、かつ、n型半導体領域S1bの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域S1aの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。
【0031】
n型半導体領域D1a,S1aはゲート電極G1に自己整合的に形成され、n型半導体領域D1b,S1bはゲート電極G1の側壁上に設けられたサイドウォールスペーサSWに自己整合的に形成されている。このため、n型半導体領域D1aは、ゲート電極G1の一方の側壁上のサイドウォールスペーサSWの下に位置し、n型半導体領域S1aは、ゲート電極G1の他方の側壁上のサイドウォールスペーサSWの下に位置しており、n型半導体領域D1aとn型半導体領域S1aとは、チャネル形成領域を挟んで互いに離間している(X方向に離間している)。そして、高濃度のn型半導体領域D1b,S1bは、低濃度のn型半導体領域D1a,S1aの外側(チャネル形成領域から離れる側)に形成されている。n型半導体領域D1bは、チャネル形成領域からn型半導体領域D1aの分だけ離間し(X方向に離間し)、かつn型半導体領域D1aに隣接する位置に形成されている。n型半導体領域S1bは、チャネル形成領域からn型半導体領域S1aの分だけ離間し(X方向に離間し)、かつn型半導体領域S1aに隣接する位置に形成されている。n型半導体領域D1aは、チャネル形成領域とn型半導体領域D1bとの間に介在し、また、n型半導体領域S1aは、チャネル形成領域とn型半導体領域S1bとの間に介在している。
【0032】
n型半導体領域D1,S1のそれぞれは、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)内に形成されているが、ゲート電極G1に沿うように、Y方向に延在している。このため、n型半導体領域D1を構成するn型半導体領域D1aおよびn型半導体領域D1bは、それぞれ、ゲート電極G1に沿うように、Y方向に延在し、また、n型半導体領域S1を構成するn型半導体領域S1aおよびn型半導体領域S1bは、それぞれ、ゲート電極G1に沿うように、Y方向に延在している。
【0033】
<<MISFET2の構成について>>
次に、MISFET2の構成を、図4図6を参照して説明する。
【0034】
MISFET2は、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB上(p型ウエルPW2上)にゲート絶縁膜GF2を介して形成されたゲート電極G2と、平面視においてゲート電極G2の両側に形成されたソース・ドレイン用のn型半導体領域D2,S2と、を有している。
【0035】
n型半導体領域D2,S2は、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)内に形成されている。n型半導体領域D2は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)D2aと、n型半導体領域D2aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)D2bとにより構成されている。また、n型半導体領域S2は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)S2aと、n型半導体領域S2aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)S2bとにより構成されている。
【0036】
ゲート電極G2、ゲート絶縁膜GF2、n型半導体領域D2、n型半導体領域D2a、n型半導体領域D2b、n型半導体領域S2、n型半導体領域S2a、n型半導体領域S2bおよびサイドウォールスペーサSWについての説明は、上記「MISFET1の構成について」での説明を適用できるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。但し、上記「MISFET1の構成について」における説明を、この「MISFET1の構成について」の欄の説明として流用する際には、以下の読み替えを行う必要がある。すなわち、「MISFET1」を「MISFET2」と読み替え、「MISFET形成領域1A」を「MISFET形成領域2A」と読み替え、「p型ウエルPW1」を「p型ウエルPW2」と読み替え、「ゲート電極G1」を「ゲート電極G2」と読み替え、「ゲート絶縁膜GF1」を「ゲート絶縁膜GF2」と読み替える。また、「n型半導体領域D1」を「n型半導体領域D2」と読み替え、「n型半導体領域D1a」を「n型半導体領域D2a」と読み替え、「n型半導体領域D1b」を「n型半導体領域D2b」と読み替える。また、「n型半導体領域S1」を「n型半導体領域S2」と読み替え、「n型半導体領域S1a」を「n型半導体領域S2a」と読み替え、「n型半導体領域S1b」を「n型半導体領域S2b」と読み替える。
【0037】
<<MISFET3の構成について>>
次に、MISFET3の構成を、図4図6を参照して説明する。
【0038】
MISFET2の構成とMISFET3の構成とは、基本的には同じである。MISFET3は、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB上(p型ウエルPW2上)にゲート絶縁膜GF3を介して形成されたゲート電極G3と、平面視においてゲート電極G3の両側に形成されたソース・ドレイン用のn型半導体領域D3,S3と、を有している。
【0039】
n型半導体領域D3,S3は、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)内に形成されている。n型半導体領域D3は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)D3aと、n型半導体領域D3aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)D3bとにより構成されている。また、n型半導体領域S3は、低不純物濃度のn型半導体領域(エクステンション領域、低濃度領域)S3aと、n型半導体領域S3aよりも高不純物濃度のn型半導体領域(高濃度領域)S3bとにより構成されている。
【0040】
ゲート電極G3、ゲート絶縁膜GF3、n型半導体領域D3、n型半導体領域D3a、n型半導体領域D3b、n型半導体領域S3、n型半導体領域S3a、n型半導体領域S3bおよびサイドウォールスペーサSWについての説明は、上記「MISFET1の構成について」での説明を適用できるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。但し、上記「MISFET1の構成について」における説明を、この「MISFET3の構成について」の欄の説明として流用する際には、以下の読み替えを行う必要がある。すなわち、「MISFET1」を「MISFET3」と読み替え、「MISFET形成領域1A」を「MISFET形成領域3A」と読み替え、「p型ウエルPW1」を「p型ウエルPW2」と読み替え、「ゲート電極G1」を「ゲート電極G3」と読み替え、「ゲート絶縁膜GF1」を「ゲート絶縁膜GF3」と読み替える。また、「n型半導体領域D1」を「n型半導体領域D3」と読み替え、「n型半導体領域D1a」を「n型半導体領域D3a」と読み替え、「n型半導体領域D1b」を「n型半導体領域D3b」と読み替える。また、「n型半導体領域S1」を「n型半導体領域S3」と読み替え、「n型半導体領域S1a」を「n型半導体領域S3a」と読み替え、「n型半導体領域S1b」を「n型半導体領域S3b」と読み替える。
【0041】
<<p型ハロー領域について>>
MISFET1は、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)に形成されたp型ハロー領域(p型半導体領域、p型ポケット領域)HA1,HA2を更に有している。それに対して、MISFET2およびMISFET3は、p型ハロー領域(p型ポケット領域)を有していない。このため、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)とMISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)には、p型ハロー領域HA1,HA2に相当するものは形成されていない。以下に、MISFET1が有するp型ハロー領域HA1,HA2について説明する。
【0042】
図3に示されるように、p型ハロー領域HA1は、断面視(Y方向に略垂直な断面視)において、n型半導体領域D1aを覆う(包む)ように形成されており、また、p型ハロー領域HA2は、断面視(Y方向に略垂直な断面視)において、n型半導体領域S1aを覆う(包む)ように形成されている。
【0043】
このため、p型ハロー領域HA1は、n型半導体領域D1aの側面(n型半導体領域S1aに対向する側面)および下面に隣接しており、また、p型ハロー領域HA2は、n型半導体領域S1aの側面(n型半導体領域D1aに対向する側面)および下面に隣接している。p型ハロー領域HA1,HA2のそれぞれの一部は、平面視においてゲート電極G1と重なっている。p型ハロー領域HA1,HA2は、n型半導体領域D1a,S1a,D1b,S1bとは逆の導電型で、かつp型ウエルPW1とは同じ導電型であり、p型ウエルPW1よりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。p型ハロー領域HA1,HA2のp型不純物濃度は、例えば2×1017~1×1019cm程度とすることができる。また、p型ウエルPW1のp型不純物濃度は、例えば1×1017~5×1018cm程度とすることができる。
【0044】
後述するように、p型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入は、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)を用いており、これにより、n型半導体領域D1a,S1aを覆う(包む)ようにp型ハロー領域HA1,HA2を形成することができる。なお、一般のイオン注入(垂直イオン注入)では、半導体基板SBの主面に対して垂直な方向に不純物イオンを加速して打ち込むが、斜めイオン注入では、半導体基板SBの主面に対して垂直な方向から所定の角度傾斜した方向に不純物イオンを加速して打ち込む。
【0045】
X方向において、n型半導体領域D1aとp型ハロー領域HA1とは隣接し、また、n型半導体領域S1aとp型ハロー領域HA2とは隣接している。p型ハロー領域HA1のうち、n型半導体領域D1aとX方向に隣接する部分は、ゲート電極G1の下方に位置し、また、p型ハロー領域HA2のうち、n型半導体領域S1aとX方向に隣接する部分は、ゲート電極G1の下方に位置している。別の見方をすると、p型ハロー領域HA1のうち、n型半導体領域D1aとX方向に隣接する部分は、ゲート電極G1と平面視において重なっており、また、p型ハロー領域HA2のうち、n型半導体領域S1aとX方向に隣接する部分は、ゲート電極G1と平面視において重なっている。ゲート電極G1の下方に位置するp型ハロー領域HA1,HA2(すなわちゲート電極G1と平面視で重なる部分のp型ハロー領域HA1,HA2)は、チャネル形成領域の一部として機能することができる。
【0046】
<<MISFET1,2,3について>>
MISFET1のゲート絶縁膜GF1とMISFET2のゲート絶縁膜GF2とMISFET3のゲート絶縁膜GF3とは、同工程で形成されている。このため、ゲート絶縁膜GF1とゲート絶縁膜GF2とゲート絶縁膜GF3は、互いに同じ絶縁材料(例えば酸化シリコン)からなり、ゲート絶縁膜GF1の厚さとゲート絶縁膜GF2の厚さとゲート絶縁膜GF3の厚さは、互いに同じである。
【0047】
MISFET1のゲート電極G1とMISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とは、同工程で形成されている。すなわち、共通の導電膜(例えばポリシリコン膜)をパターニングすることにより、ゲート電極G1とゲート電極G2とゲート電極G3を形成している。このため、ゲート電極G1とゲート電極G2とゲート電極G3は、互いに同じ導電材料(例えばポリシリコン)からなり、ゲート電極G1の厚さとゲート電極G2とゲート電極G3の厚さは、互いに同じである。
【0048】
MISFET1のn型半導体領域D1a,S1aおよびp型ハロー領域HA1,HA2は、ゲート電極G1の形成後で、かつ、ゲート電極G1の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する前に形成される。n型半導体領域D1a,S1aは、n型不純物の垂直イオン注入により形成され、p型ハロー領域HA1,HA2は、p型不純物の斜めイオン注入により形成される。
【0049】
MISFET2のn型半導体領域D2a,S2aは、ゲート電極G2の形成後で、かつ、ゲート電極G2の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する前に、n型不純物の垂直イオン注入により形成される。MISFET3のn型半導体領域D3a,S3aは、ゲート電極G3の形成後で、かつ、ゲート電極G3の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する前に、n型不純物の垂直イオン注入により形成される。
【0050】
