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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062824
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】印刷管理装置及び印刷管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 304
G06F3/12 388
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170922
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】尾形 恵一
(57)【要約】
【課題】印刷ジョブを移動先において印刷させるよう指示した印刷者が、移動先に到着した際に印刷物を受け取り得るようにする。
【解決手段】印刷管理システム1は、印刷者の指示によりジョブ群として設定された複数の印刷ジョブを、当該印刷者が所持する携帯情報端末4から得られる位置情報の経時変化を基に算出される到着予想時刻に合わせたジョブ群印刷開始時刻から、プリンタ3Cにおいて連続して印刷させる。また印刷管理システム1は、割込印刷ジョブがあったとしても、ジョブ群印刷開始時刻よりも前に印刷処理を完了できない場合には、ジョブ群の印刷処理を完了した後に、当該割込印刷ジョブを印刷させる。これにより印刷管理システム1では、印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着するまでに、ジョブ群に登録された各印刷ジョブの印刷処理を完了させ、直ちに印刷物を受け取らせることができる。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末又は携帯情報端末からの指示に基づき、画像形成装置において印刷処理を行うべき印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、
前記画像形成装置において前記印刷ジョブの前記印刷処理を行う場合に要する時間である印刷ジョブ印刷所要時間を算出する所要時間算出部と、
前記画像形成装置の位置を表す画像形成装置位置情報を記憶する記憶部と、
前記携帯情報端末の位置を表す携帯情報端末位置情報を取得する携帯情報端末位置情報取得部と、
画像形成装置位置情報及び前記携帯情報端末位置情報、並びに時間経過に伴う当該携帯情報端末位置情報の変化を基に、前記携帯情報端末が前記画像形成装置の近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、
前記到着予想時刻から前記印刷ジョブ印刷所要時間だけ前の時刻を印刷開始時刻として設定する印刷開始時刻設定部と、
前記印刷開始時刻に、前記印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させるジョブ管理部と
を具えることを特徴とする印刷管理装置。
【請求項2】
前記クライアント端末又は前記携帯情報端末からの指示に基づき、複数の前記印刷ジョブをひとまとまりとして取り扱うジョブ群を設定するジョブ群設定部
をさらに具え、
前記印刷ジョブ取得部は、複数の前記印刷ジョブを取得し、
前記所要時間算出部は、前記画像形成装置において前記ジョブ群に属する全ての前記印刷ジョブの前記印刷処理を行う場合に要する時間であるジョブ群印刷所要時間を算出し、
前記印刷開始時刻設定部は、前記到着予想時刻から前記ジョブ群印刷所要時間だけ前の時刻をジョブ群印刷開始時刻として設定し、
前記ジョブ管理部は、前記ジョブ群印刷開始時刻に、前記ジョブ群に属する前記複数の印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させる
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷管理装置。
【請求項3】
前記ジョブ群設定部は、前記クライアント端末又は前記携帯情報端末からの指示に基づき、前記印刷ジョブそれぞれに対しセキュリティ属性の有無を設定し、
前記所要時間算出部は、前記ジョブ群に属する全ての前記印刷ジョブのうち、前記セキュリティ属性を設定しなかった通常印刷ジョブのみを対象として、前記画像形成装置において前記印刷処理を行う場合に要する時間を前記ジョブ群印刷所要時間として算出し、
前記ジョブ管理部は、前記ジョブ群印刷開始時刻に、前記ジョブ群に属する前記通常印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させると共に、当該通常印刷ジョブとは別に、前記セキュリティ属性が設定された機密印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させる
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷管理装置。
【請求項4】
前記ジョブ管理部は、前記機密印刷ジョブに対し、前記印刷処理を行う前に前記画像形成装置において当該機密印刷ジョブの前記印刷処理を指示したユーザ又は前記携帯情報端末による認証処理が必要であることを表す認証属性を設定した上で、当該画像形成装置へ供給させる
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷管理装置。
【請求項5】
前記ジョブ管理部は、前記ジョブ群印刷開始時刻に、前記ジョブ群に属する前記通常印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させた後、前記機密印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させる
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷管理装置。
【請求項6】
前記ジョブ群設定部は、前記クライアント端末又は前記携帯情報端末からの指示に基づき、前記印刷ジョブそれぞれに対しセキュリティ属性の有無を設定し、
前記所要時間算出部は、前記画像形成装置において、前記セキュリティ属性の有無に関わらず、前記ジョブ群に属する全ての前記印刷ジョブの前記印刷処理を行う場合に要する時間を前記ジョブ群印刷所要時間として算出し、
前記ジョブ管理部は、前記ジョブ群印刷開始時刻に、前記ジョブ群に属する前記印刷ジョブのうち前記セキュリティ属性が設定されなかった通常印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させ、続けて前記セキュリティ属性が設定された機密印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させる
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷管理装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブ取得部において、前記ジョブ群設定部により前記ジョブ群が設定された後、前記ジョブ群印刷開始時刻までの間に、前記印刷処理の順序を優先すべき割込印刷ジョブを取得した場合、
前記所要時間算出部は、前記割込印刷ジョブの前記印刷処理を直ちに開始した場合に完了する時刻である割込印刷完了時刻を算出し、
前記ジョブ管理部は、
前記割込印刷完了時刻が前記ジョブ群印刷開始時刻よりも前である場合、直ちに前記割込印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させ、
前記割込印刷完了時刻が前記ジョブ群印刷開始時刻以降である場合、前記ジョブ群に属する全ての前記印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させた後に、前記割込印刷ジョブを前記画像形成装置へ供給させる
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷管理装置。
【請求項8】
前記ジョブ群設定部は、前記携帯情報端末を識別するための携帯情報端末識別情報を、前記ジョブ群に関する情報と対応付けて管理し、
前記携帯情報端末位置情報取得部は、前記携帯情報端末識別情報を用いることにより前記携帯情報端末から取得した位置に関する情報を、前記携帯情報端末位置情報とする
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷管理装置。
【請求項9】
画像形成装置から離隔した位置にあるクライアント端末又は携帯情報端末からの指示に基づき、当該画像形成装置において印刷処理を行うべき複数の印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、
前記画像形成装置において前記複数の印刷ジョブの前記印刷処理を行う場合に要する時間である印刷ジョブ印刷所要時間を算出する所要時間算出部と、
前記画像形成装置の位置を表す画像形成装置位置情報を記憶する記憶部と、
前記携帯情報端末の位置を表す携帯情報端末位置情報を取得する携帯情報端末位置情報取得部と、
画像形成装置位置情報及び前記携帯情報端末位置情報、並びに時間経過に伴う当該携帯情報端末位置情報の変化を基に、前記携帯情報端末が前記画像形成装置の近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、
前記到着予想時刻から前記複数の印刷ジョブ印刷所要時間だけ前の時刻を印刷開始時刻として設定する印刷開始時刻設定部と、
前記印刷開始時刻に、前記複数の印刷ジョブを前記画像形成装置へ連続して供給させるジョブ管理部と
を具えることを特徴とする印刷管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷管理装置及び印刷管理システムに関し、例えば画像形成装置(いわゆるプリンタ)の遠方にいる印刷者から供給された印刷ジョブを当該プリンタにより実行して印刷し、生成された印刷物を当該印刷者に受け取らせる印刷管理システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷管理システムとして、印刷管理サーバ、プリンタ及びクライアント端末等をネットワークにより総合に接続したものが知られている。この印刷管理システムでは、例えば印刷者の操作に基づきクライアント端末から供給される印刷ジョブを、印刷管理サーバにより蓄積及び管理し、該印刷ジョブを印刷管理サーバからプリンタへ供給して印刷処理を実行させるようになっている。
