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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062845
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/12 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B23Q11/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170955
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 和男
(57)【要約】
【課題】工作機械を簡便な制御によって冷却する冷却システムを提供する。
【解決手段】冷却システムは、工作機械(M)の温度を検出する温度センサ(16)と、第1冷却液を冷却する第1冷凍機(14)と、第2冷却液を冷却する第2冷凍機(24)と、第1冷凍機(14)を制御する第1制御部(C1)と、第2冷凍機(24)を制御する第2制御部(C2)とを備え、第1制御部(C1)は、温度センサ(16)の検出値に基づく温度を第1目標温度として、第1冷却液の温度が第1目標温度となるように第1冷凍機(14)を制御すると共に、第1目標温度に関する制御信号を第2制御部(C2)に送信し、第2制御部(C2)は、制御信号に基づいて第2冷却液が第2目標温度となるように第2冷凍機(24)を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(M)に設けられる第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)を冷却する冷却システムであって、
前記第1発熱部(H1)を冷却する第1冷却液を貯留する第1タンク(11)と、
前記第2発熱部(H2)を冷却する第2冷却液を貯留する第2タンク(21)と、
前記第1発熱部(H1)と前記第1タンク(11)との間で前記第1冷却液を循環させる第1ポンプ(13)と、
前記第2発熱部(H2)と前記第2タンク(21)との間で前記第2冷却液を循環させる第2ポンプ(23)と、
前記工作機械(M)の温度を検出する温度センサ(16)と、
前記第1タンク(11)に貯留される前記第1冷却液を冷却する第1冷凍機(14)と、
前記第2タンク(21)に貯留される前記第2冷却液を冷却する第2冷凍機(24)と、
前記第1冷凍機(14)の冷却能力を制御する第1制御部(C1)と、
前記第2冷凍機(24)の冷却能力を制御する第2制御部(C2)とを備え、
前記第1制御部(C1)は、前記温度センサ(16)の検出値に基づく温度を第1目標温度として、前記第1冷却液の温度が前記第1目標温度となるように前記第1冷凍機(14)を制御すると共に、前記第1目標温度に関する制御信号を第2制御部に送信し、
前記第2制御部(C2)は、前記制御信号に基づいて前記第2冷却液が第2目標温度となるように前記第2冷凍機(24)を制御する
冷却システム。
【請求項2】
前記第1目標温度は、前記温度センサ(16)の検出する前記工作機械(M)の温度であり、
前記第2目標温度は、前記第1目標温度と同じである
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記制御信号は、交互に送信される第1信号と第2信号とを有し、
前記第2目標温度は、所定期間の開始時に第1信号が出力されてから第2信号が出力されるまでの第1時間と、該第2信号が出力されてから該所定期間が終了するまでの第2時間との時間の比率に基づいて決定される
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記所定期間に対する前記第1時間の割合に基づく指標を第1指標としたときに、
前記第1指標と前記第2目標温度とは、正の相関関係を有し、
前記第2目標温度が最小値のとき、前記第1指標はゼロよりも高い値を示す
請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記所定期間に対する前記第1時間の割合を示す指標を第1指標としたときに、
前記第1指標と前記第2目標温度とは、正の相関関係を有し、
前記第2目標温度が最大値のとき、前記第1指標は該第1指標の最大値よりも低い値を示す
請求項3に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記工作機械(M)は、第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)の土台となる金属製の土台部(B)を備え、
前記温度センサ(16)は、前記土台部(B)に設けられる
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記第1冷却液、及び前記第2冷却液の種類は異なる
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記第1ポンプ(13)は、前記第1冷凍機(14)に設けられ、
前記第1冷凍機(14)は、第1タンク(11)から吸い上げた前記第1冷却液を冷却し、該第1冷却液を前記第1発熱部(H1)へ搬送する
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第2ポンプ(23)は、前記第2冷凍機(24)に設けられ、