MISFET2はp型ハロー領域を有していないため、ゲート電極G2の形成後で、かつ、ゲート電極G2の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する前に、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)に対して、p型不純物の斜めイオン注入は行われない。また、MISFET3はp型ハロー領域を有していないため、ゲート電極G3の形成後で、かつ、ゲート電極G3の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する前に、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)に対して、p型不純物の斜めイオン注入は行われない。これは、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SBおよびゲート電極G2,G3を覆い、かつ、MISFET形成領域1Aの半導体基板SBおよびゲート電極G1を露出するようなフォトレジストパターンを形成した状態で、p型ハロー領域HA1,HA2を形成するための斜めイオン注入を行うことで、実現できる。
【0051】
n型半導体領域D2b,S2bとn型半導体領域D3b,S3bとは、同じイオン注入工程で形成されているため、n型半導体領域D2b,S2bの不純物濃度(n型不純物濃度)とn型半導体領域D3b,S3bの不純物濃度(n型不純物濃度)は、互いに同じである。
【0052】
<<半導体基板SB上の構造について>>
次に、半導体基板SB上の構造について説明する。
【0053】
図3図5および図6に示されるように、半導体基板SB上には、ゲート電極G1,G2,G3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜からなる。相対的に薄い窒化シリコン膜と、該窒化シリコン上の相対的に厚い酸化シリコン膜との積層膜により、層間絶縁膜ILを形成することもできる。層間絶縁膜ILの上面は平坦化されている。
【0054】
層間絶縁膜ILには、コンタクトホール(貫通孔)が形成され、コンタクトホール内には、タングステン(W)膜を主体とする導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGが形成されている(埋め込まれている)。プラグPGは複数設けられており、各プラグPGは層間絶縁膜ILを貫通している。プラグPGは、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bおよびゲート電極G1,G2,G3のそれぞれ上に形成されている。n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bおよびゲート電極G1,G2,G3のそれぞれは、その上に配置されたプラグPGと電気的に接続されている。
【0055】
なお、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bおよびゲート電極G1,G2,G3の各上部(表層部)に金属シリサイド層(図示せず)を形成した場合は、各プラグPGはその金属シリサイド層と接し、その金属シリサイド層を介して金属シリサイド層の下の各領域に電気的に接続される。
【0056】
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL上には、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金などを主体とする導電膜からなる配線(第1層配線)M1が形成されている。配線M1は、アルミニウム配線に限定されず、他の金属材料を用いた配線、例えばタングステン配線または銅配線とすることもできる。各プラグPGは、配線M1と電気的に接続される。
【0057】
層間絶縁膜ILおよび配線M1よりも上層の構造については、ここではその図示および説明は省略する。実際には、更に上層の配線および絶縁膜が形成されている。
【0058】
ここで、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とは、電気的に接続されている。図4および図6の場合は、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とは、ゲート電極G2上に配置されたプラグPGと、ゲート電極G3上に配置されたプラグPGと、それらをつなぐ配線M1(図6に示すゲート配線M1G)とを通じて、電気的に接続されている。なお、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とを電気的に接続する手法として、ゲート電極G2とゲート電極G3とを一体的に繋がるように形成することもでき、その場合を図7に示してある。図7は、本実施の形態の半導体装置の変形例の要部平面図であり、図4に対応するものである。図7の場合は、Y方向に延在するゲート電極G2の一方の端部と、Y方向に延在するゲート電極G3の一方の端部が、X方向に延在するゲート接続部GCと一体的に接続されている。ゲート接続部GCは、ゲート電極G2,G3と一体的に形成され、かつ、素子分離領域ST上に配置されている。これにより、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とは、ゲート接続部GCを通じて電気的に接続される。この場合は、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とをゲート配線M1Gで接続しなくともよい。ゲート接続部GCは、ゲート電極G2,G3と一体的に形成されているため、ゲート電極G2,G3と同工程で形成され、かつ、ゲート電極G2,G3と同じ材料(例えばポリシリコン)からなる。また、サイドウォールスペーサSWは、ゲート接続部GCの側壁上にも形成される。
【0059】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0060】
図8図21は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。このうち、図8図10図12図14図16図18および図20は、上記図3にほぼ相当する断面(上記図1のA1-A1線の位置での断面)が示されており、また、図9図11図13図15図17図19および図21は、上記図5にほぼ相当する断面(上記図4のA2-A2線の位置での断面)が示されている。
【0061】
半導体装置を製造するには、図8および図9に示されるように、まず、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する。それから、半導体基板SBの主面に、素子分離領域STを形成する。素子分離領域STは、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、STI法により形成することができる。
【0062】
次に、図10および図11に示されるように、イオン注入法を用いて、半導体基板SBにp型ウエルPW1およびp型ウエルPW2を形成する。p型ウエルPW1とp型ウエルPW2とは、同じイオン注入工程で形成することができ、その場合は、p型ウエルPW1の不純物濃度(p型不純物濃度)とp型ウエルPW2の不純物濃度(p型不純物濃度)とは、実質的に同じである。p型ウエルPW1およびp型ウエルPW2は、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって形成され、平面視において、MISFET形成領域1Aはp型ウエルPW1に内包され、MISFET形成領域2A,3Aはp型ウエルPW2に内包される。
【0063】
次に、図10および図11に示されるように、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜GF1を介してゲート電極G1を形成し、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜GF2を介してゲート電極G2を形成し、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜GF3を介してゲート電極G3を形成する。この工程は、例えば次のようにして行うことができる。
【0064】
すなわち、半導体基板SBの主面上にゲート絶縁膜用の絶縁膜を形成してから、その上にゲート電極G1,G2,G3形成用の導電体膜(例えばポリシリコン膜)を形成し、その後、その導電体膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極G1,G2,G3を形成する。ゲート電極G1,G2,G3のそれぞれ下に残存する絶縁膜(ゲート絶縁膜用の絶縁膜)が、ゲート絶縁膜(GF1,GF2,GF3)となる。このため、ゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3のそれぞれの厚さは、互いに同じになり、また、ゲート電極G1,G2,G3のそれぞれの厚さは、互いに同じになる。
【0065】
次に、図12および図13に示されるように、n型不純物の垂直イオン注入により、n型半導体領域D1a,S1a,D2a,S2a,D3a,S3aを形成する。
【0066】
このイオン注入では、ゲート電極G1,G2,G3がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。このため、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)において、n型半導体領域D1a,S1aはゲート電極G1の両側に形成される。また、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)において、n型半導体領域D2a,S2aはゲート電極G2の両側に形成される。また、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)において、n型半導体領域D3a,S3aはゲート電極G3の両側に形成される。半導体基板SBにおけるゲート電極G1,G2,G3の直下の領域には、不純物は注入されない。n型半導体領域D1a,S1aとn型半導体領域D2a,S2aとn型半導体領域D3a,S3aとは、同じイオン注入工程で形成することができ、その場合は、それらの不純物濃度(n型不純物濃度)は互いに同じになる。
【0067】
また、ゲート電極G1,G2,G3を形成した後に半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、そのフォトレジストパターンが形成されている状態で、n型半導体領域D1a,S1a,D2a,S2a,D3a,S3aを形成するためのイオン注入を行うこともできる。その場合は、MISFET形成領域1A,2A,3Aはフォトレジストパターンで覆われないようにしておけばよい。そのフォトレジストパターンは、n型半導体領域D1a,S1a,D2a,S2a,D3a,S3aを形成した後に、除去する。
【0068】
次に、図14および図15に示されるように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR1を形成する。フォトレジストパターンPR1は、MISFET形成領域2A,3Aを覆い、かつMISFET形成領域1Aを露出するように、形成される。なお、MISFET形成領域1Aは、半導体基板SBにおけるMISFET1を形成すべき領域とみなすことができる。また、MISFET形成領域2Aは、半導体基板SBにおけるMISFET2を形成すべき領域とみなすことができる。また、MISFET形成領域3Aは、半導体基板SBにおけるMISFET3を形成すべき領域とみなすことができる。
【0069】
次に、図14および図15に示されるように、p型不純物の斜めイオン注入により、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)にp型ハロー領域HA1,HA2を形成する。
【0070】
このイオン注入では、ゲート電極G1がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるが、斜めイオン注入を行っているため、p型ハロー領域HA1は、n型半導体領域D1aを包み込む(覆う)ように形成され、p型ハロー領域HA2は、n型半導体領域S1aを包み込む(覆う)ように形成される。p型ハロー領域HA1,HA2のそれぞれの一部は、ゲート電極G1の直下に位置する(すなわち平面視においてゲート電極G1に重なる)ことになる。p型ハロー領域HA1とp型ハロー領域HA2とは、Y方向に離間している。p型ハロー領域HA1,HA2は、p型ウエルPWと同じ導電型であるが、p型ウエルPWよりもp型不純物濃度が高い。
【0071】
p型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR1もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、このイオン注入では、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)には、p型不純物は注入されない。ゲート電極G1,G2,G3を形成した後で、かつ、サイドウォールスペーサSWを形成する前に、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)には、p型ウエルPW2と同じ導電型の不純物(p型不純物)はイオン注入されない。このため、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)には、p型ハロー領域(p型ハロー領域HA1,HA2に相当するもの)は形成されない。