【0003】
またこの印刷管理システムは、例えば複数の拠点を有する企業等において、複数のクライアント端末や複数のプリンタを各拠点にそれぞれ設置すると共に、ネットワークにより各拠点間を接続するように構成される場合もある。このように構成された印刷管理システムでは、例えば出張等によりある拠点から他の拠点に移動する予定の印刷者が、移動前に他の拠点のプリンタに対して印刷ジョブを送信して印刷させることにより、移動後に直ちに印刷物を受け取ることが可能となる。この場合、印刷者は印刷物を持ち運ぶ必要が無く、また印刷処理の完了を待つ必要も無い。
【0004】
しかし、このように構成された印刷管理システムでは、プリンタの排出トレイ等に印刷物を長時間放置することになるため、他の印刷者の迷惑になる等の問題を生じる恐れがある。そこで、例えば印刷者が携帯するスマートフォン等の携帯情報端末により位置情報を取得し、当該位置情報を基に得られる当該携帯情報端末とプリンタとの距離が所定値以下である場合に、印刷ジョブをプリンタへ供給して印刷させる印刷管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-501910号公報(図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一般に、拠点間の移動のような長距離を移動する場合、様々な交通手段や様々な経路を利用する可能性がある。このためこの印刷管理システムでは、単純に距離のみを基に印刷を開始させたとしても、印刷処理を完了する時点と印刷者がプリンタの近傍に到着する時点との誤差が大きくなり、印刷物が長時間に渡って放置される恐れや、印刷者を待たせる恐れがある、という問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、印刷ジョブを移動先において印刷させるよう指示した印刷者が、移動先に到着した際に印刷物を受け取り得る印刷管理装置及び印刷管理システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の印刷管理装置においては、クライアント端末又は携帯情報端末からの指示に基づき、当該画像形成装置において印刷処理を行うべき印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、画像形成装置において印刷ジョブの印刷処理を行う場合に要する時間である印刷ジョブ印刷所要時間を算出する所要時間算出部と、画像形成装置の位置を表す画像形成装置位置情報を記憶する記憶部と、携帯情報端末の位置を表す携帯情報端末位置情報を取得する携帯情報端末位置情報取得部と、画像形成装置位置情報及び携帯情報端末位置情報、並びに時間経過に伴う当該携帯情報端末位置情報の変化を基に、携帯情報端末が画像形成装置の近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、到着予想時刻から印刷ジョブ印刷所要時間だけ前の時刻を印刷開始時刻として設定する印刷開始時刻設定部と、印刷開始時刻に、印刷ジョブを画像形成装置へ供給させるジョブ管理部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の印刷管理システムにおいては、画像形成装置から離隔した位置にあるクライアント端末又は携帯情報端末からの指示に基づき、当該画像形成装置において印刷処理を行うべき複数の印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、画像形成装置において複数の印刷ジョブの印刷処理を行う場合に要する時間である印刷ジョブ印刷所要時間を算出する所要時間算出部と、画像形成装置の位置を表す画像形成装置位置情報を記憶する記憶部と、携帯情報端末の位置を表す携帯情報端末位置情報を取得する携帯情報端末位置情報取得部と、画像形成装置位置情報及び携帯情報端末位置情報、並びに時間経過に伴う当該携帯情報端末位置情報の変化を基に、携帯情報端末が画像形成装置の近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、到着予想時刻から複数の印刷ジョブ印刷所要時間だけ前の時刻を印刷開始時刻として設定する印刷開始時刻設定部と、印刷開始時刻に、複数の印刷ジョブを画像形成装置へ連続して供給させるジョブ管理部とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、印刷者により操作されるクライアント端末又は携帯情報端末から印刷ジョブが供給されると、印刷者に携帯された携帯情報端末から得られる携帯情報端末位置情報の時間変化を基に、到着予想時刻を算出してジョブ群印刷開始時刻を設定する。このため本発明は、携帯情報端末を携帯する印刷者が画像形成装置の近傍に到着した時点で、印刷ジョブが印刷された印刷物を受け取らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷ジョブを移動先において印刷させるよう指示した印刷者が、移動先に到着した際に印刷物を受け取り得る印刷管理装置及び印刷管理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態による印刷管理システムの全体構成を示す略線図である。
図2】クライアント端末の回路構成を示す略線的ブロック図である。
図3】プリンタの回路構成を示す略線的ブロック図である。
図4】携帯情報端末の回路構成を示す略線的ブロック図である。
図5】印刷管理サーバの回路構成を示す略線的ブロック図である。
図6】印刷管理サーバの機能構成を示す略線的ブロック図である。
図7】ジョブ群を利用した印刷処理の概要を示す略線図である。
図8】ジョブ群ディスクリプタの構成を示す略線図である。
図9】ジョブ群設定処理手順を示すフローチャートである。
図10】ジョブ群管理処理手順を示すフローチャートである。
図11】ジョブ群印刷処理手順を示すフローチャートである。
図12】セキュリティ属性の有無に応じて各印刷ジョブの実行順序が異なる事例を示す略線図である。
図13】割込印刷ジョブの発生タイミングに応じて各印刷ジョブの実行順序が異なる事例を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.印刷管理システムの構成]
図1に示すように、本実施の形態による印刷管理システム1は、複数の拠点BA、BB及びBC、並びにデータセンタDC等が、ネットワーク7等により相互に接続された構成となっている。
【0015】
拠点BA、BB及びBCは、例えばそれぞれが企業の営業所であり、互いに十分に離れた箇所に設けられている。また拠点BA、BB及びBCには、クライアント端末2(2A、2B1、2B2及び2C)やプリンタ3(3A及び3C)等がそれぞれ設置され、所定の拠点内ネットワーク(図示せず)により相互に接続されている。
【0016】
携帯情報端末4は、例えばスマートフォンやタブレット端末等であり、比較的小型に構成されている。この携帯情報端末4は、使用するユーザにより所持されること、すなわち当該ユーザと共に移動することが想定されている。
【0017】
データセンタDCは、拠点BA、BB及びBCとは異なる箇所に設けられており、印刷管理サーバ5が設置されている。印刷管理サーバ5は、各プリンタ3における印刷処理を統括的に管理しており、各プリンタ3にそれぞれ対応する複数のプリントキュー(詳しくは後述する)が設けられている。この印刷管理サーバ5は、各プリンタ3において印刷処理を行うべき印刷ジョブをクライアント端末2等から受信してプリントキューに順次蓄積し、順序やタイミング等を調整した上で、該印刷ジョブを当該プリンタ3へ送信して印刷処理を実行させるようになっている。
【0018】
ネットワーク7は、各種ケーブル、ハブやルータのような通信機器等(図示せず)の組み合わせにより構成されており、接続された各機器同士の間で種々の情報を送受信させる。移動体通信網8は、例えばいわゆる5G(5th Generation)等のような移動体通信規格に準拠した無線通信網であり、所定の基地局や通信機器、及び各種ケーブル等(図示せず)の組み合わせにより構成されている。この移動体通信網8は、ネットワーク7とも接続されており、携帯情報端末4のような情報通信機器同士の間で、若しくは当該情報通信機器とネットワーク7に接続された各機器との間で、種々の情報を送受信させることができる。
【0019】
情報端末装置としてのクライアント端末2は、例えばデスクトップ型のコンピュータ装置であり、企業の社員等であるユーザにより使用される。このクライアント端末2は、図2に模式的なブロック図を示すように、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24及び操作部25がバス20を介して相互に接続された構成となっている。
【0020】
制御部21は、クライアント端末2を統括的に制御する部分であり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部21は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部22等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0021】
記憶部22は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部23は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)等の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)のインタフェース等を有している。この通信部23は、図示しない拠点内ネットワークやネットワーク7等を介して、他のクライアント端末2やプリンタ3、或いは印刷管理サーバ5等との間で種々の情報を送受信する。
【0022】
表示部24は、例えば液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示デバイスを有しており、制御部21の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部25は、例えばキーボード、マウス又はタッチパッド等であり、ユーザによる操作指示を受け付ける。
【0023】
