(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062815
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、およびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/87 20140101AFI20240501BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240501BHJP
A63F 13/54 20140101ALI20240501BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240501BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240501BHJP
【FI】
A63F13/87
A63F13/55
A63F13/54
A63F13/79 500
A63F13/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170912
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦史
(57)【要約】
【課題】コンピュータを利用したゲームにおける音声チャットの促進を図る。
【解決手段】コンピュータを、複数のユーザによるそれぞれの操作を受けて、複数のキャラクタを仮想空間で動作させるキャラクタ制御部562と、ユーザ間における音声チャットを制御するチャット制御部233として機能させる。チャット制御部233は、所定のゲーム状況の場合に、所定のユーザに対して、音声チャットによる発言を促すメッセージを出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
複数のユーザによるそれぞれの操作を受けて、複数のキャラクタを仮想空間で動作させるキャラクタ制御部と、
前記ユーザ間における音声チャットを制御するチャット制御部として機能させ、
前記チャット制御部は、所定のゲーム状況の場合に、所定の前記ユーザに対して、前記音声チャットによる発言を促すメッセージを出力する
ゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1のゲームプログラムにおいて、
前記チャット制御部は、所定の優先度に基づいてユーザを選定し、選定されたユーザに対して、前記メッセージを出力する
ゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
前記優先度は、前記ユーザ毎の前記仮想空間の利用時間に基づいて前記ユーザ毎に決定される
ゲームプログラム。
【請求項4】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
前記優先度は、前記メッセージに関連する仮想媒体の前記ユーザ毎の所有数に基づいて、前記ユーザ毎に決定される
ゲームプログラム。
【請求項5】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
前記優先度は、前記音声チャットにおける前記ユーザ毎の発言数に基づいて、前記ユーザ毎に決定される
ゲームプログラム。
【請求項6】
請求項2のプログラムにおいて、
前記優先度は、前記仮想空間内における、現在または過去における前記ユーザの役割に応じて、ユーザ毎に決定される
ゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1または請求項2の仮想空間制御プログラムにおいて、
前記チャット制御部は、前記ユーザに対して、ゲーム内容の説明を促すメッセージを出力する
ゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1または請求項2の仮想空間制御プログラムにおいて、
前記複数のユーザには、第1ユーザおよび第2ユーザが含まれ、
前記チャット制御部は、前記仮想空間における前記第1ユーザの役割が変更された場合に、前記第2ユーザに対して、当該役割の説明を促す前記メッセージを出力する
ゲームプログラム。
【請求項9】
請求項1または請求項2の仮想空間制御プログラムにおいて、
前記複数のユーザには、第1ユーザおよび第2ユーザが含まれ、
前記チャット制御部は、前記第1ユーザが前記仮想空間における仮想媒体を初めて取得した場合において、前記第2ユーザに対して、当該仮想媒体の説明を促すメッセージを出力する
ゲームプログラム。
【請求項10】
請求項1または請求項2の仮想空間制御プログラムを記憶した記憶部と、
前記仮想空間制御プログラムを実行する制御部と、