【0072】
p型ハロー領域HA1,HA2を形成した後、フォトレジストパターンPR1はアッシングなどにより除去する。
【0073】
次に、図16および図17に示されるように、ゲート電極G1,G2,G3の側壁上に、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれらの積層膜などからなるサイドウォールスペーサSWを形成する。サイドウォールスペーサSWは、例えば、半導体基板SBの主面全面上に酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を堆積してから、それを異方性エッチング技術を用いてエッチバックすることにより、形成することができる。
【0074】
次に、図18および図19に示されるように、n型不純物のイオン注入(好ましくは垂直イオン注入)により、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bを形成する。
【0075】
このイオン注入では、ゲート電極G1,G2,G3およびサイドウォールスペーサSWがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。このため、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)において、n型半導体領域D1b,S1bは、ゲート電極G1とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側に形成される。また、MISFET形成領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)において、n型半導体領域D2b,S2bは、ゲート電極G2とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側に形成される。また、MISFET形成領域3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)において、n型半導体領域D3b,S3bは、ゲート電極G3とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側に形成される。半導体基板SBにおいて、ゲート電極G1,G2,G3の直下とサイドウォールスペーサSWの直下の領域には、不純物は注入されない。
【0076】
n型半導体領域D1b,S1bのn型不純物濃度は、n型半導体領域D1a,S1aのn型不純物濃度よりも高く、n型半導体領域D2b,S2bのn型不純物濃度は、n型半導体領域D2a,S2aのn型不純物濃度よりも高く、n型半導体領域D3b,S3bのn型不純物濃度は、n型半導体領域D3a,S3aのn型不純物濃度よりも高い。n型半導体領域D1b,S1bとn型半導体領域D2b,S2bとn型半導体領域D3b,S3bとは、同じイオン注入工程で形成することができ、その場合は、それらの不純物濃度(n型不純物濃度)は互いに同じになる。
【0077】
次に、必要に応じて、これまでのイオン注入で導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0078】
このようにして、MISFET1,2,3が形成される。
【0079】
次に、必要に応じて、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術を用いて、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bおよびゲート電極G1,G2,G3の各上部(上層部)に、金属シリサイド層(図示せず)を形成する。
【0080】
次に、上記図20および図21に示されるように、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極G1,G2,G3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、層間絶縁膜ILを形成する。層間絶縁膜ILの形成後、層間絶縁膜ILの上面をCMP法で研磨するなどして、層間絶縁膜ILの平坦性を高めることもできる。
【0081】
次に、層間絶縁膜ILにコンタクトホールを形成してから、コンタクトホール内にプラグPGを形成する。
【0082】
次に、層間絶縁膜IL上に、配線M1を形成する。その後、更に上層の層間絶縁膜や配線が形成されるが、ここではその図示および説明は省略する。
【0083】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0084】
<半導体装置の製造工程の変形例について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程の第1の変形例について、図22図28を参照して説明する。ここでは、MISFET1,2,3と抵抗素子(ポリシリコン抵抗素子)PSとを有する半導体装置を製造する場合について説明する。図22図28のうち、図22図25および図28は、抵抗素子PSが形成される領域(平面領域)である抵抗素子形成領域5Aの断面図が示されている。また、図22図28のうち、図23および図26は、上記図3にほぼ相当する断面(上記図1のA1-A1線の位置での断面)が示されており、また、図24および図27は、上記図5にほぼ相当する断面(上記図4のA2-A2線の位置での断面)が示されている。
【0085】
図22は、上記図10および図11と同じ工程段階を示す抵抗素子形成領域5Aの断面図であり、素子分離領域ST上に抵抗素子PSが形成された状態が示されている。抵抗素子PSは、ポリシリコンからなり、ゲート電極G1,G2,G3と同工程で形成される。具体的には、半導体基板SBの主面上にゲート絶縁膜用の絶縁膜を形成した後、ゲート電極形成用と抵抗素子形成用途とを兼ねたポリシリコン膜を形成し、その後、そのポリシリコン膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極G1,G2,G3と抵抗素子PSとを一緒に形成することができる。
【0086】
ゲート電極G1,G2,G3および抵抗素子PSを形成した後、図23図25に示されるように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR2を形成する。フォトレジストパターンPR2は、MISFET形成領域2A,3Aおよび抵抗素子形成領域5Aを覆い、かつMISFET形成領域1Aを露出するように、形成される。抵抗素子形成領域5Aは、半導体基板SBにおける抵抗素子PSを形成すべき領域とみなすことができる。抵抗素子PSは、フォトレジストパターンPR2で覆われる。
【0087】
次に、図23図25に示されるように、n型不純物の垂直イオン注入により、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)にn型半導体領域D1a,S1aを形成する。n型半導体領域D1a,S1aを形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR2もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)と抵抗素子形成領域5Aの抵抗素子PSには、n型不純物は注入されない。
【0088】
次に、図23図25に示されるように、p型不純物の斜めイオン注入により、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)にp型ハロー領域HA1,HA2を形成する。p型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR2もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)と抵抗素子形成領域5Aの抵抗素子PSには、p型不純物は注入されない。
【0089】
なお、n型半導体領域D1a,S1aを形成するための垂直イオン注入と、p型ハロー領域HA1,HA2を形成するための斜めイオン注入は、どちらが先でもよい。
【0090】
次に、フォトレジストパターンPR2をアッシングなどにより除去した後、図26図28に示されるように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR3を形成する。フォトレジストパターンPR3は、MISFET形成領域1Aを覆い、かつ、MISFET形成領域2A,3Aおよび抵抗素子形成領域5Aを露出するように、形成される。抵抗素子PSは、フォトレジストパターンPR3で覆われずに、露出される。
【0091】
次に、図26図28に示されるように、n型不純物の垂直イオン注入により、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)にn型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aを形成する。この際、抵抗素子PSはフォトレジストパターンPR3で覆われずに露出されているため、抵抗素子PSにもn型不純物が注入される。これにより、抵抗素子PSは、抵抗素子として適した不純物濃度に調整される。n型半導体領域D2b,S2b,D3b,S3bは、同じイオン注入工程で形成することができるため、それらの不純物濃度(n型不純物濃度)は互いに同じになる。n型半導体領域D1a,S1aの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aの不純物濃度(n型不純物濃度)と相違していてもよい。また、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aを形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR3もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)には、n型不純物は注入されない。その後、フォトレジストパターンPR3はアッシングなどにより除去する。
【0092】
次に、上記図16および図17のように、ゲート電極G1,G2,G3の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する。ここでは図示しないが、サイドウォールスペーサSWは、抵抗素子PSの側壁上にも形成される。その後の工程は、上記図18図21を参照して説明した工程とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。但し、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bを形成するためのイオン注入は、抵抗素子形成領域5Aの抵抗素子PSを覆い、かつMISFET形成領域1A,2A,3Aを露出するようなフォトレジストパターンを形成した状態で行うことが好ましい。これにより、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3bを形成するためのイオン注入工程で、抵抗素子PSにn型不純物が注入されるのを防ぐことができる。
【0093】
第1の変形例の製造工程の場合は、ハロー領域を有さないMISFET2,3のn型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aを形成するためのイオン注入と、抵抗素子PSに不純物を導入するためのイオン注入とを、共通のイオン注入によって行っている。また、第1の変形例の製造工程の場合は、MISFET形成領域1Aにp型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入工程において、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SBへのイオン注入を阻止するためのフォトレジストパターンPR2と、抵抗素子PSへのイオン注入を阻止するためのフォトレジストパターンPR2とは、共通である。このため、第1の変形例の製造工程の場合は、もしもハロー領域を有さないMISFET2,3を形成しなかったとしても、必要なイオン注入工程の数は変わらず、また、フォトレジストパターンの形成回数も変わらない。すなわち、ハロー領域を有するMISFET1と抵抗素子PSとを有する半導体装置を製造する場合は、第1の変形例の製造工程を適用すれば、製造工程数の増加を招くことなく、ハロー領域を有さないMISFET2,3も一緒に形成することができる。このため、第1の変形例の製造工程の場合は、製造工程数を抑制しながら(従って半導体装置の製造コストを抑制しながら)、ハロー領域を有するMISFET1と、ハロー領域を有さないMISFET2,3と、抵抗素子PSとを有する半導体装置を、製造することができる。
【0094】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程の第2の変形例について、図29図36を参照して説明する。ここでは、MISFET1,2,3と高耐圧のMISFET4とを有する半導体装置を製造する場合について説明する。図29図36のうち、図29図31図33および図35は、図の左側に上記MISFET形成領域1Aの断面図(上記図1のA1-A1線の位置での断面)が示され、図の右側に高耐圧のMISFET4が形成される領域(活性領域)である高耐圧MISFET形成領域4Aの断面図が示されている。また、図29図36のうち、図30図32図34および図36は、上記図5にほぼ相当する断面図(上記図4のA2-A2線の位置での断面)が示されている。
