(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062822
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】AD変換回路及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240501BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240501BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240501BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/00 398
B41J29/38 104
H03M1/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170920
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 秀一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
2H270
5J022
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK11
2C061HV04
2C061HV08
2H171FA05
2H171FA30
2H171GA40
2H171JA07
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171MA16
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB01
2H171QB16
2H171QB32
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC05
2H171QC38
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171TA10
2H171TB01
2H171TB20
2H171XA12
2H270KA47
2H270LA10
2H270LA25
2H270LD02
2H270LD05
2H270LD08
2H270LD14
2H270MF19
2H270MG01
2H270MG06
2H270MG08
2H270MH09
2H270RA27
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
5J022AA01
5J022CF02
(57)【要約】
【課題】AD変換の精度を保つ。
【解決手段】画像形成装置1は、1.8[V]により駆動されるCPU42に組み込まれたADコンバータと、1.8[V]よりも高い3.3[V]により駆動され、1.8[V]よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられサーミスタ出力降圧電圧VsとしてCPU42に入力しサーミスタ出力降圧電圧Vsのデジタル値を出力させるサーミスタ44と、3.3[V]を下げて電源降圧電圧Vdを生成しCPU42に入力し電源降圧電圧Vdのデジタル値を出力させる抵抗器50と、電源降圧電圧Vdのデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧Vdの理想値とを比較し、サーミスタ出力降圧電圧Vsのデジタル値を補正するCPU42と、用紙Pに画像を形成する画像形成部9とを設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源電圧により駆動されるADコンバータと、
前記第1の電源電圧よりも高い第2の電源電圧により駆動され、前記第1の電源電圧よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられ検出素子出力降圧電圧として前記ADコンバータに入力し前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を出力させる検出素子と、
前記第2の電源電圧を下げて電源降圧電圧を生成し前記ADコンバータに入力し前記電源降圧電圧のデジタル値を出力させる電圧低下部と、
前記電源降圧電圧のデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧の理想値とを比較し、前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を補正する制御部と
を有するAD変換回路。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値×前記電源降圧電圧の理想値/前記電源降圧電圧のデジタル値により、補正後の前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を算出する
請求項1に記載のAD変換回路。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2の電源電圧により駆動される駆動部の動作開始前において前記電源降圧電圧のデジタル値を読み取った後、前記駆動部の少なくとも動作中において前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を読み取る
請求項1に記載のAD変換回路。
【請求項4】
前記電圧低下部は、
前記第1の電源電圧の略中央値近辺まで前記第2の電源電圧を低下させる
請求項1に記載のAD変換回路。
【請求項5】
前記電圧低下部は、
分圧抵抗により前記第2の電源電圧を低下させる
請求項1に記載のAD変換回路。
【請求項6】