前記第2冷凍機(24)は、第2タンク(21)から吸い上げた前記第2冷却液を冷却し、該第2冷却液を前記第2発熱部(H2)へ搬送する
請求項1または2に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械の発熱部に搬送される冷却液を冷却する冷凍機がある(例えば、特許文献1)。冷却液は、タンクに貯留されており、該タンクと工作機械との間を循環する。冷凍機は、タンク内に配置されており、工作機械からタンク内へ流入する冷却液を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-68522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷凍機は、工作機械の温度(機体温度)によって制御される。マシニングセンタのように複数の発熱部を有する工作機械では、1つの発熱部に対して1つの冷凍機が対応するため、発熱部の数だけ冷凍機が設けられる。工作機械には、それぞれの冷凍機に対応する温度センサが取り付けられ、各冷凍機は、対応する温度センサの検出値によって制御される。このように、工作機械を冷却する複数の冷凍機を備える冷却システムにおいて、個別に検出した温度に基づいて冷凍機を制御することは、複数の冷凍機全体の制御が煩雑になるという課題があった。
【0005】
本開示の目的は、工作機械を簡便な制御によって冷却する冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
工作機械(M)に設けられる第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)を冷却する冷却システムであって、
前記第1発熱部(H1)を冷却する第1冷却液を貯留する第1タンク(11)と、
前記第2発熱部(H2)を冷却する第2冷却液を貯留する第2タンク(21)と、
前記第1発熱部(H1)と前記第1タンク(11)との間で前記第1冷却液を循環させる第1ポンプ(13)と、
前記第2発熱部(H2)と前記第2タンク(21)との間で前記第2冷却液を循環させる第2ポンプ(23)と、
前記工作機械(M)の温度を検出する温度センサ(16)と、
前記第1タンク(11)に貯留される前記第1冷却液を冷却する第1冷凍機(14)と、
前記第2タンク(21)に貯留される前記第2冷却液を冷却する第2冷凍機(24)と、
前記第1冷凍機(14)の冷却能力を制御する第1制御部(C1)と、
前記第2冷凍機(24)の冷却能力を制御する第2制御部(C2)とを備え、
前記第1制御部(C1)は、前記温度センサ(16)の検出値に基づく温度を第1目標温度として、前記第1冷却液の温度が前記第1目標温度となるように前記第1冷凍機(14)を制御すると共に、前記第1目標温度に関する制御信号を前記第2制御部(C2)に送信し、
前記第2制御部(C2)は、前記制御信号に基づいて前記第2冷却液が第2目標温度となるように前記第2冷凍機(24)を制御する冷却システムである。
【0007】
第1の態様では、第2制御部(C2)は、第1冷凍機(14)から送信される制御信号に基づいて第2冷却液を温度制御する。そのため、第1冷凍機(14)に出力する温度センサ(16)は1つあればよく、第2冷凍機(24)に出力する温度センサ(16)を不要にできる。その結果、1つの温度センサ(16)の出力値に基づいて、第1冷凍機(14)及び第2冷凍機(24)の冷却能力を制御できるため、各冷凍機(14,24)の制御を簡便に行えると共に、設置する温度センサ(16)も1つでよいので部品点数が抑えられ省コスト化を実現できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記第1目標温度は、前記温度センサ(16)の検出する前記工作機械(M)の温度であり、
前記第2目標温度は、前記第1目標温度と同じである。
【0009】
第2の態様では、工作機械(M)の温度を目標温度として、第1冷却液の温度と第2冷却液の温度とを同一にできる。例えば、第1冷凍機(14)および第2冷凍機(24)のそれぞれに対応する温度センサ(16)を工作機械(M)に設けた場合、複数の温度センサ(16)間で検出値がばらつくと、第1冷却液及び第2冷却液の温度(第1目標温度及び第2目標温度)もばらつくことになる。このような冷却液間で温度のばらつきが生じると、発熱部(H1,H2)間でも温度がばらつくことになって、工作機械(M)の加工精度が低下するという影響が生じるところ、本開示の冷却システムではそのような影響を抑えることができる。言い換えると、本開示の冷却システムによると工作機械(M)の加工精度が向上する。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記制御信号は、交互に送信される第1信号と第2信号とを有し、
前記第2目標温度は、所定期間の開始時に第1信号が出力されてから第2信号が出力されるまでの第1時間と、該第2信号が出力されてから該所定期間が終了するまでの第2時間との時間の比率に基づいて決定される。
【0011】
第3の態様では、第1時間と第2時間との時間比率を調節するだけで第2冷却液の温度を簡便に調節できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、