【0095】
図29および図30は、上記図10および図11に相当する工程段階が示されており、ゲート電極G1,G2,G3,G4を形成した段階が示されている。高耐圧MISFET形成領域4Aでは、半導体基板SBにp型ウエルPW4が形成され、半導体基板SB上(p型ウエルPW4上)にゲート絶縁膜GF4を介してゲート電極G4が形成されている。高耐圧のMISFET4のゲート絶縁膜GF4の厚さは、MISFET1,2,3のゲート電極GF1,GF2,GF3のそれぞれの厚さよりも厚い。これにより、MISFET4の耐圧を、MISFET1,2,3のそれぞれの耐圧よりも高くすることができる。
【0096】
高耐圧のMISFET4のゲート電極G4は、ゲート電極G1,G2,G3と同工程で形成することができる。具体的には、MISFET形成領域1A,2A,3Aの半導体基板SB上にゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3用の絶縁膜を形成し、高耐圧MISFET形成領域4Aの半導体基板SB上にゲート絶縁膜GF4用の絶縁膜(ゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3用の絶縁膜よりも厚い絶縁膜)を形成した後、ゲート電極G1,G2,G3,G4形成用の導電膜(例えばポリシリコン膜)を形成する。その後、その導電膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極G1,G2,G3,G4を形成することができる。これにより、ゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3のそれぞれの厚さは、互いに同じになるが、ゲート絶縁膜GF4は、MISFET1,2,3のゲート電極GF1,GF2,GF3のそれぞれよりも厚くなる。また、ゲート電極G1,G2,G3,G4のそれぞれの厚さは、互いに同じになる。
【0097】
次に、図31および図32に示されるように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR4を形成する。フォトレジストパターンPR4は、MISFET形成領域2A,3A,4Aを覆い、かつMISFET形成領域1Aを露出するように、形成される。なお、高耐圧MISFET形成領域4Aは、半導体基板SBにおける高耐圧のMISFET4を形成すべき領域とみなすことができる。
【0098】
次に、図31および図32に示されるように、n型不純物の垂直イオン注入により、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)にn型半導体領域D1a,S1aを形成する。n型半導体領域D1a,S1aを形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR4もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域2A,3A,4Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2,PW4)には、n型不純物は注入されない。
【0099】
次に、図31および図32に示されるように、p型不純物の斜めイオン注入により、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)にp型ハロー領域HA1,HA2を形成する。p型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR4もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域2A,3A,4Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2,PW4)には、p型不純物は注入されない。
【0100】
なお、n型半導体領域D1a,S1aを形成するための垂直イオン注入と、p型ハロー領域HA1,HA2を形成するための斜めイオン注入は、どちらが先でもよい。
【0101】
次に、フォトレジストパターンPR4をアッシングなどにより除去した後、図33および図34に示されるように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR5を形成する。フォトレジストパターンPR5は、MISFET形成領域1Aを覆い、かつ、MISFET形成領域2A,3A,4Aを露出するように、形成される。
【0102】
次に、図33および図34に示されるように、n型不純物の垂直イオン注入により、MISFET形成領域2A,3A,4Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2,PW4)にn型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3a,D4a,S4aを形成する。高耐圧MISFET形成領域4Aの半導体基板SB(p型ウエルPW4)において、n型半導体領域D4a,S4aはゲート電極G4の両側に形成される。n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3a,D4a,S4aは、同じイオン注入工程で形成することができるため、それらの不純物濃度(n型不純物濃度)は互いに同じになる。n型半導体領域D1a,S1aの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3a,D4a,S4aの不純物濃度(n型不純物濃度)と相違していてもよい。また、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3a,D4a,S4aを形成するためのイオン注入では、フォトレジストパターンPR5もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域1Aの半導体基板SB(p型ウエルPW1)には、n型不純物は注入されない。その後、フォトレジストパターンPR5はアッシングなどにより除去する。
【0103】
次に、図35および図36に示されるように、ゲート電極G1,G2,G3,G4の側壁上にサイドウォールスペーサSWを形成する。
【0104】
次に、図35および図36に示されるように、n型不純物のイオン注入(好ましくは垂直イオン注入)により、n型半導体領域D1b,S1b,D2b,S2b,D3b,S3b,D4a,S4aを形成する。n型半導体領域D4b,S4bは、高耐圧MISFET形成領域4Aの半導体基板SB(p型ウエルPW4)において、ゲート電極G4とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとからなる構造体の両側に形成される。n型半導体領域D4b,S4bのn型不純物濃度は、n型半導体領域D4a,S4aのn型不純物濃度よりも高い。n型半導体領域D4bとn型半導体領域D4aとにより、高耐圧のMISFET4のソース・ドレイン領域の一方が形成され、n型半導体領域S4bとn型半導体領域S4aとにより、高耐圧のMISFET4のソース・ドレイン領域の他方が形成される。n型半導体領域D1b,S1bとn型半導体領域D2b,S2bとn型半導体領域D3b,S3bとn型半導体領域D4b,S4bとは、同じイオン注入工程で形成することができ、その場合は、それらの不純物濃度(n型不純物濃度)は互いに同じになる。
【0105】
次に、必要に応じて、これまでのイオン注入で導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。その後の工程は、上記図20および図21を参照して説明した工程とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0106】
第2の変形例の製造工程の場合は、ハロー領域を有さないMISFET2,3のn型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aを形成するためのイオン注入と、高耐圧のMISFET4のn型半導体領域D4a,S4aを形成するためのイオン注入とを、共通のイオン注入によって行っている。また、第2の変形例の製造工程の場合は、MISFET形成領域1Aにp型ハロー領域HA1,HA2を形成するためのイオン注入工程において、MISFET形成領域2A,3Aの半導体基板SBへのイオン注入を阻止するためのフォトレジストパターンPR4と、高耐圧MISFET形成領域4Aの半導体基板SBへのイオン注入を阻止するためのフォトレジストパターンPR4とは、共通である。このため、第2の変形例の製造工程の場合は、もしもハロー領域を有さないMISFET2,3を形成しなかったとしても、必要なイオン注入工程の数は変わらず、また、フォトレジストパターンの形成回数も変わらない。すなわち、ハロー領域を有するMISFET1と高耐圧のMISFET4とを有する半導体装置を製造する場合は、第2の変形例の製造工程を適用すれば、製造工程数の増加を招くことなく、ハロー領域を有さないMISFET2,3も一緒に形成することができる。このため、第2の変形例の製造工程の場合は、製造工程数を抑制しながら(従って半導体装置の製造コストを抑制しながら)、ハロー領域を有するMISFET1と、ハロー領域を有さないMISFET2,3と、高耐圧のMISFET4とを有する半導体装置を、製造することができる。
【0107】
<検討の経緯について>
本発明者は、オシレータ回路(発振回路)を内蔵する半導体装置について検討しており、特に、オシレータ回路を内蔵するマイコンについて検討している。
【0108】
オシレータ回路を内蔵する半導体装置(特にマイコン)の性能を高めるためには、オシレータ回路の発振周波数の精度を高めることが重要である。オシレータ回路の発振周波数の精度を高めるためには、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタの相対精度を高めることが有効である。
【0109】
ペアトランジスタとは、半導体装置を構成する半導体基板(上記半導体基板SBに対応)において隣り合って形成され、かつ、ゲート電極同士が互いに電気的にされた一対のMISFETに対応している。図4図6に示されるMISFET2とMISFET3とは、半導体基板SBにおいて互いに隣り合って形成され、かつ、MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とが、プラグPGおよびゲート配線M1Gを介して(図7の場合はゲート接続部GCを介して)互いに電気的に接続されているので、MISFET2とMISFET3とは、ペアトランジスタを構成している。
【0110】
図37は、オシレータ回路の一例を示す回路図であり、オシレータ回路の一部が示されている。図37のオシレータ回路において、ペアトランジスタを二点鎖線で囲んで示してある。ペアトランジスタPT1は、ゲート同士を接続した隣接する2つのMISFET(すなわち一対のMISFET)により構成されている。ペアトランジスタPT1が基本形であるが、図37のオシレータ回路において、ペアトランジスタPT2は、2つのペアトランジスタ(すなわち二対のMISFET)に対応し、同様に、ペアトランジスタPT3も、2つのペアトランジスタ(すなわち二対のMISFET)に対応している。
【0111】
オシレータ回路に含まれるペアトランジスタにおいては、ペアトランジスタを構成するMISFET同士で、電気的特性(電圧-電流特性、代表的には閾値電圧)ができるだけ一致していることが求められる。オシレータ回路に含まれるペアトランジスタを構成するMISFET同士で、もしも電気的特性(電圧-電流特性)がずれていると、オシレータ回路の発振周波数が変動する虞がある。オシレータ回路の発振周波数を設計値と一致させるには、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタを構成するMISFET同士で、電気的特性(電圧-電流特性)をできるだけ一致させることが有効である。すなわち、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタを構成するMISFET同士で、電気的特性(電圧-電流特性)のずれを小さくし、かつ、そのずれ量が変動しないようにすることが有効である。
【0112】
ここで、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性(電圧-電流特性、代表的には閾値電圧)のずれ量(ずれの程度)を、ペアトランジスタの相対精度と称することとする。このため、ペアトランジスタの相対精度が高いとは、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性のずれ量が小さいことを意味する。また、ペアトランジスタの相対精度が低いとは、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性のずれ量が大きいことを意味する。また、ペアトランジスタの相対精度がばらつく(変動する)とは、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性のずれ量がペアトランジスタ毎にばらつく(変動する)ことを意味する。また、ペアトランジスタの相対精度のばらつきが大きいとは、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性のずれ量が、ペアトランジスタ毎にばらつき(変動し)、そのばらつきの程度が大きいことを意味する。また、ペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制するとは、ペアトランジスタを構成するMISFET同士の電気的特性のずれ量がペアトランジスタ毎にばらつく(変動する)のを抑制することを意味する。