このクライアント端末2は、ユーザの操作に基づき、例えばワードプロセッサや表計算等の各種アプリケーションを実行し、また作成された文書等のデータをプリンタ3において印刷するための印刷指示を受け付ける。この印刷指示を受け付けた場合、クライアント端末2は、文書等のデータに加えて、当該データの印刷時における用紙のサイズ等の指示を印刷管理サーバ5へ送信する。
【0024】
以下では、このような印刷指示を操作したユーザを印刷者とも呼ぶ。また印刷対象である文書等のデータや、当該データの印刷時における用紙のサイズ等の指示を表す情報等をまとめたものを、印刷ジョブと呼ぶ。クライアント端末2は、1個の文書について印刷指示を受け付ける度に、1個の印刷ジョブを生成し、印刷管理サーバ5へ送信することになる。
【0025】
画像形成装置としてのプリンタ3は、例えば電子写真式の印刷装置であり、制御部31、記憶部32、通信部33、表示部34、操作部35及び画像形成部36がバス30を介して相互に接続された構成となっている。因みにプリンタ3は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0026】
制御部31は、クライアント端末2の制御部21と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部31は、やはり制御部21と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部32等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0027】
記憶部32は、記憶部22と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部33は、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LANや、IEEE802.11(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)等の規格に準拠した無線LAN等のインタフェース等を有している。この通信部33は、図示しない拠点内ネットワークやネットワーク7等を介して、他のクライアント端末2や印刷管理サーバ5等との間で種々の情報を送受信する。
【0028】
表示部34は、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部31の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部35は、例えば表示部34を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや、押下可能な操作ボタン等であり、ユーザによる操作指示を受け付ける。
【0029】
画像形成部36は、例えば媒体としての用紙を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構、或いは各色のトナーを使用してトナー画像を形成する画像形成部や該トナー画像を用紙に定着させる定着部、及び印刷済の用紙を集積する排出トレイ等を有している。
【0030】
このプリンタ3は、後述する印刷管理サーバ5から印刷ジョブを受信すると、制御部31の制御に基づき、画像形成部36において印刷処理(画像形成処理とも呼ばれる)を行い、当該印刷ジョブに含まれるデータに基づいた画像を用紙に形成する(すなわち印刷する)。以下、このようにして印刷された用紙を印刷物又は出力物と呼ぶ。
【0031】
携帯情報装置としての携帯情報端末4は、例えば情報処理機能、通信機能、表示機能及び入力機能等を有するスマートフォンであり、企業の社員等であるユーザにより所持され、使用される。この携帯情報端末4は、図4に模式的なブロック図を示すように、制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、操作部45及び位置検出部46がバス40を介して相互に接続された構成となっている。
【0032】
制御部41は、クライアント端末2の制御部21等と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部41は、やはり制御部21と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部42等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0033】
記憶部42は、例えばSSDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。また携帯情報端末4には、当該携帯情報端末4を一意に識別するための情報である携帯情報端末識別情報が予め割り当てられている。記憶部42には、この携帯情報端末識別情報が予め格納されている。
【0034】
通信部43は、例えばIEEE802.11等の規格に準拠した無線LANや、5G等のような移動体通信規格に準拠した無線通信等のインタフェースを有している。この通信部43は、移動体通信網8及びネットワーク7等を介して、プリンタ3や印刷管理サーバ5等との間で種々の情報を送受信する。
【0035】
表示部44は、例えば液晶や有機EL等の表示デバイスを有しており、制御部41の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部45は、例えば表示部44を構成する表示デバイス表面に設けられたタッチセンサや、押下可能な操作ボタン等であり、ユーザによる操作指示を受け付ける。
【0036】
位置検出部46は、例えばGPS(Global Positioning System)アンテナや所定の信号処理回路等を有しており、GPS衛星(図示せず)から受信したGPS信号等を基に、携帯情報端末4の現在位置を表す位置情報を生成し、これを制御部41へ供給する。このとき生成された位置情報(以下これを携帯情報端末位置情報とも呼ぶ)は、携帯情報端末4の位置を表すと共に、当該携帯情報端末4を携帯するユーザの位置も表すことになる。
【0037】
印刷管理装置としての印刷管理サーバ5(図1)は、種々の情報処理や演算処理を行うコンピュータ装置であり、図5に模式的なブロック図を示すように、制御部51、記憶部52及び通信部53がバス50を介して相互に接続された構成となっている。
【0038】
制御部51は、クライアント端末2の制御部21等と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部51は、やはり制御部21等と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部32等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部51は、図示しない計時回路を有しており、現在時刻を知得することができる。
【0039】
記憶部52は、記憶部22等と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部53は、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LAN等のインタフェース等を有している。この通信部53は、ネットワーク7等を介して、クライアント端末2やプリンタ3、或いは携帯情報端末4等との間で種々の情報を送受信する。
【0040】
また印刷管理サーバ5は、制御部51が記憶部52から所定のアプリケーションプログラムを読み出して実行することにより、図6に示すように、スプーラサービス61及び印刷ジョブマネージャ62といった複数の機能ブロックを形成する。
【0041】
スプーラサービス61は、印刷ジョブPJの蓄積やプリンタ3への供給を行う部分である。スプーラサービス61の内部には、各プリンタ3(3A及び3C)とそれぞれ対応する複数のプリントキュー63(63A及び63C)が設けられている。各プリントキュー63は、クライアント端末2等から印刷ジョブPJを受信すると、当該印刷ジョブPJを一時的に蓄積した後、後述する印刷ジョブマネージャ62の指示に基づき、対応するプリンタ3へ供給する。
【0042】
印刷ジョブマネージャ62は、各プリントキュー63に蓄積された各印刷ジョブPJをプリンタ3へ供給すべきタイミングや順序等を管理する部分である。印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64、ジョブ群ディスクリプタ保持部65、プリンタ情報保持部66、印刷者位置情報取得部67及び印刷管理コンソール68を有している。
【0043】
ジョブコントローラ64は、各プリントキュー63に蓄積された各印刷ジョブPJそれぞれを管理及び制御する部分である。このジョブコントローラ64には、さらにジョブ群ディスクリプタ処理部71、スプーラサービス制御部72及び時刻算出処理部73を有している。ジョブ群設定部としてのジョブ群ディスクリプタ処理部71は、後述するジョブ群ディスクリプタに関する処理を行う。スプーラサービス制御部72は、スプーラサービス61を制御する。時刻算出処理部73は、時間及び時刻に関する種々の計算処理を行う。
【0044】
ジョブ群ディスクリプタ保持部65は、複数のジョブ群ディスクリプタ75を保持する。このジョブ群ディスクリプタ75は、複数の印刷ジョブPJをひとまとめにしたジョブ群として取り扱う場合における、当該ジョブ群に関する情報をひとまとめにしたものである。なお、ジョブ群に関する詳細な説明については後述する。
【0045】
プリンタ情報保持部66は、複数のプリンタ情報76を保持する。各プリンタ情報76には、1台のプリンタ3に関する情報がそれぞれ含まれている。具体的にプリンタ情報76には、例えば当該プリンタ3のノード名やネットワーク上のアドレス、印刷可能な用紙の種類、両面印刷や縮小印刷等のような各種機能の有無等が含まれる。これに加えてプリンタ情報76には、当該プリンタ3が設置されている位置に関する情報、例えば緯度、経度及び高度を表す情報等も含まれる。説明の都合上、以下では、このプリンタ3の位置に関する情報を、プリンタ位置情報又は画像形成装置位置情報と呼ぶ。
【0046】
携帯情報端末位置情報取得部としての印刷者位置情報取得部67は、印刷ジョブの印刷を指示した印刷者の位置に関する情報として、当該印刷者が所持する携帯情報端末4(図1)から位置情報を取得する部分である。具体的に印刷者位置情報取得部67は、携帯情報端末4に対して位置情報の送信を要求する印刷者位置情報要求部77と、該携帯情報端末4から位置情報を受信する印刷者位置情報受信部78とを有している。
【0047】