前記所定期間に対する前記第1時間の割合に基づく指標を第1指標としたときに、
前記第1指標と前記第2目標温度とは、正の相関関係を有し、
前記第2目標温度が最小値のとき、前記第1指標はゼロよりも高い値を示す。
【0013】
第2目標温度が最小値のときの第1指標をゼロ%とした場合、第1指標がゼロ%になるのは、第2目標温度が最小値によるものか、または、第1信号を出力できない等の不具合によるものか判断できない。そのため、第2目標温度が最小値のとき、第1指標をゼロよりも高い値とすることで、上述の両者を見分けることができる。
【0014】
第5の態様は、第3または第4の態様において、
前記所定期間に対する前記第1時間の割合を示す指標を第1指標としたときに、
前記第1指標と前記第2目標温度とは、正の相関関係を有し、
前記第2目標温度が最大値のとき、前記第1指標は該第1指標の最大値よりも低い値を示す。
【0015】
第5の態様では、仮に第2目標温度が最大値のときの第1指標を100%(最大値)とした場合、第1指標が100%になるのは、第2目標温度が最大によるものか、または、第2信号を出力できない等の不具合によるものか判断できない。そのため、第2目標温度が最大値のとき、第1指標を該第1指標の最大値よりも低い値とすることで、上述の両者を見分けることができる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記工作機械(M)は、第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)の土台となる金属製の土台部(B)を備え、
前記温度センサ(16)は、前記土台部(B)に設けられる。
【0017】
第6の態様では、土台部(B)の温度は、工作機械(M)の中で発熱部(H1,H2)による急激な温度の影響を比較的受けにくい部分である。そのため、土台部(B)の温度は工作機械(M)の中で最も安定した温度であり、土台部(B)に温度センサ(16)を設けることで工作機械(M)の本来あるべき温度を把握できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6の態様において、
前記第1冷却液及び前記第2冷却液の種類は異なる。
【0019】
第7の態様では、第1冷却液と第2冷却液との種類が異なるため、工作機械(M)の異なる種類の発熱部(H1,H2)を冷却できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記第1冷凍機(14)は、前記第1ポンプ(13)を備え、
前記第1ポンプ(13)は、一端が前記第1冷凍機(14)に接続され、他端が前記第1発熱部(H1)に連通する第1配管(12)に冷却された前記第1冷却液を搬送する。
【0021】
第8の態様では、第1冷凍機(14)と第1ポンプ(13)とを一体にできる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2冷凍機(24)は、前記第2ポンプ(23)を備え、
前記第2ポンプ(23)は、一端が前記第2冷凍機(24)に接続され、他端が前記第2発熱部(H2)に連通する第2配管(22)に冷却された前記第2冷却液を搬送する。
【0023】
第9の態様では、第2冷凍機(24)と第2ポンプ(23)とを一体にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る冷却システムの構成を示す外観斜視図である。
図2図2は、冷却システムと工作機械との配管による接続を示す図である。
図3図3は、冷凍機の構成を示す概略図である。
図4図4は、冷却システムの各構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1制御部から第2制御部へ送信される制御信号を説明する図である。
図6図6は、第1制御部が有するグラフデータの一例を示す図である。
図7図7は、冷却システムの制御を示すフローチャートである。
図8図8は、その他の実施形態に係る冷却システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0026】
(1)冷却システムの全体構成
図1に示すように、本実施形態の冷却システム(U)は、例えば研削盤やマシニングセンタなどの切削加工を行う工作機械(M)を冷却する。工作機械(M)は、第1発熱部(H1)、第2発熱部(H2)、及びベッド(B)を有する。冷却システム(1)は、工作機械(M)の温度に基づいて、第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)の温度を調節する。
【0027】
第1発熱部(H1)は、例えばスピンドルヘッドを回転させる主軸モータである。第2発熱部(H2)は、例えばクーラント液を貯留するクーラント部である。ベッド(B)は、工作機械(M)の土台となる金属製の部分である。ベッド(B)は土台部(B)の一例である。ベッド(B)の上には、工作機械(M)の各構成部材が設置される。ベッド(B)には、第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)の温度が比較的伝わりにくい。言い換えると、ベッド(B)は、工作機械(M)の中で第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)の温度変化の影響を最も受けにくい部材である。