【0113】
オシレータ回路を内蔵する半導体装置(特にマイコン)では、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタの相対精度を高めることと、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することが重要であり、それにより、オシレータ回路の発振周波数の精度を高めて、オシレータ回路を内蔵する半導体装置(特にマイコン)の性能を向上させることができる。
【0114】
ところで、MISFETのソース・ドレイン領域は、LDD構造を有しており、低濃度領域と高濃度領域とからなるが、低濃度領域に隣接しかつ低濃度領域とは逆の導電型のハロー領域(上記p型ハロー領域HA1,HA2に対応)が形成されていれば、短チャネル効果を抑制することができる。このため、マイコンが有する各種回路を構成するMISFETには、ハロー領域を有するMISFETを適用することが一般的である。
【0115】
しかしながら、本発明者の検討によれば、ペアトランジスタを構成するMISFETに、ハロー領域を有するMISFETを適用した場合には、ペアトランジスタの相対精度のばらつきが大きくなることが分かった。その理由は、以下のようなものである。すなわち、ハロー領域を有するMISFETと、ハロー領域を有さないMISFETとを比べた場合、ハロー領域を有さないMISFETよりも、ハロー領域を有するMISFETの方が、ハロー領域を有している分、チャネル形成領域の不純物濃度が高くなる。また、イオン注入条件の意図しない変動などに起因して、MISFETのチャネル形成領域の不純物濃度は変動する虞があるが、MISFETのチャネル形成領域の不純物濃度の変動の程度は、MISFETのチャネル形成領域の不純物濃度が高くなるほど、大きくなる。このため、ハロー領域を有さないMISFETよりも、ハロー領域を有するMISFETの方が、イオン注入条件の意図しない変動などに起因して、MISFETのチャネル形成領域の不純物濃度が変動しやすくなり、その結果、MISFETの電気的特性(電圧-電流特性、代表的には閾値電圧)が変動しやすくなる。結果として、ペアトランジスタを構成するMISFETに、ハロー領域を有するMISFETを適用した場合には、ペアトランジスタの相対精度のばらつきが大きくなる。
【0116】
このため、オシレータ回路を内蔵する半導体装置(特にマイコン)において、オシレータ回路に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有するMISFETを適用した場合には、ペアトランジスタの相対精度のばらつきが大きくなり、オシレータ回路の発振周波数の精度が低下して、オシレータ回路を内蔵する半導体装置(特にマイコン)の性能が低下する虞があることが分かった。
【0117】
そこで、ハロー領域を有するMISFETを適用したペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制するために、ハロー領域を有するMISFETの平面寸法を大きくすることが考えられる。ペアトランジスタを構成するMISFETの平面寸法(チャネル面積)を大きくすれば、ペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。しかしながら、ペアトランジスタを構成するMISFETの平面寸法(チャネル面積)を大きくすることは、半導体装置の面積を増大させてしまうため、得策ではない。
【0118】
<半導体装置の回路構成について>
図38は、本実施の形態の半導体装置の回路ブロック図である。図38に示されるように、本実施の形態の半導体装置11は、オシレータ回路(発振回路)12を備える半導体装置であり、より特定的には、オシレータ回路12を備えるマイコンである。半導体装置11は、オシレータ回路12と、CPU(Central Processing Unit)13と、フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)14と、SRAM(Random Access Memory)15と、レジスタ16と、オシレータ回路以外の周辺回路17とを含んでいる。オシレータ回路12は、オンチップオシレータ回路であり、具体的には、クロック発生回路である。CPU13は、論理回路により構成されている。このため、CPU13は、論理回路部とみなすこともできる。また、フラッシュメモリ14とSRAM15とレジスタ16は、いずれも記憶部として機能するため、それぞれ記憶回路とみなすことができる。
【0119】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置は、上記図1図7に示されるように、半導体基板SBと、半導体基板SBに形成された複数のMISFET1,2,3とを含んでいる。上記図1図3には、MISFET1は1つだけ示しているが、実際には、半導体基板SBにMISFET1は複数形成されている。また、上記図4図7には、MISFET2とMISFET3とは、それぞれ1つだけ示しているが、実際には、半導体基板SBにMISFET2とMISFET3とは、それぞれ複数形成されている。但し、MISFET2とMISFET3とは、ゲート電極同士が電気的に接続されてペアトランジスタを構成している。
【0120】
MISFET1は、上述のように、ハロー領域(上記p型ハロー領域HA1,HA2に対応)を有するMISFET1であり、MISFET2,3は、上述のように、ハロー領域を有さないMISFETである。
【0121】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、半導体装置11が備えるオシレータ回路12に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有するMISFET1ではなく、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用いていることである。
【0122】
上記「検討の経緯について」の欄で説明したように、本実施の形態とは異なり、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有するMISFETを用いた場合には、ペアトランジスタの相対精度のばらつきが大きくなり、オシレータ回路の発振周波数の精度が低下して、オシレータ回路を備える半導体装置(特にマイコン)の性能が低下する虞がある。
【0123】
それに対して本実施の形態では、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有するMISFETではなく、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用いているため、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。その理由は、以下のようなものである。
【0124】
すなわち、ハロー領域を有するMISFETと、ハロー領域を有さないMISFETとを比べた場合、ハロー領域を有するMISFETよりも、ハロー領域を有さないMISFETの方が、ハロー領域を有していない分、チャネル形成領域の不純物濃度が低くなる。このため、ハロー領域を有するMISFETよりも、ハロー領域を有さないMISFETの方が、イオン注入条件の意図しない変動が生じたとしても、MISFETのチャネル形成領域の不純物濃度は変動しにくくなり、その結果、MISFETの電気的特性(電圧-電流特性、代表的には閾値電圧)は変動しにくくなる。結果として、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用いた場合には、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。これにより、半導体装置が備えるオシレータ回路の発振周波数の精度を向上させることができ、オシレータ回路を備える半導体装置の性能を向上させることができる。
【0125】
また、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタに、ハロー領域を有するMISFETではなく、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用いることで、ペアトランジスタを構成するMISFETの平面寸法(チャネル面積)を大きくしなくとも、ペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。このため、半導体装置の小型化(小面積化)に有利となる。
【0126】
半導体装置11が備える各種回路のうち、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタは、電気的特性(電圧-電流特性、代表的には閾値電圧)の変動をできるだけ抑制することが求められる。このため、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタには、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用いる。
【0127】
一方、MISFETがハロー領域を有していれば、短チャネル効果を抑制することができる。このため、電気的特性について多少の変動は許容できるような用途では、ハロー領域を有するMISFET1を用いることが好ましい。このため、半導体装置11が備える各種回路のうち、CPU13には、従って半導体装置11が備える論理回路には、ハロー領域を有さないMISFET2やMISFET3ではなく、ハロー領域を有するMISFET1を用いることが好ましい。また、半導体装置11が備える各種回路のうち、フラッシュメモリ14とSRAM15とレジスタ16には、従って半導体装置11が備える記憶回路には、ハロー領域を有さないMISFET2やMISFET3ではなく、ハロー領域を有するMISFET1を用いることが好ましい。なお、フラッシュメモリ14は、記憶部(電荷蓄積部)を有するトランジスタを含んでいる。また、半導体装置11が備えるオシレータ回路12において、ペアトランジスタ以外のMISFETには、ハロー領域を有さないMISFET2やMISFET3ではなく、ハロー領域を有するMISFET1を用いることが好ましい。半導体装置11が備えるオシレータ回路以外の周辺回路17には、ハロー領域を有さないMISFET2やMISFET3ではなく、ハロー領域を有するMISFET1を用いることが好ましい。
【0128】
このように、半導体装置11が備える各種回路において、MISFETの電気的特性の変動をできるだけ抑制することが求められる用途には、ハロー領域を有さないMISFET2,3を用い、それに比べてMISFETの電気的特性の多少の変動は許容できる用途には、ハロー領域を有するMISFET1を用いる。これにより、半導体装置11の性能を向上させることができる。
【0129】
また、半導体装置11は、MISFETを複数有しているが、半導体装置11が有する複数のMISFETのうちの最もゲート長が短いMISFETは、MISFET1のようにハロー領域を有していることが好ましい。これにより、短チャネル効果の影響が最も生じやすいMISFET(最もゲート長が短いMISFET)において、ハロー領域を設けたことで、短チャネル効果を抑制することができる。
【0130】
また、上述のように、MISFET1のゲート絶縁膜GF1とMISFET2のゲート絶縁膜GF2とMISFET3のゲート絶縁膜GF3とは、互いに同じ厚さを有している。一方、上述した高耐圧のMISFET4(図35参照)は、ゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3のそれぞれよりも厚いゲート絶縁膜GF4を有している。ゲート絶縁膜GF1,GF2,GF3の各厚さは、互いに同じである。この高耐圧のMISFET4は、ハロー領域を有していない。高耐圧のMISFET4は、高耐圧が要求される用途に用いることが好ましく、例えばフラッシュメモリ14や周辺回路17などに用いることができる。このため、フラッシュメモリ14や周辺回路17は、薄いゲート絶縁膜GF1を有しかつハロー領域を有するMISFET1と、厚いゲート絶縁膜GF4を有しかつハロー領域を有さない高耐圧のMISFET4と、を含み得る。CPU13とフラッシュメモリ14とSRAM15とレジスタ16と周辺回路17は(従って半導体装置11が備えるオシレータ回路12以外の回路は)、ハロー領域を有するMISFET1のゲート絶縁膜GF1と同じ厚さのゲート絶縁膜を有し、かつ、ハロー領域を有していないMISFET(MISFET2またはMISFET3に相当するもの)を、含んでいないことが好ましい。
【0131】
また、MISFET1,2,3のそれぞれのゲート絶縁膜は、高耐圧のMISFET4のゲート絶縁膜GF4よりも薄く、MISFET1,2,3のそれぞれの耐圧は、MISFET4の耐圧よりも低い。このため、MISFET1,2,3は、低耐圧のMISFETとみなすことができる。この観点で、本実施の形態の技術思想は、以下のように表現することもできる。