印刷管理コンソール68は、クライアント端末2(図1)等からのウェブブラウザを介したアクセスに応じて、当該ウェブブラウザに所定の印刷管理画面を表示させる。これにより印刷管理コンソール68は、当該クライアント端末2を操作するユーザから、印刷ジョブやジョブ群等に関する操作指示を受け付ける。
【0048】
[2.ジョブ群の概要及び構成]
次に、印刷管理システム1におけるジョブ群を使用した各印刷ジョブの印刷処理について、図7を参照しながら概要を説明する。この図7は、印刷管理システム1における印刷ジョブPJの流れや印刷者U及び携帯情報端末4の移動の様子等を、模式的に表したものである。ここでは、前提として、印刷者Uが拠点BAから拠点BCへ移動する予定であり、且つ移動後の拠点BCにおいて複数の印刷物の入手を望んでいる場合を想定する。また印刷者Uは、携帯情報端末4を所持しているものとする。
【0049】
まず印刷者Uは、拠点BAにおいて、クライアント端末2Aを操作し、拠点BCのプリンタ3Cにおいて印刷処理を行わせるべく、印刷管理サーバ5のスプーラサービス61に設けられたプリントキュー63Cを宛先として、複数の印刷ジョブPJを順次送信させる。このときスプーラサービス61は、各印刷ジョブPJをプリントキュー63Cに蓄積する。
【0050】
次に印刷者Uは、クライアント端末2Aから印刷管理サーバ5にアクセスし、プリントキュー63Cに蓄積されている複数の印刷ジョブPJを適宜選択することにより、ジョブ群の設定登録を行う。このときジョブ群に関して設定された内容は、ジョブ群ディスクリプタ75に登録される。このジョブ群ディスクリプタ75には、印刷者Uが所持している携帯情報端末4を識別するための携帯情報端末識別情報等も登録される。また印刷ジョブマネージャ62のプリンタ情報76には、プリンタ3Cの位置情報が記憶されている。
【0051】
印刷ジョブマネージャ62は、時刻算出処理部73により、ジョブ群に登録された全ての印刷ジョブPJを実行する(印刷する)のに要するジョブ群印刷所要時間を算出し、到着予想時刻よりもジョブ群印刷所要時間だけ前のジョブ群印刷開始時刻を決定する。
【0052】
また印刷ジョブマネージャ62は、印刷者位置情報取得部67により、携帯情報端末4から位置情報を繰り返し取得し、印刷者Uの位置情報と見なす。また印刷ジョブマネージャ62は、時刻算出処理部73により、印刷者Uの位置情報の時間変化と、プリンタ情報76とを基に、該印刷者Uが拠点BCに到着する到着予想時刻を算出する。
【0053】
やがて印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群印刷開始時刻になると、ジョブ群に登録された各印刷ジョブPJをプリントキュー63Cからプリンタ3Cへ順次送信させる。これにより当該プリンタ3Cは、各印刷ジョブの印刷処理を順次実行し、到着予想時刻までに印刷物の生成を完了する。かくして印刷管理システム1では、印刷者Uが拠点BCに到着した際に、ジョブ群に属する各印刷ジョブの印刷物を直ちに受け取らせることができる。
【0054】
次に、ジョブ群に関する情報が格納されるジョブ群ディスクリプタ75の構成について、模式的に表した図8を参照しながら説明する。
【0055】
ジョブ群ディスクリプタ75には、ジョブ情報として、所属する各印刷ジョブに関する種々の情報が格納される。具体的にジョブ情報には、ジョブID(IDentifier)、ページ数、オブジェクト数、及びセキュリティ高設定等の情報がそれぞれ格納される。これらの情報は、何れもクライアント端末2等において印刷ジョブPJが生成された際に、当該印刷ジョブPJ内に埋め込まれている。
【0056】
ジョブIDは、各印刷ジョブPJを一意に識別するための情報であり、例えば当該印刷ジョブPJを生成したクライアント端末2(図7)により割り当てられる。ページ数は、当該印刷ジョブPJの印刷データを全て印刷した場合に必要な用紙の枚数である。オブジェクト数は、当該印刷ジョブPJを構成する各オブジェクトの総数である。このオブジェクトとは、例えば文字や図形等を所定の言語等によって記述したものである。プリンタ3では、印刷処理の実行時に、オブジェクトの数に応じて処理時間が変動することになる。
【0057】
セキュリティ属性は、当該印刷ジョブPJに含まれるデータの機密性や秘匿性に関する情報であり、印刷者によるジョブ群の設定登録時に、機密性が不要である「オフ」、又は機密性が必要である「オン」に設定される。セキュリティ属性がオフであれば、当該印刷ジョブPJに基づいて生成された印刷物は、プリンタ3の排出トレイに放置されることにより第三者に参照されたとしても問題が無いことを意味する。一方、セキュリティ属性がオンであれば、当該印刷ジョブPJに基づいて生成された印刷物は、プリンタ3の排出トレイに放置されること、すなわち第三者に参照されることを、未然に防止する必要があることを意味する。
【0058】
説明の都合上、以下では、ジョブ群に属する各印刷ジョブのうち、セキュリティ属性がオンであるものを機密印刷ジョブとも呼び、セキュリティ属性がオフであるものを通常印刷ジョブとも呼ぶ。
【0059】
またジョブ群ディスクリプタ75には、各印刷ジョブのジョブ情報に加えて、ジョブ群に関する情報として、ユーザID、携帯情報端末識別情報、印刷対象プリンタ、総ジョブ数、ジョブ群印刷所要時間及びジョブ群印刷開始時刻等の情報も格納されている。
【0060】
ユーザIDは、各ユーザ(印刷者)を一意に識別するための情報であり、予め各ユーザに割り当てられている。このユーザIDは、例えばユーザがクライアント端末2にログオンする際や、当該クライアント端末2から印刷管理サーバ5にアクセスする際などに使用される。
【0061】
携帯情報端末識別情報は、携帯情報端末4(図1等)を一意に識別するための情報であり、予め当該携帯情報端末4に割り当てられ、記憶部42(図4)等に格納されている。例えばユーザ(印刷者)は、例えばジョブ群を設定する際に、携帯情報端末4を適宜操作して表示部44(図4)に表示された携帯情報端末識別情報を参照し、入力するようになっている。
【0062】
印刷対象プリンタは、各印刷ジョブを実行すべき、すなわち印刷処理を行うべきプリンタ3を表す情報である。この印刷対象プリンタは、例えば各プリンタ3に対して予め一意に設定された、ネットワーク上でのプリンタ名(ネットワークプリンタ名やノード名とも呼ばれる)やネットワークアドレス等が格納される。
【0063】
総ジョブ数は、当該ジョブ群に設定登録された印刷ジョブPJの数が格納される。ジョブ群印刷所要時間は、当該ジョブ群に設定登録された全ての印刷ジョブPJをプリンタ3において実行する(すなわち印刷処理を行う)際に要する時間である。このジョブ群印刷所要時間は、各印刷ジョブPJにおけるページ数やオブジェクト数等を基に、所定の演算式に基づいて算出される。またジョブ群印刷開始時刻は、上述したように、プリンタ3において当該ジョブ群に含まれる各印刷ジョブPJの実行(すなわち印刷処理)を開始するべき時刻である。
【0064】
[3.ジョブ群の設定及び印刷処理の実行]
次に、印刷管理システム1においてジョブ群を設定した印刷処理を行う場合における、印刷管理サーバ5の詳細な処理手順について、図9図10及び図11のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、図7に示した場合と同様に、前提として、拠点BAにいるユーザ(すなわち印刷者)がクライアント端末2Aを操作して複数の印刷ジョブPJを印刷管理サーバ5へ送信した後、当該印刷者が携帯情報端末4を所持して拠点BCへ移動するものとする。
【0065】
[3-1.ジョブ群設定処理]
印刷管理サーバ5の制御部51(図5)は、電源が投入されると、所定のオペレーティングシステムを起動させ、各種初期化プログラム等を実行した後、ジョブ群設定処理手順RT1(図9)を開始し、最初のステップSP1に移る。
【0066】
ステップSP1において制御部51は、印刷ジョブマネージャ62(図6)により、印刷者の操作に基づき、クライアント端末2等から文書等のデータをプリンタ3において印刷させるための印刷指示を受け付け、次のステップSP2に移る。具体的に制御部51は、拠点BAにあるクライアント端末2Aから、拠点BCにあるプリンタ3Cにより印刷処理を行うための印刷指示が含まれた印刷ジョブを受信する。ステップSP2において制御部51は、ジョブコントローラ64(図6)により、受信した印刷ジョブPJをプリントキュー63Cに格納させ、次のステップSP3に移る。
【0067】
ステップSP3において制御部51は、ジョブコントローラ64により、当該印刷ジョブPJを保留状態に設定し、次のステップSP4に移る。この保留状態は、当該印刷ジョブPJの印刷処理を直ちに開始せずにプリントキュー63Cに保持しておくことを意味する。因みにプリントキュー63Cは、ジョブコントローラ64によりこの保留状態が解除されると、当該印刷ジョブPJをプリンタ3へ送信して印刷させることになる。
【0068】
ステップSP4において制御部51は、クライアント端末2Aからの印刷指示の受付(すなわち印刷ジョブPJの受信)が完了したか否かを判定する。ここで制御部51は、例えば当該クライアント端末2Aから新たな印刷ジョブPJを受信した場合等に、否定結果が得られたと判定し、再度ステップSP1に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0069】
一方、制御部51は、例えば当該クライアント端末2Aから印刷管理コンソール68へのアクセスを受け付けた場合、当該クライアント端末2Aから送信すべき印刷ジョブPJが全て送信済であり、肯定結果が得られたと判定して、次のステップSP5に移る。
【0070】
ステップSP5において制御部51は、印刷者の操作に基づきクライアント端末2Aから印刷管理コンソール68へのアクセスを受け付けると、当該印刷管理コンソール68を開始し、次のステップSP6に移る。ステップSP6において制御部51は、印刷管理コンソール68において、印刷者の操作に基づきクライアント端末2Aからジョブ群の設定を開始する指示を受け付けると、次のステップSP7に移る。
【0071】
具体的に印刷管理コンソール68は、まず当該印刷者から受信した全ての印刷ジョブPJに関する情報が一覧形式で配置された印刷ジョブリスト(図示せず)を、クライアント端末2Aの表示部24に表示させる。この印刷ジョブリストは、各印刷ジョブPJに対し、選択又は非選択の操作を受け付け得るようになっている。次に印刷管理コンソール68は、印刷者に対し、この印刷ジョブリストに表示された各印刷ジョブPJから、ひとまとまりのジョブ群として構成したいものを全て選択させる。
【0072】