【0028】
(2)第1冷却ユニット及び第2冷却ユニット
図1及び図2に示すように、冷却システム(1)は、第1冷却ユニット(10)及び第2冷却ユニット(20)を有する。第1冷却ユニット(10)は、第1冷却液により第1発熱部(H1)を冷却する。第2冷却ユニット(20)は、第2冷却液により第2発熱部(H2)を冷却する。
【0029】
(2-1)第1冷却ユニット
第1冷却ユニット(10)は、第1タンク(11)、第1配管(12)、第1ポンプ(13)、第1冷凍機(14)、第1制御部(C1)、第1液温センサ(15)及び機体温度センサ(16)を有する。
【0030】
第1タンク(11)は、第1冷却液を貯留する。第1冷却液は、例えば潤滑油である。
【0031】
第1配管(12)は、第1冷却液が流通する配管である。第1配管(12)は、第1タンク(11)から第1発熱部(H1)へ第1冷却液が搬送される第1送り配管(12a)と、第1発熱部(H1)から第1タンク(11)へ第1冷却液が搬送される第1戻り配管(12b)とを有する。
【0032】
第1ポンプ(13)は、第1発熱部(H1)と第1タンク(11)との間で第1冷却液を循環させる。第1ポンプ(13)は、第1配管(12)に設けられる。具体的に第1ポンプ(13)は、第1送り配管(12a)に設けられる。
【0033】
第1冷凍機(14)は、第1タンク(11)に貯留される第1冷却液を冷却する。第1冷凍機(14)の詳細は後述する。
【0034】
第1制御部(C1)は、第1冷凍機(14)の冷却能力を制御する。第1制御部(C1)の詳細は後述する。
【0035】
第1液温センサ(15)は、第1タンク(11)に設けられる。第1液温センサ(15)は、第1タンク(11)内の第1冷却液の温度を検出する。
【0036】
機体温度センサ(16)は、工作機械(M)の温度を検出する。機体温度センサ(16)は、ベッド(B)に設けられる。具体的に、機体温度センサ(16)は、ベッド(B)内に埋め込まれるように設けられる。ベッド(B)の温度を、工作機械の温度(以下、機体温度という)を表すものとする。機体温度センサ(16)は、温度センサ(16)の一例である。
【0037】
(2-2)第2冷却ユニット
第2冷却ユニット(20)は、第2タンク(21)、第2配管(22)、第2ポンプ(23)、第2冷凍機(24)、第2制御部(C2)及び第2液温センサ(25)を有する。
【0038】
第2タンク(21)は、第2冷却液を貯留する。第2冷却液は、例えば潤滑油である。
【0039】
第2配管(22)は、第2冷却液が流通する配管である。第2配管(22)は、第2タンク(21)から第2発熱部(H2)へ第2冷却液が搬送される第2送り配管(22a)と、第2発熱部(H2)から第2タンク(21)へ第2冷却液が搬送される第2戻り配管(22b)とを有する。
【0040】
第2ポンプ(23)は、第2発熱部(H2)と第2タンク(21)との間で第2冷却液を循環させる。第2ポンプ(23)は、第2配管(22)に設けられる。具体的に第2ポンプ(23)は、第2送り配管(22a)に設けられる。
【0041】
第2冷凍機(24)は、第2タンク(21)に貯留される第2冷却液を冷却する。第2冷凍機(24)の詳細は後述する。
【0042】
第2制御部(C2)は、第2冷凍機(24)の冷却能力を制御する。第2制御部(C2)の詳細は後述する。
【0043】
第2液温センサ(25)は、第2タンク(21)に設けられる。第2液温センサ(25)は、第2タンク(21)内の第2冷却液の温度を検出する。
【0044】
(3)第1冷凍機及び第2冷凍機
第1冷凍機(14)と第2冷凍機(24)とは同じ構成である。特に断りのない限り、第1冷凍機(14)と第2冷凍機(24)とは同じものとして説明する。
【0045】
図3及び図4に示すように、第1冷凍機(14)及び第2冷凍機(24)は、ケーシング(31)、圧縮機(32)、凝縮器(33)、膨張弁(34)、蒸発器(35)、送風ファン(36)、撹拌機(37)、及び操作パネル(38)を有する。圧縮機(32)、凝縮器(33)、膨張弁(34)及び蒸発器(35)は、この順に冷媒回路(39)に接続される。冷媒回路(39)には、冷媒が充填される。冷媒回路(39)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。圧縮機(32)、凝縮器(33)及び膨張弁(34)は、ケーシング(31)内に配置される。
【0046】
(3-1)ケーシング
ケーシング(31)は、上下方向に延びる箱状に形成される。ケーシング(31)の下方は、一部開口している。ケーシング(31)は、タンク(11,21)内の液面の上方に配置される。ケーシング(31)下端の四隅には脚部(40)が接続される。脚部(40)の下端は、ケーシング(31)の底面に設置している。このようにケーシング(31)は4本の脚部(40)により支持されている。
【0047】
(3-2)圧縮機
圧縮機(32)は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮する。圧縮機(32)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(32)は、インバータ回路から電動機へ電力が供給される、可変容量式である。言い換えると、圧縮機(32)は、電動機の運転周波数(回転数)が調節可能に構成される。
【0048】
(3-3)凝縮器