を備えたゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲームプログラム、およびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを利用したゲームの中には、複数のプレイヤ間でチャットが可能なものがある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の例では、同じゲーム状況のプレイヤ同士にチャットを行わせるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲーム状況が同じであっても、プレイヤによってはチャットに参加しない(発言しない)ことが考えられる。
【0005】
本開示では、コンピュータを利用したゲームにおける音声チャットの促進を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
複数のユーザによるそれぞれの操作を受けて、複数のキャラクタを仮想空間で動作させるキャラクタ制御部と、
前記ユーザ間における音声チャットを制御するチャット制御部として機能させ、
前記チャット制御部は、所定のゲーム状況の場合に、所定の前記ユーザに対して、前記音声チャットによる発言を促すメッセージを出力する
ゲームプログラムである。
【0007】
前記態様において、
前記チャット制御部は、所定の優先度に基づいてユーザを選定し、選定されたユーザに対して、前記メッセージを出力してもよい。
【0008】
前記態様においては、
前記優先度は、前記ユーザ毎の前記仮想空間の利用時間に基づいて前記ユーザ毎に決定してもよい。
【0009】
前記態様においては、
前記優先度は、前記メッセージに関連する仮想媒体の前記ユーザ毎の所有数に基づいて、前記ユーザ毎に決定してもよい。
【0010】
前記態様においては、
前記優先度は、前記音声チャットにおける前記ユーザ毎の発言数に基づいて、前記ユーザ毎に決定してもよい。
【0011】
前記態様においては、
前記優先度は、前記仮想空間内における、現在または過去における前記ユーザの役割に応じて、ユーザ毎に決定してもよい。
【0012】
前記態様においては、
前記チャット制御部は、前記ユーザに対して、ゲーム内容の説明を促すメッセージを出力してもよい。
【0013】
前記態様においては、
前記複数のユーザには、第1ユーザおよび第2ユーザが含まれ、
前記チャット制御部は、前記仮想空間における前記第1ユーザの役割が変更された場合に、前記第2ユーザに対して、当該役割の説明を促す前記メッセージを出力してもよい。
【0014】
前記態様においては、
前記複数のユーザには、第1ユーザおよび第2ユーザが含まれ、
前記チャット制御部は、前記第1ユーザが前記仮想空間における仮想媒体を初めて取得した場合において、前記第2ユーザに対して、当該仮想媒体の説明を促すメッセージを出力してもよい。
【0015】
第2の態様は、前記態様の仮想空間制御プログラムを記憶した記憶部と、
前記仮想空間制御プログラムを実行する制御部と、
を備えたゲームシステムである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、コンピュータを利用したゲームにおいて音声チャットの促進が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態におけるゲームシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】ゲーム装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】ゲームシステムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
ゲームプログラム、およびゲームシステムの実施形態として、ゲームプログラムを実行するゲームシステム1を説明する。
図1は、実施形態におけるゲームシステム1の構成を示すブロック図である。
【0019】
ゲームシステム1によるゲームは、仮想空間(三次元)で実施される。ゲームの種別等には限定はない。例えば、ゲームは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタ(例えばモンスター)を攻撃して倒していく対戦型のアクションゲームとすることができる。本実施形態では、ゲームの例として以下を仮定する。
【0020】
このゲームでは、プレイヤキャラクタ同士でグループが編成される場合がある。このゲームでは、グループ単位でクエスト(ゲームにおいて達成すべき課題)に挑戦することができる。勿論、このゲームでは、単独でプレイヤキャラクタを仮想空間で活動させることもできる。
【0021】
このゲームでは、ユーザ間で音声を用いたチャット(以下、音声チャット)が可能である。個々のユーザは、音声チャットの機能の有効と無効を切り替えることができる。
【0022】
このゲームでは、個々のユーザ(プレイヤキャラクタ)に、仮想空間内における役割が設定される。役割は、例えば、ホスト、リーダー、ギルドマスター等の仮想空間における地位や、ハンター、商人等の仮想空間における職業などである。所定の条件が満たされた場合には、ユーザは自身の役割を変更することができる。役割変更の条件は、ゲームの開発者が任意に定めてよい。