ステップSP7において制御部51は、印刷管理コンソール68により、選択された各印刷ジョブPJについてのセキュリティ属性に関する指示を受け付け、次のステップSP8に移る。ここで、印刷ジョブPJのセキュリティ属性をオンに設定した場合、印刷者が拠点BC(すなわちプリンタ3Cの近傍)に到着し、所定の認証処理を行った後に、当該印刷ジョブPJの印刷処理を開始することを意味する。
【0073】
ステップSP8において制御部51は、印刷者によるジョブ群の設定操作が完了したか否か、具体的には、印刷管理コンソール68に対しジョブ群の設定を完了するための所定操作を受け付けたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは印刷者にジョブ群の設定に関する操作を継続する意思があることを表している。このとき制御部51は、再びステップSP6に移り、一連の処理を繰り返す。
【0074】
一方、ステップSP8において肯定結果が得られると、このことは印刷者がこれまでに操作した内容でジョブ群の設定を完了する意思があることを表している。このとき制御部51は、次のステップSP9に移り、クライアント端末2Aの表示部24に所定のメッセージ等及び所定の入力欄等を表示させることにより、印刷者に対し、当該印刷者が所持している携帯情報端末4の携帯情報端末識別情報を入力させ、その次のステップSP10に移る。
【0075】
ステップSP10において制御部51は、ジョブコントローラ64の時刻算出処理部73(図6)により、ジョブ群の印刷処理をプリンタ3Cにおいて実行した場合に要する時間であるジョブ群印刷所要時間を算出し、次のステップSP11に移る。ただしプリンタ3Cでは、セキュリティ属性がオンである機密印刷ジョブに関し、印刷者が当該プリンタ3Cの近傍に到達した後に、所定の認証処理を実行した上で、印刷処理を実行することになる。このため時刻算出処理部73は、当該ジョブ群に属する印刷ジョブPJのうち、セキュリティ属性がオフである通常印刷ジョブについて印刷に要する時間を合計した値を、ジョブ群印刷所要時間とする。
【0076】
ステップSP11において制御部51は、ジョブコントローラ64のジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、設定されたジョブ群の内容を表すジョブ群ディスクリプタ75(図6及び図8)を生成してジョブ群ディスクリプタ保持部65に保持させ、次のステップSP12に移る。このとき生成されるジョブ群ディスクリプタ75には、図8に示したように、各印刷ジョブPJのページ数やセキュリティ属性等の他、設定した印刷者のユーザID、携帯情報端末識別情報、ジョブ群印刷所要時間等も格納される。
【0077】
ステップSP12において制御部51は、印刷管理コンソール68を終了した後、その次のステップSP13に移ってジョブ群設定処理手順RT1を終了する。因みに制御部51は、ジョブ群設定処理手順RT1を繰り返し実行することにより、複数のユーザから複数のジョブ群設定処理を受け付けることができる。このためジョブ群ディスクリプタ保持部65(図6)には、複数のジョブ群が格納される場合がある。
【0078】
因みに印刷管理システム1では、印刷者により登録された後、印刷対象プリンタにより印刷処理を開始するまでの間であれば、当該印刷者からの操作指示により、当該設定内容を変更し得るようになっている。具体的に印刷ジョブマネージャ62は、印刷者からのクライアント端末2A等を介した印刷管理コンソール68(図6)へのアクセスに応じて、設定済のジョブ群に関する設定内容の変更指示を受け付ける。この場合、印刷者は、例えば印刷ジョブの追加、削除や差し替え等、並びにセキュリティ属性の有無の変更等を行うことを指示できる。これに応じてジョブ群ディスクリプタ処理部71は、ジョブ群ディスクリプタ保持部65に保持されているジョブ群ディスクリプタ75を適宜更新する。
【0079】
[3-2.ジョブ群の管理及び印刷処理の開始]
次に、印刷管理サーバ5の制御部51(図5)に形成された印刷ジョブマネージャ62(図6)により、ジョブ群を管理すると共に当該ジョブ群の設定内容に基づき各プリンタ3により印刷を開始させる処理について説明する。
【0080】
印刷ジョブマネージャ62(図6)は、ジョブ群ディスクリプタ保持部65にジョブ群ディスクリプタ75が登録されると、当該ジョブ群ディスクリプタ75に登録されているジョブ群の管理を行う。具体的に印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群管理処理手順RT2(図10)を開始して最初のステップSP21に移る。以下では、当該ジョブ群管理処理手順RT2により管理するジョブ群を、対象ジョブ群と呼ぶ。
【0081】
ステップSP21において印刷ジョブマネージャ62は、印刷者位置情報取得部67(図6)により、携帯情報端末4(図1及び図4)に対して位置情報の送信を要求し、次のステップSP22に移る。具体的に印刷者位置情報取得部67は、印刷者位置情報要求部77(図6)により、ジョブ群ディスクリプタ75(図6及び図8)に格納されている携帯情報端末識別情報を参照し、ネットワーク7(図1)等を介し、当該携帯情報端末識別情報により識別される携帯情報端末4に対して、位置情報の送信を要求する。
【0082】
これに応じて携帯情報端末4は、位置情報の要求を受信すると、位置検出部46(図4)により現在の位置を表す位置情報を生成し、移動体通信網8及びネットワーク7(図1)等を介して、当該位置情報を印刷管理サーバ5へ送信する。
【0083】
ステップSP22において印刷ジョブマネージャ62は、携帯情報端末4から送信された位置情報を受信し、次のステップSP23に移る。以下、このとき得られた位置情報をユーザ位置情報とも呼ぶ。因みにジョブ群管理処理手順RT2では、後述するように、ステップSP30において否定結果が得られる間、ステップSP22を含む一連の処理を繰り返し実行する。このため印刷ジョブマネージャ62は、このステップSP22を実行する度に位置情報を受信でき、時間の経過に伴って得られた複数の位置情報を基に、携帯情報端末4及び印刷者の位置の変化、すなわち移動速度等を算出することできる。
【0084】
ステップSP23において印刷ジョブマネージャ62は、時刻算出処理部73(図6)により、携帯情報端末4を所持している印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出し、次のステップSP24に移る。具体的に時刻算出処理部73は、まず携帯情報端末4から受信した最新及び過去の位置情報を基に、携帯情報端末4の現在位置(以下これを印刷者位置と呼ぶ)及び移動速度を算出する。次に時刻算出処理部73は、ジョブ群ディスクリプタ75の印刷対象プリンタ(図8)及びプリンタ情報保持部66(図6)のプリンタ情報76を参照することにより、対象ジョブ群を実行すべきプリンタ(すなわちプリンタ3C)の位置であるプリンタ位置を読み出す。さらに時刻算出処理部73は、印刷者位置、移動速度及びプリンタ位置を基に、印刷者が移動に要する移動時間を算出し、この移動時間を現在時刻に加算することにより、プリンタ3Cの近傍に到達する到着予想時刻を算出する。
【0085】
ステップSP24において印刷ジョブマネージャ62は、引き続き時刻算出処理部73により、対象ジョブ群のジョブ群ディスクリプタ75に格納されているジョブ群印刷所要時間と到着予想時刻とを基に、対象ジョブ群の印刷処理を開始すべきジョブ群印刷開始時刻を算出し、次のステップSP25に移る。具体的に時刻算出処理部73は、到着予想時刻よりもジョブ群印刷所要時間だけ前の時刻をジョブ群印刷開始時刻として算出する。これにより印刷対象プリンタ(プリンタ3C)では、ジョブ群印刷開始時刻からジョブ群に属する通常印刷ジョブPJの印刷処理を実行すれば、印刷者が拠点BC、すなわちプリンタ3Cの近傍に到着すると予想される到着予想時刻に、当該印刷処理を完了し得ることになる。
【0086】
ステップSP25において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64(図6)により、各クライアント端末2から、プリンタ3Cによる割込印刷ジョブを受け付けたか否かを判定する。ここで割込印刷ジョブとは、他の印刷ジョブよりも優先して印刷処理を開始する旨が設定された印刷ジョブである。ここで肯定結果が得られると、このことはジョブ群に含まれる通常印刷ジョブの印刷処理に要する時間を考慮した上で、当該割込印刷ジョブを実行するタイミングを決定する必要があることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP26に移る。
【0087】
ステップSP26において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64の時刻算出処理部73により、プリンタ3Cにおいて割込印刷ジョブを直ちに実行した場合に印刷処理を完了する時刻である割込印刷完了時刻を算出し、次のステップSP27に移る。
【0088】
ステップSP27において印刷ジョブマネージャ62は、割込印刷完了時刻がジョブ群印刷開始時刻よりも前であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、仮にプリンタ3Cにおいて直ちに印刷処理を開始したとしても、その完了後にジョブ群の印刷処理を開始すれば、印刷者の到着予想時刻までに当該ジョブ群の印刷処理を完了し得ることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP28に移る。
【0089】
ステップSP28において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64のスプーラサービス制御部72(図6)によって、割込印刷ジョブをプリントキュー63Cからプリンタ3Cへ送信させることにより、当該プリンタ3Cにおいて割込印刷ジョブの印刷処理を開始させ、次のステップSP30に移る。
【0090】
一方、ステップSP27において否定結果が得られると、このことは、仮にプリンタ3Cにおいて直ちに印刷処理を開始した場合、その完了後にジョブ群の印刷処理を開始すると、印刷者の到着予想時刻までに当該ジョブ群の印刷処理を完了できないことを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP29に移る。
【0091】
ステップSP29において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64によって、割込印刷ジョブを保留状態に設定することにより、当該割込印刷ジョブの実行を後回しとして、次のステップSP30に移る。