凝縮器(33)は、送風ファン(36)により搬送される空気と、冷媒とを熱交換させる。具体的に、凝縮器(33)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。送風ファン(36)は、凝縮器(33)付近に配置され、凝縮器(33)を通過する空気を搬送する。
【0049】
(3-4)膨張弁
膨張弁(34)は、冷媒を減圧する。膨張弁(34)は、開度が調節可能な電動膨張弁である。膨張弁(34)は、感温式の膨張弁やキャピラリーチューブなどであってもよい。
【0050】
(3-5)蒸発器
蒸発器(35)は、ケーシング(31)下端より下方に配置される。蒸発器(35)は、タンク(11,21)内の冷却液に浸漬するように配置される。蒸発器(35)は、タンク(11,21)の冷却液と、冷媒とを熱交換させる。具体的に、蒸発器(35)では、冷媒が冷却液から吸熱して蒸発する。蒸発器(35)は、上下方向に沿ってコイル状に形成される。
【0051】
(3-6)撹拌機
撹拌機(37)は、タンク(11,21)内の冷却液に浸漬するように配置される。撹拌機(37)は、タンク(11,21)内の冷却液を撹拌する。撹拌機(37)を蒸発器(35)の近傍に配置することで、冷媒と冷却液との熱交換が促進される。
【0052】
(3-7)操作パネル
操作パネル(38)は、ユーザの操作により、冷凍機(14,24)の運転指示を受け付ける。操作パネル(38)は、ポンプ(13,23)の運転指示を受け付けてもよい。運転操作パネル(38)は、液温を表示するディスプレイ(図示省略)を有する。操作パネル(38)は、ケーシング(31)の側面に配置される。
【0053】
(4)第1制御部及び第2制御部
図4に示すように、第1制御部(C1)及び第2制御部(C2)のそれぞれは、マイクロコンピュータと該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納するメモリディバイスとを備える。第1制御部(C1)及び第2制御部(C2)は、有線Wにより通信可能に接続される。第1制御部(C1)及び第2制御部(C2)は、無線により接続されていてもよい。以下では、第1制御部(C1)及び第2制御部(C2)は同じ構成であるため、特に断りのない限り第2制御部(C2)の説明を一部省略する。
【0054】
(4-1)第1制御部
第1制御部(C1)は、第1冷凍機(14)の各種の機器及び各種のセンサと通信可能に接続される。第1制御部(C1)は、第1冷凍機(14)の各種の機器を制御する。
【0055】
第1制御部(C1)は、機体温度センサ(16)の検出値に基づく温度を第1目標温度として、第1冷却液の温度が第1目標温度となるように第1冷凍機(14)を制御する。第1冷凍機(14)の制御とは、第1冷凍機(14)の能力比率の調節である。能力比率は、冷凍機の定格能力における能力の割合を示す。能力比率は、圧縮機(32)や送風ファン(36)などの各種の機器の動作を制御することで調節される。
【0056】
第1制御部(C1)は、第1目標温度に関する制御信号を第2制御部(C2)に送信する。制御信号の詳細については後述する。
【0057】
第1制御部(C1)は、過去の第1冷凍機(14)の運転履歴を記憶する。運転履歴は、例えば、第1冷凍機(14)の運転時間、第1液温センサ(15)や機体温度センサ(16)の検出値の履歴、圧縮機(32)の回転数の履歴などを含む。
【0058】
(4-2)第2制御部
第2制御部(C2)は、第2冷凍機(24)の各種の機器及び各種のセンサと通信可能に接続される。第2制御部(C2)は、第2冷凍機(24)の各種の機器を制御する。
【0059】
具体的に、第2制御部(C2)は、制御信号に基づいて第2冷却液が第2目標温度となるように第2冷凍機(24)を制御する。第2目標温度については後述する。
【0060】
(5)運転動作
各冷凍機(14,24)の運転動作について説明する。第1冷凍機(14)及び第2冷凍機(24)は、同じ構成であるため、以下では第1冷凍機(14)のみの運転動作について説明する。
【0061】
第1制御部(C1)は、圧縮機(32)、送風ファン(36)、及び撹拌機(37)を運転する。第1制御部(C1)は、操作パネル(38)に入力された第1目標温度に基づいて、圧縮機(32)及び送風ファン(36)を制御する。第1制御部(C1)は、撹拌機(37)の回転数を適宜調節する。
【0062】
圧縮機(32)が圧縮した冷媒は、凝縮器(33)を流れる。凝縮器(33)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。凝縮器(33)で放熱した冷媒は、膨張弁(34)で減圧された後、蒸発器(35)を流れる。蒸発器(35)では、冷媒が第1冷却液から吸熱して蒸発する。蒸発器(35)により冷却された第1冷却液は撹拌機(37)により撹拌されるため、第1タンク(11)内の液温上昇が抑えられる。蒸発器(35)で蒸発した冷媒は、圧縮機(32)で吸入されて再び圧縮される。
【0063】
(6)複数の発熱部のそれぞれの温度調節における課題
本実施例のように主軸モータ、ベアリング、クーラント部、油圧ユニット等の冷却が必要な複数の発熱部を有する工作機械では、発熱部ごとに対応する冷却ユニットが設けられる。工作機械の運転によって各発熱部は発熱するため、工作機械の温度を目標温度として、冷却ユニットの冷却液により発熱部の温度を目標温度に調節する。
【0064】