【0132】
すなわち、半導体装置11が備えるオシレータ回路12に含まれるペアトランジスタには、ハロー領域を有するMISFETは使用せずに、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETを用いる。一方、半導体装置11が備えるCPU13には、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETは使用せずに、ハロー領域を有する低耐圧のMISFETを用いることが好ましい。また、半導体装置11が備えるフラッシュメモリ14とSRAM15とレジスタ16には、従って半導体装置11が備える記憶回路には、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETは使用せずに、ハロー領域を有する低耐圧のMISFETを用いることが好ましい。なお、フラッシュメモリ14は、記憶部(電荷蓄積部)を有するトランジスタを含んでいる。また、半導体装置11が備えるオシレータ回路以外の周辺回路17には、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETは使用せずに、ハロー領域を有する低耐圧のMISFETを用いることが好ましい。半導体装置11が備えるオシレータ回路以外の周辺回路17や記憶回路には、ハロー領域を有する低耐圧のMISFETに加えて、更に高耐圧のMISFETも用いることができ、その高耐圧のMISFETは、ハロー領域を有していなくともよい。従って、最も好ましいのは、半導体装置11において、オシレータ回路12に含まれるペアトランジスタには、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETを用い、それ以外のトランジスタについては、ハロー領域を有していない低耐圧のMISFETを用いないことである。なお、低耐圧のMISFET同士は、ゲート絶縁膜の厚さが互いに同じであり、高耐圧のMISFETのゲート絶縁膜は、低耐圧のMISFETのゲート絶縁膜よりも厚い。
【0133】
<電流方向について>
図39および図40は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、上記図5に相当する断面が示されている。なお、図面を見やすくするために、図39および図40では、層間絶縁膜IL、プラグPGおよび配線M1の図示は省略してある。
【0134】
図39の場合は、MISFET2のn型半導体領域S2は、ソース領域であり、ソース電位が供給され、MISFET2のn型半導体領域D2は、ドレイン領域であり、ドレイン電位が供給されようになっている。また、図39の場合は、MISFET3のn型半導体領域S3は、ソース領域であり、ソース電位が供給され、MISFET3のn型半導体領域D3は、ドレイン領域であり、ドレイン電位が供給されようになっている。このため、図39の場合は、MISFET2に流れる電流の方向YG1(ソース領域からドレイン領域に電流が流れる方向)と、MISFET3に流れる電流の方向YG2(ソース領域からドレイン領域に電流が流れる方向)とは、互いに同じである。
【0135】
一方、図40の場合は、MISFET2のn型半導体領域S2は、ソース領域であり、ソース電位が供給され、MISFET2のn型半導体領域D2は、ドレイン領域であり、ドレイン電位が供給されようになっている。また、図40の場合は、MISFET3のn型半導体領域S3は、ドレイン領域であり、ドレイン電位が供給され、MISFET3のn型半導体領域D3は、ソース領域であり、ソース電位が供給されようになっている。このため、図40の場合は、MISFET2に流れる電流の方向YG1(ソース領域からドレイン領域に電流が流れる方向)と、MISFET3に流れる電流の方向YG2(ソース領域からドレイン領域に電流が流れる方向)とは、互いに反対(逆方向)になっている。
【0136】
MISFET2に流れる電流の方向YG1と、MISFET3に流れる電流の方向YG2とが互いに反対である場合(図40の場合)よりも、MISFET2に流れる電流の方向YG1と、MISFET3に流れる電流の方向YG2とが互いに同じである場合(図39の場合)の方が、より好ましい。その理由は、以下のようなものである。
【0137】
すなわち、n型半導体領域D2a,S2a,D3a,S3aおよびn型半導体領域D2b,S2b,D3b,S3bは垂直イオン注入で形成するが、注入条件は意図せずして変動する場合がある。イオン注入工程の管理を行いやすくするためには、イオン注入条件の若干の変動(例えば注入角度の若干の変動)は許容できるようにすることが望ましい。MISFET2に流れる電流の方向YG1と、MISFET3に流れる電流の方向YG2とが互いに反対である場合(図40の場合)よりも、MISFET2に流れる電流の方向YG1と、MISFET3に流れる電流の方向YG2とが互いに同じである場合(図39の場合)の方が、イオン注入条件の変動(例えば注入角度の変動)がペアトランジスタの相対精度を低下させるリスクは低くなる。
【0138】
なぜなら、MISFET2の電流の方向YG1とMISFET3の電流の方向YG2が同じ場合には、イオン注入条件の変動(例えば注入角度の変動)が生じても、MISFET2のソース領域とMISFET3のソース領域とで、不純物の注入状態がほぼ同じになり、かつ、MISFET2のドレイン領域とMISFET3のドレイン領域とで、不純物の注入状態がほぼ同じになるからである。このため、MISFET2の電流の方向YG1とMISFET3の電流の方向YG2とが互いに反対の場合(図40の場合)よりも、MISFET2の電流の方向YG1とMISFET3の電流の方向YG2とが互いに同じ場合(図39の場合)の方が、MISFET2とMISFET3とからなるペアトランジスタの相対精度をより向上させることができる。
【0139】
また、半導体基板SBにおいて、MISFET2が形成された活性領域(MISFET形成領域2A)とMISFET3が形成された活性領域(MISFET形成領域3A)との間には、素子分離領域STが介在していることが、より好ましい。すなわち、半導体基板SBにおいて、MISFET2が形成された活性領域(MISFET形成領域2A)とMISFET3が形成された活性領域(MISFET形成領域3A)とは、素子分離領域STによって分離されていることが、より好ましい。これにより、半導体基板SBにおいて、MISFET形成領域2Aに生じる応力とMISFET形成領域3Aに生じる応力とを揃えやすくなる。このため、MISFET2とMISFET3とからなるペアトランジスタの相対精度をより向上させることができる。
【0140】
<テスト工程および組み立て工程について>
図41は、半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。図41に示されるように、半導体装置の製造工程は、ウエハプロセスと、ウエハテスト工程と、組み立て工程とを、順に有している。上述の「半導体装置の製造工程について」の欄で説明したのは、ウエハプロセスに対応している。ウエハプロセスは、半導体ウエハ(半導体基板SBに対応)に上記MISFET1,2,3を含む複数の半導体素子を形成する工程と、半導体ウエハ上に上記層間絶縁膜IL、プラグPGおよび配線M1を含む配線構造を形成する工程とを含んでいる。
【0141】
ウエハテスト工程では、半導体ウエハ上に形成された配線構造が有するパッドに試験用プローブを押し当てるなどして、半導体ウエハに形成された半導体素子の電気的試験が行われる。このウエハテスト工程では、半導体ウエハを比較的高い温度(例えば250℃以上)に加熱した後で、電気的試験を行う場合がある。この際の加熱工程は、例えばリテンションベーク工程であり、比較的長い時間(例えば1~10時間程度)行われる。また、組み立て工程では、半導体ウエハをダイシングにより切断して半導体チップを取得した後、その半導体チップを用いて半導体パッケージを製造する工程に対応している。この組み立て工程において、半導体チップが比較的高い温度(例えば250℃以上)に加熱される場合がある。この際の加熱工程は、例えば半田リフロー工程(より特定的には赤外線方式の半田リフロー工程)である。
【0142】
本発明者の検討によれば、ペアトランジスタを構成するMISFETがハロー領域を有する場合には、ウエハテスト工程で半導体ウエハが250℃以上の温度に加熱されたり、あるいは、組み立て工程で半導体チップが250℃以上に加熱されると、ハロー領域に含まれる不純物が拡散してしまい、ペアトランジスタの相対精度が低下するリスクが高まることが分かった。
【0143】
それに対して、本実施の形態では、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3はハロー領域を有していない。このため、ウエハテスト工程(の上記加熱工程)で半導体ウエハが250℃以上の温度に加熱された場合や、あるいは、組み立て工程(の上記加熱工程)で半導体チップが250℃以上に加熱された場合でも、MISFET2,3からなるペアトランジスタの相対精度が低下するのを抑制または防止することができる。その結果、製造された半導体パッケージの性能を向上させることができる。
【0144】
<ペアトランジスタについて>
上述したように、ペアトランジスタは、半導体基板SBにおいて互いに隣り合って形成され、かつ、ゲート電極同士が互いに電気的にされた一対のMISFETにより構成される。図42図45は、ペアトランジスタの回路例を示す回路図である。
【0145】
図42は、ペアトランジスタの基本形の回路図が示されている。ペアトランジスタを構成するMISFET2,3において、MISFET2のゲート電極G2と、MISFET3のゲート電極G3とは、互いに電気的に接続されて、共通のゲート電位GEに接続されている。MISFET2のソース(n型半導体領域S2)はソース電位SE1に接続され、MISFET3のソース(n型半導体領域S3)はソース電位SE2に接続され、MISFET2のドレイン(n型半導体領域D2)はドレイン電位DE1に接続され、MISFET3のドレイン(n型半導体領域D3)はドレイン電位DE2に接続されている。ゲート電極G2,G3同士の接続は、上記図4および図6のようにプラグPGおよびゲート配線M1Gを通じて行われるか、あるいは、上記図7のようにゲート接続部GCを通じて行われる。
【0146】
図43は、ペアトランジスタの変形例の回路図が示されている。図43に示されるように、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3の一方または両方を、並列接続された複数のMISFETで構成することもできる。図43には、一例として、ペアトランジスタを構成するMISFET2を、並列接続された2つのMISFET2a,2bで構成し、ペアトランジスタを構成するMISFET3を、並列接続された3つのMISFET3a,3b,3cで構成した場合が示されているが、並列接続の数は任意である。MISFET2a,2b,3a,3b,3cは、いずれもハロー領域を有していない。従って、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3のそれぞれを単独のMISFETで構成した場合と、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3の一方を単独のMISFETで構成し、かつ他方を並列接続された複数のMISFETで構成した場合と、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3のそれぞれを、並列接続された複数のMISFETで構成した場合とがあり得る。
【0147】
ここで、並列接続された複数のMISFETにおいては、ゲート電極同士は互いに電気的に接続され、かつソース領域同士は互いに電気的に接続され、かつドレイン領域同士は互いに電気的に接続されている。ゲート電極同士の接続は、上記図4および図6のようにプラグPGおよびゲート配線M1Gを通じて行われるか、あるいは、上記図7のようにゲート接続部GCを通じて行われる。ソース領域同士の接続は、プラグPGおよび配線M1を通じて行うことができる。ドレイン領域同士の接続は、プラグPGおよび配線M1を通じて行うことができる。
【0148】
図44は、ペアトランジスタの他の変形例の回路図が示されている。図44に示されるように、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3のドレイン同士を電気的に接続する場合もあり得る。すなわち、図44の場合は、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3において、MISFET2のゲート電極G2と、MISFET3のゲート電極G3とは、互いに電気的に接続されて、共通のゲート電位GEに接続されている。また、MISFET2のドレイン(n型半導体領域D2)とMISFET3のドレイン(n型半導体領域D3)とは、互いに電気的に接続されて、共通のドレイン電位DEに接続されている。MISFET2のソース(n型半導体領域S2)はソース電位SE1に接続され、MISFET3のソース(n型半導体領域S3)はソース電位SE2に接続されている。ゲート電極G2,G3同士の接続は、上記図4および図6のようにプラグPGおよびゲート配線M1Gを通じて行われるか、あるいは、上記図7のようにゲート接続部GCを通じて行われる。ソース領域同士の接続は、プラグPGおよび配線M1を通じて行うことができる。