【0092】
ステップSP30において印刷ジョブマネージャ62は、現在時刻がジョブ群印刷開始時刻であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは現時点では対象ジョブ群の印刷処理を開始すべきでは無く、ジョブ群印刷開始時刻になるまで待機する必要があることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、再度ステップSP21に戻ることにより、一連の処理を繰り返しながらジョブ群印刷開始時刻になるのを待機する。また印刷ジョブマネージャ62は、ステップSP21~SP24の処理も繰り返すため、印刷者の現在位置を逐次更新して到着予想時刻もその都度更新することになる。
【0093】
一方、ステップSP30において肯定結果が得られると、このことは現時点において対象ジョブ群の印刷処理を開始すべきであることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP31に移る。ステップSP31において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64により、サブルーチンとしてジョブ群の印刷処理を実行させる(詳しくは後述する)。その後、印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP32に移ってジョブ群管理処理手順RT2を終了する。
【0094】
[3-3.ジョブ群印刷処理]
次に、ジョブ群管理処理手順RT2のステップSP31において、サブルーチンとして実行されるジョブ群印刷処理について、図11のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0095】
印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群管理処理手順RT2(図10)のステップSP31において、サブルーチンとしてジョブ群印刷処理手順RT3(図11)を開始し、最初のステップSP41に移る。
【0096】
因みに印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、対象ジョブ群に属する各印刷ジョブPJについて、所定の送信管理リスト(図示せず)等を利用する等して、プリンタ3Cへ送信済又は未送信の何れであるかを個別に管理するようになっている。
【0097】
ステップSP41において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64のジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、対象ジョブ群において未送信の通常印刷ジョブがあるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは未送信の通常印刷ジョブを印刷対象プリンタであるプリンタ3Cへ送信する必要があることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP42へ移る。
【0098】
ステップSP42において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、ジョブ群ディスクリプタ75を参照した上で、対象ジョブ群に属する未送信の通常印刷ジョブを1個選択し、これを処理対象の印刷ジョブである対象印刷ジョブに設定して、次のステップSP43に移る。
【0099】
ステップSP43において印刷ジョブマネージャ62は、スプーラサービス制御部72により、プリントキュー63Cに保持されている対象印刷ジョブの保留状態を解除してプリンタ3Cへ送信させ、次のステップSP44に移る。これに応じてプリンタ3Cは、対象印刷ジョブを受信し、該対象印刷ジョブの印刷処理を実行して印刷物を生成し、排出トレイ上に集積させていく。
【0100】
ステップSP44において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64(図6)により、各クライアント端末2から、プリンタ3Cによる割込印刷ジョブを新たに受け付けたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、仮に当該割込印刷ジョブを直ちにプリンタ3Cへ送信した場合、印刷者の到着予想時刻までにジョブ群の全ての通常印刷ジョブの印刷処理を完了し得ないことを表している。
【0101】
このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP45に移り、割込印刷ジョブを保留状態に設定する。これによりプリンタ3Cでは、対象ジョブ群に属する全ての通常印刷ジョブの印刷処理を優先して実行することができる。その後、印刷ジョブマネージャ62は、再度ステップSP41に戻ることにより、残りの通常印刷ジョブを1個ずつプリンタ3Cへ送信し、印刷処理を順次実行させていく。
【0102】
一方、ステップSP44において否定結果が得られると、このことは対象ジョブ群の通常印刷ジョブ以外に、プリンタ3Cへ送信すべき他の印刷ジョブが無いことを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、再度ステップSP41に戻ることにより、残りの通常印刷ジョブを1個ずつプリンタ3Cへ送信し、印刷処理を順次実行させていく。
【0103】
一方、ステップSP41において否定結果が得られると、このことは対象ジョブ群に属する全ての通常印刷ジョブについて、プリンタ3Cへの送信を完了したことを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、プリントキュー63Cに残っている他の印刷ジョブPJについても印刷処理を順次行うべく、次のステップSP46に移る。
【0104】
ステップSP46において印刷ジョブマネージャ62は、対象ジョブ群に属する印刷ジョブPJのうち、未送信の機密印刷ジョブがあるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、当該機密印刷ジョブをプリンタ3Cへ送信しておくことにより、印刷者が当該プリンタ3Cの近傍へ到着した後に、印刷処理を行わせ得ることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP47に移る。
【0105】
ステップSP47において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、ジョブ群ディスクリプタ75を参照し、対象ジョブ群に属する未送信の機密印刷ジョブを1個選択して対象印刷ジョブに設定し、次のステップSP48に移る。
【0106】
ステップSP48において印刷ジョブマネージャ62は、対象印刷ジョブ(すなわち機密印刷ジョブ)に対し、印刷時に認証処理が必要であることを表す認証属性を設定し、次のステップSP43に移る。ステップSP43において印刷ジョブマネージャ62は、上述した通常印刷ジョブの場合と同様に、対象印刷ジョブの保留状態を解除してプリンタ3Cへ送信する。
【0107】
これによりプリンタ3Cは、機密印刷ジョブを受信するものの、認証属性が設定されているため、直ちに印刷処理を開始せずに当該機密印刷ジョブを保持しておく。その後、プリンタ3Cは、印刷者の操作により認証処理が行われると、当該機密印刷ジョブの印刷処理を行い、印刷物を生成する。
【0108】
一方、ステップSP46において否定結果が得られると、このことは対象ジョブ群に属する全ての通常印刷ジョブ及び全ての機密印刷ジョブをプリンタ3Cへ送信し終えたこと、すなわち当該対象ジョブ群に属する全ての印刷ジョブをプリンタ3Cへ送信し終えたことを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、対象ジョブ群に関する処理を完了させると共に、プリントキュー63Cに残っている他の印刷ジョブPJに関する処理を行うべく、次のステップSP49に移る。
【0109】
ステップSP49において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブコントローラ64のジョブ群ディスクリプタ処理部71(図6)により、ジョブ群ディスクリプタ保持部65に保持している対象ジョブ群のジョブ群ディスクリプタ75を削除し、次のステップSP50に移る。
【0110】
ステップSP50において印刷ジョブマネージャ62は、プリントキュー63Cに保留中の割込印刷ジョブが残っているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは割込印刷ジョブの印刷処理を行うべきであることを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP51に移る。
【0111】
ステップSP51において印刷ジョブマネージャ62は、スプーラサービス制御部72により、プリントキュー63Cに残っている割込印刷ジョブの保留状態を解除してプリンタ3Cへ送信し、次のステップSP52に移る。因みに印刷ジョブマネージャ62は、このとき複数の割込印刷ジョブが残っていれば、各割込印刷ジョブを受け付けた順序に従ってプリンタ3Cへ順次送信する。これに応じてプリンタ3Cは、各割込印刷ジョブを順次受信し、印刷処理を実行する。なお印刷ジョブマネージャ62は、仮に他のジョブ群に属する複数の印刷ジョブが保留状態で残っていた場合、これらの印刷ジョブについては保留状態を維持したままとする。
【0112】
一方、ステップSP50において否定結果が得られると、このことはこの時点でプリンタ3Cへ送信すべき印刷ジョブPJが残っていないことを表している。このとき印刷ジョブマネージャ62は、次のステップSP52に移る。
【0113】
ステップSP52において印刷ジョブマネージャ62は、ジョブ群印刷処理手順RT3を終了し、元のジョブ群管理処理手順RT2(図10)のステップSP31に戻る。
【0114】
[4.印刷ジョブの実行順序及びタイミング]
次に、印刷管理システム1において、プリンタ3によりジョブ群に属する各印刷ジョブPJの印刷処理を実行する順序やタイミングについて、セキュリティ属性の有無や割込印刷ジョブの発生タイミングが異なる複数の事例を表す模式図を参照しながら、それぞれ説明する。
【0115】