ここで、冷却ユニットごとに機体温度センサを工作機械に取り付ける場合、発熱部の数だけ(冷却ユニットの数だけ)機体温度センサの数が必要となるため、冷却ユニットのコストが嵩む。また、冷却ユニットの制御部は、機体温度センサの検出値に基づいて冷却液を温度調節するため、複数の機体温度センサの間で検出値にばらつきが生じると、冷却液の目標温度がばらつくことになる。冷却ユニット間で冷却液の目標温度が異なると、複数の発熱部の温度もばらつくことになり、工作機械の加工精度が低下することになる。
【0065】
このような課題に対し、本実施形態の冷却システム(1)は、機体温度を検出する機体温度センサ(16)を1つ有する。機体温度センサ(16)は、機体温度を示す信号を第1制御部(C1)に出力する。第1制御部(C1)は、機体温度を示す信号を第2制御部(C2)に出力する。
【0066】
具体的に、第1制御部(C1)は、機体温度センサ(16)が検出する工作機械(M)の温度を第1目標温度として、第1タンク(11)の第1冷却液の温度が第1目標温度になるように第1冷凍機(14)の運転を制御する。言い換えると、第1制御部(C1)は、第1タンク(11)の第1冷却液の温度が機体温度に等しくなるように、第1冷凍機(14)の運転を制御する。第1制御部(C1)は、制御信号を第1目標温度を示す信号として第2制御部(C2)に送信する。
【0067】
第2制御部(C2)は、第1目標温度に基づいて、第2タンク(21)の第2冷却液が第2目標温度となるように第2冷凍機(24)の運転を制御する。第2目標温度は第1目標温度と同じである。言い換えると、第2制御部(C2)は、第2タンク(21)の第2冷却液の温度が機体温度に等しくなるように、第2冷凍機(24)の運転を制御する。
【0068】
(7)制御信号による第2冷凍機の制御方法
以下、第1制御部(C1)から送信される制御信号に基づいて第2制御部(C2)が制御する第2冷凍機(24)の運転の制御方法について説明する。
【0069】
第2冷凍機(24)は、制御信号を第2目標温度に変換する回路を有する。この回路は、例えばリレー回路である。リレー回路では、第1制御部(C1)から受信した制御信号により接点のオンとオフとが切り替えられる。制御信号は、接点をオンにするオン信号と、接点をオフにするオフ信号とを有する。オン信号は、第2信号の一例である。オフ信号は、第1信号の一例である。オン信号及びオフ信号は交互に送信される。リレー回路は、オン状態(接点が繋がった状態)とオフ状態(接点が離れた状態)とを繰り返す。
【0070】
図5に示すように、第2目標温度は、所定期間におけるオフ状態の継続時間とオン状態の継続時間との時間の比率に基づいて決定される。所定期間は10秒である。オフ状態の継続時間は、第1時間の一例である。オフ状態の継続時間は、所定期間の開始時にオフ信号が出力されてからオン信号が出力されるまでの時間である。オン状態の継続時間は、第2時間の一例である。オン状態の継続時間は、第1時間経過時にオン信号が出力されてから所定期間が終了するまでの期間である。
【0071】
本実施形態では、第2目標温度は、所定期間である10秒間におけるオフ状態の継続時間の割合に基づいて求められる。このように、10秒毎に第2目標温度を示す信号が送信されるため、比較的短い間隔で第2目標温度に基づいた第2冷凍機の能力比率を制御できる。
【0072】
図6に示すように、本実施形態の第2制御部(C2)は、第2目標温度と第1指標との関係を示すグラフデータを有する。第1指標は、所定期間である10秒間に対する第1時間の割合に基づく。本例の第1指標は、10秒間に対するオフ状態の継続時間の割合(秒/10秒)を示す。第1指標は、(%)で表されてもよい。
【0073】
第2目標温度と第1指標とは、正の相関関係を有する。言い換えると、第2目標温度の値が高くなるほど、第1指標の値も高くなる。具体的に、第1指標は、第2目標温度の最小値から最大値において、所定の傾きαを持った一次関数である関係式(I)で表される。関係式(I)は、第1指標(秒/10秒)=(第1目標温度×200-500)/1000で表される。第1目標温度の最小値は5℃であり、最大値は50℃である。
【0074】
このように、第2制御部(C2)は、第1制御部(C1)から制御信号としてオン信号及びオフ信号を受信するタイミングによって第2目標温度を決定する。本実施形態では、機体温度センサ(16)の検出値と、第1目標温度と、第2目標温度とは同じであるため、第1制御部(C1)は、機体温度を示す制御信号を第2制御部(C2)に送信し、第2制御部(C2)は、制御信号に基づいて第2タンク(21)の第2冷却液の液温が機体温度に等しくなるように第2冷凍機(24)を制御する。例えば、機体温度が25℃の場合、所定期間開始時にオフ信号が送信されてから4.5秒経過後にオン信号が第1制御部(C1)から第2制御部(C2)へ送信され、該オン信号が送信されてから、5.5秒経過後に再びオフ信号が第1制御部(C1)から第2制御部(C2)へ送信される(図5参照)。機体温度が25℃の間は、これと同じ時間間隔でオン信号とオフ信号とが交互に第1制御部(C1)から第2制御部(C2)へ送信される。
【0075】
第2目標温度(機体温度)が5℃(最小値)のときは、第1指標は0.5秒/10秒を示す。このように第2目標温度が最小値のとき、第1指標はゼロ秒/10秒よりも高い値を示す。また、第2目標温度(機体温度)が50℃(最大値)のとき、第1指標は9.5秒/10秒を示す。このように第2目標温度が最大値のとき、第1指標は10秒/10秒よりも低い値を示す。