第1の電源電圧により駆動されるADコンバータと、
前記第1の電源電圧よりも高い第2の電源電圧により駆動され、前記第1の電源電圧よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられ検出素子出力降圧電圧として前記ADコンバータに入力し前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を出力させる検出素子と、
前記第2の電源電圧を下げて電源降圧電圧を生成し前記ADコンバータに入力し前記電源降圧電圧のデジタル値を出力させる電圧低下部と、
前記電源降圧電圧のデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧の理想値とを比較し、前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を補正する制御部と、
媒体に画像を形成する画像形成部と
を有する画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
印刷開始前において前記電源降圧電圧のデジタル値を読み取った後、少なくとも印刷中において前記検出素子出力降圧電圧のデジタル値を読み取る
請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAD変換回路及び画像形成装置に関し、例えば電子写真式の画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、AD変換回路においては、ADコンバータに入力されるアナログ出力とADコンバータのリファレンスに入力されるリファレンス電圧の電源は同じものを入力し、アナログ電圧をデジタル値に変換する際に電源の誤差が入らないようにすることで精度良く変換していた。このようなAD変換回路においては、上述した精度向上を応用して複数の電源のアナログ出力に対し、それぞれの電源を切り替えてADコンバータのリファレンスに入力させて精度向上を図るものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなAD変換回路においては、ADコンバータの耐圧よりもアナログ出力の電圧が高い場合はADコンバータが壊れてしまうため入力できず、またアナログ出力を分圧して下げると共にアナログ出力の電源も分圧してリファレンスに入力するようにした場合も、リファレンスの入力インピーダンスが低いため分圧した電圧がずれてしまいリファレンスに分圧して入力することはできないといった問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、AD変換の精度を保ち得るAD変換回路及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明のAD変換回路においては、第1の電源電圧により駆動されるADコンバータと、第1の電源電圧よりも高い第2の電源電圧により駆動され、第1の電源電圧よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられ検出素子出力降圧電圧としてADコンバータに入力し検出素子出力降圧電圧のデジタル値を出力させる検出素子と、第2の電源電圧を下げて電源降圧電圧を生成しADコンバータに入力し電源降圧電圧のデジタル値を出力させる電圧低下部と、電源降圧電圧のデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧の理想値とを比較し、検出素子出力降圧電圧のデジタル値を補正する制御部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の画像形成装置においては、第1の電源電圧により駆動されるADコンバータと、第1の電源電圧よりも高い第2の電源電圧により駆動され、第1の電源電圧よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられ検出素子出力降圧電圧としてADコンバータに入力し検出素子出力降圧電圧のデジタル値を出力させる検出素子と、第2の電源電圧を下げて電源降圧電圧を生成しADコンバータに入力し電源降圧電圧のデジタル値を出力させる電圧低下部と、電源降圧電圧のデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧の理想値とを比較し、検出素子出力降圧電圧のデジタル値を補正する制御部と、媒体に画像を形成する画像形成部とを設けるようにした。
【0008】
本発明は、ADコンバータの電源電圧よりも高い電圧で駆動している素子のアナログ出力が入力され、該アナログ出力をAD変換する場合であっても、AD変換の精度を保つことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、AD変換の精度を保ち得るAD変換回路及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】DC-DCコンバータ及びLDOレギュレータの温度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の全体構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、カラー用電子写真式プリンタであり、紙葉状の媒体である用紙Pに対し所望のカラー画像を印刷する。この画像形成装置1は、略箱型の筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。画像形成装置1は、プリンタ制御部40が全体を統轄制御する。また画像形成装置1は、コンピュータ装置等の上位装置であるホスト(図示せず)と無線又は有線により接続されている。画像形成装置1は、このホストから印刷対象の画像を表す印刷データが与えられると共に該印刷データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0013】
筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙カセット3が設けられている。用紙カセット3の前上方には、給紙ローラ4が設けられている。給紙ローラ4は、その下部を用紙カセット3内に収容された用紙Pの上面に当接させており、回転することにより、収容された用紙Pのうち上側の1枚を前方へ送り出す。
【0014】
筐体2内部には、用紙Pを搬送させる搬送路Wが形成されている。また給紙ローラ4よりも用紙Pの搬送方向の下流側には、給紙センサ5が、搬送路Wに沿った箇所に設置されている。給紙センサ5は、搬送路Wにおける用紙Pの有無を検知してプリンタ制御部40に通知する。これを基にプリンタ制御部40は、搬送路Wの給紙センサ5が設置された箇所における用紙Pの有無を認識し、給紙ローラ4により給紙が行われたことを確認できる。
【0015】
給紙センサ5よりも用紙Pの搬送方向の下流側には、搬送ローラ6及び7が設けられている。搬送ローラ6及び7は、搬送路Wを挟んで互いに対向して当接しており、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pを搬送ベルト19まで搬送する。
【0016】
搬送ローラ6及び7よりも用紙Pの搬送方向の下流側には、書込センサ8が、搬送路Wに沿った箇所に設置されている。書込センサ8は、搬送路Wにおける用紙Pの有無を検知してプリンタ制御部40に通知する。これを基にプリンタ制御部40は、搬送路Wの書込センサ8が設置された箇所における用紙Pの先端を検出し、書き出し開始タイミングを決定することができる。
【0017】
また筐体2内には、用紙Pの表面に印刷対象のカラー画像を印刷するようにして印刷画像を形成するための画像形成部9が設けられている。画像形成部9は、印刷画像のそれぞれ異なる色成分であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)を表す静電潜像を現像剤としてのトナーを用いて現像して印刷データに対応するトナー画像を形成する4個の画像形成ユニット10(画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10C)が、筐体2内の上端部に、前側(上流側)から後側(下流側)へ順に並ぶように配設されている。
【0018】
画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cは、静電潜像の現像に用いるトナーの色が異なるだけで同一に構成されている。このため以下では、画像形成ユニット10を代表して画像形成ユニット10Kについて説明する。画像形成ユニット10Kは、トナーカートリッジ16、プリントヘッド11及び現像装置17により構成されている。
【0019】
トナーカートリッジ16は、現像装置17の上側に配され、トナーを収容しており、現像装置17に対し着脱可能に構成されている。現像装置17は、供給ローラ12、現像ローラ13、感光ドラム14及び帯電ローラ15が設けられている。
【0020】
プリントヘッド11は、LED(Light Emitting Diode)ヘッドであり、感光ドラム14の上側に隣接するように設けられ、左右方向に沿って複数のLED素子が整列配置されており、プリンタ制御部40の制御に基づき各LED素子を点灯又は消灯させる。このプリントヘッド11は、負の電圧である帯電バイアス電圧が印加され帯電された感光ドラム14の表面を、印刷データに基づいて露光して静電潜像を形成する。
【0021】
供給ローラ12は、負の電圧である供給バイアス電圧が印加され、トナーカートリッジ16に収容されたトナーを現像ローラ13側へ供給する。帯電ローラ15は、感光ドラム14の表面を一様に負の電圧に帯電させる。現像ローラ13は、負の電圧である現像バイアス電圧が印加され、トナーを帯電させ、感光ドラム14上に形成された静電潜像上に静電的に付着させて、一定層厚のトナー画像を形成する。感光ドラム14は、静電潜像を担持し、また該静電潜像をトナーによって現像して得られるトナー画像を担持する。
【0022】
また画像形成部9には、画像形成ユニット10Kの下から画像形成ユニット10Cの下に亘って、画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cにより形成されたトナー画像を用紙Pの表面に転写する転写ユニット18が配置されている。転写ユニット18は、搬送ベルト19、搬送ベルト駆動ローラ20、搬送ベルト従動ローラ21及び転写ローラ22により構成されている。
【0023】
搬送ベルト19は、無端状のベルトであり、後側の搬送ベルト駆動ローラ20と前側の搬送ベルト従動ローラ21とに張架され回転することにより、用紙Pを上面に載せて後方へ搬送する。搬送ベルト駆動ローラ20は、搬送ベルトモータ60(
図2)とギヤで接続されており、回転することにより搬送ベルト19を駆動する。搬送ベルト従動ローラ21は、搬送ベルト19につられて回転し、搬送ベルト19の張りを一定に保つことにより搬送ベルト19の駆動を安定化させる。転写ローラ22は、搬送ベルト19の内側において、4個の感光ドラム14に対応して4個が画像形成ユニット10に対向して回転可能に設けられており、正の電圧である転写電圧が印加されている。これにより転写ユニット18は、印刷画像の形成時、搬送ベルト19によって搬送される用紙Pを転写ローラ22の表面の上側部分と、対応する4個の感光ドラム14の表面の下側部分との間に順に挟み込みながら、該転写ローラ22への転写電圧の印加により4個の感光ドラム14の表面上のトナー画像を用紙Pの表面に転写する。