【0023】
このゲームでは、プレイヤキャラクタの体力値が設定されている。体力値は、所定の条件が整うと、条件に応じて増加したり減少したりする。
【0024】
《ハードウェアの構成》
〈概要〉
ゲームシステム1は、サーバ装置2を備えている。サーバ装置2には、複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6(例えばインターネット)を介して、通信可能に構成される。
図1には2台のゲーム装置5が記載されているが、更に多数のゲーム装置5がゲームシステム1に接続される場合がある。ゲームシステム1では、これらのゲーム装置5とサーバ装置2が通信を行いながら、ゲームが実施される。
【0025】
〈サーバ装置2の構成〉
サーバ装置2は、ユーザ(プレイヤ)同士のマッチングや、ゲーム進行の管理等を行う。例えば、サーバ装置2は、ゲーム装置5のゲームデータの管理を行う。サーバ装置2は、ゲーム進行の管理などを行うための各種プログラムおよびデータを記憶している。
【0026】
図2は、サーバ装置2の構成例を示すブロック図である。サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、および制御部23を備えている。ネットワークインターフェース21、および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0027】
ネットワークインターフェース21は、インターネット、LANなどの通信ネットワーク6(通信網)を介して、ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
【0028】
記憶部22は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成されている。記憶部22には、ゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラムが記憶されている。
【0029】
制御部23は、サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0030】
〈ゲーム装置5の構成〉
ゲーム装置5は、プレイヤの操作に基づいてゲームを実行する。ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0031】
ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(ダウンロード)する場合がある。ゲーム装置5は、ゲームプログラム等を受信したら、受信したゲームプログラム等をインストールする。
【0032】
ゲーム装置5は、各プレイヤの操作に基づいてゲームを開始する。ゲーム装置5は、各ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声を、ディスプレイ61およびスピーカ62(それぞれ後述)に出力しながら、ゲームを進行させる。既述の通り、ユーザは、ゲーム装置5を用いて、音声チャットが可能である。
【0033】
図3は、ゲーム装置5の構成例を示すブロック図である。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。
【0034】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0035】
ネットワークインターフェース51は、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。ネットワークインターフェース51は、通信ネットワーク6を介して、ゲーム装置5とサーバ装置2との間における、各種データの送受信を実現する。
【0036】
グラフィック処理部52は、ディスプレイ61と接続されている。ディスプレイ61は、例えば液晶型のディスプレイである。グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0037】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成し、これをスピーカ62から出力させる。
【0038】
オーディオ処理部53は、ゲーム装置5に接続されたマイクロフォン(図示を省略)を介して、ユーザから音声入力を受け付ける。オーディオ処理部53は、制御部56の制御に応じて、音声データをサーバ装置2に出力する。
【0039】
操作部54は、コントローラ63と接続されている。操作部54は、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。各ユーザは、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0040】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成されている。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードされたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラムなどが格納されている。