【0076】
第1制御部(C1)も第2制御部(C2)が有しているグラフデータと同一のデータを有してもよい。第1制御部(C1)には、機体温度センサ(16)出力される機体温度を示すオン信号及びオフ信号が入力されてもよい。
【0077】
(8)制御フロー
本実施形態の冷却システム(1)が行う制御のフローについて、図7を用いて説明する。
【0078】
ステップS11では、冷却システム(1)の運転が開始される。具体的に、ユーザの操作または工作機械(M)の運転の開始により、冷却システム(1)の各種の機器がONになる。これにより、第1冷凍機(14)、第1ポンプ(13)、第2冷凍機(24)及び第2ポンプ(23)の運転が開始され、第1冷却液は、第1タンク(11)と第1発熱部(H1)との間を循環すると共に、第1タンク(11)内で第1冷凍機(14)により冷却される。同様に、第2冷却液は、第2タンク(21)と第2発熱部(H2)との間を循環すると共に、第2タンク(21)内で第2冷凍機(24)により冷却される。
【0079】
ステップS12では、第1制御部(C1)は、機体温度センサ(16)の検出値(機体温度)を第1目標温度に設定する。
【0080】
ステップS13では、第1制御部(C1)は、第1タンク(11)内の第1冷却液の温度を第1目標温度に等しくなるように第1冷凍機(14)を制御する。
【0081】
ステップS14では、第1制御部(C1)は、機体温度を示す制御信号を第2制御部(C2)に送信する。
【0082】
ステップS15では、第2制御部(C2)は、ステップS14で受信した制御信号に基づいて、機体温度を第2目標温度として設定する。
【0083】
ステップS16では、第2制御部(C2)は、第2タンク(21)内の第2冷却液の温度が第2目標温度に等しくなるように第2冷凍機(24)を制御する。
【0084】
ステップS17では、第1制御部(C1)は、ユーザの操作または工作機械(M)の運転停止によって、冷却システム(1)の運転を停止するOFF信号を受信したか判定する。OFF信号を受信したと判定した場合(ステップS17のYES)、冷却システム(1)の各種の機器の運転を停止する。OFF信号を受信していないと判定された場合(ステップS17のNO)、ステップS12を再び実行する。
【0085】
(9)特徴
(9-1)特徴1
本実施形態の冷却システム(1)では、第1制御部(C1)は、機体温度センサ(16)の検出値に基づく温度を第1目標温度として、第1冷却液の温度が第1目標温度となるように第1冷凍機(14)を制御すると共に、第1目標温度に関する制御信号を第2制御部(C2)に送信し、第2制御部(C2)は、制御信号に基づいて第2冷却液が第2目標温度となるように第2冷凍機(24)を制御する。
【0086】
これにより、第2制御部(C2)は、第1冷凍機(14)から送信される制御信号に基づいて第2冷却液を温度制御する。そのため、冷却システム(1)は、第1冷凍機(14)に出力する機体温度センサ(16)を1つ備えていればよく、第2冷凍機(24)に出力する機体温度センサ(16)は不要にできる。その結果、1つの機体温度センサ(16)の出力値に基づいて、第1冷凍機(14)及び第2冷凍機(24)の冷却能力を制御できるため、各冷凍機(14,24)の制御を簡便に行えると共に、設置する温度センサ(16)も1つでよいので部品点数が抑えられ省コスト化を実現できる。
【0087】
(9-2)特徴2
本実施形態の冷却システム(1)では、第1目標温度は、機体温度センサ(16)の検出する工作機械(M)の温度であり、第2目標温度は、第1目標温度と同じである。
【0088】
これにより、工作機械(M)の温度を目標温度として、第1冷却液の温度と第2冷却液の温度とを同一にできる。例えば、第1冷凍機(14)および第2冷凍機(24)のそれぞれに対応する機体温度センサ(16)を工作機械(M)に設けた場合、複数の機体温度センサ(16)間で検出値(目標温度)がばらつくと、第1冷却液及び第2冷却液の温度もばらつくことになる。このように第1冷却液及び第2冷却液の温度がばらつくと、第1発熱部(H1)と第2発熱部(H2)の間で温度がばらつくことになって、工作機械(M)の加工精度が低下するという影響が生じるところ、本実施形態の冷却システム(1)ではそのような影響を抑えることができる。
【0089】
(9-3)特徴3
本実施形態の冷却システム(1)では、制御信号は、交互に送信される第1信号と第2信号とを有する。第2目標温度は、所定期間の開始時に第1信号が出力されてから第2信号が出力されるまでの第1時間と、該第2信号が出力されてから該所定期間が終了するまでの第2時間との時間の比率に基づいて決定される。
【0090】
これにより、第1時間と第2時間との時間比率を調節するだけで第2冷却液の温度を簡便に調節できる。特に、このような方法では第1制御部(C1)と第2制御部(C2)との間で温度情報を出入力する制御基板や、そのような温度情報を出入力を実行可能なプログラムを実装するソフトウェア等が不要であるため、冷却システム(1)を比較的安価に構築できる。
【0091】
(9-4)特徴4
本実施形態の冷却システム(1)では、所定期間に対する第1時間の割合に基づく指標を第1指標としたときに、第1指標と第2目標温度とは、正の相関関係を有し、第2目標温度が最小値のとき、第1指標はゼロよりも高い値を示す。