【0024】
かかる構成において、画像形成ユニット10は、トナーカートリッジ16から現像装置17へトナーを供給する。続いて画像形成ユニット10は、感光ドラム14を回転させながら、帯電ローラ15により該感光ドラム14の表面を一様に帯電させ、プリントヘッド11により該感光ドラム14の表面を印刷データに基づいて露光して静電潜像を形成する。続いて画像形成ユニット10は、現像バイアス電圧を現像ローラ13に印加することにより、感光ドラム14上に形成された静電潜像上に、供給ローラ12により供給されたトナーを静電的に付着させてトナー画像を形成する。さらに画像形成ユニット10は、搬送ベルト19によって搬送される用紙Pを転写ローラ22と感光ドラム14との間に挟み込み、感光ドラム14の表面上のトナー画像を用紙Pの表面に転写する。このようにして転写ユニット18は、用紙Pの表面に4色分のトナー画像を転写して、該トナー画像を転写した用紙Pを定着器24に引き渡す。
【0025】
画像形成部9には、転写ユニット18の後方に、トナー画像を用紙Pの表面に定着させる定着器24が配置されている。定着器24は、上下方向のほぼ中央部に用紙Pを通すための用紙通路が形成されている。また定着器24は、定着ローラ25及び定着バックアップローラ26を有している。定着ローラ25は、用紙通路の上側に回転可能に設けられており、内部にハロゲンランプ等の発熱体であるヒータ82を有し、約170[℃]の温度で用紙Pを加熱及び加圧する。定着バックアップローラ26は、用紙通路の下側に回転可能に設けられており、定着ローラ25に用紙Pを押し付ける。これにより定着器24は、印刷画像の形成時、転写ユニット18から表面にトナー画像が転写された用紙Pを用紙通路内に取り込んで、互いに逆回転している定着ローラ25及び定着バックアップローラ26の間に挟み込む。そして定着器24は、その用紙Pを、互いに逆回転している定着ローラ25と定着バックアップローラ26との間で加熱しながら加圧することにより、該用紙Pの表面にトナー画像を定着させる。定着器24は、用紙Pの表面に4色分のトナー画像を定着させて印刷画像を形成し、該印刷画像を形成した用紙Pを排出ローラ28及び29に受け渡す。
【0026】
定着器24内部には、
図2に示すサーミスタ44a及び44bが設けられている。サーミスタ44aは、ヒータ82(後述する)の温度検出を行い、検出結果をCPU42(
図2)へ送出する。サーミスタ44bは、定着バックアップローラ26の温度検出を行い、検出結果をCPU42(
図2)へ送出する。
【0027】
定着器24(
図1)よりも用紙Pの搬送方向の下流側には、排出センサ27が、搬送路Wに沿った箇所に設置されている。排出センサ27は、搬送路Wにおける用紙Pの有無を検知してプリンタ制御部40に通知する。これを基にプリンタ制御部40は、搬送路Wの排出センサ27が設置された箇所における用紙Pの有無を認識し、用紙Pの搬送エラーや巻き付き等を監視できる。
【0028】
排出センサ27よりも用紙Pの搬送方向の下流側には、排出ローラ28及び29が設けられている。排出ローラ28及び29は、搬送路Wを挟んで互いに対向して当接しており、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pをスタッカ30まで搬送する。
【0029】
かかる構成において画像形成装置1は、用紙カセット3に収められた用紙Pを搬送ローラ6及び7により画像形成部9に搬送する。画像形成部9は、搬送ベルト19により用紙Pを搬送しながら、画像形成ユニット10により用紙P上にトナーを転写する。用紙Pは、搬送ベルト19により定着器24に搬送される。定着器24は、用紙Pが通過する際、該用紙P上に載ったトナーを高温により用紙Pに定着させる。用紙Pは、排出ローラ28及び29により搬送されスタッカ30へ排出される。
【0030】
なお、図示しないものの、筐体2内部には、各ローラ類を回すためのモータ、搬送方向の長さが最も短い用紙Pの搬送方向の長さよりも短い間隔で配置された搬送路W上の搬送ローラや、搬送路W上の搬送ローラへの動力伝達のON/OFFを行うクラッチ等も設けられている。
【0031】
[2.画像形成装置の制御構成]
図2に示すように、画像形成装置1は、主に、プリンタ制御部40と電源部70とにより構成されている。
【0032】
[2-1.プリンタ制御部の構成]
図2に示すように、プリンタ制御部40は、CPU(Central Processing Unit)42を中心に構成されており、画像形成装置1全体を制御する。CPU42は、例えばCPUコア内蔵ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、Flash ROMからなる記憶部(図示せず)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。またCPU42は多数のI/Oを有しており、該I/Oと接続された、画像形成装置1内部のモータやクラッチのON/OFFの制御を行う。
【0033】
CPU42は、サーミスタ44a及び44bが、それぞれボルテージフォロアのオペアンプ46a及び46bを介し抵抗分圧によって電圧を落とされて接続されている。以下では、オペアンプ46a及び46bをまとめてオペアンプ46とも呼ぶ。
【0034】
サーミスタ44aのアナログ出力は、オペアンプ46aの後で抵抗器48Ua及び抵抗器48Daにより抵抗分圧されることで電圧が下げられてサーミスタ出力降圧電圧VsaとしてCPU42の端子AD1に入力されている。CPU42は、サーミスタ出力降圧電圧VsaをAD変換することによりデジタル値に変換し、該デジタル値に基づき、リレー76のON/OFFを制御することにより、ヒータ82の温度を制御する。
【0035】