【0041】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0042】
《ゲーム装置5における制御部56の機能的構成》
制御部56は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、マッチング要求部561、キャラクタ制御部562、チャット切替部563、音声送受信部564として機能する(
図3参照)。
【0043】
-マッチング要求部561-
マッチング要求部561は、ユーザの操作に応じて、マッチング(このゲームではグループへの参加)を要求する信号(マッチングリクエスト)をサーバ装置2に送信する。その際、マッチングリクエストは、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2に送信される。マッチングリクエストには、グループへの参加意思を示す情報、ユーザID、ユーザのレベルなどの情報が含まれる。
【0044】
マッチング要求部561は、マッチング通知がサーバ装置2から送信されるのを待つ。マッチング通知は、マッチングの成否等を示す情報(信号)である。マッチング通知は、グループの構成メンバーの情報(例えばユーザのレベル、ユーザID等の情報)を含む場合がある。
【0045】
マッチング要求部561は、マッチングが成功した場合には、制御部56の半導体メモリ等に所定の情報(以下、マッチング情報)を書き込む。マッチング情報は、例えば、所属するグループを特定する情報を含んでいる。マッチング情報は、音声チャットの制御、ゲーム結果の記録などに用いられる。マッチング要求部561は、マッチングに失敗していた場合には、その旨をユーザに通知する。
【0046】
-キャラクタ制御部562-
キャラクタ制御部562は、ユーザの操作に応じて、仮想空間内でプレイヤキャラクタを動作させる。キャラクタ制御部562は、ノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトも仮想空間内で動作させる。キャラクタ制御部562は、例えばAI(artificial intelligence)によってノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトの動作を制御する。
【0047】
-チャット切替部563-
チャット切替部563は、ユーザの操作に応じて、そのユーザの音声チャット機能のオンとオフを切り替える。本実施形態では、ユーザは、ディスプレイ61に表示されているボタンなどのユーザインターフェースを、コントローラ63によって操作することによって、音声チャットのオンとオフを切り替える。チャット切替部563は、チャット機能のオンオフの情報をサーバ装置2に送信する。
【0048】
-音声送受信部564-
音声送受信部564は、音声チャットにおける音声の送受信を行なう。例えば、音声送受信部564は、音声チャットがオンの場合には、オーディオ処理部53に入力されたユーザの音声をデジタルデータ(以下、チャット信号という)としてサーバ装置2に送信する。音声送受信部564は、音声チャットがオフに設定されている場合には、チャット信号の送信は行なわない。
【0049】
音声送受信部564は、サーバ装置2からチャット信号を受信した場合には、そのチャット信号をオーディオ処理部53に出力する。オーディオ処理部53は、音声送受信部564から受け取ったチャット信号をアナログ信号に変換してスピーカ62に出力する。
【0050】
《サーバ装置2における制御部23の機能的構成》
制御部23は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、マッチング部231、ゲーム状況監視部232、チャット制御部233として機能する(
図2参照)。
【0051】
-マッチング部231-
マッチング部231は、ゲーム装置5から受信したマッチングリクエストを受け付けて、それを処理する。具体的にマッチング部231は、マッチングリクエストを送信してきた複数のユーザの中から、グループを構成するメンバーを、マッチングリクエストに含まれる情報を用いて決定(マッチング)する。マッチングの基準は、ゲームの開発者が任意に定めてよい。マッチング部231は、マッチング通知をグループの各メンバー(ユーザ)に送信する。
【0052】
-ゲーム状況監視部232-
ゲーム状況監視部232は、ゲームの状況を監視し、所定のゲーム状況の場合には、その状況を示す信号(以下、ステータス信号という)を生成する。ゲーム状況監視部232は、生成したステータス信号をチャット制御部233に出力する。ゲーム状況監視部232がステータス信号を出力する状況の例を以下に挙げる。
【0053】
(状況1)ゲーム参加が初めてのユーザがログインした場合
(状況2)ユーザの役割(職業など)が変更された場合
(状況3)ユーザが仮想媒体を初めて取得した場合
(状況4)プレイヤキャラクタの体力値が低下した場合
(状況5)敵と交戦が開始された場合
(状況6)プレイヤキャラクタが分かれ道に到達した場合
勿論、これらの状況は例示であり、ゲーム状況監視部232において、更に多種のゲーム状況の検出と、ステータス信号の出力を行ってもよい。
【0054】
-チャット制御部233-
チャット制御部233は、チャット信号の中継を行なう。具体的に、チャット制御部233は、サーバ装置2がユーザから受信したチャット信号を、そのユーザと同クループのユーザに送信する。チャット制御部233は、ユーザから受信したチャット信号をそのユーザのグループに属していないユーザに送信する場合もある。
【0055】
チャット制御部233は、所定のゲーム状況の場合に、所定のユーザに対して、音声チャットによる発言を促す音声メッセージを出力する。「所定のゲーム状況」とは、ゲーム状況監視部232が検出したゲーム状況である。
【0056】
メッセージの出力は、種々の態様(演出)が可能である。例えば、プレイヤキャラクタに随伴するノンプレイヤキャラクタの発言としてメッセージを出力させたり、プレイヤキャラクタが持つ無線機等のゲーム上のアイテムからメッセージを出力させたりできる。
【0057】
チャット制御部233は、メッセージの出力先である「所定のユーザ」を、所定の優先度に基づいて選択する。ゲームシステム1では、チャット制御部233が、ゲーム状況に応じて優先度の算出法(後述)を選択する。優先度を算出できたら、チャット制御部233は、グループ内で最も優先度が高いユーザをメッセージの出力先として選択する。
【0058】
チャット制御部233は、出力用のメッセージをデータベースで管理している。このデータベースは、例えばゲーム状況をキーとして、出力するメッセージと優先度の算出方法を検索できるように構成することができる。この場合、キー(ゲーム状況)として、ゲーム状況をID番号(数値)で表して利用することよい。
【0059】
以下では、ゲーム状況(状況1、状況2等として例示したもの)に対応付けられるメッセージと、そのメッセージに関する優先度の算出法について例示する。
【0060】
(状況1:ゲーム参加が初めてのユーザがログインした場合)
状況1では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例1を出力する。
【0061】
メッセージ例1:『○○さん、初参加の人にゲームのルールを説明してあげて!』
メッセージ例1は、ゲーム参加が初めてのユーザ以外のユーザに対して、ゲーム内容の説明を促すメッセージである。
【0062】
メッセージ例1に関しては、優先度としてプレイ時間(換言すると仮想空間の利用時間)を用いることが考えられる。ゲームのプレイ時間が長いほど、ゲームのルールに精通していると考えられるからである。例えば、チャット制御部233は、グループ内でプレイ時間が長いほど優先度を高く設定する。
【0063】
なお、メッセージの内容によっては、プレイ時間から優先度を決定する場合に、プレイ時間が短いほど、優先度が高くなるように算出する場合もあり得る。
【0064】
(状況2:ユーザ(第1ユーザとする)の役割が変更された場合)
状況2では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例2を出力する。
【0065】
メッセージ例2:『○○さん、役割△△についてアドバイスしてあげて!』
メッセージ例2は、仮想空間における第1ユーザの役割が変更された場合に、他のユーザ(第2ユーザ)に対して、その役割の説明を促すメッセージである。
【0066】
メッセージ例2に関する優先度は、仮想空間内における、現在または過去におけるユーザの役割に応じて、ユーザ毎に決定することが考えられる。具体的に、チャット制御部233は、現在または過去において、第1ユーザの役割と同じ役割のユーザの優先度を、第1ユーザの役割と異なる役割のユーザよりも、より高くより設定する。
【0067】
(状況3:ユーザ(第1ユーザ)が仮想媒体を初めて取得した場合)
状況3では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例3を出力する。
【0068】
メッセージ例3:『○○さん、△△の使い方を教えてあげて!』
メッセージ例3は、第1ユーザが仮想空間における仮想媒体(ゲーム上のアイテムなどのゲーム媒体)を初めて取得した場合に、他のユーザ(第2ユーザ)に対して、その仮想媒体の説明を促すメッセージである。
【0069】
メッセージ例3に関する優先度は、そのメッセージに関連する仮想媒体の、ユーザ毎の所有数に基づいて、ユーザ毎に決定することが考えられる。より具体的にメッセージ例3に対しては、その仮想媒体の所有数が多いほど、優先度を高く設定することが考えられる。
【0070】
(状況4:プレイヤキャラクタの体力値が低下した場合)
状況4では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例4を出力する。
【0071】
メッセージ例4:『体力は十分?・・・』
メッセージ例4は、体力値が減少傾向乃至は体力値が閾値を下回ったプレイヤキャラクタが存在する場合に、体力値の回復動作を示唆するメッセージである。メッセージ例4に関する優先度は、プレイヤキャラクタの体力値を用いることができる。
【0072】
具体的にメッセージ例4に関しては、扱うキャラクタの体力値が低いほど優先度を高く設定する。体力値を回復するアイテム(ゲーム媒体)の設定があるゲームでは、そのアイテムを多く持っているユーザに優先度を高くすることも考えられる。
【0073】
(状況5:敵と交戦が開始された場合)
状況5では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例5を出力する。
【0074】
メッセージ例5:『敵がせめてきているが応戦する?・・・』
メッセージ例5は、敵への対応方針の決定を促すメッセージである。メッセージ例5に関する優先度は、例えば、プレイ時間を用いることが考えられる。具体的にメッセージ例5に関しては、プレイ時間が長いほど優先度を高く設定することが考えられる。
【0075】
(状況6:プレイヤキャラクタが分かれ道に到達した場合)
状況6では、チャット制御部233は、例えば以下のメッセージ例6を出力する。
【0076】
メッセージ例6は、対応方針の決定を促すメッセージである。メッセージ例6に関する優先度は、例えば、プレイ時間を用いることが考えられる。具体的にメッセージ例5に関しては、ゲームのプレイ時間が長いほど優先度を高く設定することが考えられる。また、その分かれ道があるエリアでのプレイ時間が長いほど優先度を高く設定することも考えられる。
【0077】
これらの優先度の設定方法は例示である。優先度は、例えば、音声チャットにおけるユーザ毎の発言数に基づいて、ユーザ毎に決定することも考えられる。
【0078】
ユーザの発言数は、種々の方法でカウントできる。例えば、単位時間における平均の発言数を求めたり、グループ結成後からの通算の発言数をユーザ毎にカウントしたり、音声チャットを有効に設定した後の通算の発言数をユーザ毎にカウントしたりできる。
【0079】
例えば、発言数が少ないユーザほど優先度を高く設定すれば、より多くのユーザの、音声チャットへの参加を期待できる。発言数が多いユーザほど優先度を高く設定すれば、チャットの中断抑制などを期待できる。
【0080】
また、敵キャラクタ(モンスター等)を討伐するゲームでは、敵の討伐率や生存率の高いメンバーや、残り体力値の多いメンバーの優先度を高く設定することも考えられる。
【0081】
《動作例》
図4は、ゲームシステム1の動作を説明するフローチャートである。この例では、二人のプレイヤ(ユーザU1、ユーザU2)がゲームに参加するものとする。それぞれのユーザU1,U2は、複数人でのクエスト参加(グループによる活動)を希望している。
【0082】
それぞれのユーザU1,U2は、ゲーム装置5を操作して、マッチングリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS01,S02)。サーバ装置2では、マッチング部231が、マッチングリクエストを受け付ける(ステップS03)。
【0083】
マッチング部231は、マッチングリクエストに含まれる情報を用いて、グループを構成するメンバーをマッチングする。ここでは、ユーザU1,U2がマッチングされて、一つのグループが形成されたものとする。マッチング部231は、ユーザU1,U2にマッチング通知を送信する(ステップS04)。
【0084】
各ユーザU1,U2のゲーム装置5では、マッチング要求部561がマッチング通知を受信する(ステップS05,S06)。マッチング要求部561は、必要な情報を半導体メモリなどに書き込む。
【0085】
ここで、ユーザU1,U2は、何れも音声チャットをオンにする操作を行なったとする。ユーザU1,U2の操作に応じて、チャット切替部563は、ユーザU1,U2の音声チャットをオンに設定する。
【0086】
ユーザのマッチングが終わったら、サーバ装置2は、ゲーム開始を待つ。ゲームが開始されたら、各ゲーム装置5では、キャラクタ制御部562は、ユーザU1,U2の操作に応じて、プレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させる。キャラクタ制御部562は、ノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトも仮想空間内で動作させる。
【0087】
サーバ装置2ではゲーム状況監視部232がゲーム状況を監視する(ステップS07,S08)。ゲームが所定の状況になった場合には、ゲーム状況監視部232は、ステータス信号を生成して、チャット制御部233に出力する(ステップS08)。
【0088】
チャット制御部233は、ゲーム状況に応じて、出力すべきメッセージを決定する(ステップS09)。チャット制御部233は、メッセージの出力先であるユーザも決定する(ステップS09)。ここでは、メッセージの出力先としてユーザU1が決定されたものとする。
【0089】
チャット制御部233は、メッセージとユーザが決まったら、そのユーザにメッセージ(ここでは音声)を出力する(ステップS10)。
図4の例では、チャット制御部233は、ユーザU1にメッセージを出力する。
【0090】
チャット制御部233がメッセージを出力したら、ゲーム状況監視部232は、ゲーム状況の監視を再開する。一方、ユーザU1のゲーム装置5では、サーバ装置2が送信したメッセージをオーディオ処理部53が受信し、メッセージを音声としてスピーカ62から出力する(ステップS11)。
【0091】
チャット制御部233(サーバ装置2)からのメッセージに対しては、ユーザからの返答の可能性がある。ここでは、ユーザU1が、このメッセージに音声チャットによって返答したものとする。
【0092】
具体的にユーザU1は、返答をマイクロフォンによってゲーム装置5に入力する。なお、チャット制御部233は、プレイヤがチャット制御部233のメッセージに応じて発言を行なったとしても、その発言に対して何らかの反応(メッセージの出力など)を示すことはない。
【0093】
ゲーム装置5では、音声送受信部564が、ユーザU1から入力された音声をチャット信号としてサーバ装置2に送信する(ステップS12)。サーバ装置2では、チャット制御部233がチャット信号の中継を行なう(ステップS13)。この例では、チャット制御部233は、ユーザU1からのチャット信号をユーザU2のゲーム装置5に送信する。
【0094】
ユーザU2のゲーム装置5では、音声送受信部564がチャット信号を受信する(ステップS14)。ユーザU2のゲーム装置5では、ユーザU1が送信した音声が再生される。
【0095】
以上の動作により、ゲームシステム1では、チャット制御部233が出力したメッセージをきっかけとした音声チャットが成立する。
【0096】
以上をまとめると、本件態様は、コンピュータを、複数のユーザによるそれぞれの操作を受けて、複数のキャラクタを仮想空間で動作させるキャラクタ制御部562と、前記ユーザ間における音声チャットを制御するチャット制御部233として機能させ、前記チャット制御部233は、所定のゲーム状況の場合に、所定の前記ユーザに対して、前記音声チャットによる発言を促すメッセージを出力するゲームプログラムである。
【0097】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、ゲーム状況に応じたメッセージが所定のユーザに対して出力される。このメッセージは、チャットのきっかけとなり得る。したがって、本実施形態によれば、コンピュータを利用したゲームにおいて音声チャットの促進が可能になる。
【0098】
[その他の実施形態]
ユーザが音声チャットを有効にしていない場合、メッセージの出力とともに、自動で、そのユーザの音声チャットを有効に設定してもよい。ユーザが音声チャットを有効にしていない場合、音声チャットを有効に設定するように、そのユーザを促してもよい。例えば、音声チャットを有効にするか否かを、ユーザに選択させるようにしてもよい。
【0099】
メッセージが出力された後にユーザが音声チャットで発言した場合には、そのユーザに報酬を付与してもよい。報酬としては、ゲーム媒体等を例示できる。
【0100】
ユーザに出力するメッセージは、文字情報によるメッセージでもよい。ユーザに出力するメッセージは、音声によるメッセージと文字情報によるメッセージを併用してもよい。
【0101】
チャット制御部のメッセージは、同時に複数のユーザに出力してもよい。
【0102】
ゲーム中における音声チャットの会話量に応じて、チャット制御部から出力するメッセージの量や頻度を調整してもよい。例えば、会話が豊富な場合は、サーバ装置2からのメッセージを減らし、会話が少ない場合はメッセージを増やす運用が考えられる。
【0103】
音声チャットを実施する機能は、ゲームシステム1の外部のプログラム(外部のシステム)を利用してもよい。
【0104】
ゲーム装置5で行っていた処理をそれに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ装置2とゲーム装置5とで分担してもよい。
【0105】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本態様の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 ゲームシステム
22 記憶部
23 制御部(コンピュータ)
55 記憶部
56 制御部(コンピュータ)
233 チャット制御部
562 キャラクタ制御部
U1 ユーザ
U2 ユーザ