【0149】
図45は、ペアトランジスタの更に他の変形例の回路図が示されている。図45に示されるように、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3のソース同士を電気的に接続する場合もあり得る。すなわち、図45の場合は、ペアトランジスタを構成するMISFET2,3において、MISFET2のゲート電極G2と、MISFET3のゲート電極G3とは、互いに電気的に接続されて、共通のゲート電位GEに接続されている。また、MISFET2のソース(n型半導体領域S2)とMISFET3のソース(n型半導体領域S3)とは、互いに電気的に接続されて、共通のソース電位SEに接続されている。MISFET2のドレイン(n型半導体領域D2)はドレイン電位DE1に接続され、MISFET3のドレイン(n型半導体領域D3)はドレイン電位DE2に接続されている。ゲート電極G2,G3同士の接続は、上記図4および図6のようにプラグPGおよびゲート配線M1Gを通じて行われるか、あるいは、上記図7のようにゲート接続部GCを通じて行われる。ドレイン領域同士の接続は、プラグPGおよび配線M1を通じて行うことができる。
【0150】
次に、ペアトランジスタのレイアウト例について説明する。上記図4または図7が、ペアトランジスタのレイアウトの基本形である。上記図4の場合は、MISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとは、素子分離領域STで分離されている。そして、MISFET形成領域2Aに単独のMISFETで構成されるMISFET2(MISFET2が備えるゲート電極は1本)が形成され、MISFET形成領域3Aに単独のMISFETで構成されるMISFET3(MISFET3が備えるゲート電極は1本)が形成されている。MISFET2のゲート電極G2とMISFET3のゲート電極G3とが電気的に接続されて、ペアトランジスタが構成される。
【0151】
図46図48は、ペアトランジスタの他のレイアウト例を示す平面図である。
【0152】
図46のレイアウトは、上記図43の回路構成の場合のレイアウトの基本形に対応している。半導体基板SBの活性領域2A1,2A2,3A1,3A2,3A3のそれぞれは、平面視において素子分離領域STで囲まれており、活性領域2A1にMISFET2aが形成され、活性領域2A2にMISFET2bが形成され、活性領域3A1にMISFET3aが形成され、活性領域3A2にMISFET3bが形成され、活性領域3A3にMISFET3cが形成されている。各MISFET2a,2bは、上記図4図6に示されるMISFET2とほぼ同様の構造を有しており、ハロー領域は有していない。また、各MISFET3a,3b,3cは、上記図4図6に示されるMISFET3とほぼ同様の構造を有しており、ハロー領域は有していない。MISFET2a,2bのゲート電極G2同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続され、MISFET2a,2bのソース領域(S2)同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続され、MISFET2a,2bのドレイン領域(D2)同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。また、MISFET3a,3b,3cのゲート電極G3同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続され、MISFET3a,3b,3cのソース領域(S3)同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続され、MISFET3a,3b,3cのドレイン領域(D3)同士が上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。並列接続された複数のMISFET2a,2bからなるMISFET2と、並列接続された複数のMISFET3a,3b,3cからなるMISFET3とにより、ペアトランジスタが構成される。
【0153】
図47のレイアウトは、上記図43の回路構成の場合のレイアウトの変形例に対応している。半導体基板SBのMISFET形成領域2A,3Aのそれぞれは、平面視において素子分離領域STで囲まれており、MISFET形成領域2AにMISFET2a,2bが形成され、MISFET形成領域3AにMISFET3a,3b,3cが形成されている。各MISFET2a,2bは、上記図4図6に示されるMISFET2と類似した構造を有しているが、MISFET2aとMISFET2bとは、n型半導体領域D2を共有している点が、上記図4図6に示されるMISFET2と相違している。また、各MISFET3a,3b,3cは、上記図4図6に示されるMISFET3と類似した構造を有しているが、MISFET3aとMISFET3bとは、n型半導体領域D3を共有し、かつ、MISFET3bとMISFET3cとは、n型半導体領域S3を共有している点が、上記図4図6に示されるMISFET3と相違している。
【0154】
このため、MISFET2aのゲート電極G2とMISFET2bのゲート電極G2とは、それぞれMISFET形成領域2Aを横切るようにY方向に延在するとともに、X方向に並んでいる。そして、MISFET形成領域2Aにおいて、n型半導体領域S2とn型半導体領域D2とが、ゲート電極G2を挟んでX方向に交互に並んでいる。MISFET2a,2bのゲート電極G2同士は、上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。MISFET2a,2bのソース領域(ここではn型半導体領域S2)は、上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。また、MISFET2a,2bのドレイン領域(ここではn型半導体領域D2)は、共有されていることで、電気的に接続されている。MISFET形成領域2Aにおいて、ハロー領域は形成されていない。
【0155】
また、MISFET3aのゲート電極G3とMISFET3bのゲート電極G3とMISFET3cのゲート電極G3とは、それぞれMISFET形成領域3Aを横切るようにY方向に延在するとともに、X方向に並んでいる。そして、MISFET形成領域3Aにおいて、n型半導体領域S3とn型半導体領域D3とが、ゲート電極G3を挟んでX方向に交互に並んでいる。MISFET3a,3b,3cのゲート電極G3同士は、上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。MISFET3a,3b,3cのソース領域(ここではn型半導体領域S2)同士は、上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。また、MISFET3a,3b,3cのドレイン領域(ここではn型半導体領域D2)は、上記プラグPGおよび配線M1を介して互いに電気的に接続されている。MISFET形成領域3Aにおいて、ハロー領域は形成されていない。
【0156】
図47の場合は、MISFET形成領域2Aに形成され、かつ並列接続された複数のMISFET2a,2b(ハロー領域を有していないMISFET)からなるMISFET2と、MISFET形成領域3Aに形成され、かつ並列接続された複数のMISFET3a,3b,3c(ハロー領域を有していないMISFET)からなるMISFET3とにより、ペアトランジスタが構成される。
【0157】
なお、図47の場合は、MISFET2を構成するMISFET(並列接続されたMISFET)の数と同じ本数のゲート電極G2が、MISFET形成領域2Aに形成され、また、MISFET3を構成するMISFET(並列接続されたMISFET)の数と同じ本数のゲート電極G3が、MISFET形成領域3Aに形成される。
【0158】
図48のレイアウトは、上記図43の回路構成の場合のレイアウトの更なる変形例に対応している。図48の場合は、半導体基板SBのMISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとの間に素子分離領域STは介在しておらず、MISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとはつながっている。この場合のMISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとを含む活性領域全体を、ここではMISFET形成領域10Aと称することとする。MISFET形成領域10Aは、平面視において素子分離領域STで囲まれている。そして、MISFET形成領域10AのうちのMISFET形成領域2AにMISFET2a,2bが形成され、MISFET形成領域10AのうちのMISFET形成領域3AにMISFET3a,3b,3cが形成されている。MISFET形成領域2AとMISFET形成領域3Aとの間に素子分離領域STは介在していない点以外は、図48の構造は、図47の構造と基本的には同じであるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0159】
図49は、上記図47のレイアウトを適用した場合の半導体装置の概略断面図である。図49には、ペアトランジスタを構成するMISFET3が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合における、MISFET形成領域3Aの断面図(Y方向に略垂直な断面図)が示されている。以下では、図49を参照してMISFET形成領域3Aのゲート電極G3について説明する。MISFET形成領域2Aのゲート電極G2についても、同様の技術思想は成り立ち、図49および以下の説明において、「MISFET形成領域3A」を「MISFET形成領域2A」と読み替え、「ゲート電極G3」を「ゲート電極G2」と読み替え、「n型半導体領域S3」を「n型半導体領域S2」と読み替え、「n型半導体領域D3」を「n型半導体領域D2」と読み替えればよい。
【0160】
図49の場合は、ペアトランジスタを構成するMISFET3が並列接続された複数のMISFETにより構成されているため、複数のゲート電極G3が、それぞれMISFET形成領域3Aを横切るようにY方向に延在するとともに、X方向に並んでいる。そして、MISFET形成領域3Aにおいて、n型半導体領域S3とn型半導体領域D3とが、ゲート電極G3を挟んでX方向に交互に並んでいる。なお、図49の場合は、ゲート電極G3の本数は8本であるが、これに限定されない。
【0161】
図49の場合、X方向に隣り合うゲート電極G3の間隔P1は、一定である。すなわち、それぞれY方向に延在する複数のゲート電極G3は、一定の間隔P1でX方向に並んでいる。ここで、X方向に並ぶ複数のゲート電極G3のうちのX方向の両端に位置するゲート電極G3の一方をゲート電極G3aと称し、他方をゲート電極G3bと称することとする。ゲート電極G3aと素子分離領域STとの間の間隔(X方向の間隔)P2は、間隔P1よりも大きいことが好ましい(すなわちP2>P1)。また、ゲート電極G3bと素子分離領域STとの間の間隔(X方向の間隔)P3は、間隔P1よりも大きいことが好ましい(すなわちP3>P1)。その理由は、以下のようなものである。
【0162】
すなわち、活性領域(MISFET形成領域3A)において、素子分離領域STに近接する領域は、それ以外の領域に比べて、不純物の分布状態が変動しやすい。このため、MISFET形成領域3Aに、並列接続された複数のMISFETからなるMISFET3を形成する場合、それら複数のMISFETのうち、ゲート電極G3aを有するMISFETとゲート電極G3bを有するMISFETとは、それ以外のMISFETと比べて、電気的特性が変動することが懸念される。
【0163】
そこで、図49のように、MISFET形成領域3Aに形成された複数のゲート電極G3のうちのX方向における両端に位置するゲート電極G3a,G3bと素子分離領域STとの間の間隔P2,P3を、隣り合うゲート電極G3同士の間隔P1よりも大きくする(P2>P1かつP3>P1)。これにより、ゲート電極G3a,G3bが素子分離領域STから遠くなるため、活性領域(MISFET形成領域3A)における素子分離領域STに近接する領域で不純物の分布状態が変動したとしても、それが、ゲート電極G3aを有するMISFETやゲート電極G3bを有するMISFETの電気的特性に影響を及ぼすことを抑制することができる。これにより、ペアトランジスタを構成するMISFET3が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合に、そのMISFET3の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。同様の技術思想は、MISFET形成領域2Aのゲート電極G2についても成り立ち、ペアトランジスタを構成するMISFET2が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合に、そのMISFET2の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。これにより、MISFET2,3からなるペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。
【0164】