またサーミスタ44bのアナログ出力は、オペアンプ46bの後で抵抗器48Ub及び抵抗器48Dbにより抵抗分圧されることで電圧が下げられてサーミスタ出力降圧電圧VsbとしてCPU42の端子AD2に入力される。CPU42は、サーミスタ出力降圧電圧VsbをAD変換することによりデジタル値に変換し、該デジタル値に基づき、図示しないリレーのON/OFFを制御することにより、定着バックアップローラ26(
図1)の温度を制御する。
【0036】
以下では、抵抗器48Ua及び48Ubをまとめて抵抗器48Uとも呼び、抵抗器48Da及び48Dbをまとめて抵抗器48Dとも呼ぶ。抵抗器48Uの抵抗値(すなわち分圧抵抗値)は430[Ω]であり、抵抗器48Dの抵抗値(すなわち分圧抵抗値)は510[Ω]である。このため、サーミスタ44a及び44bの出力の最大の電圧値である3.3[V]は、抵抗器48U及び48Dにより抵抗分圧され、1.790[V]であるサーミスタ出力降圧電圧Vsa及びVsbとなってそれぞれ端子AD1及びAD2に入力される。以下では、サーミスタ出力降圧電圧Vsa及びVsbをまとめてサーミスタ出力降圧電圧Vsとも呼ぶ。
【0037】
またサーミスタ44a及び44bの3.3[V]の電源電圧は、抵抗アレイ(集合抵抗)である抵抗器50a、50b及び50cにより抵抗分圧されることで電圧が下げられて電源降圧電圧VdとしてCPU42の端子AD0に入力されている。以下では、抵抗器50a、50b及び50cをまとめて抵抗器50とも呼ぶ。抵抗器50a、50b及び50cそれぞれの抵抗値(すなわち分圧抵抗値)は100[Ω]である。このため、サーミスタ44a及び44bの電源電圧の電圧値である3.3[V]は、それぞれ抵抗器50a、50b及び50cにより抵抗分圧され、3分の1の1.1[V]である電源降圧電圧Vdとなって端子AD0に入力される。
【0038】
またCPU42は、給紙センサ5、書込センサ8及び排出センサ27が接続されており、これらのセンサから取得した検出結果に基づき、用紙Pの位置の検出や各種機構の動作タイミングの制御を行う。
【0039】
これに加えてCPU42は、モータドライバ52を制御することにより、給紙モータ56を動作させ、給紙ローラ4(
図1)を回転させる。またCPU42は、ドラムモータ58を制御することにより、画像形成ユニット10の各種ローラを回転させる。さらにCPU42は、モータドライバ54を制御することにより、搬送ベルトモータ60を動作させ、搬送ベルト駆動ローラ20を回転させる。さらにCPU42は、定着モータ62を制御することにより、定着ローラ25を回転させる。
【0040】
本実施の形態においては、給紙モータ56及び搬送ベルトモータ60は、ステッピングモータが用いられている。このためプリンタ制御部40は、給紙モータ56を動作させるモータドライバ52と、搬送ベルトモータ60を動作させるモータドライバ54とを有している。一方、ドラムモータ58及び定着モータ62は、ブラシレスDCモータが用いられている。このため、ドラムモータ58及び定着モータ62を動作させるドライバは、ドラムモータ58及び定着モータ62が有している。画像形成装置1は、上述した各種モータ以外にも、クラッチやソレノイドからなる図示しないアクチュエータやセンサを有しており、CPU42によりこれらを統合して制御する。
【0041】
[2-2.電源部の構成]
電源部70は、商用電源72が接続されており、5V24V生成部74及びリレー76を有している。5V24V生成部74は、商用電源72から5[V]及び24[V]の電圧を生成し、プリンタ制御部40に供給する。5[V]の電圧は、CPU42、給紙センサ5、書込センサ8、排出センサ27、サーミスタ44及びオペアンプ46の駆動用と、モータドライバ52及びモータドライバ54のロジック部の駆動用とに用いられる。24[V]の電圧は、給紙モータ56、ドラムモータ58、搬送ベルトモータ60及び定着モータ62の駆動用に用いられる。
【0042】
プリンタ制御部40は、電源部70から供給された5[V]の電圧から、LDOレギュレータ78を使用することにより給紙センサ5、書込センサ8、排出センサ27、サーミスタ44及びオペアンプ46の駆動用の3.3[V]を生成すると共に、DC-DCコンバータ80を使用することによりCPU42の駆動用の1.8[V]を生成する。
【0043】
リレー76は、SSR及びメカニカルリレーにより構成されており、CPU42からの指示に基づきON/OFFすることにより、ヒータ82に商用電源72の供給を行う。
【0044】
[3.画像形成装置の動作]
かかる構成において画像形成装置1は、ホストから印刷データ及び印刷指示を受信すると、定着用のヒータ82を温め始め、ヒータ82が給紙開始温度である150[℃]になると、用紙カセット3内の給紙ローラ4を回転させて1枚の用紙Pを搬送ローラ6及び7まで送り出す。
【0045】
画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cは、給紙開始とほぼ同時に各ローラの回転を開始している。搬送ベルト駆動ローラ20は、画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cにおける各ローラの回転開始に伴って回転を開始することにより、搬送ベルト19の搬送を開始させる。搬送ローラ6及び7への用紙Pの突き当て後、搬送ローラ6と搬送ローラ7とは、クラッチで動力がつながって回転し用紙Pを搬送させる。用紙Pは、下流側へさらに搬送され、書込センサ8をONにする。
【0046】
プリントヘッド11は、書込センサ8がONになってから一定時間後に露光を開始して静電潜像を感光ドラム14上に形成する。現像ローラ13は、感光ドラム14上に形成された静電潜像に従って感光ドラム14上にトナー画像を形成する。転写ローラ22は、約+3000[V]の電圧が印加され、感光ドラム14上のトナー画像を用紙P側に引き寄せて用紙Pに転写する。以降も画像形成ユニット10Y、10M及び10Cは、画像形成ユニット10Kと同様に露光及び転写を行い、用紙Pにトナー画像を順次転写する。