まず、印刷管理システム1における、セキュリティ属性の有無に応じた、各印刷ジョブの印刷処理が実行される順序やタイミングの差異について、図12を参照しながら説明する。ここでは、図7の場合と同様に、印刷者によりクライアント端末2Aから印刷管理サーバ5へ複数の印刷ジョブPJが送信されてプリントキュー63Cに蓄積され、さらにこれらの印刷ジョブPJがジョブ群として設定登録されたものとする。
【0116】
図12(A)に示す事例では、ジョブ群に4個の印刷ジョブPJ(PJ1~PJ4)が属しており、その全てがセキュリティ属性の設定されない通常印刷ジョブである場合を想定している。この図12(A)は、横軸が時間軸を表しており、時刻TMにおいて印刷者が移動を開始し、移動時間PMが経過した到着予想時刻TAに、プリンタ3Cの近傍である拠点BC(図1)に到着すると予想される様子を模式的に示している。
【0117】
この事例において、印刷管理サーバ5の印刷ジョブマネージャ62(図6)は、ジョブコントローラ64の時刻算出処理部73により、プリンタ3Cにおいてジョブ群に属する全ての通常印刷ジョブPJ(PJ1~PJ4)の印刷処理に要する時間であるジョブ群印刷所要時間PG1を算出する。また時刻算出処理部73は、到着予想時刻TAよりもジョブ群印刷所要時間PG1だけ前の時刻を、ジョブ群印刷開始時刻TG1として算出する。
【0118】
一方、図12(A)と対応する図12(B)に示す事例では、ジョブ群に4個の印刷ジョブPJ(PJ1~PJ4)が属しており、そのうち1個の印刷ジョブPJ1がセキュリティ属性の設定された機密印刷ジョブであり、残りの印刷ジョブPJ2~PJ4がセキュリティ属性の設定されない通常印刷ジョブである場合を想定している。
【0119】
この事例において、印刷管理サーバ5の印刷ジョブマネージャ62(図6)は、ジョブコントローラ64の時刻算出処理部73により、プリンタ3Cにおいてジョブ群に属する全ての通常印刷ジョブ(印刷ジョブPJ2~PJ4)の印刷処理に要する時間であるジョブ群印刷所要時間PG2を算出する。また時刻算出処理部73は、到着予想時刻TAよりもジョブ群印刷所要時間PG2だけ前の時刻を、ジョブ群印刷開始時刻TG2として算出する。さらにこの事例では、印刷者が拠点BCに到着した後に、時刻TCに当該印刷者によりプリンタ3Cに対し所定の認証処理が行われると、機密印刷ジョブ(印刷ジョブPJ1)の印刷処理が行われる。
【0120】
次に、印刷管理システム1における、割込印刷の割込印刷所要時間及び割込のタイミングに応じた、各印刷ジョブの印刷処理が実行される順序の差異について、図13を参照しながら説明する。ここでは、やはり図7の場合と同様に、印刷者によりクライアント端末2Aから印刷管理サーバ5へ複数の印刷ジョブPJが送信されてプリントキュー63Cに蓄積され、さらにこれらの印刷ジョブPJがジョブ群として設定登録されたものとする。
【0121】
またここでは、ジョブ群印刷所要時間PGが算出され、ジョブ群印刷開始時刻TGが既に決定している状況において、割込印刷ジョブが発生し、その印刷処理に要する時間である割込印刷所要時間PRも算出済であるものとする。
【0122】
図13(A)に示す事例では、割込印刷ジョブが発生した割込発生時刻TRS1と、該割込発生時刻TRS1から割込印刷所要時間PRだけ経過した時刻である割込印刷終了時刻TRE1との何れもが、ジョブ群印刷開始時刻TGよりも前である。この割込印刷終了時刻TRE1は、仮に割込発生時刻TRS1に該割込印刷ジョブの印刷処理を開始した場合に、当該印刷処理が終了する時刻を意味する。このため印刷管理システム1では、割込印刷ジョブの印刷処理を割込発生時刻TRS1に開始させ割込印刷終了時刻TRE1に終了させた後、ジョブ群印刷開始時刻TGにジョブ群の印刷処理を開始すれば、当該印刷処理を到着予想時刻TAまでに完了できることになる。
【0123】
一方、図13(B)に示す事例では、割込印刷ジョブが発生した割込発生時刻TRS2がジョブ群印刷開始時刻TGよりも前であるものの、該割込発生時刻TRS2から割込印刷所要時間PRだけ経過した割込印刷終了時刻TRE2が、該ジョブ群印刷開始時刻TGよりも後になってしまう。このため印刷管理システム1では、この事例の場合、割込発生時刻TRS2には割込印刷ジョブの印刷処理を行わず、実線で示したように、到着予想時刻TAよりも後に、すなわちジョブ群に属する全ての印刷ジョブについての印刷処理が完了した後に、割込印刷ジョブの印刷処理を行う。
【0124】
次に、図13(C)に示す事例では、割込印刷ジョブが発生した割込発生時刻TRS3が、ジョブ群印刷開始時刻TGよりも後であり、ジョブ群に属する印刷ジョブの印刷処理を実行中となっている。このため印刷管理システム1では、実線で示したように、ジョブ群に属する全ての印刷ジョブをプリンタ3へ送信した後に、割込印刷の印刷ジョブを当該プリンタ3へ送信する。これによりプリンタ3では、ジョブ群に属する全ての印刷ジョブについての印刷処理を完了した後に、割込印刷の印刷処理を行うことになる。
【0125】
[5.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による印刷管理システム1では、印刷者の指示によりジョブ群として設定された複数の印刷ジョブを、当該印刷者の到着予想時刻に合わせたジョブ群印刷開始時刻から、プリンタ3Cにおいて連続して印刷させる。これにより印刷管理システム1では、印刷者が拠点BCに到着するまでに、ジョブ群に登録された各印刷ジョブの印刷処理を完了させることができ、直ちに印刷物を受け取らせることができる。
【0126】
特に印刷管理システム1は、携帯情報端末4から得られる位置情報の経時変化を基に、当該携帯情報端末4を所持する印刷者の移動速度を算出した上で、当該印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着する到着予想時刻を算出するようにした(図7及び図10のステップSP23)。
【0127】
このため印刷管理システム1は、特許文献1のように携帯情報端末4から得られる位置情報とプリンタ3C(すなわち拠点BC)の位置との間における単純な距離を用いた場合と比較して、携帯情報端末4を所持する印刷者が当該プリンタ3Cの近傍に到着する時刻と印刷処理を完了する時刻との誤差を格段に小さく抑え得る。これにより印刷管理システム1は、プリンタ3Cの近傍に印刷者が到着した時点で印刷処理が完了しておらず当該印刷者を待たせる、といった事態や、印刷物がプリンタ3Cの排出トレイに長時間放置されて他のユーザの迷惑となる、といった事態の発生を回避できる。
【0128】
また印刷管理システム1では、印刷者が保有する携帯情報端末4から得られる位置情報を基に、当該印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着する到着予想時刻を算出するようにした。このため印刷管理システム1では、印刷者に対し、自らの到着予想時刻の計算や設定を行わせる必要が無く、位置情報の経時変化を基に、到着予想時刻を精度良く算出することができる。
【0129】
さらに印刷管理システム1では、ジョブ群として設定された複数の印刷ジョブをひとまとまりとして取り扱うようにした。すなわち印刷管理システム1では、割込印刷ジョブが発生したとしても、ジョブ群の印刷処理を完了する時刻に影響が及ぶ場合には、当該印刷ジョブ群の印刷処理が終了した後に、当該割込印刷ジョブを実行させるようにした(図13(B)及び(C))。これにより印刷管理システム1では、割込印刷ジョブが発生したとしても、印刷者が拠点BCに到着すると予想される到着予想時刻TAまでに、ジョブ群の各印刷ジョブの印刷処理を完了させることができる。
【0130】
その一方で印刷管理システム1では、割込印刷ジョブによる印刷処理をジョブ群印刷開始時刻までに終了できる場合には、当該割込印刷ジョブを直ちに実行させるようにした(図13(A))。これにより印刷管理システム1では、ジョブ群の印刷処理に影響を及ぼさない範囲で、割込印刷ジョブの印刷処理を優先的に実行させること、すなわち割込印刷ジョブとジョブ群の各印刷ジョブと間で、優先度合のバランスを取ることができる。
【0131】
また印刷管理システム1では、ジョブ群に属する印刷ジョブにセキュリティ属性が設定されていた場合、すなわち機密印刷ジョブが含まれていた場合、当該機密印刷ジョブを除いた通常印刷ジョブのみを基に、ジョブ群印刷所要時間を算出してジョブ群印刷開始時刻を決定するようにした。さらに印刷管理システム1は、ジョブ群印刷開始時刻において、プリンタ3に対し、ジョブ群に属する通常印刷ジョブを全て送信した後に、機密印刷ジョブを送信するようにした(図12)。これにより印刷管理システム1では、印刷者がプリンタ3Cの近傍にいない間に機密印刷ジョブの印刷物が他人の目に触れる、といった事態を回避でき、当該印刷物の機密性を良好に維持できる。
【0132】
これを他の観点から見ると、仮に印刷者が機密印刷ジョブを除いた通常印刷ジョブのみをジョブ群に登録していた場合、当該ジョブ群に機密印刷ジョブが含まれていた場合と同様に、到着予想時刻までに全ての通常印刷ジョブの印刷処理を完了することができる。しかしこの場合、印刷者は、拠点BCにあるクライアント端末2C等から、改めて機密印刷ジョブをプリンタ3Cへ供給するための操作を行い、さらに当該プリンタ3Cにおいて認証処理を行う必要が生じ得る。
【0133】
これに対し、本実施の形態であれば、最初にクライアント端末2Aから通常印刷ジョブと共に機密印刷ジョブも送信しておき、且つ1つのジョブ群に登録しておくことにより、機密印刷ジョブを印刷せず、且つプリンタ3Cに送信された状態とすることができる。すなわち印刷者は、改めてプリンタ3Cに機密印刷ジョブを供給するための操作を行うこと無く、当該プリンタ3Cにおいて認証処理を行うだけで、機密性が保たれたまま、当該機密印刷ジョブが印刷された印刷物を受け取ることができる。
【0134】
以上の構成によれば、印刷管理システム1は、印刷者の指示によりジョブ群として設定された複数の印刷ジョブを、当該印刷者が所持する携帯情報端末4から得られる位置情報の経時変化を基に算出される到着予想時刻に合わせたジョブ群印刷開始時刻から、プリンタ3Cにおいて連続して印刷させる。また印刷管理システム1は、割込印刷ジョブがあったとしても、ジョブ群印刷開始時刻よりも前に印刷処理を完了できない場合には、ジョブ群の印刷処理を完了した後に、当該割込印刷ジョブを印刷させる。これにより印刷管理システム1では、印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着するまでに、ジョブ群に登録された各印刷ジョブの印刷処理を完了させ、直ちに印刷物を受け取らせることができる。