【0092】
これにより、例えば、第2目標温度が最小値のときの第1指標をゼロ%とした場合、第1指標がゼロ%になるのは、第2目標温度が最小値によるものか、または、第1信号を出力できない等の不具合によるものか判断できない。そのため、第2目標温度が最小値のとき、第1指標をゼロよりも高い値とすることで、上述の両者を見分けることができる。
【0093】
(9-5)特徴5
本実施形態の冷却システム(1)では、第2目標温度が最大値のとき、第1指標は該第1指標の最大値よりも低い値を示す。
【0094】
これにより、仮に第2目標温度が最大値のときの第1指標を100%(最大値)とした場合、第1指標が100%になるのは、第2目標温度が最大によるものか、または、第2信号を出力できない等の不具合によるものか判断できない。そのため、第2目標温度が最大値のとき、第1指標を該第1指標の最大値よりも低い値とすることで、上述の両者を見分けることができる。
【0095】
(9-6)特徴6
本実施形態の冷却システム(1)では、機体温度センサ(16)はベッド(B)に設けられる。ベッド(B)は第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)からの温度が比較的伝わりにくい部分であるため、工作機械(M)の他の部分に比べて第1発熱部(H1)及び第2発熱部(H2)からの温度変化の影響を受けにくい。そのため、ベッド(B)の温度を測定することで工作機械(M)の本来あるべき温度を把握できる。特に、工作機械は、工場内に配置され工場内の雰囲気温度によって変化するため、ベッド(B)は、工作機械(M)の発熱部(H1,H2)の急激な温度変化の影響を受けにくく、比較的緩やかな温度変化に対する追従性もよい。
【0096】
(9-7)特徴7
本実施形態の冷却システム(1)では、第1冷却液及び第2冷却液の種類は異なる。第1冷却液(潤滑油)と第2冷却(水溶液)との種類が異なるため、工作機械(M)の異なる種類の発熱部(H1,H2)を冷却できる。
【0097】
(10)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0098】
第1目標温度は、機体温度センサ(16)の検出値に基づく温度であればよく、機体温度センサ(16)の検出値(すなわち、機体温度)と同じでなくてもよい。例えば、第1目標温度は、機体温度よりも低い温度であってもよい。
【0099】
第2目標温度は、第1目標温度に関する制御信号に基づく温度であればよく、第1目標温度と同じでなくてもよい。例えば、第2目標温度が第1目標温度よりも低く設定される場合、第1制御部(C1)は第1目標温度から減算した値を示す制御信号を第2制御部(C2)に送信し、第2制御部(C2)はその値を第2目標温度として第2冷凍機(24)を制御する。
【0100】
液温センサ(15,25)はタンク(11,21)に設けられていなくてもよい、液温センサ(15,25)は、タンク(11,21)と発熱部(H1,H2)とを接続する送り配管(12a,22a)または戻り配管(12b,22b)に設けられてもよい。例えば、液温センサ(15,25)は、発熱部(H1,H2)の温度調節を厳密に行う場合は戻り配管(12b,22b)に設けられ、冷凍機(14,24)の負荷を抑えたい場合は送り配管(12a,22a)に設けられる。
【0101】
工作機械(M)は、3つ以上の発熱部(H1,H2)を有していてもよい。図8に示すように、例えば発熱部を3つ備える工作機械に対しては、冷却システム(1)は、上記第1冷却ユニット(10)及び第2冷却ユニット(20)に加え、第3冷却ユニット(U3)を備える。第3冷却ユニット(U3)は第3制御部(C3)を備え、第1制御部(C1)は、第2制御部(C2)と第3制御部(C3)とに第1目標温度に関する制御信号を送信する。
【0102】
第1ポンプ(13)は、第1冷凍機(14)に設けられてもよい。この場合、第1冷凍機(14)は、第1タンク(11)から吸い上げた第1冷却液を冷却し、該第1冷却液を第1発熱部(H1)へ搬送する。具体的に説明すると、第1送り配管(12a)は、第1冷凍機(14)と第1発熱部(H1)とを接続しており、第1冷却液は、第1冷凍機(14)に冷却された直後に直接第1送り配管(12a)に送られる。
【0103】
第2ポンプ(23)は、第2冷凍機(24)に設けられてもよい。この場合、第2冷凍機(24)は、第2タンク(21)から吸い上げた第2冷却液を冷却し、該第2冷却液を第2発熱部(H2)へ搬送する。具体的に説明すると、第2送り配管(22a)は、第2冷凍機(24)と第2発熱部(H2)とを接続しており、第2冷却液は、第2冷凍機(24)に冷却された直後に直接第2送り配管(22a)に送られる。
【0104】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本開示は、冷却システムについて有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 冷却システム
11 第1タンク
13 第1ポンプ
14 第1冷凍機
16 機体温度センサ(温度センサ)
21 第2タンク
23 第2ポンプ
24 第2冷凍機
B 土台部(ベッド)
C1 第1制御部
C2 第2制御部
H1 第1発熱部
H2 第2発熱部
M 工作機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8