【0047】
用紙Pへのトナー画像の転写後、ヒータ82によって約170[℃]に加熱された定着ローラ25と定着バックアップローラ26とは、用紙Pのトナー画像を加熱及び加圧することにより用紙Pにトナーを定着させる。定着後、用紙Pは、排出センサ27をONした後、排出ローラ28及び29によりスタッカ30に排出される。
【0048】
[4.読取AD値の補正について]
ここで、画像形成装置1においては、サーミスタ44a及び44bを3.3[V]の電源電圧で駆動しており、CPU42を1.8[V]の電源電圧で駆動している。サーミスタ44a及び44bは、各種モータから回り込んでくるノイズに対しS/N比を確保するため、電源電圧を3.3[V]よりも低くすることはできない。またCPU42は、高密度化された微細プロセスで製造されているため、電源電圧を1.8[V]よりも高くすることはできない。
【0049】
このためサーミスタ44aの出力は、オペアンプ46aの後で抵抗器48Ua及び抵抗器48Daにより抵抗分圧されることで電圧が下げられてサーミスタ出力降圧電圧VsaとなってCPU42の端子AD1に入力されている。またサーミスタ44bの出力は、オペアンプ46bの後で抵抗器48Ub及び抵抗器48Dbにより抵抗分圧されることで電圧が下げられてサーミスタ出力降圧電圧VsbとなってCPU42の端子AD2に入力される。
【0050】
ここで、1.8[V]を生成するDC-DCコンバータ80の出力電圧の誤差が3[%]であり、3.3[V]を生成するLDOレギュレータ78の出力電圧の誤差が1[%]である。また、定着温度近辺においては、端子AD1及び端子AD2には2.0[V]程度の電圧が入力される。よって、LDOレギュレータ78が3.3[V]を生成する際に出力電圧の誤差が1[%]であるため、2.0[V]の場合、誤差は0.6[%]となる。この0.6[%]を、1.8[V]を生成するDC-DCコンバータ80の出力電圧の誤差3[%]に加算すると、3.6[%]となる。このため、定着温度近辺においては、端子AD1及び端子AD2には3.6[%]以内の誤差が発生した電圧が入力される。この3.6[%]の電圧の誤差を温度に換算すると2.2[℃]程度である。標準紙であれば2.2[℃]程度の誤差は問題ない範囲であるが、比較的厚い紙等は定着温度が低くて定着不良になる等の不具合の原因になる場合があった。
【0051】
これに対し画像形成装置1は、サーミスタ44a及び44bの3.3[V]の電源電圧を3分の1にして1.1[V]の電源降圧電圧Vdとして、CPU42に組み込まれた10[bit]のADコンバータで読み取って電源測定値Vad0とし、理想値からの電源測定値Vad0の相違が3.3[V]及び1.8[V]の2つの電源の誤差を含むことを使って以下の(1)式を用いた補正を行う。すなわち、ADコンバータが組み込まれたCPU42の電源電圧である1.8[V]は、3[%]の誤差を含んでいる。そのようなADコンバータを使用して、3.3[V]の電源電圧をCPU42の電源電圧である1.8[V]に収まるように1.1[V]とした電源降圧電圧Vdを検出すると、3.3[V]の電源電圧と1.8[V]の電源電圧との両方の誤差を含んだ値が算出される。
【0052】
補正後AD値Vadc=読取AD値Vad×626/電源測定値Vad0……(1)
【0053】
読取AD値Vadは、読取AD値Vad1及びVad2をまとめて示している。読取AD値Vad1はCPU42が端子AD1でサーミスタ出力降圧電圧Vsaを読み込んだ値であり、読取AD値Vad2はCPU42が端子AD2でサーミスタ出力降圧電圧Vsbを読み込んだ値である。電源測定値Vad0は、CPU42が端子AD0で電源降圧電圧Vdを読み込んだ値である。626という数値は、1.8[V]の電源電圧で10[bit]の場合の1.1[V]のAD値の理想値である。補正後AD値Vadcは、補正後AD値Vadc1及びVadc2をまとめて示している。補正後AD値Vadc1は、読取AD値Vad1が補正された値であり、補正後AD値Vadc2は、読取AD値Vad2が補正された値である。このようにCPU42は、読取AD値Vadを補正し、補正後AD値Vadcを算出する。すなわちCPU42は、読取AD値Vad1を補正し補正後AD値Vadc1を算出すると共に、読取AD値Vad2を補正し補正後AD値Vadc2を算出する。
【0054】
また、
図4に示すように、1.8[V]を生成するDC-DCコンバータ80(
図4(A))と、3.3[V]を生成するLDOレギュレータ78(
図4(B))とでは、構成及びメーカが異なるため、温度特性が異なる。そのため上述した電源測定値Vad0は、一定周期で更新されない場合、誤差の補正がされても補正後AD値Vadcに誤差が残ってしまう。
【0055】
ただし、印刷中は駆動部としての各種モータからのノイズが回り込んで電源測定値Vad0がずれてしまうため、CPU42は、印刷開始時に1回、電源測定値Vad0を測定する。一方、サーミスタ44a及び44bの出力は印刷中に読み取る必要があるため、CPU42は、例えば10[mS]毎に読取AD値Vad1及びVad2それぞれを5回読み取り、それぞれの最大値及び最小値を取り除いた3回の平均値を読取AD値Vad1及びVad2として使用する。なお実際には画像形成装置1は、印刷中よりも前の印刷開始前から常時定期的に読取AD値Vadを読み取っている。
【0056】
[5.印刷処理]
次に、画像形成装置1による印刷処理手順RT1について、
図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0057】
ホストから印刷データ及び印刷指示を受信すると、CPU42は、図示しない記憶部から印刷処理プログラムを読み出して実行することにより