図50は、上記図47のレイアウトを適用した場合の半導体装置の概略断面図である。図50には、ペアトランジスタを構成するMISFET3が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合における、MISFET形成領域3Aの断面図(Y方向に略垂直な断面図)が示されており、上記図49に相当する断面が示されている。以下では、図50を参照してMISFET形成領域3Aのゲート電極G3について説明する。MISFET形成領域2Aのゲート電極G2についても、同様の技術思想は成り立ち、図50および以下の説明において、「MISFET形成領域3A」を「MISFET形成領域2A」と読み替え、「ゲート電極G3」を「ゲート電極G2」と読み替え、「n型半導体領域S3」を「n型半導体領域S2」と読み替え、「n型半導体領域D3」を「n型半導体領域D2」と読み替えればよい。
【0165】
図50の場合は、ペアトランジスタを構成するMISFET3が並列接続された複数のMISFETにより構成されているため、複数のゲート電極G3が、それぞれMISFET形成領域3Aを横切るようにY方向に延在するとともに、X方向に並んでいる。そして、MISFET形成領域3Aにおいて、n型半導体領域S3とn型半導体領域D3とが、ゲート電極G3を挟んでX方向に交互に並んでいる。なお、図50の場合は、ゲート電極G3の本数は6本であるが、これに限定されない。
【0166】
図50の場合、X方向に隣り合うゲート電極G3の間隔P1は、一定である。すなわち、それぞれY方向に延在する複数のゲート電極G3は、一定の間隔P1でX方向に並んでいる。X方向に並ぶ複数のゲート電極G3の両側(X方向における両側)に、ダミーゲート電極DG1,DG2が配置されている。すなわち、X方向に並ぶ複数のゲート電極G3の両側(X方向における両側)の一方にダミーゲート電極DG1が配置され、他方にダミーゲート電極DG2が配置されている。ダミーゲート電極DG1,DG2は、それぞれY方向に延在している。言い換えると、X方向に並ぶ複数のゲート電極G3のうちのゲート電極G3aと素子分離領域STとの間に、Y方向に延在するダミー電極DG1が配置され、X方向に並ぶ複数のゲート電極G3のうちのゲート電極G3bと素子分離領域STとの間に、Y方向に延在するダミー電極DG2が配置されている。上述のように、ゲート電極G3a,G3bは、X方向に並ぶ複数のゲート電極G3のうちのX方向の両端に位置するゲート電極G3である。ゲート電極G3aとその隣のダミー電極DG1との間の間隔P4と、ゲート電極G3bとその隣のダミー電極DG2との間の間隔P5は、X方向に隣り合うゲート電極G3の間隔P1と同じとすることができる(すなわちP1=P4=P5)。
【0167】
ダミーゲート電極DG1,DG2は、疑似的な(ダミーの)ゲート電極であり、トランジスタのゲート電極としては機能しない。ダミーゲート電極DG1,DG2は、導電体を通じてゲート電極G3に繋がってはおらず、ゲート電極G3に印加されるゲート電圧は、ダミーゲート電極DG1,DG2には印加されない。ダミーゲート電極DG1,DG2は、ゲート電極G3と同工程で形成されているため、ゲート電極G3と同じ材料(例えばポリシリコン)により構成され、ゲート電極G3と同じ厚さを有している。ダミーゲート電極DG1,DG2も、ゲート電極G3と同様に、MISFET形成領域3Aを横切るようにY方向に延在している。半導体基板SB(p型ウエルPW2)において、ダミーゲート電極DG1,DG2のそれぞれと素子分離領域STとの間には、n型半導体領域S3cが形成される。このn型半導体領域S3cは、半導体基板SBにn型半導体領域D3,S3を形成する際に、一緒に形成される。このn型半導体領域S3cは、トランジスタのソース・ドレイン領域としては機能しない。
【0168】
このため、それぞれY方向に延在するダミーゲート電極DG1,DG2および複数のゲート電極G3がX方向に並んでいるが、そのX方向の配列の両端にダミーゲート電極DG1,DG2が配置され、Y方向に延在するダミーゲート電極DG1とY方向に延在するダミーゲート電極DG2との間に、それぞれY方向に延在する複数のゲート電極G3が配置されている。従って、ダミーゲート電極DG1,DG2および複数のゲート電極G3のうち、X方向において素子分離領域STに隣接しているのは(すなわちX方向において素子分離領域STに最も近いのは)、ゲート電極G3ではなくダミーゲート電極DG1,DG2である。ダミー電極DG1,DG2を設けることが好ましい理由は、以下のようなものである。
【0169】
すなわち、上述したように、活性領域(MISFET形成領域3A)において、素子分離領域STに近接する領域は、それ以外の領域に比べて、不純物の分布状態が変動しやすい。このため、MISFET形成領域3Aに、並列接続された複数のMISFETからなるMISFET3を形成する場合、それら複数のMISFETのうち、ゲート電極G3aを有するMISFETとゲート電極G3bを有するMISFETとは、それ以外のMISFETと比べて、電気的特性が変動することが懸念される。
【0170】
そこで、図50のように、MISFET形成領域3Aに形成された複数のゲート電極G3の両側にダミー電極DG1,DG2を設ける。これにより、X方向において、ゲート電極G3と素子分離領域STとの間には、ダミー電極DG1,DG2が存在するため、活性領域(MISFET形成領域3A)における素子分離領域STに近接する領域で不純物の分布状態が変動したとしても、それが、ゲート電極G3を有するMISFETに影響を及ぼすことを抑制または防止することができる。
【0171】
これにより、ペアトランジスタを構成するMISFET3が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合に、そのMISFET3の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。同様の技術思想は、MISFET形成領域2Aのゲート電極G2についても成り立ち、ペアトランジスタを構成するMISFET2が、並列接続された複数のMISFETにより構成される場合に、そのMISFET2の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。これにより、MISFET2,3からなるペアトランジスタの相対精度のばらつきを更に抑制することができる。
【0172】
図51および図52は、上記図47のMISFET形成領域2Aのレイアウトを示す半導体装置の要部平面図(図51)および要部断面図(図52)である。図51には、MISFET形成領域2Aの平面図が示されており、図51のB1-B1線の位置での断面図が図52に対応している。
【0173】
図51のレイアウトは、上記図47のMISFET形成領域2Aのレイアウトに相当するものである。このため、図51および図52において、半導体基板SBのMISFET形成領域2Aは、平面視において素子分離領域STで囲まれており、MISFET形成領域2AにMISFET2a,2bが形成されている。MISFET2aのゲート電極G2とMISFET2bのゲート電極G2とは、それぞれMISFET形成領域2Aを横切るようにY方向に延在するとともに、X方向に並んでいる。なお、図51の場合は、MISFET2aのゲート電極G2とMISFET2bのゲート電極G2とは、X方向に延在するゲート接続部GCと一体的に接続されており、そのゲート接続部GCを通じて互いに電気的に接続されている。サイドウォールスペーサSWは、ゲート電極G2の側壁上とゲート接続部GCの側壁上とに形成されている。そして、MISFET形成領域2Aにおいて、n型半導体領域S2とn型半導体領域D2とが、ゲート電極G2を挟んでX方向に交互に並んでいる。MISFET2aとMISFET2bとは、n型半導体領域D2を共有している。MISFET形成領域2Aにおいて、半導体基板SBにハロー領域は形成されていない。
【0174】
図53および図54は、上記図51および図52の構造に対する変形例を示す半導体装置の要部平面図(図53)および要部断面図(図54)である。図53には、MISFET形成領域2Aの平面図が示されており、図53のB2-B2線の位置での断面図が図54に対応している。
【0175】
図53および図54の構造は、以下の点が図51および図52の構造と相違している。
【0176】
すなわち、ゲート電極G2は、MISFET形成領域2Aを横切るようにY方向に延在しているが、図53および図54の場合は、MISFET形成領域2A(活性領域)の外周に沿うように(すなわち素子分離領域STと活性領域との境界に沿って)半導体基板SB上に延在する導体部CPが、ゲート電極G2に一体的に接続されている。導体部CPは、ゲート電極G2と同工程で形成されているため、ゲート電極G2と同じ材料(例えばポリシリコン)により構成され、ゲート電極G2と同じ厚さを有しており、ゲート電極G2と一体的に形成されている。導体部CPは、ゲート電極G2と一体的に形成されているため、ゲート電極G2に印加されるゲート電圧は、導体部CPにも印加され得るが、導体部CPは、トランジスタのゲート電極としては機能しない。導体部CPは、素子分離領域STと活性領域(MISFET形成領域2A)との両方に重なりながら、MISFET形成領域2Aの外周に沿って延在している。サイドウォールスペーサSWは、ゲート電極G2の側壁上とゲート接続部GCの側壁上と導体部CPの側壁上とに形成されている。導体部CPと半導体基板SB(p型ウエルPW2)との間には、ゲート絶縁膜GF2と同層の絶縁膜GF2aが介在している。n型半導体領域D2a,S2aを形成するイオン注入工程やn型半導体領域D2b,S2bを形成するイオン注入工程で、半導体基板SB(p型ウエルPW2)におけるゲート電極G2の下方の領域と導体部CPの下方の領域には、n型不純物は注入されない。このため、n型半導体領域D2a,S2aおよびn型半導体領域D2b,S2bは、半導体基板SB(p型ウエルPW2)における導体部CPの下方の領域には形成されない。
【0177】
図53および図54の場合は、導体部CPがMISFET形成領域2Aの外周に沿って延在し、その導体部CPの下方の領域には、n型半導体領域D2,S2は形成されない。このため、活性領域(MISFET形成領域2A)において、素子分離領域STに近接する領域には、n型半導体領域D2,S2は形成されないことになる。図53および図54に示されるように導体部CPを設けた場合には、以下のような利点を得られる。
【0178】
すなわち、活性領域(MISFET形成領域2A)において、素子分離領域STに近接する領域は、それ以外の領域に比べて、不純物の分布状態が変動しやすい。しかしながら、図53および図54に示されるように導体部CPを設けた場合には、活性領域(MISFET形成領域2A)において、素子分離領域STに近接する領域には、n型半導体領域D2,S2は形成されない。これにより、活性領域(MISFET形成領域2A)における素子分離領域STに近接する領域で不純物の分布状態が変動して、ゲート電極G2を有するMISFETに影響を及ぼすことを抑制または防止することができる。これにより、ペアトランジスタを構成するMISFET2の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。同様の技術思想は、MISFET形成領域3Aのゲート電極G3についても成り立ち、そのMISFET3の電気的特性が変動するのを、より的確に抑制または防止することができる。これにより、MISFET2,3からなるペアトランジスタの相対精度のばらつきを抑制することができる。
【0179】
一方、図51および図52のように導体部CPを形成していない場合は、図53および図54の場合に比べて、導体部CPを設けていない分、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0180】
また、MISFET形成領域1Aに形成されるMISFET1については、図51および図52のように導体部CPを設けない構造を適用することが好ましい。なぜなら、MISFET2,3に比べて、MISFET1は、電気的特性について多少の変動を許容でき、それゆえハロー領域を有する構造を適用しているからである。これにより、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0181】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0182】
1,2,2a,2b,3,3a,3b,3c,4 MISFET
1A,2A,3A,4A MISFET形成領域
5A 抵抗素子形成領域
11 半導体装置
12 オシレータ回路
13 CPU
14 フラッシュメモリ
15 SRAM
16 レジスタ
17 周辺回路
CP 導体部
D1,D1a,D1b,D2,D2a,D2b,D3,D3a,D3b,D4,D4a,D4b, n型半導体領域
DE,DE1,DE2 ドレイン電位
G1,G2,G3,G4 ゲート電極
GE ゲート電位
GC ゲート接続部
GF1,GF2,GF3,GF4 ゲート絶縁膜
HA1,HA2 p型ハロー領域
IL 層間絶縁膜
M1 配線
M1G ゲート配線
PG プラグ
PR1,PR2,PR3,PR4,PR5 フォトレジストパターン
PT1,PT2,PT3 ペアトランジスタ
PS 抵抗素子
PW1,PW2,PW4 p型ウエル
S1,S1a,S1b,S2,S2a,S2b,S3,S3a,S3b,S4,S4a,S4b, n型半導体領域
SE,SE1,SE2 ソース電位
ST 素子分離領域
SW サイドウォールスペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54