【0135】
[6.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、印刷者がクライアント端末2Aから複数の印刷ジョブを印刷管理サーバ5へ送信した後、該印刷者により印刷管理サーバ5にアクセスしてジョブ群を設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷者がクライアント端末2Aから1個の印刷ジョブを印刷管理サーバ5へ送信した場合に、該印刷者によりジョブ群を設定させること無く、当該印刷ジョブの印刷処理に要する印刷ジョブ印刷所要時間を算出した上で、当該印刷者の到着予想時刻に合わせて印刷開始時刻を算出しても良い。
【0136】
また上述した実施の形態においては、印刷者がクライアント端末2Aから印刷ジョブを印刷管理サーバ5へ送信した後、該印刷者により同一のクライアント端末2Aから印刷管理サーバ5にアクセスしてジョブ群を設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷者が携帯情報端末4のような他の装置から印刷管理サーバ5にアクセスしてジョブ群を設定しても良い。この場合、印刷者により当該装置において所定のログオン操作をさせることにより、印刷ジョブの送信を指示した印刷者と同一のユーザであることを確認できれば良い。
【0137】
さらに上述した実施の形態においては、拠点BAに設けられたクライアント端末2Aから、印刷者の操作に基づき印刷ジョブを印刷管理サーバ5へ送信する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば任意の場所において、印刷者により操作される携帯情報端末4から印刷管理サーバ5へ印刷ジョブを送信させても良い。
【0138】
さらに上述した実施の形態においては、印刷者がジョブ群の設定登録を行い印刷管理コンソール68(図6)の操作を終了したことを契機として、ジョブ群管理処理手順RT2(図10)を開始し、当該印刷者の当着予想時刻やジョブ群印刷開始時刻を算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば携帯情報端末4から得られる位置情報を基に、該携帯情報端末4が印刷者と共に移動を開始したことを契機として、当該印刷者の当着予想時刻やジョブ群印刷開始時刻を算出しても良い。
【0139】
さらに上述した実施の形態においては、携帯情報端末4から得られる位置情報を基に、印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着すると予想される到着予想時刻を算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷者がジョブ群の設定登録を行う際に、自らの到着予想時刻を登録させ、これを基にジョブ群印刷開始時刻を算出しても良い。
【0140】
さらに上述した実施の形態においては、携帯情報端末4の位置検出部46(図4)がGPS衛星から取得したGPS信号を基に位置情報を生成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば日本国の「みちびき」や欧州連合の「ガリレオ」、或いはロシア共和国の「GLONASS」等、各国や各地域において運用されている衛星測位システムを利用して位置情報を生成しても良い。或いは、例えば無線LANやBluetooth(登録商標)等のような、種々の無線通信を介して得られる種々の信号等を基に位置情報を生成しても良い。
【0141】
さらに上述した実施の形態においては、ジョブ群に機密印刷ジョブが含まれていた場合、ジョブ群印刷開始時刻になると、プリントキュー63Cからプリンタ3Cに対し、当該ジョブ群に属する通常印刷ジョブを全て送信した後に機密印刷ジョブも送信する場合について述べた(図11)。しかし本発明はこれに限らず、例えば機密印刷ジョブをプリントキュー63Cに残しておき、印刷者による認証処理が行われた後に、当該機密印刷ジョブをプリンタ3Cへ送信しても良い。これにより、プリンタ3Cの記憶部32(図3)に機密印刷ジョブを長時間に渡って格納させることを回避でき、当該記憶部32に必要な記憶容量を小さく抑えることができる。
【0142】
さらに上述した実施の形態においては、ジョブ群に機密印刷ジョブが含まれていた場合、当該機密印刷ジョブを除いた通常印刷ジョブのみを基にジョブ群印刷開始時刻を算出し、到着予想時刻までに通常印刷ジョブのみの印刷処理を完了させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばジョブ群に機密印刷ジョブが含まれていた場合、当該機密印刷ジョブを含めた、ジョブ群に属する全ての印刷ジョブを基にジョブ群印刷開始時刻を算出しても良い。さらにこの場合、機密印刷ジョブを最後に印刷するように印刷順序を調整した上で、到着予想時刻までにジョブ群に属する全ての印刷ジョブの印刷処理を完了させるようにしても良い。これにより、機密印刷ジョブの印刷物が他人の目に触れる可能性を最小限に抑えながら、印刷者がプリンタ3Cの近傍に到着した際に、ジョブ群に属する機密印刷ジョブを含めた全ての印刷ジョブの印刷物を受け取らせることができる。
【0143】
さらに上述した実施の形態においては、認証属性が設定された機密印刷ジョブに関し、プリンタ3Cにおいて印刷者の操作により認証処理が行われた後に印刷処理を実行する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷者が所有する携帯情報端末4とプリンタ3Cとの間で、近距離無線通信等の手段を用いて所定の通信処理が行われた場合に、機密印刷ジョブの印刷処理を実行するようにしても良い。
【0144】
さらに上述した実施の形態においては、印刷管理サーバ5にスプーラサービス61及び印刷ジョブマネージャ62(図6)を何れも設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷管理サーバ5からスプーラサービス61を省略すると共に、独立したスプーラ装置(図示せず)を設けてネットワーク7に接続し、該スプーラ装置にプリントキュー63を設けても良い。
【0145】
さらに上述した実施の形態においては、データセンタDC(図1)に設置された印刷管理サーバ5の制御部51(図5)において所定のプログラムを実行することによりスプーラサービス61及び印刷ジョブマネージャ62(図6)の各機能ブロックを実現する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばプリンタ3の制御部31(図3)において、これらの機能ブロックのうち少なくとも一部を実現しても良い。特に、これらの機能ブロックの全てをプリンタ3の制御部31において実現する場合、印刷管理サーバ5を省略することができる。
【0146】
さらに上述した実施の形態においては、印刷管理サーバ5の制御部51(図5)において各種プログラムを実行することにより、印刷ジョブマネージャ62等の各ブロックをソフトウェアによる機能ブロックとして構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、印刷ジョブマネージャ62等をハードウェアにより構成しても良く、或いはハードウェア及びソフトウェアの協働により実現しても良い。
【0147】
さらに上述した実施の形態においては、印刷管理サーバ5の制御部51が記憶部52に予め記憶されている各種プログラムを読み出して実行する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばネットワーク7に接続された所定のサーバ装置(図示せず)から取得し、或いはUSB(Universal Serial Bus)メモリのような着脱可能な記憶媒体から読み出すことにより、印刷管理サーバ5が各種プログラムを取得して実行しても良い。
【0148】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ3を単機能のSFPとして構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該プリンタ3を、複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置としても良い。
【0149】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0150】
さらに上述した実施の形態においては、印刷ジョブ取得部としてのジョブコントローラ64と、記憶部としてのプリンタ情報保持部66と、携帯情報端末位置情報取得部としての印刷者位置情報取得部67と、所要時間算出部、到着予想時刻算出部及び印刷開始時刻設定部としての時刻算出処理部73と、ジョブ管理部としての印刷ジョブマネージャ62とによって印刷管理装置としての印刷管理サーバ5を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる印刷ジョブ取得部と、所要時間算出部と、記憶部と、携帯情報端末位置情報取得部と、到着予想時刻算出部と、印刷開始時刻設定部と、ジョブ管理部とによって印刷管理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、印刷者が移動先のプリンタに印刷ジョブを送信して印刷処理を実行させる場合に利用できる。
【符号の説明】
【0152】
1……印刷管理システム、2……クライアント端末、3……プリンタ、4……携帯情報端末、5……印刷管理サーバ、7……ネットワーク、8……移動体通信網、46……位置検出部、51……制御部、52……記憶部、53……通信部、61……スプーラサービス、62……印刷ジョブマネージャ、63……プリントキュー、64……ジョブコントローラ、65……ジョブ群ディスクリプタ保持部、66……プリンタ情報保持部、67……印刷者位置情報取得部、68……印刷管理コンソール、71……ジョブ群ディスクリプタ処理部、72……スプーラサービス制御部、73……時刻算出処理部、75……ジョブ群ディスクリプタ、76……プリンタ情報、77……印刷者位置情報要求部、78……印刷者位置情報受信部、BA、BB、BC……拠点、PG……ジョブ群印刷所要時間、PJ……印刷ジョブ、PM……移動時間、PR……割込印刷所要時間、TA……到着予想時刻、TG……ジョブ群印刷開始時刻、U……印刷者。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13