図3に示す印刷処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。なお上述したようにCPU42は、印刷処理手順RT1を開始する前の段階から、定期的に読取AD値Vadを読み込んでいる。
【0058】
ステップSP1においてCPU42は、端子AD0に入力された、3.3[V]電源が抵抗器50の抵抗分圧により1.1[V]に落とされた電圧である電源降圧電圧Vdを端子AD0から読み込み、ステップSP2へ移る。
【0059】
ステップSP2においてCPU42は、ステップSP1において読み取った電源降圧電圧Vdの読み取り値を電源測定値Vad0として記憶部に記憶することにより電源測定値Vad0を更新し、上述した(1)式による読取AD値Vadの補正を開始して補正後AD値Vadcを生成し、ステップSP3へ移る。ステップSP2以後もCPU42は、定期的に読取AD値Vadを読み込み、上述した(1)式による読取AD値Vadの補正を行い補正後AD値Vadcを生成する。
【0060】
ステップSP3においてCPU42は、ヒータ82の制御を開始することによりヒータ82の温めを開始し、ステップSP4へ移る。ステップSP4においてCPU42は、用紙カセット3やホストからの指定条件に従い、印刷速度、定着温度や転写電圧等の印刷パラメータを決定してレジスタにセットし、ステップSP5へ移る。このときCPU42は、決定した定着温度から20[℃]を減算した値を、給紙開始温度として設定する。
【0061】
ステップSP5においてCPU42は、補正後AD値Vadc1が給紙開始温度に到達するまで待機し、補正後AD値Vadc1が給紙開始温度に到達すると、ステップSP6へ移る。
【0062】
ステップSP6においてCPU42は、給紙を開始することにより用紙Pの搬送を開始すると共に、画像形成部9の各ローラの回転を開始し、これら各ローラに印加させる高圧の制御を開始し、ステップSP7へ移る。ここで、用紙Pが搬送され定着器24に入る手前の時点で定着ローラ25が定着温度に到達する。
【0063】
ステップSP7においてCPU42は、定着ローラ25が定着温度に到達した後、定着ローラ25の温度を定着温度に保持するよう制御し、ステップSP8へ移る。ステップSP8においてCPU42は、画像形成部9によりトナーが転写された用紙Pが定着器24に入ると、定着器24を制御して用紙Pへのトナーの定着を開始し、ステップSP9へ移る。このときCPU42は、用紙Pが熱を奪うため、細かな温度制御を行う。
【0064】
ステップSP9においてCPU42は、指示された枚数の印刷を完了すると、印刷を終了し、ステップSP10へ移る。ステップSP10においてCPU42は、ヒータ82の制御を終了して待機状態に復帰し、ステップSP11へ移り、印刷処理手順RT1を終了する。
【0065】
[6.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、1.8[V]の電圧により駆動されるCPU42に組み込まれたADコンバータと、1.8[V]よりも高い3.3[V]の電圧により駆動され、1.8[V]よりも電圧が高いアナログ電圧を出力するサーミスタ44とを設け、サーミスタ44のアナログ出力電圧を抵抗器48U及び48Dで下げてサーミスタ出力降圧電圧VsとしてCPU42に入力するようにした。また画像形成装置1は、サーミスタ44の電源電圧である3.3[V]を抵抗器50で下げて電源降圧電圧Vdを生成しCPU42に入力するようにした。さらに画像形成装置1は、電源降圧電圧Vdと、該電源降圧電圧Vdの理想値とを比較し、サーミスタ出力降圧電圧Vsの値を補正するようにした。具体的に画像形成装置1は、読取AD値Vad×電源測定値Vad0の理想値/電源測定値Vad0を算出することにより、読取AD値Vadを補正し、補正後AD値Vadcを算出するようにした。
【0066】
このため画像形成装置1は、ADコンバータの電源電圧よりも高い電圧で駆動している素子のアナログ出力が入力され、該アナログ出力をAD変換する場合であっても、AD変換の精度を保つことができる。これにより画像形成装置1は、ヒータ82の温度を細かく制御でき、定着温度が高すぎることで起きるホットオフセットや、定着温度が低すぎることで起きる定着不良といった不具合の無い良好な画像を得ることができる。
【0067】
ここで、抵抗器50の抵抗分圧値を変更し、サーミスタ44の3.3[V]の電源電圧を、例えば、半分の1.65[V]にしてCPU42の端子AD0に入力させることも考えられる。しかしながらその場合、端子AD0に入力される電圧が、1.8[V]で動作しているCPU42の入力上限の電圧に近くなってしまい、電源測定値Vad0の誤差が大きくなってしまう傾向にある。
【0068】
これに対し画像形成装置1は、サーミスタ44の3.3[V]の電源電圧を、1.8[V]で動作しているCPU42の入力上限の略中央値近辺である1.1[V]にしてCPU42の端子AD0に入力させるようにした。このため画像形成装置1は、サーミスタ44の3.3[V]の電源電圧が分圧された電圧を端子AD0において読み取る際の誤差を小さくできる。
【0069】
以上の構成によれば画像形成装置1は、第1の電源電圧としての1.8[V]により駆動されるCPU42に組み込まれたADコンバータと、1.8[V]よりも高い第2の電源電圧としての3.3[V]により駆動され、1.8[V]よりも電圧が高いアナログ電圧を出力し、該アナログ電圧が下げられ検出素子出力降圧電圧としてのサーミスタ出力降圧電圧VsとしてCPU42に入力しサーミスタ出力降圧電圧Vsのデジタル値を出力させるサーミスタ44と、3.3[V]を下げて電源降圧電圧Vdを生成しCPU42に入力し電源降圧電圧Vdのデジタル値を出力させる抵抗器50と、電源降圧電圧Vdのデジタル値と、予め記憶した該電源降圧電圧Vdの理想値とを比較し、サーミスタ出力降圧電圧Vsのデジタル値を補正するCPU42と、用紙Pに画像を形成する画像形成部9とを設けるようにした。
【0070】
これにより画像形成装置1は、ADコンバータの電源電圧よりも高い電圧で駆動している素子であるサーミスタ44のアナログ出力が入力され、該アナログ出力をAD変換する場合であっても、AD変換の精度を保つことができる。
【0071】
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、LDOレギュレータ78により3.3[V]を生成し、DC-DCコンバータ80により1.8[V]を生成する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、例えばDC-DCコンバータ80により1.8[V]及び3.3[V]を生成する等、他の種々の素子により、1.8[V]及び3.3[V]を生成しても良い。
【0072】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、サーミスタ44を3.3[V]の電源電圧で駆動し、CPU42を1.8[V]の電源電圧で駆動する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、例えばサーミスタ44を5.0[V]の電源電圧で駆動する等、サーミスタ44の方がCPU42よりも電源電圧が高ければ、サーミスタ44及びCPU42を他の種々の電源電圧で駆動しても良い。
【0073】
さらに上述した実施の形態においては、サーミスタ44の検出結果をAD変換する場合に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、湿度センサ等、他の種々の素子の検出結果をAD変換する場合に本発明を適用しても良い。
【0074】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、サーミスタ44の3.3[V]の電源電圧を抵抗器50により抵抗分圧する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、サーミスタ44の3.3[V]の電源電圧を例えばツェナーダイオード等、他の種々の素子により降圧しても良い。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、ASICであるCPU42に組み込まれたADコンバータに本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、単体のADコンバータに本発明を適用しても良い。
【0076】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷処理手順RT1において読取AD値Vad1を補正して補正後AD値Vadc1を生成し該補正後AD値Vadc1に基づきリレー76のON/OFFを制御することにより、ヒータ82の温度を制御する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、印刷処理手順RT1において読取AD値Vad2を補正して補正後AD値Vadc2を生成し該補正後AD値Vadc2に基づき図示しないリレーのON/OFFを制御することにより、定着バックアップローラ26の温度を制御しても良い。
【0077】
さらに上述した実施の形態においては、カラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0078】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、ADコンバータとしてのCPU42と、検出素子としてのサーミスタ44と、電圧低下部としての抵抗器50と、制御部としてのCPU42と、画像形成部としての画像形成部9とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるADコンバータと、検出素子と、電圧低下部と、制御部と、画像形成部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、AD変換を行う場合に利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1……画像形成装置、2……筐体、3……用紙カセット、4……給紙ローラ、5……給紙センサ、6、7……搬送ローラ、8……書込センサ、9……画像形成部、10……画像形成ユニット、11……プリントヘッド、12……供給ローラ、13……現像ローラ、14……感光ドラム、15……帯電ローラ、16……トナーカートリッジ、17……現像装置、18……転写ユニット、19……搬送ベルト、20……搬送ベルト駆動ローラ、21……搬送ベルト従動ローラ、22……転写ローラ、24……定着器、25……定着ローラ、26……定着バックアップローラ、27……排出センサ、28、29……排出ローラ、30……スタッカ、W……搬送路、40……プリンタ制御部、42……CPU、44a、44b……サーミスタ、46a、46b……オペアンプ、48Ua、48Da、48Ub、48Db、50a、50b、50c……抵抗器、52、54……モータドライバ、56……給紙モータ、58……ドラムモータ、60……搬送ベルトモータ、62……定着モータ、70……電源部、72……商用電源、74……5V24V生成部、76……リレー、78……LDOレギュレータ、80……DC-DCコンバータ、82……ヒータ、AD0、AD1、AD2……端子、Vd……電源降圧電圧、Vsa、Vsb……サーミスタ出力降圧電圧、Vad1、Vad2……読取AD値、Vadc1、Vadc2……補正後AD値、Vad0……電源